説明

プリンタ

【課題】表示部を有するプリンタにおいて、何らかのエラー状態を有したままプリンタが省電力状態に移行した場合、LEDの表示からプリンタがどのようなエラー状態を有しているか操作者に知らせることは困難であった。
【解決手段】印刷動作を実行する第1印字モードと前記印刷動作の待機状態であって前記第1印字モードとは異なるモードである第2印字モードとを有するプリンタにおいて、少なくとも第1の発光素子と第2の発光素子とを有する表示部と、前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子を点灯又は消灯させるよう制御する表示制御部と、前記プリンタに関するエラーの有無を検知する検知部と、を備え、前記表示制御手段は、前記第2印字モード移行前に前記検知部が前記プリンタに関するエラーを検知している場合、前記第2印字モード移行後において前記第1の発光素子を予め定められた第1の表示制御にて点滅制御させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、印刷動作を実行する通常モードと省電力モードとを備えたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の印刷動作を実行する通常モードと印刷指令待機時において消費電力の低減を図る省電力モードとを備えるプリンタが広く知られている。これらのプリンタは、ラベル用紙に印刷するラベルプリンタやPOS端末に搭載又は接続されて使用されるレシートプリンタ等として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−211194公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のプリンタは、操作者に対してその装置の状態を示すために種々の表示手段が用いられている。一例として、オペレーションパネル上にLED(Light Emiitting Diode)等の発光装置を設けてこの発光装置を点灯、消灯等させることによりプリンタの所定状態を表現する。
【0005】
しかしながら、従来の方法では、何らかのエラー状態を有したままプリンタが省電力状態に移行した場合、LEDの表示を頼りにプリンタがどのようなエラー状態を有しているか操作者に知らせることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態にかかるプリンタは、印刷動作を実行する第1印字モードと前記印刷動作の待機状態であって前記第1印字モードとは異なるモードである第2印字モードとを有するプリンタにおいて、少なくとも第1の発光素子と第2の発光素子とを有する表示部と、前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子を点灯又は消灯させるよう制御する表示制御部と、前記プリンタに関するエラーの有無を検知する検知部と、を備え、前記表示制御手段は、前記第2印字モード移行前に前記検知部が前記プリンタに関するエラーを検知している場合、前記第2印字モード移行後において前記第1の発光素子を予め定められた第1の表示制御にて点滅制御させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係るプリンタの外観を示す図
【図2】本実施形態に係るプリンタの電気的接続を示すブロック図。
【図3】本実施形態に係るLEDの点灯消灯表示制御の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係るプリンタの一実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、ラベル用紙に印刷を行う携帯型のラベルプリンタを一例として説明を行う。
【0009】
図1は、本実施形態に係るプリンタ1の外観を示す図である。プリンタ1は、本体ケース2内に、長尺状の用紙が巻回されたロール紙を収納する用紙収納部(図示せず)を備える。また、この用紙収納部を開閉する開閉カバー3を本体ケース2の正面に備える。
【0010】
開閉カバー3が閉じられた状態において、開閉カバー3と本体ケース2との間に、用紙収納部に収納されたロール紙から引き出された用紙が搬送される用紙搬送路が形成される。
【0011】
開閉カバー3の用紙収納部側の面には、用紙搬送路を搬送される用紙に印字するサーマルヘッド16(図示せず)が取り付けられている。本体ケース2内には、開閉カバー3が閉じられた状態でサーマルヘッド16に用紙搬送路を挟んで圧接するプラテン(図示せず)が回転可能に取り付けられている。
【0012】
開閉カバー3には、サーマルヘッド16で印字された用紙が排紙される排紙口4が形成されている。
【0013】
プリンタ1の本体には、発光素子であるLED21(第1の発光素子LED21a、第1の発光素子LED21b等)が複数設けられている。このLED21はそれぞれ予め定められた表示制御プログラムに従って点灯又は消灯する。第1の発光素子LED21aと第2の発光素子LED21bのそれぞれのLEDは、点灯時に異なる色であってもよい。
【0014】
プリンタ1は、バッテリ収納部5及び外部電源用コネクタ(図示せず)を備え、バッテリ収納部5に収納されたバッテリ18(図2参照)又は外部電源20(図2参照)のどちらか一方からの電力供給により駆動される。
【0015】
図2はプリンタ1の電気的接続を示すブロック図である。プリンタ1は、各種の演算処理を実行して各部を集中的に制御するCPU6を備えている。このCPU6に、ROM7、RAM8、表示制御回路9、各種スイッチ10、ラベルセンサ11、モータドライバ12、サーマルヘッドコントローラ13、通信I/F14、パルスモータ15、サーマルヘッド16、電圧検出回路17、バッテリ18、時計回路19、LED21と、がバスラインで接続されている。
【0016】
ROM7は、各種のプログラムを格納しており、CPU6はこれらのプログラムに従う。また、ROM7内には省電力モード時において、各エラーに対応付けられたLED21の表示制御プログラムが格納されている。また、省電力モード時においてエラーを有していない場合のLED21の表示制御プログラムについても格納されている。省電力モード移行時は、LED21はこれらの表示プログラムに従って後述する所定の点滅表示が行なわれる。RAM8は、印刷イメージが展開される印刷バッファとして利用される。
【0017】
表示制御回路9は、LED21の点灯及び消灯を制御するものである。このLED21の点灯消灯制御は、ROM7に記憶されている表示プログラムに従って行なわれる。LED21は発光素子であり、プリンタ1が所定の状態であることを点灯又は消灯又は点滅することにより報知する。ROM7に記憶されている表示プログラムは、用紙エラー、バッテリ切れ、通信エラーなどの各種エラーに対応する形で定められている。なお、本体1には、点灯時に表示色が異なるLEDが設けられていてもよい。
【0018】
各種スイッチ10は、電源スイッチや、用紙搬送のためのフィードスイッチ等である。
【0019】
ラベルセンサ11は、印字できる位置に用紙があるかどうかを検知する。例えば、透過型若しくは反射型の光学センサ等である。
【0020】
モータドライバ12には、用紙を送るパルスモータ15が接続されている。サーマルヘッドコントローラ13は、複数の発熱素子により用紙に印字を行なうサーマルヘッド16が接続されている。
【0021】
通信I/F14は、赤外線センサや無線通信モジュール等で接続された各種機器との間で、例えば、印字データ等の各種データを送受信する。
【0022】
電圧検出回路17は、電源供給路に供給される電圧を測定するものであり、バッテリ18から電源供給がされているのか外部電源20から電源供給されているのかについて判断する。
【0023】
時計回路(タイマー)19は、プリンタ1内での使用する時間を計時する。例えば、省電力モードに移行する際に、時計回路19にて時間を計時し、この時計回路19にて予め定められた時間が計時されたことをきっかけにLEDの表示点滅を実行するものである。
【0024】
図3は、CPU6が実行する省電力モード移行時のLEDの点滅表示制御を示したフローチャートである。
【0025】
Act301において、CPU6は、所定の印刷動作を実行する。この場合、通常モードにて動作をしており、先の通常モードでの印刷動作とは、プリンタ1が通信I/F14を介して印刷データを受信してRAM7の印刷バッファに印刷イメージを展開し、この印刷イメージに基づいてサーマルヘッド16にて印刷する一連の動作である。
【0026】
次に、CPU6は、省電力モードに移行するか否かを判断する。省電力モードに移行するか否かの判断は、例えば、印刷データが送信されることを待機する待機状態において、時計回路(タイマー)19が測定する時間が省電力モードに移行するための予め設定された基準時間を超えたか否かにより判断される。時計回路19で計時した時間が予め設定された基準時間を越えていると判断した場合、CPU6は、プリンタの現在の状態においてプリンタ内にエラー状態が存在するか否かを判断する。そして、省電力モードに移行するか否かのために計時されているタイマーを一旦リセットした後、再び時計回路(タイマー)をオンとして計時を開始させた後、CPU6に対するバッテリ18からの電力供給が停止されて動作モードが省電力モードに移行する。この一連の処理をフローチャートにて具体的に説明する。
【0027】
Act302にて、時計回路(タイマー)19が測定する時間が予め設定された基準時間を超えた場合(Act302のYes)、CPU6は、現在のプリンタがエラー状態であるか否かを判定する(Act303)。CPU6は、プリンタ1にエラーが存在すると判断した場合(Act303のYes)、省電力モードに移行するか否かのために計時されているタイマーを一旦リセットする(Act304)。リセット後、時計回路(タイマー)19の計時を開始した後(Act305)、省電力モードに移行する(Act306)。ここで、時計回路19の計時を再度開始させる理由は、省電力モード時において所定のタイミングで発光素子の点灯動作を開始させるためである。
【0028】
省電力モード以降後、この時計回路19で計時される時間が予め設定された時間に到達すると、第1の表示制御プログラムが実行される。つまり、表示制御回路9は、RAM8に記憶されているプログラムに従って、第1の発光素子であるLED21aに対して第1の表示制御を実行する。すなわち、第1の発光素子であるLED21aは、第1の表示制御プログラムである2秒間隔で点滅を繰り返すこととなる(Act307)。そして、復帰指令を受信した場合、CPU6は省電力モードから通常状態に復帰し(Act308のYes)、通常の印刷動作が実行される状態となる(Act314)。一方、復帰指令を受信しない場合、CPU6は省電力モードのままであり、第1の表示制御プログラムに従って第1の発光素子であるLED21aの点灯消灯制御が継続される。
【0029】
ここで、第1の表示制御プログラムは、一例として2秒間隔で点滅を繰り返し表示するプログラムとされている。ここでの「エラー」とは、プリンタの状態に関するものであり、例えば、印刷用紙が用紙切れとなった状態を示す用紙エンドエラー、バッテリの残量が残りわずかとなった状態を示すバッテリーエラー、紙が詰まっている状態を示す紙詰まりエラー、通信に障害が起きている状態を示す通信エラー、などのエラーである。これらのエラー状態とLEDの点灯消灯表示プログラムとを一対一に対応付けて、省電力モード以降時にLED21を点灯消灯制御させてもよい。
【0030】
なお、プリンタ1は省電力モードに移行するとプリンタの動作を制御するCPU6の駆動電力が停止されるのでバッテリ18の電力消費が停止され省電力化が実現される。省電力モードにおいてのLED21の点灯消灯の表示制御はCPU6に代わり表示制御回路9にて実行されることとなる。なお、表示制御回路9は、省電力モード時においてもバッテリ18から電力供給を受けて、動作可能となっている。すなわち、電力消費が大きいCPU6での表示制御ではなく、表示制御回路9にてLED21の点灯消灯の制御が実行される。
【0031】
次に、省電力モード移行前に、プリンタ内にエラーがない場合のLEDの点灯表示制御について説明する。Act302にて省電力モードに移行するか否かの判断をする際に、CPU6は、現在のプリンタがエラー状態であるか否かを判定し(Act303)。CPU6は、プリンタ1にエラーが存在しないと判断した場合(Act303のNo)、Act304と同様に省電力モードに移行するか否かのために計時されているタイマーを一旦リセットする(Act309)。そして、再び時計回路(タイマー)をオンとして計時を開始させ(Act310)、省電力モードに移行する(Act311)。省電力モード移行後、この時計回路19で計時される時間が予め設定された時間に到達すると、第2の表示制御プログラムがRAM8に展開し、発光素子である第2のLED21bを発光可能な状態(アクティブ状態)にセットし、表示制御回路9は、RAM8に記憶されているプログラムに従って、第2の発光素子であるLED21bに対して第2の表示制御を実行する。
【0032】
第2の表示制御プログラムは、一例として5秒間隔で点滅を繰り返すプログラムとされている。つまり、この場合、Act302でエラーがないと判断された場合、省電力モード移行後、第2の発光素子であるLED21bは第2の表示制御プログラムに従って5秒間隔で点滅を繰り返す。
【0033】
そして、通信I/Fが復帰指令を受信した場合、CPU6は省電力モードから通常状態に復帰し(Act313のYes)、通常の印刷動作が実行される状態となる(Act314)。一方、復帰指令を受信しない場合、CPU6は省電力モードの状態を維持し、第2の表示制御回路9は発光素子LED21bに対して第2の表示制御プログラムで点灯消灯制御を実行する。
【0034】
以上、本実施形態のプリンタによれば、省電力モードに移行する前にプリンタにエラーが存在するか否かを判断し、プリンタにエラーがある場合は、エラーが存在しない場合とは異なる時間間隔で点灯または消灯または点滅の表示を行う。これにより省電力モードにおいても、プリンタがエラー状態であるか否かをLEDの点灯または消灯の時間間隔でもって表示することにより区別することが可能となる。
【0035】
また、本実施形態のプリンタによれば、省電力モードに移行する前にプリンタにエラーが存在するか否かを判断し、プリンタにエラーがある場合とエラーがない場合とにおいて表示させるLEDの色を異ならせて表示させている。このため、LEDが点灯した色を元にプリンタがエラー状態であるか否かを判断することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態のプリンタによれば、省電力モードに移行する前にプリンタにエラーが存在するか否かを判断し、プリンタのエラー状態に対応付けてLEDを点灯又は消灯制御させている。このため、点灯または消灯制御を参考にプリンタがいかなるエラー状態であるかを判別することが可能となる。
【0037】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 プリンタ
2 本体ケース
3 開閉カバー
4 排紙口
5 バッテリ収納部
6 CPU
7 ROM
8 RAM
19 時計回路
21 発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷動作を実行する第1印字モードと前記印刷動作の待機状態であって前記第1印字モードとは異なるモードである第2印字モードとを有するプリンタにおいて、
少なくとも第1の発光素子と第2の発光素子とを有する表示部と、
前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子を点灯又は消灯させるよう制御する表示制御部と、
前記プリンタに関するエラーの有無を検知する検知部と、を備え、
前記表示制御手段は、前記第2印字モード移行前に前記検知部が前記プリンタに関するエラーを検知している場合、前記第2印字モード移行後において前記第1の発光素子を予め定められた第1の表示制御にて点滅制御させることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記第2印字モード移行前に前記検知部が前記プリンタに関するエラーを検知していない場合、前記第2印字モード移行後において前記第2の発光素子を予め定められた第2の表示制御にて点滅制御させることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
時間を計時する計時部と、をさらに備え、
前記表示制御部は、前記第2印字モード移行後において前記計時部が所定の時間を計時すると前記第1の発光素子に対して前記第1の表示制御又は前記第2の発光素子に対して前記第2の表示制御を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子の発光時に表示する表示色はそれぞれ異なる色であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−71270(P2013−71270A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210115(P2011−210115)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】