説明

プリント回路板の電子部品分離方法および分離装置

【課題】分解ガスの廃棄処理装置が不要で、また、プリント回路基板に付着した凝縮水の乾燥処理が不要となり、かつ電子部品の分離の信頼性の高いプリント回路板の電子部品の分離方法および分離装置を提供する。
【解決手段】ろう付けにより固定された電子部品を備えるプリント回路板を、ろう材の融点に達しない100℃以上の温度に予備加熱し、この予備加熱されたプリント回路板を過熱水蒸気雰囲気中でろう材の融点から前記プリント回路板の樹脂基板の炭化開始温度以下の温度の範囲で加熱することにより電子部品をプリント回路板に固定するろう材を溶融し、ろう材の溶融されたプリント回路板を回転させて、遠心力より電子部品をプリント板から分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリント回路板の半田等により固定された電子部品を分離回収するためのプリント回路板の電子部品分離方法および分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みとなった携帯電話機やコンピュータを初め各種の電子機器に使用されているプリント回路板は、貴金属や希少金属を含む電子部品が多数搭載されているため、この電子部品をプリント回路板から分離回収して再利用することが要求されている。
【0003】
電子部品の搭載されたプリント回路板から電子部品を分離する方法としては、既に、特許文献1に示されるように、プリント回路板に搭載された電子部品を個別に部品の固定用の半田等のろう材が溶融したところで、加熱ブロック内を真空吸引して電子部品をプリント回路板から分離する方法が知られている。
【0004】
この方法は、プリント回路板上の複数の電子部品を個別にしか分離することができないで、多数の電子部品を有するプリント回路板の場合、電子部品の分離処理に時間がかかる不都合がある。
【0005】
特許文献2に示された方法は、プリント回路板全体を過熱水蒸気により加熱して、電子部品をプリント回路板に固定している半田等のろう材を溶融し、この状態でプリント回路板に振動を加えて、複数の電子部品をプリント回路板から一同に振り落とすようにした方法である。また、ここでは、プリント回路板は100℃以下の温度にしか予備加熱されない。
【0006】
この方法であれば、多数の電子部品の搭載されたプリント回路板から短時間で電子部品を分離することができるので、特許文献1の方法の不都合を解消できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭63−318133号公報
【特許文献2】特許第4393576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、この特許文献2の方法においては、過熱水蒸気の温度高めることにより、プリント回路板を270℃以上に加熱することができる。プリント回路板には樹脂基板が使用されているので、このように270℃以上の温度に加熱すると、プリント回路板の樹脂基板が炭化を始めるとともに、分解ガスを発生するため、この分解ガスを無害化処理するために廃ガス処理装置が必要となる。
【0009】
また、処理するプリント回路板を100℃以下に予備加熱して分離処理を行うと、分離処理過程でプリント回路板が過熱水蒸気と接触したとき、過熱水蒸気がプリント回路板によって冷やされ、プリント回路板の表面に凝縮水が付着するようになる。プリント回路板に付着した凝縮水を蒸発させて乾燥させる必要があるが、このためには多くの加熱時間が必要となり、処理時間が長くなる不都合もある。
【0010】
さらに、プリント回路板に振動を加えてこれに固定された電子部品をプリント回路板から分離するようにしたのでは、各部品の取り付け状況によって、プリント回路板の重心位置がばらつくため、振動によるプリント回路板の運動が不十分となり電子部品の分離が行えない状況が生じ、電子部品の分離の信頼性が損なわれる不都合もある。
【0011】
この発明は、前記のような過熱水蒸気で加熱することによるプリント回路板の電子部品を分離する方法における不都合を解消するため、分解ガスの廃棄処理装置が不要で、また、プリント回路基板に付着した凝縮水の乾燥処理が不要となり、かつ電子部品の分離の信頼性の高いプリント回路板の電子部品分離方法および分離装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を解決するため、この発明の方法は、ろう付けにより固定された電子部品を備えるプリント回路板を、ろう材の融点に達しない100℃以上の温度に予備加熱する工程と、この予備加熱されたプリント回路板を過熱水蒸気雰囲気中でろう材の融点以上の温度から前記プリント回路板の樹脂基板の炭化開始温度以下の温度の範囲で加熱することにより電子部品をプリント回路板に固定するろう材を溶融する工程と、ろう材の溶融されたプリント回路板を、これに固定された電子部品にプリント回路板から離間する方向の遠心力が作用するようにして回転し、この遠心力より電子部品をプリント板から分離する工程とからなることを特徴とするものである。
【0013】
この方法においては、前記電子部品をプリント回路板に固定するろう材を溶融する工程で排気される過熱水蒸気により直接または間接的にプリント板の予備加熱を行うのがよい。
【0014】
また、この発明の装置は、ろう付けにより固定された電子部品を備えるプリント回路板を収容する処理容器と、このプリント回路板を収容した処理容器をろう材の融点に達しない100℃以上の温度に予備加熱する予備加熱器と、この予備加熱器で予備加熱された前記プリント回路板を収容した処理容器を過熱水蒸気雰囲気中で電子部品を固定するろう材が溶融されるまで加熱する本加熱器と、この本加熱器内で、前記プリント回路板を収容した処理容器を載置して回転し、ろう材の溶融されたプリント回路板から電子部品を分離する回転分離機とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
この分離装置においては、前記予備加熱器は、前記本加熱器から排出される排気過熱水蒸気により直接または間接的に加熱するのがよい。
【0016】
また、前記処理容器は、外周壁を金網等の多孔材で構成することができる。そして、処理容器内では、プリント回路板は、プリント回路板上の電子部品が外向きになるようにして垂直に保持される。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、加熱により溶融するろう材により固定された電子部品を備えるプリント回路板を100℃以上のろう材の融点に達しない温度に予備加熱し、さらに、過熱水蒸気雰囲気によりろう材の融点から前記プリント回路板の樹脂基板の炭化開始温度以下の温度までの範囲で本加熱することにより電子部品をプリント回路板に固定するろう材を溶融し、このろう材の溶融されたプリント回路板を、これに固定された電子部品にプリント回路板から分離される方向の遠心力が作用するようにして回転駆動し、この遠心力より電子部品をプリント板から分離するようにしているので、プリント回路板に多数の電子部品が搭載されている場合でも多数の電子部品を一同に確実に分離することができ、電子部品の分離処理を短時間で信頼性高く行うことができる。
【0018】
また、プリント回路板がろう材の融点に達しないが100℃以上の温度に予備加熱されることにより、過熱水蒸気雰囲気中での本加熱処理の際に、プリント回路板への凝縮水の付着を防止することができるので、加熱処理時間を短縮することができる。
【0019】
さらに、過熱水蒸気中での加熱処理の際の加熱温度をろう材の融点以上にするが、プリント回路板の樹脂基板の炭化開始温度以上の温度にはしないため、樹脂基板が炭化することも分解ガスを発生することも防止すすることができるので、排ガス処理装置を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明のプリント回路板の電子部品の分離方法の実施例を示す分離処理プロセス構成図である。
【図2】この発明のプリント回路板の電子部品の分離装置の実施例を示す概略構成図である。
【図3】この発明に使用する処理容器の構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図4】この発明の処理容器内におけるプリント回路板の収容状態を示す部分的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施の形態を図に示す実施例について説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、この発明の実施例を示すプリント回路板の電子部品の分離方法の処理プロセス構成図である。
【0023】
図1に示すように、この発明の方法においては、使用済みの電子部品を搭載したプリント回路板を予備加熱するための予備加熱器11と、予備加熱されたプリント回路板を過熱水蒸気雰囲気で加熱して電子部品をプリント回路板に固定している半田等のろう材の溶融を行う本加熱器12とプリント基板を回転させて遠心力により電子部品をプリント回路板から分離する回転分離機13とを使用する。
【0024】
本加熱器12には、過熱水蒸気発生器14から過熱水蒸気入口12aを通して所定温度の過熱水蒸気が供される。本加熱器12の内部を加熱して過熱水蒸気出口12bから排出さる排気過熱水蒸気は、熱交換器15により予備加熱器11に供給する加熱空気と熱交換されて、予備加熱器11を間接的に加熱する。予備加熱器11には、本加熱器12の排気過熱水蒸気での加熱容量が不足する場合には、電気ヒータを付設して、加熱熱量を加えることができる。
【0025】
回転分離機13は、本加熱器12内に設置され、加熱されたプリント回路板を保持してこれを回転駆動し、プリント回路板に搭載された電子部品に遠心力を与え、この遠心力より電子部品をプリント回路板から分離するものである。
【0026】
この発明の方法においては、まず、使用済みの電子部品を搭載したプリント回路板を、予備加熱器11へ供給してこれを予備加熱する工程を行う。
【0027】
この予備加熱工程では、プリント回路板の加熱を、100℃以上に加熱するが、電子部品をプリント回路板に固定するろう材の融点(一般の共晶半田の場合は約230℃)を越えない温度に止める。したがって、この工程おいては、まだ、電子部品を固定するろう材が溶融されないため、電子部品をプリント回路板から分離することはできない。
【0028】
このように予備加熱工程で予備加熱されたプリント回路板は、次に過熱水蒸気により加熱される本加熱器12へ送り、過熱水蒸気雰囲気中で電子部品をプリント回路板に固定するろう材を溶融する工程へ移る。
【0029】
この工程においては、プリント回路板の送り込まれた本加熱器12内には、過熱水蒸気発生器14から過熱水蒸気入口12aを通して供給されるろう材の融点以上の温度でプリント回路板の樹脂基板の炭化開始温度(約270℃)以下の温度に加熱された過熱水蒸気で充満されている。この本加熱器12内に充満された過熱水蒸気によりここに収容されたプリント回路板が電子部品を固定するろう材の融点(約230℃)以上の温度に加熱されると、ろう材が軟化溶融する。このとき、加熱温度は、ろう材の融点である230℃から270℃を超えない温度の範囲にして、プリント回路板の樹脂基板の炭化およびなく、分解ガスの発生がないようにする。
【0030】
電子部品を固定するろう材が溶融したところで、プリント回路板を回転分離機13に載置し、回転分離機13を回転駆動してプリント回路板を回転することによって、プリント回路板から電子部品を分離する工程を実施する。このとき、プリント回路板の回転によってこの上に搭載された電子部品がプリント回路板から離間する方向に遠心力が作用するように、電子部品を外側に向けてプリント回路板を回転分離機13上に載置する。
【0031】
このようにろう材の溶融されたプリント回路板を回転分離機13によって回転させることにより、プリント回路板に搭載された電子部品がプリント回路板から離間する方向の遠心力を受けるため、プリント回路板から分離して、本加熱器12内に集積される。
【0032】
このようなプリント回路板を回転させて電離部品を分離する工程は、電子部品が遠心力によりプリント回路板から分離して飛散することがないように閉鎖された空間内で行う必要がある。
【0033】
本加熱器12内でのプリント回路板から電子部品を分離する工程が終了したところで、互いに分離されたプリント回路板と電子部品とを加熱器12内から取り出して処理を終了する。
【0034】
この発明においては、前記のように、プリント回路板の予備加熱工程において、プリント回路板を100℃以上の電子部品を固定するろう材の融点以下の温度に加熱するので、過熱水蒸気雰囲気でのプリント回路板のろう材の加熱溶融工程に移るときに、プリント回路板の温度が100℃以上となっていることにより、過熱水蒸気と接触してもプリント回路板に凝縮水が発生することがないので、凝縮水を乾燥する必要がなく、これに要する時間を節約でき、処理時間の短縮が図れる。
【0035】
また、プリント回路板のろう材を過熱水蒸気雰囲気で加熱して溶融する工程において、加熱温度をろう材の融点(約230℃)から270℃の温度の範囲にしているので、ろう材が十分に溶融され、電子部品がプリント回路板から剥離しやすい状態におかれるため、回転による遠心力で電子部品をプリント回路板から円滑かつ確実に分離することができる。また、加熱よってプリント回路板の樹脂基板が炭化することも分解ガスを発生することも防止することができる。
【実施例2】
【0036】
次に、この発明によるプリント回路板の電子部品の分離装置の実施例について説明する。
【0037】
図2ないし図4は、この発明による分離装置の実施例を示すのである。
【0038】
これらの図において、1は、プリント板の電子部品分離装置、10は、処理するプリント回路板20を収容して移送するのに使用する処理容器である。この分離装置1は、この中に送り込まれたプリント回路板20の予備加熱行う予備加熱器11、予備加熱されて送り込まれたプリント回路板を過熱水蒸気により加熱して、プリント回路板に電子部品を結合するろう材を溶融する本加熱器12とを備える。この本加熱器12内には処理容器10を載置して回転する回転分離機13が設置される。本加熱器12には、加熱水蒸気発生器14から過熱水蒸気供給管14aを通して過熱水蒸気が供給され、本加熱器12内を過熱水蒸気で充満し、この中を230〜270℃の温度に加熱する。過熱水蒸気排気管12bから排出される排気過熱水蒸気は熱交換器15において予備加熱器11に供給される加熱空気と熱交換されて、予備加熱器11を間接的に加熱する。
【0039】
ここでは、予備加熱器11を過熱水蒸気加熱器12から排気された過熱水蒸気で加熱して加熱空気で間接的に加熱するようにしているが、排気過熱水蒸気により直接加熱することもできる。間接加熱による方が、予備加熱器11での処理容器への凝縮水の付着の防止効果が高い。
【0040】
予備加熱器11の入口には、プリント回路板を収容した処理容器10を予備加熱器11に送り込む移送装置17が設けられ、本加熱器12の出口には、処理を終えた処理容器1を搬出する移送装置18が設けられている。また、予備加熱器11内には、これに送り込まれた処理容器10を本加熱器12に送り出す移送装置11cが、そして本加熱器12内には、これに送り込まれた処理容器10を回転分離機13の回転台13aに移送する移送装置12cがそれぞれ設けられている。
【0041】
処理容器10は、詳細を図3(a)および(b)に示すように、円板状の基台10と円環状の上部フレーム10bとによって90°間隔で設けた4枚の保持板10e〜10hを固定し、その外周を金網等の多孔材で構成された外周壁10cで取り囲んで構成されている。各保持板(10e〜10h)には、プリント回路板20を保持するために垂直方向に延びた保持溝10sが直径方向に所定間隔おいて複数設けられている(図3(a)、図4参照)。
【0042】
処理容器10の外周壁10cは、プリント回路板20から分離された電子部品を飛散を防止する役目をする。この外周壁10cが多孔材で構成されているため、処理容易10は、自身の熱容量が小さくなり、これを加熱処理する予備加熱器11および、過熱水蒸気による本加熱器12の加熱容量を低減することができる。
【0043】
処理容器10に収容されたプリント回路板20は、図3(a)および図4に示すように、プリント回路板20に搭載された電子部品20aを外側に向けて、プリント回路板20の両端を対向する2つの保持板の保持溝10s、10sに上から挿入嵌合することにより基台10a上に垂直に保持される。プリント回路板20の幅の寸法が変わった場合には、その寸法に合う位置の保持溝を選択して挿入することにより、プリント回路板20の寸法の変化に対応することができる。
【0044】
この実施例の装置においては、予備加熱器11の外側で、処理容器10に、プリント回路板20が、図3(a)に示すように表面に搭載された電子部品を外側に向けて、上方から垂直に挿入される。このとき、プリント回路板20は、両端が保持板10e〜10hの保持溝10sに挿入嵌合され、これによって処理容器10内に保持固定される。
【0045】
このプリント回路板20を収容した処理容器10は、入口の開閉蓋11gを開き、移送装置17により、予備加熱器11内の移送装置11c上に送り込まれる。処理容器10が予備加熱器11に送り込まれた後、開閉蓋11gを閉じて、予備加熱器11内でプリント回路板20を処理容器10とともに予備加熱する。この加熱は、熱交換器15により本加熱器12から排出される排気過熱水蒸気と熱交換された加熱空気を、加熱空気供給管15aを通して予備加熱器11に供給することにより行う。この加熱空気による加熱量が不足するときは、電気ヒータ等の付加加熱手段により加熱量を加えることができる。
【0046】
この予備加熱器11におけるプリント回路板20の予備加熱温度は、プリント回路板20が100℃を越えてプリント回路板に電子部品を結合するろう材の融点(約230℃)を超えない範囲の温度としている。
【0047】
処理容器10が予備加熱されて所定温度(少なくとも100℃以上の温度)に達したところで、この処理容器10を、予備加熱器11の出口と本加熱器12の入口の間の開閉蓋12gを開いて、移送装置11cにより本加熱室12の移送装置12c上に送り込む。この後、開閉蓋12gは閉じられ、予備加熱器11には、再び、開閉蓋11gを開いて、次のプリント回路板20を収容した処理用器10が送り込まれ、予備加熱が行われる。
【0048】
本加熱器12に送り込まれた処理容器10は、移送装置12c上、または回転分離機13上で、過熱水蒸気発生器14から供給され、ここに充満された過熱水蒸気により加熱される。ここでは、270℃程度まで過熱された過熱水蒸気により処理容器10に収容されたプリント回路板20を、電子部品を結合したろう材の融点(約230℃)以上の温度に加熱して前記ろう材を軟化溶融させる。ろう材が軟化溶融したところで、処理容器10を回転分離機13の回転台13aに移載し固定する。なお、処理容器10はろう材が軟化溶融する前から回転分離機13回転台13a上に移載しておいても構わない。
【0049】
回転分離機13の回転台13a上に載置固定された処理容器10に収容されたプリント回路板20のろう材が軟化溶融したところで、駆動モータ13bにより回転台13aを回転駆動し、プリント回路板20から電子部品20aを分離する処理を始める。処理容器10が回転分離機13の回転台13aとともに回転することにより、処理容器10内に収容されたプリント回路板に搭載された電子部品にプリント回路板から離間する方向の遠心力が作用する。ろう材の溶融によってプリント回路板対する固定力の低下した電子部品20aは、この遠心力よってプリント回路板から分離される。分離された電子部品20aは、処理容器10の外周壁10cによって外側への飛散が防止されるので、処理容器10内に集積することができる。この回転分離処理は、全部の電子部品が分離され、処理容器10内に集積されるのに十分な時間だけ行う。
【0050】
全部の電子部品が分離されたところで、回転分離機13の回転を停止する。回転分離機13の回転停止後、本加熱器12の出口の開閉蓋12hを開き、回転台13a上の処理容器10を外側の移送装置18に送り出し、分離処理を終える。
【0051】
このようにして、加熱器12から送り出された処理容器10内には、電子部品の分離されたプリント回路板と、これから分離された電子部品が収容されているので、この後、これらを容易に分別することができる。
【符号の説明】
【0052】
1:プリント回路板の電子部品分離装置
10:処理容器
11:予備加熱器
12:本加熱器
13:回転分離機
14:過熱水蒸気発生器
15:熱交換器
17、18:移送装置
20:プリント回路板
20a:電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろう付けにより固定された電子部品を備えるプリント回路板を、ろう材の融点に達しない100℃以上の温度に予備加熱する工程と、この予備加熱されたプリント回路板を過熱水蒸気雰囲気中でろう材の融点以上の温度から前記プリント回路板の樹脂基板の炭化開始温度以下の温度の範囲で加熱することにより電子部品をプリント回路板に固定するろう材を溶融する工程と、ろう材の溶融されたプリント回路板を、これに固定された電子部品にプリント回路板から離間する方向の遠心力が作用するようにして回転し、この遠心力より電子部品をプリント板から分離する工程とからなることを特徴とするプリント回路板の電子部品分離方法。
【請求項2】
前記電子部品をプリント回路板に固定するろう材を溶融する工程で排気される過熱水蒸気により直接または間接的に前記プリント板の予備加熱を行うことを特徴とする請求項1に記載のプリント回路板の電子部品分離方法。
【請求項3】
ろう付けにより固定された電子部品を備えるプリント回路板を収容する処理容器と、このプリント回路板を収容した処理容器をろう材の融点に達しない100℃以上の温度に予備加熱する予備加熱器と、この予備加熱器で予備加熱された前記プリント回路板を収容した処理容器を過熱水蒸気雰囲気中で電子部品を固定するろう材が溶融されるまで加熱する本加熱器と、この本加熱器内で、前記プリント回路板を収容した処理容器を載置して回転し、ろう材の溶融されたプリント回路板から電子部品を分離する回転分離機とを備えたことを特徴とするプリント回路板の電子部品分離装置。
【請求項4】
前記予備加熱器を、前記本加熱器か排出される排気過熱水蒸気により直接または間接的に加熱することを特徴とする請求項3に記載のプリント回路板の電子部品分離装置。
【請求項5】
前記処理容器は、外周壁が金網等の多孔材で構成されたことを特徴とする請求項3または4に記載のプリント回路板の電子部品分離装置。
【請求項6】
前記処理容器は、前記プリント回路板を、これに搭載された電子部品が外側を向く向きで垂直に保持収容することを特徴とする請求項請求項3ないし5のいずれか1項に記載のプリント回路板の電子部品分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−138397(P2012−138397A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287922(P2010−287922)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(502165300)富士電機サーモシステムズ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】