説明

プレコートメタル用の意匠性塗料

【課題】 凹凸感のある模様を形成し、かつ加工性、密着性に優れるプレコートメタル用の意匠性塗料を提供すること。
【解決手段】 1.スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(A)の固形分100質量部に対して、溶媒(B)を50〜2,000質量部含有するプレコートメタル用の意匠性塗料。2.溶媒(B)がケトン系溶剤である請求項1に記載のプレコートメタル用の意匠性塗料。3.表面に化成処理が施されていてもよい金属板上に、請求項1又は2項に記載にプレコートメタル用の意匠性塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸感のある模様を形成し、かつ加工性、密着性に優れるプレコートメタル用の意匠性塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建材用や器物加工用などのプレコート塗装金属板の分野においては、美粧性に優れた塗装金属板が求められており、有機樹脂微粒子を配合した塗料に関する発明が知られている(特許文献1)。
【0003】
他に、特定の平均粒径を有するアクリル酸エステル−スチレン共重合体及び/又はメタクリル酸エステル−スチレン共重合体と、バインダーとからなる塗膜がビロード状の外観を呈する塗料がある(特許文献2)。
【0004】
他に、基板上に、ポリ塩化ビニルの樹脂層を介して、特定の希釈溶剤を使用したポリ塩化ビニルのゾルにビース顔料を添加した塗料を塗布し、乾燥させた塗膜を設けて塗膜を得る方法が知られている(特許文献3)。他に、体積平均粒子径が5〜100μmのポリマー微粒子と体積平均粒子径が5μm未満のポリマー微粒子と分散用樹脂を含む非水ディスパージョン樹脂組成物であることを特徴とする発明が知られている(特許文献4)。
【0005】
さらに、エポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂又はアクリル樹脂、低核体メチル化メラミン樹脂及びスルホン酸とアミンとの混合物を含有する塗料について開示されている(特許文献5)。また、有機溶剤中に、塗膜形成能を有し、かつ難相溶性の重合体2種以上を溶解させた重合体溶液であって、基材シート上に塗布・乾燥した場合、該塗膜表面に凹凸模様が形成される重合体溶液に関する発明が開示されている(特許文献6)。
【0006】
しかしながら従来技術によって得られる塗膜は、凹凸が非常に細かく、塗色が均一のため見た目において平面的で高級感に欠ける傾向があった。また離れて見ると凹凸を認識できなかった。そこで、より高級感を出すために凹凸をより大きくする検討がなされているが、従来からの検討では容易に達成できなかった。
【0007】
【特許文献1】特開平1−152172号公報
【特許文献2】特開平2−292373号公報
【特許文献3】特開平5−116252号公報
【特許文献4】特開2001−220546号公報
【特許文献5】特開2002−146280号公報
【特許文献6】特開2005−298722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、大きな凹凸感のある模様を形成でき、かつ加工性、密着性に優れる塗膜を形成できるプレコートメタル用の意匠性塗料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、スチレン・ブタジエン共重合体樹脂(A)と溶媒(B)を含有したプレコートメタル用の意匠性塗料によって、大きな凹凸模様が形成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塗料組成物を使用することにより、凹凸感のある模様を形成し、かつ加工性、密着性に優れたプレコート鋼板が得られる。本凹凸感のある模様は、離れたところ(約10〜20m)でも十分認識できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のプレコートメタル用の意匠性塗料は、
スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(A)と溶媒(B)を含むものである。
【0012】
スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(A)
スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(A)としては、下記スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(a1)、スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(a2)を挙げることができる。
【0013】
スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(a1):本発明に用いることができるスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(a1)は、構成する単量体の合計量に対して、スチレン5〜35質量%、好ましくは20〜30質量%、ブタジエン95〜65質量%、好ましくは80〜70質量%及びそれらと共重合可能なその他のラジカル重合性不飽和単量体(1)0〜20質量%からなる単量体成分を、乳化重合反応等によって共重合させて得られるスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(a1)である。
【0014】
前記その他のラジカル重合性不飽和単量体(1)としては、メチルアクリレートなどのアルキルアクリレート、メチルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート、アクリロニトリルなどのビニルシアンやジビニルベンゼン、モノエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどのC1〜C24個のアルキル又はシクロアルキルエステル類が挙げられる。これらは単独又は2種以上用いてもよい。
【0015】
スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(a2):前記スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(a1)の存在下に、下記単量体(i)(注1)を添加し、乳化重合反応及びグラフト重合反応することによって得たスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(a2)も使用することができる。スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(a1)としては、40〜80質量部(固形分)、好ましくは50〜75質量部(固形分)に、下記単量体(i)(注1)としては、60〜20質量部、好ましくは50〜25質量部を使用するものである。
【0016】
(注1)単量体(i):芳香族ビニル単量体20〜80質量%、好ましくは40〜60質量%、アルキルメタクリレート80〜20質量%、好ましくは60〜40質量%及びそれらと共重合可能なその他のラジカル重合性不飽和単量体(2)0〜20質量%からなる。
【0017】
なお、その他のラジカル重合性不飽和単量体(2)としては、ジビニルベンゼン、モノエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、アクリロニトリルなどのビニルシアン、エチルアクリレート又はブチルアクリレートなどの
アルキルアクリレートなどが挙げられ、これらを単独又は2種以上用いることができる。
【0018】
上記のスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(a1)の市販品としては、カネエースB−11A、同B−12、同B−22、同B−28、同B−31、同B−51、同B−56、同B−58(以上、株式会社カネカ製)が挙げられる。スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(a2)の市販品としては、カネエースM−511、同M−521(以上、株式会社カネカ製)が挙げられ、これらを1種又は2種以上を選択して使用できる。
【0019】
溶媒(B)
本塗料に用いる溶媒(B)は、スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(A)の一部又は全部を溶解し、かつ塗装時の造膜性や焼付け時のフロー性を付与する目的で使用する。
例えば、トルエン、キシレンなどの高沸点石油系炭化水素などの炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコール系溶剤;水などを挙げることができ、これらは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
この中でも、ケトン系溶剤やエーテルアルコール類溶剤が、均一で凹凸感のある模様を形成する面からも好ましく、特に好ましい一例として、シクロヘキサノンが挙げられる。
溶媒(B)の使用量としては、スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(A)の固形分100質量部に対して、50〜2,000質量部、好ましくは300〜1,500質量部、さらに好ましくは500〜1,000質量部程度が、塗装時の造膜性や焼付け時の塗膜のフロー性を確保する面からも好ましい。
【0021】
本発明のプレコートメタル用の意匠性塗料においては、前記したスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(A)、溶媒(B)の他に、適宜、塗膜硬度や密着性などの塗膜性能を目的として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の水酸基含有樹脂、メラミン樹脂やブロックイソシアネート化合物等の架橋剤、着色顔料、アルミペースト、パール顔料等の光輝材、シリカ微粉末などの体質顔料、有機樹脂粉末、無機質骨材、消泡剤、レベリング剤、潤滑性付与剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤等、公知の材料も使用することができる。
【0022】
上記着色顔料としては、プレコートメタル用の塗料分野で通常使用されている着色顔料、例えば、チタン白、亜鉛華などの白色顔料;シアニンブルー、インダスレンブルーなどの青色顔料;シアニングリーン、緑青などの緑色顔料;アゾ系やキナクリドン系などの有機赤色顔料、ベンガラなどの赤色顔料;ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系及びキノフタロン系などの有機黄色顔料、チタンイエロー、黄鉛などの黄色顔料;カーボンブラック、黒鉛、松煙などの黒色顔料;アルミニウム粉、銅粉、ニッケル粉、酸化チタン被覆マイカ粉、酸化鉄被覆マイカ粉及び光輝性グラファイトなどの光輝性顔料などが挙げられる。
【0023】
上記有機樹脂粉末としては、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリプロピレン、及びナイロン11やナイロン12などのポリアミドなどの粒子状又は繊維状の粉末を挙げることができる。
本発明のプレコートメタル用の意匠性塗料は、スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(A)、溶媒(B)の他に、適宜に、水酸基含有樹脂、架橋剤、顔料、添加剤を加え、分散性の観点からディスパーなどで混練することによって均一に混合してマスターバッチを製造して目的とする意匠性塗料とすることができる。
【0024】
塗膜形成方法
本発明の意匠性塗料は、(1).素材に直接、本意匠性塗料を塗装する塗膜形成方法、(2).素材に、プライマー塗料を介して、該プライマー塗膜上に本意匠性塗料を塗装する塗膜形成方法、(3).素材に、プライマー塗料を塗装し、該プライマー塗膜上に形成された少なくとも1種類の着色ベース塗料を塗装し、該着色ベース塗膜上に、本発明の意匠性塗料を塗装し、さらにクリヤ塗料を塗装してなる塗膜形成方法等、によって意匠性を効果的に表現することができる。
【0025】
なお、本発明のプレコートメタル用の意匠性塗料の塗装方法としては、特に制限はなく、カーテン塗装、ロール塗装、浸漬塗装及びスプレー塗装などが可能であり、通常、乾燥した後の塗膜厚が5〜70μm、好ましくは30〜50μmの範囲内となるように塗装される。
【0026】
本発明の意匠性塗料の硬化条件は、通常、素材到達最高温度120〜260℃、好ましくは150〜240℃で15秒〜30分、好ましくは30秒〜3分間程度である。
【0027】
素材:上記素材としては冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、鉄−亜鉛、ニッケル−亜鉛、亜鉛−アルミニウムなどの合金メッキ鋼板、アルミニウム板、ステンレス鋼板、銅板、銅メッキ鋼板、錫メッキ鋼板等の金属類、プラスチックス、木材、セメント等が挙げられる。金属類に塗装する場合に被塗装材である金属表面が油等汚染物質で汚染されていなければそのまま塗装してもかまわないが、塗膜との間の付着性、耐食性を改善するために公知の金属表面処理を施すのが望ましい。これら公知の表面処理方法としてリン酸塩系表面処理、チタン系表面処理剤クロム酸塩系表面処理、さらにはクロム酸系塗装剤による塗布処理が挙げられる。
【0028】
プライマー塗料:塗膜品質を必要とする場合は、金属表面処理の後にプライマー塗料の塗装を施した上で本発明の塗料組成物を塗装するのが好ましい。プライマーは、着色カラー鋼板塗装分野、産業用機械塗装分野、金属部品塗装分野などで用いられる公知のプライマーが適用でき、被塗装材の種類、金属表面処理の種類によって適宜選択されるが、特にエポキシ樹脂系のプライマー、ポリエステル樹脂系のプライマー及びそれらの変性プライマーが好適であり、加工性が特に要求される場合はポリエステル樹脂系のプライマーが好適である。
【0029】
着色ベース塗料:着色ベース塗料は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の水酸基含有樹脂、メラミン樹脂やブロックイソシアネート化合物等の架橋剤、着色顔料、アルミペースト、パール顔料等の光輝材、シリカ微粉末などの体質顔料、有機樹脂粉末、無機質骨材、消泡剤、レベリング剤、潤滑性付与剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤等、従来から使用されている公知の材料も使用することができる。着色塗膜の膜厚は、通常、8〜50μm、好ましくは10〜25μmである。
【0030】
クリヤ塗料:クリヤ塗料は、基体樹脂と架橋剤からなる樹脂成分、適宜に、硬化触媒、アミン化合物、光輝性粉末を含有し、さらに必要に応じて、溶媒、潤滑性付与剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、消泡剤、塗面調整剤、シリカ微粉末などの無機微粉末などを含有する。 上記光輝性粉末としては、アルミニウ粉、銅粉、ニッケル粉、酸化チタン被覆マイカ粉、酸化鉄被覆マイカ粉及び光輝性グラファイトなどを挙げることができる。光輝性粉末の配合量は、塗面外観に光輝感を与え、かつクリヤ塗膜を通して、本発明の意匠性塗料塗膜がみえる範囲内の量であればよい。 クリヤ塗膜の膜厚は、通常、1〜50μm、好ましくは5〜25μmである。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとする。
【0032】
製造例1 スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂No.1
攪拌機付きの重合容器に、脱イオン水200部、オレイン酸ソーダ1.5部、硫酸第1鉄0.002部、エチレンジアミン4−酢酸・2Na塩0.005部、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ソーダ0.2部、リン酸三カリウム0.2部、ブタジエン57部、スチレン23部、ジビニルベンゼン1.0部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部を仕込み、50℃で10時間重合させ、重合添加率が95%以上であることを確認したのち、ブタジエン20部及びジイソプロピルべンゼンハイドロパーオキサイド0.05部を添加し、さらに7時間重合させた後、水を乾燥させてスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂No.1を得た。
【0033】
製造例2 スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂No.2(グラフト重合タイプ)
製造例1で得たスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂No.1を70部(固形分)、脱イオン水200部、硫酸第一鉄0.002部、エチレンジアミン4−酢酸・2Na塩0.004部、ホルムアルデヒド硫酸ソーダ0.1部及び塩化カリウム1.5部を混合し、これに70℃でメチルメタクリレート15部及びクメンハイドロパーオキサイド0.1部を3時間に亘って連続添加し、さらに1時間重合を続けて重合を終了させた後、水を乾燥させてスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂No.2を得た。
【0034】
製造例3 スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂No.3(グラフト重合タイプ)
製造例1で得たスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂No.1を70部(固形分)、脱イオン水200部、硫酸第一鉄0.002部、エチレンジアミン4−酢酸・2Na塩0.004部、ホルムアルデヒド硫酸ソーダ0.1部及び塩化カリウム1.5部を混合し、これに70℃でメチルメタクリレート13部及びクメンハイドロパーオキサイド0.1部を3時間に亘って連続添加し、さらに1時間重合を続けた。ついでブチルアクリレート2部及びクメンハイドロパーオキサイド0.02部を20分間に亘り連続添加し、さらに30分間重合を続けた。そののちスチレン15部及びクメンハイドロパーオキサイド0.1部を3時間に亘って連続添加し、さらに1時間重合を続けて重合を終了させた後、水を乾燥させてスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂No.3を得た。
【0035】
製造例4 ポリエステル樹脂の製造例
加熱装置、撹拌機、還流装置、水分離器、精留塔、温度計等を備えた通常のポリエステル樹脂製造装置を用い反応槽に無水フタル酸740部、イソフタル酸498部、アジピン酸145部、ネオペンチルグリコール735部および1.6−ヘキサンジオール236部を仕込み加熱した。原料が融解後、撹拌を開始し、反応温度を230℃まで昇温させ、230℃に2時間保持して生成する縮合水は精留塔を通じて系外へ留去した。ついで反応槽にキシロールを90部添加し溶剤縮合法に切り替えて反応を続け、酸価が5に達した時点で反応を終了し冷却した。冷却後キシロールを1414部加えて固形分含量60%のポリエステル樹脂A溶液を得た。得られた樹脂は水酸基価79mgKOH/g、数平均分子量約1,300であった。
【0036】
意匠性塗料の製造
実施例1
製造例1で得たスチレン・ブタジエン系共重合体樹脂No.1を100部、シクロヘキサンノン900部をディスパーにて60℃で1時間加熱攪拌して、意匠性塗料No.1を得た。
【0037】
実施例2〜8
表1の配合内容とする以外は、実施例1と同様にして、意匠性塗料No.2〜No.8を得た。
【0038】
【表1】

【0039】
(注2)カネエース11A:株式会社カネカ社製、商品名、スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂。
【0040】
(注3)カネエース22:株式会社カネカ社製、商品名、スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂。
【0041】
(注4)カネエースM−521:株式会社カネカ社製、商品名、スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂。
【0042】
(注5)GK−13CS:ポリエステル樹脂、東洋紡社製、固形分51%、数平均分子量7,000、水酸基価19mgKOH/g
(注6)ダイヤナールHR−2011:アクリル樹脂、三菱レーヨン社製、固形分50%、水酸基価55mgKOH/g。
【0043】
比較例1
製造例4で得た固形分60%のポリエステル樹脂A溶液100部、キシロール10部、チタン白70部及びフタロシアニンブルー5部の混合物をシェーカーにて分散した。
次いで、このものにポリエステル樹脂A溶液42部、サイメル303(注7)を15部、及びドデシルベンゼンスルホン酸0.3部とジ−n−ブチルアミン1.2部とを室温で混合して得た反応混合物1.5部、さらにサイロイド74(富士デヴィゾン(株)製、無定形シリカ微粉末)5部、DX33−401(東レシリコーン株式会社製、商品名、シリコン樹脂微粒子)5部を加え、均一に撹拌し、有機溶剤によって粘度80秒(フォードカップ#4、25℃)に調整して意匠性塗料No.9を得た。
(注7)サイメル303:メチルエーテル化メラミン樹脂、三井サイテック社製、固形分98%以上。
【0044】
比較例2
アレステックAT2100NMブルー(関西ペイント製、縮み模様の艶消し塗膜形成用のポリエステル−メラミン樹脂系塗料)を用いた。
【0045】
塗装試験板(1)
クロメート処理された厚さ0.5mmの溶融亜鉛メッキ鋼板(亜鉛目付量60g/m)を用い、上記被塗物の上に、意匠性塗料No.1〜No.10をバーコーター塗装にて乾燥膜厚20μmとなるように塗装し、被塗物の最高到達温度が225℃となるように50秒間焼付けて硬化させて試験板を得た。これらの試験板を下記試験条件に従って試験に供したので、結果を表2に示す。
【0046】
【表2】

【0047】
(注8)模様の凹凸感:塗面の立体感(大柄感)を1m離れて目視にて評価した。
○:凹凸感が顕著であり、意匠性に優れる、
△:顕著ではないが凹凸感があり、やや意匠性がある、
×:凹凸感が認められず、意匠性がほとんどない。
【0048】
(注9)密着性:JIS K−5400 8.5.2(1990)碁盤目−テ−プ法に
準じて、試験板の塗膜表面にカッターナイフで素地に到達するように、直交する縦横11本ずつの平行な直線を1mm間隔で引いてマス目を100個作成した。その表面にセロハン粘着テープを密着させ、テ−プを急激に剥離した際のマス目の剥れ程度を観察し下記基準で評価した。
○:塗膜の剥離が全く認められない。
△:塗膜がわずかに剥離したが、マス目は90個以上残存
×:塗膜が剥離し、マス目の残存数は90個未満。
【0049】
[複層塗膜系での評価]
製造例5 クリヤ塗料の製造例
ダイヤナールHR−2011(注6参照)(固形分70部)、GK−13CS(注
5参照)(固形分10部)、サイメル303(注7)(固形分20部)及びネイキュア5225(注10)0.4部(スルホン酸量で0.1部)を混合、撹拌してクリヤ塗料組成物を得た。
【0050】
(注10)ネイキュア5225:米国、キング インダストリイズ社製、商品名、ドデ
シルベンゼンスルホン酸のアミン中和溶液である硬化触媒、スルホン酸化合物の含有量約25%。
【0051】
実施例9〜16、比較例3、比較例4
塗装試験板(2)
クロメート処理された厚さ0.5mmの溶融亜鉛メッキ鋼板(亜鉛目付量60g/m
)上に、プライマー塗料(クロム酸塩防錆顔料を含有するエポキシ−ウレタン樹脂系
のプライマー塗料)を乾燥膜厚が約5μmになるように塗装し、被塗物の最高到達温度が225℃となるように50秒間焼付けて硬化させた。
次いで、該塗膜上に、意匠性塗料No.1〜No.10をバーコーターで乾燥膜厚20μmとなるように塗装し、被塗物の最高到達温度が225℃となるように50秒間焼付けて硬化させた。
次いで、該塗膜上に、製造例5で得たクリヤ塗料を乾燥膜厚が約20μmとなるように塗装し、被塗物の最高到達温度が230℃となる条件にて60秒間焼付けて3コートの試験板を得た。これらの試験板を下記試験条件に従って試験に供したので、結果を表3に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
実施例17〜24、比較例5、比較例6
塗装試験板(3)
クロメート処理された厚さ0.5mmの溶融亜鉛メッキ鋼板(亜鉛目付量60g/m
)上に、プライマー塗料(クロム酸塩防錆顔料を含有するエポキシ−ウレタン樹脂系
のプライマー塗料)を乾燥膜厚が約5μmになるように塗装し、被塗物の最高到達温度が225℃となるように50秒間焼付けて硬化させた。
該塗膜上に、アレステックAT2000ブルー(関西ペイント社製、商品名、着色ベース塗料)を乾燥膜厚が約20μmとなるように塗装し、被塗物の最高到達温度が230℃となる条件にて60秒間焼付けて3コートの試験板を得た。
次いで、該塗膜上に、意匠性塗料No.1〜No.10をバーコーターで乾燥膜厚20μmとなるように塗装し、被塗物の最高到達温度が225℃となるように50秒間焼付けて硬化させた。
【0054】
これらの試験板を下記試験条件に従って試験に供したので、結果を表4に示す。
【0055】
【表4】

【0056】
(注11)加工性:塗装板の塗膜表面を外側にして折曲げ、その内側に何も挟まずに上記塗装板を万力にて180度折曲する1T折曲げ加工を行ったときの折曲げ部の塗膜状態を下記基準にて評価した。試験は、塗装板の温度が5℃で行った。
◎:塗膜にワレ、ハガレなどの異常が認められない
○:塗膜にワレが僅かに認めらる
△:塗膜にワレがかなり認められる
×:塗膜にワレが著しく認められる。
【0057】
(注12)耐食性:塗装板を70×150mmの大きさに切断した後、裏面及び切断面を防錆塗料にてシールした。シールした塗装板のほぼ中央部に素地に到達するクロスカットを入れたものを塩水噴霧試験に供した。塩水噴霧試験は、JIS Z−2371に準じて行い塩水噴霧試験時間を500時間とし、クロスカット部の平均のフクレ幅を、それぞれ目視にて下記基準により評価した。
◎:クロスカット部にフクレが認められない
○:カット傷からの片側の平均フクレ幅が1mm未満である
△:カット傷からの片側の平均フクレ幅が1mm以上で5mm未満である
×:カット傷からの片側の平均フクレ幅が5mm以上である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
凹凸感のある模様を有するプレコートメタル鋼板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の凹凸感のある模様である。
【図2】本発明の凹凸感のある模様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン・ブタジエン系共重合体樹脂(A)の固形分100質量部に対して、溶媒(B)を50〜2,000質量部含有することを特徴とするプレコートメタル用の意匠性塗料。
【請求項2】
溶媒(B)がケトン系溶剤である請求項1に記載のプレコートメタル用の意匠性塗料。
【請求項3】
表面に化成処理が施されていてもよい金属板上に、請求項1又は2項に記載にプレコートメタル用の意匠性塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法。
【請求項4】
表面に化成処理が施されていてもよい金属板上に、少なくとも1層の下塗り塗膜を形成し、該下塗り塗膜上に請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレコートメタル用の意匠性塗料を塗装し、次いで該意匠性塗膜上にクリヤ塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法。

























【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−211079(P2007−211079A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30699(P2006−30699)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】