説明

プレス成形方法

【課題】プレス金型の局所領域を可動ポンチとして駆動させ、材料の成形限界を向上させるとともに、割れやしわといった成形不具合を回避して、できるだけ少数の工程で複雑形状を成形する。
【解決手段】可動ポンチ9を内蔵する金型を有するプレス成形装置を用いて、プレス成形装置のダイ13とブランクホルダ10でブランク4のしわ押えをし、プレス成形装置が下死点に達していない段階で可動ポンチ9の先端を金型の表面より突出先行させた状態でブランク4に接触させ、可動ポンチ9と正対する凹凸領域を作る位置のブランクをダイ側へ呼び込み予備成形を行う。その後、プレス成形装置が下死点に近づくと、ポンチ6とダイ13によるパネル部品全体の成形が開始され、可動ポンチ9はブランク4に対して加圧保持したまま、プレス成形装置のストロークに応じて、金型へ退避しながらブランク4を最終形状のパネル部品まで成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動ポンチを内蔵する金型を有するプレス成形装置を用いて自動車部品等のパネル形状の複雑さから割れやしわが発生する凹凸領域と寸法精度不良が予測される領域とを含むパネル部品を成形するプレス成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス成形における不具合現象は、割れやしわが代表的である。特に、割れについては一度発生すると後工程で修復が不可能となるため、生産準備段階での工程設計では不良現象を事前に予測し、未然に防ぐ対策が取られている。
【0003】
しかし、十分な対策を施したプレス金型の製作を行っても、成形トライアル段階で実際に成形を行うと不測の事態が発生することは多々ある。
【0004】
このような事態に対しては、加工現場でのプレス金型の修正作業により対処しているものの、場合によっては成形方案の大幅な見直しが必要になる。具体的な対策手法としては複数の工程に分割して成形を行い、材料の変形挙動を制御することが考えられるが、工程の追加は新規金型を製造することであり、製造コスト削減や生産リードタイム短縮を大きく阻害する要因となる。
【0005】
図19は従来成形方法で円筒容器形状に成形する一連の成形プロセスである。
【0006】
図19(A)は、ポンチ6、ブランクホルダ10がプレス成形装置の上死点にある状態で、型開きの状態である。円形ブランク4をダイ13のしわ押え面にセットしている。
【0007】
図19(B)はブランクホルダ10が下降し、円形ブランク4に一定のしわ押え力が負荷された後、ポンチ6が下降して材料と接触して成形を開始する段階である。
【0008】
図19(C)はプレス成形装置のストロークが進行し、ポンチ6先端がダイ13側に侵入した状態である。しわ押え部の材料は、ポンチ6によりダイ13側に絞り込まれる。しわ押え部の材料の変形様式は典型的な絞り変形である。応力状態は円形ブランク4の半径方向に引張応力が、円周方向に圧縮応力が作用するため、伸び−縮み変形が発生する。そして、ダイ13肩部に達した材料は曲げ曲げ戻し変形を受けて、ポンチ6とダイ13のクリアランスに流入する。
【0009】
図19(D)はポンチ6が下死点に至り、成形が完了した状態である。ポンチ6頭部と接触している領域の材料には、ほとんど変形は与えられないまま成形が完了する。円筒容器の縦壁部は、しわ押え部の材料で形成させている。
【0010】
図20は従来成形方法で複雑な形状の自動車プレス部品aを成形する一連の成形プロセスである。
【0011】
図20(A)は上型ダイ21が下降し、ブランクホルダ10によってブランク4に一定のしわ押え力が負荷された後、下型固定ポンチ22とブランク4が接触して成形を開始する段階である。
【0012】
図20(B)は、下型固定ポンチ22と材料が接触すると、パネルの外周部は絞り成形が開始する。この時、パネル中央部には、十分なブランクの呼び込みが確保されないまま成形が進行する。
【0013】
図20(C)は、上型ダイ21が下死点に至り、成形が完了した状態である。
【0014】
図21は、従来成形方法で成形した自動車プレス部品aの外観図であり、パネル中央部に大きな割れが発生している。モジュール化の追求や部品機能の追加に伴い、パネル形状はますます複雑なものとなり、従来成形方法では割れやしわといった成形不良の発生に対応することが困難である。
【0015】
図22では、パネル全体に大きな絞り高さが必要で、且つ、大きな凹凸領域を複数有する複雑な形状の自動車プレス部品bの成形を従来成形方法で行う場合の工程を示している。このような部品を成形する場合、1工程目で2つの突起形状を形成し、2工程目でパネル外周部を浅く絞りながら1工程目で形成した突起形状の外径を小さく絞り込み、3工程目でパネル外周部を深く絞り込むという3つの工程を要していた。
【0016】
また、プレス加工機のプレスストローク以上の絞り深さを有する製品パネルを2次加工を必要とせずに成形可能なプレス加工機が開示されている(特開平8−206746号公報)。
【0017】
ブランクホルダがブランクの周縁部を押圧する前は、パンチの先端部に設けた予備曲げ部材がブランクに接触してこれを押圧して予備曲げを行い、引き続きパンチとダイで深絞りを行っている。パンチでブランクをダイの中へ先行して導入することで深絞りを実現している。この際予備曲げ部材は、絞り成形圧力によりその先端部がパンチの先端部と面一に変位している。
【特許文献1】特開平8−206746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従来の円筒容器形状の成形方法では、底部分の材料の伸びを引き出すことができず、材料の歩留りが悪化してしまうという課題を有する。材料歩留りを向上させるためには、しわ押え力を増加させることにより材料に半径方向の張力を与えることを要するが、過大なしわ押え力は、しわ押え部での金型工具と材料の摩擦力を誘発させる原因となり、ポンチ6肩部での材料の破断を伴ってしまう。
【0019】
また、従来成形方法で複雑な形状の自動車プレス部品a等を成形すると、成形過程でダイ側に十分なブランクの流入が見込めず、パネル中央の凹凸部にはひずみが集中してしまい、材料が破断して大きな割れが発生するという問題がある。既に上述したが、図21のようにパネル中央部に大きな割れが発生し、成形不良を避けることができない。モジュール化の追求や部品機能の追加に伴い、パネル形状はますます複雑なものとなり、従来成形方法では割れやしわといった成形不良の発生に対応することが困難である。
【0020】
また、パネル全体に大きな絞り高さが必要で、且つ、大きな凹凸領域を複数有する複雑な形状の自動車プレス部品b等を従来成形方法で行う場合、割れやしわの両方を抑制するには、多段工程とせざるをえず、各工程で段階的にスムーズな材料流入を確保させる一方で、割れとしわの両方を抑制しながら形状を与えなければならないという課題を有する。多段工程にわたるプレス金型の設計製作は、後工程での成形性に配慮した取り組みが必要であり、各工程で最適な金型形状の決定には非常に多くの労力と時間が費やされ製造コストの増大に繋がっていた。
【0021】
更に、特許文献1の発明では、ブランクを先行してダイの中へ導入して予備曲げを行っているが、ここでは深絞りができるよう、単にブランクを押し込んでいるだけであり、ブランクの伸びを引き出していない。このため、成形品の底面等ではブランクの伸びを引き出せず、材料の歩留りの悪化を招くという課題を改善できていない。適切にブランクの伸びを引き出せないため、局所的なしわやひずみを解消できず、複雑な形状の成形を少ない工程数で行えばブランクを破断させてしまう。よって、複雑な形状のパネルを成形するには、多くの工程数を経て成形せざるをえないという問題がある。
【0022】
また、断面がハット状のパネル部品を成形すると、パネル縦壁部は曲げ曲げ戻し変形を受けて成形されるため、スプリングバックや壁反り等を起こすという問題がある。特に、強度を求められる自動車パネル部品等では高強度な素材が用いられるが、高強度な素材の成形では、スプリングバック現象が顕著に現れ、寸法精度不良の対処が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、可動ポンチを内蔵する金型を有するプレス成形装置を用いてほとんど変形していない領域とパネル形状の複雑さから割れやしわが発生する凹凸領域と寸法精度不良が予測される領域とを含むパネル部品をプレス成形する方法において、前記プレス成形装置のダイとブランクホルダでブランクをしわ押えをし、前記プレス成形装置が下死点に達していない段階で前記可動ポンチの先端が前記金型の表面より突出先行した状態で前記ブランクに接触して、前記可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置のブランクを前記ダイ側へ呼び込んで予備成形を行い、前記プレス成形装置が下死点に近づくと、ポンチとダイによるパネル部品全体の成形が開始され、前記可動ポンチは前記ブランクに対して加圧保持したまま、前記プレス成形装置のストロークに応じて、前記可動ポンチを内蔵している金型へ退避しながら前記ブランクを最終形状のパネル部品まで成形することを特徴とする。
【0024】
また本発明は、前記可動ポンチはコイルスプリング、ガススプリング、あるいは油圧シリンダによるスライド駆動をすることを特徴とする。
【0025】
更に本発明は、前記予備成形では、しわ押え部からの材料流入を伴わず前記可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置の前記ブランクを板厚減少させ表面積増加による張出し成形を行うことを特徴とする。
【0026】
更に本発明は、可動ポンチを内蔵する金型を有するプレス成形装置を用いてほとんど変形していない領域とパネル形状の複雑さから割れやしわが発生する凹凸領域と寸法精度不良が予測される領域とを含む断面がハット状のパネル部品をハット曲げ成形によりプレス成形する方法において、前記プレス成形装置のダイとブランクホルダでブランクをしわ押えをし、前記プレス成形装置が下死点に達していない段階で前記可動ポンチの先端が前記金型の表面より突出先行した状態で前記ブランクに接触して、前記可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置のブランクを前記ダイ側へ呼び込んで予備成形を行い、前記プレス成形装置が下死点に近づくと、ポンチとダイによるパネル部品全体の成形が開始され、前記予備成形で前記ブランクがダイ肩部を通過して縦壁部へ流入する際、ダイ肩R部で曲げ変形、ダイ肩R部から縦壁部にかけて曲げ戻し変形を受けながら流入して、一時的に板厚方向の応力分布が、不均一な状態となったパネル縦壁部に該当する領域に、ポンチ先端R部で、前記予備成形と逆方向に曲げ曲げ戻し変形を与え、前記パネル縦壁部に該当する領域に残留する板厚方向の応力分布の差を小さくするように、且つ、前記可動ポンチは前記ブランクに対して加圧保持したまま、前記プレス成形装置のストロークに応じて、前記可動ポンチを内蔵している金型へ退避しながら前記ブランクを最終形状のパネル部品まで成形することを特徴とする。
【0027】
更に本発明は、複数の可動ポンチを内蔵する金型を有するプレス成形装置を用いてほとんど変形していない領域とパネル形状の複雑さから割れやしわが発生する凹凸領域と寸法精度不良が予測される領域とを含むパネル部品をプレス成形する方法において、前記プレス成形装置のダイとブランクホルダでブランクをしわ押えをし、前記プレス成形装置が下死点に達していない段階で、一の可動ポンチの先端が金型の表面より突出先行した状態でブランクを加圧保持してブランク内部の局所領域にしわが発生しないようにしわ押え制御しつつ、他の可動ポンチの先端が前記金型の表面より突出先行した状態で前記ブランクに接触して前記可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置のブランクを前記ダイ側へ呼び込んで予備成形を行い、前記プレス成形装置が下死点に近づくと、ポンチとダイによるパネル部品全体の成形が開始され、前記可動ポンチは前記ブランクに対して加圧保持したまま、前記プレス成形装置のストロークに応じて前記ブランクを最終形状のパネル部品まで成形することを特徴とする。
【0028】
更に本発明は、前記予備成形ではブランクの流入を抑制しないように、前記他の可動ポンチが一旦金型へ退避した後、前記他の可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置のブランクを前記ダイ側へ呼び込んで予備成形を行うことを特徴とする。
【0029】
更に本発明は、前記可動ポンチはコイルスプリング、ガススプリング、あるいは油圧シリンダによるスライド駆動をすることを特徴とする。
【0030】
更に本発明は、前記予備成形では、しわ押え部からの材料流入を伴わず前記他の可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置の前記ブランクを板厚減少させ表面積増加による張出し成形を行うことを特徴とする。
【0031】
更に本発明は、複数の可動ポンチを内蔵する金型を有するプレス成形装置を用いてほとんど変形していない領域とパネル形状の複雑さから割れやしわが発生する凹凸領域と寸法精度不良が予測される領域とを含む断面がハット状のパネル部品をハット曲げ成形によりプレス成形する方法において、前記プレス成形装置のダイとブランクホルダでブランクをしわ押えをし、前記プレス成形装置が下死点に達していない段階で、一の可動ポンチの先端が金型の表面より突出先行した状態でブランクを加圧保持してブランク内部の局所領域にしわが発生しないようにしわ押え制御しつつ、他の可動ポンチの先端が前記金型の表面より突出先行した状態で前記ブランクに接触して前記可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置のブランクを前記ダイ側へ呼び込んで予備成形を行い、前記プレス成形装置が下死点に近づくと、ポンチとダイによるパネル部品全体の成形が開始され、前記予備成形で前記ブランクがダイ肩部を通過して縦壁部へ流入する際、ダイ肩R部で曲げ変形、ダイ肩R部から縦壁部にかけて曲げ戻し変形を受けながら流入して、一時的に板厚方向の応力分布が、不均一な状態となったパネル縦壁部に該当する領域に、ポンチ先端R部で、前記予備成形と逆方向に曲げ曲げ戻し変形を与え、前記パネル縦壁部に該当する領域に残留する板厚方向の応力分布の差を小さくするように、且つ、前記可動ポンチは前記ブランクに対して加圧保持したまま、前記プレス成形装置のストロークに応じて、前記可動ポンチを内蔵している金型へ退避しながら前記ブランクを最終形状のパネル部品まで成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明による可動ポンチを用いた成形方法では、ブランクをしわ押えして、可動ポンチを金型より突出先行した状態でブランクを張出し、予備成形を行う。このため、従来ではほとんど変形していない製品の底面等の領域についても、ブランクの板厚減少による表面積増加を導くことが可能となり、成形パネルの広い範囲に均一な変形を与えることができ、材料歩留りの向上を実現している。
【0033】
また、本発明による可動ポンチを用いた成形方法では、可動ポンチを金型より突出先行した状態で、ダイ側にブランクの流入を促進させるため、複雑な形状のパネルを割れやしわを発生させることなく成形できる。
【0034】
更に、本発明による可動ポンチを用いたプレス成形方法はハット曲げ成形を行う際に、スプリングバックの抑制ができるので、成形パネルの縦壁部やフランジ部では、高い寸法精度を確保することが可能である。
【0035】
更に、本発明による複数の可動ポンチを用いたプレス成形方法では、凹凸領域が複数存在する場合であっても、少ない工程で成形でき、工程削減による生産リードタイム短縮と金型製作費の削減を実現している。その理由は、1の可動ポンチは凸部と凸部の間のしわが発生しやすい箇所を先行して押え、成形パネル内部の局所領域のしわ押え、あるいは板押えとして機能させ、そのまま加圧保持した状態で成形することができる。更に、別の可動ポンチは金型内に退避しつつブランクをダイ側に呼び込み、その後突出してブランクを張出し、ブランクを予備成形できる機能を持つ。これにより、ブランクの流入をスムーズにし、目的の形状に成形することを容易化する。
【0036】
更に、本発明による可動ポンチを用いたプレス成形方法では、可動ポンチのスライド駆動機構としてコイルスプリング、ガススプリング、あるいは油圧シリンダを採用しているので、プレス機械の改造や大規模な付帯設備を必要としないため最小限の設備投資で効果を得ることができるとともに、従来の成形方法と同等の量産性を確保することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1を参照して本発明による第1実施形態としてのプレス成形装置の概略的構成について説明する。本実施形態は図示しないダブルアクションのプレス加工機に取り付けられ、プレス成形装置は成形加工開始前の停止した状態であり、スライド機構を持つテーブルが上死点に至り、型開きの状態である。なお、第1実施形態に使用する可動ポンチを可動ポンチaとする。
【0038】
プレス成形装置の主な構成は次のとおりである。プレス成形装置のテーブル面は、インナースライドテーブル1、アウタースライドテーブル2及びボルスタ3であり、ダブルアクション機能を持つスライドテーブルは、インナースライドテーブル1とアウタースライドテーブル2である。インナースライドテーブル1には材料を目的の形状にプレス成形するため大きな成形荷重が与えられる。アウタースライドテーブル2には成形中のしわ発生を防止するため、必要なしわ押え力が与えられる。インナースライドテーブル1とアウタースライドテーブル2はそれぞれ独立して上下動する機構となっている。
【0039】
成形パネルのモデル形状は円筒容器であり、円形ブランク4から成形を行う。成形加工に必要な金型工具の取り付け状況は次のとおりである。インナースライドテーブル1の下面側にはポンチハウジング5が保持されている。ポンチハウジング5には、ポンチ6とガススプリング7が取り付けられている。なお、ガススプリング7に換え、出力できる形態としては油圧シリンダやコイルスプリングと言った弾性体でも良い。ポンチ6はガススプリング7と可動ポンチa9を内包する構造となっている。可動ポンチa9はガススプリングピストンロッド8先端に支持されており、可動ポンチa9先端部はポンチ6先端部より突出先行させて配置している。アウタースライドテーブル2下面にはブランクホルダ10が保持されている。プレス成形装置のボルスタ3の上には、ダイテーブル11、ダイホルダ12、ダイ13及びダイパッド14が固定保持されている。ポンチ6やブランクホルダ10の正対する位置にはダイ13が存在する。
【0040】
図2を参照して、第1実施形態のプレス成形方法について説明する。図2(A)〜(E)に各ステップの状況を示す。
【0041】
先ず、図2(A)の型開き状態でダイ13のしわ押え面に被加工材となる円形ブランク4をセットする。
【0042】
図2(B)では成形加工前のステップに移る。アウタースライドテーブル2が下降して、円形ブランク4をブランクホルダ10とダイ13によって挟み込み、しわが発生がしないように一定のしわ押え力を負荷する。続いて、インナースライドテーブル1が下降する。この時、インナースライドテーブル1下面の可動ポンチa9、ガススプリング7、ポンチ6及びポンチハウジング5も連動して下降する。
【0043】
図2(C)では、更にインナースライドテーブル1が下降し、円形ブランク4に外力を与えて塑性変形させるステップに移る。可動ポンチa9先端部が円形ブランク4に接触し、円形ブランク4をダイ13側に張り出すように予備成形を行う。ここで、可動ポンチ9、ダイ13等を含む装置からみるとブランク4を予備成形することになるが、逆にブランク4からみると予備変形が与えられていることになる。この段階では、ポンチ6先端部は円形ブランク4に接触していない。ブランクホルダ10とダイ13とが円形ブランク4の周縁部を押え、ダイ13側へのブランクの流入を抑制していること、及び、可動ポンチa9がポンチ6より突出先行することにより、円形ブランク4のある一定の領域に塑性変形を与えることができ、伸びを引き出すことができる。
【0044】
インナースライドテーブル1が徐々に成形ストロークを進行させると、円形ブランク4には変形抵抗力が発生する。変形抵抗力は反力としてインナースライドテーブル1の進行方向と逆方向へ作用する。ガススプリング7の初期荷重が円形ブランク4の変形抵抗力より大きい場合には、ガススプリングピストンロッド8は、ガススプリング7に吸収されることなく成形が進行する。この時、可動ポンチa9の先端部の領域には、等二軸引張り力が作用するため、円形ブランク4には半径方向に伸び変形が与えられ、板厚が減少し、表面積増加による張出し成形が行われる。
【0045】
ガススプリング7の初期荷重が円形ブランク4の変形抵抗力より小さい場合には、ガススプリングピストンロッド8は、ガススプリング7の荷重−ストローク曲線に応じてガススプリング7内に吸収される。そして、円形ブランク4の変形抵抗力とガススプリング7の出力が釣り合った状態で成形が進行する。
【0046】
図2(B)〜(C)の成形過程では、ブランクホルダ10によりしわ押えされた円形ブランク4のフランジ部は、ほとんど材料流入しない。このため、可動ポンチ成形方法の初期過程では、可動ポンチa9が接触している領域の張出し成形が行われている。円筒容器の高さは、張出し成形によって半球状の形状が造形される。
【0047】
図2(D)の段階では、インナースライドテーブル1が更に成形ストロークを進め、可動ポンチa9がダイ13の底部に達した状態、あるいは、円形ブランク4の変形抵抗により可動ポンチa9がポンチ6内に収納されながら成形している状態である。
【0048】
ポンチ6先端部がしわ押え面まで達すると、しわ押え部の材料をダイ13側に流入させるため絞り成形が開始する。しわ押え部の円形ブランク4の変形様式は、半径方向に伸び変形が、円周方向に縮み変形が発生する。これにより円形ブランク4は通常の絞り成形によって、しわ押え部からの材料流入により円筒容器縦壁部とフランジ部が形成され始める。
【0049】
図2(E)のように、プレス成形装置のストロークが下死点まで進行し、ポンチ6先端部がダイ13底部まで達すると、成形が完了する。
【0050】
図2(D)〜(E)でのステップでは、変形様式は絞り成形によるものが主体であるが、図2(B)〜(C)でのステップにおいて可動ポンチa9が突出先行して形成された領域は、後続のポンチ6によって、円形ブランク4をダイ13の形状に沿うように成形される。図2(B)〜(C)の間に張出し成形された領域の一部は、円筒容器の縦壁部となるため、しわ押え部からの余分な材料流入は抑制でき、材料歩留りの向上に寄与できる。
【0051】
成形加工を終了した後、インナースライドテーブル1とアウタースライドテーブル2が共に上昇して、図2(A)の成形加工開始位置まで戻る。成形加工された円筒容器を取り出し、新たな円形ブランクをセットして次のサイクルに入る。
【0052】
以上、説明した第1実施形態は、様々な成形条件を変えて実施することができる。図1、図2では、基礎的な形状である円筒容器を成形するためのプレス成形装置として説明したが、実用的な製品をプレス成形する場合にも適用できる。
【0053】
図3は複雑な形状で成形が困難な自動車プレス部品aである。このようなモデル形状に対しても、本発明である可動ポンチ成形方法を適用すると、成形不良を防止することができる。自動車プレス部品aに第2実施形態を適用したものを図4、図5を参照して説明する。なお、第2実施形態で用いる可動ポンチは可動ポンチbとする。
【0054】
図4を参照して、本発明による第2実施形態のプレス成形装置の概略を説明する。第2実施形態は可動ポンチをシングルアクション構造の絞り金型に取り付けたものである。なお、シングルアクションのプレス加工機は図示しない。金型の配置は、スライドテーブルに上型ダイ21を、ボルスタに下型固定ポンチ22、そしてクッションパッド上に支持したクッションピン23にブランクホルダ10を設置した構造である。下型固定ポンチ22の内部に可動ポンチb25と可動ポンチb25のスライド機構を組み込んだ構造である。ここでは、スライド機構には油圧シリンダ26を採用し、可動ポンチb25は油圧シリンダロッドピン24で支持されている。被加工材となるブランク4は、下型固定ポンチ22とブランクホルダ10上にセットされる。
【0055】
次に、図5を参照して第2実施形態の可動ポンチ成形方法の作動機構について説明する。図5(A)〜(D)は各ステップの状況を示す。
【0056】
図5(A)は、プレス加工機のスライドに取り付けられた上型ダイ21が成形加工開始となる上死点から下降し、ブランク4をしわ押えした状態にある。この時、可動ポンチb25は可動ポンチスライド機構の上死点にある。
【0057】
図5(B)は、上型ダイ21が下降し、ブランクホルダ10により一定のしわ押え力を負荷しながら成形を開始している。材料の破断が予測されるパネル中央の凹凸部には、可動ポンチb25が下型固定ポンチ22より先行して、凹凸部周辺の材料を上型ダイ21に突出し、可動ポンチb25先端部の凸形状が上型ダイ21凹形状にブランク4を呼び込み、予備成形が開始される。この時、しわ押え部から上型ダイ21側への材料流入は発生しないが、可動ポンチb25が先行して材料に接触し、張出し成形を行うことで、凹凸部周辺の材料は金型工具に拘束されていないため、自由に伸び変形を与えられる。この時、上型ダイ21と下型固定ポンチ22による絞り成形は開始していない。
【0058】
図5(C)は、更に上型ダイ21が下降し、上型ダイ21と下型固定ポンチ22による絞り成形が開始した状態である。可動ポンチb25は油圧シリンダ26により、一定の押し出し力を負荷した状態で、パネル中央の凹凸部の成形を継続している。上型ダイ21の更なる下降は、可動ポンチb25を下型固定ポンチ22内に押し込み、連結している油圧シリンダロッドピン24はスライド機構を持つ油圧シリンダ26内に吸収される。
【0059】
図5(D)は、上型ダイ21が下死点に達した状態である。成形パネル中央の凹凸部は可動ポンチb25によって、下死点に達する手前で、凹凸形状の形成を完了している。この段階では、パネル全体の絞り成形が行われ、不良現象が発生することなく成形が行える。
【0060】
自動車プレス部品aは中央部に深い凹凸形状が存在し、また外形には大きな絞り深さが必要とされ、成形難易度が高いモデル形状であるが、可動ポンチb25の効果によりパネルの広範囲に渡り伸び変形が助長され、また局所的に発生するひずみの集中を拡散させたため、不具合なく成形が完了した。
【0061】
次に、図6を参照して本発明による第3実施形態としてのハット曲げプレス成形装置の概略的構成について説明する。本実施形態は図示しないダブルアクションのプレス加工機に取り付けられ、プレス成形装置は成形加工開始前の停止した状態であり、スライド機構を持つテーブルが上死点に至り、型開きの状態である。なお、第3実施形態に使用する可動ポンチを可動ポンチcとする。
【0062】
プレス成形装置の主な構成は次のとおりである。プレス成形装置のテーブル面は、インナースライドテーブル1、アウタースライドテーブル2及びボルスタ3であり、ダブルアクション機能を持つインナースライドテーブル1とアウタースライドテーブル2である。インナースライドテーブル1には材料を目的の形状にプレス成形するため大きな成形荷重が与えられる。アウタースライドテーブル2には成形中のしわ発生を防止するため、必要なしわ押え力が与えられる。インナースライドテーブル1とアウタースライドテーブル2はそれぞれ独立して上下動する機構となっている。
【0063】
成形パネルのモデル形状は断面がハット状のパネルであり、矩形ブランク4から成形を行う。成形加工に必要な金型工具の取り付け状況は次のとおりである。インナースライドテーブル1の下面側にはポンチハウジング5が保持されている。ポンチハウジング5には、ポンチ6とガススプリング7が取り付けられている。なお、ガススプリング7に換え、出力できる形態としては油圧シリンダやコイルスプリングと言った弾性体でも良い。ポンチ6はガススプリング7と可動ポンチc41を内包する構造となっている。ここでは可動ポンチc41に角丸立方体を用いている。可動ポンチc41はガススプリングピストンロッド8先端に支持されており、可動ポンチc41先端部はポンチ6先端部より突出先行させて配置している。アウタースライドテーブル2下面にはブランクホルダ10が保持されている。プレス成形装置のボルスタ3の上には、ダイテーブル11、ダイホルダ12、ダイ13及びダイパッド14が固定保持されている。ポンチ6やブランクホルダ10の正対する位置にはダイ13が存在する。
【0064】
図7を参照して、第3実施形態のプレス成形方法について説明する。図7(A)〜(E)に各ステップの状況を示す。
【0065】
先ず、図7(A)の型開き状態でダイ13のしわ押え面に被加工材となる矩形ブランク4をセットする。
【0066】
図7(B)では成形加工前のステップに移る。アウタースライドテーブル2が下降して、矩形ブランク4をブランクホルダ10とダイ13によって挟み込む。この時、ハット曲げ成形時に矩形ブランク4の長手方向に張力を与えながら成形するため、一定のしわ押え力を負荷する。続いて、インナースライドテーブル1が下降する。この時、インナースライドテーブル1下面の可動ポンチc41、ガススプリング7、ポンチ6及びポンチハウジング5も連動して下降する。
【0067】
図7(C)では、更にインナースライドテーブル1が下降し、矩形ブランク4に外力を与えて塑性変形させるステップに移る。可動ポンチc41先端部は矩形ブランク4に接触し、矩形ブランク4をダイ13側へ引き込む。ブランクホルダ10とダイ13によって挟み込まれていた材料がダイ13肩部を通過し、ハット曲げ成形パネル縦壁部となる領域には、予備成形として曲げ曲げ戻し変形が与えられる。曲げ曲げ戻し変形を受けた材料の板厚方向の応力分布は不均一な状態である。また、ブランクホルダ10とダイ13とが矩形ブランク4の端部をしわ押えしているため、矩形ブランク4の長手方向に張力を与えながら成形することができ、伸びを引き出すことは可能である。
【0068】
インナースライドテーブル1が徐々に成形ストロークを進行させると、矩形ブランク4には変形抵抗力が発生する。変形抵抗力は反力としてインナースライドテーブル1の進行方向と逆方向へ作用する。ガススプリング7の初期荷重が矩形ブランク4の変形抵抗力より大きい場合には、ガススプリングピストンロッド8は、ガススプリング7に吸収されることなく成形が進行する。
【0069】
ガススプリング7の初期荷重が矩形ブランク4の変形抵抗力より小さい場合には、ガススプリングピストンロッド8は、ガススプリング7の荷重−ストローク曲線に応じてガススプリング7内に吸収される。そして、矩形ブランク4の変形抵抗力とガススプリング7の出力が釣り合った状態で成形が進行する。
【0070】
図7(B)〜(C)の成形過程では、予備成形として可動ポンチc41だけで矩形ブランク4をダイ13側に向けて屈曲させ、ダイ13側に引き込んでいる。可動ポンチc41の側壁とダイ13の側壁の間には、大きなクリアランスが存在しているため、矩形ブランク4の断面形状は、可動ポンチc41肩部からダイ13肩部にかけて傾斜している。矩形ブランク4は台形状の形状に一時的に造形される。この段階ではまだポンチ6先端部は、矩形ブランク4に接触していない。
【0071】
図7(D)の段階では、インナースライドテーブル1が更に成形ストロークを進め、可動ポンチc41がダイ13の底部に達した状態、あるいは、矩形ブランク4の変形抵抗により可動ポンチc41がポンチ6内に収納されながら成形している状態である。
【0072】
ポンチ6先端R部がしわ押え面まで達すると、しわ押え部の材料を更にダイ13側に引き込み流入させるため、ダイ13肩部では曲げ曲げ戻し成形が継続して行われる。そして、ポンチ6先端R部が図7(B)〜(C)の成形過程で可動ポンチc41肩部からダイ13肩部にかけて傾斜配置した矩形ブランク4まで達すると、ポンチ6先端R部で予備成形とは逆方向の曲げ曲げ戻し変形を与えながら、ダイ13縦壁部に沿わすように成形が進行する。
【0073】
図7(E)のように、プレス成形装置のストロークが下死点まで進行し、ポンチ6先端部がダイ13底部まで達すると、成形が完了する。可動ポンチc41とポンチ6の2段階による曲げ曲げ戻し変形は、ハット曲げパネル縦壁部の板厚方向に残留する応力分布の差を解消する、あるいは小さくすることができるため、離型後のスプリングバックや壁反りと言った寸法精度不良を抑制できるものである。
【0074】
以上、説明した第1〜3実施形態は、可動ポンチを1ユニット用いた場合であるが、この他にも様々な成形条件を変えて実施することができる。
【0075】
図8に示す自動車プレス部品bは、製品形状の特徴としてパネル全体に大きな絞り高さが必要な上、局所的な領域においてはもう一段高くなった形状であり、プレス成形の不良現象として割れとしわが同時に発生しやすいモデルである。本発明では可動ポンチをプレス成形装置の中に複数個配備し、プレス成形装置のストロークによる荷重制御または変位制御により、多段の絞り工程数を削減することも可能である。この自動車プレス部品bに第4実施形態を適用したものを図9、図10を参照して説明する。なお、第4実施形態で用いる可動ポンチは可動ポンチd、可動ポンチeとする。
【0076】
本発明の第4実施形態では、多段絞り成形の中間工程を削減するため、従来の成形方法の中間形状を統合し、可動ポンチ成形方法で平板からの1工程でできるだけ最終形状に近い形状を成形する方法を提供する。
【0077】
図9に本発明による第4実施形態を示す。プレス成形装置は上型ダイ21、下型固定ポンチ22、ブランクホルダ10、可動ポンチd31及び可動ポンチe32から構成される。
【0078】
ブランクホルダ10はボルスタ上に設置されたガススプリング7で支持される。下型固定ポンチ22の内部には、材料のスムーズな流れ込みを図るための可動ポンチd31が油圧シリンダ26上に支持され、プレス加工機のスライドとは独立してスライド駆動する。また、可動ポンチe32は、下型固定ポンチ22の凸部と可動ポンチd31凸部の谷間に配置し、コイルスプリング33で弾性支持している。可動ポンチe32を支持したコイルスプリング33は、上型ダイ21のスライド位置に連動して弾性変形し、コイルスプリング33の縮み量とバネ係数に応じて、材料にしわ押え力を与える。ブランク4は、ブランクホルダ10のしわ押え面にセットされる。なお、第4実施形態はシングルアクションのプレス加工機に取り付けて行った。
【0079】
次に、図10を参照して第4実施形態の可動ポンチ成形方法の作動機構について説明する。プレス金型の形状は、図22に示す従来成形方法の1工程目と2工程目の中間的な金型形状であり、最終の3工程目にできるだけ近い形状である。図10(A)〜(F)は各ステップの状況を示す。
【0080】
図10(A)は、ブランクホルダ10のしわ押え面にセットされたブランク4を、プレス加工機のスライドに取り付けられた上型ダイ21が下降して、しわ押えした状態である。可動ポンチd31、可動ポンチe32は、図10(A)のステップではブランク4に接触していなくても良い。
【0081】
図10(B)では、上型ダイ21が下降して成形を開始する。下型固定ポンチ22の凸部がブランク4と接触し、上型ダイ21の凹部にブランク4を絞り込む。ブランクホルダ10のしわ押え力は過小なためブランク4は比較的流入しやすい状況にある。可動ポンチd31はこの段階では、成形に寄与しない。可動ポンチd31の先端部はブランク4と接触するが、ブランク4流入の妨げにならないように下型固定ポンチ22内に退避する。
【0082】
図10(C)は、上型ダイ21が下降して成形パネルの高さの半分程度を完了した状態である。下型固定ポンチ22凸部は、上型ダイ21凹部に徐々に侵入し成形パネルの凹凸形状の形成が開始する。この時、凹凸部周辺のブランク4は金型工具の拘束が存在しないため、下型固定ポンチ22凸部と可動ポンチd31凸部の谷間には、うねり高さが小さく間隔が大きなしわが発生しようとするが、可動ポンチe32と上型ダイ21で、ブランク4が挟み込まれるため、しわの発生は抑制される。可動ポンチd31は、しわ押え部からの更なるブランク4の流入を促進するため、下型固定ポンチ22内に更に退避する。可動ポンチe32からブランクホルダ10右部にかけてブランク4は直線状である。
【0083】
図10(D)のステップに入ると可動ポンチd31による凹凸形状の形成が開始される。図10(A)〜(C)のステップで下型固定ポンチ22内にスライドし退避していた可動ポンチd31は、上型ダイ21の方向へ急速に突出し始める。可動ポンチd31が突出することにより、上型ダイ21側へのブランク4の流入を促進しつつ、可動ポンチd31と正対する凹凸領域を作る位置のブランク4を上型ダイ21側へ張出し、伸び変形を与え、予備成形を始める。
【0084】
一方、可動ポンチe32は、下型固定ポンチ22凸部と可動ポンチd31凸部の谷間のしわ抑制を継続する。コイルスプリング33には、プレス成形装置のストロークに比例して圧縮荷重が発生し、その反力が可動ポンチe32のしわ押え力となる。
【0085】
図10(E)では、プレス成形装置が下死点に達する手前の様子を示している。下型固定ポンチ22は、上型ダイ21にほとんど侵入し、下型固定ポンチ22の外周には縦壁部が形成されている。このステップでは、縦壁部を除く上型ダイ21側へ新たなブランク4を流入することは不可能である。しかし、図10(A)〜(C)のステップで可動ポンチd31が、ブランク4の流入の妨げにならないように下型固定ポンチ22内に退避し、ブランクホルダ10から上型ダイ21側に十分なブランク4の流入量を確保できている。更に、図10(D)においても、可動ポンチd31が突出することでブランク4の流入量を確保している。このため図10(E)のステップでは、可動ポンチd31周辺部には、凹凸形状を形成するには十分のブランク4が存在する。可動ポンチd31は更に突出し、可動ポンチd31と正対する凹凸領域を作る位置のブランク4を上型ダイ21側へ張出し、予備成形を行う。可動ポンチd31の突出により、ブランク4のある一定の領域に塑性変形を与えることができ、伸びを引き出すことができる。ブランク4には伸び変形が与えられ、板厚が減少し、表面積増加による張出し成形が行われる。
【0086】
図10(F)は、プレス成形装置が完全に下死点に至り、成形が完了した状態である。下型固定ポンチ22凸部と可動ポンチd31凸部が、上型ダイ21凹部に完全に嵌り込む。上型ダイ21の下降と連動して、可動ポンチd31と可動ポンチe32がそれぞれ協調動作することで、1ストロークの中で平板の状態からブランク4のもつ成形限界を最大限引き出し、複雑形状の成形パネルを成形不良を起こすことなく得られる。
【0087】
なお、複数の可動ポンチを配備する場合、図10(F)に至るには、図10(A)〜(E)において各可動ポンチの最適な協調動作が必要であり、これらの動作バランスが崩れると成形の途中の過程で、割れやしわが発生する。一般的に成形難易度が高いプレス製品を対象とする場合に、可動ポンチ成形方法を適用して成形上の問題を解決するためには、できるだけ複数の可動ポンチを配備し、それぞれの可動ポンチが独立したスライド機構を持ち、任意に制御できるプレス成形装置とすることが望ましい。
【0088】
図11は、本発明による第4実施形態の成形方法を適用して自動車プレス部品bを成形した場合の工程を示す図である。従来では図22に示すように成形に3つの工程を要していたが、本発明による第4実施形態の成形方法を用いて成形することにより、2つの工程での成形を可能とした。なお、工程数の削減は図22の従来法の1工程目と2工程目を、本発明では1工程で実現した結果である。
【実施例】
【0089】
実施例により本発明の可動ポンチ成形方法について説明する。
【0090】
(実施例1)
図12に、本発明の第1実施形態で、成形実験に用いたプレス成形装置の金型工具寸法を示す。表1は成形装置の金型工具寸法及び主な成形条件である。
【0091】
【表1】

供試材は公称板厚0.6mmの冷間圧延鋼板SPCP2−3P−3Pであり、表2に機械的性質を示す。
【0092】
【表2】

表2中、tは初期板厚、tは変形後の板厚、YSは降伏強さ、TSは引張強さ、el.は伸び、nはn値(加工硬化指数)、rはr値(ランクフォード値)である。
【0093】
表2に示す機械的性質を有するφ200mmの円形ブランクから、本発明の可動ポンチ成形方法と従来成形方法で円筒容器形状の成形加工を行った実験結果を以下に示す。
【0094】
図13に示す円筒容器中心部Oから半径方向にフランジ端部までの水平距離Lを測定して、本発明により成形が完了したフランジ付き円筒容器と、図19に示す従来成形方法にて成形した円筒容器との形状比較を行った。
【0095】
表3は、本発明により成形が完了したフランジ付き円筒容器と、図19に示す従来成形方法にて成形した円筒容器との形状比較である。ここで、Lは円筒容器の中心からフランジ端までの距離(成形前ブランクの板材圧延方向)、L90は円筒容器の中心からフランジ端までの距離(成形前ブランクの板材圧延直角方向)である。
【0096】
【表3】

可動ポンチ成形方法は、従来成形方法に比べて半径方向で約3〜4mmの伸びを引き出しており、材料の歩留りの向上を確認できる。
【0097】
また、図14に示す円筒容器中心部Oから半径方向にフランジ端部までの総延長距離dを測定して、本発明により成形が完了したフランジ付き円筒容器と、図19に示す従来成形方法にて成形した円筒容器との形状比較を行った。
【0098】
図15は本発明の可動ポンチ成形方法と従来成形方法で成形した円筒容器の板厚ひずみε=(t−t)/tの変化の結果を示す比較図である。ここで、dは円筒容器の中心からの距離、εは板厚ひずみ、tは初期板厚、tは変形後の板厚である。
【0099】
ポンチ頭部〜縦壁部〜フランジ部にかけて実測した最小板厚は、従来成形方法の円筒ポンチ(○印)ではd=64.3mmの時、ε=−0.06、可動ポンチ(●印)ではd=28.4mmの時、ε=−0.26であった。可動ポンチ成形方法における著しい板厚減少は、図2(C)において可動ポンチa9が突出先行して予備成形を行ったためであり、ブランク4の流入を伴わない板厚減少を主体とする張出し成形の効果によるものである。
【0100】
また、これらの従来成形方法による円筒ポンチと可動ポンチの板厚ひずみの変化は、円筒容器半径方向の最大主ひずみの変化と対応するものである。
【0101】
同様に、図14に示す円筒容器中心部Oから半径方向にフランジ端部までの総延長距離dを測定して、本発明により成形が完了したフランジ付き円筒容器と、図19に示す従来成形方法にて成形した円筒容器との形状比較を行った。
【0102】
図16に最大主ひずみε=ln(l/l)の変化の結果を示す。ここで、dは円筒容器の中心からの距離、εは円筒容器の半径方向に測定した最大主ひずみ、lは変形前のスクライブドサークル間隔、lは変形後のスクライブドサークル間隔である。
【0103】
最大主ひずみの測定方法については、スクライブドサークルにて、同心円を半径5mm間隔で成形前の円形ブランクに描写し、成形後に変形量を読みとった。従来成形方法の円筒ポンチ(□印)では、円筒容器形状の変形様式は典型的な深絞り成形であるため、ポンチ頭部での変形が小さい。フランジ部では積極的に伸び−縮み変形が生じ、最大ひずみはd=85.5mmの時、ε=0.37である。可動ポンチ(■印)のεの分布状況は、張出し成形の効果からポンチ頭部ではε=0.1〜0.2で推移し、縦壁部ではεを低減する効果が観察される。可動ポンチを用いた成形方法は、円筒容器全体の広範囲に渡って伸びを助長するともに、ポンチ頭部〜縦壁部〜フランジ部の最大と最小のεの差を小さくし、ひずみ集中を拡散させることも可能である。
【0104】
(実施例2)
本発明による第3実施形態の可動ポンチを用いたハット曲げ成形方法、及び、従来法によるハット曲げ成形方法で断面がハット状のパネルを成形し、断面形状の比較を行った。なお、ポンチからの可動ポンチの先行ストローク量を20mm(S=20)、及び、45mm(S=45)として成形を行った。先行ストローク量とは、初期状態で突出している可動ポンチの先端とポンチの先端との差である。
【0105】
図17に、本発明の第3実施形態で、成形実験に用いたプレス成形装置の金型工具寸法を示す。
【0106】
表4は成形装置の金型工具寸法及び主な成形条件である。
【0107】
【表4】

供試材は980MPa級の高張力鋼板で、公称板厚1.0mmの冷間圧延高張力鋼板SPFC980Yであり、表5に機械的性質を示す。
【0108】
【表5】

表5中、tは初期板厚、YSは降伏強さ、TSは引張強さ、el.は伸びである。
【0109】
表5に示す機械的性質を有する340×50mmの矩形ブランクから、本発明の可動ポンチ成形方法と従来成形方法でハット曲げ成形を行った実験結果を以下に示す。
【0110】
図18は本発明による第3実施形態の可動ポンチを用いたハット曲げ成形方法、及び、従来法によるハット曲げ成形方法で成形したパネルの断面形状の比較である。横軸はパネル中心からの水平距離(mm)、縦軸は高さ(mm)を表している。
【0111】
従来の成形方法ではスプリングバックが大きいことがわかる。ダイとブランクホルダでしわ押えしている材料がダイ側へ流入する際、ダイ肩部で曲げられ、引き込まれた後は曲げ戻される。この結果、離型後に縦壁部には板厚方向の残留応力が不均一に発生し、ポンチ肩でスプリングバック、引き込まれた縦壁部で壁反りを起こしている。
【0112】
本発明の可動ポンチ成形方法では、スプリングバックを大幅に改善していることがわかる。特に、ハット曲げ成形パネルのフランジ部は、X座標に対して平行を保っており、他のプレス部品に対して組み付け寸法精度を確保できるものである。
【0113】
可動ポンチによる予備成形の段階では、ブランクがダイ側に流入する際、従来成形方法と同様に曲げ曲げ戻し変形を与えられながら流入していく。しかし、プレス成形装置のストロークが進行するとともに、後続からきたポンチは、ブランクに接触してハット曲げ成形パネル縦壁部となる領域に、ポンチ先端R部で予備成形と逆方向に曲げ曲げ戻し変形を与える。これにより、ハット曲げ成形パネル縦壁部に残留する板厚方向の応力分布の差を小さくすることができる。
【0114】
また、S=45はS=20の場合よりも、スプリングバックを抑制している。可動ポンチの先行ストローク量は、離型後の断面形状の寸法精度に大きく影響するものである。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明による金型内部に可動ポンチを有するプレス成形装置を用いたプレス成形方法では、材料の成形限界を向上させるとともに、割れやしわといった成形不具合を回避して、少ない工程数で複雑形状を成形できるため、様々なプレス成形加工に用いることが可能である。特に、昨今の複雑な形状、且つ、高強度が求められる自動車パネル部品に対してもスプリングバック等を抑制したパネル成形を可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明による第1実施形態であるプレス成形装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態であるプレス成形装置による一連の成形プロセスを示す断面図である。
【図3】複雑な形状で成形が困難な自動車プレス部品aの斜視図である。
【図4】本発明による第2実施形態であるプレス成形装置を示す断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態であるプレス成形装置による一連の成形プロセスを示す断面図である。
【図6】本発明による第3実施形態であるプレス成形装置を示す断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態であるプレス成形装置による一連の成形プロセスを示す断面図である。
【図8】パネル全体に大きな絞り高さが必要で、且つ、大きな凹凸領域を複数有する複雑な形状の自動車プレス部品bの形状を示す斜視図である。
【図9】本発明による第4実施形態であるプレス成形装置を示す断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態であるプレス成形装置による一連の成形プロセスを示す断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態であるプレス成形方法を用いて、絞り工程が2工程で完了したことを示す工程図である。
【図12】本発明による第1実施形態のプレス成形方法の金型工具寸法を示す断面図である。
【図13】本発明と従来法による円筒容器形状の寸法比較測定図である。
【図14】本発明と従来法による円筒容器形状の寸法比較測定図である。
【図15】本発明による第1実施形態のプレス成形方法と従来法で成形した円筒容器の板厚ひずみを比較した特性図である。
【図16】本発明による第1実施形態のプレス成形方法と従来法で成形した円筒容器の最大主ひずみを比較した特性図である。
【図17】本発明による第3実施形態のプレス成形方法の金型工具寸法を示す断面図である。
【図18】本発明による第3実施形態のプレス成形方法と従来法でハット曲げ成形したパネルの断面形状を比較した図である。
【図19】従来のプレス成形装置による一連の成形プロセスを示す断面図である。
【図20】従来のプレス成形装置による一連の成形プロセスを示す断面図である。
【図21】従来の成形方法で成形した自動車プレス部品aの割れを示す斜視図である。
【図22】従来の絞り工程に3工程を要する成形工程を示す工程図である。
【符号の説明】
【0117】
1 インナースライドテーブル
2 アウタースライドテーブル
3 ボルスタ
4 ブランク
5 ポンチハウジング
6 ポンチ
7 ガススプリング
8 ガススプリングピストンロッド
9 可動ポンチa
10 ブランクホルダ
11 ダイテーブル
12 ダイホルダ
13 ダイ
14 ダイパッド
21 上型ダイ
22 下型固定ポンチ
23 クッションピン
24 油圧シリンダロッドピン
25 可動ポンチb
26 油圧シリンダ
31 可動ポンチd
32 可動ポンチe
33 コイルスプリング
41 可動ポンチc

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動ポンチを内蔵する金型を有するプレス成形装置を用いてほとんど変形していない領域とパネル形状の複雑さから割れやしわが発生する凹凸領域と寸法精度不良が予測される領域とを含むパネル部品をプレス成形する方法において、
前記プレス成形装置のダイとブランクホルダでブランクをしわ押えをし、
前記プレス成形装置が下死点に達していない段階で前記可動ポンチの先端が前記金型の表面より突出先行した状態で前記ブランクに接触して、前記可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置のブランクを前記ダイ側へ呼び込んで予備成形を行い、
前記プレス成形装置が下死点に近づくと、ポンチとダイによるパネル部品全体の成形が開始され、前記可動ポンチは前記ブランクに対して加圧保持したまま、前記プレス成形装置のストロークに応じて、前記可動ポンチを内蔵している金型へ退避しながら前記ブランクを最終形状のパネル部品まで成形することを特徴とするプレス成形方法。
【請求項2】
前記可動ポンチはコイルスプリング、ガススプリング、あるいは油圧シリンダによるスライド駆動をすることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形方法。
【請求項3】
前記予備成形では、しわ押え部からの材料流入を伴わず前記可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置の前記ブランクを板厚減少させ表面積増加による張出し成形を行うことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形方法。
【請求項4】
可動ポンチを内蔵する金型を有するプレス成形装置を用いてほとんど変形していない領域とパネル形状の複雑さから割れやしわが発生する凹凸領域と寸法精度不良が予測される領域とを含む断面がハット状のパネル部品をハット曲げ成形によりプレス成形する方法において、
前記プレス成形装置のダイとブランクホルダでブランクをしわ押えをし、
前記プレス成形装置が下死点に達していない段階で前記可動ポンチの先端が前記金型の表面より突出先行した状態で前記ブランクに接触して、前記可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置のブランクを前記ダイ側へ呼び込んで予備成形を行い、
前記プレス成形装置が下死点に近づくと、ポンチとダイによるパネル部品全体の成形が開始され、
前記予備成形で前記ブランクがダイ肩部を通過して縦壁部へ流入する際、ダイ肩R部で曲げ変形、ダイ肩R部から縦壁部にかけて曲げ戻し変形を受けながら流入して、一時的に板厚方向の応力分布が、不均一な状態となったパネル縦壁部に該当する領域に、ポンチ先端R部で、前記予備成形と逆方向に曲げ曲げ戻し変形を与え、前記パネル縦壁部に該当する領域に残留する板厚方向の応力分布の差を小さくするように、
且つ、前記可動ポンチは前記ブランクに対して加圧保持したまま、前記プレス成形装置のストロークに応じて、前記可動ポンチを内蔵している金型へ退避しながら前記ブランクを最終形状のパネル部品まで成形することを特徴とするプレス成形方法。
【請求項5】
複数の可動ポンチを内蔵する金型を有するプレス成形装置を用いてほとんど変形していない領域とパネル形状の複雑さから割れやしわが発生する凹凸領域と寸法精度不良が予測される領域とを含むパネル部品をプレス成形する方法において、
前記プレス成形装置のダイとブランクホルダでブランクをしわ押えをし、
前記プレス成形装置が下死点に達していない段階で、一の可動ポンチの先端が金型の表面より突出先行した状態でブランクを加圧保持してブランク内部の局所領域にしわが発生しないようにしわ押え制御しつつ、
他の可動ポンチの先端が前記金型の表面より突出先行した状態で前記ブランクに接触して前記可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置のブランクを前記ダイ側へ呼び込んで予備成形を行い、
前記プレス成形装置が下死点に近づくと、ポンチとダイによるパネル部品全体の成形が開始され、前記可動ポンチは前記ブランクに対して加圧保持したまま、前記プレス成形装置のストロークに応じて前記ブランクを最終形状のパネル部品まで成形することを特徴とするプレス成形方法。
【請求項6】
前記予備成形ではブランクの流入を抑制しないように、前記他の可動ポンチが一旦金型へ退避した後、
前記他の可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置のブランクを前記ダイ側へ呼び込んで予備成形を行うことを特徴とする請求項5に記載のプレス成形方法。
【請求項7】
前記可動ポンチはコイルスプリング、ガススプリング、あるいは油圧シリンダによるスライド駆動をすることを特徴とする請求項5に記載のプレス成形方法。
【請求項8】
前記予備成形では、しわ押え部からの材料流入を伴わず前記他の可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置の前記ブランクを板厚減少させ表面積増加による張出し成形を行うことを特徴とする請求項5に記載のプレス成形方法。
【請求項9】
複数の可動ポンチを内蔵する金型を有するプレス成形装置を用いてほとんど変形していない領域とパネル形状の複雑さから割れやしわが発生する凹凸領域と寸法精度不良が予測される領域とを含む断面がハット状のパネル部品をハット曲げ成形によりプレス成形する方法において、
前記プレス成形装置のダイとブランクホルダでブランクをしわ押えをし、
前記プレス成形装置が下死点に達していない段階で、一の可動ポンチの先端が金型の表面より突出先行した状態でブランクを加圧保持してブランク内部の局所領域にしわが発生しないようにしわ押え制御しつつ、
他の可動ポンチの先端が前記金型の表面より突出先行した状態で前記ブランクに接触して前記可動ポンチと正対する前記凹凸領域を作る位置のブランクを前記ダイ側へ呼び込んで予備成形を行い、
前記プレス成形装置が下死点に近づくと、ポンチとダイによるパネル部品全体の成形が開始され、
前記予備成形で前記ブランクがダイ肩部を通過して縦壁部へ流入する際、ダイ肩R部で曲げ変形、ダイ肩R部から縦壁部にかけて曲げ戻し変形を受けながら流入して、一時的に板厚方向の応力分布が、不均一な状態となったパネル縦壁部に該当する領域に、ポンチ先端R部で、前記予備成形と逆方向に曲げ曲げ戻し変形を与え、前記パネル縦壁部に該当する領域に残留する板厚方向の応力分布の差を小さくするように、
且つ、前記可動ポンチは前記ブランクに対して加圧保持したまま、前記プレス成形装置のストロークに応じて、前記可動ポンチを内蔵している金型へ退避しながら前記ブランクを最終形状のパネル部品まで成形することを特徴とするプレス成形方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−326112(P2007−326112A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157514(P2006−157514)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(591079487)広島県 (101)
【出願人】(000135999)株式会社ヒロテック (62)
【出願人】(000112082)ヒルタ工業株式会社 (37)