説明

プログラムのバージョン同期システム及びその方法並びにプログラムのバージョン同期装置及びそのプログラム

【課題】予め上位装置に制御装置用のプログラムを用意しておく必要がなく、且つ、各制御装置のプログラムのバージョンを同一のものとする。
【解決手段】自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置のそれぞれと接続された上位装置が、第1の前記制御装置から、前記自身が保有するプログラムを元にして生成したプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを取得する。前記配信用ファイル取得手段により前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する。前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得手段により取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置間におけるプログラムのバージョンの同期に関する。
【背景技術】
【0002】
制御装置と、制御装置を管理する上位側プログラムが組み込まれた装置である上位装置とで構成されているシステムが存在する。具体的にはオフィス或いはビル管理等における施錠システム等である。この様なシステムにおいては、それぞれ上位装置側、制御装置側でバージョンが複数あり、その組み合わせが密接に関係している場合がある。そして、既存のシステムに制御装置を新規に設置する際は、制御装置のバージョンを事前に調査し、新規に手配した制御装置のプログラムを入れ替えた上で設置する必要があった。
【0003】
このような、プログラムの入れ替えを容易とする技術の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の技術では、最初のシステム構築時あるいは設備機器の増設時には、上位装置であるメインコントローラ101、又はサーバ102から自動的に必要なソフトウェア及び設定情報をダウンロードすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−186392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1等に記載の技術を用いることにより、プログラムをダウンロードし、ダウンロードしたプログラムにより更新をすることができる。
【0006】
しかしながら、このような技術を用いるためには予め上位装置にプログラムを格納しておく必要があるという問題がある。
【0007】
更に、上位装置に格納されているプログラムを逐次新しいバージョンに更新しているような場合には更なる問題が発生する。それは、制御装置が導入された時期が異なると、異なったバージョンのプログラムがそれぞれ導入されてしまうという問題である。
【0008】
例えば、上位装置に旧バージョンのプログラムが格納されている時期に導入された制御装置には、この旧バージョンのプログラムが導入される。その後、新しいバージョンのプログラムが上位装置に格納された後に導入された制御装置には、この新しいバージョンのプログラムが導入される。これにより、制御装置間で異なるバージョンのプログラムが導入される結果となり不都合が生じてしまうという問題がある。
【0009】
この問題を解消するためには、各制御装置のプログラムを同期させ、同一のバージョンで統一する必要が有る。これを実現させるためには事前にプログラムのバージョンを調査し、そのプログラムを入れ込んだ制御装置を現場に持っていくか、現場で既設の制御装置から手動でプログラムファイルを取得し、手動で更新する必要があった。また、新規に設置する制御装置の台数が多いほど、手間がかかった。
【0010】
そこで、本発明は、予め上位装置に制御装置用のプログラムを用意しておく必要がなく、且つ、各制御装置のプログラムのバージョンを同一のものとさせることが可能な、プログラムのバージョン同期システム及びその方法並びにプログラムのバージョン同期装置及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点によれば、自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置と、前記複数の制御装置のそれぞれと接続された上位装置とを含む、プログラムのバージョン同期システムにおいて、第1の前記制御装置が、前記自身が保有するプログラムを元にしてプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを作成する手段を備え、前記上位装置が、前記第1の制御装置から、前記配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得手段と、前記配信用ファイル取得手段により前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信手段と、前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得手段により取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信手段と、を備え、前記第2の制御装置が、前記上位装置より前記プログラム更新の指示を受信した場合に、前記上位装置に対して前記配信用ファイルの配信要求を送信するクライアント手段と、前記上位装置より送信されてきた前記配信用ファイルから前記プログラムを生成し、自身が保有するプログラムを前記生成したプログラムに更新する手段と、を備えることを特徴とするプログラムのバージョン同期システムが提供される。
【0012】
本発明の第2の観点によれば、自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置のそれぞれと接続される上位装置において、第1の前記制御装置から、前記自身が保有するプログラムを元にして生成したプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得手段と、前記配信用ファイル取得手段により前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信手段と、前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得手段により取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信手段と、を備えることを特徴とする上位装置が提供される。
【0013】
本発明の第3の観点によれば、自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置と、前記複数の制御装置のそれぞれと接続された上位装置とを含むシステムが行う、プログラムのバージョン同期方法において、第1の前記制御装置が、前記自身が保有するプログラムを元にしてプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを作成するステップと、前記上位装置が、前記第1の制御装置から、前記配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得ステップと、前記上位装置が、前記配信用ファイル取得ステップにより前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信ステップと、前記上位装置が、前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得ステップにより取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信ステップと、前記第2の制御装置が、前記上位装置より前記プログラム更新の指示を受信した場合に、前記上位装置に対して前記配信用ファイルの配信要求を送信するクライアントステップと、前記第2の制御装置が、前記上位装置より送信されてきた前記配信用ファイルから前記プログラムを生成し、自身が保有するプログラムを前記生成したプログラムに更新するステップと、を備えることを特徴とするプログラムのバージョン同期方法が提供される。
【0014】
本発明の第4の観点によれば、自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置のそれぞれと接続される上位装置に組み込まれるプログラムのバージョン同期プログラムにおいて、第1の前記制御装置から、前記自身が保有するプログラムを元にして生成したプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得手段と、前記配信用ファイル取得手段により前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信手段と、前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得手段により取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信手段と、を備える上位装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラムのバージョン同期プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、同期元の制御装置から取得した配信用ファイル用に基づいて同期先でプログラムの更新を行うことから、予め上位装置に制御装置用のプログラムを用意しておく必要がなく、且つ、各制御装置のプログラムのバージョンを同一のものとさせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に導入されているプログラムを表す図である。
【図2】本発明の実施形態の具体的な実装例を表す図である。
【図3】本発明の実施形態の基本的な構成を表す図である。
【図4】本発明の実施形態における格納部について表す図である。
【図5】本発明の実施形態の基本的な動作を表すシーケンス図である。
【図6】本発明の実施形態における起動処理によるプログラム展開と配信用ファイルの作成の動作について表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施例の構成について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1を参照すると、本実施形態は上位装置100、制御装置200−1及び制御装置200−2を含む。上位装置100、制御装置200−1及び制御装置200−2の何れもコンピュータにより実現される。各装置は具体的にはどのようなコンピュータにより実現されてもよいが、例えば、図2に示されるように、上位装置100はサーバにより実現され、制御装置200−1及び制御装置200−2は、カードリーダにより実現される。図2の実装例では、本実施形態は入退室管理を行うシステムであり、サーバ1000と制御装置2000(カードリーダ)、電気錠3000を含む。制御装置2000にカードを読ませると制御装置2000が認証を行い、電気錠3000の解施錠を制御する。サーバ1000は制御装置2000の管理を行う。
【0019】
なお、図1及び図2において制御装置200、制御装置2000及び電気錠3000は二台ずつ図示されているが、これはあくまで一例である。一つの上位装置100(又は上位装置1000)に対して制御装置200(又は制御装置2000及び電気錠3000)が任意の台数存在していてよい。すなわち、上位装置100(又は上位装置1000)と制御装置200(又は制御装置2000及び電気錠3000)は1対Nの関係とする。
【0020】
上位装置100には、配信用ファイル取得プログラム110及び配信用プログラム120がインストールされている。また、各制御装置200は、複数のファイルから構成されているプログラムにより動作している。このプログラムを構成するファイル群が、プログラムファイル群220である。また、配信用ファイル210は、プログラムファイル群220をもとに1つの圧縮した配信用ファイルとしたものである。
【0021】
本実施形態では、複数のファイルから構成されているプログラムに基づいた制御により動作している制御装置において、プログラムのバージョンが複数ある際に制御装置間でプログラムのバージョンを同期させる。ここで、バージョン(version、「Ver.」と記述することもある。)とは、ソフトウェア(アプリケーション)が最初に開発されてから何回改訂・更新されたかを識別するための表記であるものとする。ソフトウェアは一旦開発された後であっても、性能向上や、バグ等と呼ばれる不具合の修正などを目的として、改訂・更新が行われており、この改訂・更新を識別するためにバージョンという表記が一般的に用いられている。
【0022】
本実施形態では、具体的には、制御装置210−1プログラムファイル群220−1をもとに1つの圧縮した配信用ファイル210−1生成する。上位装置100の配信用ファイル取得プログラム110にて、制御装置200−1より配信用ファイル210−1を取得する。上位装置100の配信プログラム120にて制御装置200−2に取得した配信用ファイルを送信する。制御装置200−2は配信された配信用ファイル210−2を基にプログラムファイル群220−2に展開する。
【0023】
配信用ファイルの送信は複数台に対して同時に行うことも可能である。すなわち、図示を省略した制御装置200−3〜制御装置200−Nに対して同時に配信用ファイルの送信を行うことも可能である。なお、配信用ファイル210−1と配信用ファイル210−2及びプログラムファイル群220−1とプログラムファイル群220−2は同じファイルとなる。
【0024】
次に、上位装置100及び制御装置200の構成を図3の機能ブロック図を参照して説明する。なお、図3においては制御装置200を一台のみ図示するが、各制御装置200は同様の構成をしているものとする。また、上位装置100と制御装置200との接続は有線接続であってもよいがその一部又は全部を無線による接続としてもよい。
【0025】
上位装置100は、FTPサーバ101、配信用ファイル取得部102、データベース103、プログラム配信部104及び通信部105を含む。
【0026】
FTPサーバ101は、配信用ファイルが格納されているサーバであり、外部からの要求に応じて配信用ファイルを送信する。なお、FTPサーバ101は上位装置100に含まれていてもよいし、上位装置100と別個の装置により実現されてもよい。
【0027】
配信用ファイル取得部102は、同期元となる制御装置200から配信用ファイルを取得する機能を有する。
【0028】
データベース103は、同期先となる制御装置200に対するプログラム更新の指示データが格納される。
【0029】
プログラム配信部104は、同期先となる制御装置200に対するプログラム更新の指示データを生成し、データベース103に格納する。
【0030】
通信部105は、制御装置200との通信を行う。この通信はどのような通信方式に準拠していてもよいが、例えばソケット通信により通信が行われる。
【0031】
制御装置200は、格納部201、FTPクライアント202、起動処理部203及び通信部204を含む。
【0032】
格納部201は、記憶装置であり、各種のファイルをフォルダ毎に管理して格納している。図4を参照して格納部201に格納されているデータについて説明する。格納部201には、プログラム更新用フォルダ201−a、プログラムフォルダ201−b及び配信ファイル保管フォルダ201−cを有している。プログラム更新用フォルダ201−aにはプログラムを更新するための配信用ファイルが格納される。また、プログラムフォルダ201−bにはプログラムファイル群210が格納される。更に、配信ファイル保管フォルダ201−cにはプログラムファイル群210に基づいて自身が生成した配信用ファイルが格納される。
【0033】
FTPクライアント202は、FTP(File Transfer Protocol)を使用してファイルの送受信を行うクライアントソフトウェアにより実現される。FTPクライアント202は、FTPサーバ101に直接又は配信用ファイル取得部102を介して接続し、FTPサーバ101に配信用ファイルをアップロード及びダウンロードすることができる。
【0034】
起動処理部203は、格納部201に格納されているプログラムファイル群220を用いて制御装置200を起動させる。
【0035】
なお、上位装置100の各部及び制御装置200の各部は、図1に図示した各プログラムにより実現される。具体的には各装置が有する演算処理装置が、各プログラムを読み込んで演算処理を行い、各装置が有するハードウェア資源と協働することにより上位装置100の各部及び制御装置200の各部は実現される。
【0036】
次に、図5のシーケンス図及び図4のフローチャートを参照して本実施形態の動作について詳細に説明する。なお、今回の説明においては同期元となる(すなわち配信用ファイルの取得元となる)制御装置は、制御装置200−1であるものとする。また、同期先となる(すなわち配信用ファイルの配信先となる)制御装置は、制御装置200−2であるものとする。
【0037】
まず、図5において配信用ファイル取得部102よりプログラム同期元に選択された制御装置200−1に対して配信用ファイルの送信要求を行う(ステップS11)。ステップS11における取得要求を受けた制御装置200−1のFTPクライアント202は、格納部201の配信ファイル保管フォルダ201−cより配信用ファイルを読み出す。そして、FTPクライアント202は、読み出した配信用ファイルを配信用ファイル取得部102に送信する(ステップS12)。
【0038】
配信用ファイル取得部102は、ステップS12により送信されてきた配信用ファイルをFTPサーバ101に保存する(ステップS13)。
【0039】
次に、プログラム配信部104が選択されたプログラム同期先制御装置に対するプログラム更新指示データを作成し、作成したデータをデータベース103に格納する(ステップS14)。今回の例では制御装置200−2に対するプログラム更新指示データを作成し、格納する。
【0040】
通信部105はデータベース103に格納される指示データを監視しており、指示データが格納された段階で、この格納された指示データを取得する(ステップS15)。そして、指示データを取得した通信部105は、プログラム同期先制御装置である制御装置200−2に対してプログラム更新指示コマンドを送信する(ステップS16)。
【0041】
通信部204を介してプログラム更新指示コマンドを受信した同期先制御装置200−2のFTPクライアント202は、上位装置100のFTPサーバ101より配信用ファイルを取得する(ステップS17)。FTPクライアント202は取得した配信用ファイルをプログラム更新用フォルダ201−aに格納する(ステップS18)。その後、FTPクライアント202は制御装置200−2自身の再起動を実行する旨の指示を再起動処理部203に対して行う(ステップS19)。
【0042】
続いて、再起動時の起動処理にて起動処理部203が配信用ファイルを元にプログラムを更新し、新しいプログラムでの配信用ファイルを作成する。作成した配信用ファイルは、配信用ファイル保管フォルダ201−cに格納され、再起動が行われる。以上が全て終了し、プログラムが実行される(ステップS20)。
【0043】
このステップS20における再起動処理部203の動作について、図6のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0044】
図6は制御装置200での起動処理によるプログラム展開と配信用ファイルの作成のフローチャートである。
【0045】
まず、起動処理部203は、起動時にプログラム更新用フォルダ201−aに配信用ファイルが存在するか確認する(ステップS31)。配信用ファイルが存在しない場合は(ステップS31においてNo)、ステップS35に進む。一方、配信用ファイルが存在する場合は(ステップS31においてYes)、配信用ファイルは複数ファイルが1ファイルに圧縮されている為、配信ファイルを解凍し(ステップS32)、プログラムフォルダ201−b内のプログラムを更新する(ステップS33)。
【0046】
また、配信用ファイル保管フォルダ201−cに格納されている配信用ファイルを削除する(ステップS34)。
【0047】
続いて、プログラム更新有無に関係なく、自装置のプログラムの配信用ファイルを作成し、作成した配信用ファイルを配信用ファイル保管フォルダ201−cに格納する(ステップS35)。
【0048】
その後、プログラムフォルダ201−bに格納されているプログラムを実行することにより起動処理が実現される(ステップS36)。
【0049】
以上説明した本発明の実施形態は、以下に示すような多くの効果を奏する。
【0050】
第1の効果は、作業工数が非常に縮小できることにある。
【0051】
その理由は、事前作業もなく、また複数台への同時更新が可能なためである。
【0052】
第2の効果は、作業ミスを最小限に抑えることが可能となることにある。
【0053】
その理由は、手動による操作が最小限であるためである。
【0054】
第3の効果は、各制御装置で、プログラムのバージョンを同一のものとできることである。
【0055】
その理由は、同期元の制御装置から取得した配信用ファイル用に基づいて同期先でプログラムの更新を行うからである。
【0056】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。その一例を以下で説明する。
【0057】
前記上位装置100に既存の制御装置200が接続されている状況下で、新たな制御装置200が接続された場合を考える。上述した実施形態においては、既存の制御装置200を同期元制御装置200として扱い、新たに接続された制御装置200を同期先の制御装置200として扱うことを想定していた。
【0058】
しかし、これを変形し、既存の制御装置200を同期先制御装置200として扱い、新たに接続された制御装置200を同期元の制御装置200として扱うことも可能である。これは、新たに接続される制御装置200に新たなバージョンのプログラムが格納されている場合等に有益となる。
【0059】
また、上述した実施形態では新たに制御装置200が接続されたことを契機としてプログラムの同期を開始することを想定していた。もっとも、上位装置100にユーザからの指示を受け付ける操作受付部を設け、この操作受付部がユーザからの指示を受け付けたことを契機としてプログラムの同期を開始するようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、上位装置100にFTPサーバ101が含まれているものとして説明した。しかし、上位装置100とFTPサーバ101を別のコンピュータとして実現し、バスやUSB規格に準拠したケーブル、インターネット等の手段を用いて接続するようにしてもよい。
【0061】
更に、上記実施形態では、プログラムが、上位装置100及び制御装置200に予め記憶されているものとして説明した。しかし、上位装置100又は制御装置200を、装置の全部又は一部として動作させ、あるいは、上述の処理を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disk(Disc))BD(Blu-ray Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0062】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波にプログラムを重畳させて、コンピュータにダウンロード等してプログラムを実行してもよい。
【0063】
なお、本発明の実施形態である上位装置100及び制御装置200は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータをその上位装置100又は制御装置200として機能させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0064】
また、本発明の実施形態によるプログラムのバージョン同期方法は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータにその方法を実行させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0065】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0066】
(付記1)
自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置と、前記複数の制御装置のそれぞれと接続された上位装置とを含む、プログラムのバージョン同期システムにおいて、
第1の前記制御装置が、前記自身が保有するプログラムを元にしてプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを作成する手段を備え、
前記上位装置が、
前記第1の制御装置から、前記配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得手段と、
前記配信用ファイル取得手段により前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信手段と、
前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得手段により取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信手段と、を備え、
前記第2の制御装置が、前記上位装置より前記プログラム更新の指示を受信した場合に、前記上位装置に対して前記配信用ファイルの配信要求を送信するクライアント手段と、
前記上位装置より送信されてきた前記配信用ファイルから前記プログラムを生成し、自身が保有するプログラムを前記生成したプログラムに更新する手段と、
を備えることを特徴とするプログラムのバージョン同期システム。
【0067】
(付記2)
付記1に記載のプログラムのバージョン同期システムにおいて、
当該システムは前記第2の制御装置を複数含んでおり、前記上位装置は前記複数の第2の制御装置のそれぞれに対して同時に前記各手段を動作させることを特徴とするプログラムのバージョン同期システム。
【0068】
(付記3)
付記1又は2に記載のバージョン同期システムにおいて、
当該システムに新たに前記制御装置が追加された場合に、当該追加前からシステムに含まれていた制御装置を前記第1の制御装置とし、当該追加された制御装置を前記第第2の制御装置とすることを特徴とするプログラムのバージョン同期システム。
【0069】
(付記4)
付記1又は2に記載のバージョン同期システムにおいて、
当該システムに新たに前記制御装置が追加された場合に、当該追加前からシステムに含まれていた制御装置を前記第2の制御装置とし、当該追加された制御装置を前記第1の制御装置とすることを特徴とするプログラムのバージョン同期システム。
【0070】
(付記5)
付記1乃至4の何れか1に記載のバージョン同期システムにおいて、
当該システムに新たに前記制御装置が追加されたことを契機として前記各手段を動作させることを特徴とするバージョン同期システム。
【0071】
(付記6)
付記1乃至4の何れか1に記載のバージョン同期システムにおいて、
前記上位装置がユーザから指示を受け付けたことを契機として前記各手段を動作させることを特徴とするバージョン同期システム。
【0072】
(付記7)
付記1乃至6の何れか1に記載のバージョン同期システムにおいて、
前記第1の前記制御装置は、前記自身が保有するプログラムを圧縮することにより前記配信用ファイルを生成し、前記第2の制御装置は、前記配信用ファイルを解凍することにより前記プログラムを生成することを特徴とするバージョン同期システム。
【0073】
(付記8)
自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置のそれぞれと接続される上位装置において、
第1の前記制御装置から、前記自身が保有するプログラムを元にして生成したプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得手段と、
前記配信用ファイル取得手段により前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信手段と、
前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得手段により取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信手段と、
を備えることを特徴とする上位装置。
【0074】
(付記9)
自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置と、前記複数の制御装置のそれぞれと接続された上位装置とを含むシステムが行う、プログラムのバージョン同期方法において、
第1の前記制御装置が、前記自身が保有するプログラムを元にしてプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを作成するステップと、
前記上位装置が、前記第1の制御装置から、前記配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得ステップと、
前記上位装置が、前記配信用ファイル取得ステップにより前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信ステップと、
前記上位装置が、前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得ステップにより取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信ステップと、
前記第2の制御装置が、前記上位装置より前記プログラム更新の指示を受信した場合に、前記上位装置に対して前記配信用ファイルの配信要求を送信するクライアントステップと、
前記第2の制御装置が、前記上位装置より送信されてきた前記配信用ファイルから前記プログラムを生成し、自身が保有するプログラムを前記生成したプログラムに更新するステップと、
を備えることを特徴とするプログラムのバージョン同期方法。
【0075】
(付記10)
自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置のそれぞれと接続される上位装置に組み込まれるプログラムのバージョン同期プログラムにおいて、
第1の前記制御装置から、前記自身が保有するプログラムを元にして生成したプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得手段と、
前記配信用ファイル取得手段により前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信手段と、
前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得手段により取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信手段と、
を備える上位装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラムのバージョン同期プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、例えば、同様のシステム構成における複数端末間のプログラムやファイル同期に好適である。
【符号の説明】
【0077】
100 上位装置
101 FTPサーバ
102 配信用ファイル取得部
103 データベース
104 プログラム配信部
105 通信部
110 配信用ファイル取得プログラム
120 配信用プログラム
200 制御装置
201 格納部
202 FTPクライアント
203 起動処理部
204 通信部
210 配信用ファイル
220 プログラムファイル群
1000 サーバ
2000 制御装置
3000 電気錠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置と、前記複数の制御装置のそれぞれと接続された上位装置とを含む、プログラムのバージョン同期システムにおいて、
第1の前記制御装置が、前記自身が保有するプログラムを元にしてプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを作成する手段を備え、
前記上位装置が、
前記第1の制御装置から、前記配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得手段と、
前記配信用ファイル取得手段により前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信手段と、
前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得手段により取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信手段と、を備え、
前記第2の制御装置が、前記上位装置より前記プログラム更新の指示を受信した場合に、前記上位装置に対して前記配信用ファイルの配信要求を送信するクライアント手段と、
前記上位装置より送信されてきた前記配信用ファイルから前記プログラムを生成し、自身が保有するプログラムを前記生成したプログラムに更新する手段と、
を備えることを特徴とするプログラムのバージョン同期システム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムのバージョン同期システムにおいて、
当該システムは前記第2の制御装置を複数含んでおり、前記上位装置は前記複数の第2の制御装置のそれぞれに対して同時に前記各手段を動作させることを特徴とするプログラムのバージョン同期システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバージョン同期システムにおいて、
当該システムに新たに前記制御装置が追加された場合に、当該追加前からシステムに含まれていた制御装置を前記第1の制御装置とし、当該追加された制御装置を前記第第2の制御装置とすることを特徴とするプログラムのバージョン同期システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のバージョン同期システムにおいて、
当該システムに新たに前記制御装置が追加された場合に、当該追加前からシステムに含まれていた制御装置を前記第2の制御装置とし、当該追加された制御装置を前記第1の制御装置とすることを特徴とするプログラムのバージョン同期システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のバージョン同期システムにおいて、
当該システムに新たに前記制御装置が追加されたことを契機として前記各手段を動作させることを特徴とするバージョン同期システム。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のバージョン同期システムにおいて、
前記上位装置がユーザから指示を受け付けたことを契機として前記各手段を動作させることを特徴とするバージョン同期システム。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載のバージョン同期システムにおいて、
前記第1の前記制御装置は、前記自身が保有するプログラムを圧縮することにより前記配信用ファイルを生成し、前記第2の制御装置は、前記配信用ファイルを解凍することにより前記プログラムを生成することを特徴とするバージョン同期システム。
【請求項8】
自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置のそれぞれと接続される上位装置において、
第1の前記制御装置から、前記自身が保有するプログラムを元にして生成したプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得手段と、
前記配信用ファイル取得手段により前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信手段と、
前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得手段により取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信手段と、
を備えることを特徴とする上位装置。
【請求項9】
自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置と、前記複数の制御装置のそれぞれと接続された上位装置とを含むシステムが行う、プログラムのバージョン同期方法において、
第1の前記制御装置が、前記自身が保有するプログラムを元にしてプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを作成するステップと、
前記上位装置が、前記第1の制御装置から、前記配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得ステップと、
前記上位装置が、前記配信用ファイル取得ステップにより前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信ステップと、
前記上位装置が、前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得ステップにより取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信ステップと、
前記第2の制御装置が、前記上位装置より前記プログラム更新の指示を受信した場合に、前記上位装置に対して前記配信用ファイルの配信要求を送信するクライアントステップと、
前記第2の制御装置が、前記上位装置より送信されてきた前記配信用ファイルから前記プログラムを生成し、自身が保有するプログラムを前記生成したプログラムに更新するステップと、
を備えることを特徴とするプログラムのバージョン同期方法。
【請求項10】
自身が保有するプログラムによって動作している複数の制御装置のそれぞれと接続される上位装置に組み込まれるプログラムのバージョン同期プログラムにおいて、
第1の前記制御装置から、前記自身が保有するプログラムを元にして生成したプログラム更新のためのファイルである配信用ファイルを取得する配信用ファイル取得手段と、
前記配信用ファイル取得手段により前記配信用ファイルを取得した場合に、前記第1の制御装置とは異なる制御装置である第2の制御装置に対してプログラム更新の指示を送信する通信手段と、
前記第2の制御装置からの配信要求に応じて前記配信用ファイル取得手段により取得した前記配信用ファイルを、前記第2の制御装置に対して送信するプログラム配信手段と、
を備える上位装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラムのバージョン同期プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−133468(P2012−133468A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283263(P2010−283263)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】