説明

プレ・メイン一体型フィルタ装置

【課題】従来、全く再利用せずに新品と交換していたメインフィルタ部材についてもメンテナンスが行えて再利用を可能とし、メンテナンス洗浄作業にも配慮したプレ・メイン一体型フィルタ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】枠部材を略方形状に枠組みして枠体を形成し、枠体の開口部内には、山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造に折り曲げて構成したプレフィルタ部材及びメインフィルタ部材を取り付けてなり、プレフィルタ部材は、谷状底部に非接着部材分を形成して接着部材により対向する箇所が接着され、メインフィルタ部材は、シート状フィルタ材料の表面側及び裏面側の双方に、かつメインフィルタ部材の上下方向に間隔をあけて補強リブが複数形成されてなり、枠体を構成する下側枠部材には、プレフィルタ部材とメインフィルタ部材との間に設けられた空間と連通する長孔状水抜き孔が穿設された、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、オフィスビルやマンションさらには一般家庭など空調設備などにも取り付けることが出来、もって外気の塵や埃あるいは花粉などを確実に、かつ短期間の取り替えを必要とせず、しかも比較的長期間に亘り、洗浄メンテナンスをも必要とすることなく使用することが可能なプレ・メイン一体型フィルタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビルやマンションなどに設置されるいわゆる大型をなす空調設備、さらには一般家庭で使用される空調設備などに、フィルタ装置が取り付けられて使用されており、このフィルタ装置により、外気の塵や埃あるいは花粉などが確実に捕集され、前記空調設備の安全、快適な運用が企図されている。
ここで、従来のオフィスビルやマンションなどで使用されるフィルタ装置としては、通常、塵や埃など比較的大きな粒子、例えば10μm以上の粒子からなる塵や埃を捕集するフィルタ部材と、車の排気ガスやタバコの煙など比較的小さな粒子からなるもの、例えば0.3μm以上の粒子である塵や埃を捕集するフィルタ部材との2種類からなるフィルタ部材を用いた、いわゆるプレ・メイン一体型フィルタ装置が一般に知られている。
【0003】
すなわち、通常、オフィス用のフィルタ装置としては、粗塵用のいわゆるプレフィルタとメインのいわゆる中性能フィルタ(メインフィルタ)とで構成し、前者のプレフィルタ部材は、例えば2ヶ月に一度洗浄・再使用するよう構成し、後者のメインフィルタ部材は、洗浄・再使用することなく、例えば1年毎に新品に取り替える構造のものが一般的なフィルタ装置のスタイルとなっていたのである。
この様に、空調設備を取り扱う業界あるいはフィルタ洗浄を取り扱う業界においては、フィルタ部材とは、プレフィルタ部材あるいはメインフィルタ部材の双方においても短期間に使い捨てる部材としての認識で統一されていたのである。
【0004】
しかるに、環境保護意識が近年急速に、かつ国際的に高まる中、いわゆる地球資源をどれだけ有効活用するかは、企業評価の有力な基準になりつつあり、特に、空調設備では、高効率設備の導入と共に、消耗品であるフィルタ部材の消費量抑制もニーズとして急速に要求されてきている実情がある。
そこで、特に、いわゆるプレフィルタといわゆるメインフィルタとを一体化したフィルタ装置においても、プレフィルタ部材のメンテナンス期間を大幅に伸ばし、またメインフィルタ部材についてもメンテナンスを行って再利用するとの要請が高まってきている。
【0005】
この様に、フィルタ部材を簡単に使い捨てすることなく、洗浄して再利用するサイクルを延ばすことが出来れば、大幅な省資源化に繋がり、また、いわゆるフィルタ装置のメンテナンスの手間・コストもきわめて安価に、効率的に抑えられるものとなる。
しかも、使い切ったフィルタ部材は、例えば、資源循環を企図したいわゆるガス化改質施設で再資源化(サーマルリサイクル)できる。
特に、オフィスや商業店舗と異なり、24時間空調設備が稼働するホテルでは、一般よりも早く空調設備におけるフィルタ部材の稼働時間を消費する。
【0006】
さらに、ホテル業界において、セキュリティー強化のため空調設備点検やメンテナンスのための外注業者の受け入れ回数は極力減らしたいのが実情である。ホテル側にとって、フィルタ部材の交換洗浄のために、短期間となる二ヶ月に一度、メンテ業者がホテルの建物に入ることはあまり歓迎されないのである。
【0007】
また、例えば施設内で合計100台の空調機が設置されていると仮定すると、従来のメインフィルタ部材をメンテナンスしないときには、当該メインフィルタ部材が1年間で概算して1200枚も廃棄処分される計算になる。プレフィルタについては、2〜3ヶ月に一度は取り替えられるごとく交換頻度が高く、これら逐一取り替えるための人件費も見逃せないコスト高となっていたである。
【特許文献1】特開2001−170423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かくして、本発明は、上記従来の課題に対処すべく創案されたものであり、プレ・メイン一体型フィルタ装置において、プレフィルタ部材の洗浄メンテナンス期間を大幅に伸ばすと共に、従来、全く再利用せずに新品と交換していたメインフィルタ部材についてもメンテナンスが行えて再利用を可能とし、さらには再利用のために行われる前記メンテナンス洗浄作業にも配慮したプレ・メイン一体型フィルタ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるプレ・メイン一体型フィルタ装置は、
所定の幅を有する枠部材を略方形状に枠組みして表裏面に貫通する開口部を有する枠体を形成し、
該枠体の開口部内には、表面側となる上流側に、シート状フィルタ材料について前記枠体の幅より狭小な幅で、山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造に折り曲げて構成したプレフィルタ部材を前記ジグザグ繰り返し折り構造の方向が水平方向となるよう取り付け、
裏面側となる下流側には、前記プレフィルタ部材から所定の空間をあけ、シート状フィルタ材料について前記プレフィルタ部材の幅より狭小な幅で、かつ前記プレフィルタ部材と共に、前記枠体の幅内に収まる幅にして、山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造に折り曲げて構成したメインフィルタ部材を前記ジグザグ繰り返し折り構造の方向が水平方向となるよう取り付けてなり、
前記プレフィルタ部材は、前記山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造のジグザグ方向に向かい、前記シート状フィルタ材料の表面側及び裏面側の双方に、かつプレフィルタ部材の上下方向に間隔をあけて、前記谷状底部に非接着部材分を形成して接着部材により対向する箇所が接着され、
前記メインフィルタ部材は、前記山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造のジグザグ方向に向かい、かつ前記シート状フィルタ材料の表面側及び裏面側の双方に、かつメインフィルタ部材の上下方向に間隔をあけて補強リブが複数形成されてなり、
前記枠体を構成する下側枠部材には、プレフィルタ部材とメインフィルタ部材との間に設けられた空間と連通する長孔状水抜き孔が穿設された、
ことを特徴とし、
または、
前記プレフィルタ部材は、1μmから1000μmの粒子径からなる粉塵を捕集するフィルタ材料を使用し、前記メインフィルタ部材は、0.3μmから50μmの粒子径からなる粉塵を捕集するフィルタ材料を使用した、
ことを特徴とし、
または、
前記フィルタ部材は、合成樹脂材料から構成されている、
ことを特徴とし、
または、
前記プレフィルタ部材は、前記シート状フィルタ材料を二重に重ね合わせて、山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造に折り曲げて構成した、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるプレ・メイン一体型フィルタ装置であれば、プレフィルタ部材の洗浄メンテナンス期間を大幅に伸ばすと共に、従来、全く再利用せずに新品と交換していたメインフィルタ部材についてもメンテナンスが行えて再利用を可能とし、さらには再利用のために行われる前記メンテナンス洗浄作業にも配慮できるとの優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るプレ・メイン一体型フィルタ装置1につき図を参照して説明する。
【0012】
該プレ・メイン一体型フィルタ装置1は、まず、方形状に枠組みされた枠体3を有する。
枠体3は、所定の幅を有する枠部材2を、例えば下側枠部材、両側枠部材、上側枠部材の4枚を使用し、前述したように略方形状に枠組みして表裏面に貫通する開口部を有するよう形成される。
【0013】
ここで、各枠部材2の材質は、何ら限定されるものではないが、いわゆる再資源化に対応する部材であることが好ましく、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)などの再生チップ材等を使用することが好ましい。
【0014】
そして、該枠体3の開口部内には、表面側に、換言すれば空気の導入側となる上流側に、シート状フィルタ材料について、前記枠体3の幅より狭小な幅で形成され、山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造に折り曲げて構成したプレフィルタ部材4を、前記ジグザグ繰り返し折り構造の方向が水平方向となるよう取り付けられるものとなる。
【0015】
次に、裏面側、換言すれば空気の排出側となる下流側には、前記プレフィルタ部材4から所定の空間15をあけて、前記プレフィルタ部材4の幅より狭小な幅にして、かつ前記プレフィルタ部材4及び前記空間15と共に、前記枠体3の幅内に収まる幅に形成し、山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造に折り曲げて構成したメインフィルタ部材16を前記ジグザグ繰り返し折り構造の方向が水平方向となるよう取り付けて構成される。
【0016】
さらに、前記プレフィルタ部材4は、前記山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造のジグザグ方向に向かい、前記シート状フィルタ材料の表面側及び裏面側の双方に、かつプレフィルタ部材4の上下方向に向かい所定の間隔をあけて、前記谷状底部5に非接着部材分を形成して接着部材14により対向する箇所が接着され、前述した山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造が伸縮しないよう一定の長さで固定されるものとなる。
該谷状底部5に非接着部材分を形成した理由は、該谷状底部5の非接着部分は、後述する洗浄メンテナンスの際の洗浄水通過路として機能させるためである。これにより洗浄メンテナンスの効率も向上し、またフィルタ部材4の必要以上の損傷を押さえることが出来るものとなる。
【0017】
また、前記メインフィルタ部材16は、前記山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造のジグザグ方向に向かい、かつ前記シート状フィルタ材料の表面側及び裏面側の双方に、かつメインフィルタ部材16の上下方向に間隔をあけて補強リブ17・・・・が複数形成されている。
【0018】
この補強リブ17は、前記シート状フィルタ材料の表面及び裏面から相互に押圧して凸条に盛り上げ、もってリブ状に形成したものである。
【0019】
図から理解されるように、補強リブ17の長手方向、は前記山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造のジグザグ方向に向かっており、かつ凸条に盛り上がる方向は、表面側、裏面側と互い違いにして構成してある。該補強リブ17の形成は、メインフィルタ部材16の強度向上のためであるが、それだけではなく、補強リブ17を大量に形成することにより、シート状フィルタ材料の表面積を広げ、それによりフィルタ処理面積を広くするとのねらいもある。
ここで、プレフィルタ部材4及びメインフィルタ部材16に使用されるシート状フィルタ材料について述べると、該シート状フィルタ材料には一般に合成繊維が使用される。そして、かかる合成繊維の材質としては、一般的にポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)がある。また、その他にビニロン、綿なども使われることがある。
【0020】
これらについては、それぞれに材質上の特徴があり、その特性に応じて各方面に使用される。そして、その用途を誤るとフィルタ材料としての性能を損なうのみでなく、フィルタ材料の寿命やフィルタ性能に大きな影響を与えるものとなる。
また、本発明によるシート状フィルタ材料は、10μm以上の粒子からなる塵や埃を捕集するタイプ、車の排気ガスやタバコの煙など比較的小さな粒子からなるもの、例えば0.3μm以上の粒子である塵や埃を捕集するタイプがある。
【0021】
本発明においては、プレフィルタ部材4については、比較的粗い粉塵が捕集出来るよう、10μm以上の粒子からなる塵や埃を捕集するタイプのフィルタ材料が使用される。また、メインフィルタ部材16については、車の排気ガスやタバコの煙など比較的小さな粒子からなるもの、例えば0.3μm以上の粒子である塵や埃を捕集するタイプのフィルタ材料が使用される。
すなわち、前記プレフィルタ部材4は、1μmから1000μmの粒子径からなる粉塵を捕集するフィルタ材料が使用され、前記メインフィルタ部材16は、0.3μmから50μmの粒子径からなる粉塵を捕集するフィルタ材料が使用される。
【0022】
次に、プレフィルタ部材4に使用されるシート状フィルタ材料は、山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造の状態に折り畳まれ、略方形状の形状に構成される。
かかる構成にする手法については、何らの手法や方法に限定されるものではなく、機械的な方法で構成してもよく、また手作業で行っても構わない。
【0023】
しかしながら、シート状フィルタ材料を山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造の状態に折りたたんだときの長さが、前記方形状に枠組みした枠体3の幅方向に収まるような長さにしなければならない。
そして、該略方形状をなすフィルタ部材4は水平方向(左右方向)に向かいジグザグ繰り返し折り構造が連続するよう、かつ若干延び縮み出来るようにあらかじめ配置される。
【0024】
次に、その状態から、あるいは平面シート状にのばした状態から、上下方向に対し、所定の間隔をあけて接着部材14を水平方向、すなわちジグザグ繰り返し折り構造の連続する方向に向けて塗布する。
この塗布操作は、上下方向に向かい所定の間隔をあけて複数箇所で行われる。そして、この塗布は、前記フィルタ部材4の表面側及び裏面側の双方で行われる。
すると、図に示すように、シート状フィルタ材料からなるフィルタ部材4は、山状谷状のジグザグ繰り返し折り部分が各々密着した構造の状態に折り畳まれ、略方形状の形状に形成されるものとなる。
【0025】
ところで、接着部材14の塗布は、谷状底部5の箇所については行われず、非接着部分とされる。そして、該谷状底部5の非接着部分は、後述する洗浄メンテナンスの際の洗浄水通過路として機能することになる。
これにより洗浄メンテナンスの効率も向上し、またプレフィルタ部材4の必要以上の損傷を押さえることが出来る。
【0026】
ところで、図に示すように、シート状フィルタ材料を2枚使用し、この2枚のシート状フィルタ材料を二重に重ね合わせて、山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造に折り曲げて構成しても構わない。
この場合、同じ素材のシート状フィルタ材料、すなわち、粒子径が1μmから1000μmまでを捕集できるタイプの素材で構成したシート状フィルタ材料を2枚重ねて使用することも考えられる。
【0027】
しかし、同じ素材を使用したとしても、それらを2枚重ね合わせて使用する結果、1μmより小さい粒子径の粉塵をも捕集できるものとなる。
さらに、前記二重に重ね合わす2枚のシート状フィルタ材料について、導入側(上流側)のシート状フィルタ材料を、粒子の大きい粉塵が補集できるタイプに、送出側(下流側)のシート状フィルタ材料を、導入側と比較して粒子の小さい粉塵をも補集できるタイプに配置しても構わない。
【0028】
次に、メインフィルタ部材16に使用されるシート状フィルタ材料について説明する。
当該メインフィルタ部材16についても山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造の状態に折り畳まれ、略方形状の形状に構成される。
かかる折り畳む手法についても何ら限定されるものではなく、機械的な方法で構成してもよく、また手作業で行っても構わない。
しかしながら、シート状フィルタ材料を山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造の状態に折りたたんだときの長さが、プレフィルタ部材4と同様に前記方形状に枠組みした枠体3の幅方向に収まるようにしなければならない。
【0029】
しかし、後述するように、メインフィルタ部材16は、接着部材14により折り畳み面を相互に接着することはしない。いわゆる空気の上流側に設置されるプレフィルタ部材4については、前述したように、折り畳み面を相互に接着して強度を向上させる必要があるが、メインフィルタ部材16は、空気の下流側に設置され、しかもプレフィルタ部材4に保護されるため、折り畳み面相互を接着して強度を向上させる必要性に乏しいからである。
そして、折り畳んだ状態で略方形状に構成されたメインフィルタ部材16は水平方向(左右方向)に向かいジグザグ繰り返し折り構造が連続するよう、かつ若干延び縮み出来るようにあらかじめ配置される。
【0030】
なお、このメインフィルタ部材16には、前述したように、その表裏面側に複数の連続した補強リブ17・・・・が設けられ、ジグザグ繰り返し折り構造に折り畳まれたシート状フィルタ材料の強度向上が企図されている。
そして、図に示すように、シート状フィルタ材料からなるメインフィルタ部材16は、山状谷状のジグザグ繰り返し折り部分が各々密接した構造の状態に折り畳まれており、略方形状の形状に形成されるものとなる。
【0031】
ところで、空気の下流側に設置されるメインフィルタ部材16は、その折り畳み面が接着されていないため、後述する洗浄メンテナンスの際に、奥の方に位置する、いわゆる谷底部5の洗浄が簡単にでき、これにより洗浄メンテナンスの効率も向上し、またメインフィルタ部材16の必要以上の損傷をも押さえることが出来るのである。
【0032】
なお、前述のように、空気の上流側に設置されるプレフィルタ部材4と、空気の下流側に設置されるメインフィルタ部材16との間には、所定の空間15が設置されている。
この空間15が設けられることにより、プレフィルタ部材4を通過した比較的小さい粒子径の粉塵が、メインフィルタ部材16を通過できずに、この空間15内に留まることになる。すなわち、多くの比較的小さい粒子径の粉塵はメインフィルタ部材16の空間15側の面にくっついた状態で捕集されるのである。
【0033】
そして、後述するが、洗浄メンテナンスのとき、当該空間15内には、前記メインフィルタ部材16を通過できず、捕集された粉塵が溜まる。そして、この溜まった粉塵は、洗浄水と共に、前記枠体3を構成する下側の枠部材2に穿設され、設けられた長孔状水抜き孔18から外部へ送出されるものとなる。
すなわち、プレフィルタ部材4とメインフィルタ部材16との間に設けられた空間15と前記長孔状水抜き孔18は連通して構成されているのである。
【0034】
ここで、本発明により構成されたプレ・メイン一体型フィルタ装置1は、その使用により短期間の間に新品に交換しなければならなかったり、短期間にメンテナンスを行わなければならなかったりすることがない。
従来は数ヶ月の間に新品に交換せざるを得なかったり、数ヶ月の間に洗浄メンテナンスを行わなければならなかった。
ちなみに、従来型のフィルタ装置は、その初期圧力損失が190パスカルであったのに対し、本発明によるプレ・メイン一体型フィルタ装置1は、前述したプレフィルタ部材4及びメインフィルタ部材16の構造を採用することにより110パスカル以下という低数値を実現したものである。
【0035】
従って、本発明によるプレ・メイン一体型フィルタ装置1は、少なくとも1年間に一度の洗浄メンテナンスを行えばよいものとされている。しかも3回の洗浄メンテナンスに耐えられるよう設計されているのである。
すなわち、本発明のプレ・メイン一体型フィルタ装置1につき、その使用開始からカウントすると一度の購入で、最長4年間(運転時間では1万2千時間)使い続けられることになる。
【0036】
そして、本発明によるプレ・メイン一体型フィルタ装置1の洗浄後の圧損回復を試験データでみてみると、2回目の洗浄後に計測した圧力損失値が90パスカルのものが、その後の1年間の使用によって粉塵負荷後フィルタ圧力損失値が265パスカルとなった。
その後、3回目(最終)の洗浄をしたとき、洗浄後は93パスカルとなり、2回目の洗浄後に計測した圧力損失値が90パスカルとほとんど変わらない値となっているのである。この様に、本発明のプレ・メイン一体型フィルタ装置1では、複数回の洗浄メンテナンスに充分耐えられることが理解できる。
【0037】
特に、オフィスや商業店舗と異なり、24時間空調が稼働するホテルでは、一般よりも早くフィルタ装置の運転時間を消費するので本発明によるプレ・メイン一体型フィルタ装置1の使用はきわめて好ましいといえる。
【0038】
さらに、ホテル側においては、セキュリティー強化のため外注業者の受け入れ回数を減らしたいと考えており、フィルタ部材の交換や洗浄のために2ヶ月に一度、メンテ業者が建物に入ることはあまり歓迎されないのである。その面からも本発明によるプレ・メイン一体型フィルタ装置1の使用はきわめて好ましいものである。
【0039】
次に、本発明によるプレ・メイン一体型フィルタ装置1の洗浄システムにつき説明する。
例えば、1年間の長期に亘って使用されたプレ・メイン一体型フィルタ装置1は、メンテナンスのために洗浄される。
【0040】
まず、本発明の洗浄のシステムとしては、まず、図から理解されるように、空気洗浄機6に投入される。
該空気洗浄機6内では、粉塵を捕集しているメインフィルタ部材16の下流面に向かい高圧エア7を例えばパルス状に送出しながら、例えば起電器8による振動を併用して、粉塵9を、いわゆる空間15内に排出させる。
【0041】
次に、いわゆる真空脱気システムを通過させる。すなわち、洗浄性を高めるために、プレ・メイン一体型フィルタ装置1内のプレフィルタ部材4及びメインフィルタ部材16に捕集されている粉塵9の周囲に残留している空気と洗浄水を置換すべく、真空脱気槽10で脱気するのである。
続いて、超音波洗浄が行われる。
【0042】
超音波によるエアフィルタ洗浄は、これまで1つの周波数を使って、動かしながら洗浄するのが主流だったが、本発明では、プレフィルタ部材4やメインフィルタ部材16を動かさず、ムダ・ムラ・ムリのない洗浄を実現するために、3つの周波数を高速で切り替えるシステムを導入している。すなわち、図から理解されるように、超音波発振子11を切り替え、図に示すような3種類の周波数によって異なる水流を発生させ、それにより効率的な洗浄を行うのである。
【0043】
さらに、シャワー12による洗浄が行われる。高圧ポンプ13によってシャワー12の水流を生じさせ、該シャワー12の水流によって、フィルタの上流面あるいは下流面からプレフィルタ部材4及びメインフィルタ部材16の内部を通過させて粉塵9を洗い出すのである。
【0044】
その際、前述したプレフィルタ部材4の非接着部である複数箇所の谷折り底部分5が洗浄水通過路となって、比較的容易に洗浄水が流れだし、もって効率的な洗浄が出来ると共に、メインフィルタ部材16はその折り畳み面同士を全く接着していないため、プレフィルタ部材4及びメインフィルタ部材16へのダメージを与えることがない。
【0045】
なお、メインフィルタ部材16の空間15側の面に密接した粉塵は洗い流されて空間15内に落ち、それらは前記した長孔状水抜き孔18からスムーズに外部へ送出されるものとなる。
【0046】
そして、この長孔状水抜き孔18にはシールによりふさがれ、次の洗浄メンテナンスまで蓋がされ、閉じられる。
該シールには、洗浄回数がチェックできるようになっており、このチェックにより何回目の洗浄かが簡単に把握できるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るプレ・メイン一体型フィルタ装置の構成説明図(その1)である。
【図2】本発明に係るプレ・メイン一体型フィルタ装置の構成説明図(その2)である。
【図3】本発明に係るプレ・メイン一体型フィルタ装置の構成説明図(その3)である。
【図4】本発明に係るプレ・メイン一体型フィルタ部材の構成説明図(その1)である。
【図5】本発明に係るプレ・メイン一体型フィルタ部材の構成説明図(その2)である。
【図6】本発明に係るプレ・メイン一体型フィルタ部材の構成説明図(その3)である。
【図7】長孔状水抜き孔の構成を説明する構成説明図(その1)である。
【図8】長孔状水抜き孔の構成を説明する構成説明図(その2)である。
【図9】メインフィルタ部材に設けられた補強リブの状態を説明する構成説明図である。
【図10】本発明に係る洗浄システムを説明する説明図(その1)である。
【図11】本発明に係る洗浄システムを説明する説明図(その2)である。
【符号の説明】
【0048】
1 プレ・メインフィルタ装置
2 枠部材
3 枠体
4 プレフィルタ部材
5 谷状底部
6 空気清浄機
7 高圧エア
8 起電器
9 粉塵
11 超音波発振子
12 シャワー
13 高圧ポンプ
14 接着部材
15 空間
16 メインフィルタ部材
17 補強リブ
18 長孔状水抜き孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の幅を有する枠部材を略方形状に枠組みして表裏面に貫通する開口部を有する枠体を形成し、
該枠体の開口部内には、表面側となる上流側に、シート状フィルタ材料について前記枠体の幅より狭小な幅で、山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造に折り曲げて構成したプレフィルタ部材を前記ジグザグ繰り返し折り構造の方向が水平方向となるよう取り付け、
裏面側となる下流側には、前記プレフィルタ部材から所定の空間をあけ、シート状フィルタ材料について前記プレフィルタ部材の幅より狭小な幅で、かつ前記プレフィルタ部材及び所定の空間と共に、前記枠体の幅内に収まる幅にして、山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造に折り曲げて構成したメインフィルタ部材を前記ジグザグ繰り返し折り構造の方向が水平方向となるよう取り付けてなり、
前記プレフィルタ部材は、前記山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造のジグザグ方向に向かい、前記シート状フィルタ材料の表面側及び裏面側の双方に、かつプレフィルタ部材の上下方向に間隔をあけて、前記谷状底部に非接着部材分を形成して接着部材により対向する箇所が接着され、
前記メインフィルタ部材は、前記山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造のジグザグ方向に向かい、かつ前記シート状フィルタ材料の表面側及び裏面側の双方に、かつメインフィルタ部材の上下方向に間隔をあけて補強リブが複数形成されてなり、
前記枠体を構成する下側枠部材には、プレフィルタ部材とメインフィルタ部材との間に設けられた空間と連通する長孔状水抜き孔が穿設された、
ことを特徴とするプレ・メイン一体型フィルタ装置。
【請求項2】
前記プレフィルタ部材は、1μmから1000μmの粒子径からなる粉塵を捕集するフィルタ材料を使用し、前記メインフィルタ部材は、0.3μmから50μmの粒子径からなる粉塵を捕集するフィルタ材料を使用した、
ことを特徴とする請求項1記載のプレ・メイン一体型フィルタ装置。
【請求項3】
前記フィルタ部材は、合成樹脂材料から構成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のプレ・メイン一体型フィルタ装置。
【請求項4】
前記プレフィルタ部材は、前記シート状フィルタ材料を二重に重ね合わせて、山状谷状のジグザグ繰り返し折り構造に折り曲げて構成した、
ことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載のプレ・メイン一体型フィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−58038(P2010−58038A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225842(P2008−225842)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(504378283)株式会社ユニパック (6)
【Fターム(参考)】