説明

プリント装置

【課題】記録画像の色彩に対する乾燥条件の影響を除去する、測色器を有するプリント装置。
【解決手段】シートにインクを付与するプリント部と、プリント部によりインクが付与されたシートを、強制的に乾燥させる乾燥部と、シートを測色する測色部と、プリント部によりインクが付与されたシートについて、乾燥部により乾燥させた後に測色部により測定した測色値と、自然乾燥した後に測色部により測定した測色値との対応関係により導出された修正値を用いて、乾燥部による乾燥後の測色値から、自然乾燥した場合の測色値に近似する修正測色値を算出する補正手段と、を備えるプリント装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに記録されたカラーパッチを測色する測色器を備えたプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像プリント装置の1つであるインクジェットプリント装置には、測色機能を備えたものがある。このようなインクジェットプリント装置によれば、カラーキャリブレーション(色補正)等を目的に、記録後のカラー画像を測色し、その色データを基に測色結果を次回以降の画像記録に反映させて、所望の色再現性を得ることができる。測色用のカラー画像としては、各色のカラーパッチを格子状に配列したパターンが一般的である。
【0003】
特許文献1は、カラーパッチを記録した時の環境温度の違いによりカラーパッチの測色値に微妙な変化が生じる得ることを開示している。特許文献1は、記録時の環境温度の影響を除去するために、基準とする環境温度と記録時の環境温度との温度差に応じて測色結果に対して補正を行うための規定テーブルを使用し、実測した測色結果に修正を加えたものを測色値とすることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−168543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高精度の測色を行うためには、測色時にカラーパッチのインクが乾燥している必要がある。記録完了から測色までの時間を短縮するために、乾燥機を使用して温風を当てるなどの手段により、カラーパッチが記録されたシートを強制的に乾燥させる場合がある。
【0006】
しかしながら、乾燥機を使用してインクの乾燥を促すと、得られたカラーパッチは自然乾燥したカラーパッチとは色彩に変色による差が生じ得る。また、この変色したカラーパッチを測色した結果から導き出される色再現性のための補正値は、本来必要とされる補正値からの誤差を有し、この補正値を用いてカラーキャリブレーションを行うと、その後に記録する画像の色彩が正しいものではなくなってしまう。
【0007】
上述の特許文献1には、カラーパッチを記録する時の環境温度の影響について開示されているものの、記録をした後の乾燥についての言及がなく、乾燥条件および乾燥具合が測色値に及ぼす影響に関する記載はない。
【0008】
したがって、乾燥機により強制的に乾燥させたカラーパッチの実測した測色値に基づいて、自然乾燥した時の測色値を求めることができ、画像の良好な色再現性を実現させることのできるインクジェットプリント装置への要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明のインクジェットプリント装置は、シートにインクを付与するプリント部と、プリント部によりインクが付与されたシートを、強制的に乾燥させる乾燥部と、シートを測色する測色部と、プリント部によりインクが付与されたシートについて、乾燥部により乾燥させた後に測色部により測定した測色値と、自然乾燥した後に測色部により測定した測色値との対応関係により導出された修正値を用いて、乾燥部による乾燥後の測色値から、自然乾燥した場合の測色値に近似する修正測色値を算出する補正手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乾燥後にカラーパッチを測色した値を、乾燥機を使用していても自然乾燥の場合と近似した数値として出力できる。これにより、測色における信頼性が高くなり、プリント装置のカラーキャリブレーションの精度が向上し、記録画像において良好な色再現性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係るインクジェットプリント装置の構成例を示す概略側面図である。
【図2】本実施形態に係るインクジェットプリント装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】乾燥機使用の有無による測色パッチの色彩の差の発生例を示すグラフである。
【図4】(a)から(c)は、同一の用紙に対して異なるインクを記録した際のインクの乾燥具合と色彩の差とを例示するグラフである。
【図5】(a)から(c)は、同一のインクを異なる用紙に対して記録した際のインクの乾燥具合と色彩の差とを例示するグラフである。
【図6】本実施形態に係るインクジェットプリント装置の制御手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明の1つの例であり、実施形態の中の説明は解決手段を限定するものではなく、実施形態が必須であるとは限らず、インクとシートとの関係も全てのインク、シートで同様であるとは限らない。
【実施例】
【0013】
(プリント装置全体の説明)
図1は、本発明の実施の形態に係る、JIS規格のA0判やB0判等の比較的大きなサイズのシートにまで記録できるインクジェットプリント装置の構成例の側面図である。インクジェットプリント装置は、プリント装置本体100とスタンド200とを分離可能に備えて構成されている。スタンド200には、シート収納装置300が装着されている。プリント装置本体100には、下部に給紙部110が具備され、中央付近に、記録ヘッド12およびキャリッジ11を備えるプリント部10、測色部1、および乾燥部2が、シートが搬送される方向に沿って上流から下流に向かってこの順に、水平に設けられている。測色部1の下方、および乾燥部2の下方の測色部1から排紙方向下流側には、測色動作に影響を及ぼさない範囲において構成された測色の基準となる排紙ガイド16が具備される。
【0014】
ここで、測色部1による測色工程について説明する。まず、測色部1を、排紙ガイド16に案内されたシートを押圧するように、排紙ガイド16の直上方向の待機位置から測色位置に下降させる。測色部1の内部に具備された不図示のセンサをシート搬送方向と交差(ここでは直交)する方向へ駆動しながらシートに記録されたカラーパッチ部を読み取ることで、所望のデータを取得する。データ取得後は、測色部1を排紙ガイド16の直上方向の待機位置へ退避させる。測色は、以上の工程により行われる。
【0015】
プリント装置本体100は、シートの切断を行うカッター13を具備している。プリント装置本体100でのジョブが完了したシートの切断部はカッター13で切断され、切断されたシートはシート収納装置300へ排紙される。
【0016】
このような構成のインクジェットプリント装置で記録を行う場合は、ロール状シートを給紙部110にセットしプリント装置本体100の奥行き方向(図1における右方向)に向けて給紙した後、Uターン部でシートの搬送方向を変えてプリント部10まで搬送する。その後、ユーザーが入力インターフェイス(不図示の操作パネル)にてシートの用紙種類やサイズ、その他記録に必要な情報を入力して記録を開始させる。なお、前記用紙種類やサイズ、その他記録に必要な情報は、プリント装置内部に内蔵されたRAM(不図示の記憶制御部)に記憶され、プリント装置本体100で記録を行うためのパラメータとして用いられる。記録が開始されると、プリント装置本体100はシートを水平に搬送し、シートの先端部を検知することで用紙の有無を確認する不図示の検知センサが用紙の有無を確認する。用紙が有ることを確認した後に、記録ヘッド12をシート搬送方向と交差(ここでは直交)する方向に移動させながらインクを吐出させて、シートに所定の情報を記録する。
【0017】
以下、本発明の実施形態の記録、乾燥、測色の一連の動作を説明する。
【0018】
図2は、本実施形態における制御系の構成の1つの例を示すブロック図である。CPU101は、ROM103に記憶された制御プラグラムに従った記録、乾燥、測色の制御、および格納された測色値修正テーブルに基づく測色値の修正を行う。CPU101にはホストコンピューター105から記録データ、記録モード設定情報等が入力インターフェイス104を介して入力される。また、CPU101は、記録データ等をRAM102に書き込んだりまたは読み出したりするようになっている。CPU101は、記録ヘッド12、キャリッジ昇降モータ17、シート搬送モータ18、キャリッジモータ19、乾燥ファン20、測色キャリッジモータ21、温度・湿度測定部23の制御を行う。これらの制御は、ホストコンピューター105からの記録データ、記録モード設定情報、および測色センサ22からの測色データをもとに行われる。
【0019】
図3は、測色用のパッチ(以下単に測色パッチともいう)を記録した後に乾燥機を使用して乾燥させた場合(実線)および自然乾燥した場合(破線)の測色パッチの測色値の変動を示したグラフである。グラフの縦軸は、測色値としての色差(本来の色彩との差、ΔE)を示し、横軸は、測色時点における記録完了からの経過時間(t)を示す。図3のグラフは、時間が経過するにつれてインクの乾燥が進み、その結果、測色値が小さい値に収束していき安定する様子を表している。乾燥機を使用すると、自然乾燥した場合と比べて、乾燥までの経過時間が短くなるが、測定値に差が生じる。このグラフは、あるシートに対して、ある1色のインクを記録した時の例である。
【0020】
図4(a)から(c)は、同一のシート(普通紙)に対して異なる色のインクを一定のインク付与量で記録したときの、記録後に乾燥機を使用して乾燥させた場合(実線)および自然乾燥した場合(破線)の経過時間に対する測色値の変動の例を示したグラフを示す。異なる色のインクとしては、A(シアン:C)、B(マットブラック:MBk)、およびC(イエロー:Y)を用い、図4(a)から(c)にそれぞれの結果を示す。本明細書において、「インク付与量」とは、シートの単位面積当たりに付与されるインクの量をいうものとする。図3の場合と同様に、グラフの縦軸は、測色値としての色差(ΔE)を示し、横軸は、測色時点における記録完了からの経過時間(t)を示す。いずれのグラフにおいても、測色値は、時間が経過しインクの乾燥が進むにつれて小さい値に収束していき、最終的には一定の値に安定化する。以下に、インク種類(インク色)の違いの影響について検討する。
【0021】
図4(a)を参照して、インクA(シアン)を用いたときは、乾燥機を使用した場合と、乾燥機を使用せずに自然乾燥した場合とで、乾燥により測色値が安定するまでの経過時間に差があり、かつ安定後の測色値の差は大きい。図4(b)を参照して、インクB(マットブラック)を用いたときは、乾燥機を使用した場合と、乾燥機を使用せずに自然乾燥した場合とで、乾燥により測色値が安定するまでの経過時間は共に長く、安定後の測色値の差は小さい。ここで、インクBは、インクAよりも表面張力が高い。図4(c)を参照して、インクC(イエロー)を用いたときは、乾燥機を使用した場合と、乾燥機を使用せずに自然乾燥した場合とで、乾燥により測色値が安定するまでの経過時間は共に短く、安定後の測色値の差は大きい。ここで、インクCは、インクAよりもシートに対する浸透性が高く乾燥し易い。
【0022】
以上の例に挙げた3種類(3色)のインクについての測定結果から、記録対象のシートとして同一のシートを使用して一定のインク付与量で記録しても、記録するインクの種類(色)が異なると、乾燥の速さや、乾燥後の測色結果に差があることが分かる。
【0023】
図5(a)から(c)は、異なるシートに対して同一のインク(シアン)を一定のインク付与量で記録したときの、記録後に乾燥機を使用して乾燥させた場合(実線)および自然乾燥した場合(破線)の経過時間に対する測色値の変動の例を示したグラフを示す。異なるシートとしては、シート1(普通紙にインク受容層を設けた構成のコート紙)、シート2(普通紙)、およびシート3(普通紙に光沢層を設けた構成の光沢紙)を用い、図5(a)から(c)にそれぞれの結果を示す。図3の場合と同様に、グラフの縦軸は、測色値としての色差(ΔE)を示し、横軸は、測色時点における記録完了からの経過時間(t)を示す。いずれのグラフにおいても、測色値は、時間が経過しインクの乾燥が進むにつれて小さい値に収束していき、最終的には一定の値に安定化する。以下に、シート種類の違いの影響について検討する。
【0024】
図5(a)を参照して、シート1(コート紙)を用いたときは、乾燥機を使用した場合と、乾燥機を使用せずに自然乾燥した場合とで、乾燥により測色値が安定するまでの経過時間に差があり、かつ安定後の測色値の差は大きい。図5(b)を参照して、シート2(普通紙)を用いたときは、乾燥機を使用した場合と、乾燥機を使用せずに自然乾燥した場合とで、乾燥により測色値が安定するまでの経過時間は共に長く、安定後の測色値の差は大きい。ここで、シート2は、シート1よりもインクの浸透性が低い。図5(c)を参照して、シート3(光沢紙)を用いたときは、乾燥機を使用した場合と、乾燥機を使用せずに自然乾燥した場合とで、乾燥により測色値が安定するまでの経過時間は共に短く、安定後の測色値の差は小さい。ここで、シート3は、シート1よりもインクが乾燥し易い。
【0025】
以上の例に挙げた3種類のシートについての測定結果から、記録に同一のインクを一定のインク付与量で使用しても、記録対象のシートの種類が異なると、乾燥の速さや、乾燥後の測色結果に差があることが分かる。
【0026】
不図示ではあるが、乾燥機から送り出される乾燥風の風量、シートの単位面積当たりに付与されるインクの量(インク付与量)等の種々の条件によっても、乾燥の速さや、乾燥後の測色結果に差が発生する。
【0027】
以上を踏まえ本発明では、乾燥風の風量、記録品質(インク付与量)、インク種類(色)、シート種類、乾燥時間等の乾燥具合に影響を与える条件毎に、実測した測色値に対して誤差分を修正する測色値修正を行う。
【0028】
測色値修正について、以下に詳細に説明する。通常、プリント装置では、測色パッチを記録し、その乾燥後の色彩(例えば、色差(ΔE))を測色し、その測色値に基づき、以降に記録される画像に良好な色彩再現性が得られるような色補正値を設定して、カラーキャリブレーションを行う。しかしながら、測色パッチ以外の画像を記録する通常の記録(以下、通常記録ともいう)においては、記録した画像を、乾燥機を使用せずに自然乾燥する場合が多い。上述のように、乾燥後の画像の測色値は乾燥具合に応じて異なり得る。したがって、測色パッチの測色値に基づき設定される色再現性のための色補正値は、それとは別の乾燥条件で乾燥を行う通常記録のために本来必要とされる色補正値からの誤差を有し得る。そのような誤差を解消するために、乾燥機で乾燥した後に実測した測色値に対して誤差分を修正する測色値修正を行う。修正した測色値に基づいて設定される色補正値を用いてカラーキャリブレーションを行うことにより、以降に記録され自然乾燥される画像に良好な色彩再現性が得られる。
【0029】
本実施形態においては、まず、記録した測色パッチに関して、プリント装置の使用環境(温度・湿度)において自然乾燥したときの経過時間における色彩と、乾燥機を使用して強制的に乾燥させたときの経過時間における色彩との対応関係を把握する。把握した対応関係に基づき、乾燥機を使用して乾燥させたときの実測した測色値から、それに対応する自然乾燥した場合の測色値を導出する。
【0030】
具体的には、例えば、強制乾燥時と自然乾燥時との間の測色値の差分を誤差(以下、修正値ともいう)として算出し、実測した測色値にこの誤差分(修正値)を加算/減算した値を、修正した測色値とする。実測した測色値とその修正に用いる誤差の値(修正値)との対応関係をまとめた測色値修正テーブルをROMに格納しておき、これを用いてCPUにより、実測した測色値から修正した測色値を導出する。あるいはまた、測色値修正テーブルは、実測した測色値と修正した測色値との対応関係をまとめたテーブルであってもよい。
【0031】
このようにして、乾燥機により乾燥させた記録画像を実測した測色値(実測測色値)から、プリント装置の使用環境において自然乾燥をしていたならば得られたであろう(自然乾燥させた記録画像の測色値に近似した)測色値(修正測色値)を求めることができる。
【0032】
また、以上に説明した測色値修正手段を用いることにより、乾燥条件もしくは乾燥具合の違いにより生じた測色値の誤差(修正値)を勘案した、プリント装置のカラーキャリブレーションのための色補正値を求めることができる。これにより、プリント装置の使用環境において自然乾燥したときに記録画像が最適な色彩となるような、測色パッチの測色値に基づくカラーキャリブレーションのための修正した色補正値(修正色補正値)を算出することができる。
【0033】
また、通常記録の画像を、乾燥時間の短縮等を目的として、乾燥機を使用して強制的に乾燥させる場合がある。この場合は、通常記録画像を乾燥機で乾燥させたときの測色値と、自然乾燥で乾燥させたときの測色値との差分を算出し、対応関係を求める。上述のようにして求めたカラーキャリブレーションのための修正色補正値(第1修正色補正値)に対して、この差分を勘案した修正を加える。これにより、プリント装置の使用環境において通常記録のための乾燥条件で乾燥したときに記録画像が最適な色彩となるような、測色パッチの測色値に基づくカラーキャリブレーションのための修正色補正値(第2修正色補正値)を算出することができる。第2修正色補正値を用いてキャリブレーションを行いつつ記録を行うことで、通常記録の画像を乾燥機により強制的に乾燥させた場合でも、良好な色再現性が得られる。
【0034】
記録時の周囲環境の温度・湿度条件に応じて、乾燥具合に影響を与える条件毎の修正色補正値を準備することにより、より精度の高いカラーキャリブレーションが可能となり、良好な色再現性が実現できる。
【0035】
図6は、本実施形態の記録、乾燥、測色の一連の動作の制御手順を例示したフローチャート図である。
【0036】
ホストコンピューター(PC)105から記録データ、記録モード設定情報等がプリント装置に転送されると、CPU101は、記録モード設定情報に従って、行うべき記録制御を決定する(ステップS01)。記録制御を決定すると、不図示のミストファン、不図示のプラテンファン、および乾燥ファン20の駆動を開始させる(ステップS02)。
【0037】
プリント部10のキャリッジ11の位置(高さ)をキャリッジ昇降モータ17で変更する(ステップS03)。シートを記録開始のための位置に搬送する(ステップS04)。シートに対して記録ヘッドを相対的に移動させつつ記録ヘッドからインクを吐出する記録動作を開始する(ステップS05)。CPU101は、記録すべき画像の記録が正常に終了したか否かを判断する(ステップS06)。CPU101は、記録すべき画像の記録が正常に終了したと判断した場合は、記録動作を正常終了する(ステップS07)。CPU101は、記録すべき画像の記録が正常に終了していないと判断した場合は、エラーを出力し(ステップS08)、制御を終了する。
【0038】
ステップS07で記録動作が正常終了した後、測色を行わない場合は、シートをカット位置まで搬送し、プリント部10に配設されたカッター部13によりカットし、カットしたシートをプリント装置から排紙して、制御を終了する(ステップS11)。測色を行う場合は、シートを乾燥位置まで搬送する(ステップS10)。乾燥位置で、シートを乾燥部2により所定の時間にわたって乾燥させる(ステップS12)。
【0039】
所定の時間にわたって乾燥させた後、記録した画像の測色すべき部分が測色部1による測色領域に配置されるようにシートをバックフィードさせる(ステップS13)。測色部1を待機位置から測色位置に移動させ、測色キャリッジモータ21を駆動し、測色部1の内部に具備された測色センサ22を走査させ、記録した画像の測色すべき部分の1列分の測色値を取得する(ステップS14)。測色部1を測色位置から待機位置に移動させる(ステップS15)。
【0040】
ROM103に格納された測色値修正テーブルから、周囲環境の温度・湿度、インク種類(色)、乾燥風の風量、シート種類、記録品質(インク付与量)、乾燥時間等の該当する条件に応じた修正値を読み出し、読み出した修正値を取得した測色値に加算する。加
算して得られた測色データ(修正測色値)をCPU101に転送する(ステップS16)。
【0041】
全色の測色パッチの測色が終了していない時は(ステップS17)、ステップS13からS16を繰り返す。全ての測色パッチの測色データを取得した後は(ステップS17)、RAM102内に測色データを保存して、測色を終了する(ステップS18)。取得した測色データは、ホストコンピューター105に送られ、以後の色補正情報として利用される。
【0042】
乾燥ファン20、およびミストファンの駆動を停止させる(ステップS19)。シートをカット位置まで搬送する(ステップS20)。搬送されたシートをプリント部10に配設されたカッター部13によりカットした後、カットされたシートをシート収納装置300内へ排出し(ステップS21)、制御を終了する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートにインクを付与するプリント部と、
前記プリント部によりインクが付与されたシートを、強制的に乾燥させる乾燥部と、
シートを測色する測色部と、
前記プリント部によりインクが付与されたシートについて、前記乾燥部により乾燥させた後に前記測色部により測定した測色値と、自然乾燥した後に前記測色部により測定した測色値との対応関係により導出された修正値を用いて、前記乾燥部による乾燥後の測色値から、自然乾燥した場合の測色値に近似する修正測色値を算出する補正手段と、
を備えることを特徴とするプリント装置。
【請求項2】
前記対応関係は、前記インクの色ごとに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント装置。
【請求項3】
前記乾燥部は、前記シートに対して乾燥風を吹き付けることによって前記シートを強制的に乾燥させるものであり、
前記対応関係は、前記乾燥風の風量ごとに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント装置。
【請求項4】
前記対応関係は、前記シートの種類ごとに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント装置。
【請求項5】
前記対応関係は、前記シートに付与された前記インクの量ごとに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント装置。
【請求項6】
前記対応関係は、前記乾燥部により前記シートを強制的に乾燥させる時間ごとに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント装置。
【請求項7】
前記プリント部によりインクが付与されたシートについて、前記乾燥部により乾燥させた後に前記測色部により測定した測色値と、自然乾燥した後に前記測色部により測定した測色値との差分に基づいて、前記補正手段により算出した修正測色値に基づき設定されたカラーキャリブレーションのための色補正値を修正する修正手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のプリント装置。
【請求項8】
シートが搬送される方向に沿って上流から下流に向かって、前記プリント部、前記測色部、前記乾燥部の順に設けられており、
前記プリント部でカラーパッチを記録したシートを、下流に向けて送って前記乾燥部で乾燥させ、次いで、前記シートを上流に向けて送り戻して前記カラーパッチを前記測色部で測色し、測色の済んだ前記シートは下流に向けて搬送して排出することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のプリント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−111759(P2013−111759A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257086(P2011−257086)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】