プレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグおよびこれを用いたプレキャストコンクリート部材の製造方法
【課題】取り外しが容易なＰＣ型枠用主筋受けジグおよびこれを用いたＰＣ部材の製造方法の提供。
【解決手段】ＰＣ型枠の主筋貫通孔に装着されるＰＣ型枠用主筋受けジグ１であって、主筋貫通孔に挿入され、主筋貫通孔を貫通する主筋が挿通される主筋挿通孔５ａ，６ａを有する胴部２と、主筋貫通孔の周縁部に密着されるフランジ部３と、取り外しの際に加えられる外力を受ける外力受け部４とを有する。
【解決手段】ＰＣ型枠の主筋貫通孔に装着されるＰＣ型枠用主筋受けジグ１であって、主筋貫通孔に挿入され、主筋貫通孔を貫通する主筋が挿通される主筋挿通孔５ａ，６ａを有する胴部２と、主筋貫通孔の周縁部に密着されるフランジ部３と、取り外しの際に加えられる外力を受ける外力受け部４とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、プレキャストコンクリート部材の製造の際に用いられるプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグおよびこれを用いたプレキャストコンクリート部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
プレキャストコンクリート（以下、「ＰＣ」と称す。）による鉄筋コンクリート構造物の構築は、予め工場にて複数のＰＣ部材が製造され、施工現場にてこれらのＰＣ部材をつなぎ合わせることにより行われる。ＰＣ部材の内部には複数の主筋が埋設され、各主筋の端部がコンクリート部から突出する構造になっており、連結すべき２つのＰＣのそれぞれ対応する主筋の端部同士が接続される（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
このようなＰＣ部材は、予め主筋等が配筋された型枠内にコンクリートを流し込んで製造されるが、コンクリート部から突出させる主筋の位置決めのために図７（ａ）に示すようなドーナツ状の主筋受けジグ３０が用いられている。図７（ｂ）に示すように、ＰＣ型枠２０には主筋Ｆを貫通させる主筋貫通孔２１が形成されており、主筋受けジグ３０は、主筋Ｆが通された状態で主筋貫通孔２１に嵌め込まれて、主筋貫通孔２１の中心に主筋Ｆを保持するようになっている。この主筋受けジグ３０はゴム製であり、ゴムの弾性変形する性質を利用して主筋貫通孔２１との隙間を埋めるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平２−１７８４５７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上記主筋受けジグ３０はコンクリートの打設後、取り外されるが、この主筋受けジグ３０ではゴムが弾性変形した状態でコンクリートが固まるため、取り外しが困難であるという問題がある。また、一度使用した主筋受けジグ３０は、ゴムの表面にコンクリートが張り付いた状態で固まっているが、この張り付いたコンクリートを弾性体であるゴムから綺麗に取り除いて再利用することは困難であり、使い捨てている状況である。
【０００６】
そこで、本発明においては、取り外しが容易なＰＣ型枠用主筋受けジグおよびこれを用いたＰＣ部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグは、ＰＣ型枠の主筋貫通孔に装着されるＰＣ型枠用主筋受けジグであって、主筋貫通孔に挿入され、主筋貫通孔を貫通する主筋が挿通される主筋挿通孔を有する胴部と、主筋貫通孔の周縁部に密着されるフランジ部と、取り外しの際に加えられる外力を受ける外力受け部とを有するものである。
【０００８】
本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグを用いたＰＣ部材の製造方法は、このＰＣ型枠の主筋貫通孔に装着すること、ＰＣ型枠内にコンクリートを打設すること、ＰＣ型枠用主筋受けジグの外力受け部に外力を加え、ＰＣ型枠用主筋受けジグを取り外すこと、ＰＣ型枠を脱型することを含むことを特徴とする。
【０００９】
本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグでは、胴部により主筋を支持するとともに、フランジ部が主筋貫通孔の周縁部に密着することにより主筋貫通孔との隙間を閉塞する。そして、本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグでは、コンクリートの打設後、外力受け部に外力を加えることで、コンクリートから容易に取り外すことができる。
【００１０】
このＰＣ型枠用主筋受けジグは、金属材料により形成されたものであることが望ましい。ゴムのように金属材料に比べて大きな変形をする材料ではなく、硬く変形しにくい金属材料により形成されたものとすることで、コンクリートから綺麗に取り外すことができ、繰り返し再利用することが可能となる。なお、金属材料と同様に硬く変形しにくい材料に代えることも可能である。
【００１１】
また、外力受け部は、胴部の外側面に設けられた突起物であることが望ましい。これにより、外力を加えて取り外す際に、この突起物を目掛けて外力を加えれば良く、突起物に加えた外力は胴部を通じてコンクリートとの接触面に伝わり、ＰＣ型枠用主筋受けジグをコンクリートから容易に取り外すことができる。
【００１２】
あるいは、外力受け部は、胴部またはフランジ部にねじ穴をＰＣ型枠へ向けて設けられたナットであることが望ましい。これにより、ナットにボルトをねじ込んでいくと、ボルトの先がＰＣ型枠に当接し、ＰＣ型枠用主筋受けジグをＰＣ型枠から引き剥がすので、ＰＣ型枠用主筋受けジグをコンクリートから容易に取り外すことができる。
【発明の効果】
【００１３】
（１）主筋貫通孔に挿入され、主筋貫通孔を貫通する主筋が挿通される主筋挿通孔を有する胴部と、主筋貫通孔の周縁部に密着されるフランジ部と、取り外しの際に加えられる外力を受ける外力受け部とを有するＰＣ型枠用主筋受けジグによれば、コンクリートの打設後、外力受け部に外力を加えることで、コンクリートから容易に取り外すことができ、ＰＣの製造コストを削減することが可能となる。
【００１４】
（２）ＰＣ型枠用主筋受けジグが金属材料により形成されたものであることにより、コンクリートから綺麗に取り外して、繰り返し再利用することが可能となり、ＰＣの製造コストをさらに削減することが可能となる。
【００１５】
（３）外力受け部が胴部の外側面に設けられた突起物であることにより、ＰＣ型枠用主筋受けジグの取り外しの際に外力を加えやすく、ＰＣ型枠用主筋受けジグをコンクリートから容易に取り外すことが可能となる。
【００１６】
（４）外力受け部が胴部またはフランジ部にねじ穴をＰＣ型枠へ向けて設けられたナットであることにより、ナットにボルトをねじ込んでいくことで、ＰＣ型枠用主筋受けジグをコンクリートから容易に取り外すことができるため、作業空間の狭い箇所であってもＰＣ型枠用主筋受けジグをコンクリートから容易に取り外すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグの実施形態を示す図であって、（ａ）は正面図、（ｂ）は右側面図、（ｃ）は背面図である。
【図２】図１のＰＣ型枠用主筋受けジグの使用状態を示す斜視図である。
【図３】図２の縦断面図である。
【図４】本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグの別の実施形態を示す図であって、（ａ）は正面図、（ｂ）は右側面図である。
【図５】図４のＰＣ型枠用主筋受けジグの使用状態を示す斜視図である。
【図６】図５の縦断面図である。
【図７】（ａ）は従来のＰＣ型枠用主筋受けジグを示す斜視図、（ｂ）は使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
図１は本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグの実施形態を示す図であって、（ａ）は正面図、（ｂ）は右側面図、（ｃ）は背面図である。図２は図１のＰＣ型枠用主筋受けジグの使用状態を示す斜視図、図３は図２の縦断面図である。図１において、本発明の実施の形態におけるＰＣ型枠用主筋受けジグ（以下、「ジグ」と称す。）１は、図２に示すようにＰＣ型枠２０の主筋貫通孔２１に装着される金属材料により形成されたものであり、筒状の胴部２と、フランジ部３と、外力受け部４とを有する。
【００１９】
胴部２は、主筋貫通孔２１に挿入される第１胴部５と、フランジ部３よりも外側に位置する第２胴部６とから構成される。第１胴部５には、主筋貫通孔２１を貫通する主筋Ｆが挿通される主筋挿通孔５ａが形成されている。第２胴部６には、主筋挿通孔５ａに連通して、同じく主筋Ｆが挿通される主筋挿通孔６ａが形成されている。なお、第１胴部５と主筋Ｆとの隙間は０．２５〜０．５ｍｍ程度である。
【００２０】
フランジ部３は、主筋貫通孔２１の周縁部を形成している筒状体２２の端面２２ａに密着される。なお、このフランジ部３が筒状体２２の端面２２ａに密着している状態において、第１胴部５はＰＣ型枠２０の内側に２ｍｍ程度突出するようにしているが、ＰＣ型枠２０の内面に一致する構成とすることも可能である。このように第１胴部５をＰＣ型枠２０の内側に突出させることで、ＰＣ型枠２０内に打設したコンクリートが主筋貫通孔２１内に侵入することを防止し、侵入したコンクリートが固まってＰＣ型枠２０が外れにくくなることを防止している。
【００２１】
外力受け部４は、このジグ１の取り外しの際に、ハンマー（図示せず。）により加えられる外力を受けるように板状に形成された突起物である。本実施形態において外力受け部４は、胴部２の第１胴部５から最も遠い端部位置に設けられているが、胴部２の中途部に設けることも可能である。また、外力受け部４は複数個設けることも可能である。また、外力受け部４の形状については、ハンマーにより外力を加えることのできる形状であれば良い。
【００２２】
上記構成のジグ１は、図２および図３に示すようにＰＣ型枠２０の主筋貫通孔２１に装着して使用する。このとき、ＰＣ型枠２０の主筋貫通孔２１に挿入されているＰＣの主筋Ｆは、胴部２の主筋挿通孔５ａ，６ａに挿通される。そして、ジグ１のフランジ部３がＰＣ型枠２０の筒状体２２の端面２２ａに密着するようにして、ＰＣ型枠２０内にコンクリートを打設する。
【００２３】
続いて、コンクリートの養生後、ジグ１の外力受け部４をハンマーで叩いて外力を加えると、この外力は胴部２を通じてコンクリートとの接触面５ｂに伝わり、ジグ１がコンクリートから離れるので、ジグ１を取り外すことができる。そして、ＰＣ型枠２０を脱型すると、ＰＣ部材が完成する。
【００２４】
このように、本実施形態におけるジグ１によれば、コンクリートの打設後、外力受け部４に外力を加えることで、コンクリートから容易に取り外すことができ、ＰＣの製造コストを削減することができる。特に、このジグ１は、金属材料により形成されていることから、コンクリートから綺麗に取り外して、繰り返し再利用することが可能であり、ＰＣの製造コストをさらに削減することができる。
【００２５】
また、このジグ１では、外力受け部４が胴部２の外側面に設けられた突起物であるため、ジグ１の取り外しの際に外力を加えやすく、外力受け部４をハンマーで叩いてジグ１をコンクリートから容易に取り外すことが可能となっている。
【００２６】
次に、本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグの別の実施形態について説明する。図４は本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグの別の実施形態を示す図であって、（ａ）は正面図、（ｂ）は右側面図である。図５は図４のＰＣ型枠用主筋受けジグの使用状態を示す斜視図、図６は図５の縦断面図である。
【００２７】
図４に示すジグ７は、前述の第１胴部５に相当する胴部８と、フランジ部３に対応するフランジ部９と、外力受け部１０とを有する。胴部８には主筋Ｆが挿通される主筋挿通孔８ａが形成されている。外力受け部１０はフランジ部９の左右端部に溶接されたナットにより構成されている。なお、ナットのねじ穴１０ａはＰＣ型枠２０へ向けて設けられている。なお、外力受け部１０は胴部８の外側面に設けることも可能である。
【００２８】
上記構成のジグ７においても、使用の際は、ジグ１と同様、図５および図６に示すようにＰＣ型枠２０の主筋貫通孔２１に装着する。このとき、ＰＣ型枠２０の主筋貫通孔２１に挿入されているＰＣの主筋Ｆは、胴部８の主筋挿通孔８ａに挿通される。また、外力受け部１０のねじ穴１０ａには、ボルト１１が取り付けられている。そして、ジグ７のフランジ部９がＰＣ型枠２０の筒状体２２の端面２２ａに密着するようにして、ＰＣ型枠２０内にコンクリートを打設する。
【００２９】
続いて、コンクリートの養生後、ボルト１１を側方からスパナ（図示せず。）によりねじ込んでいくと、ボルト１１の先がＰＣ型枠２０に当接し、その反力により外力受け部１０にＰＣ型枠２０から離れる方向に外力が加えられる。これにより、ジグ７がＰＣ型枠２０から引き剥がされるので、ジグ７を取り外すことができる。そして、ＰＣ型枠２０を脱型すると、ＰＣ部材が完成する。
【００３０】
このように、ジグ７では、ボルト１１を側方からスパナによりねじ込んでいくことで、ジグ７をコンクリートから容易に取り外すことができるため、作業空間の狭い箇所であってもジグ７をコンクリートから容易に取り外すことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【００３１】
本発明のプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグは、プレキャストコンクリート部材の製造に有用である。
【符号の説明】
【００３２】
１，７ ジグ
２，８ 胴部
３，９ フランジ部
４，１０ 外力受け部
５ 第１胴部
６ 第２胴部
５ａ，６ａ，８ａ 主筋挿通孔
１０ａ ねじ穴
【技術分野】
【０００１】
本発明は、プレキャストコンクリート部材の製造の際に用いられるプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグおよびこれを用いたプレキャストコンクリート部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
プレキャストコンクリート（以下、「ＰＣ」と称す。）による鉄筋コンクリート構造物の構築は、予め工場にて複数のＰＣ部材が製造され、施工現場にてこれらのＰＣ部材をつなぎ合わせることにより行われる。ＰＣ部材の内部には複数の主筋が埋設され、各主筋の端部がコンクリート部から突出する構造になっており、連結すべき２つのＰＣのそれぞれ対応する主筋の端部同士が接続される（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
このようなＰＣ部材は、予め主筋等が配筋された型枠内にコンクリートを流し込んで製造されるが、コンクリート部から突出させる主筋の位置決めのために図７（ａ）に示すようなドーナツ状の主筋受けジグ３０が用いられている。図７（ｂ）に示すように、ＰＣ型枠２０には主筋Ｆを貫通させる主筋貫通孔２１が形成されており、主筋受けジグ３０は、主筋Ｆが通された状態で主筋貫通孔２１に嵌め込まれて、主筋貫通孔２１の中心に主筋Ｆを保持するようになっている。この主筋受けジグ３０はゴム製であり、ゴムの弾性変形する性質を利用して主筋貫通孔２１との隙間を埋めるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平２−１７８４５７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上記主筋受けジグ３０はコンクリートの打設後、取り外されるが、この主筋受けジグ３０ではゴムが弾性変形した状態でコンクリートが固まるため、取り外しが困難であるという問題がある。また、一度使用した主筋受けジグ３０は、ゴムの表面にコンクリートが張り付いた状態で固まっているが、この張り付いたコンクリートを弾性体であるゴムから綺麗に取り除いて再利用することは困難であり、使い捨てている状況である。
【０００６】
そこで、本発明においては、取り外しが容易なＰＣ型枠用主筋受けジグおよびこれを用いたＰＣ部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグは、ＰＣ型枠の主筋貫通孔に装着されるＰＣ型枠用主筋受けジグであって、主筋貫通孔に挿入され、主筋貫通孔を貫通する主筋が挿通される主筋挿通孔を有する胴部と、主筋貫通孔の周縁部に密着されるフランジ部と、取り外しの際に加えられる外力を受ける外力受け部とを有するものである。
【０００８】
本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグを用いたＰＣ部材の製造方法は、このＰＣ型枠の主筋貫通孔に装着すること、ＰＣ型枠内にコンクリートを打設すること、ＰＣ型枠用主筋受けジグの外力受け部に外力を加え、ＰＣ型枠用主筋受けジグを取り外すこと、ＰＣ型枠を脱型することを含むことを特徴とする。
【０００９】
本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグでは、胴部により主筋を支持するとともに、フランジ部が主筋貫通孔の周縁部に密着することにより主筋貫通孔との隙間を閉塞する。そして、本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグでは、コンクリートの打設後、外力受け部に外力を加えることで、コンクリートから容易に取り外すことができる。
【００１０】
このＰＣ型枠用主筋受けジグは、金属材料により形成されたものであることが望ましい。ゴムのように金属材料に比べて大きな変形をする材料ではなく、硬く変形しにくい金属材料により形成されたものとすることで、コンクリートから綺麗に取り外すことができ、繰り返し再利用することが可能となる。なお、金属材料と同様に硬く変形しにくい材料に代えることも可能である。
【００１１】
また、外力受け部は、胴部の外側面に設けられた突起物であることが望ましい。これにより、外力を加えて取り外す際に、この突起物を目掛けて外力を加えれば良く、突起物に加えた外力は胴部を通じてコンクリートとの接触面に伝わり、ＰＣ型枠用主筋受けジグをコンクリートから容易に取り外すことができる。
【００１２】
あるいは、外力受け部は、胴部またはフランジ部にねじ穴をＰＣ型枠へ向けて設けられたナットであることが望ましい。これにより、ナットにボルトをねじ込んでいくと、ボルトの先がＰＣ型枠に当接し、ＰＣ型枠用主筋受けジグをＰＣ型枠から引き剥がすので、ＰＣ型枠用主筋受けジグをコンクリートから容易に取り外すことができる。
【発明の効果】
【００１３】
（１）主筋貫通孔に挿入され、主筋貫通孔を貫通する主筋が挿通される主筋挿通孔を有する胴部と、主筋貫通孔の周縁部に密着されるフランジ部と、取り外しの際に加えられる外力を受ける外力受け部とを有するＰＣ型枠用主筋受けジグによれば、コンクリートの打設後、外力受け部に外力を加えることで、コンクリートから容易に取り外すことができ、ＰＣの製造コストを削減することが可能となる。
【００１４】
（２）ＰＣ型枠用主筋受けジグが金属材料により形成されたものであることにより、コンクリートから綺麗に取り外して、繰り返し再利用することが可能となり、ＰＣの製造コストをさらに削減することが可能となる。
【００１５】
（３）外力受け部が胴部の外側面に設けられた突起物であることにより、ＰＣ型枠用主筋受けジグの取り外しの際に外力を加えやすく、ＰＣ型枠用主筋受けジグをコンクリートから容易に取り外すことが可能となる。
【００１６】
（４）外力受け部が胴部またはフランジ部にねじ穴をＰＣ型枠へ向けて設けられたナットであることにより、ナットにボルトをねじ込んでいくことで、ＰＣ型枠用主筋受けジグをコンクリートから容易に取り外すことができるため、作業空間の狭い箇所であってもＰＣ型枠用主筋受けジグをコンクリートから容易に取り外すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグの実施形態を示す図であって、（ａ）は正面図、（ｂ）は右側面図、（ｃ）は背面図である。
【図２】図１のＰＣ型枠用主筋受けジグの使用状態を示す斜視図である。
【図３】図２の縦断面図である。
【図４】本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグの別の実施形態を示す図であって、（ａ）は正面図、（ｂ）は右側面図である。
【図５】図４のＰＣ型枠用主筋受けジグの使用状態を示す斜視図である。
【図６】図５の縦断面図である。
【図７】（ａ）は従来のＰＣ型枠用主筋受けジグを示す斜視図、（ｂ）は使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
図１は本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグの実施形態を示す図であって、（ａ）は正面図、（ｂ）は右側面図、（ｃ）は背面図である。図２は図１のＰＣ型枠用主筋受けジグの使用状態を示す斜視図、図３は図２の縦断面図である。図１において、本発明の実施の形態におけるＰＣ型枠用主筋受けジグ（以下、「ジグ」と称す。）１は、図２に示すようにＰＣ型枠２０の主筋貫通孔２１に装着される金属材料により形成されたものであり、筒状の胴部２と、フランジ部３と、外力受け部４とを有する。
【００１９】
胴部２は、主筋貫通孔２１に挿入される第１胴部５と、フランジ部３よりも外側に位置する第２胴部６とから構成される。第１胴部５には、主筋貫通孔２１を貫通する主筋Ｆが挿通される主筋挿通孔５ａが形成されている。第２胴部６には、主筋挿通孔５ａに連通して、同じく主筋Ｆが挿通される主筋挿通孔６ａが形成されている。なお、第１胴部５と主筋Ｆとの隙間は０．２５〜０．５ｍｍ程度である。
【００２０】
フランジ部３は、主筋貫通孔２１の周縁部を形成している筒状体２２の端面２２ａに密着される。なお、このフランジ部３が筒状体２２の端面２２ａに密着している状態において、第１胴部５はＰＣ型枠２０の内側に２ｍｍ程度突出するようにしているが、ＰＣ型枠２０の内面に一致する構成とすることも可能である。このように第１胴部５をＰＣ型枠２０の内側に突出させることで、ＰＣ型枠２０内に打設したコンクリートが主筋貫通孔２１内に侵入することを防止し、侵入したコンクリートが固まってＰＣ型枠２０が外れにくくなることを防止している。
【００２１】
外力受け部４は、このジグ１の取り外しの際に、ハンマー（図示せず。）により加えられる外力を受けるように板状に形成された突起物である。本実施形態において外力受け部４は、胴部２の第１胴部５から最も遠い端部位置に設けられているが、胴部２の中途部に設けることも可能である。また、外力受け部４は複数個設けることも可能である。また、外力受け部４の形状については、ハンマーにより外力を加えることのできる形状であれば良い。
【００２２】
上記構成のジグ１は、図２および図３に示すようにＰＣ型枠２０の主筋貫通孔２１に装着して使用する。このとき、ＰＣ型枠２０の主筋貫通孔２１に挿入されているＰＣの主筋Ｆは、胴部２の主筋挿通孔５ａ，６ａに挿通される。そして、ジグ１のフランジ部３がＰＣ型枠２０の筒状体２２の端面２２ａに密着するようにして、ＰＣ型枠２０内にコンクリートを打設する。
【００２３】
続いて、コンクリートの養生後、ジグ１の外力受け部４をハンマーで叩いて外力を加えると、この外力は胴部２を通じてコンクリートとの接触面５ｂに伝わり、ジグ１がコンクリートから離れるので、ジグ１を取り外すことができる。そして、ＰＣ型枠２０を脱型すると、ＰＣ部材が完成する。
【００２４】
このように、本実施形態におけるジグ１によれば、コンクリートの打設後、外力受け部４に外力を加えることで、コンクリートから容易に取り外すことができ、ＰＣの製造コストを削減することができる。特に、このジグ１は、金属材料により形成されていることから、コンクリートから綺麗に取り外して、繰り返し再利用することが可能であり、ＰＣの製造コストをさらに削減することができる。
【００２５】
また、このジグ１では、外力受け部４が胴部２の外側面に設けられた突起物であるため、ジグ１の取り外しの際に外力を加えやすく、外力受け部４をハンマーで叩いてジグ１をコンクリートから容易に取り外すことが可能となっている。
【００２６】
次に、本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグの別の実施形態について説明する。図４は本発明のＰＣ型枠用主筋受けジグの別の実施形態を示す図であって、（ａ）は正面図、（ｂ）は右側面図である。図５は図４のＰＣ型枠用主筋受けジグの使用状態を示す斜視図、図６は図５の縦断面図である。
【００２７】
図４に示すジグ７は、前述の第１胴部５に相当する胴部８と、フランジ部３に対応するフランジ部９と、外力受け部１０とを有する。胴部８には主筋Ｆが挿通される主筋挿通孔８ａが形成されている。外力受け部１０はフランジ部９の左右端部に溶接されたナットにより構成されている。なお、ナットのねじ穴１０ａはＰＣ型枠２０へ向けて設けられている。なお、外力受け部１０は胴部８の外側面に設けることも可能である。
【００２８】
上記構成のジグ７においても、使用の際は、ジグ１と同様、図５および図６に示すようにＰＣ型枠２０の主筋貫通孔２１に装着する。このとき、ＰＣ型枠２０の主筋貫通孔２１に挿入されているＰＣの主筋Ｆは、胴部８の主筋挿通孔８ａに挿通される。また、外力受け部１０のねじ穴１０ａには、ボルト１１が取り付けられている。そして、ジグ７のフランジ部９がＰＣ型枠２０の筒状体２２の端面２２ａに密着するようにして、ＰＣ型枠２０内にコンクリートを打設する。
【００２９】
続いて、コンクリートの養生後、ボルト１１を側方からスパナ（図示せず。）によりねじ込んでいくと、ボルト１１の先がＰＣ型枠２０に当接し、その反力により外力受け部１０にＰＣ型枠２０から離れる方向に外力が加えられる。これにより、ジグ７がＰＣ型枠２０から引き剥がされるので、ジグ７を取り外すことができる。そして、ＰＣ型枠２０を脱型すると、ＰＣ部材が完成する。
【００３０】
このように、ジグ７では、ボルト１１を側方からスパナによりねじ込んでいくことで、ジグ７をコンクリートから容易に取り外すことができるため、作業空間の狭い箇所であってもジグ７をコンクリートから容易に取り外すことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【００３１】
本発明のプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグは、プレキャストコンクリート部材の製造に有用である。
【符号の説明】
【００３２】
１，７ ジグ
２，８ 胴部
３，９ フランジ部
４，１０ 外力受け部
５ 第１胴部
６ 第２胴部
５ａ，６ａ，８ａ 主筋挿通孔
１０ａ ねじ穴
【特許請求の範囲】
【請求項１】
プレキャストコンクリート型枠の主筋貫通孔に装着されるプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグであって、
前記主筋貫通孔に挿入され、前記主筋貫通孔を貫通する主筋が挿通される主筋挿通孔を有する胴部と、
前記主筋貫通孔の周縁部に密着されるフランジ部と、
取り外しの際に加えられる外力を受ける外力受け部と
を有するプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグ。
【請求項２】
金属材料により形成された請求項１記載のプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグ。
【請求項３】
前記外力受け部は、前記胴部の外側面に設けられた突起物である請求項１または２に記載のプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグ。
【請求項４】
前記外力受け部は、前記胴部または前記フランジ部にねじ穴を前記プレキャストコンクリート型枠へ向けて設けられたナットである請求項１または２に記載のプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグ。
【請求項５】
プレキャストコンクリート型枠の主筋貫通孔に装着されるプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグであって、前記主筋貫通孔に挿入され、前記主筋貫通孔を貫通する主筋が挿通される主筋挿通孔を有する胴部と、前記主筋貫通孔の周縁部に密着されるフランジ部と、取り外しの際に加えられる外力を受ける外力受け部とを有するプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグを、プレキャストコンクリート型枠の主筋貫通孔に装着すること、
前記プレキャストコンクリート型枠内にコンクリートを打設すること、
前記プレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグの前記外力受け部に外力を加え、前記プレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグを取り外すこと、
前記プレキャストコンクリート型枠を脱型すること
を含むプレキャストコンクリート部材の製造方法。
【請求項１】
プレキャストコンクリート型枠の主筋貫通孔に装着されるプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグであって、
前記主筋貫通孔に挿入され、前記主筋貫通孔を貫通する主筋が挿通される主筋挿通孔を有する胴部と、
前記主筋貫通孔の周縁部に密着されるフランジ部と、
取り外しの際に加えられる外力を受ける外力受け部と
を有するプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグ。
【請求項２】
金属材料により形成された請求項１記載のプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグ。
【請求項３】
前記外力受け部は、前記胴部の外側面に設けられた突起物である請求項１または２に記載のプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグ。
【請求項４】
前記外力受け部は、前記胴部または前記フランジ部にねじ穴を前記プレキャストコンクリート型枠へ向けて設けられたナットである請求項１または２に記載のプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグ。
【請求項５】
プレキャストコンクリート型枠の主筋貫通孔に装着されるプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグであって、前記主筋貫通孔に挿入され、前記主筋貫通孔を貫通する主筋が挿通される主筋挿通孔を有する胴部と、前記主筋貫通孔の周縁部に密着されるフランジ部と、取り外しの際に加えられる外力を受ける外力受け部とを有するプレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグを、プレキャストコンクリート型枠の主筋貫通孔に装着すること、
前記プレキャストコンクリート型枠内にコンクリートを打設すること、
前記プレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグの前記外力受け部に外力を加え、前記プレキャストコンクリート型枠用主筋受けジグを取り外すこと、
前記プレキャストコンクリート型枠を脱型すること
を含むプレキャストコンクリート部材の製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１２−５６１８５（Ｐ２０１２−５６１８５Ａ）
【公開日】平成２４年３月２２日（２０１２．３．２２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２０１１９３（Ｐ２０１０−２０１１９３）
【出願日】平成２２年９月８日（２０１０．９．８）
【出願人】（５１０２４２５５４）株式会社カシマ製作所 (1)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年３月２２日（２０１２．３．２２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年９月８日（２０１０．９．８）
【出願人】（５１０２４２５５４）株式会社カシマ製作所 (1)
【Ｆターム（参考）】
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