説明

プリント基板

【課題】 従来のプリント基板は、コイル24の自己インダクタンスの調整が、作業者の感覚で行われるため、バラツキが大きく、測定器による検査を必要とする上に、再度、調整作業が必要で、生産性が悪く、コスト高に成るという問題があった。
【解決手段】 本発明のプリント基板は、コイル3を取り付けた板状部材1に、コイル部3aの近傍領域Rに目盛り部4を設けたため、インダクタンスの調整時、目盛り部4が間隔調整の目印となって、その調整が正確で容易となり、生産性が良好で、安価なプリント基板を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はテレビジョンチューナ等に使用され、空芯のコイルを搭載したプリント基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のチューナに使用されるコイルを搭載したプリント基板Pは、図8に示すように、配線部21を設けた絶縁基板22の孔23に、配線部21とは反対の面から空芯のコイル24を挿通し、コイル24の端部を配線部21に半田付けして、コイル24が取り付け、接続されて、プリント基板Pが構成されるものである。
【0003】そして、このようにコイル24を取り付けたプリント基板Pは、チューナ(図示せず)に組み込まれて使用されるが、組み込まれた後、コイル24の自己インダクタンスを調整するようになっている。そして、その調整は、図9に示すように、調整具25によりコイル24の巻間隔を広げて自己インダクタンスの調整が行われる。しかし、この広げ具合いは、作業者の感覚で行うため、バラツキが大きく、測定器による検査を必要とする上に、再度、調整作業が必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のプリント基板は、コイル24の自己インダクタンスの調整が、作業者の感覚で行われるため、バラツキが大きく、測定器による検査を必要とする上に、再度、調整作業が必要で、生産性が悪く、コスト高に成るという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための第1の解決手段として、コイル部と取付部を有するコイルと、該コイルを取り付けた絶縁基板等から成る板状部材とを備え、前記コイルのコイル部が位置する前記板状部材の面に、前記コイル部の近傍領域において目盛り部を設けた構成とした。また、第2の解決手段として、前記目盛り部を、前記コイル部の両側部に沿って設けた構成とした。また、第3の解決手段として、前記目盛り部を、前記コイルの空芯軸方向、或いは空芯軸方向に略平行に設けた構成とした。更に、第4の解決手段として、二つの前記コイルが空芯軸方向に並設して前記板状部材に取り付けられ、この二つのコイル間において目盛り部を設けた構成とした。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明におけるチューナ等に使用されるプリント基板を図1〜図5に基づいて説明すると、図1は本発明のプリント基板の要部断面正面図、図2は本発明のプリント基板の拡大平面図、図3は本発明のプリント基板に係り、コイルの調整方法を示す説明図、図4は本発明のプリント基板に係り、目盛り部の領域を示す説明図、図5の(A)、(B)、(C)は本発明のプリント基板に係り、目盛り部の形態を示す説明図である。
【0007】次に、本発明のプリント基板Pを図1、図2に基づいて説明すると、プリント基板Pは、孔1aを有し、絶縁基板等から成る板状部材1と、板状部材1の一面である下面1bに形成された銅箔等のプリント配線から成る導体2と、一本の導線が巻き回されて形成され、コイル部3aと取付部3bとを有する空芯のコイル3と、板状部材1の他面である上面1cに形成された目盛り部4とを備えている。そして、コイル3は、その取付部3bを、板状部材1の上面1c側から孔1aに挿通し、取付部3bを導体2に半田付けして、コイル3が取り付け、接続されて、プリント基板Pが構成されている。また、コイル3が板状部材1に取り付けられた際は、コイル部3aの下部が板状部材1の上面1cに当接すると共に、図2に示すように、コイル部3cの側部の近傍に目盛り部4が位置した状態となっている。
【0008】そして、このようにコイル3を取り付けたプリント基板Pは、チューナ(図示せず)に組み込まれて使用されるが、組み込まれた後、コイル3の自己インダクタンスを調整するようになっている。そして、その調整は、図3に示すように、調整具5によりコイル3の巻間隔を広げたり、狭めたりすることにより自己インダクタンスの調整を行う。また、この調整時、作業者は目盛り部4を物差しとして、コイル3の巻間隔の調整を行うことが出来るように成っているため、所望の間隔調整を正確に行うことが出来る。
【0009】また、前記目盛り部4は、シルク印刷、レジスト材印刷等により板状部材1の面1cに形成され、この目盛り部4は、図4に示すように、空芯のコイル3のコイル部3aの近傍、即ち、コイル部3aの側部に位置する近傍領域R1,R2と、コイル3aの端部に位置する近傍領域R3,R4に設けることが可能で、目盛り部4を設ける前記近傍領域は、任意に、数、場所を選択しても良い。また、目盛り部4の形態は、図5の(A)に示すような同じ幅の線のもの、(B)に示すような長短線が交互に設けられたもの、更に、(C)に示すような漸次幅が狭くなった線のもの等、種々の形態が適用できるものである。そして、前記(B),(C)のような形態にすると、基準線からの目盛り線の数が分かり易く、間隔調整がより容易となる。
【0010】また、目盛り部4を構成する線の間隔は、例えば、コイル部3cの巻回のピッチの間隔、或いはコイル3の太さ、長さ等による調整度合いからの所望の間隔が選択可能で、また、目盛り部4の長さは、例えば、コイル部3cの一端を基準にしてコイル部3cの全長、或いは途中までの長さ、更に、図4に示す近傍領域R1,R2,R3,R4内での所望の長さが選択可能である。このように目盛り部4の間隔、長さを選択することにより、コイル3の形態によって最適な目盛り部4を選択できるものである。更に、目盛り部4は、調整時、コイル部3cの上方、或いは斜め上方から目視可能な場所に設ける必要があり、この観点から図4に示す近傍領域R1,R2,R3,R4が目視可能な場所であり、そして、図4に示すように、近傍領域R3,R4には、空芯のコイル3の空芯軸方向Yに対して、その軸方向Yに目盛り部4を、また、近傍領域R1,R2には、空芯軸方向Yに対して略平行に目盛り部4を設けることにより、より正確なコイル3の間隔調整を行うことが出来る。
【0011】また、図6、図7は本発明のもう一つの実施形態を示し、この実施形態は、二つのコイル3が空芯軸方向Yに並設して板状部材1に取り付けられ、この二つのコイル3間の板状部材1の面3cに、目盛り部4を設けたもので、その他の構成は上述のものと同様であるので、同一部材に同一符号を付し、ここではその説明を省略する。そして、このように、二つのコイル3を取り付けたものは、例えば、目盛り部4に合わせて一方のコイル3を、他方のコイル3側に倒すことによって、相互インダクタンスを調整するものである。また、目盛り部4は、図7に示した以外に、図4、図5に示したものを適用しても良い。
【0012】
【発明の効果】本発明のプリント基板は、コイル3を取り付けた板状部材1に、コイル部3aの近傍領域Rに目盛り部4を設けたため、インダクタンスの調整時、目盛り部4が間隔調整の目印となって、その調整が正確で容易となり、生産性が良好で、安価なプリント基板を提供できる。また、目盛り部4を、コイル部3aの両側部に設けることにより、上方からの目盛り部4が見やすく、コイル部3aの空芯軸方向に対して正確な垂直方向の調整が出来、インダクタンスの調整が正確に出来る。また、目盛り部4を、空芯軸方向Y方向、或いは空芯軸方向Yに対して略平行に設けることにより、コイル3のより正確な調整作業ができる。更に、二つのコイル3間に目盛り部4を設けることにより、相互インダクタンスの調整が容易で、且つ、正確に出来るプリント基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプリント基板の要部断面正面図。
【図2】本発明のプリント基板の拡大平面図。
【図3】本発明のプリント基板に係り、コイルの調整方法を示す説明図。
【図4】本発明のプリント基板に係り、目盛り部の領域を示す説明図。
【図5】本発明のプリント基板に係り、目盛り部の形態を示す説明図。
【図6】本発明のプリント基板の他の実施形態を示す要部断面正面図。
【図7】図7における平面図。
【図8】従来のプリント基板の要部断面正面図。
【図9】従来のプリント基板に係り、コイルの調整方法を示す説明図。
【符号の説明】
P プリント基板
1 板状部材
1a 孔
1b 下面
1c 上面
2 導体
3 コイル
3a コイル部
3b 取付部
4 目盛り部
5 調整具
R1 近傍領域
R2 近傍領域
R3 近傍領域
R4 近傍領域
Y 空芯軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】 コイル部と取付部を有するコイルと、該コイルを取り付けた絶縁基板等から成る板状部材とを備え、前記コイルのコイル部が位置する前記板状部材の面に、前記コイル部の近傍領域において目盛り部を設けたことを特徴とするプリント基板。
【請求項2】 前記目盛り部を、前記コイル部の両側部に沿って設けたことを特徴とする請求項1記載のプリント基板。
【請求項3】 前記目盛り部を、前記コイルの空芯軸方向、或いは空芯軸方向に略平行に設けたことを特徴とする請求項1、又は2記載のプリント基板。
【請求項4】 二つの前記コイルが空芯軸方向に並設して前記板状部材に取り付けられ、この二つのコイル間において目盛り部を設けたことを特徴とする請求項1、又は3記載のプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開平10−313155
【公開日】平成10年(1998)11月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−121046
【出願日】平成9年(1997)5月12日
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)