説明

プリント回路基板及びその製造方法

【課題】ビアホールを加工するための工程手続きが簡素化され、コストが低減されたプリント回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ベース基板110を準備する段階と、ベース基板110上にビアホール形成用インクの印刷によりビアホール形成用パターン層を形成する段階と、ビアホール形成用パターン層を含むベース基板110上に絶縁層130を形成する段階と、ビアホール形成用パターン層を除去する段階と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマート機器の発達に伴って、スマート機器の値下がりが加速しており、これとともに、スマート機器の核心部品である多層基板もまた、高性能、低コストが要求されている。
【0003】
多層基板におけるビアホールは層間の通電機能を担当する。
【0004】
通常、前記ビアホールは、COレーザを用いて加工するが、スマート機器の発達に伴いビアホールの数が急激に増加して、ビアホールの加工コストが全体基板の製造コストで占める比重が次第に増加している。
【0005】
そのため、ビアホールの製造工程手続きの簡素化及びコストの減少が要求されるようになった。
【0006】
より詳細に説明すると、以下の特許文献1で開示しているように、ビアホールにはレーザドリルを用いて加工する方法が用いられる。
【0007】
上記レーザドリル加工法は、レーザの出力波長によってCOレーザ、UV(YAG)レーザに分けられる。
【0008】
現在の量産工程においては、一般的にCOレーザを用いて100μm未満のPTH(Plated through hole)、BVH(Blind via hole)を形成している。
【0009】
COレーザドリルは、出力が高く生産性に優れており、設備のメンテナンス費用が少ないという長所がある。このような理由で、50μm以上のビアホールを形成することに一般的に用いているが、50μm未満の微細ビアホールは形成が不可能であり、銅加工が難しいという問題点を有している。
【0010】
一方、UVレーザ加工法は、50μm未満の微細ビアホールの形成及び銅加工は可能であるが、メンテナンス費用が多くかかるという問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国特許10−0674316B(2007.01.18)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためのものであり、本発明は、ビアホールを加工するための工程手続きが簡素化され、コストが低減されたプリント回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施例によるプリント回路基板の製造方法は、ベース基板を準備する段階と、前記ベース基板上に、ビアホール形成用インクの印刷によりビアホール形成用パターン層を形成する段階と、前記ビアホール形成用パターン層を含むベース基板上に絶縁層を形成する段階と、前記ビアホール形成用パターン層を除去する段階と、を含むことができる。
【0014】
ここで、前記ビアホール形成用パターン層を形成する段階において、前記ビアホール形成用インクはワックス材質からなることができる。
【0015】
また、前記ビアホール形成用パターン層を形成する段階において、前記ビアホール形成用インクの印刷はDOD(Drop on Demand)方式でインクを吐出して行うことができる。
【0016】
また、前記ビアホール形成用パターン層を形成する段階は、前記ビアホール形成用パターン層を硬化する段階を含むことができる。
【0017】
また、前記ビアホール形成用パターン層は紫外線の照射により硬化することができる。
【0018】
また、前記ビアホール形成用パターン層を形成する段階は、前記ビアホール形成用インクをDOD(Drop on Demand)方式で吐出し、前記インクが吐出されると同時に前記インクを硬化させる段階、または前記インクが前記ベース基板上に着滴した後、前記インクを硬化させる段階をさらに含むことができる。
【0019】
また、前記ビアホール形成用パターン層を除去する段階は、後硬化(Postcure)またはデスミア(Desmear)工程により前記ビアホール形成用パターン層を除去することができる。
【0020】
また、前記絶縁層を形成する段階において、前記絶縁層の高さは、前記プリント回路基板の厚さ方向を基準に、前記ビアホール形成用パターン層の高さより高く形成することができる。
【0021】
他の本発明の実施例によるプリント回路基板は、ベース基板と、前記ベース基板上にビア用開口部を有する絶縁層と、を含み、ビア用開口部は側壁が凸凹の屈曲状に形成されることができる。
【0022】
ここで、前記ビア用開口部は、ビアホール形成用インクをDOD(Drop on Demand)方式で吐出して形成されることができる。
【0023】
本発明の特徴及び利点は添付図面に基づいた以下の詳細な説明によってさらに明らかになるであろう。
【0024】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に用いられた用語や単語は通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施例によるプリント回路基板及びその製造方法は、ワックスタイプインクをDOD(Drop on Demand)方式で吐出してビア加工のためのパターンを形成するため、マスク製造工程を省略することができ、これにより工程手続きを簡素化し、工程コストを低減させることができるという効果が期待できる。
【0026】
また、本発明の実施例によるプリント回路基板及びその製造方法は、ワックスタイプインクをDOD(Drop on Demand)方式で吐出してビア加工のためのパターンを形成するため、ビア形成の際に現像工程を省略することができ、工程手続きを簡素化し、環境にやさしい方法でビアホールを加工することができるという長所がある。
【0027】
また、本発明の実施例によるプリント回路基板及びその製造方法は、COレーザ装備をはじめビアホール加工のための別途の装備を要しないため、工程コストを低減させることができる。
【0028】
また、本発明の実施例によるプリント回路基板及びその製造方法は、ビアホール形成のためのマスクフィルム整合の手続きまたはCOレーザ加工の手続きを省略することができるため、工程手続きの時間が短縮されるという効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例によるプリント回路基板の構成を示す図面である。
【図2】図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図3】図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図4】図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図5】図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、係わる公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。本明細書において、第1、第2などの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。
【0031】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0032】
プリント回路基板:
【0033】
図1は、本発明の実施例によるプリント回路基板の構成を示す図面である。
【0034】
図1に図示したように、プリント回路基板100は、ベース基板110及びベース基板110上にビア用開口部131を有する絶縁層130を含むことができる。
【0035】
また、ビア用開口部131は、ビアホール形成用インクをDOD(Drop on Demand)方式で吐出して形成されることができる。
【0036】
ここで、前記ビア用開口部131は、側壁が凸凹の屈曲状に形成されることができる。
【0037】
より詳細に説明すると、ビア用開口部131は、ビアホール形成用インクをDOD方式で吐出してビアホール形成用パターン層120を形成し、絶縁層130を形成した後、ビアホール形成用パターン層120を除去して形成される。
【0038】
これにより、ビア用開口部131の側壁は、数回吐出されたインクの形状に従って凸凹の屈曲状に形成される。
【0039】
ここで、ビア用開口部131の側壁が凸凹の屈曲状に形成されるため、凸凹の屈曲状が粗さ(roughness)として機能し、以降に形成されるビア(不図示)と絶縁層130との密着力を向上できるという効果が期待できる。
【0040】
プリント回路基板の製造方法:
【0041】
図2〜図5は、図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0042】
先ず、図2に図示したように、ベース基板110を準備する。
【0043】
前記ベース基板110は、絶縁層に1層以上の内層回路が形成された回路基板であり、プリント回路基板であってもよい。本図面では、説明の便宜上、具体的な内層回路構成は省略して図示したが、当業者であれば、前記ベース基板110として絶縁層に1層以上の回路が形成された通常の回路基板が使用されることができることを十分に認識することができる。
【0044】
前記絶縁層としては樹脂絶縁層が用いられることができる。前記樹脂絶縁層としては、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、ポリイミドのような熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーのような補強材が含浸された樹脂、例えば、プリプレグが用いられることができ、また光硬化性樹脂などが用いられることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0045】
次に、図3に図示したように、ベース基板110上にビアホール形成用インク20の印刷によりビアホール形成用パターン層120を形成することができる。
【0046】
ここで、ビアホール形成用インク20はワックス材質からなることができる。
【0047】
また、ビアホール形成用インク20の印刷は、DOD(Drop on Demand)方式でインク20を吐出して行うことができる。
【0048】
例えば、図3に図示したように、インクジェットヘッド10によりビアホール形成用インク20を吐出し、吐出量は以降に形成されるビアサイズを考慮して調節する。
【0049】
ここで、図3に図示したように、ビアホール形成用パターン層120は、両側面が凸凹の屈曲状に形成されることができる。これは、ビアホール形成用パターン層120のインクをDOD方式で吐出して形成するためである。
【0050】
また、ベース基板110上にビアホール形成用インクの印刷によりビアホール形成用パターン層120を形成する際に、ビアホール形成用パターン層120を硬化する段階をさらに含む。
【0051】
この際、ビアホール形成用パターン層120は、紫外線の照射により硬化されることができる。
【0052】
例えば、図3に図示したように、インクジェットヘッド10によりビアホール形成用インク20を吐出した後、紫外線照射装置30などを用いて硬化を行う。
【0053】
一方、ビアホール形成用パターン層120を形成する段階は、ビアホール形成用インク20をDOD(Drop on Demand)方式で吐出し、インク20が吐出されると同時にインク20を硬化させる段階、またはインク20がベース基板110上に着滴した後、インク20を硬化させる段階をさらに含むことができる。
【0054】
即ち、ビアホール形成用パターン層120を硬化するが、ビアホール形成用インク20が吐出されると同時に硬化したり、吐出されてベース基板110上に着滴した後に硬化することができ、これに限定されない。
【0055】
次に、図4に図示したように、ビアホール形成用パターン層120を含むベース基板110上に絶縁層130を形成することができる。
【0056】
ここで、絶縁層130の高さは、プリント回路基板100の厚さ方向を基準に、ビアホール形成用パターン層120の高さより高く形成することができる。
【0057】
これは、ビアホール形成用インク20が吐出された状態のビアホール形成用パターン層120が倒れる現象を予防するためである。
【0058】
また、前記絶縁層としては樹脂絶縁層が用いられることができる。前記樹脂絶縁層としてはエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、ポリイミドのような熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーのような補強材が含浸された樹脂、例えば、プリプレグが用いられることができ、また光硬化性樹脂などが用いられることができるが、特にこれに限定されない。
【0059】
次に、図5に図示したように、ビアホール形成用パターン層120を除去することができる。
【0060】
ここで、ビアホール形成用パターン層120は、後硬化(Postcure)またはデスミア(Desmear)工程により除去することができる。
【0061】
この際、上記後硬化またはデスミア工程は、ビアホール形成用パターン層120を除去するための別途の工程ではなく、絶縁層130を形成した後に一般的に行う後硬化またはデスミア工程により行うことができる。
【0062】
これにより、ビアホールを形成する際に一般的に行う現像工程を省略することができるため、ビアホール形成工程をはじめプリント回路基板の製造工程を簡素化することができ、現像工程による環境汚染問題を解消して環境にやさしい方法を用いることができるという効果も期待できる。
【0063】
また、図5に図示したように、ビアホール形成用パターン層120を除去した状態であるビア用開口部131は、側壁が凸凹の屈曲状に形成されることができる。
【0064】
ここで、ビア用開口部131の側壁が凸凹の屈曲状に形成されるため、凸凹の屈曲状が粗さ(roughness)として機能し、以降に形成されるビア(不図示)と絶縁層130との密着力を向上できるという効果も期待できる。
【0065】
また、本発明の実施例は、ワックスタイプのインクによりビアホール形成用パターン層を形成するため、ビアホール形成用パターン層を除去した後にもビアホールの底面の残留樹脂による不良が発生しないという効果が期待できる。
【0066】
また、本発明の実施例は、ワックスタイプのインクをDOD方式で吐出してビアホール形成用パターンを形成するため、ビアホールの均一度に優れているという長所がある。
【0067】
より詳細に説明すると、インクジェットヘッド10がビアのサイズを考慮して予め設定された量のインクを吐出するため、ビアホール形成用パターンが均一に形成され、これにより、以降に形成されるビアホールのサイズも均一である。
【0068】
以上、本発明を好ましい実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明によるプリント回路基板及びその製造方法はこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0069】
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【符号の説明】
【0070】
10 インクジェットヘッド
20 ビアホール形成用インク
30 紫外線照射装置
100 プリント回路基板
110 ベース基板
120 ビアホール形成用パターン層
130 絶縁層
131 ビア用開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板を準備する段階と、
前記ベース基板上に、ビアホール形成用インクの印刷によりビアホール形成用パターン層を形成する段階と、
前記ビアホール形成用パターン層を含むベース基板上に絶縁層を形成する段階と、
前記ビアホール形成用パターン層を除去する段階と、
を含むプリント回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記ビアホール形成用パターン層を形成する段階において、
前記ビアホール形成用インクはワックス材質からなる請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記ビアホール形成用パターン層を形成する段階において、
前記ビアホール形成用インクの印刷は、DOD(Drop on Demand)方式でインクを吐出して行う請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記ビアホール形成用パターン層を形成する段階は、
前記ビアホール形成用パターン層を硬化する段階をさらに含む請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記ビアホール形成用パターン層は紫外線の照射により硬化する請求項4に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記ビアホール形成用パターン層を形成する段階は、
前記ビアホール形成用インクをDOD(Drop on Demand)方式で吐出し、前記インクが吐出されると同時に前記インクを硬化させる段階、または前記インクが前記ベース基板上に着滴した後、前記インクを硬化させる段階をさらに含む請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記ビアホール形成用パターン層を除去する段階は、
後硬化(Postcure)またはデスミア(Desmear)工程により前記ビアホール形成用パターン層を除去する請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁層を形成する段階において、
前記絶縁層の高さは、前記プリント回路基板の厚さ方向を基準に、前記ビアホール形成用パターン層の高さより高く形成する請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項9】
ベース基板と、
前記ベース基板上にビア用開口部を有する絶縁層と、を含み、
前記ビア用開口部は、側壁が凸凹の屈曲状に形成されるプリント回路基板。
【請求項10】
前記ビア用開口部は、ビアホール形成用インクをDOD(Drop on Demand)方式で吐出して形成される請求項9に記載のプリント回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−102110(P2013−102110A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1525(P2012−1525)
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】