説明

プルプリントサーバ、プルプリントシステム、プルプリント方法及びプログラム

【課題】プルプリントサーバの消費電力を効率的に節約する。
【解決手段】プルプリントサーバ2は、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブが記憶されている場合に画像処理装置5を監視対象として特定し、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブが記憶されていない場合に情報処理装置3を監視対象として特定することで、その情報処理装置3と上記画像処理装置5とのうち印刷ジョブの送受信が行なわれる可能性の高い方を特定する。そして、プルプリントサーバ2は、その印刷ジョブの送受信が行なわれる可能性の高い情報処理装置3又は画像処理装置5の起動状態に基づき通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プルプリントサーバ、プルプリントシステム、プルプリント方法及びプログラムに関し、特に、プルプリントサーバの通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なオフィスなどにおいては、複数の印刷装置と複数のコンピュータとがネットワークを介して通信可能に接続されている場合が多い。そのような場合、プリントサーバによって印刷ジョブの集中管理を行うことがある。
【0003】
プリントサーバは、コンピュータから送信される印刷ジョブを各印刷装置に振り分けたり、印刷順序を整えたりするものである。このようなプリントサーバは、印刷ジョブを記憶しておくことができる構成である。そのため、ユーザは、コンピュータを操作することによって印刷ジョブを一旦プリントサーバに記憶させておくことができる。その後、ユーザは、印刷装置の設置場所まで移動して印刷装置に対する操作を行うことにより、印刷装置からプリントサーバへアクセスし、プリントサーバに記憶されている印刷ジョブを取得して印刷出力を行うことが可能である。このような出力形態は一般に「プルプリント」と呼ばれており、プルプリントをサポートするプリントサーバは「プルプリントサーバ」と呼ばれることもある。
【0004】
上記のようなプリントサーバは、コンピュータから印刷ジョブを不定期に受信すると共に、印刷装置からの印刷ジョブの取得要求も不定期に受信する。そのため、従来のプリントサーバは、コンピュータおよび印刷装置の双方といつでもデータ通信を行うことができるように、常に通常通電状態で待機する待機状態となっている。そのため、従来においてはプリントサーバの消費電力が大きいという問題がある。
【0005】
特許文献1には、コンピュータの起動状態を監視し、そのコンピュータが起動していないときに印刷装置が起動していると、その印刷装置を省電力状態に移行させる技術が開示されている。これにより印刷装置の通電状態が省電力状態に移行するので消費電力が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−282816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば特許文献1に開示された技術をプリントサーバに適用させて、コンピュータおよび印刷装置の双方の起動状態に基づき、プリントサーバの通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させることも考えられる。しかし、そのような構成とする場合、単にコンピュータおよび印刷装置の双方の起動状態だけに基づいて通電状態を制御しようとすると、効率的に消費電力を節約することができないという問題が更に生じる。例えばプリントサーバは、コンピュータから印刷ジョブを受信すると共に、印刷装置からも印刷ジョブの取得要求を受信するため、コンピュータが起動していなくても印刷装置が起動している場合には、その印刷装置から印刷ジョブの取得要求を受信する可能性がある。仮にコンピュータが起動していないことをもってプリントサーバを省電力状態に移行させてしまうと、プリントサーバは、起動している印刷装置から印刷ジョブの取得要求を受信することにより通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰することになる。すなわちこの場合、その復帰に伴う余分な電力を消費することになる。それとは逆に、印刷装置が起動していないことをもってプリントサーバを省電力状態に移行させてしまうと、コンピュータが起動している場合があるので上記と同様の問題が生じる。
【0008】
また、コンピュータと印刷装置の双方が共に起動していないことをもってプリントサーバを省電力状態に移行させることも考えられる。しかしそのような場合、コンピュータと印刷装置のうち何れか一方が起動している間は、プリントサーバを省電力状態に移行させることができない状態となり、無駄な待機電力を消費することになる。
【0009】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、消費電力を効率的に節約することのできるプルプリントサーバ、プルプリントシステム、プルプリント方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ネットワークを介して情報処理装置と画像処理装置とに通信可能に接続されるプルプリントサーバであって、前記情報処理装置から送信される印刷ジョブを記憶する印刷ジョブ記憶手段と、前記画像処理装置からの要求に基づいて前記印刷ジョブ記憶手段に記憶されている印刷ジョブを前記画像処理装置に送信する出力制御手段と、前記印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されている場合に前記画像処理装置を監視対象として特定し、前記印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されていない場合に前記情報処理装置を監視対象として特定する管理手段と、前記管理手段によって監視対象として特定される前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態に基づいて、通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる通電制御手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0011】
このような構成によれば、プルプリントサーバの消費電力を効率的に節約することが可能になる。すなわちプルプリントサーバは、通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させるか否かの判断基準を、印刷ジョブが記憶されているか否かに基づいて情報処理装置と画像処理装置とのうち何れか一方に絞り込む構成である。
【0012】
すなわち印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されているか否かによって、情報処理装置から印刷ジョブが送信される可能性と、画像処理装置からプルプリントが要求される可能性とのうち何れが高いかを判断することができる。例えば、印刷ジョブがプルプリントサーバに未だ記憶されていない場合には、画像処理装置からプルプリントの要求を受けることはない。その場合、画像処理装置からプルプリントが要求される可能性よりも情報処理装置から印刷ジョブが送信される可能性の方が高くなる。一方、印刷ジョブがプルプリントサーバに既に記憶されている場合には、ユーザは比較的早いタイミングでプルプリントを行うと予想されるため、ある程度の時間までは画像処理装置からプルプリントが要求される可能性の方が、不定期になされる情報処理装置から印刷ジョブが送信される可能性よりも高くなると考えられる。
【0013】
仮に情報処理装置と画像処理装置とのうち印刷ジョブの送受信が行なわれる可能性の低い方の起動状態を考慮すると、その可能性の低い方が起動している間は、いつまで経ってもプルプリントサーバの通電状態を省電力状態に移行させることができない状態となってしまう。この場合、プルプリントサーバは、無駄に待機電力を消費することになる。本発明によれば、情報処理装置と画像処理装置とのうち印刷ジョブの送受信が行なわれる可能性の高い方の起動状態のみを考慮して他方の起動状態を考慮しないので、無駄に待機電力を消費してしまうことを防止することができる。また、上記構成によれば、印刷ジョブの送受信が行なわれる可能性の高い方の起動状態に基づき通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させるので、省電力状態への移行と通常通電状態への復帰とを繰り返してしまう可能性を低減することができる。これによりプルプリントサーバは、通電状態を通常通電状態に復帰することに伴う余分な電力を節約することができる。
【0014】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のプルプリントサーバにおいて、監視対象となる前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態に基づいて、前記プルプリントサーバの通電状態が通常通電状態から省電力状態に移行するまでの待機時間を設定する設定手段を更に備え、前記通電制御部は、前記設定手段によって設定される待機時間が経過することに伴って通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させることを特徴とする構成である。
【0015】
このような構成によれば、待機時間経過後に通電状態が省電力状態に移行するので、監視対象装置の起動時間が長時間になることに伴って、プルプリントサーバも長時間省電力状態に移行できなくなってしまうことを防止することができる。これによりプルプリントサーバの待機電力を節約することができる。
【0016】
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載のプルプリントサーバにおいて、前記設定手段は、監視対象となる前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動台数を取得し、その起動台数に基づき待機時間を設定することを特徴とする構成である。
【0017】
このような構成によれば、プルプリントサーバは、監視対象装置の起動台数に応じて適切に待機時間を設定することができる。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のプルプリントサーバにおいて、前記設定手段は、前記起動台数が多くなるに連れて待機時間を長く設定することを特徴とする構成である。
【0019】
このような構成によれば、効率良く消費電力を節約することができる。例えば監視対象装置の起動台数が少ないと、プルプリントサーバが単位時間当たりに行う印刷ジョブの送受信回数は一般的に少なくなると考えられる。言い換えると、監視対象装置の起動台数が少なくなるほど、プルプリントサーバが印刷ジョブの送受信を行う時間間隔が増加する傾向となる。このような場合に、待機時間を長くしてしまうと、プルプリントサーバにおいて印刷ジョブの送受信が行われないまま無駄に待機電力を消費する期間が生じ得る。上記構成によれば、監視対象装置の起動台数が少なくなるに連れて待機時間を短く設定するので、プルプリントサーバは、印刷ジョブの送受信が行われないまま無駄に待機電力が消費されてしまうことを防止することが可能である。
【0020】
一方、監視対象装置の起動台数が多くなると、プルプリントサーバが単位時間当たりに行う印刷ジョブの送受信回数も一般的に多くなると考えられる。言い換えると、監視対象装置の起動台数が多くなるほど、プルプリントサーバが印刷ジョブの送受信を行う時間間隔が短くなる傾向となる。このような場合に、待機時間を短くしてしまうと、プルプリントサーバにおいて印刷ジョブの送受信が頻繁に行われる間に、通電状態を省電力状態へ移行させたり、通常通電状態へ復帰させたりする動作が繰り返し行われることとなり、特に省電力状態から通常通電状態へ復帰させる際に多くの電力を消費してしまうという事態が生じ得る。上記構成によれば、監視対象装置の起動台数が多くなるに連れて待機時間を長く設定するので、プルプリントサーバは、頻繁に復帰動作が行われることを抑制し、復帰のための無駄な電力が頻繁に消費されてしまうことを防止することが可能である。これによりプルプリントサーバは、消費電力を効率的に節約することができる。
【0021】
請求項5に係る発明は、請求項3又は4に記載のプルプリントサーバにおいて、前記設定手段は、待機時間が設定された後であって、その待機時間の経過前に、前記起動台数に変化が生じた場合には、その変化後の起動台数に基づき待機時間を再設定することを特徴とする構成である。
【0022】
このような構成によれば、起動台数に基づき待機時間が一旦設定された後、その起動台数に変化が生じると、その変化後の起動状態に基づき待機時間が再設定されるので、プルプリントサーバは、状況変化に応じた適切な待機時間を設定することができる。
【0023】
請求項6に係る発明は、請求項2乃至5の何れかに記載のプルプリントサーバにおいて、前記管理手段は、待機時間が設定された後であって、その待機時間の経過前に、前記印刷ジョブ記憶手段における印刷ジョブの有無に変化が生じた場合には、監視対象を前記情報処理装置及び前記画像処理装置のうち何れか一方から他方に変更するものであり、前記設定手段は、前記変更後の監視対象となる前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態に基づき待機時間を再設定することを特徴とする構成である。
【0024】
このような構成によれば、一旦待機時間が設定された後に、印刷ジョブ記憶手段における印刷ジョブの有無に変化が生じることに伴って監視対象を変更して待機時間を再設定するので、プルプリントサーバは、状況変化に応じた適切な待機時間を設定することができる。
【0025】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の何れかに記載のプルプリントサーバにおいて、前記画像処理装置から送信される画像データを記憶する画像データ記憶手段と、前記情報処理装置からの要求に基づいて前記画像データ記憶手段に記憶されている画像データを前記情報処理装置に送信する画像出力手段と、を更に備えることを特徴とする構成である。
【0026】
このような構成によれば、プルプリントサーバは、画像データを記憶する構成を備える場合において、そのプルプリントサーバの消費電力を効率的に節約することが可能になる。
【0027】
請求項8に係る発明は、ネットワークを介して情報処理装置と、画像処理装置と、プルプリントサーバとが相互に通信可能に接続されて構成されるプルプリントシステムであって、前記情報処理装置から送信される印刷ジョブを所定の記憶装置に記憶させる記憶制御手段と、前記画像処理装置からの要求に基づいて前記記憶装置に記憶されている印刷ジョブを前記画像処理装置に実行させる出力制御手段と、前記記憶装置に印刷ジョブが記憶されている場合に前記画像処理装置を監視対象として特定し、前記印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されていない場合に前記情報処理装置を監視対象として特定する管理手段と、前記管理手段によって監視対象として特定される前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態に基づいて、前記プルプリントサーバの通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる通電制御手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0028】
このような構成によれば、プルプリントサーバの通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させるか否かの判断基準を、印刷ジョブが記憶されているか否かに基づいて情報処理装置と画像処理装置とのうち何れか一方に絞り込むので、プルプリントシステムは、プルプリントサーバの消費電力を効率的に節約することが可能になる。
【0029】
請求項9に係る発明は、ネットワークを介して情報処理装置と画像処理装置とに通信可能に接続されるプルプリントサーバにおいて実行されるプルプリント方法であって、前記プルプリントサーバは、前記情報処理装置から送信される印刷ジョブを記憶する印刷ジョブ記憶手段と、前記画像処理装置からの要求に基づいて前記印刷ジョブ記憶手段に記憶されている印刷ジョブを前記画像処理装置に送信する出力制御手段と、を備え、このプルプリント方法は、(a)前記印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されている場合に前記画像処理装置を監視対象として特定し、前記印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されていない場合に前記情報処理装置を監視対象として特定するステップと、(b)前記ステップ(a)によって監視対象として特定される前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態を監視するステップと、(c)前記ステップ(b)に基づき通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させるステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0030】
このような構成によれば、プルプリントサーバの通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させるか否かの判断基準を、印刷ジョブが記憶されているか否かに基づいて情報処理装置と画像処理装置とのうち何れか一方に絞り込むので、プルプリントサーバは、消費電力を効率的に節約することが可能になる。
【0031】
請求項10に係る発明は、ネットワークを介して情報処理装置と画像処理装置とに通信可能に接続されるプルプリントサーバにおいて実行されるプログラムであって、前記プルプリントサーバを、前記情報処理装置から送信される印刷ジョブを所定の記憶装置に記憶させる記憶制御手段、前記画像処理装置からの要求に基づいて前記記憶装置に記憶されている印刷ジョブを前記画像処理装置に送信する出力制御手段、前記記憶装置に印刷ジョブが記憶されている場合に前記画像処理装置を監視対象として特定し、前記記憶装置に印刷ジョブが記憶されていない場合に前記情報処理装置を監視対象として特定する管理手段、
前記管理手段によって監視対象として特定される前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態に基づいて、通常通電状態から省電力状態に移行させる通電制御手段、として機能させることを特徴とする構成である。
【0032】
このような構成によれば、プルプリントサーバの通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させるか否かの判断基準を、印刷ジョブが記憶されているか否かに基づいて情報処理装置と画像処理装置とのうち何れか一方に絞り込むので、プルプリントサーバは、消費電力を効率的に節約することが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されている場合に画像処理装置を監視対象として特定し、印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されていない場合に情報処理装置を監視対象として特定するので、情報処理装置と画像処理装置のうち印刷ジョブの送受信が行なわれる可能性の高い方を特定することができる。そして、その印刷ジョブの送受信が行なわれる可能性の高い情報処理装置又は画像処理装置の起動状態に基づき通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行するので、プルプリントサーバの消費電力を効率良く節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】プルプリントシステムの全体構成例を示す図である。
【図2】プルプリントの概念を示す図である。
【図3】プルプリントシステムによって実行される処理の基本的な概念を示す図である。
【図4】プルプリントサーバのハードウエア構成の一例を示す図である。
【図5】プルプリントサーバにおける制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】プルプリントサーバの制御部によって実行される処理を模式的に示す図である。
【図7】プルプリントサーバに記憶されている設定情報の一例を示す図である。
【図8】プルプリントサーバにおいて実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】プルプリントサーバが備える構成によって得られる効果を模式的に示す図である。
【図10】第2の実施形態において実行される処理を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0036】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態におけるプルプリントシステム1の一構成例を示す図である。プルプリントシステム1は、プルプリントサーバ2と、印刷ジョブを発行する情報処理装置3(3a〜3c)と、印刷機能を備えた画像処理装置5(5a〜5c)とがネットワーク7を介して相互にデータ通信が可能な構成である。ネットワーク7は、例えば、一般的なオフィス内に構築されるLAN(Local Area Network)である。但し、これに限定されずネットワーク7は、WAN(Wide Area Network)などの広域的な通信網を含む複合的な通信ネットワークであってもよい。また情報処理装置3及び画像処理装置5は、少なくとも1台ずつ用意されていれば良く、例示されている数に限られない。
【0037】
プルプリントサーバ2は、プルプリントを行なうことが可能に構成されるプリントサーバである。図2は、プルプリントの概念を示す図である。すなわち、プルプリントサーバ2は、情報処理装置3から送信される印刷ジョブ25を受付けて記憶し、画像処理装置5からの送信要求を受けると印刷ジョブ25をその画像処理装置5に送信する。そして画像処理装置5は、プルプリントサーバ2から受信する印刷ジョブ25に基づいて印刷出力を行う。したがって、ユーザは画像処理装置5に対する直接の操作を行うことにより、プルプリントサーバ2に記憶されている印刷ジョブ25を画像処理装置5に取り込んで印刷出力を行わせることができる。このような出力形態によると、ユーザは、第三者に印刷物を読まれてしまうことなく安全に印刷物を取得することができるようになる。またプルプリントサーバ2に印刷ジョブ25を記憶させておくことで、複数の画像処理装置5a〜5cの何れからでもその印刷ジョブ25に基づく印刷出力を行わせることができるので、利便性が良いというメリットもある。
【0038】
図1に戻って、プルプリントサーバ2は、一般的なプリントサーバとしての機能も有している。例えば、プルプリントサーバ2は、情報処理装置3から送信される印刷ジョブ25を各画像処理装置5a〜5cに振分けたり、複数の印刷ジョブ25が同一の画像処理装置5に対して同時に送信された場合などに各印刷ジョブ25の実行順序を整えたりする。そのためプルプリントシステム1においては、情報処理装置3から出力される印刷ジョブ25は、直接には画像処理装置5に送信されず、プルプリントサーバ2を介して画像処理装置5に送信される。
【0039】
情報処理装置3は、例えば一般的なパーソナルコンピュータである。情報処理装置3は、ユーザによる操作指示に基づいて印刷ジョブ25を生成し、その印刷ジョブ25の送信先を指定して出力する。プルプリントが行われる場合、印刷ジョブ25の送信先は、プルプリントサーバ2の所定の記憶領域が指定される。プルプリントサーバ2は、自身の記憶領域を送信先として指定されている印刷ジョブ25を受信すると、その印刷ジョブ25をその記憶領域に格納する。
【0040】
画像処理装置5は、例えば一般的な複合機であり、印刷機能の他、スキャン機能など各種機能を備えている。また、画像処理装置5は、プルプリントを行なう場合、ユーザによる指示操作に基づきプルプリントサーバ2に記憶されている印刷ジョブ25の送信要求をプルプリントサーバ2に対して行ない、そのプルプリントサーバ2から送信される印刷ジョブ25を受付けて印刷出力を行なうように構成される。尚、画像処理装置5は、スキャンにより得られる画像データをプルプリントサーバ2を介して情報処理装置3に送信するように構成されても良い。
【0041】
図3は、本実施形態においてプルプリントサーバ2によって実行される処理の概念を示す図である。プルプリントサーバ2は、通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行することで消費電力を節約する機能を備える。通常通電状態は、プルプリントサーバ2において各種動作を行なうことができるように各部に対して電力供給を行なう動作モードである。また省電力状態は、一部の回路への電力供給を残して他の回路への電力供給を制限する動作モードである。
【0042】
本実施形態におけるプルプリントサーバ2は、情報処理装置3および画像処理装置5のいずれか一方の起動状態を監視し、その起動状態に基づいて通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる構成である。より具体的に説明すると、プルプリントサーバ2は、印刷ジョブ25を記憶しているか否かに基づいて、監視対象となる装置を情報処理装置3と画像処理装置5とのうち何れか一方に絞り込み、その絞り込んだ監視対象装置の起動状態を監視する構成である。すなわち、印刷ジョブ25が記憶装置15に記憶されているか否かによって、情報処理装置3から印刷ジョブ25が送信される可能性と、画像処理装置5からプルプリントが要求される可能性とのうち何れが高いかを判断することができる。
【0043】
例えば、図3(a)に示すように印刷ジョブ25が記憶装置15に記憶されていない場合、画像処理装置5からプルプリントの要求を受けることはない。そのため、プルプリントサーバ2は、画像処理装置5からプルプリントが要求される可能性よりも情報処理装置3から印刷ジョブ25が送信される可能性の方が高いと判断する。そして、プルプリントサーバ2は、記憶装置15に印刷ジョブ25が記憶されていない場合には、情報処理装置3の起動状態のみを検知して、その情報処理装置3が起動状態でなくなることに伴って通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる。
【0044】
一方、図3(b)に示すように、印刷ジョブ25が記憶装置15に既に記憶されている場合には、ユーザは比較的早いタイミングでプルプリントを行う可能性があるため、ある程度の時間内においては画像処理装置5からプルプリントが要求される可能性の方が、不定期になされる情報処理装置3から印刷ジョブ25が送信される可能性よりも高くなると考えられる。そこで、プルプリントサーバ2は、記憶装置15に印刷ジョブ25が記憶されている場合には、画像処理装置5の起動状態のみを検知する。そして、プルプリントサーバ2は、画像処理装置5が起動状態でなくなることに伴って通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる。すなわち、画像処理装置5が起動状態でなくなると、直ちにプルプリントの要求が行われる可能性がなくなるので、プルプリントサーバ2の通電状態が省電力状態へと移行される構成である。
【0045】
このように、プルプリントサーバ2は、情報処理装置3と画像処理装置5とのうち印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の高い方の起動状態のみに基づき通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる構成である。これによりプルプリントサーバ2は、消費電力を効率よく節約することが可能である。以下、上記のように動作するプルプリントサーバ2について詳しく説明する。
【0046】
図4は、プルプリントサーバ2のハードウエア構成の一例を示す図である。プルプリントサーバ2は、このプルプリントサーバ2の動作を制御する制御部10と、ネットワーク7を介して情報処理装置3及び画像処理装置5と通信を行うためのネットワークインタフェース11と、各部への電力供給を制御する電力供給部12と、各種情報を記憶する記憶装置15と、を備え、それらがバス20を介して接続されることにより相互に通信可能に構成される。
【0047】
制御部10は、CPU10aとメモリ10bとを備えており、各部の動作を制御するものである。CPU10aは、記憶装置15に記憶されているプログラム16などを読み出して実行する。プログラム16は、制御部10を後述する各種処理部として機能させるためのプログラムである。メモリ10bは、CPU10aがプログラムを実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するものである。
【0048】
ネットワークインタフェース11は、制御部10をネットワーク7に接続するためのものである。これにより制御部10は、このネットワークインタフェース11を介して、情報処理装置3と画像処理装置5とに通信可能に接続される。尚、ネットワークインタフェース11は、ネットワーク7に対して有線接続されるものであっても良いし、無線接続されるものであっても良い。
【0049】
電力供給部12は、制御部10からの指示に基づいてプルプリントサーバ2の通電状態を、通常通電状態から省電力状態に移行させたり、それとは逆に省電力状態から通常通電状態に復帰させたりするように電源回路を制御する処理部である。
【0050】
記憶装置15は、例えばハードディスク装置などで構成される。また、記憶装置15は、印刷ジョブ25を記憶する記憶領域として印刷ジョブ記憶部15aを備えている。すなわち、情報処理装置3から出力される印刷ジョブ25の送信先として印刷ジョブ記憶部15aが指定される場合、その印刷ジョブ25は、印刷ジョブ記憶部15aに記憶される。プルプリントサーバ2の通電状態が省電力状態へと移行すると、この記憶装置15に対する電力供給が遮断される。そのため、省電力状態では、記憶装置15に対する各種情報の書き込みや読み出し動作を行うことができなくなる。それ故、省電力状態であるときに、制御部10において記憶装置15に対する書き込み動作や読み出し動作を行う処理が発生すると、まず通電状態を省電力状態から通常通電状態へと復帰させる処理が行われる。
【0051】
図5は、本実施形態における制御部10の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部10は、上述したCPU10aがプログラム16を実行することにより、管理部31、通電制御部33及び出力制御部34として機能する。また管理部31は、設定部32を備えている。制御部10において、少なくとも管理部31及び通電制御部33は、プルプリントサーバ2の通電状態が省電力状態であっても動作することが可能に構成される。以下、各処理部の構成について説明する。
【0052】
管理部31は、受信する印刷ジョブ25の管理を行なう処理部である。例えば管理部31は、受信する印刷ジョブ25の送信先が印刷ジョブ記憶部15aである場合には、その印刷ジョブ25を印刷ジョブ記憶部15aに記憶させる。一方、管理部31は、受信する印刷ジョブ25の送信先が所定の画像処理装置5である場合には、その印刷ジョブ25を出力制御部34に出力する。また、管理部31は、プルプリントサーバ2の通電状態が通常通電状態から省電力状態へ移行するまでの待機時間の設定に関する処理も行なう。この処理については後述する。
【0053】
通電制御部33は、電力供給部12(図4)に対して各種指示を行なう処理部である。例えば、通電制御部33は、プルプリントサーバ2の通電状態が通常通電状態の場合において、予め設定される待機時間が経過することに伴って、通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させるように電力供給部12に指示する。また、通電制御部33は、プルプリントサーバ2の通電状態が省電力状態の場合において、制御部10が情報処理装置3からの印刷ジョブ25を受信することにより、又は、画像処理装置5からのプルプリントの要求を受信することにより、通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させるように電力供給部12に指示する。
【0054】
出力制御部34は、印刷ジョブ25を各情報処理装置3に振分けて送信する処理部である。すなわち、出力制御部34は、管理部31からの印刷ジョブ25を受信した場合には、指定されている送信先に対してその印刷ジョブ25を送信する。また、出力制御部34は、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されている場合において、画像処理装置5からプルプリントの要求を受けると、印刷ジョブ記憶部15aに記憶されている印刷ジョブ25を特定し、その印刷ジョブ25をその画像処理装置5に対して送信する。
【0055】
記憶装置15には、上述した印刷ジョブ記憶部15aが設けられている。また、記憶装置15には、待機時間を設定する際に記録される設定情報17が記憶されている。この設定情報17については後述する。以下、各処理部によって実行される処理について説明する。
【0056】
制御部10は、プルプリントサーバ2の通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰することに伴って、待機時間を設定するための処理を行う。プルプリントサーバ2の通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰すると、まず管理部31が機能する。管理部31は、情報処理装置3及び画像処理装置5のうち何れか一方を監視対象として特定する処理を開始する。すなわち、管理部31は、印刷ジョブ記憶部15aに未だ印刷ジョブ25が記憶されていない場合には情報処理装置3を監視対象として特定し、印刷ジョブ記憶部15aに既に印刷ジョブ25が記憶されている場合には画像処理装置5を監視対象として特定する。これにより情報処理装置3と画像処理装置5とのうち印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の高い方を特定することができる。
【0057】
管理部31によって監視対象が特定されると、次に管理部31に含まれる設定部32が機能する。設定部32は、待機時間を設定する処理部である。すなわち本実施形態では、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動状態に基づき待機時間が設定される構成になっている。これにより、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動時間が長時間に及んでしまうことに伴ってプルプリントサーバ2の通電状態が長時間省電力状態に移行できない事態になることを防止することができる。例えば、監視対象が情報処理装置3であるとき、その情報処理装置3が起動状態である間は、いつまで経ってもプルプリントサーバ2が省電力状態に移行できなくなり、長時間に渡って待機電力を消費することになる。そこで、待機時間の経過後にプルプリントサーバ2の通電状態を省電力状態に移行させることで、上記のような不具合を防止することが可能である。但しこれに限らず、例えば待機時間を設定せず、単に監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5が起動していないことに伴って、プルプリントサーバ2の通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させても良い。
【0058】
設定部32は、待機時間を設定するに先立って、まず以下に説明するように、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動台数を取得する。設定部32は、例えば監視対象が情報処理装置3である場合、一定の時間間隔で定期的に各情報処理装置3と通信接続が確立されているか否かを判断し、通信接続が確立されている情報処理装置3のIPアドレスを所定のテーブルに登録する。そして設定部32は、そのテーブルを参照することにより情報処理装置3の起動台数を取得する。
【0059】
設定部32は、画像処理装置5の起動台数を取得する場合にも上記と同様に処理することが可能である。また例えば、設定部32は、各画像処理装置5から定期的に起動状態に関するステータス情報を送信させ、そのステータス情報を受信することにより起動台数を取得しても良い。更に以下のように構成することも可能である。例えば一般的なオフィスなどにおいては、画像処理装置5に対するユーザ認証を行なうための認証サーバが設置されている場合もある。認証サーバは、通常、ユーザ毎に例えばパスワードなどの認証情報を記憶しており、その認証情報と画像処理装置5に対して入力される認証情報とを照合することによって、画像処理装置5に対するログインを許可する。そこで管理部31は、定期的に認証サーバにログイン状態を問い合せ、ログイン状態にある画像処理装置5が存在する場合には、その画像処理装置5が起動状態であると判断し、その画像処理装置5の台数を起動台数として取得する。但し起動台数を取得するための手法は上記の例に限定されず、他の手法を用いても構わない。
【0060】
上記のようにして監視対象装置の起動台数を取得すると、設定部32は、その起動台数に基づいて待機時間を設定する。このとき本実施形態では、監視対象装置の起動台数が多くなるに連れて待機時間を長くし、監視対象装置の起動台数が少なくなるに連れて待機時間を短くするように構成される。例えば、1台の監視対象装置が起動している状態でプルプリントサーバ2がその1台の監視対象装置と印刷ジョブ25の送受信を行う回数を、単位時間当たりの期待値でN回とした場合、M台(ただし、Mは1以上の整数)の監視対象装置が起動している状態では、プルプリントサーバ2が単位時間当たりに印刷ジョブ25の送受信を行う回数は(M×N)回となる。
【0061】
したがって、監視対象装置の起動台数が少なくなるほど、プルプリントサーバ2が単位時間当たりに行う印刷ジョブ25の送受信回数は少なくなる。言い換えると、監視対象装置の起動台数が少なくなるほど、プルプリントサーバ2が印刷ジョブ25の送受信を行う時間間隔が増加する傾向となる。このような場合に、待機時間を長くしてしまうと、プルプリントサーバ2において印刷ジョブ25の送受信が行われないまま無駄に待機電力を消費する期間が生じ得る。そのため、本実施形態では、監視対象装置の起動台数が少なくなるに連れて待機時間を短く設定することにより、プルプリントサーバ2において印刷ジョブ25の送受信が行われないまま無駄に待機電力が消費されてしまうことを防止する。
【0062】
これに対し、監視対象装置の起動台数が多くなると、プルプリントサーバ2が単位時間当たりに行う印刷ジョブ25の送受信回数も多くなる。言い換えると、監視対象装置の起動台数が多くなるほど、プルプリントサーバ2が印刷ジョブ25の送受信を行う時間間隔が短くなる傾向となる。このような場合に、待機時間を短くしてしまうと、プルプリントサーバ2において印刷ジョブ25の送受信が頻繁に行われる間に、通電状態を省電力状態へ移行させたり、通常通電状態へ復帰させたりする動作が繰り返し行われることとなり、特に省電力状態から通常通電状態へ復帰させる際に多くの電力を消費してしまうという事態が生じ得る。そのため、本実施形態では、監視対象装置の起動台数が多くなるに連れて待機時間を長く設定することにより、プルプリントサーバ2において頻繁に復帰動作が行われることを抑制し、復帰のための無駄な電力が頻繁に消費されてしまうことを防止する。
【0063】
このように本実施形態においては、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動台数に基づき待機時間の長短を行なうので、上記のような不具合をなるべく生じないようにして効率的に消費電力を節約することができる。但し、必ずしも起動台数に比例して待機時間の長短を決める必要はなく、例えば一定の起動台数を超える場合は第1の待機時間を設定し、一定の起動台数以下である場合は第1の待機時間よりも短い第2の待機時間を設定するといった2値の設定であっても良い。
【0064】
図6は、プルプリントサーバ2の通電状態と、情報処理装置3の起動台数と、画像処理装置5の起動台数とを時系列で示す図である。以下、具体例を挙げてこの時系列に従って制御部10の動作を引き続き説明する。設定部32は、例えば監視対象として情報処理装置3が特定される場合、情報処理装置3の起動台数を上記のようにして取得した後、以下のように処理を行う。図6において設定部32が情報処理装置3の起動台数を取得するタイミングをタイミングT1とする。タイミングT1において、情報処理装置3の起動台数は図例では2台である。設定部32は、情報処理装置3の起動台数を取得すると、その検知結果を記憶装置15に記憶されている設定情報17に記録する。
【0065】
図7は、設定部32によって記録される設定情報17の一例を示す図である。設定情報17は、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動台数と待機時間とが記録される情報である。すなわちこの設定情報17を参照することで、通電制御部33は、待機時間を取得することが可能になる。設定情報17は、情報処理装置3及び画像処理装置5のうち監視対象となる何れか一方に関する情報のみが記録され、他方に関する情報は記録されない。図7では、監視対象が情報処理装置3である場合を例示しているため、画像処理装置5に関する情報は記録されていない。従って、監視対象が画像処理装置5である場合には、画像処理装置5の起動台数と待機時間とが記録され、情報処理装置3に関する情報は記録されないことになる。
【0066】
設定部32は、情報処理装置3の起動台数を記録すると、その起動台数に基づき待機時間を算出して更に設定情報17に記録する処理を行なう。起動台数が1台当たりの待機時間は、予め決められており、例えば1台当たり5分である。従って情報処理装置3が2台起動している場合、設定部32は、待機時間を10分として算出し、その算出結果を設定情報17に記録する。これにより待機時間が設定される。尚、起動台数当たりの待機時間をどのように定めるかは任意であるが、あまりにも長いと設定される待機時間が長時間に及びプルプリントサーバ2が待機電力を多く消費することになるので、1台当たり1〜10分程度であることが好ましい。また、1台当たりの待機時間は、情報処理装置3と画像処理装置5とで異ならせても構わない。
【0067】
図6に示すように、上記のようにしてタイミングT1において待機時間が設定されると、次に設定部32が再び機能すると共に通電制御部33が機能する。設定部32は、監視対象となる情報処理装置3の起動台数に変化が生じるか否かを監視する。一方、通電制御部33は、待機時間が経過するか否かを監視する。すなわち、通電制御部33は、通常通電状態において記憶装置15に記憶される設定情報17を監視しており、設定部32によって設定情報17に待機時間が新たに書き込まれた場合にその待機時間をカウントするための計時動作を開始し、計時動作開始から待機時間が経過したか否かを監視する。このような計時動作は、設定部32によって設定情報17に記録された待機時間が更新された場合に中断する。そして通電制御部33は、更新された待機時間に基づいて改めて計時動作を再開する。このとき、それまでのカウント値を一旦リセットするようにしても良いし、前回のカウント値から引き続いて計時動作を再開するようにしても良い。
【0068】
タイミングT1において設定された待機時間が経過する前にタイミングT2において、設定部32は、情報処理装置3の起動台数が、それまでの2台から例えば5台に増加したことを検知する。設定部32は、起動台数の変化を検知すると、上記と同様にして新たな起動台数と待機時間とを設定情報17に記録することにより設定情報17を更新する。設定部32は、タイミングT2において待機時間を設定すると、再び情報処理装置3の起動状態に変化が生じるか否かを監視する。また通電制御部33は、再設定後の待機時間が経過するか否かを監視する。
【0069】
設定部32は、上記のように起動台数が増加する場合だけでなく、起動台数が減少した場合にも設定情報17の更新を行なう。例えば、タイミングT2において設定された待機時間が経過するまでに、設定部32は、タイミングT3において情報処理装置3の起動台数がそれまでの5台から例えば3台に減少したことを検知する。この場合、設定部32は、その減少した起動台数に基づき上記と同様にして設定情報17を更新する。
【0070】
通電制御部33は、タイミングT3において設定された待機時間が経過するまでの間に待機時間の再設定が行なわれない場合、つまり監視対象となる情報処理装置3の起動台数に変化が生じない場合には、その待機時間が経過することに伴って電力供給部12に対して通電状態を現在の通常通電状態から省電力状態に移行するように指示する。そして、電力供給部12は、通電制御部33からの指示に従って、例えばタイミングT4において、プルプリントサーバ2の通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる。
【0071】
以上の説明は、情報処理装置3を例に挙げて、その情報処理装置3の起動台数が増加及び減少する場合を例示した。同様に、監視対象が画像処理装置5である場合にも、制御部10は、画像処理装置5の起動台数に基づき上記と同様に処理を行なう。以下においては、図6を参照しつつ、画像処理装置5を例に挙げて、その画像処理装置5の起動台数が0台になる場合の処理を例示する。但し、監視対象が情報処理装置3である場合にも制御部10は以下と同様の処理を行なう。
【0072】
例えば、印刷ジョブ25を記憶している状態でプルプリントサーバ2の通電状態が省電力状態になっているときに、管理部31が画像処理装置5からのプルプリントの要求を受ける場合を想定する。この場合、まず通電制御部33は、電力供給部12に対して通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰するように指示する。そして電力供給部12は、通電制御部33からの指示に従ってプルプリントサーバ2の通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させる。これによりプルプリントサーバ2が通常通電状態に復帰する。
【0073】
管理部31は、プルプリントサーバ2の通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰すると、監視対象を特定する処理を行なう。すなわちこの場合、印刷ジョブ記憶部15aには印刷ジョブ25が記憶されているので、管理部31は、画像処理装置5を監視対象として特定する。そして設定部32は、監視対象として画像処理装置5が特定されると、その画像処理装置5の起動台数を取得する。このとき設定部32によって画像処理装置5の起動台数が検知されるタイミングをタイミングT5とする。
【0074】
タイミングT5において、画像処理装置5の起動台数は図例では3台である。設定部32は、画像処理装置5の起動台数を取得すると、その起動台数と、その起動台数に基づき算出した待機時間とを設定情報17に記録する。上記のようにしてタイミングT5において待機時間が設定されると、設定部32は、画像処理装置5の起動状態に変化が生じるか否かを監視する。また通電制御部33は、設定情報17に待機時間が記録されることに伴い計時動作を開始して待機時間が経過するか否かを監視する。
【0075】
そしてタイミングT6において、管理部31によって例えば画像処理装置5の起動台数がそれまでの3台から0台に減少したことが検知されると、設定部32は、その検知結果に基づき設定情報17の待機時間を例えば0分に更新する。この場合、通電制御部33は、待機時間が経過したと判断し直ちに電力供給部12に対して通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行するように指示する。そして、電力供給部12は、プルプリントサーバ2の通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行する。これにより通電制御部33は、監視対象の起動状態が0台になることに伴って通電状態を最も早いタイミングで省電力状態に移行させるので、効率的に消費電力を節約することができる。
【0076】
ところで、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されていない場合、上述したように情報処理装置3の起動状態に基づき待機時間が設定される。そして一旦、情報処理装置3の起動状態に基づき待機時間が設定された後、印刷ジョブ記憶部15aを送信先とする印刷ジョブ25を受信することもある。この場合、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されるにもかかわらず情報処理装置3の起動状態に基づく待機時間が設定されている状態になる。つまり印刷ジョブ25を受ける可能性の低い情報処理装置3の起動状態に基づく待機時間が設定されている状態になってしまうので不具合が生じる可能性がある。
【0077】
一例を挙げて説明すると、情報処理装置3が1台起動していることに伴って5分の待機時間が設定されている状態において、新たな印刷ジョブ25が印刷ジョブ記憶部15aに記憶される場合を想定する。この場合、情報処理装置3の起動台数に変化がなければ5分後に通電状態が省電力状態に移行することになる。但し、このとき画像処理装置5の起動台数が5台であるとすると、その起動している5台全ての画像処理装置5のそれぞれから例えば1回ずつ計5回のプルプリントが行なわれる可能性がある。この場合、待機時間が経過する5分以内にプルプリントが5回全て行なわれないと、プルプリントサーバ2が通常通電状態から省電力状態に移行してから後に、再び通常通電状態に復帰してプルプリントを行なうことになる。しかし現実的に待機時間が経過する5分以内にプルプリントが5回全て行なわれる可能性は低いと考えられる。つまりこの場合、プルプリントサーバ2は、通常通電状態に復帰することに伴う余分な電力を消費してしまう可能性が高くなる。
【0078】
そこで、制御部10は以下のように処理を行う。すなわち、管理部31は、情報処理装置3の起動状態に基づき待機時間が設定された後に、印刷ジョブ記憶部15aに新たに印刷ジョブ25が記憶された場合には、監視対象をそれまでの情報処理装置3から画像処理装置5に変更する。次に設定部32は、変更後の監視対象として特定された画像処理装置5の起動台数を取得する。そして設定部32は、その起動台数と、その起動台数に基づき算出した待機時間とを設定情報17に記録することにより設定情報17を更新する。これにより、画像処理装置5の起動台数に基づく適切な待機時間が再設定されるので消費電力を効率良く節約することができる。
【0079】
また、上記とは逆に印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されている状態で、画像処理装置5の起動状態に基づき待機時間が設定された後、プルプリントが行なわれることで印刷ジョブ記憶部15aに記憶されていた印刷ジョブ25が削除されることもある。そのような場合、上記とは逆に印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されていないにもかかわらず画像処理装置5の起動状態に基づく待機時間が設定されている状態になる。
【0080】
そこで制御部10は、以下のように処理を行なう。すなわち、管理部31は、画像処理装置5の起動状態に基づき待機時間が設定された後、印刷ジョブ記憶部15aに記憶されていた印刷ジョブ25が全て削除されてしまった場合には、監視対象を情報処理装置3に変更する。設定部32は、変更後の監視対象として特定された情報処理装置3の起動台数を取得する。そして設定部32は、その起動台数と、その起動台数に基づき算出した待機時間とを設定情報17に記録することにより設定情報17を更新する。これにより、情報処理装置3の起動台数に基づく適切な待機時間が再設定されるので消費電力を効率良く節約することができる。
【0081】
このように管理部31は、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動状態に基づいて待機時間が一旦設定された後に、印刷ジョブ記憶部15aにおける印刷ジョブ25の有無に変化が生じることに伴って監視対象を変更する構成である。これにより設定部32は、状況変化に応じて適切な待機時間を設定することが可能である。
【0082】
図8は、制御部10において実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、図8を参照しつつ、制御部10において実行される処理の処理手順について詳しく説明する。
【0083】
プルプリントサーバ2に電源が投入されるか、又は通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰すると(ステップS1)、制御部10は処理を開始する。まず制御部10は、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されているか否かを判断する(ステップS2)。制御部10は、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されている場合には、(ステップS2のYES)、画像処理装置5を監視対象として特定し(ステップS3)、その画像処理装置5の起動台数を取得する(ステップS4)。一方、制御部10は、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されていない場合には(ステップS2のNO)、情報処理装置3を監視対象として特定し(ステップS5)、その情報処理装置3の起動台数を取得する(ステップS6)。
【0084】
次に、制御部10は、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動台数を設定情報17に記録する(ステップS7)。また制御部10は、その起動台数に基づき待機時間を算出して設定情報17に記録することで待機時間を設定する(ステップS8)。待機時間が設定されると、制御部10は、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動台数に変化が生じるか否かの監視を開始すると共に、計時動作を開始し待機時間が経過するか否かの監視を開始する(ステップS9)。
【0085】
そして、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動台数に変化が生じると(ステップS10のYES)、制御部10は、ステップS7に戻る。一方、起動台数に変化がない状態において(ステップS10のNO)、制御部10は以下のように処理を行なう。すなわち、制御部10は、監視対象を情報処理装置3及び画像処理装置5のうち何れか一方から他方に変更する必要があるか否かを判断する。つまり、情報処理装置3の起動状態に基づき待機時間が設定された状態で印刷ジョブ記憶部15aに新たに印刷ジョブ25が記憶された場合、又は、画像処理装置5の起動状態に基づき待機時間が設定された状態で印刷ジョブ記憶部15aから印刷ジョブ25が全て削除されてしまった場合、の何れかに該当する場合には、制御部10は、監視対象の変更が必要であると判断する(ステップS11のYES)。その場合、制御部10は、ステップS2まで戻る。
【0086】
また、制御部10は、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動台数に変化がない状態において(ステップS10のNO)、且つ監視対象の変更が必要と判断されない状態において(ステップS11のNO)、以下のように処理を行なう。すなわち、制御部10は、設定部32によって設定された待機時間が経過すると(ステップS12のYES)、通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる(ステップS13)。また、制御部10は、待機時間が経過するまでの間(ステップS12のNO)、ステップS10,S11を所定タイミングで定期的に繰り返し行なう。以上のようにして制御部10において実行される処理は終了する。
【0087】
以上のように、本実施形態では、プルプリントサーバ2は、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されている場合には、画像処理装置5を監視対象として特定し、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されていない場合には、情報処理装置3を監視対象として特定する構成である。これにより情報処理装置3と画像処理装置5とのうち印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の高い方を特定することができる。そして、プルプリントサーバ2は、印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の高い方の起動状態にのみ基づき通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行するので、プルプリントサーバの消費電力を効率良く節約することができる。
【0088】
すなわち、プルプリントサーバ2の通電状態を省電力状態に移行させようとする際、仮に情報処理装置3と画像処理装置5とのうち印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の低い方の起動状態を考慮すると、その可能性の低い方が起動している間は、いつまで経ってもプルプリントサーバ2の通電状態を省電力状態に移行させることができない状態となってしまう。この場合、プルプリントサーバ2は、無駄に待機電力を消費することになる。そこでプルプリントサーバ2は、情報処理装置3と画像処理装置5とのうち印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の高い方の起動状態のみを考慮して他方の起動状態を考慮しないことで、無駄に待機電力を消費してしまうことを防止することができる。
【0089】
また、プルプリントサーバ2は、印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の高い方の起動状態に基づき通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させるので、以下に説明するように省電力状態への移行と通常通電状態への復帰とを繰り返してしまう可能性を低減することができる。これにより通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰することに伴う消費電力を節約することができる。
【0090】
図9(a)は、仮想的に想定される、印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の高い方の起動状態を考慮せずに通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる場合における電力消費量を面積比で示す図であり、図9(b)は、本実施形態におけるプルプリントサーバ2の電力消費量を面積比で示す図である。
【0091】
図9(a)に示すように、印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の高い方の起動状態を考慮せずに通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させると、省電力状態への移行と通常通電状態への復帰とを頻繁に繰り返す可能性が生じる。例えば、印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の低い方が起動状態でないことにより通電状態を省電力状態に移行させてしまうと、起動状態である他方から印刷ジョブ25の送受信が行なわれることに伴って通常通電状態への復帰動作が頻繁に行なわれる。
【0092】
通電状態を省電力状態から通常通電状態へ復帰させる場合、例えばハードディスクの起動が完了するまでの間、そのハードディスクを動作させるための例えばモータなどの駆動開始に伴う比較的大きな電力を余分に消費することになる。その場合の電力消費量を例えばW1とする。そして例えば印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の低い方が起動状態でなくなることに伴って通電状態が通常通電状態から省電力状態に移行する。省電力状態に移行するまでの通常通電状態における電力消費量を例えばW2とする。省電力状態への移行と通常通電状態への復帰とを比較的短い間隔で4回繰り返すと、上記W1,W2に相当する電力消費量の4倍となる電力が消費されるので、全体としてW1〜W14の電力消費量になる。
【0093】
これに対し、本実施形態おいてプルプリントサーバ2は、情報処理装置3と画像処理装置5とのうち印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の高い方の起動状態に基づき通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行する。これにより印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の低い方の起動状態にかかわらず、印刷ジョブ25の送受信が行なわれる可能性の高い方が起動している場合には、プルプリントサーバ2の通電状態を省電力状態に比較的長時間移行させないことが可能である。そのため、上述したような省電力状態のときに印刷ジョブ25の送受信が行なわれる場合における、通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰することに伴う余分な電力を消費せずに済む。すなわち図9(b)においてプルプリントサーバ2は、図9(a)における仮想的な構成と比較するとW3、W7及びW11の分だけ消費電力を節約することができる。このような構成は、例えば会議の直前など比較的短時間でプルプリントが複数回行なわれるようなケースにおいて特に効果的である。
【0094】
また本実施形態では、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動状態に基づいて待機時間を設定する構成である。このような構成によれば、情報処理装置3又は画像処理装置5の起動状態に加えて待機時間をも考慮するのでプルプリントサーバの消費電力を効率的に節約することができる。すなわち、仮に監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動状態にのみ基づきプルプリントサーバ2の通電状態を制御しようとすると、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5が起動している時間が長時間に及んでいる場合にも、プルプリントサーバ2の通常通電状態を省電力状態に移行できないことになる。この場合、プルプリントサーバ2は、待機電力を多く消費してしまうことになる。本実施形態の上記構成によれば、プルプリントサーバ2は、待機時間の経過後に通電状態を省電力状態に移行するので、長時間に渡って待機電力を消費してしまうことを防止することができる。このような構成は、例えば情報処理装置3において印刷出力を目的としない処理を長時間行なっているような場合に特に効果的である。
【0095】
更に本実施形態では、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動台数に基づき待機時間が設定される構成である。このような構成によれば、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動台数に応じて待機時間を適切に設定することができる。
【0096】
特に本実施形態では、設定部32は、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置の台数が多くなるに連れて待機時間を長く設定し、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の台数が少なくなるに連れて待機時間を短く設定する構成である。
【0097】
このような構成によれば、起動している情報処理装置3又は画像処理装置5の台数が多くなるに連れて待機時間を長く設定するので、上述したように省電力状態のときに情報処理装置3又は画像処理装置5から印刷ジョブ25の送受信が要求される可能性を低減することができる。これによりプルプリントサーバ2は、省電力状態から通常通電状態に復帰することに伴う電力を余分に消費してしまうことを防止できる。また、プルプリントサーバは、情報処理装置3又は画像処理装置5の台数が少なくなるに連れて待機時間を短く設定するので、上述したようにプルプリントサーバ2が無駄に待機電力を消費してしまうことを防止することができる。
【0098】
更に本実施形態では、プルプリントサーバ2は、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動台数に変化が生じた場合には、その変化後の起動台数に基づき待機時間を再設定する構成である。
【0099】
このような構成によれば、効率良く消費電力を節約することできる。一例を挙げて説明すると、監視対象となる画像処理装置5の起動状態が5台であることに伴って例えば25分の待機時間が設定された後、比較的早いタイミングで画像処理装置5の起動状態が1台まで減少したことが検知される場合を想定する。この場合、プルプリントサーバ2は、その変化後の起動台数に基づき待機時間を例えば5分と再設定する。これにより当初25分であった待機時間が、比較的早いタイミングで5分に短縮されるので、その分、待機電力を節約することできる。
【0100】
また本実施形態では、管理部31は、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動状態に基づいて待機時間が設定された後であって、その待機時間の経過前に、印刷ジョブ記憶部15aにおける印刷ジョブ25の有無に変化が生じた場合には、監視対象を情報処理装置3及び画像処理装置5のうち何れか一方から他方に変更する構成である。また、設定部32は、変更後の情報処理装置3又は画像処理装置5の起動状態に基づき待機時間を再設定する構成である。
【0101】
このような構成によれば、プルプリントサーバ2は、一旦、監視対象として特定した情報処理装置3又は画像処理装置5の起動状態に基づいて待機時間を設定した後に、印刷ジョブ記憶部15aにおける印刷ジョブ25の有無に変化が生じることに伴って監視対象を変更して待機時間を再設定するので、状況変化に応じた適切な待機時間を設定することができる。
【0102】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態において制御部10によって実行される処理を模式的に示す図である。尚、以下の説明では第1の実施形態と重複する構成については説明を省略する。
【0103】
プルプリントサーバ2は、上述した印刷ジョブ記憶部15aの他に、画像データ41を記憶する画像データ記憶部41aを備えている。この場合、上述したプルプリントとは逆の処理が行なわれる場合がある。すなわち画像処理装置5は、スキャンによって得られる画像データ41を取得すると、ユーザによる指示に基づき画像データ41の送信先を画像データ記憶部41aとして送信する。管理部31は、画像データ記憶部41aを送信先とする画像データ41を受信すると、その画像データ41を画像データ記憶部41aに格納する。そして、情報処理装置3からその画像データ41の送信要求を受けると、出力制御部34は、その画像データ41をその情報処理装置3に送信する。この場合、出力制御部34は、画像出力部として機能する。上記のように構成される場合において、管理部31は、以下のようにして監視対象を特定する。
【0104】
画像データ記憶部41aに画像データ41が未だ記憶されていないとき、情報処理装置3から画像データ41の送信要求を受けることはない。そのため情報処理装置3から画像データ41の送信要求を受ける可能性よりも画像処理装置5からの画像データ41を受信する可能性の方が高いので、待機時間は、画像処理装置5の起動状態に基づき設定されることが好ましい。また、上述したように印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されている場合にも待機時間は、画像処理装置5の起動状態に基づき設定されることが好ましい。そこで、管理部31は、画像データ記憶部41aに画像データ41が未だ記憶されていない状態で、且つ印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が既に記憶されている状態においては、画像処理装置5を監視対象として特定する。
【0105】
一方、画像データ記憶部41aに画像データ41が既に記憶されているとき、ユーザは比較的早いタイミングで情報処理装置3からその画像データ41の送信要求を行なうと考えられる。すなわちこの場合、ある程度の時間内においては不定期でなされる画像処理装置5からの画像データ41を受信する可能性よりも情報処理装置3から画像データ41の送信要求を受ける可能性の方が高いと考えられる。そのため待機時間は、情報処理装置3の起動状態に基づき設定されることが好ましい。また、上述したように印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されていない場合にも待機時間は、情報処理装置3の起動状態に基づき設定されることが好ましい。そこで、管理部31は、画像データ記憶部41aに画像データ41が既に記憶されている状態で、且つ印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が未だ記憶されていない状態のときには、情報処理装置3を監視対象として特定する。
【0106】
ところで、画像データ記憶部41aに画像データ41が未だ記憶されていない状態で、且つ印刷ジョブ記憶部15aにも印刷ジョブ25が記憶されていない状態では、情報処理装置3からの印刷ジョブ25を受信する可能性と、画像処理装置5からの画像データ41を受信する可能性とで甲乙付けがたい状態になる。同様に、画像データ記憶部41aに画像データ41が既に記憶されている状態で、且つ印刷ジョブ記憶部15aにも印刷ジョブ25が記憶されている状態では、情報処理装置3から画像データ41の送信要求を受ける可能性と、画像処理装置5から印刷ジョブ25の送信要求、つまりプルプリントの要求を受ける可能性とで甲乙付けがたい状態になる。
【0107】
管理部31は、このような場合、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されているか否かに基づいて監視対象を特定する。すなわち画像データ記憶部41aに画像データ41が未だ記憶されていない状態で、且つ印刷ジョブ記憶部15aにも印刷ジョブ25が記憶されていない状態においては、管理部31は、情報処理装置3を監視対象として特定する。一方、画像データ記憶部41aに画像データ41が既に記憶されている状態で、且つ印刷ジョブ記憶部15aにも印刷ジョブ25が記憶されている状態においては、管理部31は、画像処理装置5を監視対象として特定する。このように監視対象を特定することで、管理部31は、画像データ41が記憶されているか否かにかかわらず、印刷ジョブ25を記憶しているか否かにのみ基づき監視対象を特定することができるようになる。従って、例えば複雑に条件設定を行なうよりも処理が簡易になり処理効率が向上する。
【0108】
設定部32は、監視対象が特定されると、上記と同様に、監視対象となる情報処理装置3又は画像処理装置5の起動台数を取得し、その起動台数に基づき待機時間を設定する。そして通電制御部33は、設定部32によって設定される待機時間が経過すると、電力供給部12を介してプルプリントサーバ2の通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる。
【0109】
以上のように、本実施形態では、プルプリントサーバ2は、画像処理装置5から送信される画像データ41を記憶する画像データ記憶部41aを備えている。管理部31は、印刷ジョブ25が印刷ジョブ記憶部15aに記憶されていない状態で、且つ画像データ41が画像データ記憶部41aに記憶されていない場合には、情報処理装置3を監視対象として特定する構成である。また管理部31は、印刷ジョブ25が印刷ジョブ記憶部15aに記憶されている状態で、且つ画像データ41が画像データ記憶部41aに記憶されている場合には、画像処理装置5を監視対象として特定する構成である。
【0110】
このような構成によれば、プルプリントサーバ2は、画像データ41を記憶する構成を備えている場合であっても通電状態を省電力状態に移行することができるので、消費電力を節約することができる。またプルプリントサーバ2は、上述したように、画像データ41を記憶しているか否かにかかわらず、印刷ジョブ25を記憶しているか否かに基づき監視対象を特定することができるようになるので処理効率が向上する。
【0111】
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0112】
例えば、上述した実施形態では、印刷ジョブ記憶部15aに印刷ジョブ25が記憶されている場合、待機時間の長短は、画像処理装置5の起動台数に基づいて設定される。しかしこれに限らず、例えば印刷ジョブ記憶部15aに記憶されている印刷ジョブ25の数に基づいて待機時間を設定しても良い。すなわち、印刷ジョブ記憶部15aに記憶されている印刷ジョブ25の数が多いと、その分、画像処理装置5からプルプリントの要求を受ける可能性が高くなる。
【0113】
例えば、画像処理装置5が1台のみ起動している場合であっても、印刷ジョブ記憶部15aに複数の印刷ジョブ25が記憶されている場合には、その画像処理装置5から複数のユーザによる複数回のプルプリントの要求を受ける可能性がある。そこで、印刷ジョブ記憶部15aに記憶されている印刷ジョブ25の数に基づいて待機時間を設定することで、プルプリントサーバ2が省電力状態に移行してから後に、プルプリントの要求を受けることを防止することができる。具体的に説明すると設定部32は、1つの印刷ジョブ25に対応する待機時間を例えば1〜10分として設定する。そして、設定部32は、印刷ジョブ記憶部15aに記憶されている印刷ジョブ25の数に変化が生じるか否かを監視し、印刷ジョブ25の数に変化が生じると、変化後の印刷ジョブ25の数に基づき待機時間を再設定する。更に以下のように構成することも可能である。すなわち設定部32は、監視対象が画像処理装置5である場合、その画像処理装置5の起動台数に基づく待機時間と、記憶している印刷ジョブ25の数に基づく待機時間とをそれぞれ算出する。そして設定部32は、それらのうち、例えば長短に基づき何れか一方を選択したり、平均値を取ったりして待機時間として設定する。上記のような構成によってもプルプリントサーバ2の消費電力を効率的に節約することができる。
【0114】
また、上記説明では、プルプリントサーバ2の通電状態を制御する構成がそのプルプリントサーバ2に実装されている場合を例示したがこれに限られない。すなわち、プルプリントサーバ2の通電状態を制御する構成は、プルプリントシステム1に具備されていれば良く、例えば情報処理装置3や画像処理装置5に実装されても良いし、プルプリントサーバ2、情報処理装置3及び画像処理装置5のそれぞれとは別体として構成される制御装置に実装されても良い。また、プルプリントサーバ2の通電状態を制御する構成は、プルプリントシステム1に含まれる複数の装置に分散的に組み込まれても構わない。
【符号の説明】
【0115】
1 プルプリントシステム
2 プルプリントサーバ
3 情報処理装置
5 画像処理装置
15 記憶装置
15a 印刷ジョブ記憶部(印刷ジョブ記憶手段)
25 印刷ジョブ
31 管理部(管理手段,記憶制御手段)
32 設定部(設定手段)
33 通電制御部(通電制御手段)
34 出力制御部(出力制御手段,画像出力手段)
41 画像データ
41a 画像データ記憶部(画像データ記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して情報処理装置と画像処理装置とに通信可能に接続されるプルプリントサーバであって、
前記情報処理装置から送信される印刷ジョブを記憶する印刷ジョブ記憶手段と、
前記画像処理装置からの要求に基づいて前記印刷ジョブ記憶手段に記憶されている印刷ジョブを前記画像処理装置に送信する出力制御手段と、
前記印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されている場合に前記画像処理装置を監視対象として特定し、前記印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されていない場合に前記情報処理装置を監視対象として特定する管理手段と、
前記管理手段によって監視対象として特定される前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態に基づいて、通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる通電制御手段と、
を備えることを特徴とするプルプリントサーバ。
【請求項2】
監視対象となる前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態に基づいて、前記プルプリントサーバの通電状態が通常通電状態から省電力状態に移行するまでの待機時間を設定する設定手段を更に備え、
前記通電制御部は、前記設定手段によって設定される待機時間が経過することに伴って通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させることを特徴とする請求項1に記載のプルプリントサーバ。
【請求項3】
前記設定手段は、監視対象となる前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動台数を取得し、その起動台数に基づき待機時間を設定することを特徴とする請求項2に記載のプルプリントサーバ。
【請求項4】
前記設定手段は、前記起動台数が多くなるに連れて待機時間を長く設定することを特徴とする請求項3に記載のプルプリントサーバ。
【請求項5】
前記設定手段は、待機時間が設定された後であって、その待機時間の経過前に、前記起動台数に変化が生じた場合には、その変化後の起動台数に基づき待機時間を再設定することを特徴とする請求項3又は4に記載のプルプリントサーバ。
【請求項6】
前記管理手段は、待機時間が設定された後であって、その待機時間の経過前に、前記印刷ジョブ記憶手段における印刷ジョブの有無に変化が生じた場合には、監視対象を前記情報処理装置及び前記画像処理装置のうち何れか一方から他方に変更するものであり、
前記設定手段は、前記変更後の監視対象となる前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態に基づき待機時間を再設定することを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載のプルプリントサーバ。
【請求項7】
前記画像処理装置から送信される画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記情報処理装置からの要求に基づいて前記画像データ記憶手段に記憶されている画像データを前記情報処理装置に送信する画像出力手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のプルプリントサーバ。
【請求項8】
ネットワークを介して情報処理装置と、画像処理装置と、プルプリントサーバとが相互に通信可能に接続されて構成されるプルプリントシステムであって、
前記情報処理装置から送信される印刷ジョブを所定の記憶装置に記憶させる記憶制御手段と、
前記画像処理装置からの要求に基づいて前記記憶装置に記憶されている印刷ジョブを前記画像処理装置に実行させる出力制御手段と、
前記記憶装置に印刷ジョブが記憶されている場合に前記画像処理装置を監視対象として特定し、前記印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されていない場合に前記情報処理装置を監視対象として特定する管理手段と、
前記管理手段によって監視対象として特定される前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態に基づいて、前記プルプリントサーバの通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる通電制御手段と、
を備えることを特徴とするプルプリントシステム。
【請求項9】
ネットワークを介して情報処理装置と画像処理装置とに通信可能に接続されるプルプリントサーバにおいて実行されるプルプリント方法であって、
前記プルプリントサーバは、
前記情報処理装置から送信される印刷ジョブを記憶する印刷ジョブ記憶手段と、
前記画像処理装置からの要求に基づいて前記印刷ジョブ記憶手段に記憶されている印刷ジョブを前記画像処理装置に送信する出力制御手段と、
を備え、このプルプリント方法は、
(a)前記印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されている場合に前記画像処理装置を監視対象として特定し、前記印刷ジョブ記憶手段に印刷ジョブが記憶されていない場合に前記情報処理装置を監視対象として特定するステップと、
(b)前記ステップ(a)によって監視対象として特定される前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態を監視するステップと、
(c)前記ステップ(b)に基づき通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させるステップと、
を有することを特徴とするプルプリント方法。
【請求項10】
ネットワークを介して情報処理装置と画像処理装置とに通信可能に接続されるプルプリントサーバにおいて実行されるプログラムであって、前記プルプリントサーバを、
前記情報処理装置から送信される印刷ジョブを所定の記憶装置に記憶させる記憶制御手段、
前記画像処理装置からの要求に基づいて前記記憶装置に記憶されている印刷ジョブを前記画像処理装置に送信する出力制御手段、
前記記憶装置に印刷ジョブが記憶されている場合に前記画像処理装置を監視対象として特定し、前記記憶装置に印刷ジョブが記憶されていない場合に前記情報処理装置を監視対象として特定する管理手段、
前記管理手段によって監視対象として特定される前記情報処理装置又は前記画像処理装置の起動状態に基づいて、通電状態を通常通電状態から省電力状態に移行させる通電制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−45136(P2013−45136A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180326(P2011−180326)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】