プログラム、情報記憶媒体、ゲーム進行管理システム、及びゲームシステム
【課題】各プレイヤーのレベルのばらつきを抑制すること、あらゆるプレイヤーに対してゲームの面白味を提供すること、更には、ゲームサービス提供後の何れの時点においても、これらの課題を解決せしめる手段を実現すること。
【解決手段】レベル分布判断部330は、統計学を用いたプレイヤー情報520の分析、レベル分布情報530の更新、分布指標の算出を行う。レベルアップ条件判断部340は、レベル分布判断部330が算出した分布指標に基づいて、ネットワークゲームに参加しているプレイヤーのレベル分布パターンを特定するとともに、特定した分布パターンに基づいて、各レベルのプレイヤーが次のレベルに上がるのに必要な条件を決定し、敵キャラクタの出現頻度といったゲーム進行に係る条件を設定する。
【解決手段】レベル分布判断部330は、統計学を用いたプレイヤー情報520の分析、レベル分布情報530の更新、分布指標の算出を行う。レベルアップ条件判断部340は、レベル分布判断部330が算出した分布指標に基づいて、ネットワークゲームに参加しているプレイヤーのレベル分布パターンを特定するとともに、特定した分布パターンに基づいて、各レベルのプレイヤーが次のレベルに上がるのに必要な条件を決定し、敵キャラクタの出現頻度といったゲーム進行に係る条件を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報記憶媒体、ゲーム進行管理システム、およびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプレイヤーが、同時に同一のゲーム空間を共有し、プレイヤー同士でチャットや、パーティを組むといったことを楽しむゲームが知られている。このネットワークゲームにおいても、通常のゲームと同様に、ゲームレベルや、経験値、ライフ、攻撃力、防御力、といったパラメータが設定される。即ち、各プレイヤーは自キャラクタを操作して、敵キャラクタを倒したり、アイテムを見つけたりすることによって、経験値を上げたり、武器を装備したり、魔法を修得する、といったことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−296273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ゲームサービスが開始されてから一定期間経過すると、例えば、次の様な状況が生じ得る。即ち、ゲームサービスが開始された日からゲームをプレイし、その日から遊び続けているプレイヤーと、ゲームサービスが開始された日付から一定期間経ってから遊び始めたプレイヤーとの間に、格差が開き過ぎる場合が起こり得る。その格差は、各プレイヤーに対するゲームレベルであって、具体的には、操作キャラクタのレベルや、攻撃力、防御力といったパラメータの差として歴然と表れる。
【0005】
このような状況下でありながら、あらゆるプレイヤーが同一のゲーム空間でゲームプレイを行うと、それぞれのプレイヤーに対して相当のストレスを感じさせてしまう。具体的には、新規プレイヤーは、先行しているレベルの高いプレイヤーに戦いを挑んでも勝利できず、また、レベルが相当に違うためにパーティを組めない(或いは組んでもらえない)といった、周囲に取り残された状況に陥りかねない。一方、レベルの高いプレイヤーにとっても、同じレベルのプレイヤーが少なく、パーティを組むといってもレベルの低いプレイヤーと組むこととなるため、早くに、ゲームに飽きがきてしまう場合が起こりうる。
【0006】
本発明の課題は、各プレイヤーのレベルのばらつきを抑制すること、あらゆるプレイヤーに対してゲームの面白味を提供することであり、更には、ゲームサービス提供後の何れの時点においても、これらの課題を解決せしめる手段を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するための第1の発明は、プロセッサによる演算・制御により、システム(例えば、サーバー1)に対して、所与のネットワークゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件(例えば、図2のゲーム進行条件540)に基づいて管理させるためのゲーム進行管理情報であって、前記所与のネットワークゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段(例えば、図2のレベル分布判断部330)と、前記ゲーム進行度合基準に基づいて、前記ゲーム進行条件を変更する変更手段(例えば、図2のレベルアップ条件判断部340)と、を前記システムに機能させることを特徴としたゲーム進行管理情報である。
【0008】
第7の発明は、所与のネットワークゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理するゲーム進行管理システムであって、
前記所与のネットワークゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段(例えば、図2のレベル分布判断部330)と、前記ゲーム進行度合基準に基づいて、前記ゲーム進行条件を変更する変更手段(例えば、図2のレベルアップ条件判断部340)と、を備えることを特徴としたゲーム進行管理システムである。
【0009】
第8の発明は、所与の電気通信回線(無線あるいは有線、何れの形態も含む意である。)を介して、他のゲームシステム又はゲーム端末と接続され、前記他のゲームシステム又はゲーム端末を操作するプレイヤー、或いは、前記他のゲームシステム又はゲーム端末を操作するプレイヤー及び当該ゲームシステムを操作するプレイヤーが、同時に同一の仮想空間を共有するゲームを制御・実行するゲームシステムであって、
前記ゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理する手段(例えば、図2の処理部31)と、前記ゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段(例えば、図2のレベル分布判断部330)と、前記ゲーム進行度合基準に基づいて、前記ゲーム進行条件を変更する変更手段(例えば、図2のレベルアップ条件判断部340)と、を備えることを特徴としたゲームシステムである。
【0010】
第9の発明は、複数のゲーム端末を有するマルチプレイヤー型のゲームシステム(例えば、複数のゲーム端末と一体型となっている業務用のゲームシステム)であって、
ゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理する手段(例えば、図2の処理部31)と、ゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段(例えば、図2のレベル分布判断部330)と、前記ゲーム進行度合基準に基づいて、前記ゲーム進行条件を変更する変更手段(例えば、図2のレベルアップ条件判断部340)と、を備えることを特徴としたゲームシステムである。
【0011】
ここでシステムとは、複数台のコンピュータ装置によって構成されるシステム構成に限る意ではなく、1台のコンピュータ装置で構成される場合をも含む意味である。また、コンピュータ装置に限らず、業務用のゲームシステムといった他の装置であってもよい。また、統計学的演算とは、例えば、最頻値や、平均値、中央値、標準偏差といった値を求める演算である。
【0012】
第1、7、8、あるいは9の発明によれば、算定手段によって算定されるゲーム進行度合基準に基づいて、ゲーム進行条件が変更手段により変更される。従って、ネットワークゲームに参加している参加プレーヤのゲームレベルの分布を、適切に調節することが可能となる。例えば、ゲームレベルの高い参加プレーヤが多く存在する場合には、初心者プレーヤ(ゲームレベルの低いプレーヤ)に優遇措置となるゲーム進行条件を設定する、といったことが可能となる。また、算定手段による算定及び変更手段によるゲーム進行条件の変更は、特定の時期である必要がないため、ゲームサービス提供開始後、何れの時点においても有効な処理を実現することができる。
【0013】
なお、ゲーム進行条件とは、当該参加プレーヤのゲームの進行に関わる条件のことであり、このゲーム進行条件に含まれる具体的な条件によって、第2から第4の発明のゲーム進行管理情報を構成してもよい。
【0014】
即ち、第2の発明として、
前記変更手段に対して、前記ゲーム進行条件に含まれる、前記他のキャラクタの出現条件(例えば、出現頻度や、配置位置、出現数など)及び/又は前記他のキャラクタとの対戦勝利時の給付価値情報(例えば、発明の実施の形態において説明する換算数や、勝利時に給付される経験値など)を変更する、ように機能させるための情報を含むゲーム進行管理情報を構成することとしてもよい。
【0015】
また、第3の発明として、
前記変更手段に対して、前記ゲーム進行条件に含まれる、ゲーム展開条件(例えば、ゲームシナリオなど)を変更する、ように機能させるための情報を含むゲーム進行管理情報を構成することとしてもよい。
【0016】
また、第4の発明として、
前記ゲーム進行度合には、少なくともゲームレベルが含まれ、
前記ネットワークゲームは、当該プレイヤーの操作対象キャラクタが、他のキャラクタと対戦することによって、当該プレイヤーのゲームレベルが変化するゲームであり、
前記変更手段に対して、前記ゲーム進行条件に含まれる、レベルアップ条件を変更する、ように機能させるための情報を含むゲーム進行管理情報を構成することとしてもよい。
【0017】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明のゲーム進行管理情報において、
前記ネットワークゲームは、ゲーム状況に応じて、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームであり、
前記ゲーム進行度合基準と、当該プレイヤーのゲーム進行度合とに基づいて、当該プレイヤーに対する前記消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を変更する遊戯媒体量変更手段、を前記システムに機能させるための情報を含むゲーム進行管理情報である。
【0018】
ここで遊戯媒体とは、メダル、コイン、紙幣、銀玉(パチンコ玉)、ゲーム中の仮想的な仮想メダル、ゲーム中の仮想的な仮想コイン、ゲーム中の仮想的な仮想紙幣、ゲーム中の仮想的な仮想銀玉等である。仮想メダル、仮想コイン、仮想紙幣及び仮想銀玉が表示されることによってその量が表されるだけでなく、数字によってその量が表されてもよい。遊戯媒体は、プレーヤがゲームに参加するために必要なものである。
【0019】
この第5の発明によれば、第1から第4の発明の効果を、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームに対しても実現することができる。そして、このゲームにおいては、各プレイヤーに対する消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量が変更されるため、例えば、初心者のプレイヤーに対しては消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を優遇する、といったことが可能である。
なお、遊戯媒体の量の変更は、発明の実施の形態で述べる交換レートを介して、間接的に変更することとしてもよい。
【0020】
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明のゲーム進行管理情報を記憶する情報記憶媒体である。
【0021】
この第6の発明によれば、第1から第5の発明の効果を奏するゲーム進行管理情報を記憶した情報記憶媒体を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態におけるシステム構成全体の概略を示す図。
【図2】サーバーの機能ブロック図。
【図3】プレイヤー情報の一例を示す図。
【図4】(a)はレベル分布表の一例を示す図。(b)は同図(a)のヒストグラム。
【図5】(a)はレベル占有率の一例を示す図。(b)は図4(b)の頻度図。(c)は図5(b)の確率密度関数。
【図6】予め想定・類型化した分布パターンの例を示す図。
【図7】(a)はレベルアップ条件判定式を示す図。(b)はレベルアップ条件判定式の具体的数値例を示す図。
【図8】定数決定表の一例を示す図。
【図9】(a)は第1分布パターンに適用されるレベルアップ条件判定式を説明するための図。(b)は第2分布パターンに適用されるレベルアップ条件判定式を説明するための図。
【図10】敵キャラ出現数表の一例を示す図。
【図11】重み表の一例を示す図。
【図12】適用シナリオ対応表の一例を示す図。
【図13】ゲーム進行管理処理の流れを示すフローチャート。
【図14】本実施の形態のサーバーを実現できるハードウェアの構成の一例を示す図。
【図15】基準交換値表の一例を示す図。
【図16】交換レート表の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施の形態は、一般的にネットワークゲームと呼ばれているゲームに本発明を適用するものとして説明する。ネットワークゲームを実現する形態としては、例えば、(1)家庭に設置してあるパソコンや家庭用ゲーム装置等をゲーム端末とし、インターネット網や専用線網等の電気通信回線を通じてサーバーと接続する形態、(2)複数のゲーム端末同士を電気通信回線で接続し、親機と子機のような構成とする形態、(3)複数のゲーム端末同士を電気通信回線で接続し、その内の一台がサーバー機能を有する形態、(4)複数のゲーム端末が物理的に結合した、全体として一台の装置(例えば業務用のゲームシステム)となっている形態、などがある。本発明は何れの形態に対しても適用可能であるが、本実施の形態においては、(1)ゲーム端末と、サーバーとを所与の電気通信回線で接続した形態として説明する。
【0024】
また、説明を簡明にするため、本ゲームにおいて、各プレイヤーは1つの自キャラクタだけを操作するものとし、自キャラクタのことをプレイヤーとみなして説明する。また、倒した敵キャラクタの数(以下、打倒敵キャラ数という。)に応じてプレイヤー(自キャラクタ)のレベルが上がるものとして説明するが、打倒敵キャラ数は、累積値ではなく、現在のレベル(例えば、レベル“1”)から次のレベル(例えば、レベル“2”)にレベルアップするために、倒さなければならない敵キャラクタの数とする。
【0025】
また、プレイヤーのレベルは、弱いほうをレベル“1”としてレベル“5”まで設けるものとする。つまり、新規にゲームに参加したプレイヤー(以下、新規プレイヤーという。)のレベルは“1”である。
【0026】
図1は、本実施の形態におけるシステム構成全体の概略を示す図である。図1において、ゲーム端末2,2,・・・は、電気通信回線3を介してサーバー1と接続されており、各ゲーム端末2,2,・・・において、プレイヤー(遊戯者)がネットワークゲームを楽しむ。
【0027】
サーバー1は、ネットワークゲームの進行制御を行うとともに、ネットワークゲームに参加している各プレイヤーの情報の管理や、正規のプレイヤーか否かの認証、ゲーム使用に係る課金といった処理を行う。サーバー1は、コンピュータやワークステーション等により構成され、1台或いは複数台の装置から構成される。また、複数の統括サーバーや、データベースシステム、課金システムといった、複数のシステムから実現されるものであってもよい。
【0028】
ゲーム端末2は、ゲーム画面を見ながらプレイヤー(遊戯者)が操作入力を行う端末であって、パソコン、携帯端末、携帯電話機、家庭用ゲーム装置、業務用ゲーム装置など、いずれの装置であってもよい。
【0029】
また、電気通信回線3は、有線/無線の何れの形態であってもよく、インターネット網や電話網、専用線網、LANなど、いずれの形態であってもよい。
【0030】
即ち、以下詳述するが、本発明は、サーバーの機能に係るものである。従って、サーバー1、ゲーム端末2および電気通信回線3のH/W構成自体については、公知の装置・技術で実現できるものであって、サーバー1、ゲーム端末2および電気通信回線3のH/W構成に、本発明の趣旨がとらわれるものではない。従って、以下では、本発明のポイントとなるサーバーを主として説明する。
【0031】
図2は、サーバー1の主要な機能ブロックを示す図である。サーバー1は、通信部11と、処理部31と、記憶部51とから構成される。
【0032】
通信部11は、所与の電気通信回線(インターネット網や専用線網など)を介して、パソコンや携帯端末等であるゲーム端末2と情報通信を行う機能部である。処理部31は、この通信部11等を介して、ネットワークゲームの実行に係るゲームデータ(例えば、ゲーム空間の設定情報や各プレイヤーの位置情報、各プレイヤーの操作情報等)をゲーム端末2と送受する。
【0033】
記憶部51は、プレイヤー情報520と、レベル分布情報530と、ゲーム進行条件540と、ゲーム進行管理プログラム550とを記憶している。この記憶部51の機能は、CD−ROM、ICカード、MO、FD、DVD、メモリ、ハードディスクなどのハードウェアにより実現できる。
【0034】
プレイヤー情報520は、サーバー1が運営・制御するネットワークゲームに登録(参加)しているプレイヤーに係る情報である。図3は、プレイヤー情報520の一例を示す図である。プレイヤー情報520は、プレイヤー名と、プレイヤーのレベルと、当該レベルにおいて倒した敵キャラクタ数の合計(以下、敵キャラ累積打倒数という。)と、敵キャラ累積打倒数を換算した換算数とが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0035】
敵キャラ累積打倒数とは、当該プレイヤーが、現在のレベルにおいて倒した敵キャラクタ数の合計のことであり、換算数とは、この敵キャラ累積打倒数に、後述する重み(図11参照)を係数として乗じた値である。例えば、図3において、プレイヤー情報520には“プレイヤーA”と、レベル“2”と、敵キャラ累積打倒数“13”と、換算数“16”とが格納されているが、これは、プレイヤーAが、レベル2において、敵キャラクタを13匹倒し、それを換算した数が“16”であることを示す。
【0036】
処理部31は、この敵キャラ累積打倒数或いは換算数を参照して、当該プレイヤーのネットワークゲームにおける進行を制御することとなるが、何れの数を用いるかは設計事項であり、また、適宜切り替えることとしてもよい。
【0037】
レベル分布情報530とは、ネットワークゲームに登録(参加)している全てのプレイヤーのレベル分布を分析するための情報であり、レベル分布情報530には、後述するレベル分布表T1(図4(a)参照)およびレベル占有率T2(図5(a)参照)が含まれる。
【0038】
ゲーム進行条件540とは、レベル分布の分析結果に基づいて、各プレイヤーのレベルのゲーム進行条件を変更するための情報であり、ゲーム進行条件540には、後述する、レベルアップ条件判定式の各定数、定数決定表T3(図8参照)、敵キャラクタ出現数表T4(図10参照)、重み表T5(図11参照)、適用シナリオ対応表T6(図12参照)が含まれる。
【0039】
ゲーム進行管理プログラム550とは、サーバー2が運営・管理するネットワークゲームに参加している各プレイヤーの、ゲーム進行を管理するために記述されたプログラムである。ゲーム進行管理プログラム550には、レベル分布判断部330によって読み出されて実行されるレベル分布判断プログラム552と、レベルアップ条件判断部340によって読み出されて実行されるレベルアップ条件判断プログラム554とが含まれる。
【0040】
処理部31は、ネットワークゲーム全体の管理・運営・制御を行うための機能部であり、CISC型やRISC型のCPU、DSP、データ一時記憶用のメモリ等のハードウェアにより実現されるものである。処理部31には、本発明を実現する主要部となる、レベル分布判断部330と、レベルアップ条件判断部340とが含まれる。処理部31は、最終的にレベルアップ条件判断部340によって設定されたゲーム進行条件540に従って、ネットワークゲームに参加している各プレイヤーに対するゲームの進行を制御する。
【0041】
レベル分布判断部330は、レベル分布判断プログラム552を実行することにより、統計学を用いたプレイヤー情報520の分析、レベル分布情報530の更新、分布指標の算出を行う機能部である。レベル分布判断部330が実行する機能について、以下図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図4(a)は、レベル分布表T1の一例を示す図である。レベル分布表T1とは、各レベルと、当該レベルのプレイヤー数とが対応づけて格納されたデータテーブルである。レベル分布判断部330は、プレイヤー情報520に基づいて、まず、このレベル分布表T1を作成・更新する。因みに、これをグラフ(ヒストグラム)にしたものが図4(b)である。
【0043】
次に、レベル分布判断部330は、レベル占有率表T2を更新する。図5(a)は、レベル占有率表T2の一例を示す図である。レベル占有率表T2とは、各レベルと、当該レベルのプレイヤー数がプレイヤー全体数に占める割合(以下、占有率という。)とが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0044】
レベル分布判断部330は、更に、レベル分布表T1のヒストグラムを正規化した頻度図を求め、確率密度関数を算出する。図5(b)は、図4(b)のヒストグラムを総面積が“1”となるように正規化した頻度図と呼ばれるものである。また、図5(b)を関数fX(x)として理想化した、確率密度関数が図5(c)である。
【0045】
確率分布の特徴を表す主な指標に、「代表値」と「ばらつきの指標」がある。代表値には、平均値、中央値(median)、最頻値(mode)といった値があり、ばらつきの指標には、分散、標準偏差、変動係数といったものがある。本実施の形態において、レベル分布判断部330が、これらの指標を用いてネットワークゲームに参加しているプレイヤーのレベル分布を演算・把握する。
【0046】
レベルアップ条件判断部340は、レベルアップ条件判断プログラム554を実行することにより、レベル分布判断部330が算出した分布指標に基づいて、ネットワークゲームに参加しているプレイヤーのレベル分布パターンを特定するとともに、特定した分布パターンに基づいて、各レベルのプレイヤーが次のレベルに上がるのに必要な条件(後述するレベルアップ条件判定式など)を決定し、敵キャラクタの出現頻度といったゲーム進行に係る条件を設定する機能部である。
【0047】
より具体的には、レベルアップ条件判断部340は、まず、参加しているプレイヤーのレベル分布が、予め想定・類型化した確率密度関数である、特定の分布パターンの何れに近似するかを判断する(以下、この判断を「当てはめ」という。)。
【0048】
図6は、予め想定・類型化した分布パターンの例を示す図であり、同図(a)〜(d)の4つの分布パターンを想定している。以下、図6(a)を第1分布パターンといい、(b)を第2分布パターンといい、(c)を第3分布パターンといい、(d)を第4分布パターンという。
【0049】
第1分布パターンでは、レベル2に先行プレイヤーの多くが集中しており、第2分布パターンではレベル3に先行プレイヤーの多くが集中しており、第3分布パターンではレベル4に先行プレイヤーの多くが集中している。また、第4分布パターンでは、先行プレイヤーはレベル1からレベル5の全体に分散している。
【0050】
図7(a)は、打倒敵キャラ数を算出するためのレベルアップ条件判定式を示した図である。図7(a)において、縦軸(Y)は打倒敵キャラ数を表し、横軸(X)はプレイヤーのレベルを表している。Y軸とX軸の交点は原点である。
【0051】
同図において、X=bの式で表される破線は、先行プレイヤーの集中するレベルと、その一つ下のレベルとの境界を表している。以下、この線を基準レベル境界線という。
また、同図において、Y=cで表される破線は、レベル1のプレイヤーが先行プレイヤーの集中するレベルに上がるのに必要な打倒敵キャラ数を表している。以下、この線を基準線といい、“c”を途中参加の容易度という。
【0052】
図7(a)に示す通り、レベルアップ条件判定式は、直線と放物線の2つの式によって定義される。まず、原点と、基準線と基準レベル境界線の交点とを結ぶ直線、即ち、Y=m×X(0≦X≦b)がある(ここで、mはm=c/bで表される。)。次に、前記交点を頂点とした放物線Y=a×(X−b)2+c(c≦X)がある。
【0053】
このレベルアップ条件判定式(即ち、直線および放物線)と、各レベルの一つ上のレベルとの境界線の交点のY値が、そのレベルにおける打倒敵キャラ数であり、レベルアップ条件判断部340は、定義したレベルアップ条件判定式に基づいて、打倒敵キャラ数を算出する。具体的に図7(b)を参照して説明する。図7(b)は、レベルアップ条件判定式の具体的数値例である。図7(b)において、基準レベル境界線はレベル3とレベル4の境界線であり、基準線は打倒敵キャラ数“50”の線である。図7(b)において、例えば、レベル2のプレイヤーがレベル3に上がるための打倒敵キャラ数は、レベル2とレベル3の境界線におけるレベルアップ条件判定式のY値である、“30”となる。同様にして、レベル3のプレイヤーがレベル4に上がるための打倒敵キャラ数は“50”、レベル4のプレイヤーがレベル5に上がるための打倒敵キャラ数は“120”となる。
【0054】
レベルアップ条件判断部340は、当てはめた分布パターンに基づいて、レベルアップ条件判定式を構成する直線の傾き“m”、放物線の比例定数“a”、及び途中参加の容易度“c”を変化させる。図8は、定数決定表T3の一例を示す図である。定数決定表T3とは、レベルアップ条件判定式の各定数“a”、“b”、“c”の値と、第1〜第4分布パターンとが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0055】
以下、第1〜第4分布パターンそれぞれに、定数決定表T3の定数を適用した場合について説明する。
【0056】
まず、集中しているレベルが顕著である場合として、第1分布パターンと、第2分布パターンについて説明する。
【0057】
当てはめた分布パターンが第1分布パターンである場合には、定数決定表T3より、レベルアップ条件判定式の各定数は、a=10、b=1、c=10と決定される。このときのレベルアップ条件判定式は、図9(a)のようになる。
即ち、レベルアップ条件判定式を構成する直線の式はY=10X(0≦X≦1)となり、放物線の式はY=10(X−1)2+10(10≦X)となる。
【0058】
この場合、レベル1のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“10”であり、レベル2のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“20”であり、レベル3のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“50”であり、レベル4のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“100”である。
【0059】
当てはめた分布パターンが第2分布パターンである場合には、定数決定表T3より、a=30、b=2、c=10である。このときのレベルアップ条件判定式は、図9(b)のようになる。
即ち、レベルアップ条件判定式を構成する直線の式はY=5X(0≦X≦2)となり、放物線の式はY=30(X−2)2+10(10≦X)となる。
【0060】
この場合、レベル1のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“5”であり、レベル2のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“10”であり、レベル3のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“40”であり、レベル4のプレイヤーの打倒キャラ数は“130”である。
【0061】
ここで、上記当てはめた2つの分布パターンについて比較する。まず、直線の傾きmについて見ると、第1分布パターンの場合のmよりも第2分布パターンの場合のmの方が小さい。これは、プレイヤーの数が集中しているレベルが高いほど、新規プレイヤーのレベルアップを急速に図ることができるようにした設定である。
【0062】
また、放物線の比例定数aについて見ると、第1分布パターンの場合のaよりも第2分布パターンの場合のaの方が大きい。これは、プレイヤーの数が集中しているレベルが高いほど、先行プレイヤーがそのレベルよりも高いレベルに上がることを難しくし、レベルの高いプレイヤーを飽きさせないようにした設定である。
【0063】
このように、レベルアップ条件判断部340が、レベルアップ条件判定式の定数a、b、cの値を設定することによって、新規プレイヤーが多数のプレイヤーが存在するレベルに容易に到達させたり、レベルの高いプレイヤーのレベルアップを難しくさせたりすることができる。従って、新規プレイヤーに対してゲームに馴染みやすくさせることができ、一方、レベルの高いプレイヤーに対しても多数のプレイヤーと同じレベルに留まらせて飽きさせないようにすることができる。
【0064】
次に、プレイヤーのレベルが分散している場合である、第4分布パターンについて説明する。
【0065】
第4分布パターンである場合のレベルアップ条件判定式の各定数は、定数決定表T3より、a=30、b=2、c=10と決定される。この定数は、パターン2に等しい。従って、レベルアップ条件判定式は、図9(b)に示すものとなる。
【0066】
この場合には、レベルの低いプレイヤーは、容易にレベル3に上がることができるが、レベルが中程度または高いプレイヤーはなかなか上のレベルに上がることができない。従って、結果的に、第2分布パターンの分布に近づく。
同様に、a、b、cの値を第1分布パターンに等しくした場合には、第1分布パターンのような分布に近づき、第3分布パターンに等しくした場合には、第3分布パターンのような分布に近づく。
【0067】
即ち、レベルアップ条件判断部340がレベルアップ条件判定式の定数を変えることによって、ゲームに参加しているプレイヤーのレベル分布がどのようであっても、任意のレベルに集中させることや、現時点におけるプレイヤーが集中しているレベルではないレベルに集中させる(即ち、集中しているレベルをシフトさせる)、といった制御が可能となる。
【0068】
次に、レベルアップ条件判断部340が、他のゲーム進行条件540を変更する場合について説明する。
【0069】
図10は、敵キャラ出現数表T4の一例を示す図である。敵キャラ出現数表T4とは、プレイヤーのレベルと、単位時間あたりの敵キャラクタ出現数とが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0070】
同図において、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4、レベル5のプレイヤーに対する単位時間あたりの敵キャラクタ出現数は、それぞれ、“10”、“8”、“6”、“4”、“2”として設定されている。即ち、レベルの低いプレイヤーに対しては、単位時間あたりの敵キャラクタ出現数が多く、レベルの高いプレイヤーに対しては、単位時間あたりの敵キャラクタ出現数が少なく設定されている。このため、レベルの低いプレイヤー程、レベルアップできるチャンスが多くなる。
【0071】
このように、レベルアップ条件判断部340が、敵キャラ出現数表T4を設定することにより、プレイヤーのレベルに応じて敵キャラクタの出現数を変化させることができ、プレイヤーのレベルの分布をコントロールすることができる。
【0072】
尚、本実施の形態は、極端な例を示している。即ち、単純に本原理を適用した場合、レベルの高いプレイヤーは、敵キャラクタと遭遇する機会が少なくなり、ゲームの面白味を却って損ね得るのではないか、と考えられる。しかし、ゲームに登場する敵キャラクタは一般的に1種類ではない。即ち、本原理の適用に際しては、敵キャラクタの種類によって出現数を変更するといった調整を図ることにより、レベルの高いプレイヤーに対しても面白味を維持させることができる。
【0073】
次に、レベルアップ条件判断部340が重み表T5を設定する場合について説明する。図11は、重み表T5の一例を示した図である。重み表T5とは、プレイヤーのレベルと、重みとが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0074】
同図において、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4、レベル5の重みとして、それぞれ、“1.5”、“1.2”、“1.0”、“0.8”、“0.7”が対応づけて設定されている。即ち、レベルの低いプレイヤーに対しての重みは高く、レベルの高いプレイヤーに対しての重みは低く設定されている。
【0075】
「重み」とは、実際にプレイヤーが倒した敵キャラクタの数に乗じる係数のことであって、この重みが乗算されることによって、実際に“1匹”の敵キャラクタを倒したとしても、“0.5匹”と換算されたり、“2匹”と換算されたりするものである。上述した通り、図3に示すプレイヤー情報520の換算数は、この重みを用いて算出された数値である。
【0076】
また、この換算数が、実際に倒した敵キャラクタの数の代わりに使用されることにより、例えば、レベルの低いプレイヤーは、実際に倒した敵キャラクタの数が少なくとも、レベルアップのための打倒敵キャラ数を超えていると判断され、容易にレベルアップすることが可能となる。
【0077】
このように、レベルアップ条件判断部340が、プレイヤーのレベルに応じて打倒敵キャラ数に対する重みを変化させることによって、プレイヤーのレベルの分布をコントロールすることができる。
【0078】
尚、本実施の形態は、極端な例を示している。即ち、単純に本原理を適用した場合、レベルの高いプレイヤーは、敵キャラクタを倒してもなかなかレベルアップができず、ゲームの面白味を却って損ね得るのではないか、と考えられる。しかし、ゲームに登場する敵キャラクタは一般的に1種類ではない。即ち、本原理の適用に際しては、敵キャラクタの種類によって出現数を変更するといった調整を図ることにより、レベルの高いプレイヤーに対しても面白味を維持させることができる。
【0079】
次に、レベルアップ条件判断部340が適用シナリオ対応表T6を設定する場合について説明する。図12は、適用シナリオ対応表T6の一例を示す図である。適用シナリオ対応表T6とは、プレイヤーのレベルと、適用されるシナリオNoとが対応づけて格納されたデータテーブルのことである。
【0080】
同図において、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4、レベル5のプレイヤーには、それぞれ、第1シナリオ、第1シナリオ、第2シナリオ、第3シナリオ、第3シナリオが対応づけられている。
【0081】
シナリオとは、ゲーム中の要所要所に設けられた、進行に係る要件情報のことである。具体的には、例えば、鍵のかかっている、金貨の入った宝箱をプレイヤーが発見した場合、第1シナリオでは、「(1)鍵アイテムの所有」が宝箱を開ける要件であるが、第2シナリオでは「(1)鍵アイテムの所有」と「(2)暗証番号の取得」が宝箱を開ける要件である。また、第3シナリオでは「(1)鍵アイテムの所有」が宝箱を開ける要件ではあるが、更に「(3)宝箱を開けると現れる大蛇を倒す」ことが金貨を手に入れるための要件である。といった様に、第1〜第3シナリオは異なるシナリオとして予め設定されている。
【0082】
ゲームの進行においては、処理部31が、適用シナリオ対応表T6を参照して、各プレイヤーのレベルに対応するシナリオを適用する。従い、レベルアップ条件判断部340が、各レベルに対して適用するシナリオを変更することによって、ゲーム展開を変化させることができる。また、ゲーム展開の内容によっては、レベルアップの難易度やプレイヤーのレベルの分布をコントロールすることも可能である。
【0083】
次に、サーバー1の処理部31が実行するゲーム進行管理に係る動作の流れについて説明する。図13は、ゲーム進行管理プログラム550に従って実行される処理部31のゲーム進行管理処理の流れを示すフローチャートである。尚、このゲーム進行管理処理は、例えば1週間毎や、1ヶ月毎といった一定期間毎に行われる処理である。
【0084】
図13において、まず、レベル分布判断部330が、統計学的手法を用いて分布指標(例えば、代表値、ばらつきの指標等)を算出するとともに、レベル分布情報530に含まれるレベル分布表T1およびレベル占有率T2を更新する(ステップS1)。
【0085】
次に、レベルアップ条件判断部340が、ステップS1において算出された分布指標に基づいて、第1分布パターン〜第4分布パターンと照合し、現在のレベル分布のパターンを特定する(ステップS2)。
【0086】
次いで、特定した(当てはめた)分布パターンが現在のパターン(既に当てはめていたパターン)と異なるか否かを判定する(ステップS3)。異ならない、即ち同じであると判定した場合には、処理部31は本処理を終了する。一方、特定した分布パターンが現在のパターンと異なっていた場合には、分布パターンを変更し、現在当てはめている分布パターンとして記憶・更新する(ステップS4)。
【0087】
そして、レベルアップ条件判断部340は、更新された分布パターンに基づき、レベルアップ条件判定式の定数、定数決定表T3、敵キャラクタ出現数表T4、重み表T5、適用シナリオ対応表T6を含むゲーム進行条件540を変更して(ステップS5)、本処理を終了する。
【0088】
次に、本実施の形態のサーバー1を実現できるハードウェアの構成の一例について図14を用いて説明する。同図に示す装置では、CPU1000、ROM1002、RAM1004、情報記憶媒体1006、音生成IC1008、画像生成IC1010、I/Oポート1012、1014が、システムバス1016により相互にデータ入出力可能に接続されている。そして画像生成IC1010には表示装置1018が接続され、音生成IC1008にはスピーカ1020が接続され、I/Oポート1012にはコントロール装置1022が接続され、I/Oポート1014には通信装置1024が接続されている。
【0089】
情報記憶媒体1006は、プログラム、表示物を表現するための画像データ、音データ、プレイデータ等が主に格納されるものであり、図2における記憶部51に相当する。情報記憶媒体1006は例えばCD−ROM、DVD、ROM等のメモリやハードディスクにより実現される。
【0090】
コントロール装置1022はゲームコントローラ、操作パネル等に相当するものであり、プレイヤーがゲームの進行に応じて行う判断の結果を装置本体に入力するための装置である。
【0091】
情報記憶媒体1006に格納されるプログラム、ROM1002に格納されるシステムプログラム(装置本体の初期化情報等)、コントロール装置1022から入力される信号等に従って、CPU1000は装置全体の制御や各種データ処理を行う。RAM1004はこのCPU1000の作業領域等として用いられる記憶手段であり、情報記憶媒体1006やROM1002の所与の内容、あるいはCPU1000の演算結果等が格納される。
【0092】
更に、この装置には音生成IC1008と画像生成IC1010とが設けられていて音出力や画像出力が行えるようになっているが、本発明に係るサーバー1の処理を実現するのみにおいては、特に必要とされるH/Wではない。音生成IC1008は情報記憶媒体1006やROM1002に記憶される情報に基づいて音を生成する集積回路であり、生成された音はスピーカ1020によって出力される。また、画像生成IC1010は、RAM1004、ROM1002、情報記憶媒体1006等から送られる画像情報に基づいて表示装置1018に出力するための画素情報を生成する集積回路である。また表示装置1018は、CRT、LCD、TV、プラズマディスプレイ、液晶プラズマディスプレイ、プロジェクター等により実現される。
【0093】
また、通信装置1024は装置内部で利用される各種の情報を外部(ゲーム端末2)とやりとりするものであり、他の装置と接続されてゲームプログラム等に応じた所与の情報を送受したり、通信回線を介してゲームプログラム等の情報を送受すること等に利用される。
【0094】
そして、図1〜図12を参照して説明した種々の処理は、図13のフローチャートに示した処理等を行うプログラムを格納した情報記憶媒体1006と、該プログラムに従って動作するCPU1000、画像生成IC1010、音生成IC1008等によって実現される。なお画像生成IC1010等で行われる処理は、CPU1000あるいは汎用のDSP等によりソフトウェア的に行うこととしてもよい。
【0095】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限られるものではない。例えば、本発明を、所定量の遊戯媒体(例えば、ゲームのポイント等)と引き換えに魔法が使えたり、道具(アイテム)を手に入れることができるといったゲームに適用することも可能である。より具体的には、遊戯媒体が得点であるとき、ある魔法を使用するためには、5ポイント必要であり、さらに強力な魔法を使用するためには10ポイント必要であるといったものである。遊戯媒体は、ゲームの得点以外に、ゲーム中の通貨であってもよいし、当該ゲームシステムが業務用のゲームシステムである場合には投入するコインやメダルであってもよい。
【0096】
このようなゲームに対する本発明の具体的な適用方法を説明する。図15は、基準交換値表T8の一例を示す図であり、図16は、交換レート表T9の一例を示す図である。基準交換値表T8とは、対価(魔法や道具等)と、その対価を得るのに必要な遊戯媒体(ポイントやコイン等)の基準交換値とが対応づけて格納されたデータテーブルである。交換レート表T9とは、プレイヤーのレベルと、交換レートとが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0097】
この基準交換値表T8と、交換レート表T9とにより、次のように実現される。即ち、例えば、レベル1のプレイヤーが魔法1を使用するには、基準交換値“10”に交換レート“0.8”をかけた“8”ポイントの遊戯媒体が必要であり、レベル2のプレイヤーが魔法1を使用するには、基準交換値“10”に交換レート“1.0”をかけた“10”ポイントの遊戯媒体が必要である、というように、プレイヤーのレベルに応じて交換に必要な遊戯媒体の量が変化する。
【0098】
これら基準交換値表T8および交換レート表T9は、ゲーム進行条件540内に記憶され、レベルアップ条件判断部340が、各表の値を設定するとともに、処理部31が、設定された各表の値に基づいて、各プレイヤーに対する遊戯媒体の必要量を変更する。このようにして実現することが可能である。
【0099】
また、上記実施の形態においては、確率分布の特徴を表す主な指標として、「代表値」と「ばらつきの指標」を用いたが、その他の指標を用いてもよい。
【0100】
また、レベルアップ条件判定式を直線と放物線で定義したが、前記直線は、放物線またはその他の曲線(例えば、3次曲線等)であってもよい。また、前記放物線は、直線またはその他の曲線であってもよい。更に、直線と放物線という2種類の式の組み合わせによりレベルアップ条件判定式を定義したが、それより少ない、または、多くの種類の組み合わせであってもよい。例えば、前記放物線の後に、更に、直線と放物線をつなげた4種類の式の組み合わせとしてもよい。この場合には、一本目の直線によってプレイヤーをあるレベルに集中させ、2本目の直線によってプレイヤーをまた別のレベル(即ち、あるレベルよりも高く、且つ、あるレベルとは異なるレベル)に集中させるというふうに、2つの異なったレベルに集中させることができる。
このように、複数の式を組み合わせてレベルアップ条件判定式を定義することにより、様々な分布状況を生み出すことができる。
【0101】
また、レベルアップ条件判定式を決定する定数a、b、cは、プレイヤーのレベル分布により変化させることとしたが、ゲームサービス開始後の経過時間やネットワークゲームの難易度に応じた係数をかけて変化させることとしてもよい。
【0102】
また、本実施の形態の説明において、打倒敵キャラ数または換算数に応じてレベルが上がることとしたが、打倒敵キャラ数を得点や経験値に置き換えてもよい。また、敵キャラクタの種類に応じて得られる得点や経験値が変化することとしてもよい。また、打倒敵キャラクタによるパラメータだけでなく、複数のパラメータによって、レベルを決定するものであってもよい。
【0103】
また、プレイヤーのレベルについては、上昇する方向について主眼をおいて説明したが、レベルを下げる方向に本発明を適用することとしてもよいし、諸条件に応じて、上下する場合に本発明を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 サーバー
11 通信部
31 処理部
330 レベル分布判断部
340 レベルアップ条件判断部
51 記憶部
520 プレイヤー情報
530 レベル分布情報
540 ゲーム進行条件
550 ゲーム進行管理プログラム
552 レベル分布判断プログラム
554 レベルアップ条件判断プログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報記憶媒体、ゲーム進行管理システム、およびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプレイヤーが、同時に同一のゲーム空間を共有し、プレイヤー同士でチャットや、パーティを組むといったことを楽しむゲームが知られている。このネットワークゲームにおいても、通常のゲームと同様に、ゲームレベルや、経験値、ライフ、攻撃力、防御力、といったパラメータが設定される。即ち、各プレイヤーは自キャラクタを操作して、敵キャラクタを倒したり、アイテムを見つけたりすることによって、経験値を上げたり、武器を装備したり、魔法を修得する、といったことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−296273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ゲームサービスが開始されてから一定期間経過すると、例えば、次の様な状況が生じ得る。即ち、ゲームサービスが開始された日からゲームをプレイし、その日から遊び続けているプレイヤーと、ゲームサービスが開始された日付から一定期間経ってから遊び始めたプレイヤーとの間に、格差が開き過ぎる場合が起こり得る。その格差は、各プレイヤーに対するゲームレベルであって、具体的には、操作キャラクタのレベルや、攻撃力、防御力といったパラメータの差として歴然と表れる。
【0005】
このような状況下でありながら、あらゆるプレイヤーが同一のゲーム空間でゲームプレイを行うと、それぞれのプレイヤーに対して相当のストレスを感じさせてしまう。具体的には、新規プレイヤーは、先行しているレベルの高いプレイヤーに戦いを挑んでも勝利できず、また、レベルが相当に違うためにパーティを組めない(或いは組んでもらえない)といった、周囲に取り残された状況に陥りかねない。一方、レベルの高いプレイヤーにとっても、同じレベルのプレイヤーが少なく、パーティを組むといってもレベルの低いプレイヤーと組むこととなるため、早くに、ゲームに飽きがきてしまう場合が起こりうる。
【0006】
本発明の課題は、各プレイヤーのレベルのばらつきを抑制すること、あらゆるプレイヤーに対してゲームの面白味を提供することであり、更には、ゲームサービス提供後の何れの時点においても、これらの課題を解決せしめる手段を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するための第1の発明は、プロセッサによる演算・制御により、システム(例えば、サーバー1)に対して、所与のネットワークゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件(例えば、図2のゲーム進行条件540)に基づいて管理させるためのゲーム進行管理情報であって、前記所与のネットワークゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段(例えば、図2のレベル分布判断部330)と、前記ゲーム進行度合基準に基づいて、前記ゲーム進行条件を変更する変更手段(例えば、図2のレベルアップ条件判断部340)と、を前記システムに機能させることを特徴としたゲーム進行管理情報である。
【0008】
第7の発明は、所与のネットワークゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理するゲーム進行管理システムであって、
前記所与のネットワークゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段(例えば、図2のレベル分布判断部330)と、前記ゲーム進行度合基準に基づいて、前記ゲーム進行条件を変更する変更手段(例えば、図2のレベルアップ条件判断部340)と、を備えることを特徴としたゲーム進行管理システムである。
【0009】
第8の発明は、所与の電気通信回線(無線あるいは有線、何れの形態も含む意である。)を介して、他のゲームシステム又はゲーム端末と接続され、前記他のゲームシステム又はゲーム端末を操作するプレイヤー、或いは、前記他のゲームシステム又はゲーム端末を操作するプレイヤー及び当該ゲームシステムを操作するプレイヤーが、同時に同一の仮想空間を共有するゲームを制御・実行するゲームシステムであって、
前記ゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理する手段(例えば、図2の処理部31)と、前記ゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段(例えば、図2のレベル分布判断部330)と、前記ゲーム進行度合基準に基づいて、前記ゲーム進行条件を変更する変更手段(例えば、図2のレベルアップ条件判断部340)と、を備えることを特徴としたゲームシステムである。
【0010】
第9の発明は、複数のゲーム端末を有するマルチプレイヤー型のゲームシステム(例えば、複数のゲーム端末と一体型となっている業務用のゲームシステム)であって、
ゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理する手段(例えば、図2の処理部31)と、ゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段(例えば、図2のレベル分布判断部330)と、前記ゲーム進行度合基準に基づいて、前記ゲーム進行条件を変更する変更手段(例えば、図2のレベルアップ条件判断部340)と、を備えることを特徴としたゲームシステムである。
【0011】
ここでシステムとは、複数台のコンピュータ装置によって構成されるシステム構成に限る意ではなく、1台のコンピュータ装置で構成される場合をも含む意味である。また、コンピュータ装置に限らず、業務用のゲームシステムといった他の装置であってもよい。また、統計学的演算とは、例えば、最頻値や、平均値、中央値、標準偏差といった値を求める演算である。
【0012】
第1、7、8、あるいは9の発明によれば、算定手段によって算定されるゲーム進行度合基準に基づいて、ゲーム進行条件が変更手段により変更される。従って、ネットワークゲームに参加している参加プレーヤのゲームレベルの分布を、適切に調節することが可能となる。例えば、ゲームレベルの高い参加プレーヤが多く存在する場合には、初心者プレーヤ(ゲームレベルの低いプレーヤ)に優遇措置となるゲーム進行条件を設定する、といったことが可能となる。また、算定手段による算定及び変更手段によるゲーム進行条件の変更は、特定の時期である必要がないため、ゲームサービス提供開始後、何れの時点においても有効な処理を実現することができる。
【0013】
なお、ゲーム進行条件とは、当該参加プレーヤのゲームの進行に関わる条件のことであり、このゲーム進行条件に含まれる具体的な条件によって、第2から第4の発明のゲーム進行管理情報を構成してもよい。
【0014】
即ち、第2の発明として、
前記変更手段に対して、前記ゲーム進行条件に含まれる、前記他のキャラクタの出現条件(例えば、出現頻度や、配置位置、出現数など)及び/又は前記他のキャラクタとの対戦勝利時の給付価値情報(例えば、発明の実施の形態において説明する換算数や、勝利時に給付される経験値など)を変更する、ように機能させるための情報を含むゲーム進行管理情報を構成することとしてもよい。
【0015】
また、第3の発明として、
前記変更手段に対して、前記ゲーム進行条件に含まれる、ゲーム展開条件(例えば、ゲームシナリオなど)を変更する、ように機能させるための情報を含むゲーム進行管理情報を構成することとしてもよい。
【0016】
また、第4の発明として、
前記ゲーム進行度合には、少なくともゲームレベルが含まれ、
前記ネットワークゲームは、当該プレイヤーの操作対象キャラクタが、他のキャラクタと対戦することによって、当該プレイヤーのゲームレベルが変化するゲームであり、
前記変更手段に対して、前記ゲーム進行条件に含まれる、レベルアップ条件を変更する、ように機能させるための情報を含むゲーム進行管理情報を構成することとしてもよい。
【0017】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明のゲーム進行管理情報において、
前記ネットワークゲームは、ゲーム状況に応じて、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームであり、
前記ゲーム進行度合基準と、当該プレイヤーのゲーム進行度合とに基づいて、当該プレイヤーに対する前記消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を変更する遊戯媒体量変更手段、を前記システムに機能させるための情報を含むゲーム進行管理情報である。
【0018】
ここで遊戯媒体とは、メダル、コイン、紙幣、銀玉(パチンコ玉)、ゲーム中の仮想的な仮想メダル、ゲーム中の仮想的な仮想コイン、ゲーム中の仮想的な仮想紙幣、ゲーム中の仮想的な仮想銀玉等である。仮想メダル、仮想コイン、仮想紙幣及び仮想銀玉が表示されることによってその量が表されるだけでなく、数字によってその量が表されてもよい。遊戯媒体は、プレーヤがゲームに参加するために必要なものである。
【0019】
この第5の発明によれば、第1から第4の発明の効果を、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームに対しても実現することができる。そして、このゲームにおいては、各プレイヤーに対する消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量が変更されるため、例えば、初心者のプレイヤーに対しては消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を優遇する、といったことが可能である。
なお、遊戯媒体の量の変更は、発明の実施の形態で述べる交換レートを介して、間接的に変更することとしてもよい。
【0020】
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明のゲーム進行管理情報を記憶する情報記憶媒体である。
【0021】
この第6の発明によれば、第1から第5の発明の効果を奏するゲーム進行管理情報を記憶した情報記憶媒体を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態におけるシステム構成全体の概略を示す図。
【図2】サーバーの機能ブロック図。
【図3】プレイヤー情報の一例を示す図。
【図4】(a)はレベル分布表の一例を示す図。(b)は同図(a)のヒストグラム。
【図5】(a)はレベル占有率の一例を示す図。(b)は図4(b)の頻度図。(c)は図5(b)の確率密度関数。
【図6】予め想定・類型化した分布パターンの例を示す図。
【図7】(a)はレベルアップ条件判定式を示す図。(b)はレベルアップ条件判定式の具体的数値例を示す図。
【図8】定数決定表の一例を示す図。
【図9】(a)は第1分布パターンに適用されるレベルアップ条件判定式を説明するための図。(b)は第2分布パターンに適用されるレベルアップ条件判定式を説明するための図。
【図10】敵キャラ出現数表の一例を示す図。
【図11】重み表の一例を示す図。
【図12】適用シナリオ対応表の一例を示す図。
【図13】ゲーム進行管理処理の流れを示すフローチャート。
【図14】本実施の形態のサーバーを実現できるハードウェアの構成の一例を示す図。
【図15】基準交換値表の一例を示す図。
【図16】交換レート表の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施の形態は、一般的にネットワークゲームと呼ばれているゲームに本発明を適用するものとして説明する。ネットワークゲームを実現する形態としては、例えば、(1)家庭に設置してあるパソコンや家庭用ゲーム装置等をゲーム端末とし、インターネット網や専用線網等の電気通信回線を通じてサーバーと接続する形態、(2)複数のゲーム端末同士を電気通信回線で接続し、親機と子機のような構成とする形態、(3)複数のゲーム端末同士を電気通信回線で接続し、その内の一台がサーバー機能を有する形態、(4)複数のゲーム端末が物理的に結合した、全体として一台の装置(例えば業務用のゲームシステム)となっている形態、などがある。本発明は何れの形態に対しても適用可能であるが、本実施の形態においては、(1)ゲーム端末と、サーバーとを所与の電気通信回線で接続した形態として説明する。
【0024】
また、説明を簡明にするため、本ゲームにおいて、各プレイヤーは1つの自キャラクタだけを操作するものとし、自キャラクタのことをプレイヤーとみなして説明する。また、倒した敵キャラクタの数(以下、打倒敵キャラ数という。)に応じてプレイヤー(自キャラクタ)のレベルが上がるものとして説明するが、打倒敵キャラ数は、累積値ではなく、現在のレベル(例えば、レベル“1”)から次のレベル(例えば、レベル“2”)にレベルアップするために、倒さなければならない敵キャラクタの数とする。
【0025】
また、プレイヤーのレベルは、弱いほうをレベル“1”としてレベル“5”まで設けるものとする。つまり、新規にゲームに参加したプレイヤー(以下、新規プレイヤーという。)のレベルは“1”である。
【0026】
図1は、本実施の形態におけるシステム構成全体の概略を示す図である。図1において、ゲーム端末2,2,・・・は、電気通信回線3を介してサーバー1と接続されており、各ゲーム端末2,2,・・・において、プレイヤー(遊戯者)がネットワークゲームを楽しむ。
【0027】
サーバー1は、ネットワークゲームの進行制御を行うとともに、ネットワークゲームに参加している各プレイヤーの情報の管理や、正規のプレイヤーか否かの認証、ゲーム使用に係る課金といった処理を行う。サーバー1は、コンピュータやワークステーション等により構成され、1台或いは複数台の装置から構成される。また、複数の統括サーバーや、データベースシステム、課金システムといった、複数のシステムから実現されるものであってもよい。
【0028】
ゲーム端末2は、ゲーム画面を見ながらプレイヤー(遊戯者)が操作入力を行う端末であって、パソコン、携帯端末、携帯電話機、家庭用ゲーム装置、業務用ゲーム装置など、いずれの装置であってもよい。
【0029】
また、電気通信回線3は、有線/無線の何れの形態であってもよく、インターネット網や電話網、専用線網、LANなど、いずれの形態であってもよい。
【0030】
即ち、以下詳述するが、本発明は、サーバーの機能に係るものである。従って、サーバー1、ゲーム端末2および電気通信回線3のH/W構成自体については、公知の装置・技術で実現できるものであって、サーバー1、ゲーム端末2および電気通信回線3のH/W構成に、本発明の趣旨がとらわれるものではない。従って、以下では、本発明のポイントとなるサーバーを主として説明する。
【0031】
図2は、サーバー1の主要な機能ブロックを示す図である。サーバー1は、通信部11と、処理部31と、記憶部51とから構成される。
【0032】
通信部11は、所与の電気通信回線(インターネット網や専用線網など)を介して、パソコンや携帯端末等であるゲーム端末2と情報通信を行う機能部である。処理部31は、この通信部11等を介して、ネットワークゲームの実行に係るゲームデータ(例えば、ゲーム空間の設定情報や各プレイヤーの位置情報、各プレイヤーの操作情報等)をゲーム端末2と送受する。
【0033】
記憶部51は、プレイヤー情報520と、レベル分布情報530と、ゲーム進行条件540と、ゲーム進行管理プログラム550とを記憶している。この記憶部51の機能は、CD−ROM、ICカード、MO、FD、DVD、メモリ、ハードディスクなどのハードウェアにより実現できる。
【0034】
プレイヤー情報520は、サーバー1が運営・制御するネットワークゲームに登録(参加)しているプレイヤーに係る情報である。図3は、プレイヤー情報520の一例を示す図である。プレイヤー情報520は、プレイヤー名と、プレイヤーのレベルと、当該レベルにおいて倒した敵キャラクタ数の合計(以下、敵キャラ累積打倒数という。)と、敵キャラ累積打倒数を換算した換算数とが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0035】
敵キャラ累積打倒数とは、当該プレイヤーが、現在のレベルにおいて倒した敵キャラクタ数の合計のことであり、換算数とは、この敵キャラ累積打倒数に、後述する重み(図11参照)を係数として乗じた値である。例えば、図3において、プレイヤー情報520には“プレイヤーA”と、レベル“2”と、敵キャラ累積打倒数“13”と、換算数“16”とが格納されているが、これは、プレイヤーAが、レベル2において、敵キャラクタを13匹倒し、それを換算した数が“16”であることを示す。
【0036】
処理部31は、この敵キャラ累積打倒数或いは換算数を参照して、当該プレイヤーのネットワークゲームにおける進行を制御することとなるが、何れの数を用いるかは設計事項であり、また、適宜切り替えることとしてもよい。
【0037】
レベル分布情報530とは、ネットワークゲームに登録(参加)している全てのプレイヤーのレベル分布を分析するための情報であり、レベル分布情報530には、後述するレベル分布表T1(図4(a)参照)およびレベル占有率T2(図5(a)参照)が含まれる。
【0038】
ゲーム進行条件540とは、レベル分布の分析結果に基づいて、各プレイヤーのレベルのゲーム進行条件を変更するための情報であり、ゲーム進行条件540には、後述する、レベルアップ条件判定式の各定数、定数決定表T3(図8参照)、敵キャラクタ出現数表T4(図10参照)、重み表T5(図11参照)、適用シナリオ対応表T6(図12参照)が含まれる。
【0039】
ゲーム進行管理プログラム550とは、サーバー2が運営・管理するネットワークゲームに参加している各プレイヤーの、ゲーム進行を管理するために記述されたプログラムである。ゲーム進行管理プログラム550には、レベル分布判断部330によって読み出されて実行されるレベル分布判断プログラム552と、レベルアップ条件判断部340によって読み出されて実行されるレベルアップ条件判断プログラム554とが含まれる。
【0040】
処理部31は、ネットワークゲーム全体の管理・運営・制御を行うための機能部であり、CISC型やRISC型のCPU、DSP、データ一時記憶用のメモリ等のハードウェアにより実現されるものである。処理部31には、本発明を実現する主要部となる、レベル分布判断部330と、レベルアップ条件判断部340とが含まれる。処理部31は、最終的にレベルアップ条件判断部340によって設定されたゲーム進行条件540に従って、ネットワークゲームに参加している各プレイヤーに対するゲームの進行を制御する。
【0041】
レベル分布判断部330は、レベル分布判断プログラム552を実行することにより、統計学を用いたプレイヤー情報520の分析、レベル分布情報530の更新、分布指標の算出を行う機能部である。レベル分布判断部330が実行する機能について、以下図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図4(a)は、レベル分布表T1の一例を示す図である。レベル分布表T1とは、各レベルと、当該レベルのプレイヤー数とが対応づけて格納されたデータテーブルである。レベル分布判断部330は、プレイヤー情報520に基づいて、まず、このレベル分布表T1を作成・更新する。因みに、これをグラフ(ヒストグラム)にしたものが図4(b)である。
【0043】
次に、レベル分布判断部330は、レベル占有率表T2を更新する。図5(a)は、レベル占有率表T2の一例を示す図である。レベル占有率表T2とは、各レベルと、当該レベルのプレイヤー数がプレイヤー全体数に占める割合(以下、占有率という。)とが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0044】
レベル分布判断部330は、更に、レベル分布表T1のヒストグラムを正規化した頻度図を求め、確率密度関数を算出する。図5(b)は、図4(b)のヒストグラムを総面積が“1”となるように正規化した頻度図と呼ばれるものである。また、図5(b)を関数fX(x)として理想化した、確率密度関数が図5(c)である。
【0045】
確率分布の特徴を表す主な指標に、「代表値」と「ばらつきの指標」がある。代表値には、平均値、中央値(median)、最頻値(mode)といった値があり、ばらつきの指標には、分散、標準偏差、変動係数といったものがある。本実施の形態において、レベル分布判断部330が、これらの指標を用いてネットワークゲームに参加しているプレイヤーのレベル分布を演算・把握する。
【0046】
レベルアップ条件判断部340は、レベルアップ条件判断プログラム554を実行することにより、レベル分布判断部330が算出した分布指標に基づいて、ネットワークゲームに参加しているプレイヤーのレベル分布パターンを特定するとともに、特定した分布パターンに基づいて、各レベルのプレイヤーが次のレベルに上がるのに必要な条件(後述するレベルアップ条件判定式など)を決定し、敵キャラクタの出現頻度といったゲーム進行に係る条件を設定する機能部である。
【0047】
より具体的には、レベルアップ条件判断部340は、まず、参加しているプレイヤーのレベル分布が、予め想定・類型化した確率密度関数である、特定の分布パターンの何れに近似するかを判断する(以下、この判断を「当てはめ」という。)。
【0048】
図6は、予め想定・類型化した分布パターンの例を示す図であり、同図(a)〜(d)の4つの分布パターンを想定している。以下、図6(a)を第1分布パターンといい、(b)を第2分布パターンといい、(c)を第3分布パターンといい、(d)を第4分布パターンという。
【0049】
第1分布パターンでは、レベル2に先行プレイヤーの多くが集中しており、第2分布パターンではレベル3に先行プレイヤーの多くが集中しており、第3分布パターンではレベル4に先行プレイヤーの多くが集中している。また、第4分布パターンでは、先行プレイヤーはレベル1からレベル5の全体に分散している。
【0050】
図7(a)は、打倒敵キャラ数を算出するためのレベルアップ条件判定式を示した図である。図7(a)において、縦軸(Y)は打倒敵キャラ数を表し、横軸(X)はプレイヤーのレベルを表している。Y軸とX軸の交点は原点である。
【0051】
同図において、X=bの式で表される破線は、先行プレイヤーの集中するレベルと、その一つ下のレベルとの境界を表している。以下、この線を基準レベル境界線という。
また、同図において、Y=cで表される破線は、レベル1のプレイヤーが先行プレイヤーの集中するレベルに上がるのに必要な打倒敵キャラ数を表している。以下、この線を基準線といい、“c”を途中参加の容易度という。
【0052】
図7(a)に示す通り、レベルアップ条件判定式は、直線と放物線の2つの式によって定義される。まず、原点と、基準線と基準レベル境界線の交点とを結ぶ直線、即ち、Y=m×X(0≦X≦b)がある(ここで、mはm=c/bで表される。)。次に、前記交点を頂点とした放物線Y=a×(X−b)2+c(c≦X)がある。
【0053】
このレベルアップ条件判定式(即ち、直線および放物線)と、各レベルの一つ上のレベルとの境界線の交点のY値が、そのレベルにおける打倒敵キャラ数であり、レベルアップ条件判断部340は、定義したレベルアップ条件判定式に基づいて、打倒敵キャラ数を算出する。具体的に図7(b)を参照して説明する。図7(b)は、レベルアップ条件判定式の具体的数値例である。図7(b)において、基準レベル境界線はレベル3とレベル4の境界線であり、基準線は打倒敵キャラ数“50”の線である。図7(b)において、例えば、レベル2のプレイヤーがレベル3に上がるための打倒敵キャラ数は、レベル2とレベル3の境界線におけるレベルアップ条件判定式のY値である、“30”となる。同様にして、レベル3のプレイヤーがレベル4に上がるための打倒敵キャラ数は“50”、レベル4のプレイヤーがレベル5に上がるための打倒敵キャラ数は“120”となる。
【0054】
レベルアップ条件判断部340は、当てはめた分布パターンに基づいて、レベルアップ条件判定式を構成する直線の傾き“m”、放物線の比例定数“a”、及び途中参加の容易度“c”を変化させる。図8は、定数決定表T3の一例を示す図である。定数決定表T3とは、レベルアップ条件判定式の各定数“a”、“b”、“c”の値と、第1〜第4分布パターンとが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0055】
以下、第1〜第4分布パターンそれぞれに、定数決定表T3の定数を適用した場合について説明する。
【0056】
まず、集中しているレベルが顕著である場合として、第1分布パターンと、第2分布パターンについて説明する。
【0057】
当てはめた分布パターンが第1分布パターンである場合には、定数決定表T3より、レベルアップ条件判定式の各定数は、a=10、b=1、c=10と決定される。このときのレベルアップ条件判定式は、図9(a)のようになる。
即ち、レベルアップ条件判定式を構成する直線の式はY=10X(0≦X≦1)となり、放物線の式はY=10(X−1)2+10(10≦X)となる。
【0058】
この場合、レベル1のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“10”であり、レベル2のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“20”であり、レベル3のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“50”であり、レベル4のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“100”である。
【0059】
当てはめた分布パターンが第2分布パターンである場合には、定数決定表T3より、a=30、b=2、c=10である。このときのレベルアップ条件判定式は、図9(b)のようになる。
即ち、レベルアップ条件判定式を構成する直線の式はY=5X(0≦X≦2)となり、放物線の式はY=30(X−2)2+10(10≦X)となる。
【0060】
この場合、レベル1のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“5”であり、レベル2のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“10”であり、レベル3のプレイヤーの打倒敵キャラ数は“40”であり、レベル4のプレイヤーの打倒キャラ数は“130”である。
【0061】
ここで、上記当てはめた2つの分布パターンについて比較する。まず、直線の傾きmについて見ると、第1分布パターンの場合のmよりも第2分布パターンの場合のmの方が小さい。これは、プレイヤーの数が集中しているレベルが高いほど、新規プレイヤーのレベルアップを急速に図ることができるようにした設定である。
【0062】
また、放物線の比例定数aについて見ると、第1分布パターンの場合のaよりも第2分布パターンの場合のaの方が大きい。これは、プレイヤーの数が集中しているレベルが高いほど、先行プレイヤーがそのレベルよりも高いレベルに上がることを難しくし、レベルの高いプレイヤーを飽きさせないようにした設定である。
【0063】
このように、レベルアップ条件判断部340が、レベルアップ条件判定式の定数a、b、cの値を設定することによって、新規プレイヤーが多数のプレイヤーが存在するレベルに容易に到達させたり、レベルの高いプレイヤーのレベルアップを難しくさせたりすることができる。従って、新規プレイヤーに対してゲームに馴染みやすくさせることができ、一方、レベルの高いプレイヤーに対しても多数のプレイヤーと同じレベルに留まらせて飽きさせないようにすることができる。
【0064】
次に、プレイヤーのレベルが分散している場合である、第4分布パターンについて説明する。
【0065】
第4分布パターンである場合のレベルアップ条件判定式の各定数は、定数決定表T3より、a=30、b=2、c=10と決定される。この定数は、パターン2に等しい。従って、レベルアップ条件判定式は、図9(b)に示すものとなる。
【0066】
この場合には、レベルの低いプレイヤーは、容易にレベル3に上がることができるが、レベルが中程度または高いプレイヤーはなかなか上のレベルに上がることができない。従って、結果的に、第2分布パターンの分布に近づく。
同様に、a、b、cの値を第1分布パターンに等しくした場合には、第1分布パターンのような分布に近づき、第3分布パターンに等しくした場合には、第3分布パターンのような分布に近づく。
【0067】
即ち、レベルアップ条件判断部340がレベルアップ条件判定式の定数を変えることによって、ゲームに参加しているプレイヤーのレベル分布がどのようであっても、任意のレベルに集中させることや、現時点におけるプレイヤーが集中しているレベルではないレベルに集中させる(即ち、集中しているレベルをシフトさせる)、といった制御が可能となる。
【0068】
次に、レベルアップ条件判断部340が、他のゲーム進行条件540を変更する場合について説明する。
【0069】
図10は、敵キャラ出現数表T4の一例を示す図である。敵キャラ出現数表T4とは、プレイヤーのレベルと、単位時間あたりの敵キャラクタ出現数とが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0070】
同図において、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4、レベル5のプレイヤーに対する単位時間あたりの敵キャラクタ出現数は、それぞれ、“10”、“8”、“6”、“4”、“2”として設定されている。即ち、レベルの低いプレイヤーに対しては、単位時間あたりの敵キャラクタ出現数が多く、レベルの高いプレイヤーに対しては、単位時間あたりの敵キャラクタ出現数が少なく設定されている。このため、レベルの低いプレイヤー程、レベルアップできるチャンスが多くなる。
【0071】
このように、レベルアップ条件判断部340が、敵キャラ出現数表T4を設定することにより、プレイヤーのレベルに応じて敵キャラクタの出現数を変化させることができ、プレイヤーのレベルの分布をコントロールすることができる。
【0072】
尚、本実施の形態は、極端な例を示している。即ち、単純に本原理を適用した場合、レベルの高いプレイヤーは、敵キャラクタと遭遇する機会が少なくなり、ゲームの面白味を却って損ね得るのではないか、と考えられる。しかし、ゲームに登場する敵キャラクタは一般的に1種類ではない。即ち、本原理の適用に際しては、敵キャラクタの種類によって出現数を変更するといった調整を図ることにより、レベルの高いプレイヤーに対しても面白味を維持させることができる。
【0073】
次に、レベルアップ条件判断部340が重み表T5を設定する場合について説明する。図11は、重み表T5の一例を示した図である。重み表T5とは、プレイヤーのレベルと、重みとが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0074】
同図において、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4、レベル5の重みとして、それぞれ、“1.5”、“1.2”、“1.0”、“0.8”、“0.7”が対応づけて設定されている。即ち、レベルの低いプレイヤーに対しての重みは高く、レベルの高いプレイヤーに対しての重みは低く設定されている。
【0075】
「重み」とは、実際にプレイヤーが倒した敵キャラクタの数に乗じる係数のことであって、この重みが乗算されることによって、実際に“1匹”の敵キャラクタを倒したとしても、“0.5匹”と換算されたり、“2匹”と換算されたりするものである。上述した通り、図3に示すプレイヤー情報520の換算数は、この重みを用いて算出された数値である。
【0076】
また、この換算数が、実際に倒した敵キャラクタの数の代わりに使用されることにより、例えば、レベルの低いプレイヤーは、実際に倒した敵キャラクタの数が少なくとも、レベルアップのための打倒敵キャラ数を超えていると判断され、容易にレベルアップすることが可能となる。
【0077】
このように、レベルアップ条件判断部340が、プレイヤーのレベルに応じて打倒敵キャラ数に対する重みを変化させることによって、プレイヤーのレベルの分布をコントロールすることができる。
【0078】
尚、本実施の形態は、極端な例を示している。即ち、単純に本原理を適用した場合、レベルの高いプレイヤーは、敵キャラクタを倒してもなかなかレベルアップができず、ゲームの面白味を却って損ね得るのではないか、と考えられる。しかし、ゲームに登場する敵キャラクタは一般的に1種類ではない。即ち、本原理の適用に際しては、敵キャラクタの種類によって出現数を変更するといった調整を図ることにより、レベルの高いプレイヤーに対しても面白味を維持させることができる。
【0079】
次に、レベルアップ条件判断部340が適用シナリオ対応表T6を設定する場合について説明する。図12は、適用シナリオ対応表T6の一例を示す図である。適用シナリオ対応表T6とは、プレイヤーのレベルと、適用されるシナリオNoとが対応づけて格納されたデータテーブルのことである。
【0080】
同図において、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4、レベル5のプレイヤーには、それぞれ、第1シナリオ、第1シナリオ、第2シナリオ、第3シナリオ、第3シナリオが対応づけられている。
【0081】
シナリオとは、ゲーム中の要所要所に設けられた、進行に係る要件情報のことである。具体的には、例えば、鍵のかかっている、金貨の入った宝箱をプレイヤーが発見した場合、第1シナリオでは、「(1)鍵アイテムの所有」が宝箱を開ける要件であるが、第2シナリオでは「(1)鍵アイテムの所有」と「(2)暗証番号の取得」が宝箱を開ける要件である。また、第3シナリオでは「(1)鍵アイテムの所有」が宝箱を開ける要件ではあるが、更に「(3)宝箱を開けると現れる大蛇を倒す」ことが金貨を手に入れるための要件である。といった様に、第1〜第3シナリオは異なるシナリオとして予め設定されている。
【0082】
ゲームの進行においては、処理部31が、適用シナリオ対応表T6を参照して、各プレイヤーのレベルに対応するシナリオを適用する。従い、レベルアップ条件判断部340が、各レベルに対して適用するシナリオを変更することによって、ゲーム展開を変化させることができる。また、ゲーム展開の内容によっては、レベルアップの難易度やプレイヤーのレベルの分布をコントロールすることも可能である。
【0083】
次に、サーバー1の処理部31が実行するゲーム進行管理に係る動作の流れについて説明する。図13は、ゲーム進行管理プログラム550に従って実行される処理部31のゲーム進行管理処理の流れを示すフローチャートである。尚、このゲーム進行管理処理は、例えば1週間毎や、1ヶ月毎といった一定期間毎に行われる処理である。
【0084】
図13において、まず、レベル分布判断部330が、統計学的手法を用いて分布指標(例えば、代表値、ばらつきの指標等)を算出するとともに、レベル分布情報530に含まれるレベル分布表T1およびレベル占有率T2を更新する(ステップS1)。
【0085】
次に、レベルアップ条件判断部340が、ステップS1において算出された分布指標に基づいて、第1分布パターン〜第4分布パターンと照合し、現在のレベル分布のパターンを特定する(ステップS2)。
【0086】
次いで、特定した(当てはめた)分布パターンが現在のパターン(既に当てはめていたパターン)と異なるか否かを判定する(ステップS3)。異ならない、即ち同じであると判定した場合には、処理部31は本処理を終了する。一方、特定した分布パターンが現在のパターンと異なっていた場合には、分布パターンを変更し、現在当てはめている分布パターンとして記憶・更新する(ステップS4)。
【0087】
そして、レベルアップ条件判断部340は、更新された分布パターンに基づき、レベルアップ条件判定式の定数、定数決定表T3、敵キャラクタ出現数表T4、重み表T5、適用シナリオ対応表T6を含むゲーム進行条件540を変更して(ステップS5)、本処理を終了する。
【0088】
次に、本実施の形態のサーバー1を実現できるハードウェアの構成の一例について図14を用いて説明する。同図に示す装置では、CPU1000、ROM1002、RAM1004、情報記憶媒体1006、音生成IC1008、画像生成IC1010、I/Oポート1012、1014が、システムバス1016により相互にデータ入出力可能に接続されている。そして画像生成IC1010には表示装置1018が接続され、音生成IC1008にはスピーカ1020が接続され、I/Oポート1012にはコントロール装置1022が接続され、I/Oポート1014には通信装置1024が接続されている。
【0089】
情報記憶媒体1006は、プログラム、表示物を表現するための画像データ、音データ、プレイデータ等が主に格納されるものであり、図2における記憶部51に相当する。情報記憶媒体1006は例えばCD−ROM、DVD、ROM等のメモリやハードディスクにより実現される。
【0090】
コントロール装置1022はゲームコントローラ、操作パネル等に相当するものであり、プレイヤーがゲームの進行に応じて行う判断の結果を装置本体に入力するための装置である。
【0091】
情報記憶媒体1006に格納されるプログラム、ROM1002に格納されるシステムプログラム(装置本体の初期化情報等)、コントロール装置1022から入力される信号等に従って、CPU1000は装置全体の制御や各種データ処理を行う。RAM1004はこのCPU1000の作業領域等として用いられる記憶手段であり、情報記憶媒体1006やROM1002の所与の内容、あるいはCPU1000の演算結果等が格納される。
【0092】
更に、この装置には音生成IC1008と画像生成IC1010とが設けられていて音出力や画像出力が行えるようになっているが、本発明に係るサーバー1の処理を実現するのみにおいては、特に必要とされるH/Wではない。音生成IC1008は情報記憶媒体1006やROM1002に記憶される情報に基づいて音を生成する集積回路であり、生成された音はスピーカ1020によって出力される。また、画像生成IC1010は、RAM1004、ROM1002、情報記憶媒体1006等から送られる画像情報に基づいて表示装置1018に出力するための画素情報を生成する集積回路である。また表示装置1018は、CRT、LCD、TV、プラズマディスプレイ、液晶プラズマディスプレイ、プロジェクター等により実現される。
【0093】
また、通信装置1024は装置内部で利用される各種の情報を外部(ゲーム端末2)とやりとりするものであり、他の装置と接続されてゲームプログラム等に応じた所与の情報を送受したり、通信回線を介してゲームプログラム等の情報を送受すること等に利用される。
【0094】
そして、図1〜図12を参照して説明した種々の処理は、図13のフローチャートに示した処理等を行うプログラムを格納した情報記憶媒体1006と、該プログラムに従って動作するCPU1000、画像生成IC1010、音生成IC1008等によって実現される。なお画像生成IC1010等で行われる処理は、CPU1000あるいは汎用のDSP等によりソフトウェア的に行うこととしてもよい。
【0095】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限られるものではない。例えば、本発明を、所定量の遊戯媒体(例えば、ゲームのポイント等)と引き換えに魔法が使えたり、道具(アイテム)を手に入れることができるといったゲームに適用することも可能である。より具体的には、遊戯媒体が得点であるとき、ある魔法を使用するためには、5ポイント必要であり、さらに強力な魔法を使用するためには10ポイント必要であるといったものである。遊戯媒体は、ゲームの得点以外に、ゲーム中の通貨であってもよいし、当該ゲームシステムが業務用のゲームシステムである場合には投入するコインやメダルであってもよい。
【0096】
このようなゲームに対する本発明の具体的な適用方法を説明する。図15は、基準交換値表T8の一例を示す図であり、図16は、交換レート表T9の一例を示す図である。基準交換値表T8とは、対価(魔法や道具等)と、その対価を得るのに必要な遊戯媒体(ポイントやコイン等)の基準交換値とが対応づけて格納されたデータテーブルである。交換レート表T9とは、プレイヤーのレベルと、交換レートとが対応づけて格納されたデータテーブルである。
【0097】
この基準交換値表T8と、交換レート表T9とにより、次のように実現される。即ち、例えば、レベル1のプレイヤーが魔法1を使用するには、基準交換値“10”に交換レート“0.8”をかけた“8”ポイントの遊戯媒体が必要であり、レベル2のプレイヤーが魔法1を使用するには、基準交換値“10”に交換レート“1.0”をかけた“10”ポイントの遊戯媒体が必要である、というように、プレイヤーのレベルに応じて交換に必要な遊戯媒体の量が変化する。
【0098】
これら基準交換値表T8および交換レート表T9は、ゲーム進行条件540内に記憶され、レベルアップ条件判断部340が、各表の値を設定するとともに、処理部31が、設定された各表の値に基づいて、各プレイヤーに対する遊戯媒体の必要量を変更する。このようにして実現することが可能である。
【0099】
また、上記実施の形態においては、確率分布の特徴を表す主な指標として、「代表値」と「ばらつきの指標」を用いたが、その他の指標を用いてもよい。
【0100】
また、レベルアップ条件判定式を直線と放物線で定義したが、前記直線は、放物線またはその他の曲線(例えば、3次曲線等)であってもよい。また、前記放物線は、直線またはその他の曲線であってもよい。更に、直線と放物線という2種類の式の組み合わせによりレベルアップ条件判定式を定義したが、それより少ない、または、多くの種類の組み合わせであってもよい。例えば、前記放物線の後に、更に、直線と放物線をつなげた4種類の式の組み合わせとしてもよい。この場合には、一本目の直線によってプレイヤーをあるレベルに集中させ、2本目の直線によってプレイヤーをまた別のレベル(即ち、あるレベルよりも高く、且つ、あるレベルとは異なるレベル)に集中させるというふうに、2つの異なったレベルに集中させることができる。
このように、複数の式を組み合わせてレベルアップ条件判定式を定義することにより、様々な分布状況を生み出すことができる。
【0101】
また、レベルアップ条件判定式を決定する定数a、b、cは、プレイヤーのレベル分布により変化させることとしたが、ゲームサービス開始後の経過時間やネットワークゲームの難易度に応じた係数をかけて変化させることとしてもよい。
【0102】
また、本実施の形態の説明において、打倒敵キャラ数または換算数に応じてレベルが上がることとしたが、打倒敵キャラ数を得点や経験値に置き換えてもよい。また、敵キャラクタの種類に応じて得られる得点や経験値が変化することとしてもよい。また、打倒敵キャラクタによるパラメータだけでなく、複数のパラメータによって、レベルを決定するものであってもよい。
【0103】
また、プレイヤーのレベルについては、上昇する方向について主眼をおいて説明したが、レベルを下げる方向に本発明を適用することとしてもよいし、諸条件に応じて、上下する場合に本発明を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 サーバー
11 通信部
31 処理部
330 レベル分布判断部
340 レベルアップ条件判断部
51 記憶部
520 プレイヤー情報
530 レベル分布情報
540 ゲーム進行条件
550 ゲーム進行管理プログラム
552 レベル分布判断プログラム
554 レベルアップ条件判断プログラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによる演算・制御により、コンピュータシステムに対して、所与のネットワークゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理させるためのプログラムであって、
前記所与のネットワークゲームは、ゲーム状況に応じて、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームであり、
前記各プレイヤーの前記ゲーム進行度合を記憶部に記憶制御する記憶制御手段、
前記所与のネットワークゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段、
前記ゲーム進行度合基準と、当該プレイヤーのゲーム進行度合とに基づいて、当該プレイヤーに対する前記消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を変更する遊戯媒体量変更手段、
として前記コンピュータシステムを機能させるためのプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムを記憶したコンピュータが読取可能な情報記憶媒体。
【請求項3】
所与のネットワークゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理するゲーム進行管理システムであって、
前記所与のネットワークゲームは、ゲーム状況に応じて、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームであり、
前記所与のネットワークゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段と、
前記ゲーム進行度合基準と、当該プレイヤーのゲーム進行度合とに基づいて、当該プレイヤーに対する前記消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を変更する遊戯媒体量変更手段と、
を備えるゲーム進行管理システム。
【請求項4】
所与の電気通信回線を介して、他のゲームシステム又はゲーム端末と接続され、前記他のゲームシステム又はゲーム端末を操作するプレイヤー、或いは、前記他のゲームシステム又はゲーム端末を操作するプレイヤー及び当該ゲームシステムを操作するプレイヤーが、同時に同一の仮想空間を共有するゲームを制御・実行するゲームシステムであって、
前記ゲームは、ゲーム状況に応じて、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームであり、
前記ゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理する手段と、
前記ゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段と、
前記ゲーム進行度合基準と、当該プレイヤーのゲーム進行度合とに基づいて、当該プレイヤーに対する前記消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を変更する遊戯媒体量変更手段と、
を備えるゲームシステム。
【請求項5】
複数のゲーム端末を有するマルチプレイヤー型のゲームシステムであって、
当該ゲームシステムが実行するゲームは、ゲーム状況に応じて、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームであり、
ゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理する手段と、
ゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段と、
前記ゲーム進行度合基準と、当該プレイヤーのゲーム進行度合とに基づいて、当該プレイヤーに対する前記消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を変更する遊戯媒体量変更手段と、
を備えるゲームシステム。
【請求項1】
プロセッサによる演算・制御により、コンピュータシステムに対して、所与のネットワークゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理させるためのプログラムであって、
前記所与のネットワークゲームは、ゲーム状況に応じて、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームであり、
前記各プレイヤーの前記ゲーム進行度合を記憶部に記憶制御する記憶制御手段、
前記所与のネットワークゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段、
前記ゲーム進行度合基準と、当該プレイヤーのゲーム進行度合とに基づいて、当該プレイヤーに対する前記消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を変更する遊戯媒体量変更手段、
として前記コンピュータシステムを機能させるためのプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムを記憶したコンピュータが読取可能な情報記憶媒体。
【請求項3】
所与のネットワークゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理するゲーム進行管理システムであって、
前記所与のネットワークゲームは、ゲーム状況に応じて、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームであり、
前記所与のネットワークゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段と、
前記ゲーム進行度合基準と、当該プレイヤーのゲーム進行度合とに基づいて、当該プレイヤーに対する前記消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を変更する遊戯媒体量変更手段と、
を備えるゲーム進行管理システム。
【請求項4】
所与の電気通信回線を介して、他のゲームシステム又はゲーム端末と接続され、前記他のゲームシステム又はゲーム端末を操作するプレイヤー、或いは、前記他のゲームシステム又はゲーム端末を操作するプレイヤー及び当該ゲームシステムを操作するプレイヤーが、同時に同一の仮想空間を共有するゲームを制御・実行するゲームシステムであって、
前記ゲームは、ゲーム状況に応じて、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームであり、
前記ゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理する手段と、
前記ゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段と、
前記ゲーム進行度合基準と、当該プレイヤーのゲーム進行度合とに基づいて、当該プレイヤーに対する前記消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を変更する遊戯媒体量変更手段と、
を備えるゲームシステム。
【請求項5】
複数のゲーム端末を有するマルチプレイヤー型のゲームシステムであって、
当該ゲームシステムが実行するゲームは、ゲーム状況に応じて、所与量の遊戯媒体を消費及び/又は獲得するゲームであり、
ゲームに参加している複数のプレイヤーのゲーム進行度合を、ゲーム進行条件に基づいて管理する手段と、
ゲームに参加している全て或いは一部のプレイヤーのゲーム進行度合に基づく所与の統計学的演算により、ゲーム進行度合基準を算定する算定手段と、
前記ゲーム進行度合基準と、当該プレイヤーのゲーム進行度合とに基づいて、当該プレイヤーに対する前記消費及び/又は獲得する遊戯媒体の量を変更する遊戯媒体量変更手段と、
を備えるゲームシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−34590(P2011−34590A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245575(P2010−245575)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【分割の表示】特願2001−142238(P2001−142238)の分割
【原出願日】平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【分割の表示】特願2001−142238(P2001−142238)の分割
【原出願日】平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】
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