説明

プログラム、情報記憶媒体及びゲーム装置

【課題】裁判員制度乃至陪審員制度を擬似的に体験できるゲームでありながら、裁判に係るストーリ展開の中であからさまでない自然な形でプレーヤにゲーム進行に必須の情報を提供できるゲームを実現すること。
【解決手段】法廷尋問の場面において、プレーヤは次の補充尋問の場面で証人等にすることのできる質問選択肢を選択できる。この質問選択肢にはゲーム進行上必須の情報を証人等より聞き出すことのできる必須質問と、それ以外のダミー質問が含まれている。補充尋問の場面において、必須質問が実行されていない場合、予めその必須質問が割り当てられているNPC裁判員を、その未実行の必須質問をするように強制的に質問制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータに所定のキャラクタを表示制御させてゲームを進行制御させるためのプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
法廷における検察側と弁護側の応酬をモチーフとした所謂「法廷バトル」ジャンルのアドベンチャーゲームとして、プレーヤが強力な弁護人となり、何食わぬ顔で検察側の証人として登場する真犯人へ質問をするゲームが知られている。このゲームは、推理を働かせつつ真犯人の証言の矛盾を突く質問や、事件の核心を突くような証拠品をつきつける、と言った選択操作をして裁判を有利に運び、事件の真相を解明し無実の被告人を救うというストーリを楽しむものである(任天堂株式会社製携帯型ゲーム装置「ニンテンドーDS」用のゲームソフト「逆転裁判〜蘇る逆転〜」に関する非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社カプコン、「逆転裁判〜蘇る逆転〜 取扱説明書」、2005年。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、近年、日本国では一般人が裁判員として裁判に関与する裁判員制度が開始される情勢にある。裁判員制度は日本国では初めてのものであり、裁判員制度に則った裁判がどういったものであり、自分が裁判員に選ばれた場合には何をどうしたら良いか、関心が高い。
【0005】
また、裁判をモチーフとしたゲームでは、ゲーム進行に必須の情報(例えば、後のストーリ展開やNPCの発言を理解するための情報、ストーリの伏線を引くための情報など)を如何に自然にプレーヤに提供するかが、ゲーム品質を維持するうえで重要な観点となる。例えば、ゲームに登場するNPC(ノンプレイアブルキャラクタ)が次々に必須情報を話すのはゲームを速やかに進行させる意味では良いが、ゲーム性の観点からすると簡単であからさまな情報提示はゲームの興趣を削ぐおそれがある。
【0006】
本発明は、裁判員制度乃至陪審員制度を擬似的に体験できるゲームでありながら、裁判に係るストーリ展開の中であからさまでない自然な形でプレーヤにゲーム進行に必須の情報を提供できるゲームを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するための第1の発明は、PC(プレーヤキャラクタ)の裁判員又は陪審員(以下「裁判員等」という)と、NPC(ノン・プレイヤブル・キャラクタ)の裁判官及び裁判員等とが登場して、NPCでなる証人や当事者(以下「証人等」という)に対する尋問及び評議を行ってゲームが進行する仮想裁判ゲームをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
証人等に対する複数の質問選択肢をプレーヤに提示する質問選択肢提示手段(例えば、図6の処理部200、ゲーム演算部210、質問選択肢提示制御部212、記憶部500、尋問及び補充尋問シナリオデータ530、図7の質問選択肢組530c、図13のステップS104〜S106)、
前記複数の質問選択肢のうち、プレーヤの選択操作に従って選択された質問選択肢に従ってPCと証人等との間での質疑応答を実行するPC質疑応答実行手段(例えば、図6の処理部200、ゲーム演算部210、PC行動制御部214、記憶部500、獲得質問登録データ536、図14のステップS188)、
前記PC質疑応答実行手段により質疑応答の対象とされていない質問選択肢の中にゲーム進行上不可欠な質問として予め定められた必須質問選択肢が含まれていることを検出する検出手段(例えば、図6の処理部200、ゲーム演算部210、必須質問実行保証部216、質問実行フラグTBL534、図14のステップS148)、
前記検出手段による検出がなされた場合に、当該検出された必須質問選択肢に従ってNPCでなる裁判官及び裁判員等の何れかと証人等との間での質疑応答を実行するNPC質疑応答強制実行手段(例えば、図6の処理部200、ゲーム演算部210、NPC行動制御部218、挙手フラグTBL538、図14のステップS150〜S152、S170、S190〜S194)、として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0008】
また、別形態として、PC(プレーヤキャラクタ)の裁判員等と、NPC(ノン・プレイヤブル・キャラクタ)の裁判官及び裁判員等とが登場して、NPCでなる証人や当事者(以下「証人等」という。)に対する尋問及び評議を行ってゲームが進行する仮想裁判ゲームを実行するゲーム装置であって、
証人等に対する複数の質問選択肢をプレーヤに提示する質問選択肢提示手段と、
前記複数の質問選択肢のうち、プレーヤの選択操作に従って選択された質問選択肢に従ってPCと証人等との間での質疑応答を実行するPC質疑応答実行手段と、
前記PC質疑応答実行手段により質疑応答の対象とされていない質問選択肢の中にゲーム進行上不可欠な質問として予め定められた必須質問選択肢が含まれていることを検出する検出手段と、
前記検出手段による検出がなされた場合に、当該検出された必須質問選択肢に従ってNPCでなる裁判官及び裁判員等の何れかと証人等との間での質疑応答を実行するNPC質疑応答強制実行手段と、を備えたゲーム装置として構成することができる。
【0009】
第1の発明によれば、証人等に対する複数の質問選択肢をプレーヤが選択可能に構成し、プレーヤが選択した質問選択肢に従ってPCに証人等へ質問させ、情報を聞き出すことができる。その一方で、プレーヤが選択可能な質問選択肢の中にはゲーム進行上不可欠な質問として予め定められた必須質問が含まれている。そして、PCから証人等への質疑応答の対象にされていない必須質問がある場合に、NPCにその必須質問を証人等にさせることができる。
つまり、プレーヤは証人等への質問内容を自由に選択することができる一方で、証人等から聞き出すことのできる必須情報が質問されない場合には、NPCによってその必須質問を実行させて、必須情報の提供を自然な形で担保することができる。
【0010】
第2の発明は、検察側及び/又は弁護側による証人等への尋問を実行する尋問実行手段(例えば、図6の処理部200、ゲーム演算部210、尋問及び補充尋問シナリオデータ530、図13のステップS100、S114〜S118)として前記コンピュータを機能させ、
前記質問選択肢提示手段が、前記尋問実行手段による尋問実行中に前記質問選択肢の提示を行い、前記PC質疑応答実行手段及び前記NPC質疑応答強制実行手段が、証人等への質疑応答を補充尋問として実行する、ように前記コンピュータを機能させるための第1の発明のプログラムである。
【0011】
第2の発明によれば、第1の発明と同様の効果を奏するとともに、法廷尋問の様子を再現しつつ、その様子をプレーヤが観察しながら質問選択肢を選択可能に構成し、続く補充尋問のタイミングで選択した質問選択肢に基づいてPCが証人等へ質問できる構成でなる。つまり、裁判をモチーフとしたゲームの法廷尋問から続く補充尋問の場面における質疑応答でゲーム進行に必須の情報を裁判の展開上自然な形でプレーヤに提供することができる。
【0012】
第3の発明は、前記質問選択肢提示手段が、少なくとも1つの必須質問選択肢を含む複数の質問選択肢でなる質問選択肢の組を複数組順次提示するように前記コンピュータを機能させるとともに、前記質問選択肢の各組それぞれの中から、プレーヤの選択操作に従って選択された質問選択肢を記憶する選択質問記憶手段(例えば、図6の処理部200、ゲーム演算部210、質問選択肢提示制御部212、獲得質問登録データ536、図13のステップS108〜S110)として前記コンピュータを機能させ、
更に、前記PC質疑応答実行手段が、前記選択質問記憶手段により記憶された質問選択肢を対象としてPCと証人等との間での質疑応答を実行するように前記コンピュータを機能させる、ように前記コンピュータを機能させるための第1又は第2の発明のプログラムである。
【0013】
第3の発明によれば、第1又は第2の発明と同様の効果を奏するとともに、プレーヤが質問選択肢を選択する際には、少なくとも必須選択肢が1つ含まれる質問選択肢の組を提示できる。
【0014】
第4の発明は、前記検出手段が、前記質問選択肢提示手段により提示された必須質問選択肢であって、前記選択質問記憶手段に記憶されていない必須質問選択肢があることを検出するように前記コンピュータを機能させるための第3の発明のプログラムである。
【0015】
第4の発明によれば、第3の発明と同様の効果を奏するとともに、プレーヤが必須質問選択肢を選択していないとしても、必須質問選択肢に従った質疑応答の実行を担保できる。
【0016】
第5の発明は、前記選択質問記憶手段に記憶された質問選択肢それぞれについて、当該質問選択肢が質疑応答の対象となったか否かを管理する管理手段(例えば、図6の処理部200、ゲーム演算部210、質問実行フラグTBL534、獲得質問登録データ536、図14のステップS186)、
プレーヤの操作入力に従って、PCでなる裁判員等による質問が無い旨の指示を入力する質問無し指示入力手段(例えば、図5の「見送る」のボタン表示6e、図6の操作入力部100、処理部200、ゲーム演算部210)、として前記コンピュータを機能させるとともに、
前記検出手段が、前記質問無し指示入力手段による指示入力がなされた場合に、前記選択質問記憶手段に記憶されており、且つ、前記管理手段により質疑応答の対象になっていないと管理されている必須質問選択肢があることを検出するように前記コンピュータを機能させるための第3又は第4の発明のプログラムである。
【0017】
第5の発明によれば、第3又は第4の発明と同様の効果を奏するとともに、PCによる質問が無い旨の指示が入力された場合にNPCによる必須質問が実行されるため、PCが優先的に必須質問できる。
【0018】
第6の発明は、第1〜第5の何れかの発明のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。ここで言う「情報記憶媒体」とは、例えば磁気ディスクや光学ディスク、ICメモリなどを含む。第6の発明によれば、第1〜第5の何れか一つの発明のプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることによって、コンピュータに第1〜第5の何れか一つの発明と同様の効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】携帯型ゲーム装置のシステム構成例を示す図。
【図2】仮想裁判ゲームの主たるシナリオの流れを示す概念図。
【図3】ゲーム画面例と基本的な操作入力例を示す図であり、「事件概要説明」シークエンスにおける画面例。
【図4】尋問シークエンスにおける画面構成例を示す図。
【図5】補充尋問シークエンスにおける画面構成例を示す図。
【図6】機能構成例を示す機能ブロック図。
【図7】尋問及び補充尋問シナリオデータのデータ構成例を示す図。
【図8】質問設定データのデータ構成例を示す図。
【図9】質問実行フラグTBLのデータ構成例を示す図。
【図10】獲得質問登録データのデータ構成例を示す図。
【図11】挙手フラグTBLのデータ構成例を示す図。
【図12】主たる処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図13】尋問及び補充尋問シークエンス処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図14】図13より続くフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を適用した実施形態として、携帯型ゲーム装置においてPC(プレーヤキャラクタ)の裁判員と、NPC(ノン・プレイヤブル・キャラクタ)の裁判官及び裁判員とが登場して、NPCでなる証人や当事者(以下「証人等」という。)に対する尋問及び評議を行ってゲームが進行する仮想裁判ゲームを実行する例を説明する。
【0021】
[ゲーム装置の構成]
図1は、携帯型ゲーム装置の構成例を説明するための外観図である。本実施形態における携帯型ゲーム装置1400は、プレーヤがゲーム操作を入力するための方向入力キー1402及びボタンスイッチ1404と、第1液晶ディスプレイ1406と、第2液晶ディスプレイ1408と、スピーカ1410と、制御ユニット1450とを、ヒンジ1414で開閉自在なフリップフロップ型の装置本体1401に備えている。
そして、第1液晶ディスプレイ1406及び第2液晶ディスプレイ1408の表示面上には、スタイラスペン1416などで触れることによって表示画面の任意位置を接触入力することのできるタッチパネル1407、1409がそれぞれ装着されている。
【0022】
また、装置本体1401には、コンピュータ読み出し可能な情報記憶媒体であるメモリカード1440にデータを読み書きできるメモリカード読取装置1418が備えられている。メモリカード1440には、携帯型ゲーム装置1400の制御ユニット1450がゲームプレイに係る各種演算処理を実行するために必要なプログラムや各種設定データが記憶されている。またその他、装置本体1401には図示されていない内臓バッテリーや電源ボタン、音量調節ボタン等が設けられている。
【0023】
タッチパネル1407、1409は、表示画面を遮蔽することなくそれぞれ第1液晶ディスプレイ1406及び第2液晶ディスプレイ1408の表示画面のほぼ全域を被い、プレーヤがスタイラスペン1416(或いは指など)で触れる接触操作を行うと、左上を原点とする直交Xt,Yt軸座標系における接触位置座標を制御ユニット1450へ出力することができる。
【0024】
制御ユニット1450は、ゲーム装置の制御基板に相当し、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、VRAMやRAM,ROM等の各種ICメモリを搭載する。
また、制御ユニット1450は、無線通信モジュール1412や、3軸加速度センサ1422、第1液晶ディスプレイ1406及び第2液晶ディスプレイ1408のドライバ回路、タッチパネル1407及びタッチパネル1409のドライバ回路、方向入力キー1402及びボタンスイッチ1404からの信号を受信する回路、スピーカ1410へ音声信号を出力するためのアンプ回路、メモリカード読取装置1418への信号入出力回路といった所謂I/F回路(インターフェース回路)を搭載する。これら制御ユニット1450に搭載されている各要素は、それぞれバス回路を介して電気的に接続され、データの読み書きや信号の送受信が可能に接続されている。
【0025】
3軸加速度センサ1422は、携帯型ゲーム装置1400の姿勢変化や位置変化を検出するために直交するX軸・Y軸・Z軸の3軸方向の加速度を検出し、検出信号を制御ユニット1450へ出力する。尚、加速度センサの代わり、又は更なる機能追加としてジャイロセンサを備える構成としても良い。或いは地磁気を基準として位置や姿勢変化を検出する磁気センサを更に機能追加してもよい。
【0026】
そして制御ユニット1450は、メモリカード読取装置1418によってメモリカード1440に格納されているプログラムやデータを読み出して、搭載するICメモリにこれらを一時記憶する。そして、読み出したプログラムを実行して演算処理を実行し、方向入力キー1402やボタンスイッチ1404、タッチパネル1407及び1409からの操作入力に応じて携帯型ゲーム装置1400の各部を制御してゲームを実行する。
【0027】
尚、本実施形態では、携帯型ゲーム装置1400は必要なプログラムや各種設定データをメモリカード1440から読み出す構成としているが、無線通信モジュール1412を介して、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などの有線/無線の通信回線1に接続して外部の装置からダウンロードする構成としても良い。
【0028】
[ゲームの概要]
図2は、本実施形態における仮想裁判ゲームの主たるシナリオの流れを示す概念図である。本実施形態のアドベンチャーゲームは、プレーヤが裁判員の一人としてある殺人事件の裁判に参加する仮想裁判ゲームであり、事件発生から裁判終了までを模した流れを有する。ゲーム進行をシークエンスで分けると(1)事件概要説明、(2)裁判の開廷、(3)事実確認、(4)尋問、(5)補充尋問、(6)論告求刑、(7)最終陳述、(8)裁判員による評決、(9)判決の言い渡し、(10)エンディングの順にシークエンスが構成されている。勿論、模擬する裁判が異なればシークエンスの内容や順番、繰り返しなどは適宜設定可能である。例えば、尋問及び補充尋問のシークエンスは、登場する証人等の数などによって複数回繰り返される構成もあり得る。本実施形態では、尋問及び補充尋問のシークエンスは各1回として説明する。
【0029】
図3は、本実施形態におけるゲーム画面例と基本的な操作入力例を示す図であり、「事件概要説明」シークエンスにおける画面例である。
携帯型ゲーム装置1400の第1液晶ディスプレイ1406には、ゲーム画面W2が表示される。ゲーム画面W2には、ゲームの進行を説明する各種画像2や、状況説明や登場人物の台詞等のテキスト4が表示される。例えば、図3の例では、テレビのニュース番組の画面2が表示され、アナウンサの台詞のテキスト4が表示され、本ゲームにおける裁判の対象となる事件の概要が語られようとしている。
【0030】
第2液晶ディスプレイ1408には、操作画面W4が表示される。操作画面W4には、各種情報表示欄や単数又は複数のボタン表示6がその時々のゲーム進行状況に応じて表示され、プレーヤは所望するボタン表示6をスタイラスペン1416でタッチすることで選択入力してゲームを進める。図3の例では、事件の概要説明において、話しを先に進めるゲーム進行操作入力のための「次へ」のボタン表示6が表示されている。このボタン表示6をタッチすると、所定のシナリオデータに従って次のゲーム画面へ進みゲームは進行する。つまり、プレーヤは、ゲーム画面W2を見つつ、操作画面W4に表示された情報表示やボタン表示6を選択操作することで、裁判をモチーフとしたアドベンチャーゲームを楽しむことができる。
【0031】
さて、仮想裁判ゲームの面白さは、裁判員制度を仮想的に体感できる一方で、様々な証拠を吟味し、尋問及び補充尋問において如何に適切な質問をして隠れた真実に迫れるか観察と推理を楽しむところにある。
そこで重要なのが、真実を適当に隠すためのダミー情報と、ゲーム進行上の必須情報とをどのようにプレーヤに提供するかである。必須情報は、例えば、後のストーリ展開の予備知識として必要な情報や、事件の真相を明らかにしたり理解したりするための伏線としての情報が該当し、ゲーム制作サイドが適宜設定することができる。
【0032】
スムーズなゲーム進行のみを念頭におけば、尋問及び補充尋問において冒頭から証人等のキャラクタに自動的に必須条件に関する証言だけをさせれば良いが、それではゲームとしての面白味が薄い。かといって、証人等へ質問する内容や質問のタイミング全てをプレーヤ任せにすると、質問が不十分であったりして必須情報がプレーヤに対して十分提示されずにシークエンスが進み、プレーヤが後々のストーリ展開についてこれなくなったり、辻褄が合わなくなる(プレーヤに提示されていない、プレーヤの知らない情報を、プレーヤが知っている前提でストーリが展開してしまう)と言った心配がある。
【0033】
そこで本実施形態では、必須質問の実行をNPC裁判員による強制的な質問実行によって担保する構成を有する。
具体的には、図2に示すように、尋問シークエンスにおいて、プレーヤが、検察官や弁護人といった尋問者が証人等へ尋問し、証人等がそれに証言・応答するシーンをゲーム画面で見つつ、次の補充尋問シークエンスにおいて証人等に質問できる質問選択肢12a,12b,12c・・・の中から何れかを獲得可能に構成する。
【0034】
この尋問シークエンスでプレーヤが獲得できる質問選択肢12a,12b,12c・・・は、必須情報を証人等から聞き出すことのできる必須質問(図2のQ1など)と、必須情報ではなくストーリ展開の飾りとしてのダミー情報を証人等から聞き出すことのできるダミー質問(図2のQ2,Q3など)とが適当に混在された質問選択肢の組として形成される。尋問シーン毎に、その質問選択肢の組がプレーヤに提示される。そして、尋問シークエンスでプレーヤが選択・獲得した質問は、次の補充尋問シークエンスにてPC裁判員が実行することのできる補充尋問用質問セット14aとなる。
【0035】
PC裁判員が補充尋問で質問できる内容をプレーヤ自身が選択できる一方で、各NPC裁判員が補充尋問で質問できる内容は、単数又は複数の必須質問とダミー質問とを含む補充尋問用質問の割り当て15a,15bとして予め設定されている。
【0036】
尋問シークエンスでは、例えば図4に示すように画面表示される。すなわち、第1液晶ディスプレイ1406のゲーム画面W6では、証人等20と尋問者22のキャラクタが表示され、吹き出し24でそれらキャラクタの台詞がテキスト表示される。
【0037】
一方、第2液晶ディスプレイ1408の操作画面W8では、画面右端に「メモする」「決定」「次へ」の操作がそれぞれ割り当てられたボタン表示6a,6b,6cが表示される。ゲーム画面W6を見ながらプレーヤが「メモする」のボタン表示6aをタッチ操作すると、画面中央に、当該尋問シーンにおいてプレーヤが獲得することのできる質問選択肢表示欄26が表示される。質問選択肢表示欄26には、それぞれタッチ操作で選択可能な質問選択肢28a,28b,28cが表示される。プレーヤが何れかの質問選択肢28a,28b,28cをタッチして選択し、「決定」のボタン表示6bをタッチ操作すると選択が決定される。そして、選択が決定すると操作画面W10に示すように、メモ帳30にメモテキスト32が出現するように表示され、あたかもプレーヤが尋問の様子を見て、補充尋問で質問する内容を書き取ったかのように演出される。
【0038】
尋問シークエンスに続く補充尋問シークエンスでは、例えば図5に示すように画面表示される。すなわち、第1液晶ディプレイ1406のゲーム画面W12では、証人等20と質問するPC裁判員又はNPC裁判員25のキャラクタが表示され、吹き出し24でそれらキャラクタの台詞がテキスト表示されて補充尋問シーンが表示される。
一方、第2液晶ディスプレイ1408の操作画面W14には、画面右端に「挙手する」「見送る」「次へ」の操作がそれぞれ割り当てられたボタン表示6d,6e,6cが表示されるとともに、画面中央部にPC裁判員の持っているメモ帳30が表示される。
【0039】
「挙手する」のボタン表示6dには、補充尋問シークエンスにおいて、PC裁判員に質問を実行させる操作入力が割り当てられている。挙手すると、同様に挙手した扱いのNPC裁判員の中から抽選されることによって、証人等20へ質問する機会を得ることができる。質問するキャラクタの画像がゲーム画面W12のように画面内に表示され、質問の台詞や証人等20等の証言の台詞が吹き出し24で表示される。
「見送る」のボタン表示6eは、挙手を見送り、PC裁判員による質問が無い旨の指示を入力する操作入力が割り当てられている。
【0040】
図2に戻り、PC裁判員の補充尋問用質問セット14a及びNPC裁判員の補充尋問用質問割り当て15a,15bの質問の実行/未実行はフラグによって管理処理される。
また、図5に示すように、メモ帳30には、尋問シークエンスにおいてプレーヤが獲得した質問のメモテキスト32a,32b,32cが表示されるとともに、PC裁判員及びNPC裁判員の何れが質問したかに係わらず、実行された質問に対応するメモテキスト32(図5の例ではメモテキスト32b)に、質問済みを示すチェックマーク34が付与表示される。
【0041】
そして、補充尋問シークエンスにおいて、プレーヤが必須質問をしなかった場合(つまり、プレーヤが先の尋問シークエンスにおいて質問選択肢の中から必須質問を選択できなかったために質問しなかった場合や、必須質問を選択したがプレーヤの自由意志で質問しなかった場合)に、実行されていない必須質問が割り当てられているNPC裁判員による質問を強制実行する(図2の質問Q1,Q8,Q11参照)。これによって、質問の内容も、選択した質問をする/しないの選択もプレーヤの自由意思で決定可能でありながら、ゲームを進める上で必須の情報が、ストーリ展開上あからさまでない自然な形で提供されるように工夫されている。
【0042】
尚、本実施形態では補充尋問で質問するのはPC裁判員又はNPC裁判員としているが、NPC裁判官も質問可能な構成とし、NPC裁判官の強制質問により必須質問の実行を担保する構成としても良いのは勿論である。
【0043】
[機能ブロックの説明]
次に、上述のようなゲームを実行するための機能構成例について説明する。
図6は、本実施形態における機能構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように本実施形態では、操作入力部100と、処理部200と、音出力部350と、画像表示部360と、通信部370と、記憶部500とを備える。
【0044】
操作入力部100は、プレーヤによって為された各種の操作入力に応じて操作入力信号を処理部200に出力する。本実施形態の操作入力部100は、接触位置検出部104を含む。
【0045】
操作入力部100は、ボタンスイッチや、ジョイスティック、タッチパッド、トラックボール、加速度センサユニット、傾斜センサユニット、などによって実現できる。図1の方向入力キー1402やボタンスイッチ1404はこれに該当する。
接触位置検出部104は、表示画面範囲への接触位置を検出することのできるデバイスである。図1のタッチパネル1407,1409がこれに該当する。
【0046】
処理部200は、例えばCPUやGPU等のマイクロプロセッサや、ASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、操作入力部100や記憶部500を含む携帯型ゲーム装置1400の各機能部との間でデータの入出力を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100からの操作入力信号に基づいて各種の演算処理を実行して、携帯型ゲーム装置1400の動作を制御する。図1では制御ユニット1450がこれに該当する。そして本実施形態における処理部200は、ゲーム演算部210と、音生成部250と、画像生成部260と、通信制御部270とを備える。
【0047】
ゲーム演算部210は、ゲームの進行に関する各種処理を実行する。例えば、(1)各シークエンス別に用意されたシークエンスデータに従って、所定のシーン順にゲーム画面を表示制御する処理、(2)補充尋問シークエンスにおいてPC裁判員又はNPC裁判員による証人等への補充尋問シーンに係る表示処理、(3)補充尋問シークエンスにおいて実行された質問の組み合わせ等に応じて、所定の思考ルーチンに従って各NPC裁判員及びNPC裁判官の有罪/無罪の個別評決を決定する処理、(4)全NPC裁判員及びNPC裁判官の個別評決とプレーヤにより選択入力された有罪/無罪の個別評決とから判決を決定する処理、(5)決定された判決に対応するエンディングを選択する処理などが実行される。
また、本実施形態のゲーム演算部210は、質問選択肢提示制御部212と、PC行動制御部214と、必須質問実行保証部216と、NPC行動制御部218とを含む。
【0048】
質問選択肢提示制御部212は、尋問シークエンスにおいて各尋問シーンの進行中にプレーヤから所定の質問獲得操作(本実施形態では図4の「メモする」のボタン表示6aのタッチ操作)を検知した場合に、第2液晶ディスプレイ1408へ質問選択肢表示欄26を表示制御し、同欄中に表示された質問選択肢28a,28b,28cへのタッチ操作による選択操作の後、選択決定操作(本実施形態では図4の「決定」のボタン表示6bのタッチ操作)を検知した場合に、選択している質問選択肢を獲得したと判定して、PC裁判員の補充尋問用質問セット14a(図2参照)に含まれるように設定する。尚、本実施形態では、補充尋問用質問セット14aへの記憶・登録管理は、後述する記憶部500の獲得質問登録データ536におけるフラグ操作で実現する。
【0049】
PC行動制御部214は、補充尋問シークエンスにおけるPC裁判員の行動を制御する。すなわち、質問開始操作(図5の「挙手する」のボタン表示6dへのタッチ操作)を検知した場合に、補充尋問用質問として記憶・登録されている質問の中から何れかをプレーヤに選択させ、選択された質問を実行済みとする。補充尋問用質問として記憶・登録されている質問をプレーヤに選択させると、ゲーム演算部210は、PC裁判員とNPC裁判員の中から補充質問する機会が与えられる裁判員を選択する抽選を実行し、当選した裁判員に質問権を与えるように裁判長を制御する。PC行動制御部214はPC裁判員が当選すればPC裁判員が証人等へ選択した質問をする補充尋問シーンを表示制御する。
【0050】
必須質問実行保証部216は、未実行(証人等へ質問されていない)必須質問を検出する。そして、必須質問実行保証部216により未実行の必須質問が検出されたならば、NPC行動制御部218が、当該検出した必須質問が割り当てられているNPC裁判員による強制質問制御を実行する。本実施形態は、裁判の形式をとるのでここで言う「強制質問制御」とは、補充質問シークエンスにおいて補充質問する機会が与えられたNPC裁判員に質問させる処理となる。質問する内容は、当該NPC裁判員に割り当てられている必須質問とダミー質問との中から、未実行の質問1つが自動選択される。そして、NPC裁判員が証人等へ、選択された質問をする補充尋問シーンを表示制御する。
【0051】
音生成部250は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、音声合成ICなどのプロセッサや、音声ファイル再生可能なオーディオコーデックによって実現され、ゲーム演算部210による処理結果に基づいてゲームに係る効果音やBGM、各種操作音の音信号を生成し、音出力部350に出力する。
【0052】
音出力部350は、音生成部250から入力される音信号に基づいて効果音やBGM等を音出力する装置によって実現される。図1ではスピーカ1410がこれに該当する。
【0053】
画像生成部260は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのプロセッサ、ビデオ信号IC、ビデオコーデック、フレームバッファ等の描画フレーム用ICメモリ等によって実現される。画像生成部260は、ゲーム演算部210による処理結果に基づいて1フレーム時間(例えば1/60秒)で1枚のゲーム画像を生成し、生成したゲーム画像の画像信号を画像表示部360に出力する。
【0054】
画像表示部360は、画像生成部260から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、ブラウン管(CRT)、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。図1では第1液晶ディスプレイ1406及び第2液晶ディスプレイ1408がこれに該当する。
【0055】
通信制御部270は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部370を介して外部装置とのデータのやりとりを実現する。
【0056】
通信部370は、通信回線1と接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、図1の無線通信モジュール1412がこれに該当する。
【0057】
記憶部500は、処理部200に携帯型ゲーム装置1400を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、ゲームを実行させるために必要なゲームプログラム、各種データ等を記憶する。また、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROMやDVDなどの光学ディスクなどによって実現される。図1では制御ユニット1450が搭載するICメモリやメモリカード1440がこれに該当する。
【0058】
本実施形態では、記憶部500はシステムプログラム501と、ゲームプログラム502とを記憶している。システムプログラム501は、携帯型ゲーム装置1400の基本機能を実現するためのプログラムであり、各機能部をアプリケーションソフト側で呼び出して利用可能な各種ファームウェアを含む。ゲームプログラム502は、処理部200が読み出して実行することによってゲーム演算部210としての機能を実現させるためのアプリケーションソフトである。
【0059】
また、記憶部500には、予め用意されるデータとして、ゲームデータ510を記憶する。更にゲームの準備や進行に伴って随時生成や更新が行われるデータとして、質問実行フラグTBL(テーブル)534と、獲得質問登録データ536と、挙手フラグTBL538とを記憶する。また、ゲームの進行に係る処理を実行するにあたり必要となるデータ(例えば、タイマー値やカウンタ)なども適宜記憶されるものとする。
【0060】
ゲームデータ510は、ゲーム画面や操作画面を表示させたりするのに必要な各キャラクタの画像や、吹き出し24の画像、メモ帳30の画像、各ボタン表示6の画像、シークエンス中に再生される動画などの各種データを含む。
【0061】
例えば本実施形態では、事件概要説明シークエンスデータ512と、開廷シークエンスデータ514と、事実確認シークエンスデータ516と、論告求刑シークエンスデータ518と、最終陳述シークエンスデータ520と、判決言い渡しシークエンスデータ522と、エンディングシークエンスデータ524とを含む。これらは、それぞれのシークエンスに含まれるシーンを表示制御するためのデータが格納されている。データ構成は、公知のアクションゲームのシーンデータと同様に構成できる。
【0062】
また、本実施形態のゲームデータ510は、尋問及び補充尋問シナリオデータ530と質問設定データ532とを予め記憶している。
【0063】
尋問及び補充尋問及び補充尋問シナリオデータ530は、尋問シークエンス及び補充尋問シークエンスにおいて尋問の様子や補充尋問の様子を表示制御するための情報を格納する。例えば、図7に示すように、表示順に登録されたシーン530aと対応づけて、吹き出し24内に表示される台詞データ530bと、当該シーンに関してプレーヤが獲得できる質問選択肢の識別情報を定義する質問選択肢組530cとを格納する。
尚、質問選択肢組530cにて設定される質問には、各シーン530aごとに、少なくとも1つの必須質問が含まれるように構成すると好適である。また、尋問及び補充尋問シナリオデータ530には、その他、当該シーンで表示させる証人等20や尋問者22のキャラクタの画像、背景画像、吹き出し24の素材画像、シーンの表示完了フラグなどが適宜対応づけて格納されているものとする。
【0064】
質問設定データ532は、補充尋問シークエンスにおいてPC裁判員及びNPC裁判員がすることのできる全ての質問についての設定情報を格納する。例えば、図8に示すように、質問ID532aと対応づけて、当該質問が実行可能に割り当てられたNPC裁判員の識別情報を示す割り当てNPC532bと、当該質問の種別532cと、メモ帳30に重畳表示されるメモテキスト532dと、当該質問をする際にゲーム画面の吹き出し24に表示される質問台詞データ532eと、それに対する証人等の応答台詞データ532fとを格納する。その他、当該シーンで表示させる証人等20やNPC裁判員25のキャラクタの画像、背景画像、などが適宜対応づけて格納されているものとする。
【0065】
質問実行フラグTBL534は、補充尋問シークエンスにおいて行われた質問を識別するための情報である。例えば図9に示すように、質問設定データ532で定義する全ての質問の質問ID534a毎に実行フラグ534bを対応づけて格納する。実行フラグ534bは、初期値が「0」であり「1」で実行済みを示す。
【0066】
獲得質問登録データ536は、図4に示したように、尋問シークエンスにおいてプレーヤが選択肢表示欄26に表示された質問選択肢28a,28b,28cの中から選択した質問を識別するための情報である。例えば、図10に示すように、質問設定データ532で定義する全ての質問の質問ID536a毎に獲得フラグ536bを対応づけて格納する。獲得フラグ536bの初期値は「0」であって、プレーヤが選択肢表示欄26から選択した質問の獲得フラグ536bを「1」に設定することで獲得した質問を記憶・登録する。
【0067】
挙手フラグTBL538は、補充尋問シークエンスにおいて裁判長によって質問をする機会を与えられる抽選に参加するキャラクタの識別を管理する情報である。例えば、図11に示すように、PC裁判員及びNPC裁判員のキャラクタID538aそれぞれに対応づけて挙手フラグ538bを格納する。同フラグが「1」ならば抽選に参加するキャラクタで有ることを示す。
【0068】
[処理の流れの説明]
次に、本実施形態における処理の流れについて説明する。ここで説明する一連の処理の流れは、処理部200がゲームプログラム502を読み出して実行することによって実現される。
【0069】
図12は、主たる処理の流れを説明するためのフローチャートである。処理部200は先ず、事件概要説明シークエンスデータ512を参照して、操作画面W4への操作入力に応じて、事件概要説明シークエンスを構成するシーンを順次第1液晶ディスプレイ1406へゲーム画面W2として表示させる(ステップS2;図2参照)。これによって、プレーヤへこれから裁判となる事件の概要が説明される。
【0070】
次いで処理部200は、開廷シークエンスデータ514を参照して、ゲーム画面に裁判が開始されるまでの様子を描いたシーンを順次表示させ(ステップS4)、更に事実確認シークエンスデータ516を参照して、法廷における冒頭手続き及び証拠調手続き等の様子を描いたシーンを順次表示させる(ステップS6)。
【0071】
次に、処理部200は尋問及び補充尋問シークエンス処理を実行する(ステップS8)。図13〜図14は、本実施形態における尋問及び補充尋問シークエンス処理の流れを説明するためのフローチャートである。同処理では先ず、処理部200は尋問及び補充尋問シナリオデータ530を参照して、第1液晶ディスプレイ1406へ尋問シークエンスの最初のシーンをゲーム画面として表示制御し、第2液晶ディスプレイ1408へ操作画面を表示制御する(ステップS100;図4参照)。
【0072】
ここで、「メモする」のボタン表示6aへのタッチ操作を検知したならば(ステップS102のYES)、処理部200は尋問及び補充尋問シナリオデータ530を参照して、現在表示中のシーン530aに対応する質問選択肢組530cが存在するか否かを判定し、存在すれば(ステップS104のYES)、その質問選択肢組530cの選択肢を列挙した質問選択肢表示欄26を表示制御する(ステップS106)。
【0073】
そして、同表示欄内の質問選択肢28a,28b,28cの何れかへのタッチ選択操作、つまり選択操作を検知したならば(ステップS108のYES)、処理部200は選択操作された質問選択肢に対応する獲得質問登録データ536の獲得フラグ536bを「1」に設定して記憶・登録し(ステップS110)、質問設定データ532から選択された質問選択肢の質問ID532aに対応するメモテキスト532dを参照して、操作画面内のメモ帳30にメモテキスト32を表示させる(ステップS112;図4参照)。
【0074】
処理部200は、「次へ」のボタン表示6cへのタッチ操作を検知しなければ(ステップS114のYES)、ステップS102に戻り、検知すれば(ステップS114)次に尋問シークエンスの全シーンの表示が行われたかを判定する(ステップS116)。
まだ表示すべきシーンが残っていれば(ステップS116のNO)、処理部200は次のシーンの表示制御を実行し(ステップS118)、ステップS102に戻る。
【0075】
尋問シークエンスの全シーンを表示したならば(ステップS116のYES)、処理部200は次に補充尋問シークエンスに関する処理を実行する(ステップS120〜S200)。具体的には、先ず補充尋問を開始する旨裁判長が宣言するシーンの表示を実行する(ステップS120)。次に、獲得質問登録データ536を参照して、プレーヤが尋問シークエンスにおいて獲得した質問の数を参照する。
【0076】
獲得した質問の数が「0」でなければ(ステップS122)、質問設定データ532から、獲得質問登録データ536の獲得フラグ536bが「1」の質問に対応づけられている各メモテキスト532dを参照し、メモ帳30に全て表示させる(ステップS124;図5参照)。
【0077】
次いで、処理部200は、獲得質問登録データ536と質問実行フラグTBL534を参照して、尋問シークエンスにて獲得済みの質問のうち未実行の質問(獲得フラグ536bが「1」なのに実行フラグ534bが「0」の質問)が有れば(ステップS126のYES)、操作画面に「挙手」と「見送る」のボタン表示6d,6eを表示させて、PC裁判員が質問できる用意をする(ステップS128)。
【0078】
次に、処理部200はゲーム画面に裁判長が質問希望者に挙手を要求するシーンを表示させ(図14;ステップS140)、挙手フラグTBL538の挙手フラグ538bを全て「0」に設定して初期化する(ステップS142)。
【0079】
そして、「挙手」のボタン表示6dへのタッチ操作を検知したならば(ステップS144の挙手)、処理部200はPC裁判員に対応する挙手フラグ538bを「1」に設定する(ステップS146)。「見送る」のボタン表示6eへのタッチ操作を検知した場合は(ステップS144の見送る)、PC裁判員に対応する挙手フラグ538bの変更をスキップする。
【0080】
次いで、NPC裁判員に関する挙手に関する処理を実行する(ステップS148〜S162)。具体的には、獲得質問登録データ536と、質問実行フラグTBL534と、質問設定データ532の質問種別532cとを参照して、尋問シークエンスにおいてプレーヤにより選択されずにPC裁判員による証人等への質疑応答の対象になっていない必須質問、又は尋問シークエンスにおいて選択されているが未実行の必須質問が有ると判断される場合(ステップS148のYES)、処理部200は、該当する未実行の必須質問の中から1つをランダムに自動選択し(ステップS150)、選択した未実行の必須質問が割り当てられているNPC裁判員の挙手フラグ538bを「1」に設定する(ステップS152)。
【0081】
一方、未実行の必須質問が無かった場合でも(ステップS148のNO)、割り当てられている質問のうち、未実行の質問が所定の基準数以上のNPC裁判員があれば(ステップS160のYES)、処理部200は該当するNPC裁判員の挙手フラグ538bを「1」に設定する(ステップS162)。
【0082】
NPC裁判員の挙手に関する処理を実行したならば、次に、処理部200は挙手フラグ538bが「1」のPC裁判員及びNPC裁判員の中から何れかのキャラクタをランダムに自動選択し(ステップS170)、裁判長が自動選択したキャラクタに質問を許可するシーンを表示制御する(ステップS172)。
【0083】
そして、ステップS170で選択されたキャラクタがPC裁判員であれば(ステップS180のPC裁判員)、処理部200は更にプレーヤに獲得済みで未実行の質問選択肢の中から今回実行するものを選択するように促す表示を操作画面に行う(ステップS182)。
【0084】
プレーヤがメモ帳30に表示されているメモテキスト32の何れかにタッチ操作したのを検知すれば(ステップS184)、処理部200はタッチされたメモテキスト32に対応する質問の実行フラグ534bを「1」に変更して(ステップS186)、PC裁判員が選択された質問を証人等にするシーンと、それに証人等が応答するシーンとを表示する(ステップS188)。そして、操作画面のメモ帳30に表示されているメモテキストのうち、ステップS188で実行された質問に対応するメモテキスト32の近傍にチェックマーク34を追加表示させて(ステップS196;図5参照)、今回の質問に関する処理を終了し、ステップS140に戻る。
【0085】
一方、ステップS170で選択されたキャラクタがNPC裁判員であれば(ステップS180のNPC裁判員)、処理部200は更に当該NPC裁判員に割り当てられている未実行の質問(未実行であれば必須質問もダミー質問も含む)の中から1つをランダムに自動選択し(ステップS190)、選択された質問の実行フラグ534bを「1」に変更する(ステップS192)。
【0086】
そして、NPC裁判員が選択された質問を証人等にするシーンと、それに証人等が応答するシーンとを表示し(ステップS194)、選択されたメモテキスト32の近傍にチェックマーク34を追加表示させて(ステップS196)、今回の質問に関する処理を終了し、ステップS140に戻る。
【0087】
ステップS148において未実行の必須質問が無く(ステップS148のNO)、且つ割り当てられている質問が基準数以上未実行で残っているNPC裁判員がいなければ(ステップS160のNO)、処理部200は裁判長が補充尋問の終了を宣言するシーンの表示制御を実行して(ステップS200)、尋問及び補充尋問シークエンス処理を終了する。
【0088】
尚、尋問を受ける証人等を複数登場させる場合には、尋問及び補充尋問シークエンス処理をその分繰り返し実行すると良い。
【0089】
図12のフローチャートに戻って、次に、処理部200は論告求刑シークエンスデータ518を参照して、論告求刑の様子を描いたシーンを順次表示させ(ステップS10)、更に最終陳述シークエンスデータ520を参照して、最終陳述の様子を描いたシーンを順次表示させる(ステップS12)。
【0090】
次いで、処理部200は各NPC裁判員の有罪/無罪の個別評決を決定する(ステップS14)。個別評決の決定方法は、例えば事実確認シークエンスにおけるプレーヤの操作入力であったり、尋問及び補充尋問シークエンスにおいて実行された質問の組み合わせに応じて所定のルールに従って適宜決定する。
また、PC裁判員の個別評決については、処理部200はプレーヤにPC裁判員の有罪/無罪の個別評決をさせる処理を実行する(ステップS16)。例えば、操作画面に何れかを選択する旨のガイド表示と、「有罪」「無罪」の2つのボタン表示とを表示させ、タッチ操作された側のボタン表示に対応する設定をPC裁判員の個別評決とする。
【0091】
そして、PC裁判員及びNPC裁判員の個別評決が揃ったところで、処理部200は判決とエンディングを選択する(ステップS18)。そして、判決言い渡しシークエンスデータ522を参照して判決言い渡しをするシーンを表示制御し(ステップS20)、エンディングシークエンスデータ524を参照して、エンディングを表示させて(ステップS22)、仮想裁判ゲームに係る一連の処理を終了する。
【0092】
以上、本実施形態によればプレーヤが裁判員の一員として参加する仮想裁判ゲームを実現することができる。そして、その中で描かれる法廷尋問の場面において、尋問を受ける証人等の証言や応答を見ながら、プレーヤが次の補充尋問でPC裁判員がすることのできる質問内容を選択することができる。
【0093】
この法廷尋問の場面でプレーヤが選択可能な質問選択肢の中には、ゲーム進行上プレーヤに提示されるべき必須情報を証人等から聞き出すことの出来る必須質問がダミー質問に紛れて提示される。つまり、法廷尋問を見つつ、プレーヤが質問内容を選択することができる自由度が得られる一方で、必須質問が次の補充質問で為されない可能性が生まれることになる。しかし、必須質問については、NPC裁判員に補充質問用の質問として予め割り当てがなされており、補充質問の場面で未実行の必須質問があれば、PC裁判員に代わってNPC裁判員が証人等に質問するように強制制御され、必須質問の実行が担保される。
【0094】
よって、プレーヤに補充尋問で実行可能な質問の選択と、選択した質問の実行/未実行の選択を含めて広い自由度を与えることで、その場で観察と推理を働かせて事件の真実に迫ろうとするリアルなプレイスタイルを実現しつつ、ゲーム進行に必須の情報の提供をあからさまにならない形で確実に提供することができる。
【0095】
しかも、必須質問の出現を担保するNPC裁判員による強制質問に関する行動では、ダミー質問と必須質問とを含む中からランダムに選択された質問を実行するので、NPC裁判員が質問をしたから必ずしもそれが必須質問であるとは限らないので、プレーヤに必須質問が容易に判別されないように工夫されている。
【0096】
こうした、仮想裁判ゲームでありながら、尋問及び補充尋問の場面を跨ってゲーム進行に必要な情報を証人等の証言の形で確実にプレーヤに提供するゲームは従来に無く、自然な裁判の様子を演出しつつ高いゲーム品質を実現することができる。
【0097】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明を適用可能な実施形態はこの構成に限定されるものではなく、適宜、構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0098】
例えば、上記実施形態では未実行の必須質問があれば、冒頭からNPC裁判員が強制質問するように構成されているがこれに限らず、PC裁判員が必須質問を実行しない状況が検知されたならばNPC裁判員による強制質問を実行可能にする構成としても良い。つまり、PC裁判員が優先的に必須質問ができるように配慮した構成としても良い。具体的には、ステップS148に先立って、ステップS144における「見送り」操作の連続入力回数をカウントするステップを実行し、次いで、そのカウント数が基準値(例えば5回)に達し無ければ単なる様子見と判断してステップS162に分岐する一方で、カウント数が基準値に達した場合には、プレーヤはもはや質問する意志を持っていないと判断してステップS148に分岐するステップを実行すると良い。勿論、基準値は1回でもよい。
【0099】
また、上記実施形態では必須質問の担保をNPC裁判員による強制質問で実現する構成としているが、NPC裁判官による強制質問で実現する構成を加えることができる。
【0100】
また例えば、上記実施形態におけるゲーム装置を携帯型ゲーム装置1400として例示したが、据え置き型の家庭用ゲーム装置や業務用ゲーム装置は勿論のこと、“ゲーム装置”として販売されている電子機器に限らず、アプリケーションソフトが実行可能な携帯電話機やコンパクトデジタルカメラ、音楽プレーヤ、パソコンと言った電子機器も、ゲームプログラムを実行することでゲーム装置として機能するため、本発明を実現するゲーム装置とすることができる。
【0101】
また、上記実施形態では殺人事件の裁判をモチーフとしたゲーム内容となっているが、証人等へ尋問するNPCの尋問者と、その尋問とは別の機会にプレーヤキャラクタ及びプレーヤキャラクタと行動を共にするNPCとが同じ証人等へ質問するシチュエーションが存在するならば、軍事法廷をモチーフとしても良いし、探偵活動をモチーフとしたゲームでも良く適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0102】
6 ボタン表示
20 証人等
22 尋問者
24 吹き出し
25 裁判員
26 質問選択肢表示欄
28a,28b,28c 質問選択肢
30 メモ帳
32 メモテキスト
100 操作入力部
104 接触位置検出部
200 処理部
210 ゲーム演算部
212 質問選択肢提示制御部
214 PC行動制御部
216 必須質問実行保証部
218 NPC行動制御部
500 記憶部
502 ゲームプログラム
510 ゲームデータ
530 尋問及び補充尋問シナリオデータ
530c 質問選択肢組
532 質問設定データ
532b 割り当てNPC
532c 質問種別
534 質問実行フラグTBL
536 獲得質問登録データ
1400 携帯型ゲーム装置
1401 装置本体
1404 ボタンスイッチ
1406 第1液晶ディスプレイ
1407 タッチパネル
1408 第2液晶ディスプレイ
1409 タッチパネル
1450 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PC(プレーヤキャラクタ)の裁判員又は陪審員(以下「裁判員等」という)と、NPC(ノン・プレイヤブル・キャラクタ)の裁判官及び裁判員等とが登場して、NPCでなる証人や当事者(以下「証人等」という)に対する尋問及び評議を行ってゲームが進行する仮想裁判ゲームをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
証人等に対する複数の質問選択肢をプレーヤに提示する質問選択肢提示手段、
前記複数の質問選択肢のうち、プレーヤの選択操作に従って選択された質問選択肢に従ってPCと証人等との間での質疑応答を実行するPC質疑応答実行手段、
前記PC質疑応答実行手段により質疑応答の対象とされていない質問選択肢の中にゲーム進行上不可欠な質問として予め定められた必須質問選択肢が含まれていることを検出する検出手段、
前記検出手段による検出がなされた場合に、当該検出された必須質問選択肢に従ってNPCでなる裁判官及び裁判員等の何れかと証人等との間での質疑応答を実行するNPC質疑応答強制実行手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項2】
検察側及び/又は弁護側による証人等への尋問を実行する尋問実行手段として前記コンピュータを機能させ、
前記質問選択肢提示手段が、前記尋問実行手段による尋問実行中に前記質問選択肢の提示を行い、
前記PC質疑応答実行手段及び前記NPC質疑応答強制実行手段が、証人等への質疑応答を補充尋問として実行する、
ように前記コンピュータを機能させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記質問選択肢提示手段が、少なくとも1つの必須質問選択肢を含む複数の質問選択肢でなる質問選択肢の組を複数組順次提示するように前記コンピュータを機能させるとともに、
前記質問選択肢の各組それぞれの中から、プレーヤの選択操作に従って選択された質問選択肢を記憶する選択質問記憶手段として前記コンピュータを機能させ、
更に、
前記PC質疑応答実行手段が、前記選択質問記憶手段により記憶された質問選択肢を対象としてPCと証人等との間での質疑応答を実行するように前記コンピュータを機能させる、
ように前記コンピュータを機能させるための請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記検出手段が、前記質問選択肢提示手段により提示された必須質問選択肢であって、前記選択質問記憶手段に記憶されていない必須質問選択肢があることを検出するように前記コンピュータを機能させるための請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記選択質問記憶手段に記憶された質問選択肢それぞれについて、当該質問選択肢が質疑応答の対象となったか否かを管理する管理手段、
プレーヤの操作入力に従って、PCでなる裁判員等による質問が無い旨の指示を入力する質問無し指示入力手段、
として前記コンピュータを機能させるとともに、
前記検出手段が、前記質問無し指示入力手段による指示入力がなされた場合に、前記選択質問記憶手段に記憶されており、且つ、前記管理手段により質疑応答の対象になっていないと管理されている必須質問選択肢があることを検出するように前記コンピュータを機能させる、
ための請求項3又は4に記載のプログラム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。
【請求項7】
PCの裁判員等と、NPCの裁判官及び裁判員等とが登場して、NPCでなる証人や当事者に対する尋問及び評議を行ってゲームが進行する仮想裁判ゲームを実行するゲーム装置であって、
証人等に対する複数の質問選択肢をプレーヤに提示する質問選択肢提示手段と、
前記複数の質問選択肢のうち、プレーヤの選択操作に従って選択された質問選択肢に従ってPCと証人等との間での質疑応答を実行するPC質疑応答実行手段と、
前記PC質疑応答実行手段により質疑応答の対象とされていない質問選択肢の中にゲーム進行上不可欠な質問として予め定められた必須質問選択肢が含まれていることを検出する検出手段と、
前記検出手段による検出がなされた場合に、当該検出された必須質問選択肢に従ってNPCでなる裁判官及び裁判員等の何れかと証人等との間での質疑応答を実行するNPC質疑応答強制実行手段と、
を備えたゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−233922(P2010−233922A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87048(P2009−87048)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】