説明

プログラム及び情報処理装置

【課題】情報の出力要求を行った利用者に対して登録情報と登録情報に対応する代替情報とのいずれかの情報を選択して出力する場合、その選択に、利用者に関する情報を反映させること。
【解決手段】代替情報生成部(20)は、登録情報に基づいて、登録情報とは異なる少なくとも一つの代替情報を生成する。保存部(22)は、上記少なくとも一つの代替情報を、登録情報と上記代替情報とを含む情報要素を複数記憶するための記憶手段に保存する。出力制御部(24)は、利用者によって出力要求が行われた場合に、当該利用者に関連する情報に基づいて選択される情報要素を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一つの文書を複数の部分に分割し、部分毎にアクセス権を設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−310447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、情報の出力要求を行った利用者に対して登録情報と登録情報に対応する代替情報とのいずれかの情報を選択して出力する場合、その選択に、利用者に関する情報を反映させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、記憶手段に記憶された登録情報に基づいて、前記登録情報とは異なる少なくとも一つの代替情報を生成する生成手段、前記少なくとも一つの代替情報を、前記登録情報と前記代替情報とを含む情報要素を複数記憶するための前記記憶手段に、保存する保存手段、利用者によって出力要求が行われた場合に、前記記憶手段に記憶された複数の情報要素のうちのいずれかである出力対象要素を選択する選択手段、前記選択手段により選択された出力対象要素を出力する出力手段、としてコンピュータを機能させ、前記選択手段は、出力要求を行った前記利用者に関連する情報に基づいて、前記出力対象要素を選択することを特徴とするプログラムである。
【0006】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記選択手段は、利用者によって出力要求が行われた場合に、前記利用者に関連する情報として前記利用者の属性を特定し、複数の属性の各々に対応するノードを含む木構造を示す木情報を参照して、前記利用者の属性に対応するノードと登録情報を登録した基準利用者の属性に対応するノードとの距離を特定する距離特定手段と、前記距離特定手段によって特定された距離に基づいて演算を行うことによって、前記利用者と前記登録情報との関係の強さに関する評価情報を算出する評価手段と、前記評価情報が出力条件を満足する場合に、前記登録情報を出力対象要素として選択し、前記評価情報が前記出力条件を満足しない場合に、前記登録情報以外の情報要素を出力対象要素として選択する手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、利用者によって出力要求が行われた場合に、前記利用者に関連する情報として前記利用者の属性を特定し、前記利用者の属性と前記利用者の属性と所定関係にある属性とを関連付けてなる情報に基づいて、前記利用者の属性と基準利用者の属性とが前記所定関係にあるか否かを示す関係情報を取得する関係取得手段と、前記関係情報に基づいて演算を行うことによって、出力要求を行った前記利用者と前記登録情報との関係の強さに関する評価情報を算出する評価手段と、前記評価情報が出力条件を満足する場合に、前記登録情報を出力対象要素として選択し、前記評価情報が前記出力条件を満足しない場合に、前記登録情報以外の情報要素を出力対象要素として選択する手段と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記生成手段は、前記登録情報と複製又は印刷の可否が異なる基準代替情報を含む少なくとも一つの代替情報を生成し、前記選択手段は、利用者によって出力要求が行われた場合に、出力要求が行われるときまでに前記利用者により行われた認証操作の回数を示す回数情報を、前記利用者に関連する情報として取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された回数情報が示す回数に基づいて演算を行うことによって、前記利用者の信用に関する評価情報を算出する評価手段と、前記評価情報が出力条件を満足する場合に、前記基準代替情報を出力対象要素として選択し、前記評価情報が前記出力条件を満足しない場合に、前記基準代替情報以外の情報要素を出力対象要素として選択する手段と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記生成手段は、前記登録情報と複製又は印刷の可否が異なる基準代替情報を含む少なくとも一つの代替情報を生成し、前記選択手段は、利用者によって出力要求が行われた場合に、前記利用者によって出力要求が行われた時期を示すタイミング情報を、前記利用者に関連する情報として取得する取得手段と、前記取得手段により取得されたタイミング情報が示す時期に基づいて演算を行うことによって、出力要求を行った前記利用者の信用に関する評価情報を算出する評価手段と、前記評価情報が出力条件を満足する場合に、前記基準代替情報を出力対象要素として選択し、前記評価情報が前記出力条件を満足しない場合に、前記基準代替情報以外の情報要素を出力対象要素として選択する手段と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、請求項6の発明は、請求項1の発明において、前記生成手段は、前記登録情報とデータ形式が異なる基準代替情報を含む少なくとも一つの代替情報を生成し、前記選択手段は、利用者によって出力要求が行われた場合に、前記利用者によって出力要求が行われるときまでの経過時間を示す経過時間情報を、前記利用者に関連する情報として取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記経過時間情報が示す経過時間が予め定められた時間以上である場合に、前記基準代替情報を出力対象要素として選択し、前記経過時間が前記予め定められた時間より短い場合に、前記基準代替情報以外の情報要素を出力対象要素として選択する手段と、を含むことを特徴とする。
【0011】
なお、上記プログラムは、インターネットなどの通信ネットワークを介して提供されてもよいし、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な各種情報記録媒体に格納されて提供されてもよい。
【0012】
また、上記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な情報記録媒体に記憶されてもよい。情報記録媒体としては、例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、MD、DVD−ROM、ICカードなどが用いられてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するための請求項7の発明は、記憶手段に記憶された登録情報に基づいて、前記登録情報とは異なる少なくとも一つの代替情報を生成する生成手段と、前記少なくとも一つの代替情報を、前記登録情報と前記代替情報とを含む情報要素を複数記憶するための前記記憶手段に、保存する保存手段と、利用者によって出力要求が行われた場合に、前記記憶手段に記憶された複数の情報要素のうちのいずれかである出力対象要素を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された出力対象要素を出力する出力手段と、を含み、前記選択手段は、出力要求を行った前記利用者に関連する情報に基づいて、前記出力対象要素を選択することを特徴とする情報処理装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、7の発明によれば、情報の出力要求を行った利用者に対して登録情報と登録情報に対応する代替情報とのいずれかの情報を選択して出力する場合、その選択に、利用者に関する情報を反映させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、情報の出力要求を行った利用者に対して登録情報と登録情報に対応する代替情報とのいずれかの情報を選択して出力する場合、その選択に、利用者の属性と基準利用者の各属性のノード間の距離に基づく利用者と登録情報との関係の強さを反映させることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、情報の出力要求を行った利用者に対して登録情報と登録情報に対応する代替情報とのいずれかの情報を選択して出力する場合、その選択に、利用者の属性と基準利用者の属性の関係に基づく利用者と登録情報との関係の強さを反映させることができる。
【0017】
請求項4、5の発明によれば、利用者が信用の少ない人物である場合に、登録情報ではなく、複製や印刷出力が禁止された代替情報を提供することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、登録情報のデータ形式が時代遅れである場合に、登録情報ではなく、現在有効なデータ形式を有する代替情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】文書管理システムの構成の一例を示す図である。
【図2】サーバの構成の一例を示す図である。
【図3】ログインテーブルの一例を示す図である。
【図4】ユーザデータベースの一例を示す図である。
【図5】部署データベースの一例を示す図である。
【図6】第1木構造を示す図である。
【図7】プロダクトデータベースの一例を示す図である。
【図8】第2木構造を示す図である。
【図9】文書データベースの一例を示す図である。
【図10】文書プロファイルの一例を示す図である。
【図11】サーバにて実行される処理の一例を示す図である。
【図12】サーバにて実行される処理の一例を示す図である。
【図13】評価制御データの一例を示す図である。
【図14】サーバにて実現される機能群を示す機能ブロックの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の例について図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
[文書管理システム]
図1は、文書管理システム2の構成の一例を示す図である。この文書管理システム2は、例えば企業に利用され、文書管理サービスを提供するサーバ4(情報処理装置)と、各ユーザ(利用者)のユーザ端末6と、を含む。同図に示すようにサーバ4、及び各ユーザ端末6は、ネットワークに接続されており、サーバ4は各ユーザ端末6と通信可能になっている。各ユーザは、ログイン操作(認証操作)を行ってサーバ4にログインした上で、文書管理サービスを利用する。なお、図1では、左から一番目にユーザAのユーザ端末6が示され、左から二番目にユーザBのユーザ端末6が示されている。
【0022】
[ユーザ端末]
ユーザ端末6は、マイクロプロセッサ、操作手段、記憶手段、及びディスプレイなどを備えた、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯ゲーム機、及びPDA(Personal Digital Assistant)などのコンピュータである。ユーザ端末6は、ユーザの操作に応じて情報をサーバ4に送信したり、サーバ4から送信された情報を受信したりする。
【0023】
[サーバ]
図2は、サーバ4の構成の一例を示す図である。同図に示すように、サーバ4は、制御部10、主記憶12、ネットワークインタフェース14、及びハードディスク16などを含む。
【0024】
制御部10は、例えばマイクロプロセッサである。制御部10は、主記憶12に記憶されるプログラムに従って情報処理を実行する。
【0025】
主記憶12は、例えばRAMである。主記憶12には上記プログラムが格納される。このプログラムは、DVD(登録商標)−ROM等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体から読み出されて主記憶12に格納されてもよいし、ネットワーク等の通信網から供給されて主記憶12に格納されてもよい。
【0026】
また、主記憶12には情報処理の過程で必要となる各種データも格納される。
【0027】
ネットワークインタフェース14(以下、ネットワークIF14と記載する)は、例えばネットワークインタフェースカードである。ネットワークIF14は、各ユーザ端末6とデータ授受を行うためのインタフェースである。ネットワークIF14は、制御部10の指示に従って、情報を送信する。また、ネットワークIF14は、情報を受信し、制御部10へと出力する。
【0028】
ハードディスク16は、各種情報を記憶するための記憶媒体であり、本実施形態の場合、以下に説明するデータが格納される。
【0029】
[ハードディスクに格納されるデータ]
すなわち、ハードディスク16には、ログインテーブルが格納される。図3にログインテーブルの一例を示す。ログインユーザフィールドには、文書管理システム2に現在ログインしているユーザのユーザ名が格納され、ログイン時刻フィールドには、ログインユーザフィールドに格納されるユーザが文書管理システム2にログインしたときのログイン時刻が格納され、ログイン試行回数フィールドには、ログインユーザフィールドに格納されるユーザが文書管理システム2にログインするまでにログイン操作を行ったログイン試行回数(回数情報)が格納される。ログイン試行回数は、ユーザがログインに失敗した回数であるとも言える。
【0030】
また、ハードディスク16には、ユーザデータベース(以下、「ユーザDB」と記載する)が格納される。図4にユーザDBの一例を示す。ユーザフィールドには、各ユーザのユーザ名が格納され、他のフィールドには、ユーザフィールドに格納されるユーザの属性が格納される。例えば、役職フィールドには、ユーザフィールドに格納されるユーザの役職名(属性)が格納され、所属部署フィールドには、ユーザフィールドに格納されるユーザが所属している所属部署の部署名(属性)が格納される。
【0031】
また、ハードディスク16には、部署データベース(以下、「部署DB」と記載する)が格納される。図5に部署DBの一例を示す。部署フィールドには、企業を構成する部署の部署名が格納され、子部署フィールドには、部署フィールドに格納される部署の配下にある部署の部署名が格納され、取扱プロダクトフィールドには、部署フィールドに格納される部署で取り扱っているプロダクトのプロダクト名が格納される。部署DBによって、各部署の一つ一つをノードとする木構造が示される。図6に部署DBによって示される木構造である第1木構造を例示する。同図に示される丸の一つ一つがノードを示している。図5に示す部署DBによれば、部署Bは部署Aの配下にあるので、部署Bのノードは部署Aのノードの子ノードになっている(図6参照)。第1木構造は、企業の組織図を示すことになる。
【0032】
なお、図4に示すユーザDBのユーザフィールドに格納されるユーザには、ユーザDBの所属部署フィールドに格納される部署を介して、図5に示す部署DBの取扱プロダクトフィールドに格納されるプロダクトが関連づけられる。そのため、ユーザDBと部署DBとによりユーザが取り扱っている取扱プロダクト(属性)がわかる。
【0033】
また、ハードディスク16には、プロダクトデータベース(以下、「プロダクトDB」と記載する)が格納される。図7にプロダクトDBの一例を示す。プロダクトフィールドには、プロダクト名が格納される。また、種別フィールドには、プロダクトフィールドに格納されるプロダクトの種別が格納される。具体的には、プロダクトフィールドには、ソフトウェア(SW)又はハードウェア(HW)の別が格納される。また、子プロダクトフィールドには、プロダクトフィールドに格納されるプロダクトの配下にあるプロダクトのプロダクト名が格納される。また、関係プロダクトフィールドには、プロダクトフィールドに格納されるプロダクトと依存関係(所定関係)にあるプロダクトのプロダクト名が格納される。
【0034】
プロダクトDBの一部の情報、すなわちプロダクトフィールド及び子プロダクトフィールドに格納される情報によって、各プロダクトの一つ一つをノードとする木構造が示される。図8にプロダクトDBの一部の情報によって示される木構造である第2木構造を示す。同図に示される丸の一つ一つがノードを示している。図7に示すプロダクトDBによれば、プロダクトA及びプロダクトBはプロダクトCの配下にあるので、プロダクトAのノード及びプロダクトBのノードの各々はプロダクトCのノードの子ノードになっている(図8参照)。
【0035】
また、ハードディスク16には、登録文書(登録情報)と登録文書とは異なる少なくとも一つの代替文書(代替情報)とからなる文書オブジェクトが格納される。具体的には、文書データベース(以下、「文書DB」と記載する)に、文書オブジェクトが格納される。図9に、文書DBの一例を示す。
【0036】
本実施形態の場合、文書オブジェクトには、登録文書と、代替文書である、セキュア文書(代替情報)、長期保存文書(代替情報)、及び参照用文書(代替情報)と、が含まれる。登録文書フィールドには、ユーザによって登録された登録文書が格納される。また、セキュア文書フィールドには、セキュア文書が格納される。後述するように、セキュア文書は、登録文書フィールドに格納される登録文書に基づいて生成される。また、長期保存文書フィールドには、長期保存文書が格納される。後述するように、長期保存文書は、登録文書フィールドに格納される登録文書に基づいて生成される。また、参照用文書フィールドには、参照用文書が保存される。後述するように、参照用文書は、登録文書フィールドに格納される登録文書に基づいて生成される。また、文書オブジェクトフィールドには、文書オブジェクトの名称(以下、「文書オブジェクト名」と記載する)が格納される。文書オブジェクト名は、登録文書フィールドに格納される登録文書がユーザによって登録されたときに生成される。
【0037】
なお、以下文書オブジェクトに含まれる、登録文書、セキュア文書、長期保存文書、及び参照用文書のことを総称して「文書」と記載する場合がある。
【0038】
以下、文書オブジェクトに含まれる各文書について説明する。
【0039】
[登録文書]
登録文書は、上述のように、ユーザによって文書管理システム2に登録された文書であり、本実施形態の場合、ある文書アプリケーションX(例えば、Microsoft(登録商標) Word)のデータ形式を有する。データ形式はデータフォーマットとも呼ばれる。また、登録文書は、記載内容を表すテキストと、セキュリティ設定に関するセキュリティパラメータのパラメータ値と、を含む。ここでは、登録文書の更新、参照、複製、印刷出力が許可されるようパラメータ値が設定されている。
【0040】
[セキュア文書]
セキュア文書は、上述のように、登録文書に基づいて生成される。セキュア文書も、登録文書と同様に、記載内容を表すテキストと、セキュリティパラメータのパラメータ値と、を含む。セキュア文書には、登録文書と同一の記載内容を表すテキストが含まれるが、登録文書とは異なるパラメータ値が含まれる。具体的には、セキュア文書の更新、複製、印刷出力が禁止されるようパラメータ値が設定されている。なお、本実施形態の場合、セキュア文書は、登録文書と同じデータ形式を有する。
【0041】
[長期保存文書]
長期保存文書は、上述のように、登録文書に基づいて生成され、登録文書と同一の記載内容を表すテキストを含むが、登録文書とは異なるデータ形式を有している。長期保存文書のデータ形式としては、仕様が公開されているデータ形式(例えば、Portable Document Format形式)が用いられる。
【0042】
[参照用文書]
参照用文書は、上述のように、登録文書に基づいて生成される。参照用文書は、登録文書と同一の記載内容を表すテキストを含む。参照用文書は、視認性が高くなるよう予め定められたデータ形式で生成される。
【0043】
また、ハードディスク16には、文書プロファイルが格納される。図10に、文書プロファイルの一例を示す。文書オブジェクトフィールドには、文書オブジェクトの文書オブジェクト名が格納される。また、登録ユーザフィールドには、文書オブジェクトフィールドに格納される文書オブジェクトに含まれる登録文書を登録した登録ユーザのユーザ名が格納され、登録日時フィールドには、当該登録文書が登録された日時が格納される。また、種別フィールドには、文書オブジェクトの種別が格納される。
【0044】
ハードディスク16に格納される他の情報については後述する。
【0045】
[登録文書が登録された場合の処理]
次に、サーバ4にて実行される処理について説明する。図11は、サーバ4にて実行される処理の一例を示す図である。この処理は、ユーザによって文書管理システム2に登録文書が登録された場合、すなわち、ユーザによってサーバ4に登録文書がアップロードされた場合、に実行される。ここでは、登録された登録文書のことを「登録文書X」と記載する。
【0046】
すなわち、制御部10(生成手段)は、登録文書Xに基づいて、登録文書Xの第1の代替文書であるセキュア文書、登録文書Xの第2の代替文書である長期保存文書、及び登録文書Xの第3の代替文書である参照用文書を生成する(S101)。また、制御部10は、登録文書X、セキュア文書、長期保存文書、及び参照用文書の複数の文書からなる文書オブジェクトXの文書オブジェクト名を生成する。
【0047】
そして、制御部10(保存手段)は、文書オブジェクトXを文書DBに保存する(S102)。すなわち、制御部10は、登録文書X、セキュア文書、長期保存文書、参照用文書、及び文書オブジェクト名を、文書DBに保存する。
【0048】
なお、制御部10は、登録文書Xを登録したユーザのユーザ名を文書プロファイル(図10参照)の登録ユーザフィールドに格納したり、登録文書Xが登録された日時を文書プロファイルの登録日時フィールドに格納したりすることも行う。また、制御部10は、文書オブジェクトXの種別を文書プロファイルの種別フィールドに格納することも行う。
【0049】
[出力要求が行われた場合の処理]
この文書管理システム2では、ユーザが文書オブジェクトを指定して出力要求を行った場合に、指定された文書オブジェクト(以下、「文書オブジェクトX」と記載する)に含まれる文書が、出力要求を行ったユーザ(以下、「要求ユーザ」と記載する)に提供されるようになっている。本実施形態では、要求ユーザに文書オブジェクトXを取得する権限が付与されている場合に、文書オブジェクトXに含まれる文書が提供されるようになっている。
【0050】
但し、この文書管理システム2では、要求ユーザに関連する情報に基づいて文書オブジェクトXに含まれる複数の文書のうちから要求ユーザに提供される文書(以下、「提供対象文書」と記載する)が選択されるようになっている。以下、この点について説明する。
【0051】
図12は、要求ユーザが出力要求を行った場合において要求ユーザに文書オブジェクトXを取得する権限が付与されている場合に、サーバ4で実行される処理の一例を示す図である。本実施形態では、この処理は、文書オブジェクトXに含まれる登録文書を取得する権限、文書オブジェクトXに含まれるセキュア文書を取得する権限、文書オブジェクトXに含まれる長期保存文書を取得する権限、及び文書オブジェクトXに含まれる参照用文書を取得する権限、のうちの複数が要求ユーザに付与されている場合に実行される。
【0052】
本実施形態の場合、制御部10は、まず評価制御データをハードディスク16から読み出す。図13に評価制御データの一例を示す。同図に示すように、評価制御データでは、文書オブジェクトXの種別と、評価定義と、が対応づけられている。評価定義は、後述する第1評価値〜第3評価値として、関与度(後述)、不信度(後述)、及び経過時間(後述)のうちのどれを用いるかを示す情報である。制御部10は、文書オブジェクトXの種別に対応づけられた評価定義に従って図12に示す処理を実行することになる。なお、ここでは、文書オブジェクトXが契約書である文書オブジェクトB(図10参照)であるものとする。
【0053】
まず、制御部10は、要求ユーザに関連する情報に基づいて第1評価値を算出する(S201)。ここでは、文書オブジェクトXである文書オブジェクトBの種別が「契約書」であるから(図10参照)、制御部10は、上述の関与度を第1評価値として算出する。
【0054】
関与度を算出する場合、制御部10は、図4に示すユーザDB、図5に示す部署DB(木情報)、及び図7に示すプロダクトDB(木情報)をハードディスク16から読み出す。こうした上で、制御部10(評価手段)は、下記に示す数式に基づいて、関与度を算出する。
【数1】

【0055】
α、β、及びγは、予め定められた係数である。また、Nは、要求ユーザの所属部署の第1木構造(図6参照)における階層と、文書オブジェクトXの登録ユーザ(基準利用者)の所属部署の第1木構造における階層と、の比較結果を表す数値である。要求ユーザの所属部署が登録ユーザの所属部署より上位にある場合、Nの値は「1」になり、要求ユーザの所属部署が登録ユーザの所属部署より上位にない場合、Nの値は「0」になる。そのため、要求ユーザと文書オブジェクトXとの関係が深いと考えられる場合に、関与度が大きくなる。制御部10は、ユーザDBを参照して要求ユーザ及び登録ユーザの各々の所属部署(属性)を特定し、部署DB(木情報)を参照して、上記Nを算出することになる。
【0056】
また、「distance1」は、要求ユーザの所属部署と、登録ユーザの所属部署と、の第1木構造における距離である。ここでは、「要求ユーザの所属部署と、登録ユーザの所属部署と、の第1木構造における距離」とは、要求ユーザの所属部署から登録ユーザの所属部署に至るまでの辺の数であるが、要求ユーザの所属部署と登録ユーザの所属部署との前記第1木構造における階層差であってもよい。要求ユーザの所属部署と登録ユーザの所属部署とが近いほど「distance1」が大きくなるようになっているため、要求ユーザと文書オブジェクトXとの関係が深いと考えられる場合に、関与度が大きくなる。制御部10(距離特定手段)は、ユーザDBを参照して要求ユーザ及び登録ユーザの各々の所属部署(属性)を特定し、部署DB(木情報)を参照して、上記「distance1」を算出することになる。
【0057】
また、「distance2」としては、要求ユーザの取扱プロダクト(図5の部署DBにおいて要求ユーザの所属部署に関連づけられたプロダクト)と、登録ユーザの取扱プロダクト(部署DBにおいて登録ユーザの所属部署に関連づけられたプロダクト)と、の第2木構造(図8参照)における距離「distance3」か、又は、要求ユーザの取扱プロダクトと、登録ユーザの取扱プロダクトと、が依存関係にあるか否かを示す「strength」(関係情報)が用いられる。要求ユーザの取扱プロダクトと、登録ユーザの取扱プロダクトと、が依存関係にある場合、「strength」の値は「1」になり、要求ユーザの取扱プロダクトと、登録ユーザの取扱プロダクトと、が依存関係にない場合、「strength」の値は「0」になる。また、「distance3」は、要求ユーザの取扱プロダクトから登録ユーザの取扱プロダクトに至るまでの辺の数であるが、要求ユーザの取扱プロダクトと登録ユーザの取扱プロダクトとの階層差であってもよい。本実施形態の場合、「distance3」と「strength」とのうち大きい方が、「distance2」として用いられる。制御部10(距離特定手段)は、ユーザDBと部署DBとを参照して要求ユーザ及び登録ユーザの各々の取扱プロダクト(属性)を特定し、プロダクトDB(木情報)を参照して、上記「distance3」を算出する。また、制御部10(関係取得手段)は、ユーザDBと部署DBとを参照して要求ユーザ及び登録ユーザの各々の取扱プロダクト(属性)を特定し、プロダクトDB(情報)を参照して「strength」を決定することになる。
【0058】
以上のように「distance3」及び「strength」が設定されているため、要求ユーザと文書オブジェクトXとの関係が深いと考えられる場合に、関与度が大きくなる。
【0059】
ここで、関与度を表す上記数式は、「N」、「distance1」、及び「distance2」の全てを含む必要はない。例えば、上記数式は、「N」と「distance1」とのみで構成されてよい。また、上記数式は、「strength」のみで構成されてよい。
【0060】
第1評価値を算出すると、制御部10は、第1評価値が第1出力条件を満足するか否かを判定する(S202)。ここで、「第1評価値が第1出力条件を満足する場合」とは、第1評価値が第1基準値以上である場合」をいう。なお、第1基準値は、第1評価値として用いられるデータに応じて設定される。ここでは、関与度が第1評価値として用いられるので、関与度に応じた値が第1基準値として用いられる。
【0061】
第1評価値が第1出力条件を満足する場合(S202のY)、要求ユーザが登録文書の提供を所望している可能性が高いので、制御部10は、文書オブジェクトXのうちから登録文書を提供対象文書として選択し、登録文書を出力する(S203)。具体的には、制御部10は、要求ユーザのユーザ端末6に、登録文書を送信する。
【0062】
一方、第1評価値が第1出力条件を満足しない場合(S202のN)、制御部10は、登録文書の出力を行わずに、要求ユーザに関連する情報に基づいて第2評価値を算出する(S204)。上述のように、文書オブジェクトXである文書オブジェクトBの種別が「契約書」であるから(図10参照)、制御部10は、上述の不信度を第2評価値として算出する。
【0063】
不信度を算出する場合、制御部10(取得手段)は、図3に示すログインテーブルに基づいて、出力要求が行われるときまでに要求ユーザによりログイン操作が行われたログイン試行回数(回数情報)を取得する。また、制御部10(取得手段)は、要求ユーザが出力要求を行った出力要求時期を示すタイミング情報として、現在の時刻を取得する。そして、制御部10(評価手段)は、下記に示す数式に従って不信度を算出する。
【数2】

【0064】
δ及びεは予め定められた係数である。また、「M」は、出力要求タイミングと、企業の就業時間と、の関係を示す数値である。出力要求タイミングが就業時間内にある場合、「M」の値は「0」になり、出力要求タイミングが就業時間内にない場合、「M」の値は、就業時間の終了時刻から出力要求タイミングまでの時間になる。出力要求が就業時間内に行われなかった場合、不信度が高くなる。また、「L」は、要求ユーザのログイン試行回数である。要求ユーザがログインに失敗した回数が多いほど、不信度は高くなる。
【0065】
なお、不信度を表す上記数式は、「M」及び「L」の双方を含む必要はない。例えば、上記数式に、「M」及び「L」の一方が含まれていてもよい。この場合、不信度の算出に、タイミング情報及びログイン試行回数の一方が用いられることになる。
【0066】
第2評価値を算出すると、制御部10は、第2評価値が第2出力条件を満足するか否かを判定する(S205)。ここで、「第2評価値が第2出力条件を満足する場合」とは、第2評価値が第2基準値以上である場合」をいう。なお、第2基準値は、第2評価値として用いられるデータに応じて設定される。ここでは、不信度が第2評価値として用いられるので、不信度に応じた値が第2基準値として用いられる。
【0067】
第2評価値が第2出力条件を満足する場合(S205のY)、要求ユーザが信頼に値しないユーザである可能性が高いので、制御部10は、文書オブジェクトXのうちからセキュア文書を提供対象文書として選択し、セキュア文書を出力する(S206)。具体的には、制御部10は、要求ユーザのユーザ端末6に、セキュア文書を送信する。
【0068】
一方、第2評価値が第2出力条件を満足しない場合(S205のN)、制御部10は、セキュア文書の出力を行わずに、要求ユーザに関連する情報に基づいて第3評価値を算出する(S207)。上述のように、文書オブジェクトXである文書オブジェクトBの種別が「契約書」であるから(図10参照)、制御部10は、要求ユーザによって出力要求が行われるまでの経過時間を第3評価値として算出する。具体的には、制御部10(取得手段)は、図10の文書プロファイルを参照して、文書オブジェクトXに含まれる文書の登録日時から現在までの経過時間を第3評価値として算出する。
【0069】
第3評価値を算出すると、制御部10は、第3評価値が第3出力条件を満足するか否かを判定する(S208)。ここで、「第3評価値が第3出力条件を満足する場合」とは、第3評価値が第3基準値以上である場合、すなわち上記経過時間が予め定められた時間以上である場合」をいう。なお、第3基準値は、第3評価値として用いられるデータに応じて設定される。ここでは、経過時間が第3評価値として用いられるので、経過時間に応じた値が第3基準値として用いられる。
【0070】
第3評価値が第3出力条件を満足する場合(S208のY)、登録文書のデータ形式が時代遅れである可能性が高いので、制御部10は、文書オブジェクトXのうちから長期保存文書を提供対象文書として選択し、長期保存文書を出力する(S209)。具体的には、制御部10は、要求ユーザのユーザ端末6に、長期保存文書を送信する。
【0071】
一方、第3評価値が第3出力条件を満足しない場合(S208のN)、制御部10は、文書オブジェクトXのうちから参照用文書を提供対象文書として選択し、参照用文書を出力する(S210)。具体的には、制御部10は、要求ユーザのユーザ端末6に、参照用文書を送信する。
【0072】
[機能ブロック]
図14は、サーバ4にて実現される機能群を示す機能ブロックの一例を示す図である。同図に示すように、サーバ4では、代替情報生成部20(生成手段)と、保存部22(保存手段)と、出力制御部24(出力制御手段)と、が実現される。出力制御部24は、選択制御部26(選択手段)と、出力部28(出力手段)と、を含み、選択制御部26は、評価部26a(評価手段)と、選択部26bと、を含む。これらの機能は、制御部10は、主記憶12に格納される上記プログラムに従って上記図11及び図12に示す処理を実行することによって、実現される。
【0073】
[代替情報生成部]
代替情報生成部20は、文書DBに登録された登録情報である登録文書に基づいて、登録文書とは異なる代替文書を代替情報として少なくとも一つ生成する(図11のS101参照)。本実施形態の場合、代替情報生成部20は、登録文書と複製又は印刷出力の可否が異なるセキュア文書を第1の代替文書として生成し、登録文書とデータ形式が異なる長期保存文書を第2の代替文書として生成し、参照用文書を第3の代替文書として生成する。
【0074】
[保存部]
保存部22は、代替情報生成部20によって生成された少なくとも一つの代替情報を、登録情報と代替情報とを含む情報要素を複数記憶するための記憶手段に保存する。本実施形態の場合、保存部22は、登録文書と、代替情報生成部20によって生成された複数の代替文書と、を文書DB(記憶手段)に保存する。
【0075】
以下、登録文書が「登録情報」に相当し、代替文書が「代替情報」に相当し、文書オブジェクトに含まれる各文書が「情報要素」に相当するものとして、説明を続ける。
【0076】
[出力制御部]
出力制御部24は、文書オブジェクトの出力要求が行われた場合に、文書オブジェクトに含まれる複数の文書のうちのいずれかである提供対象文書を出力する(図12のS203、S206、S209、S210参照)。具体的には、出力制御部24は、上述のように、出力要求が行われた場合に要求ユーザに関連する情報に基づいて提供対象文書を選択する選択制御部26と、選択制御部26により選択された提供対象文書を出力する出力部28と、を含む。
【0077】
[選択制御部]
選択制御部26は、評価部26aと選択部26bとの機能により、文書オブジェクトの出力要求が行われた場合に、出力要求を行ったユーザである要求ユーザに関連する情報に基づいて、提供対象文書を選択する。本実施形態の場合、選択制御部26は、要求ユーザに関連する情報である、「要求ユーザの所属部署」、「要求ユーザの取扱プロダクト」、「出力要求が行われるときまでに要求ユーザによりログイン操作が行われたログイン試行回数」、「要求ユーザが出力要求を行った出力要求時期を示すタイミング情報」、及び「要求ユーザが出力要求を行ったときまでの経過時間」のうち、文書オブジェクトの種別に応じた少なくとも一つのデータに基づいて、提供対象文書を選択する。
【0078】
[評価部]
具体的には、評価部26aが、文書オブジェクトを対象に出力要求が行われた場合に、要求ユーザの所属部署(属性)を特定し、複数の部署の各々に対応するノードを含む第1木構造を示す部署DB(木情報)を参照して、要求ユーザの所属部署に対応するノードと登録ユーザ(基準利用者)の所属部署(属性)に対応するノードとの距離を特定し、特定した距離に基づいて演算を行うことによって、関与度を第1評価値(評価情報)として算出する(図12のS201参照)。また、評価部26aが、文書オブジェクトを対象に出力要求が行われた場合に、要求ユーザの取扱プロダクト(属性)を特定し、複数のプロダクトの各々に対応するノードを含む第2木構造を示すプロダクトDB(木情報)を参照して、要求ユーザの取扱プロダクトに対応するノードと登録ユーザ(基準利用者)の取扱プロダクト(属性)に対応するノードとの距離を特定するとともに、特定した距離に基づいて演算を行うことによって、関与度を第1評価値(評価情報)として算出する(図12のS201参照)。また、評価部26aが、文書オブジェクトを対象に出力要求が行われた場合に、要求ユーザの取扱プロダクト(属性)を特定し、要求ユーザの取扱プロダクトと要求ユーザの取扱プロダクトと依存関係(所定関係)にある属性とを関連付けてなるプロダクトDB(情報)に基づいて、要求ユーザの取扱プロダクトと登録ユーザ(基準利用者)の取扱プロダクト(属性)とが依存関係にあるか否かを示す関係情報(すなわち、上記「strength」)を取得するとともに、関係情報に基づいて演算を行うことによって、関与度を第1評価値(評価情報)として算出する(図12のS201参照)。
【0079】
また、評価部26aが、文書オブジェクトを対象に出力要求が行われた場合に、ログインテーブル(図3参照)を参照して出力要求が行われるときまでに要求ユーザにより行われたログイン試行回数(回数情報)を取得し、取得したログイン試行回数に基づいて演算を行うことによって、不信度を第2評価値(評価情報)として算出する(図12のS204参照)。また、評価部26aが、文書オブジェクトを対象に出力要求が行われた場合に、要求ユーザによって出力要求が行われた出力要求時期を示すタイミング情報を取得し、取得したタイミング情報が示す時期に基づいて演算を行うことによって、不信度を第2評価値として算出する(図12のS204参照)。例えば、タイミング情報として、要求ユーザによって出力要求が行われた時刻が取得される。
【0080】
また、評価部26aが、文書オブジェクトを対象に出力要求が行われた場合に、要求ユーザによって出力要求が行われるときまでの経過時間、例えば、文書オブジェクトに含まれる登録文書が登録されたときから要求ユーザによって出力要求が行われたときまでの経過時間を、第3評価値として算出する(図12のS207参照)。
【0081】
[選択部]
また、選択部26bが、第1評価値が第1出力条件(出力条件)を満足するか否かを判定し(図12のS202参照)、第1評価値が第1出力条件を満足する場合、登録文書を選択する(図12のS203参照)。一方、第1評価値が第1出力条件を満足しない場合、選択部26bは、登録文書を選択せずに、登録文書以外の文書を選択する。
【0082】
また、選択部26bが、第2評価値が第2出力条件(出力条件)を満足するか否かを判定し(図12のS205参照)、第2評価値が第2出力条件を満足する場合、第1の代替文書であるセキュア文書(基準代替情報)を選択する(図12のS206参照)。一方、第2評価値が第2出力条件を満足しない場合、セキュア文書以外の文書を選択する。
【0083】
また、選択部26bが、第3評価値が第3出力条件を満足するか否かを判定し(図12のS208参照)、第3評価値が第3出力条件を満足する場合、すなわち、要求ユーザによって出力要求が行われるときまでの経過時間が予め定められた時間以上である場合、第2の代替文書である長期保存文書(基準代替情報)を選択する(図12のS209参照)。一方、第3評価値が第3出力条件を満足しない場合、すなわち、要求ユーザによって出力要求が行われるときまでの経過時間が予め定められた時間より短い場合、長期保存文書以外の文書を選択する。
【0084】
本実施形態の場合、選択部26bは、第1評価値が第1出力条件を満足する場合に、登録文書を選択し、第1評価値が第1出力条件を満足しない場合において、第2評価値が第2出力条件を満足する場合、セキュア文書を選択する。また、選択部26bは、第1評価値が第1出力条件を満足せず、且つ、第2評価値が第2出力条件を満足しない場合において、第3評価値が第3出力条件を満足する場合、長期保存文書を選択する。また、選択部26bは、第1評価値が第1出力条件を満足せず、且つ、第2評価値が第2出力条件を満足せず、且つ、第3評価値が第3出力条件を満足しない場合、第3の代替文書である参照用文書を選択する。
【0085】
なお、本発明の実施形態は上記実施形態だけに限らない。
【0086】
例えば、「登録情報」及び「代替情報」は、文書以外の情報(例えば、画像情報)であってもよい。
【0087】
また、図11に示す処理は、登録文書Xが登録された後に予め定められた役職のユーザが承認操作を行った場合に、実行されてよい。
【符号の説明】
【0088】
2 文書管理システム、4 サーバ、6 ユーザ端末、10 制御部、12 主記憶、14 ネットワークインタフェース、16 ハードディスク、20 代替情報生成部、22 保存部、24 出力制御部、26 選択制御部、26a 評価部、26b 選択部、28 出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段に記憶された登録情報に基づいて、前記登録情報とは異なる少なくとも一つの代替情報を生成する生成手段、
前記少なくとも一つの代替情報を、前記登録情報と前記代替情報とを含む情報要素を複数記憶するための前記記憶手段に、保存する保存手段、
利用者によって出力要求が行われた場合に、前記記憶手段に記憶された複数の情報要素のうちのいずれかである出力対象要素を選択する選択手段、
前記選択手段により選択された出力対象要素を出力する出力手段、
としてコンピュータを機能させ、
前記選択手段は、
出力要求を行った前記利用者に関連する情報に基づいて、前記出力対象要素を選択すること、
を特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記選択手段は、
利用者によって出力要求が行われた場合に、前記利用者に関連する情報として前記利用者の属性を特定し、複数の属性の各々に対応するノードを含む木構造を示す木情報を参照して、前記利用者の属性に対応するノードと登録情報を登録した基準利用者の属性に対応するノードとの距離を特定する距離特定手段と、
前記距離特定手段によって特定された距離に基づいて演算を行うことによって、前記利用者と前記登録情報との関係の強さに関する評価情報を算出する評価手段と、
前記評価情報が出力条件を満足する場合に、前記登録情報を出力対象要素として選択し、前記評価情報が前記出力条件を満足しない場合に、前記登録情報以外の情報要素を出力対象要素として選択する手段と、
を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記選択手段は、
利用者によって出力要求が行われた場合に、前記利用者に関連する情報として前記利用者の属性を特定し、前記利用者の属性と前記利用者の属性と所定関係にある属性とを関連付けてなる情報に基づいて、前記利用者の属性と基準利用者の属性とが前記所定関係にあるか否かを示す関係情報を取得する関係取得手段と、
前記関係情報に基づいて演算を行うことによって、出力要求を行った前記利用者と前記登録情報との関係の強さに関する評価情報を算出する評価手段と、
前記評価情報が出力条件を満足する場合に、前記登録情報を出力対象要素として選択し、前記評価情報が前記出力条件を満足しない場合に、前記登録情報以外の情報要素を出力対象要素として選択する手段と、
を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記生成手段は、前記登録情報と複製又は印刷の可否が異なる基準代替情報を含む少なくとも一つの代替情報を生成し、
前記選択手段は、
利用者によって出力要求が行われた場合に、出力要求が行われるときまでに前記利用者により行われた認証操作の回数を示す回数情報を、前記利用者に関連する情報として取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された回数情報が示す回数に基づいて演算を行うことによって、前記利用者の信用に関する評価情報を算出する評価手段と、
前記評価情報が出力条件を満足する場合に、前記基準代替情報を出力対象要素として選択し、前記評価情報が前記出力条件を満足しない場合に、前記基準代替情報以外の情報要素を出力対象要素として選択する手段と、を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記生成手段は、前記登録情報と複製又は印刷の可否が異なる基準代替情報を含む少なくとも一つの代替情報を生成し、
前記選択手段は、
利用者によって出力要求が行われた場合に、前記利用者によって出力要求が行われた時期を示すタイミング情報を、前記利用者に関連する情報として取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたタイミング情報が示す時期に基づいて演算を行うことによって、出力要求を行った前記利用者の信用に関する評価情報を算出する評価手段と、
前記評価情報が出力条件を満足する場合に、前記基準代替情報を出力対象要素として選択し、前記評価情報が前記出力条件を満足しない場合に、前記基準代替情報以外の情報要素を出力対象要素として選択する手段と、を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記生成手段は、前記登録情報とデータ形式が異なる基準代替情報を含む少なくとも一つの代替情報を生成し、
前記選択手段は、
利用者によって出力要求が行われた場合に、前記利用者によって出力要求が行われるときまでの経過時間を示す経過時間情報を、前記利用者に関連する情報として取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記経過時間情報が示す経過時間が予め定められた時間以上である場合に、前記基準代替情報を出力対象要素として選択し、前記経過時間が前記予め定められた時間より短い場合に、前記基準代替情報以外の情報要素を出力対象要素として選択する手段と、を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
記憶手段に記憶された登録情報に基づいて、前記登録情報とは異なる少なくとも一つの代替情報を生成する生成手段と、
前記少なくとも一つの代替情報を、前記登録情報と前記代替情報とを含む情報要素を複数記憶するための前記記憶手段に、保存する保存手段と、
利用者によって出力要求が行われた場合に、前記記憶手段に記憶された複数の情報要素のうちのいずれかである出力対象要素を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された出力対象要素を出力する出力手段と、
を含み、
前記選択手段は、
出力要求を行った前記利用者に関連する情報に基づいて、前記出力対象要素を選択すること、
を特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−14525(P2012−14525A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151233(P2010−151233)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】