プリンタ
【課題】リライトカードの取込時姿勢に関わりなく、スループットの向上が可能なプリンタを提供する。
【解決手段】QRコード(登録商標)リーダが読み込んだQRコードを記憶する記憶部と、その記憶されるQRコードの切り出しシンボルからリライトカードの姿勢を検索するQRコード位置検索部と、検索されたQRコードの位置に対応して記憶部に記憶されたQRコードのデータを解析するデコード部と、解析したデータと新たに入力される情報に基づいて演算処理し、その演算処理後の新規情報を出力する処理部と、その新規情報をリライトカードの上面と下面にその姿勢に対応する向きに印刷するための編集を行う編集部と、その編集結果を前記第1サーマルヘッドと第2サーマルヘッドに印刷させる印刷制御部とを備えた。
【解決手段】QRコード(登録商標)リーダが読み込んだQRコードを記憶する記憶部と、その記憶されるQRコードの切り出しシンボルからリライトカードの姿勢を検索するQRコード位置検索部と、検索されたQRコードの位置に対応して記憶部に記憶されたQRコードのデータを解析するデコード部と、解析したデータと新たに入力される情報に基づいて演算処理し、その演算処理後の新規情報を出力する処理部と、その新規情報をリライトカードの上面と下面にその姿勢に対応する向きに印刷するための編集を行う編集部と、その編集結果を前記第1サーマルヘッドと第2サーマルヘッドに印刷させる印刷制御部とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り返し書き換え(印字・消去)可能なリライタブルカード(以下、リライトカードという。)に対して熱可逆記録方式により印刷するプリンタに関する。
【0002】
近年、文字や数字等の情報を繰り返し書き換え可能なリライトカードが、ポイントカード、定期券、プリペイドカード、レジャーカード、診察券等の用途に広く用いられている。リライトカードに熱可逆性記録層を備えたものを用い、上記情報を熱可逆記録方式により書き換えるプリンタも知られている(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
【0003】
従来のリライトカードは、その表面にカード発行者の名称や役務名等の発行者情報が目視可能に印刷されているとともに、カード利用者(顧客)の氏名、生年月日、家族構成等の書き換えのない又は少ない顧客情報が目視不可能に記録され、裏面には顧客の利用履歴、取引内容又は現状、獲得ポイント等の履歴情報その他の可変情報が目視可能に印刷される。そして、発行者情報や顧客情報等の基本情報の記録には、磁気ストライプ又は全面磁気面に記録する磁気記録方式や接触式又は非接触式ICカードに対するデータ記録方式が採用され、可変情報はカードの裏面に設けられた熱可逆性記録層に加熱により消色及び発色を繰り返し行うことができる熱可逆記録方式が採用されている(例えば、特許文献4〜6参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3567241号公報
【特許文献2】特開2005−186495号公報
【特許文献3】特開2004−322348号公報
【特許文献4】特開2000−94866号公報
【特許文献5】特開2000−251042号公報
【特許文献6】特開2002−103654号公報
【0005】
従って、従来のリライトカードは、少なくとも一面にプリンタの磁気ヘッドと接触する磁気記録層(磁気ストライプ又は全面磁気面)を有するので、その面には熱可逆性記録層を設けることができないため、リライト方式として、先端部に複数個の発熱素子を一列に配置したサーマルヘッドを用いて、個々の発熱素子から印加する熱エネルギーを制御することにより画像を消去し・形成する熱可逆記録方式を適用する場合は、画像の消去又は形成が可能な面がカードの片面に限定されるから、記録可能な情報量に限りがあった。また、磁気記録層の記録容量も少ない。従って、従来のリライトカードには提供可能な情報量に限界があるという問題があった。
【0006】
また、情報を熱可逆記録方式により書き換える従来のプリンタでは、目視可能な可変情報はサーマルヘッドで印刷し、その消去は消去専用のセラミックヒータやヒートローラで行っている。そして、磁気ストライプ又は全面磁気面に対する基本情報の読取・記録のための磁気ヘッドが備えられている。従って、リライトカードの情報読取から書き換えまでの処理に長い搬送路を必要とするので、プリンタの小型化が困難であるという問題があった。
【0007】
本出願人は、上記の問題点に鑑み、特願2011−066176の明細書において、加熱により発色及び消色を繰り返し行うことができる熱可逆性記録媒体を用いるプリンタにおいて、(1)熱可逆性記録媒体に対してできるだけ多量の目視可能な可変情報の書き換えを可能にすること、(2)処理時間の短縮が図れ、装置の小型化を可能にすること、(3)書き換えを無駄な動作が発生しないようスループットの向上を図るプリンタの使用方法を提供すること、の3つを課題として定立し、これらの課題を解決するため、下記の3発明を提案した。
【0008】
先の提案に係る第1発明は、熱エネルギーの印加と冷却で発色及び消色する成分を表裏両面に塗工されたリライトカードに対して熱可逆記録方式により印刷するプリンタであって、リライトカードを搬送路に沿って搬送する搬送手段と、搬送されるリライトカードに対して前記成分の発色及び消色が可能となる熱エネルギーを印加できるサーマルヘッドと、前記搬送手段及びサーマルヘッドのそれぞれに対して搬送制御及び熱エネルギー印加制御を行う制御手段とからなり、前記サーマルヘッドは前記搬送路を搬送されるリライトカードの表と裏に対応するように前記搬送路を挟んで上下に配置され、前記制御手段は演算処理後の新規情報を基に前記サーマルヘッドにより当該リライトカードに書き換えを行うものである。
【0009】
先の提案に係る第2発明は、上記プリンタにおいて、リライトカードの基本情報や顧客情報をQRコードで表記し、取込方向に搬送されるリライトカードの表面に対してQRコードの読取を行う位置及び情報の書き換えを行う位置にそれぞれQRコードを読み取るQRコードリーダと第1サーマルヘッドとを設け、排出方向に搬送されるリライトカードの裏面に対して書き換えを行う位置に第2サーマルヘッドを設け、制御手段は前記QRコードリーダにより読み取った情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報を基に取込み方向に搬送されるリライトカードに対して第1サーマルヘッドにより書き換えを行い、かつ、排出方向に搬送されるリライトカードに対して第2サーマルヘッドにより書き換えを行うものである。
【0010】
そして、先の提案に係る第3発明は、上記プリンタの使用方法であって、リライトカードを取込兼排出口から第2のサーマルヘッドの後方までの間の搬送路を搬送手段により往復搬送する工程、取込方向に搬送されるリライトカードに記録されているQRコードをQRコードリーダにより読み取る工程、取込方向に搬送されるリライトカードの表面に対してQRコード読取により得られた基本情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報を基に第1サーマルヘッドによりQRコードを含む基本情報を印刷する工程、排出方向に搬送されるリライトカードの裏面に対して前記新規情報を基に第2サーマルヘッドにより印刷をする工程、及び前記第1サーマルヘッドにより書き換えられたQRコードを読み取ってベリファイチェックを行う工程を含むことを特徴とするものである。すなわち、カードの取込方向の搬送の際にQRコードの読取と第1サーマルヘッドによるカード表面の書き換えを行い、カードの排出方向の搬送の際に第2サーマルヘッドによるカード裏面の書き換えとQRコードのベリファイチェックを行う。
【0011】
上記の発明特定事項について項を分けて詳細に説明すると、
(ア)先の提案に係る第1発明は、熱エネルギーの印加と冷却で発色及び消色する成分を表裏両面に塗工されたリライトカードを用いる。リライトカードは、支持体の表裏両面に熱エネルギーの印加と冷却で発色及び消色する成分、すなわち、ロイコ染料と顕色剤の混合材料を塗工して熱可逆性記録層を備えたものである。無色のロイコ染料と顕色剤とがそれぞれ分離した状態で消色状態にあり、所定量の熱エネルギーが印加されて第一の特定温度(170〜180℃)になると、分子間の凝集力を高める性質及びロイコ染料を発色させる性質を有する顕色剤とロイコ染料とが溶融してロイコ染料が発色し、この状態で急激に冷却されると両者が混ざり合ったまま発色状態を保つ。また、発色状態で溶融され結晶化された顕色剤とロイコ染料は、両者の融点以下の第二の特定温度(120〜140℃)での加熱により分離され、冷却されることによりそれぞれが結晶化してロイコ染料が元の無色状態に戻る。
リライトカードの支持体は、PVC又はPETであり、その熱膨張率と熱可逆性記録層の熱膨張率は異なる。従って、支持体の片面のみに熱可逆性記録層を設ける場合は、印刷中に加熱により応力が発生してリライトカードがカールする虞があるが、本発明において用いるリライトカードは支持体の両面に熱可逆性記録層が設けられるので、リライトカードのカールが有効に防止される。
【0012】
(イ)先の提案に係る第1発明のプリンタは、リライトカードに対して熱エネルギーを印加して熱可逆性記録層に発色と消色を同時に行わせる、つまり、画像形成手段と画像消去手段を兼ねるサーマルヘッドを用いる。提案に係る第1発明は、一つのサーマルヘッドで画像形成手段と画像消去手段を兼ねる点が、画像形成手段として一つのサーマルヘッドを用い、画像消去手段としてセラミックヒータやヒートローラを用いる従来技術と異なる。
【0013】
先の提案に係る第1発明で用いるサーマルヘッドは、先端部にライン状に配置された多数の微小な発熱素子と、上位装置から与えられる印刷情報を基にそれぞれの発熱素子の発熱制御、すなわち加熱と冷却を制御する制御回路とを有する。サーマルヘッドは、一般的な特性として電圧印加により発熱素子が急加熱し、電圧印加の遮断により発熱素子が急冷する。従って、上記印刷情報に基づいて発熱制御をすることによりリライトカードの熱可逆性記録層に所望の文字、数字等の画像を印刷することができる。
【0014】
(ウ)また、先の提案に係る第1発明のプリンタは、二つのサーマルヘッドをリライトカードの搬送路を挟んで上下に取り付けてある。一つのサーマルヘッドは、リライトカードの一つの面に対する基本情報と可変情報の一方又は双方の書き換えに用いられ、もう一つのサーマルヘッドは、同リライトカードの他の面に対する別の可変情報の書き換えに用いられる。換言すると、提案に係る第1発明は、一つのリライトカードの表裏両面に二つのサーマルヘッドを用いて、画像の印刷・消去を繰り返し行うことを特徴としている。
【0015】
上記各発明の効果は、次の通りである。
先の提案に係る第1発明によれば、サーマルヘッドは搬送路を搬送されるリライトカードの表と裏に対応するように搬送路を挟んで上下に配置され、上位装置から与えられる印刷情報を基に書き換えが必要な場合に前記サーマルヘッドにより当該リライトカードに書き換えを行うので、可及的に多くの目視可能な可変情報の書き換えが可能になる。また、リライトカードの表裏両面に上下のサーマルヘッドにより書き換えを行うので、搬送距離及び処理時間の短縮すなわちスループットの向上が図れ、装置の小型化が可能である。さらに、リライトカードは支持体の両面に熱エネルギーの印加と冷却で発色及び消色する成分を塗工するだけで製作され、磁気記録層を設ける必要がないので、カード製造コストが安価である。
【0016】
先の提案に係る第2発明によれば、取込み方向に搬送されるリライトカードに対してQRコードの読取を行うQRコードリーダと、読取後のリライトカードの表面へのQRコード及び可変情報の書き換えを行う一つのサーマルヘッドとを設け、排出方向に搬送されるリライトカードの裏面に対して可変情報の書き換えを行うもう一つのサーマルヘッドとを設けたので、リライトカードに記録されている基本情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報に基づいて、リライトカードの表面に新たなQRコード(基本情報や顧客情報)及び可変情報を、裏面に新たな可変情報を印刷することができる。
【0017】
先の提案に係る第3発明によれば、カードの取込方向の搬送の際にQRコードの読取とカード表面の書き換えを行い、カードの排出方向の搬送の際にカード裏面の書き換えとQRコードのチェックを行うので、書き換えを無駄な動作が発生しないようスループットの向上を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記先の提案に係るプリンタで用いられるリライトカードは、QRコードをリライトカードの片面(表面)のプリンタへの取込方向前部右側に1個のみ印刷したものであった。そのため、リライトカードを正しい姿勢で、すなわち、QRコードリーダがカード搬送面の上側に設置されている場合は、リライトカードの表面を上向きにし、QRコードがリライトカードの取込方向前部右側に存在する姿勢でプリンタの取込兼排出口に挿入した場合には、QRコードリーダによるQRコード読取が可能であるので、リライトカードに対する演算処理及びリライト領域に対する適正な書き換えが実行されるが、それ以外の姿勢で挿入された場合は、QRコードリーダによるQRコード読取が不可能であるため、リライトカードを取込兼排出口に返却し、リライトカード利用者にリライトカードを正しい姿勢で挿入し直すべき旨の音声又は文字による案内を出す必要があった。
【0019】
例えば、鉄道駅の改札ゲートやコンビニエンス・ストアのレジカウンタなどのリライトカード利用客が多い環境で、上記リライトカードの入れ直しが多発すると、スループットの低下により、長い待ち行列が発生する虞があるので、スループットの改善が求められると予想される。
【0020】
こうして、本発明は、リライトカードの情報をQRコードで表記し、取込方向に搬送されるリライトカードの上面(又は下面。以下、同じ。)に対してQRコードの読取を行う位置及び情報の書き換えを行う位置にそれぞれQRコードリーダと第1サーマルヘッドとを設け、排出方向に搬送されるリライトカードの下面(又は上面。以下、同じ。)に対して情報の書き換えを行う位置に第2サーマルヘッドを設け、QRコードリーダにより読み取った情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報を基に取込方向に搬送されるリライトカードの上面に対して第1サーマルヘッドによりQRコード及び可読情報の書き換えを行い、かつ、排出方向に搬送されるリライトカードの下面に対して第2サーマルヘッドにより他の可読情報の書き換え及びQRコードリーダにより書き換え後のQRコードのベリファイチェックを行う制御手段を備えたプリンタにおいて、リライトカードの取込時の姿勢如何に関わりなく、スループットの向上を図ることができるプリンタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明は、リライトカードの基本情報や顧客情報をQRコードで表記し、取込み方向に搬送されるリライトカードの上面に対してQRコードの読取を行う位置及び情報の書き換えを行う位置にそれぞれQRコードを読み取るQRコードリーダと第1サーマルヘッドとを設け、排出方向に搬送されるリライトカードの下面に対して書き換えを行う位置に第2サーマルヘッドを設け、前記QRコードリーダにより読み取った情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報を基に取込方向に搬送されるリライトカードの上面に対して第1サーマルヘッドにより書き換えを行い、かつ、排出方向に搬送されるリライトカードの下面に対して第2サーマルヘッドにより書き換えを行う制御手段を備えたプリンタにおいて、QRコードリーダが読み込んだQRコードを記憶する記憶部と、その記憶されるQRコードの切り出しシンボル(ファインダパターン)からリライトカードの姿勢(QRコードの位置。位置には向きを含む。以下、同じ。)を検索するQRコード位置検索部と、検索されたQRコードの位置に対応して記憶部に記憶されたQRコードのデータを解析するデコード部と、解析したデータと新たに入力される情報に基づいて演算処理し、その演算処理後の新規情報を出力する処理部と、その新規情報をリライトカードの上面と下面にその姿勢に対応する向きに印刷するための編集を行う編集部と、その編集結果を前記第1サーマルヘッドと第2サーマルヘッドに印刷させる印刷制御部とを備えたことを特徴としている。
【0022】
前記QRコード位置検索部とデコード部と編集部と印刷制御部は、CPU(演算処理装置)により構成される。前記入力部と処理部は、スタンドアローン(独立型)のプリンタの内部に備えられたものである場合と、プリンタに接続された上位装置である場合があり得る。
【0023】
上記プリンタに適用可能なリライトカードには、次の3種類がある。
第1種類のリライトカードは、矩形のカードであって、その矩形の短辺に直交する中心線に関して対称の位置であって、そのカードの一方の面(以下、A面という。)と他方の面(以下、B面という。)の一方の短辺に近い位置に、同短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが1個ずつ、合計2個設けられたものである。
「矩形の短辺に直交する中心線に関して対称の位置であって、A面とB面の一方の短辺に近い位置に同短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが1個ずつ、合計2個設けられたもの」とは、一例として、A面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢と、B面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢のいずれの場合も、短辺に直交する中心線の取込方向右側の長辺に近い上面前部位置にその前部短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが印刷されているリライトカードをいう。
【0024】
第2種類のリライトカードは、矩形のカードであって、そのA面とB面のそれぞれに矩形の短辺と長辺のそれぞれに直交する二つの中心線に関して反転対称の位置にQRコードが1個ずつ、合計4個設けられたものである。
【0025】
「A面とB面のそれぞれに矩形の短辺と長辺のそれぞれに直交する二つの中心線に関して反転対称の位置にQRコードが1個ずつ、合計4個設けられたもの」とは、一例として、A面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢と、B面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢のいずれの場合も、短辺に直交する中心線の取込方向右側の長辺に近い上面前部位置にはその前部短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが印刷され、短辺に直交する中心線の取込方向左側の長辺に近い上面後部位置にはその後部短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが印刷されているリライトカードをいう。
【0026】
そして、第3種類のリライトカードは、A面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢とB面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢のいずれの場合も、カードのA面とB面の中心に、すなわち、短辺に直交する中心線と長辺に直交する中心線との交点の表裏それぞれに前部短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが印刷されているものである。
【0027】
第1種類のリライトカードに適用するのに好ましい実施の形態は、QRコードリーダが取込み方向に搬送されるリライトカードのQRコードの読取を終了した時点にそのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置に到達していない場合は、第1サーマルヘッドによるその印刷領域に対する印刷を行うが、QRコードリーダが取込み方向に搬送されるリライトカードのQRコードの読取を終了した時点にそのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置を通過した場合は、そのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置に合致するまで又は印刷位置よりも手前まで排出方向に搬送し、再度、取込み方向に搬送して、第1サーマルヘッドによる印刷領域に対する印刷を行うことを特徴としている。
すなわち、取り込まれるリライトカードの前部短辺からQRコードの終端までの距離x2がQRコードリーダから第1サーマルヘッドまでの距離y1よりも大きい(x2>y1)場合は、QRコードリーダがQRコードの読取を終了したときにそのリライトカードの取り込みを停止し、そのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置に合致するまで排出方向に搬送し、再度、取込み方向に搬送して、第1サーマルヘッドによる印刷領域に対する印刷を行う。
【0028】
第1種類のリライトカードに適用する他の実施の形態は、QRコードリーダから第1サーマルヘッドまでの距離y2をリライトカードの他方の短辺からQRコードの終端までの距離x2よりも若干大きく(x2<y2)するとともに、第2サーマルヘッドを第1サーマルヘッドの若干後方に設置したことを特徴としている。
【0029】
そして、上記第3種類のリライトカードに適用するのに好ましい実施の形態は、そのリライトカードの一方の短辺からQRコードまでの距離をx3、QRコードリーダから第1サーマルヘッドまでの距離をy3とすると、y3をx3<y3の関係式が成立するように設定してあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
[本発明によるプリンタに第1種類のリライトカードを用いる場合]
第1種類のリライトカードを、(1)そのA面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、又は、(2)そのB面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むときのいずれの場合も、QRコードリーダが読取って記憶部に記憶されるQRコードの前部短辺方向の位置出しシンボルに基づいてQRコード位置検索部がそのQRコードの位置を検索し、リライトカードの取込姿勢が正姿勢であると判定するので、デコード部によりQRコードの中のデータがそのまま解読され、処理部ではその解読されたデータと新たに入力された情報に基づいて演算処理し、その処理結果である新規情報は編集部によりリライトカードのA面の第1印刷領域及びB面の第2印刷領域に対して、リライトカードの取込時姿勢に対応した印刷情報に編集される。そして、取込まれるリライトカードのA面の第1印刷領域に対しては第1サーマルヘッドにより編集後内容であるQRコード及び基本情報が、リライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷され、また、排出方向に搬送されるリライトカードのB面の第2印刷領域に対しては第2サーマルヘッドにより編集後内容である可読情報がリライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷される。さらに、QRコードリーダによりQRコードのベリファイチェックが行われる。
【0031】
つまり、第1種類のリライトカードを用いる場合は、リライトカードの取込時姿勢が前部短辺を取込方向に向けた姿勢である限り、A面、B面のいずれが上向きであるかに関係なく、QRコードが正順で読取られ、所定位置にQRコードが印刷され、かつ、所定の印刷領域に可読情報が印刷される。
【0032】
[本発明によるプリンタに第2種類のリライトカードを用いる場合]
第2種類のリライトカードを、(1)A面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、(2)B面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、(3)A面を上向きにして後部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、(4)B面を上向きにして後部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、のいずれの場合も、QRコードリーダが読取って記憶部に記憶されるQRコードの前部短辺方向の位置出しシンボルに基づいてQRコード位置検索部がそのQRコードの位置を検索し、リライトカードの取込姿勢が正姿勢であると判定するので、デコード部によりQRコードの中のデータがそのまま解読され、処理部では、その解読されたデータと新たに入力された情報に基づいて演算処理し、その処理結果である新規情報は編集部によりそのリライトカードのA面の第1印刷領域及びB面の第2印刷領域に対して、リライトカードの取込時姿勢に対応した印刷情報に編集される。そして、印刷制御部により、取込まれるリライトカードのA面の第1印刷領域に対しては第1サーマルヘッドにより編集後内容であるQRコード及び基本情報がリライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷され、また、排出方向に搬送されるリライトカードのB面の第2印刷領域に対しては第2サーマルヘッドにより編集後内容である可読情報がリライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷される。さらに、QRコードリーダによりQRコードのベリファイチェックが行われる。
【0033】
つまり、第2種類のリライトカードを用いる場合は、リライトカードの取込時の姿勢がA面、B面のいずれが上向きであるか、また、前後いずれの向きであるかに関係なく、QRコードが正順で読取られ、所定位置にQRコードが印刷され、かつ、所定の第1印刷領域及び第2印刷領域に可読情報が印刷される。
【0034】
[本発明によるプリンタに第3種類のリライトカードを用いる場合]
第3種類のリライトカードを、(1)A面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、(2)B面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、のいずれの場合も、QRコードリーダが読取って記憶部に記憶されるQRコードの前部短辺方向の位置出しシンボルに基づいてQRコード位置検索部がそのQRコードの位置を検索し、リライトカードの取込姿勢が正姿勢であると判定するので、その判定結果に基づき、デコード部によりQRコードの中のデータがそのまま解読され、処理部ではその解読されたデータと新たに入力された情報に基づいて演算処理し、その処理結果である新規情報は編集部によりそのリライトカードのA面の第1印刷領域及びB面の第2印刷領域に対して、リライトカードの取込時姿勢に対応した印刷情報に編集される。そして、取込まれるリライトカードの表面の第1印刷領域には第1サーマルヘッドにより編集後内容であるQRコード及び基本情報がリライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷され、また、排出方向に搬送されるリライトカードの裏面の第2印刷領域には第2サーマルヘッドにより編集後内容である可読情報がリライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷される。さらに、QRコードリーダによりQRコードのチェックが行われる。
【0035】
よって、本発明によれば、リライトカードの取込時の姿勢如何に関わりなく、スループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るプリンタの構成を概括的に示すブロック図である。
【図2】本発明の機能実現手段を示すブロック図である。
【図3】図1のプリンタの筐体を取り除いて具体的構成を示す斜視図である。
【図4】図3のプリンタの正面図である。
【図5】同じく平面図である。
【図6】同じく右側面図である。
【図7】図3のプリンタの上フレームを開けた状態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は左側面図である。
【図8】主として搬送手段の構成、カードセンサ、QRコードリーダ及びサーマルヘッドの配置位置を示す側面図である。
【図9】モード切替機構の全体構成を説明する平面図である。
【図10】下フレームに取付けられている部材を示す斜視図であり、(a)は左側手前から見た斜視図、(b)は(a)の反対側から見た斜視図である。
【図11】図10の下フレームを除去した状態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図12】上フレームの底面図である。
【図13】図12の矢印V1方向から見た斜視図である。
【図14】第1昇降手段、第2昇降手段、第3昇降手段及びモード切替機構を抽出して示す平面図である。
【図15】図14の矢印V2方向から見た斜視図である。
【図16】全ての昇降手段の全体構成及び動作を説明する側面図である。
【図17】第1昇降手段の構成及び動作を説明する側面図である。
【図18】第2昇降手段と第3昇降手段の構成及び動作を説明する側面図である。
【図19A】モード切替の動作遷移の中のHPモードにおけるカムの角度及び各要素の位置関係を示す図である。
【図19B】モード切替の動作遷移の中の上面リライトモードにおけるカムの角度及び各要素の位置関係を示す図である。
【図19C】モード切替の動作遷移の中の下面リライトモードにおけるカムの角度及び各要素の位置関係を示す図である。
【図20】プリンタのイニシャル動作のフローチャートである。
【図21】図20のフローチャート中の排紙動作の詳細を示すフローチャートである。
【図22】図20のフローチャート中のHP移行動作の詳細を示すフローチャートである。
【図23】プリンタへのカード挿入から抜取りまでの間の一連動作のフローチャートである。
【図24】図23のフローチャート中の給紙動作の詳細を示すフローチャートである。
【図25】図24のフローチャート中のQRコード読取動作の詳細を示すフローチャートである。
【図26】図23のフローチャート中の上面リライト移行動作の詳細を示すフローチャートである。
【図27】図23のフローチャート中の上面リライト動作の詳細を示すフローチャートである。
【図28】図23のフローチャート中の下面リライト移行動作の詳細を示すフローチャートである。
【図29】図23のフローチャート中の下面リライト動作の詳細を示すフローチャートである。
【図30】図23のフローチャート中のQRベリファイチェック動作の詳細を示すフローチャートである。
【図31】実施の形態の一例における一連動作のタイムチャートである。
【図32】QRコードの一例を示す平面図である。
【図33】QRコードの構成を示す解説図である。
【図34】第1種類のリライトカードの表裏反転、前後反転した場合のQRコードの位置を示す展開図である。
【図35】本発明の一の実施形態として、第1種類のリライトカードを用いる場合のカード搬送路におけるリライトカードの位置と、その位置に存するリライトカードに対する処理工程図である。
【図36】第2種類のリライトカードの表裏反転、前後反転した場合のQRコードの位置を示す展開図である。
【図37】本発明の他の実施形態として、第2種類のリライトカードを用いる場合のカード搬送路におけるリライトカードの位置と、その位置に存するリライトカードに対する処理工程図である。
【図38】第3種類のリライトカードの表裏反転、前後反転した場合のQRコードの位置を示す展開図である。
【図39】本発明のさらに他の実施形態として、第3種類のリライトカードを用いる場合のカード搬送路におけるリライトカードの位置と、その位置に存するリライトカードに対する処理工程図である。
【図40】リライトカードの取込姿勢が正姿勢、逆姿勢のいずれである場合にも対処できるための構成を検討する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
本発明に係るプリンタAは、図1に示すように、外装及び内部保護を行う筐体Hの中に、図3〜図8に示すように、取付基部となる上下のフレーム1、2が設けられている。フレーム1、2は、その後部に貫通された軸11により、上フレーム2をその軸11周りに回転して前部を開閉可能に結合されている。そして、上フレーム2を閉じた時は、下フレーム1の前部に設けた軸12の両端部に回転可能に取付けたフック13を上フレーム2の両側に突設したピン13に係合して閉状態に維持することができる。閉状態のフレーム1、2の前端面の間に横長の開口が形成される。この開口は筐体Hの前面に設けてある取込兼排出口3に連通している。
【0038】
上記フレーム1、2には、挿入されるリライトカード(以下、単にカードという。)Cを所定の搬送路に沿って所定の位置まで往復搬送する搬送手段100と、挿入されたカードの有無及び搬送されるカードが所定の位置に到達したことを検知する検知手段200a、200b、200cと、搬送されるカードに記録されているQRコードを読み取るQRコードリーダ300と、搬送路を挟んで配置され、搬送されるカードCに対して熱可逆記録方式により書き換えを行う二つのサーマルヘッド400a、400bと、検知手段200a〜200c、QRコードリーダ300及び上位装置(図示省略)からの信号又は印刷情報に基づいて搬送手段100に対する搬送制御及びサーマルヘッド400a、400bに対する発熱制御(熱可逆記録制御)を行う制御装置500とが、最小限の構成要素として設けられている。
【0039】
好ましい実施の形態においては、上記構成要素に加えて、二つのサーマルヘッドによる印刷品質を向上させるための昇降手段600(図1には示されていない。)とモード切替機構700とを備えている。モード切替機構700を備えた場合は、制御装置500は、このモード切替機構700に対するモード切替制御をも行う。図1において、M1は搬送手段100の構成要素の一つである搬送駆動モータであり、M2はモード切替機構700の構成要素の一つであるモードモータである。
以下に、各構成要素について順次詳細に説明する。
【0040】
[搬送手段]
カードの搬送については、筐体Hの正面に設けられた取込口から挿入されたカードを一方向に搬送し、その間に画像形成処理を行い、筐体Hの背面に設けられた排出口から抜取る1パス方式も可能であるが、本実施例は、プリンタAの正面側でのカードの取込及び排出を可能にするため、筐体Hの正面に設けられた取込兼排出口3から取込んだカードを往復搬送し、その間に画像形成処理を行った後、取込兼排出口3から排出する往復搬送方式を採っている。
【0041】
下フレーム1の上部には、左右の側板1a、1bの間において、取込兼排出口3から取込方向に所定間隔をもってフィードローラ101f1〜101f3が備えられ、上フレーム2の下部にはフィードローラ101f1〜101f3のそれぞれに対向してピンチローラ101p1〜101p3が備えられている。それぞれ対向するフィードローラ101f1〜101f3とピンチローラ101p1〜101p3とで搬送ローラ101R1〜101R3が構成されている。
【0042】
フィードローラ101f1〜101f3の各軸が下フレーム1の一方の側板、例えば右側の側板1aの外側まで延伸された部分にシンクロプーリ102p1〜102p3が固着され、これらのシンクロプーリ102p1〜102p3にタイミングベルト103が張設されている。
【0043】
図8の104aは、後述される第1サーマルヘッド400aに対応して下フレーム1の左右の側板1a、1bの間において搬送面の下側に設けられた第1プラテンローラであり、その第1プラテンローラ104aの軸の右側側板1aの外側まで延伸された部分にもシンクロプーリ102p4が固着され、そのシンクロプーリ102p4にも前記タイミングベルト103が架け回されている。
【0044】
搬送手段の重要な構成要素である搬送モータM1の回転駆動力を搬送ローラ101R1〜101R3に与えるため、減速手段と伝動手段を兼ねるギヤ列106a〜106eが下フレーム1の左右両側の側板1a、1bのいずれか一方に設けられ、そのギヤ列の最終段のギヤ106fが第1プラテンローラ104aの軸上に固着されたギヤ105aに噛合されている。
【0045】
図8の104bは、後述される第2サーマルヘッド400bに対応して上フレーム2の左右の側板2a、2bの間において搬送面の上側に設けられた第2プラテンローラであり、その第2プラテンローラ104bの軸のギヤ列106a〜106eと同一側の側板2a又は2bの外側まで延伸された部分にギヤ105bが固着され、そのギヤ105bはギヤ105aに噛合されている。
【0046】
こうして、搬送モータM1の正転駆動又は逆転駆動により、搬送ローラ101R1〜101R3を介して取込兼排出口3から挿入されるカードCを取込方向又は排出方向に搬送することができるようになっている。
【0047】
[検知手段]
検知手段には、取込兼排出口3内にカードが存在するか否かを検知する検知手段200a(以下、第1カードセンサという。)と、搬送路の後端部付近にカードが存在するか否かを検知する検知手段200b(以下、第2カードセンサという。)と、取込方向に搬送されるカードの先端がそのカードに対して第1サーマルヘッド400aによる印刷(熱可逆式記録)を開始するための所定の基準位置に到達したか否かを検知する検知手段200c(以下、レジストセンサという。)とがある。これらの検知手段には、反射式又は透過式の光電センサを用いることができる。
【0048】
[QRコードリーダ]
本発明において用いられるカードには、カード発行者及び/又はカード利用者の基本情報と可変情報とが後述されるサーマルヘッドにより書き換え可能に記録される。カード発行者は、例えば、ポイントカードの場合の店舗、クレジットカードの場合の金融機関、定期券の場合の交通機関、診察券の場合の医療機関等であり、その基本情報は、例えば、カード発行者の名称、営業PR、サービス内容、担当者氏名等のIDであり、可変情報は、例えば、イベントやキャンペーン等の案内情報、ニュースなどである。また、カード利用者は、例えば、顧客、取引者、患者等であり、その基本情報はカード利用者の住所、氏名、生年月日、年齢、性別、係員や主治医等の氏名等のIDであり、可変情報は、顧客の利用金額や取引金額などの利用履歴又は取引履歴、あるいは病歴や検査結果等のカード使用の都度に変化する情報である。
【0049】
基本情報は、従来は、カードの磁気記録面に磁気ヘッドにより記録されてきたが、本発明においては、基本情報も可変情報もカードの熱可逆記録面にサーマルヘッドにより記録される。本発明においては、表裏両面に熱可逆記録面を有するカードが用いられる。従って、カードの表面には基本情報のみを、裏面には可変情報のみを記録しても良いし、表面と裏面の一方又は双方に基本情報と可変情報を記録しても良い。
【0050】
基本情報及び可変情報には、人は読めないがリーダにより読取可能に記録される情報(以下、これを非可読情報といい、人に読めるように記録される情報を可読情報という。)がある。本発明によるプリンタは熱可逆記録方式で記録するので、このような非可読情報をQRコードで記録する。QRコードは、バーコードに比し小面積に多量の情報の記録が可能であるので、可読情報の記録面積を広く確保できる点で好ましい。そして、本発明は、可読情報の印刷に用いるサーマルヘッドで非可読情報をもQRコードで記録するように構成してあり、そのQRコードを読取るために、QRコードリーダ300を備えている。QRコードリーダ300はライン状に配置されたCCDからなる公知のものであり、微細なQRコードの読取が可能である。
【0051】
QRコードリーダ300は、図9、12、13にも示されているように、第1搬送ローラ101R1のピンチローラ101p1と第2搬送ローラ101R2のピンチローラ101p2の間にこれらのピンチローラとともに昇降可能に取付けられている。すなわち、上フレーム2の両側板2a、2bの間でその両側板2a、2bの付近に存在する支持部材301に、QRコードリーダ300をカード搬送方向と直角な方向に貫通する2本の支持棒302を固着し、両側板2a、2bの下部(図2においては上部)に懸架されたリーダムシャフト303の両側に一端を回転可能に取付けた腕部材304の他端を支持部材301の長手方向中間部において回転可能に軸支してある。
【0052】
第1搬送ローラ101R1のピンチローラ101p1と第2搬送ローラ101R2のピンチローラ101p2は、両側の支持部材301の前後両端部同士の間に保持されている支軸305に回転自在に支持されている。腕部材304と、これに支持されている支持部材301と、支持棒302を介して支持されているQRコードリーダ300と、前後のピンチローラ101p1〜101p3との組合せで、昇降可能な搬送ローラアセンブリRAが構成されている。昇降可能な構成とされているのは、後述される第1昇降手段610と関連している。
【0053】
[熱可逆性記録手段]
本発明では、熱可逆性記録手段として、下記の構造及び特性を有するサーマルヘッド400a、400bを用い、その2個のサーマルヘッドを搬送路の上側と下側にその搬送路を挟んで配置してある。サーマルヘッド400a、400bは、いずれも先端に1インチ当たり200〜300ドットの密度で一列に並べて配置された微小発熱素子群と、上位装置から与えられる印刷情報を元に各発熱素子に所定の熱エネルギーを発生させる制御回路とを有するものである。発熱素子には発熱温度で抵抗値が変化する抵抗体であるサーミスタが使用されている。印刷時は、サーマルヘッドの先端部にカードを接触させて、ヘッドの発熱素子の密度が200dpiであれば、カードを1/200インチのピッチで移動(搬送)させることにより印刷が行われる。
【0054】
サーマルヘッド400a、400bは、その特性として、電流を印加すると発熱素子が急加熱し、電流印加を遮断することで発熱素子が急冷却する。また、第一の特定温度(170〜180℃)で発色し、第一の特定温度よりも低い第二の特定温度(120〜140℃)で消色する。従って、各発熱素子を印刷情報に基づいて発熱制御することでサーマルヘッド400a、400bの先端に当接して搬送(副走査)されるカードの熱可逆記録面に所望の文字、数字又はQRコードを含む画像を印刷(発色)することができる。
【0055】
上記サーマルヘッド400a、400bは、それぞれ上記特許文献1に記載の印刷制御装置の一構成要素として用いることができる。その印刷制御装置は、上記サーマルヘッドと、その各発熱素子に流れる電流回路について、発熱駆動時と温度検知時に切り替える制御回路と、温度検知時に流れる電流から各発熱素子の温度値を電圧値に変換し検知する回路と、同電圧をデジタル変換するアナログ/デジタル変換回路と、そのデジタル値を加熱開始時から積算する積算器と、同積算器の積算値と予め設定された上位装置から送られてきた該当部分の印刷濃度設定値とを大小比較する比較器と、その比較器で目標濃度に達したことを検出したならば、発熱素子の発熱駆動を停止する回路とから構成されている。
【0056】
カード表面のライン毎に与える熱エネルギー積算値を逐次その表面温度を検知しつつ行うので、熱可逆性記録層に対してきわめて高精度の発色温度管理が可能である。従って、上位装置から送る印刷情報(印刷濃度設定値)に階調度を指定する階調指定信号を付加することにより、サーマルヘッド400a、400bの一方又は双方によって所望の階調度の画像の多段階濃度印刷が可能となり、写真画質と変わらない印刷を高速で行うことができる。
【0057】
熱可逆性記録層には、モノクロ発色熱可逆性記録層、2色発色熱可逆性記録層、あるいはカラー発色熱可逆性記録層などが使用可能である。これらの感熱記録装置の各色の発生特性は、印刷時の発色濃度がサーマルヘッド上の発熱素子で印加される発熱エネルギーによって決定されることである。そして、印刷制御においては、カード上の発熱素子の温度測定を行い、その値を時々刻々積算し、その積算値が目標設定値になるまで加熱していき、積算値が目標設定値になったとき、加熱駆動を停止させる。
【0058】
[第1サーマルヘッド]
第1サーマルヘッド400a(以下、Pヘッドという場合がある。)は、図8、図16に示すように、レジストセンサ200cのカード取込方向直後においてカード搬送面の上側に、その搬送面の下側に設けられた第1プラテンローラ104aに対向させて設置されている。そして、第1サーマルヘッド400aは、搬送されるカードに対して確実に熱可逆反応を起こさせるため、昇降可能に取付けられ、かつ、常に第1プラテンローラ104a方向に付勢されている。
【0059】
そのための取付構造の一例を説明すると、上フレーム2の両側の側板2a、2bに一端が軸支されたヘッドアーム401の他端を第1サーマルヘッド400aの両側に回転可能に結合し、その第1サーマルヘッド400aを側板2a、2bに設けられたガイド部材402に昇降可能に保持するとともに、付勢部材により常に下方に付勢させて、第1サーマルヘッド400aの発熱面が第1プラテンローラ104aに圧接されるようにしてある。付勢部材は、例えば、コイルバネ403aであり、その上端部が第1サーマルヘッド400aに結合されているとともに、その下端部が上フレーム2に突設された軸404aに固定してある。
【0060】
[第2サーマルヘッド]
第2サーマルヘッドPヘッド(以下、Sヘッドという場合がある。)は、図9、図16に示すように、第1サーマルヘッド400aからカード取込方向にわずかに離れた位置において、カード搬送面よりも下側に、その搬送面の上側に設けられた第2プラテンローラ104bに対向させて設置されている。そして、搬送されるカードに対して確実に熱可逆反応を起こさせるため、第1サーマルヘッド400aの場合と同様に、コイルバネ403a、軸404aにより昇降可能に取付けられ、かつ、常に第2プラテンローラ104b方向に付勢されていて、第2サーマルヘッドの発熱面が第2プラテンローラ104bに当接することができる。
【0061】
[昇降手段とモード切替機構]
搬送ローラのピンチローラ101p1〜101p3が常にフィードローラ101f1〜101f3に圧接していると、カードがその搬送ローラ101のニップ部に進入するときに衝撃を受けるため、カードの搬送精度に影響を与える。QRコードリーダ300が常に読取位置に存在している場合も、同様に搬送精度に影響を与える。さらに、二つのサーマルヘッド400a、400bが常にプラテンローラ104a、104bに圧接されていると、カードがそのサーマルヘッドとプラテンローラの間に進入するときに衝撃を受けるため、カードの搬送精度に影響を与える。このような搬送精度の変化は、サーマルヘッド400a、400bによる印刷品質及びQRコードリーダ300による読取精度を低下させる原因となるので、好ましくない。
【0062】
本発明の好ましい実施の形態は、基本情報又は可変情報の中に写真と同程度の高解像度画像の印刷を可能にすることを目的として、搬送手段の搬送精度及び二つのサーマルヘッドによる印刷精度を高めるため、次述される昇降手段600とモード切替機構700を備えている。
【0063】
[昇降手段]
昇降手段には、ピンチローラ101p1〜101p3及びQRコードリーダ300を所定のタイミングで昇降させる第1昇降手段610と、第1サーマルヘッド400aを所定のタイミングで昇降させる第2昇降手段620と、第2サーマルヘッドPヘッドを所定のタイミングで昇降させる第3昇降手段630とがある。
【0064】
第1昇降手段610は、図14〜図17に示すように、後述されるコントロールシャフト701に固着されたリーダドライブカム611と、L字形をなし、その屈曲部において下フレーム1に支軸612aにより揺動自在に取付けられ、下端にカムフォロワ613を、上端に押圧片614をそれぞれ有するリーダドライブアーム615と、カード搬送方向のほぼ中間点において支軸612bにより下フレーム1に揺動自在に支持され、カード取込方向後端部にリーダドライブアーム611の押圧片614の下側に設けられた被押圧片616を有するリーダム617と、そのリーダム617の先端に設けられたリーダリトラクトアーム618とからなっている。
【0065】
下フレーム1の側板1a、1bには、リーダム617の前端部付近において縦孔又は縦溝619が形成され、その縦溝に両側板間を連続する支持棒6110が昇降自在に嵌合されている。その支持棒6110の両側板内側付近に、カード搬送方向に長い天秤状に形成されている前記リーダリトラクトアーム618が、その中間部において固着されている。そして、リーダリトラクトアーム618の上部から両側板1a、1b方向に延びるガイド軸6111が縦溝619に昇降自在に嵌合されて、リーダリトラクトアーム618を常時水平状態に維持させている。そして、リーダリトラクトアーム618の両端の上側に、図16に示すように、搬送ローラアセンブリRAの第1ピンチローラ101p1と第2ピンチローラ101p2の支軸が支えられている。
なお、図17の6112は、リーダム617が第2搬送ローラ101R2のフィードローラ101f2により揺動を妨げられないように設けた楕円孔である。
【0066】
第2昇降手段620は、図9、図15、図18(a)に示すように、後述されるコントロールシャフト701に固着されたPヘッドリトラクトカム621と、フレーム1に屈曲部において支軸622により揺動自在に取付けられ、下端にカムフォロワ623を、上端に押圧片624を有するL字形のPヘッドリトラクトアーム625とからなっている。Pヘッドリトラクトアーム625の押圧片624は、第1サーマルヘッド400aの下面に当接されている。
【0067】
第3昇降手段630は、図9、図15、図18(b)に示すように、後述されるコントロールシャフト701に固着されたSヘッドリトラクトカム631と、フレーム1に屈曲部において支軸632により揺動自在に取付けられ、上端にカムフォロワ633を、下端に押圧片634を有するL字形のSヘッドリトラクトアーム635とからなっている。Sヘッドリトラクトアーム635の押圧片634は、第2サーマルヘッド104bの下部の上面に当接されている。
【0068】
[モード切替機構]
本発明の好ましい実施の形態おいては、上記のように、搬送ローラのピンチローラ101p1〜101p3及びQRコードリーダ300を昇降可能に支持し、かつ、サーマルヘッド400a、400bを昇降可能に取り付け、コントロールシャフト701を所定方向に所定角度回転することでその昇降を所定タイミングで制御することにより、搬送精度の低下を未然に防止している。そして、これらのピンチローラ101p1〜101p3及びQRコードリーダ300の昇降パターン並びにサーマルヘッド400a、400bの昇降パターンを切り替えるためにモード切替機構700が設けられている。
【0069】
モード切替機構700は、上記各昇降手段610、620、630をホームポジション(HP)に維持するHPモードと、上記各昇降手段をカードの上面(表面)にリライトする際の位置に移動する上面リライトモードと、上記各昇降手段をカードの下面(裏面)にリライトする際の位置に移動する下面リライトモードとの3つのモードのいずれかに設定するものである。
【0070】
続いて、図9、図16、図19A〜図19Cを基にモード切替機構の構成と動作について説明する。
モード切替機構700は、下フレーム1に取付けられたモードモータM2を有する。このモードモータM2には、回転方向が一方向(CW)のパルスモーターを用いている。モードモータM2の回転軸上にはギヤG1が固着されている。下フレーム1の両側板1a、1bに回転可能に懸架されたモード切替用のコントロールシャフト701上にもギヤG6が固着されている。そして、モードモータM2のケースに伝動手段と減速手段を兼ねるギヤ列G2〜G5が設けられ、その始端のギヤG2は、モードモータM2のギヤG1に噛合され、終端のギヤG5はコントロールシャフト701上のギヤG6に噛合されていて、モードモータM2の回転によりコントロールシャフト701が一定方向に回転されるようになっている。
【0071】
コントロールシャフト701上には、図9に示すように、その左右両側に、上記各昇降手段610、620、630を介してQRコードリーダ300とピンチローラ101p1〜101p3、Pヘッド400a及びSヘッド400bの位置をそれぞれHPモード、上面リライトモード、下面リライトモードの3つのモードに切り替えるためのカム、すなわち、第1昇降手段610のモード切替機構を構成する上記リーダドライブカム611、第2昇降手段620のモード切替機構を構成する上記Pヘッドリトラクトカム621、第3昇降手段630のモード切替機構を構成するSヘッドリトラクトカム631が固着されている。
【0072】
モード切替機構700は、現在、上記駆動要素がHPモード、上面リライトモード、下面リライトモードの3つのモードのいずれにあるかを検知し、制御信号を受けた場合に所定のモードに移行させるためのモード検出手段を有している。モード検出手段は、コントロールシャフト701の回転角度、従って、リーダドライブカム611、Pヘッドリトラクトカム621、Sヘッドリトラクトカム631のそれぞれの回転角度が所定の角度にあるか否かを検知するものであり、コントロールシャフト701に固着された第1スリットディスク702aと第2スリットディスク702bの2個のスリットディスクと、これらの2個のスリットディスクのスリットをそれぞれ検知する第1モードセンサ703aと第2モードセンサ703bの2個のモードセンサとからなっている。スリットディスクは、いずれも2個のスリットを中心間角度が120度となるように有しており、2個のスリットディスク702a、702bと2個のモードセンサ703a、703bは、コントロールシャフト701が120度回転されるたびに2個のモードセンサの一方のみON又は双方がONされるように2個のスリットディスクが各スリットの位置を回転方向に所定角度ずらして取付けられている。モードセンサには、一例として、スリットを検知した時、モードセンサがONする光電センサが用いられている。
【0073】
各モードにおける駆動要素とモードセンサの状態は、次の通りである。すなわち、コントロールシャフト701の角度がHPに存在する時、換言すると、HPモードにおいては、図18A(b)に示すように、第1スリットディスク702aの第2のスリットs2が第1モードセンサ703aをONさせ、第2スリットディスク702bは第2モードセンサ703bをOFFさせる。
【0074】
HPモードにおいては、図19A(a)に示すように、リーダドライブカム611の回転角度はリーダドライブアーム615、リーダム617及びリーダリトラクトアーム618を介して搬送ローラアセンブリRAを閉じる状態、すなわち、搬送ローラ101R1、101R2のピンチローラ101P1、101P2がフィードローラ101f1、101f2に押圧されてカード搬送可能な状態にあり、Pヘッドリトラクトカム621の回転角度はPヘッドリトラクトアーム622を介してPヘッド400aを退避位置、すなわち、上昇させた位置にあり、Sヘッドリトラクトカム631の回転角度はSヘッドリトラクトアーム632を介してSヘッド400bを退避位置、すなわち、下降させた位置にある。
【0075】
モードモータM2が所定方向に所定角度回転して、コントロールシャフト701が所定方向(図面上は時計方向)に120度回転されると、図19B(b)に示すように、第1スリットディスク702aは第1モードセンサ703aをOFFさせ、第2スリットディスク702bは第1のスリットs1が第2モードセンサ703bをONさせたとき、モードモータM2が回転を停止し、上面リライトモードとなる。この上面リライトモードにおいては、図19B(a)に示すように、リーダドライブカム611の回転角度はリーダドライブアーム615、リーダム617及びリーダリトラクトアーム618を介して搬送ローラアセンブリRAを開ける状態、すなわち、搬送ローラのピンチローラ101p1、101p2がフィードローラ101f1、101f2から上方に離間され、QRコードリーダ300がカード搬送面から上方に離間された状態となり、Pヘッドリトラクトカム621の回転角度はPヘッドリトラクトアーム625を介してPヘッド400aを下降させて第1プラテンローラ104aに圧接させ、Sヘッドリトラクトカム631の回転角度はSヘッドリトラクトアーム635を介してSヘッド400bを退避位置、すなわち、第2プラテンローラ104bから下方に離間させた位置に維持する。
【0076】
そして、再び、モードモータM2が所定方向に所定角度回転して、コントロールシャフト701が所定方向にさらに120度回転されると、図19C(b)に示すように、第1スリットディスク702aは第1のスリットが第1モードセンサ703aをONさせ、第2スリットディスク702bは第2のスリットが第2モードセンサ703bをONさせたとき、モードモータM2が回転を停止し、下面リライトモードになる。この下面リライトモードにおいては、図19C(a)に示すように、リーダドライブカム611の回転角度は搬送ローラアセンブリRAを開ける状態、すなわち、搬送ローラの101p1、101p2がフィードローラ101f1、101f2から離間された状態を維持し、Pヘッドリトラクトカム621の回転角度はPヘッド400aを退避位置、すなわち、第1プラテンローラ104aから離間させた位置に上昇させ、Sヘッドリトラクトカム631の回転角度はSヘッドリトラクトアーム635を介してSヘッド400bを第2プラテンローラ104bに圧接する位置に下降させる。
【0077】
[制御手段]
制御装置500は、上記検知手段200a〜200c、モードセンサ703a、703bからの検知信号や上位装置からの印刷情報に基づいて上記搬送手段の搬送モータM1の駆動制御、QRコードリーダ300の読取制御、二つのサーマルヘッド400a、400bの印刷制御、モード切替機構700のモードモータM2の駆動制御を行うものであり、入出力インターフェース及び記憶部に接続された中央処理部(CPU)により構成される。
【0078】
このプリンタAが独立型で使用される場合は、図示されていないが、上記筐体Hの上面には、カードから読み取ったQRコードに基づいて可読情報に変換された内容を表示する表示部、取引内容を入力するための置数キーその他の入力部が設けられ、このプリンタAが上位装置、例えばPOSシステムなどのコンピュータに接続して使用される場合は、筐体Hの上面には何も設けられない。
【0079】
進んで、プリンタAの上記構成による作用を図20以下の図面を参照しながら説明する。
[初期化動作]
プリンタAを使用するため電源を投入すると、予め設定されている複数のプログラムが順次実行され、最初に、図20に示すようにイニシャル動作が開始される。すなわち、ステップ(以下、Sという。)11において現在のモードがHPモードに指定されているか否かを調べ、HPモードに指定されている場合は、第1カードセンサ200a、第2カードセンサ200b、レジストセンサ200c及びQRコードリーダ300の検知信号からカードを検知しているか否かを調べる(S12)。カードありの場合は、S13において、図21に基づいて後述される排紙動作のルーチンに移行し、その排紙動作のルーチンを実行した後はモードモータM2を時計方向(CW)に回転させ(S14)、第1モードセンサ703aがOFFからONに切り替わった時(S15においてY)からモードモータM2をさらに極少の所定ステップ(例えば18ステップ)だけ時計方向(CW)に回転させて(S16)、イニシャル動作を終了する。
【0080】
S11において現在のモードがHPモード以外に指定されている場合は、S17において、図22に基づいて後述されるHP移行動作のルーチンに移行し、そのHP移行動作のルーチンを実行した後は、搬送モータM1を隣接する検知手段間距離(例えば第1カードセンサ200aとレジストセンサ200cの間の距離など)のうち最大距離よりも僅かに大きい距離を搬送できる数のステップだけ反時計方向(CCW)に回転させ(S18)、その回転後、第1カードセンサ200aのみがカードを検知しているか否かを調べる(S19)。その結果、第1カードセンサ200aのみにカードがある時はイニシャル動作を終了する。しかし、そうでない時はジャムと判定して、警報を発する。S12においてカードが検知されないときは、S18に移行する。
【0081】
[排紙動作]
排紙動作のルーチンにおいては、まずS21において、現在、HPモードか否かを確認し、HPモードでないときは、S22において後述されるHP移行動作のルーチンに移行し、HPモードであるときは、第2カードセンサのみがONであるか否かを調べる(S23)。第2カードセンサのみがONであるとき、すなわち、カードが搬送路の最奥に存在するときは、搬送モータM1を第1カードセンサ200aがONされるまで、反時計方向に回転させる(S24、S25)。第1カードセンサ200aがONされたときは、搬送モータM1をさらに所定ステップ、すなわち、カードの先端が取込兼排出口に突出されるまで回転させて(S26)、第1カードセンサ200aのみがONされたか否かを調べる(S27)。第1カードセンサ200aのみがONとなったときは排紙動作を終了する。しかし、第1カードセンサ200aのみがONの状態にならない場合は、搬送エラーなどのエラー表示がされる。
【0082】
また、S23において、第2カードセンサ200bのみがONでないときは、レジストセンサ200cと第2カードセンサ200bがともにONであるか否かを調べ(S28)、肯定のときはS24に移行するが、否定のときは、レジストセンサ200cと第1カードセンサ200aがともにONであるか否かを調べ(S29)、肯定であるときは、搬送モータM1をレジストセンサ200cがOFFするまで反時計方向に回転させる(S210、S211)。そして、レジストセンサ200cがOFFした後は、搬送モータM1をカードの先端が取込兼排出口3に突出されるまでさらに所定ステップ(例えば1800ステップ)、反時計方向に回転させて停止する(S212)。S29において、レジストセンサ200cと第1カードセンサ200aがともにONでないときは、第1カードセンサ200aのみがONか否かを調べ(S213)、肯定のときはS212に移行するが、否定のときはエラー表示をする。
【0083】
[HP移行動作]
図20のS17及び図21のS22のHP移行動作は、同一内容であり、図22に示すように、まず、S31において、第1モードセンサ703aがONで、かつ、第2モードセンサ703bがOFFであるか否かを調べ、肯定であるときはHP移行動作を終了する。これに対し、否定であるときは、モードモータM2を所定ステップ(例えば150ステップ)時計方向に回転(S32)した後、再度、第1モードセンサ703aがONで、かつ、第2モードセンサ703bがOFFであるか否かを調べる(S33)。そして、肯定のときはモードモータM2を所定ステップ(例えば18ステップ)時計方向に回転した後、回転を停止する(S34)。
【0084】
最初のモードモータM2の回転を開始した後のS33における判定が否定であるときは、そのときのモードモータM2に与えたパルス数が所定値(例えば500ステップ)以下か否かを調べ、肯定のときはS32に移行し、否定のとき、すなわち、モードモータM2へのパルス数が前記所定値を超えたときは、エラー表示をする。
【0085】
以上の初期化動作が終了し、正常に初期化された後は、プリンタAが定常的な運用に供される。そして、取込兼排出口3に所定のカード、すなわち、上述された熱可逆記録層を表裏両面に有するカードが挿入されると、図23に示すように、一連動作のプログラムが実行される。
【0086】
[一連動作]
まず、S41において後述される給紙動作ルーチンが実行され、続いて、後述される上面リライト移行動作ルーチンが実行(S42)された後、カードの上面に印刷するための上面リライトコマンドが入力されたか否かを調べる(S43)。肯定のときは、後述される上面リライト動作のルーチンが実行される(S44)。上面リライト動作を終了すると、カードの下面に印刷するための下面リライトコマンドが入力されたか否かを調べる(S45)。肯定のときは、後述される下面リライト移行動作ルーチンが実行(S46)された後、続いて、後述される下面リライト動作のルーチンが実行される(S47)。下面リライト動作を終了すると、搬送モータM1の反時計方向の回転が開始される(S49)。
【0087】
S45において下面リライトコマンドが入力されないときは、上記HP移行動作ルーチンが実行されると同時に搬送モータM1の回転を瞬時(例えば50Ms)、停止した後、S49に移行して搬送モータM1の反時計方向の回転が開始される。
【0088】
次に、S49において、QRコードが正常に印刷されているかどうかをチェックするためのQRベリファイチェックコマンドが入力されたか否かを調べ(S410)、肯定のときは、後述されるQRベリファイチェック動作のルーチンを実行する(S411)。その後、搬送モータM1の反時計方向の回転を継続し(S412)、QRコードリーダがカードなしを検知したか否かを調べ(S413)、否定のときは、カードなしを検知するまで搬送モータM1の反時計方向の回転を継続して、カードなしを検知したときは、搬送モータM1を所定ステップ(例えば1000ステップ)反時計方向に回転した後、停止する(S414)。S410においてQRベリファイチェックコマンドの入力がないとは、S415において上述した排紙動作ルーチンが実行された後、一連動作を終了する。
【0089】
[給紙動作]
図23のS41における上記給紙動作は、図24に示すように、S51において、第1モードセンサ703aがON、かつ、第2モードセンサ703bがOFFであるか否かを調べ、肯定であるときは、第1カードセンサ200aがカード有りと検知しているか否かを調べる(S52)。S51において否定であるときは、上記HP移行動作ルーチンを実行(S53)した後、S52に移行する。そして、S52において肯定であるときは、搬送モータM1を時計方向に回転(S54)させた後、S55とS56を並行して行い、レジストセンサ200cがカードを検知したか否か、QRコードリーダ300がカードを検知したか否かを調べる。
【0090】
そして、S55において肯定であるときは搬送モータM1を時計方向に所定ステップ(例えば776ステップ)回転した後、すなわち、カードをQRコードリーダ300による読取領域まで搬送した後、停止する(S57)。S55において否定であるときは搬送モータM1に与えたパルス数が所定値(例えば2000ステップ)以下であるか否かを調べ(S58)、肯定であるときはS54に戻って搬送モータの時計方向の回転を継続する。しかし、否定であるときは、ジャム表示をする。
【0091】
また、S56において肯定であるとき、すなわちQRコードリーダ300がカードを検知したときは、S59において後述されるQRコード読取ルーチンを実行する。S56において否定であるときは、搬送モータM1に与えたパルス数が所定値(例えば2000ステップ)以下であるか否かを調べ(S510)、肯定であるときはS54に戻って搬送モータの時計方向の回転を継続する。しかし、否定であるときは、搬送モータM1の回転を停止する(S511)とともに、カードの再セットを要求する表示を行う。
【0092】
S59でのQRコード読取を終了した後は、その読取の結果が正常であるか否かを判断し(S512)、正常であるときはレジストセンサ200cがカード有りを検知し、かつ、第1カードセンサ200aがカード無しを検知しているか否かを調べる(S513)。そして、肯定のときは、給紙動作を終了し、否定であるときは、ジャム表示をする。S512においてQRコードの読取結果が正常でないときは、S514において上記排紙動作ルーチンを実行するとともに、読取エラーを表示する。
【0093】
[QRコード読取]
給紙動作中にS59において行われるQRコード読取は、図25に示すように、搬送モータM1の前速度の回転を継続し(S61)、カード上のQRコードを認知したか否かを調べ(S62)、認知した時は前速度で搬送したままQRコードのセルを読み取る(S63)。先の提案に係る発明においては、QRコードのセルを読み取ることでQRコード読取処理を終了した。しかし、本発明においては、QRコードのセルを読み取ることでQRコード読取処理を終了しない。
【0094】
QRコードは、図32、図33に符号QRで示すように、3個の切り出しシンボルsyと、1個のアライメントパターンapと、フォーマット情報fiと、タイミングパターンtpと、セパレータspを有し、これらの間にデータセルdsを有している。切り出しシンボルsyは、その形状からどの角度に回転していても位置の検出と、3個の切り出しシンボルsyの位置関係から回転角度の認識が可能であるため、どの方向からもQRコードの読取が可能であるという特性を有する。
【0095】
そこで、本発明は、リライトカードの取込時の姿勢(表裏・前後)如何に関わりなくスループットの向上を図るという目的を達成するため、上記QRコードの特性を活用することを案出した。その活用のため、第一には、図2に示すように、制御装置500に、QRコード位置検索部501と、デコード部502と、演算処理部503と、編集部504と、印刷制御部505とを備えた。また、プリンタAが独立型である場合は、制御装置500に新たな情報を入力するための入力部506が接続される。プリンタAが独立型でない場合は、制御装置500に入力部506に代えて又は入力部506とともに、図示されていないインターフェースを介して外部の上位装置、例えばPOSシステムなどのコンピュータが接続される。
【0096】
そして、第二に、QRコード読取の際に、図25に示すように、QRコードリーダ300によりカードのQRコードのセルを読み取って(S63)、メモリ800に記憶するとともに、読取ったQRコードの3個の切り出しシンボルsyの位置関係から当該カードの取込時の姿勢(QRコードの位置)を検索し(S64)、その検索結果(QRコード位置情報)をメモリ800に記憶するとともに、そのQRコード位置情報(取込時姿勢)に応じてそのカードから読取ったQRコードをデコード部502によりデコードし、かつ、そのデコードしたデータと入力部506から与えられる情報を演算処理部503により処理し、その処理結果である新規情報を編集部504により第1サーマルヘッド400a及び第2サーマルヘッド400bによりそのカードにその姿勢に応じた向きに印刷するように編集し、その編集結果をリライトコマンドとして印刷制御部505に与える処理(S65,S66)をさせるようにした。
【0097】
プリンタAが上位装置に接続されている形態においては、デコード部502によりデコードしたデータをインターフェースを介してその上位装置に出力し、上位装置の演算処理部による演算結果を新規情報として前記インターフェースを介してプリンタAの編集部504に入力することとなる。
【0098】
[上面リライト移行動作]
図23のS42の上面リライト移行動作は、図26に示すように、S71において、第1モードセンサ703aがOFFで、かつ、第2モードセンサ703bがONであるか否かを調べる。肯定であるときは上面リライト移行動作を終了する。これに対して、否定であるときは、モードモータM2を時計方向に回転し(S72)、再び第1モードセンサ703aがOFFで、かつ、第2モードセンサ703bがONであるか否かを調べる(S73)。その結果が肯定であるときはモードモータM2を所定ステップ(例えば18ステップ)回転させた後、停止する(S74)。そして、S73において否定であるときは、モードモータM2に与えられたパルス数が所定値(例えば500ステップ)以下であるか否かを調べ(S75)、肯定であるときはS72に戻り、モードモータM2の回転を継続させる。これに対して、S75において否定であるときは、エラー表示をする。
【0099】
[上面リライト動作]
図23のS44の上面リライト移行動作は、図27に示すように、S81において、搬送モータM1を時計方向に所定ステップ回転させた後、第1サーマルヘッド(図27においては上ヘッドと記載)400aに前記編集結果に基づいて所定の印刷を行うための発熱素子ごとの電流印加を行い(S82)、続いて、搬送モータM1をカードの1ライン分移動(副走査)させるに必要なステップ(例えば3ステップ)だけ回転(S83)させた後、カード移動(副走査)をリライトすべき全ライン数分終了したか否かを調べ(S84)、未終了のときはS82に戻って、全ライン数分終了するまで第1サーマルヘッドへの電流印加と、カードの1ライン分移動(副走査)を繰り返し、全ラインに対するリライトが終了したとき、搬送モータM1の回転を減速し、停止する(S85)。
【0100】
[下面リライト移行動作]
また、図23のS46の下面リライト移行動作は、図28に示すように、S91において、第1モードセンサ703aと第2モードセンサ703bがともにONであるか否かを調べる。肯定であるときは下面リライト移行動作を終了する。これに対して、否定であるときは、モードモータM2を時計方向に回転し(S92)、再び第1モードセンサ702aと第2モードセンサ703bがともにONであるか否かを調べる(S93)。その結果が肯定であるときはモードモータM2を所定ステップ(例えば18ステップ)回転させた後、停止する(S94)。そして、S93において否定であるときは、モードモータM2に与えられたパルス数が所定値(例えば500ステップ)以下であるか否かを調べ(S95)、肯定であるときはS92に戻り、モードモータM2の回転を継続させる。これに対して、S95において否定であるときは、エラー表示をする。
【0101】
[下面リライト動作]
図23のS47の下面リライト動作は、図29に示すように、まず、S101において、搬送モータM1を反時計方向に所定ステップ回転させた後、第2サーマルヘッド(図29においては下ヘッドと記載)400bに前記編集結果に基づいて所定の印刷を行うための発熱素子ごとの電流印加を行い(S102)、続いて、搬送モータM1をカードの1ライン分移動(副走査)させるに必要なステップ(例えば3ステップ)だけ回転(S103)させた後、カード移動(副走査)をリライトすべき全ライン数分終了したか否かを調べ(S104)、未終了のときはS102に戻って、予め設定された所定ライン数分終了するまで第2サーマルヘッドへの電流印加と、カードの1ライン分移動(副走査)を繰り返し(S106、S107、S108において否定)、所定ライン数に対するリライトが終了した後(S108において肯定)、搬送モータM1の反時計方向の回転を停止(S109)するとともに、S110においてHP移行動作を行う。
【0102】
[QRベリファイチェック動作]
図23のS411のQRベリファイチェック動作においては、図30に示すように、搬送モータM1の前速度の反時計方向回転を継続して(S111)、QRコードリーダがカードを検知したか否かを調べ(S112)、肯定であるときはそのカードのQRコードを認知したか否かを調べる(S113)。そして、認知したときは搬送モータM1の前速度の反時計方向回転を維持したままQRコードのセル読取(S114)を行ってQRベリファイチェック動作を終了する。QRベリファイチェックの正否判定は制御装置500の中の演算処理部503が行う。S112においてQRコードリーダがカードを検知しないときは、その時の搬送モータM1に与えるパルス数が、カードの先端がQRコードリーダの読取領域に到達するのに必要な所定値(例えば1500ステップ)以下か否かを調べ(S115)、肯定のときはS111に戻り、否定のときはジャム表示を行う。
【0103】
[タイムチャート]
プリンタAの一連動作のタイムチャートを例示すると、図31のとおりである。以下、これについて説明する。なお、搬送中のカードのジャム、モードモータM2のエラー、QRコードリーダの読取エラーなどの異常の発生は想定されていない。
【0104】
HPモードにおいて挿入されたカードを第1カードセンサ200aが検知したことに基づき搬送モータM1が時計方向回転を開始されてカードが取込方向に搬送される。そして、QRコードリーダ300が搬送されるカードの先端を検知してから所定ステップ搬送された時点からQRコードリーダによるQRコードの読取が行われる。そして、レジストセンサ200cがカード先端を検知した時点から所定ステップ数の後に、すなわち、QRコードの読取終了の値に、搬送モータM1の回転が停止されると同時にモードモータM2が所定角度回転されてHPモードから上面リライト移行動作を経て上面リライトモードに切り替えられる。
【0105】
従って、それまで退避位置に保持されていたPヘッド400aが第1プラテンローラ104aに圧接されるとともに、それまで閉じられていた搬送ローラアセンブリRAは開放される。すなわち、カードが搬送ローラアセンブリRAから離れる時にカードに振動が加わることが避けられ、その後のカード搬送はPヘッドに圧接している下側のプラテンローラのみによって行われるので、カードは振動することなく、非常に安定して搬送される。
【0106】
QRコードの読取により得られたデータ(QRコード位置検索結果及びデコード部502により解読されたデータ)は、独立型のプリンタにおいては演算処理部503に与えられ、その演算処理部503において入力部506から与えられる情報と解読されたデータを用いて演算処理し、その処理結果である新規情報を編集部504により第1サーマルヘッド400a及び第2サーマルヘッド400bによりそのカードにその姿勢に応じた向きに印刷するように編集し、その編集結果を印刷制御部505に与えるので、印刷制御部505は当該カードの取込時姿勢に対応するリライトコマンドを作成して出力すると、Pヘッドにより当該カードの上面(A面)リライト領域に対する上面リライト動作及びQRコードのリライト動作が行われる。
【0107】
上位装置に接続されているプリンタにおいては、デコード部502により解読されたデータが上位装置に送られ、その上位装置における演算処理に用いられる。その上位装置による演算処理の結果が新規情報としてプリンタに送られてくると、その新規情報が前述した場合と同様に編集部504により編集され、その編集結果が印刷制御部505に与えられ、当該カードの取込時姿勢に対応するリライトコマンドが出力されて、Pヘッドによる当該カードの上面(A面)リライト領域に対する上面リライト動作及びQRコードのリライト動作が行われる。
【0108】
リライトコマンド(印刷情報)の入力が無くなると、搬送モータM1の回転が停止されると同時にモードモータM2が所定角度回転されて上面リライトモードから下面リライト移行動作を経て下面リライトモードに切り替えられる。すなわち、それまで下側のプラテンローラ104bに圧接されていたPヘッドが退避されるとともに、それまで退避されていたSヘッドが上側のプラテンローラ104aに圧接される。その後、搬送モータM1が反時計方向に回転されるとともに、カードの裏面に対するリライトコマンド(印刷情報)に基づいてB面(下面)リライト領域に対する下面リライト動作が行われる。この間も、搬送ローラアセンブリRAは開放状態に維持されている。
【0109】
カードのB面に対するリライトが終了すると、モードモータM2が所定角度回転されてHPモード移行動作を経てHPモードに復帰され、カードに密着しているQRコードリーダ300によるQRベリファイチェック動作が行われる。このQRベリファイチェック動作により得られたQRデータは、制御装置500によるQRベリファイに用いられる。搬送モータM1の反時計方向回転は、QRベリファイチェック動作が終了した後に停止され、一枚のカードに対する印刷動作が終了する。
【0110】
上記上面リライト動作及び下面リライト動作における第1サーマルヘッド400a及び第2サーマルヘッド400bによるカードに対する印刷は、上記QRコード読取におけるカード姿勢の判定結果(QRコード位置検索結果)により、カードの取込時姿勢に応じて行われる。以下に、本発明によるプリンタにおいて、カードの取込時姿勢の如何に関わりなくQRコードの読取及び印刷並びに所定印刷領域に対する可読情報の印刷が可能なカードの種類と、当該種類のカードに対するQRコード読取処理及び印刷処理について、以下に説明する。
【0111】
図34は、本発明によるプリンタにおいて使用可能な第1種類のカードC1の一例を示す。第1種類のカードC1は、矩形のカードであって、その矩形の短辺に直交する中心線に関して対称の位置のA面とB面の、一方の短辺、例えば前部短辺aに近い位置に、同短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが1個ずつAQR1,BQR1、合計2個設けられたものである。
【0112】
同図(a)は、前部短辺aを取込方向に向けたカードC1のA面を示し、同図(b)は同カードのB面を示している。A面、B面のいずれも、これを上面に向けて前部短辺aを取込方向に向けた姿勢、すなわち、QRコードの切り出しシンボルsyの位置方向が取込方向と一致している正姿勢である場合においては、QRコードAQR1,BQR1はいずれも前部短辺aに近い等距離の右側長辺d,cに近い位置に存在する。
【0113】
従って、第1種類のカードC1を前部短辺aを取込方向に向けた正姿勢でプリンタに取り込む場合は、A面、B面のいずれを上向きにする場合も、図35に示すように、搬送されるカードC1の所定の到達位置において、そのカードに対してカードセンサによる位置検知、QRコードリーダ300によるQRコード読取、第1サーマルヘッド400aによるカード上面に対するQRコード及び可読情報のリライト並びに第2サーマルヘッド400bによるカード下面に対する可読情報のリライトなどの所定の処理が行われる。
【0114】
図34の(c)は、後部短辺bを取込方向に向けたカードC1のA面を示し、同図(d)は同カードのB面を示している。A面、B面のいずれも、これを上面に向けて後部短辺bを取込方向に向けた姿勢、すなわち、QRコードの切り出しシンボルsyの位置方向が取込方向と一致していない逆姿勢である場合においては、二つのQRコードAQR1,BQR1はいずれも後部短辺bから離れた等距離の左側長辺d,cに近い位置に存在する。
【0115】
一般的に、カード搬送距離を短くしてカード処理時間の短縮を図るため、図40の(a)に示すように、正姿勢で挿入されるカードC1の第1印刷領域pa1の前部短辺a側先端からQRコードAQR1,BQR1の終端までの距離x1よりもプリンタにおけるQRコードリーダ300から第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)までの距離y1が若干大きく(x1<y1)設定されている。従って、カードC1の取込時姿勢が正姿勢である場合は、すなわち、図34の(a)(b)の姿勢である場合は、QRコードリーダ300によるQRコードAQR1又はBQR1の読取直後に第1サーマルヘッド400aによる第1印刷領域pa1に対する所定の印刷が可能である。
【0116】
しかし、図40の(b)に示すように、カードC1の取込時姿勢が逆姿勢である場合、すなわち、図34の(c)(d)の姿勢である場合は、カードC1の第1印刷領域pa1の後部短辺b側先端からQRコードAQR1,BQR1の終端までの距離x2が、QRコードリーダ300から第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)までの距離y1よりも大きくなる(x2>y1)。従って、カードの1パス搬送においてQRコードリーダ300によるQRコードAQR1又はBQR1の読取直後に第1サーマルヘッド400aによる第1印刷領域pa1に対する所定の印刷は不可能である。
【0117】
そこで、好ましい実施の形態においては、レジストセンサ200cがカードCの先端を検知した時からQRコードリーダ300によるQRコードAQR1又はBQR1の読取終了時点までのカード搬送ステップ数を監視し、QRコードの読取終了時点において第1印刷領域pa1の先端が第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)を超えたと判断しない場合は、第1印刷領域pa1に対する所定の印刷を行うが、QRコードの読取終了時点において第1印刷領域pa1の先端が第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)を超えたと判断した場合は、第1印刷領域pa1に対する所定の印刷を行わずに、そのカードの取込方向搬送を中止し、搬送手段を逆方向に駆動して、そのカードC1の第1印刷領域pa1の先端が第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)と合致する位置、又はそれよりも取込兼排出口側まで排出方向に搬送し、再び、取込方向に搬送して、第1印刷領域pa1に対する所定の印刷を行うように、制御手段が構成されている。
【0118】
このように、カード搬送制御を若干変更するだけで、上記第1種類のカードC1は、取込姿勢が図34の(a)(b)の正姿勢及び図34の(c)(d)の逆姿勢のいずれの場合にも、当該カードに所定のQRコード及び可読情報のリライトが可能である。
【0119】
第1種類のカードC1を用いる場合に、カードC1の取込時姿勢が正姿勢、逆姿勢のいずれの場合にも、QRコードの読取終了後に逆搬送をすることなく所定の印刷領域に所定の印刷を行うことを可能にするため、本発明の他の実施の形態においては、図40の(c)に示すように、QRコードリーダ300から第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)までの距離y2(なお、y1<y2である。)をカードC1の第1印刷領域pa1の後部短辺b側先端からQRコードAQR1,BQR1の終端までの距離x2よりも若干大きく(x2<y2)するとともに、第2サーマルヘッド400bも若干後方に移動してある。
【0120】
このように、第1サーマルヘッド400a及び第2サーマルヘッド400bの位置関係を改善し、カード搬送制御を若干変更するだけで、上記第1種類のカードC1は、取込姿勢が図34の(a)(b)の正姿勢及び図34の(c)(d)の逆姿勢のいずれの場合にも、搬送時間がごく僅かに延長されるだけで、当該カードに所定のQRコード及び可読情報のリライトが可能である。
【0121】
なお、図34の(c)(d)に示すように、カードを逆姿勢で取り込む場合は、QRコードリーダ300が読取って記憶部800に記憶されるQRコードに基づいてQRコード位置検索部501がそのカードの姿勢が逆姿勢であると判定し、その判定結果に基づき、デコード部502によりQRコードの中のデータが逆順序に置換されて解読される。そして、解読されたデータは演算処理部503による演算処理に用いられ、演算結果は編集部504によりそのカードC1の上面の第1印刷領域及び下面の第2印刷領域に対して、カードの取込時の姿勢(逆姿勢)に対応して印刷するための印刷情報が編集される。
【0122】
図36は、本発明によるプリンタにおいて使用可能な第2種類のカードC2の一例を示す。第2種類のカードC2は、矩形のカードであって、その矩形の短辺と長辺のそれぞれに直交する二つの中心線に関して対称の位置のA面とB面の互いに反対側の長辺に近い位置にそれぞれ1個のQRコードが、合計4個設けられたものである。
【0123】
矩形の短辺と長辺のそれぞれに直交する二つの中心線に関して対称の位置のA面とB面の互いに反対側の長辺に近い位置にQRコードが2個ずつ、合計4個設けられたカードとは、一例として、図36(a)に示すように、カードC2のA面を上向きにして前部短辺aを取込方向に向けた姿勢において、短辺に直交する中心線の取込方向右側の長辺dに近いA面前部位置と短辺に直交する中心線の取込方向左側の長辺cに近いA面後部位置とに、それぞれ近い短辺a,b方向の位置出しシンボルを有するQRコードAQR1,AQR2が印刷され、かつ、図36(b)に示すように、カードC2のB面を上向きにして前部短辺aを取込方向に向けた姿勢において、短辺に直交する中心線の取込方向右側の長辺cに近いB面前部位置と短辺に直交する中心線の取込方向左側の長辺dに近いB面後部位置とに、それぞれ近い短辺a,b方向の位置出しシンボルを有するQRコードBQR1,BQR2が印刷され、しかも、A面側の2個のQRコードAQR1,AQR2とB面側の2個のQRコードBQR1,BQR2は、短辺と直交する中心線及び長辺と直交する中心線に対して対称位置に存在するカードである。
【0124】
図36(c)及び図36(d)は、それぞれ図36(a)及び図36(b)のカードの姿勢を上下の面を変えずに前後逆転したものを示している。これらの図を見ると、第2種類のカードC2は、A面、B面のいずれが上面に向けられても、また、前後いずれの短辺が先行されても、QRコードリーダ300により最初に読取られるQRコード(AQR1,AQR2、BQR1又はBQR2)の切り出しシンボルsyの位置方向が取込方向と一致しているので、QRコード位置検索部501はそのカード取込姿勢が正姿勢であると判定する。従って、その後のデコード処理及び印刷情報の編集処理が正常に行われる。
【0125】
第2種類のカードC2が上記いずれの姿勢で取り込まれる場合も、図37に示すように、搬送されるカードC2の所定の到達位置において、そのカードに対してカードセンサによる位置検知、QRコードリーダ300によるQRコード読取、第1サーマルヘッド400aによるカード上面に対するQRコード及び可読情報のリライト並びに第2サーマルヘッド400bによるカード下面に対する可読情報のリライトなどの所定の処理が行われる。
【0126】
図38は、本発明によるプリンタにおいて使用可能な第3種類のカードC3の一例を示す。このカードC3は、カードのA面とB面の中心に、すなわち、短辺に直交する中心線と長辺に直交する中心線との交点の表裏に、それぞれに一方の短辺(a又はb)方向又は互いに異なる短辺(aとb)方向の位置出しシンボルを有するQRコードAQR,BQR)が印刷されているものである。
【0127】
図38に示されたカードC3の場合は、同図(a)のようにA面を上向きにして前部短辺aを取込方向に向けた姿勢でプリンタに挿入するとき、同図(b)のようにB面を上向きにして前部短辺aを取込方向に向けた姿勢でプリンタに挿入するときは、QRコードリーダ300が読取って記憶部に記憶されるQRコードに基づいてQRコード位置検索部501がそのカードの姿勢が正姿勢(読取ったQRコードが近い短辺a方向の位置出しシンボルを有する場合)であると判定し、その判定結果に基づき、デコード部502によりQRコードの中のデータがそのまま解読され、入出力部503では、その解読されたデータを上位装置に与え、かつ、その上位装置から与えられる印刷情報に基づいて編集部504により、そのカードC3のA面及びB面の印刷領域に対して、カードの取込時姿勢に対応した印刷情報が編集される。そして、取込まれるカードC3のA面に対して、第1サーマルヘッド400aにより第1印刷領域に編集後内容であるQRコード及び基本情報がカードの正姿勢に対応する向きで印刷され、また、排出方向に搬送されるカードC3のB面の第2印刷領域に第2サーマルヘッド400bにより編集後内容がカードの正姿勢に対応する向きで印刷される。
【0128】
これに対して、カードC3を図38(c)のようにA面を上向きにして後部短辺bを取込方向に向けた姿勢でプリンタに挿入するとき、カードC3を同図(d)のようにB面を上向きにして後部短辺bを取込方向に向けた姿勢でプリンタに挿入するときは、QRコードリーダ300が読取って記憶部に記憶されるQRコードAQR,BQRに基づいてQRコード位置検索部501がそのカードC3の姿勢が逆姿勢であると判定し、その判定結果に基づき、デコード部502によりQRコードAQR,BQRの中のデータが逆順序に置換されて解読される。演算処理部503はその解読されたデータと入力部506から入力される情報とに基づいて演算処理し、その演算結果を編集部504により、カードC3のA面の第1印刷領域及びB面の第2印刷領域に対して、カードの取込時姿勢(逆姿勢)に対応した印刷情報が編集される。
【0129】
図38に示された第3種類のカードC3は、その前部短辺a又はbからQRコードAQR,BQRまでの距離(x3。図示省略)が、第1種類のカードC1における前部短辺aからQRコードまでの距離(y1)よりも大きいので、図41(b)において説明したのと同様に、QRコードリーダから第1サーマルヘッド400aまでの距離(y3。図示省略)及び第2サーマルヘッド400bまでの距離(図示省略)をx3<y3の関係式が成立するように設定することにより、図38の(a)〜(d)のいずれの場合も、同一のプリンタで適正なリライトを実現することができる。
【0130】
つまり、第3種類のカードC3を用いる場合は、QRコードリーダの設置位置、第1、第2サーマルヘッドの設置位置及びそれらの間の距離を工夫することにより、カードの取込時姿勢の如何に関係なく、QRコードが正常に読取られ、A面の所定位置にQRコードと可読情報の印刷が、B面に可読情報の印刷が可能である。
【0131】
第3種類のカードC3を第1種類のカードC1処理用のプリンタで使用する場合は、図34の(c)(d)の姿勢に対する制御と同様に、QRコードの読取終了時点において印刷領域の先端が第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)を超えたと判断した場合に、その印刷領域に対する所定の印刷を行わずに、そのカードの取込方向搬送を中止し、搬送手段を逆方向に駆動して、そのカードC3の印刷領域の先端が第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)と合致する位置又はそれよりも取込兼排出口側まで排出方向に搬送し、再び、取込方向に搬送して、その印刷領域に対する所定の印刷を行うようにしてもよい。
【0132】
以上のように、本発明によれば、カードの取込時姿勢如何に関わりなく、スループットの向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明に係る上記プリンタAは、従来のカードの磁気記録面を有しないカードを印刷対象とし、そのカードの両面に印刷するので、印刷可能な情報量を飛躍的に増大することが可能であるから、例えば、量販店、スーパーマーケット、小売店、百貨店、ガソリンスタンド、レンタルショップ、美容院やエステティックサロン、ホテル等、商店街、アミューズメント施設、フィットネスクラブなどで使用されるポイントカード、プリペイドカード、病院等で使用される診察券や健診カード、図書館など使用される貸し出しカードに対する印刷を行う際に、例えば、表面には、店名、ポイントカード等のカード種類その他の基本情報のほか、施設案内情報又はイベント、キャンペーンなどの広告情報とQRコードを印刷し、裏面にはカード使用履歴、獲得ポイント、クーポン、予約日時などの使用の都度に変わる可変情報を印刷することができる。そして、本発明で用いるサーマルヘッドは、写真同様の高画質、高階調度の多色画像印刷が可能であるので、施設案内情報や広告情報等を写真と変わらない画像を印刷することにより、使用者に対して強い訴求力を有するカードとすることができる。
【0134】
以上には、印刷媒体として、説明の便宜のため、両面に熱可逆記録面を有するカードに限定して説明したが、本発明は、基本的にはカード以外の両面に熱可逆記録面を有する媒体にも適用可能である。従って、本願の明細書及び特許請求の範囲に記載の両面に熱可逆記録面を有するカードには、カード以外の媒体も含まれるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0135】
A プリンタ
100 搬送手段
300 QRコードリーダ
400a 第1サーマルヘッド
400b 第2サーマルヘッド
500 制御装置
501 QRコード位置検索部
502 デコード部
503 入出力部
504 編集部
505 印刷制御部
800 記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り返し書き換え(印字・消去)可能なリライタブルカード(以下、リライトカードという。)に対して熱可逆記録方式により印刷するプリンタに関する。
【0002】
近年、文字や数字等の情報を繰り返し書き換え可能なリライトカードが、ポイントカード、定期券、プリペイドカード、レジャーカード、診察券等の用途に広く用いられている。リライトカードに熱可逆性記録層を備えたものを用い、上記情報を熱可逆記録方式により書き換えるプリンタも知られている(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
【0003】
従来のリライトカードは、その表面にカード発行者の名称や役務名等の発行者情報が目視可能に印刷されているとともに、カード利用者(顧客)の氏名、生年月日、家族構成等の書き換えのない又は少ない顧客情報が目視不可能に記録され、裏面には顧客の利用履歴、取引内容又は現状、獲得ポイント等の履歴情報その他の可変情報が目視可能に印刷される。そして、発行者情報や顧客情報等の基本情報の記録には、磁気ストライプ又は全面磁気面に記録する磁気記録方式や接触式又は非接触式ICカードに対するデータ記録方式が採用され、可変情報はカードの裏面に設けられた熱可逆性記録層に加熱により消色及び発色を繰り返し行うことができる熱可逆記録方式が採用されている(例えば、特許文献4〜6参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3567241号公報
【特許文献2】特開2005−186495号公報
【特許文献3】特開2004−322348号公報
【特許文献4】特開2000−94866号公報
【特許文献5】特開2000−251042号公報
【特許文献6】特開2002−103654号公報
【0005】
従って、従来のリライトカードは、少なくとも一面にプリンタの磁気ヘッドと接触する磁気記録層(磁気ストライプ又は全面磁気面)を有するので、その面には熱可逆性記録層を設けることができないため、リライト方式として、先端部に複数個の発熱素子を一列に配置したサーマルヘッドを用いて、個々の発熱素子から印加する熱エネルギーを制御することにより画像を消去し・形成する熱可逆記録方式を適用する場合は、画像の消去又は形成が可能な面がカードの片面に限定されるから、記録可能な情報量に限りがあった。また、磁気記録層の記録容量も少ない。従って、従来のリライトカードには提供可能な情報量に限界があるという問題があった。
【0006】
また、情報を熱可逆記録方式により書き換える従来のプリンタでは、目視可能な可変情報はサーマルヘッドで印刷し、その消去は消去専用のセラミックヒータやヒートローラで行っている。そして、磁気ストライプ又は全面磁気面に対する基本情報の読取・記録のための磁気ヘッドが備えられている。従って、リライトカードの情報読取から書き換えまでの処理に長い搬送路を必要とするので、プリンタの小型化が困難であるという問題があった。
【0007】
本出願人は、上記の問題点に鑑み、特願2011−066176の明細書において、加熱により発色及び消色を繰り返し行うことができる熱可逆性記録媒体を用いるプリンタにおいて、(1)熱可逆性記録媒体に対してできるだけ多量の目視可能な可変情報の書き換えを可能にすること、(2)処理時間の短縮が図れ、装置の小型化を可能にすること、(3)書き換えを無駄な動作が発生しないようスループットの向上を図るプリンタの使用方法を提供すること、の3つを課題として定立し、これらの課題を解決するため、下記の3発明を提案した。
【0008】
先の提案に係る第1発明は、熱エネルギーの印加と冷却で発色及び消色する成分を表裏両面に塗工されたリライトカードに対して熱可逆記録方式により印刷するプリンタであって、リライトカードを搬送路に沿って搬送する搬送手段と、搬送されるリライトカードに対して前記成分の発色及び消色が可能となる熱エネルギーを印加できるサーマルヘッドと、前記搬送手段及びサーマルヘッドのそれぞれに対して搬送制御及び熱エネルギー印加制御を行う制御手段とからなり、前記サーマルヘッドは前記搬送路を搬送されるリライトカードの表と裏に対応するように前記搬送路を挟んで上下に配置され、前記制御手段は演算処理後の新規情報を基に前記サーマルヘッドにより当該リライトカードに書き換えを行うものである。
【0009】
先の提案に係る第2発明は、上記プリンタにおいて、リライトカードの基本情報や顧客情報をQRコードで表記し、取込方向に搬送されるリライトカードの表面に対してQRコードの読取を行う位置及び情報の書き換えを行う位置にそれぞれQRコードを読み取るQRコードリーダと第1サーマルヘッドとを設け、排出方向に搬送されるリライトカードの裏面に対して書き換えを行う位置に第2サーマルヘッドを設け、制御手段は前記QRコードリーダにより読み取った情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報を基に取込み方向に搬送されるリライトカードに対して第1サーマルヘッドにより書き換えを行い、かつ、排出方向に搬送されるリライトカードに対して第2サーマルヘッドにより書き換えを行うものである。
【0010】
そして、先の提案に係る第3発明は、上記プリンタの使用方法であって、リライトカードを取込兼排出口から第2のサーマルヘッドの後方までの間の搬送路を搬送手段により往復搬送する工程、取込方向に搬送されるリライトカードに記録されているQRコードをQRコードリーダにより読み取る工程、取込方向に搬送されるリライトカードの表面に対してQRコード読取により得られた基本情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報を基に第1サーマルヘッドによりQRコードを含む基本情報を印刷する工程、排出方向に搬送されるリライトカードの裏面に対して前記新規情報を基に第2サーマルヘッドにより印刷をする工程、及び前記第1サーマルヘッドにより書き換えられたQRコードを読み取ってベリファイチェックを行う工程を含むことを特徴とするものである。すなわち、カードの取込方向の搬送の際にQRコードの読取と第1サーマルヘッドによるカード表面の書き換えを行い、カードの排出方向の搬送の際に第2サーマルヘッドによるカード裏面の書き換えとQRコードのベリファイチェックを行う。
【0011】
上記の発明特定事項について項を分けて詳細に説明すると、
(ア)先の提案に係る第1発明は、熱エネルギーの印加と冷却で発色及び消色する成分を表裏両面に塗工されたリライトカードを用いる。リライトカードは、支持体の表裏両面に熱エネルギーの印加と冷却で発色及び消色する成分、すなわち、ロイコ染料と顕色剤の混合材料を塗工して熱可逆性記録層を備えたものである。無色のロイコ染料と顕色剤とがそれぞれ分離した状態で消色状態にあり、所定量の熱エネルギーが印加されて第一の特定温度(170〜180℃)になると、分子間の凝集力を高める性質及びロイコ染料を発色させる性質を有する顕色剤とロイコ染料とが溶融してロイコ染料が発色し、この状態で急激に冷却されると両者が混ざり合ったまま発色状態を保つ。また、発色状態で溶融され結晶化された顕色剤とロイコ染料は、両者の融点以下の第二の特定温度(120〜140℃)での加熱により分離され、冷却されることによりそれぞれが結晶化してロイコ染料が元の無色状態に戻る。
リライトカードの支持体は、PVC又はPETであり、その熱膨張率と熱可逆性記録層の熱膨張率は異なる。従って、支持体の片面のみに熱可逆性記録層を設ける場合は、印刷中に加熱により応力が発生してリライトカードがカールする虞があるが、本発明において用いるリライトカードは支持体の両面に熱可逆性記録層が設けられるので、リライトカードのカールが有効に防止される。
【0012】
(イ)先の提案に係る第1発明のプリンタは、リライトカードに対して熱エネルギーを印加して熱可逆性記録層に発色と消色を同時に行わせる、つまり、画像形成手段と画像消去手段を兼ねるサーマルヘッドを用いる。提案に係る第1発明は、一つのサーマルヘッドで画像形成手段と画像消去手段を兼ねる点が、画像形成手段として一つのサーマルヘッドを用い、画像消去手段としてセラミックヒータやヒートローラを用いる従来技術と異なる。
【0013】
先の提案に係る第1発明で用いるサーマルヘッドは、先端部にライン状に配置された多数の微小な発熱素子と、上位装置から与えられる印刷情報を基にそれぞれの発熱素子の発熱制御、すなわち加熱と冷却を制御する制御回路とを有する。サーマルヘッドは、一般的な特性として電圧印加により発熱素子が急加熱し、電圧印加の遮断により発熱素子が急冷する。従って、上記印刷情報に基づいて発熱制御をすることによりリライトカードの熱可逆性記録層に所望の文字、数字等の画像を印刷することができる。
【0014】
(ウ)また、先の提案に係る第1発明のプリンタは、二つのサーマルヘッドをリライトカードの搬送路を挟んで上下に取り付けてある。一つのサーマルヘッドは、リライトカードの一つの面に対する基本情報と可変情報の一方又は双方の書き換えに用いられ、もう一つのサーマルヘッドは、同リライトカードの他の面に対する別の可変情報の書き換えに用いられる。換言すると、提案に係る第1発明は、一つのリライトカードの表裏両面に二つのサーマルヘッドを用いて、画像の印刷・消去を繰り返し行うことを特徴としている。
【0015】
上記各発明の効果は、次の通りである。
先の提案に係る第1発明によれば、サーマルヘッドは搬送路を搬送されるリライトカードの表と裏に対応するように搬送路を挟んで上下に配置され、上位装置から与えられる印刷情報を基に書き換えが必要な場合に前記サーマルヘッドにより当該リライトカードに書き換えを行うので、可及的に多くの目視可能な可変情報の書き換えが可能になる。また、リライトカードの表裏両面に上下のサーマルヘッドにより書き換えを行うので、搬送距離及び処理時間の短縮すなわちスループットの向上が図れ、装置の小型化が可能である。さらに、リライトカードは支持体の両面に熱エネルギーの印加と冷却で発色及び消色する成分を塗工するだけで製作され、磁気記録層を設ける必要がないので、カード製造コストが安価である。
【0016】
先の提案に係る第2発明によれば、取込み方向に搬送されるリライトカードに対してQRコードの読取を行うQRコードリーダと、読取後のリライトカードの表面へのQRコード及び可変情報の書き換えを行う一つのサーマルヘッドとを設け、排出方向に搬送されるリライトカードの裏面に対して可変情報の書き換えを行うもう一つのサーマルヘッドとを設けたので、リライトカードに記録されている基本情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報に基づいて、リライトカードの表面に新たなQRコード(基本情報や顧客情報)及び可変情報を、裏面に新たな可変情報を印刷することができる。
【0017】
先の提案に係る第3発明によれば、カードの取込方向の搬送の際にQRコードの読取とカード表面の書き換えを行い、カードの排出方向の搬送の際にカード裏面の書き換えとQRコードのチェックを行うので、書き換えを無駄な動作が発生しないようスループットの向上を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記先の提案に係るプリンタで用いられるリライトカードは、QRコードをリライトカードの片面(表面)のプリンタへの取込方向前部右側に1個のみ印刷したものであった。そのため、リライトカードを正しい姿勢で、すなわち、QRコードリーダがカード搬送面の上側に設置されている場合は、リライトカードの表面を上向きにし、QRコードがリライトカードの取込方向前部右側に存在する姿勢でプリンタの取込兼排出口に挿入した場合には、QRコードリーダによるQRコード読取が可能であるので、リライトカードに対する演算処理及びリライト領域に対する適正な書き換えが実行されるが、それ以外の姿勢で挿入された場合は、QRコードリーダによるQRコード読取が不可能であるため、リライトカードを取込兼排出口に返却し、リライトカード利用者にリライトカードを正しい姿勢で挿入し直すべき旨の音声又は文字による案内を出す必要があった。
【0019】
例えば、鉄道駅の改札ゲートやコンビニエンス・ストアのレジカウンタなどのリライトカード利用客が多い環境で、上記リライトカードの入れ直しが多発すると、スループットの低下により、長い待ち行列が発生する虞があるので、スループットの改善が求められると予想される。
【0020】
こうして、本発明は、リライトカードの情報をQRコードで表記し、取込方向に搬送されるリライトカードの上面(又は下面。以下、同じ。)に対してQRコードの読取を行う位置及び情報の書き換えを行う位置にそれぞれQRコードリーダと第1サーマルヘッドとを設け、排出方向に搬送されるリライトカードの下面(又は上面。以下、同じ。)に対して情報の書き換えを行う位置に第2サーマルヘッドを設け、QRコードリーダにより読み取った情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報を基に取込方向に搬送されるリライトカードの上面に対して第1サーマルヘッドによりQRコード及び可読情報の書き換えを行い、かつ、排出方向に搬送されるリライトカードの下面に対して第2サーマルヘッドにより他の可読情報の書き換え及びQRコードリーダにより書き換え後のQRコードのベリファイチェックを行う制御手段を備えたプリンタにおいて、リライトカードの取込時の姿勢如何に関わりなく、スループットの向上を図ることができるプリンタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明は、リライトカードの基本情報や顧客情報をQRコードで表記し、取込み方向に搬送されるリライトカードの上面に対してQRコードの読取を行う位置及び情報の書き換えを行う位置にそれぞれQRコードを読み取るQRコードリーダと第1サーマルヘッドとを設け、排出方向に搬送されるリライトカードの下面に対して書き換えを行う位置に第2サーマルヘッドを設け、前記QRコードリーダにより読み取った情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報を基に取込方向に搬送されるリライトカードの上面に対して第1サーマルヘッドにより書き換えを行い、かつ、排出方向に搬送されるリライトカードの下面に対して第2サーマルヘッドにより書き換えを行う制御手段を備えたプリンタにおいて、QRコードリーダが読み込んだQRコードを記憶する記憶部と、その記憶されるQRコードの切り出しシンボル(ファインダパターン)からリライトカードの姿勢(QRコードの位置。位置には向きを含む。以下、同じ。)を検索するQRコード位置検索部と、検索されたQRコードの位置に対応して記憶部に記憶されたQRコードのデータを解析するデコード部と、解析したデータと新たに入力される情報に基づいて演算処理し、その演算処理後の新規情報を出力する処理部と、その新規情報をリライトカードの上面と下面にその姿勢に対応する向きに印刷するための編集を行う編集部と、その編集結果を前記第1サーマルヘッドと第2サーマルヘッドに印刷させる印刷制御部とを備えたことを特徴としている。
【0022】
前記QRコード位置検索部とデコード部と編集部と印刷制御部は、CPU(演算処理装置)により構成される。前記入力部と処理部は、スタンドアローン(独立型)のプリンタの内部に備えられたものである場合と、プリンタに接続された上位装置である場合があり得る。
【0023】
上記プリンタに適用可能なリライトカードには、次の3種類がある。
第1種類のリライトカードは、矩形のカードであって、その矩形の短辺に直交する中心線に関して対称の位置であって、そのカードの一方の面(以下、A面という。)と他方の面(以下、B面という。)の一方の短辺に近い位置に、同短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが1個ずつ、合計2個設けられたものである。
「矩形の短辺に直交する中心線に関して対称の位置であって、A面とB面の一方の短辺に近い位置に同短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが1個ずつ、合計2個設けられたもの」とは、一例として、A面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢と、B面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢のいずれの場合も、短辺に直交する中心線の取込方向右側の長辺に近い上面前部位置にその前部短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが印刷されているリライトカードをいう。
【0024】
第2種類のリライトカードは、矩形のカードであって、そのA面とB面のそれぞれに矩形の短辺と長辺のそれぞれに直交する二つの中心線に関して反転対称の位置にQRコードが1個ずつ、合計4個設けられたものである。
【0025】
「A面とB面のそれぞれに矩形の短辺と長辺のそれぞれに直交する二つの中心線に関して反転対称の位置にQRコードが1個ずつ、合計4個設けられたもの」とは、一例として、A面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢と、B面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢のいずれの場合も、短辺に直交する中心線の取込方向右側の長辺に近い上面前部位置にはその前部短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが印刷され、短辺に直交する中心線の取込方向左側の長辺に近い上面後部位置にはその後部短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが印刷されているリライトカードをいう。
【0026】
そして、第3種類のリライトカードは、A面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢とB面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢のいずれの場合も、カードのA面とB面の中心に、すなわち、短辺に直交する中心線と長辺に直交する中心線との交点の表裏それぞれに前部短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが印刷されているものである。
【0027】
第1種類のリライトカードに適用するのに好ましい実施の形態は、QRコードリーダが取込み方向に搬送されるリライトカードのQRコードの読取を終了した時点にそのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置に到達していない場合は、第1サーマルヘッドによるその印刷領域に対する印刷を行うが、QRコードリーダが取込み方向に搬送されるリライトカードのQRコードの読取を終了した時点にそのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置を通過した場合は、そのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置に合致するまで又は印刷位置よりも手前まで排出方向に搬送し、再度、取込み方向に搬送して、第1サーマルヘッドによる印刷領域に対する印刷を行うことを特徴としている。
すなわち、取り込まれるリライトカードの前部短辺からQRコードの終端までの距離x2がQRコードリーダから第1サーマルヘッドまでの距離y1よりも大きい(x2>y1)場合は、QRコードリーダがQRコードの読取を終了したときにそのリライトカードの取り込みを停止し、そのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置に合致するまで排出方向に搬送し、再度、取込み方向に搬送して、第1サーマルヘッドによる印刷領域に対する印刷を行う。
【0028】
第1種類のリライトカードに適用する他の実施の形態は、QRコードリーダから第1サーマルヘッドまでの距離y2をリライトカードの他方の短辺からQRコードの終端までの距離x2よりも若干大きく(x2<y2)するとともに、第2サーマルヘッドを第1サーマルヘッドの若干後方に設置したことを特徴としている。
【0029】
そして、上記第3種類のリライトカードに適用するのに好ましい実施の形態は、そのリライトカードの一方の短辺からQRコードまでの距離をx3、QRコードリーダから第1サーマルヘッドまでの距離をy3とすると、y3をx3<y3の関係式が成立するように設定してあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
[本発明によるプリンタに第1種類のリライトカードを用いる場合]
第1種類のリライトカードを、(1)そのA面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、又は、(2)そのB面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むときのいずれの場合も、QRコードリーダが読取って記憶部に記憶されるQRコードの前部短辺方向の位置出しシンボルに基づいてQRコード位置検索部がそのQRコードの位置を検索し、リライトカードの取込姿勢が正姿勢であると判定するので、デコード部によりQRコードの中のデータがそのまま解読され、処理部ではその解読されたデータと新たに入力された情報に基づいて演算処理し、その処理結果である新規情報は編集部によりリライトカードのA面の第1印刷領域及びB面の第2印刷領域に対して、リライトカードの取込時姿勢に対応した印刷情報に編集される。そして、取込まれるリライトカードのA面の第1印刷領域に対しては第1サーマルヘッドにより編集後内容であるQRコード及び基本情報が、リライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷され、また、排出方向に搬送されるリライトカードのB面の第2印刷領域に対しては第2サーマルヘッドにより編集後内容である可読情報がリライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷される。さらに、QRコードリーダによりQRコードのベリファイチェックが行われる。
【0031】
つまり、第1種類のリライトカードを用いる場合は、リライトカードの取込時姿勢が前部短辺を取込方向に向けた姿勢である限り、A面、B面のいずれが上向きであるかに関係なく、QRコードが正順で読取られ、所定位置にQRコードが印刷され、かつ、所定の印刷領域に可読情報が印刷される。
【0032】
[本発明によるプリンタに第2種類のリライトカードを用いる場合]
第2種類のリライトカードを、(1)A面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、(2)B面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、(3)A面を上向きにして後部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、(4)B面を上向きにして後部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、のいずれの場合も、QRコードリーダが読取って記憶部に記憶されるQRコードの前部短辺方向の位置出しシンボルに基づいてQRコード位置検索部がそのQRコードの位置を検索し、リライトカードの取込姿勢が正姿勢であると判定するので、デコード部によりQRコードの中のデータがそのまま解読され、処理部では、その解読されたデータと新たに入力された情報に基づいて演算処理し、その処理結果である新規情報は編集部によりそのリライトカードのA面の第1印刷領域及びB面の第2印刷領域に対して、リライトカードの取込時姿勢に対応した印刷情報に編集される。そして、印刷制御部により、取込まれるリライトカードのA面の第1印刷領域に対しては第1サーマルヘッドにより編集後内容であるQRコード及び基本情報がリライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷され、また、排出方向に搬送されるリライトカードのB面の第2印刷領域に対しては第2サーマルヘッドにより編集後内容である可読情報がリライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷される。さらに、QRコードリーダによりQRコードのベリファイチェックが行われる。
【0033】
つまり、第2種類のリライトカードを用いる場合は、リライトカードの取込時の姿勢がA面、B面のいずれが上向きであるか、また、前後いずれの向きであるかに関係なく、QRコードが正順で読取られ、所定位置にQRコードが印刷され、かつ、所定の第1印刷領域及び第2印刷領域に可読情報が印刷される。
【0034】
[本発明によるプリンタに第3種類のリライトカードを用いる場合]
第3種類のリライトカードを、(1)A面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、(2)B面を上向きにして前部短辺を取込方向に向けた姿勢でプリンタに取り込むとき、のいずれの場合も、QRコードリーダが読取って記憶部に記憶されるQRコードの前部短辺方向の位置出しシンボルに基づいてQRコード位置検索部がそのQRコードの位置を検索し、リライトカードの取込姿勢が正姿勢であると判定するので、その判定結果に基づき、デコード部によりQRコードの中のデータがそのまま解読され、処理部ではその解読されたデータと新たに入力された情報に基づいて演算処理し、その処理結果である新規情報は編集部によりそのリライトカードのA面の第1印刷領域及びB面の第2印刷領域に対して、リライトカードの取込時姿勢に対応した印刷情報に編集される。そして、取込まれるリライトカードの表面の第1印刷領域には第1サーマルヘッドにより編集後内容であるQRコード及び基本情報がリライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷され、また、排出方向に搬送されるリライトカードの裏面の第2印刷領域には第2サーマルヘッドにより編集後内容である可読情報がリライトカードの正姿勢に対応する向きで印刷される。さらに、QRコードリーダによりQRコードのチェックが行われる。
【0035】
よって、本発明によれば、リライトカードの取込時の姿勢如何に関わりなく、スループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るプリンタの構成を概括的に示すブロック図である。
【図2】本発明の機能実現手段を示すブロック図である。
【図3】図1のプリンタの筐体を取り除いて具体的構成を示す斜視図である。
【図4】図3のプリンタの正面図である。
【図5】同じく平面図である。
【図6】同じく右側面図である。
【図7】図3のプリンタの上フレームを開けた状態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は左側面図である。
【図8】主として搬送手段の構成、カードセンサ、QRコードリーダ及びサーマルヘッドの配置位置を示す側面図である。
【図9】モード切替機構の全体構成を説明する平面図である。
【図10】下フレームに取付けられている部材を示す斜視図であり、(a)は左側手前から見た斜視図、(b)は(a)の反対側から見た斜視図である。
【図11】図10の下フレームを除去した状態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図12】上フレームの底面図である。
【図13】図12の矢印V1方向から見た斜視図である。
【図14】第1昇降手段、第2昇降手段、第3昇降手段及びモード切替機構を抽出して示す平面図である。
【図15】図14の矢印V2方向から見た斜視図である。
【図16】全ての昇降手段の全体構成及び動作を説明する側面図である。
【図17】第1昇降手段の構成及び動作を説明する側面図である。
【図18】第2昇降手段と第3昇降手段の構成及び動作を説明する側面図である。
【図19A】モード切替の動作遷移の中のHPモードにおけるカムの角度及び各要素の位置関係を示す図である。
【図19B】モード切替の動作遷移の中の上面リライトモードにおけるカムの角度及び各要素の位置関係を示す図である。
【図19C】モード切替の動作遷移の中の下面リライトモードにおけるカムの角度及び各要素の位置関係を示す図である。
【図20】プリンタのイニシャル動作のフローチャートである。
【図21】図20のフローチャート中の排紙動作の詳細を示すフローチャートである。
【図22】図20のフローチャート中のHP移行動作の詳細を示すフローチャートである。
【図23】プリンタへのカード挿入から抜取りまでの間の一連動作のフローチャートである。
【図24】図23のフローチャート中の給紙動作の詳細を示すフローチャートである。
【図25】図24のフローチャート中のQRコード読取動作の詳細を示すフローチャートである。
【図26】図23のフローチャート中の上面リライト移行動作の詳細を示すフローチャートである。
【図27】図23のフローチャート中の上面リライト動作の詳細を示すフローチャートである。
【図28】図23のフローチャート中の下面リライト移行動作の詳細を示すフローチャートである。
【図29】図23のフローチャート中の下面リライト動作の詳細を示すフローチャートである。
【図30】図23のフローチャート中のQRベリファイチェック動作の詳細を示すフローチャートである。
【図31】実施の形態の一例における一連動作のタイムチャートである。
【図32】QRコードの一例を示す平面図である。
【図33】QRコードの構成を示す解説図である。
【図34】第1種類のリライトカードの表裏反転、前後反転した場合のQRコードの位置を示す展開図である。
【図35】本発明の一の実施形態として、第1種類のリライトカードを用いる場合のカード搬送路におけるリライトカードの位置と、その位置に存するリライトカードに対する処理工程図である。
【図36】第2種類のリライトカードの表裏反転、前後反転した場合のQRコードの位置を示す展開図である。
【図37】本発明の他の実施形態として、第2種類のリライトカードを用いる場合のカード搬送路におけるリライトカードの位置と、その位置に存するリライトカードに対する処理工程図である。
【図38】第3種類のリライトカードの表裏反転、前後反転した場合のQRコードの位置を示す展開図である。
【図39】本発明のさらに他の実施形態として、第3種類のリライトカードを用いる場合のカード搬送路におけるリライトカードの位置と、その位置に存するリライトカードに対する処理工程図である。
【図40】リライトカードの取込姿勢が正姿勢、逆姿勢のいずれである場合にも対処できるための構成を検討する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
本発明に係るプリンタAは、図1に示すように、外装及び内部保護を行う筐体Hの中に、図3〜図8に示すように、取付基部となる上下のフレーム1、2が設けられている。フレーム1、2は、その後部に貫通された軸11により、上フレーム2をその軸11周りに回転して前部を開閉可能に結合されている。そして、上フレーム2を閉じた時は、下フレーム1の前部に設けた軸12の両端部に回転可能に取付けたフック13を上フレーム2の両側に突設したピン13に係合して閉状態に維持することができる。閉状態のフレーム1、2の前端面の間に横長の開口が形成される。この開口は筐体Hの前面に設けてある取込兼排出口3に連通している。
【0038】
上記フレーム1、2には、挿入されるリライトカード(以下、単にカードという。)Cを所定の搬送路に沿って所定の位置まで往復搬送する搬送手段100と、挿入されたカードの有無及び搬送されるカードが所定の位置に到達したことを検知する検知手段200a、200b、200cと、搬送されるカードに記録されているQRコードを読み取るQRコードリーダ300と、搬送路を挟んで配置され、搬送されるカードCに対して熱可逆記録方式により書き換えを行う二つのサーマルヘッド400a、400bと、検知手段200a〜200c、QRコードリーダ300及び上位装置(図示省略)からの信号又は印刷情報に基づいて搬送手段100に対する搬送制御及びサーマルヘッド400a、400bに対する発熱制御(熱可逆記録制御)を行う制御装置500とが、最小限の構成要素として設けられている。
【0039】
好ましい実施の形態においては、上記構成要素に加えて、二つのサーマルヘッドによる印刷品質を向上させるための昇降手段600(図1には示されていない。)とモード切替機構700とを備えている。モード切替機構700を備えた場合は、制御装置500は、このモード切替機構700に対するモード切替制御をも行う。図1において、M1は搬送手段100の構成要素の一つである搬送駆動モータであり、M2はモード切替機構700の構成要素の一つであるモードモータである。
以下に、各構成要素について順次詳細に説明する。
【0040】
[搬送手段]
カードの搬送については、筐体Hの正面に設けられた取込口から挿入されたカードを一方向に搬送し、その間に画像形成処理を行い、筐体Hの背面に設けられた排出口から抜取る1パス方式も可能であるが、本実施例は、プリンタAの正面側でのカードの取込及び排出を可能にするため、筐体Hの正面に設けられた取込兼排出口3から取込んだカードを往復搬送し、その間に画像形成処理を行った後、取込兼排出口3から排出する往復搬送方式を採っている。
【0041】
下フレーム1の上部には、左右の側板1a、1bの間において、取込兼排出口3から取込方向に所定間隔をもってフィードローラ101f1〜101f3が備えられ、上フレーム2の下部にはフィードローラ101f1〜101f3のそれぞれに対向してピンチローラ101p1〜101p3が備えられている。それぞれ対向するフィードローラ101f1〜101f3とピンチローラ101p1〜101p3とで搬送ローラ101R1〜101R3が構成されている。
【0042】
フィードローラ101f1〜101f3の各軸が下フレーム1の一方の側板、例えば右側の側板1aの外側まで延伸された部分にシンクロプーリ102p1〜102p3が固着され、これらのシンクロプーリ102p1〜102p3にタイミングベルト103が張設されている。
【0043】
図8の104aは、後述される第1サーマルヘッド400aに対応して下フレーム1の左右の側板1a、1bの間において搬送面の下側に設けられた第1プラテンローラであり、その第1プラテンローラ104aの軸の右側側板1aの外側まで延伸された部分にもシンクロプーリ102p4が固着され、そのシンクロプーリ102p4にも前記タイミングベルト103が架け回されている。
【0044】
搬送手段の重要な構成要素である搬送モータM1の回転駆動力を搬送ローラ101R1〜101R3に与えるため、減速手段と伝動手段を兼ねるギヤ列106a〜106eが下フレーム1の左右両側の側板1a、1bのいずれか一方に設けられ、そのギヤ列の最終段のギヤ106fが第1プラテンローラ104aの軸上に固着されたギヤ105aに噛合されている。
【0045】
図8の104bは、後述される第2サーマルヘッド400bに対応して上フレーム2の左右の側板2a、2bの間において搬送面の上側に設けられた第2プラテンローラであり、その第2プラテンローラ104bの軸のギヤ列106a〜106eと同一側の側板2a又は2bの外側まで延伸された部分にギヤ105bが固着され、そのギヤ105bはギヤ105aに噛合されている。
【0046】
こうして、搬送モータM1の正転駆動又は逆転駆動により、搬送ローラ101R1〜101R3を介して取込兼排出口3から挿入されるカードCを取込方向又は排出方向に搬送することができるようになっている。
【0047】
[検知手段]
検知手段には、取込兼排出口3内にカードが存在するか否かを検知する検知手段200a(以下、第1カードセンサという。)と、搬送路の後端部付近にカードが存在するか否かを検知する検知手段200b(以下、第2カードセンサという。)と、取込方向に搬送されるカードの先端がそのカードに対して第1サーマルヘッド400aによる印刷(熱可逆式記録)を開始するための所定の基準位置に到達したか否かを検知する検知手段200c(以下、レジストセンサという。)とがある。これらの検知手段には、反射式又は透過式の光電センサを用いることができる。
【0048】
[QRコードリーダ]
本発明において用いられるカードには、カード発行者及び/又はカード利用者の基本情報と可変情報とが後述されるサーマルヘッドにより書き換え可能に記録される。カード発行者は、例えば、ポイントカードの場合の店舗、クレジットカードの場合の金融機関、定期券の場合の交通機関、診察券の場合の医療機関等であり、その基本情報は、例えば、カード発行者の名称、営業PR、サービス内容、担当者氏名等のIDであり、可変情報は、例えば、イベントやキャンペーン等の案内情報、ニュースなどである。また、カード利用者は、例えば、顧客、取引者、患者等であり、その基本情報はカード利用者の住所、氏名、生年月日、年齢、性別、係員や主治医等の氏名等のIDであり、可変情報は、顧客の利用金額や取引金額などの利用履歴又は取引履歴、あるいは病歴や検査結果等のカード使用の都度に変化する情報である。
【0049】
基本情報は、従来は、カードの磁気記録面に磁気ヘッドにより記録されてきたが、本発明においては、基本情報も可変情報もカードの熱可逆記録面にサーマルヘッドにより記録される。本発明においては、表裏両面に熱可逆記録面を有するカードが用いられる。従って、カードの表面には基本情報のみを、裏面には可変情報のみを記録しても良いし、表面と裏面の一方又は双方に基本情報と可変情報を記録しても良い。
【0050】
基本情報及び可変情報には、人は読めないがリーダにより読取可能に記録される情報(以下、これを非可読情報といい、人に読めるように記録される情報を可読情報という。)がある。本発明によるプリンタは熱可逆記録方式で記録するので、このような非可読情報をQRコードで記録する。QRコードは、バーコードに比し小面積に多量の情報の記録が可能であるので、可読情報の記録面積を広く確保できる点で好ましい。そして、本発明は、可読情報の印刷に用いるサーマルヘッドで非可読情報をもQRコードで記録するように構成してあり、そのQRコードを読取るために、QRコードリーダ300を備えている。QRコードリーダ300はライン状に配置されたCCDからなる公知のものであり、微細なQRコードの読取が可能である。
【0051】
QRコードリーダ300は、図9、12、13にも示されているように、第1搬送ローラ101R1のピンチローラ101p1と第2搬送ローラ101R2のピンチローラ101p2の間にこれらのピンチローラとともに昇降可能に取付けられている。すなわち、上フレーム2の両側板2a、2bの間でその両側板2a、2bの付近に存在する支持部材301に、QRコードリーダ300をカード搬送方向と直角な方向に貫通する2本の支持棒302を固着し、両側板2a、2bの下部(図2においては上部)に懸架されたリーダムシャフト303の両側に一端を回転可能に取付けた腕部材304の他端を支持部材301の長手方向中間部において回転可能に軸支してある。
【0052】
第1搬送ローラ101R1のピンチローラ101p1と第2搬送ローラ101R2のピンチローラ101p2は、両側の支持部材301の前後両端部同士の間に保持されている支軸305に回転自在に支持されている。腕部材304と、これに支持されている支持部材301と、支持棒302を介して支持されているQRコードリーダ300と、前後のピンチローラ101p1〜101p3との組合せで、昇降可能な搬送ローラアセンブリRAが構成されている。昇降可能な構成とされているのは、後述される第1昇降手段610と関連している。
【0053】
[熱可逆性記録手段]
本発明では、熱可逆性記録手段として、下記の構造及び特性を有するサーマルヘッド400a、400bを用い、その2個のサーマルヘッドを搬送路の上側と下側にその搬送路を挟んで配置してある。サーマルヘッド400a、400bは、いずれも先端に1インチ当たり200〜300ドットの密度で一列に並べて配置された微小発熱素子群と、上位装置から与えられる印刷情報を元に各発熱素子に所定の熱エネルギーを発生させる制御回路とを有するものである。発熱素子には発熱温度で抵抗値が変化する抵抗体であるサーミスタが使用されている。印刷時は、サーマルヘッドの先端部にカードを接触させて、ヘッドの発熱素子の密度が200dpiであれば、カードを1/200インチのピッチで移動(搬送)させることにより印刷が行われる。
【0054】
サーマルヘッド400a、400bは、その特性として、電流を印加すると発熱素子が急加熱し、電流印加を遮断することで発熱素子が急冷却する。また、第一の特定温度(170〜180℃)で発色し、第一の特定温度よりも低い第二の特定温度(120〜140℃)で消色する。従って、各発熱素子を印刷情報に基づいて発熱制御することでサーマルヘッド400a、400bの先端に当接して搬送(副走査)されるカードの熱可逆記録面に所望の文字、数字又はQRコードを含む画像を印刷(発色)することができる。
【0055】
上記サーマルヘッド400a、400bは、それぞれ上記特許文献1に記載の印刷制御装置の一構成要素として用いることができる。その印刷制御装置は、上記サーマルヘッドと、その各発熱素子に流れる電流回路について、発熱駆動時と温度検知時に切り替える制御回路と、温度検知時に流れる電流から各発熱素子の温度値を電圧値に変換し検知する回路と、同電圧をデジタル変換するアナログ/デジタル変換回路と、そのデジタル値を加熱開始時から積算する積算器と、同積算器の積算値と予め設定された上位装置から送られてきた該当部分の印刷濃度設定値とを大小比較する比較器と、その比較器で目標濃度に達したことを検出したならば、発熱素子の発熱駆動を停止する回路とから構成されている。
【0056】
カード表面のライン毎に与える熱エネルギー積算値を逐次その表面温度を検知しつつ行うので、熱可逆性記録層に対してきわめて高精度の発色温度管理が可能である。従って、上位装置から送る印刷情報(印刷濃度設定値)に階調度を指定する階調指定信号を付加することにより、サーマルヘッド400a、400bの一方又は双方によって所望の階調度の画像の多段階濃度印刷が可能となり、写真画質と変わらない印刷を高速で行うことができる。
【0057】
熱可逆性記録層には、モノクロ発色熱可逆性記録層、2色発色熱可逆性記録層、あるいはカラー発色熱可逆性記録層などが使用可能である。これらの感熱記録装置の各色の発生特性は、印刷時の発色濃度がサーマルヘッド上の発熱素子で印加される発熱エネルギーによって決定されることである。そして、印刷制御においては、カード上の発熱素子の温度測定を行い、その値を時々刻々積算し、その積算値が目標設定値になるまで加熱していき、積算値が目標設定値になったとき、加熱駆動を停止させる。
【0058】
[第1サーマルヘッド]
第1サーマルヘッド400a(以下、Pヘッドという場合がある。)は、図8、図16に示すように、レジストセンサ200cのカード取込方向直後においてカード搬送面の上側に、その搬送面の下側に設けられた第1プラテンローラ104aに対向させて設置されている。そして、第1サーマルヘッド400aは、搬送されるカードに対して確実に熱可逆反応を起こさせるため、昇降可能に取付けられ、かつ、常に第1プラテンローラ104a方向に付勢されている。
【0059】
そのための取付構造の一例を説明すると、上フレーム2の両側の側板2a、2bに一端が軸支されたヘッドアーム401の他端を第1サーマルヘッド400aの両側に回転可能に結合し、その第1サーマルヘッド400aを側板2a、2bに設けられたガイド部材402に昇降可能に保持するとともに、付勢部材により常に下方に付勢させて、第1サーマルヘッド400aの発熱面が第1プラテンローラ104aに圧接されるようにしてある。付勢部材は、例えば、コイルバネ403aであり、その上端部が第1サーマルヘッド400aに結合されているとともに、その下端部が上フレーム2に突設された軸404aに固定してある。
【0060】
[第2サーマルヘッド]
第2サーマルヘッドPヘッド(以下、Sヘッドという場合がある。)は、図9、図16に示すように、第1サーマルヘッド400aからカード取込方向にわずかに離れた位置において、カード搬送面よりも下側に、その搬送面の上側に設けられた第2プラテンローラ104bに対向させて設置されている。そして、搬送されるカードに対して確実に熱可逆反応を起こさせるため、第1サーマルヘッド400aの場合と同様に、コイルバネ403a、軸404aにより昇降可能に取付けられ、かつ、常に第2プラテンローラ104b方向に付勢されていて、第2サーマルヘッドの発熱面が第2プラテンローラ104bに当接することができる。
【0061】
[昇降手段とモード切替機構]
搬送ローラのピンチローラ101p1〜101p3が常にフィードローラ101f1〜101f3に圧接していると、カードがその搬送ローラ101のニップ部に進入するときに衝撃を受けるため、カードの搬送精度に影響を与える。QRコードリーダ300が常に読取位置に存在している場合も、同様に搬送精度に影響を与える。さらに、二つのサーマルヘッド400a、400bが常にプラテンローラ104a、104bに圧接されていると、カードがそのサーマルヘッドとプラテンローラの間に進入するときに衝撃を受けるため、カードの搬送精度に影響を与える。このような搬送精度の変化は、サーマルヘッド400a、400bによる印刷品質及びQRコードリーダ300による読取精度を低下させる原因となるので、好ましくない。
【0062】
本発明の好ましい実施の形態は、基本情報又は可変情報の中に写真と同程度の高解像度画像の印刷を可能にすることを目的として、搬送手段の搬送精度及び二つのサーマルヘッドによる印刷精度を高めるため、次述される昇降手段600とモード切替機構700を備えている。
【0063】
[昇降手段]
昇降手段には、ピンチローラ101p1〜101p3及びQRコードリーダ300を所定のタイミングで昇降させる第1昇降手段610と、第1サーマルヘッド400aを所定のタイミングで昇降させる第2昇降手段620と、第2サーマルヘッドPヘッドを所定のタイミングで昇降させる第3昇降手段630とがある。
【0064】
第1昇降手段610は、図14〜図17に示すように、後述されるコントロールシャフト701に固着されたリーダドライブカム611と、L字形をなし、その屈曲部において下フレーム1に支軸612aにより揺動自在に取付けられ、下端にカムフォロワ613を、上端に押圧片614をそれぞれ有するリーダドライブアーム615と、カード搬送方向のほぼ中間点において支軸612bにより下フレーム1に揺動自在に支持され、カード取込方向後端部にリーダドライブアーム611の押圧片614の下側に設けられた被押圧片616を有するリーダム617と、そのリーダム617の先端に設けられたリーダリトラクトアーム618とからなっている。
【0065】
下フレーム1の側板1a、1bには、リーダム617の前端部付近において縦孔又は縦溝619が形成され、その縦溝に両側板間を連続する支持棒6110が昇降自在に嵌合されている。その支持棒6110の両側板内側付近に、カード搬送方向に長い天秤状に形成されている前記リーダリトラクトアーム618が、その中間部において固着されている。そして、リーダリトラクトアーム618の上部から両側板1a、1b方向に延びるガイド軸6111が縦溝619に昇降自在に嵌合されて、リーダリトラクトアーム618を常時水平状態に維持させている。そして、リーダリトラクトアーム618の両端の上側に、図16に示すように、搬送ローラアセンブリRAの第1ピンチローラ101p1と第2ピンチローラ101p2の支軸が支えられている。
なお、図17の6112は、リーダム617が第2搬送ローラ101R2のフィードローラ101f2により揺動を妨げられないように設けた楕円孔である。
【0066】
第2昇降手段620は、図9、図15、図18(a)に示すように、後述されるコントロールシャフト701に固着されたPヘッドリトラクトカム621と、フレーム1に屈曲部において支軸622により揺動自在に取付けられ、下端にカムフォロワ623を、上端に押圧片624を有するL字形のPヘッドリトラクトアーム625とからなっている。Pヘッドリトラクトアーム625の押圧片624は、第1サーマルヘッド400aの下面に当接されている。
【0067】
第3昇降手段630は、図9、図15、図18(b)に示すように、後述されるコントロールシャフト701に固着されたSヘッドリトラクトカム631と、フレーム1に屈曲部において支軸632により揺動自在に取付けられ、上端にカムフォロワ633を、下端に押圧片634を有するL字形のSヘッドリトラクトアーム635とからなっている。Sヘッドリトラクトアーム635の押圧片634は、第2サーマルヘッド104bの下部の上面に当接されている。
【0068】
[モード切替機構]
本発明の好ましい実施の形態おいては、上記のように、搬送ローラのピンチローラ101p1〜101p3及びQRコードリーダ300を昇降可能に支持し、かつ、サーマルヘッド400a、400bを昇降可能に取り付け、コントロールシャフト701を所定方向に所定角度回転することでその昇降を所定タイミングで制御することにより、搬送精度の低下を未然に防止している。そして、これらのピンチローラ101p1〜101p3及びQRコードリーダ300の昇降パターン並びにサーマルヘッド400a、400bの昇降パターンを切り替えるためにモード切替機構700が設けられている。
【0069】
モード切替機構700は、上記各昇降手段610、620、630をホームポジション(HP)に維持するHPモードと、上記各昇降手段をカードの上面(表面)にリライトする際の位置に移動する上面リライトモードと、上記各昇降手段をカードの下面(裏面)にリライトする際の位置に移動する下面リライトモードとの3つのモードのいずれかに設定するものである。
【0070】
続いて、図9、図16、図19A〜図19Cを基にモード切替機構の構成と動作について説明する。
モード切替機構700は、下フレーム1に取付けられたモードモータM2を有する。このモードモータM2には、回転方向が一方向(CW)のパルスモーターを用いている。モードモータM2の回転軸上にはギヤG1が固着されている。下フレーム1の両側板1a、1bに回転可能に懸架されたモード切替用のコントロールシャフト701上にもギヤG6が固着されている。そして、モードモータM2のケースに伝動手段と減速手段を兼ねるギヤ列G2〜G5が設けられ、その始端のギヤG2は、モードモータM2のギヤG1に噛合され、終端のギヤG5はコントロールシャフト701上のギヤG6に噛合されていて、モードモータM2の回転によりコントロールシャフト701が一定方向に回転されるようになっている。
【0071】
コントロールシャフト701上には、図9に示すように、その左右両側に、上記各昇降手段610、620、630を介してQRコードリーダ300とピンチローラ101p1〜101p3、Pヘッド400a及びSヘッド400bの位置をそれぞれHPモード、上面リライトモード、下面リライトモードの3つのモードに切り替えるためのカム、すなわち、第1昇降手段610のモード切替機構を構成する上記リーダドライブカム611、第2昇降手段620のモード切替機構を構成する上記Pヘッドリトラクトカム621、第3昇降手段630のモード切替機構を構成するSヘッドリトラクトカム631が固着されている。
【0072】
モード切替機構700は、現在、上記駆動要素がHPモード、上面リライトモード、下面リライトモードの3つのモードのいずれにあるかを検知し、制御信号を受けた場合に所定のモードに移行させるためのモード検出手段を有している。モード検出手段は、コントロールシャフト701の回転角度、従って、リーダドライブカム611、Pヘッドリトラクトカム621、Sヘッドリトラクトカム631のそれぞれの回転角度が所定の角度にあるか否かを検知するものであり、コントロールシャフト701に固着された第1スリットディスク702aと第2スリットディスク702bの2個のスリットディスクと、これらの2個のスリットディスクのスリットをそれぞれ検知する第1モードセンサ703aと第2モードセンサ703bの2個のモードセンサとからなっている。スリットディスクは、いずれも2個のスリットを中心間角度が120度となるように有しており、2個のスリットディスク702a、702bと2個のモードセンサ703a、703bは、コントロールシャフト701が120度回転されるたびに2個のモードセンサの一方のみON又は双方がONされるように2個のスリットディスクが各スリットの位置を回転方向に所定角度ずらして取付けられている。モードセンサには、一例として、スリットを検知した時、モードセンサがONする光電センサが用いられている。
【0073】
各モードにおける駆動要素とモードセンサの状態は、次の通りである。すなわち、コントロールシャフト701の角度がHPに存在する時、換言すると、HPモードにおいては、図18A(b)に示すように、第1スリットディスク702aの第2のスリットs2が第1モードセンサ703aをONさせ、第2スリットディスク702bは第2モードセンサ703bをOFFさせる。
【0074】
HPモードにおいては、図19A(a)に示すように、リーダドライブカム611の回転角度はリーダドライブアーム615、リーダム617及びリーダリトラクトアーム618を介して搬送ローラアセンブリRAを閉じる状態、すなわち、搬送ローラ101R1、101R2のピンチローラ101P1、101P2がフィードローラ101f1、101f2に押圧されてカード搬送可能な状態にあり、Pヘッドリトラクトカム621の回転角度はPヘッドリトラクトアーム622を介してPヘッド400aを退避位置、すなわち、上昇させた位置にあり、Sヘッドリトラクトカム631の回転角度はSヘッドリトラクトアーム632を介してSヘッド400bを退避位置、すなわち、下降させた位置にある。
【0075】
モードモータM2が所定方向に所定角度回転して、コントロールシャフト701が所定方向(図面上は時計方向)に120度回転されると、図19B(b)に示すように、第1スリットディスク702aは第1モードセンサ703aをOFFさせ、第2スリットディスク702bは第1のスリットs1が第2モードセンサ703bをONさせたとき、モードモータM2が回転を停止し、上面リライトモードとなる。この上面リライトモードにおいては、図19B(a)に示すように、リーダドライブカム611の回転角度はリーダドライブアーム615、リーダム617及びリーダリトラクトアーム618を介して搬送ローラアセンブリRAを開ける状態、すなわち、搬送ローラのピンチローラ101p1、101p2がフィードローラ101f1、101f2から上方に離間され、QRコードリーダ300がカード搬送面から上方に離間された状態となり、Pヘッドリトラクトカム621の回転角度はPヘッドリトラクトアーム625を介してPヘッド400aを下降させて第1プラテンローラ104aに圧接させ、Sヘッドリトラクトカム631の回転角度はSヘッドリトラクトアーム635を介してSヘッド400bを退避位置、すなわち、第2プラテンローラ104bから下方に離間させた位置に維持する。
【0076】
そして、再び、モードモータM2が所定方向に所定角度回転して、コントロールシャフト701が所定方向にさらに120度回転されると、図19C(b)に示すように、第1スリットディスク702aは第1のスリットが第1モードセンサ703aをONさせ、第2スリットディスク702bは第2のスリットが第2モードセンサ703bをONさせたとき、モードモータM2が回転を停止し、下面リライトモードになる。この下面リライトモードにおいては、図19C(a)に示すように、リーダドライブカム611の回転角度は搬送ローラアセンブリRAを開ける状態、すなわち、搬送ローラの101p1、101p2がフィードローラ101f1、101f2から離間された状態を維持し、Pヘッドリトラクトカム621の回転角度はPヘッド400aを退避位置、すなわち、第1プラテンローラ104aから離間させた位置に上昇させ、Sヘッドリトラクトカム631の回転角度はSヘッドリトラクトアーム635を介してSヘッド400bを第2プラテンローラ104bに圧接する位置に下降させる。
【0077】
[制御手段]
制御装置500は、上記検知手段200a〜200c、モードセンサ703a、703bからの検知信号や上位装置からの印刷情報に基づいて上記搬送手段の搬送モータM1の駆動制御、QRコードリーダ300の読取制御、二つのサーマルヘッド400a、400bの印刷制御、モード切替機構700のモードモータM2の駆動制御を行うものであり、入出力インターフェース及び記憶部に接続された中央処理部(CPU)により構成される。
【0078】
このプリンタAが独立型で使用される場合は、図示されていないが、上記筐体Hの上面には、カードから読み取ったQRコードに基づいて可読情報に変換された内容を表示する表示部、取引内容を入力するための置数キーその他の入力部が設けられ、このプリンタAが上位装置、例えばPOSシステムなどのコンピュータに接続して使用される場合は、筐体Hの上面には何も設けられない。
【0079】
進んで、プリンタAの上記構成による作用を図20以下の図面を参照しながら説明する。
[初期化動作]
プリンタAを使用するため電源を投入すると、予め設定されている複数のプログラムが順次実行され、最初に、図20に示すようにイニシャル動作が開始される。すなわち、ステップ(以下、Sという。)11において現在のモードがHPモードに指定されているか否かを調べ、HPモードに指定されている場合は、第1カードセンサ200a、第2カードセンサ200b、レジストセンサ200c及びQRコードリーダ300の検知信号からカードを検知しているか否かを調べる(S12)。カードありの場合は、S13において、図21に基づいて後述される排紙動作のルーチンに移行し、その排紙動作のルーチンを実行した後はモードモータM2を時計方向(CW)に回転させ(S14)、第1モードセンサ703aがOFFからONに切り替わった時(S15においてY)からモードモータM2をさらに極少の所定ステップ(例えば18ステップ)だけ時計方向(CW)に回転させて(S16)、イニシャル動作を終了する。
【0080】
S11において現在のモードがHPモード以外に指定されている場合は、S17において、図22に基づいて後述されるHP移行動作のルーチンに移行し、そのHP移行動作のルーチンを実行した後は、搬送モータM1を隣接する検知手段間距離(例えば第1カードセンサ200aとレジストセンサ200cの間の距離など)のうち最大距離よりも僅かに大きい距離を搬送できる数のステップだけ反時計方向(CCW)に回転させ(S18)、その回転後、第1カードセンサ200aのみがカードを検知しているか否かを調べる(S19)。その結果、第1カードセンサ200aのみにカードがある時はイニシャル動作を終了する。しかし、そうでない時はジャムと判定して、警報を発する。S12においてカードが検知されないときは、S18に移行する。
【0081】
[排紙動作]
排紙動作のルーチンにおいては、まずS21において、現在、HPモードか否かを確認し、HPモードでないときは、S22において後述されるHP移行動作のルーチンに移行し、HPモードであるときは、第2カードセンサのみがONであるか否かを調べる(S23)。第2カードセンサのみがONであるとき、すなわち、カードが搬送路の最奥に存在するときは、搬送モータM1を第1カードセンサ200aがONされるまで、反時計方向に回転させる(S24、S25)。第1カードセンサ200aがONされたときは、搬送モータM1をさらに所定ステップ、すなわち、カードの先端が取込兼排出口に突出されるまで回転させて(S26)、第1カードセンサ200aのみがONされたか否かを調べる(S27)。第1カードセンサ200aのみがONとなったときは排紙動作を終了する。しかし、第1カードセンサ200aのみがONの状態にならない場合は、搬送エラーなどのエラー表示がされる。
【0082】
また、S23において、第2カードセンサ200bのみがONでないときは、レジストセンサ200cと第2カードセンサ200bがともにONであるか否かを調べ(S28)、肯定のときはS24に移行するが、否定のときは、レジストセンサ200cと第1カードセンサ200aがともにONであるか否かを調べ(S29)、肯定であるときは、搬送モータM1をレジストセンサ200cがOFFするまで反時計方向に回転させる(S210、S211)。そして、レジストセンサ200cがOFFした後は、搬送モータM1をカードの先端が取込兼排出口3に突出されるまでさらに所定ステップ(例えば1800ステップ)、反時計方向に回転させて停止する(S212)。S29において、レジストセンサ200cと第1カードセンサ200aがともにONでないときは、第1カードセンサ200aのみがONか否かを調べ(S213)、肯定のときはS212に移行するが、否定のときはエラー表示をする。
【0083】
[HP移行動作]
図20のS17及び図21のS22のHP移行動作は、同一内容であり、図22に示すように、まず、S31において、第1モードセンサ703aがONで、かつ、第2モードセンサ703bがOFFであるか否かを調べ、肯定であるときはHP移行動作を終了する。これに対し、否定であるときは、モードモータM2を所定ステップ(例えば150ステップ)時計方向に回転(S32)した後、再度、第1モードセンサ703aがONで、かつ、第2モードセンサ703bがOFFであるか否かを調べる(S33)。そして、肯定のときはモードモータM2を所定ステップ(例えば18ステップ)時計方向に回転した後、回転を停止する(S34)。
【0084】
最初のモードモータM2の回転を開始した後のS33における判定が否定であるときは、そのときのモードモータM2に与えたパルス数が所定値(例えば500ステップ)以下か否かを調べ、肯定のときはS32に移行し、否定のとき、すなわち、モードモータM2へのパルス数が前記所定値を超えたときは、エラー表示をする。
【0085】
以上の初期化動作が終了し、正常に初期化された後は、プリンタAが定常的な運用に供される。そして、取込兼排出口3に所定のカード、すなわち、上述された熱可逆記録層を表裏両面に有するカードが挿入されると、図23に示すように、一連動作のプログラムが実行される。
【0086】
[一連動作]
まず、S41において後述される給紙動作ルーチンが実行され、続いて、後述される上面リライト移行動作ルーチンが実行(S42)された後、カードの上面に印刷するための上面リライトコマンドが入力されたか否かを調べる(S43)。肯定のときは、後述される上面リライト動作のルーチンが実行される(S44)。上面リライト動作を終了すると、カードの下面に印刷するための下面リライトコマンドが入力されたか否かを調べる(S45)。肯定のときは、後述される下面リライト移行動作ルーチンが実行(S46)された後、続いて、後述される下面リライト動作のルーチンが実行される(S47)。下面リライト動作を終了すると、搬送モータM1の反時計方向の回転が開始される(S49)。
【0087】
S45において下面リライトコマンドが入力されないときは、上記HP移行動作ルーチンが実行されると同時に搬送モータM1の回転を瞬時(例えば50Ms)、停止した後、S49に移行して搬送モータM1の反時計方向の回転が開始される。
【0088】
次に、S49において、QRコードが正常に印刷されているかどうかをチェックするためのQRベリファイチェックコマンドが入力されたか否かを調べ(S410)、肯定のときは、後述されるQRベリファイチェック動作のルーチンを実行する(S411)。その後、搬送モータM1の反時計方向の回転を継続し(S412)、QRコードリーダがカードなしを検知したか否かを調べ(S413)、否定のときは、カードなしを検知するまで搬送モータM1の反時計方向の回転を継続して、カードなしを検知したときは、搬送モータM1を所定ステップ(例えば1000ステップ)反時計方向に回転した後、停止する(S414)。S410においてQRベリファイチェックコマンドの入力がないとは、S415において上述した排紙動作ルーチンが実行された後、一連動作を終了する。
【0089】
[給紙動作]
図23のS41における上記給紙動作は、図24に示すように、S51において、第1モードセンサ703aがON、かつ、第2モードセンサ703bがOFFであるか否かを調べ、肯定であるときは、第1カードセンサ200aがカード有りと検知しているか否かを調べる(S52)。S51において否定であるときは、上記HP移行動作ルーチンを実行(S53)した後、S52に移行する。そして、S52において肯定であるときは、搬送モータM1を時計方向に回転(S54)させた後、S55とS56を並行して行い、レジストセンサ200cがカードを検知したか否か、QRコードリーダ300がカードを検知したか否かを調べる。
【0090】
そして、S55において肯定であるときは搬送モータM1を時計方向に所定ステップ(例えば776ステップ)回転した後、すなわち、カードをQRコードリーダ300による読取領域まで搬送した後、停止する(S57)。S55において否定であるときは搬送モータM1に与えたパルス数が所定値(例えば2000ステップ)以下であるか否かを調べ(S58)、肯定であるときはS54に戻って搬送モータの時計方向の回転を継続する。しかし、否定であるときは、ジャム表示をする。
【0091】
また、S56において肯定であるとき、すなわちQRコードリーダ300がカードを検知したときは、S59において後述されるQRコード読取ルーチンを実行する。S56において否定であるときは、搬送モータM1に与えたパルス数が所定値(例えば2000ステップ)以下であるか否かを調べ(S510)、肯定であるときはS54に戻って搬送モータの時計方向の回転を継続する。しかし、否定であるときは、搬送モータM1の回転を停止する(S511)とともに、カードの再セットを要求する表示を行う。
【0092】
S59でのQRコード読取を終了した後は、その読取の結果が正常であるか否かを判断し(S512)、正常であるときはレジストセンサ200cがカード有りを検知し、かつ、第1カードセンサ200aがカード無しを検知しているか否かを調べる(S513)。そして、肯定のときは、給紙動作を終了し、否定であるときは、ジャム表示をする。S512においてQRコードの読取結果が正常でないときは、S514において上記排紙動作ルーチンを実行するとともに、読取エラーを表示する。
【0093】
[QRコード読取]
給紙動作中にS59において行われるQRコード読取は、図25に示すように、搬送モータM1の前速度の回転を継続し(S61)、カード上のQRコードを認知したか否かを調べ(S62)、認知した時は前速度で搬送したままQRコードのセルを読み取る(S63)。先の提案に係る発明においては、QRコードのセルを読み取ることでQRコード読取処理を終了した。しかし、本発明においては、QRコードのセルを読み取ることでQRコード読取処理を終了しない。
【0094】
QRコードは、図32、図33に符号QRで示すように、3個の切り出しシンボルsyと、1個のアライメントパターンapと、フォーマット情報fiと、タイミングパターンtpと、セパレータspを有し、これらの間にデータセルdsを有している。切り出しシンボルsyは、その形状からどの角度に回転していても位置の検出と、3個の切り出しシンボルsyの位置関係から回転角度の認識が可能であるため、どの方向からもQRコードの読取が可能であるという特性を有する。
【0095】
そこで、本発明は、リライトカードの取込時の姿勢(表裏・前後)如何に関わりなくスループットの向上を図るという目的を達成するため、上記QRコードの特性を活用することを案出した。その活用のため、第一には、図2に示すように、制御装置500に、QRコード位置検索部501と、デコード部502と、演算処理部503と、編集部504と、印刷制御部505とを備えた。また、プリンタAが独立型である場合は、制御装置500に新たな情報を入力するための入力部506が接続される。プリンタAが独立型でない場合は、制御装置500に入力部506に代えて又は入力部506とともに、図示されていないインターフェースを介して外部の上位装置、例えばPOSシステムなどのコンピュータが接続される。
【0096】
そして、第二に、QRコード読取の際に、図25に示すように、QRコードリーダ300によりカードのQRコードのセルを読み取って(S63)、メモリ800に記憶するとともに、読取ったQRコードの3個の切り出しシンボルsyの位置関係から当該カードの取込時の姿勢(QRコードの位置)を検索し(S64)、その検索結果(QRコード位置情報)をメモリ800に記憶するとともに、そのQRコード位置情報(取込時姿勢)に応じてそのカードから読取ったQRコードをデコード部502によりデコードし、かつ、そのデコードしたデータと入力部506から与えられる情報を演算処理部503により処理し、その処理結果である新規情報を編集部504により第1サーマルヘッド400a及び第2サーマルヘッド400bによりそのカードにその姿勢に応じた向きに印刷するように編集し、その編集結果をリライトコマンドとして印刷制御部505に与える処理(S65,S66)をさせるようにした。
【0097】
プリンタAが上位装置に接続されている形態においては、デコード部502によりデコードしたデータをインターフェースを介してその上位装置に出力し、上位装置の演算処理部による演算結果を新規情報として前記インターフェースを介してプリンタAの編集部504に入力することとなる。
【0098】
[上面リライト移行動作]
図23のS42の上面リライト移行動作は、図26に示すように、S71において、第1モードセンサ703aがOFFで、かつ、第2モードセンサ703bがONであるか否かを調べる。肯定であるときは上面リライト移行動作を終了する。これに対して、否定であるときは、モードモータM2を時計方向に回転し(S72)、再び第1モードセンサ703aがOFFで、かつ、第2モードセンサ703bがONであるか否かを調べる(S73)。その結果が肯定であるときはモードモータM2を所定ステップ(例えば18ステップ)回転させた後、停止する(S74)。そして、S73において否定であるときは、モードモータM2に与えられたパルス数が所定値(例えば500ステップ)以下であるか否かを調べ(S75)、肯定であるときはS72に戻り、モードモータM2の回転を継続させる。これに対して、S75において否定であるときは、エラー表示をする。
【0099】
[上面リライト動作]
図23のS44の上面リライト移行動作は、図27に示すように、S81において、搬送モータM1を時計方向に所定ステップ回転させた後、第1サーマルヘッド(図27においては上ヘッドと記載)400aに前記編集結果に基づいて所定の印刷を行うための発熱素子ごとの電流印加を行い(S82)、続いて、搬送モータM1をカードの1ライン分移動(副走査)させるに必要なステップ(例えば3ステップ)だけ回転(S83)させた後、カード移動(副走査)をリライトすべき全ライン数分終了したか否かを調べ(S84)、未終了のときはS82に戻って、全ライン数分終了するまで第1サーマルヘッドへの電流印加と、カードの1ライン分移動(副走査)を繰り返し、全ラインに対するリライトが終了したとき、搬送モータM1の回転を減速し、停止する(S85)。
【0100】
[下面リライト移行動作]
また、図23のS46の下面リライト移行動作は、図28に示すように、S91において、第1モードセンサ703aと第2モードセンサ703bがともにONであるか否かを調べる。肯定であるときは下面リライト移行動作を終了する。これに対して、否定であるときは、モードモータM2を時計方向に回転し(S92)、再び第1モードセンサ702aと第2モードセンサ703bがともにONであるか否かを調べる(S93)。その結果が肯定であるときはモードモータM2を所定ステップ(例えば18ステップ)回転させた後、停止する(S94)。そして、S93において否定であるときは、モードモータM2に与えられたパルス数が所定値(例えば500ステップ)以下であるか否かを調べ(S95)、肯定であるときはS92に戻り、モードモータM2の回転を継続させる。これに対して、S95において否定であるときは、エラー表示をする。
【0101】
[下面リライト動作]
図23のS47の下面リライト動作は、図29に示すように、まず、S101において、搬送モータM1を反時計方向に所定ステップ回転させた後、第2サーマルヘッド(図29においては下ヘッドと記載)400bに前記編集結果に基づいて所定の印刷を行うための発熱素子ごとの電流印加を行い(S102)、続いて、搬送モータM1をカードの1ライン分移動(副走査)させるに必要なステップ(例えば3ステップ)だけ回転(S103)させた後、カード移動(副走査)をリライトすべき全ライン数分終了したか否かを調べ(S104)、未終了のときはS102に戻って、予め設定された所定ライン数分終了するまで第2サーマルヘッドへの電流印加と、カードの1ライン分移動(副走査)を繰り返し(S106、S107、S108において否定)、所定ライン数に対するリライトが終了した後(S108において肯定)、搬送モータM1の反時計方向の回転を停止(S109)するとともに、S110においてHP移行動作を行う。
【0102】
[QRベリファイチェック動作]
図23のS411のQRベリファイチェック動作においては、図30に示すように、搬送モータM1の前速度の反時計方向回転を継続して(S111)、QRコードリーダがカードを検知したか否かを調べ(S112)、肯定であるときはそのカードのQRコードを認知したか否かを調べる(S113)。そして、認知したときは搬送モータM1の前速度の反時計方向回転を維持したままQRコードのセル読取(S114)を行ってQRベリファイチェック動作を終了する。QRベリファイチェックの正否判定は制御装置500の中の演算処理部503が行う。S112においてQRコードリーダがカードを検知しないときは、その時の搬送モータM1に与えるパルス数が、カードの先端がQRコードリーダの読取領域に到達するのに必要な所定値(例えば1500ステップ)以下か否かを調べ(S115)、肯定のときはS111に戻り、否定のときはジャム表示を行う。
【0103】
[タイムチャート]
プリンタAの一連動作のタイムチャートを例示すると、図31のとおりである。以下、これについて説明する。なお、搬送中のカードのジャム、モードモータM2のエラー、QRコードリーダの読取エラーなどの異常の発生は想定されていない。
【0104】
HPモードにおいて挿入されたカードを第1カードセンサ200aが検知したことに基づき搬送モータM1が時計方向回転を開始されてカードが取込方向に搬送される。そして、QRコードリーダ300が搬送されるカードの先端を検知してから所定ステップ搬送された時点からQRコードリーダによるQRコードの読取が行われる。そして、レジストセンサ200cがカード先端を検知した時点から所定ステップ数の後に、すなわち、QRコードの読取終了の値に、搬送モータM1の回転が停止されると同時にモードモータM2が所定角度回転されてHPモードから上面リライト移行動作を経て上面リライトモードに切り替えられる。
【0105】
従って、それまで退避位置に保持されていたPヘッド400aが第1プラテンローラ104aに圧接されるとともに、それまで閉じられていた搬送ローラアセンブリRAは開放される。すなわち、カードが搬送ローラアセンブリRAから離れる時にカードに振動が加わることが避けられ、その後のカード搬送はPヘッドに圧接している下側のプラテンローラのみによって行われるので、カードは振動することなく、非常に安定して搬送される。
【0106】
QRコードの読取により得られたデータ(QRコード位置検索結果及びデコード部502により解読されたデータ)は、独立型のプリンタにおいては演算処理部503に与えられ、その演算処理部503において入力部506から与えられる情報と解読されたデータを用いて演算処理し、その処理結果である新規情報を編集部504により第1サーマルヘッド400a及び第2サーマルヘッド400bによりそのカードにその姿勢に応じた向きに印刷するように編集し、その編集結果を印刷制御部505に与えるので、印刷制御部505は当該カードの取込時姿勢に対応するリライトコマンドを作成して出力すると、Pヘッドにより当該カードの上面(A面)リライト領域に対する上面リライト動作及びQRコードのリライト動作が行われる。
【0107】
上位装置に接続されているプリンタにおいては、デコード部502により解読されたデータが上位装置に送られ、その上位装置における演算処理に用いられる。その上位装置による演算処理の結果が新規情報としてプリンタに送られてくると、その新規情報が前述した場合と同様に編集部504により編集され、その編集結果が印刷制御部505に与えられ、当該カードの取込時姿勢に対応するリライトコマンドが出力されて、Pヘッドによる当該カードの上面(A面)リライト領域に対する上面リライト動作及びQRコードのリライト動作が行われる。
【0108】
リライトコマンド(印刷情報)の入力が無くなると、搬送モータM1の回転が停止されると同時にモードモータM2が所定角度回転されて上面リライトモードから下面リライト移行動作を経て下面リライトモードに切り替えられる。すなわち、それまで下側のプラテンローラ104bに圧接されていたPヘッドが退避されるとともに、それまで退避されていたSヘッドが上側のプラテンローラ104aに圧接される。その後、搬送モータM1が反時計方向に回転されるとともに、カードの裏面に対するリライトコマンド(印刷情報)に基づいてB面(下面)リライト領域に対する下面リライト動作が行われる。この間も、搬送ローラアセンブリRAは開放状態に維持されている。
【0109】
カードのB面に対するリライトが終了すると、モードモータM2が所定角度回転されてHPモード移行動作を経てHPモードに復帰され、カードに密着しているQRコードリーダ300によるQRベリファイチェック動作が行われる。このQRベリファイチェック動作により得られたQRデータは、制御装置500によるQRベリファイに用いられる。搬送モータM1の反時計方向回転は、QRベリファイチェック動作が終了した後に停止され、一枚のカードに対する印刷動作が終了する。
【0110】
上記上面リライト動作及び下面リライト動作における第1サーマルヘッド400a及び第2サーマルヘッド400bによるカードに対する印刷は、上記QRコード読取におけるカード姿勢の判定結果(QRコード位置検索結果)により、カードの取込時姿勢に応じて行われる。以下に、本発明によるプリンタにおいて、カードの取込時姿勢の如何に関わりなくQRコードの読取及び印刷並びに所定印刷領域に対する可読情報の印刷が可能なカードの種類と、当該種類のカードに対するQRコード読取処理及び印刷処理について、以下に説明する。
【0111】
図34は、本発明によるプリンタにおいて使用可能な第1種類のカードC1の一例を示す。第1種類のカードC1は、矩形のカードであって、その矩形の短辺に直交する中心線に関して対称の位置のA面とB面の、一方の短辺、例えば前部短辺aに近い位置に、同短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが1個ずつAQR1,BQR1、合計2個設けられたものである。
【0112】
同図(a)は、前部短辺aを取込方向に向けたカードC1のA面を示し、同図(b)は同カードのB面を示している。A面、B面のいずれも、これを上面に向けて前部短辺aを取込方向に向けた姿勢、すなわち、QRコードの切り出しシンボルsyの位置方向が取込方向と一致している正姿勢である場合においては、QRコードAQR1,BQR1はいずれも前部短辺aに近い等距離の右側長辺d,cに近い位置に存在する。
【0113】
従って、第1種類のカードC1を前部短辺aを取込方向に向けた正姿勢でプリンタに取り込む場合は、A面、B面のいずれを上向きにする場合も、図35に示すように、搬送されるカードC1の所定の到達位置において、そのカードに対してカードセンサによる位置検知、QRコードリーダ300によるQRコード読取、第1サーマルヘッド400aによるカード上面に対するQRコード及び可読情報のリライト並びに第2サーマルヘッド400bによるカード下面に対する可読情報のリライトなどの所定の処理が行われる。
【0114】
図34の(c)は、後部短辺bを取込方向に向けたカードC1のA面を示し、同図(d)は同カードのB面を示している。A面、B面のいずれも、これを上面に向けて後部短辺bを取込方向に向けた姿勢、すなわち、QRコードの切り出しシンボルsyの位置方向が取込方向と一致していない逆姿勢である場合においては、二つのQRコードAQR1,BQR1はいずれも後部短辺bから離れた等距離の左側長辺d,cに近い位置に存在する。
【0115】
一般的に、カード搬送距離を短くしてカード処理時間の短縮を図るため、図40の(a)に示すように、正姿勢で挿入されるカードC1の第1印刷領域pa1の前部短辺a側先端からQRコードAQR1,BQR1の終端までの距離x1よりもプリンタにおけるQRコードリーダ300から第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)までの距離y1が若干大きく(x1<y1)設定されている。従って、カードC1の取込時姿勢が正姿勢である場合は、すなわち、図34の(a)(b)の姿勢である場合は、QRコードリーダ300によるQRコードAQR1又はBQR1の読取直後に第1サーマルヘッド400aによる第1印刷領域pa1に対する所定の印刷が可能である。
【0116】
しかし、図40の(b)に示すように、カードC1の取込時姿勢が逆姿勢である場合、すなわち、図34の(c)(d)の姿勢である場合は、カードC1の第1印刷領域pa1の後部短辺b側先端からQRコードAQR1,BQR1の終端までの距離x2が、QRコードリーダ300から第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)までの距離y1よりも大きくなる(x2>y1)。従って、カードの1パス搬送においてQRコードリーダ300によるQRコードAQR1又はBQR1の読取直後に第1サーマルヘッド400aによる第1印刷領域pa1に対する所定の印刷は不可能である。
【0117】
そこで、好ましい実施の形態においては、レジストセンサ200cがカードCの先端を検知した時からQRコードリーダ300によるQRコードAQR1又はBQR1の読取終了時点までのカード搬送ステップ数を監視し、QRコードの読取終了時点において第1印刷領域pa1の先端が第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)を超えたと判断しない場合は、第1印刷領域pa1に対する所定の印刷を行うが、QRコードの読取終了時点において第1印刷領域pa1の先端が第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)を超えたと判断した場合は、第1印刷領域pa1に対する所定の印刷を行わずに、そのカードの取込方向搬送を中止し、搬送手段を逆方向に駆動して、そのカードC1の第1印刷領域pa1の先端が第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)と合致する位置、又はそれよりも取込兼排出口側まで排出方向に搬送し、再び、取込方向に搬送して、第1印刷領域pa1に対する所定の印刷を行うように、制御手段が構成されている。
【0118】
このように、カード搬送制御を若干変更するだけで、上記第1種類のカードC1は、取込姿勢が図34の(a)(b)の正姿勢及び図34の(c)(d)の逆姿勢のいずれの場合にも、当該カードに所定のQRコード及び可読情報のリライトが可能である。
【0119】
第1種類のカードC1を用いる場合に、カードC1の取込時姿勢が正姿勢、逆姿勢のいずれの場合にも、QRコードの読取終了後に逆搬送をすることなく所定の印刷領域に所定の印刷を行うことを可能にするため、本発明の他の実施の形態においては、図40の(c)に示すように、QRコードリーダ300から第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)までの距離y2(なお、y1<y2である。)をカードC1の第1印刷領域pa1の後部短辺b側先端からQRコードAQR1,BQR1の終端までの距離x2よりも若干大きく(x2<y2)するとともに、第2サーマルヘッド400bも若干後方に移動してある。
【0120】
このように、第1サーマルヘッド400a及び第2サーマルヘッド400bの位置関係を改善し、カード搬送制御を若干変更するだけで、上記第1種類のカードC1は、取込姿勢が図34の(a)(b)の正姿勢及び図34の(c)(d)の逆姿勢のいずれの場合にも、搬送時間がごく僅かに延長されるだけで、当該カードに所定のQRコード及び可読情報のリライトが可能である。
【0121】
なお、図34の(c)(d)に示すように、カードを逆姿勢で取り込む場合は、QRコードリーダ300が読取って記憶部800に記憶されるQRコードに基づいてQRコード位置検索部501がそのカードの姿勢が逆姿勢であると判定し、その判定結果に基づき、デコード部502によりQRコードの中のデータが逆順序に置換されて解読される。そして、解読されたデータは演算処理部503による演算処理に用いられ、演算結果は編集部504によりそのカードC1の上面の第1印刷領域及び下面の第2印刷領域に対して、カードの取込時の姿勢(逆姿勢)に対応して印刷するための印刷情報が編集される。
【0122】
図36は、本発明によるプリンタにおいて使用可能な第2種類のカードC2の一例を示す。第2種類のカードC2は、矩形のカードであって、その矩形の短辺と長辺のそれぞれに直交する二つの中心線に関して対称の位置のA面とB面の互いに反対側の長辺に近い位置にそれぞれ1個のQRコードが、合計4個設けられたものである。
【0123】
矩形の短辺と長辺のそれぞれに直交する二つの中心線に関して対称の位置のA面とB面の互いに反対側の長辺に近い位置にQRコードが2個ずつ、合計4個設けられたカードとは、一例として、図36(a)に示すように、カードC2のA面を上向きにして前部短辺aを取込方向に向けた姿勢において、短辺に直交する中心線の取込方向右側の長辺dに近いA面前部位置と短辺に直交する中心線の取込方向左側の長辺cに近いA面後部位置とに、それぞれ近い短辺a,b方向の位置出しシンボルを有するQRコードAQR1,AQR2が印刷され、かつ、図36(b)に示すように、カードC2のB面を上向きにして前部短辺aを取込方向に向けた姿勢において、短辺に直交する中心線の取込方向右側の長辺cに近いB面前部位置と短辺に直交する中心線の取込方向左側の長辺dに近いB面後部位置とに、それぞれ近い短辺a,b方向の位置出しシンボルを有するQRコードBQR1,BQR2が印刷され、しかも、A面側の2個のQRコードAQR1,AQR2とB面側の2個のQRコードBQR1,BQR2は、短辺と直交する中心線及び長辺と直交する中心線に対して対称位置に存在するカードである。
【0124】
図36(c)及び図36(d)は、それぞれ図36(a)及び図36(b)のカードの姿勢を上下の面を変えずに前後逆転したものを示している。これらの図を見ると、第2種類のカードC2は、A面、B面のいずれが上面に向けられても、また、前後いずれの短辺が先行されても、QRコードリーダ300により最初に読取られるQRコード(AQR1,AQR2、BQR1又はBQR2)の切り出しシンボルsyの位置方向が取込方向と一致しているので、QRコード位置検索部501はそのカード取込姿勢が正姿勢であると判定する。従って、その後のデコード処理及び印刷情報の編集処理が正常に行われる。
【0125】
第2種類のカードC2が上記いずれの姿勢で取り込まれる場合も、図37に示すように、搬送されるカードC2の所定の到達位置において、そのカードに対してカードセンサによる位置検知、QRコードリーダ300によるQRコード読取、第1サーマルヘッド400aによるカード上面に対するQRコード及び可読情報のリライト並びに第2サーマルヘッド400bによるカード下面に対する可読情報のリライトなどの所定の処理が行われる。
【0126】
図38は、本発明によるプリンタにおいて使用可能な第3種類のカードC3の一例を示す。このカードC3は、カードのA面とB面の中心に、すなわち、短辺に直交する中心線と長辺に直交する中心線との交点の表裏に、それぞれに一方の短辺(a又はb)方向又は互いに異なる短辺(aとb)方向の位置出しシンボルを有するQRコードAQR,BQR)が印刷されているものである。
【0127】
図38に示されたカードC3の場合は、同図(a)のようにA面を上向きにして前部短辺aを取込方向に向けた姿勢でプリンタに挿入するとき、同図(b)のようにB面を上向きにして前部短辺aを取込方向に向けた姿勢でプリンタに挿入するときは、QRコードリーダ300が読取って記憶部に記憶されるQRコードに基づいてQRコード位置検索部501がそのカードの姿勢が正姿勢(読取ったQRコードが近い短辺a方向の位置出しシンボルを有する場合)であると判定し、その判定結果に基づき、デコード部502によりQRコードの中のデータがそのまま解読され、入出力部503では、その解読されたデータを上位装置に与え、かつ、その上位装置から与えられる印刷情報に基づいて編集部504により、そのカードC3のA面及びB面の印刷領域に対して、カードの取込時姿勢に対応した印刷情報が編集される。そして、取込まれるカードC3のA面に対して、第1サーマルヘッド400aにより第1印刷領域に編集後内容であるQRコード及び基本情報がカードの正姿勢に対応する向きで印刷され、また、排出方向に搬送されるカードC3のB面の第2印刷領域に第2サーマルヘッド400bにより編集後内容がカードの正姿勢に対応する向きで印刷される。
【0128】
これに対して、カードC3を図38(c)のようにA面を上向きにして後部短辺bを取込方向に向けた姿勢でプリンタに挿入するとき、カードC3を同図(d)のようにB面を上向きにして後部短辺bを取込方向に向けた姿勢でプリンタに挿入するときは、QRコードリーダ300が読取って記憶部に記憶されるQRコードAQR,BQRに基づいてQRコード位置検索部501がそのカードC3の姿勢が逆姿勢であると判定し、その判定結果に基づき、デコード部502によりQRコードAQR,BQRの中のデータが逆順序に置換されて解読される。演算処理部503はその解読されたデータと入力部506から入力される情報とに基づいて演算処理し、その演算結果を編集部504により、カードC3のA面の第1印刷領域及びB面の第2印刷領域に対して、カードの取込時姿勢(逆姿勢)に対応した印刷情報が編集される。
【0129】
図38に示された第3種類のカードC3は、その前部短辺a又はbからQRコードAQR,BQRまでの距離(x3。図示省略)が、第1種類のカードC1における前部短辺aからQRコードまでの距離(y1)よりも大きいので、図41(b)において説明したのと同様に、QRコードリーダから第1サーマルヘッド400aまでの距離(y3。図示省略)及び第2サーマルヘッド400bまでの距離(図示省略)をx3<y3の関係式が成立するように設定することにより、図38の(a)〜(d)のいずれの場合も、同一のプリンタで適正なリライトを実現することができる。
【0130】
つまり、第3種類のカードC3を用いる場合は、QRコードリーダの設置位置、第1、第2サーマルヘッドの設置位置及びそれらの間の距離を工夫することにより、カードの取込時姿勢の如何に関係なく、QRコードが正常に読取られ、A面の所定位置にQRコードと可読情報の印刷が、B面に可読情報の印刷が可能である。
【0131】
第3種類のカードC3を第1種類のカードC1処理用のプリンタで使用する場合は、図34の(c)(d)の姿勢に対する制御と同様に、QRコードの読取終了時点において印刷領域の先端が第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)を超えたと判断した場合に、その印刷領域に対する所定の印刷を行わずに、そのカードの取込方向搬送を中止し、搬送手段を逆方向に駆動して、そのカードC3の印刷領域の先端が第1サーマルヘッド400a(の印刷位置)と合致する位置又はそれよりも取込兼排出口側まで排出方向に搬送し、再び、取込方向に搬送して、その印刷領域に対する所定の印刷を行うようにしてもよい。
【0132】
以上のように、本発明によれば、カードの取込時姿勢如何に関わりなく、スループットの向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明に係る上記プリンタAは、従来のカードの磁気記録面を有しないカードを印刷対象とし、そのカードの両面に印刷するので、印刷可能な情報量を飛躍的に増大することが可能であるから、例えば、量販店、スーパーマーケット、小売店、百貨店、ガソリンスタンド、レンタルショップ、美容院やエステティックサロン、ホテル等、商店街、アミューズメント施設、フィットネスクラブなどで使用されるポイントカード、プリペイドカード、病院等で使用される診察券や健診カード、図書館など使用される貸し出しカードに対する印刷を行う際に、例えば、表面には、店名、ポイントカード等のカード種類その他の基本情報のほか、施設案内情報又はイベント、キャンペーンなどの広告情報とQRコードを印刷し、裏面にはカード使用履歴、獲得ポイント、クーポン、予約日時などの使用の都度に変わる可変情報を印刷することができる。そして、本発明で用いるサーマルヘッドは、写真同様の高画質、高階調度の多色画像印刷が可能であるので、施設案内情報や広告情報等を写真と変わらない画像を印刷することにより、使用者に対して強い訴求力を有するカードとすることができる。
【0134】
以上には、印刷媒体として、説明の便宜のため、両面に熱可逆記録面を有するカードに限定して説明したが、本発明は、基本的にはカード以外の両面に熱可逆記録面を有する媒体にも適用可能である。従って、本願の明細書及び特許請求の範囲に記載の両面に熱可逆記録面を有するカードには、カード以外の媒体も含まれるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0135】
A プリンタ
100 搬送手段
300 QRコードリーダ
400a 第1サーマルヘッド
400b 第2サーマルヘッド
500 制御装置
501 QRコード位置検索部
502 デコード部
503 入出力部
504 編集部
505 印刷制御部
800 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リライトカードの基本情報や顧客情報をQRコードで表記し、取込み方向に搬送されるリライトカードの上面(又は下面)に対してQRコードの読取を行う位置及び情報読取後の書き換えを行う位置にそれぞれQRコードを読み取るQRコードリーダと第1サーマルヘッドとを設け、排出方向に搬送されるリライトカードの下面(又は上面)に対して書き換えを行う位置に第2サーマルヘッドを設け、前記QRコードリーダにより読み取った情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報を基に取込方向に搬送されるリライトカードの上面(又は下面)に対して第1サーマルヘッドにより書き換えを行い、かつ、排出方向に搬送されるリライトカードの下面(又は上面)に対して第2サーマルヘッドにより書き換えを行う制御手段を備えたプリンタにおいて、
QRコードリーダが読み込んだQRコードを記憶する記憶部と、その記憶されるQRコードの切り出しシンボルからリライトカードの姿勢(QRコードの位置。位置には向きを含む。以下、同じ。)を検索するQRコード位置検索部と、検索されたQRコードの位置に対応して記憶部に記憶されたQRコードのデータを解析するデコード部と、解析したデータと新たに入力される情報に基づいて演算処理し、その演算処理後の新規情報を出力する処理部と、その新規情報をリライトカードの上面と下面にその姿勢に対応する向きに印刷するための編集を行う編集部と、その編集結果を前記第1サーマルヘッドと第2サーマルヘッドに印刷させる印刷制御部とを備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
QRコードリーダが取込み方向に搬送されるリライトカードのQRコードの読取を終了した時点にそのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置に到達していない場合は、第1サーマルヘッドによるその印刷領域に対する印刷を行い、QRコードリーダが取込み方向に搬送されるリライトカードのQRコードの読取を終了した時点にそのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置を通過した場合は、そのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置に合致するまで又は印刷位置よりも手前まで排出方向に搬送し、再度、取込み方向に搬送して、第1サーマルヘッドによる印刷領域に対する印刷を行う制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
リライトカードが矩形のカードであって、その矩形の短辺に直交する中心線に関して対称の位置のA面とB面の、一方の短辺に近い位置に同短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが1個ずつ合計2個設けられたものである場合は、QRコードリーダから第1サーマルヘッドまでの距離y2をリライトカードの他方の短辺から前記QRコードの終端までの距離x2よりも若干大きくするとともに、第2サーマルヘッドを第1サーマルヘッドの若干後方に設置したことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
リライトカードが矩形のカードであって、そのカードの短辺に直交する中心線と長辺に直交する中心線との交点の表裏に、それぞれに一方の短辺方向又は互いに異なる短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが印刷されているものである場合は、そのリライトカードの一方の短辺からQRコードまでの距離をx3、QRコードリーダから第1サーマルヘッドまでの距離をy3とすると、y3をx3<y3の関係式が成立するように設定してあることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項1】
リライトカードの基本情報や顧客情報をQRコードで表記し、取込み方向に搬送されるリライトカードの上面(又は下面)に対してQRコードの読取を行う位置及び情報読取後の書き換えを行う位置にそれぞれQRコードを読み取るQRコードリーダと第1サーマルヘッドとを設け、排出方向に搬送されるリライトカードの下面(又は上面)に対して書き換えを行う位置に第2サーマルヘッドを設け、前記QRコードリーダにより読み取った情報と新たに入力される情報を用いる演算処理後の新規情報を基に取込方向に搬送されるリライトカードの上面(又は下面)に対して第1サーマルヘッドにより書き換えを行い、かつ、排出方向に搬送されるリライトカードの下面(又は上面)に対して第2サーマルヘッドにより書き換えを行う制御手段を備えたプリンタにおいて、
QRコードリーダが読み込んだQRコードを記憶する記憶部と、その記憶されるQRコードの切り出しシンボルからリライトカードの姿勢(QRコードの位置。位置には向きを含む。以下、同じ。)を検索するQRコード位置検索部と、検索されたQRコードの位置に対応して記憶部に記憶されたQRコードのデータを解析するデコード部と、解析したデータと新たに入力される情報に基づいて演算処理し、その演算処理後の新規情報を出力する処理部と、その新規情報をリライトカードの上面と下面にその姿勢に対応する向きに印刷するための編集を行う編集部と、その編集結果を前記第1サーマルヘッドと第2サーマルヘッドに印刷させる印刷制御部とを備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
QRコードリーダが取込み方向に搬送されるリライトカードのQRコードの読取を終了した時点にそのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置に到達していない場合は、第1サーマルヘッドによるその印刷領域に対する印刷を行い、QRコードリーダが取込み方向に搬送されるリライトカードのQRコードの読取を終了した時点にそのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置を通過した場合は、そのリライトカードの印刷領域の先端が第1サーマルヘッドの印刷位置に合致するまで又は印刷位置よりも手前まで排出方向に搬送し、再度、取込み方向に搬送して、第1サーマルヘッドによる印刷領域に対する印刷を行う制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
リライトカードが矩形のカードであって、その矩形の短辺に直交する中心線に関して対称の位置のA面とB面の、一方の短辺に近い位置に同短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが1個ずつ合計2個設けられたものである場合は、QRコードリーダから第1サーマルヘッドまでの距離y2をリライトカードの他方の短辺から前記QRコードの終端までの距離x2よりも若干大きくするとともに、第2サーマルヘッドを第1サーマルヘッドの若干後方に設置したことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
リライトカードが矩形のカードであって、そのカードの短辺に直交する中心線と長辺に直交する中心線との交点の表裏に、それぞれに一方の短辺方向又は互いに異なる短辺方向の位置出しシンボルを有するQRコードが印刷されているものである場合は、そのリライトカードの一方の短辺からQRコードまでの距離をx3、QRコードリーダから第1サーマルヘッドまでの距離をy3とすると、y3をx3<y3の関係式が成立するように設定してあることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2013−22817(P2013−22817A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159353(P2011−159353)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【特許番号】特許第5049401号(P5049401)
【特許公報発行日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(502038842)株式会社デジアイズ (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【特許番号】特許第5049401号(P5049401)
【特許公報発行日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(502038842)株式会社デジアイズ (18)
【Fターム(参考)】
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