説明

プログラム、ドキュメント表示システム、及びドキュメント表示方法

【課題】一の表示装置でドキュメント内の位置が指定された場合に、その指定位置を他の表示装置内において正確に特定することが可能なプログラムを得る。
【解決手段】プログラムは、コンピュータを、表示装置4Aの表示領域に表示されたドキュメント内で指定された指定位置に関する、表示装置4Aの表示領域内の座標データを取得する取得部21Aと、取得部21Aが取得した座標データを、指定位置に対応するドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換する変換部22Aと、変換部22Aが変換した位置データを、端末装置2Bに送信する送信部23Aと、送信部23Aが送信した位置データを、端末装置2Aから受信する受信部24Bと、受信部24Bが受信した位置データを、表示装置4Bの表示領域内の座標データに変換する変換部27Bと、として機能させるためのプログラムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、ドキュメント表示システム、及びドキュメント表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、第1対話者が使用する第1端末装置と、第2対話者が使用する第2端末装置とを備え、第1対話者及び第2対話者の各映像を第1端末装置及び第2端末装置間で双方向に通信することにより、相手方の映像を表示しながら対話を行うことが可能な双方向対話型システムが開示されている。当該システムにおいて、相手方の映像は、表示装置の表示画面内における特定領域に表示される。一方の端末装置において特定領域を拡張又は縮小させる操作が行われた場合には、表示画面に対する特定領域の相対的な位置関係を示す情報が他方の端末装置に通知され、これによって、他方の端末装置においても特定領域が同様に拡張又は縮小される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3027983号公報(特に明細書の第0092段落及び第0093段落参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたシステムによると、例えば第1端末装置が備える表示装置のアスペクト比と第2端末装置が備える表示装置のアスペクト比とが互いに異なる場合には、表示画面に対する特定領域の相対的な位置関係が互いに相違するため、一方の端末装置における特定領域の拡張又は縮小と同様の変更を、他方の端末装置において行うことができない。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、複数の表示装置の各表示領域にドキュメントを同期して表示させるシステムにおいて、一の表示装置の表示領域に表示されたドキュメント内で位置が指定された場合に、その指定位置を他の表示装置の表示領域に表示されているドキュメント内において正確に特定することが可能な、プログラム、ドキュメント表示システム、及びドキュメント表示方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るプログラムは、所定形式のドキュメントファイルをそれぞれ保持する第1の端末装置及び第2の端末装置と、前記第1の端末装置と通信可能な第1の表示装置と、前記第2の端末装置と通信可能な第2の表示装置とを備え、前記ドキュメントファイルに基づくドキュメントを、前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の各表示領域に同期して表示するドキュメント表示システムにおいて、前記第1の端末装置及び前記第2の端末装置に使用されるコンピュータを、前記第1の表示装置の表示領域に表示されたドキュメント内で指定された指定位置に関する、前記第1の表示装置の表示領域内の座標データを取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記座標データを、前記指定位置に対応する前記ドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換する第1の変換手段と、前記第1の変換手段が変換した前記位置データを、前記第2の端末装置に送信する送信手段と、前記送信手段が送信した前記位置データを、前記第1の端末装置から受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記位置データを、前記第2の表示装置の表示領域内の座標データに変換する第2の変換手段と、として機能させるための、プログラムである。
【0007】
第1の態様に係るプログラムによれば、第1の変換手段は、取得手段が取得した第1の表示装置の表示領域内の座標データを、指定位置に対応するドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換する。そして、送信手段は、第1の変換手段が変換した位置データを、第2の端末装置に送信する。また、第2の変換手段は、受信手段が受信した位置データを、第2の表示装置の表示領域内の座標データに変換する。このように、送信元の第1の端末装置は、自身の表示領域に表示されたドキュメント内で位置が指定された場合に、その指定位置に関する表示領域内の座標データをそのまま送信するのではなく、指定位置に対応するドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換して送信する。そして、送信先の第2の端末装置においては、受信した位置データを自身の表示領域内の座標データに変換することにより、ドキュメント内の指定位置を特定する。従って、送信元の第1の端末装置と送信先の第2の端末装置とで各表示領域へのドキュメントの表示態様が異なる場合(例えば、第1の端末装置の表示領域にはドキュメントの全領域が表示されており、第2の端末装置の表示領域にはドキュメントの一部の領域のみが表示されている場合)であっても、第2の端末装置は、第1の端末装置において指定されたドキュメント内の指定位置を、自身の表示領域に表示されているドキュメント内において正確に特定することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の態様に係るプログラムは、第1の態様に係るプログラムにおいて特に、前記コンピュータを、前記第1の端末装置及び前記第2の端末装置がそれぞれ保持するドキュメントファイル内の絶対位置同士を互いに対応付ける対応付け手段としてさらに機能させるためのプログラムであって、前記第2の変換手段は、前記対応付け手段による対応付けの情報に基づいて、前記受信手段が受信した前記位置データを、前記第2の表示装置の表示領域内の前記座標データに変換することを特徴とするものである。
【0009】
第2の態様に係るプログラムによれば、対応付け手段は、第1の端末装置及び第2の端末装置がそれぞれ保持するドキュメントファイル内の絶対位置同士を互いに対応付ける。そして、第2の変換手段は、対応付け手段による対応付けの情報に基づいて、受信手段が受信した位置データを、第2の表示装置の表示領域内の座標データに変換する。従って、第1の端末装置及び第2の端末装置がそれぞれ保持しているドキュメントファイルが互いに異なる場合(例えば、第1の端末装置が日本語の文書ファイルを保持しており、第2の端末装置がそれを翻訳した英語の文書ファイルを保持している場合)であっても、送信先の第2の端末装置は、送信元の第1の端末装置において指定されたドキュメント内の指定位置を、自身の表示領域に表示されているドキュメント内において正確に特定することが可能となる。
【0010】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、第1又は第2の態様に係るプログラムにおいて特に、前記コンピュータを、前記第2の変換手段が変換した前記座標データに基づいて、前記第1の端末装置において指定されたドキュメント内の指定位置を、前記第2の表示装置の表示領域に表示されているドキュメント上に表示する表示制御手段としてさらに機能させるための、プログラムである。
【0011】
第3の態様に係るプログラムによれば、表示制御手段は、第2の変換手段が変換した座標データに基づいて、第1の端末装置において指定されたドキュメント内の指定位置を、第2の表示装置の表示領域に表示されているドキュメント上に表示する。従って、例えば、送信元の第1の端末装置においてマウスポインタ等によってドキュメント上の位置が指定された場合に、送信先の第2の端末装置においても、表示制御手段によってドキュメントの指定位置上にマウスポインタ等を表示することが可能となる。
【0012】
本発明の第4の態様に係るドキュメント表示システムは、所定形式のドキュメントファイルをそれぞれ保持する第1の端末装置及び第2の端末装置と、前記第1の端末装置と通信可能な第1の表示装置と、前記第2の端末装置と通信可能な第2の表示装置と、前記第1の端末装置と前記第2の端末装置との間の通信ネットワークと、を備え、前記ドキュメントファイルに基づくドキュメントを、前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の各表示領域に同期して表示するドキュメント表示システムであって、前記第1の端末装置は、前記第1の表示装置の表示領域に表示されたドキュメント内で指定された指定位置に関する、前記第1の表示装置の表示領域内の座標データを取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記座標データを、前記指定位置に対応する前記ドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換する第1の変換手段と、前記第1の変換手段が変換した前記位置データを、前記第2の端末装置に送信する送信手段と、を有し、前記第2の端末装置は、前記送信手段が送信した前記位置データを、前記第1の端末装置から受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記位置データを、前記第2の表示装置の表示領域内の座標データに変換する第2の変換手段と、を有することを特徴とするものである。
【0013】
第4の態様に係るドキュメント表示システムによれば、第1の変換手段は、取得手段が取得した第1の表示装置の表示領域内の座標データを、指定位置に対応するドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換する。そして、送信手段は、第1の変換手段が変換した位置データを、第2の端末装置に送信する。また、第2の変換手段は、受信手段が受信した位置データを、第2の表示装置の表示領域内の座標データに変換する。このように、送信元の第1の端末装置は、自身の表示領域に表示されたドキュメント内で位置が指定された場合に、その指定位置に関する表示領域内の座標データをそのまま送信するのではなく、指定位置に対応するドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換して送信する。そして、送信先の第2の端末装置においては、受信した位置データを自身の表示領域内の座標データに変換することにより、ドキュメント内の指定位置を特定する。従って、送信元の第1の端末装置と送信先の第2の端末装置とで各表示領域へのドキュメントの表示態様が異なる場合(例えば、第1の端末装置の表示領域にはドキュメントの全領域が表示されており、第2の端末装置の表示領域にはドキュメントの一部の領域のみが表示されている場合)であっても、第2の端末装置は、第1の端末装置において指定されたドキュメント内の指定位置を、自身の表示領域に表示されているドキュメント内において正確に特定することが可能となる。
【0014】
本発明の第5の態様に係るドキュメント表示方法は、所定形式のドキュメントファイルをそれぞれ保持する第1の端末装置及び第2の端末装置と、前記第1の端末装置と通信可能な第1の表示装置と、前記第2の端末装置と通信可能な第2の表示装置とを備えるドキュメント表示システムにおいて、前記ドキュメントファイルに基づくドキュメントを、前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の各表示領域に同期して表示するドキュメント表示方法であって、(A)前記第1の表示装置の表示領域に表示されたドキュメント内で指定された指定位置に関する、前記第1の表示装置の表示領域内の座標データを取得するステップと、(B)前記ステップ(A)で取得した前記座標データを、前記指定位置に対応する前記ドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換するステップと、(C)前記ステップ(B)で変換した前記位置データを、前記第2の端末装置に送信するステップと、(D)前記ステップ(C)で送信した前記位置データを、前記第1の端末装置から受信するステップと、(E)前記ステップ(D)で受信した前記位置データを、前記第2の表示装置の表示領域内の座標データに変換するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0015】
第5の態様に係るドキュメント表示方法によれば、ステップ(B)では、ステップ(A)で取得した第1の表示装置の表示領域内の座標データを、指定位置に対応するドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換する。そして、ステップ(C)では、ステップ(B)で変換した位置データを、第2の端末装置に送信する。また、ステップ(E)では、ステップ(D)で受信した位置データを、第2の表示装置の表示領域内の座標データに変換する。このように、送信元の第1の端末装置は、自身の表示領域に表示されたドキュメント内で位置が指定された場合に、その指定位置に関する表示領域内の座標データをそのまま送信するのではなく、指定位置に対応するドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換して送信する。そして、送信先の第2の端末装置においては、受信した位置データを自身の表示領域内の座標データに変換することにより、ドキュメント内の指定位置を特定する。従って、送信元の第1の端末装置と送信先の第2の端末装置とで各表示領域へのドキュメントの表示態様が異なる場合(例えば、第1の端末装置の表示領域にはドキュメントの全領域が表示されており、第2の端末装置の表示領域にはドキュメントの一部の領域のみが表示されている場合)であっても、第2の端末装置は、第1の端末装置において指定されたドキュメント内の指定位置を、自身の表示領域に表示されているドキュメント内において正確に特定することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一の表示装置の表示領域に表示されたドキュメント内で位置が指定された場合に、その指定位置を他の表示装置の表示領域に表示されているドキュメント内において正確に特定することが可能な、プログラム、ドキュメント表示システム、及びドキュメント表示方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るドキュメント表示システムの全体構成を示す図である。
【図2】端末装置の構成を示す図である。
【図3】端末装置の構成を示す図である。
【図4】処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図5】処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図6】表示装置におけるドキュメントの表示態様の一例を示す図である。
【図7】ウィンドウを拡大して示す図である。
【図8】端末装置が保持するドキュメントファイルを拡大して示す図である。
【図9】端末装置が保持するドキュメントファイルを拡大して示す図である。
【図10】ウィンドウを拡大して示す図である。
【図11】ウィンドウを拡大して示す図である。
【図12】端末装置が保持するドキュメントファイルを拡大して示す図である。
【図13】ウィンドウを拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係るドキュメント表示システム1の全体構成を示す図である。図1に示すようにドキュメント表示システム1は、コンピュータ等の端末装置2A,2Bと、専用回線又はIP網等の通信ネットワーク3と、液晶表示装置又はプラズマディスプレイ装置等の表示装置4A,4Bと、マウス又はキーボード等の入力装置5A,5Bとを備えて構成されている。
【0020】
ドキュメント表示システム1は、例えばテレビ会議又はWeb会議等に利用可能であり、会議に使用するドキュメントファイルを事前に配布して遠隔地の端末装置2A,2Bに保持し、会議中にドキュメントを表示装置4A,4Bに同期して表示することにより、会議進行の円滑化を図るものである。但し、ドキュメント表示システム1の用途はこの例に限定されるものではない。
【0021】
図1を参照して、端末装置2Aと端末装置2Bとは、通信ネットワーク3を介して双方向に通信可能である。また、端末装置2Aは有線又は無線によって表示装置4A及び入力装置5Aと通信可能であり、端末装置2Bは有線又は無線によって表示装置4B及び入力装置5Bと通信可能である。但し、表示装置4A、端末装置2A、及び入力装置5Aは、ノートパソコンとして一体的に構成されていても良い。同様に、表示装置4B、端末装置2B、及び入力装置5Bは、ノートパソコンとして一体的に構成されていても良い。
【0022】
図2は、端末装置2Aの構成を示す図である。図2に示すように端末装置2Aは、CPU等の処理部11Aと、半導体メモリ又はハードディスク等の記憶部12Aとを備えて構成されている。記憶部12Aには、処理部11Aを動作させるためのプログラム13Aと、所定の形式のドキュメントファイル14Aとが記憶されている。ドキュメントファイル14Aは、文書又は画像等の任意のドキュメントに関するデータを含む。
【0023】
図3は、端末装置2Bの構成を示す図である。図3に示すように端末装置2Bは、CPU等の処理部11Bと、半導体メモリ又はハードディスク等の記憶部12Bとを備えて構成されている。記憶部12Bには、処理部11Bを動作させるためのプログラム13Bと、所定の形式のドキュメントファイル14Bとが記憶されている。ドキュメントファイル14Bは、文書又は画像等の任意のドキュメントに関するデータを含む。ドキュメントファイル14Bは、例えばドキュメントファイル14Aと同一内容のファイルである。
【0024】
図4は、処理部11Aの機能構成を示すブロック図である。処理部11Aが記憶部12Aからプログラム13Aを読み出して実行することにより、処理部11Aは、取得部21A、変換部22A、送信部23A、受信部24A、特定部25A、対応付け部26A、変換部27A、及び表示制御部28Aとして機能する。つまり、プログラム13Aは、コンピュータとしての処理部11Aを、取得部21A、変換部22A、送信部23A、受信部24A、特定部25A、対応付け部26A、変換部27A、及び表示制御部28Aとして機能させるためのプログラムである。
【0025】
図5は、処理部11Bの機能構成を示すブロック図である。処理部11Bが記憶部12Bからプログラム13Bを読み出して実行することにより、処理部11Bは、取得部21B、変換部22B、送信部23B、受信部24B、特定部25B、対応付け部26B、変換部27B、及び表示制御部28Bとして機能する。つまり、プログラム13Bは、コンピュータとしての処理部11Bを、取得部21B、変換部22B、送信部23B、受信部24B、特定部25B、対応付け部26B、変換部27B、及び表示制御部28Bとして機能させるためのプログラムである。
【0026】
図6は、表示装置4A,4Bにおけるドキュメントの表示態様の一例を示す図である。図6の(A)には、端末装置2A,2Bが保持するドキュメントファイル14を示している。この例では、端末装置2Aの記憶部12A、及び端末装置2Bの記憶部12Bに、同一のドキュメントファイル14が記憶されているものとする。また、説明の容易化のため、ドキュメントファイル14には、図に示すように「A」〜「T」の文字が配列されているものとする。
【0027】
図6の(B)には、表示装置4Aの表示画面31Aを示している。表示画面31A内のウィンドウ32A(表示領域)には、ドキュメントファイル14の全体に相当するドキュメントが表示されている。
【0028】
図6の(C)には、表示装置4Bの表示画面31Bを示している。この例では、表示画面31Bのサイズが小さいため、表示画面31B内のウィンドウ32Bには、ドキュメントファイル14の左上領域に相当するドキュメントが表示されている。
【0029】
以下、端末装置2Aの操作者がマウスポインタによってウィンドウ32A内の「M」の文字を指し示した場合を例にとり、その操作を表示画面31Bに同期させる動作について説明する。
【0030】
図7は、ウィンドウ32Aを拡大して示す図である。端末装置2Aの操作者が入力装置5Aとしてのマウスを操作することにより、「M」の文字上にマウスポインタ41Aが表示されている。ウィンドウ32Aには、左上角を原点(0,0)として水平M軸及び垂直N軸による座標系が規定されている。座標の最大値は右下角の(M1,N1)である。また、マウスポインタ41Aが指定する位置の座標は(M2,N2)である。図4を参照して、取得部21Aは、座標(M2,N2)を示す座標データD11を取得する。取得部21Aは、取得した座標(M2,N2)を、予め教示された最大値の座標(M1,N1)とともに、座標データD12として変換部22Aに入力する。
【0031】
図8は、端末装置2Aが保持するドキュメントファイル14Aを拡大して示す図である。ドキュメントファイル14Aには、左上角を原点(0,0)として水平X軸及び垂直Y軸による座標系が規定されている。座標の最大値は右下角の(X1,Y1)である。図4を参照して、変換部22Aは、X2=X1×M2/M1なる演算を行うことにより、ウィンドウ32A内の座標データである座標M2を、ドキュメントファイル14A内の絶対位置を示す位置データである座標X2に変換する。また、変換部22Aは、Y2=Y1×N2/N1なる演算を行うことにより、ウィンドウ32A内の座標データである座標N2を、ドキュメントファイル14A内の絶対位置を示す位置データである座標Y2に変換する。変換部22Aは、座標(M2,N2)を変換した座標(X2,Y2)を、位置データD13として送信部23Aに入力する。
【0032】
送信部23Aは、位置データD13を含む通信データD14を作成し、その通信データD14を、通信ネットワーク3を介して端末装置2Bに向けて送信する。
【0033】
図5を参照して、端末装置2Bの受信部24Bは、端末装置2Aから送信された通信データD14を受信する。そして、通信データD14から位置データD13を抽出して、座標(X2,Y2)を示す位置データD15として特定部25Bに入力する。
【0034】
対応付け部26Bは、端末装置2Aが保持しているドキュメントファイル14Aと、端末装置2Bが保持しているドキュメントファイル14Bとの対応付け情報を記憶している。例えば、ドキュメントファイル14Aが日本語の文書ファイルであり、ドキュメントファイル14Bがそれを翻訳した英語の文書ファイルである場合には、通常はページ内の文字数、行数、及び段落の位置等が互いに相違する。従って、日本語の文書のどの部分が英語の文書のどの部分に対応するのかを人手又は自動解析によって事前に対応付け、ドキュメントファイル14A,14B内の絶対位置同士を互いに対応付ける対応付け情報D16として、対応付け部26Bに記憶しておく。但し、本実施の形態の例ではドキュメントファイル14Aとドキュメントファイル14Bとは同一であるため、両者は一致する旨の対応付けがなされている。
【0035】
特定部25Bは、位置データD15及び対応付け情報D16に基づいて、位置データD15で示される座標に対応するドキュメントファイル14B内の位置を特定する。この例では、ドキュメントファイル14Aとドキュメントファイル14Bとは同一であるため、位置データD15と同様に座標(X2,Y2)を示す位置データD17が特定部25Bから出力される。
【0036】
図9は、端末装置2Bが保持するドキュメントファイル14Bを拡大して示す図である。ドキュメントファイル14Bには、左上角を原点(0,0)として水平X軸及び垂直Y軸による座標系が規定されている。座標の最大値は右下角の(X1,Y1)である。変換部27Bには、ドキュメントファイル14Bの全体のうちウィンドウ32Bに表示されている部分を示す情報が、予め教示されている。この例では、図9を参照して、ウィンドウ32Bの右下角に対応する座標(X0,Y0)が教示されている。
【0037】
図10は、ウィンドウ32Bを拡大して示す図である。ウィンドウ32Bには、左上角を原点(0,0)として水平P軸及び垂直Q軸による座標系が規定されている。座標の最大値は右下角の(P1,Q1)である。
【0038】
図5,9,10を参照して、この例において変換部27Bは、P2=P1×X2/X0なる演算を行うことにより、ドキュメントファイル14B内の絶対位置を示す位置データである座標X2を、ウィンドウ32B内の座標データである座標P2に変換する。また、この例において変換部27Bは、Q2=Q1×Y2/Y0なる演算を行うことにより、ドキュメントファイル14B内の絶対位置を示す位置データである座標Y2を、ウィンドウ32B内の座標データである座標Q2に変換する。変換部27Bは、座標(X2,Y2)を変換した座標(P2,Q2)を、座標データD18として表示制御部28Bに入力する。
【0039】
表示制御部28Bは、図10に示すように、座標データD18に基づいて、端末装置2Aにおいてマウスポインタ41Aによって指し示された位置に対応するウィンドウ32B内の座標(P2,Q2)の位置において、ドキュメント上にマウスポインタ41Bを重ねて表示する。
【0040】
なお、以上の説明では、端末装置2Aにおいてなされた操作を端末装置2Bの表示画面31Bに同期させる例について述べたが、これとは逆に、端末装置2Bにおいてなされた操作を端末装置2Aの表示画面31Aに同期させることも可能である。
【0041】
また、以上の説明では、マウスポインタ41Aによってドキュメント内の一点が指定された例について述べたが、特定部分の拡大又は縮小や図形の回転等の操作を行うべく、ドキュメント内の領域指定(つまり複数点の指定)がなされた場合も、上記と同様に処理することが可能である。
【0042】
図11は、ウィンドウ32Aを拡大して示す図である。端末装置2Aの操作者が入力装置5Aとしてのマウスを操作することにより、「B」,「C」,「G」,「H」の文字を囲む矩形領域が指定されている。この矩形領域の四つの頂点の座標は、(M3,N3),(M4,N4),(M5,N5),(M6,N6)である。
【0043】
図12は、端末装置2Aが保持するドキュメントファイル14を拡大して示す図である。上記と同様にして変換部22Aは、ウィンドウ32A内の座標(M3,N3),(M4,N4),(M5,N5),(M6,N6)を、ドキュメントファイル14内の絶対位置を示す座標(X3,Y3),(X4,Y4),(X5,Y5),(X6,Y6)にそれぞれ変換する。
【0044】
図13は、ウィンドウ32Bを拡大して示す図である。上記と同様にして変換部27Bは、ドキュメントファイル14内の絶対位置を示す座標(X3,Y3),(X4,Y4),(X5,Y5),(X6,Y6)を、ウィンドウ32B内の座標(P3,Q3),(P4,Q4),(P5,Q5),(P6,Q6)にそれぞれ変換する。これにより、端末装置2Aでなされた操作と同様に、ウィンドウ32B内においても、「B」,「C」,「G」,「H」の文字を囲む矩形領域が指定される。
【0045】
このように本実施の形態によれば、変換部22Aは、取得部21Aが取得したウィンドウ32A内の座標データを、指定位置に対応するドキュメントファイル14内の絶対位置を示す位置データに変換する。そして、送信部23Aは、変換部22Aが変換した位置データを、端末装置2Bに送信する。また、変換部27Bは、受信部24Bが受信した位置データを、ウィンドウ32B内の座標データに変換する。このように、送信元の端末装置2Aは、自身のウィンドウ32Aに表示されたドキュメント内で位置が指定された場合に、その指定位置に関するウィンドウ32A内の座標データをそのまま送信するのではなく、指定位置に対応するドキュメントファイル14内の絶対位置を示す位置データに変換して送信する。そして、送信先の端末装置2Bにおいては、受信した位置データを自身のウィンドウ32B内の座標データに変換することにより、ドキュメント内の指定位置を特定する。従って、送信元の端末装置2Aと送信先の端末装置2Bとで各ウィンドウ32A,32Bへのドキュメントの表示態様が異なる場合(例えば、送信元の端末装置2Aのウィンドウ32Aにはドキュメントの全領域が表示されており、送信先の端末装置2Bのウィンドウ32Bにはドキュメントの一部の領域のみが表示されている場合)であっても、送信先の端末装置2Bは、送信元の端末装置2Aにおいて指定されたドキュメント内の指定位置を、自身のウィンドウ32Bに表示されているドキュメント内において正確に特定することが可能となる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、対応付け部27Bは、端末装置2A,2Bがそれぞれ保持するドキュメントファイル14A,14B内の絶対位置同士を互いに対応付ける。そして、変換部27Bは、対応付け部26Bによる対応付けの情報に基づいて、受信部24Bが受信した位置データを、ウィンドウ32B内の座標データに変換する。従って、端末装置2A,2Bがそれぞれ保持しているドキュメントファイル14A,14Bが互いに異なる場合(例えば、端末装置2Aが日本語の文書ファイルを保持しており、端末装置2Bがそれを翻訳した英語の文書ファイルを保持している場合)であっても、送信先の端末装置2Bは、送信元の端末装置2Aにおいて指定されたドキュメント内の指定位置を、自身のウィンドウ32Bに表示されているドキュメント内において正確に特定することが可能となる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、表示制御部28Bは、変換部27Bが変換した座標データに基づいて、端末装置2Aにおいて指定されたドキュメント内の指定位置を、ウィンドウ32Bに表示されているドキュメント上に表示する。従って、例えば、送信元の端末装置2Aにおいてマウスポインタ41A等によってドキュメント上の位置が指定された場合に、送信先の端末装置2Bにおいても、表示制御部28Bによってドキュメントの指定位置上にマウスポインタ41B等を表示することが可能となる。
【0048】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0049】
1 ドキュメント表示システム
2A,2B 端末装置
3 通信ネットワーク
4A,4B 表示装置
11A,11B 処理部
13A,13B プログラム
14,14A,14B ドキュメントファイル
21A,21B 取得部
22A,22B 変換部
23A,23B 送信部
24A,24B 受信部
25A,25B 変換部
26A,26B 特定部
27A,27B 対応付け部
28A,28B 表示制御部
31A,31B 表示画面
32A,32B ウィンドウ
41A,41B マウスポインタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形式のドキュメントファイルをそれぞれ保持する第1の端末装置及び第2の端末装置と、前記第1の端末装置と通信可能な第1の表示装置と、前記第2の端末装置と通信可能な第2の表示装置とを備え、前記ドキュメントファイルに基づくドキュメントを、前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の各表示領域に同期して表示するドキュメント表示システムにおいて、前記第1の端末装置及び前記第2の端末装置に使用されるコンピュータを、
前記第1の表示装置の表示領域に表示されたドキュメント内で指定された指定位置に関する、前記第1の表示装置の表示領域内の座標データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記座標データを、前記指定位置に対応する前記ドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換する第1の変換手段と、
前記第1の変換手段が変換した前記位置データを、前記第2の端末装置に送信する送信手段と、
前記送信手段が送信した前記位置データを、前記第1の端末装置から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記位置データを、前記第2の表示装置の表示領域内の座標データに変換する第2の変換手段と、
として機能させるための、プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、
前記第1の端末装置及び前記第2の端末装置がそれぞれ保持するドキュメントファイル内の絶対位置同士を互いに対応付ける対応付け手段
としてさらに機能させるためのプログラムであって、
前記第2の変換手段は、前記対応付け手段による対応付けの情報に基づいて、前記受信手段が受信した前記位置データを、前記第2の表示装置の表示領域内の前記座標データに変換する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記第2の変換手段が変換した前記座標データに基づいて、前記第1の端末装置において指定されたドキュメント内の指定位置を、前記第2の表示装置の表示領域に表示されているドキュメント上に表示する表示制御手段
としてさらに機能させるための、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
所定形式のドキュメントファイルをそれぞれ保持する第1の端末装置及び第2の端末装置と、
前記第1の端末装置と通信可能な第1の表示装置と、
前記第2の端末装置と通信可能な第2の表示装置と、
前記第1の端末装置と前記第2の端末装置との間の通信ネットワークと、
を備え、
前記ドキュメントファイルに基づくドキュメントを、前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の各表示領域に同期して表示するドキュメント表示システムであって、
前記第1の端末装置は、
前記第1の表示装置の表示領域に表示されたドキュメント内で指定された指定位置に関する、前記第1の表示装置の表示領域内の座標データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記座標データを、前記指定位置に対応する前記ドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換する第1の変換手段と、
前記第1の変換手段が変換した前記位置データを、前記第2の端末装置に送信する送信手段と、
を有し、
前記第2の端末装置は、
前記送信手段が送信した前記位置データを、前記第1の端末装置から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記位置データを、前記第2の表示装置の表示領域内の座標データに変換する第2の変換手段と、
を有する、ドキュメント表示システム。
【請求項5】
所定形式のドキュメントファイルをそれぞれ保持する第1の端末装置及び第2の端末装置と、前記第1の端末装置と通信可能な第1の表示装置と、前記第2の端末装置と通信可能な第2の表示装置とを備えるドキュメント表示システムにおいて、前記ドキュメントファイルに基づくドキュメントを、前記第1の表示装置及び前記第2の表示装置の各表示領域に同期して表示するドキュメント表示方法であって、
(A)前記第1の表示装置の表示領域に表示されたドキュメント内で指定された指定位置に関する、前記第1の表示装置の表示領域内の座標データを取得するステップと、
(B)前記ステップ(A)で取得した前記座標データを、前記指定位置に対応する前記ドキュメントファイル内の絶対位置を示す位置データに変換するステップと、
(C)前記ステップ(B)で変換した前記位置データを、前記第2の端末装置に送信するステップと、
(D)前記ステップ(C)で送信した前記位置データを、前記第1の端末装置から受信するステップと、
(E)前記ステップ(D)で受信した前記位置データを、前記第2の表示装置の表示領域内の座標データに変換するステップと、
を備える、ドキュメント表示方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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