説明

プリント基板積層体

【課題】設計自由度の向上と更なるコンパクト化を図ることが出来ると共に、二枚のプリント基板で挟まれた空間内の排熱性を向上することの出来る、新規な構造のプリント基板積層体を提供すること。
【解決手段】二枚のプリント基板12,14に介在される絶縁板16に、複数の連結壁20が公差されてなる格子状部22を設けると共に、該連結壁20から前記二枚のプリント基板12,14の少なくとも一方に向けて突出する複数の支持リブ26a,26b,26cによって、前記連結壁20を前記二枚のプリント基板12,14に対して隙間64a,64bを隔てて位置するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二枚のプリント基板が積層されて、複数の基板間端子で互いに接続されたプリント基板積層体に関し、特に、二枚のプリント基板の間に絶縁板が介在されているプリント基板積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車に搭載されるジャンクションボックス等の電気接続箱の内部回路等として、複数のプリント基板が積層されたプリント基板積層体が用いられている。このようなプリント基板積層体は、例えば特開2009−26464号公報(特許文献1)に示されているように、2枚のプリント基板が隙間を隔てて対向配置されていると共に、それらプリント基板の各スルーホールに基板間端子の両端部が半田付けされて相互に接続された構造とされている。
【0003】
ところで、特許文献1にも示されているように、プリント基板積層体には、ヒューズやリレー等の接続に際してプリント基板に及ぼされる押し込み力に対してプリント基板を支持するために、積層されたプリント基板の間に絶縁板を介在させて、絶縁板でプリント基板を支持するようになっている。
【0004】
ところが、特許文献1に記載のプリント基板積層体においては、例えばリレー等のようなプリント基板からの突出量が大きな電気部品をプリント基板間に配設する場合には、絶縁板から外れた位置に配設しなければならなかった。それ故、設計自由度が制限されると共に、大型の電気部品の配設領域を絶縁板の外に確保するために、プリント基板の大型化を招くという問題があった。なお、特許文献1の図7に開示されているように、絶縁板に貫通孔を形成して該貫通孔内に電気部品を収容することも可能であるが、貫通孔の両側の開口部がプリント基板で塞がれることから、電気部品の熱を効果的に排出出来なくなるという問題があった。
【0005】
また、複数の基板間端子を支持する台座は、基板間端子を半田付けする際の熱による変形を防ぐために耐熱性の高い材料で形成されるのに対して、絶縁板は、製造コストの低減を図るために、比較的安価で耐熱性のやや低い材料を用いて形成されることが多い。しかし、絶縁板についても、一方のプリント基板に半田付けされた基板間端子を他方のプリント基板に半田付けする際には、半田付けの熱に晒されることから、熱変形のおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−26464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、設計自由度の向上と更なるコンパクト化を図ることが出来ると共に、二枚のプリント基板で挟まれた空間内の排熱性を向上することの出来る、新規な構造のプリント基板積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、二枚のプリント基板が絶縁板を介して積層されていると共に、夫々に半田付けされた複数の基板間端子で相互に接続されているプリント基板積層体において、前記絶縁板には、複数の連結壁が交差されてなる格子状部が設けられていると共に、該連結壁から少なくとも一方の前記プリント基板に向けて突出する複数の支持リブによって、前記連結壁が前記二枚のプリント基板に対して隙間を隔てて位置されていることを、特徴とする。
【0009】
本発明に従う構造とされたプリント基板積層体においては、二枚のプリント基板間に配設される絶縁板に、複数の連結壁が交差された格子状部が設けられている。これにより、格子状部を形成する連結壁の間に、リレー等の電気部品を配設することが出来る。その結果、絶縁板内にも電気部品を配設することが可能となり、部品レイアウトの設計自由度を向上することが出来る。更に、絶縁板内に電気部品が配設可能となることから、絶縁板外に電気部品の配設スペースを別途に確保することが不要となり、プリント基板を小型化することも可能であるし、同一サイズのプリント基板上で、有効スペースをより有利に確保することが出来る。
【0010】
また、連結壁が、複数の支持リブによって、二枚のプリント基板に対して隙間を隔てて位置されている。これにより、連結壁とプリント基板との間で空気を流動可能として、二枚のプリント基板で挟まれた空間内の排熱性を向上することが出来る。その結果、連結壁で囲まれた領域内に電気部品を配設した場合でも、電気部品の熱を効果的に排出することが出来る。
【0011】
さらに、絶縁板が格子状部において中空形状とされることから、絶縁板の形成材料を削減することが出来る。その結果、絶縁板の軽量化や製造コストの低減を図ることが出来る。また、一方のプリント基板に半田付けされた基板用端子を他方のプリント基板に半田付けする場合などのように、絶縁板が熱に晒される場合でも、絶縁板の熱変形量を低減することが出来る。
【0012】
なお、二枚のプリント基板は、格子状部と重なる位置において、連結壁から突出された複数の支持リブで支持されるが、各支持リブは、一方のプリント基板のみに向けて突出されていても良いし、両方のプリント基板に向けて突出されていても良い。また、支持リブの個数や形成位置は、プリント基板の支持強度やプリント基板上の電気部品との重なり合い等を考慮して適宜に設定される。例えば、絶縁板の重心を挟んだ点対称の2箇所において、それぞれ両方のプリント基板に向けて突出する支持リブを設けても良いし、絶縁板の重心周りの複数箇所に支持リブを設けて、両方のプリント基板が重心を挟んで相互に離隔する2つ以上の支持リブによりそれぞれ支持されるようにしても良い。また、大型のコネクタが接続される位置など、プリント基板に大きな荷重が及ぼされることが考慮される部位は、その他の部位に比して支持リブがより小さな間隔で形成されることが好ましい。
【0013】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記複数の支持リブのそれぞれが、前記二枚のプリント基板の何れか一方のみに向けて突出されているものである。
【0014】
本態様によれば、連結壁の支持リブの形成箇所において、支持リブの突出方向と反対側のプリント基板との間に隙間が形成される。これにより、半田付けの熱等で支持リブが熱膨張した場合でも、該隙間で支持リブの熱膨張量を吸収することが出来る。その結果、二枚のプリント基板が支持リブの熱膨張で押し広げられることを回避することが出来て、プリント基板の間隔が変化することに起因する基板間端子の半田付け部のクラックの発生などを回避することが出来る。
【0015】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記複数の連結壁の断面積が異ならされているものである。
【0016】
本態様によれば、連結壁の強度を局所的に異ならせることが出来る。これにより、熱変形のおそれが高い等、特に強度が要求される部位は連結壁の断面積を大きくして強度を高めることが出来る。そして、本発明に従う構造とされた絶縁板によれば、格子状部において複数の連結壁で形成されていることによって、従来のように絶縁板が一枚板で形成されている場合に比して、局所的な断面積の調節を容易に行うことが出来る。なお、連結壁の断面積は、連結壁の高さ寸法(二枚のプリント基板の積層方向寸法)を異ならせても良いし、厚さ寸法(二枚のプリント基板の積層方向に直交する方向の寸法)を異ならせても良い。
【0017】
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記格子状部における前記連結壁の間に、前記二枚のプリント基板の一方に設けられたリレーが収容されているものである。
【0018】
本態様によれば、比較的大型の部品であるリレーが絶縁板内に配設されていることから、プリント基板積層体のコンパクト化を効果的に実現することが出来る。そして、連結壁と二枚のプリント基板との隙間を通じて、連結壁の間に収容されたリレーの熱を効果的に排出することが出来る。
【0019】
本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記絶縁板に、前記基板間端子を挿通して支持する台座が一体形成されているものである。
【0020】
本態様によれば、基板間端子を支持する台座を別途に用意することが不要とされることから、部品点数の削減を図ることが出来る。更に、台座が複数の場合には、それら複数の台座が絶縁板に一体成形されていることから、複数の台座をプリント基板に一度にセットすることが出来る。
【0021】
また、基板間端子を支持する台座は、半田付けの熱による変形を防止するために、一般に、耐熱性の高い材料で形成される。そして、本態様によれば、台座が絶縁板に一体形成されていることから、絶縁板も耐熱性の高い材料で形成することが出来る。その結果、一方のプリント基板に半田付けされた基板間端子を他方のプリント基板に半田付けする場合等のように、絶縁板が熱に晒される場合でも、絶縁板の熱変形を抑えることが出来る。また、絶縁板が格子状部において中空形状とされていることから、必要とされる成形材料を少なくすることが出来て、耐熱性が高く比較的高価な材料を用いても、大幅な材料費の増加を招くことなく絶縁板を形成することが出来る。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、二枚のプリント基板間に配設される絶縁板に、複数の連結壁が交差されてなる格子状部を設けると共に、連結壁から少なくとも一方のプリント基板に突出する複数の支持リブを設けて、連結壁を二枚のプリント基板に対して隙間を隔てて位置するようにした。これにより、格子状部における連結壁の間に電気部品を配設することが可能となり、部品レイアウトの設計自由度を向上すると共に、プリント基板積層体の小型化を図ることが出来る。更に、連結壁と二枚のプリント基板との隙間を通じて排熱が可能であることから、二枚のプリント基板で挟まれた空間内の排熱性を向上することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態としてのプリント基板積層体の分解斜視図。
【図2】絶縁板の平面図。
【図3】図2に示した絶縁板の側面図。
【図4】図2に示した絶縁板の、一方のプリント基板への重ね合わせ状態を示す平面図。
【図5】図1に示したプリント基板積層体の組み付け状態で、図4におけるV−V断面に相当する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
先ず、図1に、本発明の一実施形態としてのプリント基板積層体10を示す。プリント基板積層体10は、第一のプリント基板12と第二のプリント基板14が、絶縁板16を挟んで積層されて、複数の基板間端子18で相互に接続された構造とされている。
【0026】
図2および図3に、絶縁板16を示す。絶縁板16は、非導電性の合成樹脂からなる一体成形品とされている。なお、絶縁板16の形成材料は、好適には、耐熱性に優れたガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート(PBT−G)等が採用される。なお、図2および図3には、基板間端子18および後述する基板端子52を併せ示している。絶縁板16は、全体として所定の厚さ寸法(図3中、上下方向寸法)を有する長手矩形状を有している。
【0027】
絶縁板16には、縦方向(図2中、上下方向)又は横方向(図2中、左右方向)の何れかに延びる複数の連結壁20が形成されており、これら複数の連結壁20が縦横方向で互いに交差および連結されることによって、格子状部22が形成されている。各連結壁20は、何れも互いに等しい略一定の幅寸法をもって絶縁板16の縦方向又は横方向に直線状に延出する平板形状とされている。なお、本明細書においては、平面視(図2参照)において一直線上に延びる連続部分で、一枚の平板形状と捉えられる部分を1つの連結壁20としている。更に、後述する図5から明らかなように、各連結壁20には、必要に応じて第一のプリント基板12側に開口する切欠24が形成されており、該切欠24の深さ寸法が異ならされることによって、連結壁20の高さ寸法(図5中、上下方向寸法)が部分的に異ならされている。これにより、連結壁20の断面積が部分的に異ならされている。
【0028】
また、複数の連結壁20には、適宜の位置に複数の支持リブ26a,26b,26cが形成されている。支持リブ26aは、連結壁20から第一のプリント基板12側(図3中、上側)に突出する円柱形状とされている。支持リブ26bは、連結壁20から第二のプリント基板14側(図3中、下側)に突出する円柱形状とされている。また、支持リブ26cは、連結壁20が第一のプリント基板12側(図3中、上側)に延出されることにより、連結壁20の全長に亘って第一のプリント基板12側に突出する平板形状とされている。
【0029】
これら支持リブ26a,26b,26cの個数および形成位置は、第一のプリント基板12および第二のプリント基板14における各電気部品の配設位置やプリント配線の配索態様、要求される支持強度等を考慮して適宜に設定される。好ましくは、絶縁板16の重心:G周りの複数箇所で、一方に支持リブ26a又は支持リブ26cと、支持リブ26bとの一方が設けられると共に、他方に支持リブ26a又は支持リブ26cと、支持リブ26bとの他方が設けられることにより、第一のプリント基板12が絶縁板16の重心:G周りの2箇所以上、より好ましくは3箇所以上で支持リブ26a及び支持リブ26cにより支持されていると共に、第二のプリント基板14が、絶縁板16の重心:G周りの2箇所以上、より好ましくは3箇所以上で支持リブ26bにより支持されることが好ましい。
【0030】
特に本実施形態においては、支持リブ26a,26b,26cは互いに異なる位置に形成されており、連結壁20の1つの箇所には、支持リブ26a、支持リブ26b、支持リブ26cの何れか1つのみが形成されて、第一のプリント基板12および第二のプリント基板14の何れか一方のみに向けて突出されている。また、図示は省略しているが、本実施形態における第一のプリント基板12は、中央部分に多数の表面実装部品が設けられている。それ故、格子状部22の最外周縁部の一辺のみに複数の支持リブ26aが並列して形成されていると共に、残りの三辺のみに支持リブ26cが形成されており、支持リブ26a,26cが、第一のプリント基板12の中央部分に重なることなく、第一のプリント基板12の外周縁部のみを支持するようにされている。
【0031】
一方、図1に示したように、第二のプリント基板14には、図示しないコネクタが接続される複数の台座コネクタ28や、図示しないリレーが接続される複数のリレー接続部30、図示しないヒューズが接続されるヒューズ接続部32等が設けられており、支持リブ26bは、これらコネクタ、リレーやヒューズなどの接続に際して強固な支持力が発揮されるように、台座コネクタ28、リレー接続部30、ヒューズ接続部32に近接した位置に形成されることが好ましい。特に図1に示した第二のプリント基板14において、3つの台座コネクタ28a,2つの台座コネクタ28b、および台座コネクタ28cには、それぞれ、図4に点線で示すように、第二のプリント基板14の略全幅に亘る大型のコネクタ34a,34b,34cが接続されるようになっており、第二のプリント基板14に大きな押圧力が及ぼされることから、これら台座コネクタ28a,28b,28cの近接位置には、より多くの支持リブ26bが形成されていることが好ましい。
【0032】
このような連結壁20の複数が互いに直交して交差又は連結されることにより、格子状部22が形成されている。これにより、格子状部22には、複数の連結壁20で4方が囲まれた複数の電気部品収容部36が縦横に並んで形成されている。また、格子状部22は、各電気部品収容部36において上下に貫通されていることから、絶縁板16は、格子状部22において中空形状とされている。特に本実施形態においては、絶縁板16の略全体が格子状部22で形成されている。なお、複数の連結壁20の間隔は、第一のプリント基板12および第二のプリント基板14における各電気部品の配設位置やプリント配線の配索態様、要求される支持強度等を考慮して適宜に設定される。また、格子状部22には、必要に応じて、底部にボルト挿通孔が貫設された有底円筒形状のボルト固定部38や、図示しない電気接続箱のケースに突設された位置決めボスが挿通される円筒形状の位置決め筒部40が適宜の位置に形成されている。
【0033】
さらに、絶縁板16には、台座としての複数(本実施形態においては、2つ)の基板間端子用台座42,42が一体形成されている。これら基板間端子用台座42,42は互いに略同様の形状とされており、図3等から明らかなように、従来公知の台座と同様に、長手ブロック形状の本体部44と、本体部44の長手方向の両端部分および中央部分から突出する複数(本実施形態においては、6つ)の脚部46を有している。そして、本体部44に貫設された複数の端子挿通孔のそれぞれに基板間端子18が圧入状態で挿通されることにより、複数の基板間端子18が基板間端子用台座42で支持されるようになっている。このような基板間端子用台座42は、本体部44の長手方向を絶縁板16の長手方向と同方向にして、絶縁板16の幅方向の両端に位置されており、本体部44の長手方向の両端縁部が梁状の連結部48で連結壁20と連結されることによって、絶縁板16に一体形成されている。
【0034】
また、絶縁板16には、複数の台座50が一体形成されている。これら台座50は従来公知の台座と略同形状とされており、本体部分に貫設された端子挿通孔に、複数の基板用端子52を圧入状態で挿通して支持可能とされている。各台座50は、基板間端子用台座42と同様に、梁状の連結部48を介して連結壁20や隣接する台座50と連結されている。これにより、複数の台座50が、格子状部22の長手方向の両側に配設されて、絶縁板16に一体形成されている。
【0035】
このような絶縁板16を用いてプリント基板積層体10を形成する際には、先ず、絶縁板16の基板間端子用台座42,42に基板間端子18を挿通すると共に、各台座50に基板用端子52を挿通して絶縁板16に組み付ける。そして、台座コネクタ28や、リレー接続部30やヒューズ接続部32を構成する基板用端子52、リレー54やショートピン56等が予め設けられた第二のプリント基板14を用意して、第二のプリント基板14に絶縁板16を重ね合わせることによって、絶縁板16に保持された基板間端子18および基板用端子52を、第二のプリント基板14の対応するスルーホール58に挿通した後に半田付けする。なお、図4に示したように、本実施形態における第二のプリント基板14は、第二のプリント基板14に貫設されたボルト孔(図示省略)に挿通されたボルト60が絶縁板16のボルト固定部38に螺着されることによって、絶縁板16にボルト固定される。次に、図5に示すように、台座コネクタ28や図示しない表面実装部品等が予め設けられた第一のプリント基板12を絶縁板16に重ね合わせることによって、基板間端子18を第一のプリント基板12の対応するスルーホール62に挿通した後に半田付けする。これにより、第一のプリント基板12と第二のプリント基板14が、複数の基板間端子18で相互に接続されて、プリント基板積層体10が形成される。
【0036】
図5にも示したように、絶縁板16の支持リブ26a,26cが第一のプリント基板12側に突出されて、第一のプリント基板12の外周縁部分と重なる位置に配設される。これにより、支持リブ26a,26cが第一のプリント基板12に接触して、連結壁20が第一のプリント基板12に対して隙間64aを隔てて位置される。一方、支持リブ26bが第二のプリント基板14側に突出されて、連結壁20と第二のプリント基板14との間に支持リブ26bが介在されることによって、連結壁20が第二のプリント基板14に対して隙間64bを隔てて位置される。そして、第二のプリント基板14に絶縁板16が重ね合わされることによって、第二のプリント基板14に設けられたリレー54やショートピン56が、格子状部22の電気部品収容部36内に収容されるようになっている。
【0037】
このような構造とされたプリント基板積層体10は、ジャンクションボックス等の自動車の電気接続箱のケース内に収容されて、電気接続箱の内部回路を形成する。そして、第一のプリント基板12の台座コネクタ28に図示しないコネクタが接続される等して、第一のプリント基板12に絶縁板16側への押圧力が及ぼされた場合には、絶縁板16の支持リブ26a,26cが協働して第一のプリント基板12が支持される。一方、第二のプリント基板14の台座コネクタ28やリレー接続部30、ヒューズ接続部32(図1参照)に図示しないコネクタやリレー、ヒューズが接続される等して、第二のプリント基板14に絶縁板16側への押圧力が及ぼされた場合には、絶縁板16の支持リブ26bで第二のプリント基板14が支持される。これにより、電気部品の接続に伴う第一のプリント基板12や第二のプリント基板14の変形を抑えて、第一のプリント基板12および第二のプリント基板14の損傷や、基板間端子18の半田付け部におけるクラックの発生を抑えることが出来る。
【0038】
このような構造とされたプリント基板積層体10によれば、絶縁板16における格子状部22の電気部品収容部36内に、リレー54やショートピン56等の電気部品が収容可能とされている。これにより、第二のプリント基板14からの突出量が大きいリレー54やショートピン56等の電気部品でも、絶縁板16内に配設することが可能となり、部品レイアウトの向上を図ることが出来る。そして、リレー54等が絶縁板16内に配設可能とされることから、第二のプリント基板14において、絶縁板16の外にリレー54等の配設領域を確保することが不要となり、第二のプリント基板14延いてはプリント基板積層体10のコンパクト化を図ることが出来る。また、第二のプリント基板14の大きさを変更しない場合には、リレー54等を絶縁板16の内部に配設することによって、基板の有効面積をより大きく確保することが出来る。特に、プリント基板上での占有面積が大きい電気部品であるリレー54を絶縁板16内に配設することにより、スペース効率の大幅な向上を図ることが出来る。更に、リレー54等のレイアウト自由度が向上されることから、リレー54等に接続するプリント配線の長さを短くすることも可能であり、製造コストの低減を図ることも出来る。
【0039】
そして、格子状部22を形成する連結壁20が、第一のプリント基板12および第二のプリント基板14の両方に対して、隙間64a,64bを隔てて位置されている。これにより、隙間64a,64bを通じて空気の流動性が確保されて、連結壁20で囲まれた電気部品収容部36内にリレー54等を配設した場合でも、リレー54等の熱を有効に排出することが出来る。
【0040】
さらに、絶縁板16が、格子状部22において上下方向に貫通する中空形状とされている。これにより、絶縁板16の形成材料を削減することが出来て、絶縁板16の軽量化や製造コストの低減を図ることが出来る。また、格子状部22において連結壁20の断面積の大きさを部分的に調節することによって、より高い強度が必要とされる部分は連結壁20の断面積を大きくするなどして、絶縁板16の強度を部分的に調節することが出来る。そして、格子状部22が板状の複数の連結壁20で形成されていることにより、絶縁板全体が板状に形成されている場合に比して、局所的な断面積の調節を容易に行うことが出来る。
【0041】
加えて、連結壁20が、支持リブ26a〜26cで支持されることにより、第一のプリント基板12および第二のプリント基板14の両方に対して、隙間64aおよび隙間64bを隔てて位置されている。これにより、半田付けの熱等で連結壁20が熱膨張した場合でも、連結壁20が第一のプリント基板12と第二のプリント基板14との間を押し広げることを回避することが出来て、両プリント基板12,14に半田付けされた基板間端子18の半田付け部にクラックを生じる等のおそれを軽減することが出来る。更に、本実施形態においては、格子状部22の1箇所には支持リブ26a,26c又は支持リブ26bの何れか一方のみが設けられており、支持リブ26が、第一のプリント基板12又は第二のプリント基板14の何れか一方のみに向けて突出されている。これにより、支持リブ26は第一のプリント基板12又は第二のプリント基板14の何れか一方に対して隙間を隔てて位置されており、熱膨張等によって支持リブ26の長さ寸法が増大した場合でも、該隙間で支持リブ26の長さ寸法の増大を吸収することが出来、第一のプリント基板12と第二のプリント基板14との離隔距離を変化させるおそれが軽減されている。
【0042】
さらに、絶縁板16には、複数の基板間端子用台座42および台座50が一体形成されている。これにより、部品点数の削減を図ることが出来る。また、基板間端子用台座42に基板間端子18を挿通すると共に、台座50に基板用端子52を挿通して絶縁板16を第二のプリント基板14に重ね合わせることにより、複数の基板間端子18および基板用端子52を対応するスルーホール58に一度に挿通することが出来て、プリント基板積層体10の製造効率を向上することが出来る。更に、基板間端子用台座42および台座50が絶縁板16に一体形成されることから、絶縁板16を、これら台座42,50と同じ耐熱性の高い材料で形成することが出来る。その結果、例えば基板間端子18を第二のプリント基板14に半田付けした後に第一のプリント基板12に半田付けする場合等のように、絶縁板16が半田の熱に晒されるような場合でも、絶縁板16の熱変形を抑えることが出来る。
【0043】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態においては、格子状部が絶縁板の略全体に形成されていたが、従来同様の平板形状の絶縁板の一部に格子状部を形成する等しても良い。
【0044】
さらに、基板間端子を支持する台座や、基板用端子を支持する台座は、必ずしも絶縁板に一体形成されている必要はない。また、支持リブの断面形状は各種の形状が採用可能であって、矩形断面形状や六角形等の多角形断面形状等であっても良い。更にまた、支持リブは、二枚のプリント基板の両方に向けて突出されていても良く、絶縁板に設けられる全ての支持リブを二枚のプリント基板の両方に向けて突出させても良いし、前記実施形態の如き何れか一方のプリント基板のみに向けて突出された支持リブと組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0045】
10:プリント基板積層体、12:第一のプリント基板、14:第二のプリント基板、16:絶縁板、18:基板間端子、20:連結壁、22:格子状部、24:切欠、26a〜c:支持リブ、36:電気部品収容部、42:基板間端子用台座、48:連結部、54:リレー、56:ショートピン、64a,b:隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚のプリント基板が絶縁板を介して積層されていると共に、夫々に半田付けされた複数の基板間端子で相互に接続されているプリント基板積層体において、
前記絶縁板には、複数の連結壁が交差されてなる格子状部が設けられていると共に、該連結壁から少なくとも一方の前記プリント基板に向けて突出する複数の支持リブによって、前記連結壁が前記二枚のプリント基板に対して隙間を隔てて位置されている
ことを特徴とするプリント基板積層体。
【請求項2】
前記複数の支持リブのそれぞれが、前記二枚のプリント基板の何れか一方のみに向けて突出されている
請求項1に記載のプリント基板積層体。
【請求項3】
前記複数の連結壁の断面積が異ならされている
請求項1又は2に記載のプリント基板積層体。
【請求項4】
前記格子状部における前記連結壁の間に、前記二枚のプリント基板の一方に設けられたリレーが収容されている
請求項1〜3の何れか1項に記載のプリント基板積層体。
【請求項5】
前記絶縁板に、前記基板間端子を挿通して支持する台座が一体形成されている
請求項1〜4の何れか1項に記載のプリント基板積層体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−102626(P2013−102626A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245111(P2011−245111)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】