説明

プレシャンプートリートメント組成物

【課題】毛髪内部の補修と毛髪表面の保護を両立させ、激しくダメージを受けた毛髪に対しても、ツヤ、まとまり及び指通りを向上させることができ、かつそれらの効果の持続性にも優れるプレシャンプートリートメント組成物の提供。
【解決手段】次の成分(A)〜(D)を含有し、粘度が1000〜15万mPa・sであり、pHが2〜5であるプレシャンプートリートメント組成物、及び当該プレシャンプートリートメント組成物を毛髪に適用した後、水ですすぎ、次いでシャンプー組成物により洗髪する毛髪処理方法。
(A):ジアリル4級アンモニウム塩を全単量体中の70質量%以上含有する単量体成分を重合して得られる重合体又は共重合体
(B):ポリ塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム(INCI名:ポリクオタニウム-37)
(C):リンゴ酸、グリコール酸、乳酸及びクエン酸から選ばれる有機酸又はその塩
(D):ベンジルアルコール

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレシャンプートリートメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャンプーによる洗髪の前に毛髪を処理し、毛髪にコンディショニング効果を付与するプレシャンプートリートメント組成物が知られている。例えば、このようなプレシャンプートリートメント組成物として、カチオン性ポリマー及びカチオン化ケラチン化合物誘導体を含有するもの(特許文献1)、酸及び水溶性高分子を含有するもの(特許文献2)、ベタイン型両性界面活性剤、カチオン性ポリマー、シリコーン油等を含有するもの(特許文献3)等が提案されている。
【0003】
これらのプレシャンプートリートメント組成物は、主として、シャンプーによる毛髪のダメージを防ぎ、洗髪後の感触を向上させることを目的としている。しかしながら、これら従来のプレシャンプートリートメント組成物は、近年のヘアカラー、パーマ等の化学処理や、ヘアアイロン等の熱処理によるダメージ毛に対して十分な効果が得られず、毛髪内部の補修と毛髪表面の保護とを同時に満足させる技術は知られていなかった。このため、ツヤ、まとまり及び指通りの改善効果、更にはこれらの効果の持続性においても満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57-88111号公報
【特許文献2】特開昭60-48913号公報
【特許文献3】特開2005-314359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明は、毛髪内部の補修及び毛髪表面の保護を両立させ、ヘアカラー、パーマ等の化学処理、又はヘアアイロン等の熱処理により激しくダメージを受けた毛髪に対しても、ツヤ、まとまり及び指通りを向上させることができ、かつそれらの効果の持続性にも優れるプレシャンプートリートメント組成物を提供することを課題とする。
【0006】
なお、本発明において毛髪内部の補修とは、ダメージを受けた毛髪内部に生じた空隙を低減することを指し、これにより毛髪の色のくすみを減らしてツヤを与えることができ、また毛髪に柔軟性やハリ・コシを付与し、まとまりを改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、カチオンサイトの比率の高い特定のカチオン性ポリマーと、特定の有機酸と、ベンジルアルコールとを併用することによって、上記課題を解決できることを見出した。しかしながら、これらの効果はpHが5以下の範囲で高く発揮される一方で、このような低pHで上記特定のカチオン性ポリマーを配合した場合、系を長期的に安定に保つことが困難であることが判明した。そこで、本発明者らは更に鋭意検討を重ねた結果、増粘剤として、更に他のカチオン性ポリマーであるポリクオタニウム-37を併用することによって、長期的に安定な剤を製造し得ることを見出した。
【0008】
本発明は、次の成分(A)〜(D)を含有し、粘度が1000〜15万mPa・sであり、pHが2〜5であるプレシャンプートリートメント組成物を提供するものである。
(A):ジアリル4級アンモニウム塩を全単量体中の70質量%以上含有する単量体成分を重合して得られる重合体又は共重合体
(B):ポリ塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム(INCI名:ポリクオタニウム-37)
(C):リンゴ酸、グリコール酸、乳酸及びクエン酸から選ばれる有機酸又はその塩
(D):ベンジルアルコール
【0009】
また本発明は、上記のプレシャンプートリートメント組成物を毛髪に適用した後、水ですすぎ、次いでシャンプー組成物により洗髪する毛髪処理方法を提供するものである。
【0010】
更に本発明は、次の成分(A)〜(D)を含有し、粘度が1000〜15万mPa・sであり、pHが2〜5である組成物のプレシャンプートリートメント組成物としての使用を提供するものである。
(A):ジアリル4級アンモニウム塩を全単量体中の70質量%以上含有する単量体成分を重合して得られる重合体又は共重合体
(B):ポリ塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム(INCI名:ポリクオタニウム-37)
(C):リンゴ酸、グリコール酸、乳酸及びクエン酸から選ばれる有機酸又はその塩
(D):ベンジルアルコール
【発明の効果】
【0011】
本発明のプレシャンプートリートメント組成物は、毛髪のツヤ、まとまり及び指通りを向上させることができ、かつそれらの効果の持続性も高いものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔(A):ジアリル4級アンモニウム塩を全単量体中に70質量%以上含有する単量体成分を重合して得られる重合体又は共重合体〕
成分(A)の重合体又は共重合体は、毛髪のツヤ、まとまり及び指通りを向上させる観点より、ジアリル4級アンモニウム塩モノマーを全単量体中の70質量%以上含有する単量体成分を重合して得られるものであることを必要とし、当該含有率が80質量%以上、更には90質量%以上であることが好ましい。また、ジアリル4級アンモニウム塩は、原料の入手のし易さの観点から、ジアリルジメチル4級アンモニウム塩であることが好ましい。なお、成分(A)が共重合体である場合、ジアリル4級アンモニウム塩以外の単量体は、ジアリル4級アンモニウム塩と共重合可能なモノマーであればよく、特に限定はないが、アクリル酸及び/又はアクリルアミドを含むことが好ましく、当該アクリル酸及び/又はアクリルアミドの含有率は、前記ジアリル4級アンモニウム塩の含有率の規定から、30質量%未満となるが、20質量%未満、更には10質量%未満であることが好ましい。
【0013】
成分(A)の重合体又は共重合体は、2種以上用いてもよく、例えば、ジアリル4級アンモニウム塩の含有率が90質量%以上の単量体成分を重合して得られる重合体又は共重合体と、当該含有率が70質量%以上90質量%未満の単量体成分を重合して得られる重合体又は共重合体とを併用することができる。
【0014】
成分(A)の重合体又は共重合体の重量平均分子量は、毛髪へ吸着して、洗髪時・すすぎ時に脱落しにくいものとする観点より、5万〜70万、更には10万〜50万、更には14万〜20万であることが好ましい。
【0015】
成分(A)の重合体又は共重合体の市販品としては、INCI名がポリクオタニウム-6であるMerquat100(全単量体中のジアリルジメチル4級アンモニウム塩の含有率が100質量%)、INCI名がポリクオタニウム-22であるMerquat295(同含有率が85〜99質量%)、Merquat280(同含有率が80質量%)〔以上、Nalco Company製〕等が挙げられる。
【0016】
成分(A)の含有量は、組成物の安定性の観点から、プレシャンプートリートメント組成物中の0.001〜5質量%、更には0.01〜2質量%、更には0.1〜1質量%が好ましい。
【0017】
〔(B):ポリクオタニウム-37〕
本発明のプレシャンプートリートメント組成物は、毛髪に適用した際に液だれしない適度な粘度に増粘すると共に経時的に粘度変化や分離を生じない、長期的な安定性を達成するため、増粘剤として成分(B)のポリ塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム(INCI名:ポリクオタニウム-37)を含有する。成分(A)を含有し、かつ低pHに調整した系においては、従来一般に使用されている他の増粘剤では適度な増粘ができなかったり、増粘しても経時的に分離や粘度低下を生じてしまうが、成分(B)を含有することで、これを防ぐことができる。成分(B)の重量平均分子量は、安定性確保の観点より、50万〜200万であることが好ましい。
【0018】
成分(B)の市販品としては、Synthalen CR(3V Group製)、Synthalen CN(3V Group製)、Synthalen CR(3V Group製)、Synthalen CU(3V Group製)、Syntran PC 5321(Interpolymer Corporation製)、Cosmedia Ultragel 300(Cognis GmbH製)、Kleasol 100XT(Rheolabs Inc.製)、OriStar PQ37(Orient Stars LLC製)等が挙げられる。
【0019】
成分(B)のポリクオタニウム-37は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、好適な粘度範囲に増粘すると共に長期的な安定性に優れたものとする観点から、プレシャンプートリートメント組成物中の0.1〜15質量%、更には0.5〜10質量%、更には1〜5質量%が好ましい。
【0020】
成分(A)と成分(B)との質量比(A)/(B)は、使用時に必要な粘度と効果に調整する観点から、0.00007〜10、更には0.001〜4、更には0.02〜1、更には0.05〜0.7、更には0.07〜0.5、更には0.1〜0.4、更には0.23〜0.4が好ましい。
【0021】
〔(C):リンゴ酸、グリコール酸、乳酸及びクエン酸から選ばれる有機酸又はその塩〕
本発明においては、成分(C)としてリンゴ酸、グリコール酸、乳酸及びクエン酸から選ばれる有機酸またはその塩を用いる。これらの有機酸は、他の有機酸に比べ、ダメージを受けた毛髪の内部補修効果に優れるものであり、なかでもリンゴ酸が好ましい。
【0022】
成分(C)は、いずれかを単独で又は2種以上を併用することもできる。成分(C)の含有量は、毛髪の内部補修効果の観点から、プレシャンプートリートメント組成物中の0.1〜20質量%、更には0.5〜15質量%、更には1〜10質量%が好ましい。
【0023】
〔(D):ベンジルアルコール〕
【0024】
本発明においては、成分(D)としてベンジルアルコールを用いる。成分(D)の含有量は、毛髪の内部補修効果の観点から、プレシャンプートリートメント組成物中の0.1〜20質量%、更には0.5〜15質量%、更には1〜10質量%が好ましい。
【0025】
〔粘度〕
本発明のプレシャンプートリートメント組成物の粘度は、使用時に毛髪へ馴染みやすく、液だれしない粘度を長期間保つことができるものとするため、1000〜15万mPa・sであることが必要であるが、2000〜10万mPa・s、更には3000〜5万mPa・sであることが好ましい。ここで、粘度は、25℃においてB型回転粘度計(TV-10M型粘度計、東機産業社製)により、ローターNo.1〜4を用い、6rpm、1分間回転させて得られた値である。
【0026】
〔pH〕
本発明のプレシャンプートリートメント組成物は、毛髪のツヤやまとまりを向上する観点から、pHが2〜5であることを必要とするが、pHが2.5〜4、更には2.7〜3.5であることが好ましい。ここで、本発明のプレシャンプートリートメント組成物のpHは、25℃にて測定したときの値とする。
【0027】
本発明のプレシャンプートリートメント組成物を上記のようなpHに調整するには、成分(C)の有機酸又はその塩のほか、成分(C)以外の有機酸、モノエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のpH調整剤を使用することができる。
【0028】
〔(E):アミノ変性シリコーン及び/又は数平均重合度が1000以上であるジメチルポリシロキサン〕
【0029】
本発明のプレシャンプートリートメント組成物には、更に成分(E)としてアミノ変性シリコーン及び/又は数平均重合度が1000以上であるジメチルポリシロキサンが含有されることが好ましい。
【0030】
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有していればよく、末端水酸基の全て又は一部がメチル基等で封鎖されたアミノ変性シリコーンオイル、末端が封鎖されていないアモジメチコーンのどちらでもよく、以下の一般式(1)又は(2)で表されるものが挙げられる。
【0031】
【化1】

【0032】
〔式中、R1はSi(CH3)3又は水素原子を示し、R2は炭素数2〜8のアルキレン基を示し、nは1〜20000の数を示し、mは1〜2000の数を示し、aは0〜3の数を示す。〕
アミノ変性シリコーンの一分子中に含まれる窒素原子の含有量(窒素含量)は好ましくは0.02〜4質量%、更には0.1〜1質量%である。
【0033】
アミノ変性シリコーンの市販品としては、SF8451C(東レ・ダウコーニング社,粘度600mm2/s,窒素含量0.8質量%)、SF8452C(東レ・ダウコーニング社,粘度700mm2/s,窒素含量0.2質量%)、SF8457C(東レ・ダウコーニング社,粘度1200mm2/s,窒素含量0.8質量%)、KF8003(信越化学工業社,粘度1850mm2/s,窒素含量0.7質量%)、KF8005(信越化学工業社,粘度1200mm2/s,窒素含量0.1質量%)、KF867(信越化学工業社,粘度1300mm2/s,窒素含量0.8質量%)、KF8012(信越化学工業社,粘度90mm2/s,窒素含量0.6質量%)等のアミノ変性シリコーンオイルや、SM8704C(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.8質量%)、SM8904C(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.3質量%)、BY22-079(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.6質量%)等のアモジメチコーンエマルションが挙げられる。また、ジメチルポリシロキサン(数平均重合度550)、ジメチルポリシロキサン(数平均重合度2700)及びアミノ変性シリコーンの混合物(質量比は10:3.7:2.9)であるCF1046(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.14質量%)等も好適に使用できる。
【0034】
数平均重合度が1000以上であるジメチルポリシロキサンとしては、シャンプーすすぎ時のなめらかな指通り、乾燥時のしっとり感を有するものとする観点から、数平均重合度が1500以上、更には2000以上20000未満であるものが好ましい。
【0035】
数平均重合度が1000以上であるジメチルポリシロキサンの市販品としては、SH200-1,000,000cs(東レ・ダウコーニング社)、BY11-026(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンの低粘度シリコーンによる希釈溶液)、BY11-039(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンの低粘度シリコーンによる希釈溶液)、KF9008(信越化学工業社;高重合シリコーンの環状シリコーンによる希釈溶液)、BY22-050A(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンのカチオンエマルション)、BY22-060(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、BY22-020(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンを流動パラフィンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、KM904(信越化学工業社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)等が挙げられる。
【0036】
成分(E)において、上記のアミノ変性シリコーンと数平均重合度が1000以上のジメチルポリシロキサンとを組み合わせて用いることが好ましく、これらの比率(質量比率)は、毛髪への吸着性と落ちにくさの観点より、0.1:10〜10:0.1、更には0.5:5〜5:0.5、更には1:3〜3:1が好ましい。
【0037】
成分(E)において、上記のアミノ変性シリコーンと数平均重合度が1000以上のジメチルポリシロキサンとは、毛髪への吸着性を向上させる観点から、両者を予め混合したシリコーンオイルとして配合されることが好ましい。この場合、両者の相溶性を向上させるために他のシリコーンも混合することによりシリコーンオイルの毛髪への吸着性を更に向上することができる。
【0038】
成分(E)の含有量は、毛髪のツヤ、まとまり、及び指通りの持続性を向上させる一方で、処理後の髪のべたつきを抑制する観点から、プレシャンプートリートメント組成物中の0.01〜10質量%、更には0.05〜5質量%、更には0.1〜3質量%が好ましい。
【0039】
〔製品着色用の染料又は顔料〕
本発明のプレシャンプートリートメント組成物は、毛髪着色用の染料又は顔料を含有しないことが好ましいが、製品の着色の目的で、毛髪を着色しない程度の量の染料又は顔料を含有させることはできる。この場合の染料又は顔料の含有量は、プレシャンプートリートメント組成物中の0.000001〜0.1質量%、更には0.00001〜0.01質量%、更には0.0001〜0.001質量%が好ましい。
【0040】
〔溶媒〕
本発明のプレシャンプートリートメント組成物は、塗布しやすい粘度に調整する観点から、溶媒として水及び/又は水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水溶性有機溶剤としてはエタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの含有量は、長期的に安定な粘度の剤を製造する観点から、プレシャンプートリートメント組成物中の10〜98質量%が好ましく、更には40〜97質量%、更には60〜96質量%が好ましい。
【0041】
〔その他の任意成分〕
本発明のプレシャンプートリートメント組成物には、上記成分のほか、通常の毛髪化粧料に用いられる成分を目的に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば界面活性剤、抗フケ剤;ビタミン剤;殺菌剤;抗炎症剤;防腐剤;キレート剤;ソルビトール、パンテノール等の保湿剤;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、粘土鉱物等の成分(B)以外の粘度調整剤;植物エキス;パール化剤;香料;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ〔ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (MICELLE PRESS)〕に記載されている成分等が挙げられる。
【0042】
〔毛髪処理方法〕
本発明のプレシャンプートリートメント組成物を用いた毛髪の処理は、以下のように行うことが好ましい。
【0043】
処理の対象とする毛髪は、シャンプー組成物で洗浄する前の髪であり、また、プレシャンプートリートメント組成物と毛髪との浴比(プレシャンプートリートメント組成物/毛髪(乾燥質量))は、適用の際に均一に広げやすく、適用後のプレシャンプートリートメント組成物が垂れ落ちないようにする、といった観点から、0.01/1〜3/1、更には0.1/1〜2/1、更には0.5/1〜1/1が好ましい。
【0044】
プレシャンプートリートメント組成物を毛髪に塗布した後は、成分(C)及び(D)を毛髪に浸透させるため、30秒〜60分間放置することが好ましく、更には5〜60分間、更には10〜60分間放置することがより好ましい。その後、水ですすぎ、次いでシャンプー組成物を用いて洗髪することが好ましい。ここで、シャンプー組成物は、プレシャンプートリートメント組成物で処理することで毛髪に予め付着させたカチオン性ポリマーと複合体を形成し得るアニオン界面活性剤を含有するものであることが好ましく、これにより指通り等の持続性を向上させることができる。このようなシャンプー組成物としては、ラウレス-1 硫酸ナトリウム、ラウレス-2 硫酸ナトリウム、ラウレス-3 硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤を5〜20質量%程度含有する一般的な水性シャンプーが好適である。また、シャンプー組成物のpHは2〜5が好ましい。
【0045】
〔毛髪処理用キット〕
本発明のプレシャンプートリートメント組成物は、シャンプー組成物と共に、及びこれらをそれぞれ収容した容器と共に、毛髪処理用キットの形態として提供されることもできる。このシャンプー組成物は、前述のようにアニオン界面活性剤を含有することが好ましく、またpHが2〜5であることが好ましい。また、かかる毛髪処理用キットは、更にヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の洗い流すタイプの毛髪化粧料及びこれを収容した容器を備えたものでもよく、更には、洗い流さないタイプのヘアトリートメント及びこれを収容した容器を備えたものであってもよい。
【実施例】
【0046】
実施例1〜9・比較例1〜7
表1及び2に示すプレシャンプートリートメント組成物を調製し、以下の方法及び基準に従って、性能評価を行った。これらの結果を表1及び2に併せて示す。
【0047】
〔1〕「ツヤ、まとまり、指通り、及びそれらの持続性」の評価方法
1)評価毛束
長さ30cm、幅6cm、重さ10gの日本人女性の黒髪の毛束を、3回のパーマ処理(ダリヤ社製,ベネゼル ハイパーストレートパーマ)、次いで5回のブリーチ処理(花王社製,プリティア ふんわり泡ブリーチ ハイブリーチ)に供し、次いでシャンプー(花王社製,エッセンシャルダメージケア ニュアンスエアリー シャンプー)による洗浄とドライヤーによる乾燥を90回繰り返し、評価毛束とした。
【0048】
2)毛髪処理
ドライヤーを用いて十分乾燥させた評価毛束に表1又は2のプレシャンプートリートメント組成物10gを塗布し、5分間放置した後、水ですすいだ。次いで、アニオン界面活性剤を含有するシャンプー(花王社製,エッセンシャルダメージケア ニュアンスエアリー シャンプー)2gを用いて評価毛束を洗浄した後、水ですすいだ。更に、コンディショナー(花王社製,エッセンシャルダメージケア ニュアンスエアリー コンディショナー)2gを塗布し、水ですすいだ後、ドライヤーを用いて評価毛束を乾燥させた。
【0049】
3)性能評価方法
この一連の処理が完了した後、以下の基準に従って評価を行った。評価は10名の専門パネラーにより、下記基準による5段階官能評価を行い、10名の合計点を算出した。
【0050】
<ツヤ>
5点:ツヤが良いと判断
4点:ツヤがやや良いと判断
3点:ツヤがどちらともいえないと判断
2点:ツヤがやや悪いと判断
1点:ツヤが悪いと判断
【0051】
<髪のまとまり>
5点:まとまりが良いと判断
4点:まとまりがやや良いと判断
3点:まとまりがどちらともいえないと判断
2点:まとまりがやや悪いと判断
1点:まとまりが悪いと判断
【0052】
<指通り>
5点:指通りが良いと判断
4点:指通りがやや良いと判断
3点:指通りがどちらともいえないと判断
2点:指通りがやや悪いと判断
1点:指通りが悪いと判断
【0053】
<持続性>
上記一連の処理をした毛髪に対し、以下の工程で処理を繰り返し、未処理の毛髪と同等レベルになるまでの回数について、10名の専門パネラーにより評価を行い、その回数の平均値を算出した。
(1)水すすぎ
(2)シャンプー(花王製,エッセンシャルダメージケア ニュアンスエアリー シャンプー、2g)
(3)水すすぎ
(4)コンディショナー(花王製,エッセンシャルダメージケア ニュアンスエアリー コンディショナー、2g)
(5)水すすぎ
(6)ドライヤー乾燥
【0054】
〔2〕「外観安定性及び粘度安定性」の評価方法
1)外観安定性
表1及び2のプレシャンプートリートメント組成物(100g)を調製した後、50℃にて1箇月静置保存し、その後の外観を観察し、○:分離(析出)していない、△:わずかに分離(析出)している、×:分離している、と評価した。
【0055】
2)粘度安定性
表1及び2のプレシャンプートリートメント組成物(100g)を調製した後ガラス瓶に入れ、粘度を測定した(直後粘度)。その後、50℃にて1箇月静置保存し、その後の粘度を測定し、直後の粘度と比較した。粘度測定の方法としては試料温度を25℃に調整した後、B型回転粘度計(TV-10M,東機産業社製)にてローターNo.4を用い、6rpmで1分間回転させた後の値を記録した。
【0056】
比較例8
表2に示すヘアトリートメントを調製し、以下の方法及び基準に従って、性能評価を行った。これらの結果を表2に併せて示す。
【0057】
〔1〕「ツヤ、まとまり、指通り、及びそれらの持続性」の評価方法
前述と同様の評価毛束を使用し、毛髪処理を以下の手順で行った後、前述の基準に従って評価を行った。
(毛髪処理)
評価毛束を水ですすぎ、アニオン界面活性剤を含有するシャンプー(花王社製:エッセンシャルダメージケア ニュアンスエアリー シャンプー)2gを用いて評価毛束を洗浄した後、水ですすいだ。次いで、表2のトリートメント10gを評価毛束に塗布し、30分間放置した後、水ですすいだ。更に、コンディショナー(花王製:エッセンシャルダメージケア ニュアンスエアリー コンディショナー)0.2gを塗布し、水ですすいだ後、ドライヤーを用いて評価毛束を乾燥させた。
【0058】
〔2〕「外観安定性及び粘度安定性」の評価方法
外観安定性及び粘度安定性について、前述の方法と同様にして評価を行った。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
※1:マーコート100(Nalco company製)
※2:マーコート280(Nalco company製)
※3:マーコート550(Nalco company製)
※4:Cosmedia Ultragel300(Cognis GmbH製,ポリクオタニウム-37)
※5:系を均一に分散することができず、評価することができなかった

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D)を含有し、粘度が1000〜15万mPa・sであり、pHが2〜5であるプレシャンプートリートメント組成物。
(A):ジアリル4級アンモニウム塩を全単量体中の70質量%以上含有する単量体成分を重合して得られる重合体又は共重合体
(B):ポリ塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム(INCI名:ポリクオタニウム-37)
(C):リンゴ酸、グリコール酸、乳酸及びクエン酸から選ばれる有機酸又はその塩
(D):ベンジルアルコール
【請求項2】
更に、次の成分(E)を含有する請求項1記載のプレシャンプートリートメント組成物。
(E):アミノ変性シリコーン及び/又は数平均重合度が1000以上であるジメチルポリシロキサン
【請求項3】
成分(A)と成分(B)との質量比(A)/(B)が0.00007〜10である請求項1又は2記載のプレシャンプートリートメント組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のプレシャンプートリートメント組成物を毛髪に適用した後、水ですすぎ、次いでシャンプー組成物により洗髪する毛髪処理方法。
【請求項5】
シャンプー組成物がアニオン界面活性剤を含有する請求項4記載の毛髪処理方法。
【請求項6】
プレシャンプートリートメント組成物を毛髪に適用した後、水ですすぐ前に、30秒〜60分間放置する、請求項4又は5記載の毛髪処理方法。
【請求項7】
シャンプー組成物により洗髪した後、更にヘアリンス、ヘアコンディショナー及びヘアトリートメントのいずれか1種以上の、洗い流して使用する毛髪化粧料で処理する、請求項4〜6のいずれかに記載の毛髪処理方法。
【請求項8】
次の成分(A)〜(D)を含有し、粘度が1000〜15万mPa・sであり、pHが2〜5である組成物のプレシャンプートリートメント組成物としての使用。
(A):ジアリル4級アンモニウム塩を全単量体中の70質量%以上含有する単量体成分を重合して得られる重合体又は共重合体
(B):ポリ塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム(INCI名:ポリクオタニウム-37)
(C):リンゴ酸、グリコール酸、乳酸及びクエン酸から選ばれる有機酸又はその塩
(D):ベンジルアルコール

【公開番号】特開2013−56846(P2013−56846A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196025(P2011−196025)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】