プレート式熱交換器
【課題】 伝熱プレートを大型化させることなく好適な熱交換を行うことのできるプレート式熱交換器を提供する。
【解決手段】 複数枚の伝熱プレートが積層され、伝熱プレート間に一次流体を流通させる一次流体流通空間と、二次流体を流通させる二次流体流通空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されたプレート式熱交換器において、一次流体流通空間を形成する伝熱プレート間には、一次流体流通空間を一次流体流入路に連通する上流側一次流体流通路と、一次流体流出路に連通する下流側一次流体流通路とに画するように、一次流体流入路と一次流体流出路との間を通って伝熱プレートの一端から他端側に延びる仕切部が形成され、仕切部は、上流側一次流体流通路と下流側一次流体流通路とが伝熱プレートの一端側で連通するように形成されている。
【解決手段】 複数枚の伝熱プレートが積層され、伝熱プレート間に一次流体を流通させる一次流体流通空間と、二次流体を流通させる二次流体流通空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されたプレート式熱交換器において、一次流体流通空間を形成する伝熱プレート間には、一次流体流通空間を一次流体流入路に連通する上流側一次流体流通路と、一次流体流出路に連通する下流側一次流体流通路とに画するように、一次流体流入路と一次流体流出路との間を通って伝熱プレートの一端から他端側に延びる仕切部が形成され、仕切部は、上流側一次流体流通路と下流側一次流体流通路とが伝熱プレートの一端側で連通するように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の伝熱プレートが積層され、該伝熱プレートを境にして一次流体を流通させる一次流体流通空間と、二次流体を流通させる二次流体流通空間とが交互に形成され、伝熱プレートを介して一次流体と二次流体との間で熱交換させるプレート式熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一次流体と二次流体との間で熱交換を行う熱交換器として種々のタイプのものが提供されている。その一つとして、複数枚の伝熱プレートが積層され、各伝熱プレートを境にして一次流体を流通させる一次流体流通空間と、二次流体を流通させる二次流体流通空間とが交互に形成され、伝熱プレートを介して一次流体と二次流体との間で熱交換させるプレート式熱交換器がある。
【0003】
このプレート式熱交換器は、一次流体流通空間に一次流体を流入させる一次流体流入路が伝熱プレートの一端側に形成され、該一次流体流通空間を流通する一次流体を流出させる一次流体流出路が伝熱プレートの他端側に形成されている。また、このプレート式熱交換器は、二次流体流通空間に二次流体を流入させる二次流体流入路が伝熱プレートの他端側に形成され、該二次流体流通空間を流通する二次流体を流出させる二次流体流出路が伝熱プレートの一端側に形成されている。これにより、伝熱プレートを境にして一次流体と二次流体とが相対方向に流動することになり、伝熱プレートを介して一次流体と二次流体との間で熱交換を行えるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成のプレート式熱交換器は、一次流体及び二次流体を伝熱プレートの一端から他端、或いは他端から一端に向けて流通させるように構成されているため、熱交換効率が伝熱プレートの大きさに起因するものとなっている。すなわち、上記構成のプレート式熱交換器は、一次流体及び二次流体における熱交換率、及び熱交換量を高めるには、伝熱プレートの一端から他端までの長さを長くして一次流体又は二次流体の流動長を長くしなければならず、性能向上を達成するのにプレート式熱交換器のサイズを大きくする必要があった。
【0005】
また、上記構成のプレート式熱交換器は、二次流体に相変化型のもの(熱交換によって相変化を起こす流体)を採用した場合、二次流体が液膜として伝熱プレートに付着して伝熱効率の低下の原因となるが、上述の如く、伝熱プレートの一端から他端の長さを長くすると、伝熱プレートの表面に付着した液膜の膜厚は、上流側から下流側に向けて厚くなり、安定した伝熱性能を維持することができないといった問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、伝熱プレートを大型化させることなく好適な熱交換を行うことのできるプレート式熱交換器を提供することを第一の課題とし、該第一の課題に併せ、二次流体に二相型のものを採用しても伝熱プレートの伝熱面に対する液膜の形成を極力抑えて伝熱効率を高めたものにすることのできるプレート式熱交換器を提供することを第二の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプレート式熱交換器は、上記第一の課題を解決すべくなされたもので、複数枚の伝熱プレートが積層され、伝熱プレート間に一次流体を流通させる一次流体流通空間と、二次流体を流通させる二次流体流通空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、前記一次流体を一次流体流通空間に流入させる一次流体流入路、及び一次流体流通空間から流出させる一次流体流出路が伝熱プレートの一端に沿って並設され、前記二次流体を二次流体流通空間に流入させる二次流体流入路、及び二次流体流通空間から流出させる二次流体流出路が伝熱プレートの他端に沿って並設され、伝熱プレートを介して一次流体と二次流体との間で熱交換させるプレート式熱交換器において、一次流体流通空間を形成する伝熱プレート間には、一次流体流通空間を、一次流体流入路に連通する上流側一次流体流通路と、一次流体流出路に連通する下流側一次流体流通路とに画するように、一次流体流入路と一次流体流出路との間を通って伝熱プレートの一端から他端側に延びる仕切部が形成され、仕切部は、上流側一次流体流通路と下流側一次流体流通路とを伝熱プレートの他端側で連通させるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
このように一次流体流通空間を仕切部によって仕切ることで、一次流体を伝熱プレートの一端側から他端側に流通させるのに比して、一次流体が流通する流路の長さ(流路長)が長くなり、一次流体からの伝熱作用を効率的に得ることができる。
【0009】
また、一次流体が流通する流路(上流側一次流体流通路、及び下流側一次流体流通路)の幅(流路幅)についても、一次流体を伝熱プレートの一端側から他端側に流通させるのに比して狭くなり、一次流体を伝熱プレートの一端側から他端側に流通させていたときと同じ流入圧で一次流体の流速を高めることができる。これにより、伝熱プレートの伝熱面に対する境膜伝熱係数が高くなり、熱交換効率を高めることができる。また、一次流体を流通させる流路を、他端側で連通する上流側一次流体流通路と下流側一次流体流通路とで構成することで、一次流体の流動長を長くするようにしているので、圧力損失が大きくなく、一次流体を円滑に流動させることができる。即ち、一次流体の流動方向を一度切り換えるようにしているだけなので、圧力損失が大きくなりすぎることがなく、一次流体を円滑且つ確実に流動させることができる。
【0010】
さらに、本発明のプレート式熱交換の一態様として、一次流体流通空間を形成する伝熱プレートの伝熱面には、上流側一次流体流通路及び下流側一次流体流通路を横切る複数の凹条及び凸条が形成されていることが好ましい。このようにすれば、一次流体流通空間内で流通する一次流体に乱流を起こすことができ、さらに効率の高い熱交換を行うことができる。
【0011】
また、第二の課題を解決すべく、前記二次流体には、熱交換に伴って相変化を起こす二相型のものが採用され、二次流体流通空間は、二次流体流入路から伝熱プレートの一端に向けて延びる上流側二次流体流通路と、二次流体流出路から伝熱プレートの一端に向けて延びる下流側二次流体流通路と、上流側二次流体流通路と下流側二次流体流通路とを接続する接続流通路とで構成され、二次流体流通空間を形成する伝熱プレートの伝熱面には、上流側二次流体流通路から下流側二次流体流通路にかけて延びる複数の凹条及び凸条が、伝熱プレートの一端から他端に向けて並列に形成され、前記接続流通路が前記凹条によって形成されていることを特徴する。
【0012】
このようにすれば、二次流体の流通する流路の全長が、一次流体の流通する流路の全長よりも短くなり、伝熱プレートの伝熱面に対して二次流体の液膜が形成されにくくなる。その結果、二次流体の伝熱効率を高めることができる。つまり、一次流体流通空間内での一次流体の流動長を短くすることなく、二次流体が伝熱プレートの伝熱面に接触して流通する距離を短くすることができるので、一次流体に対する熱交換の性能を維持した上で、二次流体に流通に伴って伝熱面に蓄積される液膜の厚みを薄くすることができる。これにより、二次流体に対する伝熱プレートの伝熱効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るプレート式熱交換器は、伝熱プレートを大型化させることなく好適な熱交換を行うことができる。併せて、二次流体に二相型のものを採用しても、伝熱プレートの伝熱面に対する液膜の形成を極力抑えて伝熱効率を高めたものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器について、添付図面を参酌しつつ説明する。
【0015】
本実施形態にかかるプレート式熱交換器は、図1及び図2に示す如く、複数枚の伝熱プレート10,20,10,20…を積層して形成されており、各伝熱プレート10,20,10,20…を境にして、一次流体Aを流通させる一次流体流通空間30と、二次流体Bを流通させる二次流体流通空間40とが交互に形成されている。なお、一次流体A及び二次流体Bには、種々のものを採用できるが、本実施形態において、一次流体Aには、水や温水等の相変化を起こさない単相型のものを採用し、二次流体Bには、フロン等の相変化を起こす二相型のものを採用している。
【0016】
また、該プレート式熱交換器は、伝熱プレート10,20,10,20…の一端側に、一次流体Aを一次流体流通空間30内に流入させるための一次流体流入路21と、一次流体流通空間30から一次流体Aを流出させる一次流体流出路22とが伝熱プレート10,20,10,20…の一端に沿うように並んで形成されている。
【0017】
また、該プレート式熱交換器は、伝熱プレート10,20,10,20…の他端側に二次流体Bを二次流体流通空間40内に流入させるための二次流体流入路31と、二次流体流通空間40から二次流体Bを流出させる二次流体流出路32とが伝熱プレート10,20,10,20…の他端に沿うように並んで形成されている。
【0018】
すなわち、一次流体流出路22は、伝熱プレート10,20,10,20…の一端側であって、該一端と交差方向に延びる一方の端縁(以下、一側端という。)側に形成され、一次流体流入路21は、伝熱プレート10,20,10,20…の一端側であって、該一端と交差方向に延びる他方の端縁(以下、他側端という。)側に形成されている。その一方で、二次流体流入路31は、伝熱プレート10,20,10,20…の他端側であって、一側端側に形成され、二次流体流出路32は、伝熱プレート10,20,10,20…の他端側であって、他側端側に形成されている。
【0019】
かかる構成についてより具体的に説明すると、該プレート式熱交換器は、二種類の伝熱プレート10,20(以下、一方の伝熱プレート10を第一伝熱プレートといい、他方の伝熱プレート20を第二伝熱プレートという。)が交互に積層されることにより、各第一伝熱プレート10…及び第二伝熱プレート20…を境にして前記一次流体流通空間30と二次流体流通空間40とが交互に形成されている。
【0020】
第一伝熱プレート10は、金属製の板材をプレス加工することによって形成されており、前記一次流体流通空間30と二次流体流通空間40とを区切るプレート状の第一伝熱部100と、該第一伝熱部100に対して所定の角度を有して第一伝熱部100の外周端縁から該第一伝熱部100の一方の面とは反対側の面(他方の面)側に延出した第一封止片部150(図7〜図9参照)とで構成されている。
【0021】
前記第一伝熱部100は、平面視略長方形状に形成されており、長手方向の一端側に一次流体流出路22を形成するための第一開口101と、前記一次流体流入路21を形成するための第二開口102とが貫通して設けられている。前記第一開口101は、第一伝熱部100の一側端(長手方向と直交する方向(短手方向)の一端)側に形成されており、第二開口102は、第一伝熱部100の他側端(長手方向と直交する方向(短手方向)の他端)側に形成されている。
【0022】
また、該第一伝熱部100には、長手方向の他端側に前記二次流体流入路31を形成するための第三開口103と、二次流体流出路32を形成するための第四開口104とが貫通して設けられている。前記第三開口103は、第一伝熱部100の短手方向の一端(一側端)側に形成されており、第四開口104は、第一伝熱部100の短手方向の他端(他側端)側に形成されている。
【0023】
該第一伝熱部100の両面には、図3及び図4に示す如く、それぞれ機能を有する凸部、凸条、凹部、及び凹条が適宜形成されている。該第一伝熱部100(第一伝熱プレート10)は、金型を用いて板材を両面側からプレス加工して形成されたものであり、一方の面を適宜窪ませて凹部又は凹条を形成し、該凹部又は凹条以外の部分で凸部又は凸条が適宜形成されている。そして、他方の面においては、一方の面の凹部又は凹条の形成に伴って膨出した部分で凸部又は凸条が適宜形成され、該凸部又は凸条間によって凹部又は凹条が適宜形成されている。
【0024】
従って、以下の説明において、一方の面側において凹部又は凹条と表現する場合には、一方の面を基準にして窪んで(凹に)形成された部分を意味し、凸部又は凸条と表現する場合には、プレス成形前の板材における平面状態が保たれた部分を意味する。その一方で、他方の面側において、凸部又は凸条と表現する場合には、一方面に凹部又は凹条を形成することによって膨出した部分を意味し、凹部又は凹条と表現する場合には、この他方の面側において形成された凸条間又は凸部間における谷部分を意味する。なお、図3及び図4において、ハッチングを付した部分がその面側における凸部分を表している。
【0025】
図3に示す如く、第一伝熱部100の一方の面において、第一開口101及び第二開口102の周縁部には、各開口の中心と略同心の環状凹部105a,106aが形成されている(以下の説明において、第一開口101の周縁部に形成された環状凹部105aを第一環状凹部といい、第二開口102の周縁部に形成された環状凹部106aを第二環状凹部という。)。
【0026】
また、第一伝熱部100の一方の面において、第三開口103及び第四開口104の周縁部には、各開口の中心と略同心の環状凸部107a,108aが形成されている(以下の説明において、第三開口103の周縁部に形成された環状凸部107aを第三環状凸部といい、第四開口104の周縁部に形成された環状凸部108aを第四環状凸部という。)。
【0027】
第一伝熱部100の一方の面には、長手方向の一端から他端に向けて延びる凸条(以下、第一仕切用凸条部という。)109が、第一開口101と第二開口102との間(本実施形態においては、第一伝熱部100の短手方向の略中央)を通るように形成されている。該第一仕切用凸条部109は、第一伝熱部100の長手方向の他端から所定距離に離れた位置に先端が位置している。
【0028】
さらに、第一伝熱部100の一方の面には、第三環状凸部107aに接続されて第一環状凹部105aに向けて延びる所定幅の第一帯状凸部110が形成されると共に、第四環状凸部108aに接続されて第二環状凹部106aに向けて延びる所定幅の第二帯状凸部120が形成されている。該第一帯状凸部110及び第二帯状凸部120内には、複数の凹部(以下、第一調整凸部形成凹部111a,111bという)が、他方の面側の後述する第一流動方向調整用凸部121a,121bの配置及び形状に対応して形成されている。
【0029】
第一帯状凸部110内の第一調整凸部形成凹部111aのそれぞれは、第一伝熱部100の長手方向に延びるように形成されており、第二帯状凸部120内の第一調整凸部形成凹部111bのそれぞれは、第一伝熱部100の短手方向に延びるように形成されている。
【0030】
これにより、第一伝熱部100は、第一仕切用凸条部109(長手方向に延びる中心線)を境界にして、一側端側に後述する下流側一次流体流通路Dを形成する領域(以下、第一下流側領域という。)D1が第一帯状凸部110を除いて形成されると共に、他側端側に後述する上流側一次流体流通路Uを形成する領域(以下、第一上流側領域という。)U1が第二帯状凸部120を除いて形成されている。
【0031】
また、第一伝熱部100の一方の面の第一下流側領域D1及び第一上流側領域U1のそれぞれには、前記第一仕切用凸条部109(長手方向に延びる中心線)と交差する方向に延びる複数本の凹条(以下、第一凹条という)114,114…及び凸条(以下、第一凸条という)113,113…が形成されている。即ち、一次流体流通空間30を形成する第一伝熱プレート10の伝熱面には、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路D(一次流体Aの流動方向)を横切るように複数の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…が形成されている。
【0032】
具体的には、第一下流側領域D1内の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…は、第一伝熱部100の長手方向の他端に向けて先下りに傾斜した態様で形成されている。該第一凸条113,113…及び第一凹条114,114…は、第一伝熱部100の長手方向に延びる中心線CL1との内角θ1が45°以上で90°未満(より好ましくは、60°以上で85°以下))に設定されている。第一下流側領域D1内の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…は、第一伝熱部100の一側端側の半分の領域(第一下流側領域)D1内において長手方向の一端から他端までの間に交互に形成されている。
【0033】
一方、第一伝熱部100の他側端側の半分の領域(第一上流側領域)U1内においても長手方向の一端から他端までの間に複数の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…が交互に形成されている。該第一上流側領域U1における複数の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…は、第一仕切用凸条部109(中心線)を基準に第一下流側領域D1内の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…と鏡像関係を有して形成されている。即ち、第一上流側領域U1内の第一凸条113,113…及び第一凹条114,114…は、第一伝熱部100の長手方向の一端側に先下りに傾斜した態様で形成されている。
【0034】
そして、上述の如く、第一仕切用凸条部109は、第一伝熱部100の他端にまで到達していないので、この部分(第一仕切用凸条部109の存在しない領域)における第一上流側領域U1及び第一下流側領域D1の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…は、長手方向に延びる中心線上で接続された態様となっている。即ち、第一仕切用凸条部109の形成されていない第一伝熱部100の他端側において、第一上流側領域U1から第一下流側領域D1にかけて形成された第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…は、前記中心線上に頂点を位置させて屈曲した形状をなしている。
【0035】
第一伝熱プレート10は、一方の面が上述のような形態に形成されているので、他方の面においては、図4に示す如く、第一仕切用凸条部109に対応した部分に第一仕切凸条形成凹条115が形成され、一方の面における第一上流側領域U1、及び第一下流側領域D1の第一凹条114,114…に対応した凸条(以下、第一裏面側凸条という。)116と、第一凸条113,113…に対応した凹条(以下、第一裏面側凹条という。)117とが形成されている。さらに、各第一帯状凸部110及び第二帯状凸部120に対応して他方の面には帯状の凹部118,119が形成されている(以下、第一帯状凸部110の裏面側の凹部を第一裏面側帯状凹部118といい、第二帯状凸部120の裏面側の凹部を第二裏面側帯状凹部119という。)。そして、第一伝熱部100の第一及び第二裏面側帯状凹部118,119内には、一方の面側の第一調整凸部形成凹部111a,111bに対応した凸部121a,121b(第一流動方向調整用凸部)が形成されている。第一裏面側帯状凹部118内に形成された第一流動方向調整用凸部121aは、第一伝熱部100の長手方向に延びるように形成されており、第二裏面側帯状凹部119内に形成された第一流動方向調整用凸部121bは、第一伝熱部100の短手方向に延びるように形成されている。
【0036】
図1及び2に戻り、第二伝熱プレート20は、金属製の板材をプレス加工することによって形成されており、前記一次流体流通空間30と二次流体流通空間40とを区切るプレート状の第二伝熱部200と、該第二伝熱部200に対して所定の角度を有して第二伝熱部200の外周端縁から該第二伝熱部200の一方の面側に延出した第二封止片部250(図7〜図9参照)とで構成されている。
【0037】
前記第二伝熱部200は、平面視略長方形状に形成されており、長手方向の一端側に前記一次流体流出路22を形成するための第五開口201と、一次流体流入路21を形成するための第六開口202とが貫通して設けられている。前記第五開口201は、第二伝熱部200の一側端(長手方向と直交する方向(短手方向)の一端)側に形成されており、第六開口202は、第二伝熱部200は短手方向の他側端(長手方向と直交する方向(短手方向)の他端)側に形成されている。
【0038】
また、該第二伝熱部200には、長手方向の他端側に前記二次流体流入路31を形成するための第七開口203と、二次流体流出路32を形成するための第八開口204とが貫通して設けられている。前記第七開口203は、第二伝熱部200の短手方向の一端(一側端)側に形成されており、第八開口204は、第二伝熱部200の短手方向の他端(他側端)側に形成されている。
【0039】
該第二伝熱部200の両面には、図5及び図6に示す如く、それぞれ機能を有する凸部、凸条、凹部、及び凹条が適宜形成されている。該第二伝熱部200(第二伝熱プレート20)は、第一伝熱プレート10と同様に、金型を用いて板材を両面側からプレス加工して形成されたものであり、一方の面を適宜窪ませて凹部又は凹条を形成し、該凹部又は凹条以外の部分で凸部又は凸条が適宜形成されている。そして、他方の面においては、一方の面の凹部又は凹条の形成に伴って膨出した部分で凸部又は凸条が適宜形成され、該凸部又は凸条間によって凹部又は凹条が適宜形成されている。
【0040】
従って、第二伝熱プレート20についても以下の説明において、一方の面側において凹部又は凹条と表現する場合には、一方の面を基準にして窪んで(凹に)形成された部分を意味し、凸部又は凸条と表現する場合には、プレス成形前の板材における平面状態が保たれた部分を意味する。その一方で、他方の面側において、凸部又は凸条と表現する場合には、一方面に凹部又は凹条を形成することによって膨出した部分を意味し、凹条と表現する場合には、この他方の面側において形成された凸条間又は凸部間における谷部分を意味する。なお、図5及び図6において、ハッチングを付した部分がその面側における凸部分を表している。
【0041】
図5に示す如く、第二伝熱部200の一方の面において、第五開口201及び第六開口202の周縁部には、各開口の中心と略同心の環状凹部205a,206aが形成されている(以下の説明において、第五開口201の周縁部に形成された環状凹部205aを第五環状凹部といい、第六開口202の周縁部に形成された環状凹部206aを第六環状凹部という。)。
【0042】
また、第二伝熱部200の一方の面において、第七開口203及び第八開口204の周縁部には、各開口の中心と略同心の環状凸部207a,208aが形成されている(以下の説明において、第七開口203の周縁部に形成された環状凸部207aを第七環状凸部といい、第八開口204の周縁部に形成された環状凸部208aを第八環状凸部という。)。
【0043】
第二伝熱部200の一方の面には、長手方向の一端から他端に向けて延びる凸条209(以下、第二仕切用凸条部という。)が、第五開口201と第六開口202との間(本実施形態においては、第二伝熱部200の短手方向の略中央)を通るように形成されている。該第二仕切用凸条部209は、第二伝熱部200の長手方向の他端から所定距離に離れた位置に先端が位置している。
【0044】
さらに、第二伝熱部200の一方の面には、第七環状凸部207aに接続されて第五環状凹部205aに向けて延びる所定幅の第三帯状凸部210が形成されると共に、第八環状凸部208aに接続されて第六環状凹部206aに向けて延びる所定幅の第三帯状凸部210が形成されている。該第三帯状凸部210及び第四帯状凸部220内には、複数の凹部(以下、第二調整凸部形成凹部211a,211bという)が、他方の面側に後述する第二流動方向調整用凸部221a,221bの配置及び形状に対応して形成されている。
【0045】
第三帯状凸部210内の第二調整凸部形成凹部211aのそれぞれは、第二伝熱部200の長手方向に延びるように形成されており、第四帯状凸部220内の第二調整凸部形成凹部211bのそれぞれは、第二伝熱部200の短手方向に延びるように形成されている。
【0046】
これにより、第二伝熱部200は、第二仕切用凸条部209(長手方向に延びる中心線)を境界にして、一側端側に後述する下流側一次流体流通路Dを形成する領域(以下、第二下流側領域D2という。)が第三帯状凸部210を除いて形成されると共に、他側端側に後述する上流側一次流体流通路Uを形成する領域(以下、第二上流側領域U2という。)が第四帯状凸部220を除いて形成されている。
【0047】
また、第二伝熱部200の一方の面の第二下流側領域D2及び第二上流側領域U2のそれぞれには、前記第二仕切用凸条部209(長手方向に延びる中心線)と交差する方向に延びる複数本の凹条(以下、第二凹条という)214,214…及び凸条(以下、第二凸条という)213,213…が形成されている。即ち、一次流体流通空間30を形成する第二伝熱プレート20の伝熱面には、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路D(一次流体Aの流動方向)を横切るように複数の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…が形成されている。
【0048】
具体的には、第二下流側領域D2内の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…は、第二伝熱部200の長手方向の一端に向けて先下りに傾斜した態様で形成されている。該第二凸条213,213…及び第一凹条214,214…は、第二伝熱部200の長手方向に延びる中心線CL2との内角θ2が45°以上で90°未満(より好ましくは、60°以上で85°以下))に設定されている。第二下流側領域D2内の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…は、第二伝熱部200の一側端側の半分の領域(第二下流側領域)D2内において長手方向の一端から他端までの間に交互に形成されている。
【0049】
一方、第二伝熱部200の他側端側の半分の領域(第二上流側領域U2)内においても長手方向の一端から他端までの間に複数の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…が交互に形成されている。該第二上流側領域U2における複数の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…は、第二仕切用凸条部209(中心線)を基準に第二下流側領域D2内の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…と鏡像関係を有して形成されている。
【0050】
そして、上述の如く、第二仕切用凸条部209は、第二伝熱部200の他端にまで到達していないので、この部分(第二仕切用凸条部209の存在しない領域)における第二上流側領域U2及び第二下流側領域D2の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…は、長手方向に延びる中心線上で接続された態様となっている。即ち、第二仕切用凸条部209の形成されていない第二伝熱部200の他端側において、第二上流側領域U2から第二下流側領域D2にかけて形成された第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…は、前記中心線上に頂点を位置させて屈曲した形状をなしている。
【0051】
第二伝熱プレート20は、一方の面が上述のような形態に形成されているので、他方の面においては、図6に示す如く、第二仕切用凸条部209に対応した部分に第二仕切凸条形成凹条215が形成され、一方の面における第二上流側領域U2、及び第二下流側領域D2の第二凹条214,214…に対応した凸条(以下、第二裏面側凸条という。)216と、第二凸条213,213…に対応した凹条(以下、第二裏面側凹条という。)217とが形成されている。さらに、各第三帯状凸部210及び第四帯状凸部220に対応して他方の面には帯状の凹部218,219が形成されている(以下、第三帯状凸部210の裏面側の凹部を第三裏面側帯状凹部218といい、第四帯状凸部220の裏面側の凹部を第四裏面側帯状凹部219という。)。
【0052】
そして、第二伝熱部200の第三及び第四裏面側帯状凹部218,219内には、一方の面側の第二調整凸部形成凹部211a,211bに対応した凸部221a,221b(第二流動方向調整用凸部)が形成されている。第三裏面側帯状凹部218内に形成された第二流動方向調整用凸部221aは、第二伝熱部200の長手方向に延びるように形成されており、第四裏面側帯状凹部219内に形成された第二流動方向調整用凸部221bは、第二伝熱部200の短手方向に延びるように形成されている。
【0053】
第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20は、以上の構成を備えており、本実施形態に係るプレート式熱交換器は、図7乃至図9に示す如く、これらを交互に積層し、互いに接触する部分同士をロウ付けすることにより、内部(一次流体流通空間30及び二次流体流通空間40)を液密で且つ気密に保てるようにしている。なお、図7乃至図9において、一次流体流通空間30及び二次流体流通空間40の構成を明確に表現すべく、第一凸条113、第二凸条213等を簡略化して示している。
【0054】
具体的には、長手方向及び短手方向の一端同士が一致するように、第一伝熱プレート10(第一伝熱部100)の他方の面に対して、第二伝熱プレート20の他方の面を対向させ、この第二伝熱プレート20の一方の面に対して、別の第一伝熱プレート10の一方の面を対向させた態様で、第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20を順次積層し、このように積層した状態で第一伝熱プレート10(第一封止片部150)と第二伝熱プレート20(第二封止片部250)とをロウ付けすることで、前記一次流体流通空間30が第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20の一方面間に形成され、二次流体流通空間40が第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20の他方面間に形成されることになる。
【0055】
この状態において、第一伝熱プレート10の一方の面の各凸条(第一凸条113,113…、第一仕切用凸条部109)及び凸部(第三環状凸部107a、第四環状凸部108a、第一帯状凸部110、第二帯状凸部120)と、第二伝熱プレート20の一方の面側の各凸条(第二凸条213,213…、第二仕切用凸条部209)及び凸部(第五環状凸部205a、第六環状凸部206a、第三帯状凸部210第四帯状凸部220)とが接触した状態となっている。
【0056】
第一伝熱部100の一方の面と第二伝熱部200の一方の面との間の構造状態について具体的に説明すると、図7及び図8に示す如く、第一仕切用凸条部109と第二仕切用凸条部209とが長手方向に接触(面接触)することで一次流体流通空間30を一側端側と他側端側とに仕切る仕切部50が形成されている。また、第一帯状凸部110と第三帯状凸部210とが面接触すると共に、第二帯状凸部120と第四帯状凸部220とが面接触し、この面接触した部分と仕切部50との間に前記下流側一次流体流通路Dと上流側一次流体流通路Uとが形成されている。
【0057】
第一凸条113,113…及び第二凸条213,213…は、互いに交差して部分的に接触した態様をなしており、第一凸条113,113…間の第一凹条114,114…と第二凸条213,213…間の第二凹条214,214…により、前記下流側一次流体流通路D及び上流側一次流体流通路Uが蛇行した態様で形成されている。なお、仕切部50の先端と第一伝熱部100及び第二伝熱部200の他端との間は、仕切部50が形成されないので、この部分に対応する下流側一次流体流通路D及び上流側一次流体流通路Uは、屈曲した第一凸条113,113…と第二凸条213,213…とが交差状態で部分的に接触しており、互いに連通した態様となっている。
【0058】
また、第三環状凸部107aと第七環状凸部207aとも接触しており、交互に配設される第三開口103と第七開口203とが連なって、二次流体Bを流入させる二次流体流入路31が形成されている。すなわち、第三環状凸部107aと第七環状凸部207aとをロウ付けによって封着することで、第三開口103及び第七開口203(二次流体流入路31)と一次流体流通空間30との間で一次流体A及び二次流体Bが流通するのを防止している。
【0059】
一方、第四環状凸部108aと第八環状凸部208aとも接触しており、交互に配設される第四開口104と第八開口204とが連なって、二次流体Bを流出させる二次流体流出路32が形成されている。すなわち、第四環状凸部108aと第八環状凸部208aとをロウ付けによって封着することで、第四開口104及び第八開口204(二次流体流出路32)と一次流体流通空間30との間で一次流体A及び二次流体Bが流通するのを防止している。
【0060】
第一環状凹部105aと第五環状凹部205aとは、図9に示す如く、互いに離間しており、下流側一次流体流通路Dを流れてきた一次流体Aを第一開口101及び第五開口201(前記一次流体流出路22)から流出させることができるようになっている。また、第二環状凹部106aと第六環状凹部206aとも、互いに離間しており、該第二開口102と第六開口202が連なって形成される一次流体流入路21から一次流体Aを上流側一次流体流通路U内に流入させることができるようになっている。
【0061】
一方、第一伝熱部100の他方の面と第二伝熱部200の他方の面との間の構造状態について具体的に説明すると、図8に示す如く、第一裏面側帯状凹部118と第三裏面側帯状凹部218とが離間しており、これによって、伝熱部(第一伝熱部100、第二伝熱部200)の一側端側に二次流体流通空間40の一部を構成し、且つ二次流体流入路31に連通した上流側二次流体流通路Xが形成されている。また、第二裏面側帯状凹部119と第四裏面側帯状凹部219とが離間しており、これによって、伝熱部(第一伝熱部100、第二伝熱部200)の他側端側に二次流体流通空間40の一部を構成し、二次流体流出路32と連通した下流側二次流体流通路Yが形成されている。該上流側二次流体流通路X及び下流側二次流体流通路Y内において、第一流動方向調整用凸部121a,121bと第二流動方向調整用凸部221a,221bとが接触状態になっている。
【0062】
第一帯状凹部118の第一流動方向調整用凸部121aと第三裏面側帯状凹部218の第二流動方向調整用凸部221aとは、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の長手方向に延びるように形成されているので、二次流体流入路31(第三開口103及び第七開口203)から流入してくる二次流体Bが第一流動方向調整用凸部121a及び第二流動方向調整用凸部221aに沿って流れ、各第一流動方向調整用凸部121a,121b間を介して後述する接続流通路Zに向けて流れるようになっている。
【0063】
そして、第二裏面側帯状凹部119内の第一流動方向調整用凸部121b及び第四裏面側帯状凹部219内の第二流動方向調整用凸部221bは、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向に延びるように形成されているので、上流側の上流側二次流体流通路X(接続流通路Z)から流れ込んでくる二次流体Bが一旦第一流動方向調整用凸部121b及び第二流動方向調整用凸部221bに沿って流れた後に、下流側二次流体流通路Yを介して二次流体流出路32(第四開口104及び第八開口204)に流出するようになっている。
【0064】
前記上流側二次流体流通路Xと下流側二次流体流通路Yとの間には、これらを連通させる前記接続流通路Zが形成されている。該接続流通路Zは、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の他方の面に形成された第一裏面側凹条117と第二裏面側凹条217とで形成される空間である。すなわち、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の一方の面において、第一帯状凸部110と第二帯状凸部120との間に第一凸条113,113…が形成され、第三帯状凸部210と第四帯状凸部220との間に第二凸条213,213…が形成されることにより、他方の面側に第一裏面側凹条117及び第二裏面側凹条217が形成されているので、該第一裏面側凹条117と第二裏面側凹条217とで形成された空間は、伝熱部(第一伝熱部100、第二伝熱部200)の短手方向において形成され、第一裏面側凹条117及び第二裏面側凹条217の長手方向において、蛇行して形成されている。なお、第一裏面側凸条116と第二裏面側凸条とは、一方の面側の第一凸条113,113…及び第二凸条213,213…と同様に、互いに交差して部分的に接触した状態となっている。
【0065】
また、図9に示す如く、第一裏面側環状凸部105bと第五裏面側環状凸部205bとも接触しており、交互に配設される第一開口101と第五開口201とが連なって、一次流体Aを一次流体流通空間30から流出させる一次流体流出路22が形成されている。すなわち、第一裏面側環状凸部105bと第五裏面側環状凸部205bとをロウ付けによって封着することで、第一開口101及び第五開口201(一次流体流出路22)と二次流体流通空間40との間で一次流体A及び二次流体Bが流通するのを防止している。
【0066】
一方、第二環状凹部106aの裏面側の環状凸部(第二裏面側環状凸部)106bと、第六環状凹部206aの裏面側の環状凸部(第六裏面側環状凸部)206bとも接触しており、交互に配設される第二開口102と第六開口202とが連なって、一次流体Aを流入させる一次流体流入路21が形成されている。すなわち、第二裏面側環状凸部106bと第六裏面側環状凸部206bとをロウ付けによって封着することで、第二開口102及び第六開口202(一次流体流入路21)と二次流体流通空間40との間で一次流体A及び二次流体Bが流通するのを防止している。
【0067】
第三環状凸部107aの裏面側の環状凹部107b(第三裏面側環状凹部)と第七環状凸部207aの裏面側の環状凹部207b(第七裏面側環状凹部)とは、図7に示す如く、互いに離間しており、二次流体流入路31(第三開口103及び第七開口203)から二次流体流通空間40(上流側一次流体流通路U)に二次流体Bを流入させることができるようになっている。また、第四環状凸部108aの裏面側の環状凹部108b(第四環状凹部)と第八環状凸部208aの裏面側の環状凹部208b(第八裏面側環状凹部)とは、互いに離間しており、二次流体流通空間40(下流側一次流体流通路D)から流れてくる二次流体Bを第四開口104と第八開口204が連なって形成される二次流体流出路32に流出させることができるようになっている。
【0068】
本実施形態に係るプレート式熱交換器は、図7乃至図9に示す如く、上記構成の伝熱プレート10,20,10,20…(第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20)に加え、当該プレート式熱交換器のフレームを構成する一対のフレーム板60a,60bを備えており、積層状態にある複数枚の伝熱プレート10,20,10,20…をこの一対のフレーム板60a,60bで挟み込んだ態様で形成されている。本実施形態に係る一方のフレーム板60aは、前記第一開口101(第五開口201)、第二開口102(第六開口202)、第三開口103(第七開口203)、及び第四開口104(第八開口204)の配置に対応するように四つの開口が設けられており、各開口縁部には配管を接続するための筒状部Pが延設されている。
【0069】
各フレーム板60a,60bについても、第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20と同様に封止片部61a,61bが延設されており、伝熱プレート10,20,10,20…を挟み込んだ状態で、各伝熱プレート10,20,10,20…の第一及び第二封止片部150,250とフレーム板60a,60bの封止片部61a,61bとがロウ付けによって封着されている。
【0070】
他方のフレーム板60bと対向する第一伝熱プレート10又は第二伝熱プレート20は、一次流体流入路21及び一次流体流出路22を形成するための開口(本実施形態においては、第一伝熱プレート10であるので、第一開口101、第二開口102、第三開口103及び第四開口104)が設けられておらず、一次流体流入路21及び一次流体流出路22のエンドプレートとして機能するようになっている。また、一次流体流入路21及び一次流体流出路22のエンドプレートとして機能する伝熱プレート(第一伝熱プレート10)と対向する第二伝熱プレート20には、第七開口203及び第八開口204が設けられておらず、第五開口201及び第六開口202のみが開口しており、二次流体流入路31及び二次流体流出路32のエンドプレートとして機能するように構成されている。
【0071】
本実施形態に係るプレート式熱交換器は、以上の構成からなり、以下にこのプレート式熱交換器の使用態様及び作用について説明する。
【0072】
本実施形態に係るプレート式熱交換器は、室内を冷暖房する冷暖房システムに採用することができ、以下の説明において、冷暖房システムでの使用態様を一例にして説明する。
【0073】
かかる冷暖房システムは、本実施形態に係るプレート式熱交換器によって熱交換された熱媒体(本実施形態においては二次流体B)を室内に設置した室内器に送り込み、室内器内で熱交換された該二次流体Bを再度プレート式熱交換器に戻すようにした熱媒循環式のものである。
【0074】
より具体的に説明すると、本実施形態に係るプレート式熱交換器は、伝熱プレート10,20,10,20…の短手方向の一端(一側端)が上方に位置し、他側端が下方に位置するように配置される。すなわち、一次流体流入路21が一次流体流出路22よりも下方に位置する一方で、二次流体流入路31が二次流体流出路32よりも上方に位置するように配置される(図1参照)。そして、このような態様で配置された前記プレート式熱交換器の一次流体流入路21に一次流体A(冷房時には冷水、暖房時には温水)を流入させると共に、二次流体流入路31に室内器から送られてくる二次流体B(例えば、フロン)を流入させる。
【0075】
そうすると、一次流体Aは、図10に示す如く、下方に位置する一次流体流入路21から各一次流体流通空間30(上流側一次流体流通路U)に流れ込み、一旦伝熱プレート10,20,10,20…の長手方向の他端側に流れた後に、仕切部50の形成されていない他端の領域で流動方向が切り替わって下流側一次流体流通路Dに入り込んで一次流体流出路22から流出されることになる。つまり、冷水又は温水(一次流体A)は、一次流体流入路21から流入して伝熱プレート10,20,10,20…の長手方向の他端側に流れた後に、一度だけターンして、伝熱プレート10,20,10,20…の長手方向の一端側に流れて一次流体流出路22から流出することになる。このように冷水、又は温水Aをターンさせるように流通させるようにすると、一次流体流入路21から一次流体流出路22に向けて直線的に冷水又は温水を流動させる場合に比して、一次流体流通空間30内で冷水又は温水が流動する距離が長くなる。これにより、冷水又は温水の熱を第一伝熱部100及び第二伝熱部200に効率的に伝達させることができる。つまり、冷水又は温水の熱をできるだけ多く第一伝熱部100及び第二伝熱部200を介して二次流体流通空間40内を流通する二次流体Bに作用させることができる。また、一次流体流通空間30を流通する冷水又は温水を一度だけターンさせるだけであるので、冷水又は温水に対する圧力損失を極限に抑えることができる。
【0076】
また、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路Dの流路幅がターンさせないようにしたときの流路の幅に比して狭くなるので、そのターンさせないときと同じ流入圧で冷水又は温水を流入させても、流速が高まることになる。これにより、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路D内での冷水又は温水の流速分布において、第一伝熱部100及び第二伝熱部200近傍と中央部分との差が少なくなるので、境膜伝熱係数が大きくなり、効率の高い伝熱作用を得ることになる。さらに、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路Dは、第一凹条114,114…と第二凹条214,214…とによって形成された空間であるので、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路Dで流通する冷水又は温水は、第一伝熱部100及び第二伝熱部200近傍において乱流状態となり、これによっても伝熱効率が高まる。
【0077】
一方、二次流体Bは、室内の冷房時において、上方側に位置する二次流体流入路31からフロンガスとして上流側一次流体流通路Uに流れ込むことになり、暖房時においては、二次流体流入路31から液化フロンとして上流側二次流体流通路Xに流れ込むことになる。即ち、二次流体Bは、室内器内において室内の空気との熱交換が行われるため、冷房時において液化したフロンを室内器に送り込むと、空気との熱交換によって気化するので、二次流体流入路31から二次流体流通空間40内にガス化したフロンが流れ込むことになる。その一方で、暖房時において気化したフロンを室内器に送り込むと、空気との熱交換によって該フロンが凝縮されて液化することになり、二次流体流入路31から二次流体流通空間40内に液化したフロンが流れ込むことになる。
【0078】
そうすると、図11に示す如く、該上流側二次流体流通路X内の第一流動方向調整用凸部121aと第二流動方向調整用凸部221aとが第一伝熱部100及び第二伝熱部200の長手方向に延びるように形成されているので、該上流側二次流体流通路X内に流れ込んだ二次流体Bは、該二次流体Bの態様(液相状態であるか、気相状態であるか)に関係なく、上流側二次流体流通路X内の第一流動方向調整用凸部121aと第二流動方向調整用凸部221aに誘導され、伝熱プレート10,20,10,20…の一端から他端に向けて流れることになる。そして、上流側二次流体流通路Xに充満した二次流体Bは接続流通路Zを流れて下流側二次流体流通路Yに流れ込むことになる。このように、二次流体Bが上流側二次流体流通路Xから下流側二次流体流通路Yに向けて接続流通路Zを流動するに際し、冷房時においては一次流体流通空間30において冷水が流通しているので、ガス化したフロンは下流側一次流体流通路Dに向かうにつれて凝縮され、下流側二次流体流通路Yに到達した時点或いはその前に完全に液化することになる。そして、暖房時においては一次流体流通空間30において温水が流通しているので、第一伝熱部100及び第二伝熱部200から温水の熱が伝達され、液化したフロンは下流側二次流体流通路Yに向かうにつれて気化し、下流側二次流体流通路Yに到達した時点或いはその前において完全或いは略完全にガスになる。
【0079】
そして、下流側二次流体流通路Yに到達した二次流体Bは、下流側二次流体流通路Y内の第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向に延びるように形成された第一流動方向調整用凸部121b及び第二流動方向調整用凸部221bに沿って流れ、下流側一次流体流通路Dにおける第一伝熱部100及び第二伝熱部200の最も他側端側(二次流体流通空間40の最下部分)を通って、二次流体流出路32から流出して再度室内器に送り込まれることになる。
【0080】
上述のように、二次流体Bが上流側二次流体流通路Xから下流側二次流体流通路Yに向けて流動するに際し、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の表面(他方の面)に液膜が形成されることになるが、本実施形態に係るプレート式熱交換器は、二次流体Bを第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向に流動させるように構成しているので、液膜の膜厚を極めて薄くすることができ、二次流体Bに対する熱交換率を高めることができる。つまり、一次流体流通空間30及び二次流体流通空間40は、同じ第一伝熱部100及び第二伝熱部200によって画定されているので、伝熱面積は同じであるが、流動長が二次流体Bの流動長が一次流体Aの流動長よりも極めて短くなっているので、該二次流体Bの流通に伴う液膜の形成を抑制することができ、熱交換効率を低下させる原因の一つであった液膜の膜厚の増加を抑制することができ、一次流体Aと二次流体Bとの熱交換を効率よく行うことができる。
【0081】
特に、二次流体Bを上方から下方に向けて流動させると、伝熱面に形成される液膜は、下方に向かうにつれて厚くなり、流動長が長くなればなるほど、上方側の膜厚と下方側の膜厚が上方の膜厚に比して極めて厚くなるといった問題があるが、上述の如く、二次流体Bの流動長を短くすることで、上方側と下方側の膜厚差が小さくなり、伝熱面全体で均一な熱交換を行うことができる。つまり、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の縦横比の違いに着目して、一次流体Aの流動方向と二次流体Bの流動方向とが交差方向となるようにすることで、熱交換を行うに際して流動長を長くすることが好ましい一次流体A(単相型の熱媒体)と、流動長の長さを短くして液膜の形成を抑制する必要のある二次流体B(二相型の熱媒体)とを用いるようにしても、何れの条件に対しても満足させることができ、極めて効率のよい熱交換を行うことができる。
【0082】
従って、室内の空気に対して熱交換を行うのに高効率で熱交換する必要のある二次流体Bを循環させる上記循環式の冷暖房装置であっても、本実施形態に係るプレート式熱交換器は十分な性能を発揮することができる。
【0083】
以上のように、本実施形態に係るプレート式熱交換器は、一次流体Aを流通させる一次流体流通空間30に仕切部50を設けることで、上流側一次流体流通路Uと下流側一次流体流通路Dとを形成し、一次流体Aの流路を一度だけターン(Uターン)させるようにしたので、一次流体流入路21から一次流体流出路22に直接一次流体Aを流通させる場合に比して、一次流体Aが流通する流路幅が狭くなり、一次流体Aの流速を速めて境膜伝熱係数を高めることができると共に、流動長を長くすることができ、一次流体Aの熱を伝熱面に効率よく伝達させることができる。
【0084】
また、一次流体流通空間30を形成する第一伝熱部100及び第二伝熱部200の一方の面に、上流側一次流体流通路Uにおける流動方向、及び下流側一次流体流通路Dにおける一次流体Aの流動方向と交差する方向に延びる第一凸条113,113…、第一凹条114,114…、第二凸条213,213…、及び第二凹条214,214…を形成するようにしたので、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路Dで一次流体Aを流通させるに際し、伝熱面近傍で乱流を発生させることができ、これによって伝熱効率を高めることができる。
【0085】
また、一次流体流通空間30と二次流体流通空間40とを画定する第一伝熱部100及び第二伝熱部200を長方形状に形成し、二次流体流通空間40内で二次流体Bを短手方向に流通させるようにしたので、喩え二次流体Bに二相型の熱媒体を採用したとしても、伝熱面に形成される液膜の膜厚が厚くなるのを抑えることができる。さらに、二次流体流通空間40内での二次流体Bの流動長を短くすることで、伝熱面に形成される液膜が上方側より下方側が厚くなるのを抑えることができ、伝熱面全体で効率のよい伝熱を行うことができる。
【0086】
尚、本発明のプレート式熱交換器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0087】
即ち、上記実施形態において、一次流体Aとして、水又は熱湯を採用するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、蓄熱性に優れた油等を採用することができる。
【0088】
また、二次流体Bに二相型(熱交換によって気相と液相との間で変化するタイプ)のもの(フロン)を採用するようにしたが、これに限定されるものではなく、二次流体Bは、例えば、一次流体Aと同様に、水又は熱湯を採用したり、蓄熱性に優れた油を採用したりするようにしてもよい。このようにしても、一次流体流通空間30は、仕切部50によって上流側一次流体流通路Uと下流側一次流体流通路Dとに画定され、一次流体Aの流動長を長くすると共に、流速を高めることができ、二次流体Bに対する熱伝達効率を高くすることができる。
【0089】
上記実施形態において、第一伝熱プレート10の第一伝熱部100及び第二伝熱プレート20の第二伝熱部200を長方形状に形成し、二次流体Bを第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向に流動させるようにして該二次流体Bの流動長をできるだけ短くするようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の何れについても縦横比を同一(正方形状)に形成するようにしてもよい。但し、上記実施形態の如く、二次流体Bに二相型のもの(伝熱面に対して液膜が形成されるもの)を採用する場合には、第一伝熱部100及び第二伝熱部200を長方形状に形成して、二次流体Bを短手方向に流動させることが好ましい。
【0090】
上記実施形態において、第一伝熱プレート10(第一伝熱部100)に第一仕切用凸条部109を形成すると共に、第二伝熱プレート20(第二伝熱部200)に第二仕切用凸条部209を形成し、この第一仕切用凸条部109と第二仕切用凸条部209とで一次流体流通空間30を仕切る仕切部50を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一伝熱部100と第二伝熱部200との間に、線状、或いは帯状にパッキン材を挟み込み、このパッキン材で仕切部50を構成するようにしてもよい。
【0091】
上記実施形態において、一次流体流通空間30を画定する第一伝熱部100及び第二伝熱部200に第一凸条113,113…、第一凹条114,114…、第二凸条213,213…及び第二凹条214,214…を形成し、一次流体流通空間30を流通する一次流体Aに乱流を発生させ、伝熱効率を高めるようにしてが、これに限定されるものではなく、例えば、第一伝熱部100及び第二伝熱部200を平板状に形成すると共に、第一伝熱部100と第二伝熱部200との間に仕切部50を設けるようにしてもよい。このようにしても、第一伝熱部100及び第二伝熱部200を介して二次流体Bに熱伝達することができる。但し、効率の良い熱伝達を行うには、上記実施形態と同様に、第一凸条113,113…、第一凹条114,114…、第二凸条213,213…、及び第二凹条214,214…を形成することが好ましい。
【0092】
上記実施形態において、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向が上下方向となり、且つ一次流体流入路21を一次流体流出路22よりも下方に位置するように上記構成のプレート式熱交換器を使用するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の長手方向が上下方向となるように上記構成のプレート式熱交換器を使用するようにしてもよい。但し、二次流体Bにフロン等の二相型のものを採用する場合には、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向を上下方向にし、二次流体Bが上方から下方に向けて流動できる態様で使用することが好ましい。
【0093】
上記実施形態において、二次流体流通空間40を上流側二次流体流通路Xと、下流側二次流体流通路Yと、接続流通路Zとで構成するようにし、二次流体Bを一次流体Aに対して直交する方向に流動させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、一次流体Aと同様に二次流体Bに単相型のものを採用する場合には、二次流体流通空間40を一次流体流通空間50と同様に仕切部で仕切るようにしても勿論よい。
【0094】
上記実施形態において、一次流体Aを熱媒体とし採用し、該一次流体Aの熱を伝熱部(第一伝熱部100、第二伝熱部200)を介して二次流体Bに伝達させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、二次流体Bを熱媒体とする一方で、一次流体Aを二次流体Bから伝熱される被熱交換体とした使用態様であっても勿論よい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の全体斜視図を示す。
【図2】図2は、同実施形態にかかるプレート式熱交換器の概略分解斜視図を示す。
【図3】図3は、同実施形態にかかるプレート式熱交換器を構成する第一伝熱プレートの正面図(一方の面側から見た図)を示す。
【図4】図4は、同実施形態にかかるプレート式熱交換器を構成する第一伝熱プレートの背面図(他方の面側から見た図)を示す。
【図5】図5は、同実施形態にかかるプレート式熱交換器を構成する第二伝熱プレートの正面図(他方の面側から見た図)を示す。
【図6】図6は、同実施形態にかかるプレート式熱交換器を構成する第二伝熱プレートの背面図(一方の面側から見た図)を示す。
【図7】図7は、図1におけるI−I線断面図を示す。
【図8】図8は、図1におけるII−II線断面図を示す。
【図9】図9は、図1におけるIII−III線断面図を示す。
【図10】図10は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の一次流体流通空間内に一次流体を流通させた状態を説明するための説明図を示す。
【図11】図11は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の二次流体流通空間内に二次流体を流通させた状態を説明するための説明図を示す。
【符号の説明】
【0096】
10…第一伝熱プレート(伝熱プレート)、20…第二伝熱プレート(伝熱プレート)、21…一次流体流入路、22…一次流体流出路、30…一次流体流通空間(流通空間)、31…二次流体流入路、32…二次流体流出路、40…二次流体流通空間(流通空間)、50…仕切部、60a,60b…フレーム板、61a,61b…封止片部、100…第一伝熱部(伝熱部)、101…第一開口、102…第二開口、103…第三開口、104…第四開口、105a…第一環状凹部(環状凹部)、105b…第一裏面側環状凸部(環状凸部)、106a…第二環状凹部(環状凹部)、106b…第二裏面側環状凸部(環状凸部)、107a…第三環状凸部(環状凸部)、107b…第三裏面側環状凹部(環状凹部)、108a…第四環状凸部(環状凸部)、108b…第四裏面側環状凹部(環状凹部)、109…第一仕切用凸条部(凸条)、110…第一帯状凸部、111a,111b…第一調整凸部形成凹部、113…第一凸条(凸条)、114…第一凹条(凹条)、115…第一仕切凸条形成凹条、116…第一裏面側凸条(凸条)、117…第一裏面側凹条(凹条)、118…第一裏面側帯状凹部(凹部)119…第二裏面側帯状凹部、120…第二帯状凸部、121a,121b…第一流動方向調整用凸部(凸部)、150…第一封止片部、200…第二伝熱部、201…第五開口、202…第六開口、203…第七開口、204…第八開口、205a…第五環状凹部(環状凹部)、205b…第五裏面側環状凸部(環状凸部)、206a…第六環状凹部(環状凹部)、206b…第六裏面側環状凸部(環状凸部)、207a…第七環状凸部(環状凸部)、207b…第七裏面側環状凹部(環状凹部)、208a…第八環状凸部(環状凸部)、208b…第八裏面側環状凹部(環状凹部)、209…第二仕切用凸条部(凸条)、210…第三帯状凸部、211a,211b…第二調整凸部形成凹部、213…第二凸条、214…第二凹条、215…第二仕切凸条形成凹条、216…第二裏面側凸条(凸条)、217…第二裏面側凹条(凹条)、218…第三裏面側帯状凹部(凹部)、219…第四裏面側帯状凹部(凹部)、220…第四帯状凸部、221a,221b…第二流動方向調整用凸部(凸部)、250…第二封止片部、A…一次流体、B…二次流体、D…下流側一次流体流通路、、U…上流側一次流体流通路、D1…第一下流側領域、D2…第二下流側領域、U1…第一上流側領域、U2…第二上流側領域、X…上流側二次流体流通路、Y…下流側二次流体流通路、Z…接続流通路、P…筒状部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の伝熱プレートが積層され、該伝熱プレートを境にして一次流体を流通させる一次流体流通空間と、二次流体を流通させる二次流体流通空間とが交互に形成され、伝熱プレートを介して一次流体と二次流体との間で熱交換させるプレート式熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一次流体と二次流体との間で熱交換を行う熱交換器として種々のタイプのものが提供されている。その一つとして、複数枚の伝熱プレートが積層され、各伝熱プレートを境にして一次流体を流通させる一次流体流通空間と、二次流体を流通させる二次流体流通空間とが交互に形成され、伝熱プレートを介して一次流体と二次流体との間で熱交換させるプレート式熱交換器がある。
【0003】
このプレート式熱交換器は、一次流体流通空間に一次流体を流入させる一次流体流入路が伝熱プレートの一端側に形成され、該一次流体流通空間を流通する一次流体を流出させる一次流体流出路が伝熱プレートの他端側に形成されている。また、このプレート式熱交換器は、二次流体流通空間に二次流体を流入させる二次流体流入路が伝熱プレートの他端側に形成され、該二次流体流通空間を流通する二次流体を流出させる二次流体流出路が伝熱プレートの一端側に形成されている。これにより、伝熱プレートを境にして一次流体と二次流体とが相対方向に流動することになり、伝熱プレートを介して一次流体と二次流体との間で熱交換を行えるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成のプレート式熱交換器は、一次流体及び二次流体を伝熱プレートの一端から他端、或いは他端から一端に向けて流通させるように構成されているため、熱交換効率が伝熱プレートの大きさに起因するものとなっている。すなわち、上記構成のプレート式熱交換器は、一次流体及び二次流体における熱交換率、及び熱交換量を高めるには、伝熱プレートの一端から他端までの長さを長くして一次流体又は二次流体の流動長を長くしなければならず、性能向上を達成するのにプレート式熱交換器のサイズを大きくする必要があった。
【0005】
また、上記構成のプレート式熱交換器は、二次流体に相変化型のもの(熱交換によって相変化を起こす流体)を採用した場合、二次流体が液膜として伝熱プレートに付着して伝熱効率の低下の原因となるが、上述の如く、伝熱プレートの一端から他端の長さを長くすると、伝熱プレートの表面に付着した液膜の膜厚は、上流側から下流側に向けて厚くなり、安定した伝熱性能を維持することができないといった問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、伝熱プレートを大型化させることなく好適な熱交換を行うことのできるプレート式熱交換器を提供することを第一の課題とし、該第一の課題に併せ、二次流体に二相型のものを採用しても伝熱プレートの伝熱面に対する液膜の形成を極力抑えて伝熱効率を高めたものにすることのできるプレート式熱交換器を提供することを第二の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプレート式熱交換器は、上記第一の課題を解決すべくなされたもので、複数枚の伝熱プレートが積層され、伝熱プレート間に一次流体を流通させる一次流体流通空間と、二次流体を流通させる二次流体流通空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、前記一次流体を一次流体流通空間に流入させる一次流体流入路、及び一次流体流通空間から流出させる一次流体流出路が伝熱プレートの一端に沿って並設され、前記二次流体を二次流体流通空間に流入させる二次流体流入路、及び二次流体流通空間から流出させる二次流体流出路が伝熱プレートの他端に沿って並設され、伝熱プレートを介して一次流体と二次流体との間で熱交換させるプレート式熱交換器において、一次流体流通空間を形成する伝熱プレート間には、一次流体流通空間を、一次流体流入路に連通する上流側一次流体流通路と、一次流体流出路に連通する下流側一次流体流通路とに画するように、一次流体流入路と一次流体流出路との間を通って伝熱プレートの一端から他端側に延びる仕切部が形成され、仕切部は、上流側一次流体流通路と下流側一次流体流通路とを伝熱プレートの他端側で連通させるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
このように一次流体流通空間を仕切部によって仕切ることで、一次流体を伝熱プレートの一端側から他端側に流通させるのに比して、一次流体が流通する流路の長さ(流路長)が長くなり、一次流体からの伝熱作用を効率的に得ることができる。
【0009】
また、一次流体が流通する流路(上流側一次流体流通路、及び下流側一次流体流通路)の幅(流路幅)についても、一次流体を伝熱プレートの一端側から他端側に流通させるのに比して狭くなり、一次流体を伝熱プレートの一端側から他端側に流通させていたときと同じ流入圧で一次流体の流速を高めることができる。これにより、伝熱プレートの伝熱面に対する境膜伝熱係数が高くなり、熱交換効率を高めることができる。また、一次流体を流通させる流路を、他端側で連通する上流側一次流体流通路と下流側一次流体流通路とで構成することで、一次流体の流動長を長くするようにしているので、圧力損失が大きくなく、一次流体を円滑に流動させることができる。即ち、一次流体の流動方向を一度切り換えるようにしているだけなので、圧力損失が大きくなりすぎることがなく、一次流体を円滑且つ確実に流動させることができる。
【0010】
さらに、本発明のプレート式熱交換の一態様として、一次流体流通空間を形成する伝熱プレートの伝熱面には、上流側一次流体流通路及び下流側一次流体流通路を横切る複数の凹条及び凸条が形成されていることが好ましい。このようにすれば、一次流体流通空間内で流通する一次流体に乱流を起こすことができ、さらに効率の高い熱交換を行うことができる。
【0011】
また、第二の課題を解決すべく、前記二次流体には、熱交換に伴って相変化を起こす二相型のものが採用され、二次流体流通空間は、二次流体流入路から伝熱プレートの一端に向けて延びる上流側二次流体流通路と、二次流体流出路から伝熱プレートの一端に向けて延びる下流側二次流体流通路と、上流側二次流体流通路と下流側二次流体流通路とを接続する接続流通路とで構成され、二次流体流通空間を形成する伝熱プレートの伝熱面には、上流側二次流体流通路から下流側二次流体流通路にかけて延びる複数の凹条及び凸条が、伝熱プレートの一端から他端に向けて並列に形成され、前記接続流通路が前記凹条によって形成されていることを特徴する。
【0012】
このようにすれば、二次流体の流通する流路の全長が、一次流体の流通する流路の全長よりも短くなり、伝熱プレートの伝熱面に対して二次流体の液膜が形成されにくくなる。その結果、二次流体の伝熱効率を高めることができる。つまり、一次流体流通空間内での一次流体の流動長を短くすることなく、二次流体が伝熱プレートの伝熱面に接触して流通する距離を短くすることができるので、一次流体に対する熱交換の性能を維持した上で、二次流体に流通に伴って伝熱面に蓄積される液膜の厚みを薄くすることができる。これにより、二次流体に対する伝熱プレートの伝熱効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るプレート式熱交換器は、伝熱プレートを大型化させることなく好適な熱交換を行うことができる。併せて、二次流体に二相型のものを採用しても、伝熱プレートの伝熱面に対する液膜の形成を極力抑えて伝熱効率を高めたものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器について、添付図面を参酌しつつ説明する。
【0015】
本実施形態にかかるプレート式熱交換器は、図1及び図2に示す如く、複数枚の伝熱プレート10,20,10,20…を積層して形成されており、各伝熱プレート10,20,10,20…を境にして、一次流体Aを流通させる一次流体流通空間30と、二次流体Bを流通させる二次流体流通空間40とが交互に形成されている。なお、一次流体A及び二次流体Bには、種々のものを採用できるが、本実施形態において、一次流体Aには、水や温水等の相変化を起こさない単相型のものを採用し、二次流体Bには、フロン等の相変化を起こす二相型のものを採用している。
【0016】
また、該プレート式熱交換器は、伝熱プレート10,20,10,20…の一端側に、一次流体Aを一次流体流通空間30内に流入させるための一次流体流入路21と、一次流体流通空間30から一次流体Aを流出させる一次流体流出路22とが伝熱プレート10,20,10,20…の一端に沿うように並んで形成されている。
【0017】
また、該プレート式熱交換器は、伝熱プレート10,20,10,20…の他端側に二次流体Bを二次流体流通空間40内に流入させるための二次流体流入路31と、二次流体流通空間40から二次流体Bを流出させる二次流体流出路32とが伝熱プレート10,20,10,20…の他端に沿うように並んで形成されている。
【0018】
すなわち、一次流体流出路22は、伝熱プレート10,20,10,20…の一端側であって、該一端と交差方向に延びる一方の端縁(以下、一側端という。)側に形成され、一次流体流入路21は、伝熱プレート10,20,10,20…の一端側であって、該一端と交差方向に延びる他方の端縁(以下、他側端という。)側に形成されている。その一方で、二次流体流入路31は、伝熱プレート10,20,10,20…の他端側であって、一側端側に形成され、二次流体流出路32は、伝熱プレート10,20,10,20…の他端側であって、他側端側に形成されている。
【0019】
かかる構成についてより具体的に説明すると、該プレート式熱交換器は、二種類の伝熱プレート10,20(以下、一方の伝熱プレート10を第一伝熱プレートといい、他方の伝熱プレート20を第二伝熱プレートという。)が交互に積層されることにより、各第一伝熱プレート10…及び第二伝熱プレート20…を境にして前記一次流体流通空間30と二次流体流通空間40とが交互に形成されている。
【0020】
第一伝熱プレート10は、金属製の板材をプレス加工することによって形成されており、前記一次流体流通空間30と二次流体流通空間40とを区切るプレート状の第一伝熱部100と、該第一伝熱部100に対して所定の角度を有して第一伝熱部100の外周端縁から該第一伝熱部100の一方の面とは反対側の面(他方の面)側に延出した第一封止片部150(図7〜図9参照)とで構成されている。
【0021】
前記第一伝熱部100は、平面視略長方形状に形成されており、長手方向の一端側に一次流体流出路22を形成するための第一開口101と、前記一次流体流入路21を形成するための第二開口102とが貫通して設けられている。前記第一開口101は、第一伝熱部100の一側端(長手方向と直交する方向(短手方向)の一端)側に形成されており、第二開口102は、第一伝熱部100の他側端(長手方向と直交する方向(短手方向)の他端)側に形成されている。
【0022】
また、該第一伝熱部100には、長手方向の他端側に前記二次流体流入路31を形成するための第三開口103と、二次流体流出路32を形成するための第四開口104とが貫通して設けられている。前記第三開口103は、第一伝熱部100の短手方向の一端(一側端)側に形成されており、第四開口104は、第一伝熱部100の短手方向の他端(他側端)側に形成されている。
【0023】
該第一伝熱部100の両面には、図3及び図4に示す如く、それぞれ機能を有する凸部、凸条、凹部、及び凹条が適宜形成されている。該第一伝熱部100(第一伝熱プレート10)は、金型を用いて板材を両面側からプレス加工して形成されたものであり、一方の面を適宜窪ませて凹部又は凹条を形成し、該凹部又は凹条以外の部分で凸部又は凸条が適宜形成されている。そして、他方の面においては、一方の面の凹部又は凹条の形成に伴って膨出した部分で凸部又は凸条が適宜形成され、該凸部又は凸条間によって凹部又は凹条が適宜形成されている。
【0024】
従って、以下の説明において、一方の面側において凹部又は凹条と表現する場合には、一方の面を基準にして窪んで(凹に)形成された部分を意味し、凸部又は凸条と表現する場合には、プレス成形前の板材における平面状態が保たれた部分を意味する。その一方で、他方の面側において、凸部又は凸条と表現する場合には、一方面に凹部又は凹条を形成することによって膨出した部分を意味し、凹部又は凹条と表現する場合には、この他方の面側において形成された凸条間又は凸部間における谷部分を意味する。なお、図3及び図4において、ハッチングを付した部分がその面側における凸部分を表している。
【0025】
図3に示す如く、第一伝熱部100の一方の面において、第一開口101及び第二開口102の周縁部には、各開口の中心と略同心の環状凹部105a,106aが形成されている(以下の説明において、第一開口101の周縁部に形成された環状凹部105aを第一環状凹部といい、第二開口102の周縁部に形成された環状凹部106aを第二環状凹部という。)。
【0026】
また、第一伝熱部100の一方の面において、第三開口103及び第四開口104の周縁部には、各開口の中心と略同心の環状凸部107a,108aが形成されている(以下の説明において、第三開口103の周縁部に形成された環状凸部107aを第三環状凸部といい、第四開口104の周縁部に形成された環状凸部108aを第四環状凸部という。)。
【0027】
第一伝熱部100の一方の面には、長手方向の一端から他端に向けて延びる凸条(以下、第一仕切用凸条部という。)109が、第一開口101と第二開口102との間(本実施形態においては、第一伝熱部100の短手方向の略中央)を通るように形成されている。該第一仕切用凸条部109は、第一伝熱部100の長手方向の他端から所定距離に離れた位置に先端が位置している。
【0028】
さらに、第一伝熱部100の一方の面には、第三環状凸部107aに接続されて第一環状凹部105aに向けて延びる所定幅の第一帯状凸部110が形成されると共に、第四環状凸部108aに接続されて第二環状凹部106aに向けて延びる所定幅の第二帯状凸部120が形成されている。該第一帯状凸部110及び第二帯状凸部120内には、複数の凹部(以下、第一調整凸部形成凹部111a,111bという)が、他方の面側の後述する第一流動方向調整用凸部121a,121bの配置及び形状に対応して形成されている。
【0029】
第一帯状凸部110内の第一調整凸部形成凹部111aのそれぞれは、第一伝熱部100の長手方向に延びるように形成されており、第二帯状凸部120内の第一調整凸部形成凹部111bのそれぞれは、第一伝熱部100の短手方向に延びるように形成されている。
【0030】
これにより、第一伝熱部100は、第一仕切用凸条部109(長手方向に延びる中心線)を境界にして、一側端側に後述する下流側一次流体流通路Dを形成する領域(以下、第一下流側領域という。)D1が第一帯状凸部110を除いて形成されると共に、他側端側に後述する上流側一次流体流通路Uを形成する領域(以下、第一上流側領域という。)U1が第二帯状凸部120を除いて形成されている。
【0031】
また、第一伝熱部100の一方の面の第一下流側領域D1及び第一上流側領域U1のそれぞれには、前記第一仕切用凸条部109(長手方向に延びる中心線)と交差する方向に延びる複数本の凹条(以下、第一凹条という)114,114…及び凸条(以下、第一凸条という)113,113…が形成されている。即ち、一次流体流通空間30を形成する第一伝熱プレート10の伝熱面には、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路D(一次流体Aの流動方向)を横切るように複数の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…が形成されている。
【0032】
具体的には、第一下流側領域D1内の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…は、第一伝熱部100の長手方向の他端に向けて先下りに傾斜した態様で形成されている。該第一凸条113,113…及び第一凹条114,114…は、第一伝熱部100の長手方向に延びる中心線CL1との内角θ1が45°以上で90°未満(より好ましくは、60°以上で85°以下))に設定されている。第一下流側領域D1内の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…は、第一伝熱部100の一側端側の半分の領域(第一下流側領域)D1内において長手方向の一端から他端までの間に交互に形成されている。
【0033】
一方、第一伝熱部100の他側端側の半分の領域(第一上流側領域)U1内においても長手方向の一端から他端までの間に複数の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…が交互に形成されている。該第一上流側領域U1における複数の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…は、第一仕切用凸条部109(中心線)を基準に第一下流側領域D1内の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…と鏡像関係を有して形成されている。即ち、第一上流側領域U1内の第一凸条113,113…及び第一凹条114,114…は、第一伝熱部100の長手方向の一端側に先下りに傾斜した態様で形成されている。
【0034】
そして、上述の如く、第一仕切用凸条部109は、第一伝熱部100の他端にまで到達していないので、この部分(第一仕切用凸条部109の存在しない領域)における第一上流側領域U1及び第一下流側領域D1の第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…は、長手方向に延びる中心線上で接続された態様となっている。即ち、第一仕切用凸条部109の形成されていない第一伝熱部100の他端側において、第一上流側領域U1から第一下流側領域D1にかけて形成された第一凹条114,114…及び第一凸条113,113…は、前記中心線上に頂点を位置させて屈曲した形状をなしている。
【0035】
第一伝熱プレート10は、一方の面が上述のような形態に形成されているので、他方の面においては、図4に示す如く、第一仕切用凸条部109に対応した部分に第一仕切凸条形成凹条115が形成され、一方の面における第一上流側領域U1、及び第一下流側領域D1の第一凹条114,114…に対応した凸条(以下、第一裏面側凸条という。)116と、第一凸条113,113…に対応した凹条(以下、第一裏面側凹条という。)117とが形成されている。さらに、各第一帯状凸部110及び第二帯状凸部120に対応して他方の面には帯状の凹部118,119が形成されている(以下、第一帯状凸部110の裏面側の凹部を第一裏面側帯状凹部118といい、第二帯状凸部120の裏面側の凹部を第二裏面側帯状凹部119という。)。そして、第一伝熱部100の第一及び第二裏面側帯状凹部118,119内には、一方の面側の第一調整凸部形成凹部111a,111bに対応した凸部121a,121b(第一流動方向調整用凸部)が形成されている。第一裏面側帯状凹部118内に形成された第一流動方向調整用凸部121aは、第一伝熱部100の長手方向に延びるように形成されており、第二裏面側帯状凹部119内に形成された第一流動方向調整用凸部121bは、第一伝熱部100の短手方向に延びるように形成されている。
【0036】
図1及び2に戻り、第二伝熱プレート20は、金属製の板材をプレス加工することによって形成されており、前記一次流体流通空間30と二次流体流通空間40とを区切るプレート状の第二伝熱部200と、該第二伝熱部200に対して所定の角度を有して第二伝熱部200の外周端縁から該第二伝熱部200の一方の面側に延出した第二封止片部250(図7〜図9参照)とで構成されている。
【0037】
前記第二伝熱部200は、平面視略長方形状に形成されており、長手方向の一端側に前記一次流体流出路22を形成するための第五開口201と、一次流体流入路21を形成するための第六開口202とが貫通して設けられている。前記第五開口201は、第二伝熱部200の一側端(長手方向と直交する方向(短手方向)の一端)側に形成されており、第六開口202は、第二伝熱部200は短手方向の他側端(長手方向と直交する方向(短手方向)の他端)側に形成されている。
【0038】
また、該第二伝熱部200には、長手方向の他端側に前記二次流体流入路31を形成するための第七開口203と、二次流体流出路32を形成するための第八開口204とが貫通して設けられている。前記第七開口203は、第二伝熱部200の短手方向の一端(一側端)側に形成されており、第八開口204は、第二伝熱部200の短手方向の他端(他側端)側に形成されている。
【0039】
該第二伝熱部200の両面には、図5及び図6に示す如く、それぞれ機能を有する凸部、凸条、凹部、及び凹条が適宜形成されている。該第二伝熱部200(第二伝熱プレート20)は、第一伝熱プレート10と同様に、金型を用いて板材を両面側からプレス加工して形成されたものであり、一方の面を適宜窪ませて凹部又は凹条を形成し、該凹部又は凹条以外の部分で凸部又は凸条が適宜形成されている。そして、他方の面においては、一方の面の凹部又は凹条の形成に伴って膨出した部分で凸部又は凸条が適宜形成され、該凸部又は凸条間によって凹部又は凹条が適宜形成されている。
【0040】
従って、第二伝熱プレート20についても以下の説明において、一方の面側において凹部又は凹条と表現する場合には、一方の面を基準にして窪んで(凹に)形成された部分を意味し、凸部又は凸条と表現する場合には、プレス成形前の板材における平面状態が保たれた部分を意味する。その一方で、他方の面側において、凸部又は凸条と表現する場合には、一方面に凹部又は凹条を形成することによって膨出した部分を意味し、凹条と表現する場合には、この他方の面側において形成された凸条間又は凸部間における谷部分を意味する。なお、図5及び図6において、ハッチングを付した部分がその面側における凸部分を表している。
【0041】
図5に示す如く、第二伝熱部200の一方の面において、第五開口201及び第六開口202の周縁部には、各開口の中心と略同心の環状凹部205a,206aが形成されている(以下の説明において、第五開口201の周縁部に形成された環状凹部205aを第五環状凹部といい、第六開口202の周縁部に形成された環状凹部206aを第六環状凹部という。)。
【0042】
また、第二伝熱部200の一方の面において、第七開口203及び第八開口204の周縁部には、各開口の中心と略同心の環状凸部207a,208aが形成されている(以下の説明において、第七開口203の周縁部に形成された環状凸部207aを第七環状凸部といい、第八開口204の周縁部に形成された環状凸部208aを第八環状凸部という。)。
【0043】
第二伝熱部200の一方の面には、長手方向の一端から他端に向けて延びる凸条209(以下、第二仕切用凸条部という。)が、第五開口201と第六開口202との間(本実施形態においては、第二伝熱部200の短手方向の略中央)を通るように形成されている。該第二仕切用凸条部209は、第二伝熱部200の長手方向の他端から所定距離に離れた位置に先端が位置している。
【0044】
さらに、第二伝熱部200の一方の面には、第七環状凸部207aに接続されて第五環状凹部205aに向けて延びる所定幅の第三帯状凸部210が形成されると共に、第八環状凸部208aに接続されて第六環状凹部206aに向けて延びる所定幅の第三帯状凸部210が形成されている。該第三帯状凸部210及び第四帯状凸部220内には、複数の凹部(以下、第二調整凸部形成凹部211a,211bという)が、他方の面側に後述する第二流動方向調整用凸部221a,221bの配置及び形状に対応して形成されている。
【0045】
第三帯状凸部210内の第二調整凸部形成凹部211aのそれぞれは、第二伝熱部200の長手方向に延びるように形成されており、第四帯状凸部220内の第二調整凸部形成凹部211bのそれぞれは、第二伝熱部200の短手方向に延びるように形成されている。
【0046】
これにより、第二伝熱部200は、第二仕切用凸条部209(長手方向に延びる中心線)を境界にして、一側端側に後述する下流側一次流体流通路Dを形成する領域(以下、第二下流側領域D2という。)が第三帯状凸部210を除いて形成されると共に、他側端側に後述する上流側一次流体流通路Uを形成する領域(以下、第二上流側領域U2という。)が第四帯状凸部220を除いて形成されている。
【0047】
また、第二伝熱部200の一方の面の第二下流側領域D2及び第二上流側領域U2のそれぞれには、前記第二仕切用凸条部209(長手方向に延びる中心線)と交差する方向に延びる複数本の凹条(以下、第二凹条という)214,214…及び凸条(以下、第二凸条という)213,213…が形成されている。即ち、一次流体流通空間30を形成する第二伝熱プレート20の伝熱面には、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路D(一次流体Aの流動方向)を横切るように複数の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…が形成されている。
【0048】
具体的には、第二下流側領域D2内の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…は、第二伝熱部200の長手方向の一端に向けて先下りに傾斜した態様で形成されている。該第二凸条213,213…及び第一凹条214,214…は、第二伝熱部200の長手方向に延びる中心線CL2との内角θ2が45°以上で90°未満(より好ましくは、60°以上で85°以下))に設定されている。第二下流側領域D2内の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…は、第二伝熱部200の一側端側の半分の領域(第二下流側領域)D2内において長手方向の一端から他端までの間に交互に形成されている。
【0049】
一方、第二伝熱部200の他側端側の半分の領域(第二上流側領域U2)内においても長手方向の一端から他端までの間に複数の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…が交互に形成されている。該第二上流側領域U2における複数の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…は、第二仕切用凸条部209(中心線)を基準に第二下流側領域D2内の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…と鏡像関係を有して形成されている。
【0050】
そして、上述の如く、第二仕切用凸条部209は、第二伝熱部200の他端にまで到達していないので、この部分(第二仕切用凸条部209の存在しない領域)における第二上流側領域U2及び第二下流側領域D2の第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…は、長手方向に延びる中心線上で接続された態様となっている。即ち、第二仕切用凸条部209の形成されていない第二伝熱部200の他端側において、第二上流側領域U2から第二下流側領域D2にかけて形成された第二凹条214,214…及び第二凸条213,213…は、前記中心線上に頂点を位置させて屈曲した形状をなしている。
【0051】
第二伝熱プレート20は、一方の面が上述のような形態に形成されているので、他方の面においては、図6に示す如く、第二仕切用凸条部209に対応した部分に第二仕切凸条形成凹条215が形成され、一方の面における第二上流側領域U2、及び第二下流側領域D2の第二凹条214,214…に対応した凸条(以下、第二裏面側凸条という。)216と、第二凸条213,213…に対応した凹条(以下、第二裏面側凹条という。)217とが形成されている。さらに、各第三帯状凸部210及び第四帯状凸部220に対応して他方の面には帯状の凹部218,219が形成されている(以下、第三帯状凸部210の裏面側の凹部を第三裏面側帯状凹部218といい、第四帯状凸部220の裏面側の凹部を第四裏面側帯状凹部219という。)。
【0052】
そして、第二伝熱部200の第三及び第四裏面側帯状凹部218,219内には、一方の面側の第二調整凸部形成凹部211a,211bに対応した凸部221a,221b(第二流動方向調整用凸部)が形成されている。第三裏面側帯状凹部218内に形成された第二流動方向調整用凸部221aは、第二伝熱部200の長手方向に延びるように形成されており、第四裏面側帯状凹部219内に形成された第二流動方向調整用凸部221bは、第二伝熱部200の短手方向に延びるように形成されている。
【0053】
第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20は、以上の構成を備えており、本実施形態に係るプレート式熱交換器は、図7乃至図9に示す如く、これらを交互に積層し、互いに接触する部分同士をロウ付けすることにより、内部(一次流体流通空間30及び二次流体流通空間40)を液密で且つ気密に保てるようにしている。なお、図7乃至図9において、一次流体流通空間30及び二次流体流通空間40の構成を明確に表現すべく、第一凸条113、第二凸条213等を簡略化して示している。
【0054】
具体的には、長手方向及び短手方向の一端同士が一致するように、第一伝熱プレート10(第一伝熱部100)の他方の面に対して、第二伝熱プレート20の他方の面を対向させ、この第二伝熱プレート20の一方の面に対して、別の第一伝熱プレート10の一方の面を対向させた態様で、第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20を順次積層し、このように積層した状態で第一伝熱プレート10(第一封止片部150)と第二伝熱プレート20(第二封止片部250)とをロウ付けすることで、前記一次流体流通空間30が第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20の一方面間に形成され、二次流体流通空間40が第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20の他方面間に形成されることになる。
【0055】
この状態において、第一伝熱プレート10の一方の面の各凸条(第一凸条113,113…、第一仕切用凸条部109)及び凸部(第三環状凸部107a、第四環状凸部108a、第一帯状凸部110、第二帯状凸部120)と、第二伝熱プレート20の一方の面側の各凸条(第二凸条213,213…、第二仕切用凸条部209)及び凸部(第五環状凸部205a、第六環状凸部206a、第三帯状凸部210第四帯状凸部220)とが接触した状態となっている。
【0056】
第一伝熱部100の一方の面と第二伝熱部200の一方の面との間の構造状態について具体的に説明すると、図7及び図8に示す如く、第一仕切用凸条部109と第二仕切用凸条部209とが長手方向に接触(面接触)することで一次流体流通空間30を一側端側と他側端側とに仕切る仕切部50が形成されている。また、第一帯状凸部110と第三帯状凸部210とが面接触すると共に、第二帯状凸部120と第四帯状凸部220とが面接触し、この面接触した部分と仕切部50との間に前記下流側一次流体流通路Dと上流側一次流体流通路Uとが形成されている。
【0057】
第一凸条113,113…及び第二凸条213,213…は、互いに交差して部分的に接触した態様をなしており、第一凸条113,113…間の第一凹条114,114…と第二凸条213,213…間の第二凹条214,214…により、前記下流側一次流体流通路D及び上流側一次流体流通路Uが蛇行した態様で形成されている。なお、仕切部50の先端と第一伝熱部100及び第二伝熱部200の他端との間は、仕切部50が形成されないので、この部分に対応する下流側一次流体流通路D及び上流側一次流体流通路Uは、屈曲した第一凸条113,113…と第二凸条213,213…とが交差状態で部分的に接触しており、互いに連通した態様となっている。
【0058】
また、第三環状凸部107aと第七環状凸部207aとも接触しており、交互に配設される第三開口103と第七開口203とが連なって、二次流体Bを流入させる二次流体流入路31が形成されている。すなわち、第三環状凸部107aと第七環状凸部207aとをロウ付けによって封着することで、第三開口103及び第七開口203(二次流体流入路31)と一次流体流通空間30との間で一次流体A及び二次流体Bが流通するのを防止している。
【0059】
一方、第四環状凸部108aと第八環状凸部208aとも接触しており、交互に配設される第四開口104と第八開口204とが連なって、二次流体Bを流出させる二次流体流出路32が形成されている。すなわち、第四環状凸部108aと第八環状凸部208aとをロウ付けによって封着することで、第四開口104及び第八開口204(二次流体流出路32)と一次流体流通空間30との間で一次流体A及び二次流体Bが流通するのを防止している。
【0060】
第一環状凹部105aと第五環状凹部205aとは、図9に示す如く、互いに離間しており、下流側一次流体流通路Dを流れてきた一次流体Aを第一開口101及び第五開口201(前記一次流体流出路22)から流出させることができるようになっている。また、第二環状凹部106aと第六環状凹部206aとも、互いに離間しており、該第二開口102と第六開口202が連なって形成される一次流体流入路21から一次流体Aを上流側一次流体流通路U内に流入させることができるようになっている。
【0061】
一方、第一伝熱部100の他方の面と第二伝熱部200の他方の面との間の構造状態について具体的に説明すると、図8に示す如く、第一裏面側帯状凹部118と第三裏面側帯状凹部218とが離間しており、これによって、伝熱部(第一伝熱部100、第二伝熱部200)の一側端側に二次流体流通空間40の一部を構成し、且つ二次流体流入路31に連通した上流側二次流体流通路Xが形成されている。また、第二裏面側帯状凹部119と第四裏面側帯状凹部219とが離間しており、これによって、伝熱部(第一伝熱部100、第二伝熱部200)の他側端側に二次流体流通空間40の一部を構成し、二次流体流出路32と連通した下流側二次流体流通路Yが形成されている。該上流側二次流体流通路X及び下流側二次流体流通路Y内において、第一流動方向調整用凸部121a,121bと第二流動方向調整用凸部221a,221bとが接触状態になっている。
【0062】
第一帯状凹部118の第一流動方向調整用凸部121aと第三裏面側帯状凹部218の第二流動方向調整用凸部221aとは、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の長手方向に延びるように形成されているので、二次流体流入路31(第三開口103及び第七開口203)から流入してくる二次流体Bが第一流動方向調整用凸部121a及び第二流動方向調整用凸部221aに沿って流れ、各第一流動方向調整用凸部121a,121b間を介して後述する接続流通路Zに向けて流れるようになっている。
【0063】
そして、第二裏面側帯状凹部119内の第一流動方向調整用凸部121b及び第四裏面側帯状凹部219内の第二流動方向調整用凸部221bは、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向に延びるように形成されているので、上流側の上流側二次流体流通路X(接続流通路Z)から流れ込んでくる二次流体Bが一旦第一流動方向調整用凸部121b及び第二流動方向調整用凸部221bに沿って流れた後に、下流側二次流体流通路Yを介して二次流体流出路32(第四開口104及び第八開口204)に流出するようになっている。
【0064】
前記上流側二次流体流通路Xと下流側二次流体流通路Yとの間には、これらを連通させる前記接続流通路Zが形成されている。該接続流通路Zは、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の他方の面に形成された第一裏面側凹条117と第二裏面側凹条217とで形成される空間である。すなわち、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の一方の面において、第一帯状凸部110と第二帯状凸部120との間に第一凸条113,113…が形成され、第三帯状凸部210と第四帯状凸部220との間に第二凸条213,213…が形成されることにより、他方の面側に第一裏面側凹条117及び第二裏面側凹条217が形成されているので、該第一裏面側凹条117と第二裏面側凹条217とで形成された空間は、伝熱部(第一伝熱部100、第二伝熱部200)の短手方向において形成され、第一裏面側凹条117及び第二裏面側凹条217の長手方向において、蛇行して形成されている。なお、第一裏面側凸条116と第二裏面側凸条とは、一方の面側の第一凸条113,113…及び第二凸条213,213…と同様に、互いに交差して部分的に接触した状態となっている。
【0065】
また、図9に示す如く、第一裏面側環状凸部105bと第五裏面側環状凸部205bとも接触しており、交互に配設される第一開口101と第五開口201とが連なって、一次流体Aを一次流体流通空間30から流出させる一次流体流出路22が形成されている。すなわち、第一裏面側環状凸部105bと第五裏面側環状凸部205bとをロウ付けによって封着することで、第一開口101及び第五開口201(一次流体流出路22)と二次流体流通空間40との間で一次流体A及び二次流体Bが流通するのを防止している。
【0066】
一方、第二環状凹部106aの裏面側の環状凸部(第二裏面側環状凸部)106bと、第六環状凹部206aの裏面側の環状凸部(第六裏面側環状凸部)206bとも接触しており、交互に配設される第二開口102と第六開口202とが連なって、一次流体Aを流入させる一次流体流入路21が形成されている。すなわち、第二裏面側環状凸部106bと第六裏面側環状凸部206bとをロウ付けによって封着することで、第二開口102及び第六開口202(一次流体流入路21)と二次流体流通空間40との間で一次流体A及び二次流体Bが流通するのを防止している。
【0067】
第三環状凸部107aの裏面側の環状凹部107b(第三裏面側環状凹部)と第七環状凸部207aの裏面側の環状凹部207b(第七裏面側環状凹部)とは、図7に示す如く、互いに離間しており、二次流体流入路31(第三開口103及び第七開口203)から二次流体流通空間40(上流側一次流体流通路U)に二次流体Bを流入させることができるようになっている。また、第四環状凸部108aの裏面側の環状凹部108b(第四環状凹部)と第八環状凸部208aの裏面側の環状凹部208b(第八裏面側環状凹部)とは、互いに離間しており、二次流体流通空間40(下流側一次流体流通路D)から流れてくる二次流体Bを第四開口104と第八開口204が連なって形成される二次流体流出路32に流出させることができるようになっている。
【0068】
本実施形態に係るプレート式熱交換器は、図7乃至図9に示す如く、上記構成の伝熱プレート10,20,10,20…(第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20)に加え、当該プレート式熱交換器のフレームを構成する一対のフレーム板60a,60bを備えており、積層状態にある複数枚の伝熱プレート10,20,10,20…をこの一対のフレーム板60a,60bで挟み込んだ態様で形成されている。本実施形態に係る一方のフレーム板60aは、前記第一開口101(第五開口201)、第二開口102(第六開口202)、第三開口103(第七開口203)、及び第四開口104(第八開口204)の配置に対応するように四つの開口が設けられており、各開口縁部には配管を接続するための筒状部Pが延設されている。
【0069】
各フレーム板60a,60bについても、第一伝熱プレート10及び第二伝熱プレート20と同様に封止片部61a,61bが延設されており、伝熱プレート10,20,10,20…を挟み込んだ状態で、各伝熱プレート10,20,10,20…の第一及び第二封止片部150,250とフレーム板60a,60bの封止片部61a,61bとがロウ付けによって封着されている。
【0070】
他方のフレーム板60bと対向する第一伝熱プレート10又は第二伝熱プレート20は、一次流体流入路21及び一次流体流出路22を形成するための開口(本実施形態においては、第一伝熱プレート10であるので、第一開口101、第二開口102、第三開口103及び第四開口104)が設けられておらず、一次流体流入路21及び一次流体流出路22のエンドプレートとして機能するようになっている。また、一次流体流入路21及び一次流体流出路22のエンドプレートとして機能する伝熱プレート(第一伝熱プレート10)と対向する第二伝熱プレート20には、第七開口203及び第八開口204が設けられておらず、第五開口201及び第六開口202のみが開口しており、二次流体流入路31及び二次流体流出路32のエンドプレートとして機能するように構成されている。
【0071】
本実施形態に係るプレート式熱交換器は、以上の構成からなり、以下にこのプレート式熱交換器の使用態様及び作用について説明する。
【0072】
本実施形態に係るプレート式熱交換器は、室内を冷暖房する冷暖房システムに採用することができ、以下の説明において、冷暖房システムでの使用態様を一例にして説明する。
【0073】
かかる冷暖房システムは、本実施形態に係るプレート式熱交換器によって熱交換された熱媒体(本実施形態においては二次流体B)を室内に設置した室内器に送り込み、室内器内で熱交換された該二次流体Bを再度プレート式熱交換器に戻すようにした熱媒循環式のものである。
【0074】
より具体的に説明すると、本実施形態に係るプレート式熱交換器は、伝熱プレート10,20,10,20…の短手方向の一端(一側端)が上方に位置し、他側端が下方に位置するように配置される。すなわち、一次流体流入路21が一次流体流出路22よりも下方に位置する一方で、二次流体流入路31が二次流体流出路32よりも上方に位置するように配置される(図1参照)。そして、このような態様で配置された前記プレート式熱交換器の一次流体流入路21に一次流体A(冷房時には冷水、暖房時には温水)を流入させると共に、二次流体流入路31に室内器から送られてくる二次流体B(例えば、フロン)を流入させる。
【0075】
そうすると、一次流体Aは、図10に示す如く、下方に位置する一次流体流入路21から各一次流体流通空間30(上流側一次流体流通路U)に流れ込み、一旦伝熱プレート10,20,10,20…の長手方向の他端側に流れた後に、仕切部50の形成されていない他端の領域で流動方向が切り替わって下流側一次流体流通路Dに入り込んで一次流体流出路22から流出されることになる。つまり、冷水又は温水(一次流体A)は、一次流体流入路21から流入して伝熱プレート10,20,10,20…の長手方向の他端側に流れた後に、一度だけターンして、伝熱プレート10,20,10,20…の長手方向の一端側に流れて一次流体流出路22から流出することになる。このように冷水、又は温水Aをターンさせるように流通させるようにすると、一次流体流入路21から一次流体流出路22に向けて直線的に冷水又は温水を流動させる場合に比して、一次流体流通空間30内で冷水又は温水が流動する距離が長くなる。これにより、冷水又は温水の熱を第一伝熱部100及び第二伝熱部200に効率的に伝達させることができる。つまり、冷水又は温水の熱をできるだけ多く第一伝熱部100及び第二伝熱部200を介して二次流体流通空間40内を流通する二次流体Bに作用させることができる。また、一次流体流通空間30を流通する冷水又は温水を一度だけターンさせるだけであるので、冷水又は温水に対する圧力損失を極限に抑えることができる。
【0076】
また、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路Dの流路幅がターンさせないようにしたときの流路の幅に比して狭くなるので、そのターンさせないときと同じ流入圧で冷水又は温水を流入させても、流速が高まることになる。これにより、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路D内での冷水又は温水の流速分布において、第一伝熱部100及び第二伝熱部200近傍と中央部分との差が少なくなるので、境膜伝熱係数が大きくなり、効率の高い伝熱作用を得ることになる。さらに、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路Dは、第一凹条114,114…と第二凹条214,214…とによって形成された空間であるので、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路Dで流通する冷水又は温水は、第一伝熱部100及び第二伝熱部200近傍において乱流状態となり、これによっても伝熱効率が高まる。
【0077】
一方、二次流体Bは、室内の冷房時において、上方側に位置する二次流体流入路31からフロンガスとして上流側一次流体流通路Uに流れ込むことになり、暖房時においては、二次流体流入路31から液化フロンとして上流側二次流体流通路Xに流れ込むことになる。即ち、二次流体Bは、室内器内において室内の空気との熱交換が行われるため、冷房時において液化したフロンを室内器に送り込むと、空気との熱交換によって気化するので、二次流体流入路31から二次流体流通空間40内にガス化したフロンが流れ込むことになる。その一方で、暖房時において気化したフロンを室内器に送り込むと、空気との熱交換によって該フロンが凝縮されて液化することになり、二次流体流入路31から二次流体流通空間40内に液化したフロンが流れ込むことになる。
【0078】
そうすると、図11に示す如く、該上流側二次流体流通路X内の第一流動方向調整用凸部121aと第二流動方向調整用凸部221aとが第一伝熱部100及び第二伝熱部200の長手方向に延びるように形成されているので、該上流側二次流体流通路X内に流れ込んだ二次流体Bは、該二次流体Bの態様(液相状態であるか、気相状態であるか)に関係なく、上流側二次流体流通路X内の第一流動方向調整用凸部121aと第二流動方向調整用凸部221aに誘導され、伝熱プレート10,20,10,20…の一端から他端に向けて流れることになる。そして、上流側二次流体流通路Xに充満した二次流体Bは接続流通路Zを流れて下流側二次流体流通路Yに流れ込むことになる。このように、二次流体Bが上流側二次流体流通路Xから下流側二次流体流通路Yに向けて接続流通路Zを流動するに際し、冷房時においては一次流体流通空間30において冷水が流通しているので、ガス化したフロンは下流側一次流体流通路Dに向かうにつれて凝縮され、下流側二次流体流通路Yに到達した時点或いはその前に完全に液化することになる。そして、暖房時においては一次流体流通空間30において温水が流通しているので、第一伝熱部100及び第二伝熱部200から温水の熱が伝達され、液化したフロンは下流側二次流体流通路Yに向かうにつれて気化し、下流側二次流体流通路Yに到達した時点或いはその前において完全或いは略完全にガスになる。
【0079】
そして、下流側二次流体流通路Yに到達した二次流体Bは、下流側二次流体流通路Y内の第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向に延びるように形成された第一流動方向調整用凸部121b及び第二流動方向調整用凸部221bに沿って流れ、下流側一次流体流通路Dにおける第一伝熱部100及び第二伝熱部200の最も他側端側(二次流体流通空間40の最下部分)を通って、二次流体流出路32から流出して再度室内器に送り込まれることになる。
【0080】
上述のように、二次流体Bが上流側二次流体流通路Xから下流側二次流体流通路Yに向けて流動するに際し、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の表面(他方の面)に液膜が形成されることになるが、本実施形態に係るプレート式熱交換器は、二次流体Bを第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向に流動させるように構成しているので、液膜の膜厚を極めて薄くすることができ、二次流体Bに対する熱交換率を高めることができる。つまり、一次流体流通空間30及び二次流体流通空間40は、同じ第一伝熱部100及び第二伝熱部200によって画定されているので、伝熱面積は同じであるが、流動長が二次流体Bの流動長が一次流体Aの流動長よりも極めて短くなっているので、該二次流体Bの流通に伴う液膜の形成を抑制することができ、熱交換効率を低下させる原因の一つであった液膜の膜厚の増加を抑制することができ、一次流体Aと二次流体Bとの熱交換を効率よく行うことができる。
【0081】
特に、二次流体Bを上方から下方に向けて流動させると、伝熱面に形成される液膜は、下方に向かうにつれて厚くなり、流動長が長くなればなるほど、上方側の膜厚と下方側の膜厚が上方の膜厚に比して極めて厚くなるといった問題があるが、上述の如く、二次流体Bの流動長を短くすることで、上方側と下方側の膜厚差が小さくなり、伝熱面全体で均一な熱交換を行うことができる。つまり、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の縦横比の違いに着目して、一次流体Aの流動方向と二次流体Bの流動方向とが交差方向となるようにすることで、熱交換を行うに際して流動長を長くすることが好ましい一次流体A(単相型の熱媒体)と、流動長の長さを短くして液膜の形成を抑制する必要のある二次流体B(二相型の熱媒体)とを用いるようにしても、何れの条件に対しても満足させることができ、極めて効率のよい熱交換を行うことができる。
【0082】
従って、室内の空気に対して熱交換を行うのに高効率で熱交換する必要のある二次流体Bを循環させる上記循環式の冷暖房装置であっても、本実施形態に係るプレート式熱交換器は十分な性能を発揮することができる。
【0083】
以上のように、本実施形態に係るプレート式熱交換器は、一次流体Aを流通させる一次流体流通空間30に仕切部50を設けることで、上流側一次流体流通路Uと下流側一次流体流通路Dとを形成し、一次流体Aの流路を一度だけターン(Uターン)させるようにしたので、一次流体流入路21から一次流体流出路22に直接一次流体Aを流通させる場合に比して、一次流体Aが流通する流路幅が狭くなり、一次流体Aの流速を速めて境膜伝熱係数を高めることができると共に、流動長を長くすることができ、一次流体Aの熱を伝熱面に効率よく伝達させることができる。
【0084】
また、一次流体流通空間30を形成する第一伝熱部100及び第二伝熱部200の一方の面に、上流側一次流体流通路Uにおける流動方向、及び下流側一次流体流通路Dにおける一次流体Aの流動方向と交差する方向に延びる第一凸条113,113…、第一凹条114,114…、第二凸条213,213…、及び第二凹条214,214…を形成するようにしたので、上流側一次流体流通路U及び下流側一次流体流通路Dで一次流体Aを流通させるに際し、伝熱面近傍で乱流を発生させることができ、これによって伝熱効率を高めることができる。
【0085】
また、一次流体流通空間30と二次流体流通空間40とを画定する第一伝熱部100及び第二伝熱部200を長方形状に形成し、二次流体流通空間40内で二次流体Bを短手方向に流通させるようにしたので、喩え二次流体Bに二相型の熱媒体を採用したとしても、伝熱面に形成される液膜の膜厚が厚くなるのを抑えることができる。さらに、二次流体流通空間40内での二次流体Bの流動長を短くすることで、伝熱面に形成される液膜が上方側より下方側が厚くなるのを抑えることができ、伝熱面全体で効率のよい伝熱を行うことができる。
【0086】
尚、本発明のプレート式熱交換器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0087】
即ち、上記実施形態において、一次流体Aとして、水又は熱湯を採用するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、蓄熱性に優れた油等を採用することができる。
【0088】
また、二次流体Bに二相型(熱交換によって気相と液相との間で変化するタイプ)のもの(フロン)を採用するようにしたが、これに限定されるものではなく、二次流体Bは、例えば、一次流体Aと同様に、水又は熱湯を採用したり、蓄熱性に優れた油を採用したりするようにしてもよい。このようにしても、一次流体流通空間30は、仕切部50によって上流側一次流体流通路Uと下流側一次流体流通路Dとに画定され、一次流体Aの流動長を長くすると共に、流速を高めることができ、二次流体Bに対する熱伝達効率を高くすることができる。
【0089】
上記実施形態において、第一伝熱プレート10の第一伝熱部100及び第二伝熱プレート20の第二伝熱部200を長方形状に形成し、二次流体Bを第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向に流動させるようにして該二次流体Bの流動長をできるだけ短くするようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の何れについても縦横比を同一(正方形状)に形成するようにしてもよい。但し、上記実施形態の如く、二次流体Bに二相型のもの(伝熱面に対して液膜が形成されるもの)を採用する場合には、第一伝熱部100及び第二伝熱部200を長方形状に形成して、二次流体Bを短手方向に流動させることが好ましい。
【0090】
上記実施形態において、第一伝熱プレート10(第一伝熱部100)に第一仕切用凸条部109を形成すると共に、第二伝熱プレート20(第二伝熱部200)に第二仕切用凸条部209を形成し、この第一仕切用凸条部109と第二仕切用凸条部209とで一次流体流通空間30を仕切る仕切部50を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一伝熱部100と第二伝熱部200との間に、線状、或いは帯状にパッキン材を挟み込み、このパッキン材で仕切部50を構成するようにしてもよい。
【0091】
上記実施形態において、一次流体流通空間30を画定する第一伝熱部100及び第二伝熱部200に第一凸条113,113…、第一凹条114,114…、第二凸条213,213…及び第二凹条214,214…を形成し、一次流体流通空間30を流通する一次流体Aに乱流を発生させ、伝熱効率を高めるようにしてが、これに限定されるものではなく、例えば、第一伝熱部100及び第二伝熱部200を平板状に形成すると共に、第一伝熱部100と第二伝熱部200との間に仕切部50を設けるようにしてもよい。このようにしても、第一伝熱部100及び第二伝熱部200を介して二次流体Bに熱伝達することができる。但し、効率の良い熱伝達を行うには、上記実施形態と同様に、第一凸条113,113…、第一凹条114,114…、第二凸条213,213…、及び第二凹条214,214…を形成することが好ましい。
【0092】
上記実施形態において、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向が上下方向となり、且つ一次流体流入路21を一次流体流出路22よりも下方に位置するように上記構成のプレート式熱交換器を使用するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の長手方向が上下方向となるように上記構成のプレート式熱交換器を使用するようにしてもよい。但し、二次流体Bにフロン等の二相型のものを採用する場合には、第一伝熱部100及び第二伝熱部200の短手方向を上下方向にし、二次流体Bが上方から下方に向けて流動できる態様で使用することが好ましい。
【0093】
上記実施形態において、二次流体流通空間40を上流側二次流体流通路Xと、下流側二次流体流通路Yと、接続流通路Zとで構成するようにし、二次流体Bを一次流体Aに対して直交する方向に流動させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、一次流体Aと同様に二次流体Bに単相型のものを採用する場合には、二次流体流通空間40を一次流体流通空間50と同様に仕切部で仕切るようにしても勿論よい。
【0094】
上記実施形態において、一次流体Aを熱媒体とし採用し、該一次流体Aの熱を伝熱部(第一伝熱部100、第二伝熱部200)を介して二次流体Bに伝達させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、二次流体Bを熱媒体とする一方で、一次流体Aを二次流体Bから伝熱される被熱交換体とした使用態様であっても勿論よい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の全体斜視図を示す。
【図2】図2は、同実施形態にかかるプレート式熱交換器の概略分解斜視図を示す。
【図3】図3は、同実施形態にかかるプレート式熱交換器を構成する第一伝熱プレートの正面図(一方の面側から見た図)を示す。
【図4】図4は、同実施形態にかかるプレート式熱交換器を構成する第一伝熱プレートの背面図(他方の面側から見た図)を示す。
【図5】図5は、同実施形態にかかるプレート式熱交換器を構成する第二伝熱プレートの正面図(他方の面側から見た図)を示す。
【図6】図6は、同実施形態にかかるプレート式熱交換器を構成する第二伝熱プレートの背面図(一方の面側から見た図)を示す。
【図7】図7は、図1におけるI−I線断面図を示す。
【図8】図8は、図1におけるII−II線断面図を示す。
【図9】図9は、図1におけるIII−III線断面図を示す。
【図10】図10は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の一次流体流通空間内に一次流体を流通させた状態を説明するための説明図を示す。
【図11】図11は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の二次流体流通空間内に二次流体を流通させた状態を説明するための説明図を示す。
【符号の説明】
【0096】
10…第一伝熱プレート(伝熱プレート)、20…第二伝熱プレート(伝熱プレート)、21…一次流体流入路、22…一次流体流出路、30…一次流体流通空間(流通空間)、31…二次流体流入路、32…二次流体流出路、40…二次流体流通空間(流通空間)、50…仕切部、60a,60b…フレーム板、61a,61b…封止片部、100…第一伝熱部(伝熱部)、101…第一開口、102…第二開口、103…第三開口、104…第四開口、105a…第一環状凹部(環状凹部)、105b…第一裏面側環状凸部(環状凸部)、106a…第二環状凹部(環状凹部)、106b…第二裏面側環状凸部(環状凸部)、107a…第三環状凸部(環状凸部)、107b…第三裏面側環状凹部(環状凹部)、108a…第四環状凸部(環状凸部)、108b…第四裏面側環状凹部(環状凹部)、109…第一仕切用凸条部(凸条)、110…第一帯状凸部、111a,111b…第一調整凸部形成凹部、113…第一凸条(凸条)、114…第一凹条(凹条)、115…第一仕切凸条形成凹条、116…第一裏面側凸条(凸条)、117…第一裏面側凹条(凹条)、118…第一裏面側帯状凹部(凹部)119…第二裏面側帯状凹部、120…第二帯状凸部、121a,121b…第一流動方向調整用凸部(凸部)、150…第一封止片部、200…第二伝熱部、201…第五開口、202…第六開口、203…第七開口、204…第八開口、205a…第五環状凹部(環状凹部)、205b…第五裏面側環状凸部(環状凸部)、206a…第六環状凹部(環状凹部)、206b…第六裏面側環状凸部(環状凸部)、207a…第七環状凸部(環状凸部)、207b…第七裏面側環状凹部(環状凹部)、208a…第八環状凸部(環状凸部)、208b…第八裏面側環状凹部(環状凹部)、209…第二仕切用凸条部(凸条)、210…第三帯状凸部、211a,211b…第二調整凸部形成凹部、213…第二凸条、214…第二凹条、215…第二仕切凸条形成凹条、216…第二裏面側凸条(凸条)、217…第二裏面側凹条(凹条)、218…第三裏面側帯状凹部(凹部)、219…第四裏面側帯状凹部(凹部)、220…第四帯状凸部、221a,221b…第二流動方向調整用凸部(凸部)、250…第二封止片部、A…一次流体、B…二次流体、D…下流側一次流体流通路、、U…上流側一次流体流通路、D1…第一下流側領域、D2…第二下流側領域、U1…第一上流側領域、U2…第二上流側領域、X…上流側二次流体流通路、Y…下流側二次流体流通路、Z…接続流通路、P…筒状部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の伝熱プレートが積層され、伝熱プレート間に一次流体を流通させる一次流体流通空間と、二次流体を流通させる二次流体流通空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、前記一次流体を一次流体流通空間に流入させる一次流体流入路、及び一次流体流通空間から流出させる一次流体流出路が伝熱プレートの一端に沿って並設され、前記二次流体を二次流体流通空間に流入させる二次流体流入路、及び二次流体流通空間から流出させる二次流体流出路が伝熱プレートの他端に沿って並設され、伝熱プレートを介して一次流体と二次流体との間で熱交換させるプレート式熱交換器において、一次流体流通空間を形成する伝熱プレート間には、一次流体流通空間を、一次流体流入路に連通する上流側一次流体流通路と、一次流体流出路に連通する下流側一次流体流通路とに画するように、一次流体流入路と一次流体流出路との間を通って伝熱プレートの一端から他端側に延びる仕切部が形成され、仕切部は、上流側一次流体流通路と下流側一次流体流通路とを伝熱プレートの他端側で連通させるように形成されていることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
一次流体流通空間を形成する伝熱プレートの伝熱面には、上流側一次流体流通路及び下流側一次流体流通路を横切る複数の凹条及び凸条が形成されていることを特徴とする請求項1記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記二次流体には、熱交換に伴って相変化を起こす二相型のものが採用され、二次流体流通空間は、二次流体流入路から伝熱プレートの一端に向けて延びる上流側二次流体流通路と、二次流体流出路から伝熱プレートの一端に向けて延びる下流側二次流体流通路と、上流側二次流体流通路と下流側二次流体流通路とを接続する接続流通路とで構成され、二次流体流通空間を形成する伝熱プレートの伝熱面には、上流側二次流体流通路から下流側二次流体流通路にかけて延びる複数の凹条及び凸条が、伝熱プレートの一端から他端に向けて並列に形成され、前記接続流通路が前記凹条によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のプレート式熱交換器。
【請求項1】
複数枚の伝熱プレートが積層され、伝熱プレート間に一次流体を流通させる一次流体流通空間と、二次流体を流通させる二次流体流通空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、前記一次流体を一次流体流通空間に流入させる一次流体流入路、及び一次流体流通空間から流出させる一次流体流出路が伝熱プレートの一端に沿って並設され、前記二次流体を二次流体流通空間に流入させる二次流体流入路、及び二次流体流通空間から流出させる二次流体流出路が伝熱プレートの他端に沿って並設され、伝熱プレートを介して一次流体と二次流体との間で熱交換させるプレート式熱交換器において、一次流体流通空間を形成する伝熱プレート間には、一次流体流通空間を、一次流体流入路に連通する上流側一次流体流通路と、一次流体流出路に連通する下流側一次流体流通路とに画するように、一次流体流入路と一次流体流出路との間を通って伝熱プレートの一端から他端側に延びる仕切部が形成され、仕切部は、上流側一次流体流通路と下流側一次流体流通路とを伝熱プレートの他端側で連通させるように形成されていることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
一次流体流通空間を形成する伝熱プレートの伝熱面には、上流側一次流体流通路及び下流側一次流体流通路を横切る複数の凹条及び凸条が形成されていることを特徴とする請求項1記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記二次流体には、熱交換に伴って相変化を起こす二相型のものが採用され、二次流体流通空間は、二次流体流入路から伝熱プレートの一端に向けて延びる上流側二次流体流通路と、二次流体流出路から伝熱プレートの一端に向けて延びる下流側二次流体流通路と、上流側二次流体流通路と下流側二次流体流通路とを接続する接続流通路とで構成され、二次流体流通空間を形成する伝熱プレートの伝熱面には、上流側二次流体流通路から下流側二次流体流通路にかけて延びる複数の凹条及び凸条が、伝熱プレートの一端から他端に向けて並列に形成され、前記接続流通路が前記凹条によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のプレート式熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−64281(P2006−64281A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246915(P2004−246915)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
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