説明

プログラム、情報記憶媒体、及び表示制御装置

【課題】動体視力の測定を、楽しみながら行うことができるようにするとともに、ランドルト環や数字等を移動表示させるのみではなく、他の表示制御を行って視覚能力の測定に変化をつけること。
【解決手段】出題画面には、ランドルト環50が移動表示されるとともに、ランドルト環50の移動方向の前方或いは後方にランドルト環50に付随してダミー図形50が移動表示される。プレーヤは、移動表示されるランドルト環50の向きを判断し、回答する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認識対象表示体を移動表示させる表示制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動体視力を測定する装置として、ランドルト環をスライドプロジェクタで凹面スクリーン上に投影し、水平方向に所定速度で移動させる装置が知られている。かかる装置では、被験者は、スクリーンより所定距離だけ離れた位置から、スクリーン上を移動するランドルト環を眼球運動のみで追跡し、ランドルト環の切れ目の方向を判別する。この方向を判別できたときの移動速度により、被験者の動体視力が評価される。
【0003】
また、このようなスクリーンに投影する構成は大掛かりであるため、手軽に動体視力を測定するための装置として、パソコンを利用した装置も知られている。かかる装置では、モニタ(ディスプレイ)に、「0」から「9」の何れかの数字が、画面上の水平方向(左から右、或いは右から左)、或いは垂直方向(上から下、或いは下から上)に移動表示され、ユーザは、ディスプレイに移動表示される文字を判別し、判別した数字をキーボードから入力する。そして、ディスプレイに移動表示された数字と、入力した数字との一致が判定されることにより、ユーザの動体視力が評価される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−237133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような動体視力の測定装置は、あくまでも動体視力の正確な測定を目的としたものであるため、面白みに欠け、継続的な測定や訓練を促すためには不十分であった。即ち、単に判別すべきランドルト環や数字を移動させるのみであるため、単調になりがちであり、飽き易かった。また、ランドルト環等をディスプレイに表示させる場合、移動速度が速くなると、ランドルト環がディスプレイ上の複数位置で瞬間的に表示されるような表示になり、ユーザの眼に残る残像によって却って容易に判別できてしまうという問題もあった。本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、動体視力の測定を、楽しみながら行うことができるようにすることを目的としている。また、ランドルト環や数字等を移動表示させるのみではなく、他の表示制御を行って視覚能力の測定に変化をつけることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の発明は、
コンピュータを、
向きのある所与の認識対象表示体(例えば、図4,7のランドルト環50)を所与の向きとして移動表示させる認識対象表示体制御手段(例えば、図10のゲーム演算部310;図18のステップC5,C13,C17)、
前記認識対象表示体のダミー表示体(例えば、図4,7のダミー図形60)を前記認識対象表示体の前方及び/又は後方に付随して移動表示させるダミー表示体制御手段(例えば、図10のゲーム演算部310;図18のステップC7,C15,C17)、
プレーヤの操作によって、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の向きが何れの向きであるかを回答入力する回答入力手段(例えば、図10の操作入力部100;図18のステップC23)、
前記回答入力手段により入力された向きと、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の向きとの一致を判定する判定手段(例えば、図10のゲーム演算部310;図18のステップC23)、
として機能させるためのプログラム(例えば、図10のゲームプログラム710)である。
【0006】
また、第15の発明は、
向きのある所与の認識対象表示体を所与の向きとして移動表示させる認識対象表示体制御手段(例えば、図10のゲーム演算部310)と、
前記認識対象表示体のダミー表示体を前記認識対象表示体の前方及び/又は後方に付随して移動表示させるダミー表示体制御手段(例えば、図10のゲーム演算部310)と、
プレーヤの操作によって、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の向きが何れの向きであるかを回答入力する回答入力手段(例えば、図10の操作入力部100)と、
前記回答入力手段により入力された向きと、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の向きとの一致を判定する判定手段(例えば、図10のゲーム演算部310)と、
を備えた表示制御装置(例えば、図1,10の携帯型ゲーム機1)である。
【0007】
この第1又は第15の発明によれば、認識対象表示体が所与の向きで移動表示されるとともに、認識対象表示体のダミー表示体が認識対象表示体の前方及び/又は後方に付随して移動表示され、プレーヤによって回答入力された認識対象表示体の向きと、移動表示された認識対象表示体の向きとの一致が判定される。
【0008】
プレーヤは、移動表示される認識対象表示体の向きを判断し、判断した向きを回答入力するが、認識対象表示体に付随してダミー表示体が移動表示される。即ち、複数の表示体が連なって移動表示されるため、これらの表示体のうちから認識対象表示体を区別した上で、認識対象表示体の向きを判断する必要がある。つまり、ダミー表示体を認識対象表示体に付随して移動表示させることで、認識対象表示体のみを移動表示させる場合に比較して、認識対象表示体の向きの判別の難易度を高めることが可能となる。また、認識対象表示体に付随させるダミー表示体の数が多くなるほど、認識対象表示体とダミー表示体との識別が難しくなり得るため、ダミー表示体の数やその位置により、難易度を調整することが可能となる。これにより、動体視力の正確な測定を目的とした従来とは異なり、動体視力以外の視覚能力を利用した難易度の調整によりゲーム性が付加され、動体視力を主とした視覚能力の測定を手軽に且つ楽しみながら行うことが可能となる。
【0009】
また、第2の発明として、第1の発明のプログラムにおいて、
前記ダミー表示体制御手段が、向きが異なる前記認識対象表示体を乗算合成又は加算合成して得られた表示体を前記ダミー表示体とするように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0010】
この第2の発明によれば、向きが異なる認識対象表示体を乗算合成又は加算合成して得られた表示体がダミー表示体とされる。向きが異なる認識対象表示体を乗算合成して得られた表示体をダミー表示体とした場合、各向きでの認識対象表示体の共通部分を抜き出した形状の表示体がダミー表示体となり、また、加算合成した表示体をダミー表示体とした場合には、各向きでの認識対象表示体の形状の全てを有する形状の表示体がダミー表示体となる。つまり、ダミー表示体の形状は、認識対象表示体を他の向きとした場合と異なる形状部分、即ち向きを判断する手がかりとなる形状部分を全て有する或いは有さない表示体となり得るため、移動表示される認識対象表示体とダミー表示体との識別をより困難にすることが可能となる。またこのとき、合成する表示体の数を変更することで、難易度を調整することが可能となる。
【0011】
また、第3の発明として、第1の発明のプログラムにおいて、
前記ダミー表示体制御手段が、前記認識対象表示体と同一の表示体を前記ダミー表示体とし、前記認識対象表示体制御手段により移動表示される認識対象表示体の向きとは異なる向きで移動表示させるように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0012】
この第3の発明によれば、認識対象表示体と同一の表示体がダミー表示体とされ、認識対象表示体の向きとは異なる向きで移動表示される。即ち、互いに向きが異なる同一の表示体複数が、それぞれ認識対象表示体或いはダミー表示体として移動表示され、プレーヤは、これらの表示体のうちから認識対象表示体を識別し、向きを判断する。またこの場合、認識対象表示体の向きを異ならせてダミー表示体として利用できるため、ダミー表示体用の表示体を特に用意する必要がない。
【0013】
第4の発明は、
コンピュータを、
複数種類の表示体のうち、何れかの表示体を認識対象表示体として移動表示させる認識対象表示体制御手段、
前記認識対象表示体のダミー表示体を前記認識対象表示体の前方及び/又は後方に付随して移動表示させるダミー表示体制御手段、
プレーヤの操作によって、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体が何れの種類の表示体であるかを回答入力する回答入力手段、
前記回答入力手段により入力された表示体の種類と、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の種類との一致を判定する判定手段、
として機能させるためのプログラムである。
【0014】
また、第16の発明は、
複数種類の表示体のうち、何れかの表示体を認識対象表示体として移動表示させる認識対象表示体制御手段と、
前記認識対象表示体のダミー表示体を前記認識対象表示体の前方及び/又は後方に付随して移動表示させるダミー表示体制御手段と、
プレーヤの操作によって、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体が何れの種類の表示体であるかを回答入力する回答入力手段と、
前記回答入力手段により入力された表示体の種類と、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の種類との一致を判定する判定手段と、
を備えた表示制御装置である。
【0015】
この第4の又は第16の発明によれば、複数種類の表示体のうち、何れかの表示体が認識対象表示体として移動表示されるとともに、認識対象表示体のダミー表示体が認識対象表示体の前方/後方に付随して移動表示され、プレーヤの操作によって入力された表示体の種類と、移動表示された認識対象表示体の種類との一致が判定される。
【0016】
プレーヤは、移動表示される認識対象表示体の種類を判断し、判断した表示体の種類を回答入力するが、認識対象表示体に付随してダミー表示体が移動表示される。即ち、複数の表示体が連なって移動表示されるため、これらの表示体のうちから認識対象表示体を区別した上で、認識対象表示体の種類を判断する必要がある。つまり、ダミー表示体を認識対象表示体に付随して移動表示させることで、認識対象表示体のみを移動表示させる場合に比較して、認識対象表示体の種類の判別の難易度を高めることが可能となる。また、認識対象表示体に付随させるダミー表示体の数が多くなるほど、認識対象表示体とダミー表示体との識別が難しくなり得るため、ダミー表示体の数やその位置により、難易度を調整することが可能となる。これにより、動体視力の正確な測定を目的とした従来とは異なり、難易度の調整によるゲーム性が付加され、動体視力を主とした視覚能力の測定を手軽に且つ楽しみながら行うことが可能となる。
【0017】
また、第5の発明として、第4の発明のプログラムにおいて、
前記ダミー表示体制御手段が、前記複数種類の表示体のうち、前記認識対象表示体制御手段により移動表示される認識対象表示体とは異なる種類の表示体を前記ダミー表示体とするように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0018】
この第5の発明によれば、複数種類の表示体のうち、移動表示される認識対象表示体とは異なる種類の表示体がダミー表示体とされる。即ち、種類が異なる複数の表示体が、それぞれ、認識対象表示体或いはダミー表示体として移動表示され、プレーヤは、これらの表示体のうちから、認識対象表示体を識別し、その認識対象表示体の種類を判断することになる。
【0019】
また、第6の発明として、第4の発明のプログラムにおいて、
前記ダミー表示体制御手段が、前記複数種類の表示体のうち、異なる2以上の表示体を乗算合成又は加算合成した表示体を前記ダミー表示体とするように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0020】
この第6の発明によれば、複数種類の表示体のうち、異なる2つ以上の表示体を乗算合成又は加算合成した表示体がダミー表示体とされる。乗算合成した表示体をダミー表示体とした場合、各表示体の共通部分を抜き出した形状の表示体がダミー表示体となり、また、加算合成した表示体をダミー表示体とした場合には、各表示体の形状の全てを有する形状の表示体がダミー表示体となる。つまり、ダミー表示体の形状は、各表示体の異なる形状部分、即ち種類を判断する手がかりとなる形状部分を全て有する或いは有さない表示体となり得るため、移動表示される認識対象表示体とダミー表示体との識別をより困難にすることが可能となる。またこのとき、合成する表示体の数を変更することで、難易度を調整することが可能となる。
【0021】
また、第7の発明として、第1〜第6の何れかの発明のプログラムにおいて、
前記認識対象表示体制御手段による認識対象表示体の移動表示と、前記ダミー表示体制御手段によるダミー表示体の移動表示と、前記回答入力手段による回答入力と、前記判定手段による判定とを繰り返し行わせる繰り返し制御手段として前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0022】
この第7の発明によれば、認識対象表示体の移動表示と、ダミー表示体の移動表示と、プレーヤの操作による回答入力と、回答入力と移動表示された認識対象表示体の向き或いは種類との一致の判定とが繰り返し行われる。
【0023】
また、第8の発明として、第7の発明のプログラムにおいて、
前記認識対象表示体制御手段及び前記ダミー表示体制御手段が、前記繰り返し制御手段による繰り返し回数に応じて前記移動表示の移動速度を徐々に変更するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0024】
この第8の発明によれば、繰り返し回数に応じて、認識対象表示体及びダミー表示体の移動速度が徐々に変更される。これにより、例えば、繰り返し回数が多くなるに従って移動速度を速くするように変更することで、繰り返し毎に、認識対象表示体の識別を難しくして難易度を徐々に上げていくといった、ゲーム性をより高めることが可能となる。
【0025】
また、第9の発明として、第7又は第8の発明のプログラムにおいて、
前記認識対象表示体制御手段が、前記繰り返し制御手段による繰り返し回数に応じて前記認識対象表示体の大きさを徐々に変更して移動表示し、
前記ダミー表示体制御手段が、前記認識対象表示体の大きさに応じて前記ダミー表示体の大きさを変更して移動表示する、
ように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0026】
この第9の発明によれば、繰り返し回数に応じて認識体対象表示体の大きさが徐々に変更され、認識対象表示体の大きさに応じてダミー表示体の大きさが変更される。つまり、繰り返し回数に応じて、認識対象表示体及びダミー表示体の大きさが徐々に変更される。これにより、例えば、繰り返し回数が多くなるに従って認識対象表示体及びダミー表示体の大きさを小さくするように変更することで、繰り返し毎に、移動表示される認識対象表示体とダミー表示体との認識を難しくして難易度を徐々に上げていくといったように、ゲーム性をより高めることが可能となる。
【0027】
また、第10の発明として、第7〜第9の何れかの発明のプログラムにおいて、
前記ダミー表示体制御手段が、前記繰り返し制御手段による繰り返し回数に応じて前記ダミー表示体と前記認識対象表示体との間隔を可変して前記ダミー表示体を前記認識対象表示体に付随させるように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0028】
この第10の発明によれば、繰り返し回数に応じて、ダミー表示体と認識対象表示体との間隔が可変されて移動表示される。これにより、例えば、繰り返し回数が多くなるに従ってダミー表示体と認識対象表示体との間隔を狭くするように変更することで、繰り返し毎に、認識対象表示体とダミー表示体との識別を難しくして難易度を徐々に上げるといった、ゲーム性をより高めることが可能となる。
【0029】
また、第11の発明として、第10の発明のプログラムにおいて、
前記ダミー表示体制御手段が、移動表示の移動速度に応じて、前記ダミー表示体と前記認識対象表示体との間隔を可変して付随させるように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0030】
この第11の発明によれば、移動表示の移動速度に応じて、ダミー表示体と認識対象表示体との間隔が可変される。これにより、例えば、画像更新の時間間隔であるフレーム時間毎の各表示体の移動量を考慮し、移動速度が速くなるに従ってダミー表示体と認識対象表示体との間隔を広くするようにすることで、連続する前後のフレーム間での表示画面中のダミー表示体と認識対象表示体との表示位置が重なるようにし、認識対象表示体とダミー表示体との識別を困難にするといったことが可能となる。
【0031】
また、第12の発明として、第1〜第11の何れかの発明のプログラムにおいて、
前記ダミー表示体制御手段が、前記繰り返し制御手段による繰り返し回数に応じて前記ダミー表示体の向き又は種類を変更して移動表示するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0032】
この第12の発明によれば、繰り返し回数に応じて、ダミー表示体の向き又は種類が変更されて移動表示される。これにより、認識対象表示体とダミー表示体との識別をより困難にするといったことが可能となる。
【0033】
また、第13の発明として、第7〜第12の何れかの発明のプログラムにおいて、
前記認識対象表示体制御手段が、前記繰り返し制御手段による繰り返し回数に応じて前記認識対象表示体を移動表示させる経路を可変するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0034】
この第13の発明によれば、繰り返し回数に応じて、認識対象表示体を移動表示させる経路が変更される。これにより、例えば、繰り返し回数が所定回数に達する毎に経路を変更することで、必然的に視点を画面上の一点に固定するのではなく移動させなくてはならず、集中力を要するようにして難易度を上げるといったように、ゲーム性を高めることが可能となる。
【0035】
第14の発明は、第1〜第13の何れかの発明のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体(例えば、図10の記憶部700)である。
【0036】
ここで、情報記憶媒体とは、記憶されている情報をコンピュータが読み取り可能な、例えばハードディスクやMO、CD−ROM、DVD、メモリカード、ICメモリ等の記憶媒体である。従って、この第14の発明によれば、情報記憶媒体に記憶されている情報をコンピュータに読み取らせて演算処理を実行させることで、第1〜第13の発明と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、ダミー表示体を認識対象表示体に付随して移動表示させることで、認識対象表示体のみを移動表示させる場合に比較して、認識対象表示体の向き或いは種類の判別の難易度を高めることが可能となる。また、認識対象表示体に付随させるダミー表示体の数が多くなるほど、認識対象表示体とダミー表示体との識別が難しくなり得るため、ダミー表示体の数やその位置により、難易度を調整することが可能となる。これにより、動体視力の正確な測定を目的とした従来とは異なり、難易度の調整によるゲーム性が付加され、動体視力を主とした視覚能力の測定を手軽に且つ楽しみながら行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。尚、以下では、本発明を携帯型ゲーム機に適用した場合を説明するが、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
【0039】
[携帯型ゲーム機の外観]
図1は、本実施形態における携帯型ゲーム機1の外観の一例を示す図である。同図によれば、携帯型ゲーム機1は、上側の筐体10Aと下側の筐体10Bとがヒンジ11を介して開閉可能に連結されて構成された折り畳み式であり、同図では、使用時である携帯型ゲーム機1の開状態を示している。
【0040】
各筐体10A,10Bの内側面には、使用時においてヒンジ11を挟んで上下に並ぶように配置された2つのディスプレイ12A,12Bやスピーカ13、マイク14、各種の操作ボタン15等が設けられている。また、ディスプレイ12Bには、その表示領域全体に亘ってタッチパネルが一体的に形成されている。タッチパネルは、感圧式や光学式、静電式、電磁誘導式等の検出原理によって、タッチ操作位置を、例えばディスプレイ12Bを構成するドット単位で検出する。プレーヤは、付属のスタイラスペン30や手指によるディスプレイ12B上のタッチ操作によって、各種の操作入力を行うことができる。
【0041】
携帯型ゲーム機1がゲーム処理を実行するために必要なプログラムやデータ等を含むゲーム情報は、筐体10Bの側面に設けられたスロット16に着脱自在なカートリッジ20に格納されている。尚、このゲーム情報は、携帯型ゲーム機1が内蔵する無線通信装置18を介して無線通信回線に接続し、外部機器から取得することにしても良い。
【0042】
また、携帯型ゲーム機1は、CPUやICメモリ類を搭載した制御装置17、無線LAN規格に従った無線通信を行うための無線通信装置18、カートリッジ20の読取装置等を内蔵する。制御装置17に搭載されたCPUは、ICメモリやカートリッジ20から読み出したプログラムやデータ、タッチパネルにより検出されたタッチ操作位置、マイク14から入力される音声信号、操作ボタン15から入力される操作信号、無線通信装置18による受信データ等に基づいて種々のゲーム処理を実行し、ゲーム画面の画像信号及びゲーム音の音信号を生成する。そして、生成した画像信号をディスプレイ12A,12Bに出力してゲーム画面を表示させるとともに、音信号をスピーカ13に出力してゲーム音を出力させる。プレーヤは、ディスプレイ12A,12Bに表示されるゲーム画面を見ながら、操作ボタン15を操作或いはディスプレイ12B上をタッチ操作してゲームを楽しむ。
【0043】
[ゲーム概要]
本実施形態のゲームは、動体視力を主とした視覚能力を利用した視覚能力ゲームであり、具体的には、移動表示されるランドルト環の向きを判断し回答するものである。また、この視覚能力ゲームは、最も易しい初級レベルからスタートし、次いで中級レベル、上級レベルと順に挑戦していくことで進行される。
【0044】
図2は、初級レベルにおけるゲーム画面の一例を示す図である。同図(a)は、ディスプレイ12Aに表示される出題画面であり、同図(b)は、ディスプレイ12Bに表示される回答画面である。
【0045】
同図(a)によれば、出題画面には、認識対象表示体であるランドルト環50が移動表示される。ランドルト環50は、基本形状である環状の一部に切れ目51が入った、いわゆるC字形状を成している。そして、ランドルト環50は、予め定められた複数の向きのうち、何れかの向きで配置される。具体的には、図3に示すように、図中上から順に、ランドルト環50の切れ目51を右方に向けた「右」、上方に向けた「上」、左方に向けた「左」、下方に向けた「下」の何れかの向きで配置される。また、ランドルト環50は、画面中央を横断するように設定された直線の移動経路70に沿って、画面に対して右から左に向かって所定速度で移動する。尚、この移動経路70は説明のために示したものであり、実際の画面には表示されない。
【0046】
また、図2(b)によれば、回答画面は、図2(a)の出題画面に対する回答を入力するための画面であり、回答の候補として、ランドルト環50の向きを示す「上」、「下」、「左」及び「右」が表示されている。プレーヤは、出題画面において移動表示されるランドルト環50の向きを判断し、回答画面において、該当する部分をタッチして回答を入力する。すると、出題画面において移動表示されたランドルト環50の向きと、回答画面においてプレーヤが回答として入力した向きとの一致が判定されることにより、出題に対する回答の正誤が判定される。即ち、一致する場合に「正解」と判定され、不一致の場合には「不正解」と判定される。
【0047】
初級レベルでは、複数の問題が出題される。即ち、出題画面におけるランドルト環50の移動表示、回答画面における回答の入力、及び入力された回答に対する正誤判定の一連の流れを一つの問題の出題とし、これが所定回数繰り返される。また、出題毎に、移動表示されるランドルト環50の向きが異なるとともに、ランドルト環50の移動速度が徐々に速くなり、難易度が徐々に上がってゆく。
【0048】
そして、定められた全ての出題が終了すると、出題された全ての問題のうち、正解した問題数(正解数)が判断され、正解数が所定数に達した場合、初級レベルが「クリア」となり、続いて中級レベルに進む。一方、正解数が所定数未満の場合、初級レベルのクリアは「失敗」となり、その時点でゲーム終了となる。
【0049】
図4は、中級レベルにおけるゲーム画面例であり、ディスプレイ12Aに表示される出題画面の一例を示している。尚、ディスプレイ12Bには、初級レベルの場合と同様な回答画面が表示される。同図によれば、中級レベルにおける出題画面には、ランドルト環50と、ダミー表示体であるダミー図形60とが表示される。即ち、初級レベルにおける出題画面とは、更にダミー図形60が表示される点が異なる。
【0050】
ランドルト環50は、初級レベルの場合と同様に、「上」、「下」、「左」及び「右」の何れかの向きで配置され、所定の移動経路70に沿って移動表示される。
【0051】
ダミー図形60は、ランドルト環50と形状が類似した図形であり、具体的には、ランドルト環50をとり得るそれぞれの向きとしたときの形状を乗算合成した形状である。即ち、図5に示すように、ランドルト環50を「上」向きで配置した場合の形状の図形50Aと、「右」向きで配置した場合の形状の図形50Bと、「下」向きで配置した場合の形状の図形50Cと、「左」向きで配置した場合の形状の図形50Dとを乗算合成した形状である。つまり、ダミー図形60は、ランドルト環50の基本形状である環状に、各向きでの切れ目の位置に相当する上下左右の四箇所に切れ目が入った形状を成している。
【0052】
また、ダミー図形60は、ランドルト環50に付随して配置されている。即ち、移動経路70に沿ったランドルト環50の前方或いは後方に、所定の間隔をおいて配置されている。このランドルト環50とダミー図形60との配置順は、図6に示すように、図中上から順に、移動方向に対してランドルト環50の後方にダミー図形60が配置される「前」、ランドルト環50の前方にダミー図形60が配置される「後」の何れかとなる。この配置順は、ダミー図形60に対するランドルト環50の位置を基準とした表現となっている。
【0053】
そして、ダミー図形60は、移動経路70に沿って、ランドルト環50と同じ速度で移動する。従って、あたかも、ランドルト環50及びダミー図形60の二つの図形が連なって移動しているように表示される。
【0054】
中級レベルにおいても、初級レベルと同様に複数の問題が出題される。また、出題毎に、ランドルト環50の向きが変化するとともに、ランドルト環50及びダミー図形60の移動速度が徐々に速くなり、難易度が上がってゆく。更に、出題毎に、ランドルト環50とダミー図形60との配置順が変化する。そして、出題された全ての問題のうち、正解数が所定数に達した場合、中級レベルが「クリア」となり、次いで、上級レベルに進む。一方、正解数が所定数に達しない場合には、中級レベルのクリアは「失敗」となり、その時点でゲームが終了する。
【0055】
図7は、上級レベルにおけるゲーム画面の一例であり、ディスプレイ12Aに表示される出題画面を示している。尚、ディスプレイ12Bには、初級レベルの場合と同様な回答画面が表示される。同図によれば、上級レベルにおける出題画面には、ランドルト環50と、二つのダミー図形60とが表示される。即ち、中級レベルにおける出題画面とは、ダミー図形60が二つ表示される点が異なる。
【0056】
ランドルト環50は、初級レベルや中級レベルの場合と同様に、「上」、「下」、「左」及び「右」の何れかの向きで配置され、所定の移動経路70に沿って移動表示される。
【0057】
二つのダミー図形60は、何れも同一形状であり、互いに区別されない。そして、移動方向に沿ったランドルト環50の前方或いは後方に、ランドルト環50に付随して配置されている。このランドルト環50と二つのダミー図形60との配置順は、図8に示すように、図中上から順に、ランドルト環50の後方に二つのダミー図形60が配置される「前」、ランドルト環50の前方に一つ、後方に一つのダミー図形60が配置される「中」、ランドルト環50の前方に二つのダミー図形60が配置される「後」の何れかとなる。この配置順は、二つのダミー図形60に対するランドルト環50の位置を基準とした表現となっている。
【0058】
そして、二つのダミー図形60は、移動経路70に沿って、ランドルト環50と同じ速度で移動する。従って、あたかも、ランドルト環50及び二つのダミー図形60の三つの図形が連なって移動しているように表示される。
【0059】
そして、上級レベルにおいても、初級レベル及び中級レベルと同様に、複数の問題が出題される。また、出題毎に、ランドルト環50の向きが変化するとともに、ランドルト環50及びダミー図形60の移動速度が徐々に早くなり、難易度が徐々に上がってゆく。更に、出題毎に、ランドルト環50及び二つのダミー図形60の配置順が変化する。
【0060】
全ての出題が終了すると、出題された全ての問題のうち、正解数が所定数に達したならば、上級レベルが「クリア」となり、達していないならば、上級レベルのクリアは「失敗」となる。そして、上級レベルを終了すると、ゲーム終了となる。
【0061】
このように、本実施形態のゲームでは、移動表示されるランドルト環50の向きを判断し、回答するものであるが、ダミー図形60がランドルト環50に付随して移動表示されるか否か、及び表示されるダミー図形60の数により、レベルが異なるように構成されている。これは、次の理由による。
【0062】
即ち、プレーヤは、ランドルト環50の切れ目の位置により向きを判断するが、ダミー図形60は、ランドルト環50とほぼ同じ大きさであるとともに、このランドルト環50の各向きでの切れ目の位置に相当する上下左右の四箇所に切れ目が形成された形状を成している。このため、並んで移動表示されるダミー図形60に惑わされて、ランドルト環50の切れ目の位置が判別し難くなる。従って、プレーヤは、ランドルト環50及びダミー図形60の二種類の図形を区別して捉えた上でランドルト環50の向きを判断しなくてはならず、ランドルト環50のみを単独で移動表示させる場合に比較して、難易度が高くなる。
【0063】
更に、中級レベルでは、一つのダミー図形を移動表示させるが、上級レベルのように、二つのダミー図形60を移動表示させることで、ランドルト環50との区別が更に難しくなり、難易度が更に高くなる。
【0064】
ここで、携帯型ゲーム機1といった表示制御装置では、所定のフレーム時間(例えば、1/60秒)毎に画像を生成して表示を更新することで、ディスプレイへの表示を実現している。即ち、携帯型ゲーム機1では、ランドルト環50の移動距離を演算して再配置した静止画像を所定時間毎に生成して表示更新していくことで、ランドルト環50が移動表示する出題画面として表示させている。尚、フレーム時間は、装置の性能によって上限が定められ、この上限以上には変更できないのが一般的である。
【0065】
携帯型ゲーム機1の場合、ランドルト環50の移動速度は、例えば数秒程度で画面を横切るような移動速度に設定されるが、フレーム時間毎に静止画像を更新することでゲーム画面を表示する構成に起因して、次のような不都合が起こり得る。
【0066】
図9は、連続する複数フレームにおいて画面に表示されるランドルト環50を説明するための図である。ランドルト環50の移動速度が比較的遅い場合には、フレーム時間毎のランドルト環50の移動距離は比較的短い。このため、図9(a)に示すように、連続する各フレームでのランドルト環50の位置はさほど変化せず、ランドルト環50が部分的に重なって表示される。これにより、人間の目には、ランドルト環50がスムーズに移動しているように見える。
【0067】
しかし、ランドルト環50の移動速度が速くなるにつれて、フレーム時間間隔でのランドルト環50の移動距離が徐々に長くなる。このため、図9(b)に示すように、連続するフレーム毎のランドルト環50の位置が徐々に離れ、人間の目には、ランドルト環50がとびとびに表示される、いわゆるコマ送りのように見えてくる。
【0068】
そして、ランドルト環50の移動速度が更に速くなると、ついには、図9(c)に示すように、ゲーム画面のある一点或いは複数点においてランドルト環50が瞬間的に表示されるようになる。即ち、動体視力ではなく、いわゆる瞬間視に近くなり、ユーザの眼に残像が残ることでランドルト環50の向きの判別が却って容易になる。
【0069】
しかし、ダミー図形60をランドルト環50に付随させることで、上述のように、ダミー図形60とランドルト環50との区別をし難くし、ランドルト環50の移動速度が速くなると逆に判別がし易くなるといった不都合を緩和することができる。
【0070】
[機能構成]
図10は、携帯型ゲーム機1の機能構成を示すブロック図である。同図によれば、携帯型ゲーム機1は、機能的には、操作入力部100と、音入力部200と、処理部300と、画像表示部400と、音出力部500と、通信部600と、記憶部700とを備えて構成される。
【0071】
操作入力部100は、プレーヤによる操作指示入力を受け付け、操作に応じた操作信号を処理部300に出力する。この機能は、例えばボタンスイッチやレバー、ダイヤル、マウス、キーボード、各種センサ等によって実現される。図1では、操作ボタン15や、ディスプレイ12Bに一体的に形成されたタッチパネルがこれに該当する。
【0072】
音入力部200は、プレーヤにより入力される音声等の音を集音し、集音した音に応じた音信号を処理部300に出力する。この機能は、例えばマイク等によって実現される。図1では、マイク14がこれに該当する。
【0073】
処理部300は、携帯型ゲーム機1の全体制御やゲームの進行、画像生成等の各種演算処理を行う。この機能は、例えばCPU(CISC型、RISC型)、ASIC(ゲートアレイ等)等の演算装置やその制御プログラムにより実現される。図1では、制御装置17に実装されているCPU等がこれに該当する。
【0074】
また、処理部300は、主にゲームの実行に係る演算処理を行うゲーム演算部310と、ゲーム演算部310の処理によって求められた各種のデータに基づくゲーム画像を生成する画像生成部320と、効果音やBGM等のゲーム音を生成する音生成部330とを含んでいる。
【0075】
ゲーム演算部310は、操作入力部100から入力された操作信号や、音入力部200から入力された音信号、記憶部700から読み出したプログラムやデータ等に基づいて種々のゲーム処理を実行する。本実施形態では、ゲーム演算部310は、ゲームプログラム710に基づくゲーム処理を実行することで、本実施形態の視覚能力ゲームを実現する。
【0076】
具体的には、ゲーム演算部310は、先ず、初級レベルの出題を行う。初級レベルでは、初期設定として、規定速度データ730を参照し、ランドルト環50の移動速度を予め定められた初速度Vに設定する。
【0077】
規定速度データ730は、ランドルト環50の移動速度Vを決めるデータである。図11に、規定速度データ730のデータ構成の一例を示す。同図によれば、規定速度データ730は、初速度731と、増加速度732とを格納している。増加速度732は、出題毎の移動速度Vの増加速度ΔV(>0)である。
【0078】
また、ゲーム演算部310は、ランドルト環50の向きを、「上」、「下」、「左」及び「右」のうちから、例えばランダムに決定する。そして、決定した向きで、ランドルト環50を移動表示させた出題画面を、例えば図2(a)に示したように画像表示部400に表示させる。
【0079】
図12は、出題画面の表示原理を示す図である。同図によれば、ゲーム空間に設定された出題画面の表示範囲80の中央を横断するように直線状の移動経路70が定められている。移動経路70上には、表示範囲80外の位置に、ランドルト環50の初期位置Pと、最終位置Pとが定められている。尚、この初期位置P及び最終位置Pは、中級レベルや上級レベルにおいてダミー図形60を配置したときに、このダミー図形60の位置が表示範囲80外となるように定められている。
【0080】
ゲーム演算部310は、ランドルト環50を、この移動経路70上の初期位置Pに配置する。そして、ランドルト環50を、設定した移動速度Vで移動経路70に沿って最終位置Pに向かって移動させるとともに、表示範囲80内の画像を出題画面として画像表示部400に表示させる。詳細には、所定のフレーム時間(例えば、1/60秒)毎に、現在の移動速度Vを基に、移動経路70に沿ったランドルト環50の次の位置を決定し、決定した位置にランドルト環50を再配置する。そして、表示範囲80内の画像を画像生成部320に生成させ、生成された画像を出題画面として画像表示部400に表示させる。
【0081】
ここで、ランドルト環50の画像は、画像データ720に格納されている。図13に、画像データ720のデータ構成の一例を示す。同図によれば、画像データ720は、ランドルト環721と、ダミー図形722とのそれぞれの画像データを格納している。
【0082】
そして、ランドルト環50の位置が最終位置Pに到達すると、操作入力部100から入力された、プレーヤの回答であるランドルト環50の向きと、配置させたランドルト環50の向きとの一致を判定し、一致したならば「正解」と判定し、不一致ならば「不正解」と判定する。
【0083】
この判定結果はプレイデータ750に格納される。図14に、プレイデータ750のデータ構成の一例を示す。図14によれば、プレイデータ750は、現在のレベル751を格納しているとともに、初級レベル752、中級レベル753、上級レベル754の各レベルについてのプレイ結果を格納している。初級レベル752のプレイ結果については、出題毎に、出題No.752aと、ランドルト環50の向き752bと、判定結果752dとを対応付けて格納している。判定結果752dは、「正解」を示す「○」、或いは「不正解」を示す「×」が格納される。また、中級レベル753及び上級レベル754のプレイ結果については、出題毎に、出題No.752aと、ランドルト環50の向き752bと、配置順752cと、判定結果752dとを対応付けて格納している。尚、図14において、「−」はデータ無しを表している。また、図14は、現在のレベルが「中級レベル」であり、二回目の出題が行われた時点でのデータ例を示している。
【0084】
プレーヤの回答に対する正誤判定を行うと、ゲーム演算部310は、ランドルト環50の移動速度Vを現在の速度Vから増加速度ΔVだけ増加させ、次の出題を同様に行う。そして、予め定められた回数の出題を終了すると、プレイデータ750を参照して、出題した全ての問題のうち、「正解」と判定した問題数(正解数)を算出し、算出した正解数が所定のクリア条件を満たしているならば、初級レベルを「クリア」と判断し、中級レベルに進む。一方、クリア条件を満たしていないならば、初級レベルのクリアを「失敗」と判断し、ゲームを終了する。
【0085】
ここで、クリア条件は、クリア条件データ740に格納されている。図15に、クリア条件データ740のデータ構成の一例を示す。同図によれば、クリア条件データ740は、クリア条件として、各レベルでの出題総数に対する正解数の割合を格納している。
【0086】
中級レベルでは、ゲーム演算部310は、初級レベルと基本的にはほぼ同様の処理を行って、中級レベルの出題を行う。即ち、先ず、規定速度データ730を参照して、ランドルト環50の移動速度Vを予め定められた初速度Vに設定するとともに、ランドルト環50の向きを、例えばランダムに決定する。また、ランドルト環50とダミー図形60との配置順を、「前」及び「後」のうちから、例えばランダムに決定する。
【0087】
続いて、ランドルト環50を、移動経路70上の初期位置Pに決定した向きで配置するとともに、ダミー図形60を、決定した配置順に従って移動経路70上に配置する。そして、ランドルト環50及びダミー図形60それぞれを、設定した移動速度Vで、移動経路70に沿って最終位置Pに向かって移動させるとともに、表示範囲80内の画像を出題画面として画像表示部400に表示させる。
【0088】
そして、ランドルト環50が最終位置Pに到達すると、ゲーム演算部310は、操作入力部100から入力されたプレーヤの回答である向きと、配置させたランドルト環50の向きとの一致を判定し、プレーヤの回答に対する正誤判定を行う。
【0089】
その後、移動速度Vを所定の増加速度ΔVだけ増加させ、同様に次の出題を行う。そして、予め定められた回数の出題を行うと、ゲーム演算部310は、プレイデータ750を参照して、中級レベルにおいて出題した全ての問題についての正解数を算出し、算出した正解数が所定のクリア条件を満たすかを判定する。クリア条件を満たすならば、中級レベルを「クリア」と判断し、上級レベルに進む。一方、クリア条件を満たしていないならば、中級レベルのクリアを「失敗」と判断し、ゲームを終了する。
【0090】
上級レベルでは、ゲーム演算部310は、中級レベルと基本的にはほぼ同様の処理を行って、上級レベルの出題を行う。即ち、先ず、規定速度データ730を参照して、ランドルト環50の移動速度Vを予め定められた初速度Vに設定するとともに、ランドルト環50の向きを、例えばランダムに決定する。また、ランドルト環50とダミー図形60との配置順を、「前」、「中」及び「後」のうちから、例えばランダムに決定する。
【0091】
続いて、ランドルト環50を、移動経路70上の初期位置Pに決定した向きで配置するとともに、二つのダミー図形60それぞれを、決定した配置順に従って移動経路70上に配置する。そして、ランドルト環50及び二つのダミー図形60それぞれを、設定した移動速度Vで、移動経路70に沿って最終位置Pに向かって移動させるとともに、表示範囲80内の画像を出題画面として画像表示部400に表示させる。
【0092】
そして、ランドルト環50が最終位置Pに到達すると、ゲーム演算部310は、操作入力部100から入力されたプレーヤの回答である向きと、配置させたランドルト環50の向きとの一致を判定し、プレーヤの回答に対する正誤判定を行う。
【0093】
その後、移動速度Vを所定の増加速度ΔVだけ増加させ、同様に次の出題を行う。そして、予め定められた回数の出題を行うと、ゲーム演算部310は、プレイデータ750を参照して、上級レベルにおいて出題した全ての問題についての正解数を算出し、算出した正解数が所定のクリア条件を満たすかを判定する。クリア条件を満たすならば、中級レベルを「クリア」と判断し、クリア条件を満たしていないならば、中級レベルのクリアを「失敗」と判断する。そして、ゲームを終了する。
【0094】
図10において、画像生成部320は、ゲーム演算部310による演算結果に基づき、ゲーム画面を表示するためのゲーム画像を生成し、生成した画像の画像信号を画像表示部400に出力する。画像表示部400は、画像生成部320からの画像信号に基づいて、例えば1/60秒毎に1フレームの画面を再描画しながらゲーム画面を表示する。この機能は、例えばCRT、LCD、ELD、PDP、HMD等のハードウェアによって実現される。図1では、ディスプレイ12A,12Bがこれに該当する。
【0095】
音生成部330は、ゲーム中に使用される効果音やBGM等のゲーム音を生成し、生成したゲーム音の音信号を音出力部500に出力する。音出力部500は、音生成部330からの音信号に基づいてBGMや効果音等のゲーム音声を出力する。この機能は、例えばスピーカ等によって実現される。図1では、スピーカ13がこれに該当する。
【0096】
通信部600は、処理部300からの制御信号に従って、他の携帯型ゲーム機1等の外部装置とのデータ通信を行う。この機能は、無線通信モジュール、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路などによって実現される。図1では、無線通信装置18がこれに該当する。
【0097】
記憶部700は、処理部300に携帯型ゲーム機1を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、ゲームを実行させるために必要なプログラムやデータ等を記憶するとともに、処理部300の作業領域として用いられ、処理部300が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えば各種ICメモリやハードディスク、CD−ROM、DVD、MO、RAM、VRAM等によって実現される。図1では、制御装置17に実装されているROMやRAM等がこれに該当する。
【0098】
また、記憶部700は、処理部300をゲーム演算部310として機能させるためのゲームプログラム710及びゲームデータを記憶している。ゲームデータには、画像データ720と、規定速度データ730と、クリア条件データ740と、プレイデータ750とが含まれている。
【0099】
[処理の流れ]
図16は、ゲーム処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、ゲーム演算部310がゲームプログラム710を実行することで実現される。同図によれば、ゲーム演算部310は、先ず、プレイレベルを初級レベルに設定し、初級レベル処理を行う(ステップA1)。
【0100】
図17は、初級レベル処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図によれば、ゲーム演算部310は、初期設定として、ランドルト環50の移動速度Vを所定の初速度Vに設定するとともに(ステップB1)、出題数nを「1」に設定する(ステップB3)。次いで、ランドルト環50の向きを、「上」、「下」、「左」及び「右」のうちから、例えばランダムに決定する(ステップB5)。そして、ランドルト環50を、決定した向きで、移動経路70上の所定の初期位置Pに配置する(ステップB7)。
【0101】
その後、フレーム時間毎に、ループAの処理を繰り返す。ループAでは、現在の移動速度Vで移動経路70に沿って所定の最終位置Pに向けて移動させた場合の、次のフレームでのランドルト環50の位置を決定し(ステップB9)、決定した位置にランドルト環50を配置する(ステップB11)。次いで、画像生成部320に表示範囲80内の画像を生成させ、生成された画像を出題画面として画像表示部400に表示させる(ステップB13)。その後、ランドルト環50の位置が、移動経路70上の所定の最終位置Pに到達したかを判断し、到達したならば(ステップB15:YES)、ループAの処理を終了する。
【0102】
ループAを終了すると、ゲーム演算部310は、操作入力部100から入力された、プレーヤの回答であるランドルト環50の向きを判断し、判断した回答と、出題画面に表示させたランドルト環50の向きとの一致を判定して、出題した問題に対する正誤を判定する(ステップB17)。
【0103】
次いで、現在の出題数nが規定の出題数(規定数)Nに達したかを判断し、達していないならば(ステップB17:NO)、移動速度Vを所定の増加速度ΔVだけ増加させるとともに(ステップB21)、出題数nを「1」増加させる(ステップB23)。その後、ステップB5に戻る。
【0104】
一方、出題数nが規定数Nに達したならば(ステップB19:YES)、初級レベルでの正解数を算出し、算出した正解数が所定のクリア条件を満足するかを判断する。そして、クリア条件を満足するならば(ステップB25:YES)、初級レベルを「クリア」と判断し(ステップB27)、満足しないならば(ステップB25:NO)、初級レベルのクリアを「失敗」と判断する(ステップB29)。
以上の処理を行うと、初級レベル処理を終了する。
【0105】
初級レベル処理を終了すると、ゲーム演算部310は、初級レベルを「クリア」したかを判断し、「クリア」したならば(ステップA3:YES)、続いて、プレイレベルを中級レベルに設定して中級レベル処理を行う(ステップA5)。
【0106】
図18は、中級レベル処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図によれば、ゲーム演算部310は、初期設定として、ランドルト環50の移動速度Vを所定の初速度Vに設定するとともに(ステップC1)、出題数nを「1」に設定する(ステップC3)。次いで、ランドルト環50の向きを、「上」、「下」、「左」及び「右」のうちから、例えばランダムに決定する(ステップC5)。また、ランドルト環50とダミー図形60との配置順を、「前」及び「後」のうちから、例えばランダムに決定する(ステップC7)。そして、ランドルト環50を、決定した向きで移動経路70上の所定の初期位置Pに配置し(ステップC9)、ダミー図形60を、決定した配置順に従って移動経路70上に配置する(ステップC11)。
【0107】
その後、フレーム時間毎に、ループBの処理を繰り返す。ループBでは、現在の移動速度Vで移動経路70に沿って所定の最終位置Pに向けて移動させた場合の、次のフレームでのランドルト環50位置を決定するとともに(ステップC13)、同様に、現在の移動速度Vで移動経路70に沿って最終位置Pに向けて移動させた場合の、次フレームでのダミー図形60の位置を決定する(ステップC15)。そして、ランドルト環50及びダミー図形60のそれぞれを、決定した位置に配置する(ステップC17)。
【0108】
次いで、画像生成部320に表示範囲80内の画像を生成させ、生成された画像を出題画面として画像表示部400に表示させる(ステップC19)。その後、ランドルト環50の位置が、移動経路70上の所定の最終位置Pに到達したかを判断し、到達したならば(ステップC21:YES)、ループBの処理を終了する。
【0109】
ループBを終了すると、ゲーム演算部310は、操作入力部100から入力された、プレーヤの回答であるランドルト環50の向きを判断し、判断した回答と、出題画面に表示させたランドルト環50の向きとの一致を判定して、出題した問題に対する正誤を判定する(ステップC23)。
【0110】
次いで、現在の出題数nが規定の出題数(規定数)Nに達したかを判断し、達していないならば(ステップC25:NO)、移動速度Vを所定の増加速度ΔVだけ増加させるとともに(ステップC27)、出題数nを「1」増加させる(ステップC29)。その後、ステップC5に戻る。
【0111】
一方、出題数nが規定数Nに達したならば(ステップC25:YES)、中級レベルでの正解数を算出し、算出した正解数が所定のクリア条件を満足するかを判断する。そして、クリア条件を満足するならば(ステップC31:YES)、中級レベルを「クリア」と判断し(ステップC33)、満足しないならば(ステップC31:NO)、中級レベルのクリアを「失敗」と判断する(ステップC35)。
以上の処理を行うと、中級レベル処理を終了する。
【0112】
中級レベル処理を終了すると、ゲーム演算部310は、中級レベルを「クリア」したかを判断し、「クリア」したならば(ステップA7:YES)、続いて、プレイレベルを上級レベルに設定して上級レベル処理を行う(ステップA9)。
【0113】
図19は、上級レベル処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図によれば、ゲーム演算部310は、初期設定として、ランドルト環50の移動速度Vを所定の初速度Vに設定するとともに(ステップD1)、出題数nを「1」に設定する(ステップD3)。次いで、ランドルト環50の向きを、「上」、「下」、「左」及び「右」のうちから、例えばランダムに決定する(ステップD5)。また、ランドルト環50と二つのダミー図形60との配置順を、「前」、「中」及び「後」のうちから、例えばランダムに決定する(ステップD7)。そして、ランドルト環50を、決定した向きで移動経路70上の所定の初期位置Pに配置し(ステップD9)、二つのダミー図形60それぞれを、決定した配置順に従って移動経路70上に配置する(ステップD11)。
【0114】
その後、フレーム時間毎に、ループCの処理を繰り返す。ループCでは、現在の移動速度Vで移動経路70に沿って所定の最終位置Pに向けて移動させた場合の、次のフレームでのランドルト環50位置を決定するとともに(ステップD13)、同様に、現在の移動速度Vで移動経路70に沿って最終位置Pに向けて移動させた場合の、次フレームでの二つのダミー図形60それぞれの位置を決定する(ステップD15)。そして、ランドルト環50及び二つのダミー図形60それぞれを、決定した位置に配置する(ステップD17)。
【0115】
次いで、画像生成部320に表示範囲80内の画像を生成させ、生成された画像を出題画面として画像表示部400に表示させる(ステップD19)。その後、ランドルト環50の位置が、移動経路70上の所定の最終位置Pに到達したかを判断し、到達したならば(ステップD21:YES)、ループCの処理を終了する。
【0116】
ループCを終了すると、ゲーム演算部310は、操作入力部100から入力された、プレーヤの回答であるランドルト環50の向きを判断し、判断した回答と、出題画面に表示させたランドルト環50の向きとの一致を判定して、出題した問題に対する正誤を判定する(ステップD23)。
【0117】
次いで、現在の出題数nが規定の出題数(規定数)Nに達したかを判断し、達していないならば(ステップD25:NO)、移動速度Vを所定の増加速度ΔVだけ増加させるとともに(ステップD27)、出題数nを「1」増加させる(ステップD29)。その後、ステップD5に戻る。
【0118】
一方、出題数nが規定数Nに達したならば(ステップD25:YES)、上級レベルでの正解数を算出し、算出した正解数が所定のクリア条件を満足するかを判断する。そして、クリア条件を満足するならば(ステップD31:YES)、上級レベルを「クリア」と判断し(ステップD33)、満足しないならば(ステップD31:NO)、上級レベルのクリアを「失敗」と判断する(ステップD35)。
以上の処理を行うと、上級レベル処理を終了する。
【0119】
上級レベル処理が終了すると、ゲーム演算部310は、例えば、各レベルのクリアの成功/失敗や正解数等の結果画面を画像表示部400に表示させるといった所定の結果表示を行う(ステップA11)。以上の処理を行うと、ゲーム処理を終了する。
【0120】
[ハードウェア構成]
図20は、本実施の形態における携帯型ゲーム機1のハードウェア構成の一例を示す図である。同図によれば、携帯型ゲーム機1は、CPU1000と、ROM1002と、RAM1004と、情報記憶媒体1006と、画像生成IC1008と、音生成IC1010と、I/Oポート1012,1014とを有し、システムバス1016により相互にデータの入出力が可能に接続されている。また、画像生成IC1008には表示装置1018が接続され、音生成IC1010にはスピーカ1020が接続され、I/Oポート1012にはコントロール装置1022が接続され、I/Oポート1014には通信装置1215が接続されている。
【0121】
CPU1000は、情報記憶媒体1006に格納されているプログラムやデータ、ROM1002に格納されているシステムプログラム(装置本体の初期化情報等)やデータ、コントロール装置1022によって入力される入力信号等に従って、装置全体の制御や各種データ処理を行う。このCPU1000は、図1の制御装置17に搭載されているCPU、図10の処理部300に該当する。
【0122】
ROM1002、RAM1004及び情報記憶媒体1006は、図10の記憶部700に該当する。ROM1002は、携帯型ゲーム機1のシステムプログラムや、図10の記憶部700に記憶されている情報の内、特に、予め設定されているプログラムやデータ等を記憶する。RAM1004は、CPU1000の作業領域として用いられ、例えば、ROM1002や情報記憶媒体1006の所与の内容、1フレーム分の画像データ、CPU1000による演算結果等が格納される。また、情報記憶媒体1006は、ICメモリカードや本体装置に着脱自在なハードディスクユニット、MO等によって実現される。
【0123】
画像生成IC1008は、CPU1000からの画像情報に基づいて表示装置1018に表示するゲーム画面の画素情報を生成する集積回路である。表示装置1018は、画像生成IC1008で生成された画素情報に基づくゲーム画面を表示する。この画像生成IC1008は、図10の画像生成部320に該当し、表示装置1018は、図10の画像表示部400、図1のディスプレイ12A,12Bに該当する。
【0124】
音生成IC1010は、情報記憶媒体1006やROM1002に記憶される情報に基づいて効果音やBGM等のゲーム音を生成する集積回路であり、生成されたゲーム音はスピーカ1020によって出力される。この音生成IC1010は、図10の音生成部330に該当し、スピーカ1231は、図10の音出力部500、図1のスピーカ13に該当する。
【0125】
尚、画像生成IC1008、音生成IC1010等で行われる処理は、CPU1000或いは汎用のDSP等によってソフトウェア的に実行されることとしても良い。
【0126】
コントロール装置1022は、プレーヤがゲームの進行に応じて種々のゲーム操作を入力するための装置である。このコントロール装置1022は、図10の操作入力部100、図1の操作ボタン15や、ディスプレイ12Bに一体的に形成されたタッチパネルに該当する。
【0127】
通信装置1215は、携帯型ゲーム機1内部で使用される各種情報を外部とやり取りするための装置であり、他のゲーム装置と接続されてゲームプログラムに応じた所与の情報を送受信したり、通信回線を介してゲームプログラム等の情報を送受信する等に利用される。この通信装置1215は、図1の無線通信装置18、図10の通信部600に該当する。
【0128】
[作用・効果]
以上、本実施形態によれば、認識対象表示体として移動表示されるランドルト環50の向きを判断するといった、動体視力を利用したゲームが実現される。このゲームでは、初級レベルではランドルト環50のみが移動表示されるが、中級レベル及び上級レベルでは、ランドルト環50の移動方向の前方及び後方の何れか或いは双方に、ランドルト環50のダミー図形60がランドルト環50に付随して移動表示される。即ち、互いに類似した二つ或いは三つの図形が連なって移動表示され、プレーヤは、これらの図形のうちから、認識対象表示体であるランドルト環50を識別した上でランドルト環50の向きを判断する必要がある。
【0129】
つまり、ダミー表示体であるダミー図形60をランドルト環50に付随させて移動表示させる中級レベル或いは上級レベルの場合、ランドルト環50のみを移動表示させる初級レベルの場合に比較して、ランドルト環50の向きの判断が困難となって難易度が高くなる。また、二つのダミー図形60を移動表示させる上級レベルの場合のほうが、一つのダミー図形60を移動表示させる中級レベルの場合に比較して難易度が高くなる。このように、単に動体視力を正確に測定するための従来とは異なり、動体視力以外の視覚能力を利用して難易度を調整することでゲーム性を高め、動体視力を主とした視覚能力の測定や訓練を手軽に楽しむことができる。
【0130】
[変形例]
尚、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0131】
(A)ダミー図形60の形状
例えば上述の実施形態では、ダミー図形60の形状を、ランドルト環50の基本形状である環状に、ランドルト環50を各向きで配置した場合の切れ目の位置に相当する上下左右の四箇所の位置に切れ目が形成された形状としたが、これら四箇所ではなく、例えば図21に示すように、これらのうちの二箇所或いは三箇所に切れ目が形成された形状としても良い。この場合、ダミー図形60の向きを、例えば出題毎に変更しても良い。具体的には、例えばランドルト環50の切れ目の向きとダミー図形60の切れ目の向きとが一致させないといったように、ランドルト環50の向きに応じて変更する。また、ダミー図形60の形状を、例えば出題毎に変更しても良い。
【0132】
(B)ダミー図形60の数
また、上述の実施形態では、ランドルト環50に付随させて移動表示させるダミー図形60の数を、一つ(中級レベル)或いは二つ(上級レベル)としたが、三つ以上としても良い。この場合、ダミー図形60の数が多くなるほど、ランドルト環50とダミー図形60との識別が困難となり、難易度が高くなる。
【0133】
(C)ランドルト環50の移動経路70
また、上述の実施形態では、ランドルト環50の移動経路70を、画面を横断する直線としたが、例えば、画面を縦断する直線や複数箇所で屈曲した直線、或いは曲線といった他の形状としても良い。また、この移動経路70は固定としたが、変更することにしても良い。具体的には、予め複数の経路を設定しておき、所定数の出題毎或いはレベル毎に、これら複数の経路のうちから、例えばランダムに選んだ経路に沿って認識対象表示体及びダミー図形60を移動させることにする。
【0134】
(D)ランドルト環50とダミー図形60との間隔
また、上述の実施形態では、ランドルト環50とダミー図形60との間の距離(間隔)を固定としたが、これを変更することにしても良い。ランドルト環50とダミー図形60との間隔が狭いほど、双方の図形の識別が困難になる。このため、例えば所定の出題数毎或いはレベル毎に、ランドルト環50とダミー図形60との間隔を徐々に狭くし、識別を困難にすることで難易度を上げるといったようにする。
【0135】
或いは、ランドルト環50の移動速度Vに応じて変更することにしても良い。具体的には、ランドルト環50の移動速度Vが速くなるに従って、フレーム時間当たりのランドルト環50の移動量を考慮してランドルト環50とダミー図形60との間隔を広くし、連続する前後のフレーム間での表示画面中のランドルト環50とダミー図形60との表示位置が重なるようにする。これにより、移動表示されるランドルト環50とダミー図形60との識別が困難な状態を保つことができる。
【0136】
(E)ランドルト環50及びダミー図形60の大きさ
また、上述の実施形態では、ランドルト環50及びダミー図形60それぞれの大きさを固定としたが、変更することにしても良い。具体的には、例えば、出題数が所定数に達する毎或いはレベル毎に、ランドルト環50及びダミー図形60それぞれの大きさを徐々に小さくする。これにより、ランドルト環50とダミー図形60との認識が徐々に困難になり、難易度を徐々に高めてゆくことが可能となる。またこの場合、ランドルト環50及びダミー図形60の一方の図形の大きさを小さくすることにしても良い。また、どちらか一方の図形の大きさを徐々に大きくすることで、相対的に他方の図形の大きさを小さくすることにしても良い。
【0137】
(F)ランドルト環50の形状
また、上述の実施形態では、認識対象表示体としてランドルト環50を移動表示させることとしたが、他の種類の表示体としても良い。
【0138】
具体的には、例えば、図22(a)に示す形状の図形を認識対象表示体52としても良い。即ち、認識対象表示体52は、基本形状である環状に細い棒体53が付加された形状と成っており、この棒体53を、上方に向けた「上」、下方に向けた「下」、右方に向けた「右」、左方に向けた「左」の何れかの向きで配置される。そして、図22(b)に示すように、この認識対象表示体52をとり得るそれぞれの向きとしたときの形状を加算合成した形状の図形を、ダミー図形62とする。即ち、ダミー図形62は、認識対象表示体52を「左」向きで配置したときの形状の図形52Aと、「右」向きで配置したときの形状の図形52Bと、「下」向きで配置したときの形状の図形52Cと、「上」向きで配置したときの形状の図形52Dとを加算合成した形状である。つまり、ダミー図形62は、認識対象表示体52の基本形状である環状に、各向きでの棒体53の位置に相当する上下左右の四箇所に棒体53が付加された形状を成している。
【0139】
また、認識対象表示体を、例えば、7つの素子によって数字等を表示する、いわゆる7セグメント表示の図形としても良い。即ち、「0」から「9」の数字それぞれを表す形状の複数の図形のうち、何れかを認識対象表示体とするとともに、他の図形をダミー表示体として移動表示させる。図23(a)は、この場合の表示例である。図23(a)では、「3」を表す形状の図形を認識対象表示体とし、その前後の「5」及び「2」それぞれを表す形状の図形をダミー表示体として配置している。但しこの場合、認識対象表示体とダミー表示体との配置順を、予めプレーヤに示す必要がある。
【0140】
或いは、これらの図形を加算合成した形状の図形、即ち数字の「8」を表す図形をダミー表示体としても良い。同図(b)は、この場合の表示例である。同図(b)では、「3」を表す形状の文字を認識対象表示体とし、その前後に、ダミー表示体として「8」を表す図形を配置している。
【0141】
また、認識対象表示体は、数字でなくとも、例えば「A」、「B」、「C」・・・といったアルファベットや漢字、ひらがな、カタカナ等の文字としても良いし、特に意味を為さない形状の図形としても良い。
【0142】
(G)適用する表示制御装置
上述の実施形態では、表示制御装置を携帯型ゲーム機に適用した場合を説明したが、例えば家庭用ゲーム装置やパソコン、PDAといった、ディスプレイに画面表示させる装置であれば何れにも適用可能なのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】携帯型ゲーム機の外観例。
【図2】初級レベルにおける出題画面及び回答画面の一例。
【図3】ランドルト環の向きの説明図。
【図4】中級レベルにおける出題画面の一例。
【図5】ダミー図形の形状の説明図。
【図6】中級レベルにおけるランドルト環とダミー図形との配置順の説明図。
【図7】上級レベルにおける出題画面の一例。
【図8】上級レベルにおけるランドルト環とダミー図形との配置順の説明図。
【図9】連続する複数フレームにおけるランドルト環の説明図。
【図10】携帯型ゲーム機の機能構成例。
【図11】規定速度データのデータ構成例。
【図12】出題画面の表示原理図。
【図13】画像データのデータ構成例。
【図14】プレイデータのデータ構成例。
【図15】クリア条件データのデータ構成例。
【図16】ゲーム処理の流れ図。
【図17】ゲーム処理中に実行される初級レベル処理の流れ図、
【図18】ゲーム処理中に実行される中級レベル処理の流れ図、
【図19】ゲーム処理中に実行される上級レベル処理の流れ図、
【図20】携帯型ゲーム機のハードウェア構成例。
【図21】ダミー表示体の他の形状例。
【図22】認識対象表示体及びダミー表示体の他の形状例。
【図23】認識対象表示体及びダミー表示体の他の形状例。
【符号の説明】
【0144】
1 携帯型ゲーム機
100 操作入力部
200 音入力部
300 処理部
310 ゲーム演算部
320 画像生成部
330 音生成部
400 画像表示部
500 音出力部
600 通信部
700 記憶部
710 ゲームプログラム
720 画像データ
730 規定速度データ
740 クリア条件データ
750 プレイデータ
10 ランドルト環(認識対象表示体)
20 ダミー図形(ダミー表示体)
30 移動経路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
向きのある所与の認識対象表示体を所与の向きとして移動表示させる認識対象表示体制御手段、
前記認識対象表示体のダミー表示体を前記認識対象表示体の前方及び/又は後方に付随して移動表示させるダミー表示体制御手段、
プレーヤの操作によって、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の向きが何れの向きであるかを回答入力する回答入力手段、
前記回答入力手段により入力された向きと、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の向きとの一致を判定する判定手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記ダミー表示体制御手段が、向きが異なる前記認識対象表示体を乗算合成又は加算合成して得られた表示体を前記ダミー表示体とするように前記コンピュータを機能させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記ダミー表示体制御手段が、前記認識対象表示体と同一の表示体を前記ダミー表示体とし、前記認識対象表示体制御手段により移動表示される認識対象表示体の向きとは異なる向きで移動表示させるように前記コンピュータを機能させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
コンピュータを、
複数種類の表示体のうち、何れかの表示体を認識対象表示体として移動表示させる認識対象表示体制御手段、
前記認識対象表示体のダミー表示体を前記認識対象表示体の前方及び/又は後方に付随して移動表示させるダミー表示体制御手段、
プレーヤの操作によって、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体が何れの種類の表示体であるかを回答入力する回答入力手段、
前記回答入力手段により入力された表示体の種類と、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の種類との一致を判定する判定手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
前記ダミー表示体制御手段が、前記複数種類の表示体のうち、前記認識対象表示体制御手段により移動表示される認識対象表示体とは異なる種類の表示体を前記ダミー表示体とするように前記コンピュータを機能させるための請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記ダミー表示体制御手段が、前記複数種類の表示体のうち、異なる2以上の表示体を乗算合成又は加算合成した表示体を前記ダミー表示体とするように前記コンピュータを機能させるための請求項4に記載のプログラム。
【請求項7】
前記認識対象表示体制御手段による認識対象表示体の移動表示と、前記ダミー表示体制御手段によるダミー表示体の移動表示と、前記回答入力手段による回答入力と、前記判定手段による判定とを繰り返し行わせる繰り返し制御手段として前記コンピュータを機能させるための請求項1〜6の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記認識対象表示体制御手段及び前記ダミー表示体制御手段が、前記繰り返し制御手段による繰り返し回数に応じて前記移動表示の移動速度を徐々に変更するように前記コンピュータを機能させるための請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記認識対象表示体制御手段が、前記繰り返し制御手段による繰り返し回数に応じて前記認識対象表示体の大きさを徐々に変更して移動表示し、
前記ダミー表示体制御手段が、前記認識対象表示体の大きさに応じて前記ダミー表示体の大きさを変更して移動表示する、
ように前記コンピュータを機能させるための請求項7又は8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記ダミー表示体制御手段が、前記繰り返し制御手段による繰り返し回数に応じて前記ダミー表示体と前記認識対象表示体との間隔を可変して前記ダミー表示体を前記認識対象表示体に付随させるように前記コンピュータを機能させるための請求項7〜9の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記ダミー表示体制御手段が、移動表示の移動速度に応じて、前記ダミー表示体と前記認識対象表示体との間隔を可変して付随させるように前記コンピュータを機能させるための請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記ダミー表示体制御手段が、前記繰り返し制御手段による繰り返し回数に応じて前記ダミー表示体の向き又は種類を変更して移動表示するように前記コンピュータを機能させるための請求項7〜11の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項13】
前記認識対象表示体制御手段が、前記繰り返し制御手段による繰り返し回数に応じて前記認識対象表示体を移動表示させる経路を可変するように前記コンピュータを機能させるための請求項7〜12の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか一項に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。
【請求項15】
向きのある所与の認識対象表示体を所与の向きとして移動表示させる認識対象表示体制御手段と、
前記認識対象表示体のダミー表示体を前記認識対象表示体の前方及び/又は後方に付随して移動表示させるダミー表示体制御手段と、
プレーヤの操作によって、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の向きが何れの向きであるかを回答入力する回答入力手段と、
前記回答入力手段により入力された向きと、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の向きとの一致を判定する判定手段と、
を備えた表示制御装置。
【請求項16】
複数種類の表示体のうち、何れかの表示体を認識対象表示体として移動表示させる認識対象表示体制御手段と、
前記認識対象表示体のダミー表示体を前記認識対象表示体の前方及び/又は後方に付随して移動表示させるダミー表示体制御手段と、
プレーヤの操作によって、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体が何れの種類の表示体であるかを回答入力する回答入力手段と、
前記回答入力手段により入力された表示体の種類と、前記認識対象表示体制御手段により移動表示された認識対象表示体の種類との一致を判定する判定手段と、
を備えた表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−55021(P2008−55021A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237286(P2006−237286)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】