説明

プロゲステロン受容体モジュレーターとしての三置換チオフェン

本発明は、新規な三置換チオフェン誘導体、それらを含有する製薬学的組成物ならびにプロゲステロン受容体のアゴニスト及びアンタゴニストにより媒介される障害及び疾患の処置又は予防におけるそれらの使用を目的とする。これらの化合物の臨床的使用はホルモン性避妊、続発性無月経、無月経、機能不全性子宮不正出血、子宮筋腫、子宮内膜症;多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜、卵巣、乳房、結腸又は前立腺のガン及び腺ガンの処置及び/又は予防に関する。本発明の追加の使用は、食物摂取の刺激を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規な三置換チオフェン誘導体、それらを含有する製薬学的組成物ならびにプロゲステロン受容体のアゴニスト及びアンタゴニストにより媒介される障害及び疾患の処置又は予防におけるそれらの使用を目的とする。これらの化合物の臨床的使用はホルモン性避妊、続発性無月経、無月経、機能不全性子宮不正出血、子宮筋腫(uterine
leiomyomata)、子宮内膜症;多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜、卵巣、乳房、結腸、前立腺のガン及び腺ガンの処置及び/又は予防に関する。本発明の追加の使用は、食物摂取の刺激を含む。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
細胞内受容体は、遺伝子タンパク質の調節に含まれる1つの種類の構造的に関連するタンパク質である。ステロイド受容体は、プロゲステロン受容体(PR)、アンドロゲン受容体(AR)、エストロゲン受容体(ER)、グルココルチコイド受容体(GR)及びミネラロコルチコイド受容体(MR)を含むこれらの受容体のサブセットである。そのような因子による遺伝子の調節は細胞内受容体及び遺伝子転写に影響するようなやり方で受容体に選択的に結合する能力を有する対応するリガンドを必要とする。
【0003】
プロゲステロン受容体モジュレーター(プロゲスタゲン)は、哺乳類発育及びホメオスタシスにおいて重要な役割を果たすことが知られている。プロゲステロンは乳腺発育、排卵及び妊娠の維持に必要であることが知られている。現在、ステロイド性プロゲスチンアゴニスト及びアンタゴニストは避妊、ホルモン置換療法(HRT)及び治療的流産のために臨床的に承認されている。さらに、子宮内膜症、子宮筋腫(フィブロイド)、機能不全性子宮不正出血及び乳ガンの処置におけるプロゲスチンアンタゴニストの価値に関して、優れた前臨床的及び臨床的証拠がある。
【0004】
現在のステロイド性プロゲスタゲンは全く安全であり、十分に許容されることが証明されている。しかしながら、単独の、又はエストロゲン性化合物と組み合わされたこれらのステロイド性プロゲスタゲンに帰せられる副作用(例えば乳房圧痛、頭痛、抑うつ及び体重増加)が報告されたことがある。
【0005】
1つの受容体に関するステロイド性リガンドは多くの場合に他のステロイド性受容体と交差−反応性を示す。例として、多くのプロゲスタゲンはグルココルチコイド受容体にも結合する。非−ステロイド性プロゲスタゲンはステロイドと分子的類似性を有しておらず、従って物理化学的性質、薬物動力学的(PK)パラメーター、組織分布(例えばCNS対末梢)における相違を予測することもでき、且つさらに重要なことに、非−ステロイド性プロゲスタゲンは他のステロイド受容体への交差−反応性を全く示さないか/より少なく示し得る。従って非−ステロイド性プロゲスタゲンは、予知可能な将来に生殖薬理学において主要な演者として現れそうである。
【0006】
プロゲステロン受容体は2つのイソ型、全−長プロゲステロン受容体イソ型(PR−B)及びそのもっと短い片方(PR−A)として存在することが知られていた。最近、プロゲステロン受容体ノックアウトマウス(PRKO、受容体のA−及びB−型の両方がない)、PR−Aイソ型に関して特異的に(PRAKO)及びPR−Bイソ型に関して特異的に(PRBKO)大打撃を受けた(knockoutting)マウスにつき、広範囲の研究が行なわれた。繁殖可能性、排卵子宮受容能(ovulation uterine receptivity)、子宮増殖、乳腺の増殖、雌のマウスにおける性的受容能、雄のマウスにおける性的活動及び雄のマウスにおける嬰子殺しの傾向に関する生理学研究において、PRKO、PRAKO及びPRBKOに関して種々の表現型が見出された。これらの発見は、選択的なプロゲステロン受容体モジュレーター(SPRM)のみでなく、PR−A又はPR−B選択的プロゲステロン受容体モジュレーターも構築するための見識を合成化学者に与えた。
【発明の開示】
【0007】
発明の概略
本発明は、式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
及びRは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール−アルキルより成る群から選ばれ;ここでシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリール−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−S(アルキル)、−SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR及びCFより成る群から独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
ここでRはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル−アルキルより成る群から選ばれ;
ここでQはO、S、NH、N(アルキル)及び−CH=CH−より成る群から選ばれ;ここでR及びRはそれぞれ独立して水素及びアルキルより成る群から選ばれるか;あるいはまたR及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルより成る群から選ばれる4〜8員環を形成し;ここでヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、CF又はシアノから独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
ここでRは水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル−アルキルより成る群から選ばれ;ここでシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、CF、ニトロ又はシアノから独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができるか;
あるいはまた、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C(O)を形成するか、又はシクロアルキルもしくはヘテロ−シクロアルキルを形成し、
は場合により最高で3個のRで置換されていることができるアリール又はヘテロ
アリールであり;
ここで
はハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、CF、SO(アルキル)、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)R、−OSi(R−OR、−SON(R、−O−(アルキル)1−4−C(O)R及び−O−(アルキル)1−4−C(O)ORより成る群から独立して選ばれ;
ここで各Rは水素、アルキル、アリール、アラルキルから独立して選ばれ;ここでアルキル、アリール又はアラルキル基は場合によりアルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−OC(O)−アルキル又は−C(O)O−アルキルから独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができるか;
あるいはまた2個のR基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル基を形成し;ここでヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ又はシアノから独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
はアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、ここでアリール又はヘテロアリールは場合により最高で3個のRで置換されていることができる]
の新規な三置換チオフェン又は製薬学的に許容され得るその塩を提供する。
【0010】
本発明の例は、製薬学的に許容され得る担体及び上記の化合物のいずれかを含んでなる製薬学的組成物である。本発明の例は、上記の化合物のいずれかと製薬学的に許容され得る担体を混合することにより調製される製薬学的組成物である。本発明の例は、上記の化合物のいずれか及び製薬学的に許容され得る担体を混合することを含んでなる製薬学的組成物の調製方法である。
【0011】
本発明を代表するものは、上記の化合物のいずれか又は製薬学的組成物の治療的に有効な量を患者に投与することを含んでなる、必要な患者において1種もしくはそれより多いプロゲステロン受容体により媒介される障害を処置する方法である。
【0012】
本発明の例は、必要な患者に式(I)の化合物とエストロゲン性化合物の治療的に有効な量を用いる共−治療を施すことを含んでなる、避妊方法である。
【0013】
本発明の他の例は、必要な患者における:(a)機能不全性不正出血、(b)子宮内膜症、(c)子宮筋腫、(d)続発性無月経、(e)多嚢胞性卵巣症候群、(f)子宮内膜、卵巣、乳房、結腸、前立腺のガン及び腺ガンの処置のため、(g)食物摂取の刺激のための薬剤の製造における本明細書に記載される化合物のいずれかの使用である。
【0014】
発明の詳細な記述
本発明は、プロゲステロン受容体により媒介される障害の処置に有用な式(I):
【0015】
【化2】

【0016】
[式中、R、R、R及びRは本明細書に定義される通りである]
の化合物を目的とする。さらに特定的に、本発明の化合物はプロゲステロン−A及びプロゲステロン−B受容体により媒介される障害の処置及び予防のために有用である。より好ましくは、本発明の化合物は組織選択的プロゲステロン受容体モジュレーターである。
【0017】
単独で又はエストロゲン性化合物と組み合わせて用いられる本発明のプロゲステロン受容体アンタゴニストを避妊ならびに良性及び悪性の腫瘍性疾患の処置及び/又は予防の方法において使用することができる。本発明の化合物及び製薬学的組成物の特定的使用には、子宮筋層フィブロイド、子宮内膜症、良性前立腺肥大;子宮内膜、卵巣、乳房、結腸、前立腺、下垂体のガン及び腺ガン、髄膜腫及び他のホルモン−依存性腫瘍の処置及び/又は予防が含まれる。本発明のプロゲステロン受容体アンタゴニストのさらなる使用には、家畜における発情の同期化(synchronization)が含まれる。
【0018】
単独で又は組み合わせて用いられる本発明のプロゲステロン受容体アゴニストを、避妊ならびに機能不全性不正出血、子宮筋腫、子宮内膜症;多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜、卵巣、乳房、結腸、前立腺のガン及び腺ガンの処置及び/又は予防の方法において使用することができる。本発明のさらなる使用には食物摂取の刺激が含まれる。
【0019】
本発明の1つの態様において、R及びRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、C(O)を形成するか、又はシクロアルキルもしくはヘテロ−シクロアルキルを形成する。
【0020】
他の態様において、Rはアリール、チエニル及びピリジニルより成る群から選ばれる。
【0021】
他の態様において、Rは置換されたアリールである。
【0022】
本発明のさらに別の態様において、RはC1−8アルキルである。
【0023】
本発明の1つの態様に、Rが4−ピリジニルであり、Rがアリール、ヘテロアリール、置換されたアリール、置換されたヘテロアリール又はC1−4アルキルである式(I)の化合物がある。
【0024】
薬剤中での使用のために、本発明の化合物の塩は無毒性の「製薬学的に許容され得る塩」を指す。しかしながら他の塩は、本発明に従う化合物又はそれらの製薬学的に許容され得る塩の製造において有用であり得る。化合物の適した製薬学的に許容され得る塩には酸付加塩が含まれ、それらは例えば化合物の溶液を製薬学的に許容され得る酸、例えば塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸の溶液と混合することにより製造することができる。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、その適した製薬学的に許容され得る塩はアルカリ金属塩、例えばナトリウムもしくはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムもしくはマグネシウム塩;ならびに適した有機リガンドと形成される塩、例えば第4級アンモニウム塩を含むことができる。かくして代表的な製薬学的に許容され得る塩には以下が含まれる:
酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウムエデテート、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、ジヒドロクロリド、酢酸塩、フマル酸塩、グルセプテート(gluceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオネート(lactobionate)、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、メチルブロミド、メチルナイトレート、メチルサルフェート、ムコ酸塩、ナプシレート(napsylate)、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、サブアセテート(subacetate)、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート(teoclate)、トシレート、トリエチオダイド(triethiodide)及び吉草酸塩。
【0025】
本発明は、本発明の化合物のプロドラッグをその範囲内に含む。一般にそのようなプロドラッグは化合物の官能基誘導体であり、それは生体内で必要な化合物に容易に転換可能である。かくして本発明の処置方法において、「投与する」という用語は、特定的に開示される化合物あるいは特定的に開示されないかも知れないが、患者への投与の後に生体内で特定の化合物に転換される化合物を用いる、記載される種々の障害の処置を包含するものとする。適したプロドラッグ誘導体の選択及び製造のための通常の方法は、例えば“Design of Prodrugs”,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
【0026】
本明細書で用いられる場合、「プロゲストゲンアンタゴニスト」という用語は、ミフェプリストン(mifepristone)、J−867(Jenapharm/TAP Pharmaceuticals)、J−956(Jenapharm/TAP Pharmaceuticals)、ORG−31710(Organon)、ORG−33628(Organon)、ORG−31806(Organon)、オナプリストン(onapristone)及びPRA248(Wyeth)を含むものとする。
【0027】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、「ハロゲン」は、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素を意味するものとする。
【0028】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、単独で用いられても置換基の一部として用いられても、「アルキル」という用語は、1〜8個の炭素原子の直鎖及び分枝鎖組成を含む。例えばアルキル基にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチルなどが含まれる。他にことわらなければ、アルキルと一緒に用いられる場合の「低級」は、1〜4個の炭素原子の炭素鎖組成を意味する。類似して、基「−(アルキル)0−4−」は、単独でも大きな置換基の一部としても、アルキル基の不在又は1〜4個の炭素原子を含んでなるアルキル基の存在を意味するものとする。適した例には−CH−、−CHCH−、CH−CH(CH)−、CHCHCH−、−CHCH(CH)CH−、CHCHCHCH−などが含まれるが、これらに限られない。
【0029】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、「アルコキシ」は、上記の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル基の酸素エーテル基を示すものとする。例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ヘキシルオキシなど。
【0030】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、「アリール」は、非置換炭素環式芳香族基、例えばフェニル、ナフチルなどを指すものとする。
【0031】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、「アラルキル」は、アリール基、例えばフェニル、ナフチルなどで置換された低級アルキル基を意味するものとする。適した例にはベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチルなどが含まれる。
【0032】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、「シクロアルキル」という用語は、安定な3〜8員単環式飽和環系、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを意味するものとする。
【0033】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、「シクロアルキル−アルキル」という用語は、シクロアルキル基で置換された低級アルキル基を意味するものとする。適した例にはシクロヘキシル−メチル、シクロペンチル−メチル、シクロヘキシル−エチルなどが含まれるが、これらに限られない。
【0034】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、「アシルオキシ」という用語は、式−O−C(O)−Rの基を意味するものとし、ここでRはアルキル、アリール又はアラルキルであり、ここでアルキル、アリール又はアラルキルは場合により置換されていることができる。本明細書で用いられる場合、「カルボキシレート」という用語は、式−C(O)O−Rの基を意味するものとし、ここでRはアルキル、アリール又はアラルキルであり、ここでアルキル、アリール又はアラルキルは場合により置換されていることができる。
【0035】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、「ヘテロアリール」は、O、N及びSより成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合によりO、N及びSより成る群から独立して選ばれる1〜3個の追加のヘテロ原子を含有することができる5もしくは6員単環式芳香族環構造;あるいはO、N及びSより成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合によりO、N及びSより成る群から独立して選ばれる1〜4個の追加のヘテロ原子を含有することができる9もしくは10員二環式芳香族環構造を示すものとする。ヘテロアリール基は、結果が安定な構造であるように、環のいずれのヘテロ原子又は炭素原子において結合することもできる。
【0036】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、「ヘテロアリール−アルキル」という用語は、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基を意味するものとする。適した例にはピリジル−メチル、イソキノリニル−メチル、チアゾリル−エチル、フリル−エチルなどが含まれるが、これらに限られない。
【0037】
本明細書で用いられる場合、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、O、N及びSより成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合によりO、N及びSより成る群から独立して選ばれる1〜3個の追加のヘテロ原子を含有することができる5〜7員単環式飽和もしくは部分的不飽和環構造;あるいはO、N及びSより成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合によりO、N及びSより成る群から独立して選ばれる1〜4個の追加のヘテロ原子を含有することができる9〜10員飽和、部分的不飽和もしくは部分的芳香族二環式環系を示すものとする。ヘテロシクロアルキル基は、結果が安定な構造であるように、環のいずれのヘテロ原子又は炭素原子において結合することもできる。
【0038】
適したヘテロアリール基の例には、ピロリニル、ピロリジニル、ジオキサラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、トリチアニル、インドリニル、クロメニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−ジヒドロベンゾフリルなどが含まれるが、これらに限られない。
【0039】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、「ヘテロシクロアルキル−アルキル」という用語は、ヘテロシクロアルキル基で置換された低級アルキル基を意味するものとする。適した例にはピペリジニル−メチル、ピペラジニル−メチル、ピペラジニル−エチル、モルホリニル−メチルなどが含まれるが、これらに限られない。
【0040】
特定の基が「置換されている」場合(例えばシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル)、その基は、置換基のリストから独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基、好ましくは1〜5個の置換基、より好ましくは1〜3個の置換基、最も好ましくは1〜2個の置換基を有することができる。さらに、アラルキル、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキル−アルキル又はシクロアルキル−アルキル基が置換されている場合、置換基は基のいずれの部分の上にあることもできる(すなわち置換基は基のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル又はアルキル部分の上にあることができる)。
【0041】
置換基に関し、「独立して」という用語は、1個より多いそのような置換基が可能な場合、そのような置換基が同じであるか、又は互いに異なることができることを意味する。
【0042】
本開示を通じて用いられる標準的な命名法の下に、指定される側鎖の末端位置を最初に記載し、結合の点に向かって隣接する官能基が続く。かくして例えば「フェニルC−CアルキルアミノカルボニルC−Cアルキル」置換基は式
【0043】
【化3】

【0044】
の基を指す。
【0045】
明細書、特にスキーム及び実施例で用いられる略語は以下の通りである:
Ac =アセチル基(−C(O)−CH
DCM =ジクロロメタン
DIPEA又はDIEA =ジイソプロピルエチルアミン
DMAP =N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF =ジメチルホルムアミド
ERT =エストロゲン置換療法
Et =エチル(すなわち−CHCH
EtOAc =酢酸エチル
FBS =胎児ウシ血清
HPLC =高圧液体クロマトグラフィー
HRT =ホルモン置換療法
LHMDS又はLiHMDS又は
(TMS)NLi又はLiN(TMS)=リチウムヘキサメチルジシラジンアミド
MeOH =メタノール
Ph =フェニル
PPTS =ピリジニウムp−トルエンスルホネート
TBAF =テトラ(n−ブチル)アンモニウムフルオリド
TBDMS =Tert−ブチルジメチルシラン
TBS =Tert−ブチル−ジメチル−シリル
TBSCl =Tert−ブチル−ジメチル−シリルクロリド
TEA又はEtN =トリエチルアミン
TFA =トリフルオロ酢酸
THF =テトラヒドロフラン
TMS =トリメチルシリル
TsOH =トルエンスルホン酸(Tosic acid)
【0046】
本明細書で用いられる「患者」という用語は、処置、観察又は実験の対象であった動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくは人間を指す。
【0047】
本明細書で用いられる場合「治療的な有効な量」という用語は、組織系、動物又は人間において、研究者、獣医師、医師あるいは他の臨床医が求めている生物学的もしくは医学的反応を引き出す活性化合物又は製薬学的薬剤の量を意味し、反応には処置されている疾患もしくは障害の症状の軽減が含まれる。本発明が1種もしくはそれより多い式Iの化合物及びプロゲストゲン又はプロゲストゲンアンタゴニストの投与を含んでなる共−治療を目的とする場合、「治療的な有効な量」は、組み合わされた効果が所望の生物学的もしくは医学的反応を引き出すように、一緒に摂取される薬剤の組み合わせの量を意味するものとする。例えば式Iの化合物及びプロゲストゲンの投与を含んでなる共−治療の治療的に有効な量は、一緒にもしくは逐次的に摂取される場合に治療的に有効である組み合わせ効果を有する式Iの化合物の量及びプロゲストゲンの量である。さらに、上記の例におけるような治療的に有効な量を用いる共−治療の場合、式Iの化合物の量及び/又はプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストの量は、個別に治療的に有効であっても良いか、又は有効でなくても良いことは、当該技術分野における熟練者により認識されるであろう。
【0048】
本明細書で用いられる場合、「共−治療」という用語は、1種もしくはそれより多い式Iの化合物をプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストと一緒に投与することによる、必要のある患者の処置を意味するものとし、ここで式Iの化合物及びプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストは適した手段により同時に、逐次的に、個別にあるいは単一の製薬学的調製物において投与される。式Iの化合物及びプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストが別の投薬形態物において投与される場合、各化合物に関する1日当たりに投与される投薬の回数は同じかもしくは異なることができる。式Iの化合物及びプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストを同じもしくは異なる投与経路を介して投与することができる。適した投与方法の例には、経口的、静脈内(iv)、筋肉内(im)、皮下(sc)、経皮的及び直腸的投与方法が含まれるが、これらに限られない。頭蓋内又は脊椎内針及び/又はポンプ装置を有するかもしくは有していないカテーテルを介する送達により、これらに限られないが大脳内、脳室内、大脳室内、包膜内、槽内、脊髄内及び/又は脊髄−周囲投与経路を含んで、化合物を神経系に直接投与することもできる。式Iの化合物及びプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストを同時もしくは交互管理に従って、治療の経過の間の同じもしくは異なる時点に、分けられたかもしくは単一の形態で同時に投与することができる。
【0049】
本明細書で用いられる場合、「組成物」という用語は、特定の量における特定の成分を含んでなる製品(product)、ならびに特定の量における特定の成分の組み合わせから直接もしくは間接に生ずる任意の製品を包含することが意図されている。
【0050】
が4−ピリジルであり、Rがアリールであり、R及びRがOである式(I)の化合物をスキーム1に概述される方法に従って製造することができる。
【0051】
さらに特定的に、既知の化合物又は既知の方法により製造される化合物である、X及びYがO又はSである式(II)の適切に置換された化合物を、酢酸、p−TSA、シュウ酸などのような有機酸の存在下に、THF、1,4−ジオキサン、エチルエーテルなどのような有機溶媒中で、0〜25℃の範囲内の温度で、既知の化合物である式(III)の化合物と反応させ、対応する式(IV)の化合物を与える。
【0052】
【化4】

【0053】
化合物IVを与えるための硫黄を用いる化合物II及びIIIの縮合は、Willgerodt−Kindler反応を含む種々のカップリング反応により行なうことができる。
【0054】
式(IV)の化合物をHC(OEt)又はHC(OMe)の存在下に、0〜250
℃の範囲内の温度で、既知の環状もしくは直鎖第2級アミンである適切に置換された式(V)の化合物と反応させ、対応する式(VI)の化合物を与える。
【0055】
従って、式(VI)の化合物をトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなどのような有機塩基;あるいはKCO、NaCOなどのような無機塩基の存在下に、MeOH、トルエン、ベンゼン、THF、塩化メチレンのような有機溶媒中で、25〜150℃の範囲内の高められた温度において、適切に置換されたブロモケトンと反応させ、対応する式(VII)の化合物を与える。
【0056】
有機プロトン酸、例えば酢酸、ショウノウスルホン酸、p−TSA、シュウ酸などの存在下に、アセトン、THF、1,4−ジオキサンなどのような有機溶媒中で式(VII)の化合物を脱保護し、式(VIII)の化合物を与える。
【0057】
当該技術分野における熟練者は、上記の方法内のいずれかの段階に、R、R及び/又はR、R基の1個もしくはそれより多くを保護するのが必要であるか及び/又は望ましいかも知れないことを認識するであろう。これは例えばProtective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991に記載されているもののような、既知の保護基ならびに既知の保護及び脱−保護試薬及び条件を用いて達成され得る。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
分子中の特定の位置における置換基又は変数の定義は、その分子中の他のどこかにおけるその定義と無関係であることが意図されている。化学的に安定であり、且つ当該技術分野において既知の方法ならびに本明細書に示される方法により容易に合成することができる化合物を与えるように、当該技術分野における通常の熟練者が本発明の化合物上の置換基及び置換パターンを選択できることは理解される。
【0061】
製薬学的又は生理学的に許容され得る酸もしくは塩基から誘導される塩の形態で本発明の化合物を用いることができる。これらの塩には以下の無機酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸ならびに場合次第で酢酸、シュウ酸、コハク酸及びマレイン酸のような有機酸との塩が含まれるが、これらに限られない。他の塩には、エステル、カルバメートの形態及び他の通常の「プロ−ドラッグ」形態におけるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム又はマグネシウムとの塩が含まれ、それらはそのような形態で投与されると生体内で活性部分に転換される。
【0062】
本発明は、好ましくは1種もしくはそれより多い製薬学的に許容され得る担体及び/又は賦形剤と組み合わされた1種もしくはそれより多い本発明の化合物を含んでなる製薬学的組成物を含む。本発明は避妊の方法ならびにプロゲステロン受容体と関連する疾患の処置もしくは予防方法も含み、該方法は、Rがアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキルアリール基である1種もしくはそれより多い上記の化合物の製薬学的に有効な量を、必要のある哺乳類に投与することを含んでなる。
【0063】
単独で又はエストロゲンもしくは部分的エストロゲンアンタゴニストと組み合わせて用いられる本発明のプロゲステロン受容体アンタゴニストを避妊ならびに良性及び悪性の腫瘍性疾患の処置及び/又は予防の方法において使用することができる。本発明の化合物及び製薬学的組成物の特定的使用には、子宮筋層フィブロイド、子宮内膜症、良性前立腺肥大;子宮内膜、卵巣、乳房、結腸、前立腺、下垂体のガン及び腺ガン、髄膜腫及び他のホルモン−依存性腫瘍の処置及び/又は予防が含まれる。本発明のプロゲステロン受容体アンタゴニストのさらなる使用には、家畜における発情の同期化が含まれる。
【0064】
避妊において用いられる場合、本発明のプロゲステロン受容体アンタゴニストを1日当たり0.1〜500mgの連続的投与において単独で、あるいはまた異なる管理において用いることができ、それは21日のプロゲスチンの後にプロゲステロン受容体アンタゴニストを用いる2〜4日の処置を伴う。この管理においては、0.1〜500mgのプロゲスチン(例えばレボノルゲストレル(levonorgestrel)、トリメゲストン
(trimegestone)、ゲストデン(gestodene)、ノレチンドロンアセテート(norethindrone acetate)、ノルゲスチメート(norgestimate)又はシプロテロンアセテート(cyproterone aectate))の毎日の投薬に0.1〜500mgの本発明のプロゲステロン受容体アンタゴニストの毎日の投薬が続く。
【0065】
単独で又は組み合わせて用いられる本発明のプロゲステロン受容体アゴニストを避妊ならびに機能不全性不正出血、子宮筋腫、子宮内膜症;多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜、卵巣、乳房、結腸、前立腺のガン及び腺ガンの処置及び/又は予防の方法において使用することもできる。本発明のさらなる使用には食物摂取の刺激が含まれる。
【0066】
避妊において用いられる場合、本発明のプロゲステロン受容体アゴニストは、好ましくはエストロゲンアゴニスト(例えばエチニルエストラジアオ(ethinyl estradiao))と組み合わせて、又は逐次的に用いられる。プロゲステロン受容体アゴニストの好ましい投薬量は1日当たり0.01mg〜500mgである。
【0067】
本発明は、好ましくは1種もしくはそれより多い製薬学的に許容され得る担体又は賦形剤と組み合わされた本明細書に記載される1種もしくはそれより多い化合物を含んでなる製薬学的組成物も含む。化合物が上記の用途のために用いられる場合、それらを1種もしくはそれより多い製薬学的に許容され得る担体又は賦形剤、例えば溶媒、希釈剤などと組み合させることができ、錠剤、カプセル、分散可能な粉剤、顆粒剤又は例えば約0.05〜5%の懸濁化剤を含有する懸濁剤、例えば約10〜50%の糖を含有するシロップならびに例えば20〜50%のエタノールを含有するエリキシル剤などのような形態で経口的に、あるいは無菌の注入可能な溶液又は等張媒体中に約0.05〜5%の懸濁化剤を含有する懸濁剤の形態で投与することができる。そのような製薬学的調製物は、例えば約25〜約90%の活性成分を、より普通には約5重量%〜60重量%の担体と組み合わせて含有することができる。
【0068】
用いられる活性成分の有効な投薬量は、用いられる特定の化合物、投与の様式及び処置されている状態の重度に依存して変り得る。しかしながら、一般に、本発明の化合物を、動物の体重のkg当たり約0.01〜約500mgの1日の投薬量で投与し、好ましくは1日に2〜4回の二重(dual)投薬量で、あるいは徐放性形態で与えると、満足できる結果が得られる。最も大きな哺乳類の場合、毎日の合計の投薬量は約1〜100mg、好ましくは約2〜80mgである。内部的使用に適した投薬形態物は、固体もしくは液体の製薬学的に許容され得る担体との緊密な混合物における約0.5〜500mgの活性化合物を含む。最適の治療的反応を与えるためにこの投薬量管理を調整することができる。例えば毎日数回の分割された投薬量を投与することができるか、あるいは治療的状況の危急性により示される通りに相対的に投薬量を減少させることができる。
【0069】
これらの活性化合物を経口的に、ならびに静脈内、筋肉内又は皮下経路により投与することができる。固体担体にはデンプン、ラクトース、リン酸二カルシウム、微結晶性セルロース、スクロース及びカオリンが含まれ、液体担体には、活性成分の性質及び所望の特定の投与の形態に応じて適宜、無菌水、ポリエチレングリコール、非−イオン性界面活性剤ならびに食用油、例えばコーン、ピーナッツ及びゴマ油が含まれる。風味剤、着色剤、防腐剤及び酸化防止剤、例えばビタミンE、アスコルビン酸、BHT及びBHAのような、製薬学的組成物の調製において通常用いられる助剤を有利に含むことができる。
【0070】
調製及び投与の容易さの観点から好ましい製薬学的組成物は固体組成物、特に錠剤及び固体−充填(hard−filled)又は液体−充填カプセルである。化合物の経口的投与が好ましい。
【0071】
これらの活性化合物を非経口的に、又は腹膜内に投与することもできる。遊離の塩基又は薬理学的に許容され得る塩としてのこれらの活性化合物の溶液又は懸濁剤を、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合された水中で調製することができる。グリセロール、液体、ポリエチレングリコール及び油中のそれらの混合物中で分散液を調製することもできる。通常の保存及び使用の条件下で、これらの調製物は微生物の成長を妨げるために防腐剤を含有する。
【0072】
注入可能な使用に適した製薬学的形態物には無菌の水溶液又は分散液及び無菌の注入可能な溶液又は分散液のその場での調製のための無菌の粉剤が含まれる。すべての場合に、形態物は無菌でなければならず、且つ容易な注射器適応性(syring ability)が存在する程度まで流体でなければならない。それは製造及び保存の条件下で安定でなければならず、且つバクテリア及び菌・カビのような微生物の汚染作用に対して防腐されねばならない。担体は、例えば水、エタノール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、それらの適した混合物及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であることができる。
【0073】
以下の制限ではない実施例は、本発明の化合物の製造及び使用を例示する。
【実施例1】
【0074】
A.1−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−2−ピリジン−4−イル−エタンチオン
【0075】
【化5】

【0076】
1−ピリジン−4−イル−エタノン(12.1g,0.1モル)、硫黄(3.36g,0.105モル)及び1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカンをp−トルエンスルホン酸(0.50g,2.8ミリモル)と混合し、120℃に3時間加熱した。スラリをMeOH(50mL)中に注いだ。明黄色の固体が析出した。これを濾過し、さらに20mLのMeOHで洗浄した。固体を乾燥し、生成物を与えた(24g,86.3%)。
H NMR(CDOD)δ8.41(m,2H),7.42(m,2H),4.35(m,4H),3.91(m,4H),3.78(m,2H),1.80(m,2H),1.48(m,2H).MS(m/z):279(MH)。
B.1−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−3−モルホリン−4−イル−2−ピリジン−4−イル−プロペンチオン
【0077】
【化6】

【0078】
1−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−2−ピリジン−4−イル−エタンチオン(20g,72ミリモル)、HC(OEt)(21.3g,144モル)、モルホリン(48g,55ミリモル)を125℃で4時間攪拌した。溶媒及び過剰の試薬を、ハウス真空(house vacumm)下に100℃において蒸留した。黄色の沈殿が現れた。0℃において30分の後、沈殿を集め、水(10mL)で洗浄し、吸気下で終夜乾燥し、生成物を与えた(20g,54%)。
H NMR(CDCl)δ8.32(m,2H),7.02(m,2H),6.40(s,1H),4.61(m,1H),4.30(m,1H),3.98(m,4H),3.70(m,6H),3.5(s,4H),3.20(m,2H),2.10(m,1H),1.80(m,2H).MS(m/z):376(MH)。
C.(3,4−ジクロロ−フェニル)−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−メタノン
【0079】
【化7】

【0080】
1−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−3−モルホリン−4−イル−2−ピリジン−4−イル−プロペンチオン(75mg,0.020ミリモル)、2−ブロモ−1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−エタノン(67mg,0.020ミリモル)をMeOH(1mL)中でEtN(21mg,0.02ml)と一緒に65℃で4時間攪拌した。これをEtOAc(20mL)で希釈し、ブラインで3回洗浄した。残留物を調製的シリカゲルプレートにより精製し(5%MeOH/CHCl)、生成物を黄色の固体として与えた(33mg,35%)。
H NMR(CDCl)δ8.6(m,2H),7.81(s,1H),7.61−7.47(m,5H),3.72(m,3.56(m,3H),3.52(s,4H),3.41(m,1H),3.23(m,4H),1.82(m,4H).MS(m/z):475(MH)。
【実施例2】
【0081】
[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−(4−フルオロ−フェニル)−メタノン
【0082】
【化8】

【0083】
実施例1cに記載される方法に従い、1−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−3−モルホリン−4−イル−2−ピリジン−4−イル−プロペ
ンチオン及び2−ブロモ−1−(4−フルオロ−フェニル)−エタノンを出発材料として用い、表題生成物を33%の収率で製造した。
H NMR(CDCl)δ8.61(dd,J=1.5および4.6Hz,2H),7.86−7.83(m,2H),7.53−7.50(m,3H),7.20−7.15(m,2H),3.98(s,4H),3.23(t,J=5.7Hz,4H),1.83(t,J=5.7Hz,4H);MS(m/z):425(MH)。
【実施例3】
【0084】
(4−クロロ−フェニル)−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−メタノン
【0085】
【化9】

【0086】
実施例1cに記載される方法に従い、1−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−3−モルホリン−4−イル−2−ピリジン−4−イル−プロペンチオン(374.5mg,1ミリモル)及び2−ブロモ−1−(4−クロロ−フェニル)−エタノン(233mg,1ミリモル)を出発材料として用い、表題生成物を29%の収率で製造した。
H NMR(CDCl)δ8.62−8.58(m,2H),7.78−7.74(m,2H),7.52−7.45(m,5H),3.98(s,1H),3.24(t,J=5.7Hz,4H),1.83(t,J=5.8Hz,4H);MS(m/z):441(MH);C2321ClNSについての計算値MH441.1039;実測値441.1025。
【実施例4】
【0087】
[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−(4−ニトロ−フェニル)−メタノン
【0088】
【化10】

【0089】
実施例1cに記載される方法に従い、1−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−3−モルホリン−4−イル−2−ピリジン−4−イル−プロペンチオン(374.5mg,1ミリモル)及び2−ブロモ−1−(4−ニトロ−フェニル)−エタノン(244mg,1ミリモル)を出発材料として用い、表題生成物を18%の収率で製造した。
H NMR(CDCl)δ8.61(dd,J=1.6および4.5Hz,2H),8.36−8.33(m,2H),7.95−7.92(m,2H),7.47−7.46(m,3H),3.99(s,4H),3.27(t,J=5.7Hz,4H),1.83(t,J=5.7Hz,4H);MZ(m/e):452(MH).HRMS:C2321Sについての計算値MH452.1280:実測値452.1286。
【実施例5】
【0090】
1−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−1−オン
【0091】
【化11】

【0092】
実施例1cに記載される方法に従い、1−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−3−モルホリン−4−イル−2−ピリジン−4−イル−プロペンチオン(374.5mg,1ミリモル)、1−ブロモ−ブタン−2−オン(90%,0.11mL,1ミリモル)を出発材料として用い、表題生成物を22%の収率で白色の固体として製造した。
H NMR(CDCl)δ8.62(dd,J=1.5および4.6Hz,2H),7.65(s,1H),7.55(dd,J=1.5および4.6Hz,2H),3.97(s,4H),3.17(t,J=5.7Hz,4H),2.85(q,J=7.4Hz,2H),1.82(t,J=5.7Hz,4H),1.23(t,J=7.4Hz,3H).MS(m/z):359(MH);HRMS:C1922Sについての計算値MH359.1429;実測値359.1420。
【実施例6】
【0093】
[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−フェニル−メタノン
【0094】
【化12】

【0095】
実施例1cに記載される方法に従い、2−ブロモ−1−フェニル−エタノンを出発材料として用い、表題生成物を28%の収率で黄色の固体として製造した。
H NMR(CDCl)δ8.56(m,2H),7.75(m,2H),7.5(m,6H),4.01(s,4H),3.23(m,4H),1.88(m,4H);MS(m/z):407(MH);HRMS:C2322Sについての計算値MH407.1429;実測値407.1436。
【実施例7】
【0096】
[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−(3−メトキシ−フェニル)−メタノン
【0097】
【化13】

【0098】
実施例1cに記載される方法に従い、2−ブロモ−1−(3−メトキシ−フェニル)−エタノンを出発材料として用い、表題生成物を24%の収率で黄色の固体として製造した。
H NMR(CDCl)δ8.65(m,2H),7.59−7.10(m,7H),3.95(s,4H),3.25(m,4H),1.82(m,4H);MS(m/z):437(MH);HRMS:C2424Sについての計算値MH437.1535;実測値437.1534。
【実施例8】
【0099】
(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−メタノン
【0100】
【化14】

【0101】
実施例1cに記載される方法に従い、1−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−2−ブロモ−エタノンを出発材料として用い、表題生成物を18%の収率で製造した。
H NMR(CDCl)δ8.60−7.39(m,7H),3.95(s,4H),3.28(m,4H),1.82(m,4H);MS(m/z):543(MH);HRMS:C2520Sについての計算値MH543.1177;実測値543.1157。
【実施例9】
【0102】
[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−(2−メトキシ−フェニル)−メタノン
【0103】
【化15】

【0104】
実施例1cに記載される方法に従い、1−(2−メトキシ−フェニル)−2−ブロモ−エタノンを出発材料として用い、表題生成物を23%の収率で製造した。
H NMR(CDCl)δ8.55(m,2H),7.45−7.30(m,7H),6.95(m,2H),3.95(s,4H),3.21(m,4H),1.81(m,4H);MS(m/z):437(MH);HRMS:C2424Sについての計算値MH437.1535;実測値437.1541。
【実施例10】
【0105】
(3−ブロモ−フェニル)−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−メタノン
【0106】
【化16】

【0107】
実施例1cに記載される方法に従い、1−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−2−ブロモ−エタノンを出発材料として用い、表題生成物を25%の収率で製造した。
H NMR(CDCl)δ8.61(m,2H),7.91−7.31(m,7H),3.94(s,4H),3.23(m,4H),1.81(m,4H);MS(m/z):485.487(MH);HRMS:C2321BrNSについての計算値MH485.0534;実測値485.0514。
【実施例11】
【0108】
1−(5−ベンゾイル−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル)−ピペリジン−4−オン
【0109】
【化17】

【0110】
[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−フェニル−メタノン(39.5mg,0.097ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(37mg,0.194ミリモル,2当量)、アセトン(2mL)及び水(1mL)の溶液を終夜加熱還流した。溶液を水で希釈し、4N水酸化ナトリウム又は1M炭酸ナトリウム溶液を用いてpH14まで塩基性とした。溶液を酢酸エチルで2回抽出した。有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、カラムクロマトグラフィーにより精製して生成物を黄色の固体として与えた(22mg,63%)。
H NMR(CDCl)δ8.61(m,2H),7.81−7.45(m,8H),3.46(m,4H),2.52(m,4H).MS(m/z):363(MH),385(MNa)。
【実施例12】
【0111】
1−[5−(3−メトキシ−ベンゾイル)−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−ピペリジン−4−オン
【0112】
【化18】

【0113】
実施例11に記載される方法に従い、[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−(3−メトキシ−フェニル)−メタノンを出発材料として用い、表題生成物を73%の収率で製造した。
H NMR(CDCl)δ8.65(m,2H),7.51−7.12(m,9H),3.42(m,4H),2.62(m,4H);MS(m/z):393(MH),391(MH);HRMS:C2220Sについての計算値MH393.1273;実測値393.1280。
【実施例13】
【0114】
1−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−ピペリジン−4−オン
【0115】
【化19】

【0116】
実施例11に記載される方法に従い、[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−(4−フルオロ−フェニル)−メタノンを出発材料として用い、表題生成物を69%の収率で製造した。
H NMR(CDCl)δ8.62−7.11(m,9H),3.42(m,4H),2.61(m,4H);MS(m/z):413(MNa),379(MH);HRMS:C2117FNSについての計算値MH381.1073;実測値381.1080。
【実施例14】
【0117】
1−[5−(3,5−トリフルオロメチル−ベンゾイル)−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−ピペリジン−4−オン
【0118】
【化20】

【0119】
実施例11に記載される方法に従い、(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−メタノンを出発材料として用い、表題生成物を33%の収率で黄色の固体として製造した。
H NMR(CDCl)δ8.65−7.42(m,8H),3.51(m,4H),2.61(m,4H);MS(m/z):499(MH),497(MH)。
【実施例15】
【0120】
1−[5−(2−メトキシ−ベンゾイル)−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−ピペリジン−4−オン
【0121】
【化21】

【0122】
実施例11に記載される方法に従い、(2−メトキシ−フェニル)−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−メタノンを出発材料として用い、表題生成物を48%の収率で黄色の固体として製造した。
H NMR(CDCl)δ8.62−6.97(m,9H),3.80(s,3H),3.42(m,4H),2.58(m,4H);MS(m/z):393(MH),391(MH);HRMS:C2220Sについての計算値MH393.1273;実測値393.1289。
【実施例16】
【0123】
1−[5−(4−クロロ−ベンゾイル)−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−ピペリジン−4−オン
【0124】
【化22】

【0125】
実施例11に記載される方法に従い、(4−クロロ−フェニル)−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオ
フェン−2−イル]−メタノンを出発材料として用い、表題生成物を74%の収率で製造した。
H NMR(CDCl)δ8.65−7.40(m,9H),3.41(m,4H),2.59(m,4H),MS(m/z):397(MH),395(MH);HRMS:C2117ClNSについての計算値MH397.0777;実測値397.0767。
【0126】
分析 C2117ClNSについての計算値,C,63.55%;H,4.32%;N,7.06%;
実測値,C,63.29%;H,4.20%;N,7.06%。
【実施例17】
【0127】
1−[5−(4−ニトロ−ベンゾイル)−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−ピペリジン−4−オン
【0128】
【化23】

【0129】
実施例11に記載される方法に従い、(4−ニトロ−フェニル)−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−メタノンを出発材料として用い、表題生成物を47%の収率で黄色の固体として製造した。
H NMR(CDCl)δ8.65−6.97(m,9H),3.24(m,4H),2.60(m,4H).MS(m/z):408(MH),407(MH);HRMS:C2117Sについての計算値MH408.1018;実測値408.1024。
【実施例18】
【0130】
1−(5−プロピオニル−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル)−ピペリジン−4−オン
【0131】
【化24】

【0132】
実施例11に記載される方法に従い、1−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−プロパン−1−オンを出発材料として用い、表題生成物を60%の収率で白色の固体として製造した。
H NMR(CDCl)δ8.68(m,2H),7.55(m,2H),3.41(m,4H),2.91(m,2H),2.56(m,2H),1.24(m,3H).
MS(m/z):315(MH),313(MH);HRMS:C1718Sについての計算値MH315.1167;実測値315.1171.
分析 C1718Sについての計算値,C,64.94%;H,5.77%;N,8.91%;実測値,C,64.16%;H,5.77%;N,8.52%。
【実施例19】
【0133】
1−[5−(3−ブロモ−ベンゾイル)−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル)−ピペリジン−4−オン
【0134】
【化25】

【0135】
実施例11に記載される方法に従い、(3−ブロモ−フェニル)−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−メタノンを出発材料として用い、表題生成物を %の収率で製造した。
HRMS:C2117Sについての計算値MH408.1018;実測値408.1028.
【実施例20】
【0136】
1−[5−(3−ブロモ−ベンゾイル)−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル)−ピペリジン−4−オン
【0137】
【化26】

【0138】
実施例11に記載される方法に従い、(3−ブロモ−フェニル)−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−メタノンを出発材料として用い、表題生成物を71%の収率で製造した。
H NMR(CDCl)δ8.68(m,2H),7.92−7.35(m,7H),3.43(m,4H),2.61(m,2H).MS(m/z):441(MH),439(MH);HRMS:C2117BrNSについての計算値MH441.0272;実測値441.0263.
分析 C2117BrNSについての計算値,C,57.15%;H,3.88%;N,6.35%;実測値,C,57.48%;H,3.93%;N,5.97%。
【実施例21】
【0139】
試験管内試験
T47Dヒト乳ガン細胞を、10%(v/v)熱−不活化胎児ウシ血清(FBS;Hy
clone)、1%(v/v)ペニシリン−ストレプトマイシン(Invitrogen)、1%(w/v)グルタミン(Invitrogen)及び10mg/mLインスリン(Sigma)を含有し、フェノールレッドを含まないRPMI培地(Invitrogen)中で生育させる。インキュベーション条件は、加湿された5%(v/v)二酸化炭素環境中の37℃である。アッセイのために、96−ウェル組織培養プレートにおいて、アッセイ培地[5%(v/v)木炭−処理FBS(Hyclone)及び1%(v/v)ペニシリン−ストレプトマイシン(Invitrogen)を含有し、フェノールレッドを含まないRPMI培地(Invitrogen)]中でウェル当たり10,000個の細胞において細胞をプレート化する。2日後、培地をデカンテーションし、新しいアッセイ培地中の0.1%(v/v)ジメチルスルホキシドの最終的濃度において化合物を加える。24時間後、SEAPキット(BD Biosciences Clontech,Palo Alto,CA)を用いてアルカリ性ホスファターゼアッセイを行なう。要するに、培地をデカンテーションし、5%(v/v)ホルマリン(Sigma)を用いて細胞を室温で30分間固定する。室温のハンクスの緩衝食塩水(Invitrogen)で細胞を1回洗浄する。等しい容積(0.05mL)の1X希釈緩衝液、アッセイ緩衝液および1:20 基質/エンハンサー混合物を加える。暗所で室温における1時間のインキュベーションの後、ライセートを白い96−ウェルプレート(Dynex)に移し、LuminoSkan Ascent(Thermo Electron,Woburn,MA)を用いてルミネセンスを読み取る。
【0140】
【表3】

【0141】
前記の明細書は本発明の原理を記載しており、例示の目的で実施例が示されているが、本発明の実施は、前記の請求項及びそれらの同等事項の範囲内に含まれる通常の変動、応
用及び/又は修正のすべてを包含することが理解されるであろう。
j

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

[式中、
及びRは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール−アルキルより成る群から選ばれ;ここでシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリール−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−S(アルキル)、−SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR及びCFより成る群から独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
ここでRはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル−アルキルより成る群から選ばれ;
ここでQはO、S、NH、N(アルキル)及び−CH=CH−より成る群から選ばれ;
ここでR及びRはそれぞれ独立して水素及びアルキルより成る群から選ばれるか;あるいはまたR及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルより成る群から選ばれる4〜8員環を形成し;ここでヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、CF又はシアノから独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
ここでRは水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル−アルキルより成る群から選ばれ;ここでシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、CF、ニトロ又はシアノから独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができるか;
あるいはまた、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C(O)を形成するか、又はシクロアルキルもしくはヘテロ−シクロアルキルを形成し、
は場合により最高で3個のRで置換されていることができるアリール又はヘテロアリールであり;
ここで
はハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、CF、SO(アルキル)、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)R、−OSi(R−OR、−SON(R、−O−(アルキル)1−4−C(O)R及び−O−(アルキル)1−4−C(O)ORより成る群から独立して選ばれ;
ここで各Rは水素、アルキル、アリール、アラルキルから独立して選ばれ;ここでア
ルキル、アリール又はアラルキル基は場合によりアルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−OC(O)−アルキル又は−C(O)O−アルキルから独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができるか;
あるいはまた2個のR基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル基を形成し;ここでヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ又はシアノから独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
はアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、ここでアリール又はヘテロアリールは場合により最高で3個のRで置換されていることができる]
の化合物又は製薬学的に許容され得るその塩。
【請求項2】
及びRが−O(CHO−リンカーを介して炭素原子で連結して環を形成し;
が場合により最高で3個のRで置換されていることができるアリール又はピリジニルであり;
が場合により最高で3個のRで置換されていることができるアリール又はピリジニルであり;
ここでRはハロゲン、CF、MeO、NO及びCNより成る群から選ばれる
請求項1の化合物。
【請求項3】
及びRが−O(CHO−リンカーを介して炭素原子で一緒に連結して環を形成し;
が場合により最高で3個のRで置換されていることができるアリール又はピリジニルであり;
がCHCH−、CHCH(CH)及びCHCHCH−より成る群から選ばれ;
ここでRはハロゲン、CF、MeO、NO及びCNより成る群から選ばれる
請求項1の化合物。
【請求項4】
及びRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C(O)を形成し;Rが場合により最高で3個のRで置換されていることができるアリール又はピリジニルであり;
が場合により最高で3個のRで置換されていることができるアリール又はピリジニルであり;
ここでRはハロゲン、CF、MeO、NO及びCNより成る群から選ばれる
請求項1の化合物。
【請求項5】
及びRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C(O)を形成し;Rが場合により最高で3個のRで置換されていることができるアリール又はピリジニルであり;
がCHCH−、CHCH(CH)及びCHCHCH−より成る群から選ばれ;
ここでRはハロゲン、CF、MeO、NO及びCNより成る群から選ばれる
請求項1の化合物。
【請求項6】
[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−(3−メトキシ−フェニル)−メタノン;
(3−ブロモ−フェニル)−[5−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]
デシ−8−イル)−4−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−メタノン;
1−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−ピペリジン−4−オン;
1−[5−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゾイル)−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−ピペリジン−4−オン;及び
1−[5−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゾイル)−3−ピリジン−4−イル−チオフェン−2−イル]−ピペリジン−4−オン
より成る群から選ばれる請求項1の化合物。
【請求項7】
製薬学的に許容され得る担体及び請求項1の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項8】
請求項1の化合物の治療的に有効な量を患者に投与することを含んでなる、必要のある患者におけるプロゲステロン受容体により媒介される障害の処置方法。
【請求項9】
プロゲステロン受容体により媒介される障害が続発性無月経、機能不全性不正出血、子宮筋腫(uterine leiomyomata)、子宮内膜症;多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜、卵巣、乳房、結腸又は前立腺のガン及び腺ガンの処置及び/又は予防に関連するものより成る群から選ばれる請求項8の方法。
【請求項10】
プロゲステロン受容体により媒介される障害が避妊より成る群から選ばれる請求項8の方法。
【請求項11】
請求項7の組成物の治療的に有効な量を患者に投与することを含んでなる、必要のある患者におけるプロゲステロン受容体により媒介される障害の処置方法。
【請求項12】
請求項1の化合物及びエストロゲン又はエストロゲンアゴニストの治療的に有効な量を用いる共−治療を含んでなる避妊方法。

【公表番号】特表2008−518011(P2008−518011A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538998(P2007−538998)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/037827
【国際公開番号】WO2006/049891
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】