説明

プリント作成装置

【課題】 電子写真方式等によりプリントされた一枚のプリント用紙を裁断して複数の個々のプリントを得る場合であっても、高精度の裁断処理により奇麗で高品質のプリントを容易に作成可能にする。
【解決手段】 少なくとも電子写真方式を含むプリント方式により複数のプリントPp…を施した一枚のプリント用紙Poを裁断して複数の個々のプリントPp…を作成するプリント作成装置1を構成するに際して、X方向に搬送されたプリント用紙Poを位置決めし、Y方向に裁断する主裁断処理を順次行うことにより中間用紙Pm…を得る主裁断処理手段2と、この主裁断処理手段2から搬送された中間用紙Pm…を位置決めし、X方向に裁断する副裁断処理を順次行うことにより、個々のプリントPp…を得る副裁断処理手段3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式等により複数のプリントを施した一枚のプリント用紙を裁断して複数の個々のプリントを作成するプリント作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式等の印刷機能部により複数のプリントを施した一枚のプリント用紙を得るとともに、得られたプリント用紙を裁断して複数の個々のプリントを作成できるようにしたプリント作成装置としては、特許文献1で開示される写真プリント作成装置が知られている。
【0003】
同文献1に記載される写真プリント作成装置は、1台のプリント装置で何種類ものサイズのプリントを作成可能とし、さらに受像シートの無駄な消費を抑えて、効率良く写真プリントを作成可能とすることを目的としたものであり、具体的には、所定の大きさの像形成領域を有する像形成媒体と、この像形成媒体に画像データに基づいて形成した写真像を形成する手段と、この写真像を受像シートに転写する転写手段とを有する写真プリント作成装置であって、画像サイズ情報を併せ持つ画像データの前記画像サイズ情報に基づいて、合計の画像サイズが前記像形成領域に入り得る複数画像の組合わせを選択する制御手段と、これらの選択された画像に関する画像データを前記写真像形成手段に入力する手段と、長尺の受像紙を前記複数の画像の組合わせに基づいて所定長さに切断して受像シートを形成する受像紙カッタと、前記複数画像の組合わせからなる写真像が転写された受像シートを、各画像毎に切断するシート切断手段とを備えて構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−215944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来のプリント作成装置(写真プリント作成装置)は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0006】
第一に、通常、電子写真方式により一枚のプリントを直接作成する場合、トナーの一部が周辺に飛散したり熱圧着後のプリントを剥離しにくい等の理由により、いわゆる縁無しプリントの作成が容易でないため、縁有りプリントにより作成される。一方、銀塩写真等では縁無しプリントが主流になっている。このため、電子写真方式によりプリントを作成するには、複数のプリントを施した一枚のプリント用紙を得た後、このプリント用紙を裁断して複数の個々のプリントを作成している。このように、電子写真方式によりプリントを作成する場合、印刷機能部のみならず、プリント用紙に対する裁断機能部も重要な要素となるが、印刷機能部に付加される従来の裁断機能部は、奇麗かつ高精度で裁断する観点からは、必ずしも十分な考慮がされているとはいえず、更なる改善の余地があった。
【0007】
第二に、電子写真方式の印刷機能部とプリント用紙の裁断機能部が一体の写真プリント作成装置として構成されるため、全体が高価な専用装置となる。したがって、一体構成されるメリットがある反面、汎用性に欠けるとともに、装置全体が大型化することから裁断機能部は限られたスペースにおける構成やレイアウト構造を強いられ、例えば、直線刃を用いた専用のカッタ機構の搭載を強いられるなど、設計自由度に劣り、結果的にコストアップを招く難点もあった。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したプリント作成装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するため、少なくとも電子写真方式を含むプリント方式により複数のプリントPp…を施した一枚のプリント用紙Poを裁断して複数の個々のプリントPp…を作成するプリント作成装置1を構成するに際して、X方向に搬送されたプリント用紙Poを位置決めし、Y方向に裁断する主裁断処理を順次行うことにより中間用紙Pm…を得る主裁断処理手段2と、この主裁断処理手段2から搬送された中間用紙Pm…を位置決めし、X方向に裁断する副裁断処理を順次行うことにより、個々のプリントPp…を得る副裁断処理手段3と、を備えてなることを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、プリント作成装置1には、印刷装置Mに着脱可能又は装着可能となり、当該印刷装置Mから排出されたプリント用紙Poを主裁断処理手段2まで搬送する導入搬送手段15を設けることができる。なお、プリントPp…には、縁無しの写真プリントを適用することが望ましい。一方、主裁断処理手段2には、サーキュラカッタ刃12r,12srをY方向に移動させてプリント用紙Poを裁断する主裁断処理を行うサーキュラカッタ機構12,12sを用いた主裁断部11,11sを設けることができる。また、主裁断処理手段2は、搬送方向の前後に配し、かつプリント用紙Poを裁断する主裁断処理を行う一対の主裁断部(第一主裁断部11及び第二主裁断部11s)を備えるとともに、第一主裁断部11と第二主裁断部11sは、当該第一主裁断部11と第二主裁断部11sに備える各カッタ刃が対向する位置関係に配して構成できる。他方、副裁断処理手段3には、サーキュラカッタ刃14r,14srをX方向に移動させて中間用紙Pmを裁断する副裁断処理を行うサーキュラカッタ機構14,14sを用いた副裁断部13,13sを設けることができる。また、副裁断処理手段3は、搬送方向の前後に配し、かつ中間用紙Pmを裁断する副裁断処理を行う一対の副裁断部(第一副裁断部13及び第二副裁断部13s)を備えるとともに、第一副裁断部13と第二副裁断部13sは、当該第一副裁断部13と第二副裁断部13sに備える各カッタ刃が対向する位置関係に配して構成できる。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有する本発明に係るプリント作成装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) X方向に搬送されたプリント用紙Poを位置決めし、Y方向に裁断する主裁断処理を順次行うことにより中間用紙Pm…を得る主裁断処理手段2と、この主裁断処理手段2から搬送された中間用紙Pm…を位置決めし、X方向に裁断する副裁断処理を順次行うことにより、個々のプリントPp…を得る副裁断処理手段3とを備えるため、電子写真方式等によりプリントされた一枚のプリント用紙Poを裁断して複数の個々のプリントPp…を得る場合であっても、高精度の裁断処理により奇麗で高品質のプリントPp…を容易に作成することができる。
【0013】
(2) 好適な態様により、印刷装置Mに着脱可能又は装着可能となり、当該印刷装置Mから排出されたプリント用紙Poを主裁断処理手段2まで搬送する導入搬送手段15を設ければ、既存の印刷装置Mに後付けで搭載可能になるとともに、印刷装置Mに装着(又は着脱)する場合にも容易に装着することができる。即ち、既存の印刷装置Mをそのまま生かすことができ、高品質プリントPp…を得るプリント作成システムを容易かつ廉価に構築できるとともに、汎用性の高いプリント作成装置1を得ることができる。また、印刷装置Mに対して別途独立して構成可能なため、設計自由度を高めることができる。
【0014】
(3) 好適な態様により、プリントPp…に、縁無しの写真プリントを適用すれば、奇麗で高品質な縁無しの写真プリントを容易に得ることができ、特に、電子写真方式により縁無しの写真プリントを作成する場合に最適となる。
【0015】
(4) 好適な態様により、主裁断処理手段2に、サーキュラカッタ刃12r,12srをY方向に移動させてプリント用紙Poを裁断する主裁断処理を行うサーキュラカッタ機構12,12sを用いた主裁断部11,11sを設ければ、比較的低コストのカッタ機構により容易に実施できるとともに、コストダウンにも寄与できる。
【0016】
(5) 好適な態様により、主裁断処理手段2に、搬送方向の前後に配し、かつプリント用紙Poを裁断する主裁断処理を行う一対の主裁断部(第一主裁断部11及び第二主裁断部11s)を設けるとともに、第一主裁断部11と第二主裁断部11sを、当該第一主裁断部11と第二主裁断部11sに備える各カッタ刃が対向する位置関係に配して構成すれば、プリント用紙Poの前後で発生する切屑を自然落下により廃棄可能になるため、全ての切屑の廃棄を確実に行うことができるとともに、切屑送りローラ等の専用の廃棄機構等を不要にできる。
【0017】
(6) 好適な態様により、副裁断処理手段3に、サーキュラカッタ刃14r,14srをX方向に移動させて中間用紙Pmを裁断する副裁断処理を行うサーキュラカッタ機構14,14sを用いた副裁断部13,13sを設ければ、比較的低コストのカッタ機構により容易に実施できるとともに、主裁断部11…と同様のカッタ機構の使用により更なるコストダウンにも寄与できる。
【0018】
(7) 好適な態様により、副裁断処理手段3に、搬送方向の前後に配し、かつ中間用紙Pmを裁断する副裁断処理を行う一対の副裁断部(第一副裁断部13及び第二副裁断部13s)を設けるとともに、第一副裁断部13と第二副裁断部13sを、当該第一副裁断部13と第二副裁断部13sに備える各カッタ刃が対向する位置関係に配して構成すれば、中間用紙Pmの前後で発生する切屑を自然落下により廃棄可能になるため、全ての切屑の廃棄を確実に行うことができるとともに、切屑送りローラ等の専用の廃棄機構等を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好適実施形態に係るプリント作成装置の主要部の内部構造を示した模式的平面図、
【図2】同プリント作成装置の主要部の内部構造を示した模式的正面図、
【図3】同プリント作成装置の主要部の内部構造を示した模式的側面図、
【図4】同プリント作成装置に備えるサーキュラカッタ機構の構成図、
【図5】同プリント作成装置に備える搬送路の一部抽出拡大構成図、
【図6】同プリント作成装置における裁断手順を説明する工程説明図、
【図7】同プリント作成装置を印刷装置に装着した状態を含む要部の制御系ブロック構成図、
【図8】同プリント作成装置の動作手順を説明するためのフローチャート、
【図9】同プリント作成装置における変更例に係る主裁断処理手段を模式的に示す平面構成図、
【図10】同主裁断処理手段を模式的に示す正面断面図、
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
まず、本実施形態に係るプリント作成装置1の構成について、図1〜図7を参照して説明する。
【0022】
プリント作成装置1は、全体がハウジング21により覆われ、図2に示すように、底面部21dの一端側に、後述する印刷装置Mから送られるプリント用紙Poが搬入される搬入口22iを有し、また、この底面部21dの一端側に位置する側面部21pの上部にプリントPp…が排出される排出口22eを有するとともに、この反対側の側面部21qの下部には、切屑Por…,Pmr…の廃棄口22rを有する。Rxは、ハウジング21の内部に配した主搬送路を示す。主搬送路Rxは、下方からハウジング21の内部に搬入されたプリント用紙Poを上方に搬入した後、直角方向に湾曲搬送し、さらに、側面部21qの近傍まで水平搬送する機能、即ち、搬入されたプリント用紙PoをX方向へ搬送する機能を備える。この主搬送路Rxは、主搬送駆動部23(図7参照)により駆動される。なお、主搬送路Rxには、所定間隔おきに配した複数の搬送ローラ機構24…を配設するとともに、主搬送路Rxに沿った複数のガイドプレート25…を配設する。
【0023】
一方、X方向に配した主搬送路Rxの中間位置には、主搬送路Rxにより搬送されるプリント用紙Poを裁断する主裁断処理手段2を配設する。主裁断処理手段2は、図4に示す、サーキュラカッタ刃12rをY方向に移動させてプリント用紙Poを裁断する主裁断処理を行うサーキュラカッタ機構12を用いた主裁断部11を備える。例示の主裁断部11(サーキュラカッタ機構12)は、Y方向に沿って配した台座ブロック31と、この台座ブロック31に当接するサーキュラカッタ刃12rと、このサーキュラカッタ刃12rを台座ブロック31に沿って移動させる移動機構部32を備え、この移動機構部32は、サーキュラカッタ刃12rをスライド自在にガイドするガイドスリット部32sと、サーキュラカッタ刃12rを移動させる無端ベルト及び一対の離間したプーリ(ローラ)を含むベルト移動機構32dと、一方のローラを回転駆動する駆動モータ32mを有する主裁断駆動部33を備える。このような主裁断部11を用いれば、比較的低コストのカッタ機構により容易に実施できるとともに、コストダウンにも寄与できる利点がある。なお、仮想線で示す24tは、プリント用紙Poにおける末端の切屑Porを後述する落下口Rxrに落下させるための切屑送りローラを示す。
【0024】
また、主裁断処理手段2は、主裁断部11の手前に配するレジストローラ機構24sを備える。このレジストローラ機構24sによりX方向に搬送されたプリント用紙Poを正確に位置決めすることができ、主裁断部11のサーキュラカッタ刃12rは、レジストローラ機構24sにより位置決めされたプリント用紙Poの正確な位置を裁断することができる。このように、この主裁断処理手段2は、Y方向に裁断する主裁断処理を順次行うことにより後述する中間用紙Pmを得ることができる。なお、図1中、25sはガイドプレートを示す。
【0025】
さらに、主搬送路Rxの終端位置には、終端主ローラ機構24eを配設する。この終端主ローラ機構24eは、図5に示すように、上下に配した一対のローラ、即ち、上ローラ24euと下ローラ24edを有し、この上ローラ24euは、主ローラ昇降部34により昇降させることができる。これにより、上ローラ24euは、下ローラ24edの上面に当接するセット位置Xxsと、下ローラ24edから離間して上方位置となるリリース位置Xxrに選択的に位置することができる。
【0026】
他方、終端主ローラ機構24eの下流側近傍には、主裁断処理手段2から搬送された中間用紙PmをY方向へ移動させる機能を有する副搬送路Ryを配設する。副搬送路Ryには、終端主ローラ機構24eから搬出された中間用紙Pmを位置決めする位置決めプレート35と複数の搬送ローラ機構36…を配設する。この搬送ローラ機構36…は、副搬送駆動部37により駆動される。なお、37dは副搬送駆動部37の回転を複数の搬送ローラ機構36…に伝達する回転伝達機構を示す。また、位置決めプレート35は固定される。さらに、搬送ローラ機構36…は、図5に示すように、上下に配した一対のローラ、即ち、上ローラ36u…と下ローラ36d…を有し、この上ローラ36u…は、副ローラ昇降部38により昇降させることができる。これにより、上ローラ36u…は、下ローラ36d…の上面に当接するセット位置Xysと、下ローラ36d…から離間して上方位置となるリリース位置Xyrに選択的に位置することができる。
【0027】
一方、位置決めプレート35のY方向における下流側近傍には、サーキュラカッタ刃14rをX方向に移動させて中間用紙Pmを裁断するサーキュラカッタ機構14を用いた副裁断部13を配設する。例示の副裁断部13は、上述した主裁断部11に対して、移動ストロークが短い点、配設角度が90〔゜〕異なる点を除いて、主裁断部11と同様に構成する。即ち、X方向に沿って配した台座ブロック39と、この台座ブロック39に当接するサーキュラカッタ刃14rと、このサーキュラカッタ刃14rを台座ブロック39に沿って移動させる移動機構部40を備え、この移動機構部40は、サーキュラカッタ刃14rをスライド自在にガイドするガイドスリット部(不図示)と、サーキュラカッタ刃14rを移動させる無端ベルト及び一対のプーリ(ローラ)を含むベルト移動機構40dと、一方のローラを回転駆動する駆動モータ40mを有する副裁断駆動部41を備える。このような副裁断部14を用いれば、比較的低コストのカッタ機構により容易に実施できるとともに、主裁断部11と同様のカッタ機構の使用により更なるコストダウンに寄与できる利点がある。なお、図示を省略したが、前述した主裁断部11における切屑送りローラ24tと同様の機能を有する切屑送りローラを備えている。
【0028】
この場合、副裁断部13の手前に配した搬送ローラ機構36は、レジストローラ機構36sを構成する。これにより、レジストローラ機構36sと位置決めプレート35は、Y方向に搬送せしめられる中間用紙Pmを正確に位置決めすることができ、副裁断部13のサーキュラカッタ刃14rは、位置決めプレート35及びレジストローラ機構36sにより位置決めされた中間用紙Pmの正確な位置を裁断することができる。したがって、位置決めプレート35と複数の搬送ローラ機構36…を含む副搬送路Ryは、主裁断処理手段2から搬送された中間用紙Pmを位置決めする機能を兼用するとともに、位置決めプレート35,レジストローラ機構36s及び副裁断部13は、主裁断処理手段2から搬送された中間用紙Pmを位置決めし、X方向に裁断する副裁断処理を順次行うことにより、個々のプリントPp…を得る副裁断処理手段3を構成する。
【0029】
他方、副裁断部13の下流側には、副裁断部13から得られた個々のプリントPp…をY方向(及びZ方向)に搬送、即ち、図3に示すように、横U形に湾曲搬送する反転搬送路Rtを配設する。なお、反転搬送路Rtには、所定間隔おきに配した複数の搬送ローラ機構42…,及び反転搬送路Rtに沿った複数のガイドプレート43…を配設するとともに、反転搬送路Rtの中途位置には、この反転搬送路Rtにより搬送される各プリントPp…の裏面に印字処理する裏面印字ユニット44を配設する。また、図2に示すように、反転搬送路Rtの後端近傍には、反転搬送路Rtから搬出されたプリントPp…を水平方向に搬送する排出搬送路Reを配設する。この排出搬送路Reの搬送方向はX方向となるが、前述した主搬送路Rxに対しては反対方向に搬送する。排出搬送路Reは、無端ベルトと一対の離間したプーリ(ローラ)を用いたベルトコンベア45により構成することができ、このベルトコンベア45の後端は、前述した側面部21pに有する排出口22eに臨ませる。これにより、ベルトコンベア45により搬送されたプリントPp…は排出口22eから外部に排出される。なお、46は、昇降移動し、排出口22eから排出される各プリントPp…を受取る複数のトレイ46s…を有するソータユニットを示す。
【0030】
さらに、主搬送路Rx及び副搬送路Ryの下方位置には、主裁断部11により裁断された切屑Por…及び副裁断部13により裁断された切屑Pmr…を搬送し、前述した側面部21qの下部に有する廃棄口22rから外部に廃棄可能なベルトコンベア47を配設する。このため、図1に示すように、主搬送路Rxにおける主裁断部11の下流側近傍には、裁断された切屑Por…のみをベルトコンベア47上に落下可能な落下口Rxrを設けているとともに、副搬送路Ryにおける副裁断部13の下流側近傍には、裁断された切屑Pmr…のみをベルトコンベア47上に落下可能な落下口Ryrを設けている。
【0031】
また、図7は、本実施形態に係るプリント作成装置1の主要部の制御系の構成を示す。51は、プリント作成装置1における各種制御を司るコンピューティング機能を有するプリント作成装置コントローラを示す。このコントローラ51は、CPU及び各種ドライブユニット等のハードウェアを含むコントローラ本体52を備える。コントローラ本体52には、ハードディスク等の記憶部52mを含むとともに、操作部53及び表示部54が付属する。記憶部52mには、少なくとも本実施形態に係るプリント作成装置1における一連の動作を制御するシーケンスプログラムを格納するプログラムエリア52mpを有するとともに、各種データ(データベースを含む)を書込むデータエリア52mdを有する。そして、コントローラ本体52の出力ポートには、前述した主搬送駆動部23,主裁断駆動部33,主ローラ昇降部34,副搬送駆動部37,副裁断駆動部41及び副ローラ昇降部38をそれぞれ接続するとともに、コントローラ本体52のセンサポートには、搬送されるプリント用紙Po,中間用紙Pm,プリントPpの位置を検出する紙センサ等を接続する。
【0032】
次に、本実施形態に係るプリント作成装置1の使用方法及び動作について、図1〜図7を参照しつつ図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0033】
プリント作成装置1は、図7に示すように、装着部61…を用いて印刷装置Mの上方に位置するように取付可能である。例示の印刷装置Mは、電子写真方式を用いたフルカラー印刷部71を内蔵し、高精彩な写真プリントを得ることができる。この印刷装置Mは、側面にプリントの排出口72を有する。したがって、付属のトレイ等は取外した状態にし、プリント作成装置1側には、印刷装置Mの排出口72から排出されるプリント用紙Poを主裁断処理手段2まで搬送する導入搬送手段15を設ける。これにより、排出口72から排出されたプリント用紙Poは、導入搬送手段15によりハウジング21の底面部21dに有する搬入口22iまで搬送されるとともに、搬送されたプリント用紙Poは搬入口22iからプリント作成装置1の内部に搬入される。
【0034】
このように、プリント作成装置1に、印刷装置Mに装着可能となり、当該印刷装置Mから排出されたプリント用紙Poを主裁断処理手段2まで搬送する導入搬送手段15を設ければ、既存の印刷装置Mに後付けで搭載可能になるとともに、印刷装置Mに容易に装着することができる。即ち、既存の印刷装置Mをそのまま生かすことができ、高品質プリントPp…を得るプリント作成システムを容易かつ廉価に構築できるとともに、汎用性の高いプリント作成装置1を得ることができる。また、印刷装置Mに対して別途独立して構成可能なため、設計自由度を高めることができる。特に、プリントPp…に、縁無しの写真プリントを適用すれば、奇麗で高品質な縁無しの写真プリントを容易に得ることができ、特に、電子写真方式により縁無しの写真プリントを作成する場合に最適となる。
【0035】
次に、プリント作成装置1の基本的な動作について説明する。まず、印刷装置Mでは、電子写真方式によりプリント用紙Poが印刷(プリント)され、このプリント用紙Poは、印刷装置Mの排出口72から排出される(ステップS1)。このプリント用紙Poは、図6に示すように、一枚の紙面に、四つ(一般的には複数)のプリントPp,Pp…を施したものである。
【0036】
そして、印刷装置Mから排出されたプリント用紙Poは、導入搬送手段15により搬送され、搬入口22iからプリント作成装置1の内部に搬入され、更に主搬送路Rxにより主裁断処理手段2における主裁断位置まで搬送される(ステップS2)。主裁断処理手段2まで搬送されれば、まず、主裁断部11の手前に配したレジストローラ機構24sによりプリント用紙Poが正確に位置決めされて停止する(ステップS3,S4)。次いで、主裁断部11のサーキュラカッタ刃11rによりY方向に裁断する主裁断処理が行われる(ステップS5)。この場合、プリント用紙Poの前端部の余白が裁断され、裁断された余白部分、即ち、切屑Porは主搬送路Rxに設けた落下口Rxrからベルトコンベア47上に落下し、この切屑Porはベルトコンベア47により搬送されることにより、側面部21q下部の廃棄口22rから外部に廃棄される。
【0037】
次いで、レジストローラ機構24sの回転により、プリント用紙Poは主搬送路Rxを搬送方向へ移動せしめられる(ステップS6,S7)。そして、次の主裁断位置で正確に位置決めされて停止し、主裁断処理によりY方向に裁断される(ステップS8)。これにより、最初の中間用紙(1ピース)Pmが得られる。例示の場合、中間用紙Pmは2ピース分が含まれるため、同様の主裁断処理がもう一回行われる(ステップS9,S6…)。図6に、主裁断処理により得られた中間用紙Pmを示すとともに、主裁断部11により裁断された状態のプリント用紙Poと切屑Porを示す。このように、主裁断処理手段2では、主裁断部11のサーキュラカッタ刃11rによりY方向に裁断する主裁断処理が順次行われる。
【0038】
一方、主裁断処理手段2において得られた中間用紙Pmは、主搬送路Rxにより副裁断処理手段3まで搬送される(ステップS10)。この際、副搬送路Ryにおける搬送ローラ機構36…の上ローラ36u…は、副ローラ昇降部38によりリリース位置Xyrに位置する。中間用紙Pmが副裁断処理手段3まで搬送されれば、位置決めプレート35に当接した位置で停止する(ステップS11,S12)。次いで、搬送ローラ機構36…の上ローラ36u…は、副ローラ昇降部38によりセット位置Xysに変位するとともに、位置決めプレート35の手前に配した終端主ローラ機構24eの上ローラ24euは主ローラ昇降部34によりリリース位置Xxrに変位する。
【0039】
次いで、搬送ローラ機構36…の回転により、中間用紙Pmは副搬送路Ryに沿って搬送直角方向(Y方向)へ移動せしめられる(ステップS13)。そして、最初の副裁断位置で停止し、副裁断処理によりX方向に裁断される(ステップS14,S15)。この際、位置決めプレート35とレジストローラ機構36sにより正確に位置決めされる。また、裁断された中間用紙Pmの余白部分、即ち、切屑Pmrは副搬送路Ryに設けた落下口Ryrからベルトコンベア47上に落下するとともに、落下した切屑Pmrはベルトコンベア47により搬送されることにより、側面部21q下部の廃棄口22rから外部に廃棄される。さらに、搬送ローラ機構36…の回転により、中間用紙Pmが搬送直角方向(Y方向)へ移動せしめられる(ステップS16,S13…)。そして、次の副裁断位置で正確に位置決めされて停止し、副裁断処理によりX方向に裁断される(ステップS14,S15)。これにより、最初のプリントPpが得られ、このプリントPpは反転搬送路Rtにより搬出される(ステップS17)。例示の場合、中間用紙Pmには2枚分のプリントPp,Ppが含まれるため、同様の副裁断処理が更に二回行われる(ステップS18,S13…)。図6に、副裁断処理により得られたプリントPpを示すとともに、副裁断部13により裁断された状態の中間用紙Pmと切屑Pmrを示す。このように、副裁断処理手段3では、副裁断部13のサーキュラカッタ刃14rによりX方向に裁断する副裁断処理が順次行われる。
【0040】
他方、副裁断処理手段3において得られたプリントPp…は、反転搬送路Rtにより搬送され、途中、裏面印字ユニット44によりプリントPp…の裏面に必要な印字が行われる(ステップS19)。この後、プリントPp…は、排出搬送路Reにより排出口22eまで搬送される(ステップS20)。そして、プリントPp…は排出口22から排出され、排出された各プリントPp…は、ソータユニット46における各トレイ46s…に収容される(ステップS21)。
【0041】
よって、このような本実施形態に係るプリント作成装置1によれば、X方向に搬送されたプリント用紙Poを位置決めし、Y方向に裁断する主裁断処理を順次行うことにより中間用紙Pm…を得る主裁断処理手段2と、この主裁断処理手段2から搬送された中間用紙Pm…を位置決めし、X方向に裁断する副裁断処理を順次行うことにより、個々のプリントPp…を得る副裁断処理手段3とを備えて構成したため、電子写真方式によりプリントされた一枚のプリント用紙Poを裁断して複数の個々のプリントPp…を得る場合であっても、高精度の裁断処理により奇麗で高品質のプリントPp…を容易に作成することができる。
【0042】
図9及び図10には、プリント作成装置1における変更例に係る主裁断処理手段2(副裁断処理手段3)を示す。図9及び図10に示す主裁断処理手段2は、搬送方向の前後に配した一対の主裁断部、即ち、第一主裁断部11及び第二主裁断部11sを設けるとともに、第一主裁断部11と第二主裁断部11sを、当該第一主裁断部11と第二主裁断部11sに備える各サーキュラカッタ刃12rと12srが対向する位置関係に配して構成したものである。第一主裁断部11は、図1に示した前述の主裁断部11と同じである。したがって、同一構成の主裁断部11…を二組用意し、一方の主裁断部11を、図1に示した主裁断部11と同じ位置に配して第一主裁断部11とし、かつ他方の主裁断部11を、図9に示すように、前後方向の位置を反転させ、第一主裁断部11の搬送方向前方に近接させて配することにより第二主裁断部11sとして構成できる。また、Rxwは、プリント用紙Poにおける末端の切屑Porを落下させる単一形成した落下口であり、この落下口Rxwは第一主裁断部11と第二主裁断部11sに共用する。その他、第二主裁断部11sにおいて、12sはサーキュラカッタ機構、31sは台座ブロック、33sは主裁断駆動部をそれぞれ示す。
【0043】
以上、主裁断処理手段2について説明したが、副裁断処理手段3も基本的な構成は、主裁断処理手段2と同様に構成できる。図9に示す括弧内の符号は、副裁断処理手段3として構成した場合の符号を示し、13は第一副裁断部、13sは第二副裁断部、14,14sはサーキュラカッタ機構、14r,14srはサーキュラカッタ刃、39,39sは台座ブロック、41,41sは副裁断駆動部、Rywは落下口をそれぞれ示す。その他、図9及び図10において、図1〜図8と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にした。
【0044】
これにより、特に、プリント用紙Poの後端で発生する切屑Porを自然落下により落下口Rxw内に廃棄可能になるため、プリント用紙Poの前後で発生する全ての切屑Por…の廃棄を確実に行うことができるとともに、前述した切屑送りローラ24t等の専用の廃棄機構等を不要にできる。なお、例示の主裁断処理手段2及び副裁断処理手段3には、サーキュラカッタ機構12…,14…を用いた場合を示したが、リニアカッタ刃を備えるリニアカッタ機構を用いる場合でも同様の効果を得ることができる。
【0045】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0046】
例えば、プリント作成装置1は、印刷装置Mに対して装着可能に構成した場合を示したが、必要により着脱可能に構成してもよい。また、プリントPp…には、縁無しの写真プリントを適用して最適であるが、縁有りの写真プリントに適用する場合を排除するものではない。一方、サーキュラカッタ刃11rを移動させてプリント用紙Poを裁断する主裁断部11及びサーキュラカッタ刃14rを移動させて中間用紙Pm…を裁断する副裁断部13における移動機構部の構成として、無端ベルト及び一対の離間したプーリを用いたベルト移動機構を例示したが、ボールねじ機構を用いた移動機構やリニアモータを用いた移動機構等の各種移動機構を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係るプリント作成装置は、例示した電子写真方式の印刷装置に利用して最適であるが、その他、銀塩方式,インクジェット方式,熱転写方式等の各種方式の印刷装置(プリント装置)にも同様に利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1:プリント作成装置,2:主裁断処理手段,3:副裁断処理手段,11:主裁断部(第一主裁断部),11s:主裁断部(第二主裁断部),12:サーキュラカッタ機構,12s:サーキュラカッタ機構,12r:サーキュラカッタ刃,12sr:サーキュラカッタ刃,13:副裁断部(第一副裁断部),13s:副裁断部(第二副裁断部),14:サーキュラカッタ機構,14s:サーキュラカッタ機構,14r:サーキュラカッタ刃,14sr:サーキュラカッタ刃,15:導入搬送手段,Pp…:プリント,Po:プリント用紙,Pm…:中間用紙,M:印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電子写真方式を含むプリント方式により複数のプリントを施した一枚のプリント用紙を得るとともに、得られたプリント用紙を裁断して複数の個々のプリントを作成するプリント作成装置であって、X方向に搬送された前記プリント用紙を位置決めし、Y方向に裁断する主裁断処理を順次行うことにより中間用紙を得る主裁断処理手段と、この主裁断処理手段から搬送された前記中間用紙を位置決めし、X方向に裁断する副裁断処理を順次行うことにより、前記個々のプリントを得る副裁断処理手段と、を備えてなることを特徴とするプリント作成装置。
【請求項2】
印刷装置に着脱可能又は装着可能となり、当該印刷装置から排出された前記プリント用紙を前記主裁断処理手段まで搬送する導入搬送手段を備えることを特徴とする請求項1記載のプリント作成装置。
【請求項3】
前記プリントには、縁無しの写真プリントを適用することを特徴とする請求項1又は2記載のプリント作成装置。
【請求項4】
前記主裁断処理手段は、サーキュラカッタ刃をY方向に移動させて前記プリント用紙を裁断する主裁断処理を行うサーキュラカッタ機構を用いた主裁断部を備えることを特徴とする請求項1,2又は3記載のプリント作成装置。
【請求項5】
前記主裁断処理手段は、搬送方向の前後に配し、かつ前記プリント用紙を裁断する主裁断処理を行う一対の主裁断部(第一主裁断部及び第二主裁断部)を備えるとともに、前記第一主裁断部と前記第二主裁断部は、当該第一主裁断部と第二主裁断部に備える各カッタ刃が対向する位置関係に配してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプリント作成装置。
【請求項6】
前記副裁断処理手段は、サーキュラカッタ刃をX方向に移動させて前記中間用紙を裁断する副裁断処理を行うサーキュラカッタ機構を用いた副裁断部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプリント作成装置。
【請求項7】
前記副裁断処理手段は、搬送方向の前後に配し、かつ前記中間用紙を裁断する副裁断処理を行う一対の副裁断部(第一副裁断部及び第二副裁断部)を備えるとともに、前記第一副裁断部と前記第二副裁断部は、当該第一副裁断部と第二副裁断部に備える各カッタ刃が対向する位置関係に配してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプリント作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−105071(P2013−105071A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249527(P2011−249527)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000214836)長野日本無線株式会社 (140)
【Fターム(参考)】