説明

プリンタ

【課題】印字部への用紙の搬入角度のばらつきを抑制することのできるプリンタを提供する。
【解決手段】実施形態のプリンタは、移動支持部と、搬送部と、印字部と、移動機構と、を備える。前記移動支持部は、用紙におけるロール状に巻回されたロール部を支持し、移動可能である。前記搬送部は、前記移動支持部に支持された前記ロール部から前記用紙を引き出して搬送する。前記印字部は、前記搬送部によって搬送された前記用紙に印字する。前記移動機構は、前記ロール部の径が小さくなるのに連動して、前記ロール部の中心部が前記ロール部の用紙引き出し部に近づく方向に前記移動支持部を動かして、前記ロール部の中心部を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙支持部で支持したロール状の用紙を引き出して、引き出した用紙に印字部によって印字を行うプリンタが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなプリンタでは、用紙を引き出すにしたがい用紙のロール部の径の大きさが小さくなるため、印字部への用紙の搬入角度が変化する。このように印字部への用紙の搬入角度が変化すると、印字品質がばらついてしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態のプリンタは、移動支持部と、搬送部と、印字部と、移動機構と、を備える。前記移動支持部は、用紙におけるロール状に巻回されたロール部を支持し、移動可能である。前記搬送部は、前記移動支持部に支持された前記ロール部から前記用紙を引き出して搬送する。前記印字部は、前記搬送部によって搬送された前記用紙に印字する。前記移動機構は、前記ロール部の径が小さくなるのに連動して、前記ロール部の中心部が前記ロール部の用紙引き出し部に近づく方向に前記移動支持部を動かして、前記ロール部の中心部を移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、第1の実施形態にかかるプリンタの内部の概略構成を示す側面図である。
【図2】図2は、第1の実施形態にかかる図1のF2−F2断面図である。
【図3−1】図3−1は、第1の実施形態にかかる用紙支持ユニットを示す分解斜視図である。
【図3−2】図3−2は、第1の実施形態にかかる用紙支持ユニットを示す正面図である。
【図4】図4は、第1の実施形態にかかる連結板を示す側面図である。
【図5】図5は、第1の実施形態にかかるガイド部材を示す側面図である。
【図6−1】図6−1は、第1の実施形態にかかる用紙支持ユニットの一部とガイド部材とを示す正面図である。
【図6−2】図6−2は、図6−1のF6矢視図である。
【図7】図7は、図2に示す状態から用紙支持ユニットを取り外した状態のプリンタを示す図である。
【図8】図8は、第1の実施形態にかかる弾性支持部を示す縦断側面図である。
【図9】図9は、第1の実施形態にかかる移動機構の動作を説明するための図である。
【図10】図10は、第1の実施形態の変形例にかかるガイド部材を示す側面図である。
【図11】図11は、第1の実施形態の第1の比較例にかかるプリンタの要部を示す側面図である。
【図12】図12は、第1の実施形態の第2の比較例にかかるプリンタの要部を示す側面図である。
【図13】図13は、第1の実施形態の第2の比較例にかかるプリンタの要部を示す側面図である。
【図14】図14は、第1の実施形態の第3の比較例にかかるプリンタの要部を示す側面図である。
【図15】図15は、第1の実施形態の第4の比較例にかかるプリンタの要部を示す側面図である。
【図16】図16は、第1の実施形態の第4の比較例にかかるプリンタの要部を示す側面図である。
【図17】図17は、第2の実施形態にかかるプリンタの要部を示す正面図である。
【図18】図18は、第2の実施形態の変形例にかかるプリンタの要部を示す正面図である。
【図19】図19は、第3の実施形態にかかるPOS端末を示す斜視図である。
【図20】図20は、第3の実施形態にかかるプリンタの内部構成を示す側面図である。
【図21】図21は、第3の実施形態にかかる一対の可動板の下端部を示す平面図である。
【図22】図22は、第4の実施形態にかかるプリンタの要部を示す正面図である。
【図23】図23は、第4の実施形態にかかる駆動機構を示す斜視図である。
【図24】図24は、第4の実施形態にかかる駆動機構の動作を説明するための図である。
【図25】図25は、第4の実施形態にかかるプリンタの電装系を示すブロック図である。
【図26】図26は、第4の実施形態にかかるCPUが実行する用紙位置調整処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0007】
(第1の実施形態)
まずは、第1の実施形態について説明する。
【0008】
図1に示すプリンタ1は、ロール状に巻回された用紙2を引き出して印字するものである。プリンタ1は、筐体10内に、用紙2を支持する用紙支持部としての用紙支持ユニット11、プラテンローラ12、および印字ヘッド13を有する。これらの用紙支持ユニット11、プラテンローラ12、印字ヘッド13は、筐体10に連結されている。プリンタ1には、用紙支持ユニット11から、プラテンローラ12と印字ヘッド13との間を経由して、筐体10の前壁に設けられた排出口に至る用紙搬送経路14が設けられている。
【0009】
本実施形態のプリンタ1で使用される用紙2は、帯状に形成されている。用紙2は、ロール状に巻回されたロール部2aを有している。図2に示すように、ロール部2aの中心部2bには、ロール部2aの軸心2c方向に沿った挿入孔2dが貫通形成されている。用紙2は、一例としてラベル用紙である。ラベル用紙は、例えば、帯状に形成された台紙上に、複数のラベルが台紙の長手方向に沿って貼付された用紙である。用紙2は、用紙搬送方向下流側のプラテンローラ12の回転によって、ロール部2aが当該ロール部2aの軸心2c回りに回転(従動)し、ロール部2aから用紙2が引き出される。この引き出されて展開された状態の用紙2の部分を、以後、展開部2eともいう。
【0010】
図1および図2に示すように、筐体10は、本体部10aとカバー部10bとを有している。本体部10aは、上面開口の箱状に形成されている。カバー部10bは、下面開口の箱状に形成されている。カバー部10bは、ヒンジ(図示せず)によって本体部10aに回動可能に連結されている。カバー部10bが開けられることで、筐体10の内部が露出する。カバー部10bの内部には、板状の支持フレーム10cが設けられている。支持フレーム10cは、カバー部10bに固定手段(図示せず)によって固定されている。
【0011】
プラテンローラ12は、歯車等で構成される動力伝達機構を介して駆動源である第1のモータに連結されている。プラテンローラ12は、印字ヘッド13によって用紙2が押し付けられた状態で、第1のモータによって回転駆動されることにより、用紙支持ユニット11に支持された用紙2を引き出して用紙搬送経路14に沿って搬送する。本実施形態では、プラテンローラ12が、用紙支持ユニット11の用紙支持軸21に支持されたロール部2aから用紙2を引き出して搬送する搬送部に相当する。
【0012】
印字ヘッド13は、例えば、サーマルヘッドである。印字ヘッド13は、プラテンローラ12に対向配置されている。印字ヘッド13は、プラテンローラ12に対して接離可能に筐体10に対して連結されている。印字ヘッド13は、プラテンローラ12に向けて付勢部材であるコイルばね15によって付勢されている。コイルばね15に付勢された印字ヘッド13は、当該印字ヘッド13とプラテンローラ12との間に介在する用紙2をプラテンローラ12に押し付ける。これにより、プラテンローラ12の搬送力が用紙2に確実に伝達される。印字ヘッド13は、一列に配置された複数の発熱素子を有しており、これらの複数の発熱素子に選択的に通電することで発熱素子を発熱させる。この発熱によって、印字ヘッド13は、プラテンローラ12に支持されるとともに発熱素子に重ねられた用紙2に各種の情報を印字する。用紙2が感熱紙である場合には、印字ヘッド13の発熱素子が用紙2の印字面に直接当接して印字ヘッド13が印字を行う構成がとられる。一方、用紙2が普通紙(非感熱紙)である場合には、印字ヘッド13と用紙2との間に、図示しないインクリボン供給装置によってインクリボンを供給する構成が採用され、印字ヘッド13は、インクリボンを用いて用紙2に印字を行う。印字ヘッド13は、プラテンローラ12とによって、プラテンローラ12によって搬送(搬入)された用紙2に印字する印字部16を構成している。
【0013】
図2に示すように、用紙支持ユニット11は、一対の弾性支持部17によって吊り下げ状態で弾性支持されている。用紙支持ユニット11は、一対の弾性支持部17を介して筐体10の支持フレーム10cに上下方向に移動可能に連結される。用紙支持ユニット11は、ガイド部材18によって上下方向に案内される。
【0014】
図3−1や図3−2に示すように、用紙支持ユニット11は、用紙2を回転可能に支持する用紙支持軸21と、用紙支持軸21の一端部を一方の弾性支持部17に連結した連結部22と、用紙支持軸21の他端部を他方の弾性支持部17に連結した連結板23と、を有する。
【0015】
用紙支持軸21は、用紙2におけるロール状に巻回されたロール部2aを支持し、移動可能である。詳細には、用紙支持軸21は、ロール部2aの中心部2bに設けられた挿入孔2dに挿入されてロール部2aを支持する。用紙支持軸21は、ロール部2aの軸心2c方向と交わる方向に移動可能である。本実施形態では、用紙支持軸21に支持されたロール部2aの軸心2c方向は、プリンタ1の左右方向に沿っており、用紙支持軸21は、上下方向に移動可能となっている。
【0016】
用紙支持軸21は、用紙搬送方向と直交する方向に沿って延在している。用紙支持軸21は、その軸心方向と直交する方向での断面が略矩形状に形成されている。用紙支持軸21の他端部の外周には、用紙支持軸21の軸方向に延在した溝21aが一対形成されている(図1参照)。
【0017】
連結部22は、用紙支持軸21の一端部に一体成形されている。連結部22と用紙支持軸21とは、例えば樹脂一体成形品である。連結部22は、用紙支持軸21の一端部から上方に立ち上げ形成された壁部22aと、この壁部22aの上部に設けられた係合部22bと、を有している。係合部22bは、壁部22aの用紙支持軸21側とは反対側の面に突設されている。係合部22bは、一方の弾性支持部17に支持されている。
【0018】
図4に示すように、連結板23は、略矩形の平板状に形成されている。連結板23には、用紙支持軸21の他端部が挿入された連結孔23aが形成されており、連結板23は、連結孔23aに挿入された用紙支持軸21と嵌合している。連結板23における連結孔23aの上方には、係合部23bが設けられている。係合部23bは、他方の弾性支持部17に支持されている。
【0019】
図5や図6−1、図6−2に示すように、ガイド部材18は、略矩形の平板状に形成されている。ガイド部材18は、上端部が支持フレーム10cに固定されている。ガイド部材18には、連結部22の係合部22bが挿通されたガイド孔18aが上下方向に延在して形成されている。ガイド部材18は、ガイド孔18aの周面によって連結部22の係合部22bを上下方向に案内することで、用紙支持ユニット11を上下方向に案内する。ガイド部材18における連結部22の壁部22a側とは反対側には、抜け止め部材19が配置されている。抜け止め部材19は、連結部22の係合部22bに固定されている。抜け止め部材19がガイド部材18の一面に当接することで、ガイド部材18からの連結部22の抜け(脱落)が規制される。ガイド孔18aは、抜け止め部材19が挿通できない大きさに形成されている。
【0020】
ガイド部材18には、装着用孔18bがガイド孔18aの上部に連通して設けられている。装着用孔18bは、抜け止め部材19の挿脱を許容する大きさに形成されている。かかる構成では、ガイド部材18に連結部22が連結させた状態から、装着用孔18bに連結部22の係合部22bを位置させた後、抜け止め部材19を装着用孔18bに通すことで、連結部22をガイド部材18から取り外すことができる。一方、連結部22をガイド部材18に連結する場合の手順は、上記と逆の手順である。
【0021】
図7に示すように、一対の弾性支持部17は、プリンタ1の幅方向(プラテンローラ12の軸方向)で相互に間隔をあけて配置されている。これらの一対の弾性支持部17は、移動機構33を構成している。移動機構33は、用紙2のロール部2aの径が小さくなるのに連動して、ロール部2aの中心部2bがロール部2aの用紙引き出し部2fに近づく方向に用紙支持軸21を動かして、ロール部2aの中心部2bを移動させる。ロール部2aの中心部2bがロール部2aの用紙引き出し部2fに近づく方向が、本実施形態では、上方である。
【0022】
図8に示すように、各弾性支持部17は、フック31と、フック31に連結された弾性部材としてのコイルばね32と、を有している。フック31の下端部には、引っ掛け部31aが設けられている。一方のフック31の引っ掛け部31aは、連結部22の係合部22bを引っ掛け支持している(図2参照)。他方のフック31の引っ掛け部31aは、連結板23の係合部23bを引っ掛け支持している(図2参照)。フック31には、上面開口のばね収容部31bが形成されており、このばね収容部31bにコイルばね32が収納されている。
【0023】
コイルばね32は、下端部がばね収容部31bの底部に固定され、上端部が支持フレーム10cに固定されている。コイルばね32は、弾性部材であり、引っ張りばねとして機能する。コイルばね32は、用紙支持ユニット11を吊り下げ状態で弾性支持している。この状態では、連結部22の係合部22bと連結板23の係合部23bとは、水平方向の一直線上に位置付けられている(図2参照)。一対の弾性支持部17は、移動機構33を構成している。
【0024】
以上の構成のプリンタ1では、パーソナルコンピュータ等のホスト装置(図示せず)から印字指令を受信すると、第1のモータによって回転駆動されたプラテンローラ12が、用紙支持軸4に支持された用紙2を引き出して用紙搬送経路14に沿って搬送する。この搬送過程で、印字ヘッド13が、引き出された用紙2の展開部2eに各種の情報を印字する。本実施形態では、印字された用紙2(ラベル用紙)の台紙からラベルが剥離部によって剥離され、剥離されたラベルが発行口から発行される。一方、ラベルを剥離された台紙は、台紙巻き取り装置によって巻きとられるようになっている。
【0025】
次に、プリンタ1の印字搬送動作の際の移動機構33の動作を図9を参照して説明する。図9の(a)は、第1の状態の用紙2のセット状態を示し、図9の(b)は、第2の状態の用紙2のセット状態を示している。第1の状態は、例えば用紙2の初期状態(新品状態)であり、第2の状態は、第1の状態から用紙2が使用されて、ロール部2aの径が第1の状態よりも小さくなった状態である。
【0026】
用紙支持軸21に用紙2がセットされた状態では、移動機構33を構成するコイルばね32の下端部に、用紙支持ユニット11の重量、および用紙2のロール部2aの重量等が引っ張り荷重として下方(図中の矢印Z1の方向)作用する。この際、コイルばね32は用紙支持ユニット11およびロール部2aを上方(図中の矢印Z2の方向)に引っ張った状態で弾性支持している。これにより、初期状態で、コイルばね32は、自然長Lに対して伸び量laだけ伸びた状態となる。この状態から用紙2が使用されると、ロール部2aから用紙2が引き出されるにしたがい、ロール部2aの径が小さくなりロール部2aの重量が軽くなる。ロール部2aの重量が軽くなるのに応じて、コイルばね32の下端部に作用する荷重が小さくなるため、その分、コイルばね32が縮んで用紙支持ユニット11およびロール部2aを引っ張り上げる。即ち、移動機構33は、コイルばね32の弾性力を用いて用紙支持軸21を動かす。このとき、コイルばね32は、ロール部2aの用紙引き出し部2fが略一定となるように、用紙支持ユニット11およびロール部2aを引き上げる。
【0027】
上記の場合、第1の状態でコイルばね32に作用する総質量をM、重力加速度をg、コイルばね32のばね定数をkとすると、次の釣り合いの式(1)が成り立つ。
Mg=kla・・・(1)
【0028】
そして、この状態から、用紙2が使用された第2の状態となると、コイルばね32に作用する総質量が小さくなる。このときのコイルばね32に作用する総質量をm(<M)とすると、mとlaとの関係は、
mg<kla・・・(2)
である。なお、コイルばね32に作用する総質量の変動は、用紙2のロール部2aの質量の変動によるものである。このとき、用紙支持ユニット11および用紙2が、コイルばね32の引っ張り力とコイルばね32に作用する荷重とが釣り合う位置まで、コイルばね32によって上方へ引き上げられる。
【0029】
そして、用紙2が第2の状態となった場合のコイルばね32の自然長からの伸び量をlb(<la)とすると、
mg=klb・・・(3)
の釣り合いの式が成り立つ。ここで、第1の状態から第2の状態への用紙2のロール部2aの変化による用紙支持ユニット11の移動距離は、la−lbとなる。
【0030】
上記により、コイルばね32の上端位置が一定のときのロール部2aの質量とコイルばね32のばね定数kとの関係が分かるので、用紙2のロール部2aの径の変化に影響されること無く、印字部16に対するロール部2aの用紙引き出し部2fの位置を常に略一定にするばね定数kを求めることができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態では、移動機構33が、用紙2のロール部2aの径が小さくなるのに連動して、ロール部2aの中心部2bがロール部2aの用紙引き出し部2fに近づく方向に用紙支持軸21を動かして、ロール部2aの中心部2bを移動させる。したがって、用紙2のロール部2aの径が小さくなっても、印字部16に対するロール部2aの用紙引き出し部2fの位置を常に略一定にすることができるので、印字部16への用紙2の搬入角度のばらつきを抑制して、印字部16への用紙2の搬入角度を常に略一定にすることができる。印字部16への用紙2の搬入角度のばらつきによる印字乱れが発生するのを抑制することができ、良好な印字品質を維持することができる。なお、印字部16への用紙2の搬入角度は、例えば水平面を基準とした印字部16への用紙2の搬入角度等である。
【0032】
ここで、印字部16に対する用紙2の搬入角度は、用紙2を引っ張る力の向きでもあり、用紙2の搬入角度に対して垂直方向に用紙支持軸21が移動することが望ましい。したがって、印字部16への用紙2の搬入角度が水平に対して傾斜している場合においては、図10に示す本実施形態の変形例にかかるガイド部材18を用いるのが好適である。図10に示す変形例のガイド部材18のガイド孔18aの延在方向は、鉛直方向に対して傾斜している。ガイド部材18は、ガイド孔18aの周面によって連結部22の係合部22bを鉛直方向に対して斜めに案内することで、用紙支持ユニット11を鉛直方向に対して斜めに案内する。これより、本変形例にあっては、印字部16への用紙2の搬入角度が水平に対して傾斜している場合において、用紙支持軸21を用紙2の搬入角度に対して略垂直方向に移動させることができる。
【0033】
次に、本実施形態の比較例を説明する。
【0034】
図11に示す第1の比較例のプリンタ100は、プラテンローラ101と印字ヘッド102を有する印字部103に対して、用紙支持軸104の位置が固定されている。このため、このプリンタ100では、ロール部2aの径によって、印字部103に対する用紙2の搬入角度が変動する。
【0035】
図12に示す第2の比較例のプリンタ100Aは、プラテンローラ101と印字ヘッド102を有する印字部103に対して、用紙2の外周を支持するホッパー部105の位置が固定されている。このため、このプリンタ100Aでは、用紙2が使用されてロール部2aの径によって印字部103に対する用紙2の搬入角度が変動する。また、図13に示すように、このプリンタ100Aでは、ロール部2aの径が小さくなるにしたがい、ロール部2aの重量が比較的に軽くなると、プラテンローラ101の引っ張り力によって、ロール部2aがホッパー部105の前面を登り上がることがあり、この動作によっても、印字部103に対する用紙2の搬入角度が変動する。
【0036】
図14に示す第3の比較例のプリンタ100Bは、用紙支持軸104で支持したロール部2aから引き出した用紙2を、ダンパー機構106で折り返して印字部へ搬入する。かかる構成では、ロール部2aの径によって印字部103に対する用紙2の搬入角度が変動するのを抑制することはできるが、用紙支持軸104と印字部との間の用紙搬送経路107中にダンパー機構106が設けられているので、用紙搬送経路107が複雑化するとともに長大化してしまう。
【0037】
図15および図16に示す第4の比較例のプリンタ100Cは、用紙支持軸104で支持した用紙2のロール部2aから引き出した用紙2の展開部2eを、用紙ガイド部108を介して印字部へ搬入する。かかる構成では、ロール部2aの径によって印字部103に対する用紙2の搬入角度が変動するのを抑制することはできるが、用紙支持軸104と印字部との間の用紙搬送経路107中に用紙ガイド部108が設けられているので、用紙搬送経路107が複雑化するとともに長大化してしまう。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。
【0039】
図17に示すように、本実施形態は、用紙支持ユニット11Aおよび移動機構33Aが第1の実施形態と異なる。
【0040】
本実施形態の用紙支持ユニット11Aは、用紙支持軸21と、用紙支持軸21に設けられた位置決め部材40と、用紙支持軸21の一端部に固定された被ガイド部材41と、を有する。
【0041】
用紙支持軸21は、第1の実施形態と同じく、用紙2のロール部2aの中心部2bに設けられた挿入孔2dに挿入されてロール部2aを支持する。
【0042】
位置決め部材40は、用紙支持軸21の軸方向の両端部間に設けられている。位置決め部材40は、用紙支持軸21に支持された用紙2のロール部2aの側面と当接して、用紙支持軸21の軸心方向での用紙2の位置決めを行う。なお、本実施形態の用紙支持軸21には、第1の実施形態で説明した溝21aおよび連結部22は設けられていない。
【0043】
被ガイド部材41は、上下方向に延在した軸状の係合部41aを有する。係合部41aの下端部は、半球状に形成されている。係合部41aは、筐体10の本体部10aに固定された筒状のガイド部材42に挿入されている。係合部41aは、ガイド部材42によって、上下方向に摺動可能に支持されているととともに、倒れを規制されている。かかる構造では、用紙支持軸21Aは、ガイド部材42によって片持ち支持されている。
【0044】
移動機構33Aは、回動部材43を有する。回動部材43は、棒状に形成されている。回動部材43は、その一端部43aと他端部43bとの間の部分に設けられた支点44を中心として上下に回動可能に設けられている。支点44は、水平方向に沿って延在した軸であり筐体10の本体部10aに固定されている。回動部材43は、別の言い方をすると、水平方向に沿う軸を中心として回動可能に設けられている。回動部材43および支点44は、秤構造を構成している。
【0045】
回動部材43は、一端部43aに用紙支持軸21が連結され、当該一端部43aにロール部2aの重量が作用する。また、回動部材43の他端部43bには、重り45が設けられており、回動部材43の他端部43bには、重り45の重量が作用する。重り45は、回動部材43の他端部43bに回動可能に連結されている。重り45は、例えば、金属製や樹脂製のブロックであり、移動機構33Aを構成している。
【0046】
重り45の下部は、弾性部材としてのコイルばね46に連結されており、重り45はコイルばね46よって弾性支持されている。つまり、コイルばね46は、回動部材43の他端部43bに重り45を介して連結されて他端部43bを弾性支持している。なお、コイルばね46は、重り45を介さずに回動部材43の他端部43bに直接連結されていてもよい。コイルばね46は、回動部材43の他端部43bを下方から支持して上方へ付勢する圧縮ばねとして機能し、回動部材43の一端部43aおよび他端部43bに作用する力の釣り合いをとる。コイルばね46は、移動機構33Aを構成している。
【0047】
次に、移動機構33Aの動作を説明する。ここで、図17中の用紙2は、初期状態である。この状態では、一例として、回動部材43の一端部43aが他端部43bに比べて下方に位置した状態で、回動部材43の両端部に作用する力が釣り合っており、回動部材43が静止している。この状態から用紙2が使用されると、ロール部2aから用紙2が引き出されるにしたがい、ロール部2aの径が小さくなりロール部2aの重量が軽くなる。ロール部2aの重量が軽くなるのに応じて、回動部材43の一端部43aに作用する荷重が小さくなり、回動部材43の一端部43aが上昇する。これにより、回動部材43の他端部43bが下降してコイルばね46が圧縮される。そして、コイルばね46の動作によって回動部材43の一端部43aと他端部43bとの力の釣り合いがとられると、回動部材43が停止する。この間、ロール部2aの用紙引き出し部2fの位置が略一定となるように、用紙支持軸21が上昇する。
【0048】
以上説明したとおり、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、移動機構33Aが、用紙2のロール部2aの径が小さくなるのに連動して、ロール部2aの中心部2bがロール部2aの用紙引き出し部2fに近づく方向に用紙支持軸21を動かして、ロール部2aの中心部2bを移動させる。したがって、用紙2のロール部2aの径が小さくなっても、印字部16に対するロール部2aの用紙引き出し部2fの位置を常に略一定にすることができるので、印字部16への用紙2の搬入角度を常に略一定にすることができる。よって、印字部16への用紙2の搬入角度のばらつきによる印字乱れが発生するのを抑制することができ、良好な印字品質を維持することができる。
【0049】
次に、本実施形態の変形例を説明する。図18に示すように、本変形例では、被ガイド部材41の係合部41aの下端部に、傾斜面41bが形成されている。傾斜面41bは、水平面に対して傾斜している。また、回動部材43の一端部43aの上部に、傾斜面41bを支持する支持面43cが形成されている。この支持面43cは、回動部材43が水平姿勢となった場合に、傾斜面41bと略平行となる。
【0050】
また、本変形例の重り45は、被ガイド部材47の上端部に固定され、被ガイド部材47を介して回動部材43の他端部43bに接続されている。
【0051】
被ガイド部材47は、上下方向に延在した軸状に形成されている。被ガイド部材47の下端部は、半球状に形成されている。被ガイド部材47は、筐体10の本体部10aに固定された筒状のガイド部材48に挿入されている。被ガイド部材47は、ガイド部材48によって、上下方向に摺動可能に支持されているとともに倒れを規制されている。
【0052】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。図19に示す本実施形態のプリンタ1は、レシートプリンタであり、情報処理装置としてのPOS(Point of Sales:販売時点管理)端末50に搭載されている。本実施形態の用紙2は、感熱紙によって構成されたレシート用紙である。
【0053】
POS端末50は、キーボード51と、主に客用の第1の表示器52と、主にキャッシャ用の第2の表示器53、バーコードスキャナ56と、プリンタ1と、を備えている。
【0054】
図20に示すように、本実施形態のプリンタ1は、用紙支持部として投げ込み式のホッパー部59を有している。ホッパー部59は、移動支持部としての一対の可動板54を有している。可動板54は、それぞれ、弾性部材としてのコイルばね55を介して、筐体10に設けられた支持部10dに連結されている。支持部10dは、ホッパー部59のベース部として機能する。つまり、ホッパー部59は、支持部10d上に可動板54が配置された二重構造となっている。
【0055】
一対の可動板54は、相互に角度を有して対向配置されている。本実施形態では、一対の可動板54間の角度は略直角となっている。可動板54は、用紙2のロール部2aの中心部2bよりも下方のロール部2aの外周2gを支持する。可動板54の下部には、凹凸部54aが形成されており、一対の可動板54の凹凸部54a同士は、遊びをもって嵌合(噛み合い)可能となっている。この一対の可動板54は、コイルばね55に弾性支持されて、支持部10dに対して移動可能となっている。
【0056】
コイルばね55は、1つの可動板54に1つずつ設けられている。なお、コイルばね55の数は、これに限るものではなく、1つの可動板54に複数個のコイルばね55が設けられていてもよい。これらのコイルばね55は、当該コイルばね55で一対の可動板54を弾性支持した移動機構33Bを構成している。
【0057】
次に、移動機構33Bの動作を説明する。ここで、図20中に実線で示す用紙2は、初期状態である。この状態では、コイルばね55は、用紙2のロール部2aの重量を受けて圧縮状態となっている。また、この状態では、一対の可動板54の凹凸部54a同士は、非嵌合状態(図21の(a))となっている。この状態から用紙2が使用されると、ロール部2aから用紙2が引き出されるにしたがい、ロール部2aの径が小さくなりロール部2aの重量が軽くなる。ロール部2aの重量が軽くなるのに応じて、コイルばね55に作用する荷重が小さくなるため、その分、コイルばね55が伸びて可動板54を斜め上方に押し上げる。この際、各可動板54は、それらの上端部が相互に近づく方向に、斜め上方に押し上げられる。また、この押し上げ過程で、一対の可動板54の凹凸部54a同士が相互に遊びをもって互いに交差する形で嵌合する(図21の(b))。このようにして押し上げられた一対の可動板54は、ロール部2aを上方に押し上げる。即ち、移動機構33Bが、コイルばね55の弾性力を用いて用紙支持軸21を動かす。このとき、コイルばね55は、ロール部2aの用紙引き出し部2fの位置が略一定となるように、可動板54およびロール部2aを押し上げる。
【0058】
以上説明した本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、移動機構33Bが、用紙2のロール部2aの径が小さくなるのに連動して、ロール部2aの中心部2bがロール部2aの用紙引き出し部2fに近づく方向に可動板54を動かして、ロール部2aの中心部2bを移動させる。したがって、用紙2のロール部2aの径が小さくなっても、印字部16に対するロール部2aの用紙引き出し部2fの位置を常に略一定することができるので、印字部16への用紙2の搬入角度を常に略一定にすることができる。よって、印字部16への用紙2の搬入角度のばらつきによる印字乱れが発生するのを抑制することができ、良好な印字品質を維持することができる。
【0059】
また、本実施形態では、一対の可動板54がコイルばね55に弾性支持されているので、印字動作中の用紙2のロール部2aの暴れによる衝撃も吸収することができる。
【0060】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を説明する。
【0061】
本実施形態は、用紙支持ユニット11Cおよび移動機構33Cが第1の実施形態に対して異なる。
【0062】
図22に示すように、用紙支持ユニット11Cは、用紙支持軸21とこの用紙支持軸21に固定された被ガイド部材60とを有する。
【0063】
用紙支持軸21は、第1の実施形態と同じく、用紙2のロール部2aの中心部2bに設けられた挿入孔2dに挿入されてロール部2aを支持する。なお、本実施形態の用紙支持軸21には、第1の実施形態で説明した溝21aおよび連結部22は設けられていない。
【0064】
図22や図23に示すように、被ガイド部材60は、略矩形板状に形成されており、中心部に用紙支持軸21が貫通している。被ガイド部材60は、筐体10の本体部10aに固定されたガイド部材61に係合している。
【0065】
ガイド部材61は、第1の板部61aと第2の板部61bとを有する。第1の板部61aと第2の板部61bとは、用紙支持軸21の軸心方向で相互に間隔をあけて対向配置されており、これらの第1の板部61aと第2の板部61bとの間に被ガイド部材60が配置されている。第1の板部61aおよび第2の板部61bには、それぞれ、用紙支持軸21が挿通されたガイド孔61c,61dが設けられている。ガイド部材61は、ガイド孔61c,61dを形成する面で、用紙支持軸21を上下方向にガイドする。また、ガイド部材61は、第1の板部61aと第2の板部61bとで被ガイド部材60を挟むことで、用紙支持軸21を片持ち支持している。ガイド部材61は、被ガイド部材60を上下方向に摺動可能に支持している。
【0066】
移動機構33Cは、用紙支持ユニット11Cを動かす駆動機構62(図22参照)と、この駆動機構62を制御する制御部70(図25参照)と、を有する。
図23に示すように、駆動機構62は、回転板63と、無端状のベルト64と、を有する。回転板63の軸方向の端面には、回転板63の中心部から離れた位置に、突起63aが設けられている。回転板63は、歯車等で構成される動力伝達機構を介して駆動源である第2のモータ65(図25参照)に連結されている。
【0067】
ベルト64は、突起63aと用紙支持軸21との間に掛け渡されている。用紙支持軸21には、図22に示すように、ベルト64の抜け止めを行うCリングなどの抜け止め部材66が設けられている。なお、図23では、便宜上、抜け止め部材66は省略されている。
【0068】
この駆動機構62では、回転板63は、第2のモータ65によって正回転駆動されることにより、図24の(a)、(b)、(c)の順に示すように、用紙支持軸21を上方へ移動させる。一方、回転板63は、第2のモータ65によって逆回転駆動されることにより、用紙支持軸21を下方へ移動させる。
【0069】
また、本実施形態では、用紙支持軸21の上方に、距離センサ67が配置されている。詳しくは、距離センサ67は、用紙支持軸21にセットされ用紙2のロール部2aの用紙引き出し部2fと当該距離センサ67との間の距離を測定する位置に配置されている。距離センサ67としては、例えば電波式や光学式等である。
【0070】
図25に示すように、制御部70は、CPU(Central Processing Unit)70aや、ROM(Read Only Memory)70b、RAM(Random Access Memory)70c、NVRAM(Non-Volatile Memory)70d、通信インタフェース(I/F)70e、ヘッドコントローラ70f、モータコントローラ70g,70h、センサコントローラ70i等を有し、これらが、アドレスバスやデータバス等のバス70jを介して接続されている。
【0071】
CPU70aは、ROM70b等に記憶されたコンピュータ読み取り可能な各種プログラムを実行することにより、プリンタ1の各部を制御する。ROM70bは、例えば、CPU70aが実行する各種データや各種プログラム等を記憶する。RAM70cは、CPU70aが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。また、NVRAM70dは、電源がOFFされてもデータを保持するものであり、各種のデータを記憶する。
【0072】
通信インタフェース(I/F)70eは、電気通信回線等を通じて接続される他の装置とのデータ通信を制御する。
【0073】
ヘッドコントローラ70fは、CPU70aからの指示に基づいて印字ヘッド13を制御する。
【0074】
モータコントローラ70gは、CPU70aからの指示に基づいて例えばステップモータ等として構成される第1のモータ71を制御して回転させる。これにより、第1のモータがプラテンローラ12を回転させる。
【0075】
モータコントローラ70hは、CPU70aからの指示に基づいて、例えば直流モータやステップモータ等として構成される第2のモータ65を制御して回転させる。これにより、第2のモータ65が用紙支持軸21を上下動させる。
【0076】
センサコントローラ70iは、距離センサ67の計測距離をCPU70aに出力する。
【0077】
次に、印字処理の際に、CPU70aがプログラムに従って実行する用紙位置調整処理について図26のフローチャートを参照しながら説明する。
【0078】
まず、CPU70aは、高さ調整用情報として距離センサ67から出力された計測距離を取得する(ステップS11)。次に、CPU70aは、取得した計測距離を用いて用紙支持軸21の高さ位置を調整する(ステップS12)。このとき、CPU70aは、ロール部2aの用紙引き出し部2fの位置が初期位置からずれている場合に、ロール部2aの用紙引き出し部2fの位置が初期位置に復帰させるべく、用紙支持軸21の位置を調整(補正)する。詳細には、初期状態の用紙2のロール部2aの用紙引き出し部2fと距離センサ67との間の距離を第1の距離とした場合、CPU70aは、距離センサ67が計測した計測距離と第1の距離との差が生じたときに、その差の距離だけ用紙支持軸21の高さ位置を移動させる。例えば、用紙2が使用されてロール部2aの径が初期状態よりも小さくなり、距離センサ67とロール部2aの用紙引き出し部2fとの間の距離が第1の距離よりも長くなった場合には、それらの差の分だけ用紙支持軸21を上昇させる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、移動機構33Cが、用紙2のロール部2aの径が小さくなるのに連動して、ロール部2aの中心部2bがロール部2aの用紙引き出し部2fに近づく方向に用紙支持軸21を動かして、ロール部2aの中心部2bを移動させる。したがって、用紙2のロール部2aの径が小さくなっても、印字部16に対するロール部2aの用紙引き出し部2fの位置を常に略一定にすることができるので、印字部16への用紙2の搬入角度を常に略一定にすることができる。よって、印字部16への用紙2の搬入角度のばらつきによる印字乱れが発生するのを抑制することができ、良好な印字品質を維持することができる。
【0080】
次に、本実施形態の変形例を説明する。本変形例では、CPU70aは、用紙支持軸21にセットされる用紙2の属性情報を取得する。一例として、CPU70aは、属性情報を入力画面を用いて受け付ける。別の一例として、CPU70aは、複数種類の用紙2から1つを選択させる選択画面を用いて用紙2を選択させる、そして、CPU70aは、選択された用紙2に対応付けてNVRAM70d等の記憶部に記憶された属性情報を読み出す。用紙2の属性情報は、例えば、用紙2のロール部2aの径、用紙2の厚さ等である。CPU70aは、取得した用紙2の属性情報に基づいて、ロール部2aの用紙引き出し部2fが初期位置に位置するように用紙支持軸21の位置を調整する。この場合に用いる式の一例を以下に示す。
【0081】
ロール部2aの径をD、用紙2の厚さをt、用紙2の搬送距離をL2、初期状態での用紙2の重量をM、用紙支持軸21の初期状態での高さをH、用紙支持軸21の調整目標高さをh、係数をa,b,c,dとすると、
H=aD+bt=cM・・・(4)
h=H+dL・・・(5)
以上の式を用いることで、CPU70aは、用紙支持軸21の高さ位置を調整する。なお、用紙支持軸21の高さは、例えば、筐体10の底面からの高さである。
【0082】
なお、用紙2の中心部2bに無線タグを設け、この無線タグに用紙2の属性や使用状態(残重量や使用済み長さ(つまり、搬送済み距離))を記憶させておき、無線装置によってその無線タグから用紙2の情報を読み取り、読み取った情報と上記の式(4),(5)を用いて用紙支持軸21の位置を調整してもよい。これにより、使いかけの用紙2を入れ替えて使用しても、用紙支持軸21を良好に位置調整することができる。この場合の無線通信は、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)で用いられる周波数帯が用いられる。
【0083】
なお、本発明は、上記各実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、弾性部材として、コイルばねを例に説明したが、これに限るものではない。ばねとしては、例えば、板ばね等であってもよい。
【0084】
以上説明したとおり、上記各実施形態によれば、印字部16への用紙2の搬入角度を略一定にして、良好な印字品質を維持することができる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…プリンタ
2…用紙
2a…ロール部
2b…中心部
2d…挿入孔
2f…用紙引き出し部
12…プラテンローラ(搬送部)
16…印字部
21…用紙支持軸(移動支持部)
32,46,55…コイルばね(弾性部材)
33,33A,33B,33C…移動機構
43…回動部材
45…重り
54…可動板(移動支持部)
62…駆動機構
70…制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2007−126230公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙におけるロール状に巻回されたロール部を支持し、移動可能な移動支持部と、
前記移動支持部に支持された前記ロール部から前記用紙を引き出して搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された前記用紙に印字する印字部と、
前記ロール部の径が小さくなるのに連動して、前記ロール部の中心部が前記ロール部の用紙引き出し部に近づく方向に前記移動支持部を動かして、前記ロール部の中心部を移動させる移動機構と、
を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記移動機構は、弾性部材を有し、当該弾性部材の弾性力を用いて前記移動支持部を動かす請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記移動支持部は、前記ロール部の中心部に設けられた挿入孔に挿入されて前記ロール部を支持し、
前記弾性部材は、前記移動支持部を弾性支持している請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記移動支持部は、前記ロール部の中心部に設けられた挿入孔に挿入されて前記ロール部を支持し、
前記移動機構は、
一端部と他端部との間の部分に設けられた支点を中心として上下に回動可能に設けられ、前記一端部に前記移動支持部が連結され当該一端部に前記ロール部の重量が作用する回動部材と、
前記回動部材の他端部に設けられた重りと、
を備え、
前記弾性部材は、前記回動部材の他端部に連結されて前記他端部を弾性支持している請求項2に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記移動支持部は、前記ロール部の中心部よりも下方の当該ロール部の外周を支持し、
前記移動機構は、前記移動支持部を前記弾性部材で弾性支持している請求項2に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記移動機構は、
前記移動支持部を動かす駆動機構と、
前記駆動機構を制御する制御部と、
を備える請求項1に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−35183(P2013−35183A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172024(P2011−172024)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】