プレート式熱交換器
【課題】 冷媒との熱交換によって被冷却体が凍結してしまうのを防止し、伝熱プレートの割れの発生を防止することのできるプレート式熱交換器を提供する。
【解決手段】 伝熱プレート間に冷媒を流通させる第一空間と被冷却体を流通させる第二空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、第一空間に対して冷媒を流出入させる第一流入路と第一流出路とが形成されるとともに第二空間に対して被冷却体を流出入させる第二流入路と第二流出路とが形成されてなるプレート式熱交換器であって、伝熱プレートの一端側には、少なくとも一系統の第一流入路が形成されるとともに、第一流入路を介在させて少なくとも二系統の第二流出路が形成され、伝熱プレートの他端側には、少なくとも一系統の第二流入路が形成されるとともに、第二流入路を介在させて少なくとも二系統の第一流出路が形成されることを特徴とする。
【解決手段】 伝熱プレート間に冷媒を流通させる第一空間と被冷却体を流通させる第二空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、第一空間に対して冷媒を流出入させる第一流入路と第一流出路とが形成されるとともに第二空間に対して被冷却体を流出入させる第二流入路と第二流出路とが形成されてなるプレート式熱交換器であって、伝熱プレートの一端側には、少なくとも一系統の第一流入路が形成されるとともに、第一流入路を介在させて少なくとも二系統の第二流出路が形成され、伝熱プレートの他端側には、少なくとも一系統の第二流入路が形成されるとともに、第二流入路を介在させて少なくとも二系統の第一流出路が形成されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体からなる冷媒及び被冷却体を流通させ、冷媒と被冷却体との熱交換によって被冷却体を冷却する熱交換器に関し、特には、積層された複数枚の伝熱プレート間に冷媒を流通させる第一空間と被冷却体を流通させる第二空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、伝熱プレート同士を溶着することで第一空間と第二空間とが気密又は液密に画されてなるプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から空調機器や冷蔵器、冷凍器等に採用される熱交換器として、種々タイプのものが提供されているが、その一つとして小型で熱交換効率の高いプレート式熱交換器が知られている。
【0003】
かかるプレート式熱交換器は、図8及び図9(イ)(図8のVI−VI断面図)、図9(ロ)(図8のVII−VII断面図)に示す如く、積層された複数枚の伝熱プレート100a…,100b…間にフロンやアンモニア等の流体からなる冷媒Cを流通させる第一空間101…と水や油等の流体からなる被冷却体Wを流通させる第二空間102…とが各伝熱プレート100a…,100b…を境にして交互に形成され、各伝熱プレート100a…,100b…に形成された開口が連なって第一空間101…に対して冷媒Cを流出入させる第一流入路103と第一流出路104とが形成されるとともに第二空間102…に対して被冷却体Wを流出入させる第二流入路105と第二流出路106とが形成されている。空調機器等に採用されるプレート式熱交換器は、伝熱プレート100a…,100b…同士をロウ付け等で溶着することで第一空間101…と第二空間102…とが気密又は液密に画されている。
【0004】
そして、前記第一流入路103及び第一流出路104は、互いに間隔を有して伝熱プレート100a…,100b…の一側端側に形成され、第二流入路105及び第二流出路106は、互いに間隔を有して伝熱プレート100a…,100b…の他側端側に形成されている。
【0005】
これにより、第一空間101…は、図10(イ)に示す如く、第一流入路103から一旦広がった後に第一流出路104に向けて狭まる略台形状の流路を形成しており、第一流入路103から第一空間101…に流入する冷媒Cが、該第一空間101…内で台形流を形成して流通し、第一流出路104から流出するようになっている。他方、第二空間102…は、図10(ロ)に示す如く、第二流入路105から一旦広がった後に第二流出路106に向けて狭まる略台形状の流路を形成しており、第二流入路105から第二空間102…に流入する被冷却体Wが、該第二空間102…内で台形流を形成して流通し、第二流出路106から流出するようになっている。このように冷媒Cが第一空間101…内で広がって流通するとともに、被冷却体Wが第二空間102…内で広がって流通することで、伝熱プレート100a…,100b…を介しての熱交換可能な領域が増すことになり、相対的に流通する冷媒Cと被冷却体Wとの熱交換を効率的に行えるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
そして、上記構成のプレート式熱交換器を採用する空調機器等の装置は、冷媒Cを圧送するためのコンプレッサーの回転を変化させて冷媒Cの流量(流速)を調節することで、対象となる冷却領域(例えば、空調機器においては室内、冷蔵庫や冷凍庫においては庫内)の温度調整を行う一方で、被冷却体Wを圧送するポンプ動力の低減を図るべく、例えば、ポンプのON/OFFを切り換えたり回転数を変化させたりして被冷却体Wの流量調整宜行うようになっている。なお、空調機器等の装置は、コンプレッサーに潤滑剤を連続的に供給する必要があるため、冷媒Cに潤滑剤を含有させ、冷媒Cの流量を調整しても該冷媒Cの流通を停止させることなく常時流通させるようになっている。
【特許文献1】特開2001−99523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記構成のプレート式熱交換器は、伝熱プレート100a…,100b…の他側端側に第二流入路105と第二流出路106とが形成され、第二空間102…において被冷却体Wが一側端側に広がって流通(台形流を形成して流通)するように構成されているため、図11(ロ)に示す如く、伝熱プレート100a…,100b…の一側端側が他側端側よりも流速が遅くなる傾向にある。すなわち、被冷却体Wは、他側端側においては、第二流入路105から第二流出路106に向けて真っすぐながれるため流速が速いが、一側端側においては、被冷却体Wが広がることによって流速が遅くなってしまう。そのため、伝熱プレート100a…,100b…の一側端側で被冷却体Wが滞留する領域が形成されてしまう。
【0008】
その一方で、第一流入路103及び第一流出路104は、伝熱プレート100a…,100b…の一側端側に形成されているため、図11(イ)に示す如く、第二空間102…で被冷却体Wの滞留した領域と対応する第一空間101…における伝熱プレート100a…,100b…の一側端側では冷媒Cが常時流通する。そうすると、第一空間101での冷媒Cの流通によって、第二空間102…内で滞留する被冷却体Wが凍結してしまい、その凍結に伴う被冷却体Wの膨張によって積層状態にある伝熱プレート100a…,100b…を押し広げて該伝熱プレート100a…,100b…に割れが生じてしまうといった問題がある。特に、第一空間101…の第一流入路103近傍の領域Rにある冷媒Cは、被冷却体Wとの熱交換に未だ用いられていないに等しい状態(ガス化していない状態)にあるため、図11(ロ)に示す第一流入路103近傍の領域R’で被冷却体Wが滞留すると、その被冷却体Wが凍結することが顕著になる。特に、被冷却体Wに水が使用される場合には凍結しやすく、被冷却体(水)の凍結乃至膨張による伝熱プレート100a,100bに割れの発生が非常に顕著になってしまう。
【0009】
また、上述の如く、被冷却体Wの流量調整が行われ、第二空間102…における伝熱プレート100a…,100b…の一側端側での流速がさらに遅くなると、被冷却体Wの滞留する領域が広くなる傾向にあるため、凍結する部分が成長し、伝熱プレート100a…,100b…の割れの発生が顕著になってしまうといった問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、冷媒との熱交換によって被冷却体が凍結してしまうのを防止し、伝熱プレートの割れの発生を防止することのできるプレート式熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプレート式熱交換器は、積層された複数枚の伝熱プレート間に流体からなる冷媒を流通させる第一空間と流体からなる被冷却体を流通させる第二空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、各伝熱プレートに形成された開口が連なって第一空間に対して冷媒を流出入させる第一流入路と第一流出路とが形成されるとともに第二空間に対して被冷却体を流出入させる第二流入路と第二流出路とが形成され、伝熱プレート同士を溶着することで第一空間と第二空間とが気密又は液密に画されているプレート式熱交換器であって、伝熱プレートの一端側には、少なくとも一系統の第一流入路が形成されるとともに、該第一流入路を介在させて少なくとも二系統の第二流出路が形成される一方、伝熱プレートの他端側には、少なくとも一系統の第二流入路が形成されるとともに、該第二流入路を介在させて少なくとも二系統の第一流出路が形成されることを特徴とする。
【0012】
上記プレート式熱交換器によれば、伝熱プレートの一端側には、少なくとも一系統の第一流入路が形成されるとともに、該第一流入路を介在させて少なくとも二系統の第二流出路が形成される一方、伝熱プレートの他端側には、少なくとも一系統の第二流入路が形成されるとともに、該第二流入路を介在させて少なくとも二系統の第一流出路が形成されるので、第一流入路から流入した冷媒は、第一空間において第二流入路を介在させて形成された少なくとも二系統の第一流出路(第二流入路を挟んで該第二流入路の両側に位置する二系統以上の第一流出路)に向けて広がるように流れることになる。
【0013】
その一方で、第二流入路から流入した被冷却体は、第二空間において第一流入路を介在させて形成された少なくとも二系統の第二流出路(第一流入路を挟んで該第一流入路の両側に位置する二系統以上の第二流出路)に向けて広がるように流れることになる。したがって、第一空間内で広がって流通する冷媒と第二空間内で広がって流通する被冷却体とが伝熱プレートを介して対向するため、冷媒と被冷却体との熱交換を効率よく行うことができる。
【0014】
そして、第二流入路から流入した被冷却体は、上述の如く、伝熱プレートの一端側にある少なくとも二系統(二系統以上)の第二流出路に向けて広がるように流れたまま各第二流出路に流入して外部に流出することになる。したがって、第二空間内での被冷却体の流れ(被冷却体の流路)が拡大して縮小(拡縮)するような形態とならず、被冷却体が滞留する領域が形成されることがない。従って、伝熱プレートを挟んで対向する冷媒が常時円滑に流通しても、被冷却体が凍結することがなく、伝熱プレートの割れの発生を防止することができる。
【0015】
本発明の一態様として、前記第一流入路が伝熱プレートの一端部の略中央に一系統形成されるとともに、前記第二流入路が伝熱プレートの他端部の略中央に一系統形成され、第一流出路及び第二流出路のそれぞれは、伝熱プレートの一端から他端に向けて延びる中心線を基準にした対称位置に二系統形成されることが好ましい。このようにすれば、伝熱プレートの一端側で被冷却体が均等に二手に分かれた状態で第二流出路に流れ込み、伝熱プレートの一端側で冷媒が均等に二手に分かれた状態で第一流出路に流れ込むことになり、冷媒及び被冷却体の流れが不均一になる部分(流速が遅くなる部分)が形成されるのを最大限に抑えることができる。従って、被冷却体の凍結するのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係るプレート式熱交換器によれば、冷媒との熱交換によって被冷却体が凍結してしまうのを防止し、伝熱プレートの割れの発生を防止することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施形態に係るプレート式熱交換器は、空調機器や、冷凍器、冷蔵器等の各種機器に採用されるものである。該プレート式熱交換器は、図1乃至図5に示す如く、一対のフレームプレート2a,2bと、該一対のフレームプレート2a,2b間で積層された複数枚の伝熱プレート3a…,3b…とを備えている。なお、図2は、図1のI−I断面とIII−III断面とを示し、図3は、図1のII−II断面を示している。また、図4は、図1のIV−IV断面を示し、図5は、図1のV−V断面を示している。
【0019】
該プレート式熱交換器1は、積層状態にある複数枚の伝熱プレート3a…,3b…間に冷媒C(例えば、フロンやアンモニア等)を流通させる第一空間10…と被冷却体W(例えば、水や油等)を流通させる第二空間20…とが各伝熱プレート3a…,3b…を境にして交互に形成されている。また、該プレート式熱交換器1は、第一空間10…及び第二空間20…の他に、第一空間10…に対して冷媒Cを流出入させる第一流入路11と第一流出路12,12とが形成されるとともに、第二空間20…に対して被冷却体Wを流出入させる第二流入路21,21と第二流出路22,22とが形成されている。
【0020】
一対のフレームプレート2a,2bは、該プレート式熱交換器1の外装となるもので、それぞれ平面視略長方形の板状に形成された本体部25と、該本体部25の外周縁部から該本体部25と面交差する一方向側に延出した折曲片部26とで構成されている。一方のフレームプレート2aの本体部25には、第一流入路11、第一流出路12,12、第二流入路21,21、及び第二流出路22,22の形成位置に対応して複数(本実施形態においては6つ)の貫通穴27a〜27fが穿設され、各貫通穴27a〜27fには、配管が接続される筒状の接続部28a〜28fが嵌着されている。各接続部28a〜28fは、本体部25の外面となる一方の面から突出するように設けられており、外周面が本体部25に対して封着(気密、或いは液密に接続)されている。また、各接続部28a〜28fは、一方のフレームプレート2aと対向して隣接する伝熱プレート3a…,3b…にも封着されており、第一流入路11、及び第一流出路12,12に対応する接続部(3つの接続部)28a〜28cは、第一流入路11、及び第一流出路12,12に対する冷媒Cの流出入を可能とし、第二流入路21,21、及び第二流出路22,22に対応する接続部(3つの接続部)28d〜28fは、第二流入路21,21、及び第二流出路22,22に対する被冷却体Wの流出入を可能としている。
【0021】
複数枚の伝熱プレート3a…,3b…のそれぞれは、平面視略長方形状をなす伝熱部35と、該伝熱部35の外周縁部から該伝熱部35と面交差する一方向側に延出した折曲片部36とで構成されている。伝熱プレート3a…,3b…は、何れも板材をプレス加工することで形成されたもので、伝熱部35の両面に複数の凹条37…及び凸条38…が交互に形成されており、波板形状になっている。すなわち、伝熱プレート3a…,3b…は、板材をプレス加工されたものであるので、伝熱部35の一方の面で凹条37…をなす部位は、他方の面で凸条38…をなし、一方の面で凸条38…をなす部位は他方の面で凹条37…をなしており、伝熱部35に形成される凹条37…及び凸条38…が表裏における対応する部位で相反する態様で形成されている。なお、図2乃至図5において、積層した伝熱プレート3a,3b(伝熱部35)に凹条37…及び凸条38…を表現するのを省略し、第一空間10…、第二空間20…、第一流出路12、第二流入路21、及び第二流出路22が形成される状態のみを概念的に示しており、図2及び図3において拡大図によって凹条37…と凸条38…との関係を部分的に表している。
【0022】
本実施形態においては、凹条37…及び凸条38…の態様(例えば、傾斜方向)を異にする二種類の伝熱プレート3a…,3b…が採用されている。すなわち、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、積層した状態で対向する凸条38…同士(凹条37…同士)が交差し(積層方向から見て格子状の配置となり)、その凸条38…同士の交点で互いに点接触するよう、凹条37…及び凸条38…の形成された二種類の伝熱プレート3a…,3b…が採用されている。これにより、二種類の伝熱プレート3a…,3b…を交互に重ねる(積層する)ことで、伝熱プレート3a…,3b…間において、伝熱プレート3a…,3b…の対向する凹条37…によって第一空間10…と第二空間20…とが形成されるようになっている。なお、伝熱プレート3a…,3b…を積層した状態で、一方のフレームプレート2a側の伝熱プレート3a…,3b…の折曲片部36が、他方のフレームプレート2b側の伝熱プレート3a…,3b…の折曲片部36に外嵌した状態になり、隣接する伝熱プレート3a…,3b…の凸条38…同士が点接触するように寸法設定されている。
【0023】
各伝熱プレート3a…,3b…は、長手方向の一端部の略中央部に第一流入路11を形成するための第一流入路用開口11’が穿設され、同じく一端部に第一流入路用開口11’を介在させて(第一流入路用開口11’を挟んで該第一流入路用開口11’の両側に)第二流出路22,22を形成するための第二流出路用開口22’,22’が二つ形成されている。この二つの第二流出路用開口22’,22は、伝熱プレート3a…,3b…の一端部であって長手方向に(一端から他端に向けて)延びる中心線(図示しない)を基準にした対称位置に設けられている。
【0024】
また、各伝熱プレート3a…,3b…は、長手方向の他端部の略中央部に第二流入路21を形成するための第二流入路用開口21’が穿設され、同じく他端部に第二流入路用開口21’を介在させて(第二流入路用開口21’を挟んで該第二流入路用開口21’の両側に)第一流出路12,12を形成するための第一流出路用開口12’,12’が二つ形成されている。この二つの第一流出路用開口12’,12’は、長手方向に(一端から他端に向けて)延びる中心線を基準にした対称位置に設けられている。
【0025】
そして、本実施形態においては、第一流入路用開口11’と第二流入路用開口21’とが伝熱プレート3a…,3b…の短手方向に(一側端から他側端に向けて)延びる中心線(図示しない)を基準にして対称となる位置に設けられ、第一流出路用開口12’,12’と第二流出路用開口22’,22’とが前記中心線を基準にして対称となる位置に設けられている。
【0026】
前記第一流入路用開口11’、第一流出路用開口12’,12’、及び第二流出路用開口22’,22’は、それぞれ略同径の円形状に形成されている。そして、第二流入路用開口21’は、第一流入路用開口11’よりも大径、すなわち、他の開口12’,21’,22’よりも大径の円形状に形成されている。
【0027】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、上記構成の伝熱プレート3a…,3b…同士を溶着(ロウ付け)することで第一空間10…と第二空間20…とが気密又は液密に画されている。具体的には、積層された伝熱プレート3a…,3b…の外周(本実施形態においては嵌合状態にある折曲片部36同士)をロウ付けすることで、伝熱プレート3a…,3b…の外周縁部間が全周に亘って封止されている。
【0028】
さらに、複数枚の伝熱プレート3a…,3b…は、隣接して対向する伝熱プレート3a…,3b…の第一流入路用開口11’縁部間、第一流出路用開口12’,12’縁部間、第二流入路用開口21’縁部間、及び第二流入路用開口21’縁部間がロウ付けによって封止されている。すなわち、伝熱プレート3a…,3b…(二種類の伝熱プレート3a…,3b…のうちの一方)は、第二空間20…を形成する面の第一流出路用開口12’,12’縁部及び第一流入路用開口11’縁部が、隣接する伝熱プレート3a…,3b…(二種類の伝熱プレート3a…,3b…のうちの他方)の第二空間20…を形成する面の第一流出路用開口12’,12’縁部及び第一流入路用開口11’縁部と密接するような形状に形成されている。したがって、上述のように密接する部位(開口縁部)同士をロウ付けすることにより、各伝熱プレート3a…,3b…の第一流入路用開口11’が連なって(断続的に連なって)、冷媒Cを流入させるための第一流入路11が各第一空間10…にのみ連通して形成されるとともに、第一流出路用開口12’,12’が連なって(断続的に連なって)、冷媒Cを流出させるための第一流出路12,12が第一空間10…にのみ連通して形成されている。
【0029】
また、伝熱プレート3a…,3b…(二種類の伝熱プレート3a…,3b…のうちの他方)は、第一空間10…を形成する面の第二流入路用開口21’縁部及び第二流出路用開口22’,22’縁部が、隣接する他の伝熱プレート3a…,3b…(二種類の伝熱プレート3a…,3b…のうちの一方)の第一空間10…を形成する面の第二流入路用開口21’縁部及び第二流出路用開口22’,22’縁部と密接するような形状に形成されている。したがって、上述のように密接する部位(開口縁部)同士をロウ付けすることにより、各伝熱プレート3a…,3b…の第二流入路用開口21’が連なって(断続的に連なって)、被冷却体Wを流入させるための第二流入路21が各第二空間20…にのみ連通して形成されるとともに、第二流出路用開口22’,22’が連なって(断続的に連なって)、被冷却体Wを流出させるための第二流出路22,22が第二空間20…にのみ連通して形成されている。
【0030】
このように第一流入路11、第二流入路21、第一流出路12,12、及び第二流出路22,22は、第一流入路用開口11’、第二流入路用開口21’、第一流出路用開口12’,12’、及び第二流出路用開口22’,22’のそれぞれが連なって形成されるため、これらの配置に対応して形成されている。
【0031】
具体的には、第一流入路11は、第一流入路用開口11’の配置に対応して、伝熱プレート3a…,3b…の長手方向の一端部の略中央部に、伝熱プレート3a、3bの積層方向に延びるように一系統形成され、第二流出路22は、第二流出路用開口22’,22’の配置に対応して、伝熱プレート3a、3bの長手方向の一端部であって、該長手方向に(一端から他端に向けて)延びる中心線を基準にして対称となる位置(対称位置)に、伝熱プレート3a、3bの積層方向に延びるように二統形成され、第一流入路11(第一流入路用開口11’)を介在させている。
【0032】
そして、第二流入路21は、第二流入路用開口21’の配置に対応して、伝熱プレート3a…,3b…の長手方向の他端部の略中央部に、伝熱プレート3a、3bの積層方向に延びるように一系統形成され、第一流出路12は、第一流出路用開口12’,12’の配置に対応して、伝熱プレート3a,3bの長手方向の他端部であって、該長手方向に(一端から他端に向けて)延びる中心線を基準にして対称となる位置(対称位置)に、伝熱プレート3a、3bの積層方向に延びるように二系統形成され、第二流入路21(第二流入路用開口21’)を介在させている。
【0033】
また、本実施形態においては、上述の如く、伝熱プレート3a,3bの長手方向の両端部に設けられた開口11’、12’、21’、22’が伝熱プレート3a,3bの短手方向に延びる中心線を基準にして、対称となる位置(対称位置)に設けられているため、第一流入路11と第二流入路21とが、伝熱プレート3a…,3b…の短手方向の延びる中心線を基準にして対称となる位置に形成され、第一流出路12,12と第二流出路22,22とが、伝熱プレート3a…,3b…の短手方向に延びる中心線を基準にして対称となる位置に形成されている。
【0034】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、上記構成からなり、次に、空調機器等の装置に採用したとき(被冷却体Wに対する熱交換を行うとき)の冷媒C及び被冷却体Wの流れについて説明する。
【0035】
図6(イ)及び図6(ロ)に示す如く、冷媒Cは、配管の接続された接続部28aを介して第一流入路11に流れ込み、該第一流入路11に連通する各第一空間10…に流れ込む一方で、被冷却体Wは、配管の接続された接続部28dを介して第二流入路21に流れ込み、該第二流入路21に連通する各第二空間20…に流れ込むことになる。従って、第一空間10…に流れ込んだ冷媒Cは、伝熱プレート3a…,3b…の一端側(プレート式熱交換器1の下部側)から他端側(上方)に向けて流れるのに対し、第二空間20…に流れ込んだ被冷却体Wは、伝熱プレート3a…,3b…の他端側(プレート式熱交換器1の上部側)から一端側(下方)に向けて流れ、第一流入路11と第二流入路21との間の領域で伝熱部35(伝熱プレート3a…,3b…)を介して互いに熱交換され、被冷却体Wが冷却されることになる。
【0036】
そして、第一流入路11から第一空間10…内に流入した冷媒Cは、図6(イ)に示す如く、第一空間10…において伝熱プレート3a…,3b…の短手方向(伝熱プレート3a,3b(伝熱部35)の両側端に向けて)に均等に広がりつつ伝熱プレート3a…,3b…の他端に向けて流れることになる。また、伝熱プレート3a…,3b…の他端部において、二系統の第一流出路12,12が第一空間10…に対して封止状態にある第二流入路21を介在させて形成されているので、第一空間10…内で伝熱プレート3a…,3b…の短手方向に広がって該伝熱プレート3a…,3b…の他端側に向けて流れる冷媒Cは、伝熱プレート3a…,3b…の短手方向の両側(二手に)分かれて各第一流出路12,12に流れ込むことになる。特に、本実施形態において、二系統の第一流出路12,12が伝熱プレート3a…,3b…の長手方向に延びる中心線を基準にして対称位置に形成されているため、冷媒Cが短手方向(図において左右)に均等に分かれることになり、均一な流れを維持したまま各第一流出路12,12に流れ込むことになる。
【0037】
また、第二流入路21を介在させて二系統の第一流出路12,12を形成することで、第一空間10…内で一端広がった冷媒Cの流通形態が大きく縮小することがない(冷媒Cの流路が拡縮した態様ではない)ため、図7(イ)に示す如く、冷媒Cの流通する領域内で該冷媒Cの流速が大幅に変化する部分がなく、第一流出路12,12に至るまでに第一空間10…内で冷媒Cが滞留することない。従って、第一空間10…と第二空間20…とを隔てる伝熱プレート3a…,3b…(伝熱部35)の略全域で冷媒Cを略同条件で機能させることができ、第二空間20…内の被冷却体Wに対する熱交換を効率的で且つ均一に行うことができる。
【0038】
他方、第二流入路21から第二空間20…内に流入した被冷却体Wは、図6(ロ)に示す如く、第二空間20…において伝熱プレート3a…,3b…の短手方向(伝熱プレート3a,3b(伝熱部35)の両側端に向けて)に均等に広がりつつ伝熱プレート3a…,3b…の他端に向けて流れることになる。また、伝熱プレート3a…,3b…の他端部において、二系統の第二流出路22,22が、第二空間20…に対して封止状態にある第一流入路11を介在させるようにして形成されているので、第二空間20…内で伝熱プレート3a…,3b…の短手方向に広がって該伝熱プレート3a…,3b…の他端側に向けて流れる被冷却体Wは、伝熱プレート3a…,3b…の短手方向の両側(二手に)分かれて各第二流出路22,22に流れ込むことになる。特に、本実施形態において、二系統の第二流出路22,22が伝熱プレート3a…,3b…の長手方向に延びる中心線を基準にして対称位置に形成されているため、被冷却体Wが短手方向(図において左右)に均等に分かれることになり、均一な流れを維持したまま各第二流出路22,22に流れ込むことになる。
【0039】
また、第一流入路11を介在させて二系統の第二流出路22,22を形成することで、第二空間20…内で一端広がった被冷却体Wの流通形態が大きく縮小することがない(被冷却体Wの流路が拡縮した態様ではない)ため、図7(ロ)に示す如く、被冷却体Wの流通する領域内で該被冷却体Wの流速が大幅に遅くなる部分がなく、第二空間20…内で被冷却体Wが滞留することがない。
【0040】
従って、伝熱プレート3a…,3b…を隔てて第一空間10…で冷媒Cが常時流通していても、第二空間20…内の被冷却体Wが凍結することがなく、凍結に伴う伝熱プレート3a…,3b…の割れの発生を防止することができる。また、上述の如く、冷媒C及び被冷却体Wのそれぞれが、伝熱プレート3a…,3b…の短手方向に広がった状態で流れるので、第一空間10…と第二空間20…とを隔てる伝熱プレート3a…,3b…(伝熱部35)の略全域で冷媒Cとの熱交換が効率的且つ均一になされることになる。
【0041】
以上のように本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、伝熱プレート3a…,3b…の一端側に一系統の第一流入路11が形成されるとともに、該第一流入路11を介在させて二系統の第二流出路22,22が形成される一方、伝熱プレート3a…,3b…の他端側に一系統の第二流入路21が形成されるとともに、該第二流入路21を介在させて二系統の第一流出路12,12が形成されているので、第二空間20…内での被冷却体Wの流れ(被冷却体Wの流路)が拡大して縮小(拡縮)するような形態とならず、被冷却体Wが滞留する領域が形成されることがない。従って、伝熱プレート3a…,3b…を挟んで対向する冷媒Cが常時流通しても、被冷却体Wが凍結することがなく、伝熱プレート3a…,3b…の割れの発生を防止することができる。すなわち、被冷却体Wが第二空間20…内で広がったまま第二流出路22,22から流出するので、熱交換に未だ活用されていない(液状にある)冷媒Cが存在する領域(第一流路11近傍)に対応する領域で被冷却体Wが滞留することがなく、第二空間20…内での被冷却体Wの凍結を防止することができ、伝熱プレート3a,3bの割れの発生を防止することができる。
【0042】
また、第一流入路11が伝熱プレート3a…,3b…の一端部の略中央に形成されるとともに、第二流入路21が伝熱プレート3a…,3b…の他端部の略中央に形成され、第一流出路12,12及び第二流出路22,22は、伝熱プレート3a…,3b…の長手方向に延びる中心線を基準にした対称位置に二系統ずつ形成されているので、伝熱プレート3a…,3b…の他端側で冷媒Cが均等に二手に分かれた状態で各第一流出路12,12に流れ込む一方で、伝熱プレート3a…,3b…の一端側で被冷却体Wが均等に二手に分かれた状態で各第二流出路22,22に流れ込むことになり、冷媒C及び被冷却体Wの流れが不均一になる部分(流速が遅くなる部分)が形成されるのを最大限に抑えることができる。従って、被冷却体Wの凍結する領域が形成されるのをより確実に防止することができる。
【0043】
尚、本発明のプレート式熱交換器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0044】
すなわち、上記実施形態において、第一流入路11及び第二流入路21をそれぞれ一系統設けるとともに、第一流出路12,12及び第二流出路22,22をそれぞれ二系統設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一流入路11及び第二流入路21の少なくとも何れか一方を二系統以上設けるとともに、第一流出路12,12及び第二流出路22,22の少なくとも何れか一方を三系統以上、好ましくは、偶数系統設けるようにしてもよい。
【0045】
この場合においても、第一流出路12,12間に第二流入路21を介在させるとともに、第二流出路22,22間に第一流入路11を介在させることで、第一流入路11から流入する冷媒Cは第一空間10…内で広がった状態で各第一流出路12,12に導かれることになり、第二流入路21から流入する被冷却体Wは、第二空間20…内で広がった状態で各第二流出路22,22に導かれることになる。従って、第一空間10…と第二空間20…とを隔てる伝熱部35の略全域で効率的な熱交換を行うことができる上に、被冷却体Wの滞留する領域が形成されるのを防止することができ、被冷却体Wの凍結乃至膨張に伴う伝熱プレート3a…,3b…の割れの発生を防止することができる。
【0046】
そして、この場合においては、複数系統の第一流入路11、及び第二流入路21のそれぞれを、伝熱プレート3a…,3b…の中心線を基準にして対称となる位置に形成するとともに、第一流出路12,12及び第二流出路22,22についても、それぞれを伝熱プレート3a…,3b…の中心線を基準にして対称位置に形成すれば、冷媒C及び被冷却体Wの流れを均一化することができ、熱交換の効率化と被冷却体Wの凍結防止を確実に行うことができる。
【0047】
上記実施形態において、伝熱プレート3a,3bの長手方向の一端部に、第一流入路11と第二流出路22を設けるとともに、長手方向の他端部に第二流入路21と第一流出路12とを設け、冷媒C及び被冷却体Wを伝熱プレート3a,3bの長手方向に流通させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、伝熱プレート3a、3b(伝熱部35)が長方形状に形成される場合でも短手方向に冷媒C及び被冷却体Wを流通させるようにしてもよいし、伝熱プレート3a,3bが正方形状に形成される場合には、長短が関係ないので、何れかの一端からこれの反対側に位置する他端に向けて冷媒C及び被冷却体Wを流通させるようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態において、複数枚の伝熱プレート3a…,3b…を挟む一対のフレームプレート2a,2bの本体部25を平板状に形成したが、例えば、本体部25についても伝熱プレート3a…,3b…の伝熱部35と同様に複数の凸条38…と凹条37…とを形成し、フレームプレートも伝熱プレート3a…,3b…として機能するように構成しても勿論よい。このようにしても、第一流入路11、第二流入路21、第一流出路12,12及び第二流出路22,22の配置を上述のようにすれば、同様の作用、及び効果を奏することができる。また、上記実施形態において、一方のフレームプレート2aの本体部25に貫通穴27a〜27fを設け、該一方のフレームプレート2a側のみで冷媒Cと被冷却体Wの流出入をさせるようにしたが、例えば、他方のフレームプレート2bの本体部にも貫通穴を設け、一対のフレームプレート2a,2bの両側から冷媒Cと被冷却体Wの流出入を可能にしてもよい。この場合、貫通穴を第一流入路11,第二流入路21,第一流出路12,12、第二流出路22,22の配置に対応させて形成し、一方のフレームプレート2aと同様に接続部を設けることは言うまでもない。
【0049】
さらに、上記実施形態において、伝熱プレート3a…,3b…をロウ付けすることで第一空間10…及び第二空間20…を封止するようにしたが、例えば、伝熱プレート3a…,3b…同士を溶接するようにしても勿論よい。すなわち、本発明は、伝熱プレート3a…,3b…同士が溶着されて各伝熱プレート3a,3bが拘束された状態となるプレート式熱交換器1が対象である。
【0050】
上記実施形態において、第二流入路21の流路径を第一流入路11よりも大径に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、第二流入路21についても第一流入路11等と同径に形成するようにしても勿論よい。すなわち、各流路径は、被冷却体Wの流量、流速等を考慮して設定すればよい。
【0051】
上記実施形態において、二種類の伝熱プレート3a…,3b…を採用し、これらを交互に積層することで第一空間10…と第二空間20…とが形成されるように構成したが、例えば、伝熱部35の凹条37…及び凸条38…を伝熱プレート3a…,3b…の中心線に対して所定角度を有して傾斜するように形成すれば一種類の伝熱プレート3a…,3b…でプレート式熱交換器1を構築することができる。この場合、凹条37…及び凸条38…を直線状に形成してもよいし、例えば、伝熱部35に対して前記中心線を境にして一方の領域に中心線に対して所定角度を有して傾斜する複数条の凹条37…及び凸条38…を形成し、他方の領域に前記中心線を基準にして一方の領域の凹条37…と凸条38…と鏡像関係にある凹条37…と凸条38…を形成するようにしてもよい。
【0052】
つまり、伝熱プレート3a…,3b…の中心線を基準にして凹条37…及び凸条38…を傾斜するように形成すれば、当該伝熱プレート3a…,3b…を積層するときに一つおきに180°反転させることで、隣接する伝熱プレート3a…,3b…の凸条38…同士が点接触し、第一空間10…及び第二空間20…を形成することができる。但し、このように一種類の伝熱プレート3a…,3b…を採用する場合、第一流入路用開口11’、第二流入路用開口21’、第一流出路用開口12’,12’、及び第二流出路用開口22’,22’の配置についても、180°反転させたときにそれぞれが重なる配置となるようにすることや、各開口縁部が上記実施形態のように各機能に応じて隣接する伝熱プレート3a…,3b…の各開口縁部と密接な状態となる形態(液密、或いは気密に封止できる形態)にすることを考慮して伝熱プレート3a…,3b…を形成することは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器の全体斜視図である。
【図2】図2は、図1のI−I(III−III)断面図である。
【図3】図3は、図1のII−II断面図である。
【図4】図4は、図1のIV−IV断面図である。
【図5】図5は、図1のV−V断面図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るプレート式熱交換器内の冷媒及び被冷却体の流れを説明するための説明図であって、(イ)は、第一空間内での冷媒の流れを示し、(ロ)は、第二空間内での被冷却体の流れを示す。
【図7】図7は、本実施形態に係るプレート式熱交換器内の冷媒及び被冷却体の流れを説明するための説明図であって、(イ)は、第一空間内での冷媒の流れをベクトルで示し、(ロ)は、第二空間内での被冷却体の流れをベクトルで示す。
【図8】図8は、従来のプレート式熱交換器の全体斜視図である。
【図9】図9は、従来のプレート式熱交換器の断面図であって、(イ)は、図8のVI−VI断面図であり、(ロ)は、図8のVII−VII断面図である。
【図10】図10は、従来のプレート式熱交換器内の冷媒及び被冷却体の流れを説明するための説明図であり、(イ)は、第一空間内での冷媒の流れを示し、(ロ)は、第二空間内での被冷却体の流れを示す。
【図11】図11は、従来のプレート式熱交換器内の冷媒及び被冷却体の流れを説明するための説明図であり、(イ)は、第一空間内での冷媒の流れをベクトルで示し、(ロ)は、第二空間内での被冷却体の流れをベクトルで示す。
【符号の説明】
【0054】
1…プレート式熱交換器、2a,2b…フレームプレート、3a,3b…伝熱プレート、10…第一空間、11…第一流入路、11’…第一流入路用開口、12…第一流出路、12’…第一流出路用開口、20…第二空間、21…第二流入路、21’…第二流入路用開口、22…第二流出路、22’…第二流出路用開口、25…本体部、26…折曲片部、35…伝熱部、36…折曲片部、37…凹条、38…凸条、C…冷媒、W…被冷却体、27a〜27f…貫通穴、28a〜28f…接続部
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体からなる冷媒及び被冷却体を流通させ、冷媒と被冷却体との熱交換によって被冷却体を冷却する熱交換器に関し、特には、積層された複数枚の伝熱プレート間に冷媒を流通させる第一空間と被冷却体を流通させる第二空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、伝熱プレート同士を溶着することで第一空間と第二空間とが気密又は液密に画されてなるプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から空調機器や冷蔵器、冷凍器等に採用される熱交換器として、種々タイプのものが提供されているが、その一つとして小型で熱交換効率の高いプレート式熱交換器が知られている。
【0003】
かかるプレート式熱交換器は、図8及び図9(イ)(図8のVI−VI断面図)、図9(ロ)(図8のVII−VII断面図)に示す如く、積層された複数枚の伝熱プレート100a…,100b…間にフロンやアンモニア等の流体からなる冷媒Cを流通させる第一空間101…と水や油等の流体からなる被冷却体Wを流通させる第二空間102…とが各伝熱プレート100a…,100b…を境にして交互に形成され、各伝熱プレート100a…,100b…に形成された開口が連なって第一空間101…に対して冷媒Cを流出入させる第一流入路103と第一流出路104とが形成されるとともに第二空間102…に対して被冷却体Wを流出入させる第二流入路105と第二流出路106とが形成されている。空調機器等に採用されるプレート式熱交換器は、伝熱プレート100a…,100b…同士をロウ付け等で溶着することで第一空間101…と第二空間102…とが気密又は液密に画されている。
【0004】
そして、前記第一流入路103及び第一流出路104は、互いに間隔を有して伝熱プレート100a…,100b…の一側端側に形成され、第二流入路105及び第二流出路106は、互いに間隔を有して伝熱プレート100a…,100b…の他側端側に形成されている。
【0005】
これにより、第一空間101…は、図10(イ)に示す如く、第一流入路103から一旦広がった後に第一流出路104に向けて狭まる略台形状の流路を形成しており、第一流入路103から第一空間101…に流入する冷媒Cが、該第一空間101…内で台形流を形成して流通し、第一流出路104から流出するようになっている。他方、第二空間102…は、図10(ロ)に示す如く、第二流入路105から一旦広がった後に第二流出路106に向けて狭まる略台形状の流路を形成しており、第二流入路105から第二空間102…に流入する被冷却体Wが、該第二空間102…内で台形流を形成して流通し、第二流出路106から流出するようになっている。このように冷媒Cが第一空間101…内で広がって流通するとともに、被冷却体Wが第二空間102…内で広がって流通することで、伝熱プレート100a…,100b…を介しての熱交換可能な領域が増すことになり、相対的に流通する冷媒Cと被冷却体Wとの熱交換を効率的に行えるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
そして、上記構成のプレート式熱交換器を採用する空調機器等の装置は、冷媒Cを圧送するためのコンプレッサーの回転を変化させて冷媒Cの流量(流速)を調節することで、対象となる冷却領域(例えば、空調機器においては室内、冷蔵庫や冷凍庫においては庫内)の温度調整を行う一方で、被冷却体Wを圧送するポンプ動力の低減を図るべく、例えば、ポンプのON/OFFを切り換えたり回転数を変化させたりして被冷却体Wの流量調整宜行うようになっている。なお、空調機器等の装置は、コンプレッサーに潤滑剤を連続的に供給する必要があるため、冷媒Cに潤滑剤を含有させ、冷媒Cの流量を調整しても該冷媒Cの流通を停止させることなく常時流通させるようになっている。
【特許文献1】特開2001−99523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記構成のプレート式熱交換器は、伝熱プレート100a…,100b…の他側端側に第二流入路105と第二流出路106とが形成され、第二空間102…において被冷却体Wが一側端側に広がって流通(台形流を形成して流通)するように構成されているため、図11(ロ)に示す如く、伝熱プレート100a…,100b…の一側端側が他側端側よりも流速が遅くなる傾向にある。すなわち、被冷却体Wは、他側端側においては、第二流入路105から第二流出路106に向けて真っすぐながれるため流速が速いが、一側端側においては、被冷却体Wが広がることによって流速が遅くなってしまう。そのため、伝熱プレート100a…,100b…の一側端側で被冷却体Wが滞留する領域が形成されてしまう。
【0008】
その一方で、第一流入路103及び第一流出路104は、伝熱プレート100a…,100b…の一側端側に形成されているため、図11(イ)に示す如く、第二空間102…で被冷却体Wの滞留した領域と対応する第一空間101…における伝熱プレート100a…,100b…の一側端側では冷媒Cが常時流通する。そうすると、第一空間101での冷媒Cの流通によって、第二空間102…内で滞留する被冷却体Wが凍結してしまい、その凍結に伴う被冷却体Wの膨張によって積層状態にある伝熱プレート100a…,100b…を押し広げて該伝熱プレート100a…,100b…に割れが生じてしまうといった問題がある。特に、第一空間101…の第一流入路103近傍の領域Rにある冷媒Cは、被冷却体Wとの熱交換に未だ用いられていないに等しい状態(ガス化していない状態)にあるため、図11(ロ)に示す第一流入路103近傍の領域R’で被冷却体Wが滞留すると、その被冷却体Wが凍結することが顕著になる。特に、被冷却体Wに水が使用される場合には凍結しやすく、被冷却体(水)の凍結乃至膨張による伝熱プレート100a,100bに割れの発生が非常に顕著になってしまう。
【0009】
また、上述の如く、被冷却体Wの流量調整が行われ、第二空間102…における伝熱プレート100a…,100b…の一側端側での流速がさらに遅くなると、被冷却体Wの滞留する領域が広くなる傾向にあるため、凍結する部分が成長し、伝熱プレート100a…,100b…の割れの発生が顕著になってしまうといった問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、冷媒との熱交換によって被冷却体が凍結してしまうのを防止し、伝熱プレートの割れの発生を防止することのできるプレート式熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプレート式熱交換器は、積層された複数枚の伝熱プレート間に流体からなる冷媒を流通させる第一空間と流体からなる被冷却体を流通させる第二空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、各伝熱プレートに形成された開口が連なって第一空間に対して冷媒を流出入させる第一流入路と第一流出路とが形成されるとともに第二空間に対して被冷却体を流出入させる第二流入路と第二流出路とが形成され、伝熱プレート同士を溶着することで第一空間と第二空間とが気密又は液密に画されているプレート式熱交換器であって、伝熱プレートの一端側には、少なくとも一系統の第一流入路が形成されるとともに、該第一流入路を介在させて少なくとも二系統の第二流出路が形成される一方、伝熱プレートの他端側には、少なくとも一系統の第二流入路が形成されるとともに、該第二流入路を介在させて少なくとも二系統の第一流出路が形成されることを特徴とする。
【0012】
上記プレート式熱交換器によれば、伝熱プレートの一端側には、少なくとも一系統の第一流入路が形成されるとともに、該第一流入路を介在させて少なくとも二系統の第二流出路が形成される一方、伝熱プレートの他端側には、少なくとも一系統の第二流入路が形成されるとともに、該第二流入路を介在させて少なくとも二系統の第一流出路が形成されるので、第一流入路から流入した冷媒は、第一空間において第二流入路を介在させて形成された少なくとも二系統の第一流出路(第二流入路を挟んで該第二流入路の両側に位置する二系統以上の第一流出路)に向けて広がるように流れることになる。
【0013】
その一方で、第二流入路から流入した被冷却体は、第二空間において第一流入路を介在させて形成された少なくとも二系統の第二流出路(第一流入路を挟んで該第一流入路の両側に位置する二系統以上の第二流出路)に向けて広がるように流れることになる。したがって、第一空間内で広がって流通する冷媒と第二空間内で広がって流通する被冷却体とが伝熱プレートを介して対向するため、冷媒と被冷却体との熱交換を効率よく行うことができる。
【0014】
そして、第二流入路から流入した被冷却体は、上述の如く、伝熱プレートの一端側にある少なくとも二系統(二系統以上)の第二流出路に向けて広がるように流れたまま各第二流出路に流入して外部に流出することになる。したがって、第二空間内での被冷却体の流れ(被冷却体の流路)が拡大して縮小(拡縮)するような形態とならず、被冷却体が滞留する領域が形成されることがない。従って、伝熱プレートを挟んで対向する冷媒が常時円滑に流通しても、被冷却体が凍結することがなく、伝熱プレートの割れの発生を防止することができる。
【0015】
本発明の一態様として、前記第一流入路が伝熱プレートの一端部の略中央に一系統形成されるとともに、前記第二流入路が伝熱プレートの他端部の略中央に一系統形成され、第一流出路及び第二流出路のそれぞれは、伝熱プレートの一端から他端に向けて延びる中心線を基準にした対称位置に二系統形成されることが好ましい。このようにすれば、伝熱プレートの一端側で被冷却体が均等に二手に分かれた状態で第二流出路に流れ込み、伝熱プレートの一端側で冷媒が均等に二手に分かれた状態で第一流出路に流れ込むことになり、冷媒及び被冷却体の流れが不均一になる部分(流速が遅くなる部分)が形成されるのを最大限に抑えることができる。従って、被冷却体の凍結するのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係るプレート式熱交換器によれば、冷媒との熱交換によって被冷却体が凍結してしまうのを防止し、伝熱プレートの割れの発生を防止することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施形態に係るプレート式熱交換器は、空調機器や、冷凍器、冷蔵器等の各種機器に採用されるものである。該プレート式熱交換器は、図1乃至図5に示す如く、一対のフレームプレート2a,2bと、該一対のフレームプレート2a,2b間で積層された複数枚の伝熱プレート3a…,3b…とを備えている。なお、図2は、図1のI−I断面とIII−III断面とを示し、図3は、図1のII−II断面を示している。また、図4は、図1のIV−IV断面を示し、図5は、図1のV−V断面を示している。
【0019】
該プレート式熱交換器1は、積層状態にある複数枚の伝熱プレート3a…,3b…間に冷媒C(例えば、フロンやアンモニア等)を流通させる第一空間10…と被冷却体W(例えば、水や油等)を流通させる第二空間20…とが各伝熱プレート3a…,3b…を境にして交互に形成されている。また、該プレート式熱交換器1は、第一空間10…及び第二空間20…の他に、第一空間10…に対して冷媒Cを流出入させる第一流入路11と第一流出路12,12とが形成されるとともに、第二空間20…に対して被冷却体Wを流出入させる第二流入路21,21と第二流出路22,22とが形成されている。
【0020】
一対のフレームプレート2a,2bは、該プレート式熱交換器1の外装となるもので、それぞれ平面視略長方形の板状に形成された本体部25と、該本体部25の外周縁部から該本体部25と面交差する一方向側に延出した折曲片部26とで構成されている。一方のフレームプレート2aの本体部25には、第一流入路11、第一流出路12,12、第二流入路21,21、及び第二流出路22,22の形成位置に対応して複数(本実施形態においては6つ)の貫通穴27a〜27fが穿設され、各貫通穴27a〜27fには、配管が接続される筒状の接続部28a〜28fが嵌着されている。各接続部28a〜28fは、本体部25の外面となる一方の面から突出するように設けられており、外周面が本体部25に対して封着(気密、或いは液密に接続)されている。また、各接続部28a〜28fは、一方のフレームプレート2aと対向して隣接する伝熱プレート3a…,3b…にも封着されており、第一流入路11、及び第一流出路12,12に対応する接続部(3つの接続部)28a〜28cは、第一流入路11、及び第一流出路12,12に対する冷媒Cの流出入を可能とし、第二流入路21,21、及び第二流出路22,22に対応する接続部(3つの接続部)28d〜28fは、第二流入路21,21、及び第二流出路22,22に対する被冷却体Wの流出入を可能としている。
【0021】
複数枚の伝熱プレート3a…,3b…のそれぞれは、平面視略長方形状をなす伝熱部35と、該伝熱部35の外周縁部から該伝熱部35と面交差する一方向側に延出した折曲片部36とで構成されている。伝熱プレート3a…,3b…は、何れも板材をプレス加工することで形成されたもので、伝熱部35の両面に複数の凹条37…及び凸条38…が交互に形成されており、波板形状になっている。すなわち、伝熱プレート3a…,3b…は、板材をプレス加工されたものであるので、伝熱部35の一方の面で凹条37…をなす部位は、他方の面で凸条38…をなし、一方の面で凸条38…をなす部位は他方の面で凹条37…をなしており、伝熱部35に形成される凹条37…及び凸条38…が表裏における対応する部位で相反する態様で形成されている。なお、図2乃至図5において、積層した伝熱プレート3a,3b(伝熱部35)に凹条37…及び凸条38…を表現するのを省略し、第一空間10…、第二空間20…、第一流出路12、第二流入路21、及び第二流出路22が形成される状態のみを概念的に示しており、図2及び図3において拡大図によって凹条37…と凸条38…との関係を部分的に表している。
【0022】
本実施形態においては、凹条37…及び凸条38…の態様(例えば、傾斜方向)を異にする二種類の伝熱プレート3a…,3b…が採用されている。すなわち、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、積層した状態で対向する凸条38…同士(凹条37…同士)が交差し(積層方向から見て格子状の配置となり)、その凸条38…同士の交点で互いに点接触するよう、凹条37…及び凸条38…の形成された二種類の伝熱プレート3a…,3b…が採用されている。これにより、二種類の伝熱プレート3a…,3b…を交互に重ねる(積層する)ことで、伝熱プレート3a…,3b…間において、伝熱プレート3a…,3b…の対向する凹条37…によって第一空間10…と第二空間20…とが形成されるようになっている。なお、伝熱プレート3a…,3b…を積層した状態で、一方のフレームプレート2a側の伝熱プレート3a…,3b…の折曲片部36が、他方のフレームプレート2b側の伝熱プレート3a…,3b…の折曲片部36に外嵌した状態になり、隣接する伝熱プレート3a…,3b…の凸条38…同士が点接触するように寸法設定されている。
【0023】
各伝熱プレート3a…,3b…は、長手方向の一端部の略中央部に第一流入路11を形成するための第一流入路用開口11’が穿設され、同じく一端部に第一流入路用開口11’を介在させて(第一流入路用開口11’を挟んで該第一流入路用開口11’の両側に)第二流出路22,22を形成するための第二流出路用開口22’,22’が二つ形成されている。この二つの第二流出路用開口22’,22は、伝熱プレート3a…,3b…の一端部であって長手方向に(一端から他端に向けて)延びる中心線(図示しない)を基準にした対称位置に設けられている。
【0024】
また、各伝熱プレート3a…,3b…は、長手方向の他端部の略中央部に第二流入路21を形成するための第二流入路用開口21’が穿設され、同じく他端部に第二流入路用開口21’を介在させて(第二流入路用開口21’を挟んで該第二流入路用開口21’の両側に)第一流出路12,12を形成するための第一流出路用開口12’,12’が二つ形成されている。この二つの第一流出路用開口12’,12’は、長手方向に(一端から他端に向けて)延びる中心線を基準にした対称位置に設けられている。
【0025】
そして、本実施形態においては、第一流入路用開口11’と第二流入路用開口21’とが伝熱プレート3a…,3b…の短手方向に(一側端から他側端に向けて)延びる中心線(図示しない)を基準にして対称となる位置に設けられ、第一流出路用開口12’,12’と第二流出路用開口22’,22’とが前記中心線を基準にして対称となる位置に設けられている。
【0026】
前記第一流入路用開口11’、第一流出路用開口12’,12’、及び第二流出路用開口22’,22’は、それぞれ略同径の円形状に形成されている。そして、第二流入路用開口21’は、第一流入路用開口11’よりも大径、すなわち、他の開口12’,21’,22’よりも大径の円形状に形成されている。
【0027】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、上記構成の伝熱プレート3a…,3b…同士を溶着(ロウ付け)することで第一空間10…と第二空間20…とが気密又は液密に画されている。具体的には、積層された伝熱プレート3a…,3b…の外周(本実施形態においては嵌合状態にある折曲片部36同士)をロウ付けすることで、伝熱プレート3a…,3b…の外周縁部間が全周に亘って封止されている。
【0028】
さらに、複数枚の伝熱プレート3a…,3b…は、隣接して対向する伝熱プレート3a…,3b…の第一流入路用開口11’縁部間、第一流出路用開口12’,12’縁部間、第二流入路用開口21’縁部間、及び第二流入路用開口21’縁部間がロウ付けによって封止されている。すなわち、伝熱プレート3a…,3b…(二種類の伝熱プレート3a…,3b…のうちの一方)は、第二空間20…を形成する面の第一流出路用開口12’,12’縁部及び第一流入路用開口11’縁部が、隣接する伝熱プレート3a…,3b…(二種類の伝熱プレート3a…,3b…のうちの他方)の第二空間20…を形成する面の第一流出路用開口12’,12’縁部及び第一流入路用開口11’縁部と密接するような形状に形成されている。したがって、上述のように密接する部位(開口縁部)同士をロウ付けすることにより、各伝熱プレート3a…,3b…の第一流入路用開口11’が連なって(断続的に連なって)、冷媒Cを流入させるための第一流入路11が各第一空間10…にのみ連通して形成されるとともに、第一流出路用開口12’,12’が連なって(断続的に連なって)、冷媒Cを流出させるための第一流出路12,12が第一空間10…にのみ連通して形成されている。
【0029】
また、伝熱プレート3a…,3b…(二種類の伝熱プレート3a…,3b…のうちの他方)は、第一空間10…を形成する面の第二流入路用開口21’縁部及び第二流出路用開口22’,22’縁部が、隣接する他の伝熱プレート3a…,3b…(二種類の伝熱プレート3a…,3b…のうちの一方)の第一空間10…を形成する面の第二流入路用開口21’縁部及び第二流出路用開口22’,22’縁部と密接するような形状に形成されている。したがって、上述のように密接する部位(開口縁部)同士をロウ付けすることにより、各伝熱プレート3a…,3b…の第二流入路用開口21’が連なって(断続的に連なって)、被冷却体Wを流入させるための第二流入路21が各第二空間20…にのみ連通して形成されるとともに、第二流出路用開口22’,22’が連なって(断続的に連なって)、被冷却体Wを流出させるための第二流出路22,22が第二空間20…にのみ連通して形成されている。
【0030】
このように第一流入路11、第二流入路21、第一流出路12,12、及び第二流出路22,22は、第一流入路用開口11’、第二流入路用開口21’、第一流出路用開口12’,12’、及び第二流出路用開口22’,22’のそれぞれが連なって形成されるため、これらの配置に対応して形成されている。
【0031】
具体的には、第一流入路11は、第一流入路用開口11’の配置に対応して、伝熱プレート3a…,3b…の長手方向の一端部の略中央部に、伝熱プレート3a、3bの積層方向に延びるように一系統形成され、第二流出路22は、第二流出路用開口22’,22’の配置に対応して、伝熱プレート3a、3bの長手方向の一端部であって、該長手方向に(一端から他端に向けて)延びる中心線を基準にして対称となる位置(対称位置)に、伝熱プレート3a、3bの積層方向に延びるように二統形成され、第一流入路11(第一流入路用開口11’)を介在させている。
【0032】
そして、第二流入路21は、第二流入路用開口21’の配置に対応して、伝熱プレート3a…,3b…の長手方向の他端部の略中央部に、伝熱プレート3a、3bの積層方向に延びるように一系統形成され、第一流出路12は、第一流出路用開口12’,12’の配置に対応して、伝熱プレート3a,3bの長手方向の他端部であって、該長手方向に(一端から他端に向けて)延びる中心線を基準にして対称となる位置(対称位置)に、伝熱プレート3a、3bの積層方向に延びるように二系統形成され、第二流入路21(第二流入路用開口21’)を介在させている。
【0033】
また、本実施形態においては、上述の如く、伝熱プレート3a,3bの長手方向の両端部に設けられた開口11’、12’、21’、22’が伝熱プレート3a,3bの短手方向に延びる中心線を基準にして、対称となる位置(対称位置)に設けられているため、第一流入路11と第二流入路21とが、伝熱プレート3a…,3b…の短手方向の延びる中心線を基準にして対称となる位置に形成され、第一流出路12,12と第二流出路22,22とが、伝熱プレート3a…,3b…の短手方向に延びる中心線を基準にして対称となる位置に形成されている。
【0034】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、上記構成からなり、次に、空調機器等の装置に採用したとき(被冷却体Wに対する熱交換を行うとき)の冷媒C及び被冷却体Wの流れについて説明する。
【0035】
図6(イ)及び図6(ロ)に示す如く、冷媒Cは、配管の接続された接続部28aを介して第一流入路11に流れ込み、該第一流入路11に連通する各第一空間10…に流れ込む一方で、被冷却体Wは、配管の接続された接続部28dを介して第二流入路21に流れ込み、該第二流入路21に連通する各第二空間20…に流れ込むことになる。従って、第一空間10…に流れ込んだ冷媒Cは、伝熱プレート3a…,3b…の一端側(プレート式熱交換器1の下部側)から他端側(上方)に向けて流れるのに対し、第二空間20…に流れ込んだ被冷却体Wは、伝熱プレート3a…,3b…の他端側(プレート式熱交換器1の上部側)から一端側(下方)に向けて流れ、第一流入路11と第二流入路21との間の領域で伝熱部35(伝熱プレート3a…,3b…)を介して互いに熱交換され、被冷却体Wが冷却されることになる。
【0036】
そして、第一流入路11から第一空間10…内に流入した冷媒Cは、図6(イ)に示す如く、第一空間10…において伝熱プレート3a…,3b…の短手方向(伝熱プレート3a,3b(伝熱部35)の両側端に向けて)に均等に広がりつつ伝熱プレート3a…,3b…の他端に向けて流れることになる。また、伝熱プレート3a…,3b…の他端部において、二系統の第一流出路12,12が第一空間10…に対して封止状態にある第二流入路21を介在させて形成されているので、第一空間10…内で伝熱プレート3a…,3b…の短手方向に広がって該伝熱プレート3a…,3b…の他端側に向けて流れる冷媒Cは、伝熱プレート3a…,3b…の短手方向の両側(二手に)分かれて各第一流出路12,12に流れ込むことになる。特に、本実施形態において、二系統の第一流出路12,12が伝熱プレート3a…,3b…の長手方向に延びる中心線を基準にして対称位置に形成されているため、冷媒Cが短手方向(図において左右)に均等に分かれることになり、均一な流れを維持したまま各第一流出路12,12に流れ込むことになる。
【0037】
また、第二流入路21を介在させて二系統の第一流出路12,12を形成することで、第一空間10…内で一端広がった冷媒Cの流通形態が大きく縮小することがない(冷媒Cの流路が拡縮した態様ではない)ため、図7(イ)に示す如く、冷媒Cの流通する領域内で該冷媒Cの流速が大幅に変化する部分がなく、第一流出路12,12に至るまでに第一空間10…内で冷媒Cが滞留することない。従って、第一空間10…と第二空間20…とを隔てる伝熱プレート3a…,3b…(伝熱部35)の略全域で冷媒Cを略同条件で機能させることができ、第二空間20…内の被冷却体Wに対する熱交換を効率的で且つ均一に行うことができる。
【0038】
他方、第二流入路21から第二空間20…内に流入した被冷却体Wは、図6(ロ)に示す如く、第二空間20…において伝熱プレート3a…,3b…の短手方向(伝熱プレート3a,3b(伝熱部35)の両側端に向けて)に均等に広がりつつ伝熱プレート3a…,3b…の他端に向けて流れることになる。また、伝熱プレート3a…,3b…の他端部において、二系統の第二流出路22,22が、第二空間20…に対して封止状態にある第一流入路11を介在させるようにして形成されているので、第二空間20…内で伝熱プレート3a…,3b…の短手方向に広がって該伝熱プレート3a…,3b…の他端側に向けて流れる被冷却体Wは、伝熱プレート3a…,3b…の短手方向の両側(二手に)分かれて各第二流出路22,22に流れ込むことになる。特に、本実施形態において、二系統の第二流出路22,22が伝熱プレート3a…,3b…の長手方向に延びる中心線を基準にして対称位置に形成されているため、被冷却体Wが短手方向(図において左右)に均等に分かれることになり、均一な流れを維持したまま各第二流出路22,22に流れ込むことになる。
【0039】
また、第一流入路11を介在させて二系統の第二流出路22,22を形成することで、第二空間20…内で一端広がった被冷却体Wの流通形態が大きく縮小することがない(被冷却体Wの流路が拡縮した態様ではない)ため、図7(ロ)に示す如く、被冷却体Wの流通する領域内で該被冷却体Wの流速が大幅に遅くなる部分がなく、第二空間20…内で被冷却体Wが滞留することがない。
【0040】
従って、伝熱プレート3a…,3b…を隔てて第一空間10…で冷媒Cが常時流通していても、第二空間20…内の被冷却体Wが凍結することがなく、凍結に伴う伝熱プレート3a…,3b…の割れの発生を防止することができる。また、上述の如く、冷媒C及び被冷却体Wのそれぞれが、伝熱プレート3a…,3b…の短手方向に広がった状態で流れるので、第一空間10…と第二空間20…とを隔てる伝熱プレート3a…,3b…(伝熱部35)の略全域で冷媒Cとの熱交換が効率的且つ均一になされることになる。
【0041】
以上のように本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、伝熱プレート3a…,3b…の一端側に一系統の第一流入路11が形成されるとともに、該第一流入路11を介在させて二系統の第二流出路22,22が形成される一方、伝熱プレート3a…,3b…の他端側に一系統の第二流入路21が形成されるとともに、該第二流入路21を介在させて二系統の第一流出路12,12が形成されているので、第二空間20…内での被冷却体Wの流れ(被冷却体Wの流路)が拡大して縮小(拡縮)するような形態とならず、被冷却体Wが滞留する領域が形成されることがない。従って、伝熱プレート3a…,3b…を挟んで対向する冷媒Cが常時流通しても、被冷却体Wが凍結することがなく、伝熱プレート3a…,3b…の割れの発生を防止することができる。すなわち、被冷却体Wが第二空間20…内で広がったまま第二流出路22,22から流出するので、熱交換に未だ活用されていない(液状にある)冷媒Cが存在する領域(第一流路11近傍)に対応する領域で被冷却体Wが滞留することがなく、第二空間20…内での被冷却体Wの凍結を防止することができ、伝熱プレート3a,3bの割れの発生を防止することができる。
【0042】
また、第一流入路11が伝熱プレート3a…,3b…の一端部の略中央に形成されるとともに、第二流入路21が伝熱プレート3a…,3b…の他端部の略中央に形成され、第一流出路12,12及び第二流出路22,22は、伝熱プレート3a…,3b…の長手方向に延びる中心線を基準にした対称位置に二系統ずつ形成されているので、伝熱プレート3a…,3b…の他端側で冷媒Cが均等に二手に分かれた状態で各第一流出路12,12に流れ込む一方で、伝熱プレート3a…,3b…の一端側で被冷却体Wが均等に二手に分かれた状態で各第二流出路22,22に流れ込むことになり、冷媒C及び被冷却体Wの流れが不均一になる部分(流速が遅くなる部分)が形成されるのを最大限に抑えることができる。従って、被冷却体Wの凍結する領域が形成されるのをより確実に防止することができる。
【0043】
尚、本発明のプレート式熱交換器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0044】
すなわち、上記実施形態において、第一流入路11及び第二流入路21をそれぞれ一系統設けるとともに、第一流出路12,12及び第二流出路22,22をそれぞれ二系統設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一流入路11及び第二流入路21の少なくとも何れか一方を二系統以上設けるとともに、第一流出路12,12及び第二流出路22,22の少なくとも何れか一方を三系統以上、好ましくは、偶数系統設けるようにしてもよい。
【0045】
この場合においても、第一流出路12,12間に第二流入路21を介在させるとともに、第二流出路22,22間に第一流入路11を介在させることで、第一流入路11から流入する冷媒Cは第一空間10…内で広がった状態で各第一流出路12,12に導かれることになり、第二流入路21から流入する被冷却体Wは、第二空間20…内で広がった状態で各第二流出路22,22に導かれることになる。従って、第一空間10…と第二空間20…とを隔てる伝熱部35の略全域で効率的な熱交換を行うことができる上に、被冷却体Wの滞留する領域が形成されるのを防止することができ、被冷却体Wの凍結乃至膨張に伴う伝熱プレート3a…,3b…の割れの発生を防止することができる。
【0046】
そして、この場合においては、複数系統の第一流入路11、及び第二流入路21のそれぞれを、伝熱プレート3a…,3b…の中心線を基準にして対称となる位置に形成するとともに、第一流出路12,12及び第二流出路22,22についても、それぞれを伝熱プレート3a…,3b…の中心線を基準にして対称位置に形成すれば、冷媒C及び被冷却体Wの流れを均一化することができ、熱交換の効率化と被冷却体Wの凍結防止を確実に行うことができる。
【0047】
上記実施形態において、伝熱プレート3a,3bの長手方向の一端部に、第一流入路11と第二流出路22を設けるとともに、長手方向の他端部に第二流入路21と第一流出路12とを設け、冷媒C及び被冷却体Wを伝熱プレート3a,3bの長手方向に流通させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、伝熱プレート3a、3b(伝熱部35)が長方形状に形成される場合でも短手方向に冷媒C及び被冷却体Wを流通させるようにしてもよいし、伝熱プレート3a,3bが正方形状に形成される場合には、長短が関係ないので、何れかの一端からこれの反対側に位置する他端に向けて冷媒C及び被冷却体Wを流通させるようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態において、複数枚の伝熱プレート3a…,3b…を挟む一対のフレームプレート2a,2bの本体部25を平板状に形成したが、例えば、本体部25についても伝熱プレート3a…,3b…の伝熱部35と同様に複数の凸条38…と凹条37…とを形成し、フレームプレートも伝熱プレート3a…,3b…として機能するように構成しても勿論よい。このようにしても、第一流入路11、第二流入路21、第一流出路12,12及び第二流出路22,22の配置を上述のようにすれば、同様の作用、及び効果を奏することができる。また、上記実施形態において、一方のフレームプレート2aの本体部25に貫通穴27a〜27fを設け、該一方のフレームプレート2a側のみで冷媒Cと被冷却体Wの流出入をさせるようにしたが、例えば、他方のフレームプレート2bの本体部にも貫通穴を設け、一対のフレームプレート2a,2bの両側から冷媒Cと被冷却体Wの流出入を可能にしてもよい。この場合、貫通穴を第一流入路11,第二流入路21,第一流出路12,12、第二流出路22,22の配置に対応させて形成し、一方のフレームプレート2aと同様に接続部を設けることは言うまでもない。
【0049】
さらに、上記実施形態において、伝熱プレート3a…,3b…をロウ付けすることで第一空間10…及び第二空間20…を封止するようにしたが、例えば、伝熱プレート3a…,3b…同士を溶接するようにしても勿論よい。すなわち、本発明は、伝熱プレート3a…,3b…同士が溶着されて各伝熱プレート3a,3bが拘束された状態となるプレート式熱交換器1が対象である。
【0050】
上記実施形態において、第二流入路21の流路径を第一流入路11よりも大径に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、第二流入路21についても第一流入路11等と同径に形成するようにしても勿論よい。すなわち、各流路径は、被冷却体Wの流量、流速等を考慮して設定すればよい。
【0051】
上記実施形態において、二種類の伝熱プレート3a…,3b…を採用し、これらを交互に積層することで第一空間10…と第二空間20…とが形成されるように構成したが、例えば、伝熱部35の凹条37…及び凸条38…を伝熱プレート3a…,3b…の中心線に対して所定角度を有して傾斜するように形成すれば一種類の伝熱プレート3a…,3b…でプレート式熱交換器1を構築することができる。この場合、凹条37…及び凸条38…を直線状に形成してもよいし、例えば、伝熱部35に対して前記中心線を境にして一方の領域に中心線に対して所定角度を有して傾斜する複数条の凹条37…及び凸条38…を形成し、他方の領域に前記中心線を基準にして一方の領域の凹条37…と凸条38…と鏡像関係にある凹条37…と凸条38…を形成するようにしてもよい。
【0052】
つまり、伝熱プレート3a…,3b…の中心線を基準にして凹条37…及び凸条38…を傾斜するように形成すれば、当該伝熱プレート3a…,3b…を積層するときに一つおきに180°反転させることで、隣接する伝熱プレート3a…,3b…の凸条38…同士が点接触し、第一空間10…及び第二空間20…を形成することができる。但し、このように一種類の伝熱プレート3a…,3b…を採用する場合、第一流入路用開口11’、第二流入路用開口21’、第一流出路用開口12’,12’、及び第二流出路用開口22’,22’の配置についても、180°反転させたときにそれぞれが重なる配置となるようにすることや、各開口縁部が上記実施形態のように各機能に応じて隣接する伝熱プレート3a…,3b…の各開口縁部と密接な状態となる形態(液密、或いは気密に封止できる形態)にすることを考慮して伝熱プレート3a…,3b…を形成することは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器の全体斜視図である。
【図2】図2は、図1のI−I(III−III)断面図である。
【図3】図3は、図1のII−II断面図である。
【図4】図4は、図1のIV−IV断面図である。
【図5】図5は、図1のV−V断面図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るプレート式熱交換器内の冷媒及び被冷却体の流れを説明するための説明図であって、(イ)は、第一空間内での冷媒の流れを示し、(ロ)は、第二空間内での被冷却体の流れを示す。
【図7】図7は、本実施形態に係るプレート式熱交換器内の冷媒及び被冷却体の流れを説明するための説明図であって、(イ)は、第一空間内での冷媒の流れをベクトルで示し、(ロ)は、第二空間内での被冷却体の流れをベクトルで示す。
【図8】図8は、従来のプレート式熱交換器の全体斜視図である。
【図9】図9は、従来のプレート式熱交換器の断面図であって、(イ)は、図8のVI−VI断面図であり、(ロ)は、図8のVII−VII断面図である。
【図10】図10は、従来のプレート式熱交換器内の冷媒及び被冷却体の流れを説明するための説明図であり、(イ)は、第一空間内での冷媒の流れを示し、(ロ)は、第二空間内での被冷却体の流れを示す。
【図11】図11は、従来のプレート式熱交換器内の冷媒及び被冷却体の流れを説明するための説明図であり、(イ)は、第一空間内での冷媒の流れをベクトルで示し、(ロ)は、第二空間内での被冷却体の流れをベクトルで示す。
【符号の説明】
【0054】
1…プレート式熱交換器、2a,2b…フレームプレート、3a,3b…伝熱プレート、10…第一空間、11…第一流入路、11’…第一流入路用開口、12…第一流出路、12’…第一流出路用開口、20…第二空間、21…第二流入路、21’…第二流入路用開口、22…第二流出路、22’…第二流出路用開口、25…本体部、26…折曲片部、35…伝熱部、36…折曲片部、37…凹条、38…凸条、C…冷媒、W…被冷却体、27a〜27f…貫通穴、28a〜28f…接続部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数枚の伝熱プレート間に流体からなる冷媒を流通させる第一空間と流体からなる被冷却体を流通させる第二空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、各伝熱プレートに形成された開口が連なって第一空間に対して冷媒を流出入させる第一流入路と第一流出路とが形成されるとともに第二空間に対して被冷却体を流出入させる第二流入路と第二流出路とが形成され、伝熱プレート同士を溶着することで第一空間と第二空間とが気密又は液密に画されているプレート式熱交換器であって、伝熱プレートの一端側には、少なくとも一系統の第一流入路が形成されるとともに、該第一流入路を介在させて少なくとも二系統の第二流出路が形成される一方、伝熱プレートの他端側には、少なくとも一系統の第二流入路が形成されるとともに、該第二流入路を介在させて少なくとも二系統の第一流出路が形成されることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
前記第一流入路が伝熱プレートの一端部の略中央に一系統形成されるとともに、前記第二流入路が伝熱プレートの他端部の略中央に一系統形成され、第一流出路及び第二流出路のそれぞれは、伝熱プレートの一端から他端に向けて延びる中心線を基準にした対称位置に二系統形成されている請求項1記載のプレート式熱交換器。
【請求項1】
積層された複数枚の伝熱プレート間に流体からなる冷媒を流通させる第一空間と流体からなる被冷却体を流通させる第二空間とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、各伝熱プレートに形成された開口が連なって第一空間に対して冷媒を流出入させる第一流入路と第一流出路とが形成されるとともに第二空間に対して被冷却体を流出入させる第二流入路と第二流出路とが形成され、伝熱プレート同士を溶着することで第一空間と第二空間とが気密又は液密に画されているプレート式熱交換器であって、伝熱プレートの一端側には、少なくとも一系統の第一流入路が形成されるとともに、該第一流入路を介在させて少なくとも二系統の第二流出路が形成される一方、伝熱プレートの他端側には、少なくとも一系統の第二流入路が形成されるとともに、該第二流入路を介在させて少なくとも二系統の第一流出路が形成されることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
前記第一流入路が伝熱プレートの一端部の略中央に一系統形成されるとともに、前記第二流入路が伝熱プレートの他端部の略中央に一系統形成され、第一流出路及び第二流出路のそれぞれは、伝熱プレートの一端から他端に向けて延びる中心線を基準にした対称位置に二系統形成されている請求項1記載のプレート式熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−178100(P2007−178100A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379403(P2005−379403)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)
【Fターム(参考)】
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