プリンタ
【課題】プリンタ本体に対して、リボンカセットを容易かつ確実に着脱すること。
【解決手段】プリンタ本体に対して着脱可能であって、当該プリンタ本体に装着された状態においてプリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられるインクリボン401を繰り出し自在かつ巻き取り自在に保持するリボンカセット103を、当該リボンカセット103およびインクリボン401によってプリントヘッド101を囲むようにプリンタ本体に装着した状態において、プリントヘッド101を覆うヘッドカバー104におけるインクリボンと対向するエッジ部に、インクリボン401に向かって突出する曲面形状の突起部306を設けたプリンタ100を構成した。
【解決手段】プリンタ本体に対して着脱可能であって、当該プリンタ本体に装着された状態においてプリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられるインクリボン401を繰り出し自在かつ巻き取り自在に保持するリボンカセット103を、当該リボンカセット103およびインクリボン401によってプリントヘッド101を囲むようにプリンタ本体に装着した状態において、プリントヘッド101を覆うヘッドカバー104におけるインクリボンと対向するエッジ部に、インクリボン401に向かって突出する曲面形状の突起部306を設けたプリンタ100を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インクリボンを用いてプリント動作をおこなうプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、インクリボンプリンタなどと称され、搬送経路を間にして対向するプリントヘッドとプラテンとの間に搬送された記録媒体に対してインクリボンを介してプリント動作をおこなうことによって、当該記録媒体に情報を記録するプリンタがあった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
このようなプリンタには、たとえば、インクリボンを保持し、プリントヘッドにおけるプラテンに対向する側(正面側)とは反対側(背面側)に配置されるリボンカセットを備えたプリンタがあった。このようなプリンタが備えるリボンカセットは、プリント動作に際して、プリントヘッドの背面側から正面側にインクリボンを繰り出し、繰り出したインクリボンを再び背面側に巻き取る機構を備えている。
【0004】
リボンカセットは、交換時などを想定して、プリンタ本体に対して着脱可能に設けられている。交換作業に際しては、プリントヘッドとプラテンとの間からインクリボンを引き抜くように、プリントヘッドとプラテンとの対向方向に交差する方向にリボンカセットを取り外す。その後、プリントヘッドとプラテンとの間にインクリボンを挿入しながら、プリントヘッドとプラテンとの対向方向に交差する方向にリボンカセットを押し込み、取り付ける。
【0005】
また、従来、たとえば、プリントヘッド(印字ヘッド)の前方に、用紙排出コースに沿って形成されたリボンガイド部を備えたプリンタがあった(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−55806号公報
【特許文献2】国際公開第2006/038625号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来のプリンタは、リボンカセットを装着する際に、インクリボンが、プリントヘッドあるいはプリントヘッドのヘッドカバーに引っ掛かりやすいという問題があった。インクリボンがプリントヘッドやヘッドカバーに引っ掛かった場合、リボンカセットからインクリボンが過剰に引き出されてしまい、過剰に引き出された分のインクリボンをリボンカセット内に巻き戻さなくてはならず、煩わしいという問題があった。
【0008】
また、上述した従来のプリンタは、インクリボンがプリントヘッドに引っ掛かった場合、インクリボンが不用意に折り曲げられて変形してしまい、変形したインクリボンを元の形状に直さなくてはならず、煩わしいという問題があった。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、プリンタ本体に対して、リボンカセットを容易かつ確実に着脱することができるプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるプリンタは、プリンタ本体に設けられて記録媒体に印字をおこなうプリントヘッドと、前記プリンタ本体に設けられて前記記録媒体が搬送される搬送経路を間にして前記プリントヘッドに対向配置されたプラテンと、前記プリンタ本体に設けられて前記プリントヘッドを覆うヘッドカバーと、前記プリンタ本体に対して着脱可能であって、当該プリンタ本体に装着された状態において前記プリントヘッドと前記プラテンとの間に位置付けられるインクリボンを繰り出し自在かつ巻き取り自在に保持するリボンカセットと、を備え、前記リボンカセットは、当該リボンカセットおよび前記インクリボンによって前記プリントヘッドを囲むように前記プリンタ本体に装着され、前記ヘッドカバーは、前記インクリボンと対向する端部に設けられ、かつ、前記インクリボンに向かって突出する曲面形状の突起部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるプリンタは、上記の発明において、前記ヘッドカバーが、前記プリントヘッドが前記記録媒体の搬送方向と直交する幅方向に移動する移動範囲全体を覆うように備えられていることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるプリンタは、上記の発明において、前記突起部が、前記インクリボンの搬送方向または前記インクリボンの搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなすことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるプリンタは、上記の発明において、前記突起部が、前記プリンタ本体に対する前記リボンカセットの着脱方向において、当該プリンタ本体に装着された状態におけるインクリボンに近づくほど突出する曲面形状をなすことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるプリンタは、上記の発明において、前記突起部が、少なくとも頂部が、前記ヘッドカバーの外表面よりも、前記インクリボン側に突出する曲面形状をなすことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるプリンタは、上記の発明において、前記インクリボンと対向する端部が、前記ヘッドカバーの一部であって、前記プリントヘッドと前記プラテンとの間における前記インクリボンの搬送方向に対して、当該インクリボンが曲折される位置に対向する位置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ヘッドカバーに曲面形状の突起部を設けることによって、プリンタ本体に対するリボンカセットの着脱に際してインクリボンがヘッドカバーに引っ掛かることを防止できる。
【0017】
この発明にかかるプリンタによれば、プリンタ本体に対して、リボンカセットを容易かつ確実に着脱することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明にかかる実施の形態のプリンタの構成を示す説明図(その1)である。
【図2】この発明にかかる実施の形態のプリンタの構成を示す説明図(その2)である。
【図3】この発明にかかる実施の形態のプリンタの、図2におけるA−A断面を示す説明図である。
【図4】この発明にかかる実施の形態のプリンタの、図2におけるB−B断面を示す説明図である。
【図5】この発明にかかる実施の形態のプリンタが備えるリボンカセットを示す説明図(その1)である。
【図6】この発明にかかる実施の形態のプリンタが備えるリボンカセットを示す説明図(その2)である。
【図7】この発明にかかる実施の形態のプリンタが備えるリボンカセットを示す説明図(その3)である。
【図8】プリンタ本体に対してリボンカセットを着脱する手順を示す説明図である。
【図9】従来のプリンタを示す説明図(その1)である。
【図10】従来のプリンタを示す説明図(その2)である。
【図11】従来のプリンタが備えるリボンカセットの一状態を示す説明図(その1)である。
【図12】従来のプリンタが備えるリボンカセットの一状態を示す説明図(その2)である。
【図13】この発明にかかる実施の形態のプリンタを示す説明図(その1)である。
【図14】この発明にかかる実施の形態のプリンタを示す説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるプリンタの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
(プリンタの構成)
まず、この発明にかかる実施の形態のプリンタの構成について説明する。図1および図2は、この発明にかかる実施の形態のプリンタの構成を示す説明図である。図1においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタを、当該プリンタを設置した状態における斜め上方から見た状態を示している。図2においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタを、当該プリンタを設置した状態における上方および四側方から見た状態を示している。
【0021】
図1および図2において、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、プリントヘッド(印字ヘッド)101と、プラテン102と、リボンカセット103と、を備えている。プリントヘッド101は、プリンタ100を設置した状態における上方から、ヘッドカバー104によって覆われている。プリントヘッド101およびヘッドカバー104、プラテン102およびリボンカセット103は、それぞれ、一対のサイドフレーム105(105a、105b)の間に設けられている。
【0022】
一対のサイドフレーム105(105a、105b)は、用紙(記録媒体、図3における符号Sを参照)の搬送方向に直交する方向である、用紙の幅方向(図1および図2における矢印X方向、以下適宜「プリンタ100の幅方向」という)において、プリントヘッド101、プラテン102およびリボンカセット103の両端側に設けられている。プリントヘッド101、プラテン102およびリボンカセット103は、プリンタ本体を構成する一対のサイドフレーム105によって支持されている。プリンタ本体は、一対のサイドフレーム105および一対のサイドフレーム105に固定された各部によって構成される。
【0023】
一対のサイドフレーム105のうちの一方のサイドフレーム105(105a)には、紙送りモータ201が設けられている。紙送りモータ201には、一対のサイドフレーム105のうちの一方のサイドフレーム105(105a)に設けられたギア列106を介して、紙送りローラー202が連結されている。ギア列106は、紙送りモータ201の回転力を紙送りローラー202に伝達する。
【0024】
また、一対のサイドフレーム105うちの他方のサイドフレーム105(105b)には、キャリッジモータ107が設けられている。キャリッジモータ107には、一対のサイドフレーム105のうちの他方のサイドフレーム105(105b)に設けられたギア列108を介して、紙送りローラー202が連結されている。ギア列108は、キャリッジモータ107の回転力を、スパイラルシャフト309に伝達する。
【0025】
スパイラルシャフトは、キャリッジモータ107の回転力が伝達されることによって回転する。スパイラルシャフト309の回転方向は、キャリッジモータ107の回転方向を、正回転から反対回転に、あるいは、反対回転から正回転に切り替えることによって切り替えることができる。スパイラルシャフト309の回転方向を切り替えることにより、プリントヘッド101の移動方向を切り替えることができる。
【0026】
プリントヘッド101、プラテン102およびリボンカセット103は、用紙の搬送方向に直交し、かつ、用紙の幅方向に直交する方向(図1および図2における矢印Y方向)において、プラテン102、プリントヘッド101、リボンカセット103の順で配置されている。これによって、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態において当該プリンタ100を上方から見た場合に、プラテン102とリボンカセット103とは、プリントヘッド101、プラテン102およびリボンカセット103の配列方向において、プリントヘッド101を間にして、互いに、プリントヘッド101における反対となる位置に設けられている。
【0027】
図3は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100の、図2におけるA−A断面を示す説明図である。図4は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100の、図2におけるB−B断面を示す説明図である。図3においては、矢印Y方向であって、かつ、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向に平行に、プリンタ100を切断した断面を示している。図4においては、矢印Y方向であって、かつ、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向に対して直交する水平に沿ってプリンタ100を切断した断面を示している。
【0028】
図3および図4において、プリンタ100は、プリンタ100に対する用紙Sの挿入を受け付ける用紙S挿入口301から、プリントヘッド101とプラテン102との対向位置を経由して、用紙S出口302に至る搬送経路303を備えている。搬送経路303には、上記の紙送りローラー202と、紙送りローラー202の動きにしたがって回転するアイドルローラー307と、が設けられている。
【0029】
紙送りローラー202は、略円筒形状をなし、外周面の一部が搬送経路303を形成するように設けられている。紙送りローラー202は、紙送りモータ201の回転力が伝達されることにより回転する。紙送りローラー202は、搬送対象とされる用紙Sをアイドルローラー307との間に挟持した状態で回転することによって、当該用紙Sに対して搬送力を付与する。プリンタ100において、用紙Sは、たとえば、ロール状に巻回された状態の長尺紙を用いることができる。
【0030】
プリントヘッド101は、たとえば、インパクト方式による記録処理をおこなうプリントヘッド(インパクトプリントヘッド)を用いることができる。プリントヘッド101は、束ねられた複数のピン(ワイヤー)304を備えている。プリントヘッド101における複数のピン(ワイヤー)304の先端は、マトリクス状に配列されている。複数のピン(ワイヤー)304は、それぞれ独立してプラテン102側に突出可能とされている。
【0031】
プリントヘッド101は、キャリッジ308に固定されている。キャリッジ308は、用紙Sの幅方向を軸心方向として延出するキャリッジシャフト305に沿って、プリンタ100の幅方向に往復移動可能に設けられている。これにより、プリントヘッド101は、プリンタ100の幅方向に往復移動可能とされている。
【0032】
一対のサイドフレーム105の間には、プリントヘッド101をプリンタ100の幅方向に往復移動させるスパイラルシャフト309が設けられている。スパイラルシャフト309の外周面には、スパイラルシャフト309の軸を中心とする螺旋状の溝が形成されている。スパイラルシャフト309の軸を中心とする螺旋状の溝には、キャリッジ308に形成された突起308aが嵌め合わされている。これにより、キャリッジ308は、螺旋状の溝に嵌め合わされた突起308aを介して、スパイラルシャフト309に連結されている。
【0033】
キャリッジモータ107の回転力が伝達されることによってスパイラルシャフト309が軸回りに回転すると、キャリッジ308に対して、当該キャリッジ308をスパイラルシャフト309の回転にともなって回転させようとする力が作用するが、キャリッジ308はキャリッジシャフト305に連結されているため、当該キャリッジ308に対して外力(スパイラルシャフト309の回転方向へ当該キャリッジ308を回転させようとする力)が作用した場合にもキャリッジ308は回転しない。
【0034】
このため、突起308aは、スパイラルシャフト309が回転することによる外力がキャリッジ308に加えられた場合、螺旋状の溝における相対的な位置を変化させるように、当該螺旋状の溝に沿って移動する。これにより、スパイラルシャフト309に対するキャリッジ308の相対的な位置が変化し、キャリッジ308は、プリンタ100の幅方向に平行な一方向(たとえば、サイドフレーム105a側からサイドフレーム105b側)に向かって直線的に移動する。
【0035】
スパイラルシャフト309の回転方向を反対にすると、同様にして、キャリッジ308は、プリンタ100の幅方向に平行な一方向とは反対方向(たとえば、サイドフレーム105b側からサイドフレーム105a側)に向かって直線的に移動する。ギア列108は、スパイラルシャフト309から先にも輪列を備えている。スパイラルシャフト309から先の輪列には、図示せぬリボン駆動軸が連結されている。ギア列108は、キャリッジモータ107の回転力をリボン駆動軸に伝達する。
【0036】
ヘッドカバー104は、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向(図3における紙面上下方向)において、プリントヘッド101よりも上側に設けられている。ヘッドカバー104は、プリントヘッド101の移動範囲全体にわたってプリントヘッド101を覆うように設けられている。
【0037】
ヘッドカバー104には、斜面104aが形成されている。ヘッドカバー104に斜面104aを形成することにより、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際に、リボンカセット103が保持するインクリボン401を、プリントヘッド101とプラテン102との間に導くことができる。これにより、プリンタ本体に対するリボンカセット103の取り付け(装着)時に、インクリボン401が変形することを防止することができる。
【0038】
ヘッドカバー104は、たとえば、金属製の板状部材を、プリントヘッド101とプラテン102との対向方向に対して屈曲させることによって形成することができる。ヘッドカバー104には、ヘッドカバー104における用紙Sの幅方向の両端位置に、突起部306が設けられている。突起部306については、説明を後述する(図13を参照)。
【0039】
プラテン102は、プリントヘッド101の移動範囲全体にわたって、搬送経路303を間にしてプリントヘッド101に対向するように設けられている。プラテン102は、搬送経路303中を搬送される用紙Sを間にしてプリントヘッド101に対向し、プリント動作の実行に際してプリントヘッド101によって印字圧が加えられる用紙Sを、プリント面の裏面側から支持する。
【0040】
リボンカセット103は、インクリボン401を保持する。リボンカセット103は、プリンタ本体に対して着脱可能とされている。リボンカセット103をプリンタ本体に対して着脱する際、インクリボン401は、符号401aで示す位置を経由して、プリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられる。プリンタ100は、インクリボン401が、プリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられた状態(図4における一点鎖線で記した符号401bで示す位置に位置付けられた状態)で、プリント動作を実行する。
【0041】
インクリボン401は、リボンカセット103がプリンタ本体に装着された状態において、ヘッドカバー104の幅方向全域にわたって、プリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられる。これにより、プリントヘッド101は、用紙Sの幅方向における位置にかかわらず、インクリボン401を介してプラテン102に対向している。プリント動作の実行に際して、用紙Sは、インクリボン401とプラテン102との間を搬送される。
【0042】
図5、図6および図7は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100が備えるリボンカセット103を示す説明図である。図5においては、リボンカセット103の斜視状態を示し、図6においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100が備えるリボンカセット103を、プリンタ100を設置した状態における上方および四側方から見た状態を示している。図7においては、リボンカセット103の図6におけるC−C断面を示している。
【0043】
図5、図6および図7において、リボンカセット103は、インクリボン401を収容するカセット本体501を備えている。インクリボン401は、合成繊維等からなる帯状のファブリックリボンの両端を接続して無端状としたものの繊維間の隙間にインクを含浸させた状態で、リボンカセット本体501に組み込まれている。
【0044】
インクリボン401は、山折りと谷折りとが交互に連続する蛇腹状(アコーディオン状)に屈曲可能とされている。インクリボン401は、カセット本体501内において、当該カセット本体501内の空間の大きさに合わせた幅で、山折りと谷折りとが交互に連続する蛇腹状(アコーディオン状)に折りたたまれた状態で収容されている。
【0045】
カセット本体501は、一対のアーム部502を備えている。一対のアーム部502は、用紙Sの幅方向において、リボンカセット103の両端に設けられている。一対のアーム部502は、先端どうしの間にインクリボン401を張りわたした状態で保持する。これにより、リボンカセット103は、カセット本体501と一対のアーム部502間に張りわたされたインクリボン401とによって形成される空間部503を備える。
【0046】
カセット本体501の内部には、リボンカセット103が保持するインクリボン401を繰り出し自在かつ巻き取り自在に保持する機構を実現するギア701が設けられている。ギア701は、インクリボン401の幅方向を軸心方向として回転可能に設けられている。
【0047】
カセット本体501の外側には、ギア701と同軸で一体に形成されたノブ(手動リボン送り)504が設けられている。ギア701は、たとえば、オペレーターなどによってノブ504が手動で回転させられた場合に、ノブ504の回転にともなって回転する。すなわち、ギア701は、ノブ504を回転させることによって、オペレーターが手動で回転させることができる。
【0048】
また、カセット本体501の内部には、ギア701と噛み合うギア702が設けられている。プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付けた(装着した)状態において、ギア701には、プリンタ本体に設けられた図示を省略するリボン駆動軸が連結される。キャリッジモータ107の駆動力は、ギア列108を介してギア701に伝達される。ギア701は、キャリッジモータ107の駆動力が伝達されることにより回転する。
【0049】
ギア702は、ギア701に噛み合っているため、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付けた(装着した)状態においてギア701が回転すると、当該ギア701の回転にともなって、ギア701の回転方向とは反対方向に回転する。インクリボン401は、ギア701の山の大きさに応じた幅で、山折りと谷折りとが交互に連続する蛇腹状(アコーディオン状)に屈曲可能とされており、カセット本体501内においてギア701とギア702との間に引き回されている。
【0050】
これにより、ギア701が図7における矢印D方向に回転すると、ギア701とギア702との間に引き回されているインクリボン401が矢印E方向に引っ張られ、インクリボン401における一対のアーム部502間に張りわたされた部分がカセット本体501内へ引き込まれる。
【0051】
また、インクリボン401は無端状なので、インクリボン401がカセット本体501内へ引き込まれることにともなって、カセット本体501内に収容されているインクリボン401が、引き込まれたインクリボン401に引っ張られてカセット本体501の外に引き出される。これによって、リボンカセット103は、インクリボン401を繰り出すことができる。
【0052】
カセット本体501には、ノブ504が設けられている面と同じ面に、着脱用の取っ手部505が設けられている。着脱用の取っ手部505は、オペレーターの手指により把持しやすいように、湾曲した形状をなしている。着脱用の取っ手部505は、たとえば、カセット本体501と一体に形成することができる。リボンカセット103において、着脱用の取っ手部505は、図示した形状に限らない。また、リボンカセット103において、着脱用の取っ手部505は設けなくてもよい。
【0053】
図8は、プリンタ本体に対してリボンカセット103を着脱する手順を示す説明図である。図8において、紙面上向きの矢印はプリンタ本体からリボンカセット103を取り外す際の手順方向を示し、紙面下向きの矢印はプリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける際の手順方向を示している。
【0054】
図8において、プリンタ本体からリボンカセット103を取り外す際は、たとえば、オペレーターなどが、リボンカセット103に設けられた着脱用の取っ手部505を把持し、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向上側に、リボンカセット103をプリンタ本体から引き抜くように移動させる(図8における中段および上段の図面を参照)。
【0055】
プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際は、たとえば、オペレーターなどが、リボンカセット103に設けられた着脱用の取っ手部505を把持し、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向下側に向かって、すなわちリボンカセット103をプリンタ本体に近づけるように移動させる(図8における上段および中段の図面を参照)。
【0056】
プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際は、リボンカセット103が保持するインクリボン401が、プリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられ、かつ、カセット本体501と一対のアーム部502間に張りわたされたインクリボン401とによって形成されるリボンカセット103の空間部503内にヘッドカバー104を位置付ける(カセット本体501と一対のアーム部502間に張りわたされたインクリボン401とによってヘッドカバー104の外周部分を囲む)ように、リボンカセット103を移動させる。
【0057】
上記のように、インクリボン401は、カセット本体501内において、蛇腹状(アコーディオン状)に折りたたまれた状態で収容されている。このため、インクリボン401においてアーム部502の間に張りわたされた部分に対して引っ張る力が作用すると、ギア701が回転していない状況であっても、カセット本体501からインクリボン401を引き出すことが可能となっている。
【0058】
図9および図10は、従来のプリンタを示す説明図である。図11および図12は、従来のプリンタが備えるリボンカセットの一状態を示す説明図である。図9、図10、図11および図12においては、本発明にかかる実施の形態のプリンタ100と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。図9においては、従来のプリンタを、当該従来のプリンタ(プリンタ本体)を設置した状態における斜め上方から見た状態を示している。
【0059】
図9において、従来のプリンタ900が備えるヘッドカバー901は、金属製の板状部材を、プリントヘッド101とプラテン102との対向方向に対して屈曲させることによって形成されている。このため、従来のプリンタ900においては、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際に、インクリボン401におけるリボンカセット103のアーム部502の間に張りわたされた部分が、ヘッドカバー901に引っ掛かってしまうことがあった。具体的には、ヘッドカバー901における幅方向の端(一端あるいは両端)部のエッジ部901aに引っ掛かってしまうことがあった。
【0060】
図10においては、従来のプリンタ900において、インクリボン401がカセット本体501から過剰に引き出された状態の一例を示している。インクリボン401がヘッドカバー901に引っ掛かった状態で、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)動作を続けると、カセット本体501内に収容されているインクリボン401に対して当該インクリボン401をカセット本体501の外へ引っ張る力が作用し、カセット本体501からインクリボン401が過剰に引き出されてしまうことがあった。
【0061】
インクリボン401がカセット本体501から過剰に引き出されると、リボンカセット103のアーム部502の間でインクリボン401が弛んだ状態となり、良好なプリント動作をおこなう(良好なプリント結果を得る)ことができない。このため、インクリボン401がカセット本体501から過剰に引き出された場合は、過剰に引き出された分のインクリボン401をカセット本体501内に巻き戻さなくてはならない。
【0062】
図11においては、従来のプリンタ900において、カセット本体501から過剰に引き出されたインクリボン401を巻き戻す作業の一例を示している。図11において、インクリボン401をカセット本体501内に巻き戻す作業に際して、オペレーターは、たとえば、プリンタ本体からリボンカセット103を取り外し、ノブ504を把持して、把持したノブ504を手で回すことによって、過剰に引き出された分のインクリボン401をカセット本体501内に巻き戻さなくてはならない。
【0063】
また、インクリボン401がヘッドカバー901に引っ掛かった状態や、インクリボン401がカセット本体501から過剰に引き出されてリボンカセット103のアーム部502の間でインクリボン401が弛んだ状態のまま、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)動作を続けると、リボンカセット103のアーム部502の間で保持されているインクリボン401がねじれたりよじれたりして変形してしまうことがあった。インクリボン401が変形した状態では、良好なプリント動作をおこなう(良好なプリント結果を得る)ことができない。このため、インクリボン401が変形した場合は、インクリボン401の変形を直さなくてはならない。
【0064】
図12においては、従来のプリンタ900において、インクリボン401が変形した状態の一例を示している。図12において、インクリボン401の変形を直す作業に際して、オペレーターは、たとえば、プリンタ本体からリボンカセット103を取り外し、ねじれたりよじれたりして変形したインクリボン401をねじれ方向やよじれ方向とは反対方向に回転させたり、ねじれたりよじれたりすることによって生じたしわを伸ばしたりするなど、インクリボン401の変形を手で直さなくてはならない。
【0065】
このように、従来のプリンタ900においては、インクリボン401がヘッドカバー104に引っ掛かりやすく、インクリボン401がヘッドカバー901に引っ掛かることによってカセット本体501から過剰に引き出されたインクリボン401をカセット本体501内に巻き戻したり、インクリボン401がヘッドカバー901に引っ掛かることによって変形したインクリボン401を元の形状に直したりしなくてはならず、煩わしい。
【0066】
図13および図14は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100を示す説明図である。図13においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100が備えるヘッドカバー104およびヘッドカバー104近傍を、当該プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における斜め上方から見た状態を示している。図14においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100を、当該プリンタ100を設置した状態における上方から見た状態を示している。
【0067】
図13および図14において、ヘッドカバー104に設けられた突起部306は、当該ヘッドカバー104において、インクリボン401と対向する部分のうち、用紙Sの幅方向における端部(用紙Sの幅方向における両方の端部)であるエッジ部に、それぞれ設けられている。上述したように、この実施の形態においては、たとえば、金属製の板状部材をプリントヘッド101とプラテン102との対向方向に対して屈曲させることによって形成されたヘッドカバー104を用いることができる。この場合、プリントヘッド101とプラテン102との対向方向に直交する方向における端部によって、インクリボン401と対向する端部(エッジ部)を実現することができる。
【0068】
エッジ部は、たとえば、ヘッドカバー104の一部であって、プリントヘッド101とプラテン102との間におけるインクリボン401の搬送方向に対して、当該インクリボン401が曲折される位置に対向する位置とすることができる。また、エッジ部が設けられる、ヘッドカバー104の一部は、たとえば、当該ヘッドカバー104におけるインクリボン401に対向する位置によって実現することができる。
【0069】
突起部306は、リボンカセット103がプリンタ本体に装着された状態、すなわち、プリントヘッド101とプラテン102との間にインクリボン401が位置付けられた状態において、当該インクリボン401に向かって突出する曲面形状をなしている。また、突起部306は、インクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなしている。また、突起部306は、インクリボン401の搬送方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなしている。
【0070】
突起部306は、少なくとも頂部が、ヘッドカバー104の外表面よりも、インクリボン401側に突出する曲面形状をなしている。この発明にかかる実施の形態のプリンタ100において、突起部306は、インクリボン401の搬送方向に交差する方向において中央部分ほど突出し、かつ、インクリボン401の搬送方向において中央部分ほど突出する、3次元の曲面形状をなしている。
【0071】
突起部306は、ヘッドカバー104をなす金属製の板状部材を加工するなどして、ヘッドカバー104と一体に設けることができる。また、突起部306は、ヘッドカバー104をなす金属製の板状部材に、プラスチック材料などと称される高分子材料や金属などを用いて形成された別部材を取り付けることによって、ヘッドカバー104とは別体として設けてもよい。
【0072】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100において、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際は、たとえば、オペレーターなどが、リボンカセット103に設けられた着脱用の取っ手部505を把持し、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向下側に向かって、すなわちリボンカセット103をプリンタ本体に近づけるように移動させる。
【0073】
プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際は、上述した従来のプリンタ900の場合と同様に、リボンカセット103が保持するインクリボン401が、ヘッドカバー104の斜面104aに沿って案内されてプリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられ、かつ、カセット本体501と一対のアーム部502間に張りわたされたインクリボン401とによって形成されるリボンカセット103の空間部503内にプリントヘッド101を位置付けるように、リボンカセット103を移動させる。
【0074】
プリンタ本体に対するリボンカセット103の取り付け(装着)において、インクリボン401は、突起部306に対向する位置を通過する際に、突起部306に接触する。これによって、インクリボン401は、ヘッドカバー104のエッジ部から離間する方向に(空間部503を広げるように)変形する(図4における符号401aを参照)。突起部306に対向する位置を通過した後のインクリボン401は、突起部306から離間し、一対のアーム部502間に張りわたされた状態で、プリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられる。
【0075】
プリンタ本体からリボンカセット103を取り外す場合において、インクリボン401は、突起部306に対向する位置を通過する際に、突起部306に接触する。これによって、インクリボン401は、ヘッドカバー104のエッジ部から離間する方向に(空間部503を広げるように)変形する(図4における符号401aを参照)。突起部306に対向する位置を通過した後のインクリボン401は、突起部306から離間し、カセット本体501とともにプリンタ本体から取り外される。
【0076】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、ヘッドカバー104におけるエッジ部に突起部306が設けられているため、アーム部502の間に張りわたされたインクリボン401がエッジ部などのヘッドカバー104に引っ掛かることを防止できる。すなわち、突起部306はインクリボン401の搬送方向において中央部分ほど突出する曲面形状をなしているため、インクリボン401を繰り出しかつ巻き取る方向において、当該インクリボン401が引っ掛かることがない。
【0077】
また、突起部306はインクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなしているため、リボンカセット103をプリンタ本体に近づけて、プリントヘッド101とプラテン102との間にインクリボン401を位置付ける際に、インクリボン401がヘッドカバー104などに引っ掛かることがない。また、突起部306は、インクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなしているため、プリントヘッド101とプラテン102との間にインクリボン401を案内するガイドとしても機能する。
【0078】
また、突起部306は、インクリボン401の搬送方向においてヘッドカバー104の両端にそれぞれ設けられているため、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際に、インクリボン401の搬送方向に対してリボンカセット103が傾斜するなどして、用紙Sの幅方向における一端側に位置付けられるインクリボン401の方が、他端側に位置付けられるインクリボン401よりも先に、プリントヘッド101とプラテン102との間に挿入された場合にも、一端側に位置付けられるインクリボン401がヘッドカバー104などに引っ掛かることなく、プリントヘッド101とプラテン102との間にインクリボン401を案内することができる。
【0079】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、プリンタ本体に設けられて用紙Sに印字をおこなうプリントヘッド101と、プリンタ本体に設けられて用紙Sが搬送される搬送経路303を間にしてプリントヘッド101に対向配置されたプラテン102と、プリンタ本体に設けられてプリントヘッド101を覆うヘッドカバー104と、プリンタ本体に対して着脱可能であって、当該プリンタ本体に装着された状態においてプリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられるインクリボン401を繰り出し自在かつ巻き取り自在に保持するリボンカセット103と、を備え、リボンカセット103が、当該リボンカセット103およびインクリボン401によってプリントヘッド101を囲むようにプリンタ本体に装着され、ヘッドカバー104は、インクリボン401と対向する端部に設けられ、かつ、インクリボン401に向かって突出する曲面形状の突起部を備えたことを特徴としている。
【0080】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、エッジ部に曲面形状の突起部306を設けることによって、プリンタ本体に対するリボンカセット103の着脱に際してインクリボン401がインクリボン401と対向する端部(エッジ部)に引っ掛かることを防止できる。これによって、インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることによりカセット本体501から過剰に引き出されたインクリボン401を巻き戻したり、インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることによりねじれたりよじれたりして変形したインクリボン401の形状を直したりする煩わしい作業をなくすことができる。
【0081】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、ヘッドカバー104が、プリントヘッド101が用紙Sの搬送方向と直交する幅方向に移動する移動範囲全体を覆うように備えられていることを特徴としている。
【0082】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、用紙Sの幅方向におけるプリントヘッド101の移動範囲全体にわたってインクリボン401の変形を防止することができる。これによって、用紙Sの幅方向におけるプリントヘッド101の位置にかかわらず、プリントヘッド101と用紙Sとの間にインクリボン401を確実に位置付けることができ、プリント動作における信頼性を確保することができる。
【0083】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、突起部306が、インクリボン401の搬送方向またはインクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなすことを特徴としている。この発明にかかる実施の形態のプリンタ100において、突起部306は、インクリボン401の搬送方向およびインクリボン401の搬送方向に交差する方向の少なくとも一方の方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなすことが好ましい。
【0084】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、たとえば、インクリボン401の搬送方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなす突起部306とした場合、インクリボン401の搬送中に、当該インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることを確実に防止できる。これによって、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、プリント動作における信頼性を確保することができる。
【0085】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、たとえば、インクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなす突起部306とした場合、プリンタ本体に対してリボンカセット103を着脱する際に、インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることを確実に防止できる。これによって、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、プリンタ本体に対して、リボンカセット103を容易かつ確実に着脱することができる。
【0086】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、たとえば、インクリボン401の搬送方向およびインクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなす突起部306とした場合、プリント動作における信頼性を確保するとともに、プリンタ本体に対して、リボンカセット103を容易かつ確実に着脱することができる。
【0087】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、突起部306が、少なくとも頂部が、ヘッドカバー104の外表面よりも、インクリボン401側に突出する曲面形状をなすことを特徴としている。この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、プリンタ本体に対してリボンカセット103を着脱する際に、インクリボン401がヘッドカバー104に接触することを確実に防止し、インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることを確実に防止できる。これによって、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、プリンタ本体に対して、リボンカセット103を容易かつ確実に着脱することができる。
【0088】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、エッジ部が、ヘッドカバー104の一部であって、プリントヘッド101とプラテン102との間におけるインクリボン401の搬送方向に対して、当該インクリボン401が曲折される位置に対向する位置であることを特徴としている。
【0089】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、ヘッドカバー104においてインクリボン401がもっとも引っ掛かりやすい位置に突起部306を設けることにより、インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることを確実に防止できる。これによって、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、プリンタ本体に対して、リボンカセット103を容易かつ確実に着脱することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、この発明にかかるプリンタは、インクリボンを用いてプリントをおこなうプリンタに有用であり、特に、プリンタ本体に対してリボンカセットを取り付ける際に、プリントヘッドとプラテンとの間の狭い空間にインクリボンを位置付ける構成のプリンタに適している。
【符号の説明】
【0091】
100 プリンタ
101 プリントヘッド
102 プラテン
103 リボンカセット
104 ヘッドカバー
306 突起部
【技術分野】
【0001】
この発明は、インクリボンを用いてプリント動作をおこなうプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、インクリボンプリンタなどと称され、搬送経路を間にして対向するプリントヘッドとプラテンとの間に搬送された記録媒体に対してインクリボンを介してプリント動作をおこなうことによって、当該記録媒体に情報を記録するプリンタがあった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
このようなプリンタには、たとえば、インクリボンを保持し、プリントヘッドにおけるプラテンに対向する側(正面側)とは反対側(背面側)に配置されるリボンカセットを備えたプリンタがあった。このようなプリンタが備えるリボンカセットは、プリント動作に際して、プリントヘッドの背面側から正面側にインクリボンを繰り出し、繰り出したインクリボンを再び背面側に巻き取る機構を備えている。
【0004】
リボンカセットは、交換時などを想定して、プリンタ本体に対して着脱可能に設けられている。交換作業に際しては、プリントヘッドとプラテンとの間からインクリボンを引き抜くように、プリントヘッドとプラテンとの対向方向に交差する方向にリボンカセットを取り外す。その後、プリントヘッドとプラテンとの間にインクリボンを挿入しながら、プリントヘッドとプラテンとの対向方向に交差する方向にリボンカセットを押し込み、取り付ける。
【0005】
また、従来、たとえば、プリントヘッド(印字ヘッド)の前方に、用紙排出コースに沿って形成されたリボンガイド部を備えたプリンタがあった(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−55806号公報
【特許文献2】国際公開第2006/038625号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来のプリンタは、リボンカセットを装着する際に、インクリボンが、プリントヘッドあるいはプリントヘッドのヘッドカバーに引っ掛かりやすいという問題があった。インクリボンがプリントヘッドやヘッドカバーに引っ掛かった場合、リボンカセットからインクリボンが過剰に引き出されてしまい、過剰に引き出された分のインクリボンをリボンカセット内に巻き戻さなくてはならず、煩わしいという問題があった。
【0008】
また、上述した従来のプリンタは、インクリボンがプリントヘッドに引っ掛かった場合、インクリボンが不用意に折り曲げられて変形してしまい、変形したインクリボンを元の形状に直さなくてはならず、煩わしいという問題があった。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、プリンタ本体に対して、リボンカセットを容易かつ確実に着脱することができるプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるプリンタは、プリンタ本体に設けられて記録媒体に印字をおこなうプリントヘッドと、前記プリンタ本体に設けられて前記記録媒体が搬送される搬送経路を間にして前記プリントヘッドに対向配置されたプラテンと、前記プリンタ本体に設けられて前記プリントヘッドを覆うヘッドカバーと、前記プリンタ本体に対して着脱可能であって、当該プリンタ本体に装着された状態において前記プリントヘッドと前記プラテンとの間に位置付けられるインクリボンを繰り出し自在かつ巻き取り自在に保持するリボンカセットと、を備え、前記リボンカセットは、当該リボンカセットおよび前記インクリボンによって前記プリントヘッドを囲むように前記プリンタ本体に装着され、前記ヘッドカバーは、前記インクリボンと対向する端部に設けられ、かつ、前記インクリボンに向かって突出する曲面形状の突起部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるプリンタは、上記の発明において、前記ヘッドカバーが、前記プリントヘッドが前記記録媒体の搬送方向と直交する幅方向に移動する移動範囲全体を覆うように備えられていることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるプリンタは、上記の発明において、前記突起部が、前記インクリボンの搬送方向または前記インクリボンの搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなすことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるプリンタは、上記の発明において、前記突起部が、前記プリンタ本体に対する前記リボンカセットの着脱方向において、当該プリンタ本体に装着された状態におけるインクリボンに近づくほど突出する曲面形状をなすことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるプリンタは、上記の発明において、前記突起部が、少なくとも頂部が、前記ヘッドカバーの外表面よりも、前記インクリボン側に突出する曲面形状をなすことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるプリンタは、上記の発明において、前記インクリボンと対向する端部が、前記ヘッドカバーの一部であって、前記プリントヘッドと前記プラテンとの間における前記インクリボンの搬送方向に対して、当該インクリボンが曲折される位置に対向する位置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ヘッドカバーに曲面形状の突起部を設けることによって、プリンタ本体に対するリボンカセットの着脱に際してインクリボンがヘッドカバーに引っ掛かることを防止できる。
【0017】
この発明にかかるプリンタによれば、プリンタ本体に対して、リボンカセットを容易かつ確実に着脱することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明にかかる実施の形態のプリンタの構成を示す説明図(その1)である。
【図2】この発明にかかる実施の形態のプリンタの構成を示す説明図(その2)である。
【図3】この発明にかかる実施の形態のプリンタの、図2におけるA−A断面を示す説明図である。
【図4】この発明にかかる実施の形態のプリンタの、図2におけるB−B断面を示す説明図である。
【図5】この発明にかかる実施の形態のプリンタが備えるリボンカセットを示す説明図(その1)である。
【図6】この発明にかかる実施の形態のプリンタが備えるリボンカセットを示す説明図(その2)である。
【図7】この発明にかかる実施の形態のプリンタが備えるリボンカセットを示す説明図(その3)である。
【図8】プリンタ本体に対してリボンカセットを着脱する手順を示す説明図である。
【図9】従来のプリンタを示す説明図(その1)である。
【図10】従来のプリンタを示す説明図(その2)である。
【図11】従来のプリンタが備えるリボンカセットの一状態を示す説明図(その1)である。
【図12】従来のプリンタが備えるリボンカセットの一状態を示す説明図(その2)である。
【図13】この発明にかかる実施の形態のプリンタを示す説明図(その1)である。
【図14】この発明にかかる実施の形態のプリンタを示す説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるプリンタの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
(プリンタの構成)
まず、この発明にかかる実施の形態のプリンタの構成について説明する。図1および図2は、この発明にかかる実施の形態のプリンタの構成を示す説明図である。図1においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタを、当該プリンタを設置した状態における斜め上方から見た状態を示している。図2においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタを、当該プリンタを設置した状態における上方および四側方から見た状態を示している。
【0021】
図1および図2において、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、プリントヘッド(印字ヘッド)101と、プラテン102と、リボンカセット103と、を備えている。プリントヘッド101は、プリンタ100を設置した状態における上方から、ヘッドカバー104によって覆われている。プリントヘッド101およびヘッドカバー104、プラテン102およびリボンカセット103は、それぞれ、一対のサイドフレーム105(105a、105b)の間に設けられている。
【0022】
一対のサイドフレーム105(105a、105b)は、用紙(記録媒体、図3における符号Sを参照)の搬送方向に直交する方向である、用紙の幅方向(図1および図2における矢印X方向、以下適宜「プリンタ100の幅方向」という)において、プリントヘッド101、プラテン102およびリボンカセット103の両端側に設けられている。プリントヘッド101、プラテン102およびリボンカセット103は、プリンタ本体を構成する一対のサイドフレーム105によって支持されている。プリンタ本体は、一対のサイドフレーム105および一対のサイドフレーム105に固定された各部によって構成される。
【0023】
一対のサイドフレーム105のうちの一方のサイドフレーム105(105a)には、紙送りモータ201が設けられている。紙送りモータ201には、一対のサイドフレーム105のうちの一方のサイドフレーム105(105a)に設けられたギア列106を介して、紙送りローラー202が連結されている。ギア列106は、紙送りモータ201の回転力を紙送りローラー202に伝達する。
【0024】
また、一対のサイドフレーム105うちの他方のサイドフレーム105(105b)には、キャリッジモータ107が設けられている。キャリッジモータ107には、一対のサイドフレーム105のうちの他方のサイドフレーム105(105b)に設けられたギア列108を介して、紙送りローラー202が連結されている。ギア列108は、キャリッジモータ107の回転力を、スパイラルシャフト309に伝達する。
【0025】
スパイラルシャフトは、キャリッジモータ107の回転力が伝達されることによって回転する。スパイラルシャフト309の回転方向は、キャリッジモータ107の回転方向を、正回転から反対回転に、あるいは、反対回転から正回転に切り替えることによって切り替えることができる。スパイラルシャフト309の回転方向を切り替えることにより、プリントヘッド101の移動方向を切り替えることができる。
【0026】
プリントヘッド101、プラテン102およびリボンカセット103は、用紙の搬送方向に直交し、かつ、用紙の幅方向に直交する方向(図1および図2における矢印Y方向)において、プラテン102、プリントヘッド101、リボンカセット103の順で配置されている。これによって、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態において当該プリンタ100を上方から見た場合に、プラテン102とリボンカセット103とは、プリントヘッド101、プラテン102およびリボンカセット103の配列方向において、プリントヘッド101を間にして、互いに、プリントヘッド101における反対となる位置に設けられている。
【0027】
図3は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100の、図2におけるA−A断面を示す説明図である。図4は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100の、図2におけるB−B断面を示す説明図である。図3においては、矢印Y方向であって、かつ、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向に平行に、プリンタ100を切断した断面を示している。図4においては、矢印Y方向であって、かつ、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向に対して直交する水平に沿ってプリンタ100を切断した断面を示している。
【0028】
図3および図4において、プリンタ100は、プリンタ100に対する用紙Sの挿入を受け付ける用紙S挿入口301から、プリントヘッド101とプラテン102との対向位置を経由して、用紙S出口302に至る搬送経路303を備えている。搬送経路303には、上記の紙送りローラー202と、紙送りローラー202の動きにしたがって回転するアイドルローラー307と、が設けられている。
【0029】
紙送りローラー202は、略円筒形状をなし、外周面の一部が搬送経路303を形成するように設けられている。紙送りローラー202は、紙送りモータ201の回転力が伝達されることにより回転する。紙送りローラー202は、搬送対象とされる用紙Sをアイドルローラー307との間に挟持した状態で回転することによって、当該用紙Sに対して搬送力を付与する。プリンタ100において、用紙Sは、たとえば、ロール状に巻回された状態の長尺紙を用いることができる。
【0030】
プリントヘッド101は、たとえば、インパクト方式による記録処理をおこなうプリントヘッド(インパクトプリントヘッド)を用いることができる。プリントヘッド101は、束ねられた複数のピン(ワイヤー)304を備えている。プリントヘッド101における複数のピン(ワイヤー)304の先端は、マトリクス状に配列されている。複数のピン(ワイヤー)304は、それぞれ独立してプラテン102側に突出可能とされている。
【0031】
プリントヘッド101は、キャリッジ308に固定されている。キャリッジ308は、用紙Sの幅方向を軸心方向として延出するキャリッジシャフト305に沿って、プリンタ100の幅方向に往復移動可能に設けられている。これにより、プリントヘッド101は、プリンタ100の幅方向に往復移動可能とされている。
【0032】
一対のサイドフレーム105の間には、プリントヘッド101をプリンタ100の幅方向に往復移動させるスパイラルシャフト309が設けられている。スパイラルシャフト309の外周面には、スパイラルシャフト309の軸を中心とする螺旋状の溝が形成されている。スパイラルシャフト309の軸を中心とする螺旋状の溝には、キャリッジ308に形成された突起308aが嵌め合わされている。これにより、キャリッジ308は、螺旋状の溝に嵌め合わされた突起308aを介して、スパイラルシャフト309に連結されている。
【0033】
キャリッジモータ107の回転力が伝達されることによってスパイラルシャフト309が軸回りに回転すると、キャリッジ308に対して、当該キャリッジ308をスパイラルシャフト309の回転にともなって回転させようとする力が作用するが、キャリッジ308はキャリッジシャフト305に連結されているため、当該キャリッジ308に対して外力(スパイラルシャフト309の回転方向へ当該キャリッジ308を回転させようとする力)が作用した場合にもキャリッジ308は回転しない。
【0034】
このため、突起308aは、スパイラルシャフト309が回転することによる外力がキャリッジ308に加えられた場合、螺旋状の溝における相対的な位置を変化させるように、当該螺旋状の溝に沿って移動する。これにより、スパイラルシャフト309に対するキャリッジ308の相対的な位置が変化し、キャリッジ308は、プリンタ100の幅方向に平行な一方向(たとえば、サイドフレーム105a側からサイドフレーム105b側)に向かって直線的に移動する。
【0035】
スパイラルシャフト309の回転方向を反対にすると、同様にして、キャリッジ308は、プリンタ100の幅方向に平行な一方向とは反対方向(たとえば、サイドフレーム105b側からサイドフレーム105a側)に向かって直線的に移動する。ギア列108は、スパイラルシャフト309から先にも輪列を備えている。スパイラルシャフト309から先の輪列には、図示せぬリボン駆動軸が連結されている。ギア列108は、キャリッジモータ107の回転力をリボン駆動軸に伝達する。
【0036】
ヘッドカバー104は、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向(図3における紙面上下方向)において、プリントヘッド101よりも上側に設けられている。ヘッドカバー104は、プリントヘッド101の移動範囲全体にわたってプリントヘッド101を覆うように設けられている。
【0037】
ヘッドカバー104には、斜面104aが形成されている。ヘッドカバー104に斜面104aを形成することにより、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際に、リボンカセット103が保持するインクリボン401を、プリントヘッド101とプラテン102との間に導くことができる。これにより、プリンタ本体に対するリボンカセット103の取り付け(装着)時に、インクリボン401が変形することを防止することができる。
【0038】
ヘッドカバー104は、たとえば、金属製の板状部材を、プリントヘッド101とプラテン102との対向方向に対して屈曲させることによって形成することができる。ヘッドカバー104には、ヘッドカバー104における用紙Sの幅方向の両端位置に、突起部306が設けられている。突起部306については、説明を後述する(図13を参照)。
【0039】
プラテン102は、プリントヘッド101の移動範囲全体にわたって、搬送経路303を間にしてプリントヘッド101に対向するように設けられている。プラテン102は、搬送経路303中を搬送される用紙Sを間にしてプリントヘッド101に対向し、プリント動作の実行に際してプリントヘッド101によって印字圧が加えられる用紙Sを、プリント面の裏面側から支持する。
【0040】
リボンカセット103は、インクリボン401を保持する。リボンカセット103は、プリンタ本体に対して着脱可能とされている。リボンカセット103をプリンタ本体に対して着脱する際、インクリボン401は、符号401aで示す位置を経由して、プリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられる。プリンタ100は、インクリボン401が、プリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられた状態(図4における一点鎖線で記した符号401bで示す位置に位置付けられた状態)で、プリント動作を実行する。
【0041】
インクリボン401は、リボンカセット103がプリンタ本体に装着された状態において、ヘッドカバー104の幅方向全域にわたって、プリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられる。これにより、プリントヘッド101は、用紙Sの幅方向における位置にかかわらず、インクリボン401を介してプラテン102に対向している。プリント動作の実行に際して、用紙Sは、インクリボン401とプラテン102との間を搬送される。
【0042】
図5、図6および図7は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100が備えるリボンカセット103を示す説明図である。図5においては、リボンカセット103の斜視状態を示し、図6においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100が備えるリボンカセット103を、プリンタ100を設置した状態における上方および四側方から見た状態を示している。図7においては、リボンカセット103の図6におけるC−C断面を示している。
【0043】
図5、図6および図7において、リボンカセット103は、インクリボン401を収容するカセット本体501を備えている。インクリボン401は、合成繊維等からなる帯状のファブリックリボンの両端を接続して無端状としたものの繊維間の隙間にインクを含浸させた状態で、リボンカセット本体501に組み込まれている。
【0044】
インクリボン401は、山折りと谷折りとが交互に連続する蛇腹状(アコーディオン状)に屈曲可能とされている。インクリボン401は、カセット本体501内において、当該カセット本体501内の空間の大きさに合わせた幅で、山折りと谷折りとが交互に連続する蛇腹状(アコーディオン状)に折りたたまれた状態で収容されている。
【0045】
カセット本体501は、一対のアーム部502を備えている。一対のアーム部502は、用紙Sの幅方向において、リボンカセット103の両端に設けられている。一対のアーム部502は、先端どうしの間にインクリボン401を張りわたした状態で保持する。これにより、リボンカセット103は、カセット本体501と一対のアーム部502間に張りわたされたインクリボン401とによって形成される空間部503を備える。
【0046】
カセット本体501の内部には、リボンカセット103が保持するインクリボン401を繰り出し自在かつ巻き取り自在に保持する機構を実現するギア701が設けられている。ギア701は、インクリボン401の幅方向を軸心方向として回転可能に設けられている。
【0047】
カセット本体501の外側には、ギア701と同軸で一体に形成されたノブ(手動リボン送り)504が設けられている。ギア701は、たとえば、オペレーターなどによってノブ504が手動で回転させられた場合に、ノブ504の回転にともなって回転する。すなわち、ギア701は、ノブ504を回転させることによって、オペレーターが手動で回転させることができる。
【0048】
また、カセット本体501の内部には、ギア701と噛み合うギア702が設けられている。プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付けた(装着した)状態において、ギア701には、プリンタ本体に設けられた図示を省略するリボン駆動軸が連結される。キャリッジモータ107の駆動力は、ギア列108を介してギア701に伝達される。ギア701は、キャリッジモータ107の駆動力が伝達されることにより回転する。
【0049】
ギア702は、ギア701に噛み合っているため、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付けた(装着した)状態においてギア701が回転すると、当該ギア701の回転にともなって、ギア701の回転方向とは反対方向に回転する。インクリボン401は、ギア701の山の大きさに応じた幅で、山折りと谷折りとが交互に連続する蛇腹状(アコーディオン状)に屈曲可能とされており、カセット本体501内においてギア701とギア702との間に引き回されている。
【0050】
これにより、ギア701が図7における矢印D方向に回転すると、ギア701とギア702との間に引き回されているインクリボン401が矢印E方向に引っ張られ、インクリボン401における一対のアーム部502間に張りわたされた部分がカセット本体501内へ引き込まれる。
【0051】
また、インクリボン401は無端状なので、インクリボン401がカセット本体501内へ引き込まれることにともなって、カセット本体501内に収容されているインクリボン401が、引き込まれたインクリボン401に引っ張られてカセット本体501の外に引き出される。これによって、リボンカセット103は、インクリボン401を繰り出すことができる。
【0052】
カセット本体501には、ノブ504が設けられている面と同じ面に、着脱用の取っ手部505が設けられている。着脱用の取っ手部505は、オペレーターの手指により把持しやすいように、湾曲した形状をなしている。着脱用の取っ手部505は、たとえば、カセット本体501と一体に形成することができる。リボンカセット103において、着脱用の取っ手部505は、図示した形状に限らない。また、リボンカセット103において、着脱用の取っ手部505は設けなくてもよい。
【0053】
図8は、プリンタ本体に対してリボンカセット103を着脱する手順を示す説明図である。図8において、紙面上向きの矢印はプリンタ本体からリボンカセット103を取り外す際の手順方向を示し、紙面下向きの矢印はプリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける際の手順方向を示している。
【0054】
図8において、プリンタ本体からリボンカセット103を取り外す際は、たとえば、オペレーターなどが、リボンカセット103に設けられた着脱用の取っ手部505を把持し、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向上側に、リボンカセット103をプリンタ本体から引き抜くように移動させる(図8における中段および上段の図面を参照)。
【0055】
プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際は、たとえば、オペレーターなどが、リボンカセット103に設けられた着脱用の取っ手部505を把持し、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向下側に向かって、すなわちリボンカセット103をプリンタ本体に近づけるように移動させる(図8における上段および中段の図面を参照)。
【0056】
プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際は、リボンカセット103が保持するインクリボン401が、プリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられ、かつ、カセット本体501と一対のアーム部502間に張りわたされたインクリボン401とによって形成されるリボンカセット103の空間部503内にヘッドカバー104を位置付ける(カセット本体501と一対のアーム部502間に張りわたされたインクリボン401とによってヘッドカバー104の外周部分を囲む)ように、リボンカセット103を移動させる。
【0057】
上記のように、インクリボン401は、カセット本体501内において、蛇腹状(アコーディオン状)に折りたたまれた状態で収容されている。このため、インクリボン401においてアーム部502の間に張りわたされた部分に対して引っ張る力が作用すると、ギア701が回転していない状況であっても、カセット本体501からインクリボン401を引き出すことが可能となっている。
【0058】
図9および図10は、従来のプリンタを示す説明図である。図11および図12は、従来のプリンタが備えるリボンカセットの一状態を示す説明図である。図9、図10、図11および図12においては、本発明にかかる実施の形態のプリンタ100と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。図9においては、従来のプリンタを、当該従来のプリンタ(プリンタ本体)を設置した状態における斜め上方から見た状態を示している。
【0059】
図9において、従来のプリンタ900が備えるヘッドカバー901は、金属製の板状部材を、プリントヘッド101とプラテン102との対向方向に対して屈曲させることによって形成されている。このため、従来のプリンタ900においては、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際に、インクリボン401におけるリボンカセット103のアーム部502の間に張りわたされた部分が、ヘッドカバー901に引っ掛かってしまうことがあった。具体的には、ヘッドカバー901における幅方向の端(一端あるいは両端)部のエッジ部901aに引っ掛かってしまうことがあった。
【0060】
図10においては、従来のプリンタ900において、インクリボン401がカセット本体501から過剰に引き出された状態の一例を示している。インクリボン401がヘッドカバー901に引っ掛かった状態で、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)動作を続けると、カセット本体501内に収容されているインクリボン401に対して当該インクリボン401をカセット本体501の外へ引っ張る力が作用し、カセット本体501からインクリボン401が過剰に引き出されてしまうことがあった。
【0061】
インクリボン401がカセット本体501から過剰に引き出されると、リボンカセット103のアーム部502の間でインクリボン401が弛んだ状態となり、良好なプリント動作をおこなう(良好なプリント結果を得る)ことができない。このため、インクリボン401がカセット本体501から過剰に引き出された場合は、過剰に引き出された分のインクリボン401をカセット本体501内に巻き戻さなくてはならない。
【0062】
図11においては、従来のプリンタ900において、カセット本体501から過剰に引き出されたインクリボン401を巻き戻す作業の一例を示している。図11において、インクリボン401をカセット本体501内に巻き戻す作業に際して、オペレーターは、たとえば、プリンタ本体からリボンカセット103を取り外し、ノブ504を把持して、把持したノブ504を手で回すことによって、過剰に引き出された分のインクリボン401をカセット本体501内に巻き戻さなくてはならない。
【0063】
また、インクリボン401がヘッドカバー901に引っ掛かった状態や、インクリボン401がカセット本体501から過剰に引き出されてリボンカセット103のアーム部502の間でインクリボン401が弛んだ状態のまま、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)動作を続けると、リボンカセット103のアーム部502の間で保持されているインクリボン401がねじれたりよじれたりして変形してしまうことがあった。インクリボン401が変形した状態では、良好なプリント動作をおこなう(良好なプリント結果を得る)ことができない。このため、インクリボン401が変形した場合は、インクリボン401の変形を直さなくてはならない。
【0064】
図12においては、従来のプリンタ900において、インクリボン401が変形した状態の一例を示している。図12において、インクリボン401の変形を直す作業に際して、オペレーターは、たとえば、プリンタ本体からリボンカセット103を取り外し、ねじれたりよじれたりして変形したインクリボン401をねじれ方向やよじれ方向とは反対方向に回転させたり、ねじれたりよじれたりすることによって生じたしわを伸ばしたりするなど、インクリボン401の変形を手で直さなくてはならない。
【0065】
このように、従来のプリンタ900においては、インクリボン401がヘッドカバー104に引っ掛かりやすく、インクリボン401がヘッドカバー901に引っ掛かることによってカセット本体501から過剰に引き出されたインクリボン401をカセット本体501内に巻き戻したり、インクリボン401がヘッドカバー901に引っ掛かることによって変形したインクリボン401を元の形状に直したりしなくてはならず、煩わしい。
【0066】
図13および図14は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100を示す説明図である。図13においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100が備えるヘッドカバー104およびヘッドカバー104近傍を、当該プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における斜め上方から見た状態を示している。図14においては、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100を、当該プリンタ100を設置した状態における上方から見た状態を示している。
【0067】
図13および図14において、ヘッドカバー104に設けられた突起部306は、当該ヘッドカバー104において、インクリボン401と対向する部分のうち、用紙Sの幅方向における端部(用紙Sの幅方向における両方の端部)であるエッジ部に、それぞれ設けられている。上述したように、この実施の形態においては、たとえば、金属製の板状部材をプリントヘッド101とプラテン102との対向方向に対して屈曲させることによって形成されたヘッドカバー104を用いることができる。この場合、プリントヘッド101とプラテン102との対向方向に直交する方向における端部によって、インクリボン401と対向する端部(エッジ部)を実現することができる。
【0068】
エッジ部は、たとえば、ヘッドカバー104の一部であって、プリントヘッド101とプラテン102との間におけるインクリボン401の搬送方向に対して、当該インクリボン401が曲折される位置に対向する位置とすることができる。また、エッジ部が設けられる、ヘッドカバー104の一部は、たとえば、当該ヘッドカバー104におけるインクリボン401に対向する位置によって実現することができる。
【0069】
突起部306は、リボンカセット103がプリンタ本体に装着された状態、すなわち、プリントヘッド101とプラテン102との間にインクリボン401が位置付けられた状態において、当該インクリボン401に向かって突出する曲面形状をなしている。また、突起部306は、インクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなしている。また、突起部306は、インクリボン401の搬送方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなしている。
【0070】
突起部306は、少なくとも頂部が、ヘッドカバー104の外表面よりも、インクリボン401側に突出する曲面形状をなしている。この発明にかかる実施の形態のプリンタ100において、突起部306は、インクリボン401の搬送方向に交差する方向において中央部分ほど突出し、かつ、インクリボン401の搬送方向において中央部分ほど突出する、3次元の曲面形状をなしている。
【0071】
突起部306は、ヘッドカバー104をなす金属製の板状部材を加工するなどして、ヘッドカバー104と一体に設けることができる。また、突起部306は、ヘッドカバー104をなす金属製の板状部材に、プラスチック材料などと称される高分子材料や金属などを用いて形成された別部材を取り付けることによって、ヘッドカバー104とは別体として設けてもよい。
【0072】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100において、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際は、たとえば、オペレーターなどが、リボンカセット103に設けられた着脱用の取っ手部505を把持し、プリンタ100(プリンタ本体)を設置した状態における鉛直方向下側に向かって、すなわちリボンカセット103をプリンタ本体に近づけるように移動させる。
【0073】
プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際は、上述した従来のプリンタ900の場合と同様に、リボンカセット103が保持するインクリボン401が、ヘッドカバー104の斜面104aに沿って案内されてプリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられ、かつ、カセット本体501と一対のアーム部502間に張りわたされたインクリボン401とによって形成されるリボンカセット103の空間部503内にプリントヘッド101を位置付けるように、リボンカセット103を移動させる。
【0074】
プリンタ本体に対するリボンカセット103の取り付け(装着)において、インクリボン401は、突起部306に対向する位置を通過する際に、突起部306に接触する。これによって、インクリボン401は、ヘッドカバー104のエッジ部から離間する方向に(空間部503を広げるように)変形する(図4における符号401aを参照)。突起部306に対向する位置を通過した後のインクリボン401は、突起部306から離間し、一対のアーム部502間に張りわたされた状態で、プリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられる。
【0075】
プリンタ本体からリボンカセット103を取り外す場合において、インクリボン401は、突起部306に対向する位置を通過する際に、突起部306に接触する。これによって、インクリボン401は、ヘッドカバー104のエッジ部から離間する方向に(空間部503を広げるように)変形する(図4における符号401aを参照)。突起部306に対向する位置を通過した後のインクリボン401は、突起部306から離間し、カセット本体501とともにプリンタ本体から取り外される。
【0076】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、ヘッドカバー104におけるエッジ部に突起部306が設けられているため、アーム部502の間に張りわたされたインクリボン401がエッジ部などのヘッドカバー104に引っ掛かることを防止できる。すなわち、突起部306はインクリボン401の搬送方向において中央部分ほど突出する曲面形状をなしているため、インクリボン401を繰り出しかつ巻き取る方向において、当該インクリボン401が引っ掛かることがない。
【0077】
また、突起部306はインクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなしているため、リボンカセット103をプリンタ本体に近づけて、プリントヘッド101とプラテン102との間にインクリボン401を位置付ける際に、インクリボン401がヘッドカバー104などに引っ掛かることがない。また、突起部306は、インクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなしているため、プリントヘッド101とプラテン102との間にインクリボン401を案内するガイドとしても機能する。
【0078】
また、突起部306は、インクリボン401の搬送方向においてヘッドカバー104の両端にそれぞれ設けられているため、プリンタ本体に対してリボンカセット103を取り付ける(装着する)際に、インクリボン401の搬送方向に対してリボンカセット103が傾斜するなどして、用紙Sの幅方向における一端側に位置付けられるインクリボン401の方が、他端側に位置付けられるインクリボン401よりも先に、プリントヘッド101とプラテン102との間に挿入された場合にも、一端側に位置付けられるインクリボン401がヘッドカバー104などに引っ掛かることなく、プリントヘッド101とプラテン102との間にインクリボン401を案内することができる。
【0079】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、プリンタ本体に設けられて用紙Sに印字をおこなうプリントヘッド101と、プリンタ本体に設けられて用紙Sが搬送される搬送経路303を間にしてプリントヘッド101に対向配置されたプラテン102と、プリンタ本体に設けられてプリントヘッド101を覆うヘッドカバー104と、プリンタ本体に対して着脱可能であって、当該プリンタ本体に装着された状態においてプリントヘッド101とプラテン102との間に位置付けられるインクリボン401を繰り出し自在かつ巻き取り自在に保持するリボンカセット103と、を備え、リボンカセット103が、当該リボンカセット103およびインクリボン401によってプリントヘッド101を囲むようにプリンタ本体に装着され、ヘッドカバー104は、インクリボン401と対向する端部に設けられ、かつ、インクリボン401に向かって突出する曲面形状の突起部を備えたことを特徴としている。
【0080】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、エッジ部に曲面形状の突起部306を設けることによって、プリンタ本体に対するリボンカセット103の着脱に際してインクリボン401がインクリボン401と対向する端部(エッジ部)に引っ掛かることを防止できる。これによって、インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることによりカセット本体501から過剰に引き出されたインクリボン401を巻き戻したり、インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることによりねじれたりよじれたりして変形したインクリボン401の形状を直したりする煩わしい作業をなくすことができる。
【0081】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、ヘッドカバー104が、プリントヘッド101が用紙Sの搬送方向と直交する幅方向に移動する移動範囲全体を覆うように備えられていることを特徴としている。
【0082】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、用紙Sの幅方向におけるプリントヘッド101の移動範囲全体にわたってインクリボン401の変形を防止することができる。これによって、用紙Sの幅方向におけるプリントヘッド101の位置にかかわらず、プリントヘッド101と用紙Sとの間にインクリボン401を確実に位置付けることができ、プリント動作における信頼性を確保することができる。
【0083】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、突起部306が、インクリボン401の搬送方向またはインクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなすことを特徴としている。この発明にかかる実施の形態のプリンタ100において、突起部306は、インクリボン401の搬送方向およびインクリボン401の搬送方向に交差する方向の少なくとも一方の方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなすことが好ましい。
【0084】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、たとえば、インクリボン401の搬送方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなす突起部306とした場合、インクリボン401の搬送中に、当該インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることを確実に防止できる。これによって、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、プリント動作における信頼性を確保することができる。
【0085】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、たとえば、インクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなす突起部306とした場合、プリンタ本体に対してリボンカセット103を着脱する際に、インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることを確実に防止できる。これによって、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、プリンタ本体に対して、リボンカセット103を容易かつ確実に着脱することができる。
【0086】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、たとえば、インクリボン401の搬送方向およびインクリボン401の搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなす突起部306とした場合、プリント動作における信頼性を確保するとともに、プリンタ本体に対して、リボンカセット103を容易かつ確実に着脱することができる。
【0087】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、突起部306が、少なくとも頂部が、ヘッドカバー104の外表面よりも、インクリボン401側に突出する曲面形状をなすことを特徴としている。この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、プリンタ本体に対してリボンカセット103を着脱する際に、インクリボン401がヘッドカバー104に接触することを確実に防止し、インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることを確実に防止できる。これによって、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、プリンタ本体に対して、リボンカセット103を容易かつ確実に着脱することができる。
【0088】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、エッジ部が、ヘッドカバー104の一部であって、プリントヘッド101とプラテン102との間におけるインクリボン401の搬送方向に対して、当該インクリボン401が曲折される位置に対向する位置であることを特徴としている。
【0089】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、ヘッドカバー104においてインクリボン401がもっとも引っ掛かりやすい位置に突起部306を設けることにより、インクリボン401がエッジ部に引っ掛かることを確実に防止できる。これによって、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、プリンタ本体に対して、リボンカセット103を容易かつ確実に着脱することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、この発明にかかるプリンタは、インクリボンを用いてプリントをおこなうプリンタに有用であり、特に、プリンタ本体に対してリボンカセットを取り付ける際に、プリントヘッドとプラテンとの間の狭い空間にインクリボンを位置付ける構成のプリンタに適している。
【符号の説明】
【0091】
100 プリンタ
101 プリントヘッド
102 プラテン
103 リボンカセット
104 ヘッドカバー
306 突起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタ本体に設けられて記録媒体に印字をおこなうプリントヘッドと、
前記プリンタ本体に設けられて前記記録媒体が搬送される搬送経路を間にして前記プリントヘッドに対向配置されたプラテンと、
前記プリンタ本体に設けられて前記プリントヘッドを覆うヘッドカバーと、
前記プリンタ本体に対して着脱可能であって、当該プリンタ本体に装着された状態において前記プリントヘッドと前記プラテンとの間に位置付けられるインクリボンを繰り出し自在かつ巻き取り自在に保持するリボンカセットと、
を備え、
前記リボンカセットは、当該リボンカセットおよび前記インクリボンによって前記プリントヘッドを囲むように前記プリンタ本体に装着され、
前記ヘッドカバーは、前記インクリボンと対向する端部に設けられ、かつ、前記インクリボンに向かって突出する曲面形状の突起部を備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記ヘッドカバーは、前記プリントヘッドが前記記録媒体の搬送方向と直交する幅方向に移動する移動範囲全体を覆うように備えられていることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記突起部は、前記インクリボンの搬送方向または前記インクリボンの搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなすことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記突起部は、前記プリンタ本体に対する前記リボンカセットの着脱方向において、当該プリンタ本体に装着された状態におけるインクリボンに近づくほど突出する曲面形状をなすことを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記突起部は、少なくとも頂部が、前記ヘッドカバーの外表面よりも、前記インクリボン側に突出する曲面形状をなすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項6】
前記インクリボンと対向する端部は、前記ヘッドカバーの一部であって、前記プリントヘッドと前記プラテンとの間における前記インクリボンの搬送方向に対して、当該インクリボンが曲折される位置に対向する位置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項1】
プリンタ本体に設けられて記録媒体に印字をおこなうプリントヘッドと、
前記プリンタ本体に設けられて前記記録媒体が搬送される搬送経路を間にして前記プリントヘッドに対向配置されたプラテンと、
前記プリンタ本体に設けられて前記プリントヘッドを覆うヘッドカバーと、
前記プリンタ本体に対して着脱可能であって、当該プリンタ本体に装着された状態において前記プリントヘッドと前記プラテンとの間に位置付けられるインクリボンを繰り出し自在かつ巻き取り自在に保持するリボンカセットと、
を備え、
前記リボンカセットは、当該リボンカセットおよび前記インクリボンによって前記プリントヘッドを囲むように前記プリンタ本体に装着され、
前記ヘッドカバーは、前記インクリボンと対向する端部に設けられ、かつ、前記インクリボンに向かって突出する曲面形状の突起部を備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記ヘッドカバーは、前記プリントヘッドが前記記録媒体の搬送方向と直交する幅方向に移動する移動範囲全体を覆うように備えられていることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記突起部は、前記インクリボンの搬送方向または前記インクリボンの搬送方向に交差する方向において、中央部分ほど突出する曲面形状をなすことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記突起部は、前記プリンタ本体に対する前記リボンカセットの着脱方向において、当該プリンタ本体に装着された状態におけるインクリボンに近づくほど突出する曲面形状をなすことを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記突起部は、少なくとも頂部が、前記ヘッドカバーの外表面よりも、前記インクリボン側に突出する曲面形状をなすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項6】
前記インクリボンと対向する端部は、前記ヘッドカバーの一部であって、前記プリントヘッドと前記プラテンとの間における前記インクリボンの搬送方向に対して、当該インクリボンが曲折される位置に対向する位置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−86371(P2013−86371A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229290(P2011−229290)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
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