説明

プリント基板

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明はメモリーカートリッジ等の比較的大きな静電気耐圧を要求される携帯型情報機器に用いることが出来るプリント基板に関するものである。
従来の技術 近年、ICカード,メモリーカートリッジなどの小型で薄い携帯型情報機器の開発が盛んとなってきている。
以下、図面を参照しながら従来の携帯型情報機器用プリント基板について説明する。第3図は従来の携帯型情報機器の構成を示した分解斜視図である。1はコネクターであり、外部機器との接続を行う。2はプリント基板で、少なくとも一個以上の半導体素子3が搭載され、相互に接続されている。半導体素子3としては、その携帯型情報機器の用途によりCPUや、RAM,ROM等が用いられる。また、その実装方法もフラットパッケージを用いるものやベアチップを用いるものなどさまざまである。4は本体ケース、5は銘板で、それぞれプリント基板2と接着されて携帯型情報機器を構成している。
ところで、上記のような携帯型の情報機器では、比較的大きな静電気耐圧が要求される。以下、図面を参照しながら従来の静電気対策について説明する。第4図a,bは従来の静電気対策を施したプリント基板の平面図である。第4図aにおいて、2はプリント基板、3は半導体素子、6は入出力端子である。第3図と対応する部分には同じ番号が付けてある。7は入出力バッファーで、静電気耐圧の大きな半導体素子3を用いて構成されている。また、第4図bは、入出力バッファー7の代りにシリーズ抵抗8を入出力端子6と半導体素子3の間に入れることにより静電気耐圧を大きくしている。
発明が解決しようとする課題 しかしながら上記のような構成においては、入出力バッファーあるいはシリーズ抵抗といった入出力保護回路を基板上に実装しなければならず、メモリーカートリッジのように入出力端子が多くなるとそれにともない保護回路の数も多くなり、基板に対する保護回路の占有面積が増大し、半導体装置自身を小型にすることが困難となっていた。また、入出力端子6と半導体素子3の間に保護回路が入るため信号伝播時間の遅延が生じる。そのため、半導体装置のアクセス時間が、その内部の半導体素子3のアクセス時間よりも大幅に遅くなるといった問題点を有していた。
本発明は上記問題点に鑑み、高密度実装,高静電気耐圧を可能とするプリント基板を提供するものである。
課題を解決するための手段 上記問題点を解決するために、本発明のプリント基板は、外部機器との入出力端子間を高抵抗導電部材により接続するものである。
作用 本発明は、上記した構成によって、プリント基板の入出力端子間、すなわち、プリント基板上に実装されている半導体素子の各端子間が導電部材により接続されるため、ある入出力端子に静電気による高電圧が生じたとしても、速やかに、導電部材により接続されている端子は同電位となるため、静電気による半導体素子の破壊は起こらない。また、導電部材は高抵抗であるため、動作に支障は生じない。すなわち、従来のように特別な入出力保護回路を設けなくても、静電気耐圧の大きなプリント基板を実現することが出来る。
実施例 以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
第1図a,bはそれぞれ、本発明の一実施例にかかるプリント基板の平面図と入出力端子部分の断面図を示すものである。第1図において、2はプリント基板、3は半導体素子、6は入出力端子、9は高抵抗導電部材である。従来例を示す第3図,第4図と対応する部分には同じ番号が付けてある。本実施例では、高抵抗導電部材として、カーボンフィラーを混入したソルダーレジストを用い、スクリーン印刷法により形成した。このようにすると、従来の生産設備を変更することなく形成できるため便利である。
また、第2図は本発明のプリント基板をメモリーカートリッジに応用した際のブロック図を示したものである。第2図において、10は制御回路で、アドレス信号によりメモリーブロック11の内の一つのICを選択する。また、制御信号線13をGNDレベルとすることにより、カートリッジ全体のアクセスを禁止する。12は電源制御回路で、VCC16,GND17を各ブロックに供給する。14はアドレス信号線、15はデータ信号線である。なお、実際の製品ではプリント基板上の入出力端子6にはコネクターが半田付けしてある。高抵抗導電部材9は第2図中では抵抗として示してある。
以上のように構成された本実施例のプリント基板について、以下その動作を説明する。高抵抗導電部材9により、プリント基板の入出力端子6間、すなわち、制御回路10,電源制御回路12,メモリーブロック11に実装されている半導体素子3の各端子間が接続されている。このため、ある入出力端子6に静電気による高電圧が生じたとしても、速やかに、すべての端子は同電位となり、静電気による半導体素子3の破壊は起こらない。また、導電部材は高抵抗であるため、動作に支障は生じない。すなわち、従来のように特別な入出力保護回路を設けなくても、静電気耐圧の大きなプリント基板を実現することが出来る。
また、回路的にはすべての信号線はVCCと抵抗を介して接続されるため、プルアップ抵抗が入っているのと同等の効果を得ることができる。なお、この際GND端子も抵抗を介してVCCに接続されるが、動作時にこの抵抗に余分に電流が流れるだけで、他に悪影響はない。また、その電流値も抵抗値が大きいためそれほど大きな値にはならない。実際に本回路構成で動作させても何等の問題も生じていない。
更に、外部機器との接続を外した場合、すべての端子は同電位となる。そのため、制御信号線13はGND線17と同電位となり、カートリッジに対するすべてのアクセスが禁止される。すなわち、本回路構成ではカートリッジと外部機器との接続を外すだけで、容易に待機状態にすることが出来る。
以上のように本実施例によれば外部機器との入出力端子間を高抵抗導電部材により接続したことにより特別な静電気保護回路を設けることなく、大きな静電気耐圧をもつ携帯型情報機器を実現している。更に、高抵抗導電部材はプルアップ抵抗としても機能するためデータ書き込み時の信頼性の高い機器を、特別な付加回路無しで構成することが出来る。更に、制御信号と組み合せることにより、何等の特別な回路を付加することなく、外部機器との接続を外すだけで携帯型情報機器を待機状態とすることが出来る。
なお、上記実施例では高抵抗導電部材9をカーボンフィラーを混入したソルダーレジストとしたが高抵抗導電部材はソルダーレジストに限定されるものではなく、導電性を有し、大きな抵抗率を持つものであれば何でもよい。
また、上記実施例ではメモリーカートリッジに対する応用例について説明したが、本発明に限定されるものではなく、外部機器との接続端子を有し、静電気耐圧の要求される機器すべてに適用することが出来る。
発明の効果 以上の説明から明らかなように、本発明は外部機器との入出力端子間を高抵抗導電部材により接続しているので特別な静電気保護回路を設けることなく、大きな静電気耐圧を実現することが出来るという効果が得られる。更に、高抵抗導電部材はプルアップ抵抗としても機能するためデータ書き込み時の信頼性の高い機器を、特別な付加回路無しで構成することが出来る。更に、外部機器との接続を外せば、高抵抗導電部材により接続されている端子はすべて同電位となるため、制御信号と組み合せることにより、特別な回路を付加すること無く、外部機器との接続を外すだけで、その状態を制御することが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図a,bは本発明の一実施例にかかるプリント基板の平面図と入出力端子部分の断面図、第2図は本発明のプリント基板をメモリーカートリッジに応用した際のブロック図、第3図は従来の携帯型情報機器の構成を示した分解斜視図、第4図a,bは従来の静電気対策を施したプリント基板の平面図である。
1……コネクター、2……プリント基板、3……半導体素子、4……本体ケース、5……銘板、6……入出力端子、7……入出力バッファー、8……シリーズ抵抗、9……高抵抗導電部材、10……制御回路、11……メモリーブロック、12……電源制御回路、13……制御信号、14……アドレス信号線、15……データ信号線、16……VCC、17……GND。

【特許請求の範囲】
【請求項1】入出力端子を備え、少なくとも一つ以上の半導体素子を実装するとともに、前記入出力端子間を高抵抗導電部材により接続し、前記高抵抗導電部材としてカーボンフィラーを混入したソルダーレジストを用いたことを特徴とするプリント基板。

【第1図】
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【第4図】
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【第2図】
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【第3図】
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【特許番号】第2615813号
【登録日】平成9年(1997)3月11日
【発行日】平成9年(1997)6月4日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−102110
【出願日】昭和63年(1988)4月25日
【公開番号】特開平1−273380
【公開日】平成1年(1989)11月1日
【出願人】(999999999)松下電器産業株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭57−30297(JP,A)
【文献】特開 昭62−128190(JP,A)
【文献】特開 昭63−62108(JP,A)