説明

プレート式熱交換器

【課題】 強度の増強を図りつつ、不純物を含んだ被熱交換媒体を円滑に流通させることのできるプレート式熱交換器を提供する。
【解決手段】 両面に複数の凸条及び凹条の形成された複数の伝熱プレートが積層され、熱交換媒体を流通させる第一流路と被熱交換媒体を流通させる第二流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、第二流路を形成すべく隣り合う伝熱プレート同士を部分的に接触させた複数の接触部が一方向に所定間隔をあけて形成され、第二流路は、複数の接触部によって一方向と直交する他方向で並列をなす二つの分割主流路に区画されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器や湯沸し器等の種々の機器に採用される熱交換器に関し、特には、複数枚の伝熱プレートが積層されたプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給湯器や湯沸かし器等の種々の機器に採用される熱交換器の一つとして、プレート式熱交換器が公知である。かかるプレート式熱交換器は、両面に複数の凸条及び凹条の形成された複数の伝熱プレートが積層され、高温水や蒸気等の熱交換媒体を流通させる第一流路と水や湯等の被熱交換媒体を流通させる第二流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、この種のプレート式熱交換器は、一般的に、隣り合う伝熱プレートの凸条同士を交差衝合(凸条同士を部分的に接触)させることで、各伝熱プレートの間隔(第一流路及び第二流路の幅)を一定に保つようになっているが、第二流路を形成する伝熱プレートの凸条同士を交差衝合させると、湯沸かし器や給湯器に採用したときに被熱交換媒体に混入する髪の毛や繊維等の不純物が凸条同士を接触させた部分に堆積して(引っ掛かって)第二流路を詰まらせてしまうといった問題があるとして、第二流路を形成すべく隣り合う伝熱プレート同士を接触させないように配置したプレート式熱交換器が提供されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
かかるプレート式熱交換器は、第二流路を形成する伝熱プレート同士が非接触であるため、第二流路内で不純物が引っ掛かって堆積すること(詰まること)がない上に、凸条及び凹条の凹凸形状で被熱交換媒体の流れに適度な乱れを与えつつ該被熱交換媒体を流通させ、第一流路内を流通する熱交換媒体との熱交換を効率的に行うことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−326074号公報
【特許文献2】特開2008−121955号公報
【特許文献3】特開2008−121956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、炭酸ガス等を加圧して熱交換媒体である高温水を得るヒートポンプ式の給湯器等が普及しつつあり、また、建物の二階以上に設置される浴室や洗面所に給湯できる機種が普及してきている。
【0007】
そのため、この種の給湯器に採用される熱交換器は、高耐圧化が要求されている。すなわち、建物の二階以上に給湯するヒートポンプ式の給湯器は、建物の二階以上に給湯するために、高圧な被熱交換媒体(水や温水)を流通させるとともに、高圧な熱交換媒体(高温水や蒸気等)を流通させるため、これらの流体圧に耐え得ることが要求されている。
【0008】
しかしながら、上記構成のプレート式熱交換器は、第二流路を形成する伝熱プレート同士が非接触であるため、第二流路内の被熱交換媒体の流体圧が伝熱プレートに作用する(伝熱プレートが第一流路側に押される)ことで、伝熱プレートが変形して破損してしまう虞がある。すなわち、この種のプレート式熱交換器は、第一流路を形成する伝熱プレートの凸条同士を交差衝合させた状態で伝熱プレート同士がロウ付け等で接合されているため、第一流路内の熱交換媒体の流体圧が作用しても凸条同士の接触で耐えることができるが、第二流路を形成する伝熱プレート同士が非接触であるため、各伝熱プレートの第一流路側(第一流路と隣り合う別の第二流路側)への移動が規制されず、第二流路内の被熱交換媒体の流体圧で伝熱プレートが第一流路側に変形する虞がある。
【0009】
そうすると、第一流路を形成する伝熱プレートと同様に、第二流路を形成する伝熱プレートの凸条同士を交差衝合させて強度向上を図ることが好ましいことになるが、上述の如く、被熱交換媒体に髪の毛等の不純物が混在しているため、凸条同士を無闇に接触させると不純物の詰まりの原因となってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、強度の増強を図りつつ、不純物を含んだ被熱交換媒体を円滑に流通させることのできるプレート式熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプレート式熱交換器は、両面に複数の凸条及び凹条の形成された複数の伝熱プレートが積層され、熱交換媒体を流通させる第一流路と被熱交換媒体を流通させる第二流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、各伝熱プレートに形成された開口が連なって第一流路内に熱交換媒体を流出入させる熱交換媒体流入路及び熱交換媒体流出路が一方向の両端部に形成されるとともに第二流路内に被熱交換媒体を流出入させる被熱交換媒体流入路及び被熱交換媒体流出路が一方向の両端部に形成され、凸条同士が交差衝合する伝熱プレート間に第一流路が形成される一方、凸条同士が非接触の伝熱プレート間に第二流路が形成されたプレート式熱交換器において、第二流路を形成すべく隣り合う伝熱プレート同士を部分的に接触させた複数の接触部が一方向に所定間隔をあけて形成され、第二流路は、複数の接触部によって一方向と直交する他方向で並列をなす二つの分割主流路に区画されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成のプレート式熱交換器によれば、凸条同士が交差衝合する伝熱プレート間に第一流路が形成されるので、第一流路において、凸条及び凹条の凹凸形状や凸条同士の衝合する部位の存在で熱交換媒体の流れに適度な乱れを与えつつ該熱交換媒体を熱交換媒体流入路から熱交換媒体流出路に向けて流通させることができる。これにより、熱交換媒体の熱が伝熱プレート(伝熱部)に対して効率よく伝わることになる。
【0013】
そして、上記プレート式熱交換器は、第二流路を形成すべく隣り合う伝熱プレート同士を部分的に接触させた複数の接触部が一方向に所定間隔をあけて形成され、第二流路は、複数の接触部によって一方向と直交する他方向で並列をなす二つの分割主流路に区画されているので、接触部の存在で伝熱プレートの第一流路側への移動が拘束され、第二流路を流れる被熱交換媒体の流体圧が伝熱プレートに作用しても、該伝熱プレートが第一流路側に押されて変形してしまうことが防止される。
【0014】
そして、上記プレート式熱交換器は、被熱交換媒体流入路から流入した被熱交換媒体は、一方向で所定間隔をあけて形成された複数の接触部によって区画された各分割主流路で被熱交換媒体流出路に向けて流れることになる。
【0015】
そして、各分割主流路は、一端側から他端側に向けて延びる流路であるため、各分割主流路で被熱交換媒体が一方向に高速で流れることになる。そのため、第二流路内に不純物が流れ込んでも当該不純物は、各分割主流路の流速の早い中央に引き込まれることになる結果、一方向に間隔をあけて配置された接触部に引っ掛かることなく下流側に流れて被熱交換媒体流出路から流出することになる。また、各伝熱プレートは、第二流路を形成する面においても凸条及び凹条が形成されているため、伝熱面積を広くすることができる上に、凸条及び凹条の凹凸形状で被熱交換媒体の流れに適度な乱れを与えつつ該被熱交換媒体を流通させることができ、第一流路内を流通する熱交換媒体との熱交換を効率的に行うことができる。
【0016】
本発明の一態様として、前記複数の接触部は、伝熱プレートの一方向と直交する他方向の中央部に配置され、一方向における間隔が、第二流路を形成する伝熱プレート同士の被熱交換媒体流入路近傍の間隔よりも広く、且つ二つの分割主流路の他方向の流路幅の最小幅よりも狭く設定されてもよい。なお、ここで「流路幅の最小幅」とは、分割主流路の他方向の流路幅で最も狭い部分の幅を意味し、例えば、分割主流路の他方向の流路幅が一方向に向けて不均一である場合には、最も狭い部分の流路幅が最小幅となり、分割主流路の他方向の流路幅が一方向に向けて均一である場合には、何れの流路幅も最大で且つ最小であるため、その流路幅が最小幅となる。
【0017】
このように接触部の間隔を分割主流路の流路幅の最小幅よりも狭く設定することで、分割主流路での被熱交換媒体の流れが主たる流れとなり、分割主流路内の不純物が接触部間に入り込もうとする状態になりにくくすることができる。また、第二流路に流入した不純物が仮に分割主流路から接触部間に入り込んだとしても、接触部間の間隔が伝熱プレートの被熱交換媒体流入路近傍の間隔よりも広いため、接触部間をスムーズに通過することになり、隣の分割主流路に流れ込むことになる。すなわち、伝熱プレートの被熱交換媒体流入路近傍の間隔は、不純物の通過を許容する最小の間隔であるため、接触部の間隔をそれよりも広くすることで不純物が接触部間(両接触部間)を円滑に通過して隣の分割主流路に流れ込むことになる。
【0018】
本発明の他態様として、前記複数の接触部は、伝熱プレートの一方向と直交する他方向の中央部に配置され、各接触部の他方向の長さは、第二流路を形成する伝熱プレートの被熱交換媒体流入路近傍の間隔よりも長く、且つ、各分割主流路の他方向の流路幅が被熱交換媒体流入路の入口の開口径の最小径よりも長くなるように設定されてもよい。なお、ここで「入口の開口径の最小径」とは、被熱交換媒体流入路の入口の最も狭い部分の径を意味し、例えば、入口が非円形である場合には、最も狭い部分の径が最小径となり、入口が円形である場合には、その直径が最大で且つ最小であるため、その直径が最小径となる。
【0019】
このようにすれば、第二流路に流入した不純物が接触部間を通過するような状態になっても、接触部に不純物が引っ掛かりにくくなる。すなわち、接触部が他方向の長さが短すぎると、髪の毛等の繊維状の不純物が接触部にくの字状になって引っ掛かり、このような状態になると繊維状の不純物は両側の分割主流路を流れる被熱交換媒体の流れによって両側が引っ張られた状態になる。そのため、接触部に対する引っ掛かりが解消できなくなる。これに対し、接触部の他方向の長さが長すぎると、分割主流路の流路幅を確保できずに被熱交換媒体の十分な流れを確保できなくなる。
【0020】
しかしながら、第二流路を形成する伝熱プレートの被熱交換媒体流入路近傍の間隔よりも長く、且つ、各分割主流路の他方向の流路幅が被熱交換媒体流入路の入口の開口径の最小径よりも長くなるように接触部の他方向の長さを設定すると、不純物の流入を許容する被熱交換媒体流入路の入口と最初の隙間(伝熱プレート間)を通過した不純物が接触部間を通過しようとして接触部に対して一方向で重なるような状態になったとしても、不純物がくの字状になりにくく、該不純物が他方向において僅かでも接触部から出ていると、分割主流路の被熱交換媒体の流れに引き込まれ、分割主流路を介して被熱交換媒体流出路に流出することになる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係るプレート式熱交換器によれば、強度の増強を図りつつ、不純物を含んだ被熱交換媒体を円滑に流通させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の斜視図を示す。
【図2】同実施形態にかかるプレート式熱交換器の断面図であって、(a)は、図1のI−I断面を示し、(b)は、図1のII−II断面を示し、(c)は、図1のIII−III断面を示す。
【図3】同実施形態にかかるプレート式熱交換器の伝熱プレートの配置を説明するための部分縦断面図であって、(a)は、凸条同士を接触させて第一流路を形成する伝熱部と第二流路を形成する伝熱部を含む部分縦断面図を示し、(b)は、凸条同士を非接触にして第一流路を形成する伝熱部と第二流路を形成する伝熱部とを含む部分縦断面図を示す。
【図4】同実施形態にかかるプレート式熱交換器の伝熱プレートの配置を説明するための部分横断面図であって、(a)は、凸条同士を接触させて第一流路を形成する伝熱部と第二流路を形成する伝熱部の接触部の形成領域を含む部分横断面図を示し、(b)は、凸条同士を交差衝合させて第一流路を形成する伝熱部と第二流路を形成する伝熱部の外周接触部の形成領域とを含む部分横断面図を示す。
【図5】同実施形態にかかるプレート式熱交換器の第一流路及び第二流路の態様(熱交換媒体及び被熱交換媒体の流れ)を説明するための説明図であって、(a)は、第二流路の説明図を示し、(b)は、第一流路の説明図を示す。
【図6】同実施形態にかかるプレート式熱交換器に採用される伝熱プレートの説明図であって、(a)は、一方の伝熱プレートを示し、(b)は、他方の伝熱プレートを示す。
【図7】同実施形態にかかるプレート式熱交換器の伝熱プレートの積層態様を説明するための説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0024】
まず、本実施形態に係るプレート式熱交換器の全体的な構成について説明すると、本実施形態に係るプレート式熱交換器は、給湯器や湯沸かし器等の種々の機器の熱交換器として採用されるもので、図1、図2(a)及び図2(b)に示す如く、複数の伝熱プレート10a,10bが積層され、熱交換媒体Hを流通させる第一流路Aと被熱交換媒体Cを流通させる第二流路Bとが各伝熱プレート10a,10bを境にして交互に形成されている。
【0025】
そして、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、図3(a)及び図3(b)に示す如く、各伝熱プレート10a,10bの両面に複数の凸条20…及び凹条21…の形成されており、凸条20…同士が交差衝合する伝熱プレート10a,10b間に第一流路Aが形成される一方、凸条20…同士が非接触の伝熱プレート10a,10b間に第二流路Bが形成されている。
【0026】
また、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、図2(a)及び図2(b)に示す如く、各伝熱プレート10a,10bに形成された開口12,12,13,13が連なって第一流路A内に熱交換媒体Hを流出入させる熱交換媒体流入路A1及び熱交換媒体流出路A2が一方向の両端部に形成されるとともに第二流路B内に被熱交換媒体Cを流出入させる被熱交換媒体流入路B1及び被熱交換媒体流出路B2が一方向の両端部に形成されている。
【0027】
かかるプレート式熱交換器1は、図2(c)及び図4(a)に示す如く、第二流路Bを形成すべく隣り合う伝熱プレート10a,10b同士を部分的に接触させた複数の接触部14…が一方向に所定間隔をあけて形成されている。これにより、第二流路Bは、図5(a)に示す如く、複数の接触部14…によって一方向と直交する他方向で並列をなす二つの分割主流路D1,D2に区画されている。すなわち、複数の接触部14…は、一方向で一列に並ぶように配置されており、第二流路Bは、接触部14…の並ぶ領域(接触部14とその間の流域を含んだ領域)を境にして二つの分割主流路D1,D2に区画されている。
【0028】
本実施形態において、複数の接触部14…は、伝熱プレート10a,10b(後述するプレート部101)の一方向と直交する他方向の中央部に配置されている。また、複数の接触部14…は、一方向における間隔Pが、第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10b同士の被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔W(図2(a)参照)よりも広く、且つ二つの分割主流路D1,D2の他方向の流路幅の最小幅WRよりも狭く設定される。本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、各分割主流路D1,D2は、一方向の全長に亘って他方向の流路幅WRが均一に設定され、また、二つの分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRは同一に設定されている。
【0029】
従って、本実施形態において、各分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRは、何れの部分においても最大でも最小でもあるため、複数の接触部14…の一方向における間隔Pは、第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10b同士の被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも広く、且つ二つの分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRよりも狭く設定されている。
【0030】
そして、各接触部14…は、他方向の長さLが、第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔W(図2(a)参照)よりも長く、且つ、各分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRが被熱交換媒体流入路B1の入口の開口径の最小径D(図2(a)参照)よりも長くなるように設定される。
【0031】
本実施形態において、被熱交換媒体流入路B1及びその入口は、開口形状が円形状に設定されている。従って、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、被熱交換媒体流入路B1及びその入口の開口径(直径)が何れの部分においても最大でも最小でもあるため、各接触部14…は、他方向の長さLが、第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔W(図2(a)参照)よりも長く、且つ、各分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRが被熱交換媒体流入路B1の入口の直径D(図2(a)参照)よりも長くなるように設定されている。本実施形態にプレート式熱交換器1は、各接触部14…の他方向の長さLが同一に設定されている。
【0032】
また、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、図4(b)及び図5(a)に示す如く、第二流路Bを形成すべく隣り合う伝熱プレート10a,10b(プレート部101)の外周端部同士を部分的に接触させた複数の外周接触部15…が一方向に所定間隔をあけて形成されている。本実施形態において、複数の外周接触部15…は、伝熱プレート10a,10bの他方向の両端部に形成されており、複数の接触部14と同様に一方向に間隔をあけて形成されている。なお、該複数の外周接触部15…は、第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10bを非接触の状態で配置するため(伝熱プレート10a,10bの間隔を維持させるため)に設けられたもので、各外周接触部15…は、前記接触部14…とは異なり、一方向及び他方向の長さが隣り合う(相手方)の伝熱プレート10a,10bとの接触に必要な最小限の長さに設定されている。
【0033】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1の全体的な構成は以上の通りであり、次に、上記プレート式熱交換器1に採用される伝熱プレート10a,10bについて具体的に説明する。
【0034】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、図6(a)及び図6(b)に示す如く、伝熱プレート10a,10bに凸凹態様を異にする二種類の伝熱プレートが採用されている。
【0035】
二種類の伝熱プレート10a,10bは、何れもステンレス合金やチタン合金製の平板をプレス成形したもので、第一流路Aと第二流路Bとを仕切る伝熱部100を含む平面視長方形状のプレート部101と、該プレート部101の外周の全周から該プレート部101の一方面側に延出した嵌合部102とを備えている。
【0036】
プレート部101は、熱交換媒体流入路A1、熱交換媒体流出路A2、被熱交換媒体流入路B1及び被熱交換媒体流出路B2を形成するための開口12,12,13,13が四隅に形成されている。そして、プレート部101は、一方向の両端部間に前記伝熱部100が形成されている。
【0037】
前記伝熱部100は、表裏両面に複数の凸条20…及び凹条21…が交互に形成されている。前記凸条20…及び凹条21…は、該伝熱部100の長手方向の中心線(基準線)に対して傾斜状態で延びるように形成されている。本実施形態において、凸条20…及び凹条21…は、中心線を境に、伝熱部100の短手方向の一端側の領域と、伝熱部100の短手方向の他端側の領域とで鏡像状態をなすように形成され、平面視において、いわゆる、ヘリングボーン形状(魚の骨形状)を呈し、断面において波形状を呈している。なお、伝熱部100は、上述の如く、プレス成形によって形成されたものであるため、一方の面の凸条20…の裏面(他方の面)は凹条21…となり、一方の面の凹条21…の裏面は凸条20…となっている。
【0038】
そして、各伝熱プレート10a,10bは、第二流路B側(伝熱部100の第二流路Bを形成する面側)に部分的に突出した複数の主突出部103…がプレート部101の長手方向(上記一方向と対応する方向)に間隔をあけて一列をなすように伝熱部100上に形成されている。また、本実施形態においては、各伝熱プレート10a,10bは、第二流路B側(伝熱部100の第二流路Bを形成する面側)に部分的に突出した複数の外周突出部104…がプレート部101の短手方向の両端部に長手方向に間隔をあけて形成されている。
【0039】
そして、二種類の伝熱プレート10a,10bは、これらを交互に重ね合わせた状態で第二流路Bを形成する面側において、互いの主突出部103同士が接触するようになっている。すなわち、二種類の伝熱プレート10a,10bは、互いの主突出部103,103同士が接触して複数の接触部14…を形成するようになっている。
【0040】
また、本実施形態においては、上述の如く、二種類の伝熱プレート10a,10bは、これらを交互に重ね合わせた状態で、第二流路Bを形成する面側において、互いの外周突出部104,104同士が接触するようになっている。すなわち、二種類の伝熱プレート10a,10bは、互いの外周突出部104,104同士が接触して外周接触部15…を形成するようになっている。
【0041】
そして、各伝熱プレート10a,10bの主突出部103…は、複数の接触部14…を形成した状態で対向する伝熱部100同士(凸条20,20同士)が非接触になるように突出量が設定されている。また、外周突出部104も同様である。
【0042】
そして、各伝熱プレート10a,10bは、伝熱部100上に形成される複数の主突出部103…の間隔が第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10b同士の被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも広く、且つプレート部101の短手方向の半分以下の長さ(主突出部103の短手方向の何れか一端からプレート部101の端縁までの長さWR)よりも狭く設定されている。
【0043】
また、本実施形態において、各伝熱プレート10a,10bは、伝熱部100上に形成される各主突出部103のプレート部101の短手方向の長さLが、第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも長く、且つ、主突出部103の短手方向の何れか一端からプレート部101の端縁までの長さ(分割主流路D1,D2の流路幅WRと対応する長さ)WRが被熱交換媒体流入路B1(その入口)の直径Dよりも長くなるように設定されている。
【0044】
図1及び図2に戻り、前記嵌合部102は、伝熱プレート10a,10b…同士を積層した状態で、隣接する伝熱プレート10a,10b…の嵌合部102に嵌合できるように形成され、該嵌合部102,102同士がロウ付けされることにより、前記伝熱部100,100間(第一流路A及び第二流路B)を封止できるようになっている。
【0045】
そして、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、図2(a)及び図2(b)に示す如く、プレート部101の四隅の開口12,12,13,13のうち、該伝熱部100の長手方向の一端側で短手方向の一端側の開口12…が連なって熱交換媒体流入路A1が形成され、伝熱部100の長手方向の他端側で短手方向の他端側の開口12…が連なって熱交換媒体流出路A2が形成されている。また、伝熱部100の四隅の開口12,12,13,13のうち、該伝熱部100の長手方向の他端側で短手方向の一端側の開口13…が連なって被熱交換媒体流入路B1が形成され、伝熱部100の長手方向の一端側で短手方向の他端側の開口13…が連なって被熱交換媒体流出路B2が形成されている。これにより、該プレート式熱交換器1は、図5(a)及び図5(b)に示す如く、第一流路A及び第二流路B内で斜傾流を形成するようになっている。
【0046】
各伝熱プレート10a,10bの基本構成は以上の通りであるが、二種類の伝熱プレート10a,10bのうち、一方の伝熱プレート10aは、図6(a)に示す如く、長手方向の一端側で短手方向の一端側の開口12の周辺部と、長手方向の他端側で短手方向の他端側の開口12の周辺部とが、伝熱部100の他方面(図において奥側)側に膨出(凸出)して形成され、長手方向の一端側で短手方向の他端側の開口13の周辺部と、長手方向の他端側で短手方向の一端側の開口13の周辺部とが、伝熱部100の他方面側で凹む(一方面側に膨出(凸出)する)ように形成されている。なお、図6において波線のハッチングを付した領域が、紙面に対して手前側に凸をなし、斜めのハッチングを付した領域が、紙面に対して奥側に凸をなしている。
【0047】
他方の伝熱プレート10bは、図6(b)に示す如く、長手方向の一端側で短手方向の一端側の開口12の周辺部と、長手方向の他端側で短手方向の他端側の開口12の周辺部とが、伝熱部100の他方面側で凹む(一方面側に膨出(凸出)する)ように形成され、長手方向の一端側で短手方向の他端側の開口13の周辺部と、長手方向の他端側で短手方向の一端側の開口13の周辺部が、伝熱部100の他方面(図において奥側)側に膨出(凸出)して形成されている。
【0048】
これにより、二種類の伝熱プレート10a,10bを積層した状態で、対向する伝熱部100,100の開口12,12,13,13の凸出した周辺部同士が密接し、各伝熱プレート10a,10bの伝熱部100の長手方向の一端側で短手方向の一端側にある開口12が連なって、第一流路Aにのみ連通する熱交換媒体流入路A1となり、長手方向の他端側で短手方向の他端側にある開口12が連なって、第一流路Aにのみ連通する熱交換媒体流入路A1となる一方、伝熱部100の長手方向の他端側で短手方向の一端側の開口13が連なって、第二流路Bにのみ連通する被熱交換媒体流入路B1となり、伝熱部100の長手方向の一端側で短手方向の他端側の開口13が連なって、第二流路Bにのみ連通する被熱交換媒体流出路B2になるようになっている(図2(a)及び図2(b)参照)。
【0049】
上述のように、基本構成が同一で開口12,13の周辺部の凹凸態様を異にする二種類の伝熱プレート10a,10bを採用することを前提に、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、図7に示す如く、上層側から下層側に向けて同種の伝熱プレート10a,10bを積層順に伝熱部100の面上において180°反転させるようにして、二種類の伝熱プレート10a,10bを交互に積層されている。
【0050】
これにより、一方の伝熱プレート10aの一方面側と他方の伝熱プレート10bの他方面側(対向した伝熱部100)の凸条20…同士が交差衝合した態様となり、図3(a)に示す如く、伝熱部100が部分的に接触した領域と、図3(b)に示す如く、伝熱部100同士が非接触の領域とを有する第一流路Aが形成される。そして、図4(a)に示す如く、隣り合う伝熱プレート10a,10bの主突出部103,103同士が接触する(接触部14が形成される)とともに、図4(b)に示す如く、外周突出部104,104同士が接触する(外周接触部15が形成される)ことで、プレート式熱交換器1の内部において、他方の伝熱プレート10bの一方面(伝熱部100の凸条20…及び凹条21…の形成された領域)と一方の伝熱プレート10aの他方面(伝熱部100の凸条20…及び凹条21…の形成された領域)とが接触部14…を除く領域が非接触で対向し、その対向領域(伝熱部100,100)間に第二流路B(二つの分割主流路D1,D2)が形成される。なお、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、上述の如く、同種の伝熱プレート10a,10bを180°反転させるようにして積層するようにしているため、第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10bの凸条20…及び凹条21…同士が平行又は略平行な状態になっている。
【0051】
本実施形態においては、二種類の伝熱プレート10a,10bの凸条20…、凹条21…の形状、配置、及びサイズを同一に設定しているため、第二流路Bを形成する伝熱部100,100は、凸条20…及び凹条21同士が略平行をなし、一方の伝熱プレート10aの凹条21に他方の伝熱プレート10bの凸条20を対向させた態様をなしている。また、主突出部103、外周突出部104,104の高さ設定により、第二流路Bを形成する伝熱部100,100は、非接触状態(所定の間隔)を維持しつつ一方の伝熱プレート10aの凹条21に他方の伝熱プレート10bの凸条20が入り込んだ態様をなしている。
【0052】
なお、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、図1に示す如く、積層された状態で最も外側に位置する一方の伝熱プレート10aのみに、配管接続される筒状のノズル30a,30b,30c,30dを四隅部分の開口12,12,13,13の周辺部に接続したものを採用し、最も外側に位置する他方の伝熱プレート10bのみに開口12,12,13,13が形成されていないもの(図示しない)を採用している。
【0053】
そして、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、最も外側にある一方の伝熱プレート10aとこれに隣接する他方の伝熱プレート10b…との間に第二流路Bを形成し、最も外側にある他方の伝熱プレート10b…とこれに隣接する伝熱プレート10a…との間に第二流路Bを形成するように、上述の如く、複数の伝熱プレート10a,10b…が順々に積層されている。
【0054】
そして、該プレート式熱交換器1は、積層状態にある伝熱プレート10a,10b…同士の接触する部位(第一流路Aを形成する伝熱部100の凸条20…同士、嵌合部102,102同士、開口12,12,13,13の周辺部同士、主突出部14,14同士、外周突出部15,15同士)が溶着(ロウ付け)されることにより一体的に構成されている。なお、ロウ付けは、複数の伝熱プレート10a,10b…を積層するに当って伝熱プレート10a,10b…間に銅板(銅箔)等を介装しておき、これを全体的に加熱して溶かすことによって行われる。
【0055】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、以上の構成からなり、次に、上記構成のプレート式熱交換器1の作動について、該プレート式熱交換器1を給湯器に採用した場合を一例にして説明する。
【0056】
該プレート式熱交換器1は、熱交換媒体流入路A1のノズル30aが高温水等の熱交換媒体Hを供給する配管に液密に接続される一方、熱交換媒体流出路A2のノズル30bが熱交換媒体Hを再加熱するための加熱源に繋がる配管に接続される。これにより、当該プレート式熱交換器1は、熱交換媒体Hの加熱循環経路の一部を構成することになる。
【0057】
他方、被熱交換媒体流入路B1のノズル30cは、ポンプを介して浴槽に接続された往路配管に接続され、被熱交換媒体流出路B2のノズル30dは、浴槽に接続された復路配管に接続される。これにより、該プレート式熱交換器1は、浴槽内の水(温水)を循環させる循環経路の一部を構成することになる。
【0058】
そして、各循環経路で熱交換媒体H及び被熱交換媒体Cを循環させると、第一流路Aを流通する熱交換媒体Hと、第二流路Bを流通する被熱交換媒体Cとが、伝熱プレート10a,10b…(伝熱部100)を介して熱交換されることになる。この際、熱交換媒体Hは、対向する凸条20…及び凹条21…の存在で流れに適度な乱れを生じさせつつ、凸条20…同士の衝合した部位を躱すように迂曲して第一流路A内を流通し、該熱交換媒体Hの熱が効率よく伝熱部100に伝達される。
【0059】
他方、第二流路Bにおいては、第一流路Aとは異なり、対向する伝熱部100が非接触状態であるため、被熱交換媒体Cは、伝熱部100間を抜けるようにして(凸条20…及び凹条21…の形状に沿うように)、被熱交換媒体流入路B1から被熱交換媒体流出路B2に向けて流通し、伝熱プレート10a,10b…(伝熱部100)を介して伝わる熱交換媒体Hの熱を受け、熱交換媒体Hと被熱交換媒体Cとの熱交換が行われることになる。そして、湯垢等の不純物を含んだ浴槽内の温水(湯)が循環されたとしても、該被熱交換媒体Cを流通させる第二流路B(各分割主流路D1,D2)には、不純物を堆積させるような凸条20同士が接触した部分が存在しないため、第二流路B内に不純物が堆積されることなく、被熱交換媒体Cの循環が長期に亘って円滑に行われることになる。
【0060】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第二流路Bを形成する伝熱部100同士を部分的に接触させた複数の接触部14…が一方向で所定間隔Pをあけて形成され、第二流路Bは、複数の接触部14…によって一方向と直交する他方向で並列をなす二つの分割主流路D1,D2に区画されているので、第二流路Bを形成する伝熱部100,100同士が拘束し合うことになり、伝熱部100の裏側(第二流路B)を流れる被熱交換媒体Cの流体圧が伝熱部100に作用しても、伝熱部100の変形等が防止される。
【0061】
そして、上記プレート式熱交換器1は、被熱交換媒体流入路B1から流入した被熱交換媒体Cは、一方向で所定間隔Pをあけて形成された複数の接触部14…によって区画された各分割主流路D1,D2で被熱交換媒体流出路B2に向けて流れることになる。
【0062】
そして、各分割主流路D1,D2は、一端側から他端側に真っ直ぐに延びる流路であるため、各分割主流路D1,D2で被熱交換媒体Cが一方向に高速で流れることになる。そのため、第二流路B内に不純物が流れ込んでも当該不純物は、各分割主流路D1,D2の流速の早い中央に引き込まれることになる結果、一方向に間隔をあけて配置された接触部14…に引っ掛かることなく下流側に流れて被熱交換媒体流出路B2から流出することになる。また、第二流路Bを形成する伝熱部100においても凸条20及び凹条21が形成されているため、伝熱面積を広くすることができる上に、凸条20及び凹条21の凹凸形状で被熱交換媒体Cの流れに適度な乱れを与えつつ該被熱交換媒体Cを流通させることができ、伝熱部100,100を介して第一流路A内を流通する熱交換媒体Hとの熱交換を効率的に行うことができる。
【0063】
また、本実施形態においては、前記複数の接触部14…は、プレート部101の短手方向(伝熱プレート10a,10bの一方向と直交する他方向)の中央を通るように形成され、複数の接触部14…の間隔Pは、伝熱部100同士が第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10b同士の被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも広く、且つ二つの分割主流路D1,D2の他方向の流路幅の最小幅WRよりも狭く設定されているため、第二流路Bに流入した不純物が仮に分割主流路D1,D2から外れて接触部14,14間を通過しようとしても、接触部14,14間の間隔Pが伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも広いため、接触部14,14間をスムーズに通過することになり、隣の分割主流路D1,D2に流れ込むことになる。すなわち、伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wは、不純物の通過を許容する最小間隔であるため、接触部14,14の間隔をそれよりも広くすることで不純物が接触部14,14間(両接触部14,14)に引っ掛かってしまうことがない。また、接触部14,14の間隔Pを分割主流路D1,D2の流路幅WRよりも狭く設定することで、分割主流路D1,D2での被熱交換媒体Cの流れが主たる流れとなって接触部14,14間に入り込もうとする状態になりにくくなる。
【0064】
さらに、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、各接触部14…の他方向の長さLは、伝熱部100,100同士が第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも長く、且つ、各分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRが被熱交換媒体流入路B1の最小径Dより広くなるように設定されているため、第二流路Bに流入した不純物が接触部14,14間を通過するような状態になっても、接触部14に繊維状の不純物が引っ掛かりにくくなる。すなわち、接触部14が他方向の長さLが短すぎると、髪の毛等の繊維状の不純物が接触部14にくの字状になって引っ掛かり、このような状態になると繊維状の不純物は両側の分割主流路D1,D2を流れる被熱交換媒体Cの流れによって両側が引っ張られた状態になるため、接触部14に対する引っ掛かりが解消できなくなる。これに対し、接触部14の他方向の長さLが長すぎると、分割主流路D1,D2の流路幅を確保できずに被熱交換媒体Cの十分な流れを確保できなくなる。
【0065】
しかしながら、本実施形態に係るプレート式熱交換器1のように、伝熱部100,100同士が第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも長く、且つ、各分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRが被熱交換媒体流入路B1の最小径Dより広くなるように接触部14の他方向の長さLを設定すると、不純物の流入を許容する最初の隙間(伝熱プレート10a,10b間)を通過した不純物が接触部14,14間を通過しようとして接触部14に対して一方向で重なるような状態になったとしても、不純物がくの字状になりにくく、該不純物が他方向において僅かでも接触部14から出ていると、分割主流路D1,D2の被熱交換媒体Cの流れに引き込まれ、分割主流路D1,D2を介して被熱交換媒体流出路B2に流出することになる。
【0066】
そして、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、伝熱プレート10a,10bの一端側の開口13…が連なって被熱交換媒体流入路B1が形成されるとともに伝熱プレート10a,10bの他端側の開口13…が連なって熱交換媒体流入路A1が形成され、各伝熱プレート10a,10bの一端側を下側にするとともに他端側を上側にして配置されるため、不純物が上方に向けて流れることになり、流速が遅くなった場合や流れが無くなったときに、下方側(被熱交換媒体流入路B1側)に落ちることになる。そして、このときに不純物が接触部14に引っ掛かったとしても、被熱交換媒体Cを流通させたときに、その流れによって接触部14に対する不純物の引っ掛かりが解消され、該不純物を分割主流路D1,D2で流通させて被熱交換媒体流出路B2から流出させることができる。
【0067】
尚、本発明のプレート式熱交換器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0068】
上記実施形態において、プレート式熱交換器1を浴槽の湯を追い焚きするための熱交換器として説明したが、これに限定されるものではなく、前記プレート式熱交換器1は、被熱交換媒体Cを流通させる配管系(循環系)が、外部から何らかの不純物が入り込むような開放型であれば有効に機能する。もちろん、被熱交換媒体Cを流通させる配管系(循環系)が、外部から何ら不純物が入り込むことのない閉塞型の配管系等であっても採用できることは言うまでもない。
【0069】
上記実施形態において、非接触状態を維持しつつ対向する凹条21…に凸条20…が入り込んだ態様の伝熱部100間に第二流路Bを形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、第二流路B(分割主流路D1,D2)を形成する伝熱部100,100の凸条20…及び凹条21…の形成された領域同士が非接触となることを前提に、例えば、第二流路Bを形成する伝熱部100の凸条20…同士が対向するように、各伝熱部100の凸条20…及び凹条21を形成するようにしたり、第二流路Bを形成する伝熱部100の凸条20…同士が交差するように、各伝熱部100の凸条20…及び凹条21…を形成するようにしたりしてもよい。このようにしても、互いの凸条20…同士が非接触となるため、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0070】
上記実施形態において、複数の接触部14…をプレート部101(伝熱プレート10a,10b)の短手方向の中央で一列に並ぶように配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の接触部14は、プレート部101の短手方向の何れか一端側にずれた位置で一列に配置するようにしてもよい。このようにしても、複数の接触部14…で区画された二つの分割主流路D1,D2がプレート部101の一端から他端に向けて真っ直ぐに形成されるため、各分割主流路D1,D2の中央での流速が早くなる結果、不純物を下流側に流すことができる。なお、不純物の確実な流通を確保するために、各分割主流路D1,D2の短手方向の流路幅WRは、伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔よりも広くすることが好ましい。
【0071】
上記実施形態において、前記複数の接触部14…は、プレート部101の短手方向(伝熱プレート10a,10bの一方向と直交する他方向)の中央を通るように形成され、複数の接触部14…の間隔は、伝熱部100同士が第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10b同士の被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔よりも広く、且つ二つの分割主流路D1,D2の他方向の流路幅の最小幅WRよりも狭く設定されたが、これに限定されるものではなく、複数の接触部14の間隔は、伝熱部100同士が第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10b同士の被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも狭く、且つ二つの分割主流路D1,D2の他方向の流路幅の最小幅WRよりも広く設定されてもよい。このようにしても複数の接触部14…が第二流路Bを真っ直ぐに延びる二つの分割主流路D1,D2に区画するため、各分割主流路D1,D2で被熱交換媒体C及びこれに含まれる不純物を高速で下流側に流すことができる。なお、不純物の詰まりを確実に防止するには、上記実施形態と同様に、前記複数の接触部14…を、プレート部101の短手方向(伝熱プレート10a,10bの一方向と直交する他方向)の中央を通るように形成し、複数の接触部14…の間隔を、伝熱部100同士が第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10b同士の被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔よりも広く、且つ二つの分割主流路D1,D2の他方向の流路幅の最小幅WRよりも狭く設定することが好ましいことは言うまでもない。
【0072】
上記実施形態において、各接触部14…の他方向の長さLを、伝熱部100,100同士が第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも長く、且つ、各分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRが被熱交換媒体流入路B1の最小径Dより広くなるように設定したが、これに限定されるものではなく、接触部14…の他方向の長さLを、伝熱部100,100同士が第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも短く、且つ、各分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRが被熱交換媒体流入路B1の最小径Dより狭くなるように設定してもよい。このようにしても複数の接触部14…が第二流路Bを真っ直ぐに延びる二つの分割主流路D1,D2に区画するため、各分割主流路D1,D2で被熱交換媒体C及びこれに含まれる不純物を高速で下流側に流すことができる。なお、不純物の詰まりを確実に防止するには、上記実施形態と同様に、各接触部14…の他方向の長さLを、伝熱部100,100同士が第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも長く、且つ、各分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRが被熱交換媒体流入路B1の最小径Dより広くなるように設定することが好ましいことは言うまでもない。
【0073】
上記実施形態において、伝熱プレート10a,10bの一端側の開口12…が連なって被熱交換媒体流入路B1が形成されるとともに伝熱プレート10a,10bの他端側の開口13…が連なって熱交換媒体流入路A1が形成され、伝熱プレート10a,10bの一端側を下側にするとともに他端側を上側にして配置するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、伝熱プレート10a,10bの他端側の開口13…が連なって被熱交換媒体流入路B1が形成されるとともに伝熱プレート10a,10bの一端側の開口12…が連なって熱交換媒体流入路A1が形成され、各伝熱プレート10a,10bの一端側を下側にするとともに他端側を上側にして配置するようにしてもよい。このようにしても複数の接触部14…が第二流路Bを真っ直ぐに延びる二つの分割主流路D1,D2に区画するため、各分割主流路D1,D2で被熱交換媒体C及びこれに含まれる不純物を高速で下流側に流すことができる。なお、不純物の詰まりを確実に防止するには、上記実施形態と同様の配置にすることが好ましいことは言うまでもない。
【0074】
上記実施形態において、複数の接触部14…のそれぞれの他方向の長さLを一定に設定しているが、これに限定されるものではなく、各接触部14…の他方向の長さLを異なる長さに設定してもよい。この場合、複数の接触部14…の両側にある分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRが一方向における各位置で異なることになるため、上記実施形態のように複数の接触部14…の一方向の間隔Pを設定する場合、第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10b同士の被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも広く、且つ二つの分割主流路D1,D2の他方向の流路幅の最小幅WRよりも狭く設定すればよい。
【0075】
上記実施形態において、伝熱プレート10a,10b(プレート部101)の一方向の両端部の開口12,13を円形状に形成し、熱交換媒体流入路A1、熱交換媒体流出路A2、被熱交換媒体流入路B1、被熱交換媒体流出路B2の断面形状、及びこれらの出入口を円形状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、伝熱プレート10a,10bの開口12,13を非円形状に形成してもよい。この場合、被熱交換媒体流入路B1及びその入口が非円形状に形成されるため、上記実施形態のように接触部14…の他方向の長さLを設定する場合、第二流路Bを形成する伝熱プレート10a,10bの被熱交換媒体流入路B1近傍の間隔Wよりも長く、且つ、各分割主流路D1,D2の他方向の流路幅WRが被熱交換媒体流入路B1の入口の開口径の最小径(最も狭い部分の径)Dよりも長くなるように接触部14…の他方向の長さを設定すればよい。
【符号の説明】
【0076】
1…プレート式熱交換器、10a,10b…伝熱プレート、12,13…開口、14…接触部、15…外周接触部、20…凸条、21…凹条、30a,30b,30c,30d…ノズル、100…伝熱部、101…プレート部、102…嵌合部、103…主突出部、104…外周突出部、A…第一流路、A1…熱交換媒体流入路、A2…熱交換媒体流出路、B…第二流路、B1…被熱交換媒体流入路、B2…被熱交換媒体流出路、C…被熱交換媒体、D1,D2…分割主流路、H…熱交換媒体、H…被熱交換媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に複数の凸条及び凹条の形成された複数の伝熱プレートが積層され、熱交換媒体を流通させる第一流路と被熱交換媒体を流通させる第二流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成され、各伝熱プレートに形成された開口が連なって第一流路内に熱交換媒体を流出入させる熱交換媒体流入路及び熱交換媒体流出路が一方向の両端部に形成されるとともに第二流路内に被熱交換媒体を流出入させる被熱交換媒体流入路及び被熱交換媒体流出路が一方向の両端部に形成され、凸条同士が交差衝合する伝熱プレート間に第一流路が形成される一方、凸条同士が非接触の伝熱プレート間に第二流路が形成されたプレート式熱交換器において、第二流路を形成すべく隣り合う伝熱プレート同士を部分的に接触させた複数の接触部が一方向に所定間隔をあけて形成され、第二流路は、複数の接触部によって一方向と直交する他方向で並列をなす二つの分割主流路に区画されていることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
前記複数の接触部は、伝熱プレートの一方向と直交する他方向の中央部に配置され、一方向における間隔が、第二流路を形成する伝熱プレート同士の被熱交換媒体流入路近傍の間隔よりも広く、且つ二つの分割主流路の他方向の流路幅の最小幅よりも狭く設定されている請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記複数の接触部は、伝熱プレートの一方向と直交する他方向の中央部に配置され、各接触部の他方向の長さは、第二流路を形成する伝熱プレートの被熱交換媒体流入路近傍の間隔よりも長く、且つ、各分割主流路の他方向の流路幅が被熱交換媒体流入路の入口の開口径の最小径よりも長くなるように設定されている請求項1又は2に記載のプレート式熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−85094(P2010−85094A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−10397(P2010−10397)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)