説明

プレート上への血液スミアの自動的な調製のためのデバイス

プレート上への血液スミアの自動調製のためのデバイスは、拡散ユニットを備えており、該拡散ユニットは、各プレートに規則的に分散される血液スミアを生成するために、個々のプレートにサンプル血液の液滴を拡散させる。血液スミアが乾燥された後、プレートは、定着剤因子で満たされた定着剤浴に渡される。定着剤因子への乾燥した血液の浸漬に続いて、プレートは、次に、定着剤浴から取り除かれ、回転ステイナーに送達される。回転ステイナーは、プレートを処理し、プレート上の血液スミアを着色する。回転ステイナーは、定着剤浴から離れており、定着剤浴から独立して動く。プレートがステイナーにおいて処理された後、着色された血液スミアを有するプレートは、デバイスから抜取られる。ロボットのピックアンドプレートは、コンベアと定着剤浴と回転ステイナーとの間でプレートを動かすために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液分析の分野に関し、さらに詳細には、プレート上への血液スミアの調製に関する。
【背景技術】
【0002】
この特定の分野において、顕微鏡の下での分析のために、ガラスプレートのような(本明細書においては「スライド」とも呼ばれる)プレート上に血液サンプルの液滴を堆積することと、血液スミアとして公知のものを生成するために、プレート上でこの液滴を拡散させることとは、公知である。次に、血液スミアは乾燥され、次に、顕微鏡の下での続く分析を可能にするために、少なくとも1つの適切な試薬によって着色される。実際、このタイプのプレートの分析は、当該の血液サンプルの組成を決定することを可能にし、このことが、特定の病状の診断のために非常に重要である。
【0003】
このタイプの血液スミアは、自動デバイスによって調製され得、該自動デバイスは、新たなプレートのストックに基づいて、プレート上に血液を堆積して拡散させる複数の動作と、乾燥および着色などの多岐にわたる続く処理動作とを行なう。このように処理されたプレートは、次に、適切な容器に収集され、分析のために実験室に送られる。
【0004】
このタイプの多くの市販のデバイスは、(本明細書においては「ステイナー」とも呼ばれる)着色ユニットを含む。血液スミアがプレートに堆積されて乾燥された後、プレートは、次に、着色ユニットに送達され、ここで、色が血液スミアに加えられる。着色ユニットに配置された各プレートが、開始位置から終了位置まで処理を施されるように、これらの着色ユニットのうちの多くが、回転する。開始位置と終了位置との間において、各プレートは、プレート上の血液スミアに色を加えるために動作可能である複数の処理ステーションにさらされる。一実施形態において、回転着色ユニットは、複数のウェルを備えている回転可能カルーセルであり、ウェルのそれぞれが、プレートのうちの1つを保持するように設計されている。かかる着色ユニットの例は、特許文献1に開示されており、該特許文献1は、その全体が本明細書において参考として援用される。
【0005】
一般的に、定着剤浴は、かかる回転着色ユニットにおいてプレートが遭遇する最初の処理ステーションである。定着剤浴は、プレートを保持するウェルを、純粋なメタノールのような定着剤因子で満たすことによって提供され得る。プレート上の血液細胞が、「固定」され、次の処理の間、水誘発の欠陥がないままであるということを確実にするために、定着剤因子は提供される。一部の状況において、ステインが、定着剤因子と共に、第1の処理ステーションに含まれ得る。
【0006】
プレートが定着剤浴にさらされた後、カルーセルは、インデックス方式(indexing fashion)で、別の位置に回転させられ、ここで、定着剤因子は、取り除かれ、第2の流体が、プレートを保持するウェルに置かれる。プレートを保持するウェルが、カルーセルによる完全な回転を介して回転させられるので、この処理は、様々な次の染色段階に対して繰り返される。染色処理の後期段階は、一般的に、水を基にした溶液を含む。処理の最終ステップは、ウェルの排水を行い、染色されたスライドを取り除き、新たな染色されていないスライドをウェルに置くことにより、処理を繰り返す。
【0007】
上記の処理は、完全に乾燥したウェルにおいて開始する処理を介して動く最初の組のプレートに対しては、充分に働く。しかしながら、ウェルが完全に乾燥される前に、処理を介して更なるプレートを動かすために、ウェルが再利用されるときに、問題が生じるということに留意されたい。特に、ウェルが、処理を介して最初のプレートを動かした後、わずかな量の水がウェルに残る。処理を介して次のプレートを動かすために、ウェルが乾燥する前に、ウェルが再利用された場合には、ウェル内のわずかな量の水が、ウェルに置かれた純粋なメタノールの定着剤因子の質を落とす。処理に続く結果は、次のスライド上の赤血球細胞が、顕微鏡の下で見られたときに、光輪、すなわち輝く輪を中央に有するように見えるということである。この光輪は、細胞の内部特徴を観察することを困難にし、サンプルの分析を、困難にし、不正確にする可能性がある。
【特許文献1】米国特許第6,319,470号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、回転ステイナーを含むが、上記の問題を回避する、プレート上での血液スミアの自動調製のためのデバイスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
プレート上での血液スミアの自動調製のためのデバイスは、新たなプレートをスタックに格納する格納ユニットを備えている。引き出しユニットは、スタックからプレートを引き出し、1回に1つずつ、プレートをコンベアに置くために使用される。プレートがコンベアに沿って通行すると、堆積ユニットは、スタックから引き出された各プレート上に血液の液滴を堆積する。拡散ユニットは、プレート上に規則的に分散された血液スミアを生成するために、各プレート上に血液の液滴を拡散させる。乾燥ユニットは、プレート上の血液スミアを乾燥させる。血液スミアが乾燥された後、プレートは、定着剤浴に渡される。定着剤浴は、定着剤因子で満たされ、血液スミアが定着剤浴に置かれたときに、血液スミアが定着剤因子の中に浸漬される。プレートは、次に、定着剤浴から取り除かれ、回転ステイナーに送達され、該回転ステイナーは、プレート上の血液スミアを着色する。回転ステイナーは、定着剤浴から離れており、定着剤浴から独立して動く。プレートが、ステイナーにおいて処理された後、着色された血液スミアを有するプレートは、デバイスから抜き取られる。ロボットのピックアンドプレースが、コンベアと定着剤浴と回転ステイナーとの間でプレートを動かすために使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
まず、図1および図2を参照すると、図1および図2は、本発明に従った、血液スミアの調製のためのデバイス10を表している。この例において、このデバイスは、デバイス12と組み合わせられ、該デバイス12は、ヘモグラムを同時に生成する。
【0011】
デバイス10は、様々なユニットを支持する長方形の基部プレート14と、新たなプレート18の格納のためのユニット16とを備えている。これらのプレートは、長方形のガラスのプレートであり、該ガラスのプレートは、水平に配置され、垂直なスタックに重ね合わされ、柱20(図1)の間で維持される。この配置は動作中の再供給を可能にする。なぜならば、オペレータは、単に新たなプレートをスタックの上に置けばよいからである。
【0012】
本発明に従ったデバイスは、引き出しユニット22(図3)をさらに備え、該引き出しユニット22は、(図3に概略的に示された)キャリッジ23の上にプレートをもたらすために、スタックの基部に配置されたプレートを引き出すために提供され、キャリッジ23は、次に、本発明に従ったデバイスに含まれる他のユニットに向けてプレートを運ぶ。引き出しユニット22は、スラスター(thruster)24を備え、該スラスター24は、図2、図3、および図4における矢印によって示されたように、引き出し方向DEに移動させられ得る。スラスター24は、は、水平方向のブレードの形式であり、スラスター24の厚さは、引き出されるプレートの厚さよりも薄い。このブレードは、フロントエッジとして知られる長手方向の縁26を備え、該長手方向の縁26は、プレート18の長手方向の縁28に作用し得る。
【0013】
スラスター24は、ロッド30(図3)によって平行に導かれ、スラスター24の移動は、有利にも、図3に概略的に示されたアセンブリ32によって得られ、該アセンブリ32は、ステップモータまたは球ねじを備えている。
【0014】
プレートが、キャリッジ23の上に置かれると、プレートは、次の取り付けのユニット、すなわち堆積ユニット34(図2)の高さとなる。ユニット34において、センサ36(図5を参照)が提供され、該センサ36は、例において、デバイス12の一部分であるが、変化形として、該センサ36は、デバイス10自体の一部分であり得る。このセンサは、移動手段(図示せず)によって動かされ、サンプルチューブ(図示せず)から血液を収集し、次に、キャリッジ23の上に堆積されたばかりの新たなプレート18の上に血液の液滴38(図2および図5)を堆積するように設計されている。キャリッジ23において、プレート18は、固定の留め具40と傾斜把持部42との間に維持されており、該傾斜把持部42は、クリップとしても知られている。
【0015】
血液の液滴は、センサ36によって、固定されたままであるプレート上の所定の位置に堆積され、キャリッジ23は、平行方向には動けなくされている。血液の液滴の量は、所定のものであり、ユーザによって調節され得る。
【0016】
キャリッジ23は、引き出し方向DEに対して垂直である平行移動方向DT(図2および図5)に従って、水平移動で移動させられ得る。キャリッジの水平移動の変位は、適切な駆動手段を用いてコンベアによって(例えば、ローラーによって駆動されたベルト44によって)実行され、該駆動手段は、図5に概略的に示されている。
【0017】
図2に見られ得るように、プレート18は、概して長方形の形状を有する予備エリア46を有し、該予備エリア46は、プレート18の一端に提供され、血液の液滴38が、この予備エリアの周辺で、プレート上に堆積される。
【0018】
次に、コンベアが、キャリッジ23をユニット48に向けて移動させ、該ユニット48は、拡散ユニット48(図2、図6および図7)として知られており、血液の液滴を拡散させて、それによりスミア50を形成するために提供されている。拡散ユニット48は、キャリッジ23の通路に配置され、該通路は、プレートの移動を提供する。
【0019】
拡散ユニット48(図6)は、測定ユニット49を備えており、該測定ユニット49は、プレートに堆積された血液の液滴38の光の透過を測定することができる。この測定ユニットは、エレクトロルミネッセントダイオード52とフォトダイオード54とを備えており、該エレクトロルミネッセントダイオード52とフォトダイオード54とは、血液の液滴38の位置においてプレート18の両側に配置される。この場合、エレクトロルミネッセントダイオード52は、血液の液滴を受け取るプレートの上面56と同じ側に配置される。例において、エレクトロルミネッセントダイオードは、560nmにおいて発光する。
【0020】
次に、液滴の厚さと、光の透過(TO)測定値が導き出され、該測定値は、液滴の厚さと液滴の内容とに依存している。この測定値は、関連する血液のヘマトクリット示度に対して反比例するということが、テストによって示されている。このように得られた測定値に基づいて、血液の拡散速度、従ってスミアの厚さが調節される。
【0021】
従って、多くの細胞を含み、それゆえ高いヘマトクリット示度を有する血液サンプルは、より低いTO測定値を提供し、従って高速の拡散を起こす。逆に、低いヘマトクリット示度を有するサンプルは、高いTO測定値を提供し、そして低速の拡散を提供する。
【0022】
この測定値に基づいて、血液サンプルに存在する細胞の量に関係なく、拡散速度を正確に制御することと、プレート上での細胞の規則的な分布を得ることとが、このようにして可能となる。
【0023】
この測定が行われているときに、拡散は、拡散ユニット48において、図7に示されたツール58によって行われる。ツール58は、カウンターブロック62を支持する固定の支持60を備え、該カウンターブロック62は、カウンターブロック62とキャリッジ23によって支持されているプレート18との間の相対的な移動による拡散を行うように設計されている。例えば、拡散を生じさせるものは、平行方向DTへのキャリッジ23によるプレート18の移動である。支持60の高さが、矢印Hによって示されるように制限され得る場合を除いて、カウンターブロック62は、固定の位置のままである。さらに、理解され得るように、カウンターブロック62は、リッジ64を有し、該リッジ64は、縁66に接続されており、該縁66は、プレートの上面56と調節可能な角度Bを形成する。この調節可能な角度Bは、スミアの厚さを調節するために、必要に応じて修正される。概して、角度Bは、約30度である。
【0024】
図7に見られ得るように、カウンターブロック62は、血液の液滴と直接的に接触しない。この目的のために、本発明は、プラスチックの材料、例えば、ポリエチレンで作られた可撓性のストリップ68を備え、該可撓性のストリップ68は、カウンターブロックのリッジ64および縁66を完全に覆うために、カウンターブロック62の周りに伸ばされる。ツール60は、ストリップ68を巻き付けたり解いたりする手段を備えている。これらの手段は、新たなストリップが解かれる第1のボビン70(解くボビン)と、血液によって汚されたストリップが巻き付けられる第2のボビン72(巻き付けるボビン)とを備えている。カウンターブロックの周りのストリップの通過とボビン72の周りへの巻き付けとの間で、ストリップは、リターンローラー74、リターンローラー76、およびリターンローラー78の周りを通過する。
【0025】
血液と接触するストリップの部分は、2つの連続する拡散動作の間に移動させられ、例えば、次のスミアのためにストリップの空白の部分を提供することと、あらゆる汚染のリスクを防止することとの間に移動させられる。
【0026】
有利にも、ボビン70とボビン72とは、容器の中に含まれ、該容器は、ストリップが完全に使い果たされたときに、取り替えられなければならない。
【0027】
次に、スミア50を支持するプレート18は、ここでもやはりキャリッジ23によって、マーキングユニット79(図2)に移送され、該マーキングユニット79は、例えば、インクリボンを有するニードルマトリックスタイプ(needle matrix type)の印刷ヘッドから成り得る。プレートは、先に記述された予備エリア46においてマーキングされる。このエリアは、印刷インクが充分に付着することを可能にするように、表面をザラザラにされなければならないか、または事前塗装されなければならない。マーキングは、他の方法でも行われ、例えば、先に記述された拡散ユニットの位置に配置されたリボンまたは他の印刷手段によって行われ得る。
【0028】
マーキングが行われたとき、キャリッジ23は、プレート18をユニット80に移送し、該ユニット80は、乾燥および傾斜のユニット(図1および図8)である。キャリッジは、プレートをユニット80に堆積し、プレートは、傾斜器82によって受け取られ、該傾斜器82は、次のプレートを受け取るために、空のキャリッジが堆積ユニットに戻ることを可能にする。
【0029】
プレートは、ローラー84を用いて傾斜器82によって支持され、該ローラー84は、ポリマーで作られている。次に、プレートは、温風暖房器86によって伝えられる約40℃に維持された暖気の流れを受ける。次に、傾斜器82(図2および図8)は、プレートを(図8において破線のアウトラインで示された)垂直な姿勢にもたらすために、プレートを90°傾斜させ、該垂直な位置取りにおいて、プレートの予備エリア46は、上に配置される。
【0030】
このようにして垂直な位置取りにもたらされたプレートは、次に、操作ブラケット88(図2)によって収集され得、該操作ブラケット88は、図10および図11を参照して以下で詳細に記述される。操作ブラケットは、1つの場所から別の場所に構造を動かすための、当該分野において公知であるようなロボットのピックアンドプレースデバイスであり得る。特に、この操作ブラケットは、装填位置81(図2および図8)から定着剤浴200、着色ユニット90、および/または出力ユニット92にプレート18を移送することを可能にする。
【0031】
図11に示されているように、定着剤浴200は、概して、少なくとも1つのプレート18を受け取るように設計され、かつ、寸法を決められた専用の定着剤ウェル201を備えている。定着剤ウェル201は、一般的には、プレートの実質部分が、ウェルの中で、ウェルの上側のへりの下にあるように充分に深い。定着剤ウェル201は、実質的に、純粋なメタノールのような定着剤因子で満たされている。プレート上の血液細胞が、「固定」され、次の処理の間、水によって生じる欠陥がないままであるということを確実にするために、定着剤因子は提供される。乾燥した血液スミアを有するプレートが、定着剤ウェルに配置された場合、乾燥した血液スミアは、定着剤因子の中に浸される。定着剤因子の中に浸された後、プレートは、着色ユニット90への移送の準備が整う。
【0032】
着色ユニット90(図9)は、(本明細書においては「回転カルーセル」とも呼ばれる)回転する回転台94を備えている。回転する回転台は、垂直軸XXでシャフト96の周りを回転するように据え付けられる。この回転台は、「ウェル」として公知である複数のレセプタクル98を支持し、該ウェルは、円周方向に分配されており、示された例においては、32個のウェルがある。これらのウェルは、垂直に配置されており、プレートの寸法に適合された寸法を有する。回転台94は、駆動手段100に接続されており、該駆動手段100は、図9に概略的に示されており、ウェルを次々と異なる位置にもたらすように、増分で回転台を回転させ得る。このようにして、回転台は、例えば、30秒毎に、ウェルからウェルに連続的に角度のある回転を行い得る。まず、空のウェルが、プレートを受け取るためにブラケット88に対して直角に配置される。
【0033】
次に、プレートは、回転台の各連続する位置において少なくとも1つの動作を受ける。
【0034】
この目的のために、着色ユニットは、充填および取出しの手段102をさらに備えており、該充填および取出しの手段102は、支持104を備え、該支持104は、回転台の回転軸に対して平行な垂直移動で移動させられ得る。この例において、支持104は、ドラム106を備え、該ドラム106は、矢印F1によって示されたように、シャフト96に沿って滑動し得る。支持104は2つのプランジャの針を支持しており、該2つのプランジャの針、すなわち、注入針108と取出し針110とは、垂直に配置されている。支持104は、(図9に実線で示されているような)針がウェル98から引き出される高い位置と、針がウェルの中に突っ込まれる低い位置との間で移動させられ得る。選択された着色習慣(coloring convention)に従って、針が移動させられるように、針の位置がインキュベーション時間を決定する。
【0035】
図9に見られ得るように、プレート18がウェル98に収容されている位置において、識別手段を帯びているプレートの予備エリア46は、ウェルに含まれる流体の外側にあるように、上に配置されている。
【0036】
着色ユニットは、基部112とカバー114とを含む閉じた筐体をさらに備えており、該筐体は、回転台94とウェル98とを完全に囲み、ウェルに注入された試薬または溶剤から誘導された有毒蒸気の移動を防止するために、筐体は該ウェル98を含む。カバー114は、針の通過を可能にするために、穴116を含む。
【0037】
ウェルに設置されたプレートは、MAYGRUNWALD,GIEMSA,WRIGHT & WRIGHT GIEMSAの公知の方法に従ってプレートを識別するために必要な着色動作のうちの1つを行なうために、染料および他の処理用の流体に連続して浸される。
【0038】
デバイス10は、ウェルに注入され、次に取り出され得る様々な流体を含むボトルを収容するために、リセス118(図1)を備えている。
【0039】
例において、ボトル120は、溶剤(この場合、メタノール)を含むために提供され、2つのボトル122およびボトル124は、それぞれ2つの異なる染料を含むために提供される。
【0040】
本発明に従ったデバイス10が組み合わせられるデバイス12は、他の試薬126、128、130、および132(図2)を収容するためにリセスを備えているということを留意されたい。
【0041】
完全な回転の後、このようにして処理されたプレート18は、最初の位置(すなわち、ステイナーの装填/抜き取りの位置に戻る。この位置において、プレート18が出力ユニット92の乾燥ウェル202に移送される準備が整う。
【0042】
一実施形態において、プレートが、出力ユニットに移送される前に、プレートは、乾燥ウェル202に移送される。乾燥ウェル202は、定着剤浴200内の定着ウェルに取り付けられ得る。定着剤ウェル201と同様に、乾燥ウェル202は、一般的には、プレートの相当な部分が、ウェルの中で、ウェルの上側のへりの下にあるように充分に深い。乾燥ウェル202は、分割壁203によって、定着剤ウェル201から隔離されている。乾燥ウェルは、試薬を含んでおらず、着色ユニット90から取り除かれ、出力ユニット92への送達を待っているプレートに対する保持タンクとして一般的に使用される。乾燥ウェル202におけるわずかな時間の後、プレート18は、次に、出力ユニット92に移送される。
【0043】
出力ユニット92は、レセプタクル134(図1および図2)を含んでおり、該レセプタクル134は、空の積み重ねられたバスケット136を収容し得る。次に、これらのバスケットは、通路138において、矢印F2(図1および図2)の方向に1つずつ移動させられる。たとえば、バスケットのそれぞれが20個のリセスを含み、該リセスはそれぞれ、操作ブラケットによって供給されるプレートを垂直な姿勢で収容し得る。機械的な供給デバイス(非表示)は、操作ブラケットの下に連続してバスケットの各リセスを配置し、そのたびごとに、事前処理されたプレートを受け取るために、増分毎にバスケットを供給することを可能にする。バスケットが満たされたときには、バスケットは、オペレータによって取り出される前に、格納エリア140に格納される。
【0044】
さらに、デバイス10は、手動で用意され、着色される必要があるプレートの格納のためのレセプタクル142を備えている。実際、一部の場合において、手動で塗られた血液をすでに提供されたプレートを着色することが、必要となる。このレセプタクル142は、ブラケットに対して直角にも配置され、このようにして、該ブラケットは、着色回転台に直接的にプレートをもたらすために、レセプタクル142からプレートを収集することを可能にする。プレートが着色されたときには、プレートは移動させられ、バスケットの中にもたらされる。
【0045】
図10は、定着剤因子および着色がこのプレートに必要とされているか否かに依存して、スミアを提供されるプレートを定着剤浴201にもたらして、次に、着色回転台90にもたらすか、またはスミアを提供されるプレートを格納エリア内のバスケットにもたらすために、操作ブラケット、すなわち、経路T1によって提供される様々な例示的な可能性を概略的に示している。先に記述したように、レセプタクル142の外側から用意されたプレートを定着剤浴201そして着色プラットフォーム90にもたらすように、経路T2を移動することも可能である。着色回転台90から乾燥ウェル202にプレートを移動し、次に、格納エリア内のバスケットに移動するために、経路T3を移動することも可能である。
【0046】
ここで、ブラケット88の概略的構造を記述するために、図11に参照が行なわれる。ブラケット88は、固定の支持144を備え、該固定の支持144は、誘導手段を形成する2つの垂直な柱と、固定の支持に対して垂直に移動させられ得る水平ビーム146と、ビームに沿って平行に移動させられ得るスライド148と、1つのユニットから別のユニットにプレートを移動させために、プレートを握持し、次にプレートを解放し得る制御された把持部150とから成り立つ。
【0047】
適切な駆動手段(図示せず)は、ビーム146とスライド148とを移動させることが可能であり、それにより把持部150は、垂直面で異なる位置を占め得る。把持部150は、適切な手段、例えば、電磁石によって作動され得る。把持部は、プレートの予備エリア46に作用するということに留意されたい。
【0048】
図12を参照すると、1つの代替の実施形態において、定着剤浴200は、定着剤ウェル201と乾燥ウェル202との両方を備えている。この実施形態において、定着剤浴200は、第1の軸211に沿って動くことができ、該第1の軸211は、第2の軸212に対して垂直であり、スライド148が水平方向に動くときには、該第2の軸212に沿って、スライド148は動く。定着剤浴200は動くことができるので、プレートが、装填位置81から定着剤浴200の定着剤ウェル201に動かされるとき、および定着剤ウェル201から回転ステイナー90に動かされるときには、定着剤ウェル201は、スライド148の経路およびスライド148と関連付けられる把持部150の下に配置され得る。次に、プレートが、反対方向に動かされるとき、すなわち、ステイナー90から乾燥ウェル202に動かされるとき、および乾燥ウェルから出力ユニット92に動かされるときには、乾燥ウェル202が、スライドの経路の下に配置されるように、定着剤浴は、第1の軸211に沿って移動させられる。定着剤ウェル201と乾燥ウェル202は、このように動かされ、把持部150は、プレートを適切な位置で容易に拾い上げたり、降ろしたりし得る。
【0049】
このように、上記のデバイスは、定着剤ウェルが水または水溶液で濯がれることを全く必要としないように設計される。定着剤因子が取り替えられる必要があるときには、古い定着剤因子は、ウェルから排出され、ウェルは、単に、新たな定着剤因子で再充填される。従って、水は定着剤浴には決して入らず、定着剤因子の水の汚染の問題が回避される。
【0050】
本発明は、特定の好適な実施形態を参照して記述されてきたが、他の実装および適応が可能であるということが当業者によって理解される。例えば、1つの代替の実施形態において、ピックアンドプレースデバイスは、2つの把持部を含む。第1の把持部は、定着剤浴とコンベアおよび/または出力ユニットとの間でプレートを移送するために使用される。第2の把持部は、回転可能ステイナーと定着剤浴との間でプレートを移送するために使用される。別の代替の実施形態において、2つのピックアンドプレースデバイスが利用される。第1のピックアンドプレースデバイスは、抜き取り位置と定着剤ウェルと回転ステイナーとの間でプレートを移送するために使用される。第2のピックアンドプレースデバイスは、回転ステイナーと乾燥ウェルと出力ユニットとの間でプレートを移送するために使用される。さらに、上に記述された他の局面を組み込むことなく獲得され得る、本明細書において記述された個々の進歩に対する有利な条件もある。従って、添付の特許請求の範囲の精神および範囲は、本明細書に含まれる好適な実施形態の記述に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明に従ったデバイスの概略的斜視図である。
【図2】図2は、図1のデバイスの平面図である。
【図3】図3は、格納ユニットと引き出しユニットとの平面図である。
【図4】図4は、引き出しユニットの作用の方法の例示である。
【図5】図5は、センサを示し、該センサは、堆積ユニットの一部分であり、キャリッジによって支持されたプレートの上に血液の液滴を堆積する。
【図6】図6は、拡散ユニットと関連付けられる光透過測定ユニットを示す。
【図7】図7は、拡散ユニットのツールを示す。
【図8】図8は、乾燥および傾斜のユニットの傾斜器を示す。
【図9】図9は、着色ユニットの垂直方向の断面図である。
【図10】図10は、操作ブラケットの様々な経路を概略的に示す。
【図11】図11は、操作ブラケットの概略的立面図である。
【図12】図12は、操作ブラケットと可動定着剤浴との概略的平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液スミアを有するプレートの自動調製のためのデバイスであって、該デバイスは、
a)血液スミアを有する該プレートを動かすように動作可能であるコンベアと、
b)該コンベアから該プレートを受け取るように設計された定着剤浴と、
c)該定着剤浴から該プレートを受け取り、該プレート上の該血液スミアを染色するように設計された回転ステイナーであって、該ステイナーは、該定着剤浴とは別個に動くように動作可能である、回転ステイナーと
を備えている、デバイス。
【請求項2】
前記コンベアから前記定着剤浴に前記プレートを動かすように動作可能なピックアンドプレースをさらに備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記定着剤浴から前記ステイナーに前記プレートを動かすように動作可能なピックアンドプレースをさらに備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ピックアンドプレースは、前記コンベアと前記定着剤浴との間で前記プレートを動かすように動作可能である第1の把持部と、該定着剤浴と前記ステイナーとの間で該プレートを動かすように動作可能である第2の把持部とを備えている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記コンベアは、可動ベルトである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記回転ステイナーは、回転可能カルーセルを備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記定着剤浴は、定着剤ウェルを備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記定着剤ウェルに隣接する中間の乾燥ウェルをさらに備え、該中間の乾燥ウェルは、前記ステイナーから前記プレートを受け取るように設計されている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
血液スミアを有するプレートを自動的に調製する方法であって、該方法は、
a)血液スミアを有する該プレートを装填位置に動かすことと、
b)該装填位置から定着剤浴に該プレートを動かすことと、
c)該定着剤浴から回転ステイナーに該プレートを動かすことと、
d)該回転ステイナーにおいて該プレートを処理することと、
e)該回転ステイナーから該プレートを移すことと
を包含する、方法。
【請求項10】
ピックアンドプレースは、前記コンベアから前記定着剤浴に前記プレートを動かすために使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ピックアンドプレースは、前記定着剤浴から前記ステイナーに前記プレートを動かすために使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記回転ステイナーは、回転可能カルーセルを備えている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記回転ステイナーから前記プレートを移す前記ステップに続いて、追加のプレートに対して前記ステップa)〜e)を繰り返すステップをさらに包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
ステップe)は、前記回転ステイナーから乾燥ウェルに前記プレートを移すことを包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記乾燥ウェルから前記プレートを移すステップをさらに包含する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
プレート上への血液スミアの自動調製のためのデバイスであって、
a)新たなプレートをスタックに格納するように動作可能な格納ユニットと、
b)該スタックからプレートを引き出すために動作可能な引き出しユニットと、
c)該スタックから引き出されたプレートに血液の液滴を堆積するように動作可能な堆積ユニットと、
d)該プレート上に規則的に分散された血液スミアを生成するために、該血液の液滴を拡散させるように動作可能な拡散ユニットと、
e)該プレート上の該血液スミアを乾燥させるように動作可能な乾燥ユニットと、
f)定着剤因子の中に、該プレート上の該血液スミアを沈めるように動作可能な定着剤浴と、
g)該プレート上の該血液スミアを着色するように動作可能な回転ステイナーであって、該回転ステイナーは、該定着剤浴から離れている、回転ステイナーと、
h)着色された血液スミアを有する該プレートを抜き取るように動作可能な出力ユニットと
を備えている、デバイス。
【請求項17】
前記回転ステイナーは、回転カルーセルを備えている、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記定着剤浴と前記回転ステイナーとの間で前記プレートを動かすように動作可能なピックアンドプレースをさらに備えている、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
所定の経路に沿って前記プレートを移送するように動作可能なコンベアをさらに備えている、請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
前記定着剤浴は、前記コンベアと前記回転ステイナーとの間に配置される、請求項19に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−518651(P2009−518651A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544604(P2008−544604)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/061031
【国際公開番号】WO2007/067847
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(507316789)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (34)
【Fターム(参考)】