説明

プレート式熱交換器

【課題】 熱交換率の向上を図ることができるプレート式熱交換器を提供する。
【解決手段】 プレート式熱交換器1には、伝熱プレート2,3の一端側に熱交換媒体流入路6が設けられ、伝熱プレート2,3の他端側に熱交換媒体流出路7が設けられている。また、伝熱プレート2,3の一端又は他端側の何れか一方に被熱交換媒体流入路9が設けられ、伝熱プレート2,3の一端又は他端側の何れか一方に被熱交換媒体流出路10設けられている。熱交換媒体流通空間4を形成する伝熱プレート間には、伝熱プレート2,3の一端側と他端側との間に熱交換媒体流通空間4を仕切る第一仕切部21a及び第三仕切り部23aが形成されている。被熱交換媒体流通空間8を形成する伝熱プレート間には、伝熱プレート2,3の一端側と他端側との間に被熱交換媒体流通空間8を仕切る第二仕切部22a及び第四仕切り部24aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の伝熱プレートが積層されて熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流通空間と被熱交換媒体を流通させる被熱交換媒体流通空間とが交互に形成されたプレート式熱交換器に関し、特には、熱交換媒体と繊維質や固形成分等を含む非熱交換媒体とを熱交換するのに好適なプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱交換媒体と被熱交換媒体との間で熱交換を行う熱交換器には、種々のタイプのものが提供されており、その一つとして、プレート式熱交換器が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかるプレート式熱交換器は、図7に示すように、複数枚の伝熱プレート101,102・・・が積層されており、内部に熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流通空間と被熱交換媒体を流通させる被熱交換媒体流通空間とが形成されている。具体的に説明すると、プレート式熱交換器100は、図8に示すように、両面に複数の凹条110a及び凸条110bが交互に形成された伝熱部101a,102aを有する複数枚の伝熱プレート101,102が積層され、各伝熱プレート101,102の伝熱部101a,102aを境にして熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流通空間103と被熱交換媒体を流通させる被熱交換媒体流通空間104とが交互に形成されている。
【0004】
そして、プレート式熱交換器100は、熱交換媒体を熱交換媒体流通空間103に流入させる熱交換媒体流入路105が伝熱プレート101の一方向における一端側に設けられるとともに、熱交換媒体流通空間103から熱交換媒体を流出させる熱交換媒体流出路106が伝熱プレート101の一方向における他端側に設けられている。また、該プレート式熱交換器100は、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間104に流入させる被熱交換媒体流入路107が伝熱プレート102の一方向における一端側又は他端側の何れか一方に設けられるとともに、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間104から流出させる被熱交換媒体流出路108が伝熱プレート102の一方向における一端側又は他端側の何れか他方に設けられている。
【0005】
そして、この種のプレート式熱交換器100には、熱交換媒体流通空間103を形成すべく互いに対向する伝熱部101a,102a同士が接触状態にされる一方、被熱交換媒体流通空間104を形成すべく互いに対向する伝熱部101a,102a同士が非接触状態にされたものがある。
【0006】
かかるプレート式熱交換器100は、被熱交換媒体流通空間104を形成する伝熱部101a,102a同士が非接触であるため、繊維質や固形成分等を含む非熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間104に流通させても繊維質等が詰まることがないとして、湯あかや髪の毛等が流れ込む虞のある給湯器用に好適であるとされている。
【0007】
そして、この種のプレート式熱交換器100には、図9及び図10に示すように、熱交換媒体流通空間103内に直線流路を形成する一方、被熱交換媒体流通空間104内に蛇行流路を形成するための複数の仕切部109a,109bが設けられたものがある。
【0008】
より具体的に説明すると、図9に示すように、この種のプレート式熱交換器100は、一方向の一端側に熱交換媒体流入路105が形成されるとともに該一方向の他端側に熱交換媒体流出路106が形成され、熱交換媒体流通空間103を形成すべく互いに対向する伝熱部101a,102aの凸条110b,110b同士が交差衝合している。
【0009】
これにより、該プレート式熱交換器100は、熱交換媒体が熱交換媒体流入路105から熱交換媒体流通空間103に流入し、該熱交換媒体流通空間103内で熱交換媒体流出路106に向けて直線状に流れるようになっている(図9中の矢印)。
【0010】
そして、各伝熱プレート101,102は、図10に示す如く、伝熱部101a,102bにおける被熱交換媒体流通空間104を形成する面に対し、伝熱プレート102の一方向と直交する他方向の一端側から他端側に向かって形成された複数の第一仕切部109aと、伝熱プレート102の他方向の他端側から一端側に向かって形成された複数の第二仕切部109bとが形成されている。これにより、複数の第一仕切部109aは、各伝熱プレート102の他方向の一端側において、被熱交換媒体流通空間104の上流側と下流側とを区画し、複数の第二仕切部109bは、各伝熱プレート102の他方向の他端側において、被熱交換媒体流通空間104の上流側と下流側とを区画している。すなわち、この種のプレート式熱交換器100は、複数の仕切部109a,109bが被熱交換媒体流通空間104内を仕切ることで該被熱交換媒体流通空間104内に幅狭な蛇行流路が形成されている。
【0011】
従って、該プレート式熱交換器100は、被熱交換媒体が被熱交換媒体流入路107から被熱交換媒体流通空間104に流入し、各仕切部109a,109bが形成されていない各伝熱プレート102の領域でその流動方向を変更しつつ被熱交換媒体流出路108に向けて流れるようになっている(図10中の矢印)。これにより、該プレート熱交換器100は、流路長の長い蛇行流路内において、被熱交換媒体を高速で流通させることで、熱交換媒体と被熱交換媒体との熱交換率を高めることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−054187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上記構成のプレート式熱交換器100は、被熱交換媒体流通空間104を形成する伝熱部102aに仕切部109a,109bを設けて蛇行流路を形成して被熱交換媒体の流路長を長くするとともに被熱交換媒体の流速を速めるようにしているが、熱交換媒体流通空間103内で熱交換媒体が熱交換媒体流入路105から熱交換媒体流出路106に向けて直線状に流れるため、熱交換媒体の流路長が短く、熱交換媒体流通空間103内を流れる熱交換媒体と被熱交換媒体流通空間104内を流れる被熱交換媒体との熱交換バランスが崩れてしまうといった指摘がある。具体的には、熱交換媒体と被熱交換媒体の流れが、局所的に直交流となり対向流と比較して温度効率が低下してしまう。
【0014】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、熱交換媒体流通空間内を流れる熱交換媒体と被熱交換媒体流通空間内を流れる被熱交換媒体との熱交換バランスを図って熱交換率(温度効率)を向上させることのできるプレート式熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかるプレート式熱交換器は、両面に複数の凹条及び凸条が交互に形成された伝熱部を有する複数枚の伝熱プレートが積層され、各伝熱プレートの伝熱部を境にして熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流通空間と被熱交換媒体を流通させる被熱交換媒体流通空間とが交互に形成され、前記熱交換媒体流通空間を形成すべく互い対向する伝熱部同士が接触状態にされる一方、前記被熱交換媒体流通空間を形成すべく互いに対向する伝熱部同士が非接触状態にされたプレート式熱交換器において、熱交換媒体を熱交換媒体流通空間に流入させる熱交換媒体流入路が伝熱プレートの一方向における一端側に設けられるとともに、熱交換媒体流通空間から熱交換媒体を流出させる熱交換媒体流出路が伝熱プレートの前記一方向における他端側に設けられ、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間に流入させる被熱交換媒体流入路が伝熱プレートの前記一方向における一端又は他端側の何れか一方に設けられるとともに、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間から流出させる被熱交換媒体流出路が伝熱プレートの前記一方向における一端又は他端側の何れか他方に設けられ、熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方には、前記一方向と直交する他方向の一端から他端側に延びる一つ以上の第一仕切部が形成され、該第一仕切部が熱交換媒体流通空間を仕切って熱交換媒体流入路と熱交換媒体流出路とを繋ぐ熱交換媒体用蛇行流路を形成し、被熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方には、第一仕切部の配置に対応して他方向の一端から他端側に延びる一つ以上の第二仕切部が形成され、該第二仕切部が被熱交換媒体流通空間を仕切って被熱交換媒体流入路と被熱交換媒体流出路とを繋ぐ被熱交換媒体用蛇行流路を形成していることを特徴とする。
【0016】
上記構成のプレート式熱交換器によれば、熱交換媒体流通空間内に形成される熱交換媒体用蛇行流路と、被熱交換媒体流通空間内に形成される被熱交換媒体用蛇行流路とが略同形態をなし、また、伝熱プレートを挟んで重なり合った状態となる。これにより、熱交換媒体と被熱交換媒体とが伝熱プレートを挟んで同じ軌跡上を通ることになり、熱交換媒体と被熱交換媒体との熱交換の機会を最大限確保することができる。
【0017】
そして、上述の如く、熱交換媒体流通空間内に第一仕切部を設けて熱交換媒体用蛇行流路を形成することで、熱交換媒体の流路長を長くしつつ流路幅を狭くすることができるため、熱交換に寄与する長さを長くしつつ、熱交換媒体の流速を速めることができる。これと同様に、被熱交換媒体流通空間内に第二仕切部を設けて被熱交換媒体用蛇行流路を形成することで、被熱交換媒体が流路の長さを長くしつつ流路幅を狭くすることができるため、熱交換に寄与する長さを長くしつつ、被熱交換媒体の流速を速めることができる。
【0018】
このように熱交換媒体及び被熱交換媒体のそれぞれは、重なり合った軌跡上で流動するにあたり、長い流路を高速で流れることになるため、被熱交換媒体に対する熱交換媒体の熱の吸収又は付与を効率的に行うことができる。
【0019】
従って、上記構成のプレート式熱交換器は、熱交換媒体流通空間内を流れる熱交換媒体と被熱交換媒体流通空間内を流れる被熱交換媒体との熱交換バランスを図って熱交換率(温度効率)の高いものとなる。
【0020】
本発明の一態様として、熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方には、前記第一仕切部に対して前記一方向に変位した位置で前記他方向の他端から一端側に延びる一つ以上の第三仕切部がさらに形成され、前記第一仕切部及び第三仕切部が熱交換媒体流通空間を仕切って熱交換媒体流入路と熱交換媒体流出路とを繋ぐ熱交換媒体用蛇行流路を形成し、被熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方には、第三仕切部の配置に対応して他方向の他端から一端側に延びる一つ以上の第四仕切部がさらに形成され、前記第二仕切部及び第四仕切部が被熱交換媒体流通空間を仕切って被熱交換媒体流入路と被熱交換媒体流出路とを繋ぐ被熱交換媒体用蛇行流路を形成していることが好ましい。
【0021】
このようにすれば、熱交換媒体用蛇行流路及び被熱交換媒体用蛇行流路のそれぞれは、流路長が長くなり、また流路幅も狭くなる。すなわち、熱交換媒体用蛇行流路は、第一仕切部及び第三仕切部の数に応じて流路長が長くなるとともに流路幅が狭くなる。また、被熱交換媒体用蛇行流路においても、第二仕切部及び第四仕切部の数に応じて流路長が長くなるとともに流路幅が狭くなる。従って、上記構成のプレート式熱交換器は、効率的に熱交換できる機会を増やすことができ、熱交換性能の優れたものとなる。
【0022】
本発明の他態様として、前記複数の伝熱プレートのそれぞれは、金属プレートをプレス成形して形成され、前記第二仕切部及び第四仕切部は、被熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方が対向する相手方の伝熱部に向けて膨出した凸条で構成され、第一仕切部及び第三仕切部は、前記第二仕切部及び第四仕切部を構成する凸条の裏側に形成される凹条を取り囲むよう形成されるとともに、熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方が対向する相手方の伝熱部に向けて膨出した凸条で構成されていることが好ましい。
【0023】
このようにすることで、伝熱プレートがプレス成形されて被熱交換媒体流通空間を仕切る第二仕切部及び第四仕切部が凸条に形成されても、熱交換媒体流通空間側にショートパスラインが形成されることがなく、熱交換媒体の流れを適正なものにすることができる。すなわち、伝熱プレートがプレス成形されて被熱交換媒体流通空間を仕切る第二仕切部及び第四仕切部が凸条に形成されるとその裏側(熱交換媒体流通空間側)に凹条が形成されるため、その凹条が熱交換媒体流通空間を形成する伝熱プレート(伝熱部)間にトンネル状のショートパスラインを形成してしまう。そのため、熱交換媒体流通空間(熱交換媒体用蛇行流路)を流れる熱交換媒体が本来の経路を外れて熱交換に対する寄与度の低いショートパスラインに流れてしまうことになる。
【0024】
しかしながら、上述の如く、第一仕切部及び第三仕切部は、前記第二仕切部及び第四仕切部を構成する凸条の裏側に形成される凹条を取り囲むように形成されるとともに、熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方が対向する相手方の伝熱部に向けて膨出した凸条で構成されているため、第一仕切部及び第三仕切部によって熱交換媒体がショートパスラインに流れ込むことを防止することができる。これにより、熱交換媒体を熱交換に対する寄与度の高い適正な経路で流通させることができる。
【0025】
また、本発明の別の態様において、前記被熱交換媒体流入路は、伝熱プレートの前記一方向における他端側に形成される一方、前記被熱交換媒体流出路は、伝熱プレートの前記一方向における一端側に形成されていてもよい。このようにすれば、熱交換媒体の流れと被熱交換媒体と流れとを反対向きにする(対向流を形成する)ことができ、より効率的な熱交換が可能となる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明のプレート式熱交換器は、熱交換媒体流通空間内を流れる熱交換媒体と被熱交換媒体流通空間内を流れる被熱交換媒体との熱交換バランスを図って熱交換率(温度効率)を向上させることができるといった優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の全体斜視図である。
【図2】同実施形態にかかるプレート式熱交換器を部分的に分解した斜視図である。
【図3】同実施形態にかかるプレート式熱交換器を構成する第一伝熱プレートの正面図である。
【図4】同実施形態にかかるプレート式熱交換器を構成する第二伝熱プレートの正面図である。
【図5】同実施形態にかかるプレート式熱交換器の仕切部を含む断面図である。
【図6】同実施形態にかかる被熱交換媒体流通空間の入口通路部近傍の部分断面図である。
【図7】従来のプレート式熱交換器の全体斜視図である。
【図8】従来のプレート式熱交換器を部分的に分解した斜視図である。
【図9】従来のプレート式熱交換器の伝熱プレートにおける熱交換媒体流通空間を形成する面側の正面図である。
【図10】従来のプレート式熱交換器の伝熱プレートにおける被熱交換媒体流通空間を形成する面側の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器について、添付図面を参照して説明する。
【0029】
本実施形態にかかるプレート式熱交換器1は、図1に示すように、複数枚の伝熱プレート2,3・・・が積層されて形成されており、図2に示すように、内部に熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流通空間4と被熱交換媒体を流通させる被熱交換媒体流通空間8とが形成されている。より具体的には、プレート式熱交換器1は、各伝熱プレート2,3の両面に複数の凹条5a及び凸条5bが交互に形成された伝熱部2a,3aを有する複数枚の伝熱プレート2,3が積層され、各伝熱プレート2,3の伝熱部2a,3aを境にして、熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流通空間4と被熱交換媒体を流通させる被熱交換媒体流通空間8とが、交互に形成されている。なお、熱交換媒体及び被熱交換媒体には、種々のものを採用することができるが、本実施形態においては、熱交換媒体として、高温水や蒸気ガスなどを採用し、被熱交換媒体には、水道水や使用後の浴槽水など繊維状の異物や固形成分等を含む流体を採用している。
【0030】
また、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、熱交換媒体流通空間4を形成すべく互いに対向する伝熱部2a,3aの凸条5b,5b同士が接触状態(交差衝合した状態)にされる一方、被熱交換媒体流通空間8を形成すべく互いに対向する伝熱部2a,3a同士が非接触状態にされている。
【0031】
さらに、プレート式熱交換器1は、熱交換媒体を熱交換媒体流通空間4に流入させる熱交換媒体流入路6が伝熱プレート2の一方向における一端側に設けられるとともに、熱交換媒体流通空間4から熱交換媒体を流出させる熱交換媒体流出路7が伝熱プレート2の一方向における他端側に設けられている。また、プレート式熱交換器1は、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間8に流入させる被熱交換媒体流入路9が伝熱プレート2の前記一方向における一端又は他端側の何れか一方に設けられるとともに、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間8から流出させる被熱交換媒体流出路10が伝熱プレート2の前記一方向における一端又は他端側の何れか他方に設けられている。
【0032】
本実施形態において、プレート式熱交換器1は、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間8に流入させる被熱交換媒体流入路9が伝熱プレート2の前記一方向における他端側に形成されるとともに、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間8から流出させる被熱交換媒体流出路10が、伝熱プレート2の前記一方向における一端側に形成されている。
【0033】
また、プレート式熱交換器1は、二種類の伝熱プレート(以下、一方の伝熱プレートを第一伝熱プレート2といい、他方の伝熱プレートを第二伝熱プレート3という)が交互に積層されることにより、各第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3を境にして、熱交換媒体流通空間4と被熱交換媒体流通空間8とが交互に形成されている。
【0034】
第一伝熱プレート2は、金属プレートをプレス成形して形成されている。第一伝熱プレート2は、図3に示すように、平面視長方形状に形成された第一伝熱部2aと、第一伝熱プレート2の一方向(第一伝熱部2aの長手方向と直交する方向(短手方向))における一端側で且つ前記一方向と直交する他方向(第一伝熱部2aの長手方向)の一端側で第一伝熱部2aの外周端縁から突出する第一突出部2bと、第一伝熱プレート2の一方向(第一伝熱部2aの短手方向)における他端側で且つ前記他方向(第一伝熱部2aの長手方向)の他端側で第一伝熱部2aの外周端縁から突出する第二突出部2cとを備えている。
【0035】
第一突出部2bには、熱交換媒体流入路6を形成するための第一開口11が貫通して設けられているとともに、第二突出部2cには、熱交換媒体流出路7を形成するための第二開口12が貫通して設けられている。
【0036】
そして、第一伝熱部2aには、第二開口12と隣接するように被熱交換媒体流入路9を形成するための第三開口13が貫通して設けられているとともに、第一開口11と隣接するように被熱交換媒体流出路10を形成するための第四開口14が貫通して設けられている。
【0037】
第一伝熱部2aには、両面に複数の凹条5a及び凸条5bが交互に形成されている。第一伝熱部2aは、上述の如く、プレス成形して形成されたものであるため、一方の面における凹条5aが、他方の面における凸条5bとなり、一方の面における凸条5bが、他方の面における凹条5aとなるように形成されている。なお、熱交換媒体Aが流通する熱交換媒体流通空間4を形成する伝熱部2a,3a(第一伝熱部2a及び後述する第二伝熱部3a)は、凸条5b,5b同士が交差衝合するように形成されている。
【0038】
第一伝熱プレート2は、第一伝熱部2aの一方の面(熱交換媒体流通空間4を形成する面:図3に示す第一伝熱部2aの手前側の面)に前記一方向と直交する他方向の一端から他端側に延びる一つ以上(本実施形態においては一つ)の第一仕切部21aが形成されている。また、本実施形態に係る第一伝熱プレート2は、第一伝熱部2aの一方の面に第一仕切部21aに対して前記一方向に変位した位置で前記他方向の他端から一端側に延びる一つ以上(本実施形態においては一つ)の第三仕切部23aがさらに形成されている。
【0039】
そして、該第一伝熱プレート2は、第一伝熱部2aの他方の面(被熱交換媒体流通空間8を形成する面:図3に示す第一伝熱部2aの裏側の面)に、一方の面上にある第一仕切部21aの配置に対応して他方向の一端から他端側に延びる一つ以上(本実施形態においては一つ)の第二仕切部22aが形成されている。また、本実施形態に係る第一伝熱プレート2は、第一伝熱部2aの他方の面に、一方の面上にある第三仕切部23aの配置に対応して他方向の他端から一端側に延びる一つ以上(本実施形態においては一つ)の第四仕切部24aがさらに形成されている。
【0040】
第一伝熱部2aの他方の面上に形成された第二仕切部22a及び第四仕切部24aは、該他方の面とともに被熱交換媒体流通空間8を形成する相手方である第二伝熱プレート3(第二伝熱部3a)に向けて膨出した凸条で構成されている。本実施形態に係る第二仕切部22a及び第四仕切部24aは、真っ直ぐに延びて直線状をなしている。
【0041】
これに対し、第一伝熱部2aの一方の面上に形成された第一仕切部21a及び第三仕切部23aは、他方の面上にある第二仕切部22a及び第四仕切部24aを構成する凸条の裏側に形成される凹条を取り囲むよう形成されるとともに、該第一伝熱部2aの一方の面とともに熱交換媒体流通空間4を形成する相手方(第二伝熱プレート3)の第二伝熱部3aに向けて膨出した凸条で構成されている。すなわち、第一仕切部21aは、第二仕切部22aの両側で真っ直ぐに延びる一対のストレート部(採番しない)と、該一対のストレート部の先端同士を繋ぐ接続部(採番しない)とで構成されている。また、第三仕切部23aについては、第四仕切部24aの両側で真っ直ぐに延びる一対のストレート部(採番しない)と、該一対のストレート部の先端同士を繋ぐ接続部(採番しない)とで構成されている。
【0042】
第二伝熱プレート3は、金属プレートをプレス成形して形成されている。第二伝熱プレート3は、図4に示すように、平面視長方形状に形成された第二伝熱部3aと、第二伝熱プレート3の一方向(第二伝熱部3aの長手方向と直交する方向(短手方向))における一端側で且つ前記一方向と直交する他方向(第二伝熱部3aの長手方向)の一端側で第二伝熱部3aの外周端縁から突出する第三突出部3bと、第二伝熱プレート3の一方向(第二伝熱部3aの短手方向)における他端側で且つ前記他方向(第二伝熱部3aの長手方向)の他端側で第二伝熱部3aの外周端縁から突出する第四突出部3cとを備えている。
【0043】
第三突出部3bには、熱交換媒体流入路6を形成するための第五開口15が貫通して設けられているとともに、第四突出部3cには、熱交換媒体流出路7を形成するための第六開口16が貫通して設けられている。
【0044】
そして、第二伝熱部3aには、第六開口16と隣接するように被熱交換媒体流入路9を形成するための第七開口17が貫通して設けられているとともに、第五開口15と隣接するように被熱交換媒体流出路10を形成するための第八開口18が貫通して設けられている。
【0045】
第二伝熱部3aには、両面に複数の凹条5a及び凸条5bが交互に形成されている。第二伝熱部3aは、上述の如く、プレス成形して形成されたものであるため、一方の面における凹条5aが、他方の面における凸条5bとなり、一方の面における凸条5bが、他方の面における凹条5aとなるように形成されている。
【0046】
第二伝熱プレート3は、第一伝熱プレート2における第一伝熱部2aの一方の面と対向する第二伝熱部3aの他方の面(熱交換媒体流通空間4を形成する面:図4に示す第二伝熱部3aの裏側の面)に前記一方向と直交する他方向の一端から他端側に延びる一つ以上(本実施形態においては一つ)の第一仕切部21aが形成されている。また、本実施形態に係る第二伝熱プレート3は、第二伝熱部3aの他方の面に第一仕切部21aに対して前記一方向に変位した位置で前記他方向の他端から一端側に延びる一つ以上(本実施形態においては一つ)の第三仕切部23aがさらに形成されている。
【0047】
そして、該第二伝熱プレート3は、第一伝熱プレート2における第一伝熱部2aの他方の面と対向する第二伝熱部3aの一方の面(被熱交換媒体流通空間8を形成する面:図4に示す第二伝熱部3aの手前側の面)に、他方の面上にある第一仕切部21aの配置に対応して他方向の一端から他端側に延びる一つ以上(本実施形態においては一つ)の第二仕切部22aが形成されている。また、本実施形態に係る第二伝熱プレート3は、第二伝熱部3aの一方の面に、他方の面上にある第三仕切部23aの配置に対応して他方向の他端から一端側に延びる一つ以上(本実施形態においては一つ)の第四仕切部24aがさらに形成されている。
【0048】
第二伝熱部3aの一方の面上に形成された第二仕切部22a及び第四仕切部24aは、該他方の面とともに被熱交換媒体流通空間8を形成する相手方である第一伝熱プレート2(第一伝熱部2a)に向けて膨出した凸条で構成されている。本実施形態に係る第二仕切部22a及び第四仕切部24aは、真っ直ぐに延びて直線状をなしている。
【0049】
これに対し、第二伝熱部3aの他方の面上に形成された第一仕切部21a及び第三仕切部23aは、一方の面上にある第二仕切部22a及び第四仕切部24aを構成する凸条の裏側に形成される凹条を取り囲むよう形成されるとともに、該第二伝熱部3aの一方の面とともに熱交換媒体流通空間4を形成する相手方(第一伝熱プレート2)の第一伝熱部2aに向けて膨出した凸条で構成されている。すなわち、第一仕切部21aは、第二仕切部22aの両側で真っ直ぐに延びる一対のストレート部(採番しない)と、該一対のストレート部の先端同士を繋ぐ接続部(採番しない)とで構成されている。また、第三仕切部23aについては、第四仕切部24aの両側で真っ直ぐに延びる一対のストレート部(採番しない)と、該一対のストレート部の先端同士を繋ぐ接続部(採番しない)とで構成されている。
【0050】
そして、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、上述の如く、上記構成の第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3が交互に積層される。これにより、該プレート式熱交換器1は、図5に示す如く、第一伝熱部2aの一方の面と第二伝熱部3aの他方の面との間に熱交換媒体流通空間4が形成されるとともに、第一伝熱部2aの一方の面上にある第一仕切部21a及び第三仕切部23aが第二伝熱部3aの他方の面上にある第一仕切部21a及び第三仕切部23aと接触して熱交換媒体流通空間4内に熱交換媒体用蛇行流路が形成されるようになっている。すなわち、前記第一仕切部21a及び第三仕切部23aが熱交換媒体流通空間4を仕切って熱交換媒体流入路6と熱交換媒体流出路7とを繋ぐ熱交換媒体用蛇行流路を形成するようになっている。
【0051】
また、該プレート式熱交換器1は、第一伝熱部2aの他方の面と第二伝熱部3aの一方の面との間に被熱交換媒体流通空間8が形成されるとともに、第一伝熱部2aの他方の面上にある第二仕切部22a及び第四仕切部24aが第二伝熱部3aの一方の面上にある第二仕切部22a及び第四仕切部24aと接触して被熱交換媒体流通空間8内に被熱交換媒体用蛇行流路が形成されるようになっている。すなわち、前記第二仕切部22a及び第四仕切部24aが被熱交換媒体流通空間8を仕切って被熱交換媒体流入路9と被熱交換媒体流出路10とを繋ぐ被熱交換媒体用蛇行流路を形成するようになっている。なお、第一伝熱部2a及び第二伝熱部3aは、熱交換媒体流通空間4を形成する面(第一伝熱部2aの一方の面及び第二伝熱部3aの他方の面)の被熱交換媒体流入路9を形成する第三開口13の周辺同士、及び被熱交換媒体流出路10を形成する第四開口14の周辺同士がロウ付けで封着され、被熱交換媒体流入路9及び被熱交換媒体流出路10を流通する被熱交換媒体の熱交換媒体流通空間4への流入が阻止され、被熱交換媒体流通空間8を形成する面(第一伝熱部2aの他方の面及び第二伝熱部3aの一方の面)の熱交換媒体流入路6を形成する第一開口11の周辺同士、及び熱交換媒体流出路7を形成する第二開口12の周辺同士がロウ付けで封着され、熱交換媒体流入路6及び熱交換媒体流出路7を流通する熱交換媒体の被熱交換媒体流通空間8への流入が阻止されるようになっている。
【0052】
本実施形態に係る熱交換媒体用蛇行流路は、全長に亘って流路幅が一定になるように形成されている。また、本実施形態に係る熱交換媒体用蛇行流路は、熱交換媒体流通空間4を第一仕切部21a及び第三仕切部23aで区画して形成されているため、二箇所にUターン部が形成されている。これと同様に、伝熱部(第一伝熱部2a及び第二伝熱部3a)を挟んで熱交換媒体用蛇行流路と対向する被熱交換媒体用蛇行流路についても、全長に亘って流路幅が一定になるように形成されている。また、本実施形態に係る被熱交換媒体用蛇行流路は、被熱交換媒体流通空間8を第二仕切部22a及び第四仕切部24aで区画して形成されているため、二箇所にUターン部が形成されている。
【0053】
本実施形態において、図3及び図4に示す如く、第一仕切部21a及び第三仕切部23aは、直線状に形成されて先端部が所定の曲率で丸みをもって形成されている。そして、第二仕切部22a及び第四仕切部24aは、上述の如く、第一仕切部21aまたは第三仕切部23aを取り囲むように形成されているため、ストレート部同士を接続する接続部は、第一仕切部21a及び第三仕切部23aの先端部の曲率中心と中心が一致した円弧状に形成されている。
【0054】
そして、上述の如く、熱交換媒体用蛇行流路の流路幅を全長に亘って略一定に形成すべく、熱交換媒体蛇行流路のUターン部の外郭は、第一仕切部21a及び第三仕切部23aの先端部、或いは第二仕切部22a及び第四仕切部24aの接続部の曲率中心と中心が一致した円弧状に形成されている。また、上述の如く、被熱交換媒体用蛇行流路の流路幅を全長に亘って略一定に形成すべく、被熱交換媒体蛇行流路のUターン部の外郭は、第一仕切部21a及び第三仕切部23aの先端部、或いは第二仕切部22a及び第四仕切部24aの接続部の曲率中心と中心が一致した円弧状に形成されている。
【0055】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、図1及び図2に示すように、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3に加えて、プレート式熱交換器1のフレームを構成する一対のフレーム板35,36を備えており、該一対のフレーム板35,36によって、積層された複数枚の第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3を挟み込んだ状態で互いに接触する部分をロウ付けすることにより形成されている。
【0056】
そして、一方のフレーム板35には、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3の各開口11乃至18の位置に対応するように、四つの開口37,38,39,40が形成されており、各開口37,38,39,40には、配管を接続するための筒状部41が設けられている。なお、他方のフレーム板36には開口が形成されていない。
【0057】
図6に示すように、被熱交換媒体流入路9に配管を接続するための筒状部41の口径41aは、被熱交換媒体流入路9の口径44aより小さくなるように形成されている。なお、本実施形態においては、被熱交換媒体流出路10に配管を接続するための筒状部41の口径についても、被熱交換媒体流出入路10の口径より小さくなるように形成されている。
【0058】
また、被熱交換媒体流入路9に配管を接続するための筒状部41は、穴中心CL1が被熱交換媒体流入路9の中心CL2に対して伝熱プレート2,3の外側に向けて偏心して配置されている。このような構成により、各筒状部41から各伝熱プレート3に対して垂直方向に流入した毛髪等の繊維状の異物Dが、各伝熱プレート3の伝熱部3aに流入する前に、各伝熱プレート3に対して平行に向きを変えることができ、繊維状の異物Dが入口通路部43a又は出口通路部43bにおいて跨ぐように引っかかることを防止することができる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、熱交換媒体を熱交換媒体流通空間4に流入させる熱交換媒体流入路6が伝熱プレート2,3の一方向における一端側に設けられるとともに、熱交換媒体流通空間4から熱交換媒体を流出させる熱交換媒体流出路7が伝熱プレート2の前記一方向における他端側に設けられ、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間8に流入させる被熱交換媒体流入路9が伝熱プレート2,3の前記一方向における一端又は他端側の何れか一方に設けられるとともに、被熱交換媒体Bを被熱交換媒体流通空間8から流出させる被熱交換媒体流出路10が伝熱プレート2,3の前記一方向における一端又は他端側の何れか他方に設けられ、熱交換媒体流通空間4を形成する伝熱部2a,3aには、前記一方向と直交する他方向の一端から他端側に延びる一つの第一仕切部21aが形成され、該第一仕切部21aが熱交換媒体流通空間4を仕切って熱交換媒体流入路6と熱交換媒体流出路7とを繋ぐ熱交換媒体用蛇行流路を形成し、被熱交換媒体流通空間8を形成する伝熱部2a,3aには、第一仕切部21aの配置に対応して他方向の一端から他端側に延びる一つ以上の第二仕切部22aが形成され、該第二仕切部22aが被熱交換媒体流通空間8を仕切って被熱交換媒体流入路9と被熱交換媒体流出路10とを繋ぐ被熱交換媒体用蛇行流路を形成しているため、熱交換媒体流通空間内4に形成される熱交換媒体用蛇行流路と、被熱交換媒体流通空間内8に形成される被熱交換媒体用蛇行流路とが略同形態をなし、また、伝熱プレート2,3を挟んで重なり合った状態となる。これにより、熱交換媒体と被熱交換媒体とが伝熱プレート2,3を挟んで同じ軌跡上を通ることになり、熱交換媒体と被熱交換媒体との熱交換の機会を最大限確保することができる。
【0060】
また、熱交換媒体流通空間4内に第一仕切部21aを設けて熱交換媒体用蛇行流路を形成することで、熱交換媒体の流路長を長くしつつ流路幅を狭くすることができるため、熱交換に寄与する長さを長くしつつ、熱交換媒体の流速を速めることができる。これと同様に、被熱交換媒体流通空間8内に第二仕切部22aを設けて被熱交換媒体用蛇行流路を形成することで、被熱交換媒体が流路長を長くしつつ流路幅を狭くすることができるため、熱交換に寄与する長さを長くしつつ、被熱交換媒体の流速を速めることができる。
【0061】
このように熱交換媒体及び被熱交換媒体のそれぞれは、重なり合った軌跡上で流動するにあたり、長い流路を高速で流れることになるため、被熱交換媒体に対する熱交換媒体の熱の吸収又は付与を効率的に行うことができる。
【0062】
従って、上記構成のプレート式熱交換器1は、熱交換媒体流通空間内4を流れる熱交換媒体と被熱交換媒体流通空間8内を流れる被熱交換媒体との熱交換バランスを図って熱交換率(温度効率)の高いものとなる。
【0063】
また、本実施形態に係るプレート式熱交換器1においては、熱交換媒体流通空間4を形成する伝熱部2,3には、前記第一仕切部21aに対して前記一方向に変位した位置で前記他方向の他端から一端側に延びる一つ以上の第三仕切部23aがさらに形成され、前記第一仕切部21a及び第三仕切部23aが熱交換媒体流通空間4を仕切って熱交換媒体流入路6と熱交換媒体流出路7とを繋ぐ熱交換媒体用蛇行流路を形成し、被熱交換媒体流通空間8を形成する伝熱部2a,3aには、第三仕切部23aの配置に対応して他方向の他端から一端側に延びる一つ以上の第四仕切部24aがさらに形成され、前記第二仕切部22a及び第四仕切部24aが被熱交換媒体流通空間8を仕切って被熱交換媒体流入路9と被熱交換媒体流出路10とを繋ぐ被熱交換媒体用蛇行流路を形成しているため、熱交換媒体用蛇行流路及び被熱交換媒体用蛇行流路のそれぞれは、流路長が長くなり、また流路幅も狭くなる。すなわち、熱交換媒体用蛇行流路は、第一仕切部21a及び第三仕切部23aの数に応じて流路長が長くなるとともに流路幅が狭くなる。また、被熱交換媒体用蛇行流路においても、第二仕切部22a及び第四仕切部24aの数に応じて流路長が長くなるとともに流路幅が狭くなる。従って、上記構成のプレート式熱交換器1は、効率的に熱交換できる機会を増やすことができ、熱交換性能の優れたものとなる。
【0064】
また、本実施形態に係るプレート式熱交換器1においては、前記複数の伝熱プレート2,3のそれぞれは、金属プレートをプレス成形して形成され、前記第二仕切部22a及び第四仕切部24aは、被熱交換媒体流通空間8を形成する伝熱部2a,3aが対向する相手方の伝熱部2a,3aに向けて膨出した凸条で構成され、第一仕切部21a及び第三仕切部23aは、前記第二仕切部22a及び第四仕切部24aを構成する凸条の裏側に形成される凹条を取り囲むよう形成されるとともに、熱交換媒体流通空間4を形成する伝熱部2a,3aが対向する相手方の伝熱部2a,3aに向けて膨出した凸条で構成されているため、伝熱プレート2,3がプレス成形されて被熱交換媒体流通空間8を仕切る第二仕切部22a及び第四仕切部24aが凸条に形成されても、熱交換媒体流通空間4側にショートパスラインが形成されることがなく、熱交換媒体の流れを適正なものにすることができる。すなわち、伝熱プレート2,3がプレス成形されて被熱交換媒体流通空間8を仕切る第二仕切部22a、及び第四仕切部24aが凸条に形成されるとその裏側(熱交換媒体流通空間4側)に凹条が形成されるため、その凹条が熱交換媒体流通空間4を形成する伝熱プレート2,3(伝熱部2a.3a)間にトンネル状のショートパスラインを形成してしまう。そのため、熱交換媒体流通空間4(熱交換媒体用蛇行流路)を流れる熱交換媒体が本来の経路を外れて熱交換に対する寄与度の低いショートパスラインに流れてしまうことになる。
【0065】
しかしながら、本実施形態において、第一仕切部21a及び第三仕切部23aは、前記第二仕切部22a及び第四仕切部24aを構成する凸条の裏側に形成される凹条を取り囲むように形成されるとともに、熱交換媒体流通空間4を形成する伝熱部2a.3aが対向する相手方の伝熱部2a,3aに向けて膨出した凸条で構成されているため、第一仕切部21a及び第三仕切部23aによって熱交換媒体がショートパスラインに流れ込むことを防止することができる。これにより、熱交換媒体を熱交換に対する寄与度の高い適正な経路で流通させることができる。
【0066】
さらに、本実施形態に係るプレート式熱交換器1において、前記被熱交換媒体流入路9が伝熱プレート2,3の前記一方向における他端側に形成される一方、前記被熱交換媒体流出路10が伝熱プレート2,3の前記一方向における一端側に形成されているため、熱交換媒体の流れと被熱交換媒体と流れとを反対向きにする(対向流を形成する)ことができ、より効率的な熱交換が可能となる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更し得ることは勿論のことである。
【0068】
上記実施形態において、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間8に流入させる被熱交換媒体流入路9が伝熱プレート2の前記一方向における他端側に設けられるとともに、被熱交換媒体Bを被熱交換媒体流通空間8から流出させる被熱交換媒体流出路10が、伝熱プレート2の前記一方向における一端に設けられているが、これに限定されるものではない。
【0069】
例えば、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間8に流入させる被熱交換媒体流入路9が伝熱プレート2,3の前記一方向における一端側に設けられるとともに、被熱交換媒体B
を被熱交換媒体流通空間8から流出させる被熱交換媒体流出路10が、伝熱プレート2,3の前記一方向における他端側に設けられてもよい。要は、被熱交換媒体流入路9が、伝熱プレート2,3の前記一方向における一端又は他端側の何れか一方に設けられるとともに、被熱交換媒体流出路10が伝熱プレート2,3の前記一方向における一端又は他端側の何れか他方に設けられ、熱交換媒体の流れと被熱交換媒体と流れとが同方向又は反対方向にする(平行流を形成するか対向流を形成する)ことができるように、被熱交換媒体流入路9及び被熱交換媒体流出路10が設けられればよい。
【0070】
上記実施形態において、熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流通空間4に第一仕切部21a及び第三仕切部23aの二つの仕切部を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、熱交換媒体流通空間4に仕切部を一つ又は三つ以上設けるようにしてもよい。要は、熱交換媒体用蛇行流路の流路長が長くなり、また流路幅も狭くなることによって、効率的に熱交換できる機会を増やすことができるような構成であればよい。
【0071】
また、上記実施形態において、被熱交換媒体を流通させる被熱交換媒体流通空間8に第二仕切部22a及び第四仕切部24aの二つの仕切部を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、被熱交換媒体流通空間8に仕切部を一つ又は三つ以上設けるようにしてもよい。要は、熱交換媒体用蛇行流路の流路長が長くなり、また流路幅も狭くなることによって、効率的に熱交換できる機会を増やすことができるような構成であればよい。但し、熱交換媒体用蛇行流路と被熱交換媒体用蛇行流路とが対応するように、熱交換媒体流通空間4を仕切る仕切部と被熱交換媒体流通空間8を仕切る仕切部とが対応した配置及び数に設定されることは言うまでもない。
【0072】
また、上記実施形態において、熱交換媒体流通空間4の第一仕切部21a及び第三仕切部23aは、被熱交換媒体流通空間8の第二仕切部22a及び第四仕切部24aの周囲を取り囲むように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第一仕切部21a又は第三仕切部23aが、第第二仕切部22a又は第四仕切部24aに対して各伝熱プレート2,3の一方向において位置がずれるように形成されてもよい。要は、熱交換媒体Aと被熱交換媒体Bとの熱交換の機会を最大限確保することができるような構成であればよい。
【0073】
また、上記実施形態において、伝熱プレート2,3の両面に仕切部を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、、各仕切部を伝熱プレート2,3の一方の面に形成して、相手側の伝熱プレート2,3に接触させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…プレート式熱交換器、2…伝熱プレート(第一伝熱プレート)、2a…第一伝熱部(伝熱部)、2b…第一突出部、2c…第二突出部、3…伝熱プレート(第二伝熱プレート)、3a…第二伝熱部(伝熱部)、3b…第三突出部、3c…第四突出部、4…熱交換媒体流通空間、5a…凹条、5b…凸条、6…熱交換媒体流入路、7…熱交換媒体流出路、8…被熱交換媒体流通空間、9…被熱交換媒体流入路、10…被熱交換媒体流出路、11…第一開口、12…第二開口、13…第三開口、14…第四開口、15…第五開口、17…第七開口、17a…第一凹凸部、18…第八開口、21a…第一仕切部、22a…第二仕切部、23a…第三仕切部、24a…第四仕切部、35,36…フレーム板、37,38,39,40…開口、41…筒状部、D…繊維状の異物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に複数の凹条及び凸条が交互に形成された伝熱部を有する複数枚の伝熱プレートが積層され、各伝熱プレートの伝熱部を境にして熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流通空間と被熱交換媒体を流通させる被熱交換媒体流通空間とが交互に形成され、前記熱交換媒体流通空間を形成すべく互い対向する伝熱部同士が接触状態にされる一方、前記被熱交換媒体流通空間を形成すべく互いに対向する伝熱部同士が非接触状態にされたプレート式熱交換器において、熱交換媒体を熱交換媒体流通空間に流入させる熱交換媒体流入路が伝熱プレートの一方向における一端側に設けられるとともに、熱交換媒体流通空間から熱交換媒体を流出させる熱交換媒体流出路が伝熱プレートの前記一方向における他端側に設けられ、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間に流入させる被熱交換媒体流入路が伝熱プレートの前記一方向における一端又は他端側の何れか一方に設けられるとともに、被熱交換媒体を被熱交換媒体流通空間から流出させる被熱交換媒体流出路が伝熱プレートの前記一方向における一端又は他端側の何れか他方に設けられ、熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方には、前記一方向と直交する他方向の一端から他端側に延びる一つ以上の第一仕切部が形成され、該第一仕切部が熱交換媒体流通空間を仕切って熱交換媒体流入路と熱交換媒体流出路とを繋ぐ熱交換媒体用蛇行流路を形成し、被熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方には、第一仕切部の配置に対応して他方向の一端から他端側に延びる一つ以上の第二仕切部が形成され、該第二仕切部が被熱交換媒体流通空間を仕切って被熱交換媒体流入路と被熱交換媒体流出路とを繋ぐ被熱交換媒体用蛇行流路を形成していることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方には、前記第一仕切部に対して前記一方向に変位した位置で前記他方向の他端から一端側に延びる一つ以上の第三仕切部がさらに形成され、前記第一仕切部及び第三仕切部が熱交換媒体流通空間を仕切って熱交換媒体流入路と熱交換媒体流出路とを繋ぐ熱交換媒体用蛇行流路を形成し、被熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方には、第三仕切部の配置に対応して他方向の他端から一端側に延びる一つ以上の第四仕切部がさらに形成され、前記第二仕切部及び第四仕切部が被熱交換媒体流通空間を仕切って被熱交換媒体流入路と被熱交換媒体流出路とを繋ぐ被熱交換媒体用蛇行流路を形成している請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記複数の伝熱プレートのそれぞれは、金属プレートをプレス成形して形成され、前記第二仕切部及び第四仕切部は、被熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方が対向する相手方の伝熱部に向けて膨出した凸条で構成され、第一仕切部及び第三仕切部は、前記第二仕切部及び第四仕切部を構成する凸条の裏側に形成される凹条を取り囲むよう形成されるとともに、熱交換媒体流通空間を形成する伝熱部の少なくとも何れか一方が対向する相手方の伝熱部に向けて膨出した凸条で構成されている請求項2に記載のプレート式熱交換器。
【請求項4】
前記被熱交換媒体流入路は、伝熱プレートの前記一方向における他端側に形成される一方、前記被熱交換媒体流出路は、伝熱プレートの前記一方向における一端側に形成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のプレート式熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−67940(P2012−67940A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211185(P2010−211185)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)
【Fターム(参考)】