説明

プリントされる画像を修正する方法

【課題】画像データに要する所定のドットサイズより大きいドットサイズのオーバーサイズのドットを特定位置にプリントする欠陥ノズルを補償するために、プリント装置によりプリントされる画像を修正する。
【解決手段】特定位置を認識するステップと、画像データに要する所定のドットサイズより小さいドットサイズを有するアンダーサイズのドットを、認識された特定位置に隣接する位置にノズルによりプリントするステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、デジタルプリントに関し、より詳細には、プリントされる被印刷物上にインクを噴出する装置を用いたプリントに関する。しかし、本発明はインク噴出装置に限定されずに、レーザプリンタ、LEDプリンタ、デジタルコピー機にも適用することができる。
【背景技術】
【0002】
インク噴出装置において、プリントヘッドは、プリントヘッドに対して相対的に移動する被印刷物上にインクを選択的に噴出する、ノズルのアレイを有する。プリントヘッドは、被印刷物の端から端まで走査し、水平幅をプリントすることによって、プリント可能であるか、またはプリントヘッドが全ページ幅プリントヘッドの場合は、ページの長さに沿って通過可能である。走査型プリントヘッドの場合、ノズルが閉塞すると、複数の水平な空白線が生じ、ページ幅プリントヘッドの場合は、一本の垂直な空白線が生じる。
【発明の概要】
【0003】
[発明が解決しようとする課題]
本発明は、通常の使用で観察者に視認される、1つまたは複数のそのような閉塞したノズルによって生じる視覚効果を低減または効果的に除去するように、画像におけるプリントを一部改良する方法を提供する。しかし、本発明は、素子(受動、能動に関わらず)が被印刷物上にインクのドット等を生成するために繰り返し使用される、他の形態のプリントに適応可能である。本発明は、画像ドラムまたは光源における欠陥により、作成される画像に反復して欠陥が生じる得るレーザ型プリンタ、LED型プリンタ、コピー機に適用可能である。上記および発明の詳細な説明、特許請求の範囲に渡って用いられる「画像」という用語は、広義に判断し、テキスト、線図等のプリントされた如何なる物をも包含するものとする。
[課題を解決するための手段]
1つの広範な形態において、本発明は、インクのドットを特定の位置に正確にプリントしない欠陥を補償するために、プリント装置によってデジタル的にプリントされる画像を一部修正する方法を提供する。上記方法は以下を包含する。
(1)上記特定の1つまたは複数の位置を識別するステップ
(2)画像データによって要求されるそれぞれの特定の位置に隣接する、または近接する少なくとも1つのドットのドットサイズを調整するステップ
別の広範な形態において、本発明は、活性化時にドットの列を被印刷物上に配置する活性化可能な素子の列と、ドットの列に略直角方向に、素子の列に対して相対的に被印刷物を移動させる手段とを有するプリンタを提供する。上記プリンタは以下を包含する。
1)上記素子の1つまたは複数が正確に動作しないかどうかを判断する手段
2)画像または画像データを分析し、不正確に動作する素子の活性化によってプリントされるべきインクのドットの特定の1つまたは複数の位置を識別し、かつ故障した素子の両側の素子の内の1つまたは両方によって作成されるドットのサイズを調整する制御手段。
【0004】
不正確に動作する素子によって、プリントされた画像内に欠陥のある1つまたは複数のラインが生ずる。通常、不正確に動作する素子は、インクまたは十分な量のインクを生成せず、空白や不鮮明なラインが作成される。これを補償するために、隣接するインクドットは、生画像データが必要とするドットよりも大きくなる。その逆に、不正確に動作する素子が巨大なインクドットを作成した場合は、隣接するドットのドットサイズは小さくなるであろう。
【0005】
画像の一部が、連続した、または略連続したドットの行を配置するために不正確に動作する素子を必要とする場合は、隣接する行のドットのサイズがすべて調整されることが好ましい。不正確に動作する素子の行上にインクを必要とする位置がほとんど存在しない場合は、隣接する行のドットのサイズは、調整されても、されなくてもよい。
【0006】
3行以上の隣接する行のドットのサイズが、調整される場合がある。隣接する行のドットのサイズは、所定の垂直または水平距離内にある、または1つまたは複数の特定の位置内にある場合のみ調整される場合がある。例えば、欠陥のある行の両側の列のドットのサイズのみが調整されるわけではなく、それぞれの位置の上および/または下の2〜3列のドットのサイズも調整され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】インクジェットプリントヘッドのノズルのセットの概略図である。
【図2】欠陥補正動作を用いない場合の、図1のプリントヘッドにより形成されたインクドットのアレイの概略図である。
【図3】欠陥補正動作を用いた場合の、図1のプリントヘッドにより形成された図2と同一のインクドットのアレイの概略図である。
【図4】欠陥補正動作を用いない場合の、図1のプリントヘッドにより形成されたインクドットのアレイの第2の概略図である。
【図5】欠陥補正動作を用いた場合の、図1のプリントヘッドにより形成された図4と同一のインクドットのアレイの概略図である。
【発明の実施の形態】
【0008】
本発明は、以下の限定されない好適な実施形態および図面の説明からより十分に理解されよう。
【0009】
図1を参照すると、プリントヘッド10は、単一のラインに配置されたインクジェットノズル12のアレイを有する。説明のために、14個のノズルのみが示されているが、実際には、単一のラインに並んだ数10個〜数1000個のノズルが存在し得る。紙は、矢印14で示されるように、インクジェットノズルのラインと略直角方向にプリントヘッドの下を通過する。プリントヘッドには、固定ヘッドまたは移動ヘッドを使用してよい。紙がプリントヘッドの下を通過すると、インクジェットノズルA〜Nは、選択的に動作して、インクドットのアレイを紙上に配置する。このアレイは、一連の行および列であり、これらの間隔はインクジェットノズルの間隔および最小給紙ステップにそれぞれ依存する。ドットの水平および垂直間隔は同一であることが好ましいが、それぞれの間隔の要因が異なるために、必ずしも実現する必要はない。プリントヘッドには、ヘージ幅プリントヘッドを使用してもよいし、一連のプリントの横幅にヘッドを配置するために、ページの端から端まで走査する、より小型のプリントヘッドを使用してもよい。
【0010】
説明のために、インクジェットノズルA〜GおよびI〜Nは正確に動作するが、何らかの理由により、インクジェットノズルHは正確に動作しないか、または全く動作しないとする。また、当業者には良く理解できるであろう、プリンタの診断システムも、ノズルHが正確に機能しないことを検出したとする。ほとんどの場合、機能不良の素子は、一部または全体的に閉塞し、不適切な、すなわち紙上にインクが配置されない結果となる。
【0011】
図2を参照すると、欠陥を補正せずに、プリントヘッド10で行われたプリント部分が概略的に示されている。ここには、インクジェットノズルHに対応する「H」で記載された空白の行が示されている。一方、行A〜GおよびI〜Nは正しく選択的にプリントされている。これにより、プリントヘッド10が全ページ幅プリントヘッドであるか、または走査式プリントヘッドであるかに依存して、プリントに1つまたは複数の空白ラインが表れる。数字16、18、20、22の陰影のない丸は、行Hにプリントされるべきだが、プリントされないインク滴に相当する。図3において、本発明の動作実施形態による、欠点補正を行って、プリントヘッド10でプリントされた同一の画像が示されている。
【0012】
図3を参照すると、行GおよびIにおけるインク滴は、後述するように、通常のインク滴よりも大きくなっている。これにより、ドット間および行GとIとの間の白い空間量が減少している。これは、プリントされない行Hが、ユーザに視認されにくくなる効果がある。通常20cm〜30cm等の距離で読まれるA4またはレターサイズの紙上にプリントする場合、約1600dpi以上でその効果が発揮される。
【0013】
図3のプリントにおいて、行GおよびI上にプリントを意図されたドットのサイズのみが大きくなっているが、通常のサイズまたは調整されたサイズに関わらず、欠陥のある行の両側の行で画像データがドットを必要としない場所に、余剰インクドットをプリント可能とすることは、本発明の範囲内である。図3からわかるように、画像内で、ドットの配置可能な位置の約50%のみにドットが存在し、特大のドットを用いても、まだ白い空間が目立つ。この白い空間を、ドットを空白の領域にプリントすることにより減少させ、プリントされない行の視覚効果を低減する、かつ/または排除することが可能である。
【0014】
各調整されたサイズのドットの面積は、約50%大きくすることが好ましいが、これは必要に応じて可変できる。2行の巨大ドットは、同一行上でわずかに接蝕してよい。しかし、ドットの大きさは、2行のそれぞれのドットが、接触しないように小さくしてもよいし、隣接するドットが重なり合うように大きくしてもよい。
【0015】
行Hで、頻繁にインクドットが必要な場合は、巨大インク滴はノズルGおよびIで継続的に配置される。インクドットがより少ない頻度で配置される場合は、行GおよびIにおけるインクの滴サイズは、行Hで配置されるべきインク滴の領域に隣接する、または近接する領域のみ大きくなることは理解されよう。これらの巨大インク滴は、行H内でインクの配置が意図されない列まで達してもよい。インクの配置が列Hで長距離に渡って意図されない場合は、巨大インク滴は列GおよびIにおいて作成されないことが好ましい。
【0016】
図4および5を参照すると、それぞれ欠陥補正されない場合と、された場合の第2の概略プリント図が示されている。図4でわかるように、陰影のない丸30、32、34、36、38で示された行Hの列1、2、3、5、7において、インクのドットは必要であるが、プリントされない。図5において、プリントされないドット30、32、34、36、38の上下の列上の行GおよびI上のドットは、巨大化されている。図2および図3のプリントと比べて、これらの列により多くのドットが存在するため、巨大化したドットは、より密接して重なり合い、かなりの割合で白い空間を減少させている。この場合も同様に、所望ならば、通常または巨大サイズのドットは、行Gの列1、5および行Iの列2、3、7等の空白場所でプリント可能である。
【0017】
インク噴出型プリンタの場合は、ドットサイズの巨大化は噴出するインクの量を増やすことで達成される。サーマルインク噴出装置の場合は、加熱電流パルス幅を広げることで達成可能である。圧電インク噴出装置の場合は、駆動電圧を上げるか、または電流を増やしてより大きな歪を生じさせるか、あるいはパルス幅を広げることで達成可能である。機構型インク噴出素子の場合も同様に、パルス幅を広げること、かつ/または駆動電圧を上げること、または電流を増加させることによって達成可能である。本発明は、個々の素子が大量のインクを生成し、隣接する素子が作成するインクドットのドットサイズを小さくするように調整可能である状況にも適用することができる。
【0018】
本技術は、インクドットの配置が素子または構成要素の個々の活性化に依存するレーザプリンタ、LEDプリンタ、コピー機、その他の型のデジタルプリンタに使用可能であることも理解されよう。例えば、LEDプリンタ内のLEDが故障する、またはレーザプリンタの光伝導性画像ドラム内に欠陥が生じる場合がある。両者において、隣接するドットのサイズを調整して、素子または構成要素内の欠陥の視覚効果を隠す、または低減することができる。
【0019】
レーザ型プリンタまたはLED型プリンタの場合においては、光電子画像ドラムの対応部分に照射される光の強度および/または総光量を変えることによって、ドットサイズを変更可能である。
【符号の説明】
【0020】
10…プリントヘッド、12…インクジェットノズル、14…紙の通過方向、16,18,20,22…プリントされないインクドット、30,32,34,36,38…プリントが必要だが、プリントされないインクドット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに要する所定のドットサイズより大きいドットサイズを有するオーバーサイズのドットを特定位置にプリントする欠陥ノズルを補償するために、プリント装置によりプリントされる画像を修正する方法であって:
前記特定位置を識別するステップと;
前記画像データに要する前記所定のドットサイズより小さいドットサイズを有するアンダーサイズのドットを、認識された前記特定位置に隣接する位置にノズルによりプリントするステップと;
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記アンダーサイズのドットは、認識された前記特定位置から横方向及び縦方向の両方に隣接した位置でプリントされる、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−152792(P2011−152792A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55751(P2011−55751)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【分割の表示】特願2002−506937(P2002−506937)の分割
【原出願日】平成12年6月30日(2000.6.30)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】