説明

プリント配線板

【課題】コンデンサを内蔵すると共に内蔵コンデンサとの接続を適切に取ることができるプリント配線板を提供する。
【解決手段】チップコンデンサ20をコア基板30内に収容する。チップコンデンサ20は、銅めっき膜を被覆した第1、第2電極21,22に銅めっきによりなるバイアホール46で電気的接続を取ってある。銅めっき膜により第1、第2電極21,22の表面が平滑になり、接続層40に非貫通孔を穿設した際に樹脂残さが残らず、バイアホール46とチップコンデンサ20との接続信頼性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップなどの電子部品を載置するプリント配線板に関し、特にコンデンサを内蔵するプリント配線板に関するのもである。
【背景技術】
【0002】
現在、パッケージ基板用のプリント配線板では、電源からICチップの電源/アースまでのループインダクタンスを低減するため、チップコンデンサを表面実装することがある。しかし、ループインダクタンスのリアクタンス分は周波数に依存する。このため、ICチップの駆動周波数の増加に伴い、チップコンデンサを実装させても、ループインダクタンスのリアクタンス分を性能的に要求されるだけ低減することができなくなった。
【0003】
このため、本発明者は、プリント配線板内にチップコンデンサを収容するとの着想を持った。コンデンサを基板に埋め込む技術としては、特開平6−326472号、特開平7−263619号、特開平10−256429号、特開平11−45955号、特開平11−126978号、特開平11−312868号等がある。
【0004】
特開平6−326472号には、ガラスエポキシからなる樹脂基板に、コンデンサを埋め込む技術が開示されている。この構成により、電源ノイズを低減し、かつ、チップコンデンサを実装するスペースが不要になり、絶縁性基板を小型化できる。また、特開平7−263619号には、セラミック、アルミナなどの基板にコンデンサを埋め込む技術が開示されている。この構成により、電源層及び接地層の間に接続することで、配線長を短くし、配線のインダクタンスを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−326472号
【特許文献2】特開平7−263619号
【特許文献3】特開平10−256429号
【特許文献4】特開平11−45955号
【特許文献5】特開平11−126978号
【特許文献6】特開平11−312868号
【特許文献7】特開平6−326472号
【特許文献8】特開平7−263619号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術は、ICチップからコンデンサの距離をあまり短くできず、ICチップの更なる高周波数領域においては、現在必要とされるようにインダクタンスを低減することができなかった。特に、樹脂製の多層ビルドアップ配線板においては、セラミックから成るコンデンサと、樹脂からなるコア基板及び層間樹脂絶縁層の熱膨張率の違いから、チップコンデンサの端子とバイアホールとの間に断線、チップコンデンサと層間樹脂絶縁層との間で剥離、層間樹脂絶縁層にクラックが発生し、長期に渡り高い信頼性を達成することができなかった。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するためなされたものであり、その目的とするところは、ループインダクタンスを低減できるプリント配線板を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、コンデンサを内蔵すると共に高い信頼性を達成できるプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、通孔を有する収容層と、前記通孔に収容されているチップコンデンサと、前記収容層及び前記チップコンデンサの両面上にそれぞれ形成される接続層と、を有するプリント配線板であって、
前記チップコンデンサの外縁の内側に一対の電極が形成され、
前記収容層の一方の面上の接続層には、前記一対の電極にそれぞれ接続されるバイアホールが形成され、
前記収容層の他方の面上の接続層には、前記一対の電極にそれぞれ接続されるバイアホールが形成されていることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本願発明のプリント配線板では、プリント配線板内にコンデンサを配置するため、ICチップとコンデンサとの距離が短くなり、ループインダクタンスを低減することができる。また、厚みの厚いコア基板内にコンデンサを収容するため、コア基板上に層間樹脂絶縁層と導体回路とを積層してもプリント配線板を厚くすることがない。
【0011】
空隙には、樹脂を充填させることが望ましい。コンデンサ、コア基板間の空隙をなくすことによって、内蔵されたコンデンサが、挙動することが小さくなるし、コンデンサを起点とする応力が発生したとしても、該充填された樹脂により緩和することができる。また、該樹脂には、コンデンサとコア基板との接着やマイグレーションの低下させるという効果も有する。
【0012】
好適な態様では、金属膜を形成したチップコンデンサの電極へめっきによりなるバイアホールで電気的接続を取ってある。ここで、チップコンデンサの電極は、メタライズからなり表面に凹凸があるが、金属膜により表面が平滑になり、バイアホールを形成するため、電極上に被覆された樹脂に通孔を形成した際に、樹脂残さが残らず、バイアホールと電極との接続信頼性を高めることができる。更に、めっきの形成された電極に、めっきによりバイアホールを形成するため、電極とバイアホールとの接続性が高く、ヒートサイクル試験を実施しても、電極とバイアホール間の断線が生じることがない。
【0013】
好適な態様では、外縁の内側に電極の形成されたチップコンデンサを用いるため、バイアホールを経て導通を取っても外部電極が大きく取れ、アライメントの許容範囲が広がるために、接続不良がなくなる。
【0014】
好適な態様では、コンデンサとして、多数個取り用のチップコンデンサを複数個連結させて用いる、即ち、大判のチップコンデンサを用いるため、容量の大きなチップコンデンサを用いることができる。さらに、種々の熱履歴などを経てもプリント配線板に反りが発生し難くなる。
【0015】
好適な態様では、チップコンデンサの電極に金属膜を形成し表面を平滑にしてあるため、プリント配線板内に収容され、電極上に被覆された樹脂に通孔を形成した際に、樹脂残さが残らないため、バイアホールと電極との接続信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図6】第1実施形態に係るプリント配線板の断面図である。
【図7】第1実施形態に係るプリント配線板の断面図である。
【図8】第1実施形態の第1改変例に係るプリント配線板の断面図である。
【図9】(A)、(B)、第1実施形態のチップコンデンサの断面図であり、(C)は、第1改変例のチップコンデンサの断面図である。
【図10】第1実施形態の第2改変例に係るプリント配線板の断面図である。
【図11】(A)、(B)、第2改変例のチップコンデンサの断面図である。
【図12】第1実施形態の第3改変例に係るプリント配線板の断面図である。
【図13】(A)、(B)、(C)、(D)は、チップコンデンサの平面図である。
【図14】本発明の第4改変例に係るプリント配線板の断面図である。
【図15】第4改変例に係るプリント配線板のチップコンデンサの平面図である。
【図16】第5改変例の改変例に係るプリント配線板の断面図である。
【図17】第5改変例に係るプリント配線板のチップコンデンサの平面図である。
【図18】ICチップへの供給電圧と時間との変化を示すグラフである。
【図19】第6改変例に係るプリント配線板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。
先ず、本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の構成について図6、図7を参照して説明する。図6は、プリント配線板10の断面を示し、図7は、図6に示すプリント配線板10にICチップ90を搭載し、ドータボード94側へ取り付けた状態を示している。
【0018】
図6に示すようにプリント配線板10は、チップコンデンサ20と、チップコンデンサ20を収容するコア基板30と、ビルドアップ層80A、80Bを構成する層間樹脂絶縁層60とからなる。コア基板30は、コンデンサ20を収容する収容層31と接続層40とからなる。接続層40には、バイアホール46及び導体回路48が形成され、層間樹脂絶縁層60には、バイアホール66及び導体回路68が形成されている。本実施形態では、ビルドアップ層が1層の層間樹脂絶縁層60からなるが、ビルドアップ層は、複数の層間樹脂絶縁層からなることができる。
【0019】
チップコンデンサ20は、図9(A)に示すように第1電極21と第2電極22と、該第1、第2電極に挟まれた誘電体23とから成り、該誘電体23には、第1電極21側に接続された第1導電膜24と、第2電極22側に接続された第2導電膜25とが複数枚対向配置されている。第1電極21及び第2電極22は、銅メタライズからなる金属層26に、半田等の被覆層28が被されている。本実施形態では、第1電極21及び第2電極22にめっきからなるバイアホール46で接続を取る。第1実施形態のプリント配線板では、図9(B)に示すように、チップコンデンサ20の第1電極21および第2電極22の上面の被覆層28から金属層26を露出させている。このため、図6に示すように、第1、第2電極21,22とめっきからなるバイアホール46との接続性が高くなり、また、接続抵抗を低減することができる。
【0020】
更に、チップコンデンサ20のセラミックから成る誘電体23の表面には粗化層23aが設けられている。このため、セラミックから成るチップコンデンサ20と樹脂からなる接着層40との密着性が高く、ヒートサイクル試験を実施しても界面での接着層40の剥離が発生することがない。この粗化層23aは、焼成後に、チップコンデンサ20の表面を研磨することにより、また、焼成前に、粗化処理を施すことにより形成できる。
【0021】
図7に示すように上側のビルドアップ層80Aのバイアホール66には、ICチップ90のパッド92S1、92S2、92P1,92P2へ接続するためのバンプ76が形成されている。一方、下側のビルドアップ層80Bのバイアホール66には、ドータボード94のパッド96S1、96S2、96P1、96P2へ接続するためのバンプ76が配設されている。コア基板30にはスルーホール36が形成されている。
【0022】
ICチップ90の信号用のパッド92S2は、バンプ76−導体回路68−バイアホール66−スルーホール36−バイアホール66−バンプ76を介して、ドータボード94の信号用のパッド96S2に接続されている。一方、ICチップ90の信号用のパッド92S1は、バンプ76−バイアホール66−スルーホール36−バイアホール66−バンプ76を介して、ドータボード94の信号用のパッド96S1に接続されている。
【0023】
ICチップ90の電源用パッド92P1は、バンプ76−バイアホール66−導体回路48−バイアホール46を介してチップコンデンサ20の第1電極21へ接続されている。一方、ドータボード94の電源用パッド96P1は、バンプ76−バイアホール66−スルーホール36−導体回路48−バイアホール46を介してチップコンデンサ20の第1電極21へ接続されている。
【0024】
ICチップ90の電源用パッド92P2は、バンプ76−バイアホール66−導体回路48−バイアホール46を介してチップコンデンサ20の第2電極22へ接続されている。一方、ドータボード94の電源用パッド96P2は、バンプ76−バイアホール66−スルーホール36−導体回路48−バイアホール46を介してチップコンデンサ20の第2電極22へ接続されている。
【0025】
本実施形態のプリント配線板10では、ICチップ90の直下にチップコンデンサ20を配置するため、ICチップとコンデンサとの距離が短くなり、電力を瞬時的にICチップ側へ供給することが可能になる。即ち、ループインダクタンスを決定するループ長さを短縮することができる。
【0026】
更に、チップコンデンサ20とチップコンデンサ20との間にスルーホール36を設け、チップコンデンサ20を信号線が通過しない。このため、コンデンサを通過させた際に発生する高誘電体によるインピーダンス不連続による反射、及び、高誘電体通過による伝搬遅延を防ぐことができる。
【0027】
また、プリント配線板の裏面側に接続される外部基板(ドータボード)94とコンデンサ20の第1端子21,第2端子22とは、ICチップ側の接続層40に設けられたバイアホール46及びコア基板に形成されたスルーホール36を介して接続される。即ち、心材を備え加工が困難な収容層31に通孔を形成してコンデンサの端子と外部基板とを直接接続しないため、接続信頼性を高めることができる。
【0028】
また、本実施形態では、図6に示すようにコア基板30の通孔37の下面とチップコンデンサ20との間に接着剤32を介在させ、通孔37の側面とチップコンデンサ20との間に樹脂充填剤32aを充填してある。ここで、接着剤32及び樹脂充填剤32aの熱膨張率を、コア基板30及び接着層40よりも小さく、即ち、セラミックからなるチップコンデンサ20に近いように設定してある。このため、ヒートサイクル試験において、コア基板及び接着層40とチップコンデンサ20との間に熱膨張率差から内応力が発生しても、コア基板及び接着層40にクラック、剥離等が生じ難く、高い信頼性を達成できる。また、マイグレーションの発生を防止することもできる。
【0029】
第1実施形態のプリント配線板の製造工程について、図1〜図6を参照して説明する。
先ず、心材にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグ35を4枚積層してなる積層板31αにチップコンデンサ収容用の通孔37を形成し、一方、プリプレグ35を2枚積層してなる積層板31βを用意する(図1(A))。ここで、プリプレグとして、エポキシ以外でも、BT、フェノール樹脂あるいはガラスクロスなどの強化材を含有したものを用い得る。しかし、コア基板をセラミックやAINなどの基板を用いることはできなかった。該基板は外形加工性が悪く、コンデンサを収容することができないことがあり、樹脂で充填させても空隙が生じてしまうためである。次に、積層板31αと積層板31βとを重ね収容層31を形成した後、通孔37内に図9(B)を参照して上述したように第1、第2電極21,22の上面の被覆28を剥いだチップコンデンサ20を収容させる(図1(B))。ここで、該通孔37とチップコンデンサ20との間に接着剤32を介在させることが好適である。なお、本願に用いられる樹脂及び層間樹脂絶縁層は、融点が300℃以下であり、350℃以上の温度を加えると、溶解、軟化もくしは炭化してしまう。
【0030】
次に、上記チップコンデンサ20を収容する積層板31α及び積層板31βからなる収容層の両面に、樹脂フィルム(接続層)40αを積層させる(図1(C))。そして、両面からプレスして表面を平坦にする。その後、加熱して硬化させることで、チップコンデンサ20を収容する収容層31と接続層40とからなるコア基板30を形成する(図1(D))。本実施形態では、コンデンサ20を収容した収容層31と接続層40とを、両面に圧力を加えて張り合わせコア基板30を形成するため、表面が平坦化される。これにより、後述する工程で、高い信頼性を備えるように層間樹脂絶縁層60及び導体回路68を積層することができる。
【0031】
なお、コア基板の通孔37の側面に樹脂充填剤32aを充填して、気密性を高めることが好適である。また、ここでは、樹脂フィルム40αには、金属層のないものを用いて積層させているが、片面に金属層を配設した樹脂フィルム(RCC)を用いてもよい。即ち、両面板、片面板、金属膜を有しない樹脂板、樹脂フィルムを用いることができる。
【0032】
次に、層間樹脂絶縁層40,コア基板及び層間樹脂絶縁層40に対して、ドリルでスルーホール用の300〜500μmの通孔33を穿設する(図2(A))。そして、CO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ又はUVレーザにより上面側の層間樹脂絶縁層40にチップコンデンサ20の第1電極21及び第2電極22へ至る非貫通孔43を穿設する(図2(B))。場合によっては、非貫通孔の位置に対応させて通孔の穿設されたエリアマスクを載置してレーザでエリア加工を行ってもよい。更に、バイアホールの大きさや径が異なる物を形成する場合には、混合のレーザによって形成させてもよい。
【0033】
その後、デスミヤ処理を施す。引き続き、表面のパラジウム触媒を付与した後、無電解めっき液にコア基板30を浸漬し、均一に無電解銅めっき膜44を析出させる(図2(C))。無電解銅めっき膜44の表面に粗化層を形成することもできる。粗化層はRa(平均粗度高さ)=0.01〜5μmである。特に望ましいのは、0.5〜3μmの範囲である。
【0034】
そして、無電解めっき膜44の表面に感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、露光・現像処理し、所定パターンのレジスト51を形成する(図3(A))。ここでは、無電解めっきを用いているが、スパッタにより銅、ニッケル等の金属膜を形成することも可能である。スパッタはコスト的には不利であるが、樹脂との密着性を改善できる利点がある。そして、電解めっき液にコア基板30を浸漬し、無電解めっき膜44を介して電流を流し電解銅めっき膜45を析出させる(図3(B))。そして、レジスト51を5%のKOH で剥離した後、レジスト51下の無電解めっき膜44を硫酸と過酸化水素混合液でエッチングして除去し、層間樹脂絶縁層40の非貫通孔43にバイアホール46、接続層40の表面に導体回路48を、コア基板30の通孔33にスルーホール36を形成する(図3(C))。
【0035】
導体回路48、バイアホール46及びスルーホール36の導体層の表面に粗化層を設ける。酸化(黒化)−還元処理、Cu−Ni−Pからなる合金などの無電解めっき膜、あるいは、第二銅錯体と有機酸塩からなるエッチング液などのエッチング処理によって粗化層を施す。粗化層はRa(平均粗度高さ)=0.01〜5μmである。特に望ましいのは、0.5〜3μmの範囲である。なお、ここでは粗化層を形成しているが、粗化層を形成せず後述するように直接樹脂を充填、樹脂フィルムを貼り付けることも可能である。
【0036】
引き続き、スルーホール36内に樹脂層38を充填させる。樹脂層としては、エポキシ樹脂等の樹脂を主成分として導電性のない樹脂、銅などの金属ペーストを含有させた導電性樹脂のどちらでもよい。この場合は、熱硬化性エポキシ樹脂に、シリカなどの熱膨張率を整合させるために含有させたものを樹脂充填材として充填させる。スルーホール36への樹脂38の充填後、樹脂フィルム60αを貼り付ける(図4(A))。なお、樹脂フィルムを貼り付ける代わりに、樹脂を塗布することも可能である。樹脂フィルム60αを貼り付けた後、フォト、レーザにより、絶縁層60αに開口径20〜250μmであるバイアホール63を形成してから熱硬化させる(図4(B))。その後、コア基板に触媒付与し、無電解めっきへ浸積して、層間樹脂絶縁層60の表面に均一に厚さ0.9μmの無電解めっき膜64を析出させ、その後、所定のパターンをレジスト70で形成させる(図4(C))。
【0037】
電解めっき液に浸漬し、無電解めっき膜64を介して電流を流してレジスト70の非形成部に電解銅めっき膜65を形成する(図5(A))。レジスト70を剥離除去した後、めっきレジスト下の無電解めっき膜64を溶解除去し、無電解めっき膜64及び電解銅めっき膜65からなるの導体回路68及びバイアホール66を得る(図5(B))。
【0038】
第2銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液により、導体回路68及びバイアホール66の表面に粗化面(図示せず)を形成し、さらにその表面にSn置換を行ってもよい。
【0039】
上述したプリント配線板にはんだバンプを形成する。基板の両面に、ソルダーレジスト組成物を塗布し、乾燥処理を行った後、円パターン(マスクパターン)が描画されたフォトマスクフィルム(図示せず)を密着させて載置し、紫外線で露光し、現像処理する。そしてさらに、加熱処理し、はんだパッド部分(バイアホールとそのランド部分を含む)の開口部72aを有するソルダーレジスト層(厚み20μm)72を形成する(図5(C))。
【0040】
そして、ソルダーレジスト層72の開口部72aに、半田ペーストを充填する(図示せず)。その後、開口部72aに充填された半田を 200℃でリフローすることにより、半田バンプ(半田体)76を形成する(図6参照)。なお、耐食性を向上させるため、開口部72aにNi、Au、Ag、Pdなどの金属層をめっき、スパッタにより形成することも可能である。
【0041】
次に、該プリント配線板へのICチップの載置及び、ドータボードへの取り付けについて、図7を参照して説明する。完成したプリント配線板10の半田バンプ76にICチップ90の半田パッド92S1、92S2、92P1、92P2が対応するように、ICチップ90を載置し、リフローを行うことで、ICチップ90の取り付けを行う。同様に、プリント配線板10の半田バンプ76にドータボード94のパッド96S1、96S2、96P1、96P2をリフローすることで、ドータボード94へプリント配線板10を取り付ける。
【0042】
上述した樹脂フィルムには、難溶性樹脂、可溶性粒子、硬化剤、その他の成分が含有されている。それぞれについて以下に説明する。
【0043】
本発明の製造方法において使用する樹脂フィルムは、酸または酸化剤に可溶性の粒子(以下、可溶性粒子という)が酸または酸化剤に難溶性の樹脂(以下、難溶性樹脂という)中に分散したものである。
なお、本発明で使用する「難溶性」「可溶性」という語は、同一の酸または酸化剤からなる溶液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上「可溶性」と呼び、相対的に溶解速度の遅いものを便宜上「難溶性」と呼ぶ。
【0044】
上記可溶性粒子としては、例えば、酸または酸化剤に可溶性の樹脂粒子(以下、可溶性樹脂粒子)、酸または酸化剤に可溶性の無機粒子(以下、可溶性無機粒子)、酸または酸化剤に可溶性の金属粒子(以下、可溶性金属粒子)等が挙げられる。これらの可溶性粒子は、単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0045】
上記可溶性粒子の形状は特に限定されず、球状、破砕状等が挙げられる。また、上記可溶性粒子の形状は、一様な形状であることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができるからである。
【0046】
上記可溶性粒子の平均粒径としては、0.1〜10μmが望ましい。この粒径の範囲であれば、2種類以上の異なる粒径のものを含有してもよい。すなわち、平均粒径が0.1〜0.5μmの可溶性粒子と平均粒径が1〜3μmの可溶性粒子とを含有する等である。これにより、より複雑な粗化面を形成することができ、導体回路との密着性にも優れる。なお、本発明において、可溶性粒子の粒径とは、可溶性粒子の一番長い部分の長さである。
【0047】
上記可溶性樹脂粒子としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、酸あるいは酸化剤からなる溶液に浸漬した場合に、上記難溶性樹脂よりも溶解速度が速いものであれば特に限定されない。
上記可溶性樹脂粒子の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等からなるものが挙げられ、これらの樹脂の一種からなるものであってもよいし、2種以上の樹脂の混合物からなるものであってもよい。
【0048】
また、上記可溶性樹脂粒子としては、ゴムからなる樹脂粒子を用いることもできる。上記ゴムとしては、例えば、ポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等が挙げられる。これらのゴムを使用することにより、可溶性樹脂粒子が酸あるいは酸化剤に溶解しやすくなる。つまり、酸を用いて可溶性樹脂粒子を溶解する際には、強酸以外の酸でも溶解することができ、酸化剤を用いて可溶性樹脂粒子を溶解する際には、比較的酸化力の弱い過マンガン酸塩でも溶解することができる。また、クロム酸を用いた場合でも、低濃度で溶解することができる。そのため、酸や酸化剤が樹脂表面に残留することがなく、後述するように、粗化面形成後、塩化パラジウム等の触媒を付与する際に、触媒が付与されなたかったり、触媒が酸化されたりすることがない。
【0049】
上記可溶性無機粒子としては、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物およびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも一種からなる粒子等が挙げられる。
【0050】
上記アルミニウム化合物としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物としては、炭酸カリウム等が挙げられ、上記マグネシウム化合物としては、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられ、上記ケイ素化合物としては、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0051】
上記可溶性金属粒子としては、例えば、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、鉛、金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムおよびケイ素からなる群より選択される少なくとも一種からなる粒子等が挙げられる。また、これらの可溶性金属粒子は、絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆されていてもよい。
【0052】
上記可溶性粒子を、2種以上混合して用いる場合、混合する2種の可溶性粒子の組み合わせとしては、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせが望ましい。両者とも導電性が低くいため樹脂フィルムの絶縁性を確保することができるとともに、難溶性樹脂との間で熱膨張の調整が図りやすく、樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層にクラックが発生せず、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生しないからである。
【0053】
上記難溶性樹脂としては、層間樹脂絶縁層に酸または酸化剤を用いて粗化面を形成する際に、粗化面の形状を保持できるものであれば特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの複合体等が挙げられる。また、これらの樹脂に感光性を付与した感光性樹脂であってもよい。感光性樹脂を用いることにより、層間樹脂絶縁層に露光、現像処理を用いてバイアホール用開口を形成することできる。
これらのなかでは、熱硬化性樹脂を含有しているものが望ましい。それにより、めっき液あるいは種々の加熱処理によっても粗化面の形状を保持することができるからである。
【0054】
上記難溶性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらには、1分子中に、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂がより望ましい。前述の粗化面を形成することができるばかりでなく、耐熱性等にも優れてるため、ヒートサイクル条件下においても、金属層に応力の集中が発生せず、金属層の剥離などが起きにくいからである。
【0055】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
【0056】
本発明で用いる樹脂フィルムにおいて、上記可溶性粒子は、上記難溶性樹脂中にほぼ均一に分散されていることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができ、樹脂フィルムにバイアホールやスルーホールを形成しても、その上に形成する導体回路の金属層の密着性を確保することができるからである。また、粗化面を形成する表層部だけに可溶性粒子を含有する樹脂フィルムを用いてもよい。それによって、樹脂フィルムの表層部以外は酸または酸化剤にさらされることがないため、層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性が確実に保たれる。
【0057】
上記樹脂フィルムにおいて、難溶性樹脂中に分散している可溶性粒子の配合量は、樹脂フィルムに対して、3〜40重量%が望ましい。可溶性粒子の配合量が3重量%未満では、所望の凹凸を有する粗化面を形成することができない場合があり、40重量%を超えると、酸または酸化剤を用いて可溶性粒子を溶解した際に、樹脂フィルムの深部まで溶解してしまい、樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性を維持できず、短絡の原因となる場合がある。
【0058】
上記樹脂フィルムは、上記可溶性粒子、上記難溶性樹脂以外に、硬化剤、その他の成分等を含有していることが望ましい。
上記硬化剤としては、例えば、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、これらの硬化剤のエポキシアダクトやこれらの硬化剤をマイクロカプセル化したもの、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン系化合物等が挙げられる。
【0059】
上記硬化剤の含有量は、樹脂フィルムに対して0.05〜10重量%であることが望ましい。0.05重量%未満では、樹脂フィルムの硬化が不十分であるため、酸や酸化剤が樹脂フィルムに侵入する度合いが大きくなり、樹脂フィルムの絶縁性が損なわれることがある。一方、10重量%を超えると、過剰な硬化剤成分が樹脂の組成を変性させることがあり、信頼性の低下を招いたりしてしまうことがある。
【0060】
上記その他の成分としては、例えば、粗化面の形成に影響しない無機化合物あるいは樹脂等のフィラーが挙げられる。上記無機化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ドロマイト等が挙げられ、上記樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、メラニン樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。これらのフィラーを含有させることによって、熱膨脹係数の整合や耐熱性、耐薬品性の向上などを図りプリント配線板の性能を向上させることができる。
【0061】
また、上記樹脂フィルムは、溶剤を含有していてもよい。上記溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートやトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0062】
引き続き、本発明の第1実施形態の第1改変例に係るプリント配線板について、図8を参照して説明する。第1改変例のプリント配線板10は、導電性ピン84が配設され、該導電性ピン84を介してドータボードとの接続を取るように形成されている。また、コア基板30が、通孔37を有する収容層31と、該収容層31の両面に配設された接続層40とからなる。そして、収容層31の両面に配設された接続層40に、チップコンデンサ20の電極21,22と接続するバイアホール46が配設され、ICチップ90、及び、導電性ピン84へ接続されている。この第1改変例では、図9(C)に示すように、チップコンデンサ20の電極21,22の被覆は完全に除去されている。
【0063】
上述した第1実施形態では、コア基板30に収容されるチップコンデンサ20のみを備えていたが、第1改変例では、表面及び裏面に大容量のチップコンデンサ86が実装されている。
【0064】
ICチップは、瞬時的に大電力を消費して複雑な演算処理を行う。ここで、ICチップ側に大電力を供給するために、第1改変例では、プリント配線板に電源用のチップコンデンサ20及びチップコンデンサ86を備えてある。このチップコンデンサによる効果について、図18を参照して説明する。
【0065】
図18は、縦軸にICチップへ供給される電圧を、横軸に時間を取ってある。ここで、二点鎖線Cは、電源用コンデンサを備えないプリント配線板の電圧変動を示している。電源用コンデンサを備えない場合には、大きく電圧が減衰する。破線Aは、表面にチップコンデンサを実装したプリント配線板の電圧変動を示している。上記二点鎖線Cと比較して電圧は大きく落ち込まないが、ループ長さが長くなるので、律速の電源供給が十分に行えていない。即ち、電力の供給開始時に電圧が降下している。また、二点鎖線Bは、図6を参照して上述したチップコンデンサを内蔵するプリント配線板の電圧降下を示している。ループ長さは短縮できているが、コア基板30に容量の大きなチップコンデンサを収容することができないため、電圧が変動している。ここで、実線Eは、図8を参照して上述したコア基板内のチップコンデンサ20を、また表面に大容量のチップコンデンサ86を実装する第1改変例のプリント配線板の電圧変動を示している。ICチップの近傍にチップコンデンサ20を、また、大容量(及び相対的に大きなインダクタンス)のチップコンデンサ86を備えることで、電圧変動を最小に押さえている。
【0066】
次に、第2改変例に係るプリント配線板について、図10及び図11を参照して説明する。
この第2改変例の構成は、上述した第1実施形態とほぼ同様である。但し、上述した第1実施形態では、チップコンデンサ20の電極21,22の被覆を一部剥いで金属層26の表面を露出させた。これに対して、第2改変例では、チップコンデンサ20は、図11(A)に示すように金属層26の被覆を完全に剥いだ後、図11(B)に示すように、金属層26の表面に銅めっき膜29を被覆してある。めっき膜の被覆は、電解めっき、無電解めっきなどのめっきで形成されている。そして、図10に示すように銅めっき膜29を被覆した第1、第2電極21,22に銅めっきよりなるバイアホール46で電気的接続を取ってある。ここで、チップコンデンサの電極21,22は、メタライズからなり表面に凹凸がある。このため、第1実施形態の図2(B)に示す接続層40に非貫通孔43を穿設する工程において、該凹凸に樹脂が残ることがある。この際には、当該樹脂残さにより第1、第2電極21,22とバイアホール46との接続不良が発生することがある。一方、第2改変例では、銅めっき膜29によって第1、第2電極21,22の表面が平滑になり、電極上に被覆された接続層40に非貫通孔43を穿設した際に、樹脂残さが残らず、バイアホール46を形成した際の電極21,22との接続信頼性を高めることができる。
【0067】
更に、銅めっき膜29の形成された電極21、22に、めっきによりバイアホール46を形成するため、電極21、22とバイアホール46との接続性が高く、ヒートサイクル試験を実施しても、電極21、22とバイアホール46との間で断線が生じることがない。
【0068】
なお、ここでは、プリント配線板への収容の段階で、被覆層28を取って、銅めっき膜29を設けたが、チップコンデンサ20の製造段階で、金属層26の上に直接銅めっき膜29を被覆することも可能である。即ち、第2改変例では、レーザにて電極の銅めっき膜29へ至る開口を設けた後、デスミヤ処理等を行い、バイアホールを銅めっきにより形成する。従って、銅めっき膜29の表面に酸化膜が形成されていても、上記レーザ及びデスミヤ処理で酸化膜を除去できるため、適正に接続を取ることができる。
【0069】
更に、チップコンデンサ20のセラミックから成る誘電体23の表面には粗化層23aが設けられている。このため、セラミックから成るチップコンデンサ20と樹脂からなる接着層40との密着性が高く、ヒートサイクル試験を実施しても界面での接着層40の剥離が発生することがない。
【0070】
引き続き、第3改変例に係るプリント配線板の構成について図12及び図13を参照して説明する。
この第3改変例のプリント配線板10の構成は、上述した第1実施形態とほぼ同様である。但し、コア基板30への収容されるチップコンデンサ120が異なる。図13は、チップコンデンサの平面図を示している。図13(A)は、多数個取り用の裁断前のチップコンデンサを示し、図中で一点鎖線は、裁断線を示している。上述した第3実施形態のプリント配線板では、図13(B)に平面図を示すようにチップコンデンサの側縁に第1電極21及び第2電極22を配設してある。図13(C)は、第3改変例の多数個取り用の裁断前のチップコンデンサを示し、図中で一点鎖線は、裁断線を示している。第3改変例のプリント配線板では、図13(D)に平面図を示すようにチップコンデンサの側縁の内側に第1電極21及び第2電極22を配設してある。
【0071】
この第3改変例のプリント配線板では、外縁の内側に電極の形成されたチップコンデンサ120を用いるため、容量の大きなチップコンデンサを用いることができる。なお、第3改変例でも、チップコンデンサの表面は粗化処理が施されている。
【0072】
引き続き、本発明の第4改変例に係るプリント配線板の構成について図14及び図15を参照して説明する。
図14は、第4改変例のプリント配線板10の断面を示し、図15は、該プリント配線板10のコア基板30に収容されるチップコンデンサ220の平面図を示している。上述した第1実施形態では、複数個の小容量のチップコンデンサをコア基板に収容したが、第4改変例では、マトリクス状に電極を形成した大容量の大判のチップコンデンサ220をコア基板30に収容してある。ここで、チップコンデンサ220は、第1電極21と第2電極22と、誘電体23と、第1電極21へ接続された第1導電膜24と、第2電極22側に接続された第2導電膜25と、第1導電膜24及び第2導電膜25へ接続されていないチップコンデンサの上下面の接続用の電極27とから成る。この電極27を介してICチップ側とドータボード側とが接続されている。
【0073】
この第4改変例のプリント配線板では、大判のチップコンデンサ220を用いるため、容量の大きなチップコンデンサを用いることができる。また、大判のチップコンデンサ220を用いるため、ヒートサイクルを繰り返してもプリント配線板10に反りが発生することがない。なお、第4改変例でも、チップコンデンサの表面は粗化処理が施されている。
【0074】
図16及び図17を参照して第5改変例に係るプリント配線板について説明する。図16は、該プリント配線板の断面を示している。図17(A)は、多数個取り用の裁断前のチップコンデンサを示し、図中で一点鎖線は、通常の裁断線を示し、図17(B)は、チップコンデンサの平面図を示している。図17(B)に示すように、この改変例では、多数個取り用のチップコンデンサを複数個(図中の例では3枚)連結させて大判で用いている。
【0075】
この第5改変例では、大判のチップコンデンサ20を用いるため、容量の大きなチップコンデンサを用いることができる。また、大判のチップコンデンサ20を用いるため、ヒートサイクルを繰り返してもプリント配線板10に反りが発生することがない。なお、第5改変例でも、チップコンデンサの表面は粗化処理が施されている。
【0076】
図19を参照して第6改変例に係るプリント配線板について説明する。図19は、該プリント配線板の断面を示している。図6を参照して上述した第1実施形態では、コア基板30の凹部32にチップコンデンサ20が1個収容された。これに対して、第6改変例では、凹部32に複数個のチップコンデンサ20が収容されている。この第6改変例では、チップコンデンサの高密度で内蔵させることができる。なお、第6改変例でも、チップコンデンサの表面は粗化処理が施されている。
【0077】
上述した実施形態では、チップコンデンサをプリント配線板に内蔵させたが、チップコンデンサの代わりに、セラミック板に導電体膜を設けてなる板状のコンデンサを用いることも可能である。また、上述した実施形態では、コンデンサの表面に粗化処理を施し、樹脂との密着性を高めたが、この代わりに、コンデンサの表面にシランカップリング処理を施すことも可能である。
【0078】
ここで、第2改変例のプリント配線板について、コア基板内に埋め込んだチップコンデンサ20のインダクタンスと、プリント配線板の裏面(ドータボード側の面)に実装したチップコンデンサのインダクタンスとを測定した値を示す。
コンデンサ単体の場合
埋め込み形 137pH
裏面実装形 287pH

コンデンサを8個並列に接続した場合
埋め込み形 60pH
裏面実装形 72pH
以上のように、コンデンサを単体で用いても、容量を増大させるため並列に接続した場合にも、チップコンデンサを内蔵することでインダクタンスを低減できる。
【0079】
次に、信頼性試験を行った結果について説明する。ここでは、第2改変例のプリント配線板において、1個のチップコンデンサの静電容量の変化率を測定した。
静電容量変化率
(測定周波数100Hz) (測定周波数1kHz)
Steam 168時間: 0.3% 0.4%
HAST 100時間: -0.9% -0.9%
TS 1000cycles: 1.1% 1.3%
【0080】
Steam試験は、蒸気に当て湿度100%に保った。また、HAST試験では、相対湿度100%、印加電圧1.3V、温度121℃で100時間放置した。TS試験では、−125℃で30分、55℃で30分放置する試験を1000回線り返した。
【0081】
上記信頼性試験において、チップコンデンサを内蔵するプリント配線板においても、既存のコンデンサ表面実装形と同等の信頼性が達成できていることが分かった。また、上述したように、TS試験において、セラミックから成るコンデンサと、樹脂からなるコア基板及び層間樹脂絶縁層の熱膨張率の違いから、内部応力が発生しても、チップコンデンサの端子とバイアホールとの間に断線、チップコンデンサと層間樹脂絶縁層との間で剥離、層間樹脂絶縁層にクラックが発生せず、長期に渡り高い信頼性を達成できることが判明した。
【0082】
本願発明の構造により、インダクタンスを起因とする電気特性の低下することはない。
また、信頼性条件下においても、電気特性やプリント配線板に剥離やクラックなどを引き起こさない。そのため、コンデンサとバイアホール間での不具合が生じないからである。
また、コア基板とコンデンサの間に樹脂が充填されているので、コンデンサなどが起因する応力が発生しても緩和されるし、マイグレーションの発生がない。そのために、コンデンサの電極とバイアホールの接続部への剥離や溶解などの影響がない。そのために、信頼性試験を実施しても所望の性能を保つことができるのである。
また、コンデンサを銅によって被覆されている場合にも、マイグレーションの発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0083】
10 プリント配線板
20 チップコンデンサ
21 第1電極
22 第2電極
26 金属層
28 被覆層
29 銅めっき膜
30 コア基板
31 収容層
36 スルーホール
37 通孔
40 接続層
43 非貫通孔
46 バイアホール
48 導体回路
60 層間樹脂絶縁層
66 バイアホール
68 導体回路
84 導電性ピン
90 ICチップ
94 ドータボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通孔を有する収容層と、前記通孔に収容されているチップコンデンサと、前記収容層及び前記チップコンデンサの両面上にそれぞれ形成される接続層と、を有するプリント配線板であって、
前記チップコンデンサの外縁の内側に一対の電極が形成され、
前記収容層の一方の面上の接続層には、前記一対の電極にそれぞれ接続されるバイアホールが形成され、
前記収容層の他方の面上の接続層には、前記一対の電極にそれぞれ接続されるバイアホールが形成されていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
IC実装領域の直下に前記通孔が形成されていることを特徴とする請求項1のプリント配線板。
【請求項3】
前記収容層が心材に樹脂を含浸させてなることを特徴とする請求項1又は請求項2のプリント配線板。
【請求項4】
前記通孔の側面と前記チップコンデンサとの間に樹脂充填剤が充填されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1のプリント配線板。
【請求項5】
前記バイアホールは銅を主とするめきから成り、前記チップコンデンサの一対の電極には銅を主とするめっきから成る金属膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1のプリント配線板。
【請求項6】
1の通孔に複数のチップコンデンサが収容されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1のプリント配線板。
【請求項7】
複数のチップコンデンサが連結されていることを特徴とする請求項6のプリント配線板。
【請求項8】
前記バイアホールと、前記収容層を貫通するスルーホールとを電気的に接続したことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1のプリント配線板。
【請求項9】
前記接続層上に層間樹脂絶縁層及び導体回路とがビルドアップ積層されている請求項1〜請求項8のいずれか1のプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−114457(P2012−114457A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23714(P2012−23714)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【分割の表示】特願2000−266287(P2000−266287)の分割
【原出願日】平成12年9月1日(2000.9.1)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】