説明

プリントシステム、情報処理装置、方法、プログラムおよび記憶媒体

【課題】情報処理装置に実装されているOSが用意していない文字列や、プリンタの機能拡張に伴い新たに追加された文字列をGUIに表示させ、様々な言語に対応したGUIを生成するプリントシステム、情報処理装置、方法、プログラムおよび記憶媒体を提供すること。
【解決手段】本発明のプリントシステムは、ネットワークを介して接続されたホストコンピュータと、画像形成装置とを含んで構成されている。画像形成装置は、プリンタドライバが作成するGUIの言語情報を含む機能情報をホストコンピュータに渡す。ホストコンピュータは、画像形成装置から取得した機能情報から印刷設定ファイルを生成し、印刷設定ファイルを利用してプリンタドライバを作成する。プリンタドライバは、印刷設定ファイルを利用して、GUIに表示される文字列をホストコンピュータのOSの言語環境に応じて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタドライバおよびグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を生成するプリントシステムに関し、より詳細には、GUIに表示される文字列を生成し、様々な言語に対応したGUIを生成するプリントシステム、情報処理装置、方法、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ホストコンピュータに接続されたプリンタを使用するためには、プリンタを制御するプリンタドライバを予めホストコンピュータにインストールして行うことが必要である。印刷を行う場合、ユーザは、GUIを用いて印刷データや印刷設定情報等を指定し、プリンタドライバが印刷データや印刷設定情報等を受領し、これをプリンタに送信して印刷処理を実行させる。
【0003】
プリンタの仕様や制御方法はプリンタの機種によって大きく異なる。このため、プリンタのベンダは、プリンタの仕様や制御方法に対応したプリンタドライバやGUIをプリンタの機種毎に開発しなければならないという問題があった。
【0004】
この点につき、本願出願人の先の出願(特許文献1)は、プリンタから機能情報と、プリンタの属性が記述されたメタデータとを取得し、ホストコンピュータから、ホストコンピュータに設定されている一般的なプリンタドライバおよびコンフィグレーションデータを取得して、ホストコンピュータ上でプリンタドライバとGUIを生成するデータ処理システムを開示している。当該データ処理システムは、プリンタから取得した情報を使用してプリンタドライバやGUIを生成するため、ベンダがプリンタに特有のプリンタドライバやGUIの開発のために投下しなければならない労力を軽減する。また、当該データ処理システムでは、ベンダが既存のプリンタの機能を拡張する場合に、拡張した機能に対応するプリンタドライバやGUIの開発に要する労力を低減することを可能とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、特許文献1に開示されたシステムでは、オペレーティングシステム(OS)が用意していないプリンタ特有の文字列をGUIに表示する場合、当該特有の文字列が記述されたリソースファイルを読み取り、読み取られた文字列をGUIに表示させることが必要であった。したがって、OSが用意していない文字列をGUIに表示するためには、表示すべき特有の文字列を予めリソースファイルに記述しておく必要があった。また、プリンタの機能を拡張させる場合にも、拡張する機能に対応した文字列を予めリソースファイルに記述しておき、これらの文字列をGUIに表示させる必要があった。
【0006】
すなわち、プリンタ技術においては、特許文献1のデータ処理システムが存在するものの、依然としてOSが用意していない文字列や機能拡張に伴って新たに追加された文字列をGUIに表示させることが必要とされていた。
【0007】
さらに、データ処理システムは、人的および経済活動のグローバル化を考慮すれば、様々な言語を母国語とするユーザが容易に利用できることが好ましい。このため、GUIに表示される文字列をユーザ単位で切り替えて表示することが必要とされていた。
【0008】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、OSが用意していない文字列や機能拡張に伴い新たに追加された文字列をGUIに表示させ、様々な言語に対応したGUIを生成するプリントシステム、情報処理装置、方法、プログラムおよび記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプリントシステムは、ネットワークを介して接続された情報処理装置と、画像形成装置とを含んで構成されている。画像形成装置は、プリンタドライバが作成するGUIの言語情報を含む機能情報を情報処理装置に渡す。情報処理装置は、画像形成装置から取得した機能情報から印刷設定ファイルを生成し、印刷設定ファイルを利用してプリンタドライバを作成する。プリンタドライバは、印刷設定ファイルを利用して、GUIに表示される文字列を情報処置装置のOSの言語環境に応じて表示する。
【0010】
本発明によれば、ネットワークと、前記ネットワークを介して接続された情報処理装置と、画像形成装置とを含むプリントシステムであって、前記情報処理装置が、前記画像形成装置から前記ネットワークを介して前記画像形成装置の機能情報を取得する機能情報取得手段と、前記情報処理装置にプリンタドライバが提供するGUIに表示される表示文字列と、前記表示文字列を固有に識別する文字列IDとが関連付けて登録された言語テーブルを生成する言語テーブル生成手段と、前記情報処理装置に対するプリンタ設定のための情報が登録され、前記文字列IDが追加されることで前記GUIの表示文字列の表示制御に使用するためのプリンタ設定ファイルを生成するプリンタ設定ファイル生成手段と、前記プリンタ設定ファイルを使用して、プリンタドライバを作成するためのプリンタドライバパッケージを生成するドライバパッケージ生成手段と、前記プリンタドライバパッケージを前記情報処理装置にインストールしてプリンタドライバを作成するインストール処理手段とを含む、プリントシステムが提供される。
【0011】
また、本発明では、前記プリントシステムによって作成されたプリンタドライバが、前記情報処理装置に実装されているOSの言語情報を取得し、前記プリンタ設定ファイルと前記言語テーブルとを参照して、前記OSの言語情報に対応する表示文字列を前記GUIに表示することができる。
【0012】
さらに、本発明では、前記情報処理装置に対するプリンタ設定のための情報は、前記情報処理装置に対してDEVMODEを設定する情報を含むことができる。
【0013】
さらに、本発明では、前記画像形成装置は、前記画像形成装置が有する機能に関する機能情報を含み、前記機能情報は、前記GUIに表示される表示文字列を含むことができる。
【0014】
さらに、本発明は、情報処理装置の言語環境に適合したGUI表示を画像形成装置から取得してプリンタドライバのGUI表示をカスタマイズすることを可能とする、情報処理装置、情報処理装置が実行する方法、およびプログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態のプリントシステムの概略図。
【図2】本実施形態のプリントシステムに含まれるホストコンピュータおよび画像形成装置の機能ブロック図。
【図3】本実施形態のプリントシステムでプリンタドライバを作成する場合の処理シーケンス図。
【図4】ホストコンピュータが送信するCapability情報要求および画像形成装置が返却するCapability情報の実施形態を示す図。
【図5】プリンタドライバを作成およびインストールする処理を示したフローチャート。
【図6】画像形成装置のCapability情報から作成された言語テーブルの実施形態を表す図。
【図7】本実施形態のプリントシステムで作成されるプリンタ設定ファイルの実施形態を示す図。
【図8】本実施形態のプリントシステムが作成したプリンタドライバがGUIを表示する処理を示したフローチャート。
【図9】本実施形態のプリントシステムによって作成されるGUIの実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。図1は、本実施形態のプリントシステム100の概略図である。プリントシステム100は、ネットワーク130と、ネットワーク130に接続されるホストコンピュータ110a、110b、110cと、画像形成装置120とを含んで構成されている。ネットワーク130は、例えば、イーサネット(登録商標)およびTCP/IPプロトコルを使用したネットワークとして構成されている。また、ネットワーク130は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)として実装することができる。
【0017】
ホストコンピュータ110a、110b、110cは、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバまたは他の形式のホストコンピュータとすることができる。ホストコンピュータ110a、110b、110cは、ネットワーク130を介して画像形成装置120が有する機能情報(以降、Capability情報として参照する。)等を取得し、画像形成装置120を制御するプリンタドライバやGUIを生成する機能を実装する。なお、Capability情報は、後述するプリンタ設定ファイルに値を付与するために用いられる設定データが含まれる。
【0018】
なお、ホストコンピュータ110a、110b、110cは、PENTIUM(登録商標)または互換プロセッサを搭載し、WINDOWS(登録商標)シリーズ、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、MAC OS(登録商標)などのOSの管理下で、本実施形態のプログラムを実行する。また、ホストコンピュータ110a、110b、110cは、プログラムを実行するための実行空間を提供するRAM、プログラムやデータなどを持続的に保持するためのハードディスク装置などを含んでおり、本実施形態の各機能手段をプログラムの実行により、当該ホストコンピュータ上に実現している。
【0019】
画像形成装置120は、印刷装置を含んで構成されているMFP(Multi Function Peripheral)などの画像形成装置として構成されており、ネットワーク130を介して受信した印刷データを出力するネットワークプリンタとして機能する。また、画像形成装置120は、ホストコンピュータ110a、110b、110cの要求に応じてCapability情報等を提供する。
【0020】
また、画像形成装置120が、MFPとして実装される場合、プロセッサ、RAM、ハードディスク装置などを含んで実装されており、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)などのOSの制御下で、JAVA(登録商標)、Java(登録商標)Script、C++、C、アセンブラなどのプログラミング言語で記述されたプログラムを実行し、ホストコンピュータ110a、110b、110cとの間でデータ伝送を可能とする。さらに、画像形成装置120は、必要に応じて、Firefox(登録商標)といったブラウザプログラムを実装し、HTML、XHTML、XMLなどの構造化文書を使用したデータ共有を行うことができる。なお、画像形成装置120は、より下位機種のページプリンタとして実装することができる。
【0021】
本実施形態では、画像形成装置120はネットワーク130を介してホストコンピュータ110a、110b、110cに接続されているが、ホストコンピュータ110a、110b、110cに直接接続して使用してもよい。また、本実施形態では、画像形成装置120はMFPなどの画像形成装置として構成されているが、ページプリンタなどの印刷装置としてのみ構成することもできる。画像形成装置がページプリンタとして実装される場合、NETBIOS、NETBIOSoverTCP、TCP/IP、WSD(Web Service on Devices)、UDPなどのプロトコルで例えばSNMP(Simple Network Management Protocol)などを使用してホストコンピュータ110a、110b、110cなどとの間のデータ通信を可能としている。
【0022】
図2は、本実施形態のプリントシステム100のホストコンピュータ110aおよび画像形成装置120の機能ブロック図である。なお、ホストコンピュータ110b、110cについては、ホストコンピュータ110aと同様の機能を実装するので、以下、より詳細な説明は省略する。
【0023】
ホストコンピュータ110aは、プリンタドライバ生成部111と、言語情報格納部116と、プリンタ設定ファイル格納部117とを含んでいる。プリンタドライバ生成部111は、画像形成装置120のCapability情報等を用いてプリンタドライバパッケージを生成する。言語情報格納部116には、ホストコンピュータ110aに対して表示するGUIを、ホストコンピュータ110aのユーザが使用しているOSの言語環境に適合させるために利用される言語テーブル600が格納される。
【0024】
プリンタ設定ファイル格納部117には、プリンタの機能に関する情報が記載されたテキストファイルとして作成されるプリンタ設定ファイルが格納される。例えば特定の実施形態では、プリンタ設定ファイルは、GPD(Generic Printer Description)ファイル(以下、GPDファイルとして参照する。)として実装することができる。GPDファイルとは、Windows(登録商標)2000およびWindows(登録商標)XP、VistaなどのWindows(登録商標)シリーズのOSで、OSが標準的に備えている汎用的なプリンタドライバであるUniversal Printer Driverを使用して印刷処理を行う場合に使用されるDLL(Dynamic Link Library)ファイルとして実装される。
【0025】
また、GPDファイルには、画像形成装置120がホストコンピュータ110aに対して、プリンタ設定のための情報として機能するデータ構造体であるDEVMODEを設定するための情報が登録され、汎用的なプリンタドライバをカスタマイズして印刷処理を実行するのに使用される。さらに、GPDファイルには、プリンタドライバによって生成されるGUIに表示すべき文字列(以降、表示文字列として参照する。)を固有に識別する情報(以降、文字列IDとして参照する。)が登録され、プリンタドライバがGUI上の表示文字列の表示を制御するために使用される。なお、言語情報格納部116およびプリンタ設定ファイル格納部117が格納するデータ構造体の詳細については、より詳細に後述する。
【0026】
また、他の実施形態では、プリンタ設定ファイルとして、UNIX(登録商標)では、printerinfo.txtなどを使用することもできる。説明する他の実施形態でOSとしてUNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)などを使用する場合には、MFPには、printerinfo.txtを設定するための情報を登録しておくことができる。以下説明の明確化のため、プリンタ設定ファイルとしてGPDファイルを使用する実施形態を説明する。
【0027】
さらにホストコンピュータ110aは、ドライバパッケージ格納部118と、インストール処理部119とを含んで構成されている。ドライバパッケージ格納部118には、必要に応じて、ファームウェアなどとして予め搭載されたプリンタドライバが使用するプログラムやファイルをセットとして登録するプリンタドライバパッケージが格納される。また、インストール処理部119は、ユーザからの指令またはUPnP(user Plug-in and Play)などのプロトコルの下で、プリンタドライバパッケージをホストコンピュータ110にインストールする処理を実行する。
【0028】
図2を参照して、より詳細に本実施形態のプリンタドライバ生成部111について説明する。プリンタドライバ生成部111は、さらに、機能情報取得部112と、言語テーブル生成部113と、プリンタ設定ファイル生成部114と、ドライバパッケージ生成部115とを含んでいる。
【0029】
機能情報取得部112は、ネットワーク130を介して画像形成装置120にCapability情報を要求し、画像形成装置120から取得したCapability情報を言語テーブル生成部113に渡す。言語テーブル生成部113は、機能情報取得部112から取得したCapability情報から表示文字列を抽出する。さらに、言語テーブル生成部113は、文字列IDを生成し、抽出した表示文字列と文字列IDとを関連付けて、後述する言語テーブル600を作成し、言語情報格納部116に登録する。なお、言語情報格納部116は、データベースとして実装することもでき、また、ルックアップテーブルなどのデータテーブルとして実装することもできる。
【0030】
プリンタ設定ファイル生成部114は、言語情報格納部116に登録されている言語テーブル600と、GPDファイルのテンプレートとを使用して、後述するGPDファイル700を生成し、プリンタ設定ファイル格納部117に格納する。本実施形態では、GPDファイルのテンプレートは、GPDファイルに記載される情報のうち変更されないものを予め記載した雛形であり、ホストコンピュータ110aのハードディスク装置、NVRAMなどの不揮発性記憶装置に予め格納されている。
【0031】
ドライバパッケージ生成部115は、プリンタ設定ファイル格納部117に格納されているGPDファイル700を基にドライバパッケージを生成してドライバパッケージ格納部118に格納する。ドライバパッケージには、DEVMODE構造体およびプリンタ動作のために必要な、例えばDLLなどのライブラリファイルが含まれる。
【0032】
インストール処理部119は、ドライバパッケージ格納部118からドライバパッケージを取得し、ホストコンピュータ110aにインストールする。本実施形態では、インストール処理部119がドライバパッケージをインストールするが、OSのAPI関数を使用してドライバパッケージをホストコンピュータ110aにインストールしてもよい。
【0033】
さらに、図2を参照して、画像形成装置120の機能ブロックを説明する。画像形成装置120は、プロトコル制御部122と、機能情報提供部124と、画像形成装置120のCapability情報が格納されている機能情報格納部126とを含んで構成されている。
【0034】
プロトコル制御部122は、TCP/IPやWSDなどのプロトコルに準拠して、ホストコンピュータ110aと画像形成装置120の間の通信を制御する。プロトコル制御部122は、ホストコンピュータ110aから後述するCapability情報の要求(以降、Capability情報要求として参照する。)410を受領した後、機能情報提供部124から画像形成装置120のCapability情報を取得し、後述するCapability情報420をホストコンピュータ110aに送信する。
【0035】
機能情報提供部124は、プロトコル制御部122からCapability情報要求410を受領すると、当該要求を受信した時点の画像形成装置120のCapability情報を機能情報格納部126から取得し、プロトコル制御部122に渡す。
【0036】
図3は、本実施形態のプリントシステム100でプリンタドライバを作成する場合の処理シーケンスを示した図である。以下、図3を参照して、プリンタドライバを作成する処理の流れについて説明する。
【0037】
まず、ホストコンピュータ110aのプリンタドライブ生成部111は、プリンタドライバのインストールを要求するOSの管理モジュールから呼び出されると、ネットワーク130を介して画像形成装置120にCapability情報要求410を送信する。画像形成装置120のプロトコル制御部122は、ホストコンピュータ110aから当該要求を受信すると、画像形成装置120の機能情報提供部124にCapability情報要求410を送信する。次いで、機能情報提供部124は、機能情報格納部126からCapability情報を取得し、プロトコル制御部122に渡す。次いで、プロトコル制御部122は、Capability情報420をプリンタドライバ生成部111に送信する。
【0038】
プリンタドライバ生成部111は、受領したCapability情報420からドライバパッケージを作成し、ドライバパッケージ格納部118に格納する。次いで、プリンタドライバ生成部111は、インストール処理部119にドライバパッケージをインストールする旨の命令を送信する。インストール処理部119は、プリンタドライバ生成部111から当該命令を受領した後、ドライバパッケージ格納部118からドライバパッケージを取得し、ホストコンピュータ110aにインストールする。次いで、インストール処理部119は、ドライバパッケージのインストール処理が完了すると、当該処理が完了した旨の通知をプリンタドライバ生成部111に送信する。
【0039】
図4は、ホストコンピュータ110aが送信するCapability情報要求410および画像形成装置120が返却するCapability情報420の実施形態を示している。
【0040】
Capability情報要求410およびCapability情報420は、XML形式のテキストファイルである。XMLは、適切な名前空間により定義された各種のタグを利用して記述されており、Capability情報要求410には、Capability情報要求であることを示す開始タグおよび終了タグの間に要求すべきCapability情報の値を設定するタグが配置されている。説明する実施形態では、ホストコンピュータは、Capability情報として要求すべき情報識別値を、“RicohExtensionData”として設定する。なお、“RicohExtensionData”は、本実施形態では、GUIを生成するための言語情報を指定している。なお、Capability情報要求には、説明する実施形態以外にもホストコンピュータが必要とするいかなる情報でも記述することができる。また、本実施形態では、画像形成装置120の有する総ての言語情報を取得するが、ホストコンピュータのOSの言語情報に対応する言語情報を選択的に取得してもよい。
【0041】
Capability情報420には、画像形成装置120が含むCapability情報および言語情報が含まれている。なお、本実施形態のCapability情報要求410およびCapability情報420は、XML形式のテキストファイルであるが、Capability情報等の受け渡しができる限り、HTML、HXTML、XML言語およびこれらの組み合わされたテキストファイルを使用しても記述してもよい。
【0042】
図4に示したCapability情報420は、タグ<rodp:ColorMode>で、GUIを介して画像形成装置120の出力モードを設定させるためのカラーモード設定を表示させるための表示文字列を設定する。言語属性の設定は、xml:langで行われ、xml:lang=“en-US”は、英語(アメリカ)であることを示し、xml:lang=”Zh-CN”は、繁体字中国語(大陸)を示す。それぞれの言語設定について、GUI上で表示すべき表示文字列が規定され、例えば、「Color Mode」(EN)、「カラーモード」(JP)、「顔色方式」(zh-CN)が規定される。その他、Capability情報420には、タグ<rodp:AllowedValue>のオプション属性として、カラー属性の指定を表示するGUI表示文字列やモノクロ出力の指定を表示するGUI表示文字列などが設定されている。さらにCapability情報420には、他の適切なタグで設定された各種の設定を記述することができる。
【0043】
図5は、本実施形態のプリントシステム100でプリンタドライバを作成およびインストールする処理を示したフローチャートである。以下、図5を参照して、ホストコンピュータ110aが使用する言語環境に適合する表示文字列を表示するための、例えばDEVMODE構造体などを含むプリンタドライバを作成して、ホストコンピュータ110aにインストールする処理の流れについて説明する。
【0044】
図5の処理は、ステップS500から開始する。ステップS500の処理開始は、ホストコンピュータ110aのプリンタドライバ生成部111が、ホストコンピュータ110aにインストールされているOSの管理モジュールから呼び出されることにより行われる。ステップS501では、プリンタドライバ生成部111の機能情報取得部112が、ネットワーク130を介して、画像形成装置120にCapability情報要求410を送信する。
【0045】
ステップS502では、画像形成装置120がCapability情報要求410を受領した後、プロトコル制御部122を呼び出し、当該プロトコル制御部122が、機能情報提供部124にCapability情報要求410を送信する。機能情報提供部124は、Capability情報要求410を受領した後、機能情報格納部126からCapability情報を取得し、プロトコル制御部122に渡す。ステップS503では、プロトコル制御部122が、ネットワーク130を介してCapability情報420をホストコンピュータ110aに送信する。
【0046】
ステップS504では、ホストコンピュータ110aの機能情報取得部112がCapability情報420を受領した後、当該Capability情報420を言語テーブル生成部113に渡す。言語テーブル生成部113は、当該Capability情報420をパース処理して表示文字列を抽出する。ステップS505では、言語テーブル生成部113が文字列IDを生成し、ステップS504で抽出した表示文字列と関連付けて言語テーブル600を作成する。ステップS506では、Capability情報420に他の表示文字列が存在するか判断し、他の表示文字列が存在する場合には(yes)、処理をステップS504に戻し、再び表示文字列を抽出する。一方、ステップS506の判定で、Capability情報420に他の表示文字列が存在しない場合には(no)、処理をステップS507に分岐させる。
【0047】
ステップS507では、プリンタ設定ファイル生成部114が、ホストコンピュータ110aの不揮発性記憶装置からGPDファイルのテンプレートを取得する。ステップS508では、プリンタ設定ファイル生成部114が、言語情報格納部116の言語テーブル600を参照して、GPDファイルのテンプレートに属性フィールド(ColorModeフィールド)を確保し、当該GPDファイルのテンプレートにGUIの選択項目の情報(Optionタグで記述されたGUI属性)等を記述し、GPDファイル700を生成する。ステップS509では、プリンタ設定ファイル生成部114が、言語テーブル600を参照して文字列IDを検索する。ステップS510では、プリンタ設定ファイル生成部114が、ステップS509の検索で得られた文字列IDを、GPDファイル700の該当するGUI属性に追加する。ステップS511では、プリンタ設定ファイル生成部114が、言語テーブル600に他の文字列IDが存在するか判断し、他の文字列IDが存在する場合には(yes)、処理をステップS510に戻す。一方、ステップS511の判定で、言語テーブル600に他の文字列IDが存在しない場合には(no)、処理をステップS512に分岐させ、GPDファイル700をプリンタ設定ファイル格納部117に保存する。
【0048】
ステップS513では、ドライバパッケージ生成部115が、プリンタ設定ファイル格納部117からGPDファイル700を取得し、ドライバパッケージを作成する。ステップS514では、ドライバパッケージ生成部115が、ステップS513で作成したドライバパッケージをドライバパッケージ格納部118に格納する。ステップS515では、インストール処理部119が、ドライバパッケージ格納部118からドライバパッケージを取得し、ホストコンピュータ110aにインストールし、ステップS516で処理が終了する。
【0049】
図6は、言語テーブル生成部113が、画像形成装置120のCapability情報420から作成した言語テーブル600の実施形態を示している。
【0050】
本実施形態の言語テーブル600は、XML言語で記述されており、言語テーブル生成部113が生成した文字列ID「COLOR_PRINTING_MODE_DISPLAY」、「24BPP_DISPLAY」および「MONO_DISPLAY」が含まれており、文字列IDはそれぞれ、表示文字列が関連付けられている。例えば、文字列ID「COLOR_PRINTING_MODE_DISPLAY」は、表示文字列「Color Mode」、「カラーモード」および「顔色方式」が関連付けられている。また、文字列ID「24BPP_DISPLAY」には、表示文字列「True Color(24BPP)」、「カラー」および「顔色」が関連付けられている。さらに、文字列ID「MONO_DISPLAY」には、表示文字列「Monochrome」、「白黒」および「黒白」が関連付けられている。
【0051】
なお、本実施形態の言語テーブル600には、英語、日本語および中国語の表示文字列が登録されているが、表示文字列はこれらの言語に限られず、いずれの言語の表示文字列を登録することができる。また、言語テーブル600には、画像形成装置120が備える機能を表す任意の文字列および文字列IDを登録することができる。
【0052】
図7は、本実施形態のプリントシステム100で作成されるGPDファイル700の実施形態を示している。
【0053】
本実施形態のGPDファイル700には、表示文字列に関連付けられた文字列IDが、GUIの選択項目毎に登録されている。上述したように、GPDファイル700は、プリンタの機能に関する情報を記述したテキストファイルであり、後述するようにGUI上の表示文字列の表示制御に利用される。
【0054】
図8は、本実施形態のプリントシステム100で作成したプリンタドライバが、印刷データの印刷設定を行うためのGUIを表示する処理を示したフローチャートである。
【0055】
図8の処理は、ステップS800から開始する。ステップS800の処理開始は、プリンタドライバが、印刷設定を行うためにOSの管理モジュールから呼び出されることにより行われる。ステップS801では、プリンタドライバが、後述するGUI910、920を表示する。ステップS802では、プリンタドライバが、OSのシステム情報からOSの言語情報を取得する。OSの言語情報は、例えば、Windows(登録商標)系のOSの場合は、レジストリ「HKEY_LOCAL_MACHINE¥SYSTEM¥CurrentControlSet¥Control¥Nls¥Locale」から取得できる。また、UNIX(登録商標)系のOSの場合は、環境変数LANGの設定情報を読み取ることによりOSの言語情報を取得することができる。
【0056】
ステップS803では、プリンタドライバが、プリンタ設定ファイル格納部117からGPDファイル700を取得して、当該GPDファイル700に未検出の文字列IDが含まれているか判断し、未検出の文字列IDが存在する場合には(yes)、処理をステップS804に分岐させる。ステップS804では、プリンタドライバが、言語情報格納部116の言語テーブル600を参照して、ステップS803で検出した文字列IDと同じ文字列IDを検索する。
【0057】
ステップS805では、プリンタドライバが、ステップS804で検索した文字列IDに関連付けられている表示文字列のうち、ステップS802で取得したOSの言語情報に対応する表示文字列を取得する。ステップS806では、プリンタドライバが、ステップS805で取得した表示文字列をGUI910、920に表示し、処理をステップS803に戻し、GPDファイル700の総ての文字列IDを検出するまで処理を続ける。一方、ステップS803の判定で、未検出の文字列IDが存在しない場合には(no)には、ステップS807で処理が終了する。
【0058】
上述した処理により、プリンタドライバが表示するGUIは、ホストコンピュータ110aのOSが備えていない画像形成装置120の機能に関連する文字列を表示することができる。さらに、当該GUIは、ホストコンピュータ110aが使用するOSの言語環境に応じた表示文字列を、様々な言語で選択的に表示することができる。
【0059】
図9は、本実施形態のプリントシステム100によって作成されるGUI910、920の実施形態を示す。
【0060】
GUI910は、OSの言語環境が英語である場合に生成されるGUIである。GUI920は、OSの言語環境が日本語である場合に生成されるGUIである。画像形成装置120は、GUIの言語情報を含むCapability情報420をホストコンピュータ110aに渡すことにより、当該ホストコンピュータのOSの言語環境に応じてプリンタドライバをカスタマイズすることを可能とする。この結果、ホストコンピュータ110aを操作するユーザは、本実施形態の画像形成装置120のためのプリンタドライバをインストールすることで、図9に示したGUI910、920を取得することができる。ユーザは、ホストコンピュータ110aのデスクトップ画面上に表示されたGUI910、920をユーザの利用する言語により判断し、リストボックスに表示されている印刷設定情報、例えば、印字色(True Color、Monochrome、カラー、白黒)を選択しOKボタンを押下することにより、印刷データの印刷設定情報を指定することができる。
【0061】
一方、ホストコンピュータ側では、OSの言語環境に対応した表示文字列をOS側で管理する必要が無くなるので、OSの処理負荷を軽減できる。また、OSがプリンタドライバに関連する表示文字列を管理する必要が無くなるので、OSのソフトウェアサイズも低減でき、ホストコンピュータのハードウェア資源の消費も低減でき、より快適な処理を提供することができる。
【0062】
本実施形態のGUI910、920は例示であり、図9に示されていない印刷設定情報、例えば、用紙サイズ、給紙サイズ、ステープラの有無、あるいはベンダ固有の印刷設定情報などを表示することができる。
【0063】
これまで本実施形態につき説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
100…プリントシステム、110a、110b、110c…ホストコンピュータ、111…プリンタドライバ生成部、112…機能情報取得部、113…言語テーブル生成部、114…プリンタ設定ファイル生成部、115…ドライバパッケージ生成部、116…言語情報格納部、117…プリンタ設定ファイル格納部、118…ドライバパッケージ格納部、119…インストール処理部、120…画像形成装置、122…プロトコル制御部、124…機能情報提供部、126…機能情報格納部、130…ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特願2008−219420号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークと、前記ネットワークを介して接続された情報処理装置と、画像形成装置とを含むプリントシステムであって、前記情報処理装置は、
前記画像形成装置から前記ネットワークを介して前記画像形成装置の機能情報を取得する機能情報取得手段と、
前記情報処理装置にプリンタドライバが提供するGUIに表示される表示文字列と、前記表示文字列を固有に識別する文字列IDとが関連付けて登録された言語テーブルを生成する言語テーブル生成手段と、
前記情報処理装置に対するプリンタ設定のための情報が登録され、前記文字列IDが追加されることで前記GUIの表示文字列の表示制御に使用するためのプリンタ設定ファイルを生成するプリンタ設定ファイル生成手段と、
前記プリンタ設定ファイルを使用して、プリンタドライバを作成するためのプリンタドライバパッケージを生成するドライバパッケージ生成手段と、
前記プリンタドライバパッケージを前記情報処理装置にインストールしてプリンタドライバを作成するインストール処理手段と
を含む、プリントシステム。
【請求項2】
前記プリントシステムによって作成されたプリンタドライバが、
前記情報処理装置に実装されているOSの言語情報を取得し、前記プリンタ設定ファイルと前記言語テーブルとを参照して、前記OSの言語情報に対応する表示文字列を前記GUIに表示する、請求項1に記載のプリントシステム。
【請求項3】
前記情報処理装置に対するプリンタ設定のための情報は、前記情報処理装置に対して前記プリンタ設定のための情報としてのDEVMODEを設定する情報を含む、請求項1または2に記載のプリントシステム。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記画像形成装置が有する機能に関する機能情報を含み、前記機能情報は、前記GUIに表示される表示文字列を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリントシステム。
【請求項5】
ネットワークを介して接続された画像形成装置に対し印刷を指令する情報処理装置であって、前記情報処理装置は、
前記画像形成装置から前記ネットワークを介して前記画像形成装置の機能情報を取得する機能情報取得手段と、
前記情報処理装置にプリンタドライバが提供するGUIに表示される表示文字列と、前記表示文字列を固有に識別する文字列IDとが関連付けて登録された言語テーブルを生成する言語テーブル生成手段と、
前記情報処理装置に対するプリンタ設定のための情報が登録され、前記文字列IDが追加されることで前記GUIの表示文字列の表示制御に使用するためのプリンタ設定ファイルを生成するプリンタ設定ファイル生成手段と、
前記プリンタ設定ファイルを使用して、プリンタドライバを作成するためのプリンタドライバパッケージを生成するドライバパッケージ生成手段と、
前記プリンタドライバパッケージを前記情報処理装置にインストールしてプリンタドライバを作成するインストール処理手段と
を含む、情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置によって作成されたプリンタドライバが、
前記情報処理装置に実装されているOSの言語情報を取得し、前記プリンタ設定ファイルと前記言語テーブルとを参照して、前記OSの言語情報に対応する表示文字列を前記GUIに表示する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置に対するプリンタ設定のための情報は、前記情報処理装置に対して前記プリンタ設定のための情報としてのDEVMODEを設定する情報を含む、請求項5または6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記画像形成装置は、前記画像形成装置が有する機能に関する機能情報を含み、前記機能情報は、前記GUIに表示される表示文字列を含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
画像形成装置を制御するためのGUIを作成する情報処理装置が実行する方法であって、前記方法は、前記情報処理装置が、
前記画像形成装置からネットワークを介して前記画像形成装置の機能情報を取得するステップと、
前記GUIに表示される表示文字列と、前記表示文字列を固有に識別する文字列IDとが関連付けて登録された言語テーブルを生成するステップと、
前記情報処理装置に対するプリンタ設定のための情報が登録され、前記文字列IDが追加されることで前記GUIの表示文字列の表示制御に使用するためのプリンタ設定ファイルを生成するステップと、
前記プリンタ設定ファイルを使用して、プリンタドライバを作成するためのプリンタドライバパッケージを生成するステップと、
前記プリンタドライバパッケージを前記情報処理装置にインストールしてプリンタドライバを作成するステップと
を実行する方法。
【請求項10】
前記方法によって作成されたプリンタドライバが、
前記情報処理装置に実装されているOSの言語情報を取得し、前記プリンタ設定ファイルと前記言語テーブルとを参照して、前記OSの言語情報に対応する表示文字列を前記GUIに表示する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記情報処理装置に対するプリンタ設定のための情報は、前記情報処理装置に対して前記プリンタ設定のための情報としてのDEVMODEを設定する情報を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記画像形成装置は、前記画像形成装置が有する機能に関する機能情報を含み、前記機能情報は、前記GUIに表示される表示文字列を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の各ステップを情報処理装置が実行するためのコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータ実行可能なプログラムを記録した、コンピュータ可読な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−204894(P2010−204894A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48977(P2009−48977)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】