説明

プレハブ電力ケーブルの製造納入システム

【課題】配線設計が完了後、2日程で現場での施工省力化が図れ、低コストで高品質、高信頼性のユニットケーブルを製造して、現場へ納入することができるプレハブ電力ケーブルの製造納入システムを提供する。
【解決手段】電気工事会社がマンション等の建物各部屋の配線設計をCADを用いて行なう配線設計工程と、この配線設計工程で設計された配線設計のCADデータを含むデータを電子伝送でユニットケーブル製造会社のサーバへ送信するデータ送信工程と、このデータ送信工程でユニットケーブル製造会社のサーバで受信されたデータをユニット設計CADでユニットケーブルを製造するデータに自動設計する自動設計工程と、この自動設計工程で自動設計されたユニットケーブルを製造するデータでユニットケーブルを製造するユニットケーブルの製造工程と、このユニットケーブルの製造工程で製造されたユニットケーブルを建設現場へ納入する納入工程とで構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分譲マンション等の建物の部屋内配線に使用されるプレハブ電力ケーブルの製造納入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
分譲マンション等の建物の部屋内のスイッチ、照明、コンセント等の回路結線をあらかじめ工場で行ない、現場では配線するだけというユニットケーブルが使用されている。
このユニットケーブルは現場での配線を容易にするために、ユニットケーブルのケーブル部分にはケーブルを接続する負荷の種類に応じたケーブルの色分けと負荷の種類等の行き先表示を表示している。
このため、ユニットケーブルを使用すれば、現場での配線作業時間の短縮を図れ、電気工事全体の施工省力化が可能となり、また、ユニットケーブルは管理された工場内で加工を行なうため、その品質が安定しており、高い信頼性を有している。
【0003】
しかしながら、最近の分譲マンション等の部屋内配線は、購入者の意志により電気配線器具の配置や数が自由に変更できたり、間取りの自由設計ができる物件が増加している。
一方、ユニットケーブルの配線設計からユニットケーブルを製造して、現場へ納入するのに8日〜14日の日数が必要で、配線設計が早目にできない場合には現場での施工省力化が図れる、高品質、高信頼性のユニットケーブルが使用できず、現場で熟練者が手作業で行なうため、コスト高になるとともに、品質、信頼性が作業者の力量に委ねられ、安定性に欠けるという欠点があった。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、配線設計が完了後、2日程で現場での施工省力化が図れ、低コストで高品質、高信頼性のユニットケーブルを製造して、現場へ納入することができるプレハブ電力ケーブルの製造納入システムを提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は電気工事会社がマンション等の建物の各部屋の配線設計をCADを用いて行なう配線設計工程と、この配線設計工程で設計された配線設計のCADデータを含むデータを、電子伝送でユニットケーブル製造会社のサーバへ送信するデータ送信工程と、このデータ送信工程でユニットケーブル製造会社のサーバで受信されたデータを、ユニット設計CADでユニットケーブルを製造するデータに自動設計する自動設計工程と、この自動設計工程で自動設計されたユニットケーブルを製造するデータでユニットケーブルを製造するユニットケーブルの製造工程と、このユニットケーブルの製造工程で製造されたユニットケーブルを建設現場へ納入する納入工程とでプレハブ電力ケーブルの製造納入システムを構成している。
【0007】
本発明はゼネコンや設計事務所等の施主側で作成された各種CADデータから、電気工事会社がマンション等の建物の各部屋の配線設計をCADを用いて行なう配線設計工程と、この配線設計工程で設計した配線設計のCADデータを含むデータを、専用出力ツールを用いた電子伝送でユニットケーブル製造会社の機種の異なるCADデータでも取り込めるサーバへ送信するデータ送信工程と、このデータ送信工程でユニットケーブル製造会社のサーバで受信された異なるCADデータのデータであっても、ユニット設計CADでユニットケーブルを製造するデータに自動設計する自動設計工程と、この自動設計工程で自動設計されたユニットケーブルを製造するデータでユニットケーブルを製造するユニットケーブルの製造工程と、このユニットケーブルの製造工程で製造されたユニットケーブルを建設現場へ納入する納入工程とでプレハブ電力ケーブルの製造納入システムを構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0009】
(1)電気工事会社がマンション等の建物の各部屋の配線設計をCADを用いて行なう配線設計工程と、この配線設計工程で設計された配線設計のCADデータを含むデータを、電子伝送でユニットケーブル製造会社のサーバへ送信するデータ送信工程と、このデータ送信工程でユニットケーブル製造会社のサーバで受信されたデータを、ユニット設計CADでユニットケーブルを製造するデータに自動設計する自動設計工程と、この自動設計工程で自動設計されたユニットケーブルを製造するデータでユニットケーブルを製造するユニットケーブルの製造工程と、このユニットケーブルの製造工程で製造されたユニットケーブルを建設現場へ納入する納入工程とからなるので、電気工事会社の配線設計したCADデータを含むデータを電子伝送でユニットケーブル製造会社のサーバへ送信し、受信したデータをユニット設計CADでユニットケーブルを製造するデータに自動設計して、該データでユニットケーブルを製造するので、配線設計のデータを受け取ってからユニットケーブルを製造して現場へ納入するまで、約2日程で行なうことができる。
したがって、配線設計から配線工事までの日時が短くても、現場での施工省力化が図れ、高品質、高信頼性のユニットケーブルを使用することができる。
【0010】
(2)前記(1)によって、電気工事会社の配線設計のCADデータを用いて、ユニットケーブル製造会社のユニット設計CADでユニットケーブルを製造するデータに自動設計するので、短時間にでき、かつ人手を介しての設計作業が不要で、誤った設計を確実に防止することができるとともに、ユニットケーブル製造会社のユニットケーブルを製造するデータを電気工事会社で確認する等の作業が不要で、コストの低減を図ることができる。
【0011】
(3)請求項2も前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、電気工事会社が配線設計に用いるCADが異なる機種であっても、ユニット設計CADでユニットケーブルを製造するデータに自動設計することができる。
したがって、電気工事会社とユニットケーブル製造会社のユニット設計CADの機種の統一を行なわなくてもよく、経済的に実施することができる。
【0012】
(4)請求項3も前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、データ送信工程で納入先や発注情報等が得られる。
【0013】
(5)請求項4も前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、ユニットケーブルを製造するデータを電気工事会社へ納品することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1ないし図3に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1は配線設計のCADデータを受け取ってから、ほぼ2日でユニットケーブルを製造して、現場へ納入することができる本発明のプレハブ電力ケーブルの製造納入システムで、このプレハブ電力ケーブルの製造納入システム1は電気工事会社2がマンション等の建物3の各部屋の配線設計を電気設備入力用CAD4を用いて行なう配線設計工程5と、この配線設計工程5で設計された配線設計のCADデータを含むデータを専用出力ツール6を用いて電子伝送でユニットケーブル製造会社7のサーバ8へ送信するデータ送信工程9と、このデータ送信工程9でユニットケーブル製造会社7のサーバ8で受信されたデータをユニット設計CAD10でユニットケーブルを製造するデータに自動設計する自動設計工程11と、この自動設計工程11で自動設計されたユニットケーブルを製造するデータでユニットケーブル12を製造するユニットケーブルの製造工程13と、このユニットケーブルの製造工程13で製造されたユニットケーブル12を建設現場14へ納入する納入工程15とで構成されている。
【0016】
前記配線設計工程5はゼネコンや設計事務所等の施主16側で作成された各種CADデータ17より、CAD4を用いて電気器具のシンボル(図記号)をプロットした配線設計(電気設備図)を行なう。
【0017】
前記データ送信工程9は配線設計のCADデータ、物件情報、発注情報を専用出力ツール6を用いて電子伝送される。
【0018】
前記自動設計工程11は電子伝送されたデータをサーバ8で受信し、配線設計のCADデータを機種の異なるCAD間でCADデータを連係するために、CADデータのレイヤー登録機能及びレイヤー自動検索・置換機能を有するユニット設計CAD10で変換して、ユニットケーブルを製造するデータに自動設計する。
この自動設計ではユニットケーブルの図面作成や回路設計し、同時にユニットケーブルの製造・検査用のデータも合わせて作成するとともに、作成されたデータは電気工事会社2へデータ送信される。
【0019】
前記ユニットケーブルの製造工程13はユニットケーブルの製造用のデータをもとに、ケーブルを必要長に切断しながらカラー表示、行き先表示を自動で行なう自動機で作成する。
ユニットケーブル12の出荷前検査では、ユニットケーブルの検査用のデータを用いた自動検査機により、全線心の検査を瞬時に行なう。
【0020】
このようなプレハブ電力ケーブルの製造納入システム1を用いると配線設計が完了後、2日程の超短納期で、ユニットケーブルを製造して、現場へ納入することができる。
このため、分譲マンションの購入者等の電気設備に対する要望を反映しても、ユニットケーブルを使用することができ、マンションの電気設備の信頼性、品質の安定化・向上を図ることができる。
[発明を実施するための異なる形態]
【0021】
次に、図4および図5に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、この本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
図4および図5に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、電気工事会社2の使用している電気設備入力用CAD4と、ユニットケーブル製造会社7のユニット設計CAD10に互換性がない機種であっても、データの共通フォーマットを取り決め、そのフォーマットに基づき電気工事会社2が使用する電気設備入力用CAD4で配線設計工程5Aを行ない、該電気設備入力用CAD4から配線設計のデータを出力し、ユニットケーブル製造会社7のユニット設計CAD10では、その共通フォーマットに基づいたデータをユニットケーブルの配線自動設計に使用できるように変換して取り込む自動設計工程11Aを行なった点で、このような配線設計工程5Aや自動設計工程11Aを用いてプレハブ電力ケーブルの製造納入システム1Aを行なっても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、電気工事会社2の電気設備入力用CAD4と、ユニットケーブル製造会社7のユニット設計CAD10とを互換性のある機種に変更することなく、今まで使用しているCADを用いることができ、容易に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明はユニットケーブルを製造する産業やユニットケーブルを施工する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の工程図。
【図2】本発明を実施するための最良の第1の形態の概略説明図。
【図3】従来と本願の比較工程図。
【図4】本発明を実施するための第2の形態の工程図。
【図5】本発明を実施するための第2の形態の概略説明図。
【符号の説明】
【0025】
1、1A:プレハブ電力ケーブルの製造納入システム、
2:電気工事会社、 3:建物、
4:電気設備入力用CAD、 5、5A:配線設計工程、
6:専用出力ツール、 7:ユニットケーブル製造会社、
8:サーバ、 9:データ送信工程、
10:ユニット設計CAD、 11、11A:自動設計工程、
12:ユニットケーブル、
13:ユニットケーブルの製造工程、
14:建設現場、 15:納入工程、
16:施主、 17:各種CADデータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気工事会社がマンション等の建物の各部屋の配線設計をCADを用いて行なう配線設計工程と、この配線設計工程で設計された配線設計のCADデータを含むデータを、電子伝送でユニットケーブル製造会社のサーバへ送信するデータ送信工程と、このデータ送信工程でユニットケーブル製造会社のサーバで受信されたデータを、ユニット設計CADでユニットケーブルを製造するデータに自動設計する自動設計工程と、この自動設計工程で自動設計されたユニットケーブルを製造するデータでユニットケーブルを製造するユニットケーブルの製造工程と、このユニットケーブルの製造工程で製造されたユニットケーブルを建設現場へ納入する納入工程とを含むことを特徴とするプレハブ電力ケーブルの製造納入システム。
【請求項2】
ゼネコンや設計事務所等の施主側で作成された各種CADデータから、電気工事会社がマンション等の建物の各部屋の配線設計を自社のCADを用いて行なう配線設計工程と、この配線設計工程で設計した配線設計のCADデータを含むデータを、専用出力ツールを用いた電子伝送でユニットケーブル製造会社の機種の異なるCADデータでも取り込めるサーバへ送信するデータ送信工程と、このデータ送信工程でユニットケーブル製造会社のサーバで受信された異なるCADデータのデータであっても、ユニット設計CADでユニットケーブルを製造するデータに自動設計する自動設計工程と、この自動設計工程で自動設計されたユニットケーブルを製造するデータでユニットケーブルを製造するユニットケーブルの製造工程と、このユニットケーブルの製造工程で製造されたユニットケーブルを建設現場へ納入する納入工程とを含むことを特徴とするプレハブ電力ケーブルの製造納入システム。
【請求項3】
データ送信工程で送信するデータは配線設計のCADデータ、物件情報、発注情報、シンボル情報等のデータであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載のプレハブ電力ケーブルの製造納入システム。
【請求項4】
自動設計工程は機種の異なるCAD間でCADデータを連係するために、CADデータのレイヤー登録機能及びレイヤー自動検索・置換機能を有するユニット設計CADを用いることを特徴とする請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載のプレハブ電力ケーブルの製造納入システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−334462(P2007−334462A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162993(P2006−162993)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000110309)トヨクニ電線株式会社 (80)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)