説明

プレス加工機およびそれを用いたひだ付きカップ製造方法

【課題】 ひだ付きカップ側面が開くことなく、かつ溶融や詰まりを起こさずに効率よくひだ付きカップを製造できる方法と、その方法の実施に用いるプレス加工機とを提供する。
【解決手段】 図1に示す通り、本発明のプレス加工機は、雌型3の下方にひだ付きカップ半成形品保持部材9が取り付けられている。このプレス加工機を用いた製造方法では、ひだ付きカップ半成形品の保持数を前記従来技術と比較して多くできるため、その分プレス加工機内におけるひだ付きカップ半成形品保持時間を長くできる。結果として、押出部によりひだ付きカップ半成形品を雌型縦孔内で押さえつける時間が短くて済み、従来技術と比較してきわめて高い製造効率が得られる。また、ひだ付きカップ製造時の加熱温度を低めにしても効率よく製造することができるため、特に熱による溶融や変質を起こしやすい生分解性プラスチック製ひだ付きカップの製造に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス加工機およびそれを用いたひだ付きカップ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙、アルミ箔またはプラスチックフィルム等を用いたひだ付きカップは、主として食品の包装に広く使用されている。例えば、コンビニエンスストアで販売される弁当において各惣菜を包装するために、また、ケーキ等の菓子類を包装するために、前記ひだ付きカップが多用されている。
【0003】
図3の斜視図に、前記ひだ付きカップの一例を示す。図示の通り、このひだ付きカップ10eは、円の形状を有する底面と、その底面にほぼ垂直な側面とを有する。前記底面の円周は、細かい凹凸が規則正しく形成された形状をしており、前記側面には、前記円周の凹凸に対応した形状の凹凸が、前記円周と直交する方向に形成されている。
【0004】
このようなひだ付きカップは、従来から、プレス加工機を用いて製造されてきた。そのようなプレス加工機は、例えば特許文献1および2等に開示されている。
【0005】
図4に、前記プレス加工機の構造の一例を示す。(A)はこのプレス加工機の要部の断面図であり、(B)は斜視図である。図示の通り、このプレス加工機は、雄型1と、押出部2と、雌型3と、ヒータ4および5と、心棒6と、ストッパ7と、ばね8とを主要構成要素とする。雌型3は、その中央に形成された、下方が開放された直状の縦孔と、前記縦孔の上端に連続して形成された上向きに広がるテーパ状の型面とを備える。前記型面の表面にはひだ付きカップ側面の外形状に対応した凹凸溝が放射状に形成されているとともに、前記縦孔の内周には前記型面の凹凸溝と連続した凹凸溝が前記縦孔の軸心方向に沿って形成されている。雄型1は、ひだ付きカップ側面の内形状に対応した凹凸溝が形成された型面を有し、この型面が前記雌型型面の真上に位置するように配置されている。雄型1の中央部には縦孔が形成され、その中に押出部2が挿入され、雌型3縦孔に押出部2が挿抜可能なように配置されている。押出部2は、その外周に、ひだ付きカップ側面の内形状に対応した凹凸溝が押出部2の軸心方向に沿って形成されている。雄型1および雌型3の周囲には、それぞれを取り巻くようにヒータ4および5が配置されており、ヒータ4および5は、電源および温度制御手段(図示せず)に接続されている。押出部2の上部は心棒6に接続され、心棒6は雄型1の上部中央から突出しており、押出部2とともに、雄型1縦孔および雌型3縦孔に挿抜可能である。心棒6の中途には、ストッパ7が固定されている。雄型1とストッパ7との間には、心棒6を取り巻くようにばね8が設置されており、ばね8の両端はそれぞれ雄型1およびストッパ7に固定されている。心棒6はさらに上に伸び、その上部は昇降手段(図示せず)に固定されている。また、雄型1は、さらに別の昇降手段(図示せず)に接続されている。
【0006】
このプレス加工機を用いたひだ付きカップの製造は、以下のようにして行うことができる。すなわち、まず、ヒータ4および5により、雄型1および雌型3を適温に加熱する。次に、雌型3型面上部に、ひだ付きカップの形状および大きさに合わせてカットした原料フィルムまたはシートの積層体を置く。この原料フィルムまたはシートは、例えば、紙、アルミ箔、プラスチックフィルム等である。さらに、前記昇降手段を作動させ、押出部2を雄型1に挿入したまま、それらを共に下降させる。そして、雄型1型面を雌型3型面に一定時間押し当て、前記原料フィルムまたはシートをプレス(加熱および加圧)することにより凹凸を形成して加熱加圧した積層体とする。次に、雄型1を雌型3に押し当てたまま押出部2を押し下げ、前記加熱加圧した積層体を雌型3縦孔内に引きずり込み、ひだ付きカップ半成形品とする。さらに、押出部2を押し下げたまま一定時間維持して前記ひだ付きカップ半成形品を押さえつけ、雌型3の熱によって成形する。そして、雄型1と押出部2とを引き上げ、雌型3型面上部に再び原料フィルムまたはシートを置いて上記の工程を繰り返す。この工程を何度か行うと、雌型3縦孔内の前記ひだ付きカップ半成形品は、それ以降に成形されるひだ付きカップ半成形品によって順次下に送られ、最終的に雌型3の下部から押し出されて完成品のひだ付きカップとなる。前記ひだ付きカップ半成形品が雌型3縦孔内に止まっている間に、熱により前記ひだ付きカップ半成形品の側面が立った状態に固定され、雌型3から押し出されても開かなくなる。
【0007】
この製造方法では、雌型3縦孔内でのひだ付きカップ半成形品の保持時間が足りないと、外に押し出されたときに側面が開いてしまい、製品として不適となる。したがって、押出部2によりひだ付きカップ半成形品を雌型3縦孔内で押さえつける時間をある程度長く取る必要がある。結果として製品一個当たりの加工時間が長くかかり、それが製品製造効率向上に対する障害となる。
【0008】
前記押出部2により押さえつける時間を短縮するために雌型3の加熱温度をより高くする方法もあるが、それでは雌型3内でひだ付きカップ半成形品の溶融や詰まりが発生しやすくなる。
【特許文献1】特開昭61−277423号公報
【特許文献2】特開昭62−16125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、ひだ付きカップ側面が開くことなく、かつ溶融や詰まりを起こさずに効率よくひだ付きカップを製造できる方法と、その方法の実施に用いるプレス加工機とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、縦孔を備えるプレス済みひだ付きカップ半成形品保持部材を、プレス加工機の雌型縦孔部下端に取り付けることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明のひだ付きカップ製造用プレス加工機は、雌型とそれを加熱するヒータと雄型と押出部とを含むひだ付きカップ製造用プレス加工機であり、
前記雌型は、縦孔が形成された縦孔部と、前記縦孔の上端に連続して上向きに広がるテーパ状の型面が形成された型面部とを備え、前記型面にはひだ付きカップ側面の外形状に対応した凹凸溝が放射状に形成されており、
前記雄型は、中央部に縦孔が形成され、雄型型面にはひだ付きカップ側面の内形状に対応した凹凸溝が放射状に形成されており、
前記雌型縦孔と前記雄型縦孔は、それぞれ中心が揃うように配置されており、
前記押出部は、前記雌型縦孔に対し挿抜可能なように前記雄型縦孔内に配置されているプレス加工機であって、
さらに、プレス済みひだ付きカップ半成形品を保持する部材を備え、前記保持部材には前記ひだ付きカップ半成形品を保持するための縦孔が形成されており、前記保持部材は前記雌型の下方に連結され、前記保持部材の縦孔と前記雌型の縦孔とが連通していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のプレス加工機を用いたひだ付きカップ製造方法は、下記(1)〜(4)の工程を含む製造方法である。
(1) ひだ付きカップ原料フィルムまたはシートが複数枚積層された積層体を準備し、これを前記雌型の型面と前記雄型の型面との間で一定時間加熱および加圧する工程。
(2) 前記押出部を押し下げ、前記加熱加圧した積層体を前記雌型縦孔の中に引き込み、ひだ付き側面が底面と垂直に立ったひだ付きカップ半成形品とした後、前記押出部を前記雌型縦孔から抜いて引き上げる工程。
(3) 工程(1)および(2)を繰り返すことにより、前記雌型縦孔内のひだ付きカップ半成形品が次のひだ付きカップ半成形品により押し出され、前記ひだ付きカップ半成形品保持部材縦孔内に移動する工程。
(4) さらに工程(1)から(3)を繰り返すことにより、前記ひだ付きカップ半成形品が順次下方へと移動し、最終的に前記保持部材縦孔の下方から押し出されてひだ付きカップ製品となる工程。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、プレス加工機が前記プレス済みひだ付きカップ半成形品保持部材を備えることにより、ひだ付きカップ側面が開くことなく、かつ溶融や詰まりを起こさずに効率よくひだ付きカップを製造できる。すなわち、前記保持部材が雌型縦孔部の下端に連続して形成されていることにより、前記保持部材内部でひだ付きカップ半成形品の側面を立った状態に固定することができる。
【0014】
前記保持部材を用いれば、従来のように雌型縦孔内のみにひだ付きカップ半成形品を保持する場合と比べて保持数を多くすることができる。本発明では、ひだ付きカップ半成形品の保持数を前記従来技術と比較して多くできるため、その分プレス加工機内におけるひだ付きカップ半成形品保持時間を長くできる。結果として、押出部によりひだ付きカップ半成形品を雌型縦孔内で押さえつける時間が短くて済み、製造効率が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下に示す形態のみには限定されない。
【0016】
(プレス加工機)
図1に、本発明のプレス加工機の一例を示す。(A)はこのプレス加工機の要部の断面図であり、(B)はこのプレス加工機に使用するプレス済みひだ付きカップ半成形品保持部材の斜視図である。図示の通り、このプレス加工機は、雄型1と、押出部2と、雌型3と、ヒータ4および5と、心棒6と、ストッパ7と、ばね8と、筒(前記ひだ付きカップ半成形品保持部材)9とを主要構成要素とする。雌型3は、その中央に形成された、下方が開放された直状の縦孔と、前記縦孔の上端に連続して形成された上向きに広がる型面とを備える。前記型面の表面にはひだ付きカップ側面の外形状に対応した凹凸溝が放射状に形成されているとともに、前記縦孔の内周には前記型面の凹凸溝と連続した凹凸溝が前記縦孔の軸心方向に沿って形成されている。雄型1は、ひだ付きカップ側面の内形状に対応した凹凸溝が形成された型面を有し、この型面が前記雌型型面の真上に位置するように配置されている。雄型1の中央部には縦孔が形成され、その中に押出部2が挿入され、雌型3の縦孔に押出部2が挿抜可能なように配置されている。押出部2は、その外周に、ひだ付きカップ側面の内形状に対応した凹凸溝が押出部2の軸心方向に沿って形成されている。雄型1および雌型3の周囲には、それぞれを取り巻くようにヒータ4および5が配置されており、ヒータ4および5は、電源および温度制御手段(図示せず)に接続されている。押出部2の上部は心棒6に接続され、心棒6は雄型1の上部中央から突出しており、押出部2とともに、雄型1および雌型3の縦孔に挿抜可能である。心棒6の中途には、ストッパ7が固定されている。雄型1とストッパ7との間には、心棒6を取り巻くようにばね8が設置されており、ばね8の両端はそれぞれ雄型1およびストッパ7に固定されている。心棒6はさらに上に伸び、その上部は昇降手段(図示せず)に固定されている。また、雄型1は、さらに別の昇降手段(図示せず)に接続されている。そして、筒9はねじ孔を有しており、ねじにより雌型3の下端に固定されている。雌型3の縦孔と筒9の縦孔とは連続しており、筒9の下方は開放されている。また、筒9の内周は、凹凸のない平滑な円筒形をしている。
【0017】
なお、本発明では、前記雌型縦孔の形状は特に限定されないが、その内周に前記雌型型面の凹凸溝と連続した凹凸溝が前記雌型縦孔の軸心方向に沿って形成されているとひだ付きカップ製品の形状が安定するため好ましい。同様に、前記押出部の形状は特に限定されないが、その外周にひだ付きカップ側面の内形状に対応した凹凸溝が前記押出部の軸心方向に沿って形成されているとひだ付きカップ製品の形状が安定するため好ましい。
【0018】
さらに、前記保持部材縦孔の形状も特に限定されないが、その内周が、前記ひだ付きカップ半成形品の側面を底面と垂直に維持したままその中に保持できる大きさを有し、かつ、前記ひだ付きカップ半成形品側面の凸部とのみ接し凹部とは接しない形状を有することが好ましい。前記保持部材縦孔の内周がこのような形状であると、前記ひだ付きカップ半成形品との摩擦が小さく、より詰まりを起こしにくいため、さらに多数のひだ付きカップ半成形品を保持しやすく、加熱による溶融もさらに起こりにくい。
【0019】
本発明のプレス加工機に用いるひだ付きカップ半成形品保持部材の形態は特に限定されないが、例えば、図1のように筒の形態が好ましい。また、前記ひだ付きカップ半成形品保持部材の内周形状は、前記の通りひだ付きカップ半成形品側面の凸部とのみ接し凹部とは接しない形状が好ましく、例えば、ひだ付きカップ底面の形状に対応した平滑な形状がより好ましい。図1のプレス加工機は、底面が円形のひだ付きカップに対応しているため、筒9の内周は平滑な円筒形であるが、これ以外にも、ひだ付きカップ底面の形状に合わせ、例えば四角形、六角形等の形状を適宜用いることができる。
【0020】
本発明のプレス加工機は雌型を加熱するヒータを備えているが、例えば図1のように、雄型を加熱するヒータをさらに備えていると、雌型と雄型とによるプレス時間がさらに短縮できるため、ひだ付きカップの製造効率がより良くなり好ましい。しかし、本発明のプレス加工機は、雄型を加熱するヒータを備えていなくても十分なひだ付きカップ製造効率を得ることが可能である。雄型を加熱しない場合は、その分、ひだ付きカップ製造に必要なエネルギーおよびコストを節減できる利点がある。
【0021】
本発明においては、ひだ付きカップ半成形品は単に保持部材中に保持するのみでも側面を固定することができるが、ひだ付きカップ半成形品保持部材を加熱すると、製造効率が良くなり好ましい。特に原料フィルムまたはシートがアルミ等の金属である場合、ひだ付きカップ半成形品保持部材の加熱により著しく製造効率が向上する。したがって、本発明のプレス加工機は、ひだ付きカップ半成形品保持部材を加熱するヒータをさらに備えていることが好ましい。この場合、雌型を加熱するヒータが、ひだ付きカップ半成形品保持部材を加熱するヒータを兼ねていても良い。例えば、図1のプレス加工機では、筒9が雌型3に接しているため、ヒータ5により雌型3を加熱すると、その熱が筒9に伝わり、筒9も加熱される。
【0022】
また、本発明のプレス加工機では、ひだ付きカップ半成形品保持部材縦孔の深さは、特に限定されないが、前記ひだ付きカップ半成形品側面高さの4〜13倍であることが好ましい。4倍以上であると製造効率が良好である。また、13倍以下であれば詰まりや溶融を起こすおそれが少ない。この深さは、より好ましくはひだ付きカップ半成形品側面高さの7〜12倍、さらに好ましくは9〜12倍、いっそう好ましくは10〜12倍、特に好ましくは10〜11倍である。なお、ひだ付きカップ半成形品保持部材縦孔の直径は特に限定されないが、ひだ付きカップ半成形品側面を立った状態に固定するためには大きすぎないことが好ましく、ひだ付きカップ半成形品を通過しやすくするためには小さすぎないことが好ましく、例えばひだ付きカップ底面の直径よりも1〜2mm大きい直径が好適であるが、これには限定されない。
【0023】
(ひだ付きカップの製造)
次に、本発明のひだ付きカップ製造方法の一例について説明する。
【0024】
図2に、図1のプレス加工機を用いたひだ付きカップ製造の工程を示す。すなわち、まず、図2(A)に示すように、雌型3の型面上部に、ひだ付きカップの形状および大きさに合わせてカットした原料フィルムまたはシート積層体10aを置く。この原料フィルムまたはシート積層体10aは、ひだ付きカップ原料フィルムまたはシートが複数枚積層された積層体である。雄型1および雌型3は、ヒータ4および5によりあらかじめ適温に加熱されている。また、図2では、雌型3および筒9の縦孔には、この後説明する工程により製造されたひだ付きカップ半成形品10dが保持されている。
【0025】
前記ひだ付きカップ原料フィルムまたはシートは、特に限定されないが、例えば、紙、金属およびプラスチックのうち少なくとも一つを含むことが好ましく、前記金属はアルミがより好ましい。前記プラスチックは特に限定されないが、例えば、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PCT(ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、HBP(安息香酸ポリエステル)、PC(ポリカーボネート)、PPC(ポリエステルカーボネート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、OPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、PMP(ポリメチルペンテン)、PB−1(ポリブテン−1)、BDR(ブタジエン樹脂)、E/TD(エチレン・テトラシクロドデセン・コポリマー)、AS樹脂(アクリロニトリル・スチレン樹脂)、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PAN(ポリアクリロニトリル)、FR(フッ素樹脂)、MS(ポリメタクリルスチレン)、PMMA(メタクリル樹脂)、PA(ポリアミド樹脂)、PVA(ポリビニルアルコール)、POM(ポリアセタール)、PASF(ポリアリールスルホン)、PAR(ポリアリレート)、およびPEI(ポリエーテルイミド)からなる群から選択される少なくとも一つのプラスチックを含むことが好ましい。また、前記プラスチックが生分解性プラスチックであれば環境を汚染しないため好ましく、生分解性プラスチックは、生分解性ポリ乳酸、生分解性ポリ乳酸延伸フィルム、生分解性熱可塑性スターチインフレーションフィルム、および化学合成インフレーションフィルムからなる群から選択される少なくとも一つを含むことがより好ましい。
【0026】
なお、プラスチックの技術分野等では、厚みが極めて小さいもの、例えば0.2mm以下または0.25mm以下のものを「フィルム」と呼び、それよりも厚みが大きいものを「シート」と呼ぶ場合がある。しかし、本発明では、「フィルム」と「シート」とに厳密な区別はない。また、前記「原料フィルムまたはシート」の厚みは特に限定されず、従来のひだ付きカップ原料等に準じて適宜厚みを決定しても良いが、例えば20〜60μm、好ましくは30〜50μm、特に好ましくは40〜45μmである。
【0027】
また、本発明の製造方法では、ひだ付きカップ原料フィルムまたはシート積層体の下にさらに紙製シートが積層され、この紙製シートとともに前記積層体を成形することが、さらに保形性が向上し、雌型の熱による溶融も起こしにくいため好ましい。この場合、前記積層体の上にも紙製シートが積層され、この紙製シートとともに前記積層体を成形することがより好ましい。特に、本実施形態では雄型1を加熱するため、原料フィルムまたはシート積層体10aの上に紙製シートが積層されていると雄型1および2の熱による溶融が起こりにくく好ましい。前記紙性シートの積層は、原料フィルムまたはシートがOPフィルム等の融点が低い原料フィルムまたはシートである場合に特に有効である。なお、本発明では、前述の通り、「フィルム」と「シート」とでは、厚みによる厳密な区別はなく、前記「紙製シート」の厚みは、例えば0.2mm以下または0.25mm以下であっても良いし、それ以上であっても良い。
【0028】
また、本発明では、雌型、雄型およびひだ付きカップ半成形品保持部材の加熱温度は、原料フィルムまたはシートの種類にもよるが、例えば以下の通りである。すなわち、雌型の加熱温度は、例えば100〜300℃、好ましくは100〜250℃であり、原料フィルムまたはシートの材質がOPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)である場合は、例えば170〜210℃、好ましくは175〜205℃、特に好ましくは180〜200℃である。雄型の加熱温度は、例えば50〜150℃、好ましくは70〜150℃、特に好ましくは100〜120℃である。ひだ付きカップ半成形品保持部材の加熱温度は、例えば50〜250℃、好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは120〜180℃、特に好ましくは140〜160℃である。なお、本発明では、前述の通り、前記ひだ付きカップ半成形品保持部材を用いることにより、プレス加工機内におけるひだ付きカップ半成形品保持時間を長くできるので、前記雌型等の加熱温度は、従来技術と比べて低めでも、ひだ付きカップ側面が開きにくい。低めの加熱温度でひだ付きカップを製造すれば、さらに溶融や詰まりを起こしにくく、ひだ付きカップ製品の品質がより安定するという効果がある。
【0029】
次に、図2(B)に示すように、押出部2を雄型1に挿入したまま、それらを共に下降させる。そして、雄型1の型面を雌型3の型面に一定時間押し当て、原料フィルムまたはシート積層体10aを加熱および加圧することにより凹凸を形成して、加熱加圧した積層体10bとする。このとき加熱および加圧する時間は、原料フィルムまたはシートの材質等によっても異なるが、例えば2〜6秒、好ましくは2〜5秒、より好ましくは2〜4秒、特に好ましくは2〜3秒である。
【0030】
さらに、図2(C)および(D)に示すように、雄型1を雌型3に押し当てたまま押出部2を押し下げて、加熱加圧した積層体10bを雌型3の縦孔に引きずり込み、押出部2と雌型3とで押さえつけて、ひだ付き側面が底面と垂直に立ったひだ付きカップ半成形品10cとする。そして押出部2を引き上げると、側面が垂直に立ったひだ付きカップ半成形品10dができる。ここで、ひだ付きカップ半成形品10cを押さえつける時間、すなわち、ひだ付きカップ半成形品10cを形成した後、押出部2を雌型3の縦孔から抜いて引き上げるまでの時間(以下、「雌型内押圧時間」と言うことがある)は、前記従来技術と比べ大幅に短くて良い。本発明は、熱に弱く雌型内押圧時間を長くしにくい原料フィルムまたはシート、例えば生分解性フィルムや融点の低いOPフィルム等に効果的である。特に、生分解性フィルムは、熱に弱いため、従来技術ではひだ付きカップに成形することが難しかったが、本発明によれば成形しやすい。例えば、ポリ乳酸フィルムの場合、従来技術では、雌型内押圧時間は、ひだ付きカップ側面を開かなくするために通常2〜3秒またはそれよりも長く必要であるが、雌型内押圧時間を長くすると溶融や変質を起こしやすいという問題があった。しかし、本発明によれば、雌型内押圧時間が極めて短くてもひだ付きカップ側面が開くことなく製造できるため、溶融等も起こりにくい。すなわち、本発明では、熱に弱い原料フィルムまたはシートを用いた場合でも安定した品質でひだ付きカップを製造することが可能であり、かつ、製造効率もよい。本発明では、前記雌型内押圧時間は特に限定されず、原料フィルムまたはシートの材質等によっても大きく異なるが、前述の通り、従来技術と比較して大幅に短くてよい。本発明における前記雌型内押圧時間は、前記原料フィルムまたはシートがOPフィルムの場合は、例えば1〜6秒、好ましくは1〜5秒、より好ましくは1〜4秒、さらに好ましくは2〜3秒であり、ポリ乳酸フィルムである場合は、例えば0.1〜0.6秒、好ましくは0.1〜0.5秒、より好ましくは0.1〜0.4秒、さらに好ましくは0.2〜0.3秒である。
【0031】
そして、図2(A)〜(D)の工程をさらに何度か繰り返すと、ひだ付きカップ半成形品10dは順次下方に送られ、最終的に筒9の下部から押し出されて製品(ひだ付きカップ)10eとなる。この間に、雌型3および筒9内部でひだ付きカップ半成形品10dの側面が立った状態に固定され、プレス加工機から押し出されても開かない。ただし、ひだ付きカップ10eの側面は完全に垂直でなくても良く、実用に差し支えない範囲で若干開いても良い。また、ひだ付きカップ10eは、製造直後には複数個のひだ付きカップが積層された状態であるため、使用するときには通常は1個ずつ分離する。
【0032】
本発明の製造方法では、雌型内押圧時間が極めて短いことにより、前記工程(1)および(2)を1回行う間に経過する時間も短くて済み、ひだ付きカップ製品の製造効率が良い。この時間は、原料フィルムまたはシートの材質等によって大きく異なるが、例えば2〜30秒、好ましくは3〜20秒、より好ましくは4〜10秒である。
【0033】
また、本発明の製造方法では、雌型縦孔内におけるひだ付きカップ半成形品の保持時間は、原料フィルムまたはシートの材質等によって大きく異なるが、例えば2秒〜2分、好ましくは6秒〜1分、より好ましくは8〜20秒である。この保持時間は、前記加熱加圧した積層体の雌型縦孔内への挿入開始時から、前記ひだ付きカップ半成形品の全体がひだ付きカップ半成形品保持部材内に移動するまでの時間をいう。
【0034】
さらに、本発明の製造方法では、ひだ付きカップ半成形品保持部材縦孔内におけるひだ付きカップ半成形品の保持時間は、原料フィルムまたはシートの材質等によって大きく異なるが、例えば8秒〜7分、好ましくは20秒〜4分、より好ましくは30秒〜2分、特に好ましくは40秒〜1分である。この保持時間は、ひだ付きカップ半成形品の全体がひだ付きカップ半成形品保持部材縦孔内に移動した瞬間から、前記ひだ付きカップ半成形品の全体がひだ付きカップ半成形品保持部材縦孔から露出した瞬間までの時間をいう。
【0035】
なお、本発明の製造方法では、前記工程(1)開始時から前記工程(4)終了時までの時間、すなわち一個の原料フィルムまたはシート積層体がひだ付きカップ製品となるまでの時間は、特に限定されず、原料フィルムまたはシートの材質等によって大きく異なるが、例えば12秒〜10分、好ましくは30秒〜6分、より好ましくは40秒〜3分、特に好ましくは50秒〜2分である。
【0036】
以上のようにして本発明のひだ付きカップ製造方法を実施することができるが、本発明の製造方法はこれに限定されず、本発明の範囲を逸脱しない限りあらゆる変更が可能である。本発明のひだ付きカップ製造方法は、ひだ付きカップ半成形品保持部材を用いることにより、前述の通り、雌型内押圧時間が前記従来技術と比べ大幅に短くて良い。このため、本発明の製造方法によれば、ひだ付きカップ原料1個当たりの加工時間を実質的に短縮することができ、ひだ付きカップの製造効率が良い。さらに、本発明のひだ付きカップは、このような本発明の製造方法により製造されることで、溶融や変質等の不良が発生しにくく品質が安定するという効果を有する。
【0037】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、この実施例はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されない。
【実施例】
【0038】
ヒータ4を備えない以外は図1および2と同様のプレス加工機を使用し、前記実施形態と同様にして、ポリ乳酸から形成されたひだ付きカップを製造した。目的とするひだ付きカップの大きさおよび形状は、底面が直径35mmの円形、側面高さが20mmであり、これに合わせて雄型1および雌型3の大きさおよび形状を選択した。なお、雌型縦孔深さは60mmとした。また、ひだ付きカップ半成形品保持部材(筒)9は、内周直径36mm、縦孔深さ200mmの円筒を用いた。原料フィルムまたはシート積層体は、厚さ40μmのポリ乳酸フィルム(三菱樹脂株式会社製、商品名「エコロージュ」)を36枚重ねて積層体とし、その片側に紙製シートを積層させ、さらにそれを直径74mmの円形にカットしたものを用いた。
【0039】
さらに、筒9を用いない以外は上記と同様のプレス加工機、および原料フィルム積層体(ポリ乳酸フィルム積層体)を使用してひだ付きカップを製造した。以下、筒9を用いて製造した場合を「実施例1」、筒9を用いなかった場合を「比較例1」とする。
【0040】
実施例1および比較例1について、雌型内押圧時間(ひだ付きカップ半成形品10cを押出部2と雌型3とで押さえつけた時間)を、下記表1に示す。なお、このとき、雌型3の加熱温度は150〜200℃、筒9の温度は100〜150℃、原料フィルム積層体を雄型1型面と雌型3型面との間で加熱および加圧する時間は2秒であった。
【0041】
(表1)
雌型内押圧時間 5秒 4秒 3秒 2秒 1秒 0.5秒
実施例1 ---- ---- ---- ---- ---- ○
比較例1 溶融 ○ × × × ×

○ 製品として適切
× 側面が開いてしまい、製品として不適切
溶融 溶融を起こしてしまい、製造失敗
---- 試験せず
【0042】
表1から分かる通り、実施例1では、雌型内押圧時間がわずか0.5秒で、製品として良好なひだ付きカップが得られた。これに対し、比較例1では、雌型内押圧時間4秒を要した。すなわち、実施例では、雌型内押圧時間を比較例の約8分の1に短縮でき、製造効率が大幅に向上したことが分かる。なお、比較例では、雌型3の加熱温度を250〜300℃と高くしても、雌型内押圧時間は、実施例よりも4倍長い2秒を要した。
【0043】
さらに、表1から分かる通り、比較例では、雌型内押圧時間5秒では溶融を起こしてしまい、雌型内押圧時間3秒以下では、ひだ付きカップ側面が開いてしまい、製品として不適であった。また、雌型3の加熱温度を250〜300℃とした場合は、雌型内押圧時間3秒以上では溶融を起こし、雌型内押圧時間1秒以下ではひだ付きカップ側面が開いてしまった。すなわち、ひだ付きカップ製品の品質が不安定であった。これに対し、実施例では、雌型内押圧時間が極めて短くてもひだ付きカップ側面が開かず、さらに、そのことにより、原料の溶融や変質も起こしにくく、ひだ付きカップ製品の品質が安定していた。
【0044】
また、原料フィルムまたはシートの材質、雄型1、雌型3およびひだ付きカップ半成形品保持部材(筒)9の大きさおよび形状、加熱温度等の各種条件を適宜変更して実施例1および比較例1と同様にひだ付きカップを製造した。より具体的には、以下の通りである。すなわち、まず、原料フィルムまたはシート積層体は、OPフィルム等の各種プラスチックフィルムまたはシート、アルミ箔、紙等を適宜な枚数重ねて積層体とし、その片側に紙製シートを積層させたものを用いた。雄型1、雌型3、およびひだ付きカップ半成形品保持部材(筒)9については、目的とするひだ付きカップの大きさ、形状等に合せて種々のものを用い、原料フィルムまたはシート積層体もそれに合わせた大きさにカットして用いた。雌型3の加熱温度は、雌型3および雄型1の大きさおよび形状、原料フィルムまたはシートの材質等に応じ、100〜300℃の範囲で適宜設定した。また、筒9の温度は、雌型3の加熱温度に応じて決まるが、おおむね、雌型3の加熱温度が100〜250℃のとき、筒9の温度は80〜200℃であり、雌型3の加熱温度が250〜300℃のとき、筒9の温度は200〜250℃であった。このようにしてひだ付きカップを製造した結果、いずれの実施例(筒9を用いた場合)においても、実施例1と同様に良好な結果が得られた。各実施例において、必要とする雌型内押圧時間は条件により異なっていたが、いずれの実施例においても、対応する比較例(筒9を用いなかった場合)と比べて大幅に短くて良く、最大でも6秒程度、最小で0.1秒程度であった。そして、いずれの実施例においても、雌型内押圧時間が極めて短くてもひだ付きカップ側面が開かず、さらに、そのことにより、原料の溶融や変質も起こしにくく、ひだ付きカップ製品の品質が安定していた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明した通り、本発明のプレス加工機およびひだ付きカップ製造方法によれば、ひだ付きカップ側面が開くことなく、かつ溶融や詰まりを起こさずに効率よくひだ付きカップを製造できる。また、本発明によれば、ひだ付きカップ製造時の加熱温度を低めにしても効率よく製造することができるため、特に熱による溶融や変質を起こしやすい生分解性プラスチック製ひだ付きカップの製造に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のプレス加工機の一例を示す図であり、(A)は前記プレス加工機の要部の断面図、(B)は(A)における筒9の斜視図である。
【図2】図1のプレス加工機を用いたひだ付きカップ製造工程図である。
【図3】本発明のプレス加工機により製造されるひだ付きカップの一例を示す斜視図である。
【図4】従来のプレス加工機を示す図であり、(A)は前記プレス加工機の要部の断面図、(B)は斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 雄型
2 押出部
3 雌型
4、5 ヒータ
6 心棒
7 ストッパ
8 ばね
9 筒
10a 原料フィルムまたはシート
10b 加熱加圧した積層体
10c、10d ひだ付きカップ半成形品
10e 製品(ひだ付きカップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌型とそれを加熱するヒータと雄型と押出部とを含むひだ付きカップ製造用プレス加工機であり、
前記雌型は、縦孔が形成された縦孔部と、前記縦孔の上端に連続して上向きに広がるテーパ状の型面が形成された型面部とを備え、前記型面にはひだ付きカップ側面の外形状に対応した凹凸溝が放射状に形成されており、
前記雄型は、中央部に縦孔が形成され、雄型型面にはひだ付きカップ側面の内形状に対応した凹凸溝が放射状に形成されており、
前記雌型縦孔と前記雄型縦孔は、それぞれ中心が揃うように配置されており、
前記押出部は、前記雌型縦孔に対し挿抜可能なように前記雄型縦孔内に配置されているプレス加工機であって、
さらに、プレス済みひだ付きカップ半成形品を保持する部材を備え、前記保持部材には前記ひだ付きカップ半成形品を保持するための縦孔が形成されており、前記保持部材は前記雌型の下方に連結され、前記保持部材の縦孔と前記雌型の縦孔とが連通していることを特徴とするプレス加工機。
【請求項2】
前記雌型縦孔の内周に、前記雌型型面の凹凸溝と連続した凹凸溝が前記雌型縦孔の軸心方向に沿って形成されている請求項1に記載のプレス加工機。
【請求項3】
前記押出部は、その外周に、ひだ付きカップ側面の内形状に対応した凹凸溝が前記押出部の軸心方向に沿って形成されている請求項1または2に記載のプレス加工機。
【請求項4】
前記ひだ付きカップ半成形品保持部材縦孔の内周は、前記ひだ付きカップ半成形品の側面を底面と垂直に維持したままその中に保持できる大きさを有し、かつ、前記ひだ付きカップ半成形品側面の凸部とのみ接し凹部とは接しない形状を有する請求項1から3のいずれかに記載のプレス加工機。
【請求項5】
前記雄型を加熱するヒータをさらに備えた請求項1から4のいずれかに記載のプレス加工機。
【請求項6】
前記ひだ付きカップ半成形品保持部材を加熱するヒータをさらに備えた請求項1から5のいずれかに記載のプレス加工機。
【請求項7】
前記雌型を加熱するヒータが、前記ひだ付きカップ半成形品保持部材を加熱するヒータを兼ねる請求項6に記載のプレス加工機。
【請求項8】
前記ひだ付きカップ半成形品保持部材縦孔の深さが、前記ひだ付きカップ半成形品側面高さの4〜13倍である請求項1から7のいずれかに記載のプレス加工機。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のプレス加工機に使用するひだ付きカップ半成形品保持部材。
【請求項10】
下記(1)〜(4)の工程を含む、請求項1から8のいずれかに記載のプレス加工機を用いたひだ付きカップ製造方法。
(1) ひだ付きカップ原料フィルムまたはシートが複数枚積層された積層体を準備し、これを前記雌型の型面と前記雄型の型面との間で一定時間加熱および加圧する工程。
(2) 前記押出部を押し下げ、前記加熱加圧した積層体を前記雌型縦孔の中に引き込み、ひだ付き側面が底面と垂直に立ったひだ付きカップ半成形品とした後、前記押出部を前記雌型縦孔から抜いて引き上げる工程。
(3) 工程(1)および(2)を繰り返すことにより、前記雌型縦孔内のひだ付きカップ半成形品が次のひだ付きカップ半成形品により押し出され、前記ひだ付きカップ半成形品保持部材縦孔内に移動する工程。
(4) さらに工程(1)から(3)を繰り返すことにより、前記ひだ付きカップ半成形品が順次下方へと移動し、最終的に前記保持部材縦孔の下方から押し出されてひだ付きカップ製品となる工程。
【請求項11】
前記積層体を構成するひだ付きカップ原料フィルムまたはシートが、紙、金属およびプラスチックのうち少なくとも一つを含む請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記金属がアルミである請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記プラスチックが、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PCT(ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、HBP(安息香酸ポリエステル)、PC(ポリカーボネート)、PPC(ポリエステルカーボネート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、OPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、PMP(ポリメチルペンテン)、PB−1(ポリブテン−1)、BDR(ブタジエン樹脂)、E/TD(エチレン・テトラシクロドデセン・コポリマー)、AS樹脂(アクリロニトリル・スチレン樹脂)、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PAN(ポリアクリロニトリル)、FR(フッ素樹脂)、MS(ポリメタクリルスチレン)、PMMA(メタクリル樹脂)、PA(ポリアミド樹脂)、PVA(ポリビニルアルコール)、POM(ポリアセタール)、PASF(ポリアリールスルホン)、PAR(ポリアリレート)、およびPEI(ポリエーテルイミド)からなる群から選択される少なくとも一つのプラスチックを含む請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記プラスチックが、生分解性プラスチックである請求項11に記載の製造方法。
【請求項15】
前記生分解性プラスチックが、生分解性ポリ乳酸、生分解性ポリ乳酸延伸フィルム、生分解性熱可塑性スターチインフレーションフィルム、および化学合成インフレーションフィルムからなる群から選択される少なくとも一つを含む請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記積層体の下にさらに紙製シートが積層され、この紙製シートとともに前記積層体を成形する請求項10から15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
前記積層体の上にも紙製シートが積層され、この紙製シートとともに前記積層体を成形する請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記雌型を100〜300℃に加熱する請求項10から17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項19】
前記雄型を50〜150℃に加熱する請求項10から18のいずれかに記載の製造方法。
【請求項20】
前記ひだ付きカップ半成形品保持部材を50〜250℃に加熱する請求項10から19のいずれかに記載の製造方法。
【請求項21】
前記工程(1)において、前記積層体を前記雌型型面と前記雄型型面との間で加熱および加圧する時間が、2〜6秒の範囲である請求項10から20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項22】
前記工程(2)において、前記ひだ付きカップ半成形品を形成した後、前記押出部を前記雌型縦孔から抜いて引き上げるまでの時間が、0.1〜6秒の範囲である、請求項10から21のいずれかに記載の製造方法。
【請求項23】
前記雌型縦孔内におけるひだ付きカップ半成形品の保持時間が2秒〜2分の範囲である請求項10から22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項24】
前記ひだ付きカップ半成形品保持部材縦孔内における前記ひだ付きカップ半成形品の保持時間が8秒〜7分の範囲である請求項10から23のいずれかに記載の製造方法。
【請求項25】
前記工程(1)および(2)を1回行う間に経過する時間が2〜30秒の範囲である請求項10から24のいずれかに記載の製造方法。
【請求項26】
請求項10から25のいずれかに記載の製造方法により製造されるひだ付きカップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−315205(P2006−315205A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137643(P2005−137643)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(593186493)木村アルミ箔株式会社 (3)
【Fターム(参考)】