説明

プリント配線板の製造方法

【課題】ポリイミドを含む電気絶縁体層との密着性に優れる導電膜を有するプリント配線板を、少ない工程で製造できるプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】気圧0.1MPaの状態での沸点が150〜350℃である非水溶性有機溶媒と、該有機溶媒中に分散した金属微粒子および/または水素化金属微粒子と、JIS K7237の規定によるアミン価が10〜190mgKOH/gであるアミノ化合物とを含む導電膜形成用インクを、電気絶縁体層12の表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を焼成して導電膜14を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス製品の発展に伴い、絶縁性の樹脂を含浸したプリント配線板の需要は増加の一途をたどっている。中でも、フレキシブルプリント配線板の需要増加は著しい。プリント配線板は、電気絶縁体層上に所望の配線パターンの導電膜が形成されたものである。電気絶縁体層としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド等の樹脂基材、またはそれらのいずれかを含浸したガラス布または紙系の基材、金属系の基材、セラミック系の基材が用いられている。
【0003】
プリント配線板は、通常、下記工程を有する製造方法にて製造される。
(i)電気絶縁体層の全面に導電膜を形成する工程。
(ii)導電層の全面にレジスト液を塗布し、レジスト膜を形成する工程。
(iii)所望の配線パターンのフォトマスクを通してレジスト膜を露光する工程。
(iv)レジスト膜を現像処理し、所望の配線パターンのレジストを形成する工程。
(v)エッチング液により導電膜をエッチングする工程。
(vi)レジストを除去する工程。
【0004】
しかし、該方法は、下記の問題を有する。
工程が多い。
廃棄物が多い。
パターンごとに高価なフォトマスクが必要となる。
【0005】
該問題を解決する方法としては、電気絶縁体層の表面に金属微粒子分散液を所望の配線パターン状に塗布して、所望の配線パターンの導電膜を形成する方法が提案されている(たとえば、特許文献1)。しかし、該方法にて形成された導電膜は、電気絶縁体層との密着性が不充分であるため、電気絶縁体層と導電膜との間に中間材料層を形成しなくてはならない。そのため、工程が増え、コストが上がる等の問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−7135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ポリイミドを含む電気絶縁体層との密着性に優れる導電膜を有するプリント配線板を、少ない工程で製造できるプリント配線板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプリント配線板の製造方法は、ポリイミドを含む電気絶縁体層と、該電気絶縁体層に直接接する導電膜とを有するプリント配線板の製造方法であって、気圧0.1MPaの状態での沸点が150〜350℃である非水溶性有機溶媒と、該有機溶媒中に分散した金属微粒子および/または水素化金属微粒子と、JIS K7237の規定によるアミン価が10〜190mgKOH/gであるアミノ化合物とを含む導電膜形成用インクを電気絶縁体層の表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を焼成して導電膜を形成することを特徴とする。
アミノ化合物の量は、金属微粒子および水素化金属微粒子の合計100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
【0009】
アミノ化合物のアミン価は、40〜120mgKOH/gであることが好ましい。
塗膜を焼成する焼成温度は、250〜450℃であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプリント配線板の製造方法によれば、ポリイミドを含む電気絶縁体層との密着性に優れる導電膜を有するプリント配線板を、少ない工程で製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プリント配線板の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<導電膜形成用インク>
本発明の導電膜形成用インクは、気圧0.1MPaの状態での沸点が150〜350℃である非水溶性有機溶媒(以下、有機溶媒と記す。)と、該有機溶媒中に分散した金属微粒子および/または水素化金属微粒子(以下、金属微粒子および水素化金属微粒子をまとめて、本微粒子とも記す。)と、JIS K7237の規定によるアミン価が10〜190mgKOH/gであるアミノ化合物とを含む。
【0013】
(有機溶媒)
有機溶媒は、非水溶性である必要がある。非水溶性とは、室温(20℃)における水100gへの溶解度が0.5g以下であることを意味する。
有機溶媒としては、極性の少ないものが好ましい。極性の少ない有機溶媒は、本発明で分散剤として用いるアミノ化合物との親和性がよい。
有機溶媒としては、導電膜を形成する際、加熱によって熱分解を起こさないものが好ましい。
【0014】
有機溶媒の沸点は、気圧0.1MPaの状態で、150〜350℃であり、200〜280℃が好ましい。有機溶媒の沸点が150℃以上であれば、導電膜を形成する際、塗膜に有機溶媒が比較的長く留まることにより、導電膜形成用インクのアミノ化合物と電気絶縁体層のポリイミドとの反応が充分に起こり、その結果、導電膜と電気絶縁体層との密着性が良好となる。有機溶媒の沸点が350℃以下であれば、導電膜を形成する際の焼成時間を短くできる。
【0015】
有機溶媒としては、デカン(沸点174℃、水に不溶。)、ドデカン(沸点216℃、水に不溶。)、テトラデカン(沸点253℃、水に不溶。)、デセン(沸点171℃、水に不溶。)、ドデセン(沸点216℃、水に不溶。)、テトラデセン(沸点234℃、水に不溶。)、ジペンテン(沸点177℃、水100gへの溶解度0.001g(20℃)。)、テルピネオール(沸点219℃、水100gへの溶解度0.5g(20℃)。)およびメシチレン(沸点165℃、水に不溶。)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。沸点は、気圧0.1MPaの状態での値である。
【0016】
有機溶媒の量は、導電膜形成用インク中の本微粒子の濃度が後述の範囲を外れない量で、かつ本金属微粒子100質量部に対し、65〜500質量部が好ましく、125〜500質量部がより好ましい。有機溶媒の量が本微粒子100質量部に対し65質量部以上であれば、導電膜形成用インクの粘度、表面張力等のインク特性が良好となり、取り扱い性が向上する。有機溶媒の量が本微粒子100質量部に対し500質量部以下であれば、充分な厚さの導電膜を形成できる。
【0017】
(本微粒子)
本微粒子には、金属微粒子および/または水素化金属微粒子を、適宜用途に応じて使用できるが、安定性、保存性の面から、水素化金属微粒子が好ましい。
金属微粒子としては、金属銅微粒子、金属ニッケル微粒子、金属パラジウム微粒子が挙げられ、導電性に優れた導電膜が形成できる点から、金属銅微粒子または金属ニッケル微粒子が好ましく、金属銅微粒子がより好ましい。
金属微粒子は、後述の湿式還元法により製造することが好ましい。
【0018】
水素化金属微粒子は、金属原子と水素原子とが結合した金属水素化物の微粒子である。水素化金属微粒子は、空気雰囲気中において金属微粒子に比べて酸化されにくく、安定であり、保存性に優れている。水素化金属微粒子は、60〜100℃で金属と水素に分解する性質を有するため、導電膜を形成する際に、加熱によって微粒子表面に金属酸化物皮膜が形成されることがほとんどなく、分解によって生成した金属微粒子同士がすみやかに表面溶融現象の性質により溶融、結合して、導電性に優れた導電膜を形成する。
【0019】
水素化金属微粒子としては、水素化銅微粒子、水素化ニッケル微粒子、水素化パラジウム微粒子が挙げられ、導電性に優れた導電膜が形成できる点から、水素化銅微粒子または水素化ニッケル微粒子が好ましく、水素化銅微粒子がより好ましい。
水素化金属微粒子は、後述の湿式還元法により製造することが好ましい。
【0020】
本微粒子の平均粒子径は、50nm以下が好ましく、5〜30nmがより好ましい。本微粒子の平均粒子径が50nm以下であれば、微細な配線パターンを形成できる。また、表面溶融温度が低下するため表面融着が起こりやすくなる。また、緻密な導電膜が形成でき、導電性が向上する。
本微粒子の平均粒子径は、無作為に抽出した100個の本微粒子の粒子径を、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定し、該粒子径を平均した値である。
【0021】
本微粒子の濃度は、導電膜形成用インク100質量%中、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。本微粒子の濃度が5質量%以上であれば、充分な厚さの導電膜を形成でき、導電膜が向上する。本微粒子の濃度が60質量%以下であれば、導電膜形成用インクの粘度、表面張力等のインク特性が良好となり、取り扱い性が向上する。
【0022】
(アミノ化合物)
アミノ化合物は、アミノ基を有する有機化合物またはその塩である。アミノ化合物は、一級アミンまたは二級アミンであり、電気絶縁体層のポリイミドとの反応が起こりやすい点から、一級アミンが好ましい。
【0023】
アミノ化合物としては、高分子アミノ化合物が好ましい。高分子アミノ化合物としては、下記市販品が好ましい。
ビックケミー・ジャパン社製:Anti−Terra−U(長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーとの塩、アミン価19mgKOH/g)、Anti−Terra−204(ポリアミノアマイドのポリカルボン酸塩、アミン価36mgKOH/g)、Disperbyk−101(長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩、アミン価14mgKOH/g)、Disperbyk−106(酸性基を有するポリマー塩、アミン価74mgKOH/g)、Disperbyk−108(水酸基含有カルボン酸エステル、アミン価71mgKOH/g)、Disperbyk−109(アルキロールアミノアマイド、アミン価140mgKOH/g)、Disperbyk−112(顔料に親和性のあるアクリル系共重合物、アミン価36mgKOH/g)、Disperbyk−116(顔料に親和性のあるアクリル系共重合物、アミン価65mgKOH/g)、Disperbyk−130(不飽和ポリカルボン酸ポリアミノアマイド、アミン価190mgKOH/g)、Disperbyk−140(酸性ポリマーのアルキルアンモニウム塩、アミン価76mgKOH/g)、Disperbyk−142(顔料に親和性のある共重合物のリン酸エステル塩、アミン価43mgKOH/g)、Disperbyk−145(顔料に親和性のある共重合物のリン酸エステル塩、アミン価71mgKOH/g)、Disperbyk−161(顔料に親和性のあるブロック共重合物、アミン価11mgKOH/g)、Disperbyk−162(顔料に親和性のあるブロック共重合物、アミン価13mgKOH/g)、Disperbyk−164(顔料に親和性のあるブロック共重合物、アミン価18mgKOH/g)、Disperbyk−166(顔料に親和性のあるブロック共重合物、アミン価20mgKOH/g)、Disperbyk−167(顔料に親和性のあるブロック共重合物、アミン価13mgKOH/g)、Disperbyk−168(顔料に親和性のあるブロック共重合物、アミン価10mgKOH/g)、Disperbyk−2000(変性アクリル系ブロック共重合物、アミン価4mgKOH/g)、Disperbyk−2001(変性アクリル系ブロック共重合物、アミン価29mgKOH/g)、Disperbyk−2020(変性アクリル系ブロック共重合物、アミン価38mgKOH/g)、Disperbyk−2050(顔料に親和性のあるアクリル系共重合物、アミン価30mgKOH/g)、Disperbyk−2070(顔料に親和性のあるアクリル系共重合物、アミン価20mgKOH/g)、Disperbyk−2150(顔料に親和性のあるブロック共重合物、アミン価57mgKOH/g)。
【0024】
川研ファインケミカル社製:ヒノアクトKF1500(カチオン系界面活性剤シングルアンカー型、アミン価7mgKOH/g)、ヒノアクトKF1700(カチオン系界面活性剤シングルアンカー型、アミン価2mgKOH/g)。
味の素ファインテクノ社製:アジスパーPB821(塩基性高分子分散剤、アミン価9mgKOH/g)、アジスパーPB822(塩基性高分子分散剤、アミン価13mgKOH/g)、アジスパーPB711(塩基性高分子分散剤、アミン価45mgKOH/g)。
楠本化成社製:ディスパロン1860(長鎖ポリアミノアマイドと高分子ポリエステル酸との塩。アミン価11mgKOH/g)、ディスパロンKS873N(ポリエステルのアミン塩、アミン価120mgKOH/g)、ディスパロンDA703−50(高分子量ポリエステル酸のアマイドアミン塩、アミン価40mgKOH/g)、ディスパロンDA7400(高分子量ポリエステル酸のアマイドアミン塩、アミン価40mgKOH/g)。
チバスペシャリティーケミカル社製:EFKA−4401(変性ポリアクリル系高分子分散剤、アミン価50mgKOH/g)、EFKA−5044(不飽和ポリエステルポリアマイド、アミン価16mgKOH/g)、EFKA−5207(水酸基を含む不飽和カルボン酸、アミン価85mgKOH/g)、EFKA−6225(脂肪酸変性ポリエステル、アミン価47mgKOH/g)、EFKA−4330(アクリルブロックコポリマー系高分子分散剤、アミン価28mgKOH/g)、EFKA−4047(変性ポリウレタン系高分子分散剤、アミン価17mgKOH/g)、EFKA−4060(変性ポリウレタン系高分子分散剤、アミン価8mgKOH/g)。
【0025】
アミノ化合物のアミン価は、10〜190mgKOH/gであり、40〜120mgKOH/gが好ましい。アミノ化合物のアミン価が10mgKOH/g以上であれば、導電膜形成用インクのアミノ化合物と電気絶縁体層のポリイミドとの充分な反応が起こる。アミノ化合物のアミン価が190mgKOH/g以下であれば、電気絶縁体層の機械的強度の低下がなく、また、電気絶縁体層との密着性に優れる導電膜を形成できる。
アミン価の測定は、JIS K7237に基づき以下のように行う。
アミノ化合物をo−ニトロトルエンおよび酢酸の混合溶剤に溶かし、クリスタルバイオレットを指示薬として0.1モル/Lの過塩素酸酢酸溶液で滴定する。消費した0.1モル/Lの過塩素酸酢酸溶液の量によって全アミン価を算出する。
【0026】
アミノ化合物の量は、導電膜形成用インク中の本微粒子の濃度が前記範囲を外れない量で、かつ本微粒子100質量部に対し、1〜50質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。アミノ化合物の量が本微粒子100質量部に対し1質量部以上であれば、密着性に優れた導電膜を形成できる。アミノ化合物の量が本微粒子100質量部に対し50質量部以下であれば、導電性が良好な導電膜を形成できる。
【0027】
(他の成分)
導電膜形成用インクは、必要に応じて公知の添加剤、有機バインダ等を含有していてもよい。
【0028】
(導電膜形成用インクの製造方法)
導電膜形成用インクは、たとえば、(α)市販の本微粒子を用意し、アミノ化合物の存在下に本微粒子を有機溶媒中に分散させる方法、(β)湿式還元法により、アミノ化合物を含む、本微粒子の分散液を製造する方法等により製造できる。(β)の方法としては、たとえば、下記工程を有する方法が挙げられる。
(a)水溶性金属化合物を水に溶解して金属イオンを含有する水溶液を調製する工程。
(b)該水溶液に酸を加えてpHを3以下に調整する工程。
(c)該水溶液に、有機溶媒およびアミノ化合物を加えた後、これらを撹拌して懸濁液を得る工程。
(d)懸濁液を撹拌しながら、懸濁液に還元剤を加えて金属イオンを還元し、水素化金属微粒子を生成させる工程(湿式還元法)。
(e)懸濁液を水層と油層とに分離させた後、油層を水素化金属微粒子の分散液として回収する工程。
(f)必要に応じて、水素化金属微粒子の分散液を金属微粒子の分散液とする工程。
【0029】
(a)工程:
水溶性金属銅化合物としては、金属(銅、ニッケル、パラジウム。)の硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が挙げられる。
水溶性金属化合物の濃度は、水溶液100質量%中、0.1〜30質量%が好ましい。水溶液中の水溶性金属化合物の濃度が0.1質量%以上であれば、水の量が抑えられ、また、本微粒子の生産効率が向上する。水溶液中の水溶性金属化合物の濃度が30質量%以下であれば、本微粒子の凝集安定性が良好となる。
【0030】
(b)工程:
酸としては、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、硫酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、金属イオンと安定な錯体を形成して金属イオンへの水和水の吸着を防止する点から、クエン酸、マレイン酸、マロン酸が好ましい。
水溶液のpHを3以下に調整することにより、水溶液中の金属イオンが還元剤によって還元されやすくなり、水素化金属微粒子が生成しやすくなる。すなわち、金属微粒子が生成しにくくなる。水溶液のpHは、水素化金属微粒子を短時間で生成できる点から、1〜2に調整されることが好ましい。
【0031】
(c)工程:
(b)工程で得られた水溶液に、有機溶媒およびアミノ化合物を加える。金属イオンを含有する水溶液からなる水層と、アミノ化合物を含有する有機溶媒からなる油層とを撹拌することにより、懸濁液を得る。
【0032】
(d)工程:
(c)工程で得られた懸濁液に還元剤を加えることにより、水層において金属イオンが酸性下で還元剤により還元され、徐々に水素化金属微粒子が成長する。水素化金属微粒子はすぐに、油層に溶け込んでいるアミノ化合物により表面を覆われ、油層に取り込まれて安定化する。すなわち、生成した水素化金属微粒子の表面にアミノ化合物が配位し、水素化金属微粒子がアミノ化合物で被覆される。その結果、導電膜形成用インク中の水素化金属微粒子が酸化されにくくなり、また、水素化金属微粒子同士の凝集が抑えられる。
【0033】
還元剤としては、大きな還元作用があることから金属水素化物が好ましい。金属水素化物としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等が挙げられ、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
【0034】
還元剤の添加量は、金属イオンに対して1.5〜10倍当量数が好ましい。還元剤の添加量が金属イオンに対して1.5倍当量数以上であれば、還元作用が充分となる。還元剤の添加量が10倍当量数以下であれば、水素化金属微粒子の凝集安定性が良好となる。
還元剤を懸濁液に加える際の温度は、5〜60℃が好ましく、10〜40℃が特に好ましい。該温度が60℃以下であれば、水素化金属微粒子の分解が抑えられる。
【0035】
(e)工程:
水素化金属微粒子が生成した後、懸濁液を放置すると、水層と油層とに分離する。該油層を回収することにより、有機溶媒に水素化金属微粒子が分散した分散液が得られる。該分散液は、そのまま導電膜形成用インクとして用いてもよく、添加剤等を加えた後に導電膜形成用インクとして用いてもよい。
【0036】
(f)工程:
(e)工程にて得られた水素化金属微粒の分散液を、60〜200℃で10分〜2時間窒素還流すると、金属微粒子の分散液が得られる。該分散液は、そのまま導電膜形成用インクとして用いてもよく、添加剤等を加えた後に導電膜形成用インクとして用いてもよい。
【0037】
<プリント配線板>
図1は、プリント配線板の一例を示す断面図である。プリント配線板10は、電気絶縁体層12と、電気絶縁体層12に直接接する導電膜14とを有する。
【0038】
電気絶縁体層12は、ポリイミドを含む層である。電気絶縁体層12としては、ポリイミドフィルム、積層フィルムの最表層として形成されたポリイミド層、積層基板の最表層として形成されたポリイミド層、マトリックス樹脂がポリイミドであるガラス繊維強化複合材料、マトリックス樹脂がポリイミドであるシリカ複合フィルム等が挙げられる。電気絶縁体層12として可とう性を有するポリイミドフィルムを用いた場合、プリント配線板10はフレキシブルプリント配線板となる。
電気絶縁体層12の厚さは、10〜300μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。
【0039】
ポリイミドとしては、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの反応物が挙げられる。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物等が挙げられる。芳香族ジアミンとしては、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。
ポリイミドは、無機フィラー、無機蛍光体、有機蛍光体等の公知の添加剤を含有していてもよい。
【0040】
導電膜14は、本発明の導電膜形成用インクを用いて形成された金属膜である。導電膜14は、電気絶縁体層12の表面全体を覆う連続した膜であってもよく、所望の配線パターンの膜であってもよい。
導電膜14の体積抵抗率は、500μΩcm以下が好ましく、100μΩcm以下がより好ましい。
導電膜14の厚さは、0.5〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
【0041】
プリント配線板は、図1に示すような、電気絶縁体層の片面のみに導電膜が設けられた片面プリント配線板に限定されず、電気絶縁体層の両面に導電膜が設けられた両面プリント配線板であってもよく、片面プリント配線板を複数積層した多層プリント配線板であってもよい。
【0042】
プリント配線板10は、下記工程を経て製造される。
(I)本発明の導電膜形成用インクを電気絶縁体層12の表面に塗布して塗膜を形成する工程。
(II)該塗膜を焼成して導電膜14を形成する工程。
(III)必要に応じて、導電膜上にメッキを施す工程。
【0043】
(I)工程:
該工程においては、電気絶縁体層12の表面全体を覆うように本発明の導電膜形成用インクを塗布してよく、電気絶縁体層12の表面に本発明の導電膜形成用インクを所望の配線パターン状に塗布してもよい。
【0044】
塗布方法としては、インクジェット印刷法、ディスペンス法、スクリーン印刷法、ロールコート法、エアナイフコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、スプレーコート法、スライドコート等の公知の方法が挙げられ、所望の配線パターン状に塗布しやすい点から、インクジェット印刷法が好ましい。
【0045】
インクジェット印刷法は、インクジェットプリンタを用いる方法である。インクジェットプリンタにおけるインク吐出孔は、通常1〜50μmである。
インク液滴径は、インク吐出孔から吐出された後、空間飛翔時に変化し、電気絶縁体層12の表面に付着した後、電気絶縁体層12の表面で広がる。吐出直後のインクの径は、インク吐出孔径と同程度であり、電気絶縁体層12に付着した後には、インクの直径は5〜100μmまで広がる。したがって、導電膜形成用インク中の本微粒子は、インク粘性等に影響を与えない限り凝集していてもよく、その凝集径としては2μm以下が好ましい。
【0046】
(II)工程:
塗膜が形成された電気絶縁体層12を焼成炉内に入れ、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下にて焼成炉内の温度を10℃/分の速度で焼成温度まで昇温し、該温度を所定時間(以下、保持時間と記す。)保持して焼成を行う。該焼成により、本微粒子の融着が進行し、金属からなる導電膜が形成される。
【0047】
焼成温度は、250〜450℃が好ましく、300〜400℃がより好ましく、300〜350℃が特に好ましい。焼成温度が250℃以上であれば、導電膜形成用インクのアミノ化合物と電気絶縁体層のポリイミドとの反応が充分に起こり、その結果、導電膜と電気絶縁体層との密着性が良好となる。焼成温度が450℃以下であれば、ポリイミドのイミド環の不必要な開環反応が抑えられ、ポリイミドの劣化が抑えられ、プリント配線板の機械的強度の低下が抑えられる。
【0048】
保持時間は、0.5〜4時間が好ましく、0.5〜2時間がより好ましい。保持時間が0.5時間以上であれば、導電膜形成用インクのアミノ化合物と電気絶縁体層のポリイミドとの反応が充分に起こり、その結果、導電膜と電気絶縁体層との密着性が良好となる。保持時間が4時間以下であれば、ポリイミドのイミド環の不必要な開環反応が抑えられ、ポリイミドの劣化が抑えられ、プリント配線板の機械的強度の低下が抑えられる。
【0049】
(III)工程:
導電膜上にメッキを施す場合、公知の方法を用いればよい。たとえば、金属が溶けてイオン化している水溶液(メッキ浴)中に、陰極として処理物を、陽極としてめっきと同一の金属をそれぞれ浸し、両極間に電流を流す。これによりめっき浴中の金属イオンは陰極へと移動し、処理物表面で電子を交換して元の金属に還元され、析出し、めっき層が生成される。
【0050】
以上説明した本発明の導電膜形成用インクにあっては、気圧0.1MPaの状態での沸点が150〜350℃である非水溶性有機溶媒と、該有機溶媒中に分散した本微粒子と、JIS K7237の規定によるアミン価が10〜190mgKOH/gであるアミノ化合物とを含むため、ポリイミドを含む電気絶縁体層との密着性に優れる導電膜を形成できる。
また、本発明のプリント配線板の製造方法にあっては、本発明の導電膜形成用インクを電気絶縁体層の表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を焼成して導電膜を形成するため、ポリイミドを含む電気絶縁体層との密着性に優れる導電膜を有するプリント配線板を、少ない工程で製造できる。
この理由は以下の通りである。
【0051】
アミノ化合物が一級アミンの場合、下記反応式(A)に示すように、有機溶媒の存在下、電気絶縁体層の表層に存在するポリイミドのイミド環の一部とアミノ化合物のアミノ基とが、焼成温度において反応を起こし、2つのアミド結合が形成される。ついで、下記反応式(B)に示すように、再度イミド環が形成されることにより、ポリイミドの主鎖が分断され、ポリイミドの低分子量化が起こる。低分子量化したポリイミドは、低分子量化前のポリイミドに比べガラス転移点が低いため、軟化が起こり易い。そのため、本微粒子が、電気絶縁体層の表層にて軟化したポリイミドに沈み込むことが可能となる。このように電気絶縁体層の表層に本微粒子が沈み込むため、アンカリング効果で導電膜と電気絶縁体層との密着性が向上する。
【0052】
【化1】

【0053】
アミノ化合物が二級アミンの場合、下記反応式(A)に示すように、有機溶媒の存在下、電気絶縁体層の表層に存在するポリイミドのイミド環の一部とアミノ化合物のアミノ基とが、焼成温度において反応を起こし、2つのアミド結合が形成される。イミド環の一部がアミド結合となったポリイミドもまた、反応前のポリイミドに比べイミド結合が減少するため、ガラス転移点が低いため、軟化が起こり易い。そのため、本微粒子が、電気絶縁体層の表層にて軟化したポリイミドに沈み込むことが可能となる。このように電気絶縁体層の表層に本微粒子が沈み込むため、アンカリング効果で導電膜と電気絶縁体層との密着性が向上する。
【0054】
【化2】

【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
例1〜5、8は実施例であり、例6、7は比較例である。
【0056】
(本微粒子の同定)
本微粒子の同定は、リガク機器社製のRINT2500を用いて行った。
【0057】
(本微粒子の平均粒子径)
本微粒子の平均粒子径は、無作為に抽出した100個の本微粒子の粒子径を、透過型電子顕微鏡(日立製作所社製、H−9000)または走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、S−900)を用いて測定し、該粒子径を平均して求めた。
【0058】
(導電膜、銅メッキの厚さ)
導電膜の厚さは、DEKTAK3(Veeco metrology Group社製)を用いて測定した。
また、引き剥がし強さを測定する際に、導電膜上に形成した銅メッキの厚さは、デジマチック標準外側マイクロメータ(ミツトヨ社製)を用いて測定した。
【0059】
(導電膜の体積抵抗率)
導電膜の体積抵抗率は、四探針式抵抗計(型式:lorestaIP MCP−T250、三菱油化社製)を用いて測定した。
【0060】
(密着性)
導電膜とポリイミドフィルムとの密着性は、引き剥がし強さにより判定した。
引き剥がし強さの測定は、島津製作所社製の小型卓上試験機EZTestシリーズを用い、JIS C6471に規定された方法により行った。
【0061】
〔例1〕
ガラス容器内にて、塩化銅(II)二水和物5gを蒸留水150gで溶解して、銅イオンを含有する水溶液を得た。該水溶液のpHは3.4であった。
該水溶液に、40質量%クエン酸水溶液90gを加え、しばらく撹拌し、水溶液のpHを1.7とした。
該水溶液に、アミノ化合物(楠本化成株式会社製、ディスパロン1860、アミン価11mgKOH/g。)5gおよびテルピネオール(沸点219℃、水100gに対する溶解度0.5g(20℃)。)10gを混合した溶液を加え、これらを激しく撹拌し懸濁液とした。
【0062】
該懸濁液を撹拌しながら、該懸濁液に3質量%水素化ホウ素ナトリウム水溶液150gをゆっくり滴下した。
滴下終了後、該懸濁液を1時間静置して、水層と油層とに分離させた後、油層のみを回収した。微粒子がテルピネオールに分散した黒色の導電膜形成用インクが得られた。該インクを1日放置したところ、該インクは黒色のままであった。
【0063】
該インク中の微粒子を回収してX線回折で同定を行ったところ、水素化銅微粒子であることが確認された。
該インクを乾燥して得られた微粒子粉末について粒子径を測定した。平均粒子径は、10nmであった。
該インク中の水素化銅微粒子の濃度は20質量%であった。
【0064】
武蔵エンジニアリング社製のSHOTMASTER300を用いて、1日放置したインク0.5gを、厚さ125μmのポリイミドフィルムの表面に、ディスペンス法にて所望の配線パターン状に塗布し、塗膜を形成した。
塗膜が形成されたポリイミドフィルムを焼成炉内に入れ、酸素濃度が40ppmの窒素ガス雰囲気下にて、350℃で1時間焼成を行い、所望の配線パターンの導電膜が形成されたプリント配線板を得た。導電膜の厚さは、1μmであった。導電膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
【0065】
該プリント配線板の導電膜上に、硫酸銅メッキ液を用いて銅メッキを施した。メッキ条件は、電圧1.1V、電流密度3.5A/dm2 であった。銅メッキの厚さは、20μmであった。メッキ付き導電膜の体積抵抗率、およびメッキ付き導電膜とポリイミドフィルムとの間の引き剥がし強度を測定した。結果を表1に示す。
【0066】
〔例2〕
例1で得られた導電膜形成用インクを150℃で1時間ほど窒素還流した。1時間後、該分散液を冷やし、25℃以下になったところで回収した。該分散液中の微粒子を回収してX線回折で同定を行ったところ、金属銅微粒子であることが確認された。
該インクを乾燥して得られた微粒子粉末について粒子径を測定した。平均粒子径は、11nmであった。
該インク中の金属銅微粒子の濃度は22質量%であった。
【0067】
該インクを用いた以外は、例1と同様にしてプリント配線板を得た。導電膜の厚さは、1μmであった。導電膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
該プリント配線板の導電膜上に、例1と同様にして銅メッキを施した。銅メッキの厚さは、20μmであった。メッキ付き導電膜の体積抵抗率、およびメッキ付き導電膜とポリイミドフィルムとの間の引き剥がし強度を測定した。結果を表1に示す。
【0068】
〔例3〕
楠本化成社製のディスパロン1860(アミン価11mgKOH/g)の代わりに、楠本化成社製のディスパロンKS873N(アミン価120mgKOH/g)を用いた以外は、例1と同様にして導電膜形成用インクを得た。該インク中の微粒子を回収してX線回折で同定を行ったところ、水素化銅微粒子であることが確認された。該水素化銅微粒子の平均粒子径は、11nmであった。
【0069】
該インクを用いた以外は、例1と同様にしてプリント配線板を得た。導電膜の厚さは、1μmであった。導電膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
該プリント配線板の導電膜上に、例1と同様にして銅メッキを施した。銅メッキの厚さは、20μmであった。メッキ付き導電膜の体積抵抗率、およびメッキ付き導電膜とポリイミドフィルムとの間の引き剥がし強度を測定した。結果を表1に示す。
【0070】
〔例4〕
楠本化成社製のディスパロン1860(アミン価11mgKOH/g)の代わりに、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−130(不飽和ポリカルボン酸ポリアミノアマイド、アミン価190mgKOH/g)を用いた以外は、例1と同様にして導電膜形成用インクを得た。該インク中の微粒子を回収してX線回折で同定を行ったところ、水素化銅微粒子であることが確認された。該水素化銅微粒子の平均粒子径は、11nmであった。
【0071】
該インクを用いた以外は、例1と同様にしてプリント配線板を得た。導電膜の厚さは、1μmであった。導電膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
該プリント配線板の導電膜上に、例1と同様にして銅メッキを施した。銅メッキの厚さは、20μmであった。メッキ付き導電膜の体積抵抗率、およびメッキ付き導電膜とポリイミドフィルムとの間の引き剥がし強度を測定した。結果を表1に示す。
【0072】
〔例5〕
テルピネオール(沸点219℃、水100gに対する溶解度0.5g(20℃)。)の代わりに、テトラデカン(沸点253℃、水に不溶。)を用いた以外は、例1と同様にして導電膜形成用インクを得た。該インク中の微粒子を回収してX線回折で同定を行ったところ、水素化銅微粒子であることが確認された。該水素化銅微粒子の平均粒子径は、10nmであった。
【0073】
該インクを用いた以外は、例1と同様にしてプリント配線板を得た。導電膜の厚さは、1μmであった。導電膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
該プリント配線板の導電膜上に、例1と同様にして銅メッキを施した。銅メッキの厚さは、20μmであった。メッキ付き導電膜の体積抵抗率、およびメッキ付き導電膜とポリイミドフィルムとの間の引き剥がし強度を測定した。結果を表1に示す。
【0074】
〔例6(比較例)〕
楠本化成社製のディスパロン1860(アミン価11mgKOH/g)の代わりに、川研ファインケミカル社製のヒノアクトKF1000(アミン価0mgKOH/g)を用いた以外は、例1と同様にして導電膜形成用インクを得た。該インク中の微粒子を回収してX線回折で同定を行ったところ、水素化銅微粒子であることが確認された。該微粒子の平均粒子径は、10nmであった。
【0075】
該インクを用いた以外は、例1と同様にしてプリント配線板を得た。導電膜の厚さは、1μmであった。導電膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
該プリント配線板の導電膜上に、例1と同様にして銅メッキを施した。銅メッキの厚さは、20μmであった。メッキ付き導電膜の体積抵抗率、およびメッキ付き導電膜とポリイミドフィルムとの間の引き剥がし強度を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
〔例7(比較例)〕
テルピネオール(沸点219℃、水100gに対する溶解度0.5g(20℃)。)の代わりに、キシレン(沸点139℃(m−キシレン)、水100gに対する溶解度0.02g(20℃)。)を用いた以外は、例1と同様にして導電膜形成用インクを得た。該インク中の微粒子を回収してX線回折で同定を行ったところ、水素化銅微粒子であることが確認された。該水素化銅微粒子の平均粒子径は、10nmであった。
【0077】
該インクを用いた以外は、例1と同様にしてプリント配線板を得た。導電膜の厚さは、1μmであった。導電膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
該プリント配線板の導電膜上に、例1と同様にして銅メッキを施した。銅メッキの厚さは、20μmであった。メッキ付き導電膜の体積抵抗率、およびメッキ付き導電膜とポリイミドフィルムとの間の引き剥がし強度を測定した。結果を表1に示す。
【0078】
〔例8〕
ポリイミドフィルムの代わりに、ガラス基板を用いた以外は、例1と同様にしてプリント配線板を得た。導電膜の厚さは、1μmであった。導電膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
該プリント配線板の導電膜上に、例1と同様にして銅メッキを施した。銅メッキの厚さは、20μmであった。メッキ付き導電膜の体積抵抗率、およびメッキ付き導電膜とガラス基板との間の引き剥がし強度を測定した。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の導電膜形成用インクによれば、マスクフィルムを用いることなく所望の配線パターンの導電膜を形成でき、プリント配線板を少ない工程で製造できる。また、本発明の導電膜形成用インクによれば、ポリイミドを含む電気絶縁体層との密着性に優れる導電膜を有するプリント配線板を製造できる。
【符号の説明】
【0081】
10 プリント配線板
12 電気絶縁体層
14 導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドを含む電気絶縁体層と、該電気絶縁体層に直接接する導電膜とを有するプリント配線板の製造方法であって、
気圧0.1MPaの状態での沸点が150〜350℃である非水溶性有機溶媒と、
該有機溶媒中に分散した金属微粒子および/または水素化金属微粒子と、
JIS K7237の規定によるアミン価が10〜190mgKOH/gであるアミノ化合物と
を含む、導電膜形成用インクを電気絶縁体層の表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を焼成して導電膜を形成する、プリント配線板の製造方法。
【請求項2】
アミノ化合物のアミン価が、40〜120mgKOH/gである、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
アミノ化合物の量が、金属微粒子および水素化金属微粒子の合計100質量部に対し、1〜50質量部である、請求項1または2に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
塗膜を焼成する焼成温度が、250〜450℃である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−254103(P2011−254103A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184545(P2011−184545)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2007−127866(P2007−127866)の分割
【原出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】