説明

プロゲスチンを含有する薬物送達システム

本発明は水溶性の薄いフィルムの形態(ウエハー)の薬物送達組成物に関し、それは少なくとも1種類のプロゲスチンと少なくとも1種類の保護剤を含んでなる小粒子を含有する。口内へのプロゲスチンの放出が限られているため、上記保護剤がプロゲスチンの味の効果的なマスキングをもたらす。したがって、プロゲスチンは、頬側経路を経由して吸収されるのではなく、むしろ経腸(経口)経路を経由して吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水溶性の薄いフィルムの形態(ウエハー)の薬物送達組成物に関し、それは少なくとも1種類のプロゲスチンと少なくとも1種類の保護剤を含んでなる粒子を含有する。口内へのプロゲスチンの放出が限られているため、上記保護剤がプロゲスチンの味の効果的なマスキングをもたらす。したがって、プロゲスチンは、頬側経路を経由して吸収されるのではなく、むしろ経腸(経口)経路を経由して吸収される。よって、本発明によって提供されるウエハーは、対応する標準的な即時放出(IR)経口錠剤又はカプセル剤と本質的に生物学的に同等な単位剤形へと容易に変更できる。
【背景技術】
【0002】
プロゲスチン及び/又はエストロゲンなどの薬物は正確で一貫した用量を提供するために従来の標準的な経口錠剤又はカプセル製剤の中に含まれることもできるが、かかるデリバリー形態は薬物の投与と調製の両方においていくつか不都合な点がある。例えば、約50%の人々は錠剤を飲み込みにくいと試算されているので(J.Pharmacol.Pharm.1998;50;375−382中のSeagerを参照のこと)、錠剤又はカプセル剤を飲み込まない、又は飲み込むことができない子供又は高齢者などの患者が製薬業にとって課題である。製薬業は、口内急崩壊錠、摂取前に液体中で崩壊する錠剤、液体やシロップ、ガム、さらに経皮パッチまで含めた多くの様々な薬物送達システムを開発することによってこの課題に対応しようとした。しかしながら、これらの薬物送達システムのそれぞれはそれら独自の問題を引き起こす可能性がある。
【0003】
経皮パッチは、不便であったり、不快であると同時に、作るのにかなり費用がかかることがある。さらに、皮膚を通した薬物フラックスはまた、非常に複雑な投薬問題ももたらすことがある。液体は子供に関して特に有用である。しかしながら、液体は成人にとって不便であることがあり、そして処方、包装、及び輸送に比較的費用がかかることがある。摂取前に液体中に溶解させることができる錠剤もまた有用であることがある。しかしながら、それらもまた、液体と飲用コンテナが提供される必要がある点でかなり不便である。さらに、発泡錠が使用されていても、崩壊及び/又は溶解に時間が必要である。最終的に、これらの薬物送達システムは、コップの中に粒子及び/又は膜を通常残すのでかなり扱いにくい。チュアブル又は自己崩壊錠などの口内急崩壊錠はすばらしい利便性を提供する。しかしながら、チュアブル又は自己崩壊錠では、咀嚼行為が保護コーティングを崩壊させることがあるので本当の味のマスキングの問題があることが多い。さらに、チュアブル又は自己崩壊錠は、不快な食感を伴うことが多い。そのうえ、そういった固形の造形物に対する飲み込み、咀嚼、又は窒息の恐怖感は、特定の人々においてまだ懸念事項である。加えて、そういった多孔性、低圧成形錠剤の壊れやすさ/砕けやすさは、それらを持ち運び、保存し、取り扱い、そして患者、特に子供や高齢者に投与することを難しくする。
【0004】
よって、改良された患者コンプライアンスを有する、すなわち、投薬が簡単であり、そして必要とされればどこでも、そしていつでも患者が別々にそれらの薬を服用できるようにする、確実な送達システムが必要である。水溶性フィルム(ウエハー)は、先に触れた薬物送達システムと比べて多くの利点を提供する。通常、そういったウエハーは、口内に存在している唾液中に急速に溶解することで、その結果、少なくとも一部が頬側経路を経由してその後吸収される(単数若しくは複数の)活性成分を放出し、それで肝臓による代謝(「初回通過代謝」)を低減するか又は回避さえする。かかるウエハーは、多くの場合、先に触れた薬物送達システムに対する興味深い代替手段を示すが、口内における原薬の急速な溶解(したがって頬側投与)が必ずしも望まれるわけではない特定の状況が存在する。
【0005】
例えば、多くの活性成分には、合成ホルモンのドロスピレノンのような不快な味、例えば苦味がある。かかる活性成分がウエハーから急速に溶解された場合、このことが、不快な味のせいで患者に受け入れられない製品につながることもある。よって、かかる活性成分の味のマスキングが課題である。さらに、既に承認され、販売された経口錠剤又はカプセル剤と比較して、ウエハーによる頬側投与は用量の調整を必要とするだろう。このことは、結果として、監督機関がかかる修飾産物の安全と有効性を確立するためにそうした状況における完全な臨床試験を通常必要とすることを意味する。よって、既に承認され、販売された経口錠剤又はカプセル剤と生物学的に同等な代替手段が望まれ、また一方で、多くの利点のためウエハー技術をうまく利用することがそれでも望ましいこともある場合において、この特定の薬物送達システムを提供する(飲込み、咀嚼などの必要がない)。しかしながら、上記薬物送達システムは、頬側経路を経由した吸収が回避されるような方法で必ず修飾されなければならず、そしてそれが胃又は任意に小腸に達するまで(単数若しくは複数の)活性成分が事実上溶解されないことが確保されなければならない。先に触れたように、有効な味のマスキングもまた絶対条件である。
【0006】
要約すれば、活性成分の不快な味が効果的にマスクされた薬物送達システムが必要である。加えて、又はその代わりに、標準的なIR経口錠剤又はカプセル剤と生物学的に同等であるが、同時にかかる標準的なIR経口錠剤又はカプセル剤の欠点を持たない薬物送達システムが必要である。
【0007】
本発明者は、一方で、ウエハーの魅力的な特性を利用するが、しかしもう一方で、(単数若しくは複数の)活性成分の不快な味を効果的にマスクすることを確実にする薬物送達システムを提供した。これは、ウエハー・マトリックスが唾液中に(素早く)溶解された時点では、適当な保護剤の存在によりプロゲスチンが口内で溶解されず(したがって、頬側経路を経由して投与されず)、むしろ、正常な嚥下によって、プロゲスチンが効果的に放出される胃及び/又は腸までプロゲスチンが運ばれるのを確実にすることによって達成された。本発明の薬物送達システムは、標準的なIR経口錠剤又はカプセル剤の基準製品と生物学的に同等なシステムに対してそれを容易に適合させることもできるという点では融通が利く。
【0008】
味をマスクしたチュアブル医薬組成物は、US4,800,087に記載されている。
味をマスクした経口崩壊錠(ODTs)は、US2006/0105038に記載されている。
味マスキング・コーティング・システムは、WO00/30617に記載されている。
味をマスクしたウエハーは、WO03/030883に記載されている。
味をマスクした散剤や顆粒剤は、EP1 787 640に記載されている。
【0009】
医薬品を含有する粒子と、その粒子を含む固形製剤は、US2007/0148230に記載されている。
非粘膜接着性フィルム剤形、ならびに頬側粘膜を経由しての経口崩壊型フィルムからの薬物の吸収を遅らせるための技術及び方法論は、WO2008/040534に記載されている。この文書によると、Eudragit(登録商標)EPOとドネペジルの混合は、活性化合物の即時放出特性を結果的にもたらす。
【0010】
味マスキング剤として食用アルカリ剤を含む固体剤形は、WO2007/109057に記載されている。
粘膜デリバリーのための組成物と方法は、WO00/42992に記載されている。この文書は、活性物質が重合体内に封入されている投薬単位をさらに開示している。
【0011】
コアセルベーションによって調製された味をマスクした医薬組成物は、WO2006/055142に記載されている。
徐放性粒子を含んでなる組成物は、US7,255,876に記載されている。
WO2007/074472には、例えば、>100μmの粒度を有する、そ充填剤粒子は、口内溶解錠として摂取すると、粗い、ザラザラした又は砂のような口内感触を与えることを教示されている。さらに、この文書は、口内感触を改善する手段を開示している。
【0012】
Xuら、Int J Pharm 2008;359;63には、経口崩壊錠のための味マスキング・ミクロスフェアが記載されてる。しかしながら、活性物質はこれらの粒子から比較的に速く放出されるため、完全な味マスキングは達成されていない。
【0013】
US2007/0292479には、経粘膜頬側適用のためのフィルム状のシステムを記載している。さらに、US2007/0292479に記載のフィルム状のシステムは、多量のシクロデキストリンを含んでいる。
【0014】
SI Father,MJ Rathbone及びS Senel,Expert Opin Drug Deliv 2008;5;531は、頬側薬物送達システムの現状と未来を概説し、そして頬側剤形を開発することの困難と課題に対する洞察を与えている。
【0015】
これらの従来技術書類を踏まえると、本発明によって解決するべき問題としては、これだけに限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:
・薄いフィルムの形態(ウエハー)の薬物送達システムに収まるくらいのサイズに味をマスクした粒子を処方すること;
・薬物送達システムから口内に放出されたときに、粗い、ザラザラした又は砂のような口内感触を与えないような方法で味をマスクした粒子を処方すること;
・薄いフィルムの形態(ウエハー)の単位剤形の中に味をマスクした粒子を均一に組み込むこと;
・水溶性マトリックス重合体を含んでなる水溶性の薄いフィルム中に味をマスクした粒子を、製造及び/又は保管中に上述の味をマスクした粒子を溶解又は抽出させることなしに組み込むこと。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様において、本発明は、水溶性の薄いフィルムマトリックスを含んでなる単位剤形であって、
a)上述のフィルムマトリックスは、少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなり;
b)上述のフィルムマトリックスは、少なくとも1種類のプロゲスチンと少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、≦280μmのd90粒度を有する粒子を含んでなり;そして
c)上述のフィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形に関する。
本発明の他の態様は、以下の説明と添付の請求項から明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書の文脈中では、「プロゲスチン」(「ゲスターゲン」又は「プロゲストゲン」と呼ばれることもある)という用語は、プロゲステロン受容体作動物質である合成ホルモン化合物を網羅する。この用語はさらに、水和物、溶媒和物、塩及び複合体、例えばシクロデキストリンとの複合体などを含めたプロゲスチンの異性体と物理的形態のすべてを包含することが意図されている。プロゲスチンの具体例としては、レボ−ノルゲストレル、ノルゲストレル、ノルエチンドロン(ノルエチステロン)、ジエノゲスト、酢酸ノルエチンドロン(ノルエチステロン)、二酢酸エチノジオール、ジドロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノルエチノドレル、アリルエストレノール、リネストレノール、酢酸キンゲスタノール、メドロゲストン、ノルゲストリエノン、ジメチステロン、エチステロン、酢酸クロルマジノン、メゲストロール、プロメゲストン、デソゲストレル、3−ケト−デソゲストレル、ノルゲスチメート、ゲストデン、チボロン、酢酸シプロテロン、ジエノゲスト及びドロスピレノンからなる群から選択されるプロゲスチンが挙げられるがこれらに限定される訳ではない。好ましいプロゲスチンは、ゲストデン、ジエノゲスト及びドロスピレノンであり、特にドロスピレノンである。以下に述べるように、プロゲスチンは、シクロデキストリンと複合体化されていてもよい。
【0018】
「エストロゲン」という用語は、エストロゲン活性を示すすべての化合物(天然又は合成、ステロイド系又は非ステロイド系化合物)を包含するように意図されている。かかる化合物はとりわけ抱合エストロゲン、及びフィトエストロゲンを包含する。この用語はさらに、水和物、溶媒和物、塩、及び複合体、例えばシクロデキストリンとの複合体などを含めたエストロゲンのすべての異性体及び物理的形態を包含するように意図されている。より具体的には、エストロゲンは、エチニルエストラジオール、エストラジオールの治療として許容される誘導体(エステルを含む)を含めたエストラジオール、エストロン、メストラノール、エストリオール、コハク酸エストリオール、並びに抱合ウマエストロゲン、例えば硫酸エストロン、17β−エストラジオール硫酸、17α−エストラジオール硫酸、エキリン硫酸、17β−ジヒドロエキリン硫酸、17α−ジヒドロエキリン硫酸、エキレニン硫酸、17β−ジヒドロエキレニン硫酸及び17α−ジヒドロエキレニンなどを含めた抱合エストロゲンからなる群から選択されることもできる。特に注目のエストロゲンは、エチニルエストラジオール、エストラジオール、スルファミン酸エストラジオール、吉草酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストロン、メストラノール及び硫酸エストロンからなる群から選択される。より好ましくは、エストロゲンは、エチニルエストラジオール又はエストラジオールである。最も好ましいエストロゲンはエチニルエストラジオールである。以下に述べるように、エストロゲンは、シクロデキストリンと複合体化されていてもよい。
【0019】
本明細書中に使用されるとき、「エストラジオールの治療として許容される誘導体」という用語は、エストラジオールのエステル;エストラジオール及びエストラジオール・エステルの塩、例えばナトリウム塩など;並びに当該技術分野で知られている他の誘導体を指す。典型的には、エストラジオールのエステルは、エストラジオールの3位又は7位にある。エストラジオールの典型的なエステルの具体例としては、吉草酸エストラジオール、酢酸エストラジオール、プロピオン酸エストラジオール、エナント酸エストラジオール、ウンデシレン酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、シピオン酸エストラジオール、硫酸エストラジオール、スルファミン酸エストラジオール、並びにその塩が挙げられる。吉草酸エストラジオールはエストラジオール・エステルの中でも特に好まれる。
【0020】
「エストラジオール」という用語は、エストラジオールが17−α−エストラジオール又は17−β−エストラジオールの形態であってもよいことを意味するように意図されている。好ましくは、エストラジオールは17−β−エストラジオールの形態である。「エストラジオール」という用語はまた、エストラジオールの水和物形態、特にエストラジオール半水和物にも及ぶ。
【0021】
「エストロゲン−シクロデキストリン複合体」又は「シクロデキストリンと複合体化されたエストロゲン」という用語は、エストロゲン分子が少なくとも部分的にシクロデキストリン分子の空洞内に挿入されているエストロゲンとシクロデキストリンの間の複合体を意味するように意図されている。エストロゲンとシクロデキストリンの間のモル比は、あらゆる所望の値に調整され得る。本発明の有益な実施形態において、エストロゲンとシクロデキストリンの間のモル比は、約2:1〜1:10、好ましくは約1:1〜1:5、最も好ましくは約1:1〜1:3、例えば1:1又は1:2などである。さらに、エストロゲン分子は、少なくとも部分的に、2つ以上のシクロデキストリン分子の空洞内に挿入され得、例えば、単一のエストロゲン分子を2つのシクロデキストリン分子の中に挿入してエストロゲンとシクロデキストリンの間の1:2の比率を提供することもできる。同様に、複合体は、単一のシクロデキストリン分子内に少なくとも部分的に挿入された2つ以上のエストロゲン分子を含有していてよく、例えば2つのエストロゲン分子を少なくとも部分的に単一のシクロデキストリン分子内に挿入して、エストロゲンとシクロデキストリンの間の2:1の比率を提供することができる。エストロゲンとシクロデキストリンの間の複合体は、例えばUS5,798,338及びEP1 353 700に記載されている当該技術分野において既知の方法によって得ることもできる。
【0022】
「エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体」という用語は、エチニルエストラジオールとβ−シクロデキストリンの間のあらゆるモル比の複合体を意味するように意図されている。しかしながら、エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体は、標準的に、エチニルエストラジオールの1分子とβ−シクロデキストリンの2分子の間の複合体、すなわち1:2エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体である。
【0023】
「プロゲスチン−シクロデキストリン複合体」又は「シクロデキストリンと複合体化されたプロゲスチン」という用語は、プロゲスチン分子が少なくとも部分的にシクロデキストリン分子の空洞内に挿入されているプロゲスチンとシクロデキストリンの間の複合体を意味するように意図されている。プロゲスチンとシクロデキストリンの間のモル比は、あらゆる所望の値に調整することができる。本発明の有利な実施形態において、プロゲスチンとシクロデキストリンの間のモル比は、約2:1〜1:10、好ましくは約1:1〜1:5、最も好ましくは約1:1〜1:3である。さらに、プロゲスチン分子は、少なくとも部分的に2つ以上のシクロデキストリン分子の空洞内に挿入され得、例えば、単一のプロゲスチン分子を2つのシクロデキストリン分子の中に挿入して、プロゲスチンとシクロデキストリンの間の1:2の比率を提供することもできる。同様に、複合体は、単一のシクロデキストリン分子内に少なくとも部分的に挿入された2つ以上のプロゲスチン分子を含有していてもよく、例えば2つのプロゲスチン分子を少なくとも部分的に単一のシクロデキストリン分子内に挿入して、エストロゲンとシクロデキストリンの間の2:1の比率を提供することもできる。プロゲスチンとシクロデキストリンの間の複合体は、例えばUS6,610,670及びその中の参考文献に記載されている当該技術分野において既知の方法によって得ることもできる。
【0024】
US6,610,670に記載されているように、「ドロスピレノン−β−シクロデキストリン複合体」という用語は、ドロスピレノンとβ−シクロデキストリンの間のあらゆるモル比の複合体を意味するように意図されている。しかしながら、ドロスピレノン−β−シクロデキストリン複合体は、標準的に、ドロスピレノンの1分子とβ−シクロデキストリンの3分子の間の複合体、すなわち1:3ドロスピレノン−β−シクロデキストリン複合体である。
【0025】
「シクロデキストリン」という用語は、シクロデキストリン又はその誘導体、並びに様々なシクロデキストリンの混合物、様々なシクロデキストリン誘導体の混合物、及び様々なシクロデキストリンとその誘導体の混合物を意味するように意図されている。シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン及びその誘導体からなる群から選択されてもよい。シクロデキストリンは、大員環の一次又は二次ヒドロキシル基の一部又はすべてがアルキル化されるか又はアシル化されるように修飾され得る。これらのヒドロキシル基を修飾する方法は、当業者にとって周知であり、このような修飾されたシクロデキストリンが数多く市販されている。よって、シクロデキストリンのヒドロキシル基の一部又はすべては、O−R基又はO−C(O)−R基で置換されている可能性があり、ここでRは任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたアリール又はヘテロアリール基である。よって、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル基であってよく、すなわちO−C(0)−Rは酢酸塩であり得る。その上、ヒドロキシル基は、大員環の1面のみで過ベンジル化、過ベンゾイル化、ベンジル化又はベンゾイル化され得、すなわち、1、2、3、4、5又は6個のヒドロキシル基のみがベンジル化又はベンゾイル化され得る。
【0026】
当然のことながら、ヒドロキシル基はまた、大員環の1面のみで過アルキル化又は過アシル化、例えば過メチル化若しくは過アシル化、アルキル化又はアシル化、例えばメチル化若しくはアセチル化され得、すなわち、1、2、3、4、5又は6個のヒドロキシル基がアルキル化又はアシル化、例えばメチル化若しくはアセチル化され得る。一般的に使用されるシクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、DIMEB、RAMEB及びスルホアルキルエーテル・シクロデキストリン、例えばスルホブチルエーテル・シクロデキストリン(商品名Captisol(登録商標)として入手可能)などである。シクロデキストリン複合型の活性成分が確かに企図されてはいるが、本発明の1つの実施形態において、組成物はいずれのシクロデキストリンも含んでいない。
【0027】
本明細書の文脈中では、「C1-6アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を持つ直鎖又は分岐の飽和炭化水素鎖、例えばメチル;エチル;プロピル、例えばn−プロピルやイソプロピルなど;ブチル、例えばn−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルなど;ペンチル、例えばn−ペンチル、イソペンチル及びネオペンチルなど;並びにヘキシル、例えばn−ヘキシルやイソヘキシルなどといったものを意味するように意図されている。同様に、「C1-4アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を持つ直鎖又は分岐の飽和炭化水素鎖、例えばメチル;エチル;プロピル、例えばn−プロピルやイソプロピルなど;ブチル、例えばn−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルなどといったものを意味するように意図されている。
【0028】
プロゲスチン及びエストロゲンの様々なシクロデキストリン複合体が先に記載されているが、現在のところ、プロゲスチンもエストロゲンもシクロデキストリンと複合化されないことが好ましい。従って、好ましい実施形態において、本発明の単位剤形はシクロデキストリンを含んでいない。
【0029】
先に示されているとおり、プロゲスチンを含む粒子は、口内ではできるだけ少量のプロゲスチンしか放出されず、その一方で胃又は任意に小腸においてできるだけ多量のプロゲスチンが放出されるような方法で調製されるべきである。これは、以下に述べる保護剤とプロゲスチンを組み合わせることによって達成される。
【0030】
当業者によって知られるように、口内での崩壊型剤形の典型的な滞留時間は、標準的に3分未満である。(微小)粒子が口内においてかかる剤形から放出される場合に、同じことをこれらの(微小)粒子に当てはめる。よって、口内でのこれらの(微小)粒子の典型的な滞留時間は約3分である(これは摂取から剤形の崩壊までの時間を含むことが意図されている)。その結果、有効な味マスキングを、少量の唾液を模した液体における試験管内溶出試験によって調査することもでき、そして0〜3分の初期の時点で、10mlの溶解液(標準的にpH6の水溶液)中の原薬が検出されないか又は検出された量がその味を特定するための閾値未満であるときに、有効な味マスキングが達成されることを合理的に推定することができる。原薬の味を特定するための絶対閾値が、原薬の性質と用量に依存していることは明らかである。ドロスピレノンの場合では、ドロスピレノンが3mgの投与量レベルで適用されるとき、上述の閾値は約25%(w/w)超である。
【0031】
よって、保護剤は、プロゲスチンの不快な味を事実上マスクするために、口内を支配している条件を模した条件下でプロゲスチンが溶解されないか、又は非常に限られた量のプロゲスチンしか溶解されないことを確実にしなければならない。より特に、口内の条件に相当する試験管内溶出実験で測定される際に、3分以内に25%(w/w)未満、例えば20%(w/w)未満、より好ましくは15%(w/w)未満、例えば10%(w/w)、最も好ましくは5%(w/w)未満のプロゲスチンしか単位剤形から溶解されないことが好ましい。好適な試験管内溶出実験が本明細書中の実施例8Aに記載されている。基本的には、上記剤形がガラスビーカーの底に置かれる。そして、溶解液として37℃、10mlの擬似唾液 pH6.0(組成:1.436gのリン酸二ナトリウム二水和物、7.98gのリン酸−カリウム、及び8.0gの塩化ナトリウムを950mlの水中に溶解させ、pH6.0に調整し、そして1000mlに合わせる)がビーカーに加えられる。標準的には、実験は、その剤形がこの手順を適用した3分以内に完全に崩壊するような方法で処方されているのであれば、(剤形の完全な湿潤を保証するために実験の最初の5秒以内に緩やかに浸透することを除いて)撹拌又は振盪をせずに実施される。剤形がそういった方法で処方されていなければ、3分以内に剤形の崩壊完了を確実にする方法で撹拌又は振盪を適用することができる。3分後に、ビーカーの内容が目視により調べられ、その後液体のサンプルが取り出され、濾過され、そして原薬の内容物に関して分析される。
【0032】
本発明の単位剤形内への組み込み前に被保護粒子の味マスキング特性を調査し、そして評価するために、Xuら、Int J Pharm 2006;359;638に記載されている溶出試験を適用することもできる。本発明の好ましい実施形態において、溶解液として37℃の蒸留水を使用し、及び撹拌速度として100rpmを使用した溶解装置II型によって測定したときに、5分以内にプロゲスチンの10%(w/w)未満、より好ましくは15%(w/w)未満、最も好ましくは20%(w/w)未満しか被保護粒子から溶解されない。
【0033】
先に示されているように、プロゲスチンが胃及び/又は腸において迅速かつ効果的に放出されることが最重要事項である。当業者には当然のことながら、この効果は、試験管内溶出試験によって模擬実験されることができ、そして37℃の900〜1000mlの好適な溶解液と、撹拌速度として50〜100rpm、好ましくはどちらの50、75又は100rpmのいずれかを使用した米国薬局方(USP)XXXIパドル法(装置2)によって測定したときに、30分以内にプロゲスチンの少なくとも70%(w/w)、より好ましくは少なくとも80%(w/w)、最も好ましくは少なくとも90%(w/w)が単位剤形から溶解されるのであれば、胃及び/又は腸におけるプロゲスチンの有効な放出が達成されると合理的に推定することができる。あるいは、単位剤形は、類似の条件下、より短い期間でアッセイされることもできる。こうした場合、溶解液として37℃の900〜1000mlの好適な溶解液と、撹拌速度として50〜100rpm、好ましくは50、75又は100rpmを使用したUSP XXXIパドル法(装置2)によって測定したときに、20分以内、より好ましくは15分以内にプロゲスチンの少なくとも70%(w/w)、より好ましくは少なくとも80%(w/w)、最も好ましくは少なくとも90%(w/w)が単位剤形から溶解されることが好ましい。
【0034】
典型的な試験管内溶出実験が、実施例8Bに記載されている。好適な溶解液は、それが胃及び/又は腸内の生理的条件、並びに単位剤形の固有の性質を反映するように選択されることもできる。よって、好適な溶解液は、例えば、水、pH1〜8(例えばpH1.0、1.2、1.3、2.0、4.5、6.0及び6.8など)の水性緩衝液、0.1〜3%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを添加したpH1〜8(pH1.0、1.2、1.3、2.0、4.5、6.0及び6.8など)の水性緩衝液、擬似胃液、擬似腸液(断食又は給餌状態)から選択されることもできる。
【0035】
1つの実施形態において、好適な溶解液は、900〜1000mlの、0.05Mのリン酸緩衝液pH6.0;0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含んでいる0.05Mのリン酸緩衝液pH6.0;及び1%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含んでいる0.05Mのリン酸緩衝液pH6.0から選択される。最も好ましくは、好適な溶解液は、1000mlの、0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含んでいる0.05Mのリン酸緩衝液pH6.0である。
【0036】
他の実施形態において、好適な溶解液は、900mlの、0.05Mの酢酸緩衝液pH4.5;0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含んでいる0.05Mの酢酸緩衝液pH4.5;及び1%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含んでいる0.05Mの酢酸緩衝液pH4.5から選択される。好ましい実施形態において、好適な溶解液は、保護剤がワックスであるときには、900mlの、0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含んでいる0.05Mのリン酸緩衝液pH4.5であり、そして保護剤がカチオン性ポリメタクリラートであるときには、900mlの0.05M酢酸緩衝液pH4.5(ドデシル硫酸ナトリウム不含)である。
先に述べた溶出試験は、本明細書中の実施例8B、8C及び8Dにより詳細に記載されている。
【0037】
擬似胃液と擬似腸液に関する例は、USP XXXIに記載されている。しかしながら、薬学文献で知られている疑似体液のその他の組成が存在する。上述したとおり、溶解液の厳密な組成物は、それが胃及び/又は腸内の生理的条件、並びに単位剤形の特性を反映するような形で選択されるべきである。
【0038】
(すべて当業者にとって周知である)様々な物質を、本発明による保護剤として利用することができる。こうした保護剤の具体例としては、カチオン性ポリメタクリラートやワックスが挙げられる。
【0039】
本発明の好ましい実施形態において、保護剤は、ジ−C1-4アルキル−アミノ−C1-4アルキルメタクリラートと中性メタクリル酸C1-6アルキルエステルをベースとしたカチオン性ポリメタクリラート・コポリマーである。本発明のより好ましい実施形態において、上記カチオン性ポリメタクリラートは、ジメチルアミノエチルメタクリラートと中性メタクリル酸C1-4アルキルエステルをベースとしたコポリマー、例えばジメチル−アミノエチルメタクリラート、メタクリル酸メチルエステル、及びメタクリル酸ブチルエステルをベースとしたコポリマーなどである。特定の好ましいカチオン性ポリメタクリラートは、ポリ(ブチルメタクリラート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリラート、メチルメタクリラート)1:2:1である。先に触れたカチオン性ポリメタクリラートは、標準的に100,000〜500,000Daの範囲内の平均分子量、例えば100,000〜300,000Daといった範囲内の平均分子量、例えば100,000〜250,000Daの範囲内の平均分子量、好ましくは100,000〜200,000の範囲内の平均分子量、例えば125,000〜175,000Daといった範囲内の平均分子量、例えば約150,000Daの平均分子量がある。
【0040】
かかるカチオン性ポリメタクリラートは、Eudragit(登録商標)Eという商品名でDegussa、Germanyから入手可能である。特に、Eudragit(登録商標)E100が好まれる。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態において、保護剤はワックスである。ワックスの例としては、動物系ワックス、例えば蜜蝋、イボタ蝋、シェラック蝋、鯨蝋及びウールワックスなど;植物系ワックス、例えばカルナバ蝋、ベーベリ蝋、キャンデリラ蝋、キャスター蝋、エスパルト蝋、オーリクリー蝋や、米糠蝋及びソイワックスなど;鉱物系ワックス、例えばセレシンワックス、モンタンワックス、オゾセライトワックス及びピートワックスなど;石油系ワックス、例えばパラフィンワックス及びマイクロクリスタリンワックスなど;合成系ワックス、例えばポリエチレンワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、エステル型及び/又は鹸化ワックス、置換アミドワックス及び重合α−オレフィンなどが挙げられる。特定の好ましいワックスはカルナバ蝋である。
【0042】
プロゲスチンとワックスの間の重量比は、標準的に1:1〜1:4の範囲内、例えば約1:1、約1:2、約1:3又は1:4などである。
【0043】
先に述べたとおり、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子は、口内ではできるだけ少量のプロゲスチンしか放出しないようにすべきであり、その一方でできるだけ多量のプロゲスチンが胃及び/又は腸で溶解されるべきである。このことは、例えば、例えば、プロゲスチンが保護剤中に固体分散系の状態で存在するような方法でプロゲスチンを保護剤中に埋め込むことによって達成できる。この実施形態は、保護剤がカチオン性ポリメタクリラートであるときには特に好ましい。
あるいは、プロゲスチンを保護剤でコートすることもできる。この実施形態は、保護剤がワックスであるときには特に好ましい。
【0044】
本明細書の文脈中では、すなわち、「固体分散系」という用語は、その一般的に受け入れられている意味で、すなわち分散相が非結晶状粒子若しくは結晶状粒子、又は個別の分子(分子分散系)からなる分散系として使用される。よって、本明細書中に使用されるとき、「固体分散系」という用語は、成分A(プロゲスチンなど)が別の成分B(保護剤など)の中に小粒子のレベルで、又は分子レベル(分子分散系)であっても分散されているあらゆる固体系を意味する。
【0045】
本明細書の文脈中では、「分子状に分散された」又は「分子分散系」という用語は、その一般的に受け入れられている意味で、すなわち分散相が別個の分子からなる分散系として使用される。よって、本明細書中に使用されるとき、「分子状に分散された」又は「分子分散系」という用語は、成分A(プロゲスチン若しくはエストロゲンなど)が別の成分B(保護剤など)の中に分子レベルで分散されているあらゆる固体系、半固体系、又は液体系であって、成分AをX線回折分析によって結晶形態で検出できず、あらゆる顕微鏡技術によって粒子形態でも検出できないようなものを意味する。成分Aが成分Bの性質及び物理状態にかかわらず成分Bの中に溶解されることもまた、理解されるべきである。よって、「分子状に分散された」という用語は、「分子状に溶解された」という用語と互換的に使用することもできる。
【0046】
本明細書中に提供された実施例から分かるように、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子の粒度は、少なくともある程度まで適用された保護剤に依存している。カルナバ蝋が保護剤として使用されているとき、d90粒度の計測値は、場合によっては二次凝集体や集塊物の形成に起因する信じ難い高値に至る。かかる凝集体や集塊物は、ウエハーの製造中に容易に分離される。以降に規定した粒度値は、一次粒子を指し、凝集体や集塊物の粒度のことではない。
【0047】
先に示したように、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子は、≦280μm、例えば≦250μm程度、例えば≦200μmのd90粒度を有する。本発明の興味深い実施形態において、粒子は、≦175μmのd90粒度、例えば≦150μm程度のd90粒度、例えば≦100μmのd90粒度を有する。
【0048】
別の言い方をすれば、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子は、標準的に30〜280μmの範囲内、例えば40〜250μmの範囲内など、例えば50〜200μmの範囲内又は50〜150μmの範囲内のd90粒度を有する。d90粒度の具体例としては、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm、及び約150μmの値が挙げられる。類似して、d50粒度は、標準的に5〜80μmの範囲内、より標準的に10〜75μmの範囲内にある。d50粒度の具体例としては、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、及び約80μmの値が挙げられる。
【0049】
本明細書中に使用されるとき、「d90粒度」という用語は、粒度分布が、粒子の少なくとも90%が球状粒子という推定下で体積分配曲線から計算された特定の値未満の粒径であるようなものあることを意味するように意図されている。同様に、「d50粒度」という用語は、粒度分布が、粒子の少なくとも50%が球状粒子という推定下で体積分配曲線から計算された特定の値未満の粒径であるようなものであることを意味するように意図されている。
【0050】
そのため、本明細書中で「粒度」、「粒度分布」、「粒径」、「d90」、「d50」などの用語が使用される場合にはいつでも、それに関連して使用される特定の値又は範囲を球状粒子という推定下で体積分配曲線から決定することが常に意図されていると理解されるべきであることに留意するのが重要である。粒度分布は、様々な技術、例えばレーザー回折などによって測定することもでき、当業者に知られている。粒子は、球状、実質的に球状、又は非球状の粒子、例えば不規則な形状の粒子若しくは楕円形状の粒子などであってもよい。楕円形状の粒子又は楕円体が望ましいのは、それらが球状粒子と比較して沈殿しにくいことによるフィルム形成マトリックス中での均一性を維持するそれらの能力のためである。
【0051】
プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子の粒度分布は、ウエハーに組み込まれるとき、フィルム形成マトリックスを溶解させ、被保護粒子を分離し、そして被保護粒子を乾燥させることによって測定することもできる。得られた粒子の粒度分布は、先に記載したように、例えばレーザー回折によって測定することもできる。例えば、Sympatec Rhodosモジュール空中分散システムを備えたSympatec Helosレーザー回折計を使用することもできる。(焦点長125mm、:気流量2.5m3/h、プレ圧力2bar、分散圧力3〜4bar、光学的濃度0.8〜20%、計測時間:2秒、光学モデル:球状粒子としての仮定下でのFraunhofer)。
【0052】
プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子に関して、これらの粒子は、標準的に単位剤形の60重量%未満、好ましくは単位剤形の50重量%未満、より好ましくは単位剤形の40重量%未満を構成する。当然のことながら、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子の量は、選択されたプロゲスチンの効力に依存している。従って、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子は、標準的に単位剤形の0.1〜50重量%、好ましくは1〜40%、例えば2〜40%程度、例えば単位剤形の5〜30重量%を構成する。具体的な値としては、単位剤形の約12重量%、約15重量%、約20重量%、及び約30重量%が挙げられる。
【0053】
当然のことながら、(単数もしくは複数の)治療活性物質と保護剤を含んでなる粒子は、追加の賦形剤を包含することもできる。しかしながら、本発明の好ましい実施形態において、粒子は、基本的には(単数もしくは複数の)治療活性物質、すなわちプロゲスチン、エストロゲン、又はプロゲスチンとエストロゲンの組み合わせ、及び保護剤からなる。
【0054】
本明細書中に与えられている例から当然のことながら、封入効率は高く、標準的に80%超、例えば85%超程度、例えば90%超である。よって、封入効率は、標準的に80〜100%の範囲内、例えば85〜100%の範囲内程度、例えば90〜100%の範囲内にある。本明細書中に使用されるとき、「封入効率」という用語は、被保護粒子の中に封入された治療活性物質の量対被保護粒子の作製に使用した活性物質の量の比率を意味する。
【0055】
「水溶性フィルムマトリックス」という用語は、本明細書中に使用されるとき、水溶性高分子、少なくとも1種類のプロゲスチンと少なくとも1種類の保護剤を含んでなる粒子、及び任意に水溶性高分子中に溶解又は分散されたその他の補助剤を含んでなるか又はそれらからなる薄いフィルムを指す。本明細書中に使用されるとき、「水溶性高分子」という用語は、水中に少なくとも一部が可溶性である、そして好ましくは水中に完全に又は主に可溶性である、あるいは水を吸収する重合体を指す。水を吸収する重合体は、「水膨潤性」重合体」と呼ばれることも多い。本発明に有用な材料は、室温(約20℃)やその他の温度、例えば室温を超える温度などにて水溶性又は水膨潤性であってもよい。そのうえ、上記材料は、大気圧より低い圧力にて水溶性又は水膨潤性であることもできる。好ましくは、水溶性高分子は、少なくとも20重量%の水の取り込みがある水溶性又は水膨潤性のものである。25重量%又はそれを超える水の取り込みがある水膨潤性重合体もまた有用である。かかる水溶性高分子から形成されている本発明の単位剤形は、望ましくは体液、特に唾液との接触で溶解可能であるくらい十分に水溶性である。
【0056】
(標準的に水溶性フィルムマトリックスの大半を構成する)水溶性マトリックス重合体は、セルロース系材料、合成重合体、ゴム、タンパク質、デンプン、グルカン及びその混合物からなる群から選択できる。
【0057】
本明細書中に記載されている目的に好適なセルロース系材料に関する例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びその組み合わせが挙げられる。特に好ましいセルロース系材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースであり、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0058】
合成重合体に関する例としては、医薬品の即時放出(IR)コーティングとして一般的に使用される重合体、例えばポリビニールアルコールポリエチレングリコール(PVA−PEG)コポリマーなどが挙げられるが、それは商品名Kollicoat(登録商標)IRとして様々な等級が市販されている。合成重合体に関する更なる例としては、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸誘導体が挙げられる。先に挙げた合成重合体、特にPVA−PEGコポリマーを使用する更なる利点は、それらが6位及び/又は7位において非置換であるプロゲスチン及びエストロゲンの酸化的分解反応を制限することによって単位剤形中に存在している治療活性物質に対して安定化効果を与えることである。この効果は、治療活性物質(標準的にエストロゲン)がフィルムマトリックス中に分散されているとき、特に分子状に分散されているときにとりわけ顕著である。こうした分解は、当該技術分野で周知であり、そして最終的な固形製剤の貯蔵期限と関連した定型的は問題である(例えばT.Hurley et al.Steroids 2002;67;165−174及びVan D.Reif et al.Pharmaceutical Research 1987;4;54−58を参照のこと)。安定化効果は、特に以下のエストロゲン化合物:
【0059】
エチニルエストラジオール、エストラジオールの治療として許容される誘導体を含めたエストラジオール、エストロン、メストラノール、エストリオール、コハク酸エストリオール、及び(硫酸エストロン、17β−エストラジオール硫酸及び17α−エストラジオール硫酸などの抱合ウマエストロゲンを含めた)抱合エストロゲン、
並びに以下のプロゲスチン:
【0060】
レボ−ノルゲストレル、ノルゲストレル、ノルエチンドロン(ノルエチステロン)、ジエノゲスト、酢酸ノルエチンドロン(ノルエチステロン)、二酢酸エチノジオール、ノルエチノドレル、アリルエストレノール、リネストレノール、ノルゲストリエノン、エチステロン、プロメゲストン、デソゲストレル、3−ケト−デソゲストレル、ノルゲスチメート及びゲストデン、
に関して観察されることができる。
【0061】
水溶性ゴムに関する例としては、アラビアゴム、キサンタンガム、トラガント、アカシア、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸塩、及びその組み合わせが挙げられる。
【0062】
有用な可溶性タンパク質重合体としては、ゼラチン、ゼイン、グルテン、ダイズたんぱく、ダイズタンパク質分離物、ホエータンパク質、ホエータンパク質分離物、カゼイン、レビン(levin)、コラーゲン、及びその組み合わせが挙げられる。
【0063】
有用なデンプンに関する例としては、ゼラチン化、加工又は未加工デンプンが挙げられる。デンプンの起源は異なっていてもよく、プルラン、タピオカ、コメ、トウモロコシ、ジャガイモ、コムギ、及びその組み合わせが挙げられる。
【0064】
(本発明に従って使用され得る)追加の水溶性高分子としてはデキストリン、デキストラン及びその組み合わせ、並びにキチン、キトサン及びその組み合わせ、ポリデキストロース及びフルクトース・オリゴマーが挙げられる。
【0065】
本発明の単位剤形中に組み込まれるプロゲスチンの量もまた、もちろん選択されたプロゲスチンの効力に依存しているが、通常、単位剤形に基づいて計算された0.1〜30%(w/w)の範囲内にある。標準的に、本発明の単位剤形に組み込まれるプロゲスチンの量は、0.5〜25%(w/w)、例えば1〜20%(w/w)程度、好ましくは1〜15%(w/w)、2〜10%(w/w)、例えば約6%(w/w)又は約7.5%(w/w)程度である。
【0066】
先に述べたとおり、単位剤形は好ましくはプロゲスチン成分としてドロスピレノンを含んでいる。そして、単位剤形は、標準的に0.25〜5mgのドロスピレノン、例えば1〜4mg程度のドロスピレノン、例えば2〜4mg程度のドロスピレノン、好ましくは2.5〜3.5mgのドロスピレノン、最も好ましくは約3mgのドロスピレノンを含んでいる。先に述べたとおり、ドロスピレノンは、シクロデキストリンと複合化されてもよい。
【0067】
好ましいプロゲスチンはドロスピレノンであるが、実際にはその他のプロゲスチンの取り込みもまた本発明の範囲内にある。より特に、単位剤形は、0.05〜0.5mg、好ましくは0.075〜0.25mg、例えば0.1mg、0.125mg又は0.15mg程度の量でデソゲストレルを含んでなることもでき;0.25〜2mg、好ましくは0.75〜1.5mg、例えば1mg程度の量で二酢酸エチノジオールを含んでなることもでき;0.025〜0.3mg、好ましくは0.075〜0.25mg、例えば0.1mg又は0.15mg程度の量でレボ−ノルゲストレルを含んでなることもでき;
【0068】
0.2〜1.5mg、好ましくは0.3〜1.25mg、例えば0.4mg、0.5mg又は1mg程度の量でノルエチンドロン(ノルエチステロン)を含んでなることもでき;0.5〜2mg、好ましくは1〜1.5mg、例えば1mg又は1.5mg程度の量で酢酸ノルエチンドロン(ノルエチステロン)を含んでなることもでき;0.1〜1mg、好ましくは0.25〜0.75mg、例えば0.3mg又は0.75mg程度の量でノルゲストレルを含んでなることもでき;0.1〜0.5mg、好ましくは0.15〜0.3mg、例えば0.18mg、0.215mg又は0.25mg程度の量でノルゲスチメートを含んでなることもでき;0.5〜3mg、好ましくは1〜2mg、例えば2mg程度の量で酢酸シプロテロンを含んでなることもでき;
【0069】
0.25〜4mg、例えば1〜4mg程度、好ましくは2〜3mg、より好ましくは2mgの量でジエノゲストを含んでなることもでき;0.01〜0.1mg、例えば0.025〜0.1mg程度、例えば0.05〜0.1mg、好ましくは0.06〜0.075mg、例えば0.060mg又は0.075mg程度の量でゲストデンを含んでなることもでき;そして2〜3mg、例えば2.5mg程度の量でチボロンを含んでなることもできる。先に述べたとおり、最も好ましいプロゲスチンは、ゲストデン、ジエノゲスト及びドロスピレノンであり、特にドロスピレノンである。
【0070】
水溶性マトリックス重合体、及びプロゲスチンと保護剤を含んでなる粒子に加えて、本発明の単位剤形は各種の様々な補助成分、例えば味マスキング剤など;感覚刺激剤、例えば甘味料、味修飾物質及び香味料など;泡止め剤及び消泡剤;可塑剤;界面活性剤;乳化剤;粒子の湿潤を改善する作用物質;増粘剤;結合剤;冷感剤;メントールなどの唾液刺激物質;抗微生物剤;着色料などを含むこともできる。本発明の好ましい実施形態において、単位剤形は吸収促進薬を含んでいない。
【0071】
好適な甘味料としては、天然甘味料と人工甘味料の両方が挙げられる。
好適な甘味料の具体例としては、例えば:
a)水溶性甘味剤、例えば糖アルコール、単糖、二糖及び多糖など、例えばマルチット、キシリット、マンニット、ソルビット、キシロース、リボース、グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(レブロース)、スクロース(糖)、マルトース、転化糖(ショ糖由来のフルクトースとグルコースの混合物)、部分加水分解デンプン、コーンシロップ固体、ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、及びグリチルリチンなど;
【0072】
b)水溶性人工甘味料、例えば可溶性サッカリン塩など、すなわちナトリウム若しくはカルシウム・サッカリン塩、シクラミン酸塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム、アンモニウム若しくはカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシド(アセスルファム−K)のカリウム塩、サッカリンの遊離酸形態など;
【0073】
c)ジペプチド・ベースの甘味料、例えば甘味料を誘導した、例えばL−アスパラギン酸由来の甘味料など、例えばL−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、L−アルファ−アスパルチル−N−(2,2,4,4,5−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5−ジヒドロフェニルグリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニンなど;
【0074】
d)天然の水溶性甘味料由来の水溶性甘味料、例えば(例えばsucralose(登録商標)の製品記述で知られている)普通の糖(ショ糖)の塩素処理誘導体など;並びに
e)タンパク質ベースの甘味料、例えばthaurnatoccous danielli(Thaurnatin I及びII)など、
が挙げられる。
【0075】
一般に、特定の単位剤形に関して所望された甘さのレベルを提供するために有効量の甘味料が利用されるが、この量は選択された甘味料によって異なる。この量は通常、単位剤形の約0.01%〜約20重量%、好ましくは約0.05%〜約10重量%になる。これらの量を使用して、任意選択の香味料オイルによって達成される香味のレベルとは独立に、所望の甘さのレベルを達成することができる。
【0076】
有用な香味料(着香料)としては、天然香味料と人工香味料が挙げられる。これらの着香料は、合成香味料オイルや着香芳香族化合物、及び/又はオイル、植物、葉、花、果実などに由来する含油樹脂及び抽出物、並びにその組み合わせから選択されることもできる。香味料オイルの制限されることのない例としては:スペアミント油、シナモン油、ペパーミント油、チョウジ油、ベイ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、セージ油、及びビターアーモンド油が挙げられる。同様に、人工、天然、又は合成果物香味料、例えばバニラ、チョコレート、コーヒー、ココア、並びに(レモン、オレンジ、ブドウ、ライム及びグレープフルーツを含めた)柑橘油、そして(リンゴ、セイヨウナシ、モモ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含めた)フルーツエッセンスも有用である。
【0077】
これらの着香料は、個別に又は組み合わせで使用することができる。個別又は組み合わせで使用されるかどうかは別にして、一般的に使用される香味料としては、ペパーミントなどのミント類、人工バニラ、シナモン誘導体、及び様々な果物香味料が挙げられる。シンナミルアセタート、シンナムアルデヒド、シトラール、ジエチルアセタール、ジヒドロカルビルアセタート、エウゲニルホルマート、p−メチルアニソールなどを含めたアルデヒドやエステルなどの着香料を使用することもできる。
【0078】
他のアルデヒド着香料に関する更なる例としては、アセトアルデヒド(リンゴ);ベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド);シンナムアルデヒド(シナモン);シトラール、すなわちアルファ・シトラール(レモン、ライム);ネラール、すなわちベータ・シトラール(レモン、ライム);デカナール(オレンジ、レモン);エチルバニリン(バニラ、クリーム);ヘリオトロピン、すなわちピペロナール(バニラ、クリーム);バニリン(バニラ、クリーム);アルファ−アミルシンナムアルデヒド(スパイシー且つフルーティな香味料);ブチルアルデヒド(バター、チーズ);バレルアルデヒド(バター、チーズ);シトロネラール(多くのタイプに改質される);デカナール(柑橘類の果実);アルデヒドC−8(柑橘類の果実);アルデヒドC−9(柑橘類の果実);アルデヒドC−12(柑橘類の果実);2−エチルブチルアルデヒド(ベリー類の果実);ヘキセナール、すなわちトランス−2(ベリー類の果実);トリル・アルデヒド(サクランボ、アーモンド);ベラトルムアルデヒド(バニラ);12,6−ジメチル−5−ヘプテナール、すなわちメロナール(メロン);2−ジメチルオクタナール(緑の果実);及び2−ドデセナール(柑橘類、マンダリン);サクランボ;ブドウ;メントールのような精油;その混合物などが挙げられるがこれらに制限される訳ではない。
【0079】
利用される着香料の量は通常好みの問題であり、香味料タイプ、個々の香味料、及び所望の強さなどの因子によって決まる。この量を変化させて、最終製品の所望の結果を得ることができる。こうした変更は、必要以上の実験を必要としない当業者の能力の範疇にある。一般に、フィルムマトリックスの約0.01%〜約10重量%の量が利用される。
【0080】
先に述べたとおり、単位剤形はまた、1種類以上の界面活性剤、1種類以上の乳化剤、及び/又はその他の粒子の湿潤を改善する助けとなる作用物質を包含することもできる。これは、フィルムマトリックスがエストロゲン(特にエチニルエストラジオール)をと含んでなる粒子を含んでなり、且つ、保護剤がワックス(特にカルナバ蝋)であるときに特に好まれる。
【0081】
界面活性剤に関する例としては、非イオン性、アニオン系、カチオン性、及び両性界面活性剤が挙げられる。特に、非イオン性界面活性剤が好まれる。
非イオン性界面活性剤に関する例としては、以下のものが挙げられるがこれらに制限される訳ではない:
【0082】
−天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキシドの反応産物。天然又は水素化ヒマシ油は、産物からPEG成分を任意に除去して約1:35〜約1:60のモル比でエチレンオキシドと反応させることもできる。Cremophor(登録商標)の商品名で入手可能なPEG−水素化ヒマシ油、特にCremophor(登録商標)S9(ポリオキシエチレン−400−モノステアラート)とCremophor(登録商標)EL(ポリオキシル35ヒマシ油)が特に好適である。
【0083】
−以下の製品:
−Tween(登録商標)20[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート]
−Tween(登録商標)40[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミタート]
−Tween(登録商標)60[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアラート]
−Tween(登録商標)65[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアラート]
−Tween(登録商標)80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート]
−Tween(登録商標)81[ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレアート]
−Tween(登録商標)85[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレアート]
を含めたTween(登録商標)の商品名で知られ、そして市販されているタイプのポリソルベート、例えばモノ−及びトリ−ラウリル、パルミチル、ステアリル、及びオレイル・エステルとしても知られているポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。PEG自体は界面活性剤として機能しないが、様々なPEG−脂肪酸エステルが有用な界面活性剤特性を有している。PEG−脂肪酸モノエステルの中でも、ラウリン酸、オレイン酸及びステアリン酸のエステルが最も有用である。
【0084】
−span、例えばソルビタンモノラウラート(span20)、ソルビタンモノステアラート(span60)及びソルビタンモノオレアート(span80)などとしても知られているソルビタン脂肪酸エステル。
−ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えば、Myrj(登録商標)の商品名で知られ、そして市販されているタイプのポリオキシエチレンステアラート。
【0085】
−例えば、Pluronic(登録商標)、Emkalyx(登録商標)及びPoloxamer(登録商標)の商品名で知られ、そして市販されているタイプの、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・コポリマー及びブロック・コポリマー。
−ジオクチルスルホスクシナート又はジ−[2−エチルヘキシル]−スクシナート。
−リン脂質、特にレシチン。好適なレシチンとしては、特にダイズ・レシチンが挙げられる。
【0086】
−PEGモノ−又はジ−脂肪酸エステル、例えばMiglyol(登録商標)840の商品名で知られ、そして市販されているPEGジカプリラート、PEGジラウラート、PEGヒドロキシステアラート、PEGイソステアラート、PEGラウラート、PEGリシノレアート、及びPEGステアラートなど。
−ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばBrij(登録商標)、例えばBrij(登録商標)92VやBrij(登録商標)35の商品名で市販されているものなど。
【0087】
−脂肪酸モノグリセリド、例えばグリセロールモノステアラートやグリセロールモノラウラート。
−サッカロース脂肪酸エステル。
−シクロデキストリン。
−トコフェロール・エステル、例えばトコフェリルアセタートやトコフェリル酸スクシナート。
−コハク酸エステル、例えばジオクチルスルホスクシナート又は関連化合物、例えばジ−[2−エチルヘキシル]−スクシナートなど。
【0088】
アニオン性界面活性剤に関する例としては、スルホスクシナート、ホスファート、スルファート及びスルホナートが挙げられるがこれらに制限される訳ではない。アニオン性界面活性剤の具体例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、アルファオレフィンスルホン酸塩、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレスエーテル硫酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、スルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウム、トリデシルエーテル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸トリエタノールアミンである。
【0089】
最終産物に望まれる結果を得るために量を変えることもできる。こうした変更は、必要以上の実験を必要としない当業者の能力の範疇にある。一般に、フィルムマトリックスの約0.01重量%〜約10重量%の量が利用され、好ましくはフィルムマトリックスの約0.05重量%〜5重量%が利用される。
【0090】
先に述べたように、単位剤形はまた、泡止め剤及び/又は消泡剤、例えばシメチコン(シメチコンはポリメチルシロキサンと二酸化ケイ素の組み合わせ物である)などを含むこともできる。シメチコンは、フィルム組成物から空気を減少させるか又は除去する泡止め又は消泡剤のいずれかとして働く。泡止め剤は組成物中への空気の導入を予防するのに役立つ一方で、消泡剤は組成物から空気を除去するのに役立つ。
【0091】
本発明の単位剤形は、最も好ましくは薄いフィルムの形態であるが、それは湿った口内環境に晒されたときにフィルムの広い表面積が素早く湿ることを主な要因として速く溶解する。通常軟らかく、砕けやすく及び/又はもろい速溶性錠剤と違って、フィルムは固形であり、且つ、強いが、それでも柔軟なので、特殊な包装を必要としない。先に示したように、フィルムは薄いので、患者のポケット、財布又はポケットブックの中に入れて持ち運びできる。
【0092】
フィルムは、雌の哺乳動物の舌下若しくは舌上、口蓋の上側、頬の内側又はあらゆる口内粘膜組織に適用することができる。フィルムは、長方形であっても、楕円形であっても、円形であっても、又は所望であれば、舌、口蓋又は頬の内側の形状に切られた固有の形状であってもよく、それが適用されてもよい。フィルムは急速に水和され、そしてそれがその後急速に崩壊する適用部位に付着する。
【0093】
本発明の単位剤形の寸法に関して、水溶性フィルム形成マトリックスが≦300μm、好ましくは≦250μm、より好ましくは≦200μm、最も好ましくは≦150μm、例えば≦120μm程度、例えば≦100μmの厚みを持つ乾燥フィルムに形成される。先の議論から当然のことながら、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子の粒度に関して、粒度、ひいてはフィルムマトリックスの厚さの具体的な範囲も、実際に選択された保護剤にいくらか依存している。しかしながら、フィルムマトリックスの厚さは、一般的に、10〜150μm、例えば20〜125μm程度、例えば30〜100μmの範囲内にあることが好まれる。より好ましくは、フィルムマトリックスの厚さは、35〜90μmの範囲内、特に40〜80μmの範囲内にある。具体的、且つ、好ましい例としては、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約110μm又は約120μmの厚さが挙げられる。
【0094】
従って、本発明のいくつかの実施形態において、フィルムマトリックスの厚さが≦300μmであり、且つ、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子が≦250μmのd90粒度を有するか;フィルムマトリックスの厚さが≦250μmであり、且つ、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子が≦200μmのd90粒度を有するか;フィルムマトリックスの厚さが≦200pmであり、且つ、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子が≦175μmのd90粒度を有するか;フィルムマトリックスの厚さが≦200pmであり、且つ、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子が≦150pmのd90粒度を有するか;フィルムマトリックスの厚さが≦150μmであり、且つ、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子が≦100μmのd90粒度を有するか;又はフィルムマトリックスの厚さが≦120μmであり、且つ、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子が≦100μmのd90粒度を有する。
【0095】
フィルムマトリックスの表面の寸法(表面積)は、標準的に2〜10cm2の範囲内、例えば3〜10cm2の範囲内程度、例えば3〜9cm2の範囲内、より好ましくは4〜8cm2の範囲内である。具体的、且つ、好ましい表面積の例としては、約4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5又は8cm2の表面積が挙げられる。最も好ましくは、表面積は、約5、5.5、6、6.5又は7cm2である。
【0096】
フィルムマトリックスの総重量は、標準的に例えば、5〜200mgの範囲内、例えば5〜150mgの範囲内程度、例えば10〜100mgの範囲内にある。より好ましくは、フィルムマトリックスの総重量は10〜75mgの範囲内、例えば10〜50mgの範囲内程度である。フィルムマトリックスの重量の具体的、且つ、好ましい例としては、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg又は約50mgの重量が挙げられる。
【0097】
単位剤形を調製し、そして第2層、すなわちそれが使用前、すなわち口腔内に導入される前にはそこから取り外されるところの支持体層又は裏当て層(ライナー)に付着させることもできる。好ましくは、支持体材料又は裏当て材料は、水溶性ではなく、そして好ましくは、ポリエチレン−テレフタラート、又は当業者に周知のその他の好適な材料からなることもできる。
【0098】
本発明の1つの実施形態において、単位剤形は唯一の治療活性物質としてプロゲスチンを含有する。しかしながら、本発明の興味深い実施形態において、単位剤形はさらにエストロゲンを含んでなる。
【0099】
本発明の1つの実施形態において、−プロゲスチンのように−エストロゲンは、エストロゲンを頬側経路を介して吸収させないような方法で、すなわちできるだけ少量のエストロゲンしか口内に溶解されない一方で、できるだけ多量のエストロゲンが胃及び/又は腸で溶解されるように単位剤形中に組み込まれる。これは、プロゲスチン成分に関して先に述べたのと同様の方法でエストロゲンを保護剤と組み合わせることによって達成することもできる。
【0100】
本発明の1つの特定の実施形態において、エストロゲンは、既にプロゲスチンを含んでいる粒子中に組み込まれる、すなわち本発明のこの実施形態に従って、少なくとも1種類のプロゲスチン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなる粒子は、少なくとも1種類のエストロゲンをさらに含んでなる。従って、別の態様において、本発明は、水溶性の薄いフィルムマトリックスを含んでなる単位剤形であって、
a)上述のフィルムマトリックスは、少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなり;
b)上述のフィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上述の粒子は少なくとも1種類のプロゲスチン、少なくとも1種類のエストロゲン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上述の粒子は≦280μmのd90粒度を有し;そして
c)上述のフィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形に関する。
【0101】
本発明の代替実施形態において、エストロゲンを、別個の粒子中、すなわち保護剤を含んでなるがプロゲスチンを含んでいない粒子中に組み込むこともできる。従って、更なる態様において、本発明は、水溶性の薄いフィルムマトリックスを含んでなる単位剤形であって、
a)上述のフィルムマトリックスは、少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなり;
b)上述のフィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上述の粒子は少なくとも1種類のプロゲスチン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上述の粒子は≦280μmのd90粒度を有し;
c)上述のフィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上述の粒子は少なくとも1種類のエストロゲン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上述の粒子は≦280μmのd90粒度を有し;そして
d)上述のフィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形に関する。
【0102】
エストロゲンは、エチニルエストラジオール、エストラジオールの治療として許容される誘導体を含めたエストラジオール、エストロン、メストラノール、エストリオール、コハク酸エストリオール、及び抱合エストロゲンからなる群から選択されることができる。より好ましくは、エストロゲンは、エチニルエストラジオール、エストラジオール、スルファミン酸エストラジオール、吉草酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストロン、メストラノール及び硫酸エストロンからなる群から選択される。本発明の非常に好ましい実施形態において、エストロゲンは、エチニルエストラジオール又はエストラジオールであり、特にエチニルエストラジオールである。
【0103】
エチニルエストラジオールが単位剤形中に存在しているとき、その単位剤形は、標準的に0.01〜0.05mgのエチニルエストラジオール、好ましくは0.02〜0.03mgのエチニルエストラジオールを含んでいる。エチニルエストラジオールの具体的な量としては、約0.01mg、約0.015mg、約0.020mg、約0.025mg又は約0.030mgが挙げられる。最も好ましくは、エチニルエストラジオールの量は、約0.02mgのエチニルエストラジオール又は約0.03mgのエチニルエストラジオールである。先に述べたとおり、エチニルエストラジオールは、シクロデキストリンと複合体化されていてもよい。よって、本発明の1つの特定の興味深い実施形態において、単位剤形は、約3mgのドロスピレノン及び約0.02mgのエチニルエストラジオールを含んでなるが、ここで、上記エチニルエストラジオールは、任意にシクロデキストリンと複合体化されている。本発明の別の特定の興味深い実施形態において、単位剤形は、約3mgのドロスピレノン及び約0.03mgのエチニルエストラジオールを含んでなる。
【0104】
エストラジオールが単位剤形中に存在しているとき、その単位剤形は、標準的に1〜3mgのエストラジオール、例えば約1mgのエストラジオール、約2mgのエストラジオール又は約3mgのエストラジオールなどを含んでいる。最も好ましくは、上記単位剤形は、約1mgのエストラジオールを含んでいる。よって、本発明の特定の興味深い実施形態において、単位剤形は、0.5、1又は2mgのドロスピレノン及び約1mgのエストラジオールを含んでなる。
【0105】
当然のことながら、粒子中に組み込まれるエストロゲンの具体的な量は別として、プロゲスチン及び保護剤を含んでなる粒子に関する先にされたその他のすべての記載が、プロゲスチンの有無にかかわらずかかる粒子が少なくとも1種類のエストロゲンを含んでいる態様及び実施形態に対して必要な変更を加えた上で適用される。言い換えれば、保護剤、溶解特性、水溶性マトリックス重合体などに関するすべての記載もまた、エストロゲンを含む粒子に適用されるので、当然のことながら、このことは、粒子がプロゲスチン、並びにエストロゲンを含有しているかどうか、又は粒子が唯一の治療活性物質としてエストロゲンを含有しているかどうかとは無関係である。
【0106】
上記で触れたように、保護剤がワックスであれば、界面活性剤をフィルムマトリックス中に含んでなることは、本発明のこの実施形態により好まれる。エストロゲンとワックスの間の重量比は、標準的に1:1〜1:4の範囲内にあり、例えば約1:1、約1:2、約1:3又は約1:4などである。
【0107】
本発明の他の実施形態において、−プロゲスチンとは対照的に−エストロゲンは、エストロゲンを頬側経路を経由して吸収させるように、すなわちできるだけ多量のエストロゲンが口内で溶解され、従って口内粘膜経路を経由して吸収されるような方法で単位剤形中に組み込まれる。これは、水溶性マトリックス重合体中に(いずれの保護剤も伴うことなく)エストロゲンを溶解することによって達成することができる。よって、より一層更なる態様において、本発明は、水溶性の薄いフィルムマトリックスを含んでなる単位剤形であって、
a)上述のフィルムマトリックスは、少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなるが、ここで、少なくとも1種類のエストロゲンが上述の水溶性マトリックス重合体中に分散されており、好ましくは分子状に分散されており;
b)上述のフィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上述の粒子は少なくとも1種類のプロゲスチン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上述の粒子は≦280μmのd90粒度を有し;そして
c)上述のフィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形に関する。
【0108】
エストロゲンは、エチニルエストラジオール、エストラジオールの治療として許容される誘導体を含めたエストラジオール、エストロン、メストラノール、エストリオール、コハク酸エストリオール、及び抱合エストロゲンからなる群から選択されることができる。より好ましくは、エストロゲンは、エチニルエストラジオール、エストラジオール、スルファミン酸エストラジオール、吉草酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストロン、メストラノール及び硫酸エストロンからなる群から選択される。本発明の非常に好ましい実施形態において、エストロゲンは、エチニルエストラジオール又はエストラジオールであり、特にエチニルエストラジオールである。
【0109】
当然のことながら、エストロゲン成分が本発明の先の実施形態(頬側投与)による単位剤形に組み込まれるとき、エストロゲンの生物学的利用能は、エストロゲンが保護剤を伴う本発明の実施形態と比較して増強される。このことは、今度は、先に述べたものより著しく低い投薬量のエストロゲンを使用することもできるという結果をもたらす。
【0110】
よって、エストラジオールが本発明のこの特定の実施形態による単位剤形中に組み込まれるのであれば、その単位剤形は、5〜1000μgのエストラジオール、例えば10〜750μg程度のエストラジオール、例えば25〜500μgのエストラジオールを含有する。標準的に、単位剤形は、10〜200μgのエストラジオール、例えば10〜60μg程度のエストラジオール又は≧60〜200μg程度のエストラジオールを含んでなる。
【0111】
好ましい実施形態において、単位剤形は、「超少」量のエストラジオール、すなわち10〜60μgのエストラジオール、例えば25〜60μg程度のエストラジオール、好ましくは30〜50μgのエストラジオール、より好ましくは40〜50μgのエストラジオール、例えば40、45、46又は50μgのエストラジオールを含有する。あるいは、「超少」量は、10〜60μgのエストラジオール、例えば10〜50μg程度のエストラジオール、好ましくは20〜40μgのエストラジオール、より好ましくは25〜35μgのエストラジオール、例えば約30μgのエストラジオールである。
【0112】
単位剤形はまた、「非常に少」量のエストラジオール、すなわち≧60〜200μgのエストラジオール、例えば70〜160μg程度のエストラジオール、例えば70〜150μgのエストラジオール、好ましくは80〜150μgのエストラジオール、例えば80〜120μg程度のエストラジオール又は120〜150μg程度のエストラジオールを含有することもできる。具体的なエストラジオール用量としては、80、85、90、100、115、120、130、150及び160μgのエストラジオールが挙げられる。
【0113】
単位剤形はまた、「中程度に少」量のエストラジオール、すなわち>200〜500μgのエストラジオール、例えば250〜300μg程度のエストラジオール、例えば260〜280μgのエストラジオール、より好ましくは265〜275μgのエストラジオール、例えば約270μgのエストラジオールを含有することもできる。
【0114】
更に他の実施形態において、単位剤形は、「少」量のエストラジオール、すなわち>500〜1000μgのエストラジオール、例えば>500〜750μg程度のエストラジオールの用量を含有することができる。
【0115】
単位剤形に組み込むことができるエストラジオールの用量の具体例としては、約10、12.5、15、20、30、40、45、46、50、60、70、80、85、90、100、115、120、130、150、160、180、200又は270μgのエストラジオールの用量が挙げられる。
【0116】
先に触れた用量は、好ましくは日用量に相当している。先に触れた用量が、無水エストラジオールに関して示されていることを理解すべきである。エストラジオールの水和物、例えばエストラジオール半水和物など、又はエストラジオールの医薬として許容されるエステル、例えば吉草酸エストラジオールなどが利用されるのであれば、当然のことながら、記載された用量の無水エストラジオールと治療的に同等である用量が使用されるべきである。無水エストラジオールの有効量が知られているとき、薬理学的/治療的に同等な用量のかかるその他の形態を決定することは、当業者にとって日常的なことである。
【0117】
エチニルエストラジオールが本発明のこの特定の実施形態による単位剤形中に組み込まれるのであれば、その単位剤形は、標準的に10〜20μgのエチニルエストラジオール、例えば約15又は20μg程度のエチニルエストラジオールを含有する。
【0118】
製造
本発明の単位剤形は、実施例に示されている、及びWO2007/073911に記載されている工程及び方法によって調製されることができる。
被保護粒子は、標準的に好適な有機溶剤中に保護剤を溶解させ、その後にプロゲスチンが加えられることによって調製される。保護剤の選択によって、(例えば保護剤としてカルナバ蝋が使用される場合には)保護剤がプロゲスチン粒子の表面上に被覆され、又は(例えば保護剤としてカチオン性ポリメタクリラート・コポリマーが使用される場合には)プロゲスチンが保護剤及びプロゲスチンを含んでなる粒子中に固体分散系として組み込まれる。
【0119】
有機溶剤の除去後に、得られた微小粒子が乾かされ、そして任意に製粉され、ふるいにかけられる。製粉装置は、粒子の特性と所望の粒度に従って選択され、例えばローターミル又はエアージェットミルが使用されてもよい。あるいは、プロゲスチンは、保護剤と一緒に溶解され、そして適温、例えば30〜50℃にて、例えば約35℃の温度にてスプレードライされることもできる。標準的に、約5〜50μmのd50粒度を有する被保護粒子は、スプレードライによって調製した。
【0120】
マトリックス重合体水溶液(コーティング溶液)は、標準的に好適な溶媒、例えば水やアルコールと水の混合物などに水溶性マトリックス重合体を加えることによって調製される。先に触れたように、被保護粒子がエストロゲン(特にエチニルエストラジオール)を含んでなり、且つ、保護剤がワックス(特にカルナバ蝋)であれば、界面活性剤が加えられることが好ましい。当然のことながら、水溶性マトリックス重合体を溶解するのに必要な時間と条件は、使用される重合体と溶媒に依存する。
【0121】
ある場合では、水溶性マトリックス重合体は、室温にて緩やかに撹拌するだけで容易に溶解できるのに対して、他の場合では、系に熱と激しい撹拌を加えることが必要である。典型的な実施形態において、混合物は、1〜4時間、好ましくは約2時間又は溶液を得るまで撹拌される。その溶液は、標準的に60〜80℃、例えば約70℃程度の温度にて撹拌される。室温に冷ました後に、被保護粒子は、少量の溶媒又は溶媒混合物中に任意に分散され、その後上記マトリックス重合体溶液中に注ぎ込まれ、そして完全に混合される。
【0122】
最終的な混合ステップ、さらに任意のプレ分散ステップもまた、例えば乳棒と乳鉢を使用することによって、又は適当なスターラー、例えばプロペラスターラーで撹拌することによって、又はハイシェアミキシングによって、又はローター−ステーター混合デバイス、例えばultra−turraxなどを使用することによって、及び/又は超音波を適用することによって、当業者に知られているいずれかの方法によって実施できる。得られた溶液(コーティング溶液)は、すぐに又は数日以内であれば、好ましくは一日以内であればコーティング処理に使用できる。様々な量の溶媒、マトリックス重合体などが、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、特に20〜40重量%、例えば約25重量%、約30重量%、約33重量%、約35重量%及び約40重量%といったコーティング溶液の固形分含量に達するように調整される。
【0123】
その他の賦形剤、補助成分及び/又は活性な原薬を、先に触れたステップのいずれの間にも加えることができる。
【0124】
先に述べたとおり、本発明の単位剤形はエストロゲンを含むことができるが、そのエストロゲンは水溶性フィルムマトリックス中に分散される、好ましくは分子状に分散される。この場合、そのエストロゲンは、好適な溶媒、例えばエタノール、及び/又はプロピレングリコールなどの中に溶解される。この溶液は、水溶性マトリックス重合体の添加前にコーティング溶液に使用される溶媒中に添加されることができる。あるいは、その溶液はまた、水溶性マトリックス重合体が既に溶解された後に添加されることもできる。この場合、その溶液は、最終的な混合ステップが実施されるより先に、被保護粒子の添加前、添加と一緒に又は添加後のいずれかで添加されることができる。
【0125】
必要とされれば、コーティング溶液は、好適な支持体層又は裏当て層(ライナー)上に広げられる前に脱気される。好適なライナーに関する例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)ライナー、例えばPerlasic(登録商標)LF75(Perlen Convertingから入手可能)、Loparex(登録商標)LF2000(Loparex BVから入手可能)及びScotchpack(登録商標)9742(3M Drug delivery Systemsから入手可能)などが挙げられる。本発明の1つの実施形態において、コーティング溶液は、好適なライナー上にスプレッディングボックスを用いて広げられ、そして室温にて12〜24時間乾かされる。そして、薄い不透明なフィルムが作製される。そのフィルムは、続いて所望の大きさや形状のピースに切断されるか又は打ち抜かれる。あるいは、上記コーティング溶液は、40〜100℃の乾燥温度を使用して(例えばCoatema Coating Machinery GmbH、Dormagen、Germanyによる)自動化されたコーティング及び乾燥装置を使用することで好適なライナー上に薄いフィルムとしてコーティングされ、そしてインライン乾燥される。そして、薄い不透明なフィルムが作製される。そのフィルムは、続いて所望の大きさや形状のピースに切断されるか又は打ち抜かれる。
【0126】
治療上の使用と投与
本明細書中の開示から明らかなように、本発明の単位剤形は、雌の哺乳動物の排卵抑制、すなわち雌の哺乳動物の避妊を提供するのに好適である。
【0127】
本発明の更なる興味深い実施形態において、本発明は、基本的には(21)、(22)、(23)又は(24)、特に(21)又は(24)の包装単位に入れられた個別に取り出し可能な単位剤形(ウエハー)、及び(7)、(6)、(5)又は(4)、特に(7)又は(4)のいずれの治療活性物質も含まない個別に取り出し可能な単位剤形(ウエハー)からなる医薬品又はキットに関する。本発明の他の実施形態において、上記の医薬品又はキットはいずれのプラシーボ・ウエハーも含まない、すなわち本発明は、基本的には(21)、(22)、(23)又は(24)、特に(21)又は(24)の包装単位に入った本発明による個別に取り出し可能な単位剤形(ウエハー)からなる医薬品又はキットに関する。上記単位剤形(ウエハー)は、例えば単独のパウチ、複数の単位ブリスターパックで個別に包装されてもよいし、上記単位剤形(ウエハー)は、例えば複数の単位ディスペンサーの中に一緒に包装されてもよい。
【0128】
上記製剤(又はキット)は、単相製剤、すなわちプロゲスチン及びエストロゲンの量が全21、22、23又は24日間一定のままである製剤であってもよい。あるいは、どちらか又は両方の活性物質(すなわちプロゲスチンとエストロゲン)の量が、21、22、23又は24日間を通して変化させて、多相製剤、例えば二相又は三相製剤、例えばUS 4,621,079に記載されているようなもの、を作り出してもよい。
【0129】
別の態様において、本発明は、不十分な内因性エストロゲンレベルによって引き起こされる雌の哺乳動物の身体状態、例えば骨粗鬆症、頭痛、吐き気、うつ病、血管運動症状、泌尿生殖器萎縮の症状、骨ミネラル濃度の低下、又骨折の危険性の増大若しくは発生などを処置するか、緩和するか又は予防するための本発明の単位剤形に関する。本発明の好ましい実施形態において、本発明に従って処置されるべき雌の哺乳動物は、閉経後の女性、特に子宮を摘出していない閉経後の女性である。
【0130】
更なる態様において、本発明は、雌の哺乳動物の排卵を同時に抑制するための、すなわち雌の哺乳動物の避妊を提供するための、及び不十分な内因性エストロゲンレベルによって引き起こされる雌の哺乳動物の身体状態、例えば骨粗鬆症、頭痛、吐き気、うつ病、血管運動症状、泌尿生殖器萎縮の症状、骨ミネラル濃度の低下又は骨折の危険性の増大若しくは発生などを処置するか、緩和するか又は予防するための、本発明の単位剤形に関する。特にこの処置の恩恵を受けることができる女性の群は、閉経周辺期(「閉経期移行期」と呼ばれることもある、North American Menopause Society:Menopause Practice:A Clinician’s Guide,3.Edition,2007を参照のこと)にある女性であり、それらの女性は、ホルモン補充療法を必要としているが、まだ避妊のための保護が必要である。本発明のこの実施形態によると、28日間の投与サイクルを通して、治療活性物質を含むウエハーが23日間又は24日間、特に24日間投与され、その後にいずれの治療活性物質も含まないウエハーの投与が5日間又は4日間、特に4日間続くのが好ましい。
【0131】
更に別の態様において、本発明は、にきびを処置するか、緩和するか又は予防するための本発明の単位剤形に関する。
更に別の態様において、本発明は、高血圧症を処置するか、緩和するか又は予防するための本発明の単位剤形に関する。
また別の態様において、本発明は、月経前症候群(PMS)及び/又は月経前不快気分障害(PMDD)を処置するか、緩和するか又は予防するための本発明の単位剤形に関する。
【0132】
更なる実施形態
1.水溶性の薄いフィルムマトリックスを含んでなる単位剤形であって、
a)上述のフィルムマトリックスは、少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなり;
b)上述のフィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上述の粒子は少なくとも1種類のプロゲスチン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上述の粒子は≦280μmのd90粒度を有し;そして
c)上述のフィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形。
【0133】
2.上述のプロゲスチンが上述の保護剤中に埋め込まれている、実施形態1に記載の単位剤形。
3.上述のプロゲスチンが上述の保護剤中に固体分散系の状態で存在している、実施形態2に記載の単位剤形。
4.上述のプロゲスチンが上述の保護剤でコートされている、実施形態1に記載の単位剤形。
【0134】
5.上述の保護剤がカチオン性ポリメタクリラートである、実施形態1〜4のいずれか1項に記載の単位剤形。
6.上述のカチオン性ポリメタクリラートが、ジ−C1-4アルキル−アミノ−C1-4アルキルメタクリラートと中性メタクリル酸C1-6アルキルエステルをベースとしたコポリマーである、実施形態5に記載の単位剤形。
7.上述のカチオン性ポリメタクリラートが、メタクリル酸ジメチルアミノエチルと中性メタクリル酸C1-4アルキルエステルをベースとしたコポリマーである、実施形態6に記載の単位剤形。
【0135】
8.上述のカチオン性ポリメタクリラートが、ジメチル−アミノエチルメタクリラート、メタクリル酸メチルエステル、及びメタクリル酸ブチルエステルをベースとしたコポリマーである、実施形態7に記載の単位剤形。
9.上述のカチオン性ポリメタクリラートが、ポリ(ブチルメタクリラート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリラート、メチルメタクリラート)1:2:1である、実施形態8に記載の単位剤形。
【0136】
10.上述の保護剤がワックスである、実施形態1〜4のいずれか1項に記載の単位剤形。
11.上述のワックスがカルナバ蝋である、実施形態10に記載の単位剤形。
12.上述の粒子が、≦250μmのd90粒度、例えば、≦200μm程度のd90粒度、好ましくは≦175μmのd90粒度、例えば≦150μm程度のd90粒度、例えば≦100μmのd90粒度を有する、実施形態1〜11のいずれか1項に記載の単位剤形。
13.上述の粒子が、30〜280μmの範囲内、例えば40〜250μmの範囲内程度、例えば50〜200μmの範囲内又は50〜150μmの範囲内のd90粒度を有する、実施形態1〜12のいずれか1項に記載の単位剤形。
【0137】
14.上述のプロゲスチンが、レボ−ノルゲストレル、ノルゲストレル、ノルエチンドロン(ノルエチステロン)、ジエノゲスト、酢酸ノルエチンドロン(ノルエチステロン)、二酢酸エチノジオール、ジドロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノルエチノドレル、アリルエストレノール、リネストレノール、酢酸キンゲスタノール、メドロゲストン、ノルゲストリエノン、ジメチステロン、エチステロン、酢酸クロルマジノン、メゲストロール、プロメゲストン、デソゲストレル、3−ケト−デソゲストレル、ノルゲスチメート、ゲストデン、チボロン、酢酸シプロテロン、ジエノゲスト及びドロスピレノンからなる群から選択される、実施形態1〜13のいずれか1項に記載の単位剤形。
【0138】
15.上述のプロゲスチンが、ドロスピレノン、ゲストデン及びジエノゲストからなる群から選択される、実施形態14に記載の単位剤形。
16.上述の単位剤形が、0.25〜5mgのドロスピレノン、例えば1〜4mg程度のドロスピレノン、例えば2〜4mgのドロスピレノン、好ましくは2.5〜3.5mgのドロスピレノン、最も好ましくは約3mgのドロスピレノンを含んでなる、実施形態15に記載の単位剤形。
【0139】
17.上述の水溶性マトリックス重合体が、セルロース系材料、ゴム、タンパク質、デンプン、合成重合体、グルカン及びその混合物からなる群から選択される、実施形態1〜16のいずれか1項に記載の単位剤形。
18.上述の水溶性マトリックス重合体がセルロース系材料である、実施形態17に記載の単位剤形。
【0140】
19.上述のセルロース系材料が、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、実施形態18に記載の単位剤形。
【0141】
20.上述のセルロース系材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースであり、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである、実施形態19に記載の単位剤形。
21.上述の水溶性マトリックス重合体が合成重合体である、実施形態17に記載の単位剤形。
22.上述の合成重合体がポリビニルアルコールポリエチレングリコール(PVA−PEG)コポリマーである、実施形態21に記載の単位剤形。
【0142】
23.上述のフィルムマトリックスが、≦250μm、好ましくは≦200μm、例えば≦150μm程度、より好ましくは≦120μm、例えば≦100μm程度の厚みを有する、実施形態1〜22のいずれか1項に記載の単位剤形。
24.上述のフィルムマトリックスが、10〜150μm、例えば20〜125μm程度、例えば30〜100μm、好ましくは35〜90μm、より好ましくは40〜80μmの範囲内の厚みを有する、実施形態23に記載の単位剤形。
25.上述の単位剤形が、少なくとも1種類のエストロゲンをさらに含んでなる、実施形態1〜24のいずれか1項に記載の単位剤形。
【0143】
26.水溶性の薄いフィルムマトリックスを含んでなる単位剤形であって、
a)上述のフィルムマトリックスは、少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなり;
b)上述のフィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上述の粒子は少なくとも1種類のプロゲスチン、少なくとも1種類のエストロゲン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上述の粒子は≦280μmのd90粒度を有し;そして
c)上述のフィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形。
【0144】
27.水溶性の薄いフィルムマトリックスを含んでなる単位剤形であって、
a)上述のフィルムマトリックスは、少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなり;
b)上述のフィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上述の粒子は少なくとも1種類のプロゲスチン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上述の粒子は≦280μmのd90粒度を有し;
c)上述のフィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上述の粒子は少なくとも1種類のエストロゲン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上述の粒子は≦280μmのd90粒度を有し;そして
d)上述のフィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形。
【0145】
28.水溶性の薄いフィルムマトリックスを含んでなる単位剤形であって、
a)上述のフィルムマトリックスは、少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなるが、ここで、少なくとも1種類のエストロゲンが上述の水溶性マトリックス重合体中に分散されており、好ましくは分子状に分散されており;
b)上述のフィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上述の粒子は少なくとも1種類のプロゲスチン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上述の粒子は≦280μmのd90粒度を有し;そして
c)上述のフィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形。
【0146】
29.上述のエストロゲンが、エチニルエストラジオール、エストラジオールの治療として許容される誘導体を含めたエストラジオール、エストロン、メストラノール、エストリオール、コハク酸エストリオール、及び抱合エストロゲンからなる群から選択される、実施形態25〜28のいずれか1項に記載の単位剤形。
【0147】
30.上述のエストロゲンが、エチニルエストラジオール、エストラジオール、スルファミン酸エストラジオール、吉草酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストロン、メストラノール及び硫酸エストロンからなる群から選択される、実施形態29に記載の単位剤形。
【0148】
31.上述のエストロゲンが、エチニルエストラジオール又はエストラジオールである、実施形態30に記載の単位剤形。
32.上述のエストロゲンがエチニルエストラジオールである、実施形態31に記載の単位剤形。
33.上述のエストロゲンがエストラジオールである、実施形態31に記載の単位剤形。
【0149】
34.上述の単位剤形が少なくとも1種類の界面活性剤を含んでなる、実施形態25〜33のいずれか1項に記載の単位剤形。
35.上述のフィルムマトリックスが少なくとも1種類の界面活性剤を含んでなる、実施形態26〜34のいずれか1項に記載の単位剤形。
【0150】
36.上記単位剤形を溶解液としての37℃、10mlの擬似唾液pH6.0の入ったビーカーの中に入れた場合に、3分以内に25%(w/w)未満、好ましくは20%(w/w)未満、より好ましくは15%(w/w)未満、最も好ましくは5%(w/w)未満のプロゲスチンしか単位剤形から溶解されない、実施形態1〜35のいずれか1項に記載の単位剤形。
【0151】
37.医薬品としての使用のための実施形態1〜36のいずれか1項に記載の単位剤形。
38.雌の哺乳動物の排卵抑制のための実施形態25〜36のいずれか1項に記載の単位剤形。
39.雌の哺乳動物の避妊を提供するための実施形態25〜36のいずれか1項に記載の単位剤形。
【0152】
40.実施形態25〜36のいずれか1項に記載の単位剤形を、それを必要としている雌の哺乳動物に投与する工程を含む、雌の哺乳動物の排卵抑制の方法。
41.実施形態25〜36のいずれか1項に記載の単位剤形を、それを必要としている雌の哺乳動物に投与する工程を含む、雌の哺乳動物の避妊を提供する方法。
【0153】
42.不十分な内因性エストロゲンレベルによって引き起こされる雌の哺乳動物の身体状態を処置するか、緩和するか又は予防するための、実施形態25〜36のいずれか1項に記載の単位剤形。
43.上述の身体状態が、骨粗鬆症、頭痛、吐き気、うつ病、血管運動症状、泌尿生殖器萎縮の症状、骨ミネラル濃度の低下、及び骨折の危険性の増大又は発生からなる群から選択される、実施形態42に記載の単位剤形。
【0154】
44.実施形態25〜36のいずれか1項に記載の単位剤形を、それを必要としている雌の哺乳動物に投与する工程を含む、不十分な内因性エストロゲンレベルによって引き起こされた雌の哺乳動物の身体状態を処置するか、緩和するか又は予防する方法。
【0155】
45.上述の身体状態が、骨粗鬆症、頭痛、吐き気、うつ病、血管運動症状、泌尿生殖器萎縮の症状、骨ミネラル濃度の低下、及び骨折の危険性の増大又は発生からなる群から選択される、実施形態44に記載の方法。
本発明は、以下の制限されることのない実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0156】
実施例1:保護剤を含んでなる粒子の調製
実施例1A:ドロスピレノン/カルナバ蝋
80gのカルナバ蝋(Pharm.Grade)を、透明な溶液を得るまで400rpmにて撹拌しながら、2リットル容の二重壁ガラスビーカー内、60℃にて1kgのn−ヘプタン中に溶解させた。
【0157】
撹拌速度を600rpmに調整しながら、80gの微粉化(d50=2.2μm;d90=4.8pm)ドロスピレノンを、塊にならないようにゆっくり上記溶液に加えた。混合物を、20℃/時間の冷却速度で20℃まで冷やして、カルナバ蝋でコートされた薬物を含有する微小粒子を得た。
【0158】
ドロスピレノンを含有する微小粒子を、酢酸セルロース濾過膜とガラスフィルターユニットを使用して濾過した。その微小粒子を、続いて300mlのエタノール(96%)で洗浄して、n−ヘプタン残留物及び封入されなかったドロスピレノンを取り除いた。
濾過した微小粒子を、ガラスボールに移し、そして30℃にて2時間乾燥させた。
【0159】
(ドロスピレノンが保護剤でコートされている)得られた被保護粒子のバッチは以下の粒度を有する。いくつかのバッチに関して、計測されたd90粒度が二次的な凝集に起因して高いことが明らかである。一次粒子の本当のd90粒度の値は、40〜60μmであると推定される。
【0160】
【表1】

【0161】
封入効率は90%超であった。
実施例1B:エチニルエストラジオール/カルナバ蝋
エチニルエストラジオールを含有する微小粒子を、80gのドロスピレノンの代わりに80gの微粉化(d50=1.5μm;d90=4.0μm)エチニルエストラジオールを使用して実施例1Aに記載のとおり調製した。
【0162】
(エチニルエストラジオールが保護剤でコートされている)得られた被保護粒子のバッチは以下の粒度を有する。いくつかのバッチに関して、計測されたd90粒度が二次的な凝集に起因して高いことが明らかである。一次粒子の本当のd90粒度の値は、30〜75μmであると推定される。
【0163】
【表2】

【0164】
封入効率は90%超であった。
実施例1C:ドロスピレノン/Eudragit(登録商標)E100(製粉)
20gのドロスピレノン及び80gのEudragit(登録商標)E100を、室温にて200rpmで1時間撹拌しながら、300ml容のガラスビーカー内でエタノールとアセトンの7+23(w+w)の混合物200ml中に溶解させた。透明な溶液を得た。
【0165】
そして、溶液をシリコーン処理した平なべに移した。溶液をフード内、周囲条件下で3日間乾燥させて、アセトンを取り除いた。官能試験を使用して、アセトンの不存在を示した。そうして得られた堅いフィルムは数ミリメートルの厚みを有しており、それを手作業で約10cm2の部分に分けた。これらの部分を、続いてドライアイスでの冷却下、ローター型ミル(Retsch ultra centrifugation mill ZM200)を使用して製粉した。製粉産物を100μmのメッシュを使用してふるいにかけた。(ドロスピレノンが保護剤中に固体分散系の状態で存在している)得られた被保護粒子は、34μmのd50粒度及び100μmのd90粒度を有する。被保護粒子は、その後の使用まで熱から守られて(例えば冷蔵庫内で)貯蔵される。封入効率は90%超であった。
【0166】
実施例1D:エチニルエストラジオール/Eudragit(登録商標)E100(製粉)
エチニルエストラジオールを含有する微小粒子を、20gのドロスピレノン/80gのEudragit(登録商標)E100の代わりに10gのエチニルエストラジオール/90gのEudragit(登録商標)E100を使用して実施例1Cに記載のとおり調製した。X線解析で確認すると、エチニルエストラジオールが保護剤中に固体分散系の状態で分子状に分散されていることがわかった。
(エチニルエストラジオールが保護剤中に分子分散型で存在している)得られた被保護粒子は、48μmのd50粒度及び136μmのd90粒度を有する。被保護粒子は、その後の使用まで熱から守られて(例えば冷蔵庫内で)貯蔵される。封入効率は90%超であった。
【0167】
実施例1E:エチニルエストラジオール/Eudragit(登録商標)E100(製粉)
実施例1Dによる実験を反復し、そして以下の粒度分布:d50粒度=46μm;d90粒度=122μmを得た。封入効率は90%超であった。
【0168】
実施例1F:ドロスピレノン/Eudragit(登録商標)E100(製粉)
実施例1Cによる実験を反復し、そして以下の粒度分布:d50粒度=40μm;d90粒度=129μmを得た。封入効率は90%超であった。
【0169】
実施例1G:ドロスピレノン/Eudragit(登録商標)E100(スプレードライ)
20gのドロスピレノン及び80gのEudragit(登録商標)E100を1000mlのエタノール(96%)中に溶解させ、そして実験室用スプレードライヤー(Buchi 190、Switzerland)でスプレードライ処理した。(ドロスピレノンが保護剤中に固体分散系の状態で存在している)得られた被保護粒子は、6.6μmのd50粒度及び57μmのd90粒度を有する。被保護粒子は、その後の使用まで熱から守られて(例えば冷蔵庫内で)貯蔵される。封入効率は90%超であった。
【0170】
実施例1H:エチニルエストラジオール/Eudragit(登録商標)E100(スプレードライ)
エチニルエストラジオールを含有する微小粒子を、ドロスピレノンの代わりにエチニルエストラジオールを使用して実施例1Gに記載のとおり調製した。X線解析で確認すると、エチニルエストラジオールは、保護剤中に固体分散系の状態で分子状に分散されていることがわかった。(エチニルエストラジオールが保護剤中に分子分散型で存在している)得られた被保護粒子は、10μmのd50粒度及び73μmのd90粒度を有する。被保護粒子は、その後の使用まで熱から守られて(例えば冷蔵庫内で)貯蔵される。封入効率は90%超であった。
【0171】
実施例1I:エチニルエストラジオール/Eudragit(登録商標)E100(スプレードライ)
エチニルエストラジオールを含有する微小粒子を、20gのエチニルエストラジオール/80gのEudragit(登録商標)E100の代わりに10gのエチニルエストラジオール/90gのEudragit(登録商標)E100を使用して実施例1Hに記載のとおり調製した。X線解析で確認すると、エチニルエストラジオールが、保護剤中に固体分散系の状態で分子状に分散されていることがわかった。(エチニルエストラジオールが保護剤中に分子分散型で存在している)得られた被保護粒子は、5.5μmのd50粒度及び13.8μmのd90粒度を有する。被保護粒子は、その後の使用まで熱から守られて(例えば冷蔵庫内で)貯蔵される。封入効率は90%超であった。
【0172】
実施例2:粒子を含有するフィルムマトリックス(コーティング)溶液の調製
実施例2A:Kollicoat(登録商標)IRマトリックス/ドロスピレノン粒子/エチニルエストラジオール粒子
43.96gのKollicoat(登録商標)IRを、100rpmにて2時間撹拌しながら、ガラスビーカー内で60〜80℃にて100mlの精製水中に溶解させた。透明な溶液を得た(重合体水溶液)。除熱後に、蒸発した水分を戻した。
【0173】
実施例1Aで調製した粒子(ドロスピレノン)6g及び実施例1Bで調製した粒子(エチニルエストラジオール)40mgを、撹拌しながらゆっくり重合体水溶液に加えた。撹拌スピードと時間を調整して、均一な分散液を得た(コーティング溶液)。
【0174】
実施例2B:Kollicoat(登録商標)IRマトリックス/ドロスピレノン粒子/エチニルエストラジオール粒子
コーティング溶液を、粒子の添加後に混合物をハイシェアホモジナイザによって均質化したことを除いて、実施例2Aに記載のとおり調製した。
【0175】
実施例2C:Kollicoat(登録商標)IRマトリックス/ドロスピレノン粒子/エチニルエストラジオール粒子
実施例1Aで調製した粒子(ドロスピレノン)88.9g及び実施例1Bで調製した粒子(エチニルエストラジオール)0.593gを、ハイシェアホモジナイザ(Becomix RW2.5)により222gの精製水と116gのエタノール96%の混合物中に均一に分散させた。1121gの精製水を加え、そして粒子分散液と混合した。粒子分散液を60〜80℃に温めた。651gのKollicoat IR(登録商標)を加え、そして溶解させて、均一に分散された被保護粒子を含有する重合体水溶液を得た(コーティング溶液)。コーティング溶液を室温まで冷ました後に、それを減圧下で一晩脱気した。
【0176】
実施例2D:Kollicoat(登録商標)IRマトリックス/ドロスピレノン粒子/エチニルエストラジオール粒子
43.96gのKollicoat(登録商標)IRを、100rpmで2時間撹拌しながら、ガラスビーカー内で60〜80℃にて80mlの精製水中に溶解させた。透明な溶液を得た(重合体水溶液)。除熱後に、蒸発した水分を戻した。実施例1Aで調製した粒子(ドロスピレノン)6g及び実施例1Bで調製した粒子(エチニルエストラジオール)40mgを、8mlのエタノールと12mlの水の混合物中に分散させ、次に撹拌しながら重合体水溶液に加えた。撹拌スピードと時間を調整して、均一な分散液を得た(コーティング溶液)。
【0177】
実施例2E:メントール/ドロスピレノン粒子/エチニルエストラジオール粒子を含有するKollicoat(登録商標)IRマトリックス
42.96gのKollicoat(登録商標)IRを、100rpmで2時間撹拌しながら、ガラスビーカー内で60〜80℃にて77mlの精製水中に溶解させた。透明な溶液を得た(重合体水溶液)。除熱後に、蒸発した水分を戻した。
1gのメントールを、周囲条件下、撹拌しながら、3mlのエタノール(96%)中に溶解させた(エタノール溶液)。
【0178】
実施例1Aで調製した粒子(ドロスピレノン)6g及び実施例1Bで調製した粒子(エチニルエストラジオール)40mgを、8mlのエタノールと12mlの水の混合物中に分散させ、次に撹拌しながら重合体水溶液に加えた。撹拌スピードと時間を均一な分散液を得るように調整した。続いて、エタノール溶液を加えた(コーティング溶液)。
【0179】
実施例2F:Kollicoat(登録商標)IRマトリックス/エチニルエストラジオール/ドロスピレノン粒子
222mgのエチニルエストラジオールを、ハイシェアミキサー(Becomix 2.5RW)により周囲条件下で撹拌しながら116.4gのエタノール(96%)中に溶解させた。続いて、222gの精製水を加えた(エタノール/水の溶液)。実施例1Aで調製した粒子(ドロスピレノン)89gを、エタノール/水の溶液中に分散させた。次に、1121gの精製水を加え、分散液と混合し、そして60〜80℃に加熱した。652gのKollicoat(登録商標)IRを加え、そして溶解させて、溶液を得た(コーティング溶液)。
【0180】
実施例2G:Kollicoat(登録商標)IRマトリックス/エストラジオール/ドロスピレノン粒子
実施例1Aで調製した粒子(ドロスピレノン)88.9gを、周囲温度にてハイシェアミキサー(Becomix 2.5RW)によりエタノール(96%)と精製水の1:1混合物474g中に分散させた(分散液)。
【0181】
1.39gのエストラジオール半水和物を、周囲条件下で撹拌しながら46.3gのエタノール(96%)中に溶解させた(エタノール溶液)。エタノール溶液を、次に分散液に加え、そして均質化した。続いて、155.6gのエタノール(96%)と785gの精製水の混合物を、滴下して加え、そして均質化した。そして、その混合物を60〜80℃に加熱した。650gのKollicoat(登録商標)IRを加え、そして溶解させて、溶液を得た(コーティング溶液)。
【0182】
実施例2H:Kollicoat(登録商標)IRマトリックス/吉草酸エストラジオール/ドロスピレノン粒子
43.882gのKollicoat(登録商標)IRを、100rpmで2時間撹拌しながら、ガラスビーカー内で60〜80℃にて78mlの精製水中に溶解させた。透明な溶液を得た(重合体水溶液)。除熱後に、蒸発した水分を戻した。
118mgの吉草酸エストラジオールを、周囲条件下で撹拌しながら2mlのエタノール(96%)中に溶解させた(エタノール溶液)。
【0183】
実施例1Aで調製した粒子(ドロスピレノン)6gを、8mlのエタノールと12mlの水の混合物中に分散させ、次に撹拌しながら重合体水溶液に加えた。撹拌スピードと時間は調整して、均一な分散液を得た(コーティング溶液)。続いて、エタノール溶液を加えた(コーティング溶液)。
【0184】
実施例2I:HPMCマトリックス/ドロスピレノン粒子/エチニルエストラジオール粒子
37.5gのソルビトール及び37.5gのプロピレングリコールを、ハイシェアミキサー(Becomix RW2.5)により750gの精製水中に溶解させた。実施例1Cで調製した粒子(ドロスピレノン)150g及び実施例1Dで調製した粒子(エチニルエストラジオール)2gを、撹拌しながらゆっくり加え、そして均一な粒子分散液を得るまで均質化した。
273gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を水性粒子分散液上にばらまき、2時間それ以上加熱することなく撹拌及び均質化の下で溶解させた(コーティング溶液)。
【0185】
実施例2J:メントール/ドロスピレノン粒子/エチニルエストラジオール粒子を含有するHPMCマトリックス
3.75gのソルビトールを、ガラスビーカー内で60〜80℃にて58mlの精製水中に溶解させる。26.3gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を、上記水溶液上にばらまき、そして2時間それ以上加熱することなく撹拌下で溶解させる(重合体水溶液)。
3.75gのプロピレングリコール及び1gのメントールを、周囲条件下で撹拌しながら2mlのエタノール(96%)中に溶解させる(エタノール溶液)。
【0186】
実施例1Cで調製した粒子(ドロスピレノン)15g及び実施例1Dで調製した粒子(エチニルエストラジオール)200mgを、撹拌しながら冷やした(〜20℃)重合体水溶液にゆっくり加える。撹拌スピードと時間を調整して、均一な分散液を得る。続いて、エタノール溶液を加え、そして混合する(コーティング溶液)。
【0187】
実施例2K:HPMCマトリックス/エチニルエストラジオール/ドロスピレノン粒子
375gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を、ハイシェアミキサー(Beomix RW2.5)により60〜80℃にて900gの精製水中に溶解させる。続いて、その溶液を25〜45℃に冷やした(重合体水溶液)。空気の気泡を避けるために、重合体水溶液を減圧下で15〜20時間脱気する。
【0188】
181mgのエチニルエストラジオールを、周囲条件下で撹拌しながら45gのプロピレングリコール中に溶解させる(プロピレングリコール液)。
実施例1Cで調製した粒子(ドロスピレノン)186gを、混合及び均質化しながら冷やした(〜20℃)重合体水溶液にゆっくり加える。混合及び均質化スピード及び時間を調整して、均一な分散液を得る。続いて、プロピレングリコール液を加え、そして混合する(コーティング溶液)。
【0189】
実施例2L:HPMCマトリックス/エストラジオール/ドロスピレノン粒子
353gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を、ハイシェアミキサー(Beomix RW2.5)により60〜80℃にて850gの精製水中に溶解させる。続いて、その溶液を25〜45℃に冷やした(重合体水溶液)。空気の気泡を避けるために、重合体水溶液を減圧下で15〜20時間脱気する。
【0190】
1.1gのエストラジオール半水和物を、周囲条件下で撹拌しながら42.5gのプロピレングリコール中に溶解させる(プロピレングリコール液)。
実施例1Cで調製した粒子(ドロスピレノン)170gを、混合及び均質化しながら冷やした(〜20℃)重合体水溶液にゆっくり加える。混合及び均質化スピード及び時間を調整して、均一な分散液を得る。続いて、プロピレングリコール液を加え、そして混合する(コーティング溶液)。
【0191】
実施例2M:HPMCマトリックス/吉草酸エストラジオール/ドロスピレノン粒子
3.75gのソルビトールを、ガラスビーカー内で60〜80℃にて58mlの精製水中に溶解させる。27.382gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を、上記水溶液上にばらまき、そして2時間それ以上加熱することなく撹拌下で溶解させる(重合体水溶液)。
【0192】
3.75gのプロピレングリコール及び118mgの吉草酸エストラジオールを、周囲条件下で撹拌しながら2mlのエタノール(96%)中に溶解させる(エタノール溶液)。
【0193】
実施例1Cで調製した粒子(ドロスピレノン)15gを、撹拌しながら冷やした(〜20℃)重合体水溶液にゆっくり加える。撹拌スピードと時間を調整して、均一な分散液を得る。続いて、エタノール溶液を加える(コーティング溶液)。
【0194】
実施例2N:Kollicoat(登録商標)IRマトリックス/ドロスピレノン粒子/エチニルエストラジオール粒子
実施例1Aで調製した粒子(ドロスピレノン)88.9g及び実施例1Bで調製した粒子(エチニルエストラジオール)0.593gを、ハイシェアホモジナイザ(Becomix RW2.5)により0.05%(w/w)のTween(登録商標)80を含有している精製水の混合物460gの中に均一に分散させた。0.05%(w/w)のTween(登録商標)80を含有している精製水1000gを加え、そして粒子分散液と混合した。粒子分散液を60〜80℃に加熱した。651gのKollicoat IR(登録商標)を加え、そして溶解させて、均一に分散した被保護粒子を含有している重合体水溶液を得た(コーティング溶液)。コーティング溶液を室温に冷ました後に、それを減圧下で一晩脱気した。
【0195】
実施例3:ウエハーの調製
実施例3A
コーティング溶液を、脱気し、鋳造ナイフを用いてポリエチレン−テレフタラート(PET)ライナー(Perlasic(登録商標)LF75)上に広げ、そして室温にて24時間乾燥させた。約70μmの厚さを有する不透明なフィルムを生じた。7cm2サイズのサンプルを打ち抜くことによって、3mgのドロスピレノン含有量を含むウエハーを得た。
【0196】
実施例3B
コーティング溶液を、脱気し、そして自動コーティング及び乾燥装置(Coatema Coating Machinery GmbH、Dormagen、Germany)を使用してポリエチレン−テレフタラート(PET)ライナー(Perlasic(登録商標)LF75)上に薄いフィルムとしてコートし、そしてインライン乾燥させた。70℃の乾燥温度を適用した。約70μmの厚さを有する不透明なフィルムを生じた。7cm2サイズのサンプルを打ち抜くことによって、3mgのドロスピレノン含有量及び約50mgの総重量を有するウエハーを得た。
【0197】
実施例3C
コーティング溶液を、脱気し、そして自動コーティング及び乾燥装置(Coatema Coating Machinery GmbH、Dormagen、Germany)を使用してポリエチレン−テレフタラート(PET)ライナー(Perlasic(登録商標)LF75)上に薄いフィルムとしてコートし、そしてインライン乾燥させた。70℃の乾燥温度を適用した。約90μmの厚さを有する不透明なフィルムを生じた。5cm2サイズのサンプルを打ち抜くことによって、3mgのドロスピレノン含有量及び約50mgの総重量を有するウエハーを得た。
【0198】
実施例3D
コーティング溶液を、脱気し、そして自動コーティング及び乾燥装置(Coatema Coating Machinery GmbH、Dormagen、Germany)を使用してポリエチレン−テレフタラート(PET)ライナー(Perlasic(登録商標)LF75)上に薄いフィルムとしてコートし、そして、インライン乾燥させた。70℃の乾燥温度を適用した。約70μmの厚さを有する不透明なフィルムを生じた。5cm2サイズのサンプルを打ち抜くことによって、3mgのドロスピレノン含有量及び約35mgの総重量を有するウエハーを得た。
【0199】
実施例4:ポリスチレン標準粒子を含有するウエハーの調製
3.75gのソルビトール及び3.75gのプロピレングリコールを、ガラスビーカー内で60〜80℃にて60mlの精製水中に溶解させた。27.3gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を上記水溶液上にばらまき、そして2時間これ以上加熱せずに撹拌下で溶解させた。溶液を4つ調製した。
【0200】
それぞれ10μm、20μm、40μm、及び50μmの直径を有する4種類の異なった標準ポリスチレン粒子(Polymer Standard Servicesから入手)3.5gを、撹拌しながらゆっくり4つの溶液に加えた。撹拌スピードと時間を調整して、均一な分散液を得た(コーティング溶液)。
【0201】
コーティング溶液を、鋳造ナイフを用いてポリエチレン−テレフタラート(PET)ライナー(Perlasic(登録商標)LF75)上に広げ、そして室温にて24時間乾燥させた。約100μmの厚さを有する4枚の不透明なフィルムを生じ、それぞれのフィルムは約50%の異なった直径のポリスチレン標準粒子を含有していた。そのフィルムを5cm2サイズのサンプルに切った。5人の試験官からなる試験パネルは、ウエハーの官能口内感触を評価した。ウエハーを完全に無作為化し、且つ、すべてのウエハーが同じく見た。試験官には、ウエハーがいずれの活性化合物も含んでいないことが知らされたが、ウエハーの処方及び組成に関するそれ以上の情報は与えられなかった。スコアは、1(感じない)から5(砂のような及びザラザラした口内感触)であった。得られた結果(平均値)を以下にまとめる:
【0202】
【表3】

【0203】
先の結果から、粒度が得られたウエハーの口内感触の点で重要なことであると結論づけることができた。明らかに、粒子の直径が短いほど、口内感触がより改善した。
【0204】
実施例5:ドロスピレノンを含有し、且つ、保護剤を含有していないウエハーの調製
500mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を、2mlの精製水上にばらまき、60〜80℃にて2時間、撹拌下で溶解させた。
30mgの微粉化ドロスピレノンを、室温にて200rpmで1時間撹拌しながら上記溶液にゆっくり加えた。均一な分散液を得た(コーティング溶液)。
コーティング溶液を、実施例3Aに記載のとおり不透明なウエハーに成形した。
【0205】
実施例6:味の評価
味パネルが、実施例2A、2E、2I、及び実施例5(未保護ドロスピレノン)に記載のコーティング液から調製したウエハーの苦さ(ドロスピレノンには苦味がある)を評価した。すべてのウエハーを、実施例3Aに記載のとおり製造した。ウエハーを完全に無作為化し、且つ、すべてのウエハーが同じく見えた。試験官には、ウエハー中に存在している活性製剤原料と用量について知らされたが、ウエハーの具体的な処方については少しの情報も与えられなかった。試験官は、ウエハーを舌の上に置いて、そして3分間飲み込まずに崩壊させるようにアドバイスされた。その後、試験官は、すべての残留物を口から吐き出し、次いで水で口をすすがなければならなかった。
【0206】
実施例5に従って調製したウエハーには苦味がなかった。その他のウエハーのいずれについても苦味を検出できなかった。
さらに、試験官は、サンプルの官能口内感触を説明するように求められた。すべてのウエハー処方が許容できると評価された。
実施例7:処方
【0207】
【表4】

【0208】
【表5】

【0209】
【表6】

【0210】
【表7】

【0211】
【表8】

【0212】
【表9】

【0213】
【表10】

【0214】
【表11】

【0215】
【表12】

【0216】
【表13】

【0217】
【表14】

【0218】
【表15】

【0219】
【表16】

【0220】
この実施例に記載されている50mgと35mgのウエハーは、それぞれ7cm2と5cm2の表面積を有する。また、先に記載した50mgのウエハーに類似しているが、40mg又は45mgの総重量があるウエハーを、対応するより少量のマトリックス重合体を使用することによって同じように調製できる。当然のことながら、治療活性物質の量は、ウエハーの総重量及び表面寸法とは無関係に同じになる。
【0221】
同様に、先の実施例7A〜7AKに記載されたものと類似するが、3mgのドロスピレノンの代わりに2mgのジエノゲスト、0.06mgのゲストデン又は0.075mgのゲストデンを含有するウエハーを、より多量の対応するマトリックス重合体を使用することによって同じように調製できる。
【0222】
実施例8:試験管内溶出試験
実施例8A:口内の条件に相当する試験管内溶出試験
剤形を100ml容のガラスビーカーの底に置く。そして、37℃、10mlの擬似唾液 pH6.0(組成:1.436gのリン酸二ナトリウム二水和物、7.98gのリン酸−カリウム、及び8.0gの塩化ナトリウムを950mlの水中に溶解させ、pH6.0に調整し、そして1000mlに合わせる)を、そのビーカーに加える(溶解液)。実験は、(剤形の完全な湿潤を保証するために実験の最初の5秒以内に緩やかに浸透することを除いて)撹拌又は振盪をせずに実施される。3分後に、ビーカーの内容が目視により調べられ、その後液体のサンプルが取り出され、濾過され(Spartan 30Bフイルター)、そして原薬の内容物に関して分析される。
【0223】
実施例2Aに記載したコーティング溶液から調製し、そして実施例3Aに記載したとおり製造したウエハーを、先の口内の条件に相当する試験管内溶出試験にかけた。実験を三重反復試験で実施した。すべてのウエハーが3分後に完全に崩壊した。3分後に放出された個々のドロスピレノンの量は、それぞれ3.5%、2.8%、及び3.5%であった(平均3.3%)。
【0224】
実施例21に記載したコーティング溶液から調製し、そして実施例3Aに記載したとおり製造したウエハーを、先の口内の条件に相当する試験管内溶出試験にかけた。実験を三重反復試験で実施した。すべてのウエハーが3分後に完全に崩壊した。3分後に放出された個々のドロスピレノンの量は、それぞれ21.2%、20.4%、及び12.5%であった(平均18.0%。)。
【0225】
実施例8B:腸内の条件に相当する試験管内溶出試験
(単数若しくは複数の)原薬の放出を、溶解液として37℃の0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含有する0.05Mリン酸緩衝液pH6.0を1000ml、及び撹拌速度として50rpmを使用したUSP XXXIパドル法(装置2)によって調査する。
【0226】
実施例2Aに記載したコーティング溶液から調製し、そして実施例3Aに記載したとおり製造したウエハーを、先の腸内の条件に相当する試験管内溶出試験にかけた。約75%のドロスピレノンが15分後には溶解し、そして、約80%のドロスピレノンが30分後には溶解することがわかった。
【0227】
実施例2Iに記載したコーティング溶液から調製し、そして実施例3Aに記載したとおり製造したウエハーを、先の腸内の条件に相当する試験管内溶出試験にかけた。約95%のドロスピレノンが15分後には溶解することがわかった。
【0228】
実施例8C:胃腸管内の条件に相当する試験管内溶出試験
(単数若しくは複数の)原薬の放出を、溶解液として37℃の0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含有する0.05M酢酸緩衝液pH4.5を1000ml、及び撹拌速度として50rpmを使用したUSP XXXIパドル法(装置2)によって調査する。
【0229】
実施例7D、7K、7Pによる、そして実施例3Bに記載したとおり製造したウエハーを、先の胃腸管内の条件に相当する試験管内溶出試験にかけた。約95%のドロスピレノンが15分後には溶解することがわかった。
【0230】
実施例8D:胃腸管内の条件に相当する試験管内溶出試験
(単数若しくは複数の)原薬の放出を、溶解液として37℃の0.05M酢酸緩衝液pH4.5を1000ml、及び撹拌速度として50rpmを使用したUSP XXXIパドル法(装置2)によって調査する。
【0231】
7W、7X、7Yによる、そして実施例3Bに記載したとおり製造したウエハーを、先の胃腸管内の条件に相当する試験管内溶出試験にかけた。約90%のドロスピレノンが15分後には溶解することがわかった。
【0232】
実施例9:含量均一性
実施例7A、7D、7K、7P、7Xによる、そして実施例3Bに記載したとおり製造したウエハーを、合衆国薬局方(USP)による含量均一性試験にかけた。アッセイをHPLCを用いて測定した。以下の合格判定値を見出した。
【0233】
【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性の薄いフィルムマトリックスを含んでなる単位剤形であって、
a)上記フィルムマトリックスは、少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなり;
b)上記フィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上記粒子は少なくとも1種類のプロゲスチン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上記粒子は≦280μmのd90粒度を有し;そして
c)上記フィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形。
【請求項2】
上記プロゲスチンが上記保護剤中に埋め込まれている、請求項1に記載の単位剤形。
【請求項3】
上記プロゲスチンが上記保護剤中に固体分散系の状態で存在している、請求項2に記載の単位剤形。
【請求項4】
上記プロゲスチンが上記保護剤でコートされている、請求項1に記載の単位剤形。
【請求項5】
上記保護剤がカチオン性ポリメタクリラートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項6】
上記保護剤がワックスである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項7】
上記ワックスがカルナバ蝋である、請求項6に記載の単位剤形。
【請求項8】
上記粒子が、≦250μmのd90粒度、例えば≦200μm程度のd90粒度、好ましくは≦175μmのd90粒度、例えば≦150μm程度のd90粒度、例えば≦100μmのd90粒度を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項9】
上記粒子が、30〜280μmの範囲内、例えば40〜250μmの範囲内程度、例えば50〜200μmの範囲内又は50〜150μmの範囲内のd90粒度を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項10】
上記プロゲスチンが、レボ−ノルゲストレル、ノルゲストレル、ノルエチンドロン(ノルエチステロン)、ジエノゲスト、酢酸ノルエチンドロン(ノルエチステロン)、二酢酸エチノジオール、ジドロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノルエチノドレル、アリルエストレノール、リネストレノール、酢酸キンゲスタノール、メドロゲストン、ノルゲストリエノン、ジメチステロン、エチステロン、酢酸クロルマジノン、メゲストロール、プロメゲストン、デソゲストレル、3−ケト−デソゲストレル、ノルゲスチメート、ゲストデン、チボロン、酢酸シプロテロン、ジエノゲスト及びドロスピレノンからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項11】
上記プロゲスチンが、ゲストデン、ジエノゲスト及びドロスピレノンからなる群から選択される、請求項10に記載の単位剤形。
【請求項12】
上記単位剤形が、0.25〜5mgのドロスピレノン、例えば1〜4mg程度のドロスピレノン、例えば2〜4mgのドロスピレノン、好ましくは2.5〜3.5mgのドロスピレノン、最も好ましくは約3mgのドロスピレノンを含んでなる、請求項11に記載の単位剤形。
【請求項13】
上記水溶性マトリックス重合体が、セルロース系材料、ゴム、タンパク質、デンプン、合成重合体、グルカン、及びその混合物からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項14】
上記フィルムマトリックスが、≦250μm、好ましくは≦200μm、例えば≦150μm程度、より好ましくは≦120μm、例えば≦100μm程度の厚みを有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項15】
上記フィルムマトリックスが、10〜150μm、例えば20〜125μm程度、例えば30〜100μm、好ましくは35〜90μm、より好ましくは40〜80μmの範囲内の厚みを有する、請求項14に記載の単位剤形。
【請求項16】
上記単位剤形が、少なくとも1種類のエストロゲンをさらに含んでなる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項17】
請求項16に記載の単位剤形であって、
a)上記フィルムマトリックスが少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなり;
b)上記フィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上記粒子が少なくとも1種類のプロゲスチン、少なくとも1種類のエストロゲン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上記粒子が≦280μmのd90粒度を有し;そして
c)上記フィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形。
【請求項18】
請求項16に記載の単位剤形であって、
a)上記フィルムマトリックスが少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなり;
b)上記フィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上記粒子が少なくとも1種類のプロゲスチン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上記粒子が≦280μmのd90粒度を有し;
c)上記フィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上記粒子が少なくとも1種類のエストロゲン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上記粒子が≦280μmのd90粒度を有し;そして
d)上記フィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形。
【請求項19】
上記フィルムマトリックスが、少なくとも1種類の界面活性剤を含んでなる、請求項16〜18のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項20】
請求項16に記載の単位剤形であって、
a)上記フィルムマトリックスは少なくとも1種類の水溶性マトリックス重合体を含んでなるが、ここで、上記水溶性マトリックス重合体中に少なくとも1種類のエストロゲンが分散されており;
b)上記フィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、上記粒子が少なくとも1種類のプロゲスチン及び少なくとも1種類の保護剤を含んでなり、且つ、上記粒子が≦280μmのd90粒度を有し;そして
c)上記フィルムマトリックスが≦300μmの厚みを有する、
上記単位剤形。
【請求項21】
上記エストロゲンが、エチニルエストラジオール、エストラジオールの治療として許容される誘導体を含めたエストラジオール、エストロン、メストラノール、エストリオール、コハク酸エストリオール及び抱合エストロゲンからなる群から選択される、請求項16〜20のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項22】
上記単位剤形を溶解液としての37℃、10mlの擬似唾液pH6、0の入ったビーカーの中に入れた場合に、3分以内に25%(w/w)未満、好ましくは20%(w/w)未満、より好ましくは15%(w/w)未満、最も好ましくは5%(w/w)未満のプロゲスチンしか単位剤形から溶解されない、請求項1〜21のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項23】
医薬品としての使用のための請求項1〜22のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項24】
雌の哺乳動物の排卵抑制のための請求項16〜22のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項25】
雌の哺乳動物の避妊を提供するための請求項16〜22のいずれか1項に記載の単位剤形。

【公表番号】特表2011−530499(P2011−530499A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521597(P2011−521597)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060298
【国際公開番号】WO2010/015713
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】