説明

プリント作成システム及び撮像システム管理方法

【課題】撮像システムの異常を迅速に検知し、報知することが可能なプリント作成システム及び撮像システム管理方法を提供する。
【解決手段】撮像システム1から送信された画像データに対する補正処理の実施頻度及び/又は実施率が所定値以下か否かを判定し、所定値を上回ったと判定された場合に、該当する撮像システム1に異常を報知する報知情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント作成システム及び撮像システム管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インターネット等の通信網を利用したプリント作成システムが実現されている。このプリント作成システムでは、撮像スタジオ等においてデジタルカメラ等の撮像装置により撮像された画像データを、当該画像データのプリントを注文するオーダ情報とともに写真現像所(ラボ)に送信することで、オーダ情報に応じた画像データのプリントがラボ内に設置されたプリンタ装置から出力されるようになっている。
【0003】
また、上記撮像システムから送信された画像データに対し、色補正、鮮鋭度補正、トリミング補正等の補正処理がラボにおいて施される場合がある。例えば、プリント指示がされた画像データの鮮鋭度が所定値より低い場合には、鮮鋭度補正が施されることで適度な値に補正が行われる。また、パスポート用の顔写真の場合、顔のサイズやトリミング位置等の規定が定められているため、この規格に準拠した形式にトリミング補正等が施されている。従来、顧客から要求された要望を適正にプリント生産の各作業工程に伝えることで、仕上がり品質の向上を図ったシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−179787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像システムにおいて撮影光源やディフューザー、レフレクター、スクリーン等の周辺環境の経時変化や撮像システムにかかる各機能部に設定のズレや障害等の異常が発生した場合、プリント作業を行う際に施される補正処理の回数や頻度が増加するため、その処理にかかる負荷の増大や、適正値からずれたために画像修正の許容範囲が狭まり画質の低下が発生する可能性がある。従来の撮像システムでの異常検知は、撮像スタジオの店員やサービスエンジニア等により実地にて確認が行われているため、異常検知が遅れる可能性があり、正常動作の回復までに時間を要するという問題がある。また、特許文献1の技術では、撮像装置の異常検知に関する記載や思慮はなされておらず、上記した課題を解決することはできない。
【0005】
本発明の課題は、撮像装置の異常を迅速に検知し、報知することが可能なプリント作成システム及び撮像システム管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
撮像手段により撮像された被写体の画像データを送信する送信手段を備えた撮像システムと、前記画像データを受信し、当該画像データのプリント出力を行う画像処理装置を備えた画像作成システムと、中央管理システムと、が相互に通信可能に構成されたプリント作成システムであって、
前記中央管理システムは、
前記撮像システムに関する固有情報と、前記画像作成システムでプリント出力の際に行った補正処理の補正内容を示した補正内容情報と、を対応付けた履歴情報を逐次記憶する記憶手段と、
前記記憶された履歴情報に基づいて、前記補正処理の種別毎に実施頻度及び/又は実施率を算出する算出手段と、
前記算出された実施頻度及び/又は実施率が所定値以下か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記実施頻度及び/又は実施率が所定値を上回ったと判定された場合に、この実施頻度及び/又は実施率に対応付けられた撮像システムに異常を報知する報知情報を送信する報知情報送信手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0007】
更に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記報知情報送信手段は、前記補正内容情報に関する情報を含んだ報知情報を送信することを特徴としている。
【0008】
更に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記撮像システムは、予め定められた撮像条件に基づいて前記撮像手段による撮像を制御する撮像制御手段と、撮像時の撮像条件を示した撮像条件情報を送信する撮像条件情報送信手段と、を備え、
前記記憶手段は、前記撮像条件情報を前記補正内容情報と対応付けて記憶し、
前記報知情報送信手段は、前記所定値を上回ったと判定された実施頻度及び/又は実施率に対応する補正内容情報に対応付けられた撮像条件情報に関する報知情報を送信することを特徴としている。
【0009】
更に、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記補正処理は、少なくとも色補正、鮮鋭度補正、トリミング補正の何れかの処理を含むことを特徴としている。
【0010】
また、上記課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、
撮像手段により撮像された被写体の画像データを送信する送信手段を備えた撮像システムと、前記画像データを受信し、当該画像データのプリント出力を行う画像処理装置を備えた画像作成システムと、中央管理システムと、が相互に通信可能に構成されたプリント作成システムの撮像システム管理方法であって、
前記中央管理システムは、
前記撮像システムに関する固有情報と、前記画像作成システムでプリント出力の際に行った補正処理の補正内容を示した補正内容情報と、を対応付けた履歴情報を逐次記憶する記憶工程と、
前記記憶された履歴情報に基づいて、前記補正処理の種別毎に実施頻度及び/又は実施率を算出する算出工程と、
前記算出された実施頻度及び/又は実施率が所定値以下か否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記実施頻度及び/又は実施率が所定値を上回ったと判定された場合に、この実施頻度及び/又は実施率に対応付けられた撮像システムに異常を報知する報知情報を送信する報知情報送信工程と、
を含むことを特徴としている。
【0011】
更に、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記報知情報送信工程は、前記補正内容情報に間する情報を含んだ報知情報を送信することを特徴としている。
【0012】
更に、請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発明において、
前記撮像システムは、予め定められた撮像条件に基づいて前記撮像手段による撮像を制御する撮像制御工程と、撮像時の撮像条件を示した撮像条件情報を送信する撮像条件情報送信工程と、を含み、
前記記憶工程は、前記撮像条件情報を前記補正内容情報と対応付けて記憶し、
前記報知情報送信工程は、前記所定値を上回ったと判定された実施頻度及び/又は実施率の補正内容情報に対応付けられた撮像条件情報に関する情報を含んだ報知情報を送信することを特徴としている。
【0013】
更に、請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記補正処理は、少なくとも色補正、鮮鋭度補正、トリミング補正の何れかの処理を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1又は5に記載の発明によれば、画像データに対する補正処理の実施頻度及び/又は実施率が所定値を上回った場合に、該当する撮像システムに異常を報知する報知情報を送信し、報知させることが可能であるため、撮像システムの異常を迅速に検知し、報知することができる。これにより、撮像システムの修正を迅速に行うことが可能となる。例えば、撮像システムの特定の装置において、撮像に供する特定の機能部に設定のズレ等が発生した場合、当該撮像システムで撮像された画像データに対し、画像作成システムで最適なプリントとなるように補正処理が頻繁に施されることになるが、経年劣化等により設定のズレ値が修正可能な範囲を超えた場合、補正処理にて補正しきれないような場合も発生する可能性があり、生産性の低下や画質の劣化が発生する可能性がある。そのため、補正処理の実施頻度及び/又は実施率を監視することにより、撮像装置の異常を迅速に検知し、修正できるようになるため生産性の向上や画質の向上を図ることができる。
【0015】
請求項2又は6に記載の発明によれば、補正内容情報に関する情報を含んだ報知情報を撮像システムに送信する。これにより、異常が検知された補正内容にかかる機能部の確認や修正を迅速且つ容易に行うことができるため、プリント作成システムの効率を向上させることができる。
【0016】
請求項3又は7に記載の発明によれば、異常が検知された撮像条件に関する報知情報を撮像システムに送信する。これにより、異常が検知された撮像条件にかかる機能部の確認や修正を迅速且つ容易に行うことができるため、プリント作成システムの効率を向上させることができる。
【0017】
請求項4又は8に記載の発明によれば、少なくとも色補正、鮮鋭度補正、トリミング補正の何れかの補正処理を画像データに施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されないものとする。
【0019】
図1は、プリント作成システム100の構成を概略的に示した図である。
図1に示すとおり、プリント作成システム100は、撮像システム1、画像作成システム2、中央管理システム3を有して構成されており、各システム間はインターネット等のネットワークNを介して相互に通信可能に構成されている。なお、プリント作成システム100を構成する各システムの数量は、図示例に限らないものとする。
【0020】
撮像システム1は、撮像スタジオ等に設けられており、後述する撮像部15により撮像された被写体の画像データを、後述する処理要求情報とともに画像作成システム2に送信することで、画像データに対するプリント注文等を発注することが可能となっている。以下、図2を参照して、撮像システム1の機能構成を説明する。
【0021】
図2に示すとおり、撮像システム1は、制御部11、表示部12、操作入力部13、記憶部14、撮像部15、通信部16等を備えて構成され、各部はバス17により相互にデータが参照可能なように構成されている。また、図示しない撮影光源やレフレクター、スクリーン等の周辺環境も有するものとする。
【0022】
制御部11は、記憶部14に予め記憶された撮像時の露出条件や不図示のストロボ装置によるストロボ条件、カメラ位置や撮像範囲等の撮像条件に基づいて撮像部15を制御し、この撮像により取得された画像データを記憶部14に一時記憶させるとともに、表示部12に表示させる。ここで、画像データには、当該画像データの撮像時に用いた撮像条件を示した撮像条件情報が対応付けて記憶されるようになっている。例えば、生成された画像データがExif規格に準拠したタグを有する場合、このタグ内に撮像条件情報を記憶(付加)する態様としてもよい。
【0023】
また、制御部11は、画像データに対するプリント等の処理要求が操作入力部13を介して入力されると、この処理要求に応じた処理要求情報を生成し、処理要求に係る画像データとともに中央管理システム3を介して画像作成システム2に送信する。なお、本実施の形態では、処理要求として画像データのプリントが要求されるものとするが、これに限らず、例えば、画像データをDCD−RやDVD−R等の記憶メディアに記憶(バックアップ)させる旨の要求がなされることとしてもよい。また、本実施の形態では、処理要求情報及び当該処理要求に係る画像データを、中央管理システム3を介して画像作成システム2に送信する態様としたが、これに限らず、画像作成システム2に直接送信する態様としてもよい。
【0024】
また、制御部11は、中央管理システム3から送信される報知情報を受信すると、この報知信号に応じた画面を表示部12に表示させる。
【0025】
表示部12は、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(liquid crystal display)、有機又は無機ELD(ElectroLuminescence Display)、プラズマディスプレイ等の表示装置から構成されており、制御部11による制御の下、当該制御部11から入力される表示データを画面上に表示する。
【0026】
操作入力部13は、文字入力キー,数字入力キーその他各種機能に対応付けられたキーを備えたキーボード、マウス等を含み、キー操作等により押下されたキーに対応する押下信号を制御部11に出力する。なお、操作入力部13は、表示部12と一体的にタッチパネルを構成する態様としてもよい。
【0027】
記憶部14は、磁気的、光学的記憶媒体、半導体等の不揮発性メモリ等から構成されており、撮像システム1に対応する各種制御プログラム、これらの制御プラグラムに用いられる設定データ及びこれらの制御プログラムで処理されたデータ等を記憶する。制御プログラムは、制御部11が読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、制御部11は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行することで各種機能を実現する。
【0028】
撮像部15は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置であり、被写体の撮像を行った後に、この被写体の画像データを制御部11の制御により、表示部12に表示したり、記憶部14に記憶させる。なお、撮像部15は、バス17を介して画像データを転送する態様としてもよいし、マイクロドライブ、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメディアカード等の記憶媒体を介して転送する態様としてもよい。
【0029】
通信部16は、ネットワークNに接続された伝送媒体に接続可能なインターフェイスである。通信部16は、モデム又はターミナルアダプタ等によって構成され、電話回線、ISDN回線、無線通信回線、専用線、CATV回線等の通信回線を介して外部機器との通信を行うための制御を行う。なお、通信部16には、各撮像システム1に固有のMACアドレスやIPアドレス等のアドレス情報が予め設定されているものとし、当該通信部16を介して送信される各種情報は、このアドレス情報がヘッダ部等に付加された状態で送信されるものとする。
【0030】
なお、上記した機能部による各機能は、単一のコンピュータ(情報処理装置)内で実現させる態様としてもよいし、一又は複数の機能単位で分離し、LAN等のネットワークを介して相互に通信可能に構成された複数台のコンピュータに、夫々の機能を実現させる態様としてもよい。
【0031】
例えば、図3に示すように、デジタルカメラ等の撮像装置411(撮像部15)がIEEE1394やUSB(Universal Serial Bus)等を介して接続された撮影用PC(Personal Computer)41と、被写体又は発注主に対して撮影した画像確認を行うための表示装置421(表示部12)や注文作成を行うための操作入力装置422(操作入力部13)を備えたプレゼンテーション用PC42、画像データや処理要求情報を記憶するためのストレージサーバ43(記憶部14)、顧客情報や撮影日、画像データ、処理要求情報を関連付けて記憶、管理するためのデータベースサーバ44(記憶部14)、通信装置45(通信部16)等から撮像システム1を構成することとしてもよい。ここで、制御部11が有する複数の機能は、特定の装置が実現させる態様としてもよいし、複数の装置に分散して実現させる態様としてもよい。なお、撮像システム1を構成する各装置の数量は図示例に限らないものとする。
【0032】
画像作成システム2は、写真現像所(ラボ)等に設けられており、中央管理システム3から送信された画像データに対し、当該画像データとともに送信された処理要求情報に基づいてプリント等の所定の処理を行う。以下、図4を参照して、画像作成システム2の機能構成を説明する。
【0033】
図4に示すとおり、画像作成システム2は、制御部21、表示部22、操作入力部23、記憶部24、プリンタ部25、通信部26等を備えて構成され、各部はバス27により相互にデータが参照可能なように構成されている。
【0034】
制御部21は、中央管理システム3から送信された後述するオーダ情報に含まれた画像データに基づいて当該画像データから画像特性情報と画像構成情報とを取得し、この画像特性情報及び画像構成情報の値と所定の指標値とに基づいて画像データに所定の補正処理を施す。ここで、画像データの特性情報とは、画像データの画像特性を示した情報であって、例えば、画像データの色調、鮮鋭度(シャープネス)、明度、輝度等が挙げられ、これらの画像特性を補正する色調補正、鮮鋭度補正等が夫々施される。また、画像構成情報とは、画像データに含まれる被写体画像領域と該被写体画像領域周辺の周辺画像領域との配置関係や占有率の関係等を示した情報を意味し、これらを補正するトリミング補正が施される。なお、画像特性情報、画像構成情報の取得、該画像特性情報、画像構成情報に応じて施される補正処理は、公知の技術を用いることとしてもよい。また、上記した指標値は、画像データととともに転送された処理要求情報の内容(プリント)及び/又は撮像条件情報の種別に応じた値であることが好ましく、各条件に応じた指標値を記憶部24に予め記憶し、この記憶された指標値を適宜読み出す態様としてもよい。
【0035】
また、制御部21は、画像データに対して施した補正処理の内容を示した補正内容情報を、後述するオーダ情報に含まれたオーダ番号とともに中央管理システム3へと送信する。
【0036】
また、制御部21は、撮像システム1から送信された画像データ又は上記補正処理が施された画像データを、当該画像データとともに送信された処理要求情報に基づいてプリンタ部25を制御し、この画像データをプリント出力する。
【0037】
表示部22は、CRT、LCD、有機又は無機ELD、プラズマディスプレイ等から構成されており、制御部21による制御の下、当該制御部21から入力される表示データを画面上に表示する。
【0038】
操作入力部23は、文字入力キー,数字入力キーその他各種機能に対応付けられたキーを備えたキーボード、マウス等を含み、キー操作等により押下されたキーに対応する押下信号を制御部21に出力する。なお、操作入力部23は、表示部22と一体的にタッチパネルを構成する態様としてもよい。
【0039】
記憶部24は、磁気的、光学的記憶媒体、半導体等の不揮発性メモリ等から構成されており、画像作成システム2に対応する各種制御プログラム、これらの制御プラグラムに用いられる設定データ及びこれらの制御プログラムで処理されたデータ等を記憶する。各種制御プログラムは、制御部21が読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されている。
【0040】
プリンタ部25は、画像データのプリントを行うプリンタ装置であって、制御部21からの指示に応じ、画像データを印刷用紙等にプリントする。
【0041】
通信部26は、ネットワークNに接続された伝送媒体に接続可能なインターフェイスである。通信部26は、モデム又はターミナルアダプタ等によって構成され、電話回線、ISDN回線、無線通信回線、専用線、CATV回線等の通信回線を介して外部機器との通信を行うための制御を行う。
【0042】
なお、上記した機能部による各機能は、単一のコンピュータ(情報処理装置)内で実現させる態様としてもよいし、一又は複数の機能単位で分離し、LAN等のネットワークを介して相互に通信可能に構成された複数台のコンピュータに、夫々の機能を実現させる態様としてもよい。
【0043】
例えば、図5に示すように、画像データをプリントして出力するためのプリンタ装置511(プリンタ部25)を制御するプリンタ制御PC51(制御部21)、画像データの明度、階調やシャープネス等を補正する画像処理を行うための画像処理PC52(制御部21)、オーダ情報や画像データを記憶するためのストレージサーバ53(記憶部24)、画像データ及び処理要求情報からなるオーダ情報を記憶し、管理するためのデータベースサーバ54(記憶部24)、通信装置55(通信部26)等から画像作成システム2を構成することとしてもよい。ここで、制御部21が有する複数の機能は、特定の装置が実現させる態様としてもよいし、複数の装置に分散して実現させる態様としてもよい。なお、画像作成システム2を構成する各装置の数量は図示例に限らないものとする。
【0044】
中央管理システム3は、撮像システム1から送信される画像データ及び処理要求情報に係る注文(オーダ)の履歴を管理し、オーダの実行を依頼するオーダ情報を画像作成システム2へと送信する。以下、図6を参照して、中央管理システム3の機能構成を説明する。
【0045】
図6に示すとおり、中央管理システム3は、制御部31、表示部32、操作入力部33、記憶部34、通信部35等を備えて構成され、各部はバス36により相互にデータが参照可能なように構成されている。
【0046】
制御部31は、撮像システム1から送信された画像データ及び処理要求情報を受け付けると、この画像データ及び処理要求情報の組を管理するためのオーダ番号を発行し、このオーダ番号、画像データ及び処理要求情報をオーダ情報として画像作成システム2へと送信する。以後、制御部31は、オーダ番号に基づいて、撮像システム1から送信された撮像条件情報、処理要求情報、撮像システム1のアドレス情報とを対応付けた履歴情報を記憶部34に逐次記憶することで各オーダに係る処理の履歴を管理する。なお、ネットワークNに複数の画像作成システム2が接続されているような場合には、制御部31は、撮像システム1のアドレス情報や処理要求情報で指示された処理内容に基づいて、複数の画像作成システム2から特定の画像作成システム2を決定し、この決定された画像作成システム2にオーダ情報の送信を行うものとする。
【0047】
また制御部31は、画像作成システム2から送信された補正内容情報及びオーダ番号を受信すると、このオーダ番号に合致するオーダ番号を履歴情報から特定し、該オーダ番号係る撮像条件情報に補正内容情報を対応付けて記憶部34の履歴情報に記憶する。
【0048】
また、制御部31は、記憶部34に記憶された履歴情報に基づいて各撮像システム1(アドレス情報)における、撮像条件(撮像条件情報)毎の補正処理(補正内容情報)の実施頻度及び/又は実施率を算出し、この実施頻度及び/又は実施率が所定値以下か否かを判定する。
【0049】
図7は、制御部31により算出された補正処理の実施頻度及び実施率の一例を示した図である。なおここで、撮像システム「A」、「B」は、プリント作成システム100に接続された各撮像システム1を意味しており、撮像条件「S−1、S−2、S−3」は、撮像条件の種別を意味している。また、補正内容は画像作成システム2において実施された補正処理の種別を意味しており、「C、Y」は色調補正のうち夫々シアン、イエローの色成分を、「S」は鮮鋭度補正を、「T」はトリミング補正を夫々意味しており、各補正量の強度や大きさを「+」、「−」の指数で表している。実施頻度は、各撮像システム1における撮像条件の種別毎に実施された補正内容毎の総数を示しており、実施率は各撮像システム1から送信された撮像条件毎の処理要求情報のうち、画像作成システム2により実施された補正内容の割合を示している。
【0050】
制御部31は、実施頻度及び/又は実施率が所定値(例えば、実施頻度:100、実施率:80%)以下か否かを判定し、実施頻度及び/又は実施率が所定値を上回ると判定した場合に、この実施頻度及び/又は実施率の補正内容情報に関する報知情報を生成し、この報知情報を当該補正内容情報に対応付けられた固有情報の撮像装置に送信する。ここで、生成される報知情報には、所定値を上回ったと判定された実施頻度及び/又は実施率の補正内容情報に対応付けられた撮像条件情報に関する情報が含まれているものとし、例えば、図5において、撮像装置「A」の撮像条件「S−1」、補正内容「C−2」に係る実施頻度及び/又は実施率が所定値を上回ったと判定された場合には、撮像条件「S−1」における「C−2」方向の設定変更を指示する旨の報知情報が生成され、撮像装置「A」に送信される。
【0051】
このように、特定の撮像システム1において、撮像に供する特定の機能部に設定のズレ等の障害が発生した場合、当該撮像システムで撮像された画像データに対し、機能部の不具合を補正するための補正処理が頻繁に施されることになるため、補正処理の実施頻度及び/又は実施率を監視することにより、撮像システム1の異常を迅速に検知することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、実施率を、各撮像システム1から送信された撮像条件毎の処理要求情報のうち、画像作成システム2により実施された補正内容の割合としたが、これに限らず、例えば、各撮像システム1における同一の撮像条件の下、画像作成システム2で施された補正処理の種別毎の割合としてもよい。また、本実施の形態では、実施頻度及び/又は実施率を撮像システム1の異常検出の要素としたが、これに限らず、例えば、補正内容に示された各補正量の強度や大きさを異常検出の要素とし、この補正量の強度や大きさが所定値を超えた場合に、報知情報を生成・送信する態様としてもよい。
【0053】
表示部32は、CRT、LCD、有機又は無機ELD、プラズマディスプレイ等から構成されており、制御部31による制御の下、当該制御部31から入力される表示データを画面上に表示する。
【0054】
操作入力部33は、文字入力キー,数字入力キーその他各種機能に対応付けられたキーを備えたキーボード、マウス等を含み、キー操作等により押下されたキーに対応する押下信号を制御部31に出力する。なお、操作入力部33は、表示部32と一体的にタッチパネルを構成する態様としてもよい。
【0055】
記憶部34は、磁気的、光学的記憶媒体、半導体等の不揮発性メモリ等から構成されており、中央管理システム3に対応する各種制御プログラム、これらの制御プラグラムに用いられる設定データ及びこれらの制御プログラムで処理されたデータ等を記憶する。各種制御プログラムは、制御部31が読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されている。
【0056】
通信部35は、ネットワークNに接続された伝送媒体に接続可能なインターフェイスである。通信部35は、モデム又はターミナルアダプタ等によって構成され、電話回線、ISDN回線、無線通信回線、専用線、CATV回線等の通信回線を介して外部機器との通信を行うための制御を行う。
【0057】
なお、上記した機能部による各機能は、単一のコンピュータ(情報処理装置)内で実現させる態様としてもよいし、一又は複数の機能単位で分離し、LAN等のネットワークを介して相互に通信可能に構成された複数台のコンピュータに、夫々の機能を実現させる態様としてもよい。
【0058】
例えば、図8に示すように、処理要求情報やユーザからの問い合わせに対応するためのWebサーバ61(制御部31)、画像データや処理要求情報(オーダ情報)等を記憶するためのストレージサーバ62(記憶部34)、画像データや処理要求情報(オーダ情報)、顧客情報、履歴情報等を関連付けて記憶するためのデータベースサーバ63(記憶部34)、履歴情報に基づいて補正処理の実施頻度及び/又は実施率を算出し、この実施頻度及び/又は実施率が所定位置いかか否かを判定する管理サーバ64(制御部31)、ユーザからのメールや報知情報を送信するためのメールサーバ65(制御部31)、通信装置66(通信部35)等から中央管理システム3を構成することとしてもよい。ここで、制御部31が有する複数の機能は、特定の装置が実現させる態様としてもよいし、複数の装置に分散して実現させる態様としてもよい。なお、中央管理システム3を構成する各装置の数量は図示例に限らないものとする。
【0059】
以下、上述したプリント作成システム100の動作を説明する。
図9は、撮像システム管理処理の手順を示したラダーチャートである。ここで、ステップS11〜S15は撮像システム1の制御部11により実行される処理を、ステップS21〜S29は画像作成システム2の制御部21により実行される処理を、ステップS31〜S33は中央管理システム3の制御部31により実行される処理を示している。
【0060】
まず、所定の撮像条件の下、撮像部15が制御されて被写体の撮像が行われ、この被写体の画像データが生成される(ステップS11)。次いで、この画像データのプリントを指示する処理要求が操作入力部13を介して入力されると、この処理要求に応じた処理要求情報が生成され(ステップS12)、画像データとともに中央管理システム3へと送信される(ステップS13)。
【0061】
中央管理システム3では、撮像システム1から送信された画像データ及び処理要求情報が受信されると(ステップS21)、オーダ番号が付与されて履歴情報として記憶された後(ステップS22)、このオーダ番号、画像データ及び処理要求情報がオーダ情報として画像作成システム2へと送信される(ステップS23)。
【0062】
画像作成システム2では、中央管理システム3から送信されたオーダ情報が受信されると(ステップS31)、このオーダ情報に含まれた画像データに対してプリント後の画像が最適になるように補正処理が必要に応じて行われ、処理要求情報に応じてテンプレートとの合成等の画像処理がなされた後、この画像データがプリンタ部25によりプリント出力される(ステップS32)。そして、補正処理が行われた場合は補正処理の補正内容を示した補正内容情報がオーダ番号とともに中央管理システム3に送信され(ステップS33)、画像作成システム2の処理は終了する。
【0063】
中央管理システム3では、画像作成システム2から送信された補正内容情報及びオーダ番号が受信されると(ステップS24)、このオーダ番号に基づいて補正内容情報が撮像システム1毎に撮像条件情報に対応付けて記憶部34の履歴情報に記憶(追記)される(ステップS25)。次いで、この記憶された履歴情報に基づいて、補正内容情報で示された補正処理の実施頻度及び/又は実施率が算出され(ステップS26)、この実施頻度及び/又は実施率が所定値以下か否かが判定される(ステップS27)。ここで、実施頻度及び/又は実施率が所定値を上回ったと判定された場合には(ステップS27;No)、この実施頻度及び/又は実施率に対応する補正内容に関する報知情報が生成され(ステップS28)、撮像システム1へと送信された後(ステップS29)、中央管理システム3の処理は終了する。また、ステップS27において、実施頻度及び/又は実施率が所定値以下と判定された場合には(ステップS27;Yes)、中央管理システム3の処理は直ちに終了する。
【0064】
一方、撮像システム1では、中央管理システム3から送信された報知情報が受信されると(ステップS14;Yes)、この報知情報に応じた画面が表示部12に表示されて(ステップS15)、撮像システム1の処理は終了する。また、報知情報が受信されない場合には、撮像システム1の処理は直ちに終了する。
【0065】
以上のように、本実施の形態によれば、画像データに対する補正処理の実施頻度及び/又は実施率が所定値を上回った場合に、該当する撮像システム1に報知情報を送信し、報知することが可能であるため、撮像システム1の異常を迅速に検知し、報知することができる。
また、異常が検知された補正内容や撮像条件にかかる機能部の確認や修正を迅速且つ容易に行うことができるため、撮像システムの効率を向上させることができる。
【0066】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
【0067】
例えば、上記実施の形態では、画像作成システム2と中央管理システム3を個別に設けることとしたが、これに限らず、両システムが行う処理を同一のシステム内で行う態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】プリント作成システム100の構成を概略的に示した図である。
【図2】撮像システム1の機能構成を示した図である。
【図3】撮像システム1の実施形態の一例を示した図である。
【図4】画像作成システム2の機能構成を示した図である。
【図5】画像作成システム2の実施形態の一例を示した図である。
【図6】中央管理システム3の機能構成を示した図である。
【図7】制御部31により算出された補正処理の実施頻度及び実施率の一例を示した図である。
【図8】中央管理システム3の実施形態の一例を示した図である。
【図9】撮像システム管理処理の手順を示したラダーチャートである。
【符号の説明】
【0069】
100 プリント作成システム
1 撮像システム
11 制御部
12 表示部
13 操作入力部
14 記憶部
15 撮像部
16 通信部
17 バス
2 画像作成システム
21 制御部
22 表示部
23 操作入力部
24 記憶部
25 プリンタ部
26 通信部
27 バス
3 中央管理システム
31 制御部
32 表示部
33 操作入力部
34 記憶部
35 通信部
36 バス
41 撮影用PC
411 撮像装置
42 プレゼンテーション用PC
421 表示装置
422 操作入力装置
43 ストレージサーバ
44 データベースサーバ
45 通信装置
51 プリンタ制御PC
511 プリンタ装置
52 画像処理PC
53 ストレージサーバ
54 データベースサーバ
55 通信装置
61 Webサーバ
62 ストレージサーバ
63 データベースサーバ
64 管理サーバ
65 メールサーバ
66 通信装置
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段により撮像された被写体の画像データを送信する送信手段を備えた撮像システムと、前記画像データを受信し、当該画像データのプリント出力を行う画像処理装置を備えた画像作成システムと、中央管理システムと、が相互に通信可能に構成されたプリント作成システムであって、
前記中央管理システムは、
前記撮像システムに関する固有情報と、前記画像作成システムでプリント出力の際に行った補正処理の補正内容を示した補正内容情報と、を対応付けた履歴情報を逐次記憶する記憶手段と、
前記記憶された履歴情報に基づいて、前記補正処理の種別毎に実施頻度及び/又は実施率を算出する算出手段と、
前記算出された実施頻度及び/又は実施率が所定値以下か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記実施頻度及び/又は実施率が所定値を上回ったと判定された場合に、この実施頻度及び/又は実施率に対応付けられた撮像システムに異常を報知する報知情報を送信する報知情報送信手段と、
を備えたことを特徴とするプリント作成システム。
【請求項2】
前記報知情報送信手段は、前記補正内容情報に関する情報を含んだ報知情報を送信することを特徴とする請求項1に記載のプリント作成システム。
【請求項3】
前記撮像システムは、予め定められた撮像条件に基づいて前記撮像手段による撮像を制御する撮像制御手段と、撮像時の撮像条件を示した撮像条件情報を送信する撮像条件情報送信手段と、を備え、
前記記憶手段は、前記撮像条件情報を前記補正内容情報と対応付けて記憶し、
前記報知情報送信手段は、前記所定値を上回ったと判定された実施頻度及び/又は実施率に対応する補正内容情報に対応付けられた撮像条件情報に関する報知情報を送信することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント作成システム。
【請求項4】
前記補正処理は、少なくとも色補正、鮮鋭度補正、トリミング補正の何れかの処理を含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント作成システム。
【請求項5】
撮像手段により撮像された被写体の画像データを送信する送信手段を備えた撮像システムと、前記画像データを受信し、当該画像データのプリント出力を行う画像処理装置を備えた画像作成システムと、中央管理システムと、が相互に通信可能に構成されたプリント作成システムの撮像システム管理方法であって、
前記中央管理システムは、
前記撮像システムに関する固有情報と、前記画像作成システムでプリント出力の際に行った補正処理の補正内容を示した補正内容情報と、を対応付けた履歴情報を逐次記憶する記憶工程と、
前記記憶された履歴情報に基づいて、前記補正処理の種別毎に実施頻度及び/又は実施率を算出する算出工程と、
前記算出された実施頻度及び/又は実施率が所定値以下か否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記実施頻度及び/又は実施率が所定値を上回ったと判定された場合に、この実施頻度及び/又は実施率に対応付けられた撮像システムに異常を報知する報知情報を送信する報知情報送信工程と、
を含むことを特徴とする撮像システム管理方法。
【請求項6】
前記報知情報送信工程は、前記補正内容情報に間する情報を含んだ報知情報を送信することを特徴とする請求項5に記載の撮像システム管理方法。
【請求項7】
前記撮像システムは、予め定められた撮像条件に基づいて前記撮像手段による撮像を制御する撮像制御工程と、撮像時の撮像条件を示した撮像条件情報を送信する撮像条件情報送信工程と、を含み、
前記記憶工程は、前記撮像条件情報を前記補正内容情報と対応付けて記憶し、
前記報知情報送信工程は、前記所定値を上回ったと判定された実施頻度及び/又は実施率の補正内容情報に対応付けられた撮像条件情報に関する情報を含んだ報知情報を送信することを特徴とする請求項5又は6に記載の撮像システム管理方法。
【請求項8】
前記補正処理は、少なくとも色補正、鮮鋭度補正、トリミング補正の何れかの処理を含むことを特徴とする請求項5に記載の撮像システム管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−201905(P2007−201905A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19226(P2006−19226)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】