説明

プロアントシアニジンによる性的機能及び性器血管系の改善

【課題】プロアントシアニジン源とアルギニン源を毎日服用し、所定期間続けることによる、性的機能又は性的適応度を高める方法の提供。
【解決手段】プロアントシアニジンが、内皮型NO−シンターゼ酵素を刺激し、アルギニン源である基質から一酸化窒素を合成するための触媒として作用し、時間の経過と共に、十分な量の一酸化窒素が放出され、性的機能又は性的適応度を高める方法。さらに男女ともアンドロゲンホルモンの量が少ない場合、さらなる成分として、性ホルモン若しくは性ホルモン前駆体、又は性ホルモン刺激剤若しくは性ホルモンの生物学的利用能を高めるエンハンサーを含める方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<発明の分野>
本発明は、プロアントシアニジン源、アルギニン源、所望によりホルモン補給剤を含む成分を用いて、男女の性的適応度又は機能と、性器血管系(sexual vascular system)の健康を改善することに関する。プロアントシアニジン源は、植物の抽出物であり、アルギニン源は、アルギニンアスパルテート(arginine aspartate)に由来する。ホルモン補給剤は、ホルモンそれ自体、ホルモン前駆体、ホルモン産生促進剤又はホルモンの生物学的利用能を高めるエンハンサー(hormone bioavailability enhancer)であってよい。成分の全部又は一部は、組成物の一部であるか、及び/又はキット内で互いに分離している。
【背景技術】
【0002】
<関連技術の説明>
男性は20歳台前半のときに、性的能力がピークにあると考えられている。一方、年を経るにつれて、身体の生体組織が変化し、性的スタミナ、性的能力の他に、性的楽しみさえ低下し始めることに気付くであろう。性の営みを行なう気になるために、少しの努力を必要とし始めるであろう。
【0003】
これに対し、女性の多くは、更年期に達し、卵巣から生成される性ホルモン量が少なくなったとき、性に関連する問題が起こる。エストロゲンの量が少ないと、膣組織が乾燥し、アンドロゲンが少なくなると、性欲及び性的興奮が減退する。
【0004】
男性と女性とで、性欲に影響を与える重要な違いの1つは、テストステロンの量が、男性は女性よりも20〜30倍多いことである。男性のテストステロン量は、年代とともに徐々に減少するが、女性の閉経時のような急激な変化はない。男性も女性も、テストステロン及びその他のアンドロゲンは、性欲を高める作用がある。
【0005】
女性用アンドロゲンのジェルやパッチは、性機能障害を持つ女性のためのものと考えられている。女性のアンドロゲン欠損症候群を解消させる他の手段は、1日当たり50mgのデヒドロエピアンドロステロンを補給することであり、これは、テストステロン、デヒドロテストステロン、アンドロステンジオン及びアンドロステンジオールの産生を促進する作用がある。女性のアンドロゲン状態が改善されると、性的想像が強くなり、精神的及び肉体的な性的刺激が一般的に高まる[Spark, R.F., 2002; Hackbert, L. and Heiman J.R., 2002]。
【0006】
また、女性の生殖器細胞の血流を改善することは、性的機能(sexual wellness)を改善するのに有用である。2003年3月25日のニューヨークタイムズ紙は、"Effort to Make Sex Drug for Women Challenges Experts"と題された記事を発表した。その記事によると、研究者らは、男性が、商標バイアグラの名称で市販されている薬剤の活性成分であるシルデナフィルによって受ける影響と比べると、女性の生殖器官が受ける影響は少ないことを報告している。通常ならば血流を抑制している同じ酵素をブロックしても、女性の場合、生殖組織への血液循環は、男性に勃起組織の充血を起こさせるようには劇的な増加はしない。
【0007】
研究では、シルデナフィル単独では、女性の性的興奮障害を治療できないことを示唆している。しかしながら、補助ホルモンと一緒に用いると、少なくとも1つの試験結果では、閉経後の女性202人のうちの57%が、プラセボ群の43%と比べて、生殖器の感覚に改善が認められたことが報告されている。また、シルデナフィル群の41%は、プラセボ群の27%と比べて、より大きな性満足が得られたことが報告されている。2つの群の違いは小さなものであるが、シルデナフィルは、ホルモンが健康レベルで、幸せな性的関係に役立つことを示唆している。
【0008】
女性の性機能は、男性と同様、生理学的に行われ、cGMPが陰核の組織の潤滑及び充血を引き起こすものと考えられている。前記記事の試験では、女性のホルモンレベルが健康状態にあるとき、栄養補助食品などにより、女性の性機能はある程度の改善がもたらされることを示唆している。
【0009】
女性又は男性の生殖器官への血流を増大させる他の方法は、cGMPの放出を引き起こす一酸化窒素の産生を増やすことである。シルデナフィル及びその関連物質は、血管拡張作用を有するcGMPが酵素破壊されることを阻止することによって、男性又は女性の生殖器官の血液量の増加を持続させるのに対し、一酸化窒素は、cGMPの産生を高めることによって、血液量を増大させる。
【0010】
一酸化窒素産生の生理学的な源(ソース)として、アミノ酸L−アルギニンが使用される。内皮型一酸化窒素シンターゼ酵素は、L−アルギニンから一酸化窒素を産生する。生殖器官への血流の向上及び維持を図るには、何よりもまず、生殖器官に対して、十分な量の基質L−アルギニンを補給することが必要である。しかしながら、L−アルギニンだけが高濃度で存在しても、生殖器官への血液の流れは大きくならない。L−アルギニンから一酸化窒素を産生する際、活性酵素を触媒として用いるように、内皮型一酸化窒素シンターゼをさらに刺激することが必要である。内皮型一酸化窒素シンターゼの強力な刺激剤は、プロアントシアニジン含有抽出物である。
【0011】
プロアントシアニジンは、植物の根、樹皮及び果実の中に存在し、渋味を有する植物ポリフェノールの一種である。プロアントシアニジンは、プロシアニジン(procyanidins)とプロデルフィニジン(prodelphinidins)を含んでいる。プロアントシアニジンは、フラバンをサブユニットとする生体高分子(biopolymers)である。プロシアニジンは、カテキンとエピカテキンをユニットとして構成され、単量体プロシアニジンとも称される。
【0012】
プロアントシアニジンは、水、エタノール又はアセトン、又は二酸化炭素などの溶媒を使用して、公知の方法によって植物材料から抽出される。抽出物は、溶媒/溶媒抽出、限外濾過(ultra filtration)又はクロマトグラフ法によって精製される。精製された抽出物、溶媒蒸発、凍結乾燥又はスプレー乾燥によって濃縮される。
【0013】
フランス海岸松の樹皮から抽出されたプロアントシアニジンを豊富に含む抽出物は、スイスのホーファー・リサーチ社から、商標名Pycnogenol(ピクノジェノール)(登録商標)として販売されている。抽出物は、プロアントシアニジン70〜75重量%と、他のフラバノール(例えば、カテキン、エピカテキン及びタクシフォリン)を含んでいる。プロアントシアニジンが豊富な抽出物は、その他にも、ブドウの種、イトスギの球果、ココア豆又はその他の植物材料から得ることができる。松樹皮抽出物のピクノジェノール(登録商標)は、内皮型一酸化窒素シンターゼ刺激し、血管拡張を引き起こすことが明らかにされている[Fitzpatrick, D.F., Bing, B., Rohdewald, P., 1998]。
【発明の概要】
【0014】
<発明の要旨>
本発明の一態様は、男女とも、服用によって、性的な反応、持久力及び快楽を、持続及び維持するための安全で自然的な方法を提供できる生成物である。それは、具体的には、プロアントシアニジンとアルギニン源である基質とを配合(blend)した製剤(preparation)を含んでいる。基質は望ましくは、L−アルギニンとアスパラギン酸との塩又はジペプチド、例えばアルギニンアスパルテートである。前記配合物を投与すると、内皮型NO−シンターゼは、プロアントシアニジンによって刺激される。刺激された内皮型NO−シンターゼ酵素は、基質から一酸化窒素を合成するための触媒として作用し、その結果、一酸化窒素は、基質から放出される。アルギニン源とプロアントシアニジンは、治療的に有効量を投与することによって、十分な量の一酸化窒素が合成され放出されるので、毎日の投与を所定期間行なうと、所定期間終了までに、性的適応度(sexual fitness)又は機能が改善される。なお、アンドロゲンホルモンの欠乏を解消させて、性的興奮及び欲求を増加又は復活させることができるように、前記配合物には、テストステロン又はデヒドロエピアンドロステロンを含めることができる。また本願発明は、精子能力を向上し、受精率を向上することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るキットを示す図である。
【0016】
<発明の詳細な説明>
本発明は、アルギニン(例えばL−アルギニン)源とプロアントシアニジン源との配合物を長期間使用することに関する。アルギニンの源は、アルギニンとアスパラギン酸との塩又はペプチド、例えばアルギニンアスパルテートが好ましい。プロアントシアニジンの源は、ピクノジェノール(登録商標)又は他のプロアントシアニジン含有抽出物であることが好ましい。
【0017】
前記配合物を所定期間に亘って経口投与することにより、血管の健康を保護、回復及び維持し、生殖器領域への血流を改善し、その結果、男性の勃起又は女性器の充血を増進し、体の性的反応が昂進され、性器血管系の健康が改善される。
【0018】
アルギニン源とプロアントシアニジン源の配合物を経口投与することにより、性的適応度又は性的機能に対する効果が達成される。即ち、所定期間投与すると、配合物による効果が累積され、性的満足度が高まる。
【0019】
女性又は男性におけるアンドロゲンホルモンの産生が、性的機能に必要な精神的条件をもたらすのに不十分である場合、アンドロゲンホルモン又はアンドロゲンホルモンの前駆体の添加により、性的刺激及び性欲を昂進させることができる。アンドロゲンホルモンの前駆体の例として、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)及び硫酸デヒドロエピアンドロステロン(DHEAS)がある。
【0020】
ハーバライフ社(Herbalife)は2品の男性用性的機能向上品を販売している。第1の商品は、商標名「OPTIMUM PERFORMANCE」の名称で販売されている刺激剤であり、これは、男性ホルモンのテストステロンの産生を刺激する作用があり、リビドーを改善し、筋肉の発達を促進する。第2の商品は、商標名「MALE FACTOR 2000」の名称で販売されており、これは、テストステロンの生体利用能を促進する作用があり、フリーテストステロンの比率を増やすことにより、活力、スタミナ及び筋肉の明確さ(muscle definition)が高められる。これら2種類の商品を、本発明のアルギニン源及びプロアントシアニジン源の配合物と共に服用すると、男性の性欲及び性的機能が向上し、スタミナ、活力及び能力が付加される。
【0021】
性的能力増進のための薬剤は、一時的な解決手段又は誘惑的な「即効薬」となるが、好ましくない副作用があり、また高価である。本発明の製剤は、自然栄養補助食品成分を含む配合物であって、安全な自然食品で、費用的にも、医薬品の代替となり得るものである。
【0022】
本発明の製剤は、複数成分を配合したものであり、錠剤又は液体の組成物としての態様、又は異なる錠剤又は液体を別々の成分として含む態様があり、どちらの場合も、キット(10)にパッケージされる。後者の場合、別々の成分(12)は、液体の場合にはそれらを配合して同時に服用することもできるし、錠剤の場合には順次服用することもできる。追加の成分(14)として、例えば、ホルモン(例えば、テストステロン又はエストロゲン)又は、ホルモン産生刺激剤、ホルモン(例えば、テストステロン又はエストロゲン)の生体利用能を高めるエンハンサー源、ホルモンの前駆体などをキット(10)に含めることもできる。
【実施例1】
【0023】
ブルガリア国ソフィアのMaichin DomにあるThe Seminological Laboratory SBALAGのRomil StanislavovとV. Nikolovaは、内因性NOの量を増やすことにより、勃起障害を克服できるかどうかを調査した。この目的のために、一酸化窒素シンターゼの刺激作用を有することが知られているピクノジェノール(登録商標)の松樹皮抽出物が、この酵素の基質であるL−アルギニンと共に経口投与された。
【0024】
この試験は、少なくとも3ヶ月間以上の勃起機能障害が確認されている25歳〜45歳(平均年齢36.6±5.3)の40名の男性について実施した。それらの男性は、性的刺激を受けた後、勃起が不十分で、硬さが不足し、膣への挿入及び性交を完了させることができなかった。全ての被験者は、6ヶ月以上1対1の安定した性関係をもつことのできる女性パートナーを必要とした。
【0025】
なお、重い心疾患、高血圧、腎不全、肝不全、内分泌異常、精神疾患を有する者は除外した。また、血管作用薬、外科手術又は機械装置によって勃起障害の治療中又は最近まで治療を受けていた者は除外した。勃起障害に関して他の治療を受けている者も除外した。試験は、ブルガリアのEthics Committee of Medical Research Board of the University of Sofiaによって承認され、承諾書は、各被験者から得ている。
【0026】
全ての被験者は、O'Learyの質問[O'Leary MP, et al. A brief male sexual function inventory for urology(泌尿器学的にまとめた男性の性機能]に回答した。この質問は、性欲、勃起機能、症状の評価及び全体的な性的満足などの項目に対する11の質問を含んでいる。発明者らが特別に作成した性機能に関する追加質問は、性行為を試みた回数と、失敗回数であり、勃起不十分の状況を区別することに特に重点を置いた。
1.弱い(Weakened):陰茎は大きくなり、ある程度堅くなるが、膣に挿入するには不十分である。
2.時間がかかる(Delayed):勃起するが、挿入するには不十分であり、さらに、通常よりも多くの時間を要する。
3.行為困難(Hesitating):接触の前後において、勃起が不安定であり、性交が困難である。
4.行為不能(Loosing):愛撫中は勃起するが、挿入しようとした時又は性交中に萎える。
【0027】
試験を行なう間、全ての被験者に対して、性行為を毎日行なうように依頼した。なお、信頼性の高い基準値(baseline values)を得るために、観察の最初の3週間は、観察期間(run-in phase)として、投薬無しでの性行為の実施を依頼した。1か月目、全ての被験者は、Sargenor(Sarget Pharma, Codex, France)を毎日3アンプル与えられた。Sargenorの各アンプルには、5ml液中に1gのL−アルギニンアスパラテート(L−アルギニン0.57gに相当)が含まれている。2か月目、被験者は、Sargenorを継続して服用すると共に、さらに、毎日朝晩2回ずつ、40mgのピクノジェノール(登録商標)錠剤[Hankintatukku, Helsinki, Finland]を服用した。3か月目、被験者は、Sargenorの服用を続けると共に、ピクノジェノール(登録商標)抽出物の服用量を1日当たり3×40mgに増量した。Sargenor単独のときの反応と、ピクノジェノール(登録商標)と併用したときの反応について、容認された勃起状態の評価スケール[O'Leary MP, et al. A brief male sexual function inventory for urology(泌尿器学的にまとめた男性の性機能). Urology 1995; 46:697-706]に基づいて評価した。評価は、試験開始後、1か月の各段階毎に、事実報告と質問方法(inquiry method)を用いて行なった。データの信頼性を確かなものとするために、男性被験者が質問の回答を記入し、一方、女性のパートナーは、発明者らが提起した質問に対して短い回答を記入した。
【0028】
結果は、統計学的比較に使用される平均値(SEM)及びスチューデントt−検定により、統計学的に分析した。p<0.05は有意差を示すと考えられる。
【0029】
1か月間Sargenorを服用した後、2人の被験者(全被験者の5%)だけが正常な勃起を示した(表1)。しかしながら、改善は、服用前に比べて、有意差は認められなかった。1か月経過後、Sargenorの服用に加えて、毎日80mgのピクノジェノール(登録商標)抽出物を加えたところ、有意的な改善が認められ、32人の被験者(80%)に正常な勃起が起こった。次の1か月間、Sargenorと、増量したピクノジェノール(登録商標)抽出物(毎日120mg)を服用すると、被験者の多くにさらなる改善が認められ、勃起機能が正常に回復した。試験終了時には、全被験者者の92.5%に相当する37人の被験者に回復が認められた。
【表1】

【0030】
表1:勃起障害を有する40人の被験者について、Sargenor単独使用(最初の1か月)、Sargenorとピクノジェノール(登録商標)の併用(第2か月及び第3か月)の場合の臨床結果を示している。服用前に対する服用後の統計学的有意差は、星印1つ(p<0.05)、又は星印2つ(p<0.01)(スチューデントt−検定)で示されている。
【0031】
試験期間中に正常な勃起機能を得た被験者について、自然な性的刺激を受けてから勃起するまでの時間と、勃起の持続時間を記録した(表2)。Sargenor単独で反応を示した2人の被験者は、反応が現れるまでに10分を要した。Sargenorとピクノジェノール(登録商標)抽出物を併用した試験では、反応が現れるまでの時間が飛躍的に短縮された。勃起の平均持続時間は、Sargenorだけを服用した被検者はかなり短いが、ピクノジェノール(登録商標)抽出物を毎日80mg服用すると、倍に延びた。ピクノジェノール(登録商標)抽出物の服用量を毎日120mgに増量すると、勃起の持続時間は飛躍的に延びた(表2)。
【表2】

【0032】
表2:勃起機能が回復した被験者について、勃起反応に関する主な特徴を示している。自然な性的刺激に反応して勃起するまでの平均時間(SEM)と、勃起の持続時間が記載されている。
【0033】
Sargenorとピクノジェノール(登録商標)抽出物を併用することは、年齢及び勃起障害の原因とは関係なく、有効である。さらに、勃起障害の障害期間及びこれまでの治療法とは関係なく、良好であった。
【0034】
また、試験中、副作用は観察されなかった。被験者からは、過剰刺激の報告はなく、陰茎持続勃起症は観察されなかった。
【0035】
なお、ピクノジェノール(登録商標)を服用した2000人の被験者に関する臨床経験報告書では、好ましくない効果(unwanted effects)の割合は1.5%であった。その内訳は、胃腸障害が主であり、その他に、めまい、吐き気及び頭痛が少しあった。好ましくない効果の大部分は、事実上は、軽微なものであった[Rohdewald P. French maritime pine bark extract (Pycnogenol(R)), a versatile herbal supplement(フランス海岸松樹皮抽出物(ピクノジェノール(登録商標))、用途の広いハーブ系サプリメント). Clin Pharmacol Ther., 2002]。
【0036】
この試験は、自然な方法で機能的勃起障害を効果的に克服し得ることを示している。L−アルギニンと、松樹皮抽出物ピクノジェノール(登録商標)の成分(プロシアニジン、カテキン、タクシフォリン及びフェノールフルーツ酸)とは、何れも天然の食品成分である。5型ホスホジエステラーゼ(PDE5)の阻害薬は、「要求に応じて」しばしば適用され、所望の作用を得るのに30〜60分必要である[Uckert S. Kuthe A, Stief CG, Jonas U. Phosphodiesterase isoenzymes as pharmacological targets in the treatment of male erectile dysfunction(男性の勃起障害の治療における薬理学的標的としてのホスホジエステラーゼ・イソエンザイム). World J Urol 2001;19:14-22。Meulemann E, et al.A dose-escalation study to assess the efficacy and safety ofsildenafil citrate in men with erectile dysfunction(勃起障害をもつ男性におけるクエン酸シルディナフィルの効能及び安全を評価するための投与量増加の研究). BJU Int 2001;87:75-81]。
【0037】
また、PDE5は、陰茎だけにとどまるのではなく、そして、頭痛、吐き気、顔面の発赤、めまいなどの広範な副作用を結果として生じる。最も憂慮すべきなのは、網膜に対する影響であって、色知覚の変化と、"star vision"と称される色覚異常を生じる[Meulemann E, et al. A dose-escalation study to assess the efficacy and safety of sildenafil citrate in men with erectile dysfunction(勃起障害をもつ男性におけるクエン酸シルディナフィルの効能及び安全を評価するための投与量増加の研究). BJU Int 2001;87:75-81]。シルデナフィルの使用に関係する重大な副作用が幾つかあり、それには、卒倒、心筋梗塞、脳卒中発症、さらに致命的な心臓疾患が含まれる[Cohen JS. Is the sildenafil product information adequate to facilitate informed therapeutic decisions(シルデナフィルの製品情報は、治療の決定を行なう情報として適切か). Ann Pharmacother 2001;35:337-342]。作用のメカニズムを考慮すると、ピクノジェノール(登録商標)と共にシルデナフィルを使用するときは、慎重であるべきである。ピクノジェノール(登録商標)はNOの産生を増大し、NOは二次メッセンジャーcGMPの産生を高めるが、シルデナフィルはcGMPの分解を抑制する。
【0038】
このように、両物質が同時に作用すると、cGMPの増加が促進される。ピクノジェノール(登録商標)抽出物との相乗効果により、シルデナフィルの服用量を減少することができるので、同じ効果で副作用を少なくすることができる。
【実施例2】
【0039】
Dr. StanislavovとDr. Nikolovaの研究において、テストステロンが正常値より低い45〜60歳の男性50人は、二次性不妊(secondary fertility)の理由で、毎日、ピクノジェノール(登録商標)120mg、L−アルギニン(Sargenor)1.71g、テストステロン・ウンデカノエート(Testosterone undecanoate)120mgを、12か月間の期間に亘って服用した。被験者は、治療によって勃起が改善したかどうかの質問(Global efficacy questionnaire)に回答した。
【0040】
服用前の時点で、正常な勃起を報告した被験者は僅か10%である。
【表3】

【0041】
L−アルギニンを1か月服用した後、正常な勃起ができた男性の数は、有意的ではないが、16%に増加した。ピクノジェノール(登録商標)とテストステロン・ウンデカノエートを服用した後、正常な勃起機能を経験した男性の割合は、服用期間中に、40%から76%に増加した。さらに、精液の質が有意的に改善され、カップルの44%が妊娠した。
【0042】
実施例2は、テストステロンが異常に低い値で、二次性不妊及び性機能障害を持つ男性が、勃起機能と精液の質が大いに改善されたことを示している。L−アルギニンを、内皮型一酸化窒素シンターゼの刺激剤及び性ホルモンテストステロンと共に継続的補給することにより、性的機能及び受精率が向上した。
【0043】
Lーアルギニン及びプロアントシアニジン含有抽出物を日常的に服用することにより、健康なカップルであれば、パートナーの刺激に対して自然に反応することができる。ホルモン、ホルモン前駆体又はホルモンの生物学的利用能を高めるエンハンサーと共に使用することは、アンドロゲンホルモンの産生が減少している男女の両方に有用である。
【0044】
本発明に基づいて最高レベルの性的機能及び良好な性器血管系を得た後は、本発明の調製物を、組成物の成分又はキット中の別成分として1日投与しなかった場合でも、最高レベルの性的機能及び良好な性器血管系の状態は、本発明に基づいて調製した物を最初に服用する前と同レベルに戻ることはない。体内には、幾らかの残留効果があり、これが翌日に継続するので、毎日の服用が1回又はその後に行われると、性的機能び性器血管系の良好な状態は、以前と同じ最高レベルに回復する。
【0045】
本発明に基づく製剤は、組成物の成分として配合されている場合も、別個に調製されたものがキットとして一緒に販売されている場合も、販売促進のために、商業広告が行われることがある。なお、広告では、調製物は、性的機能又は性的適応度の増進を宣伝すると共に、毎日の服用が推奨される。
【0046】
前記の説明及び図面は、本発明の望ましい実施例を示したものであるが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更及び変形をなせることは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
性的機能を改善するための製剤であって、
一酸化窒素を生成するためのアルギニン源としての基質と、
一酸化窒素を合成するための触媒として作用するプロアントシアニジンを、内皮型NO−シンターゼ酵素を刺激することのできる量を含有する刺激剤と、
を構成成分として含んでおり、
前記構成成分は、治療のために、所定期間に亘って少なくとも毎日投与すると、十分な量の一酸化窒素が合成されて放出され、所定期間の終了までに性的機能を改善させるのに有効な量である製剤。
【請求項2】
構成成分は配合されて一の組成物を構成することを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
請求項1の製剤が入れられた容器であることを特徴とするキット。
【請求項4】
容器内に少なくともホルモン補給剤を含むことをさらに特徴としており、該ホルモン補給剤は、血液中のホルモンの濃度を高める作用を有するホルモン濃度上昇剤と、ホルモンの産生を刺激する作用を有するホルモン産生刺激剤と、ホルモン前駆体とから成る群から選択される請求項3に記載のキット。
【請求項5】
容器内に少なくとも一種のホルモン補給剤を含むことをさらに特徴としており、該ホルモン補給剤は、生物学的利用能をより向上させるために、フリーホルモンの割合を増加させる作用を有する請求項3に記載のキット。
【請求項6】
容器内に少なくとも一種のホルモン補給剤を含むことをさらに特徴としており、該ホルモン補給剤は、性ホルモンと、性ホルモン前駆体と、性ホルモン産生を刺激し、性ホルモンの生物学的利用能を向上させる作用を有する刺激剤とから成る群から選択される構成成分を含んでいる請求項3に記載のキット。
【請求項7】
基質と刺激剤は組成物の一部であることを特徴とする請求項3に記載のキット。
【請求項8】
構成成分は容器内で互いに分離し区別されていることを特徴とする請求項3に記載のキット。
【請求項9】
一酸化窒素シンターゼ酵素を刺激し、一酸化窒素を放出することによって性的機能を高める薬物を生産するために、製剤を所定期間に亘って毎日投与することを特徴とする製剤の使用であって、前記製剤は、基質と刺激剤を構成成分として含有し、前記基質は、一酸化窒素を生成するためのアルギニン源であり、前記刺激剤は、内皮型NO−シンターゼ酵素を刺激するために、一酸化窒素を合成するための触媒として作用するプロアントシアニジンを含んでおり、前記構成成分は、所定期間の終了までに性的機能を改善させるのに十分な量の一酸化窒素を合成し、該一酸化窒素の放出を引き起こすのに十分な量である、製剤の使用。
【請求項10】
製剤は、昂進用の成分と持続用の成分を含んでおり、昂進用成分の含有量は、持続用成分よりも多く、性的機能の改善は、昂進用成分を毎日投与することにより、所定期間の終了までに達成され、その後、改善された性的機能は、持続用成分を毎日投与することによって維持されることを特徴とする請求項9の使用。
【請求項11】
製剤は、血液中のホルモンの濃度を高めるホルモン濃度上昇剤と、ホルモンの産生を刺激するホルモン産生刺激剤と、ホルモン前駆体とから成る群から選択されるホルモン補給剤を含むこをと特徴とする請求項9の使用。
【請求項12】
製剤は、生物学的利用能をより向上させるために、フリーホルモンの割合を増加させる少なくとも一種のホルモン補給剤を含むことを特徴とする請求項9の使用。
【請求項13】
製剤は、性ホルモンと、性ホルモン前駆体と、性ホルモン産生を刺激し、性ホルモンの生物学的利用能を向上させる作用を有する刺激剤と、から成る群から選択されるものを構成成分として有するホルモン補給剤を含むことを特徴とする請求項9の使用。
【請求項14】
構成成分は配合されて一の組成物を構成することを特徴とする請求項9の使用。
【請求項15】
構成成分は互いに分離し区別されていることを特徴とする請求項9の使用。
【請求項16】
請求項1の製剤を商業広告することを特徴とする請求項1の製剤の普及促進方法。
【請求項17】
広告は、製剤が性的機能を改善すること又は性的適応度を向上させることを含むことを特徴とする請求項16の方法。
【請求項18】
広告は、製剤が毎日投与されることを推奨することを含むことを特徴とする請求項16の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−6948(P2012−6948A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−170970(P2011−170970)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【分割の表示】特願2006−500275(P2006−500275)の分割
【原出願日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願人】(510339773)ホーファー リサーチ アイピー(ピーアールイー)リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】HORPHAG RESEARCH IP(PRE)LTD
【Fターム(参考)】