説明

プログラム作成支援装置および方法ならびにプログラム

【課題】 プログラム作成に専門技術を要することなく、作業効率の改善による設計時間の短縮を図る。
【解決手段】 制御部40は、テンプレート上にシンボル化された制御対象機器(各種デバイス3)が貼り付け操作されることにより、制御対象機器の存在と位置を定義し、PLC1の入出力端子のそれぞれに付与される入出力アドレスと、貼り付けられた制御対象機器との割り付けに関する情報を定義し、更に、テンプレート上に貼り付けられた制御対象機器のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する、それぞれの定義ファイルを生成する。そして、ファイル出力指示に基づき、生成された各定義ファイルを、POD2とPLC1が解読可能なファイル形式に変換してそれぞれに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブルコントローラ(PLC)と、プログラマブル表示器(POD)とを含むプラント制御システムに接続され、PLCとPODのプログラム作成を支援する、プログラム作成支援装置および方法ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラントの制御システムを構築する場合、通常は、システム仕様を紙で作成した後、ラダー図等のプログラムツール(ラダーエディタ)を用いてPC(Personal Computer)によりプログラミングを行う。ここで、プラントの制御対象機器(以下、デバイスという)の入出力割り付けや自動制御の設計を行い、作成された制御プログラムをPLC(Programmable Controller)にローディングしていた。PLCにローディングされた制御プログラムは、デバッグ及び現地テスト等が行なわれる。
【0003】
一方、HMI(Human Machine Interface)機器として上記したPLCに接続されるPOD(登録商標)は、操作盤、スイッチ、表示灯等の役割を果たし、デバイスの動作状況や操作のためのモニタや設定値入力等の端末としての機能を備えている。PODに表示される画面は、作画エディタを用いてユーザが独自に作成できるようになっている。この画面作成にあたり、ユーザは、PLCと同じくPCを用い、作画ソフトによって提供される、スイッチ、表示灯、メータ等の部品描画機能により所望の画面を作成していた。
【0004】
ところで、ラダーエディタを用いた制御プログラムの作成と、作画エディタを用いた画面プログラムの作成は、通常は独立して行われる。例えば、作成された制御プログラムに基づき画面プログラムを作成する場合は、制御プログラム作成時、各デバイスについて入力された名称、及びアドレスをテーブル形式で書き留めた設計資料を用意し、その設計資料を参考にしながら入出力アドレス等の定義を含む画面プログラムの作成を行う。又、作成された画面プログラムに基づいて制御プログラムを作成する場合も同様、予め用意された設計資料に基づきその作業が行われる。専用機械語変換装置等(ローダ)により設計負担を軽減する例もあるが、回路がラダー以外の専門言語で記述される為、ラダーに比べ、試験の効率性が劣ることがある。
【0005】
上記したプログラミング作業の効率改善のため、従来、ネットワーク構成情報とプロファイルデータ中のプログラム部品情報とを利用し、プログラミング対象機器において利用可能なプログラム部品を特定できるようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術によれば、利用可能なプログラム部品を識別する手間が省け、制御システムにおけるネットワークの設定とPLCやプログラマブル表示器等のプログラミング作業とを連携させてプログラミング作業の効率を向上させることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−152799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたプログラムの作成方法によれば、プログラム作成者は、ラダー図(Ladder Diagram)やST(Structured Text)等の言語でプログラミングする必要があるため、専門技術を要し、初心者には馴染めないものになっていた。又、制御プログラム、画面プログラムともに、両プログラムに共通するデバイスに対応付けてそれぞれ作成するにも拘わらず、それぞれを独立して作成するため、デバイスのアドレスと命令及び部品との割り付けのための入出力操作が別途必要である。又、いずれも設計資料を作成する必要があるうえに、プログラム作成が全てユーザの入出力操作によるため、依然として作業効率が低く、プログラム作成に多大な時間を要していた。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、プログラム作成に専門技術を要することなく、作業効率の改善によるプログラム設計時間の短縮を図った、プログラム作成支援装置および方法ならびにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のプログラム作成支援装置は、1以上の制御対象機器と、入出力端子に接続される前記制御対象機器の制御を行うプログラマブルコントローラと、前記制御対象機器の状態表示を行うと共に、前記プログラマブルコントローラへの操作入力を行うプログラマブル表示器とから成るプラント制御システムに接続され、前記プログラマブルコントローラと前記プログラマブル表示器とが実行するそれぞれのプログラムの作成を支援する、少なくとも、表示部と、操作部と、記憶部と、制御部とを含むプログラム作成支援装置であって、前記制御部は、前記表示部に表示されるテンプレート上に、前記操作部により、シンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、前記制御対象機器の存在と位置を定義する第1の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納し、前記操作部の設定入力に基づき、前記プログラマブルコントローラの入出力端子のそれぞれに付与される入出力アドレスと、前記貼り付けられた制御対象機器との割り付けに関する情報を定義する第2の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納し、前記操作部の設定入力に基づき、前記テンプレート上に貼り付けられた制御対象機器のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する第3の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納し、前記操作部によるファイル出力指示に基づき、前記記憶部から前記第1、第2、第3の定義ファイルを読み出し、前記第1の定義ファイルを前記プログラマブル表示器が解読可能なファイル形式に変換し、前記第2、第3の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラが解読可能なファイル形式に変換して、前記プログラマブル表示器と前記プログラマブルコントローラのそれぞれに出力する。
【0010】
本発明によれば、制御部は、テンプレート上にシンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、制御対象機器の存在と位置を定義し、プログラマブルコントローラの入出力端子のそれぞれに付与される入出力アドレスと、貼り付けられた制御対象機器との割り付けに関する情報を定義し、更に、テンプレート上に貼り付けられた制御対象機器のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義するための、それぞれの定義ファイルを生成する。そして、ファイル出力指示に基づき、生成された各定義ファイルを、プログラマブル表示器とプログラマブルコントローラが解読可能なファイル形式に変換してそれぞれに出力する。このため、プログラム作成に、テンプレートとシンボルを使用することにより、専門知識を要さず、初心者にも馴染み易く、又、プログラマブルコントローラとプログラマブル表示器による制御対象機器の割り付けのための入出力操作が統合されるため、プログラム設計工数の削減が図れる。
【0011】
上記発明において、前記制御部は、前記プログラマブル表示器に前記第1の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラに前記第2、第3の定義ファイルをそれぞれ出力するにあたり、XML、CSV、バイナリ形式のいずれか一つに変換して出力する。本発明によれば、定義ファイルが、XML、CSV、バイナリ形式のいずれかで出力されるため、汎用のローダで読み込むことが出来、このため、専用の機械語変換装置を不要とし、且つ定義ファイルの受け渡しが容易になる。また、汎用の機械語変換装置を使用する為、回路はラダーで表現される。ラダー表現は、テスト確認において比較的分かりやすい為、作業者の負担が軽減される。
【0012】
上記発明において、前記制御部は、テストモード時、前記第2の定義ファイルから入出力アドレスを読み出し、前記読み出した入出力アドレスにテストデータを書き込んで入出力割り付けの正誤判定を行う。本発明によれば、プログラマブルコントローラとプログラマブル表示器とを接続してデバッグ等を行うテストモード時に、作成済みの定義ファイルを読み込むだけで入出力割り付け正誤の確認が容易に出来るため、デバッグに要する作業者の負担が軽減される。
【0013】
本発明のプログラム作成支援方法は、1以上の制御対象機器と、入出力端子に接続される前記制御対象機器の制御を行うプログラマブルコントローラと、前記制御対象機器の状態表示を行うと共に、前記プログラマブルコントローラへの操作入力を行うプログラマブル表示器とから成るプラント制御システムに接続され、前記プログラマブルコントローラと前記プログラマブル表示器とが実行するそれぞれのプログラムの作成を支援するコンピュータに用いられるプログラム作成支援方法であって、表示部に表示されるテンプレート上に、操作部により、シンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、前記制御対象機器の存在と位置を定義する第1の定義ファイルを生成して記憶部に格納する第1のステップと、前記操作部の設定入力に基づき、前記プログラマブルコントローラの入出力端子のそれぞれに付与される入出力アドレスと、前記貼り付けられた制御対象機器との割り付けに関する情報を定義する第2の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納する第2のステップと、前記操作部の設定入力に基づき、前記テンプレート上に貼り付けられた制御対象機器のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する第3の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納する第3のステップと、前記操作部によるファイル出力指示に基づき、前記記憶部から前記第1、第2、第3の定義ファイルを読み出し、前記第1の定義ファイルを前記プログラマブル表示器が解読可能なファイル形式に変換し、前記第2、第3の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラが解読可能なファイル形式に変換して、前記プログラマブル表示器と前記プログラマブルコントローラのそれぞれに出力する第4のステップと、を有する。
【0014】
上記発明において、前記第4のステップは、前記プログラマブル表示器に前記第1の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラに前記第2、第3の定義ファイルをそれぞれ出力するにあたり、XML、CSV、バイナリ形式のいずれか一つに変換して出力するサブステップを有する。
【0015】
上記発明において、テストモード時、前記第2の定義ファイルから入出力アドレスを読み出し、前記読み出した入出力アドレスにテストデータを書き込んで入出力割り付けの正誤判定を行う第5のステップを更に有する。
【0016】
本発明のプログラム作成支援プログラムは、1以上の制御対象機器と、入出力端子に接続される前記制御対象機器の制御を行うプログラマブルコントローラと、前記制御対象機器の状態表示を行うと共に、前記プログラマブルコントローラへの操作入力を行うプログラマブル表示器とから成るプラント制御システムを対象とし、前記プログラマブルコントローラと前記プログラマブル表示器とが実行するそれぞれのプログラムの作成を支援するプログラム作成支援装置のコンピュータ上で実行されるプログラム作成支援プログラムであって、コンピュータに、表示部に表示されるテンプレート上に、操作部により、シンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、前記制御対象機器の存在と位置を定義する第1の定義ファイルを生成して記憶部に格納する処理と、前記操作部の設定入力に基づき、前記プログラマブルコントローラの入出力端子のそれぞれに付与される入出力アドレスと、前記貼り付けられた制御対象機器との割り付けに関する情報を定義する第2の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納する処理と、前記操作部の設定入力に基づき、前記テンプレート上に貼り付けられた制御対象機器のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する第3の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納する処理と、前記操作部によるファイル出力指示に基づき、前記記憶部から前記第1、第2、第3の定義ファイルを読み出し、前記第1の定義ファイルを前記プログラマブル表示器が解読可能なファイル形式に変換し、前記第2、第3の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラが解読可能なファイル形式に変換して、前記プログラマブル表示器と前記プログラマブルコントローラのそれぞれに出力する処理と、を実行させる。
【0017】
本発明において、前記コンピュータに、前記プログラマブル表示器に前記第1の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラに前記第2、第3の定義ファイルをそれぞれ出力するにあたり、XML、CSV、バイナリ形式のいずれか一つに変換して出力する処理を実行させる。
【0018】
本発明において、前記コンピュータに、テストモード時、前記第2の定義ファイルから入出力アドレスを読み出し、前記読み出した入出力アドレスにテストデータを書き込んで入出力割り付け及び制御の正誤判定を行う処理を更に実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、プログラム作成に専門技術を要することなく、作業効率の改善によるプログラム設計時間の短縮を図った、プログラム作成支援装置および方法ならびにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るプログラム作成支援装置の接続構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプログラム作成支援装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプログラム作成装置が有する基本DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るプログラム作成装置が有する操作回路用DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るプログラム作成装置が有する工程用DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るプログラム作成装置が有する表示用DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るプログラム作成装置が有するPID用DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るプログラム作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係るプログラム作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係るプログラム作成装置により生成されるプログラム作成支援画面の構成及びその遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0022】
(実施形態の構成)
図1は、本発明の実施形態に係るプログラム作成支援装置の接続構成を示す図である。図1に示されるように、プログラム作成支援装置4は、制御対象としての電動機や弁等の各種デバイス3と、これらデバイス3が接続されるPLC1と、入力・表示機能を有するPOD2とを含むプラント制御システムに接続される。
【0023】
PLC1は、制御ユニット11と、入出力ユニット(入出力端子12)から構成される。制御ユニット11は、PLC1全体を制御するシーケンサであり、POD2と、プログラム作成支援装置4を接続する入出力ポートを有する。入出力ユニット12は、上記した各種デバイス3が接続され、これらデバイス3から信号を取り込み、又、各種デバイス3に対して制御ユニット11により生成される制御信号等を出力する機能を有する。尚、PLC1は、不図示の電源ユニットも有しており、又、入出力ユニット12を介して不図示の他のPLCとも接続可能である。
【0024】
POD2は、PLC1に接続され、PLC1に接続されている各種デバイス3の稼動状況を表示する機能を有すると共に、制御指令を与えるための入力操作画面等を表示して入力を受け付ける機能を有する。尚、POD2は、表示画面をタッチパネル等により入出力機能を兼ねるように構成しても良い。
【0025】
プログラム作成支援装置4は、例えば、PCで構成され、PLC1が実行する制御プログラムと、POD2が実行する画面プログラムの作成を支援する機能を有する。プログラム作成支援装置4は、図2に示されるように、制御部40と、操作部41と、表示部42と、記憶部43とから構成される。
【0026】
制御部40は、記憶部43に格納されたプログラムに基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、これらプログラムにおいて指示された手順に従って後述する処理を実行する。すなわち、制御部40は、記憶部43に格納されるOS(オペレーティングシステム)や、本発明のプログラム作成支援プログラムを含むアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0027】
操作部41は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー、ファンクションキーなど、各種の機能が割り当てられたキー、あるいはマウス等のポインティングデバイスを有しており、これらキー、あるいはマウスがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部40に出力する。
【0028】
表示部42は、多数の画素(複数色の発光素子の組み合わせ)を縦横に配して構成される、例えばLCD(Liquid Crystal Display Device)や有機EL(Electro-Luminescence)を用いて構成される。表示部42は、制御部40により生成され、記憶部43の所定の領域(VRAM領域)に描画された表示対象データに応じた画像を表示する。
【0029】
記憶部43は、プログラム作成支援装置4によるプログラム作成支援処理に利用される各種データを記憶する。例えば、制御部40が実行する2プログラム作成支援プログラム、各種設定データ、プログラムの処理過程で生成される、後述する基本DB(Data Base)431、操作回路用DB432、工程用DB433、PID(Proportional/Integral/Differential)用DB434、表示用DB435、そして、成果物である、POD画面ファイル436、PODシンボル用定義ファイル437、POD割り付けファイル438、PLCラダーファイル439、PLCシーケンス割り付けファイル440等のデータが格納される。記憶部43は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0030】
制御部40は、(1)表示部42に表示されるテンプレート上に、操作部41により、シンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、各種デバイス3の存在と位置を定義する第1の定義ファイル(基本DB431の一部領域)を生成して記憶部43に格納し、(2)操作部41の設定入力に基づき、PLC1の入出力端子(入出力ユニット12)のそれぞれに付与される入出力アドレスと、貼り付けられた各種デバイス3との割り付けに関する情報を定義する第2の定義ファイル(基本DB431の一部領域)を生成して記憶部42に格納し、(3)操作部41の設定入力に基づき、テンプレート上に貼り付けられた各種デバイス3のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する第3の定義ファイル(工程DB433等)を生成して記憶部43に格納し、(4)操作部41によるファイル出力指示に基づき、記憶部43から、第1、第2、第3の定義ファイルを読み出し、第1の定義ファイルをPOD2が解読可能なファイル形式に変換し、前記第2、第3の定義ファイルを、PLC1が解読可能なファイル形式に変換して、POD2とPLC1のそれぞれに出力する機能を有する。
【0031】
このため、制御部40は、主制御部400と、テンプレート生成部401と、描画・表示制御部402と、定義ファイル生成部403と、操作入力取得部404と、ファイル変換部405と、ファイル出力部406とを含み、構成される。
【0032】
テンプレート生成部401は、例えば、図10(a)にその一例が示されるように、シンボル化された各種デバイス3を空白状態として示す典型的な系統制御システムをグラフィカルな図として示されるテンプレート情報を生成出力する機能を有する。描画・表示制御部402は、テンプレート生成部401により生成されたテンプレートと、操作部41を操作(例えば、ドラッグ&ドロップ)することによって貼り付けられる各種デバイス3のシンボルとを合成した表示情報を不図示のVRAMに描画し、VRAMに描画された表示情報を、表示部42の表示タイミングに同期して読み出し、表示部42に表示するための描画・表示制御を行う。
【0033】
定義ファイル生成部403は、主制御部400による制御の下で、表示部42に表示されるテンプレート上に、操作部41により、シンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、各種デバイス3の存在と位置を定義する第1の定義ファイルを生成して記憶部43の一部領域に基本DB431として格納する機能を有する。定義ファイル生成部403は又、操作部41の設定入力に基づき、PLC1の入出力端子(入出力ユニット12)のそれぞれに付与される入出力アドレスと、貼り付けられた各種デバイス3との割り付けに関する情報を定義する第2の定義ファイルを生成して記憶部43の一部領域に基本DB431として割り付け格納する機能を有する。
【0034】
定義ファイル生成部403は、更に、操作部41の設定入力に基づき、テンプレート上に貼り付けられた各種デバイス3のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する第3の定義ファイルを生成して記憶部43の一部領域に工程DB433として割り付け格納する機能を有する。尚、定義ファイル生成部403により生成される他の定義ファイルは、PID用DB434、表示用DB435として記憶部43の一部領域に割り当てられ格納される。これらDBのデータ構造の詳細は、図3〜図7を参照して後述する。
【0035】
操作入力取得部404は、ユーザが操作部41を操作することにより得られる入力情報を取り込んで、主制御部400及び描画・表示制御部402に転送する機能を有する。
【0036】
ファイル変換部405は、主制御部400による制御の下、操作部41によるファイル出力指示に基づき、記憶部43から、基本DB431、操作回路用DB432、工程用DB433、PID用DB434、表示用DB435の内容を読み出し、それぞれの定義ファイルを、POD2が解読可能なファイル形式に変換して、POD画面ファイル436、PODシンボル用定義ファイル437、POD割り付けファイル438とし、又、PLC1が解読可能なファイル形式に変換して、PLCラダーファイル439、PLCシーケンス割り付けファイル440とし、それぞれのファイルをファイル出力部406に引き渡す機能を有する。
【0037】
ファイル出力部406は、主制御部400による制御の下、ファイル変換部405により引き渡される、POD画面ファイル436、PODシンボル用定義ファイル437、POD割り付けファイル438をPOD2に転送し、PLCラダーファイル439、PLCシーケンス割り付けファイル440を、PLC1に転送する機能を有する。
【0038】
尚、主制御部400は、制御部40が、(1)表示部42に表示されるテンプレート上に、操作部41により、シンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、各種デバイス3の存在と位置を定義する第1の定義ファイル(後述する基本DBの一部領域)を生成して記憶部43に格納し、(2)操作部41の設定入力に基づき、PLC1の入出力端子(入出力ユニット12)のそれぞれに付与される入出力アドレスと、貼り付けられた各種デバイス3との割り付けに関する情報を定義する第2の定義ファイル(後述する基本DBの一部領域)を生成して記憶部42に格納し、(3)操作部41の設定入力に基づき、テンプレート上に貼り付けられた各種デバイス3のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する第3の定義ファイル(後述する工程DB等)を生成して記憶部43に格納し、(4)操作部41によるファイル出力指示に基づき、記憶部43から第1、第2、第3の定義ファイルを読み出し、第1の定義ファイルをPOD2が解読可能なファイル形式に変換し、前記第2、第3の定義ファイルを、PLC1が解読可能なファイル形式に変換して、POD2とPLC1のそれぞれに出力する機能を実現するために、上記した、テンプレート生成部401、描画・表示制御部402と、定義ファイル生成部403、操作入力取得部404、ファイル変換部405、ファイル出力部406のシーケンス制御を行う。
【0039】
尚、上記した制御部40において、各ブロック間の接続は、実際のハードウエア構成における各構成要素間の物理的な接続関係を示すものではなく、各ブロック間の主な信号の流れを示すものである。
【0040】
図3に基本DB431、図4に操作回路用DB432、図5に工程用DB433、図6に表示用DB、図7にPID用DB434の、それぞれのデータ構造の一例が示されている。
【0041】
図3において、基本DB431は、PLC1に接続される、ポンプ#1〜#6、弁#1〜#6等、各種デバイス3毎に、「定義の有無」、「PODの表示位置」、「回路パターン」、「割り付け定義」、「内部メモリの割り付け」等の各データフィールドで各エントリが構成される。このうち、「定義の有無」、「POD2の表示位置」、「回路パターン」については、テンプレート上に各種デバイス3が貼り付け操作されることにより定義され、後述するように、POD画面ファイル436として変換出力される。又、「割り付け定義」のデータフィールドに設定されたデータについては、各種デバイス3の入出力割り付け操作により定義され、後述するように、PLCシーケンス割り付けファイル440として変換され出力される。
【0042】
尚、「内部メモリの割り付け」のデータフィールドは、ここで定義された、POD画面ファイルとシーケンス割り付けファイルの一覧を示す。ここで、内部メモリとは、記憶部43の一部領域に割り付けられる作業領域のことをいう。
【0043】
図4において、操作回路用DB432は、操作部41による操作フローの設定によって定義されるデータテーブルであり、PLC1に接続される、例えば、ポンプ#1〜#6、弁#1〜#6等、テンプレートに貼り付けられた各種デバイス3毎に、「手動運転用」、「自動運転用」、「運転用」、「手動停止用」、「自動停止用」、「停止用」のそれぞれにおける起動条件及び停止条件が定義される。ここで定義された内容は、後述するように、PLCラダーファイル439として変換出力される。
【0044】
図5において、工程用DB433は、操作部41によるシーケンスフロー、及び遷移条件の設定操作により定義されるデータターブルであり、工程#1〜#5毎に、「操作指令」、「スタート条件」、「終了条件」がそれぞれ定義される。このうち、「操作指令」はケンスフローの設定により、「スタート条件」は予め内部メモリに割り付けられ、「終了条件」は、遷移条件設定により定義されるものであり、いずれもPLCラダーファイル439として変換出力される。
【0045】
図6において、表示用DB435は、操作部41によるアラーム(信号種別)の設定操作により定義されるデータテーブルである。ここでは、ポンプ等の各種デバイス3毎に、「信号種別」、「履歴の有無」、「故障」等の情報が定義される。これら定義情報は、POD画面ファイル436として変換出力される。
【0046】
図7において、PID用DB434は、操作部41によるPID設定操作によって定義されるデータテーブルであり、PID(PID#1〜#6)毎に、PV(制御入力)、SV(設定入力)、MV(設定出力)等のパラメータが定義される。これら定義情報は、PLCシーケンス割り付けファイル440として変換出力される。
【0047】
(実施形態の動作)
以下、図8、図9のフローチャート、及び図10のプログラム作成支援画面の遷移図を参照しながら、図1〜図7に示した本発明の実施形態に係るプログラム作成支援装置4の動作について詳細に説明する。
【0048】
尚、図10(a)は設計支援画面(テンプレート)、図10(b)は各種デバイス3の入出力割り付け及び運転条件設定画面、図10(c)は操作回路の設定画面、図10(d)は工程フローの設定画面、図10(e)は工程遷移条件の設定画面、図10(f)はPID条件の設定画面、図10(g)はアラーム(信号種別)の設定画面の、それぞれを示す。
【0049】
プログラム作成を開始するにあたり、制御部40(主制御部400)は、まず、描画・表示制御部402を起動して、表示部42に、テンプレート生成部401により生成されるプログラム作成支援画面を表示する(図8のステップS101)。このプログラム作成支援画面の画面構成の一例は、例えば、図10(a)に示されている。図10(a)に示されるように、表示部42の有効画面中には、例えば、プラントを構成する各種デバイス3としての「弁」を配置する領域が空白になっている典型的なプラント系統図がテンプレートとて示されている。ユーザは、このプログラム作成支援画面を確認しながら、操作部41を操作することにより、不図示の領域にリスト表示されている、例えば、「弁」のシンボルをその空白領域にドラッグして系統図を完成させていく。
【0050】
これを受けて操作入力取得部404は、ドラッグされた各種デバイス3の表示位置(XY座標)に関する情報を取り込んで主制御部400に転送する。主制御部400は、操作入力取得部404から転送された情報に基づき、シンボル選択操作の有無と、シンボル選択操作があった場合のドラッグ位置に関する情報とを取り込むと(ステップS102“YES”)、再度、描画・表示制御部402を起動してテンプレートにシンボルを貼り付けるべく、テンプレートとシンボルとを合成して表示部42に表示する(ステップS103)。
【0051】
続いて、主制御部400は、定義ファイル生成部403を起動する。これを受けた定義ファイル生成部403は、主制御部400を介して取得された各シンボルの位置情報から、貼り付けら各種デバイス毎の表示位置情報を生成して記憶部43の一部領域に割り当てられた基本DB431の該当データフィールドにそのXY座標を格納する(ステップS104)。
【0052】
次に、主制御部400は、操作部41による入出力割り付け操作、及び運転条件設定操作の有無を判定する(ステップS105)。入出力割り付け及び運転条件の設定は、図10(b)に示すプログラム作成支援画面を使用することにより行われる。主制御部400は、ユーザがその画面を参照しながら操作部41を操作することによって行われる、入出力割り付け、及び運転条件設に冠する操作入力を検知すると(ステップS105“YES”)、操作入力取得部404を介して取得される、信号名、アドレス、運転操作に関する情報を、定義ファイル生成部03により、記憶部43の一部領域に割り当てられた基本DB431の所定のデータフィールドに書き込む(ステップS106)。
【0053】
上記のように基本DB431の所定のデータフィールドへ、割り付け定義及び運転条件に関する情報を書き込んだ後(ステップS104)、又は、既に入出力割り付け操作及び運転条件設定が済んでいれば(ステップS105“NO”)、主制御部400は、操作回路の設定入力の有無を判定する(ステップS107)。このとき使用されるプログラム作成支援画面は図10(c)に示されている。ここで、ユーザが操作部41を操作することによる操作回路の設定入力があれば(ステップS107“YES”)、主制御部400は、操作入力取得部404を介して取得されるデバイス毎の運転時における起動条件と終了条件、停止時におけるAND/OR条件等に関する情報を、定義ファイル生成部403により、記憶部43の一部領域に割り当てられた操作回路用DB432の所定のデータフィールドに書き込む(ステップS108)。
【0054】
上記のように操作回路用DB432へ、操作回路の設定入力情報を書き込んだ後(ステップS106)、又は、既に操作回路の設定入力が済んでいれば(ステップS107“NO”)、主制御部400は、工程フロー(シーケンスフロー)並びに条件設定入力の有無を判定する(ステップS109)。このとき使用されるプログラム作成支援画面は図10(d)(e)に示されている。ここで、ユーザが操作部41を操作することによる、操作指令、開始、終了条件等の、シーケンスフロー及び工程遷移条件設定入力があれば(ステップS109“YES”)、主制御部400は、操作入力取得部404を介して取得される、シーケンスフロー及び工程遷移条件に関する情報を、定義ファイル生成部403により、記憶部43の一部領域に割り当てられた工程用DB433の所定のデータフィールドに書き込む(ステップS110)。
【0055】
上記のように工程用DB433へ、シーケンスフロー及び工程遷移条件設定入力情報を書き込んだ後(ステップS110)、又は、既に工程フローの設定入力が済んでいれば(ステップS109“NO”)、主制御部400は、PID条件設定入力の有無を判定する(図9のステップS111)。このとき使用されるプログラム作成支援画面は図10(f)に示されている。ここで、ユーザが操作部41を操作することによる、貼り付けたデバイス毎のPV、SV、MV等のパラメータの設定入力があれば(ステップS109“YES”)、主制御部400は、操作入力取得部404を介して取得される、設定入力された情報を、定義ファイル生成部403により、記憶部43の一部領域に割り当てられたPID用DB434の所定のデータフィールドに書き込む(ステップS112)。
【0056】
上記のようにPID用DB434へ、PID条件設定入力情報を書き込んだ後(ステップS112)、又は、既にPID条件の設定入力が済んでいれば(ステップS111“NO”)、主制御部400は、信号種別の設定入力の有無を判定する(ステップS113)。このとき使用されるプログラム作成支援画面は図10(g)に示されている。ここで、ユーザが操作部41を操作することによる、貼り付けたデバイス毎の、信号、履歴の有無、故障の程度に関する情報の設定入力があれば(ステップS103“YES”)、主制御部400は、操作入力取得部404を介して取得される、設定入力された情報を、定義ファイル生成部403により、記憶部43の一部領域に割り当てられた表示用DB435の所定のデータフィールドに書き込む(ステップS114)。
【0057】
上記のようにPID用DB434へ、PID条件設定入力情報を書き込んだ後(ステップS112)、又は、既にPID条件の設定入力が済んで一連のファイル定義操作が終了していれば(ステップS113“NO”)、主制御部400は、ファイル変換出力指示の有無を判定する(ステップS115)。ファイル変換出力指示は、例えば、図10(g)に示したプログラム作成支援画面の、例えば、右下等の一部領域に割り当てられる「コンパイル釦」(不図示)をユーザがクリックすることにより有効になる。
【0058】
主制御部400は、ファイル変換出力指示があったことを検知すると(ステップS115“YES”)、ファイル変換部405を起動する。ファイル変換部405は、記憶部43の一部領域に割り当てられ格納された、基本DB431、操作回路用DB432、工程用DB433、PID用DB434、表示用DB435の各データフィールドに書き込まれてデータを読み出しPOD画面ファイル436、PODシンボル用定義ファイル437、POD割り付けファイル438、PLCラダーファイル439、PLCシーケンス割り付けファイル440に変換してファイル出力部406へ転送する(ステップS116)。
【0059】
ここでは、PODシンボル用定義ファイル438、POD割り付けファイル438、PLCシーケンス割り付けファイル440はCSV(Comma Separated Values)形式で出力されるものとする。尚、CSVに限らず、XML形式、バイナリ形式の何れでも選択は自由である。又、POD画面ファイル437はビットマップ(bmm)形式で出力されるものとする。そして、主制御部400による制御の下、ファイル出力部406は、POD画面ファイル436、PODシンボル用定義ファイル437、POD割り付けファイル438をPOD2へ、PLCラダーファイル438、PLCシーケンス割り付けファイル440をPLC1へそれぞれ転送して上記した一連の定義ファイル生成処理を終了する(ステップS117)。
【0060】
(実施形態の効果)
以上説明のように本発明の実施形態に係るプログラム作成支援装置4によれば、プログラム作成支援画面(テンプレート)上にシンボル化された各種デバイス3が貼り付け操作されることにより、デバイスの存在と位置が定義され、又、PLC1の入出力端子(入出力ユニット12)のそれぞれに付与される入出力アドレスと、貼り付けられたデバイスとの割り付けに関する情報が定義される。更に、テンプレート上に貼り付けられたデバイスのシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件設定に従い自動制御の内容が定義される。そして、ファイル出力指示に基づき、生成された各定義ファイルを、PLC1とPOD2が解読可能なファイル形式に変換してそれぞれに出力する。このため、プログラム作成にテンプレートとシンボルを使用することにより専門知識を要さず、初心者にも馴染み易く、又、PLC1とPOD2によるデバイス割り付けのための入出力操作が統合されるため、設計工数の削減が図れる。
【0061】
又、本発明の実施形態に係るプログラム作成支援装置4によれば、PLC1に第1の定義ファイルを、POD2に第1、第2、第3の定義ファイルをそれぞれ出力するにあたり、XML、CSV、バイナリ形式のいずれか一つに変換して出力する。このように、定義ファイルが、XML、CSV、バイナリ形式のいずれかで出力されるため、汎用のローダで読み込むことが出来、このため、専用のローダを不要とし、且つ定義ファイルの受け渡しが容易になる。
【0062】
尚、デバッグ時、第2の定義ファイル(PLCシーケンス割り付けファイル440)から入出力アドレスを読み出し、読み出した入出力アドレスにデストデータを書き込んで入出力割り付けの正誤判定を行うテスト支援画面を作成すれば、デバッグ時に作成済みの定義ファイルを読み込むだけで入出力割り付け正誤の確認が容易に出来るため、デバッグに要する作業者の負担も軽減される。
【0063】
又、本発明のプログラム作成支援方法は、例えば、図1において、1以上の制御対象機器(各種デバイス3)と、入出力端子に接続される前記制御対象機器の制御を行うプログラマブルコントローラ(PLC1)と、前記制御対象機器の状態表示を行うと共に、前記プログラマブルコントローラへの操作入力を行うプログラマブル表示器(POD2)とから成るプラント制御システムに接続され、前記プログラマブルコントローラと前記プログラマブル表示器とが実行するそれぞれのプログラムの作成を支援するコンピュータに用いられるプログラム作成支援方法であって、例えば、図8、図9のフローチャートに示されるように、表示部42に表示されるテンプレート上に、操作部41により、シンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、前記制御対象機器の存在と位置を定義する第1の定義ファイルを生成して記憶部43に格納する第1のステップ(S101〜S104)と、前記操作部41の設定入力に基づき、前記プログラマブルコントローラの入出力端子のそれぞれに付与される入出力アドレスと、前記貼り付けられた制御対象機器との割り付けに関する情報を定義する第2の定義ファイルを生成して前記記憶部43に格納する第2のステップ(S105、S106)と、前記操作部41の設定入力に基づき、前記テンプレート上に貼り付けられた制御対象機器のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する第3の定義ファイルを生成して前記記憶部43に格納する第3のステップ(S107〜S113)と、前記操作部41によるファイル出力指示に基づき、前記記憶部43から前記第1、第2、第3の定義ファイルを読み出し、前記第1の定義ファイルを前記プログラマブル表示器が解読可能なファイル形式に変換し、前記第2、第3の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラが解読可能なファイル形式に変換して、前記プログラマブル表示器と前記プログラマブルコントローラのそれぞれに出力する第4のステップ(S115〜S117)と、を有するものである。
【0064】
本発明のプログラム作成支援方法によれば、プログラム設計支援装置4が、プログラム作成支援画面(テンプレート)上にシンボル化された各種デバイス3が貼り付け操作されることにより、デバイスの存在と位置を定義し、又、PLC1の入出力端子(入出力ユニット12)のそれぞれに付与される入出力アドレスと、貼り付けられたデバイスとの割り付けに関する情報を定義する。そして、テンプレート上に貼り付けられたデバイスのシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件設定に従い自動制御の内容を定義する。そして、ファイル出力指示に基づき、生成された各定義ファイルを、PLC1とPOD2が解読可能なファイル形式に変換してそれぞれに出力するため、プログラム作成に専門技術を要することなく、作業効率の改善による設計時間の短縮を図ることができる。
【0065】
又、本発明のプログラム作成支援プログラムは、例えば、図1において、1以上の制御対象機器(各種デバイス3)と、入出力端子に接続される前記制御対象機器の制御を行うプログラマブルコントローラ(PLC1)と、前記制御対象機器の状態表示を行うと共に、前記プログラマブルコントローラへの操作入力を行うプログラマブル表示器(POD2)とから成るプラント制御システムに接続され、前記プログラマブルコントローラと前記プログラマブル表示器とが実行するそれぞれのプログラムの作成を支援するプログラム作成支援装置4のコンピュータ(制御部40)上で実行されるプログラム作成支援プログラムであって、例えば、図8、図9のフローチャートに示されるように、コンピュータに、表示部42に表示されるテンプレート上に、操作部41により、シンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、前記制御対象機器の存在と位置を定義する第1の定義ファイルを生成して記憶部43に格納する処理(S101〜A104)と、前記操作部41の設定入力に基づき、前記プログラマブルコントローラの入出力端子のそれぞれに付与される入出力アドレスと、前記貼り付けられた制御対象機器との割り付けに関する情報を定義する第2の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納する処理(S105、S106)と、前記操作部41の設定入力に基づき、前記テンプレート上に貼り付けられた制御対象機器のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する第3の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納する処理(S107〜S114)と、前記操作部41によるファイル出力指示に基づき、前記記憶部43から前記第1、第2、第3の定義ファイルを読み出し、前記第1の定義ファイルを前記プログラマブル表示器が解読可能なファイル形式に変換し、前記第2、第3の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラが解読可能なファイル形式に変換して、前記プログラマブル表示器と前記プログラマブルコントローラのそれぞれに出力する処理(S115〜S117)と、を実行させるものである。
【0066】
本発明のプログラム作成支援プログラムによれば、プログラム作成支援画面(テンプレート)上にシンボル化された各種デバイス3が貼り付け操作されることにより、デバイスの存在と位置を定義し、又、PLC1の入出力端子(入出力ユニット12)のそれぞれに付与される入出力アドレスと、貼り付けられたデバイスとの割り付けに関する情報を定義する。そして、テンプレート上に貼り付けられたデバイスのシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件設定に従い自動制御の内容を定義する。そして、ファイル出力指示に基づき、生成された各定義ファイルを、PLC1とPOD2が解読可能なファイル形式に変換してそれぞれに出力するため、プログラム作成に専門技術を要することなく、作業効率の改善による設計時間の短縮を図ることができる。
【0067】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0068】
1 プログラマブルコントローラ(PLC)
2 プログラマブル表示器(POD)
3 制御対象機器(各種デバイス)
4 プログラム作成支援装置
11 制御ユニット
12 入出力ユニット(入出力端子)
40 制御部
41 操作部
42 表示部
43 記憶部
400 主制御部
401 テンプレート生成部
402 描画・表示制御部
403 定義ファイル生成部
404 操作入力取得部
405 ファイル変換部
406 ファイル出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の制御対象機器と、入出力端子に接続される前記制御対象機器の制御を行うプログラマブルコントローラと、前記制御対象機器の状態表示を行うと共に、前記プログラマブルコントローラへの操作入力を行うプログラマブル表示器とから成るプラント制御システムを対象とし、前記プログラマブルコントローラと前記プログラマブル表示器とが実行するそれぞれのプログラムの作成を支援する、少なくとも、表示部と、操作部と、記憶部と、制御部とを含むプログラム作成支援装置であって、
前記制御部は、
前記表示部に表示されるテンプレート上に、前記操作部により、シンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、前記制御対象機器の存在と位置を定義する第1の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納し、
前記操作部の設定入力に基づき、前記プログラマブルコントローラの入出力端子のそれぞれに付与される入出力アドレスと、前記貼り付けられた制御対象機器との割り付けに関する情報を定義する第2の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納し、
前記操作部の設定入力に基づき、前記テンプレート上に貼り付けられた制御対象機器のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する第3の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納し、
前記操作部によるファイル出力指示に基づき、前記記憶部から前記第1、第2、第3の定義ファイルを読み出し、前記第1の定義ファイルを前記プログラマブル表示器が解読可能なファイル形式に変換し、前記第2、第3の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラが解読可能なファイル形式に変換して、前記プログラマブル表示器と前記プログラマブルコントローラのそれぞれに出力する、
ことを特徴とするプログラム作成支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記プログラマブル表示器に前記第1の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラに前記第2、第3の定義ファイルをそれぞれ出力するにあたり、XML、CSV、バイナリ形式のいずれか一つに変換して出力することを特徴とする請求項1記載のプログラム作成支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、
テストモード時、前記第2の定義ファイルから入出力アドレスを読み出し、前記読み出した入出力アドレスにテストデータを書き込んで入出力割り付けの正誤判定を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のプログラム作成支援装置。
【請求項4】
1以上の制御対象機器と、入出力端子に接続される前記制御対象機器の制御を行うプログラマブルコントローラと、前記制御対象機器の状態表示を行うと共に、前記プログラマブルコントローラへの操作入力を行うプログラマブル表示器とから成るプラント制御システムに接続され、前記プログラマブルコントローラと前記プログラマブル表示器とが実行するそれぞれのプログラムの作成を支援するコンピュータに用いられるプログラム作成支援方法であって、
表示部に表示されるテンプレート上に、操作部により、シンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、前記制御対象機器の存在と位置を定義する第1の定義ファイルを生成して記憶部に格納する第1のステップと、
前記操作部の設定入力に基づき、前記プログラマブルコントローラの入出力端子のそれぞれに付与される入出力アドレスと、前記貼り付けられた制御対象機器との割り付けに関する情報を定義する第2の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納する第2のステップと、
前記操作部の設定入力に基づき、前記テンプレート上に貼り付けられた制御対象機器のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する第3の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納する第3のステップと、
前記操作部によるファイル出力指示に基づき、前記記憶部から前記第1、第2、第3の定義ファイルを読み出し、前記第1の定義ファイルを前記プログラマブル表示器が解読可能なファイル形式に変換し、前記第2、第3の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラが解読可能なファイル形式に変換して、前記プログラマブル表示器と前記プログラマブルコントローラのそれぞれに出力する第4のステップと、
を有することを特徴とするプログラム作成支援方法。
【請求項5】
前記第4のステップは、
前記プログラマブル表示器に前記第1の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラに前記第2、第3の定義ファイルをそれぞれ出力するにあたり、XML、CSV、バイナリ形式のいずれか一つに変換して出力するサブステップを有することを特徴とする請求項4記載のプログラム作成支援方法。
【請求項6】
テストモード時、前記第2の定義ファイルから入出力アドレスを読み出し、前記読み出した入出力アドレスにテストデータを書き込んで入出力割り付けの正誤判定を行う第5のステップを更に有することを特徴とする請求項4記載のプログラム作成支援方法。
【請求項7】
1以上の制御対象機器と、入出力端子に接続される前記制御対象機器の制御を行うプログラマブルコントローラと、前記制御対象機器の状態表示を行うと共に、前記プログラマブルコントローラへの操作入力を行うプログラマブル表示器とから成るプラント制御システムに接続され、前記プログラマブルコントローラと前記プログラマブル表示器とが実行するそれぞれのプログラムの作成を支援するプログラム作成支援装置のコンピュータ上で実行されるプログラム作成支援プログラムであって、
コンピュータに、
表示部に表示されるテンプレート上に、操作部により、シンボル化された制御対象機器が貼り付け操作されることにより、前記制御対象機器の存在と位置を定義する第1の定義ファイルを生成して記憶部に格納する処理と、
前記操作部の設定入力に基づき、前記プログラマブルコントローラの入出力端子のそれぞれに付与される入出力アドレスと、前記貼り付けられた制御対象機器との割り付けに関する情報を定義する第2の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納する処理と、
前記操作部の設定入力に基づき、前記テンプレート上に貼り付けられた制御対象機器のシーケンスフロー、並びに運転遷移の条件に従い自動制御の内容を定義する第3の定義ファイルを生成して前記記憶部に格納する処理と、
前記操作部によるファイル出力指示に基づき、前記記憶部から前記第1、第2、第3の定義ファイルを読み出し、前記第1の定義ファイルを前記プログラマブル表示器が解読可能なファイル形式に変換し、前記第2、第3の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラが解読可能なファイル形式に変換して、前記プログラマブル表示器と前記プログラマブルコントローラのそれぞれに出力する処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム作成支援プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、
前記プログラマブル表示器に前記第1の定義ファイルを、前記プログラマブルコントローラに前記第2、第3の定義ファイルをそれぞれ出力するにあたり、XML、CSV、バイナリ形式のいずれか一つに変換して出力する処理を実行させることを特徴とする請求項7記載のプログラム作成支援プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、
テストモード時、前記第2の定義ファイルから入出力アドレスを読み出し、前記読み出した入出力アドレスにテストデータを書き込んで入出力割り付けの正誤判定を行う処理を更に実行させることを特徴とする請求項7記載のプログラム作成支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−198237(P2011−198237A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66262(P2010−66262)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】