説明

プログラマブル表示器

【課題】2種類の通信モードに対応している通信ポートを備え、電源投入後、当該通信ポートにおける通信モードの設定が完了するのに要する時間が短いプログラマブル表示器を提供する。
【解決手段】2種類の通信モードに対応している通信ポートと、制御部と、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定の内容をブートプログラムによって読み出し可能なアクセス領域に記憶している記憶部とを備え、前記制御部が、前記ブートプログラムを起動するためのブートプログラム処理(ステップS10)を電源投入直後に実行し、前記ブートプログラム処理中に、前記記憶部から前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定の内容を読み出し、前記通信ポートにおける通信モードの設定を完了させるプログラマブル表示器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器に関し、特に2種類の通信モードに対応している通信ポートを備えるプログラマブル表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
省スペース化や低コスト化などの観点から、RS422に準拠したシリアルデータ通信(RS422の上位規格であるRS485に準拠したシリアルデータ通信も含む)を行う第1の通信モードとRS232Cに準拠したシリアルデータ通信を行う第2の通信モードとに対応している通信ポート(以下、「第1,2の通信モード対応通信ポート」ともいう)が提案されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
第1,2の通信モード対応通信ポートは、RS422に準拠したシリアルデータ通信とRS232Cに準拠したシリアルデータ通信とを同時に行うことはできず、設定により第1の通信モードと第2の通信モードとを切り替える構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−149293号公報
【特許文献2】特開平6−51881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信モードを手動で設定する場合、ユーザが、第1の通信モード、第2の通信モードのうちいずれか一方を選択し、その選択結果に従って、第1,2の通信モード対応通信ポートとともに装置に設けられている通信モード設定用ハードスイッチを操作するという方法が従来から採用されている。
【0006】
しかしながら、このような方法では、ハードスイッチを設置するので、省スペース化や低コスト化の点で不利であるという問題があった。
【0007】
一方、通信モードを自動で設定する場合、第1,2の通信モード対応通信ポートを備える装置と通信相手方装置との間の通信が確立した後、第1,2の通信モード対応通信ポートを備える装置が、通信相手方装置の通信モードを認識し、その認識結果に従って、自己の通信モードを通信相手方装置の通信モードに一致させるという方法が従来から採用されている。
【0008】
しかしながら、このような方法では、装置間の通信が確立した後に通信モードを設定することになるので、通信モードの設定が完了するまでに時間がかかるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑み、2種類の通信モードに対応している通信ポートを備え、電源投入後、当該通信ポートにおける通信モードの設定が完了するのに要する時間が短いプログラマブル表示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係るプログラマブル表示器は、2種類の通信モードに対応している通信ポートと、制御部と、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定の内容をブートプログラムによって読み出し可能なアクセス領域に記憶している記憶部とを備え、前記制御部が、前記ブートプログラムを起動するためのブートプログラム処理を電源投入直後に実行し、前記ブートプログラム処理中に、前記記憶部から前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定の内容を読み出し、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定を完了させる構成としている。
【0011】
このような構成によると、電源が投入されると、前記ブートプログラム処理において、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートの設定が行われるので、電源投入後、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定が完了するのに要する時間を短くすることができる。
【0012】
前記2種類の通信モードに対応している通信ポートは、例えば、RS422に準拠したシリアルデータ通信を行う第1の通信モードとRS232Cに準拠したシリアルデータ通信を行う第2の通信モードとに対応している通信ポートにするとよい。このような構成のプログラマブル表示器では、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートに接続される接続機器がRS422のみに対応していてRS232Cに対応した相手方機器に接続された場合の保護機能を有していないものであっても、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートに接続される接続機器が壊れる可能性を排除することができるようにするために、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートが、前記制御部が前記2種類の通信モードに対応している通信ポートをモード切替制御していない状態では、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードが前記第1の通信モードになり、前記制御部が前記2種類の通信モードに対応している通信ポートをモード切替制御している状態では、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードが前記第2の通信モードになる通信ポートであり、前記ブートプログラム処理が、前記記憶部から前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定の内容を読み出す第1の処理と、前記第1の処理で読み出した内容が前記第1の通信モードであれば、前記制御部が前記2種類の通信モードに対応している通信ポートをモード切替制御せず、前記第1の処理で読み出した内容が前記第2の通信モードであれば、前記制御部が前記2種類の通信モードに対応している通信ポートをモード切替制御する第2の処理とを含んでいる構成にすることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るプログラマブル表示器は、2種類の通信モードに対応している通信ポートと、制御部と、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定の内容をブートプログラムによって読み出し可能なアクセス領域に記憶している記憶部とを備え、前記制御部が、前記ブートプログラムを起動するためのブートプログラム処理を電源投入直後に実行し、前記ブートプログラム処理中に、前記記憶部から前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定の内容を読み出し、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定を完了させる構成である。このような構成によると、電源が投入されると、前記ブートプログラム処理において、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートの設定が行われるので、電源投入後、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定が完了するのに要する時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器を備える制御システムの概略構成例を示す図である。
【図2】第1,2の通信モード対応通信ポートを有するインターフェース部の一構成例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器およびPLC(Programmable Logic Controller)の電源投入時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。例えば、工場の生産ライン等では、ロボット、ベルトコンベア等の搬送装置、調節計、工作機械等の様々な制御対象が設置される。そして、これらの制御対象を制御する制御システムにおいて、制御対象に直接又はPLC等を介して、プログラマブル表示器が接続される。
【0016】
ここで、本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器を備える制御システムの概略構成例を図1に示す。
【0017】
図1に示す制御システムは、本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器1(以下、「プログラマブル表示器1」という)と、端末2と、PLC3と、デバイス4とを備えている。
【0018】
PLC3は、ユーザが作成した制御プログラム(ラダープログラム)を実行することにより、例えば、数十msなどの予め定められたスキャンタイム毎に、入力用のデバイス4の状態を取り込むとともに、出力用のデバイス4に制御指示を与える。
【0019】
入力用のデバイス4としては、例えば、スイッチ、センサなどがあり、出力用のデバイス4としては、例えば、ランプ、バルブなどがある。これら各種のデバイス4は、製造ラインなどの各種のターゲットシステムの所要各部に配置される。
【0020】
次に、端末2について説明する。端末2は、例えば、パーソナルコンピュータやサーバ等であって、端末制御部21と、端末記憶部22と、インターフェース部23と、入出力装置24とを備えている。
【0021】
端末制御部21は、CPU(Central Processing Unit)21Aおよび作業メモリ21Bを有している。そして、端末制御部21には端末記憶部22が接続されている。各種データ、プログラム等を不揮発的に記憶しておく端末記憶部22には、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の容量の大きい記憶装置(例えば数ギガバイト以上)が用いられる。
【0022】
インターフェース部23は、図1に示すように、プログラマブル表示器1のインターフェース部14に対応するインターフェースであり、プログラマブル表示器1のHMI(Human Machine Interface)制御部11と端末2の端末制御部21との通信を仲介する。端末2のインターフェース部23およびプログラマブル表示器1のインターフェース部14には、例えばIEEE802.3uに準拠したインターフェースが用いられる。尚、本実施形態では、プログラマブル表示器1と端末2をネットワーク経由で通信可能に接続する構成であるが、プログラマブル表示器1と端末2を直接的に例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等の接続ケーブルで接続する構成であっても構わない。また、入出力装置24は、キーボードやマウス等の入力装置およびディスプレイ等の出力装置によって構成される。
【0023】
次に、端末記憶部22の記憶内容を説明する。端末記憶部22には、多種多様なデータやプログラムが記憶されるが、本実施形態では、エディタプログラム25と、画像ファイル26と、ロジックプログラム27とが記憶されている。
【0024】
エディタプログラム25は、プログラマブル表示器1の表示装置12に表示される画面(画像)を設計、作成するソフトウェアであり、作業メモリ21Bに展開される。このエディタプログラム25では、プログラマブル表示器1の表示装置12に表示される画像としての背景画像や、背景上に配される部品画像の作成、設定を行うことができる。尚、いわゆるイメージやピクチャーのみならず、テキストファイルの他、表計算ソフト等の他のアプリケーションで作成され、例えば、端末2の端末記憶部22に記憶されるファイルとのリンク表示等、プログラマブル表示器1の表示装置12に表示され得る全てのデータを、背景画像や部品画像などの「画像」として扱うことができる。したがって、後述する第1,2の通信モード対応通信ポートの設定の内容も「画像」として扱うことができ、後述する第1,2の通信モード対応通信ポートの設定の内容をエディタプログラム25で作成(第1の通信モードと第2の通信モードのいずれかの選択)することができる。
【0025】
各部品画像には、例えば、各デバイス4等の状態を表示するものが含まれる。状態を示す部品画像としては、PLC3やデバイス4の駆動、運転状態を示すランプや、温度、重量、流量、貯蔵量等の各種数値表示や、グラフ表示などがある。また、各部品画像には、例えば、各デバイス4等の動作を指示するための入力キーとして機能する部品画像等も含まれる。動作を指示する部品画像の押下により、例えば、デバイス4の運転の開始、停止、回転方向、回転速度、搬送速度等を、部品画像での設定により指示することができる。また、各部品画像には、プログラマブル表示器1の表示装置12の表示切替や、プログラマブル表示器1のデータ受信や、プログラマブル表示器1からのデータ送信等、プログラマブル表示器1の動作を指示する入力キーとしての画像も含むことができる。
【0026】
さらに、作業メモリ21Bに展開されているエディタプログラム25では、各部品画像について、プログラマブル表示器1の表示装置12に表示される画像に関連して行われる各種の処理等を規定する処理規定情報(タグ)を定めることができる。この処理規定情報は、部品画像毎に定めることができる。例えば、処理規定情報としては、部品画像の表示される画面のファイル番号(ファイル名)や、事象(例えば、状態表示の内容や、入力キーとして機能する場合は、押下で実行される動作)、参照するPLC3やデバイス4やプログラマブル表示器1内でのメモリ等のアドレス情報、部品画像の画面内での座標情報等を含むことができる。
【0027】
画像ファイル26は、エディタプログラム25での設計、作成の結果生成されるファイルであり、例えば、プログラマブル表示器1の表示装置12に表示される1画面単位で1つのファイルにまとめられる。尚、画像ファイル26はフォルダ形式でまとめられても良い。例えば、画像ファイル26は、背景の画像データや、複数の部品画像の画像データや、各部品画像に付随する処理規定情報等を含む。そして、端末記憶部22に記憶されている画像ファイル26は、例えば、プログラマブル表示器1のHMI制御部11と端末2の端末制御部21との通信によりプログラマブル表示器1のデータメモリ16に転送することや、プログラマブル表示器1および端末2双方に外部記憶媒体用インターフェースが設けられている場合にはUSBメモリ等の外部記憶媒体を介してプログラマブル表示器1のデータメモリ16に転送することができる。
【0028】
ロジックプログラム27は、エディタプログラム25での設計、作成の結果生成されるプログラムであり、例えば、プログラマブル表示器1用の制御プログラムやPLC3用の制御プログラム等である。そして、端末記憶部22に記憶されているロジックプログラム27は、例えば、プログラマブル表示器1のHMI制御部11と端末2の端末制御部21との通信によりプログラマブル表示器1のデータメモリ16に転送することや、プログラマブル表示器1および端末2双方に外部記憶媒体用インターフェースが設けられている場合にはUSBメモリ等の外部記憶媒体を介してプログラマブル表示器1のデータメモリ16に転送することができる。また、PLC3は、端末2やプログラマブル表示器1からロジックプログラム27を取得することができる。例えば、ロジックプログラム27では、データの転送、ループ、演算、各種の動作指示や、プログラムの対象となるPLC3やデバイス4等のアドレス指定等を行うことができる。PLC3やプログラマブル表示器1は、ロジックプログラム27を実行して、デバイス4を制御する。
【0029】
次に、プログラマブル表示器1について説明する。プログラマブル表示器1は、HMI制御部11と、表示装置12と、タッチパネル13と、インターフェース部14と、インターフェース部15と、データメモリ16と、ワークメモリ17とを備えている。
【0030】
HMI制御部11は、表示装置12での表示、タッチパネル13への入力結果の判定、インターフェース部14に接続される端末2やインターフェース部15に接続される接続機器との通信等の各種制御を行うものであって、CPU11Aと、各種時間制御に必要となる計時部11Bと、表示装置12を制御するための表示コントローラ11Cと、タッチパネル13への入力結果の判定するためのタッチパネルコントローラ11Dとを有している。
【0031】
インターフェース部15が有している第1,2の通信モード対応通信ポート(後述)が請求項に記載の「通信ポート」の一例であり、CPU11Aが請求項に記載の「制御部」の一例であり、データメモリ16が請求項に記載の「記憶部」の一例である。
【0032】
表示装置12は、HMI制御部11の表示コントローラ11Cからの制御信号に基づいた表示を行う。例えば、表示装置12は、データメモリ16に記憶される画像ファイル(画像ファイル26と同じ形式の画像ファイル)に基づいた表示を行う。当該画像ファイルは、端末2から直接または外部記憶媒体を介して転送されたものでもよく、タッチパネル13へのユーザの入力によってプログラマブル表示器1自体において作成されたものでもよい。尚、表示装置12に特に制限はないが、プログラマブル表示器1を薄型のものとするため、表示装置12には、液晶表示装置や有機EL表示装置やプラズマ表示装置などの薄型表示装置が好適である。
【0033】
タッチパネル13は、ユーザの入力用のものであって、表示装置12の表示画面表面に設けられる。表示装置12で表示される入力キーとしての部品画像がユーザによって押下された位置の座標は、タッチパネル13の出力信号を処理するタッチパネルコントローラ11Dによって特定される。本実施形態で用いるタッチパネル13は、透明抵抗膜方式のものであるが、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等、他の方式のものであってもよい。押下位置の座標検出結果を元に、HMI制御部11は、表示装置12に表示された部品画像のうち、押下されたものを特定し、プログラマブル表示器1になされた入力を判定する。
【0034】
インターフェース部14は、端末2のインターフェース部23に対応するインターフェースであり、プログラマブル表示器1のHMI制御部11と端末2の端末制御部21との通信を仲介する。
【0035】
インターフェース部15は、プログラマブル表示器1のHMI制御部11とPLC3やデバイス4などの接続機器との通信を仲介するインターフェースであり、第1,2の通信モード対応通信ポート(不図示)、すなわち、RS422に準拠したシリアルデータ通信(RS422の上位規格であるRS485に準拠したシリアルデータ通信も含む)を行う第1の通信モードとRS232Cに準拠したシリアルデータ通信を行う第2の通信モードとに対応している通信ポートを有している。上記第1,2の通信モード対応通信ポートのコネクタは、例えば、いわゆるD−sub規格に準拠した9ピンのコネクタ(以下、「D−sub9ピンコネクタ」という)にするとよい。尚、本実施形態ではプログラマブル表示器1のインターフェース部15に接続されている接続機器をPLC3にしているが、デバイス4など他の接続機器であっても構わない。また、上記第1,2の通信モード対応通信ポートは、RS422に準拠したシリアルデータ通信とRS232Cに準拠したシリアルデータ通信とを同時に行うことはできず、ソフトウェアでの設定により第1の通信モードと第2の通信モードとを切り替える構成である。ここで、インターフェース部15の一構成例を図2に示す。図2に示す構成例のインターフェース部15は、HMI制御部11とのインターフェースであるシリアルインターフェース151と、第1,2の通信モード対応通信ポート152とを有している。第1,2の通信モード対応通信ポート152は、スイッチ153と、RS422の規格に基づくデータを入出力するRS422入出力回路154と、RS232Cの規格に基づくデータを入出力するRS232C入出力回路155と、スイッチ156と、D−sub9ピンコネクタ157とによって構成される。スイッチ153および156の各接点aはRS422入出力回路154に接続され、スイッチ153および156の各接点bはRS232C入出力回路155に接続される。スイッチ153および156は、図2(a)のようにHMI制御部11から切替信号SWが供給されていない場合に接点aを選択し、図2(b)のようにHMI制御部11から切替信号SWが供給されている場合に接点bを選択する。
【0036】
データメモリ16は、画像ファイル26と同一形式の画像ファイルやロジックプログラム27と同一形式のロジックプログラム等を不揮発的に格納しておくメモリであり、例えば、書き換え及び読み出しが可能なFEPROM(Flash Erasable and Programmable ROM)等を用いることができる。
【0037】
ワークメモリ17は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)によって構成され、プログラマブル表示器1の表示制御プログラムや、画像ファイル、ロジックプログラムの実行等の演算処理時における作業用の記憶領域である。また、ワークメモリ17は、取得したデバイス4等のデータの一時的な記憶にも用いられる。また、ワークメモリ17は、表示装置12に表示する画像データを展開するためにも用いられる。
【0038】
図1に示す制御システムでは、プログラマブル表示器1への電源投入と、プログラマブル表示器1のインターフェース部15に接続されている接続機器であるPLC3への電源投入とが、共通の電源スイッチ(不図示)によって実行される。プログラマブル表示器1およびPLC3の電源投入時の動作について図3に示すフローチャートを参照して説明する。尚、本説明において、プログラマブル表示器1のインターフェース部15は図2に示す構成とする。
【0039】
まず、プログラマブル表示器1の動作について説明する。電源が投入されると、プログラマブル表示器1のCPU11Aはブートプログラムを起動するためのブートプログラム処理を行う(ステップS10)。ステップS10のブートプログラム処理は、ステップS11およびステップS12を含んでいる。電源が投入された直後は、HMI制御部11から第1,2の通信モード対応通信ポート152のスイッチ153および156に切替信号SWが供給されることはないので、スイッチ153および156はそれぞれ接点aを選択している。すなわち、第1,2の通信モード対応通信ポート152のデフォルト設定は、RS422に準拠したシリアルデータ通信を行う第1の通信モードになっている。
【0040】
ステップS11では、データメモリ16のブートプログラムによって読み出し可能なアクセス領域に記憶されている各種設定の内容が読み出される。この各種設定には、第1,2の通信モード対応通信ポート152の設定が含まれている。ステップS11では設定の読み出しが行われるだけであるので、ステップS11の処理終了直後、第1,2の通信モード対応通信ポート152はデフォルト設定を維持している。
【0041】
ステップS11の処理終了後、ステップS12が実行される。ステップS12では、ステップS11で読み出された第1,2の通信モード対応通信ポート152の設定が実行される。ステップS11で読み出された第1,2の通信モード対応通信ポート152の設定がデフォルト設定と同一であれば、ステップS12はスルー処理となり、ステップS12の処理終了後も第1,2の通信モード対応通信ポート152は第1の通信モードのままである。これに対して、ステップS11で読み出された第1,2の通信モード対応通信ポート152の設定がデフォルト設定と異なっていれば、ステップS12において、HMI制御部11から第1,2の通信モード対応通信ポート152のスイッチ153および156への切替信号SWの供給が開始され、スイッチ153および156はそれぞれ接点bを選択するようになるので、ステップS12の処理終了後、第1,2の通信モード対応通信ポート152は第2の通信モードになる。そして、それ以後、電源遮断あるいは第1,2の通信モード対応通信ポート152の設定変更が実行されない限り、HMI制御部11から第1,2の通信モード対応通信ポート152のスイッチ153および156への切替信号SWの供給が続行される。
【0042】
本実施形態では、電源が投入されてからステップS12の処理が終了するまでに要する時間を1秒以内にしている。
【0043】
ステップS10のブートプログラム処理が完了すると、プログラマブル表示器1のCPU11Aは、ブートプログラムに基づき、OS(Operating System)を起動するためのOS処理を行う(ステップS20)。
【0044】
ステップS20のOS処理が完了すると、プログラマブル表示器1のCPU11Aは、OSに基づき、アプリケーションを起動するためのアプリケーション処理を行う(ステップS30)。ステップS30のアプリケーション処理は、ステップS31を含んでいる。ステップS31では、インターフェース部15を介した通信を可能とするための通信準備を行う。
【0045】
ステップS12の処理が終了してからステップS31の処理が終了するまでの期間、プログラマブル表示器1とプログラマブル表示器1のインターフェース部15に接続される接続機器との接続確認が正常に判断される状態であるが、インターフェース部15を介した通信が不可能な状態である。そして、ステップS12の処理終了後、起動が完了し、インターフェース部15を介した通信が可能な状態になる。
【0046】
続いて、インターフェース部15に接続される接続機器であるPLC3の動作について説明する。電源が投入されると、PLC3はPLC3自体を起動するための起動処理を行う(ステップS40)。そして、ステップS40の起動処理が完了すると、PLC3は、通信準備処理を行う(ステップS50)。ステップS50の通信準備処理は、ステップS51〜S54を含んでいる。
【0047】
本実施形態では、電源が投入されてからステップS50の処理が開始されるまでに要する時間を1秒以上にしている。
【0048】
ステップS51において、PLC3は、プログラマブル表示器1のインターフェース部15に設けられているコネクタの所定のピンにかかっている電圧レベル等により、プログラマブル表示器1のインターフェース部15とPLC3とが接続されているかを確認する。
【0049】
続くステップS52において、プログラマブル表示器1のインターフェース部15とPLC3とが接続されているか否かが判定される。プログラマブル表示器1のインターフェース部15とPLC3とが接続されていないと判定された場合(ステップS52のNO)、エラーとなり動作を終了する。これに対して、プログラマブル表示器1のインターフェース部15とPLC3とが接続されていると判定された場合(ステップS52のYES)、ステップS53に移行する。
【0050】
ステップS53において、PLC3は、インターフェース部15を介したプログラマブル表示器1のHMI制御部11との通信が可能であるかを確認する。
【0051】
続くステップS54において、PLC3とプログラマブル表示器1のHMI制御部11とのインターフェース部15を介した通信が可能であるか否かが判定される。PLC3とプログラマブル表示器1のHMI制御部11とのインターフェース部15を介した通信が可能でないと判定された場合(ステップS54のNO)、ステップS53に戻る。これに対して、PLC3とプログラマブル表示器1のHMI制御部11とのインターフェース部15を介した通信が可能であると判定された場合(ステップS54のYES)、起動が完了し、インターフェース部15を介した通信が可能な状態になる。
【0052】
例えば、ステップS53において、PLC3は通信確立要求信号をプログラマブル表示器1に送信し、ステップS54において、通信確立要求信号の送信から所定時間内に通信確立要求信号に対する返答信号が返ってくるか否かで、PLC3とプログラマブル表示器1のHMI制御部11とのインターフェース部15を介した通信が可能であるか否かが判定されるようにするとよい。
【0053】
上述した通り、プログラマブル表示器1は、電源が投入されると、ブートプログラム処理において、上記第1,2の通信モード対応通信ポートの設定を行うので、電源投入後、上記第1,2の通信モード対応通信ポートにおける通信モードの設定が完了するのに要する時間を短くすることができる。
【0054】
また、上述した通り、本実施形態では、プログラマブル表示器1側では、電源が投入されてからステップS12の処理が終了するまでに要する時間が1秒以内であり、PLC3側では、電源が投入されてからステップS50の処理が開始されるまでに要する時間が1秒以上である。このため、ステップS51においてプログラマブル表示器1のインターフェース部15とPLC3とが接続されているかを確認するときには、必ず上記第1,2の通信モード対応通信ポートの設定が完了しているので、プログラマブル表示器1とプログラマブル表示器1のインターフェース部15に接続される接続機器との接続確認が正常に判断される。これにより、プログラマブル表示器1とプログラマブル表示器1のインターフェース部15に接続される接続機器との接続有無の誤認識が起こらなくなるので、当該誤認識に起因するエラー終了が発生することも無くなる。
【0055】
また、上述した通り、本実施形態では、上記第1,2の通信モード対応通信ポートのデフォルト設定をRS422に準拠したシリアルデータ通信を行う第1の通信モードとしている。これにより、インターフェース部15に接続される接続機器が壊れる可能性を排除することができる。仮に、上記第1,2の通信モード対応通信ポートのデフォルト設定をRS232Cに準拠したシリアルデータ通信を行う第2の通信モードにした場合、インターフェース部15に接続される接続機器がRS422のみに対応していてRS232Cに対応した相手方機器に接続された場合の保護機能を有していないものであれば、インターフェース部15に設けられているコネクタの特定のピンにかかる電圧によってインターフェース部15に接続される接続機器が壊れる可能性がある。
【0056】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、電源が投入されてからステップS12の処理が終了するまでに要する時間を1秒以内とし、電源が投入されてからステップS50の処理が開始されるまでに要する時間を1秒以上としているが、これらの時間の具体的な数値はあくまで例示であり、電源が投入されてからステップS12の処理が終了するまでに要する時間が、電源が投入されてからステップS50の処理が開始されるまでに要する時間以下であればよい。
【0058】
また、本実施形態では、2種類の通信モードに対応している通信ポートを、RS422に準拠したシリアルデータ通信を行う第1の通信モードとRS232Cに準拠したシリアルデータ通信を行う第2の通信モードとに対応している通信ポート(第1,2の通信モード対応通信ポート)にしたが、当該第1,2の通信モード対応通信ポートに代えてあるいは当該第1,2の通信モード対応通信ポートに加えて、2種類の通信モードに対応している通信ポートであってその2種類の通信モードの少なくとも一つはRS422にもRS232Cにも準拠していない通信を行う通信モードである通信ポートにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器
2 端末
3 PLC
4 デバイス
11 HMI制御部
11A CPU
11B 計時部
11C 表示コントローラ
11D タッチパネルコントローラ
12 表示装置
13 タッチパネル
14、15 インターフェース部
16 データメモリ
17 ワークメモリ
21 端末制御部
21A CPU
21B 作業メモリ
22 端末記憶部
23 インターフェース部
24 入出力装置
25 エディタプログラム
26 画像ファイル
27 ロジックプログラム
151 シリアルインターフェース
152 第1,2の通信モード対応通信ポート
153、156 スイッチ
154 RS422入出力回路
155 RS232C入出力回路
157 D−sub9ピンコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類の通信モードに対応している通信ポートと、
制御部と、
前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定の内容をブートプログラムによって読み出し可能なアクセス領域に記憶している記憶部とを備え、
前記制御部が、
前記ブートプログラムを起動するためのブートプログラム処理を電源投入直後に実行し、
前記ブートプログラム処理中に、前記記憶部から前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定の内容を読み出し、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定を完了させることを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項2】
前記2種類の通信モードに対応している通信ポートが、RS422に準拠したシリアルデータ通信を行う第1の通信モードとRS232Cに準拠したシリアルデータ通信を行う第2の通信モードとに対応している通信ポートである請求項1に記載のプログラマブル表示器。
【請求項3】
前記2種類の通信モードに対応している通信ポートが、
前記制御部が前記2種類の通信モードに対応している通信ポートをモード切替制御していない状態では、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードが前記第1の通信モードになり、
前記制御部が前記2種類の通信モードに対応している通信ポートをモード切替制御している状態では、前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードが前記第2の通信モードになる通信ポートであり、
前記ブートプログラム処理が、
前記記憶部から前記2種類の通信モードに対応している通信ポートにおける通信モードの設定の内容を読み出す第1の処理と、
前記第1の処理で読み出した内容が前記第1の通信モードであれば、前記制御部が前記2種類の通信モードに対応している通信ポートをモード切替制御せず、前記第1の処理で読み出した内容が前記第2の通信モードであれば、前記制御部が前記2種類の通信モードに対応している通信ポートをモード切替制御する第2の処理とを含んでいる請求項2に記載のプログラマブル表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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