説明

プリントシステムおよび画像処理装置

【課題】画像処理装置に印刷ジョブを出力した後でも、印刷ジョブの実行をキャンセルできるようにする。
【解決手段】画像データの印刷の要求があると、ホスト装置は、印刷ジョブを生成し、プリントキューに印刷ジョブを格納する。ホスト装置は、格納した印刷ジョブを画像処理装置に送信する。画像処理装置は、印刷ジョブに対する準備処理を行う。準備処理が終了して、印刷ジョブを実行する前に、画像処理装置は、ホスト装置に印刷ジョブの実行開始の確認を行う。ホスト装置が実行開始を指示すると、画像処理装置は、印刷ジョブを実行する。ホスト装置が実行のキャンセルを指示すると、画像処理装置は、印刷ジョブの実行を中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置がホスト装置から出力された印刷ジョブを実行するプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像処理装置は、ネットワークを通じてホスト装置に通信可能に接続されている。パーソナルコンピュータ等のホスト装置は、アプリケーションソフトによって画像データを作成する。そして、作成された画像データは、画像処理装置によって印刷されて出力される。
【0003】
図14に示すように、アプリケーションソフトにおいて印刷要求が行われると、ホスト装置は、プリンタドライバを起動して、印刷ジョブを生成する。印刷ジョブは、プリントキューに格納される。格納が完了すると、印刷ジョブは、プリンタに送信される。プリンタは、印刷ジョブを受け取ると、印刷ジョブを実行する。すなわち、プリンタは、印刷ジョブ内の印刷データをラスタデータに変換したり、印刷条件を設定するといった印刷準備処理を行った後、記録シートに画像を印刷する。
【0004】
ここで、ユーザが操作ミスによって印刷要求の操作をしてしまった場合などに、印刷ジョブがキャンセルされる。印刷ジョブの格納中であれば、印刷ジョブのキャンセルが可能である。しかし、格納が完了すると、すぐに印刷ジョブはプリンタに送信され、印刷ジョブが自動的に実行されるので、印刷ジョブをキャンセルすることができない。
【0005】
特許文献1には、格納された印刷ジョブに対する削除等の変更を行えるようにしたことが記載されている。すなわち、プリンタに通信可能に接続されたホスト装置に、印刷ジョブをプリントキューに格納し、この印刷ジョブを出力するスプーラと、スプーラから出力された印刷ジョブを保持し、この印刷ジョブをプリンタに送信する印刷ジョブ管理部とが設けられる。印刷ジョブの格納が完了しても、印刷ジョブは、まだプリンタに送信されず、印刷ジョブ管理部に保持される。保持されている間に、印刷ジョブの削除や設定変更を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−3778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、印刷ジョブがホスト装置からプリンタに送信されると、ホスト装置は印刷ジョブを保持していないので、印刷ジョブをキャンセルすることができなくなってしまう。そこで、本発明は、上記に鑑み、プリンタに印刷ジョブが出力された後でも、印刷ジョブのキャンセルを可能にするプリントシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、印刷ジョブを管理するホスト装置と、ホスト装置から出力された印刷ジョブを実行する画像処理装置とを備え、画像処理装置は、印刷ジョブを実行する前に、ホスト装置に対して実行開始の確認を行う。
【0009】
ホスト装置は、印刷ジョブを生成したり、印刷ジョブを保存したりして、印刷ジョブを管理する。ホスト装置が印刷ジョブの実行を画像処理装置に要求すると、印刷ジョブはホスト装置から画像処理装置に出力され、ホスト装置は、印刷ジョブを管理できなくなる。そこで、画像処理装置が、印刷ジョブをすぐに実行せずに、印刷ジョブの実行前に、ホスト装置に確認を行う。これによって、印刷ジョブをキャンセルすることが可能となる。
【0010】
ホスト装置は、生成された印刷ジョブを格納するプリントキューを備え、ホスト装置は、印刷ジョブの格納が完了すると、印刷ジョブをプリントキューから画像処理装置に送信する。画像処理装置は、受け取った印刷ジョブに対する準備処理を行ってから、ホスト装置に対して確認を行う。ホスト装置は、画像処理装置に確認に対する指示を行う。
【0011】
画像処理装置は、ホスト装置が実行開始を指示したとき、印刷ジョブを実行し、ホスト装置がキャンセルを指示したとき、印刷ジョブの実行を中止する。画像処理装置は、ホスト装置に実行開始の確認を行ってから所定時間経過しても、ホスト装置からの指示がないとき、実行開始あるいは中止のうち、予め決められた処理を行う。これにより、ホスト装置からの指示がなくても、印刷ジョブが画像処理装置に保留されたままになることを防止できる。
【0012】
画像処理装置は、印刷ジョブのプレビュー画像をホスト装置に送信し、ホスト装置は、プレビュー画像を表示する。ユーザは、プレビュー画面を参考にして、実行するか中止するかを選択できる。印刷ジョブに対する変更等がある場合に、印刷ジョブを中止させることができる。
【0013】
上記の画像処理装置は、印刷ジョブを管理するホスト装置から出力された印刷ジョブを実行する制御部を備える。制御部は、印刷ジョブを実行する前に、ホスト装置に対して実行開始の確認を行い、ホスト装置から実行開始の指示を受けると、印刷ジョブを実行し、ホスト装置からキャンセルの指示を受けると、印刷ジョブの実行を中止する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、印刷ジョブがホスト装置から画像処理装置に出力された後でも、印刷ジョブの実行を中止することができる。これによって、操作ミスによって印刷ジョブを実行させた場合や印刷ジョブに対する変更を行いたい場合などに、実行を中止できるので、無駄な印刷をなくすことができる。したがって、記録シート等の消耗材を節約できるとともに、電力消費も低減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のプリントシステムの概略構成を示す図
【図2】端末装置の概略構成を示すブロック図
【図3】印刷要求を行うときの画面を示す図
【図4】印刷ジョブの開始時の画面を示す図
【図5】スプール中のプリンキューの画面を示す図
【図6】スプール完了時のプリントキューの画面を示す図
【図7】印刷ジョブ送信時のプリントキューの画面を示す図
【図8】印刷ジョブを実行するときのフローチャート
【図9】印刷ジョブの開始時の画面を示す図
【図10】印刷実行の確認画面を示す図
【図11】印刷実行を指示するときの確認画面を示す図
【図12】複数の印刷ジョブが保留されているときの確認画面を示す図
【図13】実行確認の有無の設定画面を示す図
【図14】従来の印刷ジョブを実行するときのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態のプリントシステムは、図1に示すように、画像データを処理する画像処理装置と、利用者が画像データや処理指示を入力するホスト装置とを備える。画像処理装置とホスト装置は、それぞれがLAN、WAN、インターネット等のネットワークに接続される。各装置間でのデータの送受信は、ネットワークを介して行われる。
【0017】
画像処理装置は、原稿を読み取って画像データを入力する画像読取部1と、利用者の入力を受け付ける操作部2と、入力された画像データの印刷を行なう画像形成部3と、画像データを保存するハードディスク装置4と、ホスト装置とのデータ通信を行なう通信部5と、ファクシミリ装置6と通信するためのFAXモデム7と、装置全体の制御情報や設定情報等を記憶している管理部8と、装置全体の制御を司る制御部である機器制御部9とを備えている。
【0018】
画像読取部1は、画像を入力する画像入力部として機能し、CCD10といった撮像素子と、原稿台や自動原稿送り装置(以下、ADFという)にセットされた原稿を検知する原稿検知センサ11とを有する。CCD10によって読み取られた画像の画像データは画像形成部3に出力される。
【0019】
操作部2は、操作パネルであって、処理指示を入力する操作キーを有する入力部12と、静電圧式のタッチパネル13aを有する表示部13と、表示部13に画面を表示させる表示制御部(図示せず)とを備える。表示制御部は、入力部12あるいはタッチパネル13aからの入力を受信すると、メモリ(図示せず)に記憶されている操作部全体の制御情報や設定情報等の情報に基づいて各部を制御する。また、表示制御部は、入力部12からの入力があると、入力があった各ボタンの操作内容を機器制御部9に出力する。
【0020】
画像形成部3は、入力された画像データを記憶するローカルメモリ20と、レーザ走査ユニットを有する印字部21と、手差しトレイ、カセットトレイを備えた給紙部22と、排紙トレイを備えた排紙部23とを有する。
【0021】
ローカルメモリ20は、SDRAM、フラッシュメモリ等の読み書き可能な半導体メモリを用いる。ローカルメモリ20は、入力された画像データを記憶する領域と、出力するための画像データを記憶する領域とに分割されている。なお、1つのローカルメモリ20を分割して使用する代わりに、2つのローカルメモリ20を入力用と出力用として、それぞれ使用してもよい。
【0022】
入力された画像データは、ローカルメモリ20に記憶される。ローカルメモリ20は、古い画像データに新しい画像データを上書きすることにより、画像データを記憶する。画像データは、画像処理部24によって圧縮、伸張、加工等の画像処理が行われ、ローカルメモリ20に記憶される。画像処理された画像データが印字部21、ハードディスク装置4あるいは機器制御部9に出力される。印字部21は、ローカルメモリ20に記憶された画像データに基づいて、給紙部22から供給される記録シートに画像を印刷する。
【0023】
通信部5は、LANケーブルを介してルータ、スイッチングハブ等に接続され、パソコン、サーバ等の端末装置30によって形成されたネットワークと接続される。ネットワークは、電話回線網や光ファイバ等の通信回線を介してインターネットに接続される。
【0024】
通信部5は、ネットワーク内の端末装置30や他の画像処理装置とデータの送受信を行うとともに、インターネットを通じて外部の端末装置30やファクシミリ装置31とデータや電子メールの送受信を行う。したがって、ネットワーク内外の端末装置30、ファクシミリ装置31および他の画像処理装置がホスト装置とされる。
【0025】
FAXモデム7は、電話線を介して電話回線網に接続され、外部のファクシミリ装置6とファクシミリ通信を行う。このように、通信部5やFAXモデム7を通じて画像データが入力される。
【0026】
機器制御部9は、操作部2からの入力あるいはホスト装置からのデータ入力があると、管理部8に記憶されている情報に基づいて各部を制御して、入力された画像データを処理する。すなわち、入力された画像データに対してコピーモード、プリンタモード、スキャナモード、ファクシミリモード、ドキュメントファイリングモードのいずれかを実行して、入力された画像データを所望の形態で出力する。
【0027】
ハードディスク装置4は、画像データを一時的に保存する記憶部とされる。ハードディスク装置4に画像データが保存されるとき、暗号化復号化部25によって、画像データは暗号化される。ハードディスク装置4から画像データが読み出されるとき、画像データは復号化される。
【0028】
ハードディスク装置4は、画像データ以外のデータとして、データの処理に関する管理情報を記憶する。管理情報としては、ファイリング管理情報、送信先管理情報、履歴管理情報である。ファイリング管理情報は、入力された画像データを保存したファイルのリストである。送信先管理情報は、ファクシミリ通信における送信先のリストである。履歴管理情報は、実行した処理内容のリストである。
【0029】
ハードディスク装置4は、画像データを消去する消去部26を備える。消去対象の画像データは、処理作業エリアに記憶されているデータである。機器制御部9が、画像データを処理して出力した後に、消去部26の動作を制御する。消去部26は、ランダムなデータや無意味なデータを上書きしたり、あるいは、データそのものを消去したりして、記憶されていた画像データを読み取り不可能にして、元の画像を再現できないように無効化する。
【0030】
なお、消去部26は、ローカルメモリ20に対しても、上書きにより古い画像データを消去する、あるいは、画像データを消去することによって、画像データを無効化するようにしてもよい。ハードディスク装置4に記憶されている管理情報は、機器制御部9からの指令がない限り消去されない。
【0031】
次に、各モードを実行するときの動作を説明する。先ず、コピーモード時には、画像読取部1により読み取られた原稿の画像データが、画像形成部3から複写物として出力される。具体的には、読取位置にセットされた原稿の画像をCCD10によって読み取る。CCD10から出力された画像データは、画像処理部24により、ローカルメモリ20上で画像処理され、出力画像として完成される。一旦ローカルメモリ20からハードディスク装置4に転送されて保存される。原稿が複数ある場合は、この読み取り、記憶の動作が繰り返される。
【0032】
その後、操作部2から指示された処理内容に基づいて、ハードディスク装置4に保存された画像データが適切なタイミングで順次読み出され、ローカルメモリ20に送られる。そして、印字部21への書き込みタイミングに合わせて、画像データがローカルメモリ20から印字部21へと転送され、給紙部22から供給された記録シートに画像が印刷され、記録シートは排紙部23により排出される。
【0033】
また、読み取った画像データを複数枚印刷する場合も同様に、画像データが出力画像としてページ単位でハードディスク装置4に記憶され、出力するモードに合わせてハードディスク装置4からローカルメモリ20に送られる。ローカルメモリ20の画像データは、出力枚数の分だけ繰り返し、印字部21への書き込みタイミングに合わせて印字部21へ転送される。
【0034】
プリンタモード時には、端末装置30から出力された画像データが、画像形成部3から出力される。すなわち、端末装置30からの画像データが、通信部5により受信される。機器制御部9は、入力された画像データをローカルメモリ20に送り、出力する画像データとしてページ単位に展開し、一旦ハードディスク装置4に保存する。そして、画像データは、ハードディスク装置4からローカルメモリ20に送られ、コピーモードの場合と同様にして印字部21へと転送され、画像が記録シートに印刷される。
【0035】
スキャナモード時には、画像読取部1において読み取られた原稿の画像データが、ネットワークを通じて任意の端末装置30にデータ通信される。すなわち、CCD10から出力された画像データは、ローカルメモリ20上で画像処理されて出力画像として完成され、一旦ハードディスク装置4へ保存される。そして、送信するとき、画像データがハードディスク装置4からローカルメモリ20に送られ、機器制御部9は、操作部2を介して指示されたネットワーク内の送信先との通信を確立させ、通信部5から目的の送信先に画像データを送信する。また、画像データは、通信部5によりネットワークからインターネットを通じて、外部の端末装置30やファクシミリ装置31にも送信される。
【0036】
ファクシミリモード時にも同様の動作によって、機器制御部9は、FAXモデム7から電話回線を通じてファクシミリ装置6に画像データを送信する。
【0037】
上記のように画像読取部1あるいはホスト装置から入力された画像データの処理が完了したとき、消去部26がハードディスク装置4に保存された画像データを消去する。なお、ドキュメントファイリングモードでは、画像読取部1あるいはホスト装置から入力された画像データは、ハードディスク装置4に保存される。機器制御部9は、必要なときに画像データを呼び出して、印刷や送信する。
【0038】
本プリントシステムにおけるホスト装置である、利用者が使用するパソコン等の端末装置30は、画像処理装置が実行するジョブを管理する。すなわち、端末装置30は、入力された画像データに基づいてジョブを生成し、このジョブの実行を画像処理装置に要求する。画像処理装置は、この要求を受けて、端末装置30から出力されたジョブを実行する。ジョブは、プリンタモード、ファクシミリモード、ドキュメントファイリングモードのいずれかによって実行される。
【0039】
端末装置30は、図2に示すように、処理指示を入力する入力部32と、画像を表示する表示部33と、画像データを記憶する記憶部34と、画像データに対するジョブを管理するジョブ管理部35と、装置全体の制御を司る制御部36と、画像処理装置や他のホスト装置と通信を行う通信部37とを備えている。
【0040】
特に、端末装置30では、文章作成ソフトあるいは表作成ソフトといったアプリケーションソフトによって画像データが作成される。また、ブラウザやメーラーによって外部から画像データが入力される。このような画像データに対して、例えば図3に示すように、アプリケーションソフトによって表示部33に表示されている画面において、ユーザが印刷要求の操作を行うと、CPU等を備えた制御部36は、プリンタドライバを動作させて、印刷ジョブを生成する。このとき、図4に示すように、印刷ジョブの開始を示す画面が表示部33に表示される。
【0041】
プリンタドライバは、画像データをPDLに変換して、印刷データを作成する。そして、プリンタドライバは、印刷データと、ユーザにより入力された印刷条件等の印刷情報とを合わせて、印刷ジョブを生成し、印刷ジョブをジョブ管理部35のプリントキュー38に格納する。このとき、図5に示すように、プリントキュー38の状態を示す画面に、格納中(スプール中)の表示がされる。なお、プリントキュー38は、ハードディスク装置あるいはメモリからなる記憶部34に設けられ、ジョブ管理部35によって管理される。
【0042】
プリンタドライバは、プリントキュー38への印刷ジョブの格納が完了すると、印刷ジョブを指定された画像処理装置に出力する。このとき、図6に示すように、プリントキュー38の状態を示す画面では、格納中(スプール中)の表示が消える。プリントキュー38に複数の印刷ジョブが格納されているとき、先着順に印刷ジョブが出力される。この出力に応じて、制御部36は、通信部37を通じて画像処理装置に印刷ジョブを送信する。印刷ジョブの送信が完了すると、図7に示すように、プリントキュー38の状態を示す画面では、格納されていた印刷ジョブの表示が削除される。
【0043】
画像処理装置が印刷ジョブを受信すると、機器制御部9は、印刷ジョブに対する準備処理を行う。すなわち、機器制御部9は、印刷情報に基づいて印刷データをラスタデータに変換し、ページ単位に展開して準備処理が終了すると、ハードディスク装置4にラスタデータを一時的に保存する。そして、機器制御部9は、ラスタデータをハードディスク装置4から読み出して、印字部21に転送する。印字部21は、記録シートに画像を印刷して出力する。
【0044】
ところで、ユーザの操作ミスや印刷情報の変更などによって、印刷ジョブを中止する事情が生じたとき、印刷ジョブが画像処理装置に送信される前、すなわちプリントキュー38に格納されている間であれば、端末装置30は、印刷ジョブの実行を中止させることができる。図4に示す画面において、ユーザがキャンセルボタンを操作する、あるいは図5に示す画面において、ユーザが印刷ジョブに対するキャンセルを選択するといったように、ユーザが印刷のキャンセルを入力すると、制御部36は、プリンタドライバに印刷中止を指示する。プリンタドライバは、プリントキュー38から印刷ジョブを削除する。
【0045】
しかし、通常、印刷ジョブは、プリントキュー38への格納が完了すると、すぐに画像処理装置に送信される。送信された後では、ユーザは、印刷をキャンセルすることができない。そこで、画像処理装置は、印刷ジョブを実行する前に、端末装置30に対して印刷ジョブの実行開始の確認を行い、端末装置30からの指示にしたがって印刷ジョブの実行の開始あるいは中止を行う。
【0046】
図8に示すように、ユーザが端末装置30にある画像データの印刷を要求する操作を行うと、制御部36がプリンタドライバを動作させる。印刷ジョブが生成され、印刷ジョブは一旦プリントキュー38に格納される。格納が完了すると、印刷ジョブは画像処理装置に送信される。
【0047】
プリンタドライバが、印刷ジョブを生成して、プリントキュー38に格納するまでの間、図9に示すように、印刷ジョブの実行が準備中であることを示す画面が表示部33に表示される。なお、印刷実行の最終的な許可が得られていないので、ここでは印刷準備中と表示される。この画面が表示されている間は、印刷ジョブはまだ画像処理装置に送信されていないので、印刷ジョブのキャンセルが可能である。
【0048】
画像処理装置が印刷ジョブを受け取ると、機器制御部9は、印刷ジョブに対する準備処理を行う。準備処理が終了すると、機器制御部9は、端末装置30に印刷許可の要求を行う。
【0049】
端末装置30の制御部36は、画像処理装置から印刷許可の要求を受けると、図10に示すように、印刷実行の確認画面を表示部33に表示させる。確認画面には、印刷許可の確認メッセージと、印刷ボタンおよびキャンセルボタンが表示される。ユーザは、印刷ジョブの実行開始かキャンセルかのいずれかを選択できる。
【0050】
例えば、図11に示すように、ユーザが印刷ボタンを操作すると、端末装置30の制御部36は、通信部37を通じて画像処理装置に実行開始の指示を行う。画像処理装置の機器制御部9は、この指示を受けると、ラスタデータを印字部21に出力する。印字部21が印刷を行う。
【0051】
ユーザがキャンセルボタンを操作すると、制御部36は、画像処理装置に実行中止の指示を行う。機器制御部9は、この指示にしたがって印刷ジョブの実行を中止する。機器制御部9は、ハードディスク装置4に保存されている印刷ジョブのラスタデータを消去する。
【0052】
実行開始の確認に際して、ユーザは、印刷する画像を確認できる。確認画面に、プレビューボタンが表示され、ユーザがこのボタンを操作すると、端末装置30の制御部36は、画像処理装置に印刷する画像の提供を指示する。画像処理装置の機器制御部9は、印刷する画像のプレビュー画像を端末装置30に送信する。端末装置30の制御部36は、プレビュー画像を表示部33に表示させる。
【0053】
ユーザは、表示されたプレビュー画面を見て、印刷を開始させるか中止させるかを判断することができる。例えば、画像の一部がはみ出て、印刷されないといったことがわかる。このような場合、ユーザが印刷ジョブの中止を選択する。端末装置30は、画像処理装置に中止を指示する。画像処理装置は、印刷ジョブの実行を中止する。そして、ユーザは、端末装置30において、印刷条件の設定を変更するなどの操作を行い、再度印刷要求の操作を行う。端末装置30は、変更された印刷ジョブを生成して、画像処理装置に送信する。このように、プレビュー画像を表示することにより、的確に印刷の実行か中止を決めることができ、無駄な印刷をなくすことができる。
【0054】
また、画像処理装置からの印刷の確認に対して、ユーザが端末装置30から離れたときのように、ユーザが指示を行わない場合がある。そこで、画像処理装置は、端末装置30からの応答がないときのためにタイムアウト機能を有する。すなわち、機器制御部9は、タイムアウト機能として、端末装置30に確認を行ったからタイマにより時間を計り、端末装置30からの応答を待つ。所定時間経過しても端末装置30からの応答がないとき、機器制御部9は、タイムアウトと判断し、印刷ジョブの実行開始とする。したがって、ユーザが指示を行わない場合、強制的に印刷が開始される。これにより、実行されない印刷ジョブが画像処理装置に溜まってしまうことを防止できる。
【0055】
なお、タイムアウトになったとき、機器制御部9は、印刷ジョブの実行を中止してもよい。タイムアウトになったときに実行開始とするか中止するかは、予め決められ、機器制御部9は、設定情報として管理部8に記憶する。端末装置30からの指示がなく、タイムアウトになると、機器制御部は、いずれか一方の決められた処理を行う。
【0056】
画像処理装置が、上記のようなタイムアウト機能を有しない場合、画像処理装置に、複数の印刷ジョブが保留のまま存在する。そこで、機器制御部9は、新たな印刷ジョブを受け取ったときに、端末装置30に全ての印刷ジョブに対する確認を行う。端末装置30の表示部33には、図12に示すように、各印刷ジョブに対する複数の確認画面が表示される。全ての画面の印刷ボタンが操作されると、各印刷ジョブの実行が開始される。印刷ジョブは先着順に実行される。また、任意の印刷ジョブに対して、実行開始の指示がされたとき、画像処理装置は、指示された印刷ジョブだけを実行する。指示されなかった印刷ジョブは、そのまま保留される。
【0057】
ここで、急いで実行したい印刷ジョブがあれば、ユーザは、その印刷ジョブに対する確認画面を選ぶ。制御部36は、この印刷ジョブの実行を画像処理装置に指示する。これによって、後から印刷ジョブを要求した場合であっても、最先に印刷を行うことができる。
【0058】
このように、印刷ジョブが画像処理装置に出力されてしまっても、印刷開始前に印刷ジョブを実行するかの確認を行うことにより、操作ミスをした場合などによって印刷をキャンセルしたいときに、実行を中止させることができる。これによって、記録シート等の消耗材の無駄な使用をなくすことができる。
【0059】
ところで、上記の印刷ジョブを実行する前の確認の有無は、予め設定される。端末装置30において、画像処理装置のプロパティとして設定される。図13に示すように、プロパティの設定の1つとして、実行確認のためのメッセージを表示するか否かの項目が設けられる。制御部36は、ユーザによって設定された実行確認情報を記憶し、印刷ジョブを生成するときに実行確認情報を付加する。
【0060】
画像処理装置が印刷ジョブを受け取ると、機器制御部9は、印刷ジョブから実行確認情報を読み出す。確認を行う設定であれば、機器制御部9は、印刷ジョブの実行前に確認を行う。なお、この実行確認の設定は、画像処理装置において行ってもよい。機器制御部9は、設定された実行確認情報を管理部8に記憶する。印刷ジョブの実行を開始する前に、機器制御部9は、実行確認情報にしたがって動作する。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。画像処理装置と端末装置とは、ケーブルを介して直接接続されていてもよい。
【0062】
また、印刷ジョブ以外の画像データのファクシミリ送信、画像データのドキュメントファイリングといったジョブにおいても、ジョブを実行する前に、実行開始の確認を行ってもよい。例えば、ホスト装置が画像処理装置に画像データのファクシミリ送信を要求すると、画像処理装置は、ホスト装置からジョブを受け取る。機器制御部は、ファクシミリ送信する前に、ホスト装置に実行開始の確認を行う。また、ホスト装置が画像処理装置に画像データのファイリングを要求すると、画像処理装置の機器制御部は、画像データをハードディスク装置に保存する前に、ホスト装置に実行開始の確認を行う。
【0063】
上記の実施の形態では、端末装置がプリントキューを有しているが、画像処理装置がプリントキューを有していてもよい。端末装置の制御部は、印刷要求に応じて印刷ジョブを生成すると、印刷ジョブを画像処理装置に送信する。画像処理装置の機器制御部は、印刷ジョブをプリントキューに格納し、格納が完了すると、準備処理を行う。そして、機器制御部は、準備処理が終了したとき、あるいは印刷ジョブをプリントキューに格納し終わったとき、端末装置に実行開始の確認を行う。
【符号の説明】
【0064】
1 画像読取部
2 操作部
3 画像形成部
4 ハードディスク装置
5 通信部
8 管理部
9 機器制御部
21 印字部
30 端末装置
33 表示部
35 ジョブ管理部
36 制御部
37 通信部
38 プリントキュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを管理するホスト装置と、ホスト装置から出力された印刷ジョブを実行する画像処理装置とを備え、画像処理装置は、印刷ジョブを実行する前に、ホスト装置に対して実行開始の確認を行うことを特徴とするプリントシステム。
【請求項2】
画像処理装置は、ホスト装置が実行開始を指示したとき、印刷ジョブを実行し、ホスト装置がキャンセルを指示したとき、印刷ジョブの実行を中止することを特徴とする請求項1記載のプリントシステム。
【請求項3】
画像処理装置は、ホスト装置に実行開始の確認を行ってから所定時間経過しても、ホスト装置からの指示がないとき、実行開始あるいは中止のうち、予め決められた処理を行うことを特徴とする請求項2記載のプリントシステム。
【請求項4】
画像処理装置は、印刷ジョブのプレビュー画像をホスト装置に送信し、ホスト装置は、プレビュー画像を表示することを特徴とする請求項2または3記載のプリントシステム。
【請求項5】
ホスト装置は、生成された印刷ジョブを格納するプリントキューを備え、ホスト装置は、印刷ジョブの格納が完了すると、印刷ジョブをプリントキューから画像処理装置に送信し、画像処理装置は、受け取った印刷ジョブに対する準備処理を行ってから、ホスト装置に対して確認を行い、ホスト装置は、画像処理装置に確認に対する指示を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプリントシステム。
【請求項6】
印刷ジョブを管理するホスト装置から出力された印刷ジョブを実行する制御部を備え、制御部は、印刷ジョブを実行する前に、ホスト装置に対して実行開始の確認を行い、ホスト装置から実行開始の指示を受けると、印刷ジョブを実行し、ホスト装置からキャンセルの指示を受けると、印刷ジョブの実行を中止することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
制御部は、ホスト装置に実行開始の確認を行ってから所定時間経過しても、ホスト装置からの指示がないとき、実行開始あるいは中止のうち、予め決められた処理を行うことを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
制御部は、印刷ジョブのプレビュー画像をホスト装置に送信することを特徴とする請求項6または7記載の画像処理装置。
【請求項9】
制御部は、ホスト装置から受け取った印刷ジョブに対する準備処理を行ってから、ホスト装置に対して確認を行うことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−214710(P2010−214710A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62915(P2009−62915)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】