説明

プレス成形の割れ検知装置およびその方法

【課題】 プレス成形後に生じた割れを正確に検知できるようにする。
【解決手段】 プレス成形されたワークの所定部位を包含し当該ワークからはみ出す検査領域に前記ワークの前面からレーザー光を照射するレーザー光照射手段と、当該検査領域に照射されたレーザー光を前記ワークの背面から受光するレーザー光受光手段と、前記検査領域で受光されたレーザー光に基づいてレーザー光の漏洩面積を演算する漏洩面積演算手段と、良品ワークにおけるレーザー光の漏洩面積を基準漏洩面積として記憶する記憶手段と、前記演算された漏洩面積を当該基準漏洩面積と比較する比較手段と、前記演算された漏洩面積が前記基準漏洩面積よりも大きいときに前記ワークに割れが生じていると判断する判断手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス成形後に生じた割れを正確に検知できるようにしたプレス成形の割れ検知装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車部品(たとえば、シャフト、ギアなど)のワークの加工を行った際に、ワークに発生している割れを検知するには、一般的に下記特許文献1に記載されているような、AE(アコースティックエミッション)の技術を応用した割れ検知装置を用いて行っている。
【特許文献1】特開平8−189921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の割れ検知装置の場合、被検査対象物であるワークからの音響放射波に基づいてその割れの有無を検知するようになっていたため、ワークが硬い材質の場合にはある程度の精度が確保できるが、柔らかい材質の場合にはワークからの音響放射波のレベルが減衰してしまうことから、AEセンサの配置が適切でないとノイズに埋もれてしまって正確な検出が困難であるという問題がある。
【0004】
また、ある程度の検知精度を確保するためには、音響放射波に含まれているノイズの除去が必須であるが、そのノイズを除去する装置は複雑な構成を有しているものであり、また、ノイズはワークの種類(形状や大きさ)によって固有であるため、ワークの種類ごとに最適な設定をしなければならないなど、種々の問題がある。
【0005】
本発明は、以上のような従来の技術の問題点に鑑みて成されたものであり、プレス成形後に生じた割れを正確に検知できるようにしたプレス成形の割れ検知装置およびその方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るプレス成形の割れ検知装置は、プレス成形されたワークの所定部位を包含し当該ワークからはみ出す検査領域に前記ワークの前面からレーザー光を照射するレーザー光照射手段と、当該検査領域に照射されたレーザー光を前記ワークの背面から受光するレーザー光受光手段と、前記検査領域で受光されたレーザー光に基づいてレーザー光の漏洩面積を演算する漏洩面積演算手段と、良品ワークにおけるレーザー光の漏洩面積を基準漏洩面積として記憶する記憶手段と、前記演算された漏洩面積を当該基準漏洩面積と比較する比較手段と、前記演算された漏洩面積が前記基準漏洩面積よりも大きいときに前記ワークに割れが生じていると判断する判断手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するための本発明に係るプレス成形の割れ検知方法は、プレス成形されたワークの所定部位を包含し当該ワークからはみ出す検査領域に前記ワークの前面からレーザー光を照射する段階と、当該検査領域に照射されたレーザー光を前記ワークの背面から受光する段階と、前記検査領域で受光されたレーザー光に基づいてレーザー光の漏洩面積を演算する段階と、良品ワークにおけるレーザー光の漏洩面積である基準漏洩面積を演算された漏洩面積と比較する段階と、演算された漏洩面積が当該基準漏洩面積よりも大きいときに前記ワークに割れが生じていると判断する段階と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように構成された本発明に係るプレス成形の割れ検知装置によれば、レーザー光の漏洩面積に基づいてワークが良品であるのか不良品であるのかが判断できるので、少ない工数で正確にかつ迅速にその判断をすることができる。
【0009】
また、以上のように構成された本発明に係るプレス成形の割れ検知方法によれば、上記と同様に、少ない工数で正確にかつ迅速にその判断をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る方法を用いて割れ検知を行っている状況を示す図であり、図2から図6は、本発明に係る方法の説明に供する図である。
【0011】
検査台下部フレーム10上にはレーザー光を受光するレーザー光受光手段としてのレーザー受光部20A、20B、20C、20D(20C、20Dは図の後ろ側に隠れている)が取り付けられている。さらに、検査台下部フレーム10上にはワークであるプレス成形品200を所定の位置に位置決めするとともにそれを保持するためのネスティングブロック40A、40Bがレーザー受光部20A、20B、20C、20Dを避けるように取り付けられている。ネスティングブロック40A、40B上にはロケートピン45A、45Bが形成されており、プレス成形品200に形成されているロケート穴(図示せず)がこれに係合する。
【0012】
支持部材としての上部フレーム50にはレーザー光を照射するレーザー光照射手段としてのレーザーヘッド60A、60B、60C、60D(60C、60Dは図の後ろ側に隠れている)が取り付けられている。レーザーヘッド60Aとレーザー受光部20A、レーザーヘッド60Bとレーザー受光部20B、レーザーヘッド60Cとレーザー受光部20C、レーザーヘッド60Dとレーザー受光部20Dはそれぞれ組になっている。
【0013】
上部フレーム50は図示されていないレーザーヘッドアクチュエータによって三次元方向に移動自在に支持されており、各レーザーヘッド60A〜60Dから出力されるレーザー光がプレス成形品200の所望の位置に照射されるようにその位置を調整できるようになっている。
【0014】
プレス成形前のテーラードブランクシート100の外観を図2に示す。テーラードブランク材100は、溶接によって複数の鋼板を目的に合わせて仕立てたプレス素材のことを言うが、テーラードブランク材100を利用すれば、一枚の素材の特性を部分的に容易に変えることができるので、素材形状の自由度が大きく、部品点数の削減が期待できる。自動車は車体の場所により要求される特性が異なる場合があるので、最近ではテーラードブランク材100をプレス成形することによって1つの部品を作成している。図2に示すテーラードブランク材100は、板厚の異なる2種類の板材110A、110Bを4箇所120A〜120Dでレーザー溶接することによって作成されている。
【0015】
テーラードブランク材100のプレス成形後の外観を図3に示す。テーラードブランク材100がプレス成形されると図に示すような形状のプレス成形品200が得られる。プレス成形品200は図1のロケートピン45A、45Bと係合するロケート穴210A、210Bを有している。プレス成形品200の繋ぎ合わせ部であるレーザー溶接箇所120A〜120Dはその形状に沿って図に示すように変形する。レーザー溶接箇所120A〜120Dは通常はしっかりと溶接されているので、その部分に割れが生じることはないが、レーザー溶接された部分の近傍は溶接時の熱により硬度が上昇することから板材の伸び特性が低下し、溶接状態によっては割れが生じることがある。また、割れの発生は溶接の条件などでばらつくため、レーザー溶接箇所120A〜120Dに起こりやすいが、正確には場所の特定はできない。本発明は、この割れを容易に検知することができるようにしたものである。
【0016】
この割れを検知するために、図4に示すように、プレス成形品200のレーザー溶接箇所120A〜120D(所定部位)のそれぞれを包含しプレス成形品200からはみ出す検査領域300A〜300Dにレーザーヘッド60A〜60D(図ではレーザーヘッド60Dのみを示す)からレーザー光を照射する。このため、検査領域300A〜300Dは経験上割れが発生しやすいと思われる領域全体をカバーする領域としている。なお、図では、レーザーヘッド60Dからレーザー光が拡散して照射されているかのように描かれているが、実際はレーザースポット光が検査領域内を高速で縦横に走査される。このため、レーザーヘッド60A〜60Dはスポットレーザー光を検査領域内に走査する走査手段を備えている。
【0017】
図5はレーザー溶接箇所120Aに割れが生じていない場合にレーザー受光部20A、20B、20C、20Dが受光する領域を説明するための図であり、図6はレーザー溶接箇所120Aに割れがある場合にレーザー受光部20A、20B、20C、20Dが受光する領域を説明するための図である。
【0018】
図5に示すように検査領域300Aは寸法A×Bの面積(またはa1+a2+a3の面積)である。この検査領域300にレーザー光を照射すると、図5に示す割れのない良品のプレス成形品200の場合、レーザー受光部20Aはプレス成形品200からはみ出す、a1+a3の漏洩面積でそのレーザー光が受光される。ところが、図6に示す割れのある不良品のプレス成形品の200の場合、b1+b3の漏洩面積でそのレーザー光が受光される。この場合、b1はa1と同じ面積であるが、b3の面積は割れの面積の分だけa3の面積よりも大きくなる。したがって、良品のプレス成形品200の漏洩面積(a1+a3)を基準とし、被検査プレス成形品の漏洩面積がそれよりも大きければ不良品と、また同一であれば良品と判断することができる。
【0019】
このような割れを検知する割れ検知装置の概略構成を図7に示す。
【0020】
上部フレーム50はレーザーヘッドアクチュエータ400によって図示三次元方向に移動自在することができる。なお、レーザーヘッドアクチュエータ400は必ずしも上部フレーム50を三次元方向に移動させるものでなくともよく、少なくともそれを2次元方向に移動させるものであれば良い。レーザーヘッド60は、その内部にスポットレーザー光を出力するレーザーダイオードとそのレーザー光を検査領域に走査させる光学系を備えている。レーザー光は、図に示すように、プレス成形品200の所定部位を包含しプレス成形品200からはみ出す検査領域に対してプレス成形品200の前面から照射される。プレス成形品200の下側には検査領域に照射されたレーザー光をその背面から受光するレーザー受光部20が設けられ、プレス成形品200からはみ出して照射されたレーザー光を受光する。
【0021】
漏洩面積演算部500は漏洩面積演算手段として機能するものであって、レーザー受光部20が検査領域で受光したレーザー光の位置情報からレーザー光の漏洩面積(図6のb1+b3)を演算する。基準漏洩面積記憶部510は記憶手段として機能するものであって、良品のプレス成形品200におけるレーザー光の漏洩面積を基準漏洩面積(図5のa1+a3)として記憶する。比較部520は比較手段として機能するものであって、漏洩面積演算部500によって演算された漏洩面積と基準漏洩面積記憶部510に記憶されている基準漏洩面積とを比較する。判断部530は判断手段として機能するものであって、判断部530によって漏洩面積が基準漏洩面積よりも大きいと判断されたときにプレス成形品200の所定部位(レーザー溶接箇所120A〜120D)に割れが生じていると判断する。表示部540は表示手段として機能し、プレス成形品200に割れが生じていると判断されたときに、そのプレス成形品200が不良品である旨を表示する。また、ワーク払い出し装置550はワーク払い出し手段として機能するものであって、不良品と判断されたプレス成形品200を検査ラインから払い出す。
【0022】
形状測定部410はカメラ350が検査領域において受光したレーザー光からプレス成形品200の断面形状を測定する。ワークデータ記憶部420はプレス成形品200各部の板厚、レーザーヘッド60からプレス成形品200までの距離、レーザー照射角などの情報を記憶している。ワーク位置測定部430は繋ぎ合わせ位置検出手段および位置ずれ量演算手段として機能するものであって、形状測定部410で測定されたプレス成形品200の断面形状からレーザー溶接箇所120の繋ぎ合わせ位置を検出し、ワークデータ記憶部420に記憶されている良品のプレス成形品200におけるレーザー溶接箇所120の繋ぎ合わせ位置とこの検出された位置を比較して位置ずれ量を演算する。駆動指示部440は制御手段として機能するものであって、レーザーヘッドアクチュエータ400が把握している現在のレーザーダイオードの位置(内蔵されているレーザーダイオード位置検出手段によって求められる)とワーク位置測定部430で演算された位置ずれ量に基づいて、上部フレーム50の移動方向と移動量を求め、レーザーヘッドアクチュエータ400に移動指示を出力する。
【0023】
次に、上記装置を用いたプレス成形の割れ検知方法を図1〜図10を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図7はレーザー光の照射領域の中心をプレス成形品200の繋ぎ合わせ部と一致させるための処理を示すフローチャートである。
【0025】
まず、図2に示したテーラードブランクシート100をプレス成形し図3に示したプレス成形品200を作成する。作成したプレス成形品200を図1のネスティングブロック40A、40B上でプレス成形品200のロケート穴210A、210Bにロケートピン45A、45Bを係合させて載置する。そして、レーザーヘッド60A〜60Dからそれぞれの検査領域300A〜300Dにレーザー光を照射する。検査領域は、図1および図7に示すように、レーザー溶接箇所120A〜120Dを包含しプレス成形品200をはみ出す領域である。プレス成形品200はロケートピン45A、45Bによって位置決めされるが、ロケート穴210A、210Bとロケートピン45A、45Bとの間には若干の遊びがあるため、また、ロケートピン45A、45Bの開口位置も常に同じ位置だとは限らないため、プレス成形品200の位置決め誤差を吸収するために次のような処理を行う。
【0026】
形状測定部410は、カメラ350から入力した信号に基づいて、図10に示すような検査領域300におけるプレス成形品200の形状を測定する。次に、ワーク位置測定部430は、形状測定部410で測定されたプレス成形品200の形状から繋ぎあわせ部120の位置を検出する。さらにワークデータ記憶部420に記憶されているプレス成形品200各部の板厚t1、t2、レーザーヘッド60からプレス成形品200までの距離L、レーザー照射角θL、θR(θL=θR)を取り出す(S1)。そして、ワーク位置測定部430は、検出した繋ぎあわせ部120の位置と検査領域300の終端の位置とから距離C1を測定する(S2)。そして、ワーク位置測定部430は、繋ぎあわせ部120の位置と検査領域300の終端の位置とから距離C2を求める。C2は次の式を演算することによって求める。
【0027】
C2=(L+t1−t2)・sinθR+L・sinθL−C1
さらに求めた距離C2とC1とからレーザーヘッド60の照射位置と繋ぎ合わせ位置120との位置ずれ量C3を演算する。C3は、C1-C2を演算することによって求めることができる(S3)。
【0028】
ワーク位置測定部430はC3の値が0であるか否かを判断する(S4)。ワーク位置測定部430はC3の値が0でなければ(S4:NO)、ずれ角θ1を算出する。ずれ角θ1はtan−1(C3/L)で求めることができ(S5)、したがって、θLは、θL=θL+θ1によって、また、θRは、θR=θR−θ1によってそれぞれ求めることができる(S6)。
【0029】
ワーク位置測定部430は、駆動指示部440にレーザーヘッド60の照射位置と繋ぎ合わせ位置120との位置ずれを補正するための信号を出力し、レーザーヘッドアクチュエータ400はレーザーヘッド50の位置を、C1とC2とが等しくなるような位置に微調整する(S7)。この微調整はレーザーヘッド60をC3だけ水平方向に移動させても良いし、レーザー光の照射角をθ1だけ調整するようにしても良い。レーザー光の照射角を調整する場合には、レーザーヘッド50内の光学系で調整しても良いし、上部フレーム50のその取り付け角度を傾斜させても良い。
【0030】
以上の処理によってレーザーヘッド60の照射位置と繋ぎ合わせ位置120の位置とが鉛直線上に位置されたら、位置ずれ量C3の値が0になるので(S4:YES)、次に説明する面積測定の処理を実行する(S8)。なお、以上では、C3の値が0になることを条件に面積測定に移行する場合を述べたが、ずれ量C3のOK範囲を設けてもよい。たとえば、−0.05mm<C3、0.05mm>C3の範囲であればOKと判断させるようにしても良い。
【0031】
レーザーヘッド60の照射位置と繋ぎ合わせ位置120の位置とが鉛直線上に位置されたら、ワーク位置測定部430から測定開始指令が出力されるので、漏洩面積演算部500は、この測定開始指令を受けてレーザー受光部20で受光されたレーザー光の漏洩面積を演算する(S11)。比較部520は、基準漏洩面積記憶部510に記憶されている基準漏洩面積(良品のプレス成形品200におけるレーザー光の漏洩面積)と漏洩面積演算部500で演算された漏洩面積とを比較する(S12)。判断部530は漏洩面積の合計が基準漏洩面積と同一であれば(S12:YES)、検査対象となっているプレス成形品200には割れがないので、表示部540にOK表示を表示させる(S13)。一方、判断部530は漏洩面積の合計が基準漏洩面積と同一でなければ(S12:NO)、検査対象となっているプレス成形品200には割れが存在するので、表示部540にNG表示を表示させ(S14)、そのプレス成形品200を検査ラインから払い出させる(S15)。
【0032】
以上のように、本発明によれば、プレス成形後の製品に単にレーザー光を照射し、製品によって遮られなかったレーザー光の受光面積を演算することのみによって製品の良否(割れ発生の有無)が判断できるので、比較的簡単な装置で高精度の検査が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
プレス成形後に生じた割れを比較的簡単かつ正確に検知できるので検査工程で有益に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る方法を用いて割れ検知を行っている状況を示す図である。
【図2】本発明に係る方法の説明に供する図である。
【図3】本発明に係る方法の説明に供する図である。
【図4】本発明に係る方法の説明に供する図である。
【図5】本発明に係る方法の説明に供する図である。
【図6】本発明に係る方法の説明に供する図である。
【図7】プレス成形の割れ検知装置の概略構成図である。
【図8】図7に示した装置の動作フローチャートである。
【図9】図7に示した装置の動作フローチャートである。
【図10】レーザーヘッドの位置調整方法の説明に供する図である。
【符号の説明】
【0035】
10 検査台下部フレーム、
20A、20B、20C、20D レーザー受光部、
40A、40B ネスティングブロック、
45A、45B ロケートピン、
50 上部フレーム、
60A、60B、60C、60D レーザーヘッド、
100 テーラードブランクシート、
120A〜120D レーザー溶接箇所、
200 プレス成形品、
210A、210B ロケート穴、
300A〜300D 検査領域、
350 カメラ、
400 レーザーヘッドアクチュエータ、
410 形状測定部、
420 ワークデータ記憶部、
430 ワーク位置測定部、
440 駆動指示部、
500 漏洩面積演算部、
510 基準漏洩面積記憶部、
520 比較部、
530 判断部、
540 表示部、
550 ワーク払い出し装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス成形されたワークの所定部位を包含し当該ワークからはみ出す検査領域に前記ワークの前面からレーザー光を照射するレーザー光照射手段と、
当該検査領域に照射されたレーザー光を前記ワークの背面から受光するレーザー光受光手段と、
前記検査領域で受光されたレーザー光に基づいてレーザー光の漏洩面積を演算する漏洩面積演算手段と、
良品ワークにおけるレーザー光の漏洩面積を基準漏洩面積として記憶する記憶手段と、
前記演算された漏洩面積を当該基準漏洩面積と比較する比較手段と、
前記演算された漏洩面積が前記基準漏洩面積よりも大きいときに前記ワークに割れが生じていると判断する判断手段と、
を有することを特徴とするプレス成形の割れ検知装置。
【請求項2】
前記ワークはテーラードブランク材を用いてプレス成形されており、前記ワークの所定部位は鋼板の繋ぎ合わせ部を含んだ部位であることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形の割れ検知装置。
【請求項3】
前記判断手段で前記ワークに割れが生じていると判断されたときに、そのワークが不良品である旨を表示する表示手段または前記ワークを払い出す払い出し手段の少なくともいずれか一方をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のプレス成形の割れ検知装置。
【請求項4】
前記レーザー光照射手段は、
レーザー光を出力するレーザーダイオードと、
当該レーザーダイオードを支持する支持部材と、
当該支持部材を少なくとも二次元方向に移動させるアクチュエータと、
前記レーザーダイオードの前記ワークに対する最適な位置を演算する最適位置演算手段と、
前記アクチュエータを動作させて前記レーザーダイオードの位置を演算された最適な位置に設定する制御手段とを有することを特徴とする請求項1に記載のプレス成形の割れ検知装置。
【請求項5】
前記最適位置演算手段は、
前記レーザーダイオードの位置を検出するレーザーダイオード位置検出手段と、
前記ワークの繋ぎ合わせ位置を検出する繋ぎ合わせ位置検出手段と、
前記レーザーダイオードと検出された繋ぎ合わせ位置との位置ずれ量を演算する位置ずれ量演算手段とを有することを特徴とする請求項4に記載のプレス成形の割れ検知装置。
【請求項6】
プレス成形されたワークの所定部位を包含し当該ワークからはみ出す検査領域に前記ワークの前面からレーザー光を照射する段階と、
当該検査領域に照射されたレーザー光を前記ワークの背面から受光する段階と、
前記検査領域で受光されたレーザー光に基づいてレーザー光の漏洩面積を演算する段階と、
良品ワークにおけるレーザー光の漏洩面積である基準漏洩面積を演算された漏洩面積と比較する段階と、
演算された漏洩面積が当該基準漏洩面積よりも大きいときに前記ワークに割れが生じていると判断する段階と、
を含むことを特徴とするプレス成形の割れ検知方法。
【請求項7】
前記レーザー光の漏洩面積を演算する段階の前に、
前記レーザー光の照射位置を最適位置に調整する段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のプレス成形の割れ検知方法。
【請求項8】
前記レーザー光の照射位置を最適位置に調整する段階は、
前記レーザーダイオードの位置を検出する段階と、
前記ワークの繋ぎ合わせ位置を検出する段階と、
前記レーザーダイオードと検出された繋ぎ合わせ位置との位置ずれ量を演算する段階と、
前記レーザーダイオードの位置を当該位置ずれ量だけ移動させる段階と、
を含むことを特徴とする請求項7に記載のプレス成形の割れ検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−145326(P2006−145326A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334305(P2004−334305)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】