説明

プリーツマシン及びプリーツ布

【課題】一方の面を裏打ちシートで覆われた、形状安定性の良好なプリーツ布を製作することができるプリーツマシンを提供する。
【解決手段】加工布2の一方の面に補強紙5を重ね、加工布2と共に送り刃11で加圧ローラ6,7に向かって供給する。加圧ローラ6,7からプリーツ13を加熱プレス形成されて送り出される加工布2の他方の面に重なるように、接着剤付きの裏打ちシート14を供給し、これを接着ローラ10により、加工布2の他方の面に加熱接着するようにプリーツマシン1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加工布にプリーツを形成するプリーツマシン、特に、一方の面に裏打ちシートが接着されたプリーツ布を製作することができるプリーツマシンと、これにより製作されるプリーツ布に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプリーツマシンの一例を図3に示す。このプリーツマシンにおいては、加工布31が送りローラ32により送り出され、上部給紙ローラ33から供給された上補強紙34及び下部給紙ローラ35から供給された下補強紙36とに挟まれた状態で、第1の加圧ローラ37と下部加圧ローラ38との間に供給される。第1の加圧ローラ37及び下部加圧ローラ38はヒータを内蔵し、加工布31を加熱及び加圧しながら間欠回転するように構成されている。下部加圧ローラ38には補助ローラ39が接合配置され、その補助ローラ39と第1の加圧ローラ37には、布ベルト40が巻回されている。第1の加圧ローラ37及び下部加圧ローラ38の前方には上下一対の布送り刃41が設けられていて、加圧ローラ37,38の間欠回転に同期して駆動機構により前後に往復移動される。布送り刃41の前進に伴い、加工布31にループ42が形成され、そのループ42が加圧ローラ37,38間にくわえ込まれ、加圧されて加工布31にプリーツ43が加工される(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−163668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のプリーツマシンにより製作されるプリーツ布は、高い伸縮性を有しているため、伸縮性が形状を不安定化し、壁紙、スクリーン、間仕切り、シェード等のインテリア用素材としてプリーツの形状のみを意匠として利用することの妨げになっている。プリーツ布の形状を安定化させるために、その一方の面に裏打ちシートを接着することが考えられるが、すでにプリーツ形成された布に裏打ちシートを接着することは、その形状の不安定性故に困難である。
したがって、この出願に係る発明は、一方の面を裏打ちシートで覆われた、形状安定性の良好なプリーツ布を製作することができるプリーツマシンを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、この出願に係る発明においては、加工布2を送り刃11で加圧ローラ6,7に向かって供給する。加圧ローラ6,7からプリーツ13を加熱プレス形成されて送り出される加工布2の一方の面に重なるように、接着剤付きの裏打ちシート14を供給し、これを接着ローラ10により、加工布2の一方の面に加熱接着するようにプリーツマシン1を構成する。
また、この出願に係る発明においては、加工布2の一方の面に補強紙5を重ね、加工布2と共に送り刃11で加圧ローラ6,7に向かって供給する。加圧ローラ6,7からプリーツ13を加熱プレス形成されて送り出される加工布2の他方の面に重なるように、接着剤付きの裏打ちシート14を供給し、これを接着ローラ10により、加工布2の他方の面に加熱接着するようにプリーツマシン1を構成する。
さらに、この出願に係る発明は、プリーツ13が形成された加工布2の一方の面に裏打ちシート14が接着されてなるプリーツ布15を提供する。
【発明の効果】
【0005】
この出願に係る発明によれば、一方の面に裏打ちシートが接着されたプリーツ布を製作できるプリーツマシンが提供される。また、この出願に係る発明によれば、プリーツが形成された加工布の一方の面に裏打ちシートが接着されてなるプリーツ布が提供される。このプリーツ布は、形状が安定しており、プリーツ布の形状の不安定性が原因で適用することが困難であった、壁紙、スクリーン、間仕切り、シェード等のインテリア用素材への適用が容易で、プリーツの意匠的利用の幅を大きく拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1はプリーツマシンの主要部の概略図、図2は製作されるプリーツ布の一例を示す断面図である。
【0007】
図1に示すプリーツマシン1においては、加工布2が送りローラ3により送り出される。この加工布2の一方の面に、給紙ローラ4から供給された補強紙5が重ねられた状態で、第1の加圧ローラ6と第2の加圧ローラ7との間に供給される。なお、加工布2は、織物、編み物、不織布その他、熱可塑性を持つあらゆるシート状のものを含む。
【0008】
第1の加圧ローラ6及び第2の加圧ローラ7はヒータを内蔵し、加工布2を加熱及び加圧できるように構成されている。第1の加圧ローラ6に接合するように、補助ローラ8が配置され、その補助ローラ8と第2の加圧ローラ7との間には、ベルト9が巻回されている。ベルト9は、その途上が第1の加圧ローラ6の外周に接するように配置される。第1、第2の加圧ローラ6,7及び補助ローラ8は、ベルト9を介して加工布2を加熱及び加圧できる。
また、第1の加圧ローラ6に接合するように、接着ローラ10が配置される。接着ローラ10もヒータを内蔵し、加圧ローラ6との間で、加工布2を加熱及び加圧できる。第1の加圧ローラ6と第2の加圧ローラ7の前方には、上下一対の布送り刃11が設けられていて、図示しない駆動機構により前後に往復移動される。布送り刃11の前進に伴い、加工布2と補強紙5にループ12が形成され、そのループ12の折り目が加圧ローラ6,7間にくわえ込まれ、加圧されて加工布2にプリーツ13が加工される。
【0009】
補助ローラ8とその後方の接着ローラ10との間に、上方から裏打ちシート14が供給される。裏打ちシート14は、プリーツ13が加工されて送り出される加工布2の他方の面(図示しないが一方の面には補強紙5が重なっている。)に重ねられ、加圧ローラ6と接着ローラ10で加熱・加圧されて送り出される。裏打ちシート14には、加工布2と重ねられる面に、熱可塑性の接着剤が塗布されており、加圧ローラ6と接着ローラ10間で加熱され、加工布2の他方の面に接着される。加圧ローラ6と接着ローラ10との間からは、加工布2に裏打ちシート14が接着され、補強紙5(図示せず)が重ねられた状態のプリーツ布15として送り出される。なお、接着剤は熱硬化性のものであってもよい。
【0010】
加工布2の材質が、折り曲げに対して弱い復元力しか持たないものである場合には、補強紙5は不要で、加工布2のみを送り刃11に送ればよい。
【0011】
プリーツ布15を構成する加工布2には、例えば、図2に示すように、表ヒダ2aと裏ヒダ2bを有するプリーツが形成される。加工布2の裏ヒダ側2bの面に裏打ちシート14が接着される。加工布2は、裏打ちシート14(接着剤14a)と接する部分2cのみにおいて裏打ちシート14に接着され、表ヒダ2aは裏打ちシート14から浮くように構成される。したがって、一方の面にプリーツ13の形状を持ちながら、裏打ちシート14に補強された相応の形状安定性を有する。したがって、壁紙、スクリーン、間仕切り、シェード等のインテリア用素材への適用が容易である。なお、プリーツのパターンは図示のものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0012】
この発明に係るプリーツマシンは、壁紙、スクリーン、間仕切り、シェード等のインテリア用素材への適用が容易な、形状安定性の良好なプリーツ布を製作するのに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るプリーツマシンの主要部の概略図である。
【図2】本発明に係るプリーツ布の一例を示す断面図である。
【図3】従来のプリーツマシンの一例を示す主要部の概略図である。
【符号の説明】
【0014】
1 プリーツマシン
2 加工布
2a 表ヒダ
2b 裏ヒダ
3 送りローラ
4 給紙ローラ
5 補強紙
6 第1の加圧ローラ
7 第2の加圧ローラ
8 補助ローラ
9 ベルト
10 接着ローラ
11 送り刃
12 ループ
13 プリーツ
14 裏打ちシート
14a 接着剤
15 プリーツ布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工布を送り刃により熱源を持つ第1及び第2の加圧ローラ間に間欠的に送り込み、加工布にプリーツを加熱プレス成形するプリーツマシンであって、
前記第1の加圧ローラに近接して補助ローラが設けられ、この補助ローラと前記第2の加圧ローラとの間に、第1の加圧ローラの外周に接するようにベルトが巻回され、
前記加工布は、前記第1及び第2の加圧ローラ間、及び第1の加圧ローラと補助ローラ間を前記ベルトを介して通過することにより、プリーツを加熱プレス成形されて送り出され、
前記第1の加圧ローラと前記ベルトの間からプリーツを形成されて送り出される前記加工布の一方の面に重なるように、接着剤付きの裏打ちシートが供給され、
プリーツを形成された前記加工布に前記裏打ちシートを前記第1の加圧ローラとの間で加圧して接着するための熱源を持つ接着ローラが、前記第1の加圧ローラに接して設けられ、
前記第1の加圧ローラと前記接着ローラにより、前記加工布の一方の面に前記裏打ちシートが加熱接着されることを特徴とするプリーツマシン。
【請求項2】
加工布と、これに重なる補強紙とを送り刃により熱源を持つ第1及び第2の加圧ローラ間に間欠的に送り込み、加工布にプリーツを加熱プレス成形するプリーツマシンであって、
前記第1の加圧ローラに近接して補助ローラが設けられ、この補助ローラと前記第2の加圧ローラとの間に、第1の加圧ローラの外周に接するようにベルトが巻回され、
前記補強紙は、前記加工布の一方の面に重なるように加工布と共に送り刃に向かって供給され、
前記加工布と補強紙は、前記第1及び第2の加圧ローラ間、及び第1の加圧ローラと補助ローラ間を前記ベルトを介して通過することにより、プリーツを加熱プレス成形されて送り出され、
前記第1の加圧ローラと前記ベルトの間からプリーツを形成されて送り出される前記加工布の他方の面に重なるように、接着剤付きの裏打ちシートが供給され、
プリーツを形成された前記加工布に、前記裏打ちシートを前記第1の加圧ローラとの間で加圧して接着するための熱源を持つ接着ローラが、前記第1の加圧ローラに接して設けられ、
前記第1の加圧ローラと前記接着ローラにより、前記加工布の他方の面に前記裏打ちシートが加熱接着されることを特徴とするプリーツマシン。
【請求項3】
表ヒダと裏ヒダを有するプリーツが形成された加工布の裏ヒダ側の面に裏打ちシートが接着されてなり、加工布は、裏打ちシートと接する部分のみにおいて裏打ちシートに接着され、表ヒダは裏打ちシートから浮くように構成されることを特徴とするプリーツ布。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−38289(P2008−38289A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214612(P2006−214612)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(505158389)株式会社アッセ (11)
【Fターム(参考)】