説明

プリント写真撮像用器具、及びプリント写真撮像用器具セット

【課題】デジタルカメラでのプリント写真の画像データ化をハレーションの発生を防ぎつつ実現するための技術を提供する。
【解決手段】プリント写真撮像用器具は、プリント写真が載置される台板1と、プリント写真の真上に下向きにデジタルカメラDCを固定する機構と、デジタルカメラDCのフラッシュFから出た照明光を2つの方向に反射する反射鏡48Bと、反射鏡48Bで逆向きの2つの水平な方向に反射された照明光を拡散反射する拡散反射部Sとを備えている。拡散反射部Sに当った照明光は拡散反射部Sで拡散反射され、それを照明光として用いてデジタルカメラDCでプリント写真Pを撮像してもハレーションを生じさせないような浅い角度でプリント写真Pに照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント写真の撮像を行なうためのプリント写真撮像用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
銀塩カメラの時代は、写真はプリント後のもの(プリント写真)を、例えばアルバムに貼り付けて保存するのが主流であった。そして、そのようなプリント写真は、例えばその色彩が劣化する。プリント写真の長期保存を可能にするための工夫は種々行なわれているが、それでもプリント写真が劣化するのは止めることができない。
ネガフィルムが存在していれば、再度のプリントにより古いプリント写真を再生することが可能であるが、ネガフィルムが保存されているのは稀である。そのような状況下で、スキャナによりプリント写真を画像データとしてパーソナルコンピュータに取り込むことが行なわれている。その後、パーソナルコンピュータ等で適当な画像処理ソフトを用いてその画像データに画像処理を行なうことによって、劣化したプリント写真の画像データを修正し、元の状態のプリント写真を再生することができる。
もっとも、プリント写真をスキャナにより画像データ化するのは何も劣化したプリント写真の再生を目的とした場合に限られない。嵩張るプリント写真を画像データ化すれば、ハードディスク、SDカード、USBメモリ、ブルーレイディスク等の高密度での情報の記録が可能な安価な記録媒体が溢れている現代において、置き場に困ることの多いプリント写真の収納スペースを小さくすることは簡単である。
【0003】
プリント写真の画像データ化には、上述の如きメリットがある。しかしながら、スキャナがすべての家庭等に存在するわけではないし、仮にスキャナが存在したとしても、プリント写真の画像データ化をスキャナを用いて行なうのは面倒であり、時間が掛る。
【0004】
本願発明者は、そのような事情に鑑み研究を行い、プリント写真を画像データ化するにはデジタルカメラを利用すればよいということに思い至った。デジタルカメラの普及率は非常に高く、また、デジタルカメラを用いれば、スキャナを用いるより簡単に、短時間でプリント写真の画像データ化を実現できる。
【0005】
そこで、本願発明者は、デジタルカメラを用いて、プリント写真の撮像を行なってみた。すると、デジタルカメラを用いてのプリント写真の画像データ化は、簡単ではないということが判った。
デジタルカメラを用いてプリント写真を撮像する場合、現在市販されている殆どのデジタルカメラが備えるフラッシュからの照明光を用いて撮像を行なうことになる。しかしながら、例えば机の上に置いたプリント写真をその直上方向から撮像した場合、フラッシュからの照明光が、プリント写真を構成する艶のある印画紙の表面で反射され、ハレーションが生じてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解消するものであり、デジタルカメラでのプリント写真の画像データ化をハレーションの発生を防ぎつつ実現するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、かかる課題を解決するための発明として、以下のものを提案する。
本願発明は、撮像用のフラッシュ及び撮像用のレンズを備えたデジタルカメラと組合わせて用いられるものであり、所定のプリント写真を前記デジタルカメラで撮像するために用いられる、プリント写真撮像用器具である。
このプリント写真撮像用器具は、前記デジタルカメラを下向きに保持して、前記プリント写真から所定の距離に前記デジタルカメラを位置決めする保持手段と、前記デジタルカメラのフラッシュから下向きに照射された照明光を、略水平の複数の方向に反射する、前記保持手段に保持された前記デジタルカメラの前記フラッシュの下方に位置させられる反射手段と、前記反射手段で反射された照明光を、前記デジタルカメラの下方に配された所定のプリント写真に少なくともその一部が向かうように拡散反射させる拡散反射手段と、を備えており、前記拡散反射手段で拡散反射された前記照明光のうちの前記一部は、前記デジタルカメラの下方に配された所定のプリント写真に、当該照明光を用いて前記デジタルカメラで撮像された前記プリント写真の画像にハレーションを生じさせないような浅い角度で斜め上から照射されるようにされているとともに、前記保持手段に保持された前記デジタルカメラに、前記デジタルカメラのフラッシュの照明光を用いて、前記デジタルカメラの下方に配置された前記プリント写真を撮像させられるようにされている。
このプリント写真撮像用器具は、デジタルカメラが備えるフラッシュからの照明光を用いてプリント写真の撮像を行なうものであるが、下向きに保持されたデジタルカメラのフラッシュからの照明光は、反射手段で略水平の複数の方向に反射され、その先の拡散反射手段に拡散反射された後、デジタルカメラで撮像されたプリント写真がハレーションを起こさないような浅い角度で、カメラの下方に置かれたプリント写真に斜め上から照射されるようにされている。このような構成により、このプリント写真撮像用器具を用いれば、デジタルカメラによるプリント写真の画像データ化を、ハレーションを生じずに行なえるようになる。
拡散反射手段で反射された照明光はプリント写真に、上述したように斜め上から照射される。このとき、拡散反射手段のうちの反射手段からの照明光が最も強く当たる部分で拡散反射されてプリント写真の中心に向かう照明光の入射角は、凡そ30°〜60°程度となっているのが良い。入射角が30°を下回るとプリント写真を撮像した画像にハレーションが生じ易くなり、入射角が60°を上回ると照明光の強度不足が生じ易くなるからである。好ましい入射角は、45°程度、例えば45°±10°である。
なお、拡散反射手段で反射された照明光には、その強さが一定以上であればプリント写真を撮像した画像にハレーションを生じさせるような角度でプリント写真に向かうものが存在する場合があるが、そのような照明光は、結果的にプリント写真を撮像した画像にハレーションが生じないのであれば、本願発明においては無視して構わないものとする。
本願における「拡散反射」は、「平坦でないかざらざらした表面による光の反射を意味し、入射光が色々な角度で反射しているかのように見える現象」を意味するものとする。
【0008】
本願の反射手段は、デジタルカメラのフラッシュから下向きに照射された照明光を、略水平の複数の方向に反射するものとされていれば、その具体的な構成は問わない。もっとも、照明光を反射する場合における光量の低減を防ぐという観点から、反射手段は、照明光を効率よく反射する物、例えば70%内外、或いはそれ以上の反射率で光を反射できる鏡により構成することが好ましい。
反射手段を、照明光を、略水平の複数の方向に反射するものとするのは、複数方向に反射された照明光は、拡散反射手段の複数の場所で(或いは複数の拡散反射手段で)拡散反射されることにより、複数方向からの拡散反射光を照明光として用いることを可能とするので、プリント写真に影が生じる可能性を低減できることを考慮したものである。反射手段を、照明光を、略水平の複数の方向に反射するものとする場合における「複数の方向」は、2以上であれば幾つでもよい。例えば、その半径と高さが同一でその側面が鏡とされている円錐形状の反射手段を、フラッシュの直下に、その軸をフラッシュの光軸と一致させて配することとすれば、照明光は、略水平の無数の方向に反射されることになるし、断面が直角二等辺三角形の三角柱であり直角二等辺三角形の直角を挟む2つの辺を含む側面が鏡とされている反射手段を、フラッシュの直下に、その直角二等辺三角形の斜辺を含む側面をフラッシュの光軸と直行させ、且つフラッシュの光軸の直下に直角二等辺三角形の頂点を含む辺の中点が位置するようにして配置すれば、照明光は、略水平であり互いに逆向きの2つの方向に反射されることになる。
前記反射手段が、前記照明光を、略水平であり互いに逆向きの2つの方向に反射するようになっている場合には、前記拡散反射手段はそれぞれ、2つの方向に反射された前記照明光のうちの一方を拡散反射させるようにすることができる。この場合、プリント写真には、2つの方向、それもプリント写真を挟んで逆向きとなる2つの方向から、拡散反射手段で拡散反射された照明光が照射されることになる。このような条件を充足する照明光を用いてプリント写真を撮像すれば、プリント写真に影は略生じない。
【0009】
拡散反射手段は、上述したように、反射手段で反射された照明光の先に置かれ、反射された照明光を拡散反射させるものである。拡散反射手段は、照明光で反射された照明光の数だけ準備されるのが基本である。例えば、上述の円錐形の反射手段を用いて、反射光を無数の方向に反射するのであれば、拡散反射手段は反射手段を取り囲むような形状、例えば、その内側面が照明光を拡散反射させるようにされた円筒形状とすることができる。
拡散反射手段が、反射手段で反射された照明光を拡散反射させることとしているのは、プリント写真に照射される照明光のムラを低減させるためである。その目的が達成されるのであれば、拡散反射手段はどのようなものであっても構わない。拡散反射手段は、照明光のムラができない程度に光の反射率が低いものがよく、且つ照明光が足りなくならない程度に光の吸収率が低いものが良い。
例えば、拡散反射手段は、必ずしもこの限りではないが、紙とすることができる。拡散反射手段は、必ずしもこの限りではないが、その明度が7以上の色彩とすることができる。拡散反射手段の明度が7以上であれば、光の吸収は抑えられる。この場合の色彩は、無彩色でも有彩色でもよい。
【0010】
上述した反射手段は、例えば、前記保持手段に設けられていてもよい。この場合、前記保持手段には、前記反射手段で反射された前記照明光のうち、前記拡散反射手段に向かわずに直接前記プリント写真に向かう光を遮断する遮断手段が設けられていてもよい。
本願発明では、反射手段、拡散反射手段を経たフラッシュからの照明光が、デジタルカメラの下方に配されたプリント写真に照射される、という構成を基本的に採用している。しかしながら、反射手段で反射された光の一部は、例えば保持手段のどこかで反射され、プリント写真に対して略真上から照射される可能性がある。このような照明光は、プリント写真の画像にハレーションを生じさせる可能性があるが、上述の如き遮断手段があれば、プリント写真の画像にハレーションを生じさせることを防止できることになる。
遮断手段は、例えば、反射手段で反射された照明光が向かう方向に沿って保持手段から伸びる板状体とすることができる。なお、この場合の板状体は、反射手段よりもやや下方の位置に設けるのが好ましい。
本願のプリント写真撮像用器具は、前記反射手段をその内部に収納する筒であり、その両端の開口から、前記反射手段で反射された略水平であり互いに逆向きの2つの照明光が一つずつ出るようにされている筒状体を備えていてもよい。この場合、当該筒状体が、前記遮断手段を兼ねるようにすることができる。筒状体が遮断手段を兼ねるようにするには、筒状体の長さを、拡散反射手段を経ずにプリント写真に対して略真上から照射される照明光がなくなるように設計すればよい。
【0011】
本願発明における前記反射手段は、前記保持手段に保持された前記デジタルカメラの横方向に平行移動できるようにされていてもよい。本願発明によるプリント写真撮像用器具は、その保持手段等と相性の良いデジタルカメラと組合わせて用いることになる可能性が大きいが、同じメーカの同じシリーズ等のデジタルカメラ、或いは同じメーカのあるデジタルカメラの後継機種などの場合、デジタルカメラのフラッシュの位置がデジタルカメラの本体に対して相対的に移動している場合がある。そのような場合であっても、反射手段を上述のように平行移動させられるようにしておけば、デジタルカメラのフラッシュは本体に対して横方向にはずれても縦方向にはずれることが設計上の理由で小さいこともあり、一つのプリント写真撮像用器具で対応できるデジタルカメラの種類を増やせる可能性が高くなる。
なお、上述の筒状体を有するプリント写真撮像用器具の場合であれば、前記筒状体は、前記保持手段に保持された前記デジタルカメラの横方向に平行移動できるようにされていてもよい。
【0012】
本願発明における前記保持手段は、前記デジタルカメラを保持した状態で前記デジタルカメラの横方向に平行移動できるようにされていてもよい。
保持手段で保持されたデジタルカメラでプリント写真を撮像しようとした場合、デジタルカメラの撮像範囲からプリント写真がずれている場合がある。保持手段を平行移動できるようにしておけば、デジタルカメラの位置調整が可能となる。また、上述のように反射手段がデジタルカメラの横方向に移動できるようにされている場合には、それに加えて保持手段を左右方向にずらすことができるようにされていれば、2つの拡散反射手段の略中央に反射手段を置くことが可能となる。これは、2つの拡散反射手段からプリント写真に向かう照明光の強度を同程度にすることにより、プリント写真に影が生じにくくすることに寄与する。
【0013】
本願発明における前記保持手段は、当該保持手段が保持した前記デジタルカメラが備える前記レンズと同軸とされる補助レンズを備えていてもよい。その場合、前記補助レンズは、前記デジタルカメラ自体の設定が遠景又は風景の撮影を行なうようになっている(そのような設定にされている)状態で、前記デジタルカメラで近接撮影を行なえる程度に、当該補助レンズとデジタルカメラのレンズとの合成された焦点距離を短くさせるものとすることができる。
デジタルカメラのフラッシュは、通常、近くよりも遠くを撮像する場合の方が、フラッシュから出る照明光の光量が多くなるようになっている。このフラッシュから出る照明光の光量の増減は、ある距離より近いところを撮像するか否かという撮像距離についての所定の閾値を境に2段階とされている場合、上述の閾値を幾つか設けることにより複数段階とされている場合、閾値を用いることなく撮像対象物までの距離に応じて無段階とされている場合等様々であるが、一般に、遠景又は風景の撮影を行なうようにされている場合には、フラッシュの光量は最大となるようにされている。他方、本願発明のプリント写真撮像用器具を用いてプリント写真の撮像を行う場合、デジタルカメラからプリント写真までの距離は本来であれば遠景又は風景の撮像ではなく、近接撮影をデジタルカメラが行なう程度の距離となり易い(そうでなければ、プリント写真撮像用器具が大型化してしまう。)。ここで、上述の如き補助レンズがあれば、デジタルカメラの設定を遠景又は風景の撮像を行なうようなものとしながら、デジタルカメラに近接撮影程度の短焦点での撮像を行なわせられるようになる。したがって、補助レンズを有するプリント写真撮像用器具によれば、デジタルカメラのフラッシュの光量を大きくした状態でのプリント写真の撮像が可能となる。これは、換言すれば、デジタルカメラのフラッシュから出る照明光の光量を大きくすることと、写真撮像用器具の大きさを小さくさせることを両立させる、ということである。本願発明における写真撮像用器具を用いて写真を撮像する場合におけるデジタルカメラから写真までの距離は、20cm程度から50cm程度、遠くてもせいぜい1m程度を想定している。
なお、補助レンズは一般的にプラスのパワーのレンズである。
【0014】
補助手段、拡散反射手段の素材、形状はどのようなものとしてもよいが、両者はともに、板状とすることができる。
例えば、本願発明のプリント写真撮像用器具は、撮像されるプリント写真をその上に載置する、所定の面の上に置かれる板状の台板と、前記台板の上に位置決めした状態で略垂直に立てられる、略矩形で板状の第1板と、前記台板の上に位置決めした状態で略垂直に立てられる、略矩形で板状の第2板と、前記台板の上に位置決めした状態で略垂直に立てられる、略矩形で板状の第3板と、を備えているものとすることができる。
この場合、前記第2板と前記第3板はその縦方向の一辺を、前記第1板の縦方向の辺のそれぞれに隣接させるように位置決めされることで、前記第1板、前記第2板、及び前記第3板は、全体として平面視で略コの字形状となるようにされているとともに、前記第1板の前記略コの字形状の内側に位置する面に、前記保持手段が取付けられているとともに、前記第2板、及び前記第3板の互いに対向する面の一部はそれぞれ、前記反射手段で反射され、略水平であり互いに逆向きの2つの方向に反射された照明光の一方を拡散反射させる前記拡散反射手段として機能するようにされているようにすることができる。
上述の如き、第1板、第2板、第3板による平面視略コの字形状は、コの字の開放された部分からの撮像対象となるプリント写真の出し入れが容易であるという利点と、その開放された部分以外からの、プリント写真の画像にハレーションを生じさせる外光の侵入防止を行なえる、という点で価値が高い。
【0015】
台板、第1板、第2板、及び第3板を備えるプリント写真撮像用器具は、前記第1板、前記第2板、前記第3板をそれぞれ、前記台板に対して着脱自在に構成することができる。この場合、前記第1板と前記第2板の互いに隣接する辺は、前記第2板を前記第1板に対して重ねられるように折り曲げられるようにして、互いに接続され、且つ前記第1板と前記第3板の互いに隣接する辺は、前記第3板を前記第1板に対して重ねられるように折り曲げられるようにして、互いに接続することができる。
このようにすることで、そもそも板状である台板と、第2板と第3板を折り曲げて第1板と併せて板状にしたものとを重ね合わせることができるようになるため、プリント写真撮像用器具の仕舞寸法を小さくすることができるようになる。
プリント写真撮像用器具の仕舞寸法を更に小さくするには、前記第1板を、その幅方向の中央で分割され、そこで折り畳めるようにすると良い。この場合、前記保持手段の一部は、前記第1板とともに折り畳めるようにし、且つ前記保持手段の残部は、前記保持手段の前記一部に対して着脱自在にすることができる。また、この場合には、分割された前記第1板のそれぞれ、前記第2板、及び前記第3板のそれぞれが略同じ大きさとされており、前記第1板を折り畳むとともに、前記第1板に、前記第2板と前記第3板を折り曲げた場合に、分割された前記第1板、前記第2板、及び前記第3板が分割された前記第1板の大きさに略相当する形状に納められるようにすることができる。
このようにすることで、仕舞時の第1板、第2板、第3板を、分割された第1板の寸法に収められるようになる。なお、上述の保持手段の一部を、仕舞時の第1板に取付けた構成とするのは、第1板に対する保持手段の高さ方向での位置決めを不動のものとするためである。
【0016】
本願発明が前記第1板、前記第2板、及び前記第3板を備える上述のものである場合、それらのうちの少なくとも一つを、紙製とすることができる。もちろんこれらすべてを紙製とすることも可能であるが、前記第1板、前記第2板、及び前記第3板の少なくとも一部に紙を素材として採用することにより、プリント写真撮像用器具の重量を軽くすることができる。
【0017】
本願発明が前記第1板、前記第2板、及び前記第3板を備える上述のものである場合、前記保持手段は、前記第1板の上端近辺に取付けられており、前記第2板、及び前記第3板の互いに対向する面のうちの前記拡散反射手段として機能する部分は、前記第2板及び前記第3板の上方の部分のうち、略上1/3の部分の少なくとも一部とされていてもよい。
保持手段を第1板の上端付近に取付けることにより、第1板の高さを小さくすることができる。この場合、第2板及び第3板の上方の部分のうち、略上1/3の部分の少なくとも一部が拡散反射手段となる。
【0018】
台板、第1板、第2板、及び第3板を備えるプリント写真撮像用器具の場合、前記台板の上側の面、前記第1板の前記保持手段が取付けられている面、前記第2板及び前記第3板の互いに対向する面は、前記第2板、及び前記第3板の拡散反射手段として機能するようにされている部分を除いて、その明度を3以下の色彩とすることができる。この場合の色彩は有彩色と無彩色のいずれでもよい。
このようにすることにより、台板、第1板、第2板、及び第3板の拡散反射手段以外の部分では、照明光(或いは、外部からの光)が反射されることが少なくなるため、プリント写真の画像にハレーションが生じる可能性が小さくなる。
台板、第1板、第2板、及び第3板の拡散反射手段以外の部分の明度を小さくした上述のプリント写真撮像用器具の場合、前記第2板、及び前記第3板の拡散反射手段として機能するようにされている部分の明度を7以上の色彩とすることができる。
【0019】
また、本願出願人は、以上説明したプリント写真撮像用器具と、当該プリント写真撮像用器具との組合わせにより、プリント写真の撮像を行なうカメラとを含んでなる、プリント写真撮像用器具セットを提案する。このプリント写真撮像用器具セットを用いれば、以上で説明したプリント写真撮像用器具が奏する効果を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、この実施形態によるプリント写真撮像用器具は、デジタルカメラと組合わせて用いられるものとなっている。この実施形態で用いられるデジタルカメラは、これには限られないがコンパクトデジタルカメラである。コンパクトデジタルカメラは、その多くが平べったい略直方体形状の筐体を有しており、所定の平面上に下向きに載置した場合の座りが良い。そのような理由で、この実施形態のデジタルカメラはコンパクトカメラとされている。
【0021】
この実施形態のプリント写真撮像用器具は、図1の全体斜視図に示されたように、台板1と、台板1に対して略垂直な状態で着脱を行なえるようにされた立板2とを備えている。立板2は、広い面積の背面板2Aと、それより狭い面積の2枚の側面板2Bを備えている。背面板2Aと、2枚の側面板2Bは、隣接する辺を共有しており、その辺で接続されている。使用時における背面板2Aと側面板2Bは平面視で直行するようにされており、使用時における立板2は全体として、平面視したときにコの字形状となるようにされている。
台板1、立板2はいずれも、必ずしもこの限りではないが、厚紙により構成されている。
【0022】
台板1の構成を説明する。
台板1は、図2に示されたパターンに沿って切り抜かれた厚紙によって形成されている。この厚紙の厚さは全体的に一様であり、略2mmである。なお、この厚紙は光沢がなく、また、その両面の色彩の明度は3以下、好ましくは2以下とされている。この実施形態では、厚紙の両面の色彩は、必ずしもこの限りではないが、明度が略0の艶のない黒色とされている。
台板1を作るためのパターンは、台板中央部11と、台板中央部11に接続された2つの台板折り畳み部12と、台板折り畳み部12に更に接続された2つの台板補強部13とからなる。
台板中央部11、台板折り畳み部12、及び台板補強部13はいずれも、この実施形態では矩形とされている。2つの台板折り畳み部12はいずれも、その一辺が台板中央部11の対向する一辺に接続されている。台板補強部13はいずれも、その一辺が台板中央部11との接続がなされている辺と対になっている台板折り畳み部12の一辺に接続されている。
【0023】
台板折り畳み部12には、略L字形の第1固定孔14と、略矩形の第2固定孔15が設けられている。また、台板補強部13には、略L字形の第1固定孔16と、略矩形の第2固定孔17が設けられている。台板補強部13の第1固定孔16と、第2固定孔17の形状は、各台板補強部13が隣接する台板折り畳み部12と共有する辺を基準として、台板折り畳み部12の第1固定孔14と、第2固定孔15と線対称の関係となるようにされている。
台板1を作るための図2に示したパターンから台板1を作るには、2つの台板補強部13を、それが隣接する台板折り畳み部12と共有する辺で台板折り畳み部12に向けて谷折りし、台板折り畳み部12にその全面を接着する。したがって、最終的な台板1の形状は、台板1を作るための図2に示したパターンから、2つの台板補強部13を除いた矩形となる。
台板折り畳み部12のうち、台板補強部13と接着された部分は、その厚さが2倍になり台板補強部13により補強される。また、台板補強部13の第1固定孔16と、第2固定孔17はそれぞれ、台板折り畳み部12の第1固定孔14と、第2固定孔15に完全に重なり合い、第1固定孔14及び第1固定孔16と、第2固定孔15及び第2固定孔17はともに、一連の孔となる。
なお、この状態で、2つの台板折り畳み部12はともに、この実施形態では、台板中央部11との関係で山折りが可能とされており、山折りすることで台板中央部11に重ねあわせを行なえるようになっている。
【0024】
次に、立板2の構成を説明する。
立板2は、図3に示されたパターンに沿って切り抜かれた厚紙によって形成されている。この厚紙は、必ずしもこの限りではないが、台板1を作るために用いられた厚紙と同じものとされている。つまり、この厚紙は、厚さが略2mm、両面黒色である。ただし、この実施形態の厚紙では、後述する側面上補強部24の背面(図3における奥側の面)の色彩は、その明度が7以上、より好ましくは8以上とされる。より正確には、その色彩は、明度が略9の白色とされている。
立板2を作るためのパターンは、縦方向に走るその中央線を境に左右対称とされた2つの背面部21と、2つの背面部21の上部にそれぞれ接続された帯状の背面補強部22と、背面部21のそれぞれの外側に接続された2つの側面部23と、側面部23のそれぞれの上側に接続された2つの側面上補強部24と、側面部23のそれぞれの外側に接続された2つの側面横補強部25と、を備えてなる。
【0025】
2つの背面部21は略矩形とされている。
2つの背面部21は、隣接する辺(中央線)を共有するようにされているとともに、隣接する辺を境に山折りすることにより、背面部21の背面(図3における奥側の面)同士を当接させられるようにされている。背面部21の外側寄り下方には、下方向に向けて細くなる形状とされた背面脚部26が設けられている。背面脚部26の下端の幅は、図2に示した台板折り畳み部12の第1固定孔14及び台板補強部13の第1固定孔16の図2における横方向の長さと略一致している。
2つの背面部21には、いずれも、縦方向に走る細長い矩形の縦孔27が設けられている。この縦孔27は、中央線を境に左右対称の位置関係にある。
【0026】
2つの側面部23はいずれも略矩形とされている。なお、側面部23は、背面部21と略同じ大きさとされ、且つ台板2の台板中央部11とも略同じ大きさとされている。特に、これらの横幅はいずれも略等しくなっている。
2つの側面部23はいずれも、隣接する背面部21とその一辺を共有するようになっており、その共有する辺で山折り及び谷折りができるようになっている。谷折りをした場合、側面部23は、少なくとも背面部21と直交する位置まで背面部21に対して曲折できるようにされている。山折りをした場合、側面部は、その背面を、隣接する背面部21の背面に当接できるようにされている。
側面部23の内側寄り下方には、下方向に向けて細くなる形状とされた側面第1脚部28が設けられている。側面第1脚部28は、背面脚部26と一連とされている。側面第1脚部28の下端の幅は、図2に示した台板折り畳み部12の第1固定孔14及び台板補強部13の第1固定孔16の図2における縦方向の長さと略一致している。
側面部23の外側寄り下方には、下方向に向けて細くなる形状とされた側面第2脚部29が設けられている。側面第2脚部29の下端の幅は、図2に示した台板折り畳み部12の第2固定孔15及び台板補強部13の第2固定孔17の図2における縦方向の長さと略一致している。
立板2を作るための図3に示したパターンから立板2を作るには、2つの背面補強部22を、それが隣接する背面部21と共有する辺で背面部21に向けて谷折りしてその全面を背面部21の前面に接着するとともに、2つの側面上補強部24をそれが隣接する側面部23に向けて谷折りしてその全面を側面部23の前面に接着するとともに、2つの側面横補強部25をそれが隣接する側面部23に向けて谷折りしてその全面を側面部23の前面に接着する。したがって、最終的な立板2の形状は、立板2を作るための図3に示したパターンから、背面補強部22、側面上補強部24、及び背面横補強部25を除いた形状となる。
この状態における2つの背面部21、及びそれらに接着された背面補強部22が図1における背面板2Aを構成し、この状態における2つの側面部23、及びそれらに接着された側面上補強部24と側面横補強部25が図1における側面板2Bを構成することになる。
側面上補強部24の背面は、上述したように白色とされている。したがって、できあがった立板2のうちの側面板2bのうちの図1に示した状態における対向する面の上側の一定の範囲(側面部23に対して接着された側面上補強部24の背面)は、白色となる。この白色の部分は、そこに当った光を拡散反射することができ、本願発明の拡散反射手段となる。当該部分を、以下拡散反射部と呼ぶこととし、Sの符号を付す。拡散反射部Sは、側面板2Bの使用時における互いに対向する面の上1/3の一部に当たる。拡散反射部Sを、側面板2Bの使用時における互いに対向する面の上1/3のすべてとすることも当然に可能である。
なお、2つの側面部23はいずれも、上述したように、隣接する背面部21と共有するその一辺で背面部21に対して山折りと谷折りができるようになっているので、2つの側面板2Bはともに、背面板2Aに対して、側面部23と背面部21との間に成立した上述の条件と同様の条件を満たすようにしながら、山折りと谷折りを行なえる。
【0027】
図1に示したように、背面板2Aには、保持補助部30が設けられている。保持補助部30を背面板2Aに取付ける際に利用されるのが、背面部21に設けられた、上述の縦孔27である。
保持補助部30の構成と、縦孔27への取付け方を以下説明する。
保持補助部30は、図4に示したようなパターンに沿って切り抜かれた厚紙によって形成されている。この厚紙は、必ずしもこの限りではないが、台板1を作るために用いられた厚紙と同じものとされている。つまり、この厚紙は、厚さが略2mm、両面黒色である。
保持補助部30は、図1に示した状態で背面板2Aに取付けられたときに水平になる水平保持部31と、水平保持部31の両側に設けられた略直角二等辺三角形に構成の取付け部32とを備えている。
水平保持部31は、その中央に、図1に示した取付け状態で前後方向に走る中央線を備えており、その中央線を境に谷折りできるようにされている。水平保持部31を谷折した場合、水平保持部31の中央線を境とした左右の部分は、その表面同士を当接させられるようになっている。水平保持部31には、また、必ずしもこの限りではないがこの実施形態では小判形状とされた覗き孔33が設けられている。覗き孔33は、デジタルカメラがそれを通してプリント写真の撮像を行なえるようにするためのものである。デジタルカメラと保持補助部30との関係については後述する。
取付け部32は、水平保持部31に対して山折り可能となっている。図1に示した状態で取付け部32は、水平保持部31と垂直な角度となっているが、取付け部32はその状態を超えて、水平保持部31に対して当接するまで折り曲げ可能となっている。取付け部32の図4における上側には、帯状の接着部34が設けられている。接着部34の図4における横方向の長さは、背面部21に設けられた縦孔27の縦方向の長さに略一致するようにされている。水平保持部31に対して直角となるようにして取付け部32を折り曲げた後、左右に並んだ縦孔27のそれぞれを貫通させた接着部34は、その状態で取付け部32に対して図1における右方向又は左方向のうちの任意の方向に折り曲げられ、背面部21の裏側の面と当接する面の全面を背面部21の裏側の面に接着されている。そうすることにより、保持補助部30は、背面板2Aに取付けられる。
なお、図1の状態で、水平保持部31の中央線を延長すると、背面板2Aの中央線と交わるようになっている。
【0028】
プリント写真撮像用器具は、また、図5に示した如き、保持部材40を備えている。保持部材40は、保持補助部30との組合わせにより、本願発明の保持手段を成すものであり、後述するデジタルカメラを保持する機能を有するものとされている。
以下、保持部材40の構成を説明する。なお、保持部材40の図5におけるA−A縦断面図を図6に示す。
【0029】
保持部材40は、その大半を厚紙で構成されている。後述する鏡と補助レンズを除き、保持部材40は厚紙で作られている。必ずしもこの限りではないが、保持部材40を構成する厚紙は、台板1を作るために用いられた厚紙と同じものである。
【0030】
保持部材40は、略立方体形状とされている。
保持部材40は、その前後左右をそれぞれ覆う壁部材41A〜41Dを備えている。壁部材41A〜41Dは、図5における上下方向の高さがそれぞれ一致するようにされており、また、いずれも矩形形状とされている。壁部材41A〜41Dは隣接壁部材41A〜41Dとその縦方向の辺で接続され、全体として上下方向を開口とする断面矩形形状の管形状となっている。壁部材41Bと、壁部材41Dとの間隔は、このプリント写真撮像用器具と組合わせて用いることが予定されているデジタルカメラの横幅と略同じになっている。壁部材41Aと、壁部材41Cとの間隔は、このプリント写真撮像用器具と組合わせて用いることが予定されているデジタルカメラの縦の長さよりも大きくされている。
壁部材41A〜41Dの上端よりもやや下方には、載置板42が、壁部材41A〜41Dの下端には底板43が設けられている。載置板42、底板43は、いずれも厚紙でできている。
【0031】
載置板42は、その上にデジタルカメラを載置するためのものである。デジタルカメラは、後述するように下向きに(その正面を載置板42に当接させた状態で)載置板42上に載置される。より詳細には、デジタルカメラは、その上側を図5の奥側に向けた状態で、下向きにして載置板42の上に載置される。保持部材40は後述するようにして背面板2Aに取付けられるが、そのとき載置板42は略水平になるようにされる(この実施形態では、載置板42は少なくとも理論上は水平となる。)。したがって、載置板42に載せられたデジタルカメラは、その真下を撮像できるようになり、載置板42に載せられたデジタルカメラのフラッシュからの照明光は、その真下に向けて照射されることになる。
載置板42は、壁部材41A〜41Dの上端よりもやや下方に取付けられているが、載置板42の表面から壁部材41A〜41Dの上端までの距離は、そこに載置されることが予定されたデジタルカメラの前後方向の厚さに略一致させられている。したがって、載置板42に載置されたデジタルカメラの背面は、壁部材41A〜41Dの上端と略面一となる。
載置板42の、図5における手前側には、厚紙によって作られた直方体形状のスペーサ44が取付けられている。スペーサ44は、載置板42の上に載置されたデジタルカメラの底面と当接するものであり、それによりデジタルカメラの上下方向の位置決めを行うものである。スペーサ44は、壁部材41Bから壁部材41Dまでの間隔の全長に亘って配されている。載置板42の図5における奥側には、左右方向を開口とする断面矩形形状の管形状とされた挟持体45が取付けられている。挟持体45は、載置板42の上に載置されたデジタルカメラの上面と当接するものであり、スペーサ44との間でデジタルカメラを上下方向から挟み込んでデジタルカメラの上下方向での位置決めを行う。挟持体45は、多少の弾性を有するように設計されており、挟持体45とスペーサ44の間に挟まれたデジタルカメラは、その間でしっかりと固定されることになる。上述したように、壁部材41Bと、壁部材41Dとの間隔は、プリント写真撮像用器具と組合わせて用いることが予定されているデジタルカメラの横幅と略同じになっているので、載置板42に載せられたデジタルカメラの横方向の位置は、壁部材41Bと、壁部材41Dにより位置決めされるようになっている。これと併せると、載置板42に載置されたデジタルカメラは、その上下方向、左右方向のいずれについても予定された所定の位置に位置決めされることになる。なお、挟持体45は、その一端が壁部材41Bに当接しているが、その他端が壁部材41Dまで届かないようにされている。これは、挟持体45の他端から壁部材41Dまでの間の空間を露出させておくためである。この実施形態で用いられることが予定されているデジタルカメラは、そのシャッターボタンが上面右寄りにあるため、デジタルカメラが載置板42の上に載置された場合、シャッターボタンが、挟持体45の他端から壁部材41Dまでの間の空間に位置することとなる。その空間を露出させておくことで、ユーザはデジタルカメラのシャッターボタンの操作を行なえることになる。なお、デジタルカメラのシャッターボタンの操作を行なえるような工夫は、挟持体45の長さを上述のような長さとするのみでなく、適当に行えばよい。
【0032】
載置板42には、また、レンズ孔42Aが穿設されている。レンズ孔42Aは、載置板42の上に下向きに置かれたデジタルカメラが、後述するように台板1の上に載せられることになるプリント写真の撮像を行なえるようにするためのものである。この実施形態では、これには限らないがレンズ孔42Aは円形である。レンズ孔42Aの位置は、上述したような位置決めがされた上で載置板42の上に下向きに置かれたデジタルカメラが備えるレンズの位置に対応するようにされており、また、レンズ孔42Aの大きさは、載置板42の上に置かれたデジタルカメラが備えるレンズに掛らないようにされている。
載置板42には、また、フラッシュ孔42Bが穿設されている。フラッシュ孔42Bは、載置板42の上に下向きに置かれたデジタルカメラのフラッシュからの照明光を取込むためのものである。フラッシュ孔42Bは、この実施形態では、これには限らないが矩形である。フラッシュ孔42Bの位置は、上述したような位置決めがされた上で載置板42の上に下向きに置かれたデジタルカメラが備えるフラッシュの位置に対応するようにされており、また、フラッシュ孔42B大きさは、載置板42の上に置かれたデジタルカメラが備えるフラッシュに掛らないようにされている。なお、フラッシュ孔42Bの壁部材41Bと壁部材41Dに垂直な方向の長さは、フラッシュの横幅に対して余裕を取ってある。
【0033】
底板43には、第2レンズ孔43Aが穿設されている。第2レンズ孔43Aは、保持部材40を平面視した場合にレンズ孔42Aと対応する位置に設けられている。第2レンズ孔43Aはこの実施形態では、必ずしもこの限りではないが円形とされている。第2レンズ孔43Aは、デジタルカメラでプリント写真を撮像する場合に、底板43の第2レンズ孔43Aの周囲部分がデジタルカメラの撮像範囲に入り込まないようにされている。
底板43と載置板42の間には、両者を結ぶ仕切り板46が設けられている。仕切り板46は、底板43と載置板42の間の空間のうち、レンズ孔42A及び第2レンズ孔43Aを結ぶ部分を他の部分から仕切るものである。仕切り板46は、4枚の矩形の黒い厚紙でできており、底板43と載置板42の間の空間のうち、レンズ孔42A及び第2レンズ孔43Aを結ぶ部分の周囲を、保持部材40を平面視した場合に矩形に取り囲むように配置されている。このような構成により、載置板42に載置されたデジタルカメラのレンズは、外部に露出している第2レンズ孔43Aから見てかなり奥まったところに位置することになる。それにより、デジタルカメラのレンズに、本来撮像しようとしているプリント写真からの像光以外の光、特に後述するようにしてフラッシュから出た光のうち意図せずデジタルカメラのレンズに向かうことになった光が届かなくなるので、デジタルカメラでのプリント写真の撮像を意図した像光のみで行なえるようになる。
底板43と載置板42の間の仕切り板46で囲まれた空間には、狭い間隔で平行に配された2枚のマウント板46Aが設けられている。この実施形態では、マウント板46Aは、その周囲が仕切り板46に固定されている。マウント板46Aには、円形の孔が穿設されている。マウント板46Aの孔は、デジタルカメラでプリント写真を撮像する場合に、マウント板46Aの孔の周囲部分がデジタルカメラの撮像範囲に入り込まないようにされている。マウント板46Aは、拡大レンズ46Bを支持するためのものである。2枚のマウント板46Aは、図6に示されたような状態で拡大レンズ46Bの周囲を挟持する。
拡大レンズ46Bは、上述のように位置決めした状態で載置板42の上に載置されたデジタルカメラのレンズと同軸となるようにされている。拡大レンズ46Bは、デジタルカメラ自体の設定が遠景又は風景の撮影を行なうようになっている状態で、そのデジタルカメラが近接撮影を行なえる程度に、デジタルカメラのレンズと拡大レンズ46Bの合成された焦点距離が短くなるようにするためのものである。拡大レンズ46Bは、この実施形態ではプラスのパワーを持つ凸レンズである。
【0034】
載置板42のフラッシュ孔42Bの下方には、載置板42の上にデジタルカメラが載置された場合におけるデジタルカメラの横方向に伸びる支持筒47が設けられている。支持筒47は、この実施形態では、厚紙で作られた、断面矩形とされた筒である。支持筒47の両端は壁部材41Bと、壁部材41Dに当接している。壁部材41Bと壁部材41Dの支持筒47の端部と対応する部分には、支持筒47の断面形状と同じ形状の孔が開けられている。支持筒47のフラッシュ孔42Bに対応する部分には、矩形の孔47Aが開けられている。この孔47Aを介して、デジタルカメラのフラッシュから出た照明光は支持筒47の中に入る。
支持筒47には、導光筒48が挿入されている。導光筒48は、この実施形態では、厚紙で作られており、支持筒47に隙間なく挿入することのできる矩形の断面形状とされている。導光筒48は、また、支持筒47に挿入した状態で支持筒47の長さ方向に自由にスライドさせられるようにされている。導光筒48は、支持筒47同様その両端が開放されている。また、導光筒48の両端は、導光筒48の両端を導光筒48の長さ方向に延長した場合に、側面板2Bの拡散反射部Sに当たるようになっている。導光筒48の長さは、壁部材41Bと、壁部材41Dの双方から導光筒48を食み出させることのできるような長さとされている。導光筒48の上面の一部には、矩形の孔48Aが穿設されている。デジタルカメラのフラッシュから出て、フラッシュ孔42B、支持筒47の孔47Aを介して支持筒47の内部に導かれた照明光は、この孔48Aを介して導光筒48の中に入るようにされている。
導光筒48の内部には、反射鏡48Bが設けられている。この実施形態の反射鏡48Bは、図7に示したように、断面が直角二等辺三角形の三角柱形状となっている土台の斜面を鏡にした構造となっている。そして、その三角柱形状の土台の軸の向きは、導光筒48の長さ方向と直交するようにされている。上述したように、デジタルカメラは載置板42の上に下向きに置かれるので、デジタルカメラのフラッシュから出た照明光は、フラッシュ孔42B、支持筒47の孔47A、導光筒48の孔48Aを介して反射鏡48Bに当り、反射鏡48Bで反射されて、導光筒48の2つの開口に向かい、更にはその開口から出てその先にある拡散反射部Sに向かうことになる。つまり、この実施形態では、反射鏡48Bで反射された光は、略水平で且つ逆向きの光となり、拡散反射部Sへ向かう。
なお、導光筒48の内面は、導光筒48内を通過する間の照明光の減衰乃至吸収を防止するために白色とされている。なお、導光筒48の内面には、光の反射率を上げるための適当なコーティングがなされていてもよい。反射鏡48Bで反射され導光筒48の中を通って導光筒48の両端から出る光は当然に、導光筒48の両端に到るまでは下方向に進むことができない。つまり、導光筒48は、拡散反射部Sに向かわずに直接プリント写真の方に向かう照明光を遮断する機能をも有する。
【0035】
保持部材40の壁部材42Cの外側には挟持部49が設けられている。挟持部49は、保持部材40と背面板2Aとの固定をなすものである。この実施形態の挟持部49は、保持部材40を背面板2Aに固定するとともに、背面板2Aに固定された保持部材40を背面板2Aに対して横方向にスライドできるようにされている。このスライド方向は、保持部材40に保持されたデジタルカメラとの関係でいえば、デジタルカメラの横方向に当たる。
挟持部49は、この実施形態では、矩形の厚紙を、図6の断面図に示したような断面略コの字形状に折り曲げたものとされている。挟持部49の隙間に背面板2Aの上端を、保持部材40の底板43の下側の面が保持補助部30の水平保持部31の上側の面に当接するまで押込むことで、保持部材40の背面板2Aへの取付が完了する。このとき、保持部材40の第2レンズ孔43Aは、保持補助部30の水平保持部31が有する覗き孔33から下向きに露出することになる。
【0036】
次に、このプリント写真撮像用器具を用いてプリント写真を撮像する方法について説明する。
このプリント写真撮像用器具でプリント写真を撮像するには、まず、水平な適当な平面の上に台板1を置く。仕舞時の台板1は、台板中央部11に向けて台板折り畳み部12を折り畳んだ状態となっている。2つの台板折り畳み部12を展開し、それらを台板中央部11と面一にしてから、台板1を適当な水平面の上に置く。
【0037】
次いで、台板1の上に、立板2を立てる。仕舞時の立板2は、図8(A)の平面図に示したような略W形状に畳まれている(なお、図8では、保持補助部30の図示を省略した。)。この状態から、図8(B)の状態を経て、立板2を図8(C)の平面視で略コの字形状にする。そうしてから、立板2を台板1の上に立てる。
台板1の台板折り畳み部12に対応した部分にはそれぞれ、第1固定孔14、16が一連になった孔と、第2固定孔15、17が一連になった孔が存在する。第1固定孔14、16が一連になった孔の図1の横方向の部分に背面脚部26を、第1固定孔14、16が一連になった孔の図1の縦方向の部分に側面第1脚部28を、そして第2固定孔15、17が一連になった孔に側面第2脚部29をそれぞれ挿入することにより、台板1の上に立板2が位置決めした状態で立てられる。なお、仕舞時の立板2の中では、保持補助部30が折り畳まれているが、台板1を開くと保持補助部30は図1に示した状態となるので、台板1の上に立板2を立てた後の保持補助部30も図1に示した状態となっている。
【0038】
次に、保持部材40を背面板2Aに取付ける。
かかる取付けは、保持部材40が備える挟持部49の隙間に、背面板2Aの上端を、保持部材40の底板43の下側の面が保持補助部30の水平保持部31の上側の面に当接するまで押込むことで行なう。保持部材40は、この状態で保持補助部30の上に載置された状態となる。この状態の保持部材40は、挟持部49により前後方向の位置決めが行われているものの、左右方向へのスライドが可能となっている。
【0039】
次に、保持部材40にデジタルカメラを取付ける。
この実施形態のデジタルカメラは、この保持部材40に組合わせることが予定されたものとなっている。デジタルカメラは下向きにして、つまり、そのレンズを下向きとして保持部材40に嵌め込まれる。図1でいえば、デジタルカメラの上側が手前に、図5でいえば、カメラの上側が奥に位置することになる。
載置板42に載せられたデジタルカメラの横方向の位置は、壁部材41Bと、壁部材41Dにより位置決めされる。また、デジタルカメラの上下方向の位置は、スペーサ44と挟持体45により位置決めされる。これによりデジタルカメラは、載置板42の上の予定されていた位置に位置決めされる。この状態で、デジタルカメラのレンズはレンズ孔42Aに対応した位置を取り、デジタルカメラのフラッシュはフラッシュ孔42Bに対応した位置を取る。
【0040】
この状態で、ユーザは、デジタルカメラを用いての撮像を行なう。なお、このときのデジタルカメラの設定は、デジタルカメラを保持部材40に取付ける前にその設定がなされても取付けた後にその設定がなされても構わないが、遠景又は風景の撮影を行なうような設定にされている。
プリント写真は、台板1の上のデジタルカメラの真下、より詳細にはデジタルカメラが有するレンズの真下に、プリント写真の表面を上向きにして置かれる。プリント写真の向きは、平面視した場合のその天地が、デジタルカメラの上下と一致するようにする。
その状態でユーザは、普通のデジタルカメラが普通に有するズーム機能を用いて、デジタルカメラのフレーム一杯にプリント写真が入るようにする。この実施形態で用いるようなデジタルカメラには、その背面に例えば液晶で構成されたディスプレイが取付けられているのが通例なので、かかる調整を行なう場合には、ユーザはそのディスプレイに表示された画像を参考にすればよい。デジタルカメラの左右位置がずれているのであれば、ユーザはプリント写真を台板1の上で左右にずらすか、或いはデジタルカメラを保持する保持部材40を背面板2Aに対して左右にずらす。プリント写真の位置がデジタルカメラのフレーム一杯に収まるようになったら、ユーザは、シャッターボタンを押す。シャッターボタンは、この実施形態では、デジタルカメラの上面の右側寄りに設けられているが、シャッターボタンが存在する空間は、挟持体45の図5の右端と壁部材41Dに挟まれた露出された空間となっているので、ユーザがシャッターボタンを操作するに支障はない。なお、上述のズーム機能の操作を行うための操作子は、この実施形態のデジタルカメラではその背面に設けられているため、操作子の操作にも何らの支障がない。
【0041】
ユーザがシャッターボタンを押すと、デジタルカメラのフラッシュが焚かれる。フラッシュは、デジタルカメラが遠景又は風景の撮影を行なうような設定にされているため、そのデジタルカメラが有するフラッシュの強度の中で少なくとも中間よりは強い方、この実施形態では最強となる。フラッシュが照射した光は、フラッシュ孔42B、支持筒47の孔47A、導光筒48の孔48Aを介して導光筒48に入り、導光筒48の中の反射鏡48Bに当る。反射鏡48Bに当った照明光は、反射鏡48Bで反射されて、略水平で且つ逆向きの光となり、導光筒48の2つの開口をそれぞれ通って拡散反射部Sに向かう。導光筒48の中を進む照明光は少なくとも導光筒48の両端から出るまでは下方向に進まないので、拡散反射部Sを介さずに直接プリント写真へ進む光は殆どない。
拡散反射部Sに当った照明光は拡散反射部Sで拡散反射される。拡散反射部Sは、白い紙であるから照明光の吸収は極力抑えられ、また、その表面の微小な凹凸により拡散反射が自然に生じる。拡散反射部Sで照射された照明光は、デジタルカメラで撮像されたプリント写真がハレーションを起こさないような浅い角度で、プリント写真に斜め上から照射される。この状態を、概念的に示したのが図9である。この場合、拡散反射部Sのうちの反射鏡46Bからの光が最も強く当たる部分(反射鏡48Bの2つの斜面部分の中心同士を結ぶ直線を延長したものが拡散反射部Sと交わる点。図9で点Xとして示す。)からプリント写真Pに向かう光の入射角30°〜60°の範囲になるようにされていればよく、より詳細には45°±10°程度の範囲に収まるようにされている。
デジタルカメラDCのフラッシュFから出た照明光lは、反射鏡48Bで反射され、導光筒48の中を通って拡散反射部Sに向かい、拡散反射部Sで拡散反射されてプリント写真Pに向かう。拡散反射部Sでの拡散反射によって照明光の一部はプリント写真Pに向かう方向以外の方向にも向かうことになるが、そのような光は、第2レンズ孔43Aから見てかなり奥まったところに位置するデジタルカメラDCのレンズLには届かないため、デジタルカメラで行なわれるプリント写真Pの撮像に影響はない。
なお、かかる撮像を行なったときに、フラッシュFから出て図1乃至図9における左右の拡散反射部Sに当たった照明光の強度がバランスを逸している場合には、導光筒48を左右にずらしてフラッシュFの真下に反射鏡48Bが位置するように調整する。
【0042】
プリント写真に照射された照明光は、プリント写真の像光となってデジタルカメラのレンズLに向かう。より詳細には、像光は、保持部材40の第2レンズ孔43A、拡大レンズ46B、レンズ孔42Aを介してデジタルカメラのレンズに向かう。その像光により、デジタルカメラでプリント写真の画像が撮像される。デジタルカメラは遠景又は風景の撮影を行なうような設定にされているが、デジタルカメラのレンズと拡大レンズ46Bの合成の焦点が、プリント写真にピントを合せることのできるものとされているため、デジタルカメラでプリント写真を撮像するには支障がない。プリント写真をデジタルカメラで撮像することにより、プリントされたプリント写真がデータ化される。このデータは、例えば、デジタルカメラに内蔵のSDカード等の記録手段などに記録され、その後適当な用途に利用される。
【0043】
プリント写真を撮像し終わったら、そのプリント写真を台板1から除き、次のプリント写真を台板1の上に置く。この作業は、立板2の平面視をした場合におけるコの字の開放された部分から行えば良いので、容易であり、素早く行なうことができる。
データ化しようとするプリント写真がもうなければ、デジタルカメラを保持部材40から外すとともに、保持部材40を立板2から外し、次いで、立板2を台板1から外す。そして、立板2を図8(C)、(B)、(A)の手順で折り畳むとともに、台板1を上述した台板1の展開の際とは逆の手順で折り畳む。折り畳まれた立板2と台板1は、台板1の台板中央部11の大きさに略収まる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態によるプリント写真撮像用器具の保持部材を除いた状態の斜視図。
【図2】図1に示したプリント写真撮像用器具の台板を作るためのパターンを示す図。
【図3】図1に示したプリント写真撮像用器具の立板を作るためのパターンを示す図。
【図4】図1に示したプリント写真撮像用器具の保持補助部を作るためのパターンを示す図。
【図5】本発明の一実施形態で用いられる保持部材の斜視図。
【図6】図5に示した保持部材のA−A断面図。
【図7】図5に示した保持部材に含まれる導光筒の断面図。
【図8】立板の仕舞時から展開時までの状態を示す平面図。
【図9】図1に示したプリント写真撮像用器具の使用時における照明光の振舞いを概念的に示す図。
【符号の説明】
【0045】
1 台板
2 立板
2A 背面板
2B 側面板
11 台板中央部
12 台板折り畳み部
14 第1固定孔
15 第2固定孔
16 第1固定孔
17 第2固定孔
21 背面部
23 側面部
26 背面脚部
28 側面第1脚部
29 側面第2脚部
30 保持補助部
31 水平保持部
40 保持部材
41 壁部材
42 載置板
43 底板
45 挟持体
46B 拡大レンズ
47 支持筒
48 導光筒
48B 反射鏡
49 挟持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像用のフラッシュ及び撮像用のレンズを備えたデジタルカメラと組合わせて用いられるものであり、所定のプリント写真を前記デジタルカメラで撮像するために用いられる、プリント写真撮像用器具であって、
前記デジタルカメラを下向きに保持して、前記プリント写真から所定の距離に前記デジタルカメラを位置決めする保持手段と、
前記デジタルカメラのフラッシュから下向きに照射された照明光を、略水平の複数の方向に反射する、前記保持手段に保持された前記デジタルカメラの前記フラッシュの下方に位置させられる反射手段と、
前記反射手段で反射された照明光を、前記デジタルカメラの下方に配された所定のプリント写真に少なくともその一部が向かうように拡散反射させる拡散反射手段と、
を備えており、
前記拡散反射手段で拡散反射された前記照明光のうちの前記一部は、前記デジタルカメラの下方に配された所定のプリント写真に、当該照明光を用いて前記デジタルカメラで撮像された前記プリント写真の画像にハレーションを生じさせないような浅い角度で斜め上から照射されるようにされているとともに、
前記保持手段に保持された前記デジタルカメラに、前記デジタルカメラのフラッシュの照明光を用いて、前記デジタルカメラの下方に配置された前記プリント写真を撮像させられるようにされている、
プリント写真撮像用器具。
【請求項2】
前記反射手段は、前記照明光を、略水平であり互いに逆向きの2つの方向に反射するようになっているとともに、
前記拡散反射手段はそれぞれ、2つの方向に反射された前記照明光のうちの一方を拡散反射させるようになっている、
請求項1記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項3】
前記拡散反射手段は、その明度が7以上の色彩とされている、
請求項1記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項4】
前記拡散反射手段は、紙である、
請求項3記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項5】
前記反射手段が前記保持手段に設けられているとともに、
前記保持手段には、前記反射手段で反射された前記反射光のうち、前記拡散反射手段に向かわずに直接前記プリント写真に向かう光を遮断する遮断手段が設けられている、
請求項1記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項6】
前記反射手段をその内部に収納する筒であり、その両端の開口から、前記反射手段で反射された略水平であり互いに逆向きの2つの照明光が一つずつ出るようにされている筒状体を備えているとともに、
当該筒状体が、前記遮断手段を兼ねるようになっている、
請求項5記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項7】
前記反射手段は、前記保持手段に保持された前記デジタルカメラの横方向に平行移動できるようにされている、
請求項2記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項8】
前記筒状体は、前記保持手段に保持された前記デジタルカメラの横方向に平行移動できるようにされている、
請求項6記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項9】
前記保持手段は、前記デジタルカメラを保持した状態で前記デジタルカメラの横方向に平行移動できるようにされている、
請求項1、7又は8記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項10】
前記保持手段は、当該保持手段が保持した前記デジタルカメラが備える前記レンズと同軸とされる補助レンズを備えており、
前記補助レンズは、前記デジタルカメラ自体の設定が遠景又は風景の撮影を行なうようになっている状態で、前記デジタルカメラで近接撮影を行なえる程度に、当該補助レンズとデジタルカメラのレンズとの合成された焦点距離を短くさせるようにされている、
請求項1記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項11】
撮像されるプリント写真をその上に載置する、所定の面の上に置かれる板状の台板と、
前記台板の上に位置決めした状態で略垂直に立てられる、略矩形で板状の第1板と、
前記台板の上に位置決めした状態で略垂直に立てられる、略矩形で板状の第2板と、
前記台板の上に位置決めした状態で略垂直に立てられる、略矩形で板状の第3板と、
を備えているとともに、
前記第2板と前記第3板はその縦方向の一辺を、前記第1板の縦方向の辺のそれぞれに隣接させるように位置決めされることで、前記第1板、前記第2板、及び前記第3板は、全体として平面視で略コの字形状となるようにされているとともに、
前記第1板の前記略コの字形状の内側に位置する面に、前記保持手段が取付けられているとともに、
前記第2板、及び前記第3板の互いに対向する面の一部はそれぞれ、前記反射手段で反射され、略水平であり互いに逆向きの2つの方向に反射された照明光の一方を拡散反射させる前記拡散反射手段として機能するようにされている、
請求項2記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項12】
前記第1板、前記第2板、前記第3板はそれぞれ、前記台板に対して着脱自在にされているとともに、
前記第1板と前記第2板の互いに隣接する辺は、前記第2板を前記第1板に対して重ねられるように折り曲げられるようにして、互いに接続され、且つ前記第1板と前記第3板の互いに隣接する辺は、前記第3板を前記第1板に対して重ねられるように折り曲げられるようにして、互いに接続されている、
請求項11記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項13】
前記第1板は、その幅方向の中央で分割され、そこで折り畳めるようにされているとともに、前記保持手段の一部は、前記第1板とともに折り畳めるようにされ、且つ前記保持手段の残部は、前記保持手段の前記一部に対して着脱自在にされているとともに、
分割された前記第1板のそれぞれ、前記第2板、及び前記第3板のそれぞれが略同じ大きさとされており、
前記第1板を折り畳むとともに、前記第1板に、前記第2板と前記第3板を折り曲げた場合に、分割された前記第1板、前記第2板、及び前記第3板が分割された前記第1板の大きさに略相当する形状に納められるようになっている、
請求項12記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項14】
前記第1板、前記第2板、及び前記第3板は、紙製である、
請求項11記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項15】
前記保持手段は、前記第1板の上端近辺に取付けられており、
前記第2板、及び前記第3板の互いに対向する面のうちの前記拡散反射手段として機能する部分は、前記第2板及び前記第3板の上方の部分のうち、略上1/3の部分の少なくとも一部とされている、
請求項12記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項16】
前記台板の上側の面、前記第1板の前記保持手段が取付けられている面、前記第2板及び前記第3板の互いに対向する面は、前記第2板、及び前記第3板の拡散反射手段として機能するようにされている部分を除いて、その明度が3以下の色彩とされている、
請求項11〜15のいずれかに記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項17】
前記第2板、及び前記第3板の拡散反射手段として機能するようにされている部分は、その明度が7以上の色彩とされている、
請求項16記載のプリント写真撮像用器具。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載のプリント写真撮像用器具と、当該プリント写真撮像用器具との組合わせにより、プリント写真の撮像を行なうデジタルカメラとを含んでなる、
プリント写真撮像用器具セット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−139668(P2010−139668A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315075(P2008−315075)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(300053553)スカラ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】