説明

プリントデータ解析処理部、画像形成装置、プリントデータ解析処理方法、画像形成方法

【課題】ネットワークに接続された画像形成装置において、高速印刷処理を可能にする。
【解決手段】プリントデータ解析処理部21Aにおいて、ラスタデータ生成部25Aは、第1PC2Aから送られてきたPDLデータを頁単位PDLデータに切り出し、頁単位PDLデータについて解析処理及び展開処理を行う。判断部31は、解析処理の結果に基づいて、頁単位PDLデータを第2複合機3Bに転送するか否かを判断する。転送部33は、頁単位PDLデータが第2複合機3Bに転送されると判断されれば、頁単位PDLデータを第2複合機3Bに転送する。受信部29Aは、転送後に第2複合機3Bから送られてきた頁単位ラスタデータを受信する。ラスタデータ送信部27Aは、ラスタデータ生成部25Aが生成した頁単位ラスタデータ及び第2複合機3Bから送られてきた頁単位ラスタデータを、プリントデータ転送処理部23Aに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して受信した印刷データを印刷する画像形成装置、画像形成装置のプリントデータ解析処理部、画像形成性装置において実行されるプリントデータ解析処理方法、画像形成装置において実行される画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のオフィスなどでは、複数のPC(Personal Computer)が、LAN(Local Area Network)に接続されたプリンタを利用する形態が一般的となっている。
【0003】
PCにインストールされたプリンタドライバが、印刷対象データからページ記述言語(PDL:Page Description Language)に基づくPDLデータを作成してプリンタに送信する。プリンタは、受信した印刷データをラスタライズ(解析・展開)することでラスタデータを作成し、ラスタデータを用紙に印刷する。
【0004】
PDLデータをラスタデータに展開する動作は、時間が比較的長くかかることがある。そこで、特に時間がかかる頁については、PCがネットワーク上の他のプリンタに当該頁を送信して展開を指示することが行われている。その場合、プリンタは、他のプリンタから展開済みページを受信して、それを用いて印刷を行う(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−43040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、PCのプリンタドライバが、イメージデータの展開にどれだけ時間がかかるかを判断している。そして、展開に時間が長くかかるPDLデータは、印刷先のプリンタではなく、代理展開を行うプリンタに送信される。さらに印刷先のプリンタには、代理展開プリンタからデータを取得して印刷を行うように指定した印刷制御データが、PCのプリンタドライバから送信される。
上記の技術では、展開に時間が長くかかるPDLデータは、能力が低いプリンタには送られにくくなっている。しかし、実際には、上記の技術であっても、ラスタデータを生成するための処理部の性能が十分に高くないプリンタに対して、処理に長く時間がかかるPDLデータが送られてくることがある。そして、そのような場合は、PDLデータを受信してから印刷を行うまでの時間が長くなってしまう。そこでプリンタの処理部を高性能にすることも考えられるが、全てのPDLデータが処理に時間がかかるのではないことを考慮すれば、低い性能の処理部を有するプリンタを利用することでコストを下げつつ、同時に高速印刷処理を実現することが好ましい。
【0007】
本発明の課題は、性能が高くない画像形成装置にラスタデータ生成に時間がかかるPDLデータが送られた場合でも、高速印刷処理を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0009】
本発明の一見地に係るプリントデータ解析処理部は、第1画像形成装置として機能する画像形成装置において、用いられる。画像形成装置は、ネットワーク経由で外部の情報処理装置及び他の画像形成装置に接続され、プリント部と、プリント部に対してラスタデータを送信することでプリント処理を行うプリントデータ転送処理部とを有している。プリントデータ解析処理部は、ラスタデータ生成部と、判断部と、転送部と、受信部と、送信部と、を備えている。ラスタデータ生成部は、情報処理装置から送られてきたPDLデータを頁単位PDLデータに切り出し、頁単位PDLデータについて解析処理及び展開処理を行うことで頁単位ラスタデータを生成する。判断部は、ラスタデータ生成部が行う解析処理の結果に基づいて、頁単位PDLデータを第1画像形成装置より性能が高いラスタデータ生成部を有する第2画像形成装置に転送するか否かを判断する。転送部は、頁単位PDLデータを第2画像形成装置に転送すると判断されれば、頁単位PDLデータを第2画像形成装置に転送する。受信部は、転送後に第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを受信する。送信部は、ラスタデータ生成部が生成した頁単位ラスタデータ及び第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを、プリントデータ転送処理部に送信する。
以上の構成によって、ラスタデータ生成部が行う解析処理の結果に基づいて、頁単位PDLデータが第2画像形成装置に転送されると判断されれば、頁単位PDLデータは第2画像形成装置に転送される。そして、第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータが受信されると、当該頁単位ラスタデータはプリントデータ転送処理部に送信される。以上のように、処理能力がより高い第2画像形成装置によってラスタデータが生成されるので、ラスタデータ生成部の機能が高くない画像形成装置に対して展開に時間がかかるPDLデータが送られた場合でも、高速処理が可能になる。言い換えると、第1画像形成装置においてPDLデータを受信してからプリント処理を行うまでの時間が短縮される。
なお、頁単位PDLデータが他の画像形成装置に転送されると判断される場合とは、例えば、ラスタデータ生成部が解析中にそのまま処理すれば所定時間以上かかると判断した場合である。
また、転送される頁単位PDLデータは、1頁全体であってもよいし、1頁の中の一部であってもよい。
【0010】
ラスタデータ生成部は、頁単位PDLデータがラスタデータ生成を長時間にするコマンドを含むか否かを、展開の前に解析してもよい。その場合、判断部は、解析結果に基づいて、頁単位PDLデータを第2画像形成装置に転送するか否かを判断する。
この場合、頁単位PDLデータがラスタデータ生成を長時間にするコマンドを含むか否かが展開の前に解析されるので、時間がかかる頁単位PDLデータである場合に第1画像形成装置での展開処理を省略できる。その結果、全体の処理時間が短縮される。
【0011】
ラスタデータ生成部が生成した場合と第2画像形成装置が生成した場合とで、頁単位ラスタデータに付与される属性情報は同一になってもよい。
この場合、プリントデータ転送処理部は、展開処理を行った装置に関係なく、受信したラスタデータに対して同一の処理を実行できる。
【0012】
転送部による頁単位PDLデータの転送と、受信部による頁単位ラスタデータの受信とは、同一セッションで実行されてもよい。
この場合、頁単位PDLデータが転送された後で第2画像形成装置がラスタデータを生成すれば、第2画像形成装置から第1画像形成装置に対して直ちにラスタデータが送信される。したがって、タイムラグが少なくなり、つまり第1画像形成装置が早期にラスタデータを得ることができる。
【0013】
本発明の他の見地に係る画像形成装置は、ネットワーク経由で外部の情報処理装置及び他の画像形成装置に接続されており、第1画像形成装置として機能する。画像形成装置は、プリント部と、通信部と、プリントデータ解析処理部と、プリントデータ転送処理部とを備えている。通信部は、ネットワーク経由で外部の情報処理装置からPDLデータを受信する。
プリントデータ解析処理部は、ラスタデータ生成部と、判断部と、転送部と、受信部と、送信部と、を備えている。ラスタデータ生成部は、情報処理装置から送られてきたPDLデータを頁単位PDLデータに切り出し、頁単位PDLデータについて解析処理及び展開処理を行うことで頁単位ラスタデータを生成する。判断部は、ラスタデータ生成部が行う解析処理の結果に基づいて、頁単位PDLデータを第1画像形成装置より性能が高いラスタデータ生成部を有する第2画像形成装置に転送するか否かを判断する。転送部は、頁単位PDLデータを第2画像形成装置に転送すると判断されれば、頁単位PDLデータを第2画像形成装置に転送する。受信部は、転送後に第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを受信する。送信部は、ラスタデータ生成部が生成した頁単位ラスタデータ及び第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータをプリントデータ転送処理部に送信する。
プリントデータ転送処理部は、記憶部と、印刷制御部とを有している。記憶部は、頁単位ラスタデータを記憶する。印刷制御部は、頁単位ラスタデータを記憶部から読み出して次にプリント部に送信することで印刷を指示する。
ラスタデータ生成部が行う解析処理の結果に基づいて、頁単位PDLデータが第2画像形成装置に転送されると判断されれば、頁単位PDLデータは第2画像形成装置に転送される。そして、第2画像装置によって送られてきた頁単位ラスタデータが受信されると、第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータはプリントデータ転送処理部に送信される。以上のように、ネットワーク上の処理能力がより高い第2画像形成装置によって展開処理が行われるので、ラスタデータ生成部の機能が高くない画像形成装置に対して展開に時間がかかるPDLデータが送られた場合でも、高速処理が可能になる。言い換えると、第1画像形成装置がPDLデータを受信してからプリント処理を行うまでの時間が短縮される。
【0014】
本発明の他の見地に係るプリントデータ解析処理方法は、第1画像形成装置として機能する画像形成装置において、用いられる。画像形成装置は、ネットワーク経由で外部の情報処理装置及び他の画像形成装置に接続され、プリント部と、プリント部に対してラスタデータを送信することでプリント処理を行うプリントデータ転送処理部とを有している。プリントデータ解析処理方法は、下記のステップを備えている。
◎情報処理装置から送られてきたPDLデータを頁単位PDLデータに切り出し、頁単位PDLデータについて解析処理及び展開処理を行うことで頁単位ラスタデータを生成するステップ
◎解析処理の結果に基づいて、頁単位PDLデータを第1画像形成装置より性能が高いラスタデータ生成部を有する第2画像形成装置に転送するか否かを判断するステップ
◎頁単位PDLデータが第2画像形成装置に転送されると判断されれば、頁単位PDLデータを第2画像形成装置に転送するステップ
◎転送後に第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを受信するステップ
◎ラスタデータ生成部によって生成された頁単位ラスタデータ及び第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータをプリントデータ転送処理部に送信するステップ
【0015】
頁単位ラスタデータを生成するステップは、頁単位データがラスタデータ生成を長時間にするコマンドを含むか否かを、展開の前に解析するステップを含んでいてもよい。その場合、判断ステップでは、解析の結果に基づいて、頁単位PDLデータを第2画像形成装置に転送するか否かが判断される。
【0016】
本発明のさらに他の見地に係る画像形成方法は、以下のステップを備えている。
◎上記のプリントデータ解析処理方法
◎ラスタデータ生成ステップにおいて生成された頁単位ラスタデータ及び第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを印刷するステップ
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、ネットワークに接続された画像形成装置において、高速印刷処理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたネットワークの模式的構成図。
【図2】複合機の基本機能を示したブロック構成図。
【図3】データ転送元の複合機とデータ転送先の複合機の制御部の機能を説明するためのブロック構成図。
【図4】PDLデータのラスタライズ依頼元の複合機における制御動作を示すフローチャート。
【図5】PDLデータのラスタライズ依頼元の複合機における制御動作を示すフローチャート。
【図6】PDLデータのラスタライズ依頼先の複合機における制御動作を示すフローチャート。
【図7】複合機のプリントデータ転送処理部の制御動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1)ネットワーク
図1を用いて、本発明の一実施例が適用されるネットワークシステム1を説明する。図1は、ネットワークの模式的構成図である。ネットワークシステム1は、複数のパーソナル・コンピュータとして第1PC2A、第2PC2B及び第3PC2Cと、複数の複合機としての第1複合機3A、第2複合機3B及び第3複合機3Cと、LAN4とから構成されている。各装置は、LAN4を介して互いに交信可能である。
【0020】
(2)PC
第1PC2A、第2PC2B及び第3PC2Cの機能を説明する。ユーザが第1PC2A、第2PC2B又は第3PC2Cにおいて文書を印刷する場合は、ユーザはその文書を各種アプリケーションで開いて、次に印刷操作を行う。すると、各PCにインストールされているプリンタドライバが起動される。プリンタドライバは、アプリケーションで作成された描画指示データを、ページ記述言語を用いてPDLデータに変換する。PDLデータは、プリントジョブとして、LAN4を介して例えば第1複合機3Aに送信される。
【0021】
プリントジョブ(印刷データ)の先頭には、ジョブ制御情報が記述されている。ジョブ制御情報には、用紙サイズ、用紙の種類などのプリンタ10の動作を制御する情報が記述されている。なお、ジョブ制御情報は、PJL(Printer Job Language)などを用いて記述される。
【0022】
プリントジョブには、ジョブ制御情報に続いて、ページ記述言語で記述されたPDL(Page Description Language)データが記述されている。PDLデータは、複数のコマンドデータと、テキストデータとを有している。コマンドデータは、ラスタライズに関する各種条件、及び各テキストデータなどを配置する領域を示す情報などである。テキストデータは、文字情報に対応するデータである。なお、PDLの種類としては、例えば、PCL(Printer Control Language(登録商標))、PS(Post Script(登録商標))、XPS(XML Paper Specification)がある。
以下の説明では、プリントジョブをPDLデータと呼ぶ。
【0023】
(3)複合機
図2を用いて、第1複合機3Aの機能を説明する。図2は、複合機の基本機能を示したブロック構成図である。なお、以下に説明する機能は、第1複合機3A、第2複合機3B、第3複合機3Cにおいて共通である。
第1複合機3Aは、プリント機能、コピー機能、FAX(ファクシミリ)機能、及びIFAX(インターネットFAX)機能を備えたネットワーク複合機である。具体的には、第1複合機3Aは、プリンタ10、スキャナ11、FAX制御部12、及びIFAX制御部13を有している。第1複合機3Aは、さらに、操作部14、表示部15、NCU(Network Control Unit)16、モデム17、及びネットワークI/F18を有している。また、第1複合機3Aは、バス19を備えており、第1複合機3A内の各部はバス19によって互いに接続されている。
【0024】
プリンタ10は、FAX制御部12及びIFAX制御部13が受信したファクシミリデータ、コピーの指示に基づいてスキャナ11が作成した画像データ、並びに第1PC2A、第2PC2B及び第3PC2Cから送られてきたPDLデータを印刷する。つまり、プリンタ10は、ネットワーク複合機のファクシミリ機能、コピー機能、プリンタ機能の出力部として機能する。プリンタ10は、例えば、電子写真方式を採用している。
【0025】
スキャナ11は、原稿から画像を読み取るスキャナ機能を実現する。スキャナ11は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサを有している。
【0026】
FAX制御部12は、NCU16及びモデム17によって行われるPSTN(Public Switched Telephone Network)91を介したFAXの送受信を制御する。IFAX制御部13は、ネットワークI/F18を介して行われるIFAXの送受信を制御する。
【0027】
ネットワークI/F18は、LAN4を介して、他の装置とデータの送受信を行う通信部として機能する。例えば、ネットワークI/F18は、第1PC2A、第2PC2B、第3PC2CからPDLデータを受信する。
【0028】
操作部14は、タッチパネル並びにハードキー等を備えており、ユーザからの操作を受け付けることができる。すなわち、ユーザは、操作部14を用いてコピー、スキャン、又はファクシミリ送信等の指示を入力することができる。表示部15は、操作部14で入力された操作の内容を含む各種情報を表示する。表示部15は、例えば、液晶パネルである。
【0029】
制御部20Aは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むコンピュータである。制御部20Aは、第1複合機3Aの各部を制御する制御部であり、ROMに格納される各種プログラムを読み出して実行することによって、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能及びネットワーク機能等を実現する。ROMは、制御プログラム又は予め設定されているパラメータ等を格納する。RAMは、プログラムを実行するための作業領域として機能する。
【0030】
(4)複合機の制御部
次に、図3を参照して、制御部20Aが備える機能的な構成要素を説明する。図3は、データ転送元の複合機とデータ転送先の複合機の制御部の機能を説明するためのブロック構成図である。
【0031】
第1複合機3A及び第2複合機3Bの制御部20A、20Bは同じ機能を有しているが、図では説明に必要な機能だけを描いている。
【0032】
図3から明らかなように、制御部20Aは、プリントデータ解析処理部21Aと、プリントデータ転送処理部23Aとを有している。プリントデータ解析処理部21Aは、プリンタコントローラであり、基本機能として、PDLデータをラスタライズしてラスタデータ(イメージデータ)に変換する。プリントデータ解析処理部21Aの他の機能は後述する。プリントデータ転送処理部23Aは、MFP本体側コントローラであり、ラスタデータを保存しつつ、プリンタ10にラスタデータを送信することでプリンタ10に印刷を実行させる。
【0033】
プリントデータ解析処理部21Aは、ラスタデータ生成部25Aと、ラスタデータ送信部27Aと、受信部29Aとを有している。ラスタデータ生成部25Aは、RIP(Raster Image Processor)であり、PDLデータを解析しさらに展開することで、ラスタデータを生成する機能を有している。ラスタデータ送信部27Aは、ラスタデータをプリントデータ転送処理部23Aに送信する。受信部29Aは、ネットワークI/F18Aから送られてきたPDLデータ及びラスタデータを受信する。なお、受信部29Aは、ネットワークI/F18Aの機能として実現されていてもよい。
【0034】
プリントデータ解析処理部21Aは、さらに、判断部31と、転送部33とを有している。判断部31は、ラスタデータ生成部25AがPDLデータを頁単位で解析しているときに展開に所定時間以上かかるか否かを判断する。転送部33は、判断部31が展開に所定時間以上かかると判断すれば、当該PDLデータを機能が高い他の複合機(この場合は、第2複合機3B)に転送することで、ラスタライズ処理を依頼する。なお、転送部33は、ネットワークI/F18Aの機能として実現されていてもよい。
【0035】
プリントデータ解析処理部21Aは、記憶部34Aを有している。記憶部34Aは、データを保存可能なメモリである。
【0036】
プリントデータ転送処理部23Aは、印刷制御部35と、記憶部37とを有している。印刷制御部35は、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータであり、プログロラムを実行することで、各種機能を実現する。具体的には、印刷制御部35は、プリントデータ解析処理部21Aから送信されてきたFAX符号化データを記憶部37に保存し、さらにFAX符号化データを読み出して復号化し、ラスタデータをプリンタ10に送信する。記憶部37は、データを保存可能なメモリである。
【0037】
図示していないが、プリントデータ解析処理部21AはラスタデータをFAX符号化する符号化機能を有しており、プリントデータ転送処理部23AはFAX符号化データを復号化する復号化機能を有している。符号化及び復号化は、MH(Modified Huffman)、MR(Modified READ)、MMR(Modified Modified READ)のような公知の圧縮形式で行われる。JBIG(Joint Bi−lebel Image experts Group)が用いられてもよい。
【0038】
第2複合機3Bの制御部20Bの機能は、前述の通り、第1複合機3Aの制御部20Aの機能と同様である。図では、制御部20B、プリントデータ解析処理部21B、プリントデータ転送処理部23B、受信部29B、ラスタデータ生成部25B、ラスタデータ送信部27B、送信部39のみが示されており、他の機能は説明の便宜上省略されている。
送信部39は、ラスタデータ生成部25Bが生成してさらにFAX符号化されたFAX符号化データを、第1複合機3Aに送信する。なお、送信部39は、ネットワークI/F18Bの機能として実現されていてもよい。
【0039】
この実施形態では、第2複合機3Bのプリントデータ解析処理部21Bは第1複合機3Aのプリントデータ解析処理部21Aより高機能であり、そのことは第1複合機3Aのプリントデータ解析処理部21Aに予め登録されている。
【0040】
(5)制御動作
最初に、図4及び図5を用いて、PDLデータのラスタライズ依頼元である第1複合機3Aの制御部20AのPDLデータ処理制御を説明する。図4及び図5は、PDLデータのラスタライズの依頼元の複合機における制御動作を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS1では、制御部20Aは、例えば第1PC2AからPDLデータが送信されてくるのを待つ。PDLデータが受信されると、プロセスはステップS2に移行する。
ステップS2では、プリントデータの入力開始時に、任意の番号であるPrintJobIDが発生される。
ステップS3では、MFPメモリ書き込み開始オープン処理が実行される。このときに、PrintJobIDが使用される。
ステップS4では、プリントジョブ先頭に記載されているPJL Languageが切り出され、次にGDIに変換され、最後にプリントデータ転送処理部23Aの記憶部37に保存される。以下、書き込まれた内容の一例を示す。
【0042】
<ESC>%−12345X@PJL
@PJL ENTER LANGUAGE=GDI
@PJL SET SECURITY=OFF
@PJL JOB NAME=“Test Document”
@PJL SET OUTPUTPC=MURATEC
@PJL SET SENDEARIP=192.168.1.100
@PJL SET DUBPLEX=OFF
@PJL SET FINISH=OFF
@PJL SET ECOMODE=OFF
@PJL SET OUTBIN=UPPER
@PJL SET PAPER=A4
@PJL ORIENTATION=PORTRAIT
@PJL SET RESOLUTION=600
@PJL SET INTRAY=AUTO
@PJL SET COPIES=1
@PJL SET MEDIATYPE=PLAN
@PJL SET SHIFT=OFF
@PJL SET IMAGEFORMAT=MMR
【0043】
ステップS5では、ラスタデータ生成部25Aが、PDLデータの1頁分である頁単位PDLデータ切り出して、1頁分の頁単位PDLデータをプリントデータ解析処理部21Aの記憶部34Aに保存する。
【0044】
ステップS6では、ラスタデータ生成部25Aは、頁単位PDLデータを読み出して、次に1次解析処理を実行する。1次解析処理とは、PDLデータの解析処理の一部であり、PDLデータの複雑度を解析している。より具体的には、1次解析処理では、頁単位PDLの全体をスキャンして、展開に時間がかかるコマンドがどれだけあるかが判定される。
ステップS7では、判断部31は、1次解析処理の結果に基づいて、当該頁単位PDLデータがイメージデータ変換に時間を要するものであるか否かを判断する。「No」であればプロセスはステップS8に移行し、「Yes」であればプロセスはステップS18に移行する。
解析処理の段階でデータ変換に時間を要するものであると判断されるPDLコマンドには、以下のものがある。
【0045】
1)PDLの中に含まれるラスタイメージデータ
ラスタイメージデータを拡大縮小又は回転させるためには、イメージそのものを操作することになるので、メモリ占有量が多くなり、計算量も多くなる。その結果、処理時間が長くなる。処理時間は、ラスタイメージデータが大きいほど長くなる。さらに、データ圧縮されている場合は、エンコーダの性能が十分でないと処理時間が長くなる。
PCL XL(登録商標)の場合は、以下のようなコマンドがある場合に、データ変換に時間を要すると判断される。
BEGINIMAGE: イメージ群のヘッダのようなコマンド
−SourceWidth 元データのサイズ
−SouceHight
−DestinationSize 貼り付け時のサイズ
READIMAGE: 実際のイメージを渡すコマンド
−CompressMode(圧縮形式には、非圧縮、RLE、JPEG、デルタロウ等がある)
SETPAGEROTATION: 回転のコマンド
【0046】
2)PDLの中に含まれるクリップ(画像切り抜き処理を行うコマンド)
例えば切り抜き形状が正方形であるような単純場合を除いて、図形を別の図形として切り抜く場合には処理量が多くなる。その理由としては、イメージに落とした後に全bitを論理式にかける必要があり、また、頂点情報同士であれば交点の計算が必要になるからである。PCL XL(登録商標)の場合は、以下のようなコマンドがある場合に、データ変換に時間を要すると判断される。
SETPATHTOCLIP: 現在のPathをクリップに指定するコマンド(Pathとは、図形を構成する座標群類似のもの)
【0047】
3)PDLの中に含まれる図面処理のコマンド
例えばPCL XL(登録商標)の場合は、図形をPathという概念で保存しておき、描画命令を受けるとその座標で囲まれた部分を一気に描画する。そして、Pathの指定量が多い場合又は描画にさらに計算が必要なベジェ曲線の指定量が多い場合には、処理に時間がかかる。PCL XL(登録商標)の場合は、以下のようなコマンドがある場合に、データ変換に時間を要すると判断される。
BEZEPATH: ベジェをPathに登録するコマンド(3点で1セットを構成しているが、配列数を指定して大量に指定することができる。その場合に、計算も必要になるので、コマンドが多くなると処理時間が長くなる。)
PAINTPATH: 実際のPathの描画指示
判断部31は、上記のコマンドが所定数ある場合又は上記コマンドに必要な処理時間を考慮することで、当該頁単位PDLデータがイメージデータ変換に時間を要するものであるか否かを判断する。上記コマンドに必要な処理量は予め登録されている。さらに、実際の解析処理によって得られた結果に基づいて各コマンドに必要な処理量を更新していってもよい。
【0048】
ステップS8では、ラスタデータ生成部25Aは、PDLデータの解析処理の残りを実行し、さらに展開処理を行う。つまり、ラスタデータ生成部25Aは、頁単位PDLデータを頁単位イメージデータに変換し、記憶部34Aに保存する。
ステップS9では、S5において保存された頁単位PDLデータが削除される。
【0049】
ステップS10では、頁単位ラスタデータはFAX符号化され、頁単位FAX符号化データは記憶部34Aに保存される。
ステップS11では、ステップS8において保存された頁単位イメージデータが削除される。
【0050】
以下、ステップS8〜ステップS11が実行された場合のステップS12〜S17を説明する。
ステップS12では、頁単位FAX符号化データのデータサイズを確認することで、属性情報であるPJL GDILENGTH(例えば、「@PJL SET GDILENGTH=12043」)が算出される。この属性情報は、頁単位FAX符号化データに付与される。
ステップS13では、ラスタデータ送信部27Aが頁単位FAX符号データをプリントデータ転送処理部23Aに送信し、頁単位FAX符号化データは記憶部37に保存される。FAX符号化データの状態は、PICDATA[・・・画像データ(12043バイトFAX符号)・・・]である。
ステップS14では、ステップS10又はステップS21(後述)で保存されたFAX符号化データが削除される。
ステップS15では、全頁のPDL処理が終了したか否かが判断される。「Yes」の場合にプロセスはステップS16に移行し、「No」の場合にプロセスはステップS5に戻る。
ステップS16では、下記のPJL(「@PJL EOJ,<ESC>%−12345X」)を作成し、記憶部37に書き込む。これにより、ステップS17で、記憶部37への書き込みが終了し、クローズ処理が実行される。
【0051】
次に、ステップS18〜ステップS21の処理を説明する。
ステップS18では、転送部33は、頁単位PDLデータを第2複合機3Bに転送することで、ラスタライズ処理を依頼する。具体的には、頁単位PDLデータは、第1複合機3AのネットワークI/F18A、LAN4、第2複合機3BのネットワークI/F18Bを通って、第2複合機3Bの制御部20Bに転送される。以上より、当該頁単位PDLデータについては、第1複合機3Aではラスタデータ生成処理が行われない。
なお、この処理の前には、第2複合機3Bが使用中か否かがLAN4を経由して確認される。
ステップS19では、ステップS5において保存された頁単位PDLデータが削除される。
ステップS20では、第2複合機3Bから頁単位FAX符号化データが送られてくるのを待つ。FAX符号化データが送られてくると、プロセスはステップS21に移行する。
ステップS21では、受信した頁単位FAX符号化データが記憶部34Aに保存される。具体的には、受信部29Aが上記データ受信して、次に記憶部34Aに保存される。ステップS21が終了すれば、プロセスはステップS12に移行する。
【0052】
次に、ステップS18〜ステップS21が実行された場合のステップS12〜S17を説明する。
ステップS12では、頁単位のFAX符号化データのデータサイズを確認することで、属性情報であるPJL GDILENGTH(例えば、「@PJL SET GDLENGTH=2448612」)が算出される。この属性情報はFAX符号化データに付与される。
ステップS13では、ラスタデータ送信部27AがFAX符号化データをプリントデータ転送処理部23Aに送信し、FAX符号化データは記憶部37に保存する。FAX符号化データの状態は、PICDATA[・・・画像データ(2448612バイトFAX符号)・・・]である。
ステップS14では、ステップS10で保存されたFAX符号化データが削除される。
ステップS15では、全頁のPDL処理が終了したか否かが判断される。「Yes」の場合にプロセスはステップS16に移行し、「No」の場合にプロセスはステップS5に戻る。
ステップS16では、下記のPJL(「@PJL EOJ,<ESC>%−12345X」)を作成し、記憶部37に書き込む。これにより、ステップS17で、記憶部37への書き込みが終了し、クローズ処理が実行される。
【0053】
(6)依頼先複合機の制御動作
図6を用いて、第2複合機3Bがラスタデータ生成の依頼を受信した場合の制御動作を説明する。図6は、PDLデータのラスタライズ依頼先の複合機における制御動作を示すフローチャートである。
【0054】
ステップS31では、第2複合機3Bの制御部20Bは、第1複合機3Aから頁単位PDLデータが送信されてくる(つまり、ラスタライズ依頼がなされる)のを待つ。具体的には、制御部20Bの受信部29Bが頁単位PDLデータを受信する。頁単位PDLデータが受信されると、プロセスはステップS32に移行する。
【0055】
ステップS32では、頁単位PDLデータは、プリントデータ解析処理部21Bの記憶部34Bに保存される。
ステップS33では、ラスタデータ生成部25Bは、頁単位PDLデータを頁単位ラスタデータに変換する。このときにラスタデータ生成部25Bは性能が高いので、複雑な処理を必要とする頁単位PDLデータであっても比較的短時間でラスタライズできる。頁単位ラスタデータは、プリントデータ解析処理部21Bの記憶部34Bに保存される。
ステップS34では、ステップS32において保存された頁単位PDLデータが削除される。
【0056】
ステップS35では、頁単位イメージデータをFAX符号化して、頁単位FAX符号化データを記憶部34Bに保存する。
ステップS36では、ステップS33において保存された頁単位ラスタデータが削除される。
ステップS37では、頁単位FAX符号化データが第1複合機3Aに送信される。具体的には、送信部39が頁単位FAX符号化データをネットワークI/F18Bを介して送出する。
ステップS38では、ステップS35において保存された頁単位FAX符号化データが削除される。
【0057】
なお、第2複合機3Bが第1複合機3Aからのセッションを確立した後は、同一セッション内で頁単位PDLデータの転送と頁単位FAX符号化データの受信とが実行される。具体的には、上記制御はWebSocket Protocolが使用される。
【0058】
(7)プリントデータ転送処理部の制御動作
図7を用いて、プリントデータ転送処理部23Aのプリント制御を説明する。図7は、複合機のプリントデータ転送処理部の制御動作を示すフローチャートである。
ステップS41では、印刷制御部35は、記憶部37にプリントデータがあるか否かを判断する。「No」であればプロセスは終了し、「Yes」であればプロセスはステップS42に移行する。
ステップS42では、印刷制御部35は、記憶部37に書き込まれたデータのPJLを、読み出して、PrintJob条件に応じたプリント制御を設定する。例えば、読み出されるのは、@PJL SET GDILENGTH=xxx,PICDATA[・・・画像データ(xxxxバイトFAX符号)・・・]である。印刷制御部35は、頁単位のFAX符号化データを復号化することで、イメージデータに変換する。
【0059】
ステップS43では、印刷制御部35は、頁単位のイメージデータをプリンタ10に送信することで、印刷を実行する。
ステップS44では、印刷制御部35は、同じPrintJobIDのイメージデータがあるか否かを判断する。具体的には、読み出したデータが「@PJL EOJ,<ESC>%−12345X」の場合である。「Yes」であればプロセスはステップS42に戻り、「No」であればプロセスはステップS45に移行する。
ステップS45では、印刷制御部35は、記憶部37に保存された頁単位FAX符号化データを削除する。ステップS45が終了すれば、プロセスは終了する。
以上に述べたプリントデータ転送処理部23Aの動作において、プリントデータ転送処理部23Aは、第1複合機3Aと第2複合機3Bのいずれがラスタデータを生成していても、イメージデータに対して共通の処理を実行できる。その理由は、第1複合機3Aにおいてラスタデータを生成した場合と第2複合機3Bにおいてラスタデータを生成した場合とで、FAX符号化データには同じ属性情報が付与されているからである。
【0060】
(8)特徴
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0061】
(A)プリントデータ解析処理部21Aは、第1画像形成装置として機能する第1複合機3A(画像形成装置)において、用いられる。第1複合機3Aは、LAN4経由で第1PC2A及び第2複合機3Bに接続され、プリンタ10(プリント部)と、プリンタ10に対してラスタデータを送信することでプリント処理を行うプリントデータ転送処理部23Aとを有している。プリントデータ解析処理部21Aは、ラスタデータ生成部25Aと、判断部31と、転送部33と、受信部29Aと、ラスタデータ送信部27A(送信部)と、を備えている。ラスタデータ生成部25Aは、第1PC2Aから送られてきたPDLデータを頁単位PDLデータに切り出し、頁単位PDLデータについて解析処理及び展開処理を行うことで頁単位ラスタデータを生成する。判断部31は、ラスタデータ生成部25Aが行う解析処理の結果に基づいて、頁単位PDLデータを第1画像形成装置より性能が高いラスタデータ生成部を有する第2画像形成装置としての第2複合機3Bに転送するか否かを判断する。転送部33は、頁単位PDLデータを第2複合機3Bに転送されると判断されれば、頁単位PDLデータを第2複合機3Bに転送する。受信部29Aは、転送後に第2複合機3Bから送られてきた頁単位ラスタデータを受信する。ラスタデータ送信部27Aは、ラスタデータ生成部25Aが生成した頁単位ラスタデータ及び第2複合機3Bから送られてきた頁単位ラスタデータを、プリントデータ転送処理部23Aに送信する。
以上の構成によって、ラスタデータ生成部25Aが行う解析処理の結果に基づいて、頁単位PDLデータが第2複合機3Bに転送すると判断されると、頁単位PDLデータは第2複合機3Bに転送される。そして、第2複合機3Bから送られてきた頁単位ラスタデータが受信されると、当該頁単位ラスタデータはプリントデータ転送処理部23Aに送信される。以上のように、処理能力がより高い第2複合機3Bによってラスタデータが生成されるので、ラスタデータ生成部の機能が高くない画像形成装置に対して展開に時間がかかるPDLデータが送られた場合でも、高速処理が可能になる。言い換えると、第1複合機3AにおいてPDLデータを受信してからプリント処理を行うまでの時間が短縮される。
なお、頁単位PDLデータが第2複合機3Bに転送されると判断される場合とは、例えば、ラスタデータ生成部25Aが解析中にそのまま処理すれば所定時間以上かかると判断した場合である。
また、転送される頁単位PDLデータは、1頁全体であってもよいし、1頁の中の一部であってもよい。
【0062】
(B)ラスタデータ生成部25Aは、図4のステップS6において、頁単位PDLデータがラスタデータ生成を長時間にするコマンドを含むか否かを、展開の前に解析する。その場合、判断部31は、解析結果に基づいて、頁単位PDLデータを第2複合機3Bに転送するか否かを判断する。
この場合、頁単位PDLがラスタデータ生成を長時間にするコマンドを含むか否かが展開の前に解析されるので、時間がかかる頁単位PDLである場合に第1複合機3Aでの展開処理を省略できる。その結果、全体の処理時間が短縮される。
【0063】
(C)ラスタデータ生成部25Aが生成した場合と第2複合機3Bが生成した場合とで、頁単位ラスタデータに付与される属性情報は同一である。
この場合、プリントデータ転送処理部23Aは、展開処理を行った装置に関係なく、受信したラスタデータに対して同一の処理を実行できる。
【0064】
(D)転送部33による頁単位PDLデータの転送と、受信部29Aによる頁単位ラスタデータの受信とは、同一セッションで実行される。
この場合、頁単位PDLデータが転送された後で第2複合機3Bがイメージデータを生成すれば、第2複合機3Bから第1複合機3Aに対して直ちにイメージデータが送信される。したがって、タイムラグが少なくなり、つまり第1複合機3Aが早期にイメージデータを得ることができる。
【0065】
(9)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0066】
(a)前記実施形態では頁単位PDLデータの転送先である複合機は1台だけであったが、本発明はそのような実施形態に限定されない。1つのPDLデータに関して、複数の他の画像形成装置に頁毎のラスタライズ依頼が送信されてもよい。
【0067】
(b)前記実施形態では図4のステップS5において頁単位のPDLデータの一次解析処理は1頁分だけ行われていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。頁単位のPDLデータの一次解析処理は複数頁又は全頁が連続して行われてもよい。
【0068】
(c)前記実施形態では図4のステップS8〜ステップS14及びステップS18〜S21において1頁毎にデータの転送、処理及び返送が行われていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。複数頁のデータ転送、処理及び返送が行われてもよい。なお、複数の頁は複数の複合機に分散して転送されてもよい。
【0069】
(d)前記実施形態ではラスタ生成に時間がかかる頁単位PDLデータのみが他の複合機に転送されていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、ラスタ生成に時間がかからない頁単位PDLデータであっても前後にある頁単位PDLデータが転送されるときには一緒に転送されることがあってもよい。
【0070】
(e)前記実施形態では頁単位PDLの複雑度を判定するために一次解析処理を行っていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、頁単位PDLデータについて通常のラスタ生成処理(解析・展開)をしながら、その途中でラスタデータ生成が長時間になると判断すれば当該頁単位PDLデータを転送するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、ネットワークを介して受信した印刷データを印刷する画像形成装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 ネットワークシステム
2A 第1PC
2B 第2PC
2C 第3PC
3A 第1複合機(画像形成装置)
3B 第2複合機
3C 第3複合機
4 LAN
10 プリンタ(プリント部)
11 スキャナ
12 FAX制御部
13 IFAX制御部
14 操作部
15 表示部
17 モデム
18A ネットワークI/F
18B ネットワークI/F
20A 制御部
20B 制御部
21A プリントデータ解析処理部
21B プリントデータ解析処理部
23A プリントデータ転送処理部
23B プリントデータ転送処理部
25A ラスタデータ生成部
25B ラスタデータ生成部
27A ラスタデータ送信部(送信部)
27B ラスタデータ送信部
29A 受信部
29B 受信部
31 判断部
33 転送部
34A 記憶部
34B 記憶部
35 印刷制御部
37 記憶部
39 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク経由で外部の情報処理装置及び他の画像形成装置に接続され、プリント部と、前記プリント部に対してラスタデータを送信することでプリント処理を行うプリントデータ転送処理部とを有しており、第1画像形成装置として機能する画像形成装置において、
前記情報処理装置から送られてきたPDLデータを頁単位PDLデータに切り出し、前記頁単位PDLデータについて解析処理及び展開処理を行うことで頁単位ラスタデータを生成するラスタデータ生成部と、
前記ラスタデータ生成部が行う解析処理の結果に基づいて、前記頁単位PDLデータを前記第1画像形成装置より性能が高いラスタデータ生成部を有する第2画像形成装置に転送するか否かを判断する判断部と、
前記頁単位PDLデータが前記第2画像形成装置に転送されると判断されれば、前記頁単位PDLデータを前記第2画像形成装置に転送する転送部と、
転送後に前記第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを受信する受信部と、
前記ラスタデータ生成部が生成した頁単位ラスタデータ及び前記第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを、前記プリントデータ転送処理部に送信する送信部と、
を備えたプリントデータ解析処理部。
【請求項2】
前記ラスタデータ生成部は、前記頁単位PDLデータがラスタデータ生成を長時間にさせるコマンドを含むか否かを、展開の前に解析し、
前記判断部は、解析結果に基づいて、前記頁単位PDLデータを前記第2画像形成装置に転送するか否かを判断する、請求項1に記載のプリントデータ解析処理部。
【請求項3】
前記ラスタデータ生成部が生成した場合と前記第2画像形成装置が生成した場合とで、前記頁単位ラスタデータに付与される属性情報は同一になる、請求項1又は2に記載のプリントデータ解析処理部。
【請求項4】
前記転送部による前記頁単位PDLデータの転送と、前記受信部による前記頁単位ラスタデータの受信とは、同一セッションで実行される、請求項1〜3のいずれかに記載のプリントデータ解析処理部。
【請求項5】
ネットワーク経由で外部の情報処理装置及び他の画像形成装置に接続されており、第1画像形成装置として機能する画像形成装置であって、
プリント部と、
ネットワーク経由で外部の情報処理装置からPDLデータを受信する通信部と、
PDLデータを頁単位PDLデータに切り出し、前記頁単位PDLデータについて解析処理及び展開処理を行うことで頁単位ラスタデータを生成するラスタデータ生成部と、前記ラスタデータ生成部が行う解析処理の結果に基づいて、前記頁単位PDLデータを前記第1画像形成装置より性能が高いラスタデータ生成部を有する第2画像形成装置に転送するか否かを判断する判断部と、前記頁単位PDLデータが前記第2画像形成装置に転送されると判断されれば、前記頁単位PDLデータを前記第2画像形成装置に転送する転送部と、転送後に前記第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを受信する受信部と、前記ラスタデータ生成部が生成した頁単位ラスタデータ及び前記第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを前記プリントデータ転送処理部に送信する送信部と、を有するプリントデータ解析処理部と、
前記頁単位ラスタデータを記憶する記憶部と、前記頁単位ラスタデータを前記記憶部から読み出して次に前記プリント部に送信することで印刷を指示する印刷制御部とを有するプリントデータ転送処理部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項6】
前記ラスタデータ生成部は、前記頁単位データがラスタデータ生成を長時間にするコマンドを含むか否かを、展開の前に、解析し、
前記判断部は、解析結果に基づいて、前記頁単位PDLデータを前記第2画像形成装置に転送するか否かを判断する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ラスタデータ生成部が生成した場合と前記第2画像形成装置が生成した場合とで、前記頁単位ラスタデータに付与される属性情報は同一になる、請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転送部による前記頁単位PDLデータの転送と、前記受信部による前記頁単位ラスタデータの受信とは、同一セッションで実行される、請求項5〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
ネットワーク経由で外部の情報処理装置及び他の画像形成装置に接続され、プリント部と、前記プリント部に対してラスタデータを送信することでプリント処理を行うプリントデータ転送処理部とを有しており、第1画像形成装置として機能する画像形成装置において、
前記情報処理装置から送られてきたPDLデータを頁単位PDLデータに切り出し、前記頁単位PDLデータについて解析処理及び展開処理を行うことで頁単位ラスタデータを生成するステップと、
前記解析処理の結果に基づいて、前記頁単位PDLデータを前記第1画像形成装置より性能が高いラスタデータ生成部を有する第2画像形成装置に転送するか否かを判断するステップと、
前記頁単位PDLデータが前記第2画像形成装置に転送されると判断されれば、前記頁単位PDLデータを前記第2画像形成装置に転送するステップと、
転送後に前記第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを受信するステップと、
前記ラスタデータ生成部によって生成された頁単位ラスタデータ及び前記第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを前記プリントデータ転送処理部に送信するステップと、
を備えたプリントデータ解析処理方法。
【請求項10】
頁単位ラスタデータを生成するステップは、前記頁単位データがラスタデータ生成を長時間にするコマンドを含むか否かを、展開の前に解析するステップを含み、
前記判断ステップでは、前記解析の結果に基づいて、前記頁単位PDLデータを前記第2画像形成装置に転送するか否かが判断される、請求項9に記載のプリントデータ解析処理方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のプリントデータ解析処理方法と、
前記ラスタデータ生成ステップにおいて生成された頁単位ラスタデータ及び前記第2画像形成装置から送られてきた頁単位ラスタデータを印刷するステップと、
を備えた画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−153047(P2012−153047A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14898(P2011−14898)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】