説明

プリント配線板の製造方法およびプリント配線板

【課題】接続信頼性を確保しつつ電子部品の電極のファインピッチ化に対応可能なプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】プリント配線板1の製造方法は、シード層13を有する基材20を準備する第1の工程S10と、第1及び第2の開口31,32を有するレジストパターン30をシード層13上に形成する第2の工程S20と、第1の開口31内に形成した第1の接着層16によって半導体デバイス15を基材20に接着する第3の工程S30と、シード層13上に形成されためっき層14を第2の開口32内に満たすことで、電極153とめっき層14とを直接接続する第4の工程S40と、レジストパターン30を除去する第5の工程S50と、シード層13の露出領域を除去する第6の工程S60と、半導体デバイス15と絶縁性フィルム11の間の空隙60に第2の接着層17を形成する第7の工程S70と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が実装されたプリント配線板の製造方法、及びその製造方法によって製造されたプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップをプリント基板に実装する技術として、半導体チップとプリント基板との間に異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を介在させて、当該ACFの導電性フィラーによって半導体チップの電極とプリント基板の配線とを電気的に接続するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−217146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術では、半導体チップの電極間のピッチが狭くなるほど(ファインピッチ化するほど)、端子や配線自体の表面積が小さくなるので、これらの間に十分な量の導電性フィラーを介在させることが難くなる。また、電極間のピッチが狭くなるほど、隣接する電極が導電性フィラーを介して短絡する可能性が高くなる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、接続信頼性を確保しつつ電子部品の電極のファインピッチ化に対応可能なプリント配線板の製造方法及びプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係るプリント配線板の製造方法は、電極を有する電子部品が実装されたプリント配線板の製造方法であって、絶縁層と、前記絶縁層に形成された導電層と、を有する基材を準備する第1の工程と、第1の開口と第2の開口とを有するレジストパターンを、前記導電層の上に形成する第2の工程と、前記第1の開口内に第1の接着層を形成し、前記第1の接着層によって前記電子部品を前記基材に接着する第3の工程と、前記導電層の上にめっき層を形成し、前記めっき層を前記第2の開口内に満たすことで、前記電極と前記めっき層とを直接接続する第4の工程と、前記レジストパターンを除去する第5の工程と、前記導電層において前記めっき層又は前記第1の接着層から露出している領域を除去する第6の工程と、前記電子部品と前記絶縁層との間に形成された空隙に、電気絶縁性を有する第2の接着層を形成する第7の工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
[2]上記発明において、前記第2の開口は、前記プリント配線板の配線パターンに対応した部分を含み、前記第4の工程は、前記電極と前記めっき層との接続と同時に、前記配線パターンを形成することを含んでもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記第7の工程は、接着剤を加熱して硬化させることで前記第2の接着層を形成することを含み、前記接着剤は、硬化に伴って収縮してもよい。
【0009】
[4]本発明に係るプリント配線板は、電極を有する電子部品と、前記電極に対応した形状を少なくとも含む導電層と、前記導電層が形成された絶縁層と、前記導電層の上に形成されためっき層と、電気絶縁性を有し、前記電子部品と前記絶縁層とを接着する接着層と、を備え、前記電極は、前記めっき層に直接接続されていることを特徴とする。
【0010】
[5]上記発明において、前記接着層は、前記電子部品と前記基材とを相互に引き寄せるように接着していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、電子部品の電極を、絶縁層上に導電層を介して形成されためっき層に直接接続するので、接続信頼性を確保しつつ電子部品の電極のファインピッチ化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(a)は、本発明の実施形態におけるプリント配線板の平面図であり、図1(b)は、図1(a)のIB-IB線に沿った断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】図3(a)は、図2のステップS10におけるプリント配線板の平面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIB-IIIB線に沿った断面図である。
【図4】図4(a)は、図2のステップS20におけるプリント配線板の平面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVB-IVB線に沿った断面図である。
【図5】図5(a)は、図2のステップS30におけるプリント配線板の平面図であり、図5(b)は、図5(a)のVB-VB線に沿った断面図である。
【図6】図6(a)は、図2のステップS40におけるプリント配線板の平面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIB-VIB線に沿った断面図である。
【図7】図7(a)は、図2のステップS50におけるプリント配線板の平面図であり、図7(b)は、図7(a)のVIIB-VIIB線に沿った断面図である。
【図8】図8(a)は、図2のステップS60におけるプリント配線板の平面図であり、図8(b)は、図8(b)のVIIIB-VIIIB線に沿った断面図である。
【図9】図9(a)は、図2のステップS70におけるプリント配線板の平面図であり、図9(b)は、図9(a)のIXB-IXB線に沿った断面図である。
【図10】図10(a)は、本発明の他の実施形態のステップS20におけるインタポーザの平面図であり、図10(b)は、図10(a)のXB-XB線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
先ず、本実施形態におけるプリント配線板1の構造について、図1(a)及び図1(b)を参照しながら説明する。
【0015】
図1(a)は本実施形態におけるプリント配線板の平面図であり、図1(b)は図1(a)のIB-IB線に沿った断面図である。
【0016】
本実施形態におけるプリント配線板1は、例えば、半導体集積回路等を有する半導体デバイス15が実装されたフレキシブルプリント配線板であり、図1(a)及び図1(b)に示すように、絶縁性フィルム11と、配線パターン12と、半導体デバイス15と、を備えている。
【0017】
絶縁性フィルム11は、電気絶縁性及び可撓性を有する樹脂フィルムである。この絶縁性フィルム11を構成する材料としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエステル(PE)、ガラスエポキシ樹脂等を例示することができる。なお、絶縁性フィルム11に代えて、ガラスエポキシ樹脂、セラミックス、ガラス等のリジッドな絶縁性基板を用いてもよい。
【0018】
配線パターン12は、シード層13と、めっき層14と、から構成されている。
【0019】
シード層13は、絶縁性フィルム11の一方の主面111に所定のパターンで形成されており、例えば、ニッケル、銅、ニッケル−クロム、銅―ニッケル等の金属材料から構成されている。一方、めっき層14は、このシード層13の上に形成されており、例えば、銅等の金属材料から構成されている。
【0020】
この配線パターン12の端部には、半導体デバイス15の電極153が接続されている。本実施形態では、半導体デバイス15の電極153は、ACFや半田付け等を介さずに、配線パターン12のめっき層14に直接接続されている。なお、半導体デバイス15の電極153の数や配置は特に限定されない。
【0021】
さらに、本実施形態では、絶縁性フィルム11と半導体デバイス15との間に、第1及び第2の接着層16,17が介在している。
【0022】
第1の接着層16は、半導体デバイス15を、絶縁性フィルム11に固定するための層であり、半導体デバイス15の本体151の下面152と、絶縁性フィルム11上に形成されたシード層13と、を接着している。この第1の接着層16を形成する第1の接着剤40(図5(b)参照)としては、例えば、エポキシ系或いはアクリル系の熱硬化性接着剤を例示することができる。
【0023】
一方、第2の接着層17は、半導体デバイス15と配線パターン12とを確実に電気的に導通させるための層であり、半導体デバイス15の本体151の下面152(図5(b)参照)と、絶縁性フィルム11の上面111と、を接着している。この第2の接着層17を形成する第2の接着剤50(図9参照)は、電気絶縁性を有すると共に、硬化に伴って収縮する接着剤であり、例えば、エポキシ系樹脂等から構成されるNCP(Non Conductive Paste)等を例示することができる。
【0024】
次に、本実施形態におけるプリント配線板1の製造方法について、図2〜図9(b)を参照しながら説明する。
【0025】
図2は本実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示すフローチャート、図3(a)〜図9(b)は図2の各ステップにおけるプリント配線板を示す図である。
【0026】
先ず、図2のステップS10において、図3(a)及び図3(b)に示すように、基材20を準備する。この基材20は、例えば、セミアディティブ法でのプリント配線板製造の出発材料として使用されるシード層付きフィルムであり、絶縁性フィルム11と、絶縁性フィルム11の一方の主面に予め形成されたシード層13と、を備えている。このシード層13は、例えば、DPP(Direct Plating Process)、無電解めっき、スパッタリング、真空蒸着、CVD等の手法によって形成されている。
【0027】
次いで、図2のステップS20において、基材20の全面にドライフィルムをラミネートし、このドライフィルムを露光及び現像することで、図4(a)及び図4(b)に示すように、所定形状を有するレジストパターン30を形成する。このレジストパターン30は、第1の接着剤40が充填される第1の開口31と、配線パターン12の形状に対応した第2の開口32と、を有している。
【0028】
次いで、図2のステップS30において、図5(a)及び図5(b)に示すように、先ず、半導体デバイス15の下面152の略中央に、シート状の第1の接着剤40を貼り付ける。そして、ドライフィルムに形成されたマーク(不図示)を基準として、半導体デバイス15を基材20に位置決めした後に、第1の接着剤40をレジストパターン30の第1の開口31に挿入し、第1の接着剤40を加熱して硬化させることで第1の接着層16が形成される。この第1の接着層16によって半導体デバイス15が基材20に固定される。
【0029】
なお、半導体デバイス15の下面152に貼り付ける第1の接着剤40の厚さは、ステップS20で使用するドライフィルムと実質的に同一の厚さ、又は、当該ドライフィルムよりもやや厚いことが好ましい。
【0030】
なお、第1の接着剤40を、半導体デバイス15の下面152に代えて、第1の開口31を介して基材20に予め貼り付けてもよい。また、第1の接着剤40として液状の接着剤を採用してもよい。この場合には、ディスペンサ等を用いて半導体デバイス15或いは基材20に第1の接着剤40を塗布する。
【0031】
次いで、図2のステップS40において、半導体チップ15が固定された基材20を銅めっき装置のめっき槽に浸漬する。図6(a)及び図6(b)に示すように、レジストパターン30の第2の開口32内にはシード層13が露出しているため、当該シード層13を起点として銅が析出して、シード層13の上にめっき層14が形成される。
【0032】
ここで、第2の開口32は、半導体デバイス15の電極153の下方まで延在している。そのため、このステップS40では、シード層13上に析出した銅で第2の開口32内が満たされることで、シード層13上に形成されためっき層14と、半導体デバイス15の電極153とが電気的に接続される。因みに、半導体デバイス15の本体151は、樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料でパッケージングされているため、本体15の表面に銅が析出することはない。
【0033】
このように、本実施形態では、このステップS40において、配線パターン12が形成されると同時に、この配線パターン12に半導体デバイス15が実装される。
【0034】
次いで、図2のステップS50において、図7(a)及び図7(b)に示すように、例えば強アルカリ溶液を用いて、基材20上からレジストパターン30を除去する。この際、半導体デバイス15と基材20との間にも強アルカリ溶液が入り込むので、半導体デバイス15と基材20との間のレジストパターン30も除去されて、半導体デバイス15の本体151の下方に空隙60が形成される。
【0035】
次いで、図2のステップS60において、図8(a)及び図8(b)に示すように、例えば弱酸性溶液を用いて、シード層13においてめっき層14及び第1の接着層16から露出している部分を除去する。これにより、それぞれの配線パターン12が電気的に分離される。
【0036】
次いで、図2のステップS70において、図9(a)及び図9(b)に示すように、半導体デバイス15と絶縁性フィルム11との間に形成された空隙60に、第2の接着剤50を充填する。そして、この第2の接着剤50を加熱硬化させることで、図1(a)及び図1(b)に示すように、半導体デバイス15と絶縁性フィルム11との間に第2の接着層17が形成される。
【0037】
なお、電極153とめっき層14とは既に電気的に接続されているので、この加熱によって、電極153とめっき層14との間に位置ズレが生じることはない。
【0038】
上述のように、第2の接着剤50は硬化に伴って収縮するので、この第2の接着層17は、半導体デバイス15と絶縁性フィルム11とを相互に引き寄せるように接着しており、電極153とめっき層14との間に強固な接続状態が形成されるので、電極153とめっき層14とが確実に導通する。
【0039】
以上のように、本実施形態では、半導体デバイス15の電極153が、絶縁性フィルム11上にシード層13を介して形成されためっき層14に直接接続されるので、接続信頼性を確保しつつ半導体デバイスの電極のファインピッチ化に対応することができる。
【0040】
また、上述のACFを用いて半導体デバイスをプリント配線板に実装する場合には、平面方向において半導体デバイスの電極とプリント配線板上の配線パターンとを高精度に位置決めしなければならない。これに対し、本実施形態では、半導体デバイス15の電極153にめっき層14が直接接続されるので、ACFよりも高精度な位置決めが要求されない。
【0041】
また、本実施形態では、配線パターン12の形成と同時に、半導体デバイス15を実装することができるので、プリント配線板の製造工程の短縮化を図ることができる。
【0042】
本実施形態における図2のステップS10が本発明における第1の工程の一例に相当し、本実施形態における図2のステップS20が本発明における第2の工程の一例に相当し、本実施形態における図2のステップS30が本発明における第3の工程の一例に相当し、本実施形態における図2のステップS40が本発明における第4の工程の一例に相当し、本実施形態における図2のステップS50が本発明における第5の工程の一例に相当し、本実施形態における図2のステップS60が本発明における第6の工程の一例に相当し、本実施形態における図2のステップS70が本発明における第7の工程の一例に相当する。
【0043】
また、本実施形態における半導体デバイスが本発明における電子部品の一例に相当し、本実施形態における第2の接着剤50が本発明における接着剤の一例に相当し、本実施形態における第2の接着層17が本発明における接着層の一例に相当する。
【0044】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0045】
上述の実施形態では、本発明を配線パターン12が形成されたフレキシブルプリント配線板に適用した例について説明したが、特にこれに限定されず、例えば、インタポーザに適用してもよい。この場合には、図10に示すように、平面視において、レジストパターン30Bの第2の開口32Bが、半導体デバイス15と重複する部分321と、当該半導体デバイス15の外側に位置する部分322と、を含むように、図2のステップS20においてレジストパターン30Bを形成する。
【符号の説明】
【0046】
1…プリント配線板
11…絶縁性フィルム
111…一方の主面
12…配線パターン
13…シード層
14…めっき層
15…半導体デバイス
151…本体
152…下面
153…電極
16…第1の接着層
17…第2の接着層
20…基材
30…レジストパターン
31…第1の開口
32…第2の開口
40…第1の接着剤
50…第2の接着剤
60…空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を有する電子部品が実装されたプリント配線板の製造方法であって、
絶縁層と、前記絶縁層に形成された導電層と、を有する基材を準備する第1の工程と、
第1の開口と第2の開口とを有するレジストパターンを、前記導電層の上に形成する第2の工程と、
前記第1の開口内に第1の接着層を形成し、前記第1の接着層によって前記電子部品を前記基材に接着する第3の工程と、
前記導電層の上にめっき層を形成し、前記めっき層を前記第2の開口内に満たすことで、前記電極と前記めっき層とを直接接続する第4の工程と、
前記レジストパターンを除去する第5の工程と、
前記導電層において前記めっき層又は前記第1の接着層から露出している領域を除去する第6の工程と、
前記電子部品と前記絶縁層との間に形成された空隙に、電気絶縁性を有する第2の接着層を形成する第7の工程と、を備えたことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第2の開口は、前記プリント配線板の配線パターンに対応した部分を含み、
前記第4の工程は、前記電極と前記めっき層との接続と同時に、前記配線パターンを形成することを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第7の工程は、接着剤を加熱して硬化させることで前記第2の接着層を形成することを含み、
前記接着剤は、硬化に伴って収縮することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
電極を有する電子部品と、
前記電極に対応した形状を少なくとも含む導電層と、
前記導電層が形成された絶縁層と、
前記導電層の上に形成されためっき層と、
電気絶縁性を有し、前記電子部品と前記絶縁層とを接着する接着層と、を備え、
前記電極は、前記めっき層に直接接続されていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項5】
請求項4に記載のプリント配線板であって、
前記接着層は、前記電子部品と前記基材とを相互に引き寄せるように接着していることを特徴とするプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−8717(P2013−8717A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138478(P2011−138478)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】