プリント配線板の製造方法
【課題】 電子部品を内蔵し薄型で接続信頼性の高いプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】 第2絶縁層60、第3絶縁層70と第2導体層68、第3導体層78とを有する途中基板99にキャビティ75が形成され、該キャビティ75にICチップ90が内蔵される。その後、第4絶縁層80と第4導体層88と形成できるため、ICチップをプリント配線板の中央部に内蔵でき、該プリント配線板の反り量を小さくすることができる。
【解決手段】 第2絶縁層60、第3絶縁層70と第2導体層68、第3導体層78とを有する途中基板99にキャビティ75が形成され、該キャビティ75にICチップ90が内蔵される。その後、第4絶縁層80と第4導体層88と形成できるため、ICチップをプリント配線板の中央部に内蔵でき、該プリント配線板の反り量を小さくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア基板を有さず、電子部品を内蔵するためのプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、薄型化のためコア基板を用いず、半導体素子を絶縁層に埋め込むことを開示している。該特許文献1は、支持板上に半導体素子を搭載することと、支持板及び半導体素子上にビルドアップ層を形成することと、支持板をビルドアップ層から分離することとを含む半導体装置の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−222164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、以降のプロセスを含む製造方法が開示されている(特許文献1の図19、図20参照)。絶縁層で半導体素子が覆われる。そして、その絶縁層は半導体素子の電極が露出するまで研磨され、その絶縁層に支持板上のパッドに至る開口が形成される。その後、その開口をめっきで充填することでビア導体が形成されている。この製造方法では、電子部品と同等の深さを有する開口をめっきで充填することでビア導体が形成される。そのため、絶縁層上の導体回路の厚みが厚くなると考えられる。そのため、絶縁層上に微細な導体回路の形成が困難であると考えられる。
【0005】
本発明の目的は、電子部品を内蔵し薄型で接続信頼性の高いプリント配線板を製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリント配線板の製造方法は:支持板を用意することと、前記支持板上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する第1の樹脂絶縁層を該第1の樹脂絶縁層の第2面が前記支持板に向くように形成することと、前記第1の樹脂絶縁層の第1面上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する第2の樹脂絶縁層を該第2の樹脂絶縁層の第2面が前記第1の樹脂絶縁層の第1面に向くように形成することと、電極を有する電子部品を搭載するための開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することと、前記電子部品の電極が前記第2の樹脂絶縁層の第1面に向くように前記電子部品を前記開口に収容することと、前記第2の樹脂絶縁層の第1面と前記電子部品上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する層間樹脂絶縁層を該層間樹脂絶縁層の第2面が前記第2の樹脂絶縁層の第1面に向くように形成することと、前記層間樹脂絶縁層に前記電子部品の電極に至るビア導体を形成することと、前記支持板を前記第1の樹脂絶縁層から除去することとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図
【図2】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図
【図3】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図
【図4】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図
【図5】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図
【図6】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図
【図7】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の断面図
【図8】図7のプリント配線板の応用例
【図9】切れ目の平面図
【図10】第2実施形態に係るプリント配線板の製造工程図
【図11】第2実施形態に係るプリント配線板の断面図
【図12】第3実施形態に係るプリント配線板の断面図
【図13】第4実施形態に係るプリント配線板の断面図
【図14】第5実施形態に係るプリント配線板の製造工程図
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
図7、8を参照して本発明の第1実施形態に係るプリント配線板が以下に説明されている。
図7は第1実施形態に係るプリント配線板10の断面を示している。図8は、第1実施形態のプリント配線板の用途を示している。図8では、図7のプリント配線板がマザーボード200に搭載され、さらに、別のPKG基板100が第1実施形態のプリント配線板に搭載されている。
【0009】
図7に示されるように、プリント配線板10は、第1の樹脂絶縁層50と、該第1の樹脂絶縁層上の第1導体層58bと、該第1の樹脂絶縁層及び第1導体層上の第2の樹脂絶縁層60と、第2の樹脂絶縁層上の第2導体層68と、該第2の樹脂絶縁層及び第2導体層上の第3の樹脂絶縁層70と、第3の樹脂絶縁層上の第3導体層78と、該第3の樹脂絶縁層及び第3導体層上の層間樹脂絶縁層80と、層間樹脂絶縁層上の導体層88と、層間樹脂絶縁層及び導体層上のソルダーレジスト層94とを備える。第1の樹脂絶縁層50の第2面側に電極42が埋まっている。電極の第2面は第1の樹脂絶縁層から露出していて、その電極42の第2面上に半田バンプ96Dが形成されている。第2の樹脂絶縁層60及び第3の樹脂絶縁層70の中央部には電子部品を収容するための開口75が設けられ、開口75内にICチップ等の電子部品90が収容されている。第2と第3の樹脂絶縁層の内壁とICチップ90との間には充填樹脂800が充填されている。各導体層はそれぞれ複数の導体回路を有している。
【0010】
電極42と第1導体層58bは、第1の樹脂絶縁層50を貫通する第1ビア導体59bを介して接続されている。第1の樹脂絶縁層上であってICチップ90の下側に、搭載用導体層58aが形成されている。搭載用導体層に第1の樹脂絶縁層50を貫通している放熱ビア導体59aが接続されている。第1導体層58bと第2導体層68は、第2の樹脂絶縁層60を貫通する第2ビア導体69を介して接続されている。第2導体層68と第3導体層78とは、第3の樹脂絶縁層70を貫通する第3ビア導体79を介して接続されている。導体層88と第3導体層78とは、層間樹脂絶縁層80を貫通するビア導体89bを介して接続されている。ICチップ90の電極92と、導体層88は、接続ビア導体89aを介して接続されている。
【0011】
搭載用導体層58a上に銀ペーストからなる接着層(ダイアタッチ)55が形成されている。ソルダーレジスト層は導体層やビア導体、接続ビア導体を露出する開口94aを有していて、その開口94aに半田バンプ96Uが形成されている。
【0012】
図8では、図7のプリント配線板が反転されている。プリント配線板10の半田バンプ96Dを介してパッケージ基板100のパッド102がプリント配線板10に接続される。パッケージ基板100上に、メモリー104が搭載されて、ワイヤー106によりパッケージ基板100とメモリーが接続されている。一方、プリント配線板10の半田バンプ96Uを介して、マザーボード200のパッド202がプリント配線板10に接続されている。
【0013】
図1〜図8を参照し、第1実施形態のプリント配線板の製造方法が以下に説明されている。
銅張積層板30と、厚さ3〜20μmの銅箔40が準備される(図1(A))。
【0014】
銅張積層板30に銅箔40が接着剤又は超音波接続により接合される(図1(B))。銅張積層板の外周と銅箔の外周が所定の幅で接合される。銅箔上に所定パターンのめっきレジストが形成され、めっきレジスト非形成部に電解銅めっきにより電極42が形成される。電極の厚みは10μm〜40μmである。めっきレジストが除去される(図1(C))。電極は第1面と第1面との反対側の第2面とを有する。電極の第2面は銅箔40と対向する面である。
【0015】
銅箔40及び電極の第1面上に絶縁層が積層される。その後、加熱プレスすることで、銅箔40及び電極上に第1の樹脂絶縁層50が形成される(図2(A))。第1の樹脂絶縁層は第1面とその第1面とは反対側の第2面とを有する。第2面は銅箔40と対向する面である。電極の側壁と第1面は第1の樹脂絶縁層で覆われる。第1の樹脂絶縁層はエポキシなどの樹脂とガラスなどの無機粒子で形成されている。第1の樹脂絶縁層はさらにガラスクロスなどの補強材を有することが好ましい。支持板と第1の樹脂絶縁層間に1層または複数の樹脂層と配線層を交互に形成することができる。各配線層は複数の導体回路を含み各樹脂層を貫通するビア導体で接続される。レーザで、第1の樹脂絶縁層50に、電極42に至る開口50bと、銅箔40に至る開口50aが形成される。第1の樹脂絶縁層の第1面と開口50a、50bの内壁は粗化される(図2(B))。第1の樹脂絶縁層の第1面と開口50a、50bの内壁に形成されている粗面は図示されていない。開口50bは電極の第1面を露出する。無電解めっき処理により第1の樹脂絶縁層50の表面と開口50a、50bの内面に無電解めっき膜51が形成される(図2(C))。
【0016】
無電解めっき膜51上に所定パターンのめっきレジスト54が形成される(図2(D))。電解めっき処理により、開口50a、開口50bは電解めっき膜で充填される。同時に、第1の樹脂絶縁層の第1面上であってめっきレジスト非形成部に電解めっき膜56が形成される(図3(A))。めっきレジスト54が除去される。そして、電解めっき膜間の無電解めっき膜51が除去される。複数の導体回路を含む第1導体層58b、搭載用導体層58a、第1ビア導体59b及び放熱ビア導体59aが完成する(図3(B))。搭載用導体層の外形は搭載される電子部品の外形より大きい。第1導体層や搭載用導体層や第1ビア導体の表面は粗化される。第1導体層や搭載用導体層や第1ビア導体の表面の粗面は図示されていない。第1ビア導体は第1導体層と電極を接続している。放熱ビア導体は搭載用導体層と銅箔を接続している。搭載用導体層58a上に剥離層57が形成される(図3(C))。第1導体層は基準マークを有していて、その基準マークを基準にして剥離層が搭載用導体層上に形成される。また、その基準マークと搭載用導体層は同時に形成されているので、基準マークと搭載用導体層は関連している。剥離層は搭載用導体層上に形成される樹脂絶縁層を搭載用導体層から除去するために形成される。剥離層は搭載用導体層と搭載用導体層上の樹脂絶縁層が接着することを防止している。剥離層は少なくとも搭載用導体層と接着しない。剥離層の例として、金属箔、接着力を有しない樹脂製フィルムや接着力の弱い樹脂製フィルムや紙などが挙げられる。
搭載用導体層と搭載用導体層上の樹脂絶縁層が接着しない場合、搭載用導体層上に剥離層を形成することは必要ない。例えば、搭載用導体層の表面が平坦な場合、樹脂絶縁層と搭載用導体層間の接着力は弱いので、搭載用導体層に樹脂絶縁層を直接積層することができる。第1導体層が粗化される時、搭載用導体層を保護フィルムで覆うことで搭載用導体層の表面は粗化されない。搭載用導体層の表面は平坦であって、第1導体層の表面は荒れている。
【0017】
図2(A)〜図3(B)を参照して説明されている方法と同様の方法で、第2の樹脂絶縁層60及び第2導体層68、第2ビア導体69が形成される(図3(D))。同様の工程で、第3の樹脂絶縁層70及び第3導体層78、第3ビア導体79が形成される(図4(A))。第2導体層や第3導体層は第1導体層の基準マークと関連している。第3導体層は第3の基準マークを有していて、第1導体層の基準マークと第3の基準マークは関連している。第2の樹脂絶縁層と第3の樹脂絶縁層は第1面と第1面とは反対側の第2面とを有する。第2の樹脂絶縁層の第2面は第1の樹脂絶縁層の第1面と対向する面であり、第3の樹脂絶縁層の第2面は第2の樹脂絶縁層の第1面と対向する面である。第2導体層68は第2の樹脂絶縁層の第1面に形成されている。第1導体層と第2導体層は第2の樹脂絶縁層に形成されている第2ビア導体69で接続されている。第3導体層78は第3の樹脂絶縁層の第1面に形成されている。第2導体層と第3導体層は第3の樹脂絶縁層に形成されている第3ビア導体79で接続されている。
【0018】
レーザで、搭載用導体層に至る切れ目(cut)77が第3の樹脂絶縁層70と第2の樹脂絶縁層60に形成される(図4(B))。図9に切れ目77の平面図が示されている。切れ目は所定の幅(Cut1)を有している。切れ目77と剥離層57の外周は重なることが好ましい。剥離層を残すことなく、剥離層上の樹脂絶縁層が除去される。切れ目が剥離層の外周より内側に形成されると、樹脂絶縁層と搭載用導体層間に剥離層が残りやすい。剥離層がプリント配線板内に残ると、樹脂絶縁層の剥離が発生すると考えられる。切れ目は第3の基準マークに基づいて形成されるので、切れ目の位置は剥離層の位置や搭載用導体層の位置に合っている。そのため、実施形態では、剥離層を残すことなく除去することができる。
【0019】
剥離層に金属箔が用いられる場合、金属箔は第1面と第1面とは反対側の第2面とを有し、第1面が平滑な面であり、第2面が凹凸面であることが好ましい。この場合、第1面が搭載用導体層と対向し第2面が第2の樹脂絶縁層と対向することが好ましい。凹凸面を介して剥離層と第2の樹脂絶縁層が密着する。第2の樹脂絶縁層が除去される時、同時に剥離層も除去される。
【0020】
剥離層57と搭載用導体層は密着していないので、剥離層上の樹脂絶縁層は剥離層を介して搭載用導体層から除去される。樹脂絶縁層を貫通し、搭載用導体層を露出する開口が樹脂絶縁層に形成される。第1実施形態では第2と第3の樹脂絶縁層が部分的に除去され、第2と第3の樹脂絶縁層を貫通する開口75が形成されている。中央部に開口(キャビティ)75を備える途中基板99が完成する(図4(C))。
【0021】
搭載用導体層58a上に銀ペーストにより接着層(ダイアタッチ)55が形成される。ダイアタッチ55上にICチップなどの電子部品90が搭載される(図5(A))。
実施形態1では、途中基板に電子部品が搭載される。途中基板は開口を有するため、強度が低下する。また、途中基板は開口を部分的に有するため、反りが発生しやすい。しかしながら、実施形態の製造方法によれば、電子部品が途中基板に搭載される時、途中基板は支持板を有している。そのため、途中基板の強度は高い。途中基板の反りは小さくなる。開口により露出される面が平坦になりやすい。実施形態1では、開口により露出される搭載用導体層の表面が平坦になる。従って、実施形態では、途中基板に容易に電子部品を搭載することができる。また、電子部品が所定位置に搭載される。従って、電子部品の電極とその電極と接続するビア導体(接続ビア導体)間の位置精度が高くなる。電子部品の電極とその電極に直接繋がっているビア導体間の接続信頼性が高くなる。途中基板が平坦なので、電子部品と途中基板との接合強度が高くなる。そのため、搭載後の工程で電子部品が途中基板から剥れがたくなる。
【0022】
Bステージの絶縁層が第3の樹脂絶縁層の第1面上に積層される。この絶縁層は電子部品90を覆っている。その後、途中基板99と絶縁層に加熱プレスが施される。絶縁層の樹脂が開口内に入り込み開口を充填する。絶縁層が硬化することで、第3の樹脂絶縁層の第1面と電子部品上に層間樹脂絶縁層80が形成される。また、開口内を充填している樹脂が硬化し、開口内に充填樹脂800が形成される(図5(B))。絶縁層が樹脂と無機粒子を含む場合、充填樹脂は樹脂と無機粒子を含む。各樹脂絶縁層や層間樹脂絶縁層はガラスなどの無機粒子と樹脂を含む。各樹脂絶縁層や層間樹脂絶縁層はさらにガラスクロスなどの心材を有してもよい。
【0023】
層間樹脂絶縁層80に、図2(B)〜図3(B)を参照して説明されている方法と同様の方法で、導体層88、ビア導体89b及び接続ビア導体89aが形成される(図5(C))。
実施形態1の製造方法によれば、層間樹脂絶縁層に形成されている接続ビア導体用の開口を電子部品の電極上に確実に形成することができる。
【0024】
層間樹脂絶縁層80上に開口94aを備えるソルダーレジスト層94が形成される(図6(A))。積層基板10000が完成する。積層基板は銅箔と銅張積層板の接合箇所より内側で切断される。両面銅張積層板30が除去される。中間基板20000が完成する(図6(B))。中間基板20000から銅箔40がエッチングにより除去される(図6(C))。電極の第2面、放熱ビア導体と第1の樹脂絶縁層の第2面が露出する。プリント配線板1000が完成する。放熱ビア導体は第1の樹脂絶縁層の第2面にパッドを有していない。
【0025】
プリント配線板の製造プロセスは加熱プロセスや加圧プロセスを含んでいる。実施形態1のプリント配線板の製造方法によれば、電子部品がプリント配線板の製造工程の途中から内蔵される。そのため、実施形態1の製造方法によれば、製造プロセスの初期工程から電子部品を内蔵するプロセスに比べ、内蔵される電子部品に施される加熱プロセスや加圧プロセスの回数が少なくなる。そのため、熱や圧力で電子部品が破壊する頻度が減少する。また、電子部品の電極とその電極に繋がっているビア導体間に掛かるストレスや電子部品と充填樹脂との界面に掛かるストレスが減少すると考えられる。そのため、電子部品とプリント配線板間の接続信頼性が向上する。電子部品と充填樹脂の界面の剥がれを起点とするプリント配線板のクラックが減少する。
【0026】
ソルダーレジスト層94の開口94aにより露出される導体層と電極42の第2面に金属層が形成される。金属層はSn膜やNi/Au膜である。ソルダーレジスト層94の開口94aにより露出される導体層に半田バンプ96Uが形成される。電極42の第2面に半田バンプ96Dが形成される(図7)。プリント配線板に半田バンプ96Dを介してパッケージ基板100が搭載される。半田バンプ96Uを介してマザーボード200に多層プリント配線板10が搭載される(図8)。
【0027】
第1実施形態の製造方法によれば、内蔵する電子部品の厚みを考慮して、何層の樹脂絶縁層を除去するかを決定することができる。除去される樹脂絶縁層の層数は1層でも複数の層でも良い。そのため、第1実施形態では、図5(A)中に示されているように、各樹脂絶縁層(第1の樹脂絶縁層50、第2の樹脂絶縁層60、第3の樹脂絶縁層70)の厚み(a1)を全て略同一にすることができる。層間樹脂絶縁層の厚みは樹脂絶縁層の厚みと同じであることが望ましい。樹脂絶縁層のコストが低くなる。また、各樹脂絶縁層の厚みが同じであると、ビア導体の長さや樹脂絶縁層上の導体層の厚みが各層で略同じになる。そのため、各層の導体層やビア導体に略均一に応力が分散されるので、第1実施形態のプリント配線板は応力で破壊され難くなる。第1実施形態では2層の樹脂絶縁層が除去されている。第1実施形態では、キャビティ75の深さ(Ca1)は、第2の樹脂絶縁層60と第3の樹脂絶縁層70との厚みの合計(2a1)と搭載用導体層の厚み(T1)の差であり、電子部品90の厚みb1より厚い。即ち、ICチップ90の上面は、第3の樹脂絶縁層70の第1面からx1だけ凹んだ位置(低い位置)にあり、その凹み量(x1)は、一枚の樹脂絶縁層の厚み(a1)の半分以下である。ここで、電子部品は接着層55上に形成されているので、x1は以下の式で表される。
x1=2a1−T1−Ad1−b1
(*)Ad1は接着層(ダイアタッチメント)の厚みである。
n層の樹脂絶縁層にキャビティ75が形成されると、x1は以下の式で表される。
x1=n×a1−T1−Ad1−b1
【0028】
図5(C)が示すように、接続ビア導体89aの長さは、第4ビア導体89bよりも長い。ICチップ等の電子部品の膨張係数は実施形態1のプリント配線板に用いられているその他の材料に比べ小さいので、一般的にICチップの電極と接続ビア導体89a間に働く応力は、第3導体層78と第4ビア導体89b間に働く応力より大きい。しかしながら、接続ビア導体89aは、第4ビア導体89bよりも長いので、接続ビア導体89aはICチップの電極と接続ビア導体89a間に働く応力を緩和することができる。そのため、電子部品とプリント配線板との接続信頼性が高くなる。
【0029】
実施形態1では、ICチップなどの電子部品の電極へ至る接続ビア導体89aを形成するための開口の深さが深くなる。深さが深いと、開口を充填するため、導体層88の厚みが厚くなる。層間樹脂絶縁層80の上に微細な導体層を形成するため、凹み量(x1)は、一枚の樹脂絶縁層の厚み(a1)の半分以下に設定される。また、x1が大きくなると、電子部品の電極上の接続ビア導体89a用の開口の径を大きくする必要がある。この観点からも凹み量(x1)は、一枚の樹脂絶縁層の厚み(a1)の半分以下に設定される。
【0030】
各樹脂絶縁層の厚みは電子部品の厚みより薄いことが好ましい。各樹脂絶縁層上に形成される各導体層は、ビア導体と同時に形成される。樹脂絶縁層が薄いと、各導体層の厚みが薄くなるので、各樹脂絶縁層上に微細な導体回路が形成される。
【0031】
第1実施形態では、電子部品を内蔵するための開口を有しない樹脂絶縁層50と電子部品を内蔵するための開口を有しない層間樹脂絶縁層80が電子部品の上下に形成されている。電子部品の上下で樹脂絶縁層の層数が同じなのでプリント配線板の反りが小さくなる。
【0032】
[第2実施形態]
図11は、第2実施形態のプリント配線板を示している。
第2実施形態では、第2の樹脂絶縁層60にキャビティ75が形成され、ICチップが収容されている。1層の樹脂絶縁層だけに電子部品を内蔵するための開口が形成されている。
【0033】
図10を参照して第2実施形態に係るプリント配線板の製造方法が以下に説明されている。
図3(D)に示されている基板が形成される。製造方法は、図1〜図3(D)を参照して説明されている方法と同様の方法である。その後、第2の樹脂絶縁層に切れ目が形成される。切れ目の形成方法や形成箇所は第1実施形態と同じである(図10(A))。
【0034】
切れ目に沿って、第2の樹脂絶縁層60、剥離層57が除去され、中央部にキャビティ75を備える途中基板が完成する。搭載用導体層58a上に接着層55を介してICチップ90が搭載される(図10(B))。ガラスなどの無機粒子とBステージのエポキシ樹脂で形成されている絶縁層が第2の樹脂絶縁層の第1面上とICチップ90上に積層される。その後、加熱プレス処理が行われる。第2の樹脂絶縁層の第1面上とICチップ90上に層間樹脂絶縁層80が形成される。層間樹脂絶縁層80に図5(C)と同様の工程で、導体層88が形成される。また、層間樹脂絶縁層80にビア導体89b及び接続ビア導体89aが形成される(図10(C))。以降の工程の説明は第1実施形態と同様であるため、省略される。
【0035】
第2実施形態では、キャビティが1層の第2の樹脂絶縁層60に形成されている。キャビティの深さ(Ca2)は、ICチップなどの電子部品90の厚み(b2)よりも浅い。ICチップ90の突出量(x2)は、第2の樹脂絶縁層60の厚み(a2)の半分以下である。
x2は以下の式で表される。
x2=b2+T1+Ad1−a2
層間樹脂絶縁層上の導体層と電子部品の電極間の距離が樹脂絶縁層の1/2以上であると、マイグレーションによる層間樹脂絶縁層上の導体層と電子部品の電極間でのショートが防止される。また、x2が樹脂絶縁層の厚さの1/2を越えると、接続ビア導体の長さが短いので、導体層と電極間の接続信頼性が低下する。
【0036】
ICチップの電極92に至る接続ビア導体89a用の開口は、ビア導体89b用の開口よりも浅い。そのため、ICチップの電極92上の開口と第2導体層上のビア導体89b用の開口は同じレーザ条件で形成することができる。接続ビア導体89a用の開口の深さとビア導体89b用の開口の深さが大きく異なっていて、接続ビア導体89a用の開口の深さが深いと、両者を同条件で形成することは難しい。なぜなら、電極上での接続ビア導体89a用の開口の大きさが小さくなるからである。つまり、電極に至る接続ビア導体用開口と、第2導体層に至るビア導体用開口は層間樹脂絶縁層の第1面上で略同じ大きさの開口径を有するが、電極上の開口の大きさは、第2導体層上の開口の大きさよりも大きい。このため、接続ビア導体89aと電極92間の接続面積が大きいので、接続信頼性が高い。また、ビア導体89b用の開口と接続ビア導体89a用の開口とを同じ条件で形成することができるので、生産効率が高い。
【0037】
[第3実施形態]
第3実施形態のプリント配線板が図12に示されている。第3実施形態のプリント配線板は第1実施形態のプリント配線板と同様であるが、放熱ビア導体を有していない。
第3実施形態のプリント配線板は第1実施形態と同様な方法で製造される。第1実施形態において、放熱用ビア導体用の開口の形成を省略することで第3実施形態のプリント配線板は製造される。
【0038】
[第4実施形態]
第4実施形態のプリント配線板が図13に示されている。第4実施形態のプリント配線板は第1実施形態のプリント配線板と同様であるが搭載用導体層と放熱ビア導体を有していない。ダイアタッチメントが第1の樹脂絶縁層の第1面上に直接形成されている。
第4実施形態のプリント配線板は第1実施形態と同様な方法で製造できる。第1実施形態において、搭載用導体層と放熱ビア導体の形成を省略することで第4実施形態のプリント配線板は製造できる。キャビティにより露出される第1の樹脂絶縁層の第1面は粗面を有しない方が好ましい。
【0039】
[第5実施形態]
第5実施形態の製造方法が以下に示される。図3(B)に示されている基板が第1実施形態と同様な方法で形成される。その後、搭載用導体層は保護膜3000で覆われる(図14(A))。そして、第1導体層や第1ビア導体の表面は粗化される。第1導体層などに形成される粗面は図示されていない。搭載用導体層の表面は粗化されない。搭載用導体層上の保護膜が除去される(図14(B))。第5実施形態では、搭載用導体層上に剥離層は積層されない。第1の樹脂絶縁層の第1面、第1導体層と搭載用導体層上に第2の樹脂絶縁層が形成される。第2の樹脂絶縁層は搭載用導体層上に直接形成されている。第1実施形態と同様に、第3の樹脂絶縁層や第3導体層が形成される(図14(C))。搭載用導体層に至る切れ目が形成される(図4(B))。第2と第3の樹脂絶縁層の一部が除去される。搭載用導体層に至る開口(キャビティ)が形成される(図4(C))。図4(C)に示される基板に第1実施形態の図5から図7の工程が施される。
【0040】
いずれの実施形態においても、所定の層数の樹脂絶縁層を有する途中基板に電子部品が内蔵される。電子部品内蔵後、開口が形成されていない樹脂絶縁層と同じ層数の樹脂絶縁層(層間樹脂絶縁層は含まれる)が途中基板上に形成される。そのため、電子部品は断面方向で中央に内蔵される。本発明の実施形態によれば、反りの少ないプリント配線板が提供される。
各実施形態に用いられる各樹脂絶縁層、樹脂層、層間樹脂絶縁層の厚みは20μmから100μmであり、内蔵される電子部品の厚みは30μmから150μmである。
【0041】
[実施例1]
0.8mmの両面銅張積層板と5μmの銅箔が準備される(図1(A))。銅箔と両面銅張積層板は超音波により外周で接合される(図1(B))。銅箔の平滑面が銅張積層板と対向している。銅箔上に電極が形成される(図1(C))。銅箔と電極上に第1の樹脂絶縁層が形成される。第1の樹脂絶縁層の厚みは50μmである(図2(A))。電極と銅箔に至る開口が形成される(図2(B))。周知のセミアディティブ法で第1導体層や第1ビア導体や搭載用導体層が形成される(図3(B))。第1導体層はアライメントマークを有する。搭載用導体層の外形は搭載されるICの外形より大きい。第1導体層や第1ビア導体や搭載用導体層の表面は粗化される。第1のアライメントマークに基づいて搭載用導体層上に剥離層が形成される(図3(C))。剥離層は銅箔で形成されていて、その外形は搭載されるICの外形より大きく、搭載用導体層の外形より小さい。
【0042】
第1の樹脂絶縁層、第1導体層と剥離層上に第2の樹脂絶縁層が形成される。剥離層と第2の樹脂絶縁層は銅箔の凹凸面を介して密着する。第2の樹脂絶縁層に第2導体層が形成される。また、第2の樹脂絶縁層に第2ビア導体が形成される(図3(D))。第2導体層は第2のアライメントマークを有し、第1のアライメントマークと第2のアライメントマークは関連している。
【0043】
第2の樹脂絶縁層と第2導体層上に第3の樹脂絶縁層が形成される。第3の樹脂絶縁層に第3導体層が形成される。また、第3の樹脂絶縁層に第3ビア導体が形成される(図4(A))。第3導体層は第3のアライメントマークを有し、第1のアライメントマークと第3のアライメントマークは関連している(図4(A))。第2と第3の樹脂絶縁層の厚みは50μmである。
【0044】
第3のアライメントマークに基づいて、第2と第3の樹脂絶縁層に切れ目が形成される(図4(B))。切れ目(Cut1)の幅は50μmであり、切れ目により剥離層の外周は露出される(図9)。切れ目は剥離層の外周を含んでいる。剥離層と第2と第3の樹脂絶縁層の一部が搭載用導体層上から除去される。搭載用導体層上に銀ペーストからなるダイアッタチメントが塗布される。その後、ICが搭載用導体層上に銀ペーストを介して搭載される(図5(A))。この時、ICは第3のアライメントマークに基づいて搭載される。搭載用導体層の厚みは12μmであり、ダイアタッチメントの厚み(搭載用導体層の上面から電子部品の底面までの厚み)は15μmであり、ICの厚み(b1)は50μmである。従って、x1は23μmであり、a1/2は25μmである。続いて、ガラスクロスとガラス粒子とエポキシ樹脂を含むプリプレグが第3の樹脂絶縁層と電子部品上に積層される。そして、加熱プレスが行われる。ICはガラス粒子とエポキシ樹脂を含む充填樹脂で途中基板に固定される。また、第3の樹脂絶縁層と充填樹脂上に層間樹脂絶縁層80が形成される(図5(B))。層間樹脂絶縁層80はガラスクロスとガラス粒子とエポキシ樹脂を含む。層間樹脂絶縁層80の厚みは50μmである。その後、ICの電極と第3導体層に至る開口が層間樹脂絶縁層80に形成される。続いて、周知のセミアディティブ法で導体層88、ビア導体89b及び接続ビア導体89aが形成される(図5(C))。層間樹脂絶縁層80上にソルダーレジスト層が形成される。積層基板10000が完成する(図6(A))。積層基板10000は銅張積層板と銅箔の接合部より内側で切断され、銅張積層板と銅箔が分離される。中間基板20000が完成する(図6(B))。中間基板から銅箔がエッチングで除去される。電極と放熱ビアが露出する(図6(C))。多層プリント配線板1000が完成する。
【0045】
[実施例2]
実施例2のプリント配線板(図11)は実施形態2と同様な方法で形成される。各樹脂絶縁層、層間樹脂絶縁層とICの厚みは50μmであり、搭載用導体層の厚みは12μmであり、ダイアタッチメントの厚みは10μmである。従って、x2は22μmであり、a2/2以下である。
【符号の説明】
【0046】
10 プリント配線板
50 第1絶縁層
58 第1導体層
59b 第1ビア導体
60 第1絶縁層
68 第2導体層
69 第2ビア導体
70 第3絶縁層
77 キャビティ
78 第3導体層
79 第3ビア導体
90 ICチップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア基板を有さず、電子部品を内蔵するためのプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、薄型化のためコア基板を用いず、半導体素子を絶縁層に埋め込むことを開示している。該特許文献1は、支持板上に半導体素子を搭載することと、支持板及び半導体素子上にビルドアップ層を形成することと、支持板をビルドアップ層から分離することとを含む半導体装置の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−222164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、以降のプロセスを含む製造方法が開示されている(特許文献1の図19、図20参照)。絶縁層で半導体素子が覆われる。そして、その絶縁層は半導体素子の電極が露出するまで研磨され、その絶縁層に支持板上のパッドに至る開口が形成される。その後、その開口をめっきで充填することでビア導体が形成されている。この製造方法では、電子部品と同等の深さを有する開口をめっきで充填することでビア導体が形成される。そのため、絶縁層上の導体回路の厚みが厚くなると考えられる。そのため、絶縁層上に微細な導体回路の形成が困難であると考えられる。
【0005】
本発明の目的は、電子部品を内蔵し薄型で接続信頼性の高いプリント配線板を製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリント配線板の製造方法は:支持板を用意することと、前記支持板上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する第1の樹脂絶縁層を該第1の樹脂絶縁層の第2面が前記支持板に向くように形成することと、前記第1の樹脂絶縁層の第1面上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する第2の樹脂絶縁層を該第2の樹脂絶縁層の第2面が前記第1の樹脂絶縁層の第1面に向くように形成することと、電極を有する電子部品を搭載するための開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することと、前記電子部品の電極が前記第2の樹脂絶縁層の第1面に向くように前記電子部品を前記開口に収容することと、前記第2の樹脂絶縁層の第1面と前記電子部品上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する層間樹脂絶縁層を該層間樹脂絶縁層の第2面が前記第2の樹脂絶縁層の第1面に向くように形成することと、前記層間樹脂絶縁層に前記電子部品の電極に至るビア導体を形成することと、前記支持板を前記第1の樹脂絶縁層から除去することとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図
【図2】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図
【図3】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図
【図4】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図
【図5】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図
【図6】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図
【図7】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の断面図
【図8】図7のプリント配線板の応用例
【図9】切れ目の平面図
【図10】第2実施形態に係るプリント配線板の製造工程図
【図11】第2実施形態に係るプリント配線板の断面図
【図12】第3実施形態に係るプリント配線板の断面図
【図13】第4実施形態に係るプリント配線板の断面図
【図14】第5実施形態に係るプリント配線板の製造工程図
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
図7、8を参照して本発明の第1実施形態に係るプリント配線板が以下に説明されている。
図7は第1実施形態に係るプリント配線板10の断面を示している。図8は、第1実施形態のプリント配線板の用途を示している。図8では、図7のプリント配線板がマザーボード200に搭載され、さらに、別のPKG基板100が第1実施形態のプリント配線板に搭載されている。
【0009】
図7に示されるように、プリント配線板10は、第1の樹脂絶縁層50と、該第1の樹脂絶縁層上の第1導体層58bと、該第1の樹脂絶縁層及び第1導体層上の第2の樹脂絶縁層60と、第2の樹脂絶縁層上の第2導体層68と、該第2の樹脂絶縁層及び第2導体層上の第3の樹脂絶縁層70と、第3の樹脂絶縁層上の第3導体層78と、該第3の樹脂絶縁層及び第3導体層上の層間樹脂絶縁層80と、層間樹脂絶縁層上の導体層88と、層間樹脂絶縁層及び導体層上のソルダーレジスト層94とを備える。第1の樹脂絶縁層50の第2面側に電極42が埋まっている。電極の第2面は第1の樹脂絶縁層から露出していて、その電極42の第2面上に半田バンプ96Dが形成されている。第2の樹脂絶縁層60及び第3の樹脂絶縁層70の中央部には電子部品を収容するための開口75が設けられ、開口75内にICチップ等の電子部品90が収容されている。第2と第3の樹脂絶縁層の内壁とICチップ90との間には充填樹脂800が充填されている。各導体層はそれぞれ複数の導体回路を有している。
【0010】
電極42と第1導体層58bは、第1の樹脂絶縁層50を貫通する第1ビア導体59bを介して接続されている。第1の樹脂絶縁層上であってICチップ90の下側に、搭載用導体層58aが形成されている。搭載用導体層に第1の樹脂絶縁層50を貫通している放熱ビア導体59aが接続されている。第1導体層58bと第2導体層68は、第2の樹脂絶縁層60を貫通する第2ビア導体69を介して接続されている。第2導体層68と第3導体層78とは、第3の樹脂絶縁層70を貫通する第3ビア導体79を介して接続されている。導体層88と第3導体層78とは、層間樹脂絶縁層80を貫通するビア導体89bを介して接続されている。ICチップ90の電極92と、導体層88は、接続ビア導体89aを介して接続されている。
【0011】
搭載用導体層58a上に銀ペーストからなる接着層(ダイアタッチ)55が形成されている。ソルダーレジスト層は導体層やビア導体、接続ビア導体を露出する開口94aを有していて、その開口94aに半田バンプ96Uが形成されている。
【0012】
図8では、図7のプリント配線板が反転されている。プリント配線板10の半田バンプ96Dを介してパッケージ基板100のパッド102がプリント配線板10に接続される。パッケージ基板100上に、メモリー104が搭載されて、ワイヤー106によりパッケージ基板100とメモリーが接続されている。一方、プリント配線板10の半田バンプ96Uを介して、マザーボード200のパッド202がプリント配線板10に接続されている。
【0013】
図1〜図8を参照し、第1実施形態のプリント配線板の製造方法が以下に説明されている。
銅張積層板30と、厚さ3〜20μmの銅箔40が準備される(図1(A))。
【0014】
銅張積層板30に銅箔40が接着剤又は超音波接続により接合される(図1(B))。銅張積層板の外周と銅箔の外周が所定の幅で接合される。銅箔上に所定パターンのめっきレジストが形成され、めっきレジスト非形成部に電解銅めっきにより電極42が形成される。電極の厚みは10μm〜40μmである。めっきレジストが除去される(図1(C))。電極は第1面と第1面との反対側の第2面とを有する。電極の第2面は銅箔40と対向する面である。
【0015】
銅箔40及び電極の第1面上に絶縁層が積層される。その後、加熱プレスすることで、銅箔40及び電極上に第1の樹脂絶縁層50が形成される(図2(A))。第1の樹脂絶縁層は第1面とその第1面とは反対側の第2面とを有する。第2面は銅箔40と対向する面である。電極の側壁と第1面は第1の樹脂絶縁層で覆われる。第1の樹脂絶縁層はエポキシなどの樹脂とガラスなどの無機粒子で形成されている。第1の樹脂絶縁層はさらにガラスクロスなどの補強材を有することが好ましい。支持板と第1の樹脂絶縁層間に1層または複数の樹脂層と配線層を交互に形成することができる。各配線層は複数の導体回路を含み各樹脂層を貫通するビア導体で接続される。レーザで、第1の樹脂絶縁層50に、電極42に至る開口50bと、銅箔40に至る開口50aが形成される。第1の樹脂絶縁層の第1面と開口50a、50bの内壁は粗化される(図2(B))。第1の樹脂絶縁層の第1面と開口50a、50bの内壁に形成されている粗面は図示されていない。開口50bは電極の第1面を露出する。無電解めっき処理により第1の樹脂絶縁層50の表面と開口50a、50bの内面に無電解めっき膜51が形成される(図2(C))。
【0016】
無電解めっき膜51上に所定パターンのめっきレジスト54が形成される(図2(D))。電解めっき処理により、開口50a、開口50bは電解めっき膜で充填される。同時に、第1の樹脂絶縁層の第1面上であってめっきレジスト非形成部に電解めっき膜56が形成される(図3(A))。めっきレジスト54が除去される。そして、電解めっき膜間の無電解めっき膜51が除去される。複数の導体回路を含む第1導体層58b、搭載用導体層58a、第1ビア導体59b及び放熱ビア導体59aが完成する(図3(B))。搭載用導体層の外形は搭載される電子部品の外形より大きい。第1導体層や搭載用導体層や第1ビア導体の表面は粗化される。第1導体層や搭載用導体層や第1ビア導体の表面の粗面は図示されていない。第1ビア導体は第1導体層と電極を接続している。放熱ビア導体は搭載用導体層と銅箔を接続している。搭載用導体層58a上に剥離層57が形成される(図3(C))。第1導体層は基準マークを有していて、その基準マークを基準にして剥離層が搭載用導体層上に形成される。また、その基準マークと搭載用導体層は同時に形成されているので、基準マークと搭載用導体層は関連している。剥離層は搭載用導体層上に形成される樹脂絶縁層を搭載用導体層から除去するために形成される。剥離層は搭載用導体層と搭載用導体層上の樹脂絶縁層が接着することを防止している。剥離層は少なくとも搭載用導体層と接着しない。剥離層の例として、金属箔、接着力を有しない樹脂製フィルムや接着力の弱い樹脂製フィルムや紙などが挙げられる。
搭載用導体層と搭載用導体層上の樹脂絶縁層が接着しない場合、搭載用導体層上に剥離層を形成することは必要ない。例えば、搭載用導体層の表面が平坦な場合、樹脂絶縁層と搭載用導体層間の接着力は弱いので、搭載用導体層に樹脂絶縁層を直接積層することができる。第1導体層が粗化される時、搭載用導体層を保護フィルムで覆うことで搭載用導体層の表面は粗化されない。搭載用導体層の表面は平坦であって、第1導体層の表面は荒れている。
【0017】
図2(A)〜図3(B)を参照して説明されている方法と同様の方法で、第2の樹脂絶縁層60及び第2導体層68、第2ビア導体69が形成される(図3(D))。同様の工程で、第3の樹脂絶縁層70及び第3導体層78、第3ビア導体79が形成される(図4(A))。第2導体層や第3導体層は第1導体層の基準マークと関連している。第3導体層は第3の基準マークを有していて、第1導体層の基準マークと第3の基準マークは関連している。第2の樹脂絶縁層と第3の樹脂絶縁層は第1面と第1面とは反対側の第2面とを有する。第2の樹脂絶縁層の第2面は第1の樹脂絶縁層の第1面と対向する面であり、第3の樹脂絶縁層の第2面は第2の樹脂絶縁層の第1面と対向する面である。第2導体層68は第2の樹脂絶縁層の第1面に形成されている。第1導体層と第2導体層は第2の樹脂絶縁層に形成されている第2ビア導体69で接続されている。第3導体層78は第3の樹脂絶縁層の第1面に形成されている。第2導体層と第3導体層は第3の樹脂絶縁層に形成されている第3ビア導体79で接続されている。
【0018】
レーザで、搭載用導体層に至る切れ目(cut)77が第3の樹脂絶縁層70と第2の樹脂絶縁層60に形成される(図4(B))。図9に切れ目77の平面図が示されている。切れ目は所定の幅(Cut1)を有している。切れ目77と剥離層57の外周は重なることが好ましい。剥離層を残すことなく、剥離層上の樹脂絶縁層が除去される。切れ目が剥離層の外周より内側に形成されると、樹脂絶縁層と搭載用導体層間に剥離層が残りやすい。剥離層がプリント配線板内に残ると、樹脂絶縁層の剥離が発生すると考えられる。切れ目は第3の基準マークに基づいて形成されるので、切れ目の位置は剥離層の位置や搭載用導体層の位置に合っている。そのため、実施形態では、剥離層を残すことなく除去することができる。
【0019】
剥離層に金属箔が用いられる場合、金属箔は第1面と第1面とは反対側の第2面とを有し、第1面が平滑な面であり、第2面が凹凸面であることが好ましい。この場合、第1面が搭載用導体層と対向し第2面が第2の樹脂絶縁層と対向することが好ましい。凹凸面を介して剥離層と第2の樹脂絶縁層が密着する。第2の樹脂絶縁層が除去される時、同時に剥離層も除去される。
【0020】
剥離層57と搭載用導体層は密着していないので、剥離層上の樹脂絶縁層は剥離層を介して搭載用導体層から除去される。樹脂絶縁層を貫通し、搭載用導体層を露出する開口が樹脂絶縁層に形成される。第1実施形態では第2と第3の樹脂絶縁層が部分的に除去され、第2と第3の樹脂絶縁層を貫通する開口75が形成されている。中央部に開口(キャビティ)75を備える途中基板99が完成する(図4(C))。
【0021】
搭載用導体層58a上に銀ペーストにより接着層(ダイアタッチ)55が形成される。ダイアタッチ55上にICチップなどの電子部品90が搭載される(図5(A))。
実施形態1では、途中基板に電子部品が搭載される。途中基板は開口を有するため、強度が低下する。また、途中基板は開口を部分的に有するため、反りが発生しやすい。しかしながら、実施形態の製造方法によれば、電子部品が途中基板に搭載される時、途中基板は支持板を有している。そのため、途中基板の強度は高い。途中基板の反りは小さくなる。開口により露出される面が平坦になりやすい。実施形態1では、開口により露出される搭載用導体層の表面が平坦になる。従って、実施形態では、途中基板に容易に電子部品を搭載することができる。また、電子部品が所定位置に搭載される。従って、電子部品の電極とその電極と接続するビア導体(接続ビア導体)間の位置精度が高くなる。電子部品の電極とその電極に直接繋がっているビア導体間の接続信頼性が高くなる。途中基板が平坦なので、電子部品と途中基板との接合強度が高くなる。そのため、搭載後の工程で電子部品が途中基板から剥れがたくなる。
【0022】
Bステージの絶縁層が第3の樹脂絶縁層の第1面上に積層される。この絶縁層は電子部品90を覆っている。その後、途中基板99と絶縁層に加熱プレスが施される。絶縁層の樹脂が開口内に入り込み開口を充填する。絶縁層が硬化することで、第3の樹脂絶縁層の第1面と電子部品上に層間樹脂絶縁層80が形成される。また、開口内を充填している樹脂が硬化し、開口内に充填樹脂800が形成される(図5(B))。絶縁層が樹脂と無機粒子を含む場合、充填樹脂は樹脂と無機粒子を含む。各樹脂絶縁層や層間樹脂絶縁層はガラスなどの無機粒子と樹脂を含む。各樹脂絶縁層や層間樹脂絶縁層はさらにガラスクロスなどの心材を有してもよい。
【0023】
層間樹脂絶縁層80に、図2(B)〜図3(B)を参照して説明されている方法と同様の方法で、導体層88、ビア導体89b及び接続ビア導体89aが形成される(図5(C))。
実施形態1の製造方法によれば、層間樹脂絶縁層に形成されている接続ビア導体用の開口を電子部品の電極上に確実に形成することができる。
【0024】
層間樹脂絶縁層80上に開口94aを備えるソルダーレジスト層94が形成される(図6(A))。積層基板10000が完成する。積層基板は銅箔と銅張積層板の接合箇所より内側で切断される。両面銅張積層板30が除去される。中間基板20000が完成する(図6(B))。中間基板20000から銅箔40がエッチングにより除去される(図6(C))。電極の第2面、放熱ビア導体と第1の樹脂絶縁層の第2面が露出する。プリント配線板1000が完成する。放熱ビア導体は第1の樹脂絶縁層の第2面にパッドを有していない。
【0025】
プリント配線板の製造プロセスは加熱プロセスや加圧プロセスを含んでいる。実施形態1のプリント配線板の製造方法によれば、電子部品がプリント配線板の製造工程の途中から内蔵される。そのため、実施形態1の製造方法によれば、製造プロセスの初期工程から電子部品を内蔵するプロセスに比べ、内蔵される電子部品に施される加熱プロセスや加圧プロセスの回数が少なくなる。そのため、熱や圧力で電子部品が破壊する頻度が減少する。また、電子部品の電極とその電極に繋がっているビア導体間に掛かるストレスや電子部品と充填樹脂との界面に掛かるストレスが減少すると考えられる。そのため、電子部品とプリント配線板間の接続信頼性が向上する。電子部品と充填樹脂の界面の剥がれを起点とするプリント配線板のクラックが減少する。
【0026】
ソルダーレジスト層94の開口94aにより露出される導体層と電極42の第2面に金属層が形成される。金属層はSn膜やNi/Au膜である。ソルダーレジスト層94の開口94aにより露出される導体層に半田バンプ96Uが形成される。電極42の第2面に半田バンプ96Dが形成される(図7)。プリント配線板に半田バンプ96Dを介してパッケージ基板100が搭載される。半田バンプ96Uを介してマザーボード200に多層プリント配線板10が搭載される(図8)。
【0027】
第1実施形態の製造方法によれば、内蔵する電子部品の厚みを考慮して、何層の樹脂絶縁層を除去するかを決定することができる。除去される樹脂絶縁層の層数は1層でも複数の層でも良い。そのため、第1実施形態では、図5(A)中に示されているように、各樹脂絶縁層(第1の樹脂絶縁層50、第2の樹脂絶縁層60、第3の樹脂絶縁層70)の厚み(a1)を全て略同一にすることができる。層間樹脂絶縁層の厚みは樹脂絶縁層の厚みと同じであることが望ましい。樹脂絶縁層のコストが低くなる。また、各樹脂絶縁層の厚みが同じであると、ビア導体の長さや樹脂絶縁層上の導体層の厚みが各層で略同じになる。そのため、各層の導体層やビア導体に略均一に応力が分散されるので、第1実施形態のプリント配線板は応力で破壊され難くなる。第1実施形態では2層の樹脂絶縁層が除去されている。第1実施形態では、キャビティ75の深さ(Ca1)は、第2の樹脂絶縁層60と第3の樹脂絶縁層70との厚みの合計(2a1)と搭載用導体層の厚み(T1)の差であり、電子部品90の厚みb1より厚い。即ち、ICチップ90の上面は、第3の樹脂絶縁層70の第1面からx1だけ凹んだ位置(低い位置)にあり、その凹み量(x1)は、一枚の樹脂絶縁層の厚み(a1)の半分以下である。ここで、電子部品は接着層55上に形成されているので、x1は以下の式で表される。
x1=2a1−T1−Ad1−b1
(*)Ad1は接着層(ダイアタッチメント)の厚みである。
n層の樹脂絶縁層にキャビティ75が形成されると、x1は以下の式で表される。
x1=n×a1−T1−Ad1−b1
【0028】
図5(C)が示すように、接続ビア導体89aの長さは、第4ビア導体89bよりも長い。ICチップ等の電子部品の膨張係数は実施形態1のプリント配線板に用いられているその他の材料に比べ小さいので、一般的にICチップの電極と接続ビア導体89a間に働く応力は、第3導体層78と第4ビア導体89b間に働く応力より大きい。しかしながら、接続ビア導体89aは、第4ビア導体89bよりも長いので、接続ビア導体89aはICチップの電極と接続ビア導体89a間に働く応力を緩和することができる。そのため、電子部品とプリント配線板との接続信頼性が高くなる。
【0029】
実施形態1では、ICチップなどの電子部品の電極へ至る接続ビア導体89aを形成するための開口の深さが深くなる。深さが深いと、開口を充填するため、導体層88の厚みが厚くなる。層間樹脂絶縁層80の上に微細な導体層を形成するため、凹み量(x1)は、一枚の樹脂絶縁層の厚み(a1)の半分以下に設定される。また、x1が大きくなると、電子部品の電極上の接続ビア導体89a用の開口の径を大きくする必要がある。この観点からも凹み量(x1)は、一枚の樹脂絶縁層の厚み(a1)の半分以下に設定される。
【0030】
各樹脂絶縁層の厚みは電子部品の厚みより薄いことが好ましい。各樹脂絶縁層上に形成される各導体層は、ビア導体と同時に形成される。樹脂絶縁層が薄いと、各導体層の厚みが薄くなるので、各樹脂絶縁層上に微細な導体回路が形成される。
【0031】
第1実施形態では、電子部品を内蔵するための開口を有しない樹脂絶縁層50と電子部品を内蔵するための開口を有しない層間樹脂絶縁層80が電子部品の上下に形成されている。電子部品の上下で樹脂絶縁層の層数が同じなのでプリント配線板の反りが小さくなる。
【0032】
[第2実施形態]
図11は、第2実施形態のプリント配線板を示している。
第2実施形態では、第2の樹脂絶縁層60にキャビティ75が形成され、ICチップが収容されている。1層の樹脂絶縁層だけに電子部品を内蔵するための開口が形成されている。
【0033】
図10を参照して第2実施形態に係るプリント配線板の製造方法が以下に説明されている。
図3(D)に示されている基板が形成される。製造方法は、図1〜図3(D)を参照して説明されている方法と同様の方法である。その後、第2の樹脂絶縁層に切れ目が形成される。切れ目の形成方法や形成箇所は第1実施形態と同じである(図10(A))。
【0034】
切れ目に沿って、第2の樹脂絶縁層60、剥離層57が除去され、中央部にキャビティ75を備える途中基板が完成する。搭載用導体層58a上に接着層55を介してICチップ90が搭載される(図10(B))。ガラスなどの無機粒子とBステージのエポキシ樹脂で形成されている絶縁層が第2の樹脂絶縁層の第1面上とICチップ90上に積層される。その後、加熱プレス処理が行われる。第2の樹脂絶縁層の第1面上とICチップ90上に層間樹脂絶縁層80が形成される。層間樹脂絶縁層80に図5(C)と同様の工程で、導体層88が形成される。また、層間樹脂絶縁層80にビア導体89b及び接続ビア導体89aが形成される(図10(C))。以降の工程の説明は第1実施形態と同様であるため、省略される。
【0035】
第2実施形態では、キャビティが1層の第2の樹脂絶縁層60に形成されている。キャビティの深さ(Ca2)は、ICチップなどの電子部品90の厚み(b2)よりも浅い。ICチップ90の突出量(x2)は、第2の樹脂絶縁層60の厚み(a2)の半分以下である。
x2は以下の式で表される。
x2=b2+T1+Ad1−a2
層間樹脂絶縁層上の導体層と電子部品の電極間の距離が樹脂絶縁層の1/2以上であると、マイグレーションによる層間樹脂絶縁層上の導体層と電子部品の電極間でのショートが防止される。また、x2が樹脂絶縁層の厚さの1/2を越えると、接続ビア導体の長さが短いので、導体層と電極間の接続信頼性が低下する。
【0036】
ICチップの電極92に至る接続ビア導体89a用の開口は、ビア導体89b用の開口よりも浅い。そのため、ICチップの電極92上の開口と第2導体層上のビア導体89b用の開口は同じレーザ条件で形成することができる。接続ビア導体89a用の開口の深さとビア導体89b用の開口の深さが大きく異なっていて、接続ビア導体89a用の開口の深さが深いと、両者を同条件で形成することは難しい。なぜなら、電極上での接続ビア導体89a用の開口の大きさが小さくなるからである。つまり、電極に至る接続ビア導体用開口と、第2導体層に至るビア導体用開口は層間樹脂絶縁層の第1面上で略同じ大きさの開口径を有するが、電極上の開口の大きさは、第2導体層上の開口の大きさよりも大きい。このため、接続ビア導体89aと電極92間の接続面積が大きいので、接続信頼性が高い。また、ビア導体89b用の開口と接続ビア導体89a用の開口とを同じ条件で形成することができるので、生産効率が高い。
【0037】
[第3実施形態]
第3実施形態のプリント配線板が図12に示されている。第3実施形態のプリント配線板は第1実施形態のプリント配線板と同様であるが、放熱ビア導体を有していない。
第3実施形態のプリント配線板は第1実施形態と同様な方法で製造される。第1実施形態において、放熱用ビア導体用の開口の形成を省略することで第3実施形態のプリント配線板は製造される。
【0038】
[第4実施形態]
第4実施形態のプリント配線板が図13に示されている。第4実施形態のプリント配線板は第1実施形態のプリント配線板と同様であるが搭載用導体層と放熱ビア導体を有していない。ダイアタッチメントが第1の樹脂絶縁層の第1面上に直接形成されている。
第4実施形態のプリント配線板は第1実施形態と同様な方法で製造できる。第1実施形態において、搭載用導体層と放熱ビア導体の形成を省略することで第4実施形態のプリント配線板は製造できる。キャビティにより露出される第1の樹脂絶縁層の第1面は粗面を有しない方が好ましい。
【0039】
[第5実施形態]
第5実施形態の製造方法が以下に示される。図3(B)に示されている基板が第1実施形態と同様な方法で形成される。その後、搭載用導体層は保護膜3000で覆われる(図14(A))。そして、第1導体層や第1ビア導体の表面は粗化される。第1導体層などに形成される粗面は図示されていない。搭載用導体層の表面は粗化されない。搭載用導体層上の保護膜が除去される(図14(B))。第5実施形態では、搭載用導体層上に剥離層は積層されない。第1の樹脂絶縁層の第1面、第1導体層と搭載用導体層上に第2の樹脂絶縁層が形成される。第2の樹脂絶縁層は搭載用導体層上に直接形成されている。第1実施形態と同様に、第3の樹脂絶縁層や第3導体層が形成される(図14(C))。搭載用導体層に至る切れ目が形成される(図4(B))。第2と第3の樹脂絶縁層の一部が除去される。搭載用導体層に至る開口(キャビティ)が形成される(図4(C))。図4(C)に示される基板に第1実施形態の図5から図7の工程が施される。
【0040】
いずれの実施形態においても、所定の層数の樹脂絶縁層を有する途中基板に電子部品が内蔵される。電子部品内蔵後、開口が形成されていない樹脂絶縁層と同じ層数の樹脂絶縁層(層間樹脂絶縁層は含まれる)が途中基板上に形成される。そのため、電子部品は断面方向で中央に内蔵される。本発明の実施形態によれば、反りの少ないプリント配線板が提供される。
各実施形態に用いられる各樹脂絶縁層、樹脂層、層間樹脂絶縁層の厚みは20μmから100μmであり、内蔵される電子部品の厚みは30μmから150μmである。
【0041】
[実施例1]
0.8mmの両面銅張積層板と5μmの銅箔が準備される(図1(A))。銅箔と両面銅張積層板は超音波により外周で接合される(図1(B))。銅箔の平滑面が銅張積層板と対向している。銅箔上に電極が形成される(図1(C))。銅箔と電極上に第1の樹脂絶縁層が形成される。第1の樹脂絶縁層の厚みは50μmである(図2(A))。電極と銅箔に至る開口が形成される(図2(B))。周知のセミアディティブ法で第1導体層や第1ビア導体や搭載用導体層が形成される(図3(B))。第1導体層はアライメントマークを有する。搭載用導体層の外形は搭載されるICの外形より大きい。第1導体層や第1ビア導体や搭載用導体層の表面は粗化される。第1のアライメントマークに基づいて搭載用導体層上に剥離層が形成される(図3(C))。剥離層は銅箔で形成されていて、その外形は搭載されるICの外形より大きく、搭載用導体層の外形より小さい。
【0042】
第1の樹脂絶縁層、第1導体層と剥離層上に第2の樹脂絶縁層が形成される。剥離層と第2の樹脂絶縁層は銅箔の凹凸面を介して密着する。第2の樹脂絶縁層に第2導体層が形成される。また、第2の樹脂絶縁層に第2ビア導体が形成される(図3(D))。第2導体層は第2のアライメントマークを有し、第1のアライメントマークと第2のアライメントマークは関連している。
【0043】
第2の樹脂絶縁層と第2導体層上に第3の樹脂絶縁層が形成される。第3の樹脂絶縁層に第3導体層が形成される。また、第3の樹脂絶縁層に第3ビア導体が形成される(図4(A))。第3導体層は第3のアライメントマークを有し、第1のアライメントマークと第3のアライメントマークは関連している(図4(A))。第2と第3の樹脂絶縁層の厚みは50μmである。
【0044】
第3のアライメントマークに基づいて、第2と第3の樹脂絶縁層に切れ目が形成される(図4(B))。切れ目(Cut1)の幅は50μmであり、切れ目により剥離層の外周は露出される(図9)。切れ目は剥離層の外周を含んでいる。剥離層と第2と第3の樹脂絶縁層の一部が搭載用導体層上から除去される。搭載用導体層上に銀ペーストからなるダイアッタチメントが塗布される。その後、ICが搭載用導体層上に銀ペーストを介して搭載される(図5(A))。この時、ICは第3のアライメントマークに基づいて搭載される。搭載用導体層の厚みは12μmであり、ダイアタッチメントの厚み(搭載用導体層の上面から電子部品の底面までの厚み)は15μmであり、ICの厚み(b1)は50μmである。従って、x1は23μmであり、a1/2は25μmである。続いて、ガラスクロスとガラス粒子とエポキシ樹脂を含むプリプレグが第3の樹脂絶縁層と電子部品上に積層される。そして、加熱プレスが行われる。ICはガラス粒子とエポキシ樹脂を含む充填樹脂で途中基板に固定される。また、第3の樹脂絶縁層と充填樹脂上に層間樹脂絶縁層80が形成される(図5(B))。層間樹脂絶縁層80はガラスクロスとガラス粒子とエポキシ樹脂を含む。層間樹脂絶縁層80の厚みは50μmである。その後、ICの電極と第3導体層に至る開口が層間樹脂絶縁層80に形成される。続いて、周知のセミアディティブ法で導体層88、ビア導体89b及び接続ビア導体89aが形成される(図5(C))。層間樹脂絶縁層80上にソルダーレジスト層が形成される。積層基板10000が完成する(図6(A))。積層基板10000は銅張積層板と銅箔の接合部より内側で切断され、銅張積層板と銅箔が分離される。中間基板20000が完成する(図6(B))。中間基板から銅箔がエッチングで除去される。電極と放熱ビアが露出する(図6(C))。多層プリント配線板1000が完成する。
【0045】
[実施例2]
実施例2のプリント配線板(図11)は実施形態2と同様な方法で形成される。各樹脂絶縁層、層間樹脂絶縁層とICの厚みは50μmであり、搭載用導体層の厚みは12μmであり、ダイアタッチメントの厚みは10μmである。従って、x2は22μmであり、a2/2以下である。
【符号の説明】
【0046】
10 プリント配線板
50 第1絶縁層
58 第1導体層
59b 第1ビア導体
60 第1絶縁層
68 第2導体層
69 第2ビア導体
70 第3絶縁層
77 キャビティ
78 第3導体層
79 第3ビア導体
90 ICチップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板を用意することと;
前記支持板上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する第1の樹脂絶縁層を該第1の樹脂絶縁層の第2面が前記支持板に向くように形成することと;
前記第1の樹脂絶縁層の第1面上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する第2の樹脂絶縁層を該第2の樹脂絶縁層の第2面が前記第1の樹脂絶縁層の第1面に向くように形成することと;
電極を有する電子部品を搭載するための開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することと;
前記電子部品の電極が前記第2の樹脂絶縁層の第1面に向くように前記電子部品を前記開口に収容することと;
前記第2の樹脂絶縁層の第1面と前記電子部品上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する層間樹脂絶縁層を該層間樹脂絶縁層の第2面が前記第2の樹脂絶縁層の第1面に向くように形成することと;
前記層間樹脂絶縁層に前記電子部品の電極に至るビア導体を形成することと;
前記支持板を前記第1の樹脂絶縁層から除去することと;を有するプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、さらに、前記第1の樹脂絶縁層の第1面を部分的に覆う剥離層を形成することを有し、前記開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することは前記剥離層を露出している。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、
さらに、前記第2の樹脂絶縁層の第1面上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する第3の樹脂絶縁層を該第3の樹脂絶縁層の第2面が前記第2の樹脂絶縁層の第1面に向くように形成することと;
前記第2の樹脂絶縁層の開口に繋がる開口を前記第3の樹脂絶縁層に形成することとを有する。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板の製造方法において、さらに、前記支持板上に電極を形成することと;
前記第1の樹脂絶縁層に前記電極に至る第1ビア導体を形成することとを有する。
【請求項5】
請求項1のプリント配線板の製造方法において、
前記支持板は、銅張積層板であって、さらに、金属箔を前記支持板に固定することを有する。
【請求項6】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、さらに、前記支持板と前記第1の樹脂絶縁層の間に樹脂層を形成することを有している。
【請求項7】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、さらに、前記第1の樹脂絶縁層の第1面上に前記第1の樹脂絶縁層の第1面を部分的に覆う搭載用導体層を形成することを有し、前記開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することは前記搭載用導体層を露出している。
【請求項8】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、さらに、前記第1の樹脂絶縁層の第1面を部分的に覆う搭載用導体層を形成することと前記搭載用導体層上に剥離層を形成することとを有し、前記開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することは前記搭載用導体層を露出している。
【請求項9】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、前記電子部品を搭載するための開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することは前記剥離層を介して前記第2の樹脂絶縁層を部分的に除去することを含んでいる。
【請求項1】
支持板を用意することと;
前記支持板上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する第1の樹脂絶縁層を該第1の樹脂絶縁層の第2面が前記支持板に向くように形成することと;
前記第1の樹脂絶縁層の第1面上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する第2の樹脂絶縁層を該第2の樹脂絶縁層の第2面が前記第1の樹脂絶縁層の第1面に向くように形成することと;
電極を有する電子部品を搭載するための開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することと;
前記電子部品の電極が前記第2の樹脂絶縁層の第1面に向くように前記電子部品を前記開口に収容することと;
前記第2の樹脂絶縁層の第1面と前記電子部品上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する層間樹脂絶縁層を該層間樹脂絶縁層の第2面が前記第2の樹脂絶縁層の第1面に向くように形成することと;
前記層間樹脂絶縁層に前記電子部品の電極に至るビア導体を形成することと;
前記支持板を前記第1の樹脂絶縁層から除去することと;を有するプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、さらに、前記第1の樹脂絶縁層の第1面を部分的に覆う剥離層を形成することを有し、前記開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することは前記剥離層を露出している。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、
さらに、前記第2の樹脂絶縁層の第1面上に第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する第3の樹脂絶縁層を該第3の樹脂絶縁層の第2面が前記第2の樹脂絶縁層の第1面に向くように形成することと;
前記第2の樹脂絶縁層の開口に繋がる開口を前記第3の樹脂絶縁層に形成することとを有する。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板の製造方法において、さらに、前記支持板上に電極を形成することと;
前記第1の樹脂絶縁層に前記電極に至る第1ビア導体を形成することとを有する。
【請求項5】
請求項1のプリント配線板の製造方法において、
前記支持板は、銅張積層板であって、さらに、金属箔を前記支持板に固定することを有する。
【請求項6】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、さらに、前記支持板と前記第1の樹脂絶縁層の間に樹脂層を形成することを有している。
【請求項7】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、さらに、前記第1の樹脂絶縁層の第1面上に前記第1の樹脂絶縁層の第1面を部分的に覆う搭載用導体層を形成することを有し、前記開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することは前記搭載用導体層を露出している。
【請求項8】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、さらに、前記第1の樹脂絶縁層の第1面を部分的に覆う搭載用導体層を形成することと前記搭載用導体層上に剥離層を形成することとを有し、前記開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することは前記搭載用導体層を露出している。
【請求項9】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、前記電子部品を搭載するための開口を前記第2の樹脂絶縁層に形成することは前記剥離層を介して前記第2の樹脂絶縁層を部分的に除去することを含んでいる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−191204(P2012−191204A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−45583(P2012−45583)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
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