説明

プログラマブルコントローラのAC入力装置

【課題】100V系または200V系専用のAC入力装置に比べて装置が大幅に大型化することなく、100V系および200V系の両方のAC入力に対応可能とする。
【解決手段】制御部3は、判別回路5から交流電源11が200V系であるという結果が与えられるとフォトカプラ8をオフする。これにより、入力端子6からコンデンサC1、抵抗R1、R2を通じて入力端子7に至る通電経路が形成される。制御部3は、判別回路5から交流電源11が100V系であるという結果が与えられるとフォトカプラ8をオンする。これにより、入力端子6からコンデンサC1、C2の並列回路、抵抗R1、R2を通じて入力端子7に至る通電経路が形成される。コンデンサC1、C2は同一の静電容量値を有する。フォトカプラ8がオンした状態で形成される通電経路のインピーダンスは、フォトカプラ8がオフした状態で形成される通電経路のインピーダンスに対して1/2となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器から与えられる交流電圧を外部入力信号として内部回路に入力するAC入力回路を備えたプログラマブルコントローラのAC入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラマブルコントローラには、その制御対象となる外部機器(例えばスイッチ、センサなど)から与えられる外部入力信号を内部回路に入力するための入力装置が設けられる(例えば特許文献1参照)。このような入力装置は、入力する外部入力信号の数(チャンネル数)に対応した数の入力回路を備えている。また、上記外部入力信号としては、交流(AC)入力信号と直流(DC)入力信号とがある。図4は、AC入力信号を入力するためのAC入力回路の一構成例を示している。図4に示すAC入力回路101は、入力端子102、103、コンデンサC101、C102、抵抗R101〜R103およびフォトカプラ104を備えている。
【0003】
入力端子102は、スイッチ105を介して交流電源106の一方の端子に接続されている。入力端子103は、交流電源106の他方の端子に接続されている。入力端子102、103間には、コンデンサC101および抵抗R101、R102が互いに直列接続されている。抵抗R102は、スイッチ105がオンした瞬間の突入電流を制限するためのものである。抵抗R103は、スイッチ105がオフした際にコンデンサC101の電荷を放電するためのものであり、コンデンサC101に対して並列接続されている。コンデンサC102は、ノイズ除去用のものであり、抵抗R101に対して並列接続されている。フォトカプラ104は、AC入力対応型であり、抵抗R101の端子間電圧が一次側素子(互いに逆並列接続された2つの発光ダイオード104a、104b)に印加される。図示は省略するが、フォトカプラ104の二次側素子(フォトトランジスタ)のオンオフに応じた信号が外部入力信号として内部回路に与えられる。
【0004】
このような構成によれば、スイッチ105がオンされた状態では、交流電源106から出力される交流電圧が入力端子102、103間に印加される。そのため、コンデンサC101および抵抗R101、R102を通じて電流が流れる。その電流の値は、交流電圧の値、コンデンサC101の静電容量値および抵抗R101、R102の抵抗値などの回路定数により定まる。上記電流が流れることにより抵抗R101の端子間に生じる電圧が、フォトカプラ104の一次側素子がオンする電圧(順方向電圧VF)を超えると、二次側素子がオンして外部機器のオン状態を示す外部入力信号が内部回路に与えられる。一方、スイッチ105がオフされた状態では、交流電圧が入力端子102、103間に印加されないので、上記電流は流れず、抵抗R101の端子間には電圧が生じない。そのため、フォトカプラ104の二次側素子はオフのままであり、外部機器のオフ状態を示す外部入力信号が内部回路に与えられる。
【0005】
外部機器において用いられる交流電源としては、100V系および200V系が存在する。これら100V系および200V系では、国際規格(IEC61131−2)により定められている仕様が互いに異なる。特に、オフ状態を示す外部入力であると判断するためのオフ状態電圧(Off-State Voltage)の最大値が、100V系では20Vacであるのに対して200V系では40Vacである。また、オン状態を示す外部入力であると判断するためのオン状態電圧(On-State Voltage)の最小値が、100V系では79Vacであるのに対して200V系では159Vacである。すなわち、100V系と200V系とでは、AC入力回路のフォトカプラをオン/オフする交流電圧のしきい値が異なる。
【0006】
そのため、従来のプログラマブルコントローラにおいては、100V系の仕様を満たすべく上記回路定数(特にコンデンサC101の静電容量値および抵抗R101の抵抗値)が設定された100V系専用のAC入力回路を備えたAC入力装置と、200V系の仕様を満たすべく上記回路定数が設定された200V系専用のAC入力回路を備えたAC入力装置とが、別々に用意されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−147006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在、1つのAC入力装置により、100V系および200V系の両方のAC入力に対応可能とすることが望まれている。これを実現するため、100V系専用のAC入力回路および200V系専用のAC入力回路の両方を備え、それぞれの入力端子を互いに並列接続する構成を用いることが考えられる。しかし、このような構成を採用した場合、1つの外部入力信号を入力するためのAC入力回路を構成する回路素子の数が倍増する。そのため、100V系または200V系専用のAC入力装置に比べ、装置が大幅に大型化するという問題が生じる。このような問題は、チャンネル数が増加するほど顕在化する。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、100V系または200V系専用のAC入力装置に比べて装置が大幅に大型化することなく、100V系および200V系の両方のAC入力に対応可能なプログラマブルコントローラのAC入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の手段によれば、外部機器から与えられる交流電圧を外部入力信号として内部回路に入力するAC入力回路を備えているとともに、判別手段を備えている。AC入力回路は、交流電圧が印加される一対の入力端子と、一対の入力端子間に互いに直列接続された第1の入力用コンデンサ、入力用抵抗および突入電流制限用抵抗と、第1の入力用コンデンサに対して並列接続された放電用抵抗と、第1の入力用コンデンサに対して並列接続された第2の入力用コンデンサおよび半導体リレーの直列回路と、入力用抵抗の端子間電圧が入力されるAC入力対応型のフォトカプラとを備えている。判別手段は、一対の入力端子間に印加される交流電圧が100V系であるか200V系であるかを判別する。半導体リレーは、判別手段により交流電圧が100V系であると判別されるとオンされ、200V系であると判別されるとオフされるようになっている。
【0011】
このような構成によれば、交流電圧が200V系であると判別されて半導体リレーがオフされた状態では、一方の入力端子から第1の入力用コンデンサ、入力用抵抗および突入電流制限用抵抗を通じて他方の入力端子に至る通電経路が形成される。その通電経路のインピーダンスは、第1の入力用コンデンサの静電容量値と入力用抵抗および突入電流制限用抵抗の抵抗値とにより定まる。これに対し、交流電圧が100V系であると判別されて半導体リレーがオンされた状態では、一方の入力端子から第1の入力用コンデンサおよび第2の入力用コンデンサの並列回路、入力用抵抗および突入電流制限用抵抗を通じて他方の入力端子に至る通電経路が形成される。その通電経路のインピーダンスは、第1の入力用コンデンサおよび第2の入力用コンデンサの並列合成静電容量値と入力用抵抗および突入電流制限用抵抗の抵抗値とにより定まる。なお、放電用抵抗は、一対の入力端子に対する交流電圧の印加が停止された際に第1の入力用コンデンサおよび第2の入力用コンデンサの電荷を放電するためのものであり、上記通電経路の形成に直接的には関係しない。
【0012】
上記各通電経路は、いずれもCR直列回路となっている。CR直列回路のインピーダンスは、抵抗の抵抗値に比例するとともに、コンデンサの静電容量値に反比例する。上記構成では、第1の入力用コンデンサおよび第2の入力用コンデンサが互いに同程度の静電容量値を有しているため、半導体リレーがオンした状態に形成されるCR直列回路の静電容量値は、半導体リレーがオフした状態に形成されるCR直列回路の静電容量値に対して2倍程度となる。一方、各CR直列回路の抵抗値は、互いに同一の値となる。従って、交流電圧が100V系である場合に形成される通電経路(CR直列回路)のインピーダンスは、交流電圧が200V系である場合に形成される通電経路(CR直列回路)のインピーダンスに対して概ね1/2となる。なお、上述した同程度とは、完全に同一である場合だけではなく、多少の差があってもよいことを意味している。そして、その差の許容範囲としては、後述する100V系および200V系の規格値を満たすことが可能な範囲であればよい。
【0013】
上記構成のAC入力回路においては、一対の入力端子間に交流電圧が印加されることにより上記通電経路に電流が流れ、入力用抵抗の端子間に生じる電圧がフォトカプラの一次側素子がオンする電圧を超えると、二次側素子がオンし、それに対応した外部入力信号(例えば外部機器のオン状態を示す外部入力信号)が内部回路に与えられる。なお、上記交流電圧の印加が開始された瞬間に流れる突入電流は、突入電流制限用抵抗の作用により制限される。また、入力用抵抗の端子間に生じる電圧がフォトカプラの一次側素子がオンする電圧未満であると、二次側素子がオフし、それに対応した外部入力信号(例えば外部機器のオフ状態を示す外部入力信号)が内部回路に与えられる。入力用抵抗の端子間電圧は、上記通電経路に流れる電流により定まる。そして、その電流は、交流電圧の値および通電経路のインピーダンスにより定まる。前述したように、上記構成においては、交流電圧が100V系である場合に形成される通電経路のインピーダンスは、交流電圧が200V系である場合に形成される電流経路のインピーダンスに対して1/2となる。
【0014】
そのため、一対の入力端子間に印加される交流電圧が100V系である場合と200V系である場合とにおいて、入力用抵抗の端子間に生じる電圧の値はほぼ同様の値となる。従って、半導体リレーがオフした状態において200V系の規格値を満たすように、各回路素子の定数を設定すれば、必然的に、半導体リレーがオンした状態において100V系の規格値を満たすようになる。従って、本手段によれば、100V系および200V系の両方のAC入力に対応可能とすることができる。
【0015】
上記したように、本手段のAC入力回路は、100V系および200V系兼用とするため、100V系専用のAC入力回路または200V系専用のAC入力回路に対し、1つのコンデンサ(第2の入力用コンデンサ)および1つの半導体リレーが追加されている。しかし、本手段のAC入力回路は、単純に100V系専用および200V系専用の2つのAC入力回路を用いる場合に比べると、1つのコンデンサ(第1の入力用コンデンサ)、3つの抵抗(突入電流抑制用抵抗、入力用抵抗、電荷放電用抵抗)および1つのフォトカプラについての兼用化が図られている。半導体リレー(Solid State Relay)およびフォトカプラの体格は概ね同等であると考えられる。従って、本手段の100V系および200V系兼用のAC入力回路は、単純に100V系専用および200V系専用の2つのAC入力回路を用いた構成に比べると、兼用化された3つの抵抗の分だけ、装置の体格を小さくすることができる。
【0016】
なお、本手段では、判別手段が別途必要となるが、その判別手段は、AC入力回路の数(AC入力のチャンネル数)にかかわらず、1つ設ければよいため、AC入力のチャンネル数が増加するほど、判別手段が追加されることによる装置の大型化への寄与度が相対的に低くなる。一般に、プログラマブルコントローラのAC入力のチャンネル数は複数であり、複数のAC入力回路が必要となるため、判別手段の追加に伴うサイズ増加の影響は比較的小さい。従って、本手段によれば、100V系または200V系専用のAC入力装置に比べて装置が大幅に大型化することなく、100V系および200V系の両方のAC入力に対応可能とすることができる。
【0017】
請求項2に記載の手段によれば、AC入力回路は、入力用抵抗に対して並列接続されたコンデンサを備えている。コンデンサは、入力用抵抗の端子間電圧、つまりフォトカプラの一次側素子に印加される電圧に対するノイズの影響を抑制するためのものである。このようなコンデンサは、上記通電経路の形成に直接的に関与しないため、印加される交流電圧の種類に応じて定数を変化させる必要がない。つまり、100V系および200V系において兼用可能である。本手段によれば、単純に100V系専用および200V系専用の2つのAC入力回路を用いた構成に比べると、さらに1つのコンデンサが兼用化される分だけ、装置の体格を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、プログラマブルコントローラのAC入力装置を概略的に示す図
【図2】比較例を示す図1相当図
【図3】AC入力装置を構成する部品の点数を示す図
【図4】従来技術を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図3を参照しながら説明する。
図1は、プログラマブルコントローラのAC入力に係る部分の構成を概略的に示している。図1に示すように、プログラマブルコントローラ1は、AC入力装置2および制御部3を備えている。AC入力装置2は、AC入力回路4および判別回路5を備えている。AC入力回路4は、入力される交流電圧を外部入力信号として制御部3(内部回路に相当)に与える。その交流電圧は、プログラマブルコントローラ1の制御対象である外部機器から与えられる。判別回路5は、上記交流電圧が100V系および200V系のいずれであるのかを判別し、その判別結果を制御部3に与える。なお、図1では、1つの外部入力信号に対応する1チャンネル分のAC入力回路4のみを示しているが、実際にはAC入力回路4は、複数チャンネル分設けられている。
【0020】
AC入力回路4は、一対の入力端子6、7、コンデンサC1〜C3、抵抗R1〜R3およびフォトカプラ8、9を備えている。入力端子6は、外部機器側に配置されるスイッチ10を介して交流電源11の一方の出力端子に接続されている。入力端子7は、交流電源11の他方の出力端子に接続されている。交流電源11は、100V系(79Vac〜132Vac/47Hz〜63Hz)または200V系(159Vac〜265V/47Hz〜63Hz)のものが用いられる。
【0021】
入力端子6、7間には、コンデンサC1(第1の入力用コンデンサに相当)および抵抗R1(入力用抵抗に相当)、R2が互いに直列接続されている。抵抗R2(突入電流制限用抵抗に相当)は、スイッチ10がオンした瞬間にAC入力回路4に流れる突入電流を制限するために設けられている。抵抗R3(放電用抵抗に相当)は、スイッチ10がオフした際にコンデンサC1(およびコンデンサC2)の電荷を放電するためのものであり、コンデンサC1に対して並列接続されている。フォトカプラ8(半導体リレーに相当)は、一次側素子として発光ダイオード8aを備えるとともに、二次側素子としてフォトトライアック8bを備えるトライアック出力型のものである。発光ダイオード8aのアノードは、制御用電圧Vcc(例えば+5V)が供給される電源端子12に接続されている。発光ダイオード8aのカソードは、制御部3のスイッチ切替端子13に接続されている。フォトトライアック8bおよびコンデンサC2(第2の入力用コンデンサに相当)の直列回路は、コンデンサC1に対して並列接続されている。コンデンサC1、C2は、互いに同一の静電容量値を持つものが用いられる。
【0022】
コンデンサC3は、抵抗R1の端子間電圧に対するノイズの影響を除去するためのものであり、抵抗R1に対して並列接続されている。抵抗R1の端子間電圧は、フォトカプラ9の一次側素子の端子間に与えられる。フォトカプラ9は、一次側素子として互いに逆並列接続された2つの発光ダイオード9a、9bを備えるAC入力対応型である。発光ダイオード9a、9bの順方向電圧VFは、例えば1.2Vとなっている。また、フォトカプラ9は、二次側素子としてフォトトランジスタ9cを備えたトランジスタ出力型のものである。フォトトランジスタ9cのコレクタは、電源端子12に接続されている。フォトトランジスタ9cのエミッタは、制御部3の外部入力端子14に接続されている。
【0023】
制御部3は、電源端子12を通じて制御用電圧Vccの供給を受けて動作する。制御部3は、スイッチ切替端子13に対し、制御用電圧Vcc(+5V)を与える状態と、接地電位(0V)を与える状態とを切り替え可能に構成されている。このような構成により、スイッチ切替端子13に接地電位が与えられた状態において、フォトカプラ8の発光ダイオード8aがオン状態になる。また、スイッチ切替端子13に制御用電圧Vccが与えられた状態において、フォトカプラ8の発光ダイオード8aがオフ状態になる。制御部3は、判別回路5から与えられる交流電圧の判別結果に基づいて、スイッチ切替端子13の状態、ひいてはフォトカプラ8のオンオフを制御する。
【0024】
図示は省略するが、制御部3の外部入力端子14は、制御部3の内部において、プルダウン抵抗を介して接地されている。このような構成によれば、外部入力端子14の電圧は、フォトカプラ9のフォトトランジスタ9cがオンするとHレベル(制御用電圧Vcc)になり、フォトトランジスタ9cがオフするとLレベル(接地電位=0V)になる。本実施形態では、外部入力端子14の電圧がHレベルである状態が、外部機器のオン状態を示す外部入力信号が与えられた状態に相当する。また、外部入力端子14の電圧がLレベルである状態が、外部機器のオフ状態を示す外部入力信号が与えられた状態に相当する。
【0025】
判別回路5(判別手段に相当)は、一対の入力端子21、22、コンデンサC11〜C14、抵抗R11〜R16およびフォトカプラ23、24を備えている。入力端子21、22間には、交流電源11から出力される交流電圧が印加される。入力端子21、22間には、コンデンサC11および抵抗R11、R12が互いに直列接続されている。抵抗R12は、交流電圧の印加が開始される際に流れる突入電流を制限するためのものである。抵抗R13は、交流電圧の印加が停止された際にコンデンサC11の電荷を放電するためのものであり、コンデンサC11に対して並列接続されている。コンデンサC12は、抵抗R11の端子間電圧に対するノイズの影響を除去するためのものであり、抵抗R11に対して並列接続されている。
【0026】
また、入力端子21、22間には、コンデンサC13および抵抗R14、R15が互いに直列接続されている。抵抗R15は、抵抗R12と同様の作用を果たすものである。抵抗R16は、抵抗R13と同様の作用を果たすものであり、コンデンサC13に対して並列接続されている。コンデンサC14は、コンデンサC12と同様の作用を果たすものであり、抵抗R14に対して並列接続されている。
【0027】
抵抗R11の端子間電圧は、フォトカプラ23の一次側素子の端子間に与えられる。フォトカプラ23は、フォトカプラ9と同様、AC入力対応であり且つトランジスタ出力型のものであり、一次側素子として発光ダイオード23a、23bを備え、二次側素子としてフォトトランジスタ23cを備えている。フォトトランジスタ23cのコレクタは、電源端子12に接続されている。フォトトランジスタ23cのエミッタは、制御部3の第1判別端子25に接続されている。
【0028】
抵抗R14の端子間電圧は、フォトカプラ24の一次側素子の端子間に与えられる。フォトカプラ24は、フォトカプラ9と同様、AC入力対応であり且つトランジスタ出力型のものであり、一次側素子として発光ダイオード24a、24bを備え、二次側素子としてフォトトランジスタ24cを備えている。フォトトランジスタ24cのコレクタは、電源端子12に接続されている。フォトトランジスタ24cのエミッタは、制御部3の第2判別端子26に接続されている。
【0029】
図示は省略するが、第1判別端子25および第2判別端子26は、それぞれ制御部3の内部においてプルダウン抵抗を介して接地されている。このような構成によれば、第1判別端子25の電圧は、フォトカプラ23のフォトトランジスタ23cがオンするとHレベル(制御用電圧Vcc)になり、フォトトランジスタ23cがオフするとLレベル(接地電位=0V)になる。また、第2判別端子26の電圧は、フォトカプラ24のフォトトランジスタ24cがオンするとHレベルになり、フォトトランジスタ24cがオフするとLレベルになる。
【0030】
フォトカプラ23、24の各発光ダイオード(23a、23b、24a、24b)の順方向電圧は、例えば1.2Vとなっている。コンデンサC11の静電容量値および抵抗R11、R12の抵抗値は、入力端子21、22間に200V系の交流電圧が印加された際、抵抗R11の端子間電圧が1.2Vになるような値に設定されている。また、コンデンサC13の静電容量値および抵抗R14、R15の抵抗値は、入力端子21、22間に100V系の交流電圧が印加された際、抵抗R14の端子間電圧が1.2Vになるような値に設定されている。このような構成により、入力端子21、22間に200V系の交流電圧が印加された場合、フォトカプラ23、24がいずれもオンする。また、入力端子21、22間に100V系の交流電圧が印加された場合、フォトカプラ24はオンするものの、フォトカプラ23は常にオフとなる。
【0031】
制御部3は、第1判別端子25および第2判別端子26の電圧が、いずれもHレベルになる期間が存在する場合、交流電源11が200V系であると判別する。また、制御部3は、第2判別端子26の電圧がHレベルになる期間が存在し、且つ、第1判別端子25の電圧が常にLレベルである場合、交流電源11が100V系であると判別する。なお、第1判別端子25および第2判別端子26の電圧が、いずれも常にLレベルである場合、判別回路5に対して交流電圧が与えられていない状態であるため、その旨をユーザに報知する報知制御を実行する。その報知制御としては、プログラマブルコントローラ1が備える各種の表示器(図示せず)を用いた表示による報知や、ブザー(図示せず)などを用いた音声による報知など、種々の方法を採用することができる。
【0032】
次に、上記構成の作用および効果について、図2および図3も参照して説明する。
制御部3は、第1判別端子25および第2判別端子26の電圧レベルに基づいて、交流電源11として100V系および200V系のいずれが用いられるのかを判別(検出)する。そして、制御部3は、交流電源11として200V系のものが用いられると判断すると、スイッチ切替端子13に制御用電圧Vccを与える。これにより、フォトカプラ8(のフォトトライアック8b)がオフする。この状態では、入力端子6からコンデンサC1および抵抗R1、R2を通じて入力端子7に至る通電経路が形成される。その通電経路のインピーダンスZaは、コンデンサC1の静電容量値、抵抗R1の抵抗値および抵抗R2の抵抗値により、下記(1)式のように定まる。ただし、コンデンサC1の静電容量値をCaで表し、抵抗R1、R2の直列合成抵抗をRで表し、交流電源11の周波数をfで表している。
Za=(R2+(1/(2πfCa))21/2 …(1)
【0033】
また、制御部3は、交流電源11として100V系のものが用いられると判断すると、スイッチ切替端子13に接地電位を与える。これにより、フォトカプラ8(のフォトトライアック8b)がオンする。この状態では、入力端子6からコンデンサC1、C2の並列回路および抵抗R1、R2を通じて入力端子7に至る通電経路が形成される。その通電経路のインピーダンスZbは、コンデンサC1、C2の静電容量値、抵抗R1の抵抗値および抵抗R2の抵抗値により、下記(2)式のように定まる。ただし、コンデンサC1、C2の並列合成静電容量値をCbで表している。
Zb=(R2+(1/(2πfCb))21/2 …(2)
【0034】
なお、抵抗R3は、前述したとおり、入力端子6、7間への交流電圧の印加が停止された際にコンデンサC1、C2の電荷を放電するためのものであり、上記各通電経路の形成に直接的には関与しない。また、コンデンサC3は、前述したとおり、フォトカプラ9の一次側素子に印加される電圧に対するノイズの影響を除去するためのものであり、上記各通電経路の形成に直接的には関与しない。
【0035】
上記各通電経路は、いずれもCR直列回路を構成している。CR直列回路のインピーダンスは、上記(1)式および(2)式からも明らかなように、抵抗の抵抗値に比例するとともに、コンデンサの静電容量値に反比例する。本実施形態では、コンデンサC1、C2が互いに同一の静電容量値を有しているため、フォトカプラ8がオンした状態において形成されるCR直列回路の静電容量値Cbは、フォトカプラ8がオフした状態において形成されるCR直列回路の静電容量値Caに対して2倍となる。一方、各CR直列回路の抵抗値は、互いに同一の値となる。従って、100V系の交流電源11が用いられる場合において形成される通電経路のインピーダンスZbは、200V系の交流電源11が用いられる場合において形成される通電経路のインピーダンスZaに対して1/2となる。
【0036】
AC入力回路4においては、入力端子6、7間に交流電圧が印加されることにより上記通電経路に電流が流れ、抵抗R1の端子間に生じる電圧がフォトカプラ9の一次側素子である発光ダイオード9a、9bの順方向電圧VF(例えば1.2V)を超えると、二次側素子であるフォトトランジスタ9cがオンする。これにより、制御部3には、外部入力端子14を通じて外部機器のオン状態を示す外部入力信号が与えられる。なお、交流電圧の印加が開始された瞬間に流れる突入電流は、抵抗R2の作用により制限される。また、抵抗R1の端子間に生じる電圧が順方向電圧VF未満であると、フォトトランジスタ9cがオフする。これにより、制御部3には、外部入力端子14を通じて外部機器のオフ状態を示す外部入力信号が与えられる。
【0037】
この場合、抵抗R1の端子間電圧は、通電経路に流れる電流により定まる。そして、その電流は、交流電源11の仕様(電圧、周波数)および通電経路のインピーダンスにより定まる。前述したように、本実施形態の構成においては、100V系の交流電源11が用いられる場合に形成される通電経路のインピーダンスZbは、200V系の交流電源11が用いられる場合に形成される通電経路のインピーダンスZaに対して1/2となる。そのため、使用される交流電源11の種別にかかわらず、抵抗R1の端子間電圧は、同じ態様を示すことになる。従って、例えば、200V系の規格値を満たすインピーダンスZbの値が得られるように、各回路素子の定数を設定すれば、必然的に、100V系の規格値を満たすインピーダンスZaの値が得られるようになる。従って、本実施形態のAC入力回路4は、100V系および200V系の両方のAC入力に対し、自動的に対応することができる。
【0038】
図2は、本実施形態に対する比較例を示すもので、100V系専用の入力回路および200V系専用の入力回路を並列的に設けたAC入力装置の構成を示している。なお、図2において、図4に示した従来のAC入力装置と同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。図2に示すAC入力回路201は、100V系専用のAC入力回路202および200V系専用のAC入力回路203を備えている。AC入力回路202、203は、図4に示したAC入力回路101と同様の構成である。AC入力回路202、203は、入力端子102、103間に、互いに並列接続されている。
【0039】
このような構成によれば、100V系の交流電源106が用いられる場合、図示しない内部回路に対し、AC入力回路202を通じて外部入力信号が与えられる。また、200V系の交流電源106が用いられる場合、上記内部回路に対し、AC入力回路203を通じて外部入力信号が与えられる。すなわち、比較例のAC入力回路201は、100V系および200V系の両方の入力に対応可能となる。
【0040】
しかし、上記した構成のAC入力回路201は、前述したように、1つの外部入力に対応する回路を構成する回路素子の数が、100V系または200V系専用のAC入力回路に比べて倍増する。そのため、AC入力回路201を備えた構成のAC入力装置は、100V系または200V系専用のAC入力回路を備えたAC入力装置に比べ、装置が大幅に大型化するという問題を有する。このような問題は、AC入力のチャンネル数が増加するほど顕在化する。
【0041】
図3は、比較例のAC入力装置および本実施形態のAC入力装置を構成する部品の点数を示している。図3において、(a)は1チャンネルあたりの構成部品の数を示しており、(b)は装置全体としての構成部品の数を示している。図3(a)に示すように、比較例の構成は、1チャンネルあたり、10点の小型部品と、2点の大型部品とを必要とする。なお、ここで言う小型部品とは、抵抗やコンデンサなど、回路素子の中で外形サイズが比較的小さい部品のことである。また、大型部品とは、フォトカプラなど、回路素子の中で外形サイズが比較的大きい部品のことである。
【0042】
一方、本実施形態の構成は、1チャンネルあたり、6点の小型部品と、2点の大型部品とを必要とする。また、本実施形態の構成は、判別回路5を構成するため、10点の小型部品と、2点の大型部品とを必要とする。ただし、判別回路5は、前述したとおり、チャンネル毎に設ける必要はなく、例えばモジュール化するなどして各チャンネル共通に用いられる。
【0043】
比較例の構成は、チャンネル数(回路数)をnとした場合、「12×n」点の部品が必要となる。具体的には、図3(b)に示すように、例えば、チャンネル数が1である場合には12点の部品が必要であり、4である場合には48点の部品が必要であり、16である場合には192点の部品が必要である。これに対し、本実施形態の構成は、チャンネル数をnとした場合、「8×n+12」の部品が必要となる。具体的には、図3(b)に示すように、例えばチャンネル数が1である場合には20点の部品が必要であり、4である場合には44点の部品が必要であり、16である場合には148点の部品が必要である。
【0044】
このように、チャンネル数が少ない場合(チャンネル数が1〜3のとき)には比較例の構成のほうが本実施形態の構成よりも少ない部品点数となるものの、チャンネル数が増えるにつれて、その差が小さくなり、チャンネル数が4のときに、その関係が逆転する。その後も、チャンネル数が増えるにつれて部品点数の差は大きくなる。一般に、プログラマブルコントローラのAC入力のチャンネル数は複数である(例えば、4、8、16チャンネルなど)。そのため、複数のAC入力回路を用意する必要がある。
【0045】
このようなことから、一般的なプログラマブルコントローラに適用される場合、本実施形態の構成は、比較例の構成と比べると、部品点数を少なくすることができると言える。また、比較例の構成および本実施形態の構成において、大型部品が占める割合は概ね同程度である。そのため、本実施形態の構成によれば、比較例の構成に比べ、部品点数が削減される分だけ、装置の体格を小さくすることができる。
【0046】
また、本実施形態のAC入力回路4は、100V系専用のAC入力回路または200V系専用のAC入力回路に対し、コンデンサC2およびフォトカプラ8が追加されているとともに、判別回路5が追加されている。ただし、判別回路5については、AC入力のチャンネル数にかかわらず、1つ設ければよい。そのため、AC入力のチャンネル数が増加するほど、判別回路5が追加されることによる装置の大型化への寄与度が相対的に低くなる。従って、本実施形態のAC入力装置2は、100V系または200V系専用のAC入力装置と比べた場合であっても、大幅に装置が大型化することなく、さらには100V系および200V系の両方のAC入力に対応可能とすることができる。
【0047】
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した実施形態に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
コンデンサC1、C2は、互いに同程度の静電容量値を有するものであればよい。ただし、その場合、各静電容量値の差は、前述した200V系の規格値を満たすインピーダンス値Zbの値が得られるとともに、100V系の規格値を満たすインピーダンス値Zaの値が得られる範囲の差に留める必要がある。
コンデンサC3は必要に応じて設ければよい。すなわち、コンデンサC3は、フォトカプラ9の一次側素子に与える電圧に対するノイズの影響が少ない場合などには省略可能である。
【0048】
コンデンサC2とともに直列回路を構成する半導体リレー(Solid State Relay)としては、二次側素子(出力素子)としてフォトトライアックを用いたフォトトライアックカプラであるフォトカプラ8に限らずともよい。例えば、出力素子として2つのMOSFETを用いたものなど、AC負荷を駆動できる半導体リレー全般を適用することができる。ただし、上記半導体リレーとしては、フォトカプラ9と同程度の体格を持つものが望ましい。
【0049】
交流電圧が100V系であるか200V系であるかを判別する判別手段としては、図1に示した構成の判別回路5に限らずともよく、他の回路構成を採用することも可能である。さらに、判別手段としては、例えばユーザの操作などにより使用する交流電源11の種別(100V系/200V系)を示す信号を外部から入力し、その信号に基づいて交流電圧の判別を行う構成でもよい。このようにすれば、ユーザの操作を必要とする分だけ利便性が低下するものの、判別回路5を構成する回路素子を大幅に削減することが可能となり、その分だけ装置の体格を小さくできるという効果が得られる。
【0050】
図1において、コンデンサC1、抵抗R1および抵抗R2は、入力端子6、7間に、この順番に直列接続されていたが、それらの接続順番は変更してもよい。すなわち、「入力端子6−コンデンサC1−抵抗R2−抵抗R1−入力端子7」、「入力端子6−抵抗R1−コンデンサC1−抵抗R2−入力端子7」、「入力端子6−抵抗R1−抵抗R2−コンデンサC1−入力端子7」、「入力端子6−抵抗R2−コンデンサC1−抵抗R1−入力端子7」、「入力端子6−抵抗R2−抵抗R1−コンデンサC1−入力端子7」といった順番にて接続してもよい。要するに、入力端子6、7間に、コンデンサC1、抵抗R1および抵抗R2が互いに直列接続されていればよい。
【0051】
フォトトランジスタ9cの接続形態は、図1に示すものに限らずともよい。つまり、フォトトランジスタ9cのエミッタを接地するとともに、コレクタを制御部3の外部入力端子14に接続してもよい。その場合、外部入力端子14は、制御部3の内部において、プルアップ抵抗を介して電源端子12に接続すればよい。このようにすれば、外部入力端子14の電圧は、フォトトランジスタ9cがオンするとLレベルになり、オフするとHレベルになる(論理が逆になる)。
【0052】
フォトトランジスタ23cの接続形態は、図1に示すものに限らずともよい。つまり、フォトトランジスタ23cのエミッタを接地するとともに、コレクタを制御部3の第1判別端子25に接続してもよい。その場合、第1判別端子25は、制御部3の内部においてプルアップ抵抗を介して電源端子12に接続すればよい。このようにすれば、第1判別端子25の電圧は、フォトトランジスタ23cがオンするとLレベルになり、オフするとHレベルになる(論理が逆になる)。なお、フォトトランジスタ24cについてもフォトトランジスタ23cと同様に変更可能である。
【符号の説明】
【0053】
図面中、1はプログラマブルコントローラ、2はAC入力装置、3は制御部(内部回路)、4はAC入力回路、5は判別回路(判別手段)、6、7は入力端子、8はフォトカプラ(半導体リレー)、9はフォトカプラ、C1はコンデンサ(第1の入力用コンデンサ)、C2はコンデンサ(第2の入力用コンデンサ)、C3はコンデンサ、R1は抵抗(入力用抵抗)、R2は抵抗(突入電流制限用抵抗)、R3は抵抗(放電用抵抗)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器から与えられる交流電圧を外部入力信号として内部回路に入力するAC入力回路を備えたプログラマブルコントローラのAC入力装置であって、
前記AC入力回路は、前記交流電圧が印加される一対の入力端子と、前記一対の入力端子間に互いに直列接続された第1の入力用コンデンサ、入力用抵抗および突入電流制限用抵抗と、前記第1の入力用コンデンサに対して並列接続された放電用抵抗と、前記第1の入力用コンデンサに対して並列接続された第2の入力用コンデンサおよび半導体リレーの直列回路と、前記入力用抵抗の端子間電圧が入力されるAC入力対応型のフォトカプラと、を備え、前記第1の入力用コンデンサおよび前記第2の入力用コンデンサは互いに同程度の静電容量値を有し、前記フォトカプラの出力信号を前記外部入力信号として前記内部回路に入力する構成であり、
前記交流電圧が100V系であるか200V系であるかを判別する判別手段を備え、
前記半導体リレーは、前記判別手段により前記交流電圧が100V系であると判別されるとオンされ、前記判別手段により前記交流電圧が200V系であると判別されると前記半導体リレーがオフされることを特徴とするプログラマブルコントローラのAC入力装置。
【請求項2】
前記AC入力回路は、前記入力用抵抗に対して並列接続されたコンデンサを備えていることを特徴とする請求項1に記載のプログラマブルコントローラのAC入力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate