説明

プログラムのインストール方法およびインストールプログラム

【課題】
プログラムのインストールまたはアップデートを、クライアントのユーザが意識することなく、バックグランドで実行する。
【解決手段】
クライアント12は、暗号化された認証情報ファイル、配布ファイル、および代理実行プログラムからなるファイルセットを取得したときは当該代理実行プログラム101を起動し、代理実行プログラム101は、認証情報ファイルに記載されたレコードに基づきクライアントの照合を行い、照合が成功したときは、認証情報ファイルを無効化するとともに、配布ファイルのインストールまたは更新を行い、この後、代理実行プログラムを終了し、照合が成功しなかったときは、インストールを中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラムのインストールまたはアップデートを、クライアントのユーザが意識することなく、バックグランドで実行することができるプログラムのインストール方法およびインストールプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク上に構築されるサーバ・クライアントシステムでは、システム保護のために、クライアントによる自己コンピュータへのプログラムのインストールを制限している場合がある。
【0003】
このようなシステムにおいて、クライアントでのプログラムのインストールの必要が生じたときは、管理者がアドミニストレータ権限でクライアントにログインし、プログラムのインストールを実行する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、新製品のOSやアプリケーションプログラムでは、アップデート(パッチプログラムの追加等)が度々に行われることがあり、その都度、管理者がクライアントにアドミニストレータ権限でログインし、インストール作業やアップデート作業を行うのは煩わしい。
【0005】
またアップデートの度に、クライアントのユーザにアドミニストレータ権限のパスワードを知らせて当該ユーザがインストール作業を行うこともできるが、セキュリティのうえで問題がある。
本発明は、アプリケーションプログラムまたはアップデートプログラムの実行をバックグランドで自動実行することができるプログラムのインストール方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプログラムのインストール方法は、
クライアントにおけるプログラムのインストールまたは更新がアドミニストレータ権限下で行われるもので、
前記クライアントは、暗号化された認証情報ファイル、配布ファイル、および代理実行プログラムからなるファイルセットを取得したときは当該代理実行プログラムを起動し、
前記代理実行プログラムは、
前記認証情報ファイルに記載されたレコードに基づき(たとえば、クライアントのPC名とを比較して)クライアントの照合を行い、
前記照合が成功したときは、前記認証情報ファイルを無効化する(たとえば、パスワードリスト変更および少なくとも前記認証情報ファイルおよび前記配布ファイルの削除を実行し)とともに、前記配布ファイルのインストールまたは更新を行い、この後、代理実行プログラムを終了し、
前記照合が成功しなかったときは、インストールを中止する、
ことを特徴とする。
【0007】
本発明のインストールプログラムは、
クライアントにおけるプログラムのインストールまたは更新をアドミニストレータ権限下で行うものであって、
暗号化された認証情報ファイル、配布ファイル、および代理実行プログラムからなるファイルセットを取得したときに当該代理実行プログラムを自動起動するモジュールを備え、
前記代理実行プログラムは、
前記認証情報ファイルに記載されたレコードに基づき(クライアントのPC名とを比較して)クライアントの照合を行うモジュール、および、
前記照合が成功したときに実行される、
前記認証情報ファイルを無効化し(パスワードリスト変更および少なくとも前記認証情報ファイルおよび前記配布ファイルの削除を実行し)するモジュール、前記配布ファイルのインストールまたは更新を行うモジュール、および代理実行プログラムを終了するモジュール、
前記照合が成功しなかったときに実行される、インストールを中止するモジュール、
とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アプリケーションプログラムまたはアップデートプログラムの実行をバックグランドで自動実行することができる。
【0009】
したがって、管理者にとっては、OS等のアップデートプログラムの必要が生じる度に、アドミニストレータ権限でクライアントにログインし、インストール作業やアップデート作業を行うといった煩わしさが生じない。また、クライアントのユーザにとっても、インストール作業の必要がないし、ユーザがアドミニストレータ権限のパスワードを知ることがないので、セキュリティ上の問題は生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のプログラムのインストール方法の一実施形態を説明する。
図1は管理サーバ11とクライアント12との関係を示す説明図であり、図1において管理サーバ11とクライアント12とは、ネットワーク100を介して接続されており、プログラムのインストールまたは更新は、アドミニストレータ権限下で行われる。
【0011】
管理サーバ11は、ユーザ管理ツール111と、配布ファイル作成ツール112を備えており、ユーザ管理ツール111は、クライアント12のコンピュータ名、ユーザ名、パスワード、実行許可情報を管理・設定することができる。
【0012】
図2のフローチャートにより、管理サーバ11における処理を説明する。
ユーザ管理ツール111の管理画面の一例を図4に示す。管理者は、認証情報ファイル欄を選択して内容を読み込むことができる。これにより、ウィンドウに内容が表示され、管理者は各種情報の入力・修正を画面上で行うことができる。
【0013】
また、管理者は、作成ボタンをポイントすることで、認証情報ファイルにコンピュータ名、ユーザ名、パスワード、実行許可情報を書き込むことができる(S101)。
【0014】
配布ファイル作成ツール112は、配布ファイルF1と暗号化された認証情報ファイルF2と代理実行ファイルF3を一つの圧縮インストールファイルCIFとして作成することができる(S102)。
【0015】
配布ファイル作成ツール112の作成画面の一例を図5に示す。この画面の操作により、配布ファイルF1と認証情報ファイルF2と代理実行プログラムPPとの圧縮インストールファイルCIFが作成される。代理実行プログラムPPは、照合プログラムP1,インストール・更新プログラムP2,パスワードリスト変更プログラムP3,ファイル削除プログラムP4を含んでいる。
【0016】
前述したように、管理サーバ11は、当該クライアント12に圧縮インストールファイルCIFを渡す(S103)。
【0017】
以下、図3のフローチャートにより、クライアント12における処理を説明する。
クライアント12は、管理サーバ11から圧縮インストールファイルCIFを受け取ると(S201)、圧縮インストールファイルCIFは、クライアント12において、バックグランドで自己展開を行い、暗号化された認証情報ファイルF1,配布ファイルF2,パスワードリスト変更プログラムP3を生成する(S202)。
【0018】
そして、代理実行プログラムPPが起動され(S203)、照合プログラムP1が、ログインしたクライアント12のPC名を取得するとともに、認証情報ファイルF1を復号化してレコードRを検索し、ユーザ名、パスワード、実行許可フラグを参照して、当該レコードRとの照合を行う(S204)。
【0019】
照合プログラムP1は、実行許可フラグが実行を許可しない値になっているときや、パスワードが異なるとき等、レコードRとの照合が成功しないとき(S205の「NO」)は、インストールを中止する(S206)。
【0020】
レコードRとの照合が成功したとき(S205の「YES」)は、一時的にレコードRに指定されたユーザでバックグランドでログインする(S207)。
【0021】
次に、パスワードリスト変更プログラムP3は、認証情報ファイルF1中のパスワードの変更(S208)を行い、ファイル削除プログラムP4は、認証情報ファイルF1、配布ファイルF2を削除する(S209)。
【0022】
この後、インストールプログラムを実行した後(S210)、代理実行プログラムを終了する(S211)。
【0023】
なお、S209において、ファイル削除プログラムP4は、代理実行プログラムPP自体を削除するようにしてもよいが、代理実行プログラムPP自体にはパスワード等の情報が含まれていないので、クライアント12に残されていてもよい。
【0024】
上記実施形態においてインストールプログラムは、配布ファイルF1と、暗号化された認証情報ファイルF2と、代理実行プログラムPPとを圧縮インストールファイルとして作成するモジュールM1と、クライアント12にアドミニストレータ権限でアクセスし、クライアントに圧縮インストールファイルCIFを渡すモジュールM2と、クライアントにおいて、圧縮インストールファイルCIFをバックグランドで自己展開し、暗号化された認証情報ファイル、配布ファイル、および代理実行プログラムを生成するモジュールM3とを備ている。
【0025】
前述したように、代理実行プログラムPPは、認証情報ファイルに記載された情報と照合を行うプログラム(照合プログラムP1)、照合が成功したときは、前記配布ファイルのインストールまたは更新を行うプログラム(インストール・更新プログラムP2)、インストールまたは更新が行われたときは、認証情報ファイルに含まれるパスワードリスト変更および少なくとも前記認証情報ファイルおよび前記配布ファイルの削除を実行するプログラム(パスワードリスト変更プログラムP3,ファイル削除プログラムP4)を有している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】管理サーバとクライアントとの関係を示す説明図である。
【図2】管理サーバの処理を説明するたものフローチャートである。
【図3】クライアントの処理を説明するたものフローチャートである。
【図4】ユーザ管理ツールの管理画面の一例を示す図である。
【図5】配布ファイル作成ツールの作成画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
11 管理サーバ
12 クライアント
100 ネットワーク
111 ユーザ管理ツール
112 配布ファイル作成ツール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアントにおけるプログラムのインストールまたは更新がアドミニストレータ権限下で行われるプログラムインストール方法であって、
前記クライアントは、暗号化された認証情報ファイル、配布ファイル、および代理実行プログラムからなるファイルセットを取得したときは当該代理実行プログラムを起動し、
前記代理実行プログラムは、
前記認証情報ファイルに記載されたレコードに基づきクライアントの照合を行い、
前記照合が成功したときは、前記認証情報ファイルを無効化するとともに、前記配布ファイルのインストールまたは更新を行い、この後、代理実行プログラムを終了し、
前記照合が成功しなかったときは、インストールを中止する、
ことを特徴とするプログラムのインストール方法。
【請求項2】
クライアントにおけるプログラムのインストールまたは更新をアドミニストレータ権限下で行うインストールプログラムであって、
暗号化された認証情報ファイル、配布ファイル、および代理実行プログラムからなるファイルセットを取得したときに当該代理実行プログラムを自動起動するモジュールを備え、
前記代理実行プログラムは、
前記認証情報ファイルに記載されたレコードに基づき(クライアントのPC名とを比較して)クライアントの照合を行うモジュール、および、
前記照合が成功したときに実行される、
前記認証情報ファイルを無効化するモジュール、前記配布ファイルのインストールまたは更新を行うモジュール、および代理実行プログラムを終了するモジュール、
前記照合が成功しなかったときに実行される、インストールを中止するモジュール、
とを有することを特徴とするインストールプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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