説明

プレガバリン組成物

プレガバリンを含有する化学的および物理的に安定な経口投与可能な水性医薬組成物を記載する。この液状組成物は、少なくとも1種類の保存剤、少なくとも1種類の味覚隠蔽剤、および場合により粘度調節剤を含有する。この液状医薬組成物は、少なくとも5.5の、ただし7.0を超えないpHをもつ。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、プレガバリンを含有する、経口投与に適した液状医薬組成物に関する。
【0002】
考察
経口投与可能な液状医薬組成物は、小児や高齢者の処置のために魅力的な剤形である。液状医薬組成物は飲み込みやすく、適切に配合すれば好ましい風味をもち、これは処方された投薬方式に対する患者のコンプライアンスを向上させるであろう。さらに、固体剤形と比較して液状医薬配合物はより個別化投薬しやすい。これは、小児や高齢者など多様な患者集団を処方するのに重要となるであろう。
【0003】
プレガバリン(pregabalin)、すなわち(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸はカルシウムチャンネルのアルファ-2-デルタ(α2δ)サブユニットに結合し、脳ニューロン活性の調節に関与する内因性抑制性神経伝達物質γ-アミノ酪酸(GABA)に関係する。プレガバリンは、U.S.P. No. 5,563,175(R. B. Silvermanら)に述べられているように抗発作活性を示し、特に痛み、精神運動刺激物質に関連する生理的状態、炎症、消化器損傷、アルコール中毒、不眠症、ならびに躁病および双極性障害を含めた種々の精神障害などの状態を処置するのに有用であると考えられる。
【0004】
プレガバリンを含有する経口液状医薬組成物は、配合業者に多数の問題を提起する。プレガバリンは強い苦味をもつ。そのため小児用製剤は味覚隠蔽の必要があると思われる。しかしプレガバリンは水溶性が高いため(32.1 mg/mL)、味覚隠蔽が困難である。さらに、ガバペンチン(gabapentin)と同様にプレガバリンはγ-アミノ酸であり、これは普通の貯蔵条件下では水の存在下で分子内環化してラクタムである4-イソブチル-ピロリジン-2-オンを形成する可能性がある。たとえばWO 99/10186およびWO 99/59573(両方ともA. Aomatsu)を参照。組成物の不活性成分がラクタム形成に影響を及ぼすことは分かっているが、どの賦形剤または佐剤が望ましくないラクタム形成をもたらすかを推定するのは困難である。
【0005】
発明の概要
本発明は、経口投与用の安定な液状医薬組成物を提供する。この組成物は、プレガバリン、またはプレガバリンの医薬的に許容できる複合体もしくは塩を含む。この液状医薬組成物は、水、少なくとも1種類の保存剤、少なくとも1種類の味覚隠蔽剤、および場合により粘度調節剤をも含む。この液状医薬組成物は、少なくとも5.5の、ただし7.0を超えないpHをもつ。
【0006】
詳細な記述
別途指示しない限り、この開示には下記の定義を用いる:
”医薬的に許容できる”は、妥当な医学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、アレルバー反応などを生じることなく患者の組織と接触させて使用するのに適切であり、妥当な有益性-対-リスク比に対応し、それらの意図する用途に有効である物質を表わす。
【0007】
”処置する”は、それらの用語を適用した障害もしくは状態を反転、軽減、進行抑制、もしくは予防すること、またはそれらの症状または状態の1以上の症状を予防することを表わす。
【0008】
”処置”は、上記に定義した”処置する”行為を表わす。
”約”は、測定可能な変数に関して用いる場合、その変数の指示した数値、およびその変数の指示した数値の実験誤差内のすべての数値(たとえば平均値に対する95%信頼区間内)または指示した数値の10%以内の数値(いずれであっても大きい方)を表わす。
【0009】
”溶媒和物”は、プレガバリンおよび1種類以上の化学量論的量の医薬的に許容できる溶媒分子(たとえばエタノール)を含む分子複合体を表わす。
”水和物”は、プレガバリンおよび化学量論的量の水を含む溶媒和物を表わす。
【0010】
前記のように、本発明の経口液状医薬組成物は、水に溶解または分散したプレガバリンを含み、かつ少なくとも1種類の保存剤、少なくとも1種類の味覚隠蔽剤、および場合により1種類以上の粘度調節剤を含有する。プレガバリンは、一般に液状医薬組成物中に少なくとも約10 mg/mLの濃度で存在し、より一般的には少なくとも約15 mg/mLの濃度で存在する。
【0011】
プレガバリンは既知の方法で製造できる。これらの方法のうちあるものにおいては、3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸のラセミ混合物を合成し、続いてそれのR-鏡像異性体とS-鏡像異性体に分割する。そのような方法は、U.S.P. No. 5,563,175(R. B. Silvermanら)、U.S.P. No. 6,046,353(T. M. Groteら)、U.S.P. No. 5,840,956(T. M. Groteら)、U.S.P. No. 5,637,767(T. M. Groteら)、U.S.P. No. 5,629,447(B. K. HuckabeeおよびD. M. Sobieray)、およびU.S.P. No. 5,616,793(B. K. HuckabeeおよびD. M. Sobieray)に記載されている。これらの各方法において、ラセミ体をキラル酸(分割用の酸)と反応させて一対のジアステレオ異性体塩を形成し、これらを既知の手法、たとえば分別結晶化およびクロマトグラフィーにより分離する。他の方法では、キラル助剤(4R,5S)-4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリジノンを用いてプレガバリンを直接合成する。たとえばU.S.P. No. 6,359,169、6,028,214、5,847,151、5,710,304、5,684,189、5,608,090および5,599,973(すべてSilvermanら)を参照。さらに他の方法では、シアノ置換オレフィンを非対称水素化してキラルシアノ前駆物質(S)-3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸を製造し、続いてこれを還元してプレガバリンを得ることによりプレガバリンを製造する。米国特許出願2003/0212290 A1(Burkら)を参照。
【0012】
経口液状医薬組成物を調製する際、医薬的に許容できるいかなる形態のプレガバリンも使用でき、これにはそれの遊離形(双性イオン)、ならびにそれの医薬的に許容できる複合体、塩類、溶媒和物、水和物および多形が含まれるが、これらに限定されない。塩類には、酸付加塩および塩基付加塩(半塩を含む)が含まれるが、これらに限定されない。医薬的に許容できる酸付加塩には、無機酸、たとえば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などから誘導される無毒性塩、ならびに有機酸、たとえば脂肪族モノ-およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカンジ酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などから誘導される無毒性塩を含めることができる。有用となりうる塩類には下記のものが含まれる:酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、硫酸水素塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、ホウ酸塩、カムシル酸塩、カプリル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩、クロリド、臭化水素酸、ブロミド、ヨウ化水素酸、ヨージド、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロット酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、フタル酸塩、プロピオン酸塩、サッカリン酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、スベリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩など。
【0013】
医薬的に許容できる塩基塩には、金属カチオン、たとえばアルカリ金属カチオンまたはアルカリ土類金属カチオン、およびアミンを含めた塩基から誘導される、無毒性塩類を含めることができる。有用となりうる塩類の例には、アルミニウム、アルギニン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、N-メチルグルカミン、オーラミン(olamine)、カリウム、プロカイン、ナトリウム、トロメタミン(tromethamine)、亜鉛などが含まれるが、これらに限定されない。有用な酸付加塩および塩基塩の考察についてはS. M. Berge et al., J. of Pharm. Sci., 66:1-19 (1977)を参照;Stahl and Wermuth, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use (2002)も参照されたい。
【0014】
プレガバリンの医薬的に許容できる塩類は、それの遊離(双性イオン)形と目的の酸または塩基を反応させることにより;酸-または塩基-不安定保護基をプレガバリンの適切な前駆物質から除去することにより;適切な環状(ラクタム)前駆物質を目的の酸または塩基で開環することにより;あるいは、あるプレガバリン塩を適切な酸もしくは塩基との反応または適切なイオン交換カラムとの接触によって他の塩に変換することにより、調製できる。これらの変換はすべて一般に溶媒中で実施される。生成した塩は析出して濾過により採集でき、あるいは溶媒の蒸発により回収できる。得られる塩のイオン化度は、完全イオン化からほぼ非イオン化にまで及ぶ場合がある。
【0015】
プレガバリンは、非溶媒和形と溶媒和形の両方で、および塩類以外のタイプの複合体として、存在することができる。有用な複合体には、包接化合物または薬物-ホスト包接複合体が含まれる。これらにおいては、溶媒和物と異なり薬物とホストが化学量論的量または非-化学量論的量で存在する。プレガバリンの有用な複合体は、化学量論的量または非-化学量論的量の2種類以上の有機成分、無機成分、または有機と無機の成分を含有することもできる。得られる複合体は、イオン化、部分イオン化または非イオン化状態であってよい。そのような複合体については、J. K. Haleblian, J. Pharm. Sci.64(8):1269-88 (1975)を参照されたい。
【0016】
有用な形態のプレガバリンには、それのすべての多形および晶癖、ならびにそれのR-鏡像異性体、ならびにプレガバリンとR-鏡像異性体のラセミ混合物が含まれる。
有用な形態のプレガバリンには、医薬的に許容できる同位体標識化合物も含まれる。これらにおいては、同一原子番号をもつけれども自然界で優勢である原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数をもつ原子により、1以上の原子が交換されている。プレガバリンに含有させるのに適切な同位体の例には、下記の同位体が含まれる:水素(2Hおよび3H)、炭素(11C、13Cおよび14C)、および窒素(13Nおよび15N)。同位体標識形態のプレガバリンは一般に、当業者に既知の常法により製造できる。
【0017】
前記のように、本発明の液状医薬組成物は約5.5〜約7.0、好ましくは約5.5〜約6.5、より好ましくは約5.8〜約6.2のpHをもつ。これらのpH範囲は、液状組成物の調製中、ならびにICH条件下(25℃で60%のRH、30℃で60%のRH、および40℃で75%のRH)および冷蔵条件下(2〜8℃)で最高2年間の組成物貯蔵中におけるラクタム形成を減少または防止すると思われる。約5.5未満または約7.0を超えるpHでは、組成物中のラクタム形成は許容できないほどであると思われる(すなわち重量基準で約0.5%を超える);pHを約5.5〜約7.0に維持すると、ラクタム形成が最小限に抑えられると思われる。液状組成物の調製に際して、医薬的に許容できる酸または塩基を添加してpHを目標値に調整し、慣用される緩衝剤(たとえばクエン酸緩衝液)を添加してpHを前記に示した目標範囲内に維持することができる。
【0018】
本発明の経口液状医薬組成物は、多数回量の容器内での微生物増殖を低下または防止するための1種類以上の保存剤を含有する。保存剤の選択は多数の基準に依存する。望ましい特性には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:pH 5.5〜7.0における抗微生物活性が適切であること;組成物のpHに対する影響が最小であること;風味に対する有害作用が最小であること;経口送達に適切であること;2〜8℃における貯蔵に際して溶解度が十分であること;プレガバリンと非反応性であること;他の配合物成分と非反応性であること;およびICH条件下で2年間安定であること。抗微生物特性以外のこれらの基準は、液状医薬組成物中の他の賦形剤にも適用される。
【0019】
実施例から分かるように、多数の一般的な保存剤がこれらの基準を満たさない。たとえばソルビン酸をプレガバリンと共に使用すると、溶液が脱色され、ラクタム形成が優先する5.0への許容できないpH移行が起きる。実施例に示すように、グリセロールは欧州薬局方の現行版(2004年、第5版)の要求に適合しない。他の一般的な保存剤、たとえばエタノールは小児用配合物への使用には不適切である。
【0020】
多数のより一般的な保存剤が許容されなかったが、各種パラベン類はプレガバリンを含有する経口液状医薬組成物に有用な抗微生物薬であることが見いだされた。有用なパラベン類にはメチルパラベンおよびエチルパラベン単独または組み合わせたものが含まれ、たとえばメチルパラベンは少なくとも約2 mg/mLの濃度で存在し、エチルパラベンは少なくとも約0.5 mg/mLの濃度で存在する。有用なパラベン組合わせには、メチルパラベンの量が重量基準でエチルパラベンの量の少なくとも約3倍であり、ただしエチルパラベンの量の約5倍を超えないものが含まれる。
【0021】
経口液状医薬組成物は、少なくとも1種類の味覚隠蔽剤をも含有する。味覚隠蔽剤には甘味剤および矯味矯臭剤が含まれ、これらは単独でまたは組み合わせて使用できる。小児用配合物には一般に甘味剤など齲食誘発性糖類の使用を避けるが、一般的な非齲食誘発性の糖類であるキシリトールおよびグリセロールは5℃の貯蔵条件下で溶液から析出し、このためこれらは液状医薬組成物中に使用するには不適切である。その後の試験で、サッカリンナトリウムは5℃で溶解状態を維持し、かつ配合物中の他の成分と適合性であることが示された。サッカリンナトリウムは本発明の液状医薬組成物中に少なくとも約0.5 mg/mLの濃度で存在すればよいが、より一般的にはそれは少なくとも約2 mg/mLの濃度で存在する。
【0022】
甘味剤のほか、本発明の液状医薬組成物はプレガバリンの苦味を隠蔽するために矯味矯臭剤を含有することができる。有用な矯味矯臭剤には、各種の果実フレーバー(たとえばオレンジ、チェリー、ストローベリー、グレープなど)およびミントフレーバーが含まれる。これらは前記の保存剤と同様に、液状医薬組成物の調製中または貯蔵中にプレガバリンと反応しないものである。非反応性の矯味矯臭剤には、カルボニル基(すなわちアルデヒド基またはケト基)の無いものが含まれる。したがって、有用な矯味矯臭剤には下記のものが含まれる:ストローベリーフレーバー207420、Haarmann & Reimerから入手、およびオレンジフレーバー9/055600、Dragocoから入手。
【0023】
本発明の液状医薬組成物は、場合により、組成物の粘度を高めるために粘度調節剤を含有してもよい。粘度を高めると、組成物の取扱い適性が改善され、医薬組成物の風味が改善されるように思われる。有用な粘度調節剤には、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムなどが含まれ、これらを個別に、または組み合わせて使用できる。粘度調節剤は、少なくとも約2 mg/mLから約5 mg/mLまでの濃度で使用できる。
【0024】
プレガバリンを含有する経口液状医薬組成物は、下記の実施例6〜9の記載に従って調製できる。得られたシロップ状の医薬組成物を1回量または多数回量の容器に充填することができる。2つの半用量を収容した被覆アルミニウム箔のダブルサッシェは、1回量容器として有用であろう。多数回量の容器は異なる容量の投薬が可能であり、適切な投薬補助具(たとえば目盛付きのカップまたはピペット)を備えていてもよい。多数回量の容器は、子供が開けられない蓋を備えたガラスまたはプラスチックのボトルであってよい。有用な蓋には、ポリエチレンフォームで内張りしたものが含まれる。
【0025】
実施例
以下の実施例は説明のためのものであって、限定ではなく、本発明の具体例を示す。
実施例1〜5
表1に、プレガバリン、ならびにソルビン酸、メチルパラベン、エチルパラベンおよびグリセロールを含めた各種保存剤を含有する液状医薬組成物に関する抗微生物効果試験の代表的な結果を挙げる。表1に示すすべての実施例において、プレガバリン濃度は15 mg/mLであり、記載したバッチサイズにするのに十分な量の精製水を添加する。表1において、注釈”Ph. Eur.合格”および”Ph. Eur.不合格”は、試験結果が欧州薬局方の現行版(2004年、第5版)に定めた下記の微生物限界試験に合格か不合格かを表わす:細菌1000個/g (最大);酵母および真菌100個/g (最大);ならびに大腸菌(E. coli)を含有しない。
【0026】
実施例6〜9
表2に、プレガバリンを含有する代表的な液状医薬組成物を挙げ、これらについて安定性試験を行う。表2に示すすべての実施例において、5 Lのバッチサイズとなるのに十分な量の精製水を添加する。実施例6と実施例7は用いた矯味矯臭剤が異なるが、他の点では同一である。実施例8および実施例9は実施例6と同様であるが、ただし0.1 N HClおよび0.1 N NaOHの添加によりそれぞれpH 5.5およびpH 7.0に調整されている。
【0027】
実施例6〜9それぞれについて、精製した無菌水(約4.5 L)を撹拌機付きの温度制御容器に入れる。容器内容物を80℃に加熱する。メチルパラベン(10g)およびエチルパラベン(2.5g)をこの熱水に撹拌混入する。透明な溶液が得られた後、サッカリンナトリウム(5g)を添加する。次いでヒドロキシエチルセルロース(45g)を少量ずつ、塊を避けるために激しく撹拌しながら添加する。得られた液状混合物を30℃に冷却し、プレガバリン(75g)を少量ずつ、撹拌しながら添加する。プレガバリンが完全に溶解した後、冷却を続け、矯味矯臭剤(10gのストローベリーフレーバーまたは5gのオレンジフレーバー)を25〜30℃で添加する。それぞれの矯味矯臭剤を均一に分散させるために、混合物を少なくとも10分間撹拌する。この溶液をMillipore(登録商標)メンブレンフィルター(ポアサイズ10μmの酢酸セルロース)により濾過する。全バッチサイズが5 Lとなるように、精製水を0.1 N HClまたは0.1 N NaOH (実施例8および9)と共に添加する。得られた液状医薬組成物を密閉容器内で貯蔵する。
【0028】
実施例6〜9の経口液状プレガバリン配合物それぞれについて安定性試験を実施した。安定性試験は、組成物の初期製剤について実施し、5℃、25℃および60% RH、ならびに30℃および60% RHで1、3、6、12、18および24カ月間の貯蔵後に実施するように計画された。安定性プロトコルには、液状組成物の外観および色の検査、ならびにプレガバリンおよび分解生成物の濃度、溶液のpH、ならびに抗微生物活性(25℃においてのみ)のアッセイが含まれていた。
【0029】
6カ月間の貯蔵後、配合物は透明またはわずかに不透明であり、無色またはわずかに黄色であった。さらに、6カ月間の貯蔵後、すべてのバッチが重量基準で0.1%未満のラクタム形成を示し、初期pH調整の有無にかかわらず5.4〜7.0のpHを備えていた。最後に、すべてのバッチが欧州薬局方の現行版に定めた微生物限界を満たしていた。
【0030】
【表1】

【0031】
1. 精製水を添加して指示したバッチ容量にした;プレガバリン濃度は15 mg/mLである;
2. 25℃および60%の相対湿度(RH)で貯蔵した;
A. niger:アスぺルギルス・ニガー;C. albicans:カンジダ・アルビカンス。
【0032】
【表2】

【0033】
1. 精製水を添加して5 Lのバッチサイズにした;
2. 0.1 N HClを添加してpHを5.5に調整した;
3. 0.1 N NaOHを添加してpHを7.0に調整した。
【0034】
本明細書および特許請求の範囲で用いる単数名詞は、状況から別途明示されない限り、1つの物品または複数の物品を表わしうることを留意すべきである。たとえば”化合物”を含有する組成物は、単一化合物または2種類以上の化合物を含有する可能性がある。
【0035】
前記の記述は説明のためのものであって、限定ではないことを理解すべきである。前記の記述からみて当業者には多数の態様が自明であろう。したがって本発明の範囲は前記の記述により決定されるべきではなく、特許請求の範囲およびそれらの特許請求の範囲の均等物全範囲を考慮して決定されるべきである。特許、特許出願および刊行物を含めたすべての報文および参考文献の全体をすべての目的で本明細書に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレガバリンまたはその医薬的に許容できる塩もしくは複合体;
水;
少なくとも1種類の保存剤;
少なくとも1種類の味覚隠蔽剤;および
場合により粘度調節剤
を含む経口投与用の液状医薬組成物であって、少なくとも5.5の、ただし7.0を超えないpHを有する液状医薬組成物。
【請求項2】
液状医薬組成物が少なくとも5.5の、ただし6.5を超えないpHを有する、請求項1の液状医薬組成物。
【請求項3】
液状医薬組成物が少なくとも5.8の、ただし6.2を超えないpHを有する、請求項2の液状医薬組成物。
【請求項4】
プレガバリンが液状医薬組成物中に少なくとも10 mg/mLの濃度で存在する、請求項1〜3の液状医薬組成物。
【請求項5】
プレガバリンが液状医薬組成物中に少なくとも15 mg/mLの濃度で存在する、請求項4の液状医薬組成物。
【請求項6】
保存剤が1種類以上のパラベン類を含む、請求項1〜5の液状医薬組成物。
【請求項7】
保存剤がメチルパラベンおよびエチルパラベンを含む、請求項1〜5の液状医薬組成物。
【請求項8】
メチルパラベンが液状医薬組成物中に少なくとも2 mg/mLの濃度で存在する、請求項7の液状医薬組成物。
【請求項9】
エチルパラベンが液状医薬組成物中に少なくとも0.5 mg/mLの濃度で存在する、請求項8の液状医薬組成物。
【請求項10】
味覚隠蔽剤が甘味剤を含む、請求項1の液状医薬組成物。
【請求項11】
甘味剤がサッカリンナトリウムである、請求項10の液状医薬組成物。
【請求項12】
サッカリンナトリウムが液状医薬組成物中に少なくとも0.5 mg/mLの濃度で存在する、請求項11の液状医薬組成物。
【請求項13】
サッカリンナトリウムが液状医薬組成物中に少なくとも2 mg/mLの濃度で存在する、請求項11の液状医薬組成物。
【請求項14】
味覚隠蔽剤が矯味矯臭剤を含み、矯味矯臭剤はカルボニル基が存在しないことを特徴とする、請求項1〜13の液状医薬組成物。
【請求項15】
粘度調節剤がヒドロキシエチルセルロースである、請求項1〜13の液状医薬組成物。

【公表番号】特表2007−514728(P2007−514728A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544577(P2006−544577)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/IB2004/004029
【国際公開番号】WO2005/063229
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】